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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】インクジェット装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240920BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020128361
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2021053626
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2019176070
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英博
(72)【発明者】
【氏名】豊福 洋介
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 謙太郎
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-258845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、
所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、
上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え
上記位置調整機構は、上記複数のインクジェットヘッドのそれぞれにおいて複数の上記ノズルが並んでいる方向と直交する方向における上記複数のインクジェットヘッドの間の距離を調整することを特徴とするインクジェット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット装置において、
上記複数のインクジェットヘッドのノズルの位置を検知するノズル位置検知装置と、
上記ノズル位置検知装置の検知結果に基づいて、上記位置調整機構を制御する位置調整機構制御部とをさらに備えていることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェット装置において、
印刷後の印刷対象におけるインクの着弾位置を検知する着弾位置検知装置と、
上記着弾位置検知装置の検知結果に基づいて、上記位置調整機構を制御する位置調整機構制御部とをさらに備えていることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項4】
印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、
所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、
上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、
上記位置調整機構は、上記印刷幅方向に延びるように配設されたシャフト、上記シャフトに沿って移動可能に配設された複数の可動子、及び、上記複数の可動子それぞれに1つずつ取り付けられている複数のモータを備え、
上記複数のインクジェットヘッドそれぞれの一端部は、上記複数のモータに1つずつ連結されていることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項5】
印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、
所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、
上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、
上記位置調整機構は、上記印刷幅方向に延びるように配設されたシャフト、上記シャフトに沿って移動可能に配設された連結部、及び、上記連結部の両端に1つずつ取り付けられている一対のモータを備え、
上記複数のインクジェットヘッドの1つの一端部は、上記一対のモータの1つに連結されており、上記複数のインクジェットヘッドの他の1つの一端部は、上記一対のモータの他の1つに連結されていることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項6】
印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、
所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、
上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、
上記位置調整機構は、上記印刷幅方向に延びるように配設された印刷幅方向案内レール、上記印刷幅方向案内レールに沿って移動可能に配設された複数の印刷幅方向可動子、上記複数の印刷幅方向可動子の1つに連結され、かつ、上記複数の印刷幅方向可動子の1つを上記印刷幅方向に移動させる動力伝達機構、上記印刷幅方向に延びるとともに上記印刷方向にシフト可能に配設された可動子連動レール、上記可動子連動レールに沿って移動可能に配設された複数の印刷方向可動子、上記印刷方向に延びるとともに上記印刷幅方向にシフト可能に配設され、かつ、上記複数の印刷方向可動子を上記印刷方向に案内する複数の印刷方向案内レールを備え、
上記複数のインクジェットヘッドは、それぞれ、自身の一端部において上記複数の印刷幅方向可動子の1つに相対回転可能に連結されているとともに、自身の他端部において上記複数の印刷方向可動子の1つに相対回転可能に連結されていることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項7】
印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、
所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、
上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、
上記位置調整機構は、
上記インクジェットヘッドに固定される着脱装置と、
前記着脱装置を介して、前記インクジェットヘッドを保持する保持部材と、
上記インクジェットヘッドを保持し、保持した上記インクジェットヘッドを上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに回動させる移動装置と、
上記移動装置を上記印刷幅方向に案内する案内機構とを備えていることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項8】
請求項7に記載のインクジェット装置において、
上記インクジェットヘッドには、上記インクジェットヘッドの落下を防止する落下防止ワイヤーが接続されており、
上記保持部材は、上記移動装置に対向し、かつ、上記着脱装置が着脱される平面、及び、上記落下防止ワイヤーが通る貫通孔を有していることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載のインクジェット装置において、
上記移動装置は、上記案内機構によって案内される台座部、上記インクジェットヘッドを保持するチャック、及び、上記台座部と上記チャックとを互いに相対回転可能且つ接近及び離反可能に連結するチャック軸を備えていることを特徴とするインクジェット装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載のインクジェット装置において、
前記移動装置に取り付けられたカメラを更に備えていることを特徴とするインクジェット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノズルからインクを吐出することにより印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置が開示されている。このインクジェット装置では、上記複数のノズルを、細長形状のインクジェットヘッドに長手方向に互いに間隔を空けて直線状に配設している。そして、印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りにインクジェットヘッドを回転させることにより、ノズルの印刷幅方向の間隔を変更できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-272035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたインクジェット装置は、インクジェットヘッドを1つしか備えていないので、印刷対象が大型のディスプレイデバイス等、大型である場合、インクジェットヘッドを印刷幅方向に長くする必要がある。しかし、インクジェットヘッドを長くし過ぎると、ノズルの間隔に対する熱膨張の影響が大きくなる。
【0005】
また、印刷対象の印刷面を印刷幅方向に分割し、ある分割領域の印刷方向全体の印刷を終了した後に、別の分割領域の印刷を行うようにすると、印刷タイミングの差によって濡れ状態や乾燥の程度がばらつき、印刷ムラが発生する。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インクジェットヘッドを長くし過ぎることなく、大型の印刷対象に生じる印刷ムラを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、上記位置調整機構は、上記複数のインクジェットヘッドのそれぞれにおいて複数の上記ノズルが並んでいる方向と直交する方向における上記複数のインクジェットヘッドの間の距離を調整することを特徴とする。また、本発明は、印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、上記位置調整機構は、上記印刷幅方向に延びるように配設されたシャフト、上記シャフトに沿って移動可能に配設された複数の可動子、及び、上記複数の可動子それぞれに1つずつ取り付けられている複数のモータを備え、上記複数のインクジェットヘッドそれぞれの一端部は、上記複数のモータに1つずつ連結されていることを特徴とする。また、本発明は、印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、上記位置調整機構は、上記印刷幅方向に延びるように配設されたシャフト、上記シャフトに沿って移動可能に配設された連結部、及び、上記連結部の両端に1つずつ取り付けられている一対のモータを備え、上記複数のインクジェットヘッドの1つの一端部は、上記一対のモータの1つに連結されており、上記複数のインクジェットヘッドの他の1つの一端部は、上記一対のモータの他の1つに連結されていることを特徴とする。また、本発明は、印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、上記位置調整機構は、上記印刷幅方向に延びるように配設された印刷幅方向案内レール、上記印刷幅方向案内レールに沿って移動可能に配設された複数の印刷幅方向可動子、上記複数の印刷幅方向可動子の1つに連結され、かつ、上記複数の印刷幅方向可動子の1つを上記印刷幅方向に移動させる動力伝達機構、上記印刷幅方向に延びるとともに上記印刷方向にシフト可能に配設された可動子連動レール、上記可動子連動レールに沿って移動可能に配設された複数の印刷方向可動子、上記印刷方向に延びるとともに上記印刷幅方向にシフト可能に配設され、かつ、上記複数の印刷方向可動子を上記印刷方向に案内する複数の印刷方向案内レールを備え、上記複数のインクジェットヘッドは、それぞれ、自身の一端部において上記複数の印刷幅方向可動子の1つに相対回転可能に連結されているとともに、自身の他端部において上記複数の印刷方向可動子の1つに相対回転可能に連結されていることを特徴とする。また、本発明は、印刷方向に対して直角な印刷幅方向に間隔を空けて配置した複数のノズルからインクを吐出することにより、上記印刷幅方向に間隔を空けて印刷対象にインクを塗布するインクジェット装置であって、所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設された複数の上記ノズルを有し、かつ印刷幅方向に互いに異なる領域にインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに上記複数のインクジェットヘッドを回転させることにより、上記ノズルの上記印刷幅方向の間隔を変更する回転動作、及び上記複数のインクジェットヘッドのうちの少なくとも1つを上記印刷幅方向にシフトさせるシフト動作を行う位置調整機構とを備え、上記位置調整機構は、上記インクジェットヘッドに固定される着脱装置と、前記着脱装置を介して、前記インクジェットヘッドを保持する保持部材と、上記インクジェットヘッドを保持し、保持した上記インクジェットヘッドを上記印刷対象の印刷面に対して垂直な軸周りに回動させる移動装置と、上記移動装置を上記印刷幅方向に案内する案内機構とを備えていることを特徴とする。
【0008】
これにより、上記複数のインクジェットヘッドに並行してインクを吐出させることにより、各インクジェットヘッドのノズル配設領域よりも印刷幅方向に広い領域に短時間でインクを塗布できる。したがって、インクジェットヘッドを長くし過ぎることなく、大型の印刷対象に生じる印刷ムラを低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インクジェットヘッドを長くし過ぎることなく、大型の印刷対象に生じる印刷ムラを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係るインクジェット装置の概略平面図である。
図2】実施形態1に係るインクジェット装置の可動子位置検知装置、位置調整機構 及び位置調整機構制御部のブロック図である。
図3】実施形態2の図1相当図である。
図4】実施形態3の図1相当図である。
図5】実施形態3に係るインクジェット装置の位置調整機構及び位置調整機構制御 部のブロック図である。
図6】実施形態4の図1相当図である。
図7】実施形態4に係るインクジェット装置の可動子位置検知装置、位置調整機構 、ノズル位置検知装置及び位置調整機構制御部のブロック図である。
図8】実施形態4に係るインクジェット装置の位置調整機構制御部によるノズル位 置の調整動作を説明するフローチャートである。
図9】実施形態5の図1相当図である。
図10】実施形態5に係るインクジェット装置の可動子位置検知装置、位置調整機 構、着弾位置検知装置及び位置調整機構制御部のブロック図である。
図11】実施形態6の図1相当図である。
図12図11のXII-XII線に相当する断面図である。
図13図11のXIII-XIII線に相当する断面図である。
図14】実施形態6に係るインクジェット装置の位置調整機構、ヘッド位置特定部 及び位置調整機構制御部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット装置100を示す。このインクジェット装置100は、装置本体101と、印刷ステージ102と、当該印刷ステージ102を所定の印刷方向Xに移動させる図示しない搬送装置とを備えている。印刷ステージ102の上面には、印刷対象としての1枚のディスプレイパネル103がその表面を上方に向けて吸着等の方法で固定されている。ディスプレイパネル103の表面は、バンク103aによって仕切られた複数の発色領域103bを有する。各発色領域103bは、副画素1つ分に相当する。赤、緑、青の3つの副画素が印刷幅方向Yに並んで1画素を構成する。印刷幅方向Yは、印刷方向Xに対して直角な方向である。各発色領域103bには、インク104が塗布される。インク104は、赤、緑、又は青に発光する量子ドットインクである。
【0013】
装置本体101は、4本の細長形状のインクジェットヘッド105と、図2に示す位置調整機構106と、可動子位置検知装置107と、位置調整機構制御部108とを備えている。
【0014】
インクジェットヘッド105は、印刷ステージ102の上方に設けられる。各インクジェットヘッド105には、複数のノズル105aが長手方向に互いに等しい間隔を開けて直線状に形成されている。各ノズル105aは、その吐出方向を印刷ステージ102側、すなわち下方(図1の紙面奥側)に向けている。各インクジェットヘッド105の一端部には、上方又は下方、すなわちディスプレイパネル103の印刷面に対して垂直な方向に突出する回転軸109が固定されている。すなわち、回転軸109は、印刷方向X及び印刷幅方向Yに対して直交する方向に延びている。なお、後に説明するモータ112の動力によってインクジェットヘッド105が回転可能に構成されていれば、回転軸109は無くてもよい。また、複数のノズル105aは、一直線上に並ぶように形成することができる。各インクジェットヘッド105において複数のノズル105aが一直線上に並んでいると、1つのノズル列毎に個別に、後に説明する回転動作及びシフト動作を行わせることができる。つまり、複数のノズル105aの印刷幅方向Yにおける間隔をより精度よく調整することができる。また、回転軸109つまりインクジェットヘッド105の回転中心軸は、複数のノズル105aとともに一直線上に並んでいることが好ましい。このように配置することにより、後に説明する角度θの調整により、隣り合うノズル105a同士の印刷幅方向Yにおける間隔を容易に所望の値に調整することができる。
【0015】
位置調整機構106は、4本のインクジェットヘッド105の位置を調整する。位置調整機構106は、回転機構110と、シフト機構111とを備えている。
【0016】
回転機構110は、各インクジェットヘッド105を各回転軸109周りに回転させることにより、ノズル105aの印刷幅方向Yの間隔を変更する回転動作を行う。回転機構110は、各インクジェットヘッド105の長手方向が印刷方向Xに対してなす角度θを0~90度の範囲の角度に変更できるように構成されている。具体的には、回転機構110は、4つのモータ112と、4つの動力伝動機構113を備えている。1つのモータ112と1つの動力伝動機構113からなる組が、後に説明する可動子1151つにつき一組、各可動子115に取り付けられている。各インクジェットヘッド105の一端部は、回転軸109および動力伝動機構113を介して、各モータ112に1つずつ連結されている。動力伝動機構113は、モータ112の動力を回転軸109に伝えることにより回転軸109ひいてはインクジェットヘッド105を回転させる。なお、動力伝動機構113を介さず、モータ112を回転軸109あるいはインクジェットヘッド105の一端部に直接連結してもよいことは言うまでもない。
【0017】
シフト機構111は、各インクジェットヘッド105を印刷幅方向Yにシフトさせるシフト動作を行う。シフト機構111は、印刷幅方向Yに延びるように配設され、かつ永久磁石が組み込まれたシャフト114と、シャフト114を外周側から囲むように巻回されたコイル(電磁石)を内蔵する4つの可動子115とを備えたシャフトモータである。各可動子115のコイルに流れる電流を制御することによって、各可動子115を印刷幅方向Yの任意の位置に移動させることができる。可動子115とインクジェットヘッド105は、回転軸109を介して連結されている。また、可動子115には、上記回転機構110が取り付けられている。したがって、上記インクジェットヘッド105及び回転機構110は、可動子115と共にシャフト114に沿って印刷幅方向Yに移動可能になっている。
【0018】
可動子位置検知装置107は、各可動子115の位置を検知する。可動子位置検知装置107は、リニアスケール116と、読取ヘッド117とを備えている。リニアスケール116は、シャフト114と平行に印刷幅方向Yに延びるように配設されている。読取ヘッド117は、各可動子115に固定されている。各読取ヘッド117は、リニアスケール116の位置情報を読み取ることにより、可動子115の位置を検知する。
【0019】
位置調整機構制御部108は、可動子位置検知装置107の検知結果に基づいて、位置調整機構106を制御する。位置調整機構制御部108は、各インクジェットヘッド105のノズル105aの長手方向の間隔を予め記憶している。そして、位置調整機構制御部108は、ディスプレイパネル103における発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔と、記憶したノズル105aの間隔とに基づいて、各インクジェットヘッド105の角度θと可動子115の印刷幅方向Yの位置とを算出する。角度θ(以下、算出角度θと呼ぶ。)は、以下の式1により算出される。
【0020】
θ=sin-1(発色領域103bの間隔/ノズル105aの間隔)・・・(式1)
位置調整機構制御部108は、4つのインクジェットヘッド105が印刷幅方向に互いに異なる領域にインク104を吐出するように位置調整機構106を制御する。
【0021】
位置調整機構制御部108の機能は、パーソナルコンピューター等のCPU(Central Processing Unit)等によって実現される。
【0022】
上述のように構成されたインクジェット装置100では、以下のようにノズル105aの位置が調整される。
【0023】
まず、ユーザが、印刷対象のディスプレイパネル103における発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔と、各インクジェットヘッド105のノズル105aの長手方向の間隔とを位置調整機構制御部108に保存する。次いで、位置調整機構制御部108が、ディスプレイパネル103における発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔と、記憶したノズル105aの間隔とに基づいて、各インクジェットヘッド105の角度θと可動子115の印刷幅方向Yの位置とを算出する。その後、位置調整機構制御部108が、各インクジェットヘッド105の長手方向が印刷方向Xに対して角度θをなすように、回転機構110に回転動作を行わせる。これにより、モータ112が駆動し、モータ112の動力が動力伝動機構113を介して各インクジェットヘッド105の回転軸109に伝わり、インクジェットヘッド105が回転軸109周りに回転し、各インクジェットヘッド105の長手方向が印刷方向Xに対して角度θをなす。また、位置調整機構制御部108は、各可動子115、すなわち各インクジェットヘッド105の一端部の印刷幅方向Yの位置が算出した位置となるように、可動子位置検知装置107の検知結果を参照して、シフト機構111にシフト動作を行わせる。具体的には、可動子115のコイルに流れる電流を制御することによって、可動子115を印刷幅方向Yの任意の位置に移動させる。この状態で、各インクジェットヘッド105の複数のノズル105aは、印刷幅方向Yに間隔を空けて配置される。
【0024】
インクジェットヘッド105の位置調整の終了後、装置本体101を固定した状態で印刷ステージ102を一定のスピードで印刷方向Xに移動させながら、4つのインクジェットヘッド105の複数のノズル105aから所定のタイミング毎にインク104を同時に吐出させる。4つのインクジェットヘッド105は、印刷幅方向に互いに異なる領域にインク104を吐出する。吐出されたインク104は、印刷幅方向Yに互いに間隔を空けて発色領域103b上に塗布される。なお、各ノズル105aから一度に吐出されるインク104は所定の体積であることが要求される。インク104の体積がばらつくと、ディスプレイパネル103の画素毎の明るさや色合いがばらつき、ディスプレイパネル103の品質が低下する。また、発色領域103bからインク104がはみ出すと、発光不良や隣の発色領域103bへのインク104の侵入による混色を招く。したがって、各発色領域103bにインク104を正確に着弾させることが重要である。
【0025】
このように、印刷対象のディスプレイパネル103における発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔を位置調整機構制御部108に設定することにより、インクジェットヘッド105の位置を自動的に調整できるので、印刷対象のディスプレイパネル103の種類を変更する際の設定作業が容易である。
【0026】
したがって、本実施形態1によると、複数のインクジェットヘッド105に並行してインク104を吐出させることにより、各インクジェットヘッド105のノズル105a配設領域よりも印刷幅方向Yに広い領域に短時間でインク104を塗布できる。したがって、インクジェットヘッド105を長くし過ぎることなく、大型のディスプレイパネル103に生じる印刷ムラを低減できる。
【0027】
(実施形態1の変形例)
上記実施形態1では、印刷対象のディスプレイパネル103を1枚としたが、複数枚としてもよい。また、発色領域103bの間隔が異なる複数種類のディスプレイパネル103を、印刷ステージ102上に印刷幅方向Yに並べてもよい。そして、位置調整機構制御部108が、各ディスプレイパネル103における発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔を予め記憶し、各インクジェットヘッド105の角度θと印刷幅方向Yの位置とを、各インクジェットヘッド105の印刷対象のディスプレイパネル103における発色領域103bの間隔と、各インクジェットヘッド105のノズル105aの間隔とに基づいて算出するようにしてもよい。また、印刷ステージ102上の印刷幅方向Y一部の領域に印刷対象が配置されていないとき、印刷対象が配置されていない領域に対向する箇所には、インクジェットヘッド105を配置せず、印刷対象が配置された領域に対向する箇所にインクジェットヘッド105を集中して配置してもよい。これにより、インクジェットヘッド105の数を減らし、設備を軽量化できる。
【0028】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2に係るインクジェット装置200を示す。本実施形態2では、図3中左右両側(印刷幅方向Y両側)で隣り合う2つのインクジェットヘッド105の一端部が、印刷方向Xに延びる細長形状の連結部としての連結フレーム201によって互いに連結されている。連結フレーム201の端部とインクジェットヘッド105の端部は、回転機構110及び回転軸109を介して連結されている。連結フレーム201の長手方向中央に可動子115が固定されている。各インクジェットヘッド105の回転機構110は、可動子115ではなく、連結フレーム201の端部に取り付けられている。すなわち、1つの連結フレーム201の両端には、回転機構110を構成する一対のモータ112が1つずつ、及び、一対の動力伝動機構113が1つずつ取り付けられている。また、隣り合う2つのインクジェットヘッド105の1つの一端部は、一対のモータ112の1つに直接または動力伝動機構113及び回転軸109を介して連結されている。また、隣り合う2つのインクジェットヘッド105の他の1つの一端部は、一対のモータ112の他の1つに直接または動力伝動機構113及び回転軸109を介して連結されている。よって、隣り合う2つのインクジェットヘッド105およびそれらと連結されている1つの連結フレーム201は、平面視でZ字状に配置されている。なお、隣り合う2つのインクジェットヘッド105の1つの回転中心(例えば回転軸109)と隣り合う2つのインクジェットヘッド105の他の1つの回転中心(例えば回転軸109)は、印刷方向Xと平行な直線上に並んでいる。この関係が満たされる限り、連結部は連結フレーム201のような細長形状で無くてもよい。
【0029】
また、本実施形態2では、4つのインクジェットヘッド105のノズル105aの間隔D1は共通の長さに設定されている。また、位置調整機構制御部108は、4つのインクジェットヘッド105の角度θとして、共通の値を算出する。連結フレーム201を挟んで図3中左側のインクジェットヘッド105の回転軸109側の最も端のノズル105aと当該回転軸109との間隔D2、及び連結フレーム201を挟んで図3中右側のインクジェットヘッド105の回転軸109側の最も端のノズル105aと当該回転軸109との間隔D3の合計が、各インクジェットヘッド105内で隣り合うノズル105aの間隔D1と等しくなる。すなわち、以下の式2が成り立つ。
【0030】
D1=D2+D3・・・(式2)
したがって、連結フレーム201によって互いに連結された1対のインクジェットヘッド105間で隣り合うノズル105aの印刷幅方向Yの間隔D4が、各インクジェットヘッド105内で隣り合うノズル105aの印刷幅方向Yの間隔D5と等しくなる。
【0031】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
したがって、本実施形態2によると、可動子115の数を半減できるので、インクジェット装置200のコスト及び重量を削減できる。
【0033】
(実施形態2の変形例)
上記実施形態2では、2つのインクジェットヘッド105を連結フレーム201で互いに連結したが、2つ以上のインクジェットヘッド105を連結フレーム201で連結してもよい。
【0034】
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態3に係るインクジェット装置300を示す。本実施形態3では、実施形態1の位置調整機構106及び位置調整機構制御部108に代えて、図5に示す位置調整機構301及び位置調整機構制御部312が設けられている。
【0035】
位置調整機構301は、4組の印刷方向可動子302及び印刷幅方向可動子303と、連動機構としての可動子連動レール304と、1対の印刷幅方向レール305と、第1~第4の印刷方向案内レール306a~306dと、印刷幅方向案内レール307と、モータ等の動力源308と、動力伝達機構309とを備えている。本実施形態3では、4本のインクジェットヘッド105を、図4中右側から順に第1~第4のインクジェットヘッド1051~1054と呼ぶ。第1~第4のインクジェットヘッド1051~1054のノズル105aの間隔は、共通となっている。
【0036】
各インクジェットヘッド1051~1054の長手方向一端部の回転軸109には、印刷方向可動子302が連結されている。印刷方向可動子302の印刷方向X前後両端面の印刷幅方向Y両端部には、アール302aが形成されている。各インクジェットヘッド1051~1054の長手方向他端部にも、上方又は下方、すなわちディスプレイパネル103の印刷面に対して垂直な方向に突出する回転軸310が固定され、当該回転軸310には、印刷幅方向可動子303が連結されている。インクジェットヘッド105は、印刷方向可動子302及び印刷幅方向可動子303に対して回転軸109,310周りに回動可能になっている。つまり、第1~第4のインクジェットヘッド1051~1054は、それぞれ、自身の一端部において複数の印刷幅方向可動子303の1つに相対回転可能に連結されているとともに、自身の他端部において複数の印刷方向可動子302の1つに相対回転可能に連結されている。
【0037】
印刷幅方向Yに延びるとともに印刷方向Xにシフト可能に配設された可動子連動レール304は、上下方向に貫通し、印刷幅方向Yに長い長方形の長孔304aを有している。当該長孔304aの印刷方向Xの幅は、印刷方向可動子302の幅よりも若干長く設定されている。可動子連動レール304は、長孔304a内に4つの印刷方向可動子302を収容することで、4つの印刷方向可動子302の印刷方向Xの位置を揃えている。印刷方向可動子302の印刷方向X前後両端面は、長孔304aの内周面に当接又は微小な隙間をあけて内側から対向している。このような構成により、可動子連動レール304は、4つの印刷方向可動子302を印刷幅方向Yつまり可動子連動レール304に沿って移動可能な状態で印刷方向Xに沿う方向に連動させる。すなわち、各印刷方向可動子302は、可動子連動レール304に沿って移動可能に配設されている。
【0038】
印刷幅方向レール305は、4本のインクジェットヘッド105の印刷方向X前後両側で印刷幅方向Yに延びている。
【0039】
第1~第4の印刷方向案内レール306a~306dは、印刷方向Xに延びる長尺状に形成され、図4中右側から順に互いに平行に配設されている。第1~第4の印刷方向案内レール306a~306dの両端部は、印刷幅方向レール305にベアリング311を介して連結され、当該印刷幅方向レール305によって印刷幅方向Yに案内される。つまり、第1~第4の印刷方向案内レール306a~306dの両端部は、印刷幅方向Yにシフト可能に配設されている。第1~第3の印刷方向案内レール306a~306cの一端部近傍は、第2~第4のインクジェットヘッド1052~1054に連結された印刷幅方向可動子303に順に固定されている。また、第1~第4の印刷方向案内レール306a~306dにおける印刷幅方向可動子303よりも他端寄りには、第1~第4のインクジェットヘッド1051~1054に連結された印刷方向可動子302が順に印刷方向Xに沿う方向に摺動可能に係合している。つまり、第1~第3の印刷方向案内レール306a~306cは、隣り合う1対の上記インクジェットヘッド105のうちの一方のインクジェットヘッド105に連結された印刷幅方向可動子303に固定され、かつ他方のインクジェットヘッド105に連結された印刷方向可動子302を印刷方向Xに沿う方向に案内するようになっている。
【0040】
印刷幅方向Yに延びるように配設された印刷幅方向案内レール307上には、印刷幅方向可動子303が印刷幅方向Yに摺動可能に配置されている。なお、印刷幅方向可動子303は、印刷幅方向案内レール307に対してローラ等の転がり部材を介して移動してもよい。
【0041】
動力伝達機構309は、複数の印刷幅方向可動子303の一つ、本実施形態においては第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303に連結されている。動力伝達機構309は、動力源308の動力を第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303に伝達することにより、当該印刷幅方向可動子303を印刷幅方向Yに移動させるようになっている。なお、動力伝達機構309は、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303以外の印刷幅方向可動子303に連結されてもよい。
【0042】
位置調整機構制御部312は、第1~第4のインクジェットヘッド1051~1054のノズル105aの長手方向の間隔を予め記憶している。位置調整機構制御部312は、予め記憶したノズル105aの間隔に基づいて、ノズル105aの印刷幅方向Yの間隔が、ディスプレイパネル103における発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔となるように、動力源308を制御する。
【0043】
位置調整機構制御部312の機能は、パーソナルコンピューター等のCPU(Central Processing Unit)等によって実現される。
【0044】
本実施形態3のインクジェット装置300では、動力源308の駆動により、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303を図4中右方向(印刷幅方向Y一方)に移動させると、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303側の端部が図4中右方向に引かれる。すると、第1のインクジェットヘッド1051が回転軸109周りに角度θを大きくする方向に回動し、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷方向可動子302が図4中下方向(印刷方向Xに沿う一方)及び右方向に移動する。これにより、可動子連動レール304が図4中下方向に押され、第2のインクジェットヘッド1052に連結された印刷方向可動子302も第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷方向可動子302に連動して図4中下方向(印刷方向Xに沿う一方)に移動する。また、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷方向可動子302の図4中右側への移動力が第1の印刷方向案内レール306aを介して第2のインクジェットヘッド1052に連結された印刷幅方向可動子303に伝達して当該印刷幅方向可動子303が図4中右方向に移動する。第2のインクジェットヘッド1052に連結された印刷幅方向可動子303が右方向に移動すると、第2のインクジェットヘッド1052が角度θを大きくする方向に回動する。可動子連動レール304及び第1の印刷方向案内レール306aの移動力は、第3及び第4のインクジェットヘッド1053,1054にも伝わり、第1~第4のすべてのインクジェットヘッド1051~1054が角度θを大きくする方向に回動するとともに、図4中右方向に移動する。
【0045】
また、動力源308の駆動により、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303を図4中左方向に移動させることにより、第1~第4のすべてのインクジェットヘッド1051~1054を角度θを小さくする方向に回動させるとともに、図4中左方向に移動させることができる。このように、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303を印刷幅方向Yに移動させるだけで、第1~第4のインクジェットヘッド1051~1054の傾き角度θと印刷幅方向Yの間隔とを同時に変更できる。
【0046】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
したがって、本実施形態3によると、1つの動力源308で複数のインクジェットヘッド105の位置を調整できるので、動力源308の数を減らし、インクジェット装置100のコスト及び重量を削減できる。
【0048】
また、印刷方向可動子302の印刷方向X前後両端面の印刷幅方向Y両端部にアール302aを形成したので、印刷方向可動子302が印刷幅方向Yへの移動を開始する際に摩擦力が大きく作用して印刷方向可動子302が可動子連動レール304の長孔304aの内周面に引っ掛かるのを防止できる。
【0049】
(実施形態3の変形例)
なお、上記実施形態3において、印刷方向可動子302にアール302aを形成する代わりに、位置調整機構制御部312が、第1のインクジェットヘッド1051に連結された印刷幅方向可動子303を印刷幅方向Yに振動させながら印刷幅方向Yに移動させるように動力源308を制御するようにしてもよい。これにより、印刷方向可動子302が印刷幅方向Yへの移動を開始する際に印刷方向可動子302が摩擦力により可動子連動レール304の長孔304aの内周面に引っ掛かるのを防止できる。
【0050】
また、印刷方向可動子302が摩擦力により可動子連動レール304の長孔304aの内周面に引っ掛かるのを防止するために、印刷方向可動子302と可動子連動レール304との間に遊びを設けてもよい。かかる場合、印刷方向可動子302の位置を手動で微調整するための機構を設けたり、動力源308の速度制御時や、印刷幅方向可動子303の位置調整の終了時には、図4中の右から左等、所定方向に移動させるようにすることにより、遊びを設けたことによる位置ずれを抑制できる。
【0051】
(実施形態4)
図6は、本発明の実施形態4に係るインクジェット装置400を示す。本実施形態4では、インクジェット装置400が、図7に示すように、ノズル位置検知装置401を備え、実施形態1の位置調整機構制御部108に代えて、位置調整機構制御部402を備えている。
【0052】
ノズル位置検知装置401は、ノズル105aの位置を検知する。ノズル位置検知装置401は、カメラ403と、カメラ支持軸404と、支持軸案内軸405と、ノズル位置算出部406とを備えている。
【0053】
カメラ403は、ノズル105aに対向する方向すなわち上方を向くように、4つのインクジェットヘッド105よりも下側に配設されている。
【0054】
カメラ支持軸404は、印刷幅方向Yに延び、カメラ403を印刷幅方向Yに摺動可能に下方から支持している。カメラ支持軸404は図示しない可動子を備えている。カメラ403は、この可動子を介してカメラ支持軸404に取り付けられている。この可動子はカメラ支持軸404を外周側から囲むように巻回されたコイル(電磁石)を内蔵し、カメラ支持軸404とともにシャフトモータを構成している。
【0055】
支持軸案内軸405は、印刷方向Xに延び、カメラ支持軸404の印刷幅方向Y一端部を印刷方向Xに沿う方向に摺動可能に下方から支持している。支持軸案内軸405は連結部405aを備えている。この連結部405aは支持軸案内軸405を外周側から囲むように巻回されたコイル(電磁石)を内蔵し、支持軸案内軸405とともにシャフトモータを構成している。よって、カメラ403は印刷方向X及び印刷幅方向Yに自在に移動することができ、ひいては、撮影対象の任意のノズル105aの下に移動することができる。
【0056】
ノズル位置算出部406は、カメラ403によって撮影された画像に基づいて、画像認識によりノズル105aの中心位置をノズル105aの位置として算出する。
【0057】
位置調整機構制御部402は、各インクジェットヘッド105のノズル105aの長手方向の間隔を予め記憶している。
【0058】
位置調整機構制御部402は、ノズル位置検知装置401の検知結果に基づいて、図8に示すようなノズル位置の調整動作を行う。
【0059】
まず、(S4001)において、位置調整機構制御部402は、ディスプレイパネル103における発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔と、記憶したノズル105aの間隔に基づいて、各インクジェットヘッド105の角度θを算出する。ここで、左端のインクジェットヘッド105の左端のノズル105aの位置を基準位置とする。位置調整機構制御部402は、各インクジェットヘッド105の一番左にあるノズル105aよりも左側にある他のインクジェットヘッド105のノズル105aの合計数に、所望のノズル105aの間隔、すなわち発色領域103bの印刷幅方向Yの間隔を掛けることにより、基準位置から、各インクジェットヘッド105の左端のノズル105aまでの距離DIを算出する。図6中、右端のインクジェットヘッド105について算出された距離DIのみを示す。
【0060】
次に、(S4002)において、位置調整機構制御部402は、算出した角度θに基づいて、回転機構110に回転動作を行わせるとともに、算出した距離DIに基づいて、シフト機構111にシフト動作を行わせる。
【0061】
その後、(S4003)において、位置調整機構制御部402は、(S4002)の動作後にノズル位置検知装置401によって検知されたノズル105aの位置と、所望のノズル105aの位置とのずれを算出する。
【0062】
そして、(S4004)において、位置調整機構制御部402は、4つのインクジェットヘッド105の両端のノズル105aの位置について算出したずれの平均が小さくなるように、回転機構110に回転動作を行わせるとともに、シフト機構111にシフト動作を行わせる。これにより、ノズル105aの位置が補正される。
【0063】
ノズル位置算出部406及び位置調整機構制御部402の機能は、パーソナルコンピューター等のCPU(Central Processing Unit)等によって実現される。
【0064】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0065】
したがって、本実施形態4によると、ノズル105aをより確実に所望の位置に移動させることができる。
【0066】
また、位置調整機構制御部402が、4つのインクジェットヘッド105の両端のノズル105aのずれの平均が小さくなるように、位置調整機構106を制御するので、インクジェットヘッド105の両端のノズル105aの位置ずれに起因してディスプレイパネル103の画像に周期的な濃淡が現れるのを抑制できる。
【0067】
(実施形態4の変形例)
なお、上記実施形態4では、位置調整機構制御部402が、(S4004)において、4つのインクジェットヘッド105の両端のノズル105aのずれの平均が小さくなるように、位置調整機構106を制御した。しかし、位置調整機構制御部402が、(S4004)において、4つのインクジェットヘッド105の全てのノズル105aのずれの平均が小さくなるように、位置調整機構106を制御するようにしてもよい。
【0068】
(実施形態5)
図9は、本発明の実施形態5に係るインクジェット装置500を示す。本実施形態5では、インクジェット装置500が、図10に示すように、実施形態4のノズル位置検知装置401及び位置調整機構制御部402に代えて、着弾位置検知装置501及び位置調整機構制御部502を備えている。
【0069】
着弾位置検知装置501は、印刷後の印刷対象におけるインク104の着弾位置を検知する。着弾位置検知装置501は、カメラ503と、カメラ案内軸504と、着弾位置算出部505とを備えている。
【0070】
カメラ503は、印刷後の印刷対象の印刷面を撮影する。よって、印刷ステージ102に対向する方向すなわち下方を向くように配設されている。なお、カメラ503としては、例えば印刷幅方向Yに延びるライン上に撮像素子を配置したラインカメラが用いられる。
【0071】
カメラ案内軸504は、図示しない可動子を備えている。カメラ503は、この可動子を介してカメラ案内軸504に取り付けられている。この可動子はカメラ案内軸504を外周側から囲むように巻回されたコイル(電磁石)を内蔵し、カメラ案内軸504とともにシャフトモータを構成している。よって、カメラ503は印刷幅方向Yに自在に移動することができ、ひいては、撮影対象の任意の着弾後のインクの上に移動することができる。
【0072】
着弾位置算出部505は、カメラ503によって撮影された画像に基づいて、インク104の着弾位置を算出する。
【0073】
位置調整機構制御部502は、各インクジェットヘッド105のノズル105aの間隔を予め記憶している。
【0074】
位置調整機構制御部502は、着弾位置検知装置501の検知結果に基づいて、以下のようなノズル位置の調整動作を行う。
【0075】
まず、位置調整機構制御部502は、実施形態4の位置調整機構制御部402と同様に、上記(S4001)及び(S4002)の動作を行う。
【0076】
次に、位置調整機構制御部502は、すべてのインクジェットヘッド105のすべてのノズル105aから1滴ずつインク104を吐出させ、印刷対象としての試験用ディスプレイパネル506に着弾させる。インク104を着弾させる試験用ディスプレイパネル506としては、着弾後の表面張力等によるインク104の移動を最小限とするため、バンク103a等の構造物がなく、かつ汚れの付着していない清浄なものを使用する。
【0077】
その後、位置調整機構制御部502は、インク104の吐出後(印刷後)にカメラ503によって撮影された試験用ディスプレイパネル506の画像に基づいて着弾位置算出部505によって算出された着弾位置と、所望の着弾位置との印刷幅方向Yのずれを算出する。
【0078】
そして、位置調整機構制御部502は、4つのインクジェットヘッド105の両端のノズル105aから吐出されたインク104の位置について算出したずれの平均が小さくなるように、ノズル105aの位置の補正を行う。位置調整機構制御部502は、回転機構110に回転動作を行わせるとともに、シフト機構111にシフト動作を行わせることによってノズル105aの位置を補正する。なお、ここで、位置調整機構制御部502が、4つのインクジェットヘッド105のすべてのノズル105aから吐出されたインク104の位置のずれの平均が小さくなるように、ノズル105aの位置の補正を行うようにしてもよい。
【0079】
その後、位置調整機構制御部502は、すべてのインクジェットヘッド105のすべてのノズル105aから1滴ずつインク104を再度吐出させ、試験用ディスプレイパネル506に着弾させる。
【0080】
その後、位置調整機構制御部502は、試験用ディスプレイパネル506へのインク104の吐出後に着弾位置検知装置501によって検知された着弾位置と、所望の着弾位置との印刷方向Xのずれを算出する。そして、各ノズル105aから吐出されたインク104の着弾位置の印刷方向Xのずれが小さくなるように、各ノズル105aからのインク104の吐出タイミングを設定する。
【0081】
着弾位置算出部505及び位置調整機構制御部502の機能は、パーソナルコンピューター等のCPU(Central Processing Unit)等によって実現される。
【0082】
その他の構成は、実施形態4と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0083】
したがって、本実施形態5によると、ノズル105aのインク104の吐出角度にばらつきがある場合でも、インク104が所望の着弾位置に吐出されるように、インクジェットヘッド105の位置を調整できる。
【0084】
(実施形態6)
図11図13は、本発明の実施形態6に係るインクジェット装置600を示す。本実施形態6では、実施形態1の位置調整機構106、可動子位置検知装置107及び位置調整機構制御部108に代えて、図14に示す位置調整機構601、ヘッド位置特定部602、及び位置調整機構制御部603が設けられている。また、本実施形態6では、各インクジェットヘッド105に、インクジェットヘッド105が設備トラブルにより落下するのを防止するための落下防止ワイヤー617が接続されている。落下防止ワイヤー617によってインクジェットヘッド105が吊り下げられた状態になったときに、インクジェットヘッド105の一方の端部が下がりすぎないようにするために、落下防止ワイヤー617は、インクジェットヘッド105の長手方向中央付近に取り付けることが好ましい。なお、図13中、符号618は、インクジェットヘッド105の制御信号を伝達し、かつ、インクを供給するユーティリティケーブルである。ユーティリティケーブル618が、信号ケーブルとインク供給ケーブルに分かれていてよいことは言うまでも無い。
【0085】
位置調整機構601は、保持部材としての保持プレート605と、複数の着脱装置としての吸着パッド604と、移動部としての移動装置606と、案内機構607とを備えている。
【0086】
保持プレート605は、インクジェットヘッド105に上方(インク104の反吐出方向)から対向するように配設されている。保持プレート605は、移動装置606に対向する平面605aを有している。この平面605aは保持プレート605の下面である。また、保持プレート605は、少なくとも1つの貫通孔605bを有している。貫通孔605bを落下防止ワイヤー617及びユーティリティケーブル618が通っている。
【0087】
吸着パッド604は、その吸着面を上方に向けた状態でインクジェットヘッド105の両端部の上面にそれぞれ固定されている。吸着パッド604は、保持プレート605に、具体的には平面605aに着脱される。吸着パッド604は、その吸着面と保持プレート605との間に負圧を発生させることで、吸着対象に吸着させることができる。吸着パッド604は、各インクジェットヘッド105の両端部に一つずつ固定することができる。但し、吸着パッド604の位置及び数がこのような形態に限られないことは言うまでも無い。なお、インクジェットヘッド105の上面が平面で構成されており、吸着パッド604がこの平面と面一となる状態でまたはこの平面よりもへこんだ状態で配置されることが好ましい。このように配置することにより、インクジェットヘッド105の上面と保持プレート605の平面605aとを面接触させることが可能となり、ひいては、各ノズル105aと保持プレート605との距離を均等にすることが容易となる。つまり、各ノズル105aと印刷対象であるディスプレイパネル103との距離を容易に均等にすることができる。
【0088】
移動装置606は、台座部608を備えている。台座部608には、コイルが内蔵されている。台座部608の上面には、カメラ609がその撮影方向を上方に向けた状態で配置されているとともに、回転及び上下動が可能なチャック軸610が上方に向けて突設されている。チャック軸610の突出方向は、ディスプレイパネル103の印刷面に対して垂直な方向となる。チャック軸610の先端には、チャック611が固定されている。また、移動装置606は、チャック軸610を回転させるチャック軸回動装置612、チャック軸610を上下動させるチャック軸昇降装置613及びチャック611を開閉させるチャック駆動装置614を備えている。すなわち、チャック軸610は、台座部608とチャック611とを互いに相対回転可能且つ接近及び離反可能に連結している。
【0089】
案内機構607は、移動装置支持軸615と、支持軸案内軸616とを備えている。案内機構607は、移動装置606を印刷方向Xに沿う方向及び印刷幅方向Yに案内する。
【0090】
移動装置支持軸615は、印刷幅方向Yに延びている。移動装置606の台座部608を印刷幅方向Yに摺動可能に下方から支持している。移動装置支持軸615には、永久磁石が組み込まれている。台座部608のコイルは、移動装置支持軸615を外周側から囲むように位置している。そして、台座部608のコイルに流れる電流を制御することによって、台座部608を印刷幅方向Yの任意の位置に移動させることができる。移動装置支持軸615の印刷幅方向一端部(図11中右側の端部)には、連結部615aが設けられている。この連結部615aにもコイルが内蔵されている。
【0091】
支持軸案内軸616は、印刷方向Xに延びている。支持軸案内軸616には、移動装置支持軸615の連結部615aが印刷方向Xに沿う方向に摺動可能に連結されている。支持軸案内軸616にも永久磁石が組み込まれている。連結部615aのコイルは、支持軸案内軸616を外周側から囲むように位置している。そして、連結部615aのコイルに流れる電流を制御することによって、移動装置支持軸615を印刷方向Xに沿う方向の任意の位置に移動させることができる。
【0092】
ヘッド位置特定部602は、カメラ609によって撮影された画像に基づいて、インクジェットヘッド105の現在の位置を特定する。位置の特定は、例えば、インクジェットヘッド105の外形の認識やインクジェットヘッド105に予め付されたマークの認識により行う。ヘッド位置特定部602の機能は、パーソナルコンピューター等のCPU(Central Processing Unit)等によって実現される。なお、移動装置支持軸615は、複数のインクジェットヘッド105が配置される領域の印刷幅方向Yの長さよりも長い。また、支持軸案内軸616は、複数のインクジェットヘッド105が配置される領域の印刷方向Xの長さよりも長い。よって、カメラ609は、撮影対象の任意のノズル105aの下に移動することができる。なお、カメラ609は、台座部608の下面に、カメラ609の撮影方向を下方に向けた状態で配置されていてもよい。この場合、カメラ609は、着弾後のインクの位置を撮影することができる。また、この場合、ヘッド位置特定部602に代えて着弾位置算出部が設けられる。
【0093】
位置調整機構制御部603は、各インクジェットヘッド105に対し、以下のような位置の調整動作を行う。
【0094】
まず、保持プレート605に吸着パッド604を介して調整対象のインクジェットヘッド105が取り付けられた状態で、位置調整機構制御部603は、移動装置606をインクジェットヘッド105の下方に移動させる。移動装置606の移動は、台座部608及び連結部615aのコイルに流れる電流の制御により行える。
【0095】
次いで、位置調整機構制御部603は、ヘッド位置特定部602によって特定された現在の位置に基づいて、移動装置606のチャック611が調整対象のインクジェットヘッド105の真下に位置するように移動装置606を移動させる。
【0096】
そして、位置調整機構制御部603は、移動装置606のチャック611を調整対象のインクジェットヘッド105の真下に配置した状態で、チャック軸昇降装置613の制御により、チャック軸610を上方に移動させ、チャック駆動装置614の制御により、チャック611にインクジェットヘッド105を挟み込んで保持させる。
【0097】
そして、この状態で、位置調整機構制御部603は、吸着パッド604の吸着面と保持プレート605との間に負圧を発生させるのを停止する(吸着パッド604に吸着をOFFにする)ことにより、吸着パッド604を保持プレート605から離脱させる。そして、位置調整機構制御部603は、チャック軸昇降装置613の制御により、チャック軸610を降下させる。
【0098】
その後、位置調整機構制御部603は、インクジェットヘッド105が印刷幅方向Yの所望の位置に位置するように移動装置606を所望の位置に移動させるとともに、インクジェットヘッド105の角度θが所望の角度となるように、チャック軸回動装置612の制御により、チャック軸610を回転させる。これにより、インクジェットヘッド105がチャック軸610周りにチャック611に保持された状態で回動する。そして、位置調整機構制御部603は、チャック軸昇降装置613の制御により、チャック軸610を上方に移動させ、吸着パッド604の吸着面を保持プレート605に接触させる。そして、吸着パッド604の吸着面と保持プレート605との間に負圧を発生させる(吸着パッド604の吸着をONにする)ことにより、吸着パッド604を保持プレート605に取り付ける。これにより、インクジェットヘッド105を保持プレート605に固定する。
【0099】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0100】
したがって、本実施形態6によると、インクジェットヘッド105に実施形態1の回転機構110及びシフト機構111を取り付けなくてよいので、インクジェットヘッド105を上方から支持する支持体への負荷を低減できる。
【0101】
(実施形態6の変形例)
なお、上記実施形態4において、位置調整機構106に代えて、実施形態6の位置調整機構601を設け、(S4002)及び(S4004)におけるインクジェットヘッド105の移動を、位置調整機構601によって行うようにしてもよい。
【0102】
また、上記実施形態5において、位置調整機構106に代えて、実施形態6の位置調整機構601を設け、(S4002)とノズル位置の補正工程とにおけるインクジェットヘッド105の移動を、位置調整機構601によって行うようにしてもよい。
【0103】
また、上記実施形態6では、着脱装置として吸着パッド604を用いたが、磁力に応じて着脱する着脱装置を用いてもよい。また、印刷時に吸着パッド604が負圧の発生による吸着に加え、機械的な固定方法により保持プレート605に固定されるようにしてもよい。これにより、インクジェットヘッド105の印刷時の位置ずれを防止できる。
【0104】
(その他の変形例)
上記実施形態1~6及び変形例では、インクジェット装置100にインクジェットヘッド105を4つ設けたが、4つ以外の複数個設けてもよい。
【0105】
上記実施形態1~6及び変形例では、インクジェットヘッド105を細長形状とし、ノズル105aをインクジェットヘッド105の長手方向に互いに間隔を空けて直線状に配設した。しかし、インクジェットヘッド105を他の形状とし、ノズル105aを所定の配設方向に互いに間隔を空けて直線状に配設してもよい。
【0106】
上記実施形態1~6及び変形例では、位置調整機構106,301,601を、設けたすべてのインクジェットヘッド105を印刷幅方向にシフトできるように構成したが、一部のインクジェットヘッド105だけを印刷幅方向にシフトできるように構成してもよい。
【0107】
また、上記実施形態1~6及び変形例において、位置調整機構106,301,601に代えて、インクジェットヘッド105を回転させる回転動作、及び複数のインクジェットヘッド105のうちの少なくとも1つを印刷幅方向にシフトさせるシフト動作のうちのいずれか一方の動作だけを行う位置調整機構を設けてもよい。
【0108】
また、上記実施形態1~6及び変形例では、印刷動作中、インクジェットヘッド105を固定した状態でディスプレイパネル103を移動させたが、本発明は、印刷対象を固定した状態でインクジェットヘッド105を移動させるインクジェット装置にも適用できる。
【0109】
また、上記実施形態1~6及び変形例では、本発明を、ディスプレイパネル103の印刷に適用したが、本発明は、ディスプレイパネル103以外の部材を印刷対象とする産業用のインクジェット装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明に係るインクジェット装置は、インクジェットヘッドを長くしなくても、大型の印刷対象に生じる印刷ムラを低減できるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用性は高い。
【符号の説明】
【0111】
100 インクジェット装置
101 印刷装置
102 印刷ステージ
103 ディスプレイパネル(印刷対象)
103a バンク
103b 発色領域
104 インク
105 インクジェットヘッド
105a ノズル
106 位置調整機構
107 可動子位置検知装置
108 位置調整機構制御部
109 回転軸
110 回転機構
111 モータ
113 動力伝動機構
114 シャフト
115 可動子
116 リニアスケール
117 読取ヘッド
200 インクジェット装置
201 連結フレーム(連結部)
300 インクジェット装置
301 位置調整機構
302 印刷方向可動子
302a アール
303 印刷幅方向可動子
304 可動子連動レール(連動機構)
305 印刷幅方向レール
306a~306d 第1~第4の印刷方向案内レール
307 印刷幅方向案内レール
308 動力源
309 動力伝達機構
310 回転軸
311 ベアリング
312 位置調整機構制御部
400 インクジェット装置
401 ノズル位置検知装置
402 位置調整機構制御部
403 カメラ
404 カメラ支持軸
405 支持軸案内軸
405a 連結部
406 ノズル位置算出部
500 インクジェット装置
501 着弾位置検知装置
502 位置調整機構制御部
503 カメラ
504 カメラ案内軸
505 着弾位置算出部
506 試験用ディスプレイパネル
600 インクジェット装置
601 位置調整機構
602 ヘッド位置特定部
603 位置調整機構制御部
604 吸着パッド(着脱装置)
605 保持プレート(保持部材)
605a 平面
605b 貫通孔
606 移動装置
607 案内機構
608 台座部
609 カメラ
610 チャック軸
611 チャック
612 チャック軸回動装置
613 チャック軸昇降装置
614 チャック駆動装置
615 移動装置支持軸
615a 連結部
616 支持軸案内軸
617 落下防止ワイヤー
618 符号
618 ユーティリティケーブル
1051 第1のインクジェットヘッド
1052 第2のインクジェットヘッド
1053 第3のインクジェットヘッド
1054 第4のインクジェットヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14