(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】収穫装置
(51)【国際特許分類】
A01D 45/28 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A01D45/28
(21)【出願番号】P 2020127310
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 政樹
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 大地
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-162118(JP,A)
【文献】特開2010-259398(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110178533(CN,A)
【文献】特開2002-191216(JP,A)
【文献】特開2019-122279(JP,A)
【文献】特開2004-135635(JP,A)
【文献】特開昭60-149312(JP,A)
【文献】特開2020-048548(JP,A)
【文献】特開2004-344088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0320584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 45/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫物が栽培された栽培トレイから前記収穫物の被収穫部を収穫する収穫装置であって、
前記収穫物の一部を切断する切断部と、
前記栽培トレイを前記切断部に向かって搬送するトレイ搬送路を備え、
前記トレイ搬送路が水平面に対して
40度以上90度
未満となる収穫姿勢をとる
ものであり、
前記収穫物を収穫する際には、前記切断部によって前記収穫物の一部を切断した後に、自重により前記トレイ搬送路から前記栽培トレイを落下させる、収穫装置。
【請求項2】
前記収穫姿勢において、前記トレイ搬送路が前記水平面に対して40度以上80度以下の角度で傾斜している、請求項1に記載の収穫装置。
【請求項3】
前記トレイ搬送路上の前記栽培トレイを搬送させるトレイ搬送部を有し、
前記トレイ搬送部は、一対の搬送ローラを有し、前記一対の搬送ローラで前記栽培トレイを挟んで移動させる、請求項1又は2に記載の収穫装置。
【請求項4】
前記トレイ搬送路と前記切断部を有する収穫部と、前記収穫姿勢において前記収穫部を傾倒した姿勢で支持する支持部を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項5】
前記収穫姿勢から収納姿勢に変更可能であり、
平面視したときに、前記収納姿勢における外郭面積は、前記収穫姿勢における外郭面積よりも小さい、請求項1~4のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項6】
前記トレイ搬送路と前記切断部を有する収穫部と、前記収穫姿勢において前記収穫部を傾倒した姿勢で支持する支持部を有し、
前記収納姿勢では、前記収穫部内に前記支持部の大部分が収納される、請求項5に記載の収穫装置。
【請求項7】
前記収穫姿勢において設置面と接触するキャスターを有し、
前記キャスターによって前記設置面から移動可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項8】
保護カバーを有し、
前記保護カバーは、前記切断部から離反し前記切断部を外部に開放する開放状態と、前記切断部に近接し前記切断部を覆う被覆状態との間で切替可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項9】
収穫トレイを前記切断部の下方側に固定可能な収穫用固定部を備えており、
前記被収穫部は、収穫時において、前記切断部によって前記収穫物から切り離されて前記収穫用固定部に固定された前記収穫トレイ内に落下する、請求項1~8のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項10】
前記収穫物から切り離された前記被収穫部を前記収穫用固定部に固定された前記収穫トレイ内に導く誘導部材を備える、請求項9に記載の収穫装置。
【請求項11】
前記切断部は、第1刃部と、第2刃部を有し、前記第2刃部に対して前記第1刃部が相対的に移動することによって前記収穫物の一部を切断するものであり、
前記第1刃部の移動速度は、前記トレイ搬送路における搬送速度よりも速い、請求項1~10のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項12】
前記トレイ搬送路上の前記栽培トレイを検知するセンサー部を有し、
前記切断部は、第1刃部と、第2刃部を有し、前記第2刃部に対して前記第1刃部が相対的に移動することによって前記収穫物の一部を切断するものであり、
前記センサー部が前記栽培トレイを検知しない場合に、前記第1刃部の相対移動を停止する、請求項1~11のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項13】
前記切断部は、第1刃部と、第2刃部と、駆動源を有し、
前記駆動源は、軸部を有するモータと、第1偏心カムを有し、
前記第1偏心カムは、前記軸部に取り付けられており、
前記切断部は、前記モータが駆動すると、前記第1偏心カムが回転し前記第1刃部と前記第2刃部が相対的に近接及び離反を繰り返して前記収穫物の一部を切断する、請求項1~12のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項14】
前記駆動源は、第2偏心カムを有し、
前記第2偏心カムは、前記軸部に取り付けられており、
前記切断部は、前記モータが駆動すると、前記第1偏心カム及び前記第2偏心カムが回転し前記第1刃部と前記第2刃部が相対的に近接及び離反を繰り返して前記収穫物の一部を切断する、請求項13に記載の収穫装置。
【請求項15】
前記切断部の下方側に収穫コンベヤを備えており、
前記被収穫部は、収穫時において、前記切断部によって前記収穫物から切り離されて前記収穫コンベヤ上に落下する、請求項1~14のいずれか1項に記載の収穫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーリーフ等の葉野菜や椎茸等のキノコ類などの収穫物から被収穫部を収穫する収穫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベビーリーフ等の葉野菜を水耕栽培で栽培する水耕栽培装置が知られている。
水耕栽培で栽培された葉野菜から葉を収穫する際には、従来から人の目や感覚により、一つずつ手作業で葉野菜の葉を切断して収穫していた。そのため、収穫に時間がかかる上に、収穫量が多くなると、多くの人手が必要となり、収穫の効率も悪いという問題がある。
【0003】
そこで、近年では、葉野菜の葉を自動で収穫する収穫装置を備えた水耕栽培システムが提案されている(特許文献1)。
特許文献1の水耕栽培システムの収穫装置は、葉野菜が栽培された栽培トレイを移送する栽培トレイ移送コンベヤと、栽培トレイ移送コンベヤの途中の上方に設けられる刈刃と、刈刃で刈られた葉を移送する被収穫物移送コンベヤで構成されている。
そして、葉野菜を収穫する際には、栽培トレイを栽培トレイ移送コンベヤに載置し、栽培トレイの移送に伴って刈刃を当接させて葉を刈り取り、葉を被収穫物移送コンベヤ上へ送風機によって吹き飛ばし、葉を被収穫物移送コンベヤで移送して収容箱内に投入する。こうすることで、特許文献1では、手作業によらず、自動で葉野菜の葉を収穫することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の水耕栽培システムは、収穫装置だけで栽培トレイ移送コンベヤと被収穫物移送コンベヤの少なくとも2区間のコンベヤが設置できる程度の大きなスペースが必要となり、設置環境に大きな制約があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来に比べて、省スペース化が可能な収穫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、収穫物が栽培された栽培トレイから前記収穫物の被収穫部を収穫する収穫装置であって、前記収穫物の一部を切断する切断部と、前記栽培トレイを前記切断部に向かって搬送するトレイ搬送路を備え、前記トレイ搬送路が水平面に対して前記被収穫部の摩擦角以上90度以下となる収穫姿勢をとる、収穫装置である。
【0008】
ここでいう「摩擦角」とは、物体をのせた斜面の傾きを次第に大きくしていって、物体が滑り始める角度をいう。すなわち、「被収穫部の摩擦角」とは、トレイ搬送路を被収穫部が滑り始める角度をいう。
【0009】
本様相によれば、収穫姿勢において、水平面に対してトレイ搬送路が傾斜又は直交しているため、従来に比べて設置面への設置面積を小さくでき、省スペース化が可能である。
本様相によれば、収穫姿勢においてトレイ搬送路が水平面に対して摩擦角以上の角度となっているため、切断部によって切断された被収穫部や収穫物の残滓物が自重により落下し、被収穫部や収穫物の残滓物がその後の切断部での妨げになりにくい。
なお、「収穫物の残滓物」とは、切断部で切断される際等に収穫物から落下した収穫に不要な残りかすをいう。
【0010】
好ましい様相は、前記収穫姿勢において、前記トレイ搬送路が前記水平面に対して40度以上80度以下の角度で傾斜していることである。
【0011】
本様相によれば、栽培トレイを設置しやすく、被収穫部や収穫物の残滓物を自重によりトレイ搬送路から下方側に滑り落とすことができる。
【0012】
好ましい様相は、前記トレイ搬送路上の前記栽培トレイを搬送させるトレイ搬送部を有し、前記トレイ搬送部は、一対の搬送ローラを有し、前記一対の搬送ローラで前記栽培トレイを挟んで移動させることである。
【0013】
本様相によれば、栽培トレイをトレイ搬送路に沿って移動させやすい。
【0014】
好ましい様相は、前記トレイ搬送路と前記切断部を有する収穫部と、前記収穫姿勢において前記収穫部を傾倒した姿勢で支持する支持部を備えることである。
【0015】
本様相によれば、安定して収穫姿勢を維持できる。
【0016】
好ましい様相は、前記収穫姿勢から収納姿勢に変更可能であり、平面視したときに、前記収納姿勢における外郭面積は、前記収穫姿勢における外郭面積よりも小さいことである。
【0017】
ここでいう「外郭面積」とは、外側の輪郭の面積をいう。
【0018】
本様相によれば、収納姿勢に変更することで、収穫姿勢よりもコンパクトになり、収納しやすい。
【0019】
より好ましい様相は、前記トレイ搬送路と前記切断部を有する収穫部と、前記収穫姿勢において前記収穫部を傾倒した姿勢で支持する支持部を有し、前記収納姿勢では、前記収穫部内に前記支持部の大部分が収納されることである。
【0020】
ここでいう「大部分」とは、全体の50%超過の部分をいう。
【0021】
本様相によれば、支持部が収穫部内に収納されるため、より外郭面積を小さくできる。
【0022】
より好ましい様相は、前記収穫姿勢において設置面と接触するキャスターを有し、前記キャスターによって前記設置面から移動可能であることである。
【0023】
ここでいう「設置面」とは、収穫装置を設置対象となる面をいい、地面や建物の床面などを含む。
【0024】
本様相によれば、キャスターが設けられているため、収穫姿勢のまま設置面から所望の場所に容易に移動させることができる。
【0025】
好ましい様相は、保護カバーを有し、前記保護カバーは、前記切断部から離反し前記切断部を外部に開放する開放状態と、前記切断部に近接し前記切断部を覆う被覆状態との間で切替可能であることである。
【0026】
本様相によれば、収穫時に開放状態にすることで切断部において収穫物の一部を切断しやすくなり、非収穫時に被覆状態にすることで切断部に使用者が触れにくくなる。そのため、作業性が良好で安全性が高い。
【0027】
好ましい様相は、収穫トレイを前記切断部の下方側に固定可能な収穫用固定部を備えており、前記被収穫部は、収穫時において、前記切断部によって前記収穫物から切り離されて前記収穫用固定部に固定された前記収穫トレイ内に落下することである。
【0028】
本様相によれば、被収穫部が自重で自然に落下して収穫トレイ内に収まるので、作業性が高い。
【0029】
より好ましい様相は、前記収穫物から切り離された前記被収穫部を前記収穫用固定部に固定された前記収穫トレイ内に導く誘導部材を備えることである。
【0030】
本様相によれば、より正確に被収穫部が収穫トレイ内に落下しやすい。
【0031】
好ましい様相は、前記切断部は、第1刃部と、第2刃部を有し、前記第2刃部に対して前記第1刃部が相対的に移動することによって前記収穫物の一部を切断するものであり、前記第1刃部の移動速度は、前記トレイ搬送路における搬送速度よりも速いことである。
【0032】
本様相によれば、収穫物の一部をスムーズに切断できる。
【0033】
好ましい様相は、前記トレイ搬送路上の前記栽培トレイを検知するセンサー部を有し、前記切断部は、第1刃部と、第2刃部を有し、前記第2刃部に対して前記第1刃部が相対的に移動することによって前記収穫物の一部を切断するものであり、前記センサー部が前記栽培トレイを検知しない場合に、前記第1刃部の相対移動を停止することである。
【0034】
本様相によれば、センサー部が栽培トレイを検知しない場合に、第1刃部が停止するので、安全性が高い。
【0035】
好ましい様相は、前記切断部は、第1刃部と、第2刃部と、駆動源を有し、前記駆動源は、軸部を有するモータと、第1偏心カムを有し、前記第1偏心カムは、前記軸部に取り付けられており、前記切断部は、前記モータが駆動すると、前記第1偏心カムが回転し前記第1刃部と前記第2刃部が相対的に近接及び離反を繰り返して前記収穫物の一部を切断することである。
【0036】
本様相によれば、一つの駆動源によって第1刃部と第2刃部が動作して収穫物の一部を刈り取るため、第1刃部と第2刃部のそれぞれに独立した駆動源を設ける必要がなく、よりコンパクト化が可能である。
【0037】
より好ましい様相は、前記駆動源は、第2偏心カムを有し、前記第2偏心カムは、前記軸部に取り付けられており、前記切断部は、前記モータが駆動すると、前記第1偏心カム及び前記第2偏心カムが回転し前記第1刃部と前記第2刃部が相対的に近接及び離反を繰り返して前記収穫物の一部を切断することである。
【0038】
本様相によれば、より収穫物の切断が容易となる。
【0039】
好ましい様相は、前記切断部の下方側に収穫コンベヤを備えており、前記被収穫部は、収穫時において、前記切断部によって前記収穫物から切り離されて前記収穫コンベヤ上に落下することである。
【0040】
本様相によれば、連続的に被収穫部を収穫できる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の収穫装置によれば、従来に比べて省スペース化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の第1実施形態の収穫姿勢における収穫装置の斜視図である。
【
図2】
図1の収納姿勢における収穫装置の斜視図である。
【
図4】
図1の収穫装置の各姿勢の説明図であり、(a)は収穫姿勢の側面図であり、(b)は収納姿勢の側面図である。
【
図5】
図2の収穫装置の収穫部を正面からみた図である。
【
図7】
図3の収穫部を別の方向からみた斜視図である。
【
図9】
図3の切断部の動作の説明図であり、(a)は第1刃部と第2刃部が近接した状態の平面図であり、(b)は第1刃部と第2刃部が離反した状態の平面図である。
【
図13】
図1の収穫装置で植物から被収穫部を収穫する際の説明図であり、(a)は植物を切断する前の正面図であり、(b)は植物を切断する途中の正面図であり、(c)は植物を切断した後の正面図である。
【
図14】
図1の収穫装置で植物から被収穫部を収穫する際の説明図であり、(a)は被収穫部が植物から切り離されるときの断面図であり、(b)は被収穫部が収穫トレイに落下する際の断面図である。
【
図15】
図1の収穫装置の要部の説明図であり、(a)は収穫姿勢の斜視図であり、(b)は収納姿勢の斜視図である。
【
図16】
図1の収穫装置の要部の説明図であり、(a)は保護カバーを開放状態としたときの斜視図であり、(b)は保護カバーを被覆状態としたときの斜視図である。
【
図17】本発明の他の実施形態の収穫姿勢における収穫装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態の収穫装置1について説明する。
【0044】
本発明の第1実施形態の収穫装置1は、
図1のように、地面や床面等の設置面202(水平面)に設置され、植物200(収穫物)が栽培された栽培トレイ100から被収穫部201を収穫する植物収穫装置である。
具体的には、収穫装置1は、トレイ搬送路17上の栽培トレイ100を切断部12に向かって搬送し、切断部12によって栽培トレイ100から植物200の一部を切断する。そして、収穫装置1は、切断された被収穫部201を自重により収穫トレイ101に入れて収穫するものである。
特に本実施形態の収穫装置1は、植物200の中でも、ベビーリーフ等の葉野菜を収穫する際に好適に使用できるものである。
【0045】
収穫装置1は、
図3のように、収穫部2と、収穫部2を支持する支持部3と、収穫部2と支持部3の相対位置を固定するリンク部5を備えている。
収穫装置1は、
図1,
図4(a)のようにトレイ搬送路17が設置面202(水平面)に対して角度θ1となる収穫姿勢と、
図2,
図4(b)のようにトレイ搬送路17が収穫姿勢よりもさらに傾倒し、設置面202(水平面)に対して角度θ2となる収納姿勢に変更可能となっている。
角度θ1は、被収穫部201の摩擦角以上90度未満であり、40度以上80度以下であることが好ましく、70度以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、栽培トレイ100が設置しやすく、収穫トレイ101に被収穫部201や植物200の残滓物Rが設置面202側に流れて落下しやすい。
角度θ2は、角度θ1超過の角度であり、(角度θ1+10)度以上90度以下であることが好ましい。
この範囲であれば、平面視したときの収納姿勢における外郭面積を収穫姿勢における外郭面積よりもより小さくでき、収納しやすい。
本実施形態では、角度θ2は、90度、すなわち、トレイ搬送路17は設置面202(水平面)に対して直交している。
【0046】
収穫部2は、
図5,
図6のように、フレーム部材10と、トレイ搬送部11と、切断部12と、収穫用固定部13と、センサー部15と、保護カバー16を有し、栽培トレイ100を切断部12に向かって搬送するトレイ搬送路17を備えている。
【0047】
フレーム部材10は、
図6のように、縦フレーム20a,20bと、横フレーム21a,21bと、桟部材22a,22bを備えている。
縦フレーム20a,20bは、
図5のように、収穫部2を正面視したときに、縦方向Y(長さ方向)に延びるフレームであり、栽培トレイ100の横方向Xの移動を規制する部位である。
縦フレーム20a,20bは、誘導部23,24と、キャスター25a,25bを有している。
誘導部23,24は、保護カバー16を誘導する部位である。
誘導部23,24は、軸部を有した締結要素を備えており、トレイ搬送路17を基準として軸部が外側に向かって突出し、互いに反対方向を向いている。
キャスター25a,25bは、
図4のように、縦フレーム20a,20bの下端部に設けられ、設置面202上を自走する回転体である。
【0048】
横フレーム21a,21bは、
図5のように、収穫部2を正面視したときに、横方向X(幅方向)に延び、縦フレーム20a,20bの縦方向Yの端部間を接続するフレームである。
【0049】
桟部材22a,22bは、横フレーム21a,21bの中間部間を接続する接続部であり、縦フレーム20a,20bの間に配されている。
桟部材22a,22bは、収穫時において栽培トレイ100の底部が載置される載置部である。
桟部材22a,22bは、
図7のように、断面形状が「コ」字状の棒状体であり、載置板部26と、載置板部26の両端部から折れ曲がった側板部27,28を備えており、板部26~28によって囲繞された囲繞空間29が形成されている。
囲繞空間29は、桟部材22a,22bの延び方向に延びた空間であり、載置板部26とは反対側に向かって開放されている。
【0050】
トレイ搬送部11は、トレイ搬送路17上の栽培トレイ100を所定の搬送速度で切断部12に向かって搬送する部位である。
トレイ搬送部11は、
図5のように、駆動ローラ30と、上流側コロ31と、下流側コロ32a,32bを備えている。
【0051】
駆動ローラ30は、駆動部としてモータが接続又は内蔵され、所定の回転速度で回転可能なローラである。
本実施形態の駆動ローラ30は、
図6のように、ギヤードモータ35が接続されており、栽培トレイ100の搬送速度(栽培トレイ100の滑走速度)を調整可能となっている。
上流側コロ31及び下流側コロ32a,32bは、いずれも自由回転が可能な空転ローラである。
【0052】
切断部12は、
図8のように、第1刈取部40と、第2刈取部41と、駆動部42と、連結部43,44と、誘導部材45で構成されている。
第1刈取部40は、櫛歯状の部材であり、第1本体部50と、複数の第1刃部51と、第1規制孔52を備えている。
【0053】
第1本体部50は、所定の方向(横方向X)に延び、各第1刃部51を接続する板状部位である。
第1刃部51は、第1本体部50から第1本体部50の延び方向に対して交差する方向に延びた板状刃部である。
【0054】
第1規制孔52は、第1本体部50を厚み方向に貫通した貫通孔であり、第1連結部43の連結凸部62を挿入可能な挿入孔である。
第1規制孔52は、第1本体部50の延び方向に延びた長孔である。
【0055】
第2刈取部41は、
図8のように、第1刈取部40と対をなし、第1刈取部40ともに植物200の一部を刈り取る部位である。
第2刈取部41は、櫛歯状の部材であり、第2本体部55と、複数の第2刃部56と、第2規制孔57を備えている。
【0056】
第2本体部55は、所定の方向(横方向X)に延び、各第2刃部56を接続する部位である。
第2刃部56は、第2本体部55から第2本体部55の延び方向に対して交差する方向に延びた板状刃部である。
第2規制孔57は、第2本体部55を厚み方向に貫通した貫通孔であり、第1連結部43の連結凸部62を挿入可能な挿入孔である。
第2規制孔57は、第1規制孔52とともに第1刈取部40と第2刈取部41の移動方向を規制する孔であり、第2本体部55の延び方向に延びた長孔である。
【0057】
駆動部42は、刈取部40,41を摺動させる部位である。
駆動部42は、ギヤードモータ59(モータ)と偏心カム60,61(第1偏心カム、第2偏心カム)で構成されており、ギヤードモータ59の軸部に偏心カム60,61が接続されている。
駆動部42は、偏心カム60,61を介してギヤードモータ59の軸部の回転力を刈取部40,41に伝達可能となっている。すなわち、切断部12は、
図9のように、駆動部42のギヤードモータ59が駆動すると第1刈取部40及び第2刈取部41が連動して相対的に移動する。
【0058】
連結部43,44は、
図8のように、第1刈取部40と第2刈取部41を挟持し、連結させる連結部材である。
第1連結部43は、連結凸部62を備えている。
連結凸部62は、第1連結部43の片面から厚み方向に突出した凸部である。
第2連結部44は、連結凹部63を有している。
連結凹部63は、第2連結部44を厚み方向に貫通した貫通孔であり、連結凸部62を挿通可能となっている。
【0059】
誘導部材45は、刈取部40,41で刈り取られた被収穫部201を収穫トレイ101内に誘導する部材である。
誘導部材45は、
図8のように、接続板部66を介して段差をもって連続した第1板部64と第2板部65を備えており、第1板部64には、第1連結部43の連結凸部62を挿入可能な切り欠き部67が形成されている。
【0060】
収穫用固定部13は、収穫トレイ101を所定の姿勢で固定する部位であり、
図6のように、収穫トレイ101の底部を載置する載置部70と、収穫トレイ101の開口縁の一部と係合する爪部71を備えている。
載置部70は、断面形状が「L」字状の板状体であり、固定板部72と、載置板部73を備えている。
固定板部72は、縦フレーム20a,20bに跨って延びる板状部位である。
載置板部73は、固定板部72の下端部から折り曲げられた板状部位である。
爪部71は、載置板部73に対して縦方向Yに間隔を空けて設けられた略「L」字状の係合片である。
【0061】
センサー部15は、トレイ搬送路17上の栽培トレイ100の有無を検知するセンサーである。
本実施形態のセンサー部15は、
図5のように、光線照射部68と、光線受光部69を備えた光電センサーであり、光線受光部69で受光する光線の光量の変化によってトレイ搬送路17上の栽培トレイ100の存在の有無を検知可能となっている。
【0062】
保護カバー16は、収納時において切断部12を覆う透明カバーであり、
図10のように、本体壁部75と、側壁部76,77と、誘導凹溝78,79を備えている。
本体壁部75は、切断部12の延び方向(横方向X)に沿って延び、収納時において切断部12と対向して覆う部位である。
本体壁部75は、一部又は全部に透明部80を有しており、透明部80を透過して切断部12が視認可能となっている。
側壁部76,77は、本体壁部75の長手方向の端部から立設された壁部である。
【0063】
誘導凹溝78,79は、誘導部23,24の軸部と係合し、保護カバー16の移動方向を誘導する溝部であり、側壁部76,77の厚み方向に貫通した貫通溝である。
すなわち、保護カバー16は、
図16のように、誘導凹溝78,79によって誘導部23,24の軸部を相対的に誘導することで、切断部12から離反し切断部12を外部に開放する開放状態(
図16(a))と、切断部12に近接し切断部12を覆う被覆状態(
図16(b))との間で切替可能となっている。
【0064】
誘導凹溝78,79は、
図10のように、「コ」字状の溝であり、第1溝部81と、第2溝部82と、第3溝部83で構成されている。
第1溝部81は、保護カバー16の高さ方向成分をもって直線状に延びる溝部である。
第2溝部82は、第1溝部81の一方の端部(本体壁部75側の端部)から第1溝部81の延び方向に対する交差方向に延びる溝部である。
第2溝部82は、第1溝部81から搬送方向の下流側から上流側に向かって延びている。
第3溝部83は、第1溝部81の他方の端部(縦フレーム20a,20b側の端部)から第1溝部81の延び方向に対する交差方向に延びる溝部である。
本実施形態の第3溝部83は、第2溝部82と同方向に延びている。
【0065】
トレイ搬送路17は、収穫時において栽培トレイ100が通過する通路であり、フレーム部材10によって囲まれて形成されている。
【0066】
支持部3は、
図1,
図4(a)のように、収穫部2の傾倒を支持する部位であり、一対の脚部90a,90bを備えている。
脚部90a,90bは、所定の方向の延びた棒状部位であり、下端部にキャスター91a,91bが設けられている。
【0067】
リンク部5は、
図4(a)のように、収穫部2及び支持部3とともに四節リンク機構を構成する部位であり、第1板部95と、第2板部96を備えている。
第1板部95と第2板部96は、端部同士が回転可能に固定されている。
第1板部95と第2板部96は、それぞれ係止片を備えており、それぞれの係止片によって、それぞれの中心線のなす角度が0度以上180度以下に制限されている。
【0068】
栽培トレイ100は、
図11のように、長方形状のパネルであり、天壁部110と、底壁部111と、天壁部110と底壁部111を接続する側壁部112~115を備えている。
栽培トレイ100は、天壁部110に植物200の被収穫部201が露出する複数の穴116が設けられており、被収穫部201を含む植物200の一部が穴116から露出している。
【0069】
収穫トレイ101は、
図12のように、開口部120を介して内部空間121が開放された直方体状の箱状体であり、底面部122と、側面部123~126を備えている。
【0070】
続いて、本発明の第1実施形態の収穫装置1の収穫姿勢における各部材の位置関係について説明する。
【0071】
収穫部2は、
図4(a)のように、縦フレーム20a,20bの下端部に設けられたキャスター25a,25bが設置面202に接触し、設置面202に対して傾倒している。
支持部3は、脚部90a,90bの長手方向の上方側の端部が収穫部2の縦フレーム20a,20bの中間部に回転可能に固定されており、脚部90a,90bの下方側の端部に設けられたキャスター91a,91bが設置面202に接触している。
すなわち、縦フレーム20a,20b及び脚部90a,90bに設けられたキャスター25a,25b,91a,91bと設置面202が接触し、回転可能となっており、収穫姿勢において設置面202から移動可能となっている。
リンク部5は、第1板部95の端部(第2板部96とは反対側の端部)が収穫部2の中間部と回転可能に固定され、第2板部96の端部(第1板部95とは反対側の端部)が支持部3の中間部と回転可能に固定されている。
リンク部5は、第1板部95と第2板部96が直線状に並んでいる。
【0072】
駆動ローラ30と下流側コロ32a(一対の搬送ローラ)は、縦フレーム20aに間隔を空けて設けられ、外周面の一部がトレイ搬送路17に露出した状態で回転可能に支持されている。
上流側コロ31と下流側コロ32bは、
図5のように、縦フレーム20bに間隔を空けて設けられ、外周面の一部がトレイ搬送路17に露出した状態で回転可能に支持されている。
駆動ローラ30と上流側コロ31は、トレイ搬送路17を挟んで対向しており、下流側コロ32a,32bは、トレイ搬送路17を挟んで対向している。
駆動ローラ30の回転軸と上流側コロ31の回転軸は、同一方向を向いており、トレイ搬送路17での栽培トレイ100の搬送方向に対して直交する方向を向いている。
下流側コロ32a,32bの回転軸は、同一方向を向いており、トレイ搬送路17での栽培トレイ100の搬送方向に対して直交する方向を向いている。
【0073】
切断部12は、搬送方向において、駆動ローラ30と下流側コロ32a(上流側コロ31と下流側コロ32b)の間に配されている。
切断部12は、
図8のように、第1刈取部40と第2刈取部41が厚み方向に重なっており、第1規制孔52と第2規制孔57が連通し、連通孔を形成している。そして、その連通孔には、第1連結部43の連結凸部62が挿入されて第1刈取部40と第2刈取部41が一体となっている。
連結部43,44は、両端部が縦フレーム20a,20bに固定されている。
第1規制孔52の延び方向と第2規制孔57の延び方向は、一致しており、第1刈取部40と第2刈取部41は相対的に規制孔52,57の延び方向に移動可能となっている。
【0074】
収穫用固定部13は、切断部12よりも下方側に位置しており、切断部12よりも下方側で収穫トレイ101を保持可能となっている。
収穫用固定部13は、固定板部72が縦フレーム20a,20bに対して固定されており、載置板部73が固定板部72によって片持ち状に支持されて先端部が自由端となっている。
【0075】
センサー部15は、光線がトレイ搬送路17を横切るように設けられている。
本実施形態のセンサー部15は、
図5のように、光線照射部68が縦フレーム20aに設けられており、光線受光部69が縦フレーム20bに設けられている。
光線照射部68は、駆動ローラ30よりも上流側に設けられており、光線受光部69は、上流側コロ31よりも下流側であって切断部12と同一位置又は切断部12よりも上流側に設けられている。すなわち、光線照射部68から照射される光線は、トレイ搬送路17を横方向成分と縦方向成分をもって横切る。
【0076】
保護カバー16は、誘導凹溝78,79内に縦フレーム20a,20bの誘導部23,24の軸部が挿入されており、誘導凹溝78,79の第3溝部83の内壁が誘導部23,24の軸部と係合しており、保護カバー16の第1溝部81の延び方向への移動が係止されている。
【0077】
続いて、本発明の第1実施形態の収穫装置1の収穫する際の手順について説明する。
【0078】
まず、栽培トレイ100をトレイ搬送路17上に配置する。具体的には、栽培トレイ100を桟部材22a,22b上に載置し、駆動ローラ30と上流側コロ31aの間及び下流側コロ32a,32bの間に配する。
【0079】
このとき、栽培トレイ100に栽培された植物200は、切断部12よりも上流側に位置している。
またこのとき、栽培トレイ100は、センサー部15の光線照射部68から照射する光線を遮っており、光線受光部69は、光線を受光しない状態となっており、トレイ搬送路17上の栽培トレイ100の存在を検知している。
【0080】
また、別の工程にて収穫トレイ101を収穫用固定部13に固定する。具体的には、収穫トレイ101の底面部122を載置部70の載置板部73上に載置し、爪部71を側面部123の上端部に係合させる。
【0081】
このとき、収穫トレイ101の開口部120は、搬送方向において上方側を向いており、栽培トレイ100に栽培された植物200と切断部12を挟んで対向している。
【0082】
続いて、図示しない操作ボタンを押下すると、
図13(a)の矢印Aのように、トレイ搬送部11の駆動ローラ30が駆動して栽培トレイ100が下流側に搬送されるとともに、
図13(a)の矢印Bのように、切断部12の駆動部42が駆動して第1刈取部40と第2刈取部41が互い摺動し、第1刃部51の刃先と第2刃部56の刃先が厚み方向に重なり部分をもったまま近接及び離反を繰り返す。
【0083】
このとき、刈取部40,41の刃部51,56の移動速度(矢印Bの速度)は、トレイ搬送路17における栽培トレイ100の搬送速度(矢印Aの速度)よりも速いことが好ましい。
こうすることで、植物200から被収穫部201を収穫しやすい。
【0084】
続いて、
図13(b),
図13(c)のように、栽培トレイ100がトレイ搬送部11の駆動ローラ30の回転により搬送され、栽培トレイ100から露出した植物200の一部が刃部51,56の間に至ると、刈取部40,41の摺動により、植物200の一部が刃部51,56に挟まれて一部又は全部が切断され、
図14のように、誘導部材45に導かれて被収穫部201が収穫トレイ101に落下する。そして、栽培トレイ100はトレイ搬送部11の駆動ローラ30の回転によりさらに搬送され、下流側コロ32a,32bを超えると設置面202に自重により落下する。
【0085】
このとき、植物200は、
図14のように、被収穫部201が切り離されるのに伴って、植物200の葉等の残滓物Rが落下し、当該残滓物Rは、トレイ搬送路17に沿って収穫トレイ101側に滑り落ちる。
【0086】
そして、全ての植物200の切断が完了し、栽培トレイ100が光線照射位置を超えると、センサー部15の光線受光部69が光線照射部68から照射された光線を受光し、トレイ搬送路17上に栽培トレイ100が存在しないものとして、刈取部40,41の相対移動が停止される。
【0087】
続いて、収穫装置1を収納する際の推奨される手順について説明する。
【0088】
まず、
図16のように、開放状態の保護カバー16を切断部12に近接させ、保護カバー16の本体壁部75で切断部12の刈取部40,41を覆い、被覆状態にする。
【0089】
このとき、保護カバー16は、切断部12の刈取部40,41から離れた位置から誘導凹溝78,79に沿って移動し、誘導部23,24の軸部が誘導凹溝78,79の第3溝部83と係合し、本体壁部75が切断部12の刈取部40,41と対向して近接した位置となる。
【0090】
続いて、リンク部5の第1板部95と第2板部96を「く」字状に折り曲げながら、収穫部2に対して支持部3を相対的に回転移動させて、
図4(b)のように、収穫部2の縦フレーム20a,20bの間に脚部90a,90bが収まった収納姿勢にする。
【0091】
このとき、収納姿勢の外郭面積は、平面視したときに、トレイ搬送路17がより傾斜するので、収穫姿勢における外郭面積よりも小さくなる。
そして、脚部90a,90bは、
図15のように、桟部材22a,22bの囲繞空間29内に収納されている。
また、縦フレーム20a,20b及び脚部90a,90bに設けられたキャスター25a,25b,91a,91bは設置面202と接触し、回転可能となっており、収納姿勢において設置面202から移動可能となっている。
【0092】
本実施形態の収穫装置1によれば、収穫部2が設置面202に対して摩擦角以上の角度で斜めに傾いている。そのため、切断部12によって植物200から刈り取られた被収穫部201が自重で収穫トレイ101内に落下させることが可能である。
【0093】
本実施形態の収穫装置1によれば、栽培トレイ100で栽培された植物200から一度にまとめて被収穫部201を収穫できる。そのため、収穫時の作業時間の短縮に繋がり、作業の効率化及び人手の削減が可能である。
【0094】
本実施形態の収穫装置1によれば、駆動ローラ30がギヤードモータ35に接続されて回転する。そのため、ギヤードモータ35の軸部を逆方向に回転させることで栽培トレイ100を上流側に逆流させることができる。
【0095】
本実施形態の収穫装置1によれば、保護カバー16の本体壁部75の一部又は全部が透明であるため、本体壁部75を透過して切断部12の状況を視認でき、故障等の不具合を発見しやすい。
【0096】
本実施形態の収穫装置1によれば、刈取部40,41を摺動させる駆動部42のギヤードモータ59と、駆動ローラ30を回転させるギヤードモータ35が別体であるので、刈取部40,41の移動速度(摺動速度)と、駆動ローラ30による栽培トレイ100の搬送速度を個別に変更できる。そのため、植物200の品種等によって刈取部40,41の移動速度と栽培トレイ100の搬送速度を自由に変更できる。
【0097】
本実施形態の収穫装置1によれば、収穫姿勢において、縦フレーム20a,20b及び脚部90a,90bに設置面202と接触するキャスター25a,25b,91a,91bを備えているため、収穫姿勢のままで設置面202から所望の位置に移動可能である。
また本実施形態の収穫装置1によれば、収納姿勢において、縦フレーム20a,20b及び脚部90a,90bに設置面202と接触するキャスター25a,25b,91a,91bを備えているため、収納姿勢のままで設置面202から所望の位置に移動可能である。
【0098】
本実施形態の収穫装置1によれば、支持部3を収穫部2に対して折り畳み可能であり、収納姿勢において脚部90a,90bが桟部材22a,22bの囲繞空間29内に収納されて支持部3の大部分が収穫部2内に収納される。そのため、コンパクトに収納可能であり、未使用時に設置スペースを小さくすることができ、設置場所の制約が少ない。
【0099】
本実施形態の収穫装置1によれば、トレイ搬送路17上の栽培トレイ100が切断部12に向かって移動するので、切断部12の刈取部40,41が搬送方向に対する交差方向に繰り返し移動するだけで、植物200の一部を切断できる。
【0100】
本実施形態の収穫装置1によれば、トレイ搬送路17の傾斜と、トレイ搬送部11の駆動ローラ30と上流側コロ31と下流側コロ32a,32bと、によって栽培トレイ100を所定の速度で滑らせて切断部12に導く。そのため、特許文献1の栽培トレイ移送コンベヤのように搬送用のベルトを設ける必要がなく、コストを低減できる。
【0101】
本実施形態の収穫装置1によれば、センサー部15によってトレイ搬送路17上の栽培トレイ100を検知し、栽培トレイ100を検知しない状態では切断部12の刈取部40,41の相対移動を停止する。すなわち、栽培トレイ100を検知した状態にのみ、切断部12の刈取部40,41の相対移動を行うので、安全性が高い。
【0102】
本実施形態の収穫装置1によれば、駆動部42のギヤードモータ59が駆動し、ギヤードモータ59の軸部の回転に伴い、偏心カム60,61が回転し、第1刃部51と第2刃部56が相対的に近接及び離反を繰り返して植物200の一部を切断する。そのため、第1刃部51と第2刃部56を相対的に移動させる際に、第1刃部51と第2刃部56のそれぞれに独立した駆動源を設ける必要がなく、よりコンパクト化が可能である。
【0103】
上記した実施形態では、駆動部42は、偏心カム60,61を介してギヤードモータ59の軸部の回転力を本体部50,55に伝達していたが、本発明はこれに限定されるものではない。リンク機構を介してギヤードモータ59の軸部の回転力を本体部50,55に伝達してもよい。
【0104】
上記した実施形態では、駆動ローラ30と上流側コロ31と下流側コロ32a,32bの4つの回転体によって栽培トレイ100を搬送したが、本発明はこれに限定されるものではない。4つ以上の回転体によって栽培トレイ100を搬送してもよい。
また、上記した実施形態では、栽培トレイ100の搬送に使用されるローラであって動力源をもって自転するローラは、駆動ローラ30のみであったが、本発明はこれに限定されるものではない。複数のローラに動力源を持たせて自転可能としてもよい。
【0105】
上記した実施形態では、駆動ローラ30によって栽培トレイ100を搬送したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、タイミングベルト等によって栽培トレイ100を搬送してもよい。
【0106】
上記した実施形態では、収納時において、支持部3を収穫部2に対して折り畳んで収納していたが、本発明はこれに限定されるものではない。折り畳まずに収納してもよい。
【0107】
上記した実施形態では、収穫姿勢においてトレイ搬送路17が設置面202(水平面)に対して傾斜していたが、本発明はこれに限定されるものではない。収穫姿勢においてトレイ搬送路17が設置面202(水平面)に対して直交していてもよい。すなわち、トレイ搬送路17が設置面202に対して直立していてもよい。
【0108】
上記した実施形態では、切断部12の刈取部40,41が搬送方向に対する交差方向に繰り返し移動することで植物200の一部を切断していたが、本発明はこれに限定されるものではない。刈取部40,41を円形刃にして回転させることで植物200の一部を切断してもよい。
【0109】
上記した実施形態では、第1刈取部40と第2刈取部41の両方が摺動していたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1刈取部40と第2刈取部41のうち、一方の刈取部のみ摺動してもよい。例えば、第1刈取部40が移動し、第2刈取部41が不動となっていてもよい。
【0110】
上記した実施形態では、収穫トレイ101内に被収穫部201を落下させ、収穫トレイ101内に被収穫部201を収納して収穫したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図17のように、収穫トレイ101の代わりに切断部12の下方側に収穫コンベヤ150を設け、収穫コンベヤ150上に被収穫部201を落下させ、収穫コンベヤ150によって落下した被収穫部201を所望の場所に搬送してもよい。
こうすることで、連続的に被収穫部201を収穫できる。
【0111】
上記した実施形態では、植物200から被収穫部201を収穫する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。収穫装置1は、植物200以外の収穫物、例えば、茸等の菌類を収穫する場合に使用してもよい。収穫装置1は、特に椎茸等の傘部と柄部を持つ茸を収穫する場合に好適である。
【0112】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0113】
1 収穫装置
2 収穫部
3 支持部
11 トレイ搬送部
12 切断部
13 収穫用固定部
15 センサー部
16 保護カバー
17 トレイ搬送路
25a,25b,91a,91b キャスター
30 駆動ローラ(一対の搬送ローラ)
31 上流側コロ(一対の搬送ローラ)
42 駆動部
45 誘導部材
51 第1刃部
56 第2刃部
59 ギヤードモータ(モータ)
60,61 偏心カム(第1偏心カム、第2偏心カム)
100 栽培トレイ
101 収穫トレイ
200 植物(収穫物)
201 被収穫部
202 設置面(水平面)