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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】キャップ装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20240920BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D41/34 110
B65D47/12 200
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020156816
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022050728
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮野 優美子
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-260583(JP,A)
【文献】特開平11-147551(JP,A)
【文献】特開2018-020819(JP,A)
【文献】特開2020-138788(JP,A)
【文献】特開平11-130113(JP,A)
【文献】特開2017-039517(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03608250(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の上端の開口に被せられるキャップ装置であって、
前記容器の上端部に取り付けられる筒状の中栓と、この中栓の外周側にねじ合わされる蓋部材とを有し、
前記蓋部材は、その裾の部分に、タンパーエビデント部材が弱化部を介して一体に形成されており、
前記中栓の外周に、この中栓への蓋部材の閉蓋のためのねじ締め回転方向には緩斜面を呈するとともに、前記中栓からの蓋部材の開蓋のためのねじ緩め回転方向には前記緩斜面よりも角度のきつい急斜面を呈するラチェット凸部が形成され、
前記タンパーエビデント部材の内周に、前記蓋部材の閉蓋のためのねじ締め回転時には前記緩斜面に沿って前記蓋部材の径方向の外向きに弾性変形することで前記ラチェット凸部を通過可能であるとともに、前記蓋部材の開蓋のためのねじ緩め回転時には前記急斜面に当たるフラップ片が設けられており、
フラップ片は、タンパーエビデント部材に設けられた屈曲部と、屈曲部から径方向内向き且つ軸方向の上向きに突出する舌片部とを有し、
前記タンパーエビデント部材は、前記フラップ片が前記急斜面に当たった状態で前記蓋
部材が開蓋のためにねじ緩め回転されたときに、前記弱化部の破断により蓋部材から分離
されて落下されるように構成され、
前記中栓は、前記蓋部材から分離されて落下したタンパーエビデント部材を、ねじ締ま
り状態で前記中栓へ取り付けられた蓋部材の下端との間に隙間を形成した状態で受け止め
る受け止め部材を有し、
蓋部材から分離されたタンパーエビデント部材の落下を案内するための上方ほど拡径した逆テーパ状のガイド部が中栓の外周に形成されていることを特徴とするキャップ装置。
【請求項2】
中栓は、容器の上端部に外ばめされる下端嵌合部を有するとともに、この下端嵌合部よりも径方向に沿った外側に距離をおいて設けられた環状のカバー部材を有し、
前記カバー部材は、このカバー部材が下端嵌合部から離れるように径方向の外向きに変位させられたときに、破断または塑性変形するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のキャップ装置。
【請求項3】
中栓における下端嵌合部の下端よりも、カバー部材の下端の方が下側の位置となるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のキャップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャップ装置に関し、特に立てた状態で流動体を収容する瓶などに代表される容器の上端の開口に被せられるキャップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなキャップ装置として、特許文献1には、容器の上端部に取り付けられる筒状の中栓と、容器の外周側にねじ合わされる蓋部材とを有したものが記載されている。中栓は容器に固定され、容器に対して蓋部材が緩め方向または締まり方向に回転されることで、中栓と蓋部材との開閉が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-056623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような公知のキャップ装置を改良して、上述のように中栓と蓋部材とを有したキャップ装置が不正に開蓋されたこと、または不正に開蓋されようとしたことを明示することができるタンパーエビデンス機能を同キャップ装置に備えさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明の、容器の上端の開口に被せられるキャップ装置は、 前記容器の上端部に取り付けられる筒状の中栓と、この中栓の外周側にねじ合わされる蓋部材とを有し、
前記蓋部材は、その裾の部分に、タンパーエビデント部材が弱化部を介して一体に形成されており、
前記中栓の外周に、この中栓への蓋部材の閉蓋のためのねじ締め回転方向には緩斜面を呈するとともに、前記中栓からの蓋部材の開蓋のためのねじ緩め回転方向には前記緩斜面よりも角度のきつい急斜面を呈するラチェット凸部が形成され、
前記タンパーエビデント部材の内周に、前記蓋部材の閉蓋のためのねじ締め回転時には前記緩斜面に沿って前記蓋部材の径方向の外向きに弾性変形することで前記ラチェット凸部を通過可能であるとともに、前記蓋部材の開蓋のためのねじ緩め回転時には前記急斜面に当たるフラップ片が設けられており、
フラップ片は、タンパーエビデント部材に設けられた屈曲部と、屈曲部から径方向内向き且つ軸方向の上向きに突出する舌片部とを有し、
前記タンパーエビデント部材は、前記フラップ片が前記急斜面に当たった状態で前記蓋
部材が開蓋のためにねじ緩め回転されたときに、前記弱化部の破断により蓋部材から分離
されて落下されるように構成され、
前記中栓は、前記蓋部材から分離されて落下したタンパーエビデント部材を、ねじ締ま
り状態で前記中栓へ取り付けられた蓋部材の下端との間に隙間を形成した状態で受け止め
る受け止め部材を有し、
蓋部材から分離されたタンパーエビデント部材の落下を案内するための上方ほど拡径した逆テーパ状のガイド部が中栓の外周に形成されていることを特徴とする。
【0006】
このような構成であると、キャップ装置を容器の上端の開口に被せるときには、たとえば、まず中栓に蓋部材がねじ合わせによって取り付けられる。このときは、蓋部材はねじ締め回転を行うことになるが、その場合においては、フラップ片は緩斜面に案内されることによってラチェット凸部を通過し、それによって中栓への蓋部材の取付けが支障なく行われる。そして、このようにして互いに一体化された中栓と蓋部材とが、容器への打栓によって、流動体を収容した容器の上端の開口へ被せられる。
【0007】
容器に被せられたキャップ装置が不正に開蓋されようとすると、フラップ片が急斜面に当たることで弱化部の破断によりタンパーエビデント部材が蓋部材から分離されて落下し、タンパーエビデント部材は、中栓の受け止め部材によって受け止められる。
【0008】
このため、その後に蓋部材を中栓に対して再度締め直しても、落下して受け止め部材に受け止められたタンパーエビデント部材と蓋部材との間に隙間が形成されるために、上記した不正な開蓋が行われようとしたこと、または行われたことが、証拠として残る。なお、ユーザが蓋部材を適正に開いた場合にも、同様の状態となる。
【0010】
また、ガイド部によってタンパーエビデント部材が確実に所定の位置まで落下することができるため、不正な開蓋が行われようとしたこと、または行われたことの証拠となる、蓋部材とタンパーエビデント部材との間の隙間を確実に形成することができる。
【0011】
本発明のキャップ装置によれば、中栓は、容器の上端部に外ばめされる下端嵌合部を有するとともに、この下端嵌合部よりも径方向に沿った外側に距離をおいて設けられた環状のカバー部材を有し、
【0012】
前記カバー部材は、このカバー部材が下端嵌合部から離れるように径方向の外向きに変位させられたときに、破断または塑性変形するように構成されていることが好適である。
【0013】
このような構成であると、蓋部材のみならず、中栓をも含めたキャップ装置の全体を容器から外そうとする不正がある場合には、不正を行う者はカバー部材と中栓の下端嵌合部との間にドライバなどの工具を差し込んでキャップ装置をこじ開けようとするのが常であるが、そのときにカバー部材が破断または塑性変形することで、カバー部材はもはや元の姿勢に戻ることがなく、これによっても不正な開蓋が行われようとしたことの証拠が残ることになる。
【0014】
この場合において、本発明によれば、中栓における下端嵌合部の下端よりも、カバー部材の下端の方が下側の位置となるように構成されていることが好適である。
【0015】
このような構成であると、不正を行う者がドライバなどの工具を用いてキャップ装置をこじ開けようとする場合に、この工具を確実にカバー部材と中栓の下端嵌合部との間に案内することができ、カバー部材が邪魔をすることで、同工具が下端嵌合部と容器との間に入り込むことを防止でき、これによって不正な開蓋が行われることを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のキャップ装置によると、不正な開蓋が行われようとしたこと、または行われたことの証拠を、確実に残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態のキャップ装置が容器の上端部に取り付けられた状態を示す断面図である。
図2図1に示された中栓の正面視の立体図である。
図3】同中栓を斜め下から見上げた立体図である。
図4図1に示された蓋部材の立体図である。
図5】ラチェット凸部とフラップ片との協働関係を説明するための図である。
図6】中栓への蓋部材の装着工程時の状態を示すとともに、薄肉部の作用を示すための図である。
図7】タンパーエビデント部材の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、1は瓶などの容器であり、その内部に調味料などの流動体を収容することができ、立った状態で使用され、その上端に開口2が形成されている。開口2の部分の外周には先細り形状のテーパ面3が形成されている。テーパ面3よりも開口2の端部から離れた位置における容器1の外周には、外周溝4が形成されている。5は、開口2における容器1の上端面である。
【0019】
容器1の上端の開口2には、本発明の実施の形態のキャップ装置11が被せられている。キャップ装置11は、容器1の上端部すなわち開口2の部分に取り付けられる筒状の中栓12と、この中栓12の外周側にねじ合わされる蓋部材13とを有する。
【0020】
図1図3に示すように、中栓12は、合成樹脂により形成されて、容器1に対する下端嵌合部14を有する。この下端嵌合部14は、開口2における容器1の内周面に沿って配置される内周筒部15と、開口2における容器1の外周面に沿って配置される外周筒部16と、中栓12が容器1の上端の開口2の部分に取り付けられたとき容器1の上端面5に接する接触面17と、外周筒部16の下端の内周において径方向の内向きに形成された凸部18と、内周筒部15の下端の外周に形成された先細り形状のテーパ面19とを有する。中栓12を容器1に取り付けるときには、この中栓12を容器1の開口2の部分に被せるのであるが、そのときに外周筒部16は容器1のテーパ面3により弾性的に拡径された状態となる。またそのときに、内周筒部15は、テーパ面19が案内面となって、弾性的に縮径された状態で、開口2の内部に挿入され、容器1の中心軸の方向に位置決めされる。
【0021】
中栓12は、弾性変形した外周筒部16が容器1の開口2の外周面に接するとともに、弾性変形した内周筒部15が容器1の開口2の内周面に接することで、容器1の開口2に対してシール状態で装着される。また、そのときに外周筒部16の下端の凸部18が容器1の外周溝4にはまり込むことで、中栓12は、抜け止め作用を達成させた状態で容器1の開口2に取り付けられる。
【0022】
中栓12の上部には注出口20が形成されている。そして、この注出口20の外周には、蓋部材13とねじ合わせることができる外ねじ21が形成されている。注出口20の先端には、湾曲した縦断面構造を有する口縁22が形成されている。注出口20の内周には、筒状舌片23が、口縁22と連続する形態で形成されている。口縁22は、容器1からの流動体の流出を案内するためのものであり、注ぎ出しの終了時における液切り作用を呈するように構成されている。筒状舌片23は、下側程小径となるような窄まり形状で形成されている。筒状舌片23の下端には内周突起24が形成されている。中栓12において、外ねじ21よりも上側の部分には外周突起25が形成されている。
【0023】
図1および図4に示すように、蓋部材13は、中栓12と同様に合成樹脂により形成されて、外周側から内周側に向けて順に、第1の筒部31と、第2の筒部32と、第3の筒部33と、第4の筒部34とが、互いに同心状に、かつ下向きに突出するように形成されている。第1の筒部31は、蓋部材13の外周面を形成するためのものである。この第1の筒部31には、必要に応じて、図4に示すようにユーザの手指を掛けることができるローレット部35を形成することができる。第2の筒部32の内周には中栓12の外ねじ21とねじ合わせることができる内ねじ36が形成されている。第3の筒部33は、蓋部材13を中栓12に装着したときに中栓12の外周突起25に押されて径方向の外向きに弾性変形し、それによって外周突起25に対して押圧状態となるように構成されている。第4の筒部34は、蓋部材13を中栓12に装着したときに中栓12の筒状舌片23を径方向の外向きに押圧するように構成されている。
【0024】
図2および図3に詳しく示すように、中栓12の外周筒部16の外面における周方向に沿った複数の位置には、径方向の外向きに突出するラチェット凸部38がそれぞれ形成されている。各ラチェット凸部38は、中栓12への蓋部材13のねじ締め回転方向に緩斜面39を呈するとともに、中栓12からの蓋部材13のねじ緩め回転方向には、緩斜面39よりも角度のきつい急斜面40を呈するように構成されている。また図1図3に示すように、中栓12において、周方向に沿った隣り合うラチェット凸部38、38どうしの間には、ガイド部41が形成されている。このガイド部41は、上方ほど拡径した状態となる逆テーパ状に形成されている。ラチェット凸部38よりも上側の位置における中栓12の外周には、ラチェット凸部38よりも径方向の外側に突出するフランジ42が形成されている。
【0025】
図1および図4に詳しく示すように、蓋部材13における第1の筒部31の下端には、タンパーエビデント部材43が一体に設けられている。このタンパーエビデント部材43は、第1の筒部31と同様に筒状に形成されるとともに、薄肉に形成された弱化部48によって第1の筒部31に繋がった構成とされている。弱化部48は、蓋部材13を樹脂によって成形した後に切削加工を施すことによって、形成することができる。あるいは、蓋部材13を樹脂によって成形するときに、弱化部48を一緒に成形することもできる。
【0026】
タンパーエビデント部材43の内面には、複数のフラップ片44が、ラチェット凸部38と同様に周方向に沿った複数の位置にそれぞれ設けられている。詳細には、タンパーエビデント部材43の本体45の下部に連続して屈曲部46が設けられ、この屈曲部46から径方向の内向きかつ軸方向の上向きに突出する舌片部47が設けられて、フラップ片44を構成している。舌片部47は、主として屈曲部46が弾性変形することにより、屈曲部46を中心とした旋回方向に弾性変形することができるように構成されている。
【0027】
図1および図6に詳しく示すように、中栓12における下端嵌合部14の外周筒部16から径方向に沿った外側に距離をおいた位置には、環状のカバー部材50が設けられている。このカバー部材50は、同様に筒状に形成されるとともに、その上端の部分が、ブリッジ51によって外周筒部16に繋がっている。ブリッジ51は、カバー部材50の軸方向すなわち外周筒部16および中栓12の軸方向に薄く形成されるとともに、カバー部材50の径方向に沿って延びるように構成されている。図示のように、カバー部材50の下端52は、中栓12の下端嵌合部14の下端よりも、すなわち詳細には外周筒部16の下端58よりも、下側の位置となるように構成されている。
【0028】
図示の例では、カバー部材50の上端面と、ブリッジ51の上面と、外側筒部16の外周側の一部分により構成する上端面とで、面一の平面が環状に形成され、これによってタンパーエビデント部材43のための受け止め部材53が構成されている。図1に示すように、受け止め部材53は、蓋部材13が中栓12に完全にねじ合わされたときにおけるタンパーエビデント部材43の下端から距離をおいた位置に設けられている。
【0029】
キャップ装置11は、中栓12と蓋部材13とを外ねじ21および内ねじ36のねじ合わせによりあらかじめ一体化させておいたうえで容器1の上端の開口2に打栓により取り付けることが好適である。このため中栓12には、図1および図3に示すように、この中栓12に蓋部材13をねじ合わせるときに、適当な治具などにこの中栓12を保持させるための被保持部材54が設けられている。この被保持部材54は、注出口20の内側に設けられた突条によって構成されており、この突条は、注出口20の内周に沿った複数の位置において、注出口20の軸方向に延びるように形成されている。被保持部材54を構成する突条の下端部は、注出口20を構成する壁部の下端よりも下方に突出している。これによって、注出口20の内周に沿った凹凸が形成されるため、この凹凸を適当な治具と噛合わせることによって、中栓12を、特に周方向に回転しないように保持することができる。その結果、中栓12に対して蓋部材13を容易にねじ合わせることができる。
【0030】
図4に詳しく示すように、蓋部材13における内ねじ36が形成された第2の筒部32の下端には、周方向に沿った適当数の位置に、ロック爪55が形成されている。このロック爪55は、周方向に進むにつれて第2の筒部32の軸方向に沿った高さが徐々に大きくなるように形成されている。それによって、周方向に沿ったロック爪55の端面56が形成された構成となっている。図1に示すように、中栓12には、ロック爪55に対応したストッパ57が形成されている。このストッパ57は、蓋部材13が中栓12に対して適当位置までねじ合わされたときにロック爪55の端面56が当たることで、両者のねじ合わせが適切な位置で完了するように構成されている。
【0031】
図2および図3に示すように、カバー部材50は、容器1が使用済となったときにキャップ装置11をこの容器から取り外すための分別用解体化部材60としての機能を果たすように構成されている。すなわち、カバー部材50は、周方向に沿った1か所に切れ目61が形成され、この切れ目61に隣接してつまみ65が形成されている。容器1が使用済となったときには、つまみ65を容器1から離れる方向に引っ張ることによって、図1図6に示される薄肉状の弱化部66が破断して、カバー部材50と、外周筒部16における凸部18を備えた下側の部分とが中栓12の外周筒部16から径方向の外向きに離れた状態になる。これによって、中栓12を解体させて容器1から離脱させることができ、容器1と中栓12とを容易に分別することができる。カバー部材50には、周方向に沿った複数の位置に薄肉部62が形成されている。
【0032】
このような構成において、キャップ装置11を容器1に装着する際には、あらかじめ、中栓12と蓋部材13とを互いにねじ合わせて固定しておく。そのために、中栓12の被保持部材54を用いてこの中栓12を適当な治具などに保持させたうえで、蓋部材13の内ねじ36と中栓12の外ねじ21とを互いにねじ合わせる。そのときに、図6において仮想線で示すように、蓋部材13のタンパーエビデント部材43のフラップ片44は、中栓12のフランジ42の外周面よりも径方向の内向きに突出している。この状態で蓋部材13の内ねじ36と中栓12の外ねじ21とのねじ合わせ状態を進行させると、フラップ片44はフランジ42に当たり、それにより、図6において実線で示すように、屈曲部46のまわり旋回して径方向の外向きに弾性変形される。これによりフラップ片44はフランジ42の位置を通過することができる。通過後は、フラップ片44は、径方向の内向きに弾性的に復元する。それにより、図1に示すようにフラップ片44の先端部はフランジ42の外周面よりも径方向の内側に位置することになって、中栓12からのタンパーエビデント部材43の離脱が防止された状態となる。
【0033】
この状態から内ねじ36と外ねじ21とのねじ合わせ状態をさらに進行させると、蓋部材13のタンパーエビデント部材43のフラップ片44は、図5において実線で示すように、中栓12のラチェット凸部38の緩斜面39に当たり、この緩斜面39によって押されることで屈曲部46のまわり旋回して径方向の外向きに弾性変形される。これによりフラップ片44がラチェット凸部38を通過することができて、蓋部材13の内ねじ36と中栓12の外ねじ21とのねじ合わせ状態をいっそう進行させることができる。
【0034】
最後に、図1に示すように、蓋部材13に形成されたロック爪55の端面56が、中栓12に形成されたストッパ57に当たることで、内ねじ36と外ねじ21とのねじ合わせ工程が終了し、これら蓋部材13と中栓12とは互いにねじ締結により一体化された状態となる。
【0035】
このように蓋部材13と中栓12とが一体化された状態のキャップ装置11を、次に、内容物としての流動体が収容された容器1の開口2に打栓する。このとき、中栓12の内周筒部15と外周筒部16とが弾性変形し、外周筒部16の凸部18が容器1の外周溝4にはまり込むことで打栓が完了する。
【0036】
このとき、上述のように、また図1に示すように、第3の筒部33は中栓12の外周突起25に押されて径方向の外向きに弾性変形し、それによって外周突起25に対して押圧状態となる。また第4の筒部34は、中栓12の筒状舌片23を径方向の外向きに押圧する。この場合において、図示の構成のキャップ装置11が装着された容器1は、内容物を冷却する目的で、冷却水が噴霧されることがある。そのときに、第3の筒部33が外周突起25に対して押圧状態となっているため、冷却水が容器1の内部に入り込むことを確実に防止できる。また開蓋後の使用時において、蓋部材13を中栓12にねじ戻したときに、第4の筒部34が中栓12の筒状舌片23を径方向の外向きに押圧することで、蓋部材13と中栓12との間が確実にシールされる。
【0037】
容器1に装着されたキャップ装置11が不正に開蓋されようとするときには、蓋部材13が開蓋方向に回転されることになる。すると、図5において仮想線で示すように、タンパーエビデント部材43のフラップ片44はラチェット凸部38の急斜面40に当たる。それによって、タンパーエビデント部材43はもはや回転することができなくなる。にもかかわらず、さらに蓋部材13が開蓋方向に回転されると、弱化部48が破断する。これにより、タンパーエビデント部材43は蓋部材13から分離され、その後は蓋部材13は開蓋方向への回転が支障なく継続されることになる。
【0038】
蓋部材13から分離されたタンパーエビデント部材43は、重力の作用によって下方へ移動される。そのとき、中栓12のガイド部41によって、タンパーエビデント部材43の下方への移動が円滑になるように案内される。タンパーエビデント部材43は、最終的には受け止め部材53によって受け止められる。
【0039】
以上のようにすれば不正な開蓋を行おうとすること、または行うことが可能であるが、その結果、タンパーエビデント部材43が蓋部材13から分離して中栓12の周囲に残るので、これが不正な開蓋が試みられたこと、または不正な開蓋があったことの証拠となる。すなわち、その後に再び蓋部材13が元通り中栓12にねじ戻されたとしても、タンパーエビデント部材43は蓋部材13から切断分離された状態で受け止め部材53によって受け止められているため、それによって不正な開蓋があったことが示されることになる。しかも、受け止め部材53が設けられている位置との関係で、蓋部材13が元通り中栓12にねじ戻されたとしても、図7に示すように蓋部材13とタンパーエビデント部材43との間に隙間63が形成され、この隙間63の存在によって、不正な開蓋が試みられたこと、または不正な開蓋があったことが、明確に示されることになる。
【0040】
不正な開蓋は、蓋部材13が開蓋されること以外によっても生じ得る。すなわち、図6に示すようにドライバの先64などの工具をカバー部材50よりも内側に差し込み、カバー部材50を径方向の外向きに広げて、こじ開けようとすることで、不正な開蓋を試みることが考えられる。しかし、その場合には、図3に示すように薄肉部62が破断してしまったり、また破断には至らなくても薄肉部62が塑性変形してしまったりして、またはブリッジ51が破断あるいは塑性変形してしまったりして、結局開蓋を達成することは不可能である。しかも、上述のように各部に破断や塑性変形が生じるため、不正な開蓋が試みられたことが、それによって明確に示されることになる。
【0041】
これに代えて、不正な開蓋のために、ドライバの先64などの工具を中栓の外周筒部16と容器1との間にこじ入れようとすることも考えられる。しかし、その場合には、上記のように、また図6に示すように、カバー部材50の下端52が、中栓12の下端嵌合部14の外周筒部16の下端58よりも下側の位置となるように構成されているため、このカバー部材50が邪魔になって、ドライバの先64などの工具のこじ入れが困難である。これにより、不正な開蓋を防止することができる。
【0042】
以上のように本発明のキャップ装置によると、不正な開蓋が行われようとしたこと、または行われたことの証拠を、確実に残すことができる。また、上記のように不正な開蓋を防止することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 容器
2 開口
11 キャップ装置
12 中栓
13 蓋部材
38 ラチェット凸部
39 緩斜面
40 急斜面
43 タンパーエビデント部材
44 フラップ片
48 弱化部
53 受け止め部材
63 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7