(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】台車搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 35/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B65G35/06 G
(21)【出願番号】P 2020177147
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520412578
【氏名又は名称】有限会社エスケイ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】久保 真一
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030898(JP,A)
【文献】実公昭61-045050(JP,Y1)
【文献】特開2012-158426(JP,A)
【文献】実開平03-035913(JP,U)
【文献】特開昭50-070122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 35/06
B65G 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車を搬送する台車搬送装置であって、
前記台車の側面を両側から挟んで送り出す一対の送出機構を備え、
前記各送出機構は、
前記台車の側面に当接する複数の当接構造体が取付けられた無端コンベヤと、
前記無端コンベヤを駆動し、前記複数の当接構造体を周回させることにより前記台車を前方に移動させる駆動部とを備えるものであり、
前記各当接構造体が、
前記台車の側面に当接する
ものであって、上下方向から視て、前記無端コンベヤの移動方向に直交する当接方向に沿って外向きに凸となるように曲面状に形成された先端面を有する当接部材と、
前記当接部材を
前記当接方向に沿って出入りさせることで前記台車の側面に向けて付勢する付勢手段と
、
前記当接部材を、前記当接方向に沿って真っすぐにスライド移動させるスライド機構と、を備え
、
前記曲面上の先端面により前記台車の側面を両側から挟んで送り出す台車搬送装置。
【請求項2】
前記付勢手段が前記無端コンベヤの移動方向に直交する当接方向に沿って伸縮可能なバネ部材であり、前記当接部材が、前記バネ部材が伸縮することで前記当接方向に沿って出入りできるように構成されている請求項1に記載の台車搬送装置。
【請求項3】
前記各送出機構が、前記台車の各側面のそれぞれに対して複数の前記当接構造体を同時に当接させるように構成されている請求項1又は2に記載の台車搬送装置。
【請求項4】
前記送出機構が、前記無端コンベヤに取り付けられた複数の前記当接構造体を下方から支持する支持機構をさらに備えている請求項1~3のいずれか一項に記載の台車搬送装置。
【請求項5】
前記支持機構は前記当接構造体を支持する上向きの支持面を備えており、
前記支持面が、前記当接構造体の下方において、その周回経路に沿って形成されている請求項4に記載の台車搬送装置。
【請求項6】
前記各送出機構が、前記無端コンベヤを上下方向に複数段備えている請求項1~5のいずれか一項に記載の台車搬送装置。
【請求項7】
前記送出機構が前記台車の搬送方向に沿って複数対並べて設けられている請求項1~6のいずれか一項に記載の台車搬送装置。
【請求項8】
前記複数対の送出機構のそれぞれの間における前記台車の有無を個別に検知する検知センサと、前記複数対の送出機構の動作を個別に制御する制御部とを更に備え、
前記制御部が、前記検知センサからの出力に基づいて前記複数対の送出機構を制御し、複数の前記台車を次々前方に移動させて詰めていく請求項7記載の台車搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車を搬送する台車搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流施設等では、梱包物が積まれた台車を所定の経路に沿って自動的に搬送する台車搬送装置が用いられている。例えば特許文献1には、台車の搬送経路の両側に壁を設け、この壁に、台車の側面に接触するようにした回転ローラを搬送方向に沿って複数取り付けた台車搬送装置が記載されている。この台車搬送装置では、複数の回転ローラのそれぞれに1つの駆動モータが設けられており、各駆動モータにより回転ローラを回転させることで、台車を前方に送り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような従来の台車搬送装置は、複数の回転ローラのそれぞれに対してモータを設けており、装置全体として必要なモータの数が多くなるため、コストが嵩み、またメンテンナスに手間がかかるという問題が生じる。回転ローラの数を減らすことにより必要なモータの数を減らすことも考えられるが、その場合、台車の側面に接する回転ローラの数が少なくなり、台車をしっかりと搬送することができなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は前記した問題に鑑みてなされたものであり、少ない数のモータで台車をしっかりと搬送できる台車搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る台車搬送装置は、台車を搬送するものであって、前記台車の側面を両側から挟んで送り出す一対の送出機構を備え、前記各送出機構は、前記台車の側面に当接する複数の当接構造体が取付けられた無端コンベヤと、前記無端コンベヤを駆動し、前記複数の当接構造体を周回させることにより前記台車を前方に移動させる駆動部とを備えるものであり、前記各当接構造体が、前記台車の側面に当接する当接部材と、前記当接部材を前記台車の側面に向けて付勢する付勢手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、駆動部である例えばモータにより無端コンベヤを駆動させることで、複数の当接構造体を周回させて台車を前方に移動させることができるので、各当接構造体に対してモータを設ける従来のものに比べて、少ない数のモータで台車を搬送することができる。しかも、各当接構造体は台車の側面に当接する当接部材が、例えばバネ部材等の付勢手段により付勢されているので、台車の側面を両側からしっかり挟んで、前方に送り出すことができる。
【0008】
前記台車搬送装置の具体的構成として、前記付勢手段が前記無端コンベヤの移動方向に直交する当接方向に沿って伸縮可能なバネ部材であり、前記当接部材が、前記バネ部材が伸縮することで前記当接方向に沿って出入りできるように構成されたものが挙げられる。
【0009】
なお、台車の側面とは、台車が真っすぐ前進する状態において左右の方向を向く任意の面を意味する。また台車は、梱包物等の荷物が載せられる台と車輪とを備えるものであれば、どのような種類のものであってもよい。
【0010】
台車の側面をしっかりと保持して力強く前方に送り出すには、各送出機構は、前記台車の各側面のそれぞれに対して、複数の前記当接構造体が同時に当接するように構成されていればよい。
【0011】
例えば無端コンベヤを、無端チェーンや無端ベルトにより構成し、これに、台車の側面に接するように横向きに当接構造体を取り付けると、その重みによって当接構造体が垂れ下がり、台車の側面にしっかりと押し当てることができない恐れがある。またチェーンやベルトが捻じれることで、コンベヤが周回移動できなくなる恐れがある。
そのため、前記送出機構は、前記無端コンベヤに取り付けられた複数の前記当接構造体を下方から支持する支持機構をさらに備えていることが好ましい。
このようにすれば、支持機構により当接構造体を下方から支持するので、当接構造体が垂れ下ることなく、これを台車の側面に対してしっかりと押し当てることができる。また、チェーンやベルトの捻じれを防ぎ、しっかり周回させることができる。
【0012】
この場合、前記支持機構は前記当接構造体を支持する上向きの支持面を備えており、前記支持面が、前記当接構造体の下方において、その周回経路に沿って形成されていることが好ましい。
このようにすれば、周回移動する当接構造体を下方から支え続けることができるので、当接構造体の垂れ下りをより一層抑制でき、台車の側面に対してよりしっかりと押し当てることができる。
【0013】
高さの異なる複数種類の台車に対応できるようにするには、前記各送出機構が、前記無端コンベヤを上下方向に複数段備えるようにすればよい。
【0014】
また前記台車搬送装置は、前記送出機構が前記台車の搬送方向に沿って複数対並べて設けられていることが好ましい。
このようにすれば、搬送経路に沿って台車を次々に前方に送り出すことができる。この場合、各送出機構の搬送経路に沿った方向における長さは、台車の長さと略同一、あるいはこれよりも若干大きめであることが好ましい。
【0015】
前記台車搬送装置の具体的態様としては、前記複数対の送出機構のそれぞれの間における前記台車の有無を個別に検知する検知センサと、前記複数対の送出機構の動作を個別に制御する制御部とを更に備え、前記制御部が、前記検知センサからの出力に基づいて前記複数対の送出機構を制御し、複数の前記台車を次々前方に移動させて詰めていくものが挙げられる。
このような構成であれば、作業者が搬送経路の入り口に台車をセットすることにより、自動的に台車が次々に前方に送り出され、前詰めしていくことができる。
【発明の効果】
【0016】
このようにした本発明によれば、少ない数のモータで台車をしっかりと搬送できる台車搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における台車搬送装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】同実施形態の送出機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】同実施形態の送出機構の当接構造体の構成を模式的に示す図であり、(a)平面視した図、(b)進行方向から視た図、である。
【
図4】同実施形態の当接構造体の動作を説明する図である。
【
図5】同実施形態の送出機構の構成を搬送方向から視た図である。
【
図6】同実施形態の台車搬送装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図7】同実施形態の台車搬送装置による台車の搬送動作を説明する図である。
【
図8】他の実施形態における送出機構の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態に係る台車搬送装置について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る台車搬送装置100は、例えば物流施設等において、梱包物が積まれた複数の台車(例えばカゴ台車)Tを所定の搬送経路Rに沿って搬送して前詰めするためのものである。具体的にこの台車搬送装置100は、
図1に示すように、搬送経路Rの両側に設けられ、台車Tの側面を両側から挟んで前方に送り出す送出機構1を備えている。この送出機構1は搬送経路Rを挟んで対をなすように設けられており、搬送経路Rに沿って複数対が並べて設けられている。物流施設の作業員が、台車Tを搬送経路Rの入口まで運んで一対の送出機構1の間にセットすると、台車Tは送出機構1により搬送経路Rに沿って前方に送り出され、順番に前詰めされていく。
以下、本実施形態の台車搬送装置100の詳細を説明する。なお、以下の説明では台車Tの搬送経路Rに沿った方向を搬送方向とし、平面視において搬送方向に直交する方向を幅方向とする。
【0020】
送出機構1は、台車Tの左右いずれかの側面に複数の当接構造体13を同時に押し当て、この状態で各当接構造体13を搬送方向に移動させることにより台車Tを移動させるものである。なお、送出機構1は、当接構造体13を前方及び後方のいずれにも移動させることができ、これにより台車Tを搬送方向に沿って前方及び後方のいずれにも移動させることができる。具体的にこの送出機構1は、
図1及び
図2に示すように、ケーシング11と、ケーシング11に収容された、複数の当接構造体13が取り付けられている無端コンベヤ12と、無端コンベヤ12を駆動させる駆動部15とを備えている。
【0021】
ケーシング11は、その長手方向が搬送方向に一致するように置かれた直方体状をなすものである。このケーシング11の搬送経路Rに面する側面11sには、搬送方向に沿った矩形状の開口部11оが形成されている。この開口部11оから、複数の当接構造体13がその先端を揃えるように搬送経路R上に突出しており、台車Tの側面に同時に接触するようにされている。ケーシング11の長手方向に沿った長さLCは、台車Tの長さLTと略同一、又はこれよりも若干大きくなるように設定されている。これにより、搬送経路Rを挟んで対向する一対の送出機構1間には1台の台車Tを待機できる。
【0022】
無端コンベヤ12は、当接構造体13を搬送方向に沿って移動させるものである。具体的にこの無端コンベヤ12は、
図2に示すように、搬送方向及び幅方向に平行な平面内において、複数の当接構造体13を周回させるように構成されている。具体的にこの無端コンベヤ12は、搬送方向に沿って互いに離間し、その回転軸が上下方向(本明細書において、搬送経路の路面に対して垂直な方向を意味する)に一致するように設けられた2つのスプロケット122と、この2つのスプロケット122の外周を取り巻くように設けられた無端状部材(具体的には、ローラチェーン等の無端チェーン)121とを含んでいる。この無端チェーン121は、その長手方向が搬送方向に一致するようにスプロケット122に連結されている。
【0023】
前記した当接構造体13は、
図2に示すように、無端チェーン121における外向き面121aに一定の間隔d
1をあけて取り付けられている。本実施形態では、台車Tの側面に複数の当接構造体13が同時に接触するように、隣り合う当接構造体13間の間隔d
1が、台車Tの長さL
Tよりも小さくなるように、より好ましくは、台車Tの長さL
Tの半分(すなわち、L
T/2)よりも小さくなるように設定されている。
【0024】
この当接構造体13は、
図3に示すように、台車Tの側面に当接する当接部13cと、この当接部13cを台車Tの側面に向けて付勢する付勢手段133とを備えている。具体的にこの当接構造体13は、無端チェーン121に固定されるベース部材131と、ベース部材131に取付けられ、平面視において無端コンベヤ12の進行方向に直交する方向(以下、当接方向ともいう)に突出する当接部材132と、ベース部材131と当接部材132との間に介在する付勢手段133とを備えている。
【0025】
ベース部材131は、当接方向の外向きの面に開口部が形成された箱状をなすものである。平面視において、外向き面121aに対向する底面が無端チェーン121に固定されている。
【0026】
当接部材132は、ベース部材131の開口部を塞ぐようにして、その基端側の一部がベース部材131内に収容されており、当接方向に沿ってベース部材131から出入りできるように構成されている。この当接部材132は、例えばウレタンゴム等の硬質のゴム素材により構成されており、平面視において、当接方向に沿って外向きに凸となるようにその先端面132sが形成されている。具体的にこの先端面132sは曲線状(より具体的に半円弧状)をなすように形成されており、この先端面132sによって前記した当接部13cが形成されている。
【0027】
付勢手段133は、当接部材132を当接方向の外向きに付勢し、これを当接方向に沿って出入させるためのものである。この付勢手段133は当接方向に沿って伸縮可能なものであり、具体的には当接部材132とベース部材131との間に介在する圧縮コイルバネ等のバネ部材である。この付勢手段であるバネ部材133は、その長さ方向が当接方向に一致するようにベース部材131内に収容されている。バネ部材133は、一方の端部がベース部材131に接続され、他方の端部が当接部材132に接続されており、当接方向に沿って圧縮されることで生じる反力により、当接部材132を当接方向に沿って外側に付勢する。
【0028】
また当接構造体13は、当接部材132をベース部材131に対して当接方向に沿って真っすぐにスライド移動させるスライド機構14をさらに備えている。このスライド機構14は、ベース部材131の内側面又は当該内側面に対向する当接部材132の外側面の一方に、当接方向に沿って形成された凹部14aと、ベース部材131の内側面又は当該内側面に対向する当接部材132の外側面の他方に形成された、凹部14aに対応する凸部14bとから構成されている。
【0029】
本実施形態では、凹部14aはベース部材131に形成されている。具体的にこの凹部14aは、当接方向に沿ってベース部材131の側面に形成された溝や長孔により構成されている。そして凸部14bは、当接部材132において、ベース部材131に形成された凹部14aに対応する位置に形成されている。具体的にこの凸部14bは、ヒンジピン等により構成されている。
【0030】
このスライド機構14により当接部材132は、
図4に示すように、ベース部材131から最大限飛出した飛出し位置Pと、ベース部材131内に最大限引っ込んでいる引込み位置Qとの間でスライド移動することができる。当接部材132は、通常は飛出し位置Pにあり、台車Tの側面に押し当てられることにより引込み位置Qにスライド移動する。
【0031】
また本実施形態の送出機構1は、無端コンベヤ12に取付けられた当接構造体13を下方から支持する第1支持機構16を備えている。具体的にこの第1支持機構16は、当接構造体13の下方において、当接構造体13の移動経路(ここでは周回経路)に沿って設けられたレール状をなすものである。
図5に示すように、第1支持機構16の上面には、当接構造体13の下面(ここではベース部材131の上下方向における下面)に接触して支持する上向きの第1支持面161が形成されている。この第1支持面161は、搬送方向及び幅方向に対して平行な平面状を成している。
【0032】
また本実施形態の送出機構1は、
図2に示すように、無端コンベヤ12が備える無端チェーン121の当接方向に沿った撓みを防止するための第2支持機構17を備えている。この第2支持機構17は、平面視において、無端チェーン121の内向き面121bに対向し、これに接触して支持する外向きの第2支持面171を備えている。この第2支持面171は、台車Tの搬送方向に沿って平面状に形成されており、少なくとも周回する無端チェーン121の搬送経路R側における内向き面121bを支持するように形成されている。
【0033】
駆動部15は、無端コンベヤ12を駆動し、複数の当接部材132を周回させることにより台車Tを移動させるものであり、具体的には電動機(モータ)である。電動機の出力軸は無端コンベヤ12のスプロケット122に連結されており、電動機を動かすことにより、無端コンベヤ12を駆動することができる。本実施形態では、1つの送出機構1に対して1つの駆動部15が設けられている。
【0034】
本実施形態の台車搬送装置100では、このように構成された複数の送出機構1が、搬送方向に沿って台車Tを受け渡しできるよう、所定の間隔で並べて設けられている。具体的には、
図6に示すように、各送出機構1の無端コンベヤ12間の距離d
2が、台車Tの長さL
Tよりも小さくなるように、好ましくは台車Tの長さL
Tの半分(すなわちL
T/2)よりも小さくなるように設定されている。
【0035】
そしてこの台車搬送装置100は、各送出機構1の動作を個別に制御する制御部2を備えている。この制御部2は、CPU、メモリ及び入出力インターフェース等を備えた汎用乃至専用のコンピュータである。そして制御部2は、メモリの所定領域に格納された所定プログラムに従ってCPUや周辺機器を協働させることにより、各送出機構1を個別に制御する。
【0036】
具体的に台車搬送装置100には、複数対の送出機構1のそれぞれの間における台車Tの有無を検知する検知センサ(図示しない)が取り付けられており、制御部2は、検知センサからの出力に基づいて、各送出機構1の駆動部15を個別に制御するように構成されている。
【0037】
具体的にこの制御部2は、
図7に示すように、ある一対の送出機構1間に台車Aがあり、その1つ前方にある一対の送出機構1間に他の台車がない場合、この台車Aを前方に進めるように各送出機構1を動作させる。また、搬送方向に沿って複数の台車B,Cが並んでおり、その先頭の台車Cの1つ前方の送出機構1間に他の台車がない場合、この複数の台車B,Cを同時に前方に進めるように各送出機構1を動作させる。また、台車搬送方向に沿った最も前方の送出機構1間に台車Dがある場合や、その後方に1つ又は複数の台車B,Cが連続して続く場合、これらの送出機構1を動作させることなく待機させる。このようにして、搬送方向に沿って前方から順に台車が次々と詰められていく。
【0038】
このように構成された本実施形態の台車搬送装置100によれば、駆動部15である例えばモータにより無端コンベヤ12を駆動させることで、複数の当接構造体13を周回させて台車Tを前方に移動させることができるので、各当接構造体13に対してモータを設ける従来のものに比べて、少ない数のモータで台車Tを搬送することができる。さらに、各当接構造体13は台車Tの側面に当接する当接部材132がバネ部材133により付勢されており、また複数の当接構造体13を同時に台車Tの側面に当接させるようにしているので、台車Tの側面を両側からしっかり挟んで、前方に送り出すことができる。
【0039】
また当接構造体13は、当接部材132をベース部材131に対して当接方向に沿って真っすぐにスライド移動させるスライド機構14を備えているので、台車Tの側面に当接した際に、バネ部材133の圧縮により生じる反力を台車Tの側面に対して真っすぐ与えることができる。これにより台車Tの側面をしっかりと挟んで力強く前方に送り出すことができる。
【0040】
また無端コンベヤ12に取り付けられた複数の前記当接構造体13を下方から支持する第1支持機構16を備えており、その第1支持面161が当接構造体13の下方においてその周回経路に沿うように形成されているので、周回移動する当接構造体13を下方からしっかり支持することができ、当接構造体13を台車Tの側面に対してしっかりと押し当てることができる。また、無端チェーン121の捻じれを防ぎ、しっかり周回させることができる。
さらに、無端コンベヤ12が備える無端チェーン121の当接方向に沿った撓みを防止するための第2支持機構17を備えているので、当接構造体13が台車Tの側面に当接した際に、無端チェーン121が当接方向に撓むのを防止できし、台車Tの側面をしっかり両側から挟んで前方に送り出すことができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0042】
例えば、他の実施形態の送出機構1は、
図8に示すように、無端コンベヤ12を上下方向に複数段(ここでは2段)備えていてもよい。具体的には、無端チェーン121と、これに取り付けられる当接構造体13とを上下方向に複数段備えるようにしてもよい。これにより、様々な大きさの台車Tに対応することが可能となる。
【0043】
また前記実施形態の無端コンベヤ12は、搬送方向及び幅方向に平行な平面内において、複数の当接構造体13を周回させるように構成されていたがこれに限らない。他の実施形態では、搬送方向に平行であって、かつ幅方向に直交する平面内において、複数の当接構造体13を周回させるように構成されていてもよい。この場合であっても、当接構造体13の当接部13cが、搬送経路R側向くように取り付けられていればよい。
【0044】
また前記実施形態の台車搬送装置100は、搬送方向に沿って複数対の送出機構1を備えていたがこれに限らない。他の実施形態では、台車搬送装置100は一対の送出機構1のみを備えるものであってもよい。
【0045】
前記実施形態の送出機構1は、無端コンベヤ12が無端チェーン121とスプロケット122とを備えて構成されるものであったが、これに限らない。他の実施形態では、無端コンベヤ12が無端ベルトとプーリーとを備えて構成されてもよい。
【0046】
前記台車搬送装置100による台車Tの搬送速度は、複数対の送出機構1の間で同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0047】
前記実施形態では付勢手段133はバネ部材であったが、これに限らない。他の実施形態では、付勢手段133は、当接部材132を当接方向に沿ってベース部材131から出入りできるようにできるものであれば、磁石の反発力や油圧を利用したもの等であってもよい。
【0048】
前記実施形態では、ケーシング11の長手方向に沿った長さLCは、台車Tの長さLTと略同一、又はこれよりも若干大きくなるように設定されていたがこれに限らない。ケーシング11の長手方向に沿った長さLCは、台車Tの長さLT以上であればよく、例えば台車Tの長さLTの2倍以上であってもよい。このようにすれば、向かい合う一対の送出機構1間に、複数台の台車Tを待機することができる。
【0049】
前記した搬送経路の路面は、平坦面であってもよく、傾斜面であってもよい。また搬送経路は、直線状、曲線状のいずれであってもよい。
【0050】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
100 ・・・台車搬送装置
1 ・・・送出機構
12 ・・・無端コンベヤ
13 ・・・当接構造体
132 ・・・当接部材
133 ・・・バネ部材
15 ・・・駆動部(モータ)
T ・・・台車
R ・・・搬送経路