(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】弁機能付きキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B65D47/20 111
(21)【出願番号】P 2020214386
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢一
(72)【発明者】
【氏名】森 淳生
(72)【発明者】
【氏名】小泉 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀幸
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-083409(JP,A)
【文献】特開2019-064740(JP,A)
【文献】特表2009-541159(JP,A)
【文献】特開2015-051789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着するキャップ本体を有し、
キャップ本体は、容器の口部開口に連通する注出筒を有し、
注出筒は、筒先開口に中栓を保持し、内周面に周方向に沿って形成した環状溝を有し、
筒先開口に続く内周面に中栓保持部を有し、
中栓は、筒状をなす中栓ノズルを有し、中栓ノズルの先端にスリット弁を一体に有し、
中栓ノズルの先端縁に続く外周面に括れ部を有し、中栓ノズルの後端外周に径方向外側に広がるストッパー部を有し、
ストッパー部が環状溝に掛かり、括れ部が中栓保持部に掛かって中栓を抜け止めすることを特徴とする弁機能付きキャップ。
【請求項2】
ストッパー部は、中栓ノズルの軸心方向のストッパー部背面が中栓ノズルの後端面と一体をなし、中栓ノズルの軸心方向でストッパー部背面と表裏をなすストッパー部前面が注出筒の環状溝の一側面と対向し、ストッパー部前面と環状溝の一側面とが注出筒の軸心方向に対する垂直面をなして掛かり合い中栓を抜け止めし、
注出筒は、内周面に周方向に沿って形成した環状隆起部を有し、
環状隆起部は、緩やかな傾斜面をなし、環状溝の他側面を兼ねる隆起部前面がストッパー部背面に掛かり中栓を抜け止めすることを特徴とする請求項1に記載の弁機能付きキャップ。
【請求項3】
注出筒は、中栓保持部に続く内周面が中栓ノズルの後端側に向けて拡がる内側テーパ面をなし、
中栓ノズルは、括れ部に続く外周面が中栓ノズルの後端側から前端側に向けて細くなる外側テーパ面をなし、
注出筒の内側テーパ面と中栓ノズルの外側テーパ面が当接して中栓を抜け止めすることを特徴とする請求項1または2に記載の弁機能付きキャップ。
【請求項4】
中栓は、中栓ノズルの括れ部に続く先端縁が径方向外側に拡がり、注出筒の中栓保持部が中栓の先端縁に掛かり中栓を抜け止めすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の弁機能付きキャップ。
【請求項5】
キャップ本体とヒンジを介して一体をなし、ヒンジ廻りに開閉動する上蓋部を有し、
注出筒は、筒先に径方向外側に広がる筒先リップを有し、
上蓋部は、上蓋天面に注出筒の筒先外周を囲んで筒先に被さる環状壁を有し、
環状壁は、内周面に環状リップを有し、注出筒の軸心方向において筒先リップに掛かる環状リップで注出筒の筒先を保持し、
スリット弁は、中栓ノズルと一体をなす弁体および弁体保持部を有し、
弁体は、スリットを有し、
弁体保持部は、径方向内側が弁体の外周縁と一体をなし、径方向外側が中栓ノズルの先端部に続き、弁体と中栓ノズルの先端部の間で中栓ノズルの軸心方向に湾曲する形状をなすことを特徴とする請求項1または4の何れか1項に記載の弁機能付きキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁機能付きキャップに関し、吐出時の内容物の切れを良くするスリット弁を備えたキャップに係る。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒンジキャップにノズルを設けた構成では、ノズルから出た内容物の一部が使用後にノズルの先端に残留し、残留した内容物が上蓋の閉蓋後に上蓋天面に付着し、この付着した内容物が再度の使用時等にキャップ全体を汚すことがある。
【0003】
このため、ノズルに配置する中栓にスリット弁を設けて使用後の内容物の切れを高めることで上蓋天面に内容物が付着することや、キャップ全体が内容物で汚れることを防ぐものがある。
【0004】
例えば特許文献1に記載するキャップは、キャップ本体が容器本体の口部に取り付けられており、キャップ本体には吐出口をなすノズル部が形成されており、ノズル部の内部にスリット弁が嵌められている。
【0005】
スリット弁は、天面を有する筒状形状をなし、天面に十字形のスリットが形成されている。
【0006】
また、特許文献2に記載するキャップは、キャップ体が主体キャップと、スリット弁と、貯留体と、外キャップとから構成されている。スリット弁は、有頂筒体で頂板に、十字線状のスリットを有し、有頂筒体の下端に組付き鍔を備えている。スリット弁は、有頂筒体を主体キャップの口筒片内に挿入し、口筒片の縮径段部と主体キャップに嵌着固定された取付けリングとの間で組付き鍔を挟持することにより、主体キャップに対する組付けが達成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-139274
【文献】特開2013-095481
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、容器を押圧して粘度の高い内容物をノズルから押し出す場合に、スリット弁が抵抗となり、内容物を吐出させるのに要する押圧力が高くなる。
【0009】
このため、内容物の吐出時にスリット弁をノズルから押し出す方向に作用する力も大きくなり、ノズル内にスリット弁を単に挿入しただけの構造では、スリット弁がノズルから内容物の吐出方向に離脱する懸念がある。
【0010】
また、スリット弁に設けた組付き鍔を縮径段部と取付けリングとの間で挟持する構造は、スリット弁を強固に保持できるが、部品点数の増加および組み立て工数が増加する。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、単に挿入するだけの操作によってスリット弁をキャップに確実に組み付けてスリット弁の離脱を防止できる弁機能付きキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る弁機能付きキャップは、容器の口部に装着するキャップ本体を有し、キャップ本体は、容器の口部開口に連通する注出筒を有し、注出筒は、筒先開口に中栓を保持し、内周面に周方向に沿って形成した環状溝を有し、筒先開口に続く内周面に中栓保持部を有し、中栓は、筒状をなす中栓ノズルを有し、中栓ノズルの先端にスリット弁を一体に有し、中栓ノズルの先端縁に続く外周面に括れ部を有し、中栓ノズルの後端外周に径方向外側に広がるストッパー部を有し、ストッパー部が環状溝に掛かり、括れ部が中栓保持部に掛かって中栓を抜け止めすることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る弁機能付きキャップにおいて、ストッパー部は、中栓ノズルの軸心方向のストッパー部背面が中栓ノズルの後端面と一体をなし、中栓ノズルの軸心方向でストッパー部背面と表裏をなすストッパー部前面が注出筒の環状溝の一側面と対向し、ストッパー部前面と環状溝の一側面とが注出筒の軸心方向に対する垂直面をなして掛かり合い中栓を抜け止めし、注出筒は、内周面に周方向に沿って形成した環状隆起部を有し、環状隆起部は、緩やかな傾斜面をなし、環状溝の他側面を兼ねる隆起部前面がストッパー部背面に掛かり中栓を抜け止めすることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る弁機能付きキャップにおいて、注出筒は、中栓保持部に続く内周面が中栓ノズルの後端側に向けて拡がる内側テーパ面をなし、中栓ノズルは、括れ部に続く外周面が中栓ノズルの後端側から前端側に向けて細くなる外側テーパ面をなし、注出筒の内側テーパ面と中栓ノズルの外側テーパ面が当接して中栓を抜け止めすることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る弁機能付きキャップにおいて、中栓は、中栓ノズルの括れ部に続く先端縁が径方向外側に拡がり、注出筒の中栓保持部が中栓の先端縁に掛かり中栓を抜け止めすることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る弁機能付きキャップにおいて、キャップ本体とヒンジを介して一体をなし、ヒンジ廻りに開閉動する上蓋部を有し、注出筒は、筒先に径方向外側に広がる筒先リップを有し、上蓋部は、上蓋天面に注出筒の筒先外周を囲んで筒先に被さる環状壁を有し、環状壁は、内周面に環状リップを有し、注出筒の軸心方向において筒先リップに掛かる環状リップで注出筒の筒先を保持し、スリット弁は、中栓ノズルと一体をなす弁体および弁体保持部を有し、弁体は、スリットを有し、弁体保持部は、径方向内側が弁体の外周縁と一体をなし、径方向外側が中栓ノズルの先端縁に続き、弁体と中栓ノズルの先端縁の間で中栓ノズルの軸心方向に湾曲する形状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明に係る弁機能付きキャップによれば、キャップ本体の注出筒にスリット弁を有する中栓を挿入するだけの操作によって、中栓ノズルに設けたストッパー部が注出筒の内周面に周方向に沿って形成した環状溝に掛かり中栓を抜け止めするので、スリット弁をキャップ本体に簡単な操作で組み付けることができるとともに、スリット弁の離脱を確実に防止できる離脱防止構造を実現できる。
【0019】
さらに、ストッパー部はストッパー部前面と環状溝の一側面とが注出筒の軸心方向に対する垂直面をなして掛かり合って中栓を抜け止めするので、注出時に中栓に受ける内容物の押出力を環状溝の一側面で確実に受け止めて中栓を注出筒内に留めることができ、スリット弁の離脱防止構造がより堅固となる。
【0020】
一方、中栓を注出筒に挿入する際に、ストッパー部は緩やかな傾斜面をなす環状隆起部を越えて環状溝に至るので、中栓の挿入操作が容易に行える。
【0021】
また、中栓ノズルの括れ部に注出筒の中栓保持部が掛かることで、中栓の軸心方向の前方および後方への中栓の抜け止めを防止する離脱防止構造がさらに堅固となる。
【0022】
また、注出筒の内側テーパ面と中栓ノズルの外側テーパ面が当接して中栓を抜け止めするので、中栓の軸心方向の前方への中栓の抜け止めを防止する離脱防止構造がさらに堅固となる。
【0023】
また、中栓ノズルの径方向外側に拡がる先端縁が注出筒の中栓保持部に掛かり中栓を抜け止めするので、中栓の軸心方向の後方への中栓の抜け止めを防止する離脱防止構造がさらに堅固となる。
【0024】
また、スリット弁は、弁体の外周縁と中栓ノズルの先端縁を繋ぐ弁体保持部が中栓ノズルの軸心方向に湾曲する形状をなすので、上蓋部の環状壁が注出筒の筒先に被さる閉蓋時に、環状壁の環状リップで注出筒の筒先を保持する状態において中栓ノズルに撓みが生じる場合にあっても、撓みの影響は湾曲した弁体保持部で吸収されるので弁体に及ばない。よって、弁体のスリットの閉栓状態が阻害されることはなく、上蓋部の閉蓋時にスリットの閉栓状態が確実に維持でき、内容物の漏れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態における実施例1を示す閉蓋状態のキャップの断面図
【
図2】同実施例1における開蓋状態のキャップの断面図
【
図3】同実施例1における開蓋状態のキャップの平面図
【
図4】同実施例1における開蓋状態のキャップの底面図
【
図6】同実施例1における閉蓋状態のキャップの背面図
【
図7】本発明の実施の形態における実施例2を示す閉蓋状態のキャップの断面図
【
図8】同実施例2における開蓋状態のキャップの断面図
【
図9】同実施例2における開蓋状態のキャップの平面図
【
図10】同実施例2における開蓋状態のキャップの底面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るキャップの実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1~
図6に示すように、キャップ1は、容器2、ここではチューブ等の内容物を押し出す形式の物の口部3に装着するキャップ本体4と、ヒンジ5およびバンド5aを介してキャップ本体4と一体をなし、ヒンジ廻りに開閉動する上蓋部6を有している。キャップ1は全体が樹脂製である。
【0027】
キャップ本体4は、キャップ上部7に容器2の口部3の開口3aに連通する注出筒10を有している。また、キャップ下部8には、口部3の開口縁3aを挿入する環状溝9と、容器2の口部外周に環状に形成した容器外側凹部11に嵌合するキャップ内側凸部12を有している。
【0028】
さらに、キャップ1は、キャップ下部8の周りを覆ってキャップ本体4と二重壁状をなす筒状の外郭部13を有している。外郭部13は、キャップ本体4の軸心方向に伸び、口部3の周囲の容器肩部17に当接している。
【0029】
図1から
図2に示すように、注出筒10は、筒先開口18に中栓19を保持しており、内周面に周方向に沿って形成した環状溝20を有している。中栓19は、筒状をなす中栓ノズル21を有し、中栓ノズル21の先端にスリット弁22を一体に有しており、中栓ノズル21の後端外周に径方向外側に広がるストッパー部23を有し、ストッパー部23が環状溝20に掛かることで、中栓19を中栓の軸心方向の前方(内容物の吐出方向)および後方(容器側に向く方向)に向けて抜け止めしている
ストッパー部23は、中栓ノズル21の軸心方向で後方に向くストッパー部背面24が中栓ノズル21の後端面25と一体をなしてフラット面を形成している。中栓ノズル21の軸心方向でストッパー部背面24と表裏をなして中栓ノズル21の軸心方向で前方を向くストッパー部前面26が注出筒10の環状溝20の一側面20aと対向している。ストッパー部前面26と環状溝20の一側面20aは注出筒10の軸心方向に対する垂直面をなし、互いに掛かり合って中栓19を中栓ノズル21の軸心方向の前方に向けて抜け止めしている。
【0030】
注出筒10は、内周面に周方向に沿って形成した環状隆起部27を有している。環状隆起部27は、中栓ノズル21の軸心方向の前方および後方に向けて緩やかな傾斜面をなす隆起部前面27aおよび隆起部後面27bを有し、環状溝20の他側面20bを兼ねる隆起部前面27aがストッパー部背面24に掛かって中栓19を中栓ノズル21の軸心方向の後方に向けて抜け止めしている。
【0031】
注出筒10は、筒先開口内面28が径方向外側に拡がり、筒先内面28に続く内周面が中栓ノズル21の後端側に向けて拡がる内側テーパ面29をなし、筒先内面28と内側テーパ面29の境の前後部が中栓保持部30をなす。
【0032】
中栓ノズル21は、先端縁31が径方向外側に拡がり、外周面が中栓ノズル21の後端側から前端側に向けて細くなる外側テーパ面32をなし、先端縁31と外側テーパ面32の境の前後部が括れ部33をなす。
【0033】
そして、注出筒10の内側テーパ面19と中栓ノズル21の外側テーパ面32が当接して中栓19を中栓ノズル21の軸心方向の前方に向けて抜け止めしており、中栓保持部30が中栓ノズル21の括れ部33および先端縁31に掛かって中栓19を中栓ノズル21の軸心方向の前方および後方に向けて抜け止めしている。
【0034】
注出筒10は、筒先に径方向外側に広がる筒先リップ34を有している。上蓋部6は、上蓋天面に環状壁35を有しており、環状壁35は注出筒10の筒先外周を囲んで筒先に被さっており、内周面に環状リップ36を有している。環状リップ36は注出筒10の軸心方向において筒先リップ34に掛かり注出筒10の筒先を保持している。
【0035】
スリット弁22は、中栓ノズル21と一体をなす弁体37および弁体保持部38を有している。弁体37は薄膜状で中央部に向けて窪む形状をなし、径方向に伸びるスリット39を有している。ここではスリット39がヒンジ5に向けて伸びるとともに、ヒンジ5と反対側に向けて伸びる一文字状をなすが、十文字状に形成することも可能であり、その他の形状とすることも可能である。
【0036】
弁体保持部38は、径方向内側が弁体37の外周縁と一体をなし、径方向外側が中栓ノズル21の先端部に続き、弁体37と中栓ノズル21の先端部の間で中栓ノズル21の軸心方向の後方に向けて湾曲する湾曲部40を形成している。
(使用時)
上述した構成において、注出時には、容器2から押し出される内容物に押されてスリット弁22の弁体37が内側に窪んだ状態から外側に膨らむ状態となり、スリット39が開いて内容物が容器2の外に注出される。
【0037】
容器2に加える押圧力を解除すると、弁体37の弾性力により弁体37が内側に窪んだ状態となり、スリット39が閉じ、内容物が切れる。
(セット時)
中栓19の組み付けはキャップ本体4の注出筒10にキャップ本体4の内側から挿入して行う。この際、中栓19の後端面25およびストッパー部背面24のフラット面に押圧力を作用させて中栓19を押し込む。中栓19を注出筒10に押し込む際に、中栓ノズル21の弾性変形等を伴いながら、ストッパー部23は環状隆起部27の緩やかな傾斜面である隆起部後面27bを越えて環状溝20に至るので、中栓19の挿入操作が容易に行える。
【0038】
この簡単な操作によって、中栓ノズル21のストッパー部23が注出筒10の環状溝20に掛かり中栓19を抜け止めするので、スリット弁22をキャップ本体4に簡単な操作で組み付けることができるとともに、スリット弁22の離脱を確実に防止できる離脱防止構造を実現できる。
【0039】
さらに、中栓19を注出筒10に組み付けた状態において、ストッパー部23はストッパー部前面26と環状溝20の一側面20aが注出筒10の軸心方向に対する垂直面をなして掛かり合って中栓19を抜け止めするので、注出時に中栓19に受ける内容物の押出力を環状溝20の一側面20aで確実に受け止めて中栓19を注出筒10の内部に留めることができ、スリット弁22の離脱防止構造がより堅固となる。
【0040】
また、中栓ノズル21の括れ部33に注出筒10の中栓保持部30が掛かることで、中栓19の軸心方向の前方および後方への中栓19の抜け止めを防止する離脱防止構造がさらに堅固となる。
【0041】
また、注出筒10の内側テーパ面29と中栓ノズル21の外側テーパ面32が当接して中栓19を抜け止めするので、中栓19の軸心方向の前方への中栓19の抜け止めを防止する離脱防止構造がさらに堅固となる。
【0042】
また、中栓ノズル21の径方向外側に拡がる先端縁31が注出筒10の中栓保持部30に掛かり中栓19を抜け止めするので、中栓19の軸心方向の後方への中栓19の抜け止めを防止する離脱防止構造がさらに堅固となる。
【0043】
また、スリット弁22は、弁体37の外周縁と中栓ノズル21の先端縁を繋ぐ弁体保持部38が中栓ノズル21の軸心方向に湾曲する形状をなすので、上蓋部6の環状壁35が注出筒10の筒先に被さる閉蓋時に、環状壁35の環状リップ36で注出筒10の筒先を保持する状態において中栓ノズル21に撓みが生じる場合にあっても、撓みの影響は湾曲した弁体保持部38で吸収されるので弁体37に及ばない。よって、弁体37のスリット39の閉栓状態が阻害されることはなく、上蓋部の閉蓋時にスリット39の閉栓状態が確実に維持でき、内容物の漏れを確実に防止できる。
(実施例2)
図7から
図11に本発明の実施例2を示す。先の実施例1と同様の作用を行う部材には同符号を付して説明を省略する。
【0044】
この実施例2では、中栓19の先端外周に形成する括れ部51に環状の段部52を形成しており、段部52が中栓19の軸心方向に対する垂直面をなして径方向外側に拡がっている。注出筒10の筒先内周に形成する中栓保持部53が注出筒10の径方向内側に突出する環状の突起54をなし、突起54が中栓19の軸心方向に対する垂直面を有している。
【0045】
この構成により、中栓保持部53の突起54と括れ部51の段部52が中栓19の軸心方向に対する垂直面で掛かり合って、中栓19の軸心方向前方への中栓19の抜け止めを防止する離脱防止構造がさらに堅固となる。
【0046】
また、弁体保持部38は、弁体37と中栓ノズル21の先端部の間で中栓ノズル21の軸心方向に湾曲する湾曲部40を形成しており、湾曲部40が中栓19の軸心方向の前方に突出する形状をなしている。
【0047】
他の作用効果は、先の実施例1と同様であり、説明を省略する。
【符号の説明】
【0048】
1 キャップ
2 容器
3 口部
3a 開口
4 キャップ本体
5 ヒンジ
5a バンド
6 上蓋部
7 キャップ上部
8 キャップ下部
9 環状溝
10 注出筒
11 容器外側凹部
12 キャップ内側凸部
13 外郭部
17 容器肩部
18 筒先開口
19 中栓
20 環状溝
20a 一側面
20b 他側面
21 中栓ノズル
22 スリット弁
23 ストッパー部
24 ストッパー部背面
25 後端面
26 ストッパー部前面
27 環状隆起部
27a 隆起部前面
27b 隆起部後面
28 筒先開口内面
29 内側テーパ面
30 中栓保持部
31 先端縁
32 外側テーパ面
33 括れ部
34 筒先リップ
35 環状壁
36 環状リップ
37 弁体
38 弁体保持部
39 スリット
40 湾曲部
51 括れ部
52 段部
53 中栓保持部
54 突起