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特許7557880加工データ処理プログラム及び加工処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加工データ処理プログラム及び加工処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20240920BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240920BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G05B19/418 Z
G06Q30/0601 320
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021067260
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162419
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2024-04-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月30日に株式会社乃村工藝社(東京都港区台場2丁目3番4号)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月30日に株式会社オンデザインパートナーズ(神奈川県横浜市中区相生町3-60 泰生ビル2F)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月30日にSUPPOSE DESIGN OFFICE株式会社(広島県広島市中区舟入本町15-1)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月30日に辻琢磨建築企画事務所(静岡県浜松市浜北区於呂2828-58)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年5月1日に「EMARF3.0説明会ウェビナー」、WEB開催(主催者:VUILD株式会社、オンライン会議システム ZOOM(URL:[https://zoom.us/]))にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年5月8日に「EMARF3.0説明会ウェビナー」、WEB開催(主催者:VUILD株式会社、オンライン会議システム ZOOM(URL:[https://zoom.us/]))にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年5月27日にウェブサイト(https://emarf.co/)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年6月23日にウェブサイト(https://note.com/kyo_taka/n/nf585ae1c0cf1#A0q9H)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年8月17日にウェブサイト(https://note.com/vuild/n/n2b951ecb74e4)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年9月30日にウェブサイト(https://forum.emarf.co/)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月2日にウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=7_MJ40WFr30&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=1、 https://www.youtube.com/watch?v=8mXPWYyScSs&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=2、 https://www.youtube.com/watch?v=W0vX0GEy-V0&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=3、 https://www.youtube.com/watch?v=oHjOw1a28UQ&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=4、 https://www.youtube.com/watch?v=IiL33v5I3RQ&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=5、 https://www.youtube.com/watch?v=zmqL7-8-GDc&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=6、 https://www.youtube.com/watch?v=PtvmrcE6qZ0&list=PL-J_KWPIDYl0FcVHSdDzmIiQW80IB8H-d&index=1、 https://www.youtube.com/watch?v=zMdNR5QHZMk&list=PL-J_KWPIDYl0FcVHSdDzmIiQW80IB8H-d&index=2、 https://www.youtube.com/watch?v=ezLT7vBJjBM&list=PL-J_KWPIDYl0FcVHSdDzmIiQW80IB8H-d&index=3)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月21日にウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=JVOzHLo0Lx0&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=7)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月27日にウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=8yJ9ka1gdxE)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年11月17日にウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=8OeQ8X2Bhs8&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=9)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月3日にウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=oEkRjiMcdQk&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=8)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月15日にウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=QEO5L6QrQjI&list=PL-J_KWPIDYl0FcVHSdDzmIiQW80IB8H-d&index=4、 https://www.youtube.com/watch?v=KgF2saL-qtk&list=PL-J_KWPIDYl0QvUidUJyEyctCwd0TpJpV&index=10)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月13日にウェブサイト(https://note.com/ikeay/n/n6afed7f4d300)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年1月29日に「VUILDメンバーがサポート!3days EMARFプロダクト制作講座」、WEB開催(主催者:VUILD株式会社、オンライン会議システム ZOOM(URL:[https://zoom.us/]))にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月5日に「VUILDメンバーがサポート!3days EMARFプロダクト制作講座」、WEB開催(主催者:VUILD株式会社、オンライン会議システム ZOOM(URL:[https://zoom.us/]))にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月13日に「VUILDメンバーがサポート!3days EMARFプロダクト制作講座」、WEB開催(主催者:VUILD株式会社、オンライン会議システム ZOOM(URL:[https://zoom.us/]))にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月24日にウェブサイト(https://diy.homes.jp/topics/27542)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年3月24日にウェブサイト(https://note.com/leo_kimura/n/n0de264b83ba3#ltX6S)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518421119
【氏名又は名称】VUILD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194836
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 優一
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩気
(72)【発明者】
【氏名】守矢 拓海
(72)【発明者】
【氏名】堀川 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 将達
(72)【発明者】
【氏名】小林 国弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 有里
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-081718(JP,A)
【文献】特開2015-179347(JP,A)
【文献】特許第5654163(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第111538880(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
G05B 19/18 -19/418
G06Q 30/06 -30/08
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作に応じて構造物をモデリングするモデリングソフトウェアがインストールされたコンピュータ上で、
前記モデリングソフトウェアにプラグインされるものであって、
前記コンピュータを、
前記モデリングソフトウェア上に読み込まれた前記構造物を構成する1又は複数の部材のオブジェクトに対して、加工装置で板材から加工する際及び又は組立ての際に必要となる構造を付加する編集処理を支援する編集支援手段と、
それぞれの前記部材のオブジェクトの形状を記述した形状データと、前記形状データに基づいてそれぞれの前記部材を前記加工装置で前記板材から加工する際に必要な加工情報とを含む構造物加工データを生成する構造物加工データ生成手段と、
外部の情報処理装置に前記構造物加工データを送信し前記情報処理装置に、前記構造物加工データから、前記加工装置で前記板材からそれぞれの前記部材を加工する際の制御データを生成させる連携手段と
して機能させることを特徴とする加工データ処理プログラム。
【請求項2】
ユーザの操作に応じて構造物をモデリングするモデリングソフトウェアがインストールされたコンピュータを備える端末装置と、前記端末装置と連携する情報処理装置とを有する加工処理システムにおいて、
前記端末装置上の前記モデリングソフトウェアには、加工データ処理プログラムがプラグインされており、
前記加工データ処理プログラムは、前記コンピュータを
前記モデリングソフトウェア上に読み込まれた前記構造物を構成する1又は複数の部材のオブジェクトに対して、加工装置で板材から加工する際及び又は組立ての際に必要となる構造を付加する編集処理を支援する編集支援手段と、
それぞれの前記部材のオブジェクトの形状を記述した形状データと、前記形状データに基づいてそれぞれの前記部材を前記加工装置で前記板材から加工する際に必要な加工情報とを含む構造物加工データを生成する構造物加工データ生成手段と、
前記情報処理装置に前記構造物加工データを送信し、前記情報処理装置に、前記構造物加工データから、前記加工装置で前記板材からそれぞれの前記部材を加工する際の制御データを生成させる連携手段として機能させる
ことを特徴とする加工処理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記形状データに基づいて前記構造物を構成するそれぞれの前記部材の形状を認識し、前記加工情報に基づく仕様の板材上で、それぞれの前記部材のレイアウトを決定するレイアウト決定手段と、
前記板材から、前記レイアウト決定手段が決定したレイアウトで、前記構造物を構成するそれぞれの前記部材を切削するように前記加工装置を制御する制御データを生成する制御データ生成手段と、
前記制御データに基づく加工内容を視覚的に表した加工内容表示画像を生成して前記端末装置側に提示する提示手段と
を有することを特徴とする請求項2に記載の加工処理システム
【請求項4】
前記情報処理装置は、
前記端末装置から前記制御データを用いて前記板材からそれぞれの前記部材を加工する注文を受け付ける注文受付手段と、
前記注文受付手段が受け付けた注文に対応する前記制御データ及び前記加工情報とを含む注文データを生成し、前記注文データを外部装置に送信する発注手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の加工処理システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工データ処理プログラム及び加工処理システムに関し、例えば、顧客の注文に応じて、木材を、家具や遊具等の構造物の部材に加工するシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、家具、遊具、建築物等の構造物に加工するシステム(以下、「加工処理システム」と呼ぶ)が存在する。従来の加工処理システムとしては、例えば、特許文献1の記載技術が存在する。
【0003】
特許文献1に記載されたシステムは、家具の製造事業者が、顧客の要望に応じて家具を自由に設計変更し、かつ、変更した加工を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-81718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の記載技術では、設計した家具を材料から製造する際には、構成が1点ずつ異なるため、生産管理について量産品とのコスト差が大きくなるという点で解決できない等の問題がある。
【0006】
以上のような問題に鑑みて、顧客自身が設置場所や用途に応じた自由なデザインの構造物(例えば、オーダーメイド家具)を容易な操作で注文でき、かつ、注文を受けた構造物をより低コストで提供することができる加工データ処理プログラム及び加工処理システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明の加工データ処理プログラムは、ユーザの操作に応じて構造物をモデリングするモデリングソフトウェアがインストールされたコンピュータ上で、前記モデリングソフトウェアにプラグインされるものであって、前記コンピュータを、前記モデリングソフトウェア上に読み込まれた前記構造物を構成する1又は複数の部材のオブジェクトに対して、加工装置で板材から加工する際及び又は組立ての際に必要となる構造を付加する編集処理を支援する編集支援手段と、それぞれの前記部材のオブジェクトの形状を記述した形状データと、前記形状データに基づいてそれぞれの前記部材を前記加工装置で前記板材から加工する際に必要な加工情報とを含む構造物加工データを生成する構造物加工データ生成手段と、外部の情報処理装置に前記構造物加工データを送信し、前記情報処理装置に、前記構造物加工データから、前記加工装置で前記板材からそれぞれの前記部材を加工する際の制御データを生成させる連携手段として機能させることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明は、ユーザの操作に応じて構造物をモデリングするモデリングソフトウェアがインストールされたコンピュータを備える端末装置と、前記端末装置と連携する情報処理装置とを有する加工処理システムにおいて、前記端末装置上の前記モデリングソフトウェアには、加工データ処理プログラムがプラグインされており、前記加工データ処理プログラムは、前記コンピュータを前記モデリングソフトウェア上に読み込まれた前記構造物を構成する1又は複数の部材のオブジェクトに対して、加工装置で板材から加工する際及び又は組立ての際に必要となる構造を付加する編集処理を支援する編集支援手段と、それぞれの前記部材のオブジェクトの形状を記述した形状データと、前記形状データに基づいてそれぞれの前記部材を前記加工装置で前記板材から加工する際に必要な加工情報とを含む構造物加工データを生成する構造物加工データ生成手段と、前記情報処理装置に前記構造物加工データを送信し、前記情報処理装置に、前記構造物加工データから、前記加工装置で前記板材からそれぞれの前記部材を加工する際の制御データを生成させる連携手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客自身が設置場所や用途に応じた自由なデザインの構造物を容易な操作で注文でき、かつ、注文を受けた構造物をより低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る加工処理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る顧客端末で表示されるCADソフトウェアの編集画面(CADデータの編集画面)の例について示した図(その1:初期状態)である。
図3】実施形態に係る初期状態の椅子のオブジェクトから、座面のオブジェクトを分解した状態(上方向に持ち上げた状態)について示した図である。
図4】実施形態に係る5つ部材のオブジェクトの初期状態の形状について示した図である。
図5】実施形態に係る支援処理部が行うジョイント形成機能の処理の例について示したフローチャートである。
図6】実施形態に係る脚のオブジェクトの外接直方体について示した図である。
図7】実施形態に係る脚のオブジェクト(上面)にホゾを形成する際の設計例について示した図である。
図8】実施形態に係る支援処理部によるジョイント形成機能を用いて、椅子のオブジェクトに対して、ホゾ/ホゾ穴を形成した状態について示した図である。
図9】実施形態に係る顧客端末で表示されるCADソフトウェアの編集画面(CADデータの編集画面)の例について示した図(その2:ジョイント形成後)である。
図10】実施形態に係る支援処理部が行う平面展開機能の処理の例について示したフローチャートである。
図11】実施形態に係る顧客端末で表示されるCADソフトウェアの編集画面(CADデータの編集画面)の例について示した図(その3:平面展開後)である。
図12】実施形態に係る支援処理部が行うオフセット形成機能の処理の例について示したフローチャートである。
図13】実施形態に係る支援処理部が行うホゾ検索処理の例について示した図である。
図14】実施形態に係る支援処理部が、脚のオブジェクトの上面に形成されたホゾに対してオフセットを形成する処理について示した図である。
図15】実施形態に係る支援処理部が行うフィレット形成機能の処理の例について示したフローチャートである。
図16】実施形態に係る支援処理部で形成可能なフィレットの種類(フィレットの付け方)の例について示した図である。
図17】実施形態に係る顧客端末で表示されるCADソフトウェアの編集画面(CADデータの編集画面)の例について示した図(その4:フィレット形成後)である。
図18】実施形態に係る支援処理部が行うサーバ連携機能の処理の例について示したフローチャートである。
図19】実施形態に係る構造物加工データ全体の構成例を示した図である。
図20】実施形態に係る形状データと構造物加工データの内部構成の例について示した図である。
図21】実施形態に係るポケット内周形状とポケット外周形状の例について示した図である。
図22】実施形態に係るアプリケーションサーバの支援処理サービス部が、顧客端末(実施形態に係る支援処理部及びWebブラウザ)と連携を開始した場合の動作について示した図である。
図23】実施形態に係る支援処理サービス部が提示する加工データ生成開始を受け付ける操作画面の構成例について示した図である。
図24】実施形態に係る支援処理サービス部が提示する加工依頼を受け付ける操作画面の構成例について示した図である。
図25】実施形態に係るアプリケーションサーバの注文処理部が加工事業者に受けた注文を依頼する処理の概要について示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による加工データ処理プログラム及び加工処理システムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0013】
(A-1)実施形態の構成
図1は、この実施形態の加工処理システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
まず、加工処理システム1の全体の概要について説明する。
【0015】
加工処理システム1は、顧客から、家具、遊具、建築物等の構造物の注文を受け付け、木材を加工して顧客から注文を受けた構造物の部材(又は構造物)を製造して顧客に配送するサービスを支援するためのシステムである。
【0016】
図1に示す加工処理システム1は、実施形態に係る情報処理装置としてのアプリケーションサーバ10及びDBサーバ20を有している。なお、加工処理システム1を構成する装置(コンピュータ)の数は限定されないものである。例えば、加工処理システム1は、アプリケーションサーバ10及びDBサーバ20の両方の機能を担う1つの装置(コンピュータ)で構成するようにしてもよい。
【0017】
そして、図1に示すアプリケーションサーバ10は、ネットワークNWを介して、他の装置やシステム(顧客端末30及び加工事業者端末40を含む)と通信可能となっている。また、加工事業者端末40の配下には、加工装置50が接続されている。
【0018】
アプリケーションサーバ10は、加工処理システム1において各端末(顧客端末30及び加工事業者端末40を含む)に構造物の注文処理や加工処理に関するアプリケーション(アプリケーションサービス)を提供する装置である。
【0019】
DBサーバ20は、アプリケーションサーバ10の処理で必要となる種々のデータを提供する装置である。具体的には、DBサーバ20は、アプリケーションサーバ10の処理で必要となる種々のデータを保持し、アプリケーションサーバ10の要求に応じてデータ処理(例えば、データの更新や読出しの処理)を行う。つまり、DBサーバ20は、アプリケーションサーバ10で、種々のデータを管理する手段として配置されている。
【0020】
顧客端末30(実施形態に係る加工処理装置)は、構造物を注文する顧客が使用する端末である。この実施形態では、顧客端末30は、当該加工処理システム1で提供される構造物を加工(材料から構造物を構成する部材を加工)する際の加工データ(以下、「注文用加工データ」と呼ぶ)を生成すると共に、アプリケーションサーバ10と連携して生成した注文用加工データに基づく構造物の注文処理を行う端末であるものとする。
【0021】
加工事業者端末40は、材料(板材)を加工して部材を製造する事業者のオペレータが使用する端末である。この実施形態では、加工事業者端末40は、加工事業者の事業所に配置されているものとする。また、加工事業者の事業所には、加工事業者端末40の制御に従って材料(板材)を加工する加工装置50も配置されている。加工事業者端末40は、Webブラウザ41を有しており、Webブラウザ41を用いてアプリケーションサーバ10にアクセスする構成となっている。さらに、加工事業者端末40は、加工装置50を制御するためのソフトウェアとして加工装置制御部42を有している。
【0022】
加工装置50は、例えば、既存のCNC(Computer Numerical Control)ルータ等の切削加工装置を適用することができる。また、加工装置制御部42としては種々のCSCルータ等の切削加工装置を制御するためのソフトウェアを適用することができる。
【0023】
次に、加工処理システム1を構成する顧客端末30の内部構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、この実施形態において、顧客端末30上では、CADソフトウェア31及びWebブラウザ32が動作しているものとする。顧客端末30では、CADソフトウェア31及びWebブラウザ32がアプリケーションサーバ10と連携して動作するものとする。
【0025】
CADソフトウェア31は、いわゆるCADデータの編集(構造物のモデリング)が可能なソフトウェアである。CADソフトウェア31としては、例えば、Rhinoceors、Fusion360、AutoCAD、VectorWorks、Illustrator(いずれも登録商標)等を適用することができる。CADソフトウェア31上には、いわゆるプラグインソフトウェア(アドオンソフトウェア)として支援処理部311(実施形態に係る加工データ処理プログラムに相当するプログラム)がインストールされているものとする。支援処理部311は、CADソフトウェア31上で、編集中の構造物の3Dモデルに対して、接合部(例えば、「ほぞ」や「ホゾ穴」等)やフィレット等、加工装置50で構造物の部材を加工して組み立てるために追加必要な要素の編集処理(以下、「追加編集処理」と呼ぶ)や、CADソフトウェア31上で編集されたCADデータをアプリケーションサーバ10で処理される所定の形式(以下、「形状データ」と呼ぶ)に変換する処理や、アプリケーションサーバ10(支援処理サービス部11)との連携処理等の支援処理を行う。
【0026】
この実施形態では、支援処理部311は、Webブラウザ32を介してアプリケーションサーバ10(支援処理サービス部11)と連携することが可能であるものとする。具体的には、支援処理部311は、Webブラウザ32に、アプリケーションサーバ10(支援処理サービス部11)にアクセス(連携)するためのリンク(URL)を入力することで、アプリケーションサーバ10と連携(Webブラウザ32上で実行されるWebアプリケーションを用いた連携)する。
【0027】
次に、加工処理システム1を構成するアプリケーションサーバ10の内部構成について説明する。
【0028】
アプリケーションサーバ10としては、例えば、メモリ及びプロセッサを有するコンピュータ(例えば、PCやワークステーション等)を用いて構築することができる。また、アプリケーションサーバ10としては、例えば、種々のWebサーバ向けのミドルウェア(例えば、Apacheやnginx等)の環境上でプログラム(例えば、HTML、RUBY、PHP、Python等を用いたプログラム)を実行することで実現することができる。
【0029】
この実施形態では、アプリケーションサーバ10に組み込まれるプログラム(実施形態に係る情報処理プログラム)には、図1に示す支援処理サービス部11が含まれるものとする。なお、この実施形態の情報処理プログラムに搭載するモジュールの組み合わせは上記の例に限定されないものである。
【0030】
アプリケーションサーバ10は、支援処理サービス部11及び注文処理部12を有している。
【0031】
支援処理サービス部11は、顧客端末30と連携して注文データの生成に係る支援処理等を行う。
【0032】
注文処理部12は、注文データに基づいて、加工事業者(加工事業者端末40)に注文処理等を行う。
【0033】
DBサーバ20は、DB処理部21及びデータ記録部22を有している。DBサーバ20としては、例えば、メモリ及びプロセッサを有するコンピュータ(例えば、PCやワークステーション等)を用いて構築することができる。
【0034】
データ記録部22は、DBサーバ20内での各処理で利用される各種データを記録するデータ記録手段である。
【0035】
DB処理部21は、アプリケーションサーバ10の要求(命令)に応じて、データ記録部22に記録された各データベースのデータ処理(例えば、データの更新や読出しの処理)を行う。DB処理部21は、例えば、ORACLE(登録商標)やMySQL(登録商標)等のDBMS(Database Management System)を用いて構築することができる。したがって、データ記録部22に記録する各データベースは、DB処理部21で対応するデータ構造で構成されている必要がある。
【0036】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する実施形態の加工処理システム1(実施形態に係る情報処理装置(情報処理プログラム)が行う情報処理方法、及び、実施形態に係る加工データ処理装置(加工データ処理プログラム)が行う加工データ処理方法を含む)の動作を説明する。
【0037】
まず、顧客端末30における動作について説明する。
【0038】
ここでは、顧客端末30には、CADソフトウェア31として、Rinoceros7がインストールされ、Rinoceros7上に支援処理部311に相当するプラグインがインストールされている場合の例について説明する。
【0039】
図2は、顧客端末30で表示されるCADソフトウェア31の編集画面(CADデータの編集画面)の例について示した図である。
【0040】
図2に示す編集画面では、編集中の3Dオブジェクト等を表示するためのするめのビューポートVP(表示フィールド)と、支援処理部311の機能実行(コマンド)を受け付けるためのボタン(以下、「コマンドボタン」と呼ぶ)が複数配置されたツールバーTBと、キャラクターベースでコマンド入力受付及びコマンド実行結果を表示するコマンドプロンプトCPが配置されている。
【0041】
ここでは、編集画面には、少なくとも表示フィールドVP、ツールバーTB、及びコマンドプロンプトCPが配置されているものとして説明するが、その他の要素(その他のツールバーやメニューバー等)が配置されていてもよい。
【0042】
ビューポートVPには、基準平面RP上に載置された椅子の形状がモデリングされたオブジェクトOB1が表示されている。
【0043】
ここでは、椅子のオブジェクトOB1は、5つ部材のオブジェクトOB1_1~OB1_5で構成されているものとする。
【0044】
板形状のオブジェクトOB1_1は座面を構成しており、オブジェクトOB_3~OB_5はそれぞれ座面を支持する脚を構成している。また、オブジェクトOB_2は、座面(OB1_1)の下側で、脚(オブジェクトOB_3~OB_5)を固定する梁を構成している。
【0045】
図3は、初期状態において、板形状のオブジェクトOB1_1から、座面のオブジェクトOB1_1を分解した状態(上方向に持ち上げた状態)について示した図である。
【0046】
座面のオブジェクトOB1_1は、底面OB1_1_DSが、各脚のオブジェクトOB1_3~OB1_5の上面OB1_3_US~OB1_5_USに載置されている。すなわち、座面のオブジェクトOB1_1は、底面OB1_1_DSが、各脚のオブジェクトOB1_3~OB1_5の上面OB1_3_US~OB1_5_USに接している。
【0047】
図4は、5つ部材のオブジェクトOB1_1~OB1_5の初期状態の形状について示した図である。
【0048】
ここでは、5つ部材のオブジェクトOB1_1~OB1_5は、それぞれ図3に示すような板面の板であるものとして説明する。なお、ここでは、5つ部材のオブジェクトOB1_1~OB1_5を構成する板厚は全て同じであるものとして説明する。
【0049】
ここでは、初期状板において、椅子のオブジェクトOB1は、顧客によりCADソフトウェア31の標準機能(支援処理部311を用いない場合の各機能)で編集(モデリング)されたものとする。
【0050】
次に、ツールバーTBに配置された各コマンドボタンの押下により実行される機能(以下、「支援機能」と呼ぶ)の例について説明する。
【0051】
ここでは、ツールバーTBには、5つのコマンドボタンCB1~CB5が配置されているものとする。
【0052】
ここでは、コマンドボタンCB1は、選択された部材同士が当接する部分に接合部(ジョイント部;例えば、ホゾとホゾ穴)を形成する機能(以下、「ジョイント形成機能」と呼ぶ)に対応しているものとする。また、ここでは、コマンドボタンCB2は、選択された部材について、板面が基準平面RP上に展開(以下、「平面展開」と呼ぶ)するように再配置する機能(以下、「平面展開機能」と呼ぶ)に対応しているものとする。さらに、ここでは、コマンドボタンCB3は、選択された部材で他の部材と当接する部分にオフセットを形成する機能(以下、「オフセット形成機能」と呼ぶ)に対応しているものとする。さらにまた、ここでは、コマンドボタンCB3は、選択された部材で他の部材と当接する部分にオフセットを形成する機能(以下、「オフセット形成機能」と呼ぶ)に対応しているものとする。また、ここでは、コマンドボタンCB4は、選択された部材で内角を形成する部分にフィレット(加工装置50に搭載されたミルを通過させるためのバッファとなる空間)を形成する機能(以下、「フィレット形成機能」と呼ぶ)に対応しているものとする。さらに、ここでは、コマンドボタンCB5は、選択された部材の処理についてアプリケーションサーバ10(支援処理サービス部11)と連携する機能(以下、「サーバ連携機能」と呼ぶ)に対応しているものとする。
【0053】
支援処理部311は、押下(マウス等のポインティングデバイスにより操作)されたコマンドボタンに応じた機能に対応する処理を実行する。支援処理部311は、各機能の処理にあたって、ユーザへの情報出力及びユーザからの情報入力受付にビューポートVP及びコマンドプロンプトCPを用いるものとする。支援処理部311は、各機能の処理にあたって、コマンドプロンプトCPを用いたキャラクターベースの対話型のユーザインタフェースを提供するものとする。また、支援処理部311は、ビューポートVPでの各オブジェクトの選択操作(例えば、マウスによるクリック操作等のポインティングデバイスによる操作)を受け付けることにより、処理対象のオブジェクト(部材)の選択を受け付けるものとする。
【0054】
まず、ジョイント形成機能の処理例について説明する。
【0055】
ここでは、ジョイント形成機能を用いて椅子のオブジェクトOB1にジョイント部を形成する処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
図5は、支援処理部311が行うジョイント形成機能の処理の例について示したフローチャートである。
【0057】
まず、図2の状態で、ジョイント形成機能のコマンドボタンCB1が操作(マウス等のポインティングデバイスにより操作)され、ジョイント形成機能の処理が開始したものとする。
【0058】
まず、支援処理部311は、ユーザからホゾを形成する側の部材(オス側の部材)の選択(ビューポートVP上での選択)を受け付ける(S101)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、オス側の部材の選択を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「オスの部材を選択してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0059】
次に、支援処理部311は、ユーザからホゾ穴を形成する側の部材(メス側の部材)の選択(ビューポートVP上での選択)を受け付ける(S102)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、オス側の部材の選択を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「メスの部材を選択してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0060】
次に、支援処理部311は、ユーザから選択された2つの部材の接合部(互いに当接する当接部)に形成するホゾ/ホゾ穴の数の入力(コマンドプロンプトCPに対する数字入力)を受け付ける(S103)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、ホゾ/ホゾ穴の数の入力を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「ホゾの本数を入力してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0061】
次に、支援処理部311は、形成するホゾの長さ(ホゾ穴の深さ)の入力(コマンドプロンプトCPに対する数字入力)を受け付ける(S104)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、ホゾの長さ(ホゾ穴の深さ)の入力を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「ホゾの長さを入力してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0062】
このとき、支援処理部311は、ホゾの長さ(ホゾ穴の深さ)の上限を、メス側の部材の板厚として入力を受け付けるようにしてもよい。例えば、メス側の部材の板厚が24mmであるとすれば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「ホゾの長さ(>=メス板の厚み24mm)」を入力してください」というメッセージを出力し、24mmより大きい値が入力された場合にエラー処理(例えば、再入力の要求やジョイント形成機能の処理を中止)するようにしてもよい。
【0063】
このとき、支援処理部311は、メス側の部材の板厚を認識する必要がある。例えば、支援処理部311は、メス側の部材において、オス側の部材との接合面と直交する方向の寸法をメス側の部材の板厚として認識するようにしてもよい。また、例えば、支援処理部311は、メス側の部材の外接直方体(当該部材について丁度収容可能な最小体積の直方体)を求め、さらに当該外接直方体のうち最も寸法の短い辺の寸法を当該部材の板厚と認識するようにしてもよい。
【0064】
ここでは、椅子のオブジェクトOB1を構成するそれぞれの部材は、基本的に所定の厚さの板(板材)から加工されることを前提とした形状にモデリングされているものとする。そこで、椅子のオブジェクトOB1を構成するそれぞれの部材について、外接直方体(当該部材について丁度収容可能な最小体積の直方体)を求め、さらに当該外接直方体のうち最も寸法の短い辺が当該部材を加工する際の板材の厚さ方向の寸法(板厚)と認識するようにしてもよい。
【0065】
図6は、椅子のオブジェクトOB1を構成する脚のオブジェクトOB1_3と、脚のオブジェクトOB1_3の外接直方体BBについて示した図である。
【0066】
図6の方から見て、外接直方体BBの幅、高さ、奥行きの寸法をそれぞれLW、LH、LDとした場合、図6において最も寸法が短いのは高さの寸法LHとなり、支援処理部311ではこれを板厚として認識することができる。
【0067】
次に、支援処理部311は、選択された2つの部材の接合部に形成するホゾ/ホゾ穴の設計処理(以下、「接合部設計処理」と呼ぶ)を行い(S105)、選択された2つの部材のオブジェクトに設計したホゾ/ホゾ穴を形成するように編集を行う(S106)。
【0068】
次に、支援処理部311が接合部設計処理を行う際の例について説明する。
【0069】
ここでは、ステップS101でオス側の部材として脚のオブジェクトOB1_5が選択され、ステップS102でメス側の部材として座面のオブジェクトOB1_1が選択されたものとして説明する。そうすると、支援処理部311は、脚のオブジェクトOB1_5と座面のオブジェクトOB1_1とが接する部分を接合部と認識する。これにより、支援処理部311は、脚のオブジェクトOB1_5の上面OB1_5_USの部分にホゾを形成し、座面のオブジェクトOB1_1で脚のオブジェクトOB1_5の上面OB1_5_USに接する部分にホゾ穴を形成することになる。
【0070】
なお、以下では、脚のオブジェクトOB1_5の上面OB1_5_USを接合面と呼ぶものとする。また、以下ではホゾを設計する際に、接合面で板面と並行となる方向を幅方向と呼び、接合面と直交する方向(ホゾが突出する方向)を長さ方向と呼ぶものとする。
【0071】
図7は、脚のオブジェクトOB1_5(上面OB1_5_US)にホゾを形成する際の設計例について示した図である。
【0072】
図7では、脚のオブジェクトOB1_5を板面の側から見た場合の図となっており、上面OB1_5_USの周辺を拡大して図示している。図7において、上面OB1_5_USの幅方向の寸法をW1と図示している。また、図7において、各オブジェクトを構成する板厚をD1と図示している。
【0073】
図7(a)は、初期状態における脚のオブジェクトOB1_5を図示しており、図7(b)は脚のオブジェクトOB1_5の接合面に、板厚と同じ長さD1のホゾを1本形成した場合の例について示した図であり、図7(b)は脚のオブジェクトOB1_5にホゾを2本形成した場合の例について示した図である。
【0074】
図7に示すように、接合面(上面OB1_5_US)では、幅方向で所定の間隔を空けてホゾが配置される。つまり、接合面(上面OB1_5_US)では、幅方向で、ホゾが配置されている部分(以下、「ホゾ部分」と呼ぶ)とホゾが配置されていない部分(以下、「非ホゾ部分」と呼ぶ)が交互に配置されることになる。
【0075】
ここでは、支援処理部311は、原則として接合面(上面OB1_5_US)の幅方向で、全てのホゾ部分と非ホゾ部分の幅は同じ幅に設計するものとする。また、ここでは、支援処理部311は、接合面(上面OB1_5_US)上で幅方向の両端部にはホゾ部分を配置しない(非ホゾ部分を配置する)ように設計するものとする。さらに、ここでは、支援処理部311は、ホゾの長さ(長さ方向の寸法)を、メス側の部材である座面のオブジェクトOB1_1の板厚(D1)と同じ寸法に設計するものとする。
【0076】
この場合、図7(b)に示すように、ホゾ数が1の場合、接合面(上面OB1_5_US)では一方の端部から順に、非ホゾ部分、ホゾ部分、非ホゾ部分と3つの要素が分布し、非ホゾ部分及びホゾ部分の幅方向の寸法はW1/3となる。また、この場合、図7(c)に示すように、ホゾ数が2の場合、接合面(上面OB1_5_US)では一方の端部から順に、非ホゾ部分、ホゾ部分、非ホゾ部分、ホゾ部分、非ホゾ部分と5つの要素が分布し、非ホゾ部分及びホゾ部分の幅方向の寸法はW1/5となる。
【0077】
なお、ここでは、支援処理部311は、ステップS103で形成するホゾ/ホゾ穴の数の入力を受け付ける構成として説明しているが、ステップS103の処理を省略して、自動的にホゾ/ホゾ穴の数を決定するようにしてもよい。例えば、支援処理部311は、接合面の幅に比例してホゾ/ホゾ穴の数を多く設定する処理(例えば、ホゾ/ホゾ穴の本数=W1/K1(余りは除外;K1は定数))としてもよいし、接合面の幅と当該部材のオブジェクトの板厚との比に応じて設定する処理(例えば、ホゾ/ホゾ穴の本数={(W1/板厚)*K2}(余りは除外;K2は定数))としてもよい。
【0078】
図8は、椅子のオブジェクトOB1に対して、支援処理部311によるジョイント形成機能を用いてホゾ/ホゾ穴を形成した状態について示した図である。
【0079】
図8(a)では、上述の図3と同様に、座面のオブジェクトOB1_1を分解した状態(上方向に持ち上げた状態)について示した図となっている。
【0080】
図8(a)では、各脚のオブジェクトOB1_3~OB1_5の上面OB1_3_US~OB1_5_USに、それぞれホゾT1~T3が形成されている。また、図8(a)では、座面のオブジェクトOB1_1に、ホゾT1~T3と対応する位置に、ホゾ穴H1~H3が形成されている。図8(a)では、各ホゾの長さは、座面のオブジェクトOB1_1の板厚と同じ(上限値)に設定されているため、各ホゾ穴は貫通孔となっている。
【0081】
図8(b)は、各脚のオブジェクトOB1_3~OB1_5の上面OB1_3_US~OB1_5_USの形成するホゾT1~T3の長さがいずれも座面のオブジェクトOB1_1の板厚よりも短い場合に、座面のオブジェクトOB1_1の底面OB1_1_DSに形成されるホゾ穴H1~H3について示した図である。図8(b)では、座面のオブジェクトOB1_1を底面OB1_1_DS側から見た場合の斜視図となっている。図8(b)に示すように、ホゾT1~T3の長さがオブジェクトOB1_1の板厚よりも短い場合、座面のオブジェクトOB1_1形成されるホゾ穴H1~H3は貫通しない穴(凹み)の状態となる。
【0082】
図9は、ジョイント形成機能を用いてホゾ/ホゾ穴が形成された後において、顧客端末30で表示されるCADソフトウェア31の編集画面(CADデータの編集画面)の例について示した図である。
【0083】
次に、平面展開機能の処理例について説明する。
【0084】
ここでは、ジョイント部が形成された椅子のオブジェクトOB1について平面展開する処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0085】
図10は、支援処理部311が行う平面展開機能の処理の例について示したフローチャートである。
【0086】
ここでは、図9の状態で、平面展開機能のコマンドボタンCB2が操作(マウス等のポインティングデバイスにより操作)され、平面展開機能の処理が開始したものとする。
【0087】
まず、支援処理部311は、ユーザから平面展開の対象となるオブジェクト(1又は複数の部材のオブジェクト)の選択(ビューポートVP上での選択)を受け付ける(S201)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、平面展開の対象となるオブジェクトの選択を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「パックする部材を選択してください。操作を完了するにはEnterボタンを押してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0088】
次に、支援処理部311は、選択された各部材のオブジェクトについて、どの面を加工前の板(板材)の板面(以下、「加工板面」とも呼ぶものとする)とするかを決定する(S202)。
【0089】
支援処理部311は、例えば、各部材のオブジェクトについて外接直方体(当該部材について丁度収容可能な最小体積の直方体)を求め、さらに当該外接直方体で最も短い辺(板の厚さ方向)と直交する平面のいずれかと接する面を加工板面とするようにしてもよい。また、支援処理部311は、例えば、各部材のオブジェクトで、最も広い面積の面を加工板面とするようにしてもよい。
【0090】
例えば、図6において、外接直方体で最も寸法が短いのは高さの寸法LHとなる。したがって、支援処理部311は、脚のオブジェクトOB1_3については、寸法がLHの辺に直交する2つの平面(図9における上面又と下面)のいずれかを加工板面と認識するようにしてもよい。支援処理部311は、寸法がLHの辺に直交する2つの平面から任意の平面(選択方法は限定されない)を加工板面として認識するようにしてもよい。ただし、凹み(例えば、貫通していないホゾ穴等;後述するポケット)が形成された部材については、当該凹みが形成された面が上側(基準平面RPを基準として上側)を向くように配置することが望ましい。
【0091】
次に、支援処理部311は、各部材のオブジェクトについて加工板面が並行となるように再配置(平面展開処理)する(S203)。この実施形態の例では、支援処理部311は、各部材のオブジェクトについて加工板面(又は加工板面と対向する面)を基準平面RPに載置するように配置(加工板面が上側を向くように基準平面RPに載置;加工板面と対向する板面が基準平面にRPに接するように載置)するようにするものとして説明する。
【0092】
図11は、椅子のオブジェクトOB1を構成する各部材のオブジェクトについて、平面展開した状態の例について示した図である。
【0093】
次に、オフセット形成機能の処理例について説明する。
【0094】
ここでは、平面展開された椅子のオブジェクトOB1の各部材に対してオフセット形成する処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。
【0095】
図12は、支援処理部311が行うオフセット形成機能の処理の例について示したフローチャートである。
【0096】
ここでは、図11の状態で、オフセット形成機能のコマンドボタンCB3が操作(マウス等のポインティングデバイスにより操作)され、オフセット形成機能の処理が開始したものとする。
【0097】
まず、支援処理部311は、オフセット形成機能の対象となるオブジェクト(1又は複数の部材のオブジェクト)の選択(ビューポートVP上での選択)を受け付ける(S301)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、オフセット形成の対象となるオブジェクトの選択を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「オフセットするサーフェースを選択してください。」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0098】
次に、支援処理部311は、オフセットする対象のホゾの長さ(対象のホゾを差し込む先のメス側の部材の板厚)の入力(コマンドプロンプトCPに対する数字入力)を受け付ける(S302)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、ホゾの長さ(オフセットする対象のホゾの長さ)や部材の板厚(対象のホゾを差し込む先のメス側の部材の板厚)の入力を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「部材の厚さを入力してください」や「ホゾの長さを入力してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。以下では、ステップS302で入力された寸法(ホゾの長さ又は部材の板厚)を「指定寸法」と呼ぶものとする。
【0099】
次に、支援処理部311は、ユーザから部材のホゾに形成するオフセットの寸法(以下、「オフセット値」と呼ぶ)の入力(コマンドプロンプトCPに対する数字入力)を受け付ける(S303)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、オフセット値の入力を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「オフセット値を入力してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0100】
次に、支援処理部311は、選択された部材に形成されたホゾ(例えば、ジョイント形成機能等により形成されたホゾ)を検索する処理(以下、「ホゾ検索処理」と呼ぶ)を行う(S304)。
【0101】
ここでは、支援処理部311は、選択された部材について、加工板面(二次元平面)上で、ホゾを形成する辺(長さ方向の辺)を検出する処理を行うものとする。
【0102】
図13は、支援処理部311が行うホゾ検索処理の例について示した図である。
【0103】
図13では、脚の部材のオブジェクトOB1_5について加工板面側から見た図について図示している。
【0104】
図13に示すように、脚の部材のオブジェクトOB1_5の上面OB1_5_USからホゾT1が突出している形状になっている。図13では、上面OB1_5_USの各頂点の位置(加工板面の外周部分の各頂点)を、時計回りにP101~P106と図示している。
【0105】
図13に示すように、一般的にホゾの長さ方向の辺(面)は、出隅(出っ張った角)と入隅(出隅と逆に凹んだ角)とに挟まれた辺(面)となる。例えば、図13では、P102、P105が入隅であり、P103、P104が出隅となる。ここでは、ホゾの長さについてユーザから指定寸法として入力を受け付けている。したがって、例えば、各部材の外周(加工板面の外周)上で、出隅と入隅に挟まれており、かつ、寸法が指定寸法と同一か近似する寸法(例えば、指定寸法±10%程度の寸法)の辺(面)はホゾの長さ方向を成す可能性が高いということになる。また、例えば、各部材の外周(加工板面の外周)上で、時計回り又は反時計回りに入隅、出隅、出隅、入隅という分布になっており、かつ、入隅と出隅の間に挟まれた辺(面)の寸法が指定寸法と一致するか近似する場合、対向する2辺/面(入隅と出隅に挟まれた辺/面)はホゾの長さ方向を成す可能性が高いということになる。以上のように、支援処理部311では、各辺について、寸法(板の外周上の寸法;加工板面の外周上の寸法)や両端(前後)の辺(面)と成す角度の組合せや分布(入隅と出隅の組合せや分布)に基づいてホゾ(ホゾの長さ方向を成す辺/面)を検出することができる。
【0106】
例えば、図13では、脚のオブジェクトOB1_5の上面OB1_5_USにおいて、P102~P105の間で時計回りに入隅、出隅、出隅、入隅という分布になっており、入隅と出隅に挟まれた辺/面の寸法はいずれもD1となっている。したがって、支援処理部311では、上記のような入隅、出隅の分布や入隅と出隅に挟まれた辺の寸法から、オブジェクトOB1_5については、P102、P103の区間の辺(面)とP104、P105の区間の辺(面)だけが、ホゾの長さ方向の辺(面)と推定することができる。オブジェクトOB1_5において、他に上記の条件に合致する辺(面)は存在しないためである。
【0107】
次に、支援処理部311は、選択されたオブジェクトの各ホゾ(各ホゾの長さ方向の辺/面)についてオフセット値に応じた距離の分移動(ホゾの幅を狭める方向に移動)させるように編集を行う(S305)。
【0108】
図14は、脚のオブジェクトOB1_5の上面OB1_5_USに形成されたホゾT1に対してオフセットを形成する処理について示した図である。
【0109】
図14(a)はオフセット処理する前のホゾT1の状態について図示しており、図14(b)はオフセット処理後のホゾT1の状態について図示している。W3はオフセット値に応じた幅(以下、「オフセット幅」と呼ぶ)の寸法を示しているものとする。ここでは、W3は「入力されたオフセット値」×「1mm」であるものとする。
【0110】
このとき、支援処理部311は、ホゾT1の側面(幅方向の面)について、ホゾ穴H1との篏合を緩める方向(例えば、図14に示すようにホゾT1の側面に対して直交する方向)とすることが望ましい。
【0111】
図14(a)に示すようにホゾT1の幅は当初W2であったが、図14(b)に示すようにオフセット処理によりホゾT1の両端部がW3ずつオフセットされ、幅「はW2-2*W3」となっている。
【0112】
次に、フィレット形成機能の処理例について説明する。
【0113】
ここでは、平面展開された椅子のオブジェクトOB1の各部材に対してフィレット形成する処理について、図15のフローチャートを用いて説明する。
【0114】
図15は、支援処理部311が行うフィレット形成機能の処理の例について示したフローチャートである。
【0115】
ここでは、オフセット形成処理の後、フィレット形成機能のコマンドボタンCB4が操作(マウス等のポインティングデバイスにより操作)され、フィレット形成機能の処理が開始したものとする。
【0116】
まず、支援処理部311は、フィレット形成機能の対象となるオブジェクト(1又は複数の部材のオブジェクト)の選択(ビューポートVP上での選択)を受け付ける(S401)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、フィレット形成の対象となるオブジェクトの選択を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「フィレットをかけるサーフェースを選択してください。」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0117】
次に、支援処理部311は、ユーザからフィレットの種類(フィレットの形成の仕方)の選択(例えば、コマンドプロンプトCPに対する種類に応じた文字の入力)を受け付ける(S402)。例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、フィレットの種類(例えば、フィレットの種類を特定するための文字)の入力を促すメッセージを出力するようにしてもよい。
【0118】
加工装置50(CNCルータ)で板材(板)を加工する際には円柱形状のミル(ビット、ドリル)を用いて切削が行われるため、切削する部材の形状によってはミルが通過する空間がなく切削不可能となってしまう場合がある。例えば、部材の板面で、所定範囲の内角(所定以下又は所定以上の内角)を成す頂点(入隅)部分にはミルの通過する空間が無く加工ができないため、当該頂点(入隅)部分にミルを通過させるためのフィレット(丸め)を形成する必要がある。部材を加工するために必要なフィレット(丸め)の半径は、加工装置50で用いられるミルの半径以上とする必要がある。例えば、支援処理部311は、各部材の各頂点(入隅)の内角が所定の範囲の場合(加工装置50で使用されるミルが通過する空間が不足する内角の場合)に当該頂点部分にフィレットを追加形成すると判断するようにしてもよい。例えば、ここでは、支援処理部311が形成するフィレットの半径は6.35mm/2(加工装置50で使用されるミルと同じ半径;ミルの径の半分)であるものとする。この場合、支援処理部311は、各部材(部材の板面)において、内角が30度以上かつ150度以下となる頂点部分(入隅部分)にフィレットを追加形成するようにしてもよい。なお、ここでは、支援処理部311において、加工装置50で使用されるミルの径(半径)については予め設定されているものとして説明する。
【0119】
ところで、加工装置50(CNCルータ)で板材(板)を加工する際のフィレットの付け方には、頂点を成す2つの辺にまたがってフィレットを形成するドッグボーンフィレットや、頂点を成す2つの辺のいずれか一方の部分についてのみフィレットを形成するTボーンフィレット等の種類が存在する。中でもTボーンフィレットには、いずれの辺にフィレットを形成させるかによって複数種類に分類される。
【0120】
図16は、支援処理部311で形成可能なフィレットの種類の例について示した図である。
【0121】
図16(a)はフィレット加工前の矩形のホゾ穴の形状を示している。図16(b)はホゾ穴の4隅にドッグボーン形式のフィレットを形成する方式(以下、「第1のフィレット形成方式」と呼ぶ)を適用した例について示している。図16(c)は、Tボーン形式で反時計回りとなる方向の面についてのみフィレットを形成する方式(以下、「第2のフィレット形成方式」と呼ぶ)を適用した例について示している。図16(d)は、Tボーン形式で時計回りとなる方向の面についてのみフィレットを形成する方式(以下、「第3のフィレット形成方式」と呼ぶ)を適用した例について示している。図16(e)は、Tボーン形式で図16(e)の方から見た場合に上下の辺にのみフィレットを形成してホゾ穴がH型となる方式(以下、「第4のフィレット形成方式」と呼ぶ)を適用した例について示している。図16(f)は、Tボーン形式で図16(f)の方から見た場合に左右の辺にのみフィレットを形成してホゾ穴がI型となる方式(以下、「第5のフィレット形成方式」と呼ぶ)を適用した例について示している。
【0122】
この実施形態では、支援処理部311は、上記の第1~第5のフィレット形成方式のいずれかの選択をユーザから受け付けて適用可能であるものとする。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「フィレットの種類を選んでください(dog=0,a=1,b=2,H=3,I=4)」というメッセージを出力し、入力された数字(0~4のいずれかの数字)により適用するフィレット形成方式を決定するようにしてもよい。ここでは、0~4の数字がそれぞれ第1~第5のフィレット形成方式に対応しているものとする。
【0123】
次に、支援処理部311は、選択された部材でフィレットを形成する対象となる部分を検索する(S403)。
【0124】
ここでは、支援処理部311は、各部材(部材の板面)において、内角が30度以上かつ150度以下となる頂点部分(入隅部分)をフィレットを形成する対象として検出するものとする。
【0125】
次に、支援処理部311は、検出された頂点部分のそれぞれに、所定半径(この実施形態では、径6.35mm)のフィレットを、ステップS402で選択された方式の位置に形成する編集を行う(S404)。
【0126】
図17は、支援処理部311が、図11の状態から、第4の方式(図16(e)参照)で、各部材にフィレットを形成した場合について示した図となっている。
【0127】
次に、サーバ連携機能の処理例について説明する。
【0128】
ここでは、平面展開された椅子のオブジェクトOB1の各部材に対してサーバ連携機能により注文(サーバへ送信)する処理について、図18のフローチャートを用いて説明する。
【0129】
図18は、支援処理部311が行うサーバ連携機能の処理の例について示したフローチャートである。
【0130】
ここでは、図17の状態で、サーバ連携機能のコマンドボタンCB5が操作(マウス等のポインティングデバイスにより操作)され、サーバ連携機能の処理が開始したものとする。
【0131】
まず、支援処理部311は、注文(サーバ送信)の対象となるオブジェクト(1又は複数の部材のオブジェクト)の選択(ビューポートVP上での選択)を受け付ける(S501)。
【0132】
例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、注文(サーバ送信)の対象となるオブジェクトの選択を促すメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、例えば、支援処理部311は、コマンドプロンプトCPに、「パッキングする部材を選択してください」や「注文する部材を選択してください」というメッセージを出力するようにしてもよい。
【0133】
次に、支援処理部311は、選択された各部材の形状を記述した形状データ、及び加工情報を含む構造物加工データ(注文する構造物を特定するデータ)生成する(S502)。
【0134】
支援処理部311は、各部材の形状について座標を並べた配列(配列式)を用いて構造物加工データを記述するものとする。例えば、支援処理部311は、各部材の外周(輪郭)の形状の座標をプロットして配列形式で記述したデータ(以下、「外周形状データ」と呼ぶ)と、各部材の内周(例えば、ホゾ穴等の貫通孔の形状)の形状の座標をプロットして配列形式で記述したデータ(以下、「内周形状データ」と呼ぶ)と、各部材の貫通していない穴/凹み(以下、「ポケット」と呼ぶ)の形状を記述したデータ(以下、「ポケット形状データ」と呼ぶ)を含むデータを形状データとして生成する。なお、ポケットが形成されていない部材だけで構成される場合には、形状データからポケット形状データを除外するようにしてもよい。
【0135】
ここで、内周及び外周の形状は、加工装置50において、ミルを板材に貫通させた状態で動かすパス(ツールパス)の一部に相当するものとする。したがって、外周形状データ及び内周形状データでは、高さ方向(Z軸の値)については捨象した2D座標系(X軸、Y軸)のみで記述するようにしてもよい。
【0136】
構造物加工データを記述する具体的な構造については限定されないものであるが、例えば、JSON(JavaScript Object Notation)やXML(EXtensible Markup Language)等の種々のデータ記述フォーマット(データ記述に適用可能なコンピュータ言語)を適用するようにしてもよい。
【0137】
図19は、構造物加工データ全体の構成例を示した図である。
【0138】
図19に示す構造物加工データには、N個の部材のそれぞれの形状データMD_1~MD_Nと、加工情報ADが含まれている。
【0139】
図20は、形状データと構造物加工データの内部構成の例について示した図である。
【0140】
図20(a)は形状データの内部構成について示しており、図20(b)は加工情報の内部構成について表形式で示している。
【0141】
図20(a)では、外周形状データは、外周の位置ごとの座標(2D座標)の配列で記述される。図20(a)では、外周の位置PO1、PO2、…の座標をそれぞれ(XO1,YO1)、(XO2,YO2)、…と図示している。
【0142】
図20(a)では、内周形状データは、内周ごと(貫通孔ごと)に区分けした配列で記述されている。例えば、図20(a)では、第1の内周形状の位置PI11、PI12、…の座標をそれぞれ(XI11,YI11)、(XI12,YI12),…と図示し、第2の内周形状の位置PI21、PI22、…の座標をそれぞれ(XI21,YI21)、(XI22,YI22),…と図示している。すなわち、内周形状データには、当該部材に形成されている貫通孔の数だけ内周形状の座標配列が記述されることになる。
【0143】
また、図20(a)では、ポケット形状データは、さらにポケットの深さごとのサブ形状データと、各サブ形状データに対応するポケットの深さを記述したポケット深さリストを有している。図20(a)では、ポケット深さリスト、第1のポケット深さのサブ形状データ、第2のポケット深さのサブ形状データ、…、が記載されている。
【0144】
ポケット深さリストは、第1のポケット深さDP1、第2のポケット深さDP2、…、と記述されている。ここでは、0<DP1<DP2<…と、ポケットの深さが浅い順に並べられているものとする。
【0145】
そして、各ポケット深さの形状データには、当該ポケット深さの外周形状(以下、「ポケット外周形状」と呼ぶ)を記述したポケット外周形状データと、当該ポケット深さの内周形状(以下、「ポケット内周形状」と呼ぶ)を記述したポケット内周形状データが含まれている。
【0146】
図21は、ポケット内周形状とポケット外周形状の例について示した図である。
【0147】
図21では、板面から円筒形状(ドーナツ形状)に凹んだ形状のオブジェクトOB2について図示している。図21の例では、当該円筒形状に凹んだ部分の外側の線(輪郭線)EXLがポケット外周形状となり、当該円筒形状(ドーナツ形状)に凹んだ部分の内側の線INLがポケット内周形状となっている。
【0148】
図20(a)では、第1のポケット深さのサブ形状データには、ポケット外周形状ごとに区分けされた配列と、ポケット内周形状ごとに区分けされた配列で記述されている。例えば、図20(a)の第1のポケット深さのサブ形状データでは、第1のポケット外周形状の位置PPO11、PPO12、…の座標をそれぞれ(XPO11,YPO11)、(XPO12,YPO12),…と図示し、第2のポケット外周形状の位置PPO21、PPO22、…の座標をそれぞれ(XPO21,YPO21)、(XPO22,YPO22),…と図示している。すなわち、サブ形状データでは、当該ポケット深さに形成された外周形状の数だけポケット外周形状の配列が記述されることになる。
【0149】
また、図20(a)では、第1のポケット深さのサブ形状データには、ポケット内周形状ごとに区分けされた配列と、ポケット内周形状ごとに区分けされた配列で記述されている。例えば、図20(a)の第1のポケット深さのサブ形状データでは、第1のポケット内周形状の位置PPI11、PPI12、…の座標をそれぞれ(XPI11,YPI11)、(XPI12,YPI12),…と図示し、第2のポケット内周形状の位置PPI21、PPI22、…の座標をそれぞれ(XPI21,YPI21)、(XPI22,YPI22),…と図示している。すなわち、サブ形状データでは、当該ポケット深さに形成された内周形状の数だけポケット内周形状の配列が記述されることになる。
【0150】
形状データにおいて、各外周形状及び内周形状をプロットする幅については限定されないものである。例えば、支援処理部311は、各外周形状及び内周形状において、直線部分については両端の座標(頂点部分の座標)をプロットし、曲線部分については所定間隔(例えば、1mm程度の間隔)でプロットした座標を形状データに反映させるようにしてもよい。
【0151】
図20(b)は、加工情報の内部構成の例について表形式で示した図である。
【0152】
加工情報には、形状データで記述された部材を加工装置50で加工する際に必要な情報(加工事業者の作業者が作業する際に必要となる情報)が含まれている。
【0153】
加工情報に記述する情報は、実際に加工事業者で必要となる情報が含まれていればよく、具体的な構成は限定されないものである。
【0154】
図20(b)の例では、加工情報には、板材のサイズ、板材の厚み、板材の材質、及びミル(加工装置50で用いられるミル)の径の情報が含まれている。
【0155】
支援処理部311において、加工情報を構成する各項目の情報は、予め設定されたデータを適用するようにしてもよいし、顧客から入力を受け付けた情報(顧客により変更された情報)を適用するようにしてもよいし、注文(サーバ送信)する対象の部材の構成に応じて決定するようにしてもよい。例えば、支援処理部311は、板材のサイズや板材の材質については、顧客から入力を受け付け(例えば、GUIやコマンドラインにより入力を受け付け)した内容を適用するようにしてもよい。また、例えば、支援処理部311は、注文(サーバ送信)する対象の部材の板厚を認識し、認識した板厚を加工情報の板材の厚みとして設定するようにしてもよい。なお、ここでは加工情報においてミルの径は予め設定された値に固定するものとするが、顧客の操作等により、可変とするようにしてもよい。
【0156】
注文(サーバ送信)する対象の部材に複数の板厚の部材が含まれる場合、支援処理部311は、注文(サーバ送信)する対象の部材を、板厚ごとにグループ分けし、各グループについて構造物加工データを生成するようにしてもよい。
【0157】
次に、アプリケーションサーバ10側の動作について図22のフローチャートを用いて説明する。
【0158】
図22は、アプリケーションサーバ10の支援処理サービス部11が、顧客端末30(支援処理部311及びWebブラウザ32)から、構造物加工データを取得して連携を開始した場合の動作について示した図である。
【0159】
まず、支援処理サービス部11は、顧客端末30(支援処理部311及びWebブラウザ32)から、構造物加工データを取得すると、構造物加工データに含まれる形状データに基づいて各部材の形状を認識してモデリングする(S601)。
【0160】
次に、支援処理サービス部11は、モデリングした画像を出力すると共に、板材の材質や操作画面(GUI)を顧客端末30(Webブラウザ32)側に提示して、加工データ生成開始の操作を受け付けたものとする(S602)。
【0161】
図23は、支援処理サービス部11が提示する加工データ生成開始を受け付ける操作画面の構成例について示した図である。
【0162】
支援処理サービス部11は、例えば、図23のような操作画面(を顧客端末30(Webブラウザ32)側に提示して、「加工データを生成」と表示されたボタンが押下された場合に、加工データ生成開始の操作を受け付けるようにしてもよい。また、図23に示すように、この操作画面で、材質や数量(注文する構造物の数量)を受付け可能とするようにしてもよい。
【0163】
次に、支援処理サービス部11は、加工情報に基づいて加工に用いられる板材の仕様を認識し、当該板材上に各部材をレイアウト(ネスティング)決定し、決定したレイアウトに基づいて、加工装置50で板材を切削するツールパス(ルート)を設計する(S603)。そして、支援処理サービス部11は、設計したツールパスに基づいて、加工装置50(CNCルータ)を制御するためのCAMデータを生成する(S604)。
【0164】
このとき、支援処理サービス部11において、レイアウト(ネスティング)、ツールパス設計、及びCAMデータ生成については、種々の方式を適用することができるので詳しい説明は省略する。
【0165】
例えば、支援処理サービス部11では、レイアウト(ネスティング)にオープンソースで利用可能なSVGNest(SVGNest.com)を適用するようにしてもよい。また、例えば、支援処理サービス部11では、ツールパスの設計及びCAMデータ生成にpyclipper(https://pypi.org/project/pyclipper/)等を適用するようにしてもよい。
【0166】
一般的に、CNCルータで板材から部品を切り取る加工を行う際には、各部材の外周形状の一部について完全に切り離さない部分(いわゆる「タブ」)を形成することで、安定的に加工(例えば、板材や部材のブレを抑制しながら加工)することができる。そこで、支援処理サービス部11は、ツールパス設計する際、各部材の外周部分の一部を完全に切り離さずにタブを形成するようにしてもよい。支援処理サービス部11によるタブ配置の設計方法(タブを配置する際のルール)については限定されないものであり、種々の設計法を適用することができる。また、例えば、支援処理サービス部11は、外周の一定距離ごとにタブを形成するようにしてもよい。また、例えば、支援処理サービス部11は、曲線部分や一定以下の寸法の直線部分にはタブを形成せず、一定以上の寸法の直線部分の一部にのみタブを形成するようにしてもよい。
【0167】
次に、支援処理サービス部11は、設計したツールパスに基づいて、切削を行った後の板材及びツールパスを3Dモデリングした3D画像を生成する(S605)。
【0168】
次に、設計したツールパスの長さに基づいた加工時間(加工装置50で加工した場合の加工時間)に基づいた加工費用及び材料費等の費用見積もりを実行する(S606)。
【0169】
支援処理サービス部11は、例えば、設計したツールパスの加工時間に、時間あたりの見積もり単価(例えば加工事業者や加工装置50に応じた単位時間(例えば、1分)あたりの単価)をかけることで加工費用を算出するようにしてもよい。例えば、時間あたりの見積もり単価K1、予想作業時間(ツールパスの長さに比例した時間)ET、算出すべき加工費用をC1とした場合、支援処理サービス部11は、C1=ET*K1を計算することで加工費用を算出することができる。
【0170】
また、支援処理サービス部11は、使用する板材の種類(例えば、材質、厚さ、サイズの組み合わせにより定まる種類)に応じた単価に、使用する板材の数をかけることで材料費を算出するようにしてもよい。例えば、使用する板材の種類に応じた単価をK2、使用する板材の数をEN、算出すべき材料費をC2とした場合、支援処理サービス部11は、C2=EN*K2を計算することで加工費用を算出することができる。
【0171】
なお、K1、K2については、あらかじめ支援処理サービス部11で保持(例えば、DBサーバ20にあらかじめマスターデータとして登録されたものを保持)するようにしてもよい。
【0172】
そして、椅子のオブジェクトOB1を板材から加工した構造物を売買する際の見積もりの合計金額をCTとした場合、支援処理サービス部11は、CT=C1+C2+α(αは税金や送料等のコスト)を計算することで合計金額CTを算出することができる。
【0173】
次に、支援処理サービス部11は、生成した3D画像や見積もり費用等を顧客端末30(Webブラウザ32)に送信して顧客に提示して注文を受け付ける操作を受け付ける(S607)。
【0174】
図24は、支援処理サービス部11が提示する加工依頼を受け付ける操作画面の構成例について示した図である。
【0175】
支援処理サービス部11は、例えば、図24のような操作画面を顧客端末30(Webブラウザ32)側に提示して、「加工依頼」と表示されたボタンが押下された場合に、注文を受け付けるようにしてもよい。
【0176】
図24の操作画面では、見積もりの合計金額CTを表示するためのフィールドF201が配置されている。これにより、顧客は、合計金額CTを確認した上で、今回の注文を行うか(加工依頼するか)否かを判断することができる。なお、図24の操作画面では、「条件を編集する」というボタンを設け、このボタンを押下されると、今回の加工依頼で使用する材料(板材の材質等)や数量の変更を受け付けることができるものとする。支援処理サービス部11は、材料や数量の変更を受け付けた場合は、変更後の内容に基づいて再度上述のステップS606の見積もり処理を実行しなおして、フィールドF201に表示する合計金額CTを更新するようにしてもよい。
【0177】
次に、支援処理サービス部11は、受け付けた注文に関するデータをDBサーバ20に登録する処理を行う(S608)。
【0178】
次に、アプリケーションサーバ10(注文処理部12)が加工事業者(加工事業者端末40)に、顧客から受けた注文(注文データ)に基づく構造物を構成する部材の加工を依頼する処理について説明する。
【0179】
図25は、加工事業者に顧客から受けた注文を依頼する処理の概要について示したフローチャートである。
【0180】
ここでは、まず、加工事業者端末40(Webブラウザ41)が加工事業者の操作に従って、アプリケーションサーバ10(注文処理部12)にアクセスしたものとする。そして、アプリケーションサーバ10(注文処理部12)は、加工事業者端末40(Webブラウザ41)から、加工処理する注文を選択するための操作画面(以下、「注文選択画面」と呼ぶ)へのアクセスを受け付け、加工事業者端末40(Webブラウザ41)からの要求に応じて注文選択画面で、加工処理を行う注文の選択を受け付けたものとする(S701)。
【0181】
注文の選択を受け付けると、加工事業者端末40(Webブラウザ41)は、加工事業者端末40(Webブラウザ41)で選択された注文の注文データをダウンロードする(S702)。
【0182】
これにより、加工事業者端末40では、加工装置50に板材(注文データで指定された板材)をセットして注文された構造物(棚SH)を構成する各部材を切削させるために必要なデータが揃うことになる。
【0183】
その後、オペレータ(加工事業者)の操作により、加工事業者端末40の加工装置制御部42に、ダウンロードした注文データに含まれる加工データがセットされ、さらに加工装置50に板材(注文データで指定された板材)がセットされると、加工装置50により注文データに基づく構造物を構成する部材が切削される(S703)。
【0184】
以上のように、加工事業者のオペレータは、加工事業者端末40及び加工装置50を用いて注文データに基づく構造物を構成する部材を加工(製造)することができる。
【0185】
(A-3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0186】
上記の実施形態では、顧客端末30のCADソフトウェア31上に支援処理部311がプラグインされていることにより、接合部(ジョイント部)、オフセット、フィレット等の加工装置50で構造物の部材を加工する際に必要となる構造について容易に編集することができる。
【0187】
また、上記の実施形態では、支援処理部311のサーバ連携機能により、CADデータに基づく変換処理(例えば、ネスティング、ツールパス設計、CAMデータの生成処理等)については、容易にアプリケーションサーバ10側へ引き継がれるため、顧客端末30側に必要となるソフトウェアはCADソフトウェア31とWebブラウザ32のみで良いことになる。これにより、顧客端末30では、低コストかつ容易な操作で本格的な構造物の設計環境を提供することが可能となる。
【0188】
さらに、この実施形態の加工処理システム1では、アプリケーションサーバ10側で見積もりの合計金額CTを算出してWebブラウザ32の操作画面(GUI)で顧客に提示しているため、見積もり作業まで顧客側の操作だけで完結することができる(見積もりを加工事業者に依頼する必要がない)。また、顧客は、構造物の製作にかかるコスト(合計金額CT)を確認しながら設計することができるため、利便性が高くなる(例えば、予算の都合による作業の手戻りの影響を小さくすることができる)。
【0189】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0190】
(B-1)上記の実施形態では、構造物の組み立ては顧客側で行う例について説明したが、構造物の組み立てを加工事業者側で行う前提としてもよい。
【0191】
(B-2)上記の実施形態のアプリケーションサーバ10では、加工事業者に注文データを提供する際に、加工事業者端末40からのアクセスを受けているが、アプリケーションサーバ10から加工事業者へ注文データを提供する方法は限定されないものである。例えば、アプリケーションサーバ10は、単に加工事業者のメールアドレス等に注文データを送信することで、注文データを加工事業者に提供するようにしてもよい。
【0192】
(B-3)上記の実施形態において、支援処理部311は、ジョイント形成機能により形成したホゾの部分を管理(例えば、部材のオブジェクトを構成するサブオブジェクトとして管理)し、オフセット形成の際にホゾのサブオブジェクトの有無を検索し、検出されたホゾのサブオブジェクトについてオフセット形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0193】
1…加工処理システム、10…アプリケーションサーバ、11…支援処理サービス部、12…注文処理部、20…DBサーバ、21…DB処理部、22…データ記録部、40…サービス提供事業者端末、41…Webブラウザ、42…加工装置制御部、30…顧客端末、31…CADソフトウェア、311…支援処理部、32…Webブラウザ、40…加工事業者端末、41…Webブラウザ、42…加工装置制御部、50…加工装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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