(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ショッピングカート管理システム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240920BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240920BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G07G1/12 321M
G06Q30/0207
G07G1/00 301Z
(21)【出願番号】P 2021155910
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2017135263の分割
【原出願日】2017-07-11
【審査請求日】2021-10-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2017028648
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】津川 透乃
(72)【発明者】
【氏名】高木 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】菊池 孝利
(72)【発明者】
【氏名】太田 宏一
(72)【発明者】
【氏名】山田 譲
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】野崎 大進
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-026542(JP,A)
【文献】特開平10-238149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 -1/12
G06Q 30/0207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショッピングカートを利用する顧客の顧客ID情報と、前記ショッピングカートに取り付けられた電子タグのカートID情報とが、関連付けて記憶されている顧客情報管理装置と、
前記ショッピングカートの保管場所内
にある複数のショッピングカートの電子タグとそれぞれ
定期的に双方向通信し、
前記電子タグから返信があったか否かの通信結果を前記顧客情報管理装置に送信する検知器と、を備え、
前記顧客情報管理装置は、前記通信結果から、返信が確認されなくなった後に再び返信が確認された電子タグにより特定されるショッピングカートを前記保管場所に入庫したショッピングカートと判断し、当該ショッピングカートの電子タグの前記カートID情報に関連付けられた前記顧客ID情報の顧客に対し、特典を付与するように記録する、
ショッピングカート管理システム。
【請求項2】
ショッピングカートを利用する顧客の顧客ID情報と、前記ショッピングカートに取り付けられた電子タグのカートID情報とが、関連付けて記憶されている顧客情報管理装置と、
前記ショッピングカートの保管場所内
にある複数のショッピングカートの電子タグとそれぞれ
定期的に双方向通信し、
前記電子タグから返信があったか否かの通信結果から、返信がなかった後に返信があった電子タグにより特定されるショッピングカートを前記保管場所に入庫したショッピングカートと判断し、当該ショッピングカートの電子タグのカートID情報を前記顧客情報管理装置に送信する検知器と、を備え、
前記顧客情報管理装置は、前記検知器から受信した前記カートID情報に関連付けられた前記顧客ID情報の顧客に対し、特典を付与するように記録する、
ショッピングカート管理システム。
【請求項3】
前記検知器は、太陽電池や、前記太陽電池の余剰電力を蓄積するバッテリによって駆動される、請求項1又は2に記載のショッピングカート管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の店舗で使用されるショッピングカートの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットや量販店等で使用されるショッピングカートは、重たい荷物でも手軽に運べるために、店舗外や駐車場等にそのまま放置されることがある。そのため、これらの店舗では、放置されたカートの回収に努めているが、それでも、放置されたカートによって駐車場でトラブルを引き起こすこともある。
【0003】
そうした問題の解消も兼ねて、最近では、下記特許文献1に示すように、情報処理端末を備えたショッピングカートに電子マネーを記憶したRFIDチップを搭載する技術が開発されている。このショッピングカートでは、高価なカートの紛失を防止するために、電子マネー媒体(RFID)から所定金額がデポジットとして引き落とされたことを条件にロックが解除されて保管場所からショッピングカートを引き出すことができ、ショッピングカートが元の場所に戻されると、引き落とされた金額が電子マネー媒体に戻されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のショッピングカートに適用されている技術を利用することにより、正しく保管場所に返却されずに放置されるショッピングカートを減らす一定の効果があると考えられる。しかしながら、店舗側にとってはメリットがあるものの、顧客にとってはショッピングカート使用開始時に預けたデポジットが返却されるだけであり、特にメリットがない。むしろ、事前に電子マネー媒体および電子マネーを別途購入した状態でなければ利用できないことから、顧客にとっては利便性が悪いという不都合(デメリット)がある。さらに、店舗側にとっても、情報処理端末を搭載した高価なショッピングカートは、導入が難しいという不都合(デメリット)があるから、広く普及するまでには至っていない。しかしながら、従来から行われているように、ショッピングカート回収用の作業員を配置する場合にも経費(作業員の人件費)が掛かるので、店舗側にとっては、この種の放置されているショッピングカートをどのようにすれば無くすことができるかが積年の課題であった。
【0006】
本発明は、この課題を解決せんとするもので、この発明の1つの目的は、僅かな設備投資でショッピングカートの放置を抑制することができ、しかも、店舗側にとっても顧客側にとってもメリットを見出すことができるショッピングカート管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるショッピングカート管理システムは、ショッピングカートを利用する顧客の顧客ID情報及び前記ショッピングカートのカートID情報が関連付けて記憶されている顧客情報管理装置と、
保管場所内の複数の前記ショッピングカートのそれぞれに取り付けられた電子タグと繰り返し交信して、返信があったか否かの通信結果を前記顧客情報管理装置に送信する検知器と、を備え、
前記顧客情報管理装置は、前記通信結果から、返信がなかった後に返信があった前記電子タグのショッピングカートを前記保管場所に入庫したと判断し、当該入庫したショッピングカートの前記カートID情報に関連付けられた前記顧客ID情報の顧客に対し、特典を付与するように記録することを特徴とする。
【0008】
ショッピングカートの保管場所には、各ショッピングカートの電子タグと通信して、各電子タグから各カートID情報を取得する検知器が設けられる。そして、ショッピングカートが保管場所に戻され、検知器が、入庫と判断したショッピングカートのカートID情報が顧客情報管理装置に送信されると、顧客情報管理装置は、受信したカートID情報に関連付けられた顧客ID情報の顧客に対し、特典を付与する。これにより、特典が付与されることがインセンティブ(メリット)となるため、顧客(ショッピングカートの利用者)に、使用したショッピングカートを保管場所に正しく戻させるように促すことができる。すなわち、ショッピングカートが保管場所に戻されずに放置されることを抑制することができる。さらに、店舗側にとっては、比較的廉価な電子タグをショッピングカートに取り付けることにより、放置されているショッピングカートの回収要員を配置しなくても済むので、経費節減となる。また、このシステムの導入によって、ショッピングカートの返却により付与される特典を目当てとしたカード会員を増やすことができる。また、将来、ショッピングカートに高価な情報端末機器を搭載する場合でも、このショッピングカート管理システムをベースに展開できるので、さらに高度なサービスを顧客に提供する際にも、本発明によるショッピングカート管理システムを発展的に利用することができる。
【0009】
具体的には、電子タグは、RFタグ、ICタグ、無線タグ等と称されるもので、電波(電磁波)を用いて内蔵のメモリに記録されたID情報を非接触で通信する媒体である。この電子タグには、電池を内蔵して自ら通信するアクティブタグと、リーダからの電波を電力に変換して通信するパッシブタグと、電池を内蔵し、上位システムとの通信をパッシブ方式で行うセミアクティブタグと、がある。ここでは、どのタイプの電子タグでも利用可能であるが、至近距離で通信可能となるパッシブタグの場合は、ショッピングカートに取り付ける電子タグと、ID情報を読み取るリーダとの距離を近づけるために、電子タグを例えばショッピングカートの脚部に取り付け、リーダのアンテナを保管場所や精算カウンターの床等に敷設若しくは埋設しておく。このような電子タグは、極めて廉価であるため、店内の全てのショッピングカートに取り付けても、十分採算が取れるものとなる。
【0010】
なお、ショッピングカートのカートID情報と顧客ID情報の関連付けは、そのショッピングカートが保管場所に戻されると、顧客情報管理装置がクリアするように構成する。これにより、ショッピングカートの使用と特典の付与とを一対一に対応させることが可能となる(重複する特典、又は無用な特典の付与はされない)。また、ショッピングカートが保管場所に戻された後に子供の悪戯等によって持ち出され、再び保管場所に戻されたとしても通常の入出庫とは区別される(重複する特典、または無用な特典の付与はされない)。
【0011】
以上のことから、本発明のショッピングカート管理システムは、僅かな設備投資でショッピングカートの放置を抑制することができ、しかも、店舗側にとっても顧客側にとってもメリットを見出すことができる管理システムを提供することができる。
【0012】
なお、使用されたショッピングカートが他の保管場所に戻された場合でも、それを入庫として検知し、特典を付与する。すなわち、ショッピングカートが出庫された保管場所とは異なる保管場所に返却されても同一の動作が行われる。
【0013】
上記一の局面によるショッピングカート管理システムにおいて、好ましくは、顧客情報管理装置は、リーダが読み取ったカートID情報と顧客ID情報とを、顧客が購入商品を精算する際に関連付けるように構成する。このように構成すれば、商品を購入していない顧客に対しては、カートID情報と顧客ID情報とが関連付けられていないため、特典を不正に取得する目的でショッピングカートを複数回または複数台入出庫する顧客に対して、重複する特典、または無用な特典を付与することを抑制することができる。また、精算時に顧客が提示する会員証から(たとえば、精算機に設けられたリーダに会員証がかざされた際に)顧客IDを取得するので、ショッピングカートの入庫時には、カートID情報のみを読み取れば特典の付与ができる。したがって、入庫時に顧客が会員証等を提示する手間が不要となり、顧客の利便性を向上させることができる。
【0014】
具体的には、顧客が購入商品の積まれたショッピングカートを精算カウンターに持ち込むと、精算カウンターに設置されたリーダが、ショッピングカートの電子タグからID情報を読み取る。このリーダは、RFID(Radio Frequency Identification)の利用分野では、リーダ/ライタと言われるものであるが、本発明では、ライタ機能は必須ではないので、ここではリーダ機能を備えたもので足りる。もちろん、ライタ機能があっても構わない。このリーダが電子タグからID情報を読み取ると、それを顧客情報管理装置に送信する。
【0015】
この場合、好ましくは、顧客情報管理装置は、精算時に顧客の購入金額に応じてポイントを自動計算し、計算されたポイントを顧客ID情報に紐付けされた顧客の獲得ポイントに加算するように構成されている。ここで、会員証から顧客のIDを読み取るカードリーダが接続された装置は、会員証が利用できる店舗では、既に広く導入されている。この既存の装置に対して、電子タグから読み取ったカートID情報と顧客ID情報とを関連付けて記憶する機能と、ショッピングカートが保管場所に戻されたことを条件にその顧客に特典を付与するように記録する機能と、を追加することは、全ての装置(設備)を一から構築することに比べると容易である。したがって、ショッピングカート管理システムを新たに導入する店舗側にとっては、既存の装置(設備)に、ショッピングカートの入庫を確認するための検知器およびリーダを設置(増設)することや、上記の機能が追加されるようにソフトウェアをバージョンアップする、または、新たなソフトウェアを導入することのみにより対応することができる。したがって、上記のように構成することにより、設備投資を抑えたショッピングカート管理システムとすることができるというメリットがある。また、顧客側にとっては、既存の会員証(ポイントカード等)をそのまま利用することができるため、余分なカード等を新たに持ち運ぶ必要がないというメリットがある。
【0016】
上記一の局面によるショッピングカート管理システムにおいて、好ましくは、顧客情報管理装置は、カートID情報に顧客ID情報が既に関連付けられている場合に、新たに読み取った顧客ID情報が既に関連付けられている顧客ID情報が一致せず、かつ、一致しない顧客ID情報と関連付けられていたカートID情報により特定されるショッピングカートが保管場所に入庫されたことを条件として、新たに読み取った顧客ID情報に紐付けされた顧客に対し、通常とは異なる特典を付与するように構成されている。このように構成すれば、通常とは異なる特典がインセンティブとなるため、前に使用していた顧客により保管場所に返却されずに放置されているショッピングカートを、別の顧客(異なる顧客ID情報と紐づけされた顧客)に使用させ、保管場所に返却させるように促すことができる。したがって、ショッピングカートが保管場所に戻されずに放置されることをさらに抑制することができる。
【0017】
具体的には、駐車場等に放置されたショッピングカートをそのまま店内に持ち込んで利用する顧客に対して獲得できる特典を倍増する等すれば、放置されたショッビングカートの顧客による回収を促すこともできる。たとえば、放置されたショッピングカートの電子タグのカートID情報が精算カウンターで読み取られると、そのカートID情報に紐付けされた前の顧客の顧客ID情報と、会員証から読み込まれた新たな顧客のIDとが相違するから、そのショッピングカートは、保管場所に戻されずに後の客に再利用されたものと判別することができる。そうした場合は、そのカートの電子タグのカートID情報と後の客の顧客ID情報と、を紐付けておき、精算後にそのショッピングカートが保管場所に戻されると、後の客に対し、たとえば、通常より2倍の特別な特典を付与するように処理する。これにより、駐車場に放置されるショッピングカートは減り、そうした放置されているショッピングカートの回収要員も不要となるから、店舗側にとっても顧客側にとってもメリットを見出すことができるシステムとなる。
【0018】
なお、放置されたショッピングカートを精算カウンターに持ち込まずに(自身の買い物に使用せずに)、そのまま保管場所に戻すだけでも特典が貰えるように構成することも可能である。この場合、たとえば、ショッピングカートの保管場所にリーダを設置する。具体的には、別の顧客の顧客ID情報と関連付けられた状態で放置されたショッピングカートを保管場所に戻すだけの場合、保管場所に設置されたカードリーダに会員証の顧客ID情報を読み取らせた後、放置されたショッピングカートを保管場所に戻すように予めルールを定めておく。また、検知器は、戻されたショッピングカートのカートID情報を読み取って顧客情報管理装置に送信する。これにより、顧客情報管理装置は、保管場所のカードリーダが読み取った後の顧客の顧客ID情報と、保管場所に戻されたショッピングカートのカートID情報に関連付けられた元の顧客の顧客ID情報と、が一致するか否かにより、戻されたショッピングカートが放置されていたか否かを判別することができる。この際、リーダから読み取った新たな顧客ID情報に紐づけされている後の顧客に対して、たとえば、二倍の特別な特典を付与する。このような構成により、放置されたショッピングカートの顧客による回収を積極的に促すことができる。
【0019】
また、ショッピングカートを特定する電子タグのID情報と、そのID情報に紐付けされた顧客のID情報は、そのショッピングカートが保管場所に戻されたときに、顧客ID情報とカートID情報との関連付けがクリアされるようになっている。これにより、正しく返却されたカートが利用された場合には顧客ID情報の不一致が起こらないので、放置されたカートが再利用されたものか否かを識別することができる。
【0020】
上記一の局面によるショッピングカート管理システムにおいて、好ましくは、検知器を保管場所の出入口の外側において電子タグからカートID情報を読み取る外側リーダと、出入口の内側において電子タグからカートID情報を読み取る内側リーダと、を含み、外側リーダがカートID情報を読み取り、続いて内側リーダが同じカートID情報を読み取った場合に、カートID情報により特定されるショッピングカートが保管場所に入庫されたと判断するように構成されている。このように構成すれば、内側リーダと外側リーダとにより、保管場所の出入り口において、ショッピングカートが外側から内側に入ってきたことを検知することが可能となるので、ショッピングカートの入庫を正しく判断することができる。
【0021】
具体的には、たとえば、電子タグのID情報を読み取る検知器として内側リーダおよび外側リーダの2つ設け、保管場所の出入口の内側リーダと外側リーダとを近接配置し、出入口より外側リーダがカートID情報を読み取った後、内側リーダが同じカートID情報を読み取ると、そのカートID情報で特定されるショッピングカートは、保管場所に入庫されたと判断する。また、それとは逆に、内側リーダがカートID情報を読み取った後、外側リーダが同じカートID情報を読み取ると、そのショッピングカートは、保管場所から持ち出された(出庫された)と判断してもよい。なお、保管場所が複数箇所設けられている場合には、それぞれの保管場所において、検知器は、ショッピングカートの入庫を検知する。
【0022】
この場合、好ましくは、検知器は、太陽電池パネルが設けられ、太陽電池パネルによって生じた電力を用いて駆動するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、検知器が屋外に設置されているために屋内から電力供給を受けることが困難である場合にも、検知器を駆動することができる。
【0023】
なお、太陽光パネルに加えてさらにバッテリを設けることにより、曇りの日や日没後にも検知器を駆動することが可能となる。
【0024】
上記一の局面によるショッピングカート管理システムにおいて、好ましくは、検知器は、所定の範囲内にあるショッピングカートに取り付けられた電子タグと定期的に双方向通信するとともに、顧客情報管理装置に通信結果を送信し、顧客情報管理装置は、通信結果から、返信が確認されなくなった電子タグにより特定されるショッピングカートを出庫されたと判断し、返信が確認されなくなった後に再び返信が確認された電子タグにより特定されるショッピングカートを入庫されたと判断するように構成されている。このように構成すれば、ショッピングカートの保管場所に専用の出入口を設け難い場合にも、ショッピングカートの入庫(および出庫)を判断することができる。
【0025】
具体的には、保管場所にある全ショッピングカートの電子タグと通信する検知器(双方向通信可能な検知器)を設けておき、その検知器で、保管場所にある全ショッピングカートの電子タグのカートID情報を記憶しておく。そして、定期的な交信によっていずれかの電子タグから返信がなくなると、その電子タグにより特定されるショッピングカートは、出庫されたと判断し、記憶したカートID情報に出庫フラグを紐付けて記憶しておく。その後、ショッピングカートが保管場所に戻されて、そのショッピングカートの電子タグと交信できるようになると、検知器は、その電子タグのカートID情報に出庫フラグが紐付けされているか否かを確認し、出庫フラグが紐付けされていれば、その電子タグにより特定されるショッピングカートは、保管場所に戻されたと判断して(入庫として検知するようにして)もよい。こうしてショッピングカートの入庫が検知されると、検知器は、そのときに読み取ったカートID情報を顧客情報管理装置に送信する。
【0026】
一方、顧客情報管理装置は、検知器(双方向通信可能な検知器)から送信されたカートID情報と顧客の会員証から読み取った顧客ID情報とを関連付けて記憶しておく。そして、精算後に、そのカートID情報で特定されたショッピングカートが保管場所へ入庫されたことが検知器から報告されると、顧客情報管理装置は、カートID情報と関連付けられている顧客ID情報に紐付けされた顧客に対し特典を付与することができる。
【0027】
上記一の局面によるショッピングカート管理システムにおいて、好ましくは、特典の付与は、新たなポイントの付与、クーポン券や割引券の付与、または、支払に適用することができる割引サービスの付与のうち少なくとも1つを含む。これにより、顧客に次の来店を促すとともに、ショッピングカートの保管場所への返却を強く促すことができる。
【0028】
具体的には、顧客がすでに獲得しているポイントカードにポイントが加算されたり、(紙媒体の)クーポン券や割引券がその場で、または次回精算時に発行されたり、次回精算時の会計から所定の金額が割引されるようになっている。なお、これらのポイントやクーポン券は、スマートフォン等にインストールされたアプリケーション上で発行(付与)されるものを含んでもよく、web上で確認できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、上記のように、僅かな設備投資でショッピングカートの放置を抑制することができ、しかも、店舗側にとっても顧客側にとってもメリットを見出すことができるショッピングカート管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るショッピングカート管理システムの第1実施形態の構成概略図。
【
図2】本発明に係るショッピングカート管理システムの第2実施形態の構成概略図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
(第1実施形態の構成)
以下、本発明の第1実施形態を図面(
図1)に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態の構成概略図を示す。
図1に示すように、ショッピングカート管理システム100は、顧客ID情報を有し、顧客が店内で利用する会員証1と、カートID情報が記憶された電子タグ2と、各々異なるカートID情報の電子タグ2が個々に取り付けられた複数台のショッピングカート3と、ショッピングカート3の保管場所Pにおいて、電子タグ2からカートID情報を読み取ってショッピングカート3の入庫を検知する検知器4と、精算カウンター(保管場所P以外の場所)において、ショッピングカート3に取り付けられた電子タグ2からカートID情報を読み取る電子タグリーダ5と、電子タグリーダ5が読み取ったカートID情報と会員証1から読み取られた顧客ID情報とを関連付けて記憶する顧客情報管理装置6とを備えている。また、屋外にある検知器4には、太陽電池パネルE1とバッテリE2が設けられている。なお、保管場所Pは複数箇所あり、それぞれに検知器4が設けられている。
【0033】
会員証1は、店舗側が顧客に発行する専用のICカードであって、商品購入時にそれを提示することでポイントサービスが受けられるものである。したがって、精算カウンターには、精算用POSレジスタ7(精算機)とともに、会員証1から顧客ID情報を読み込んだり、獲得ポイントを書き込んだりする会員証リーダ/ライタ8が設置される。そして、会員証リーダ/ライタ8から読み取った顧客のIDは、顧客情報管理装置6に送信されて記憶される。また、会員証1は専用のカード以外でもIC,磁気、バーコード、QRコード(登録商標)などにより顧客を識別する会員証1、各社共通のポイントカード、マイナンバーカード、スマートフォンのアプリケーションなどでもよい。
【0034】
電子タグ2は、ショッピングカート3の脚部のケース内に組み込まれたセミアクティブタグで構成されている。この電子タグ2は、所定の通信領域に入ると、その領域に設けられた後述の検知器4および電子タグリーダ5からの電波に反応して内蔵メモリに登録されたカートID情報を検知器4および電子タグリーダ5に送信するようになっている。
【0035】
電子タグ2のカートID情報は、個々に割り当てられた固有のコードである。したがって、これをショッピングカート3に取り付けることにより、個々のショッピングカート3が電子タグ2のカートID情報によって識別されるようになっている。
【0036】
検知器4は、電子タグ2からカートID情報を読み取ってショッピングカート3が保管場所Pに入庫されたか出庫されたかを検知するようになっている。具体的には、検知器4は、保管場所Pの出入口の外側において電子タグ2と通信する外側リーダ40と、出入口の内側において電子タグ2と通信する内側リーダ41と、各検知器(外側リーダ40、内側リーダ41)と交信するコントローラ42とで構成されている。
【0037】
外側リーダ40のアンテナは、出入口外側の一点鎖線で囲む通信領域R1に配置され、その通信領域R1に電子タグ2が侵入すると、外側リーダ40は、電子タグ2からカートID情報を読み取ってコントローラ42に送信する。また、内側リーダ41のアンテナは、出入口の内側の一点鎖線で囲む通信領域R2に配置され、その通信領域R2に電子タグ2が侵入すると、内側リーダ41は、電子タグ2からカートID情報を読み取ってコントローラ42に送信するようになっている。各検知器(外側リーダ40、内側リーダ41)のアンテナは、一点鎖線で囲む通信領域R1,R2の床に埋設したり、マットに組み込んで設置したりすることができる。
【0038】
コントローラ42は、外側リーダ40が読み取ったカートID情報を受信した後、内側リーダ41から同じ(識別番号等が同一の)カートID情報を受信すると、そのカートID情報で特定されるショッピングカート3が保管場所Pに入庫されたと判断する。また、内側リーダ41がカートID情報を読み取った後、外側リーダ40が同じID情報を読み取ると、今度は、そのカートID情報で特定されたショッピングカート3が保管場所Pから持ち出されたと判断する。こうして検知器4がショッピングカート3の入庫を検知すると、読み取られたID情報は、コントローラ42から顧客情報管理装置6に送信される。
【0039】
また、太陽電池パネルE1は、太陽光を電力に変換し、検知器4を駆動する。また、バッテリE2は、太陽電池パネルE1から生じた余剰の電力を蓄電しておき、日没後や雨天時に検知器4を駆動する。
【0040】
精算カウンターには、電子タグ2のカートID情報を読み取る電子タグリーダ5が設置される。精算カウンターの通路の床に示す一点鎖線で囲む領域は、電子タグリーダ5のアンテナを埋設した領域である。この領域にアンテナが組み込まれたマットを敷設しても良い。この領域の上にショッピングカート3の電子タグ2が侵入すると、その電子タグ2のカートID情報が電子タグリーダ5に読み取られ、読み取られたカートID情報は、そのまま顧客情報管理装置6に送信されるようになっている。
【0041】
顧客情報管理装置6は、サーバで構成され、精算時の顧客の購入金額に応じてポイントを自動計算し、それを会員証1の顧客ID情報で特定された顧客の獲得ポイントに加算するようになっている。それに加え、さらに電子タグリーダ5から送信されたカートID情報と、会員証リーダ/ライタ8から読み取った顧客ID情報とを関連付けて記憶しておき、精算後にそのカートID情報で特定されたショッピングカート3が保管場所Pへ戻されたことが検知器4から報告されると、顧客情報管理装置6は、そのカートID情報と関連付けられた顧客ID情報に紐付けられる顧客に特典を付与するように記録する。これにより、次回来店時には、付与された特典ポイントが顧客の会員証1(またはクラウド上の)に記録される。なお、カートID情報で特定されたショッピングカート3が保管場所Pに戻されると、そのカートID情報と顧客ID情報との関連付けは、クリアされるようになっている。
【0042】
ところで、駐車場等に放置されたショッピングカート3がそのまま店内に持ち込まれて利用される場合がある。そうした場合は、放置されたショッピングカート3のカートID情報とそれを利用した顧客の顧客ID情報との関連付けがクリアされていないため、元の顧客の顧客ID情報と、放置されているショッピングカート3を持ち込んだ後の顧客の顧客ID情報とが一致しないことになる。そうした場合、精算時に後の客が放置されていたショッピングカート3を利用していると判断できるから、後の顧客ID情報と放置されたショッピングカート3のカートID情報とを関連付けておき、精算後にそのショッピングカート3が保管場所Pに戻された場合は、後の顧客に対して、たとえば、2倍のポイントを付与するように記録する。これにより、放置されているショッピングカート3を利用すれば、通常とは異なる(特別な)特典が貰えることを顧客に認識させることができるので、駐車場に放置されるショッピングカート3の数を減らすことができる。なお、通常とは異なる特典の付与として、通常のポイントの付与とは別に割引券の付与等を行ってもよい。
【0043】
また、このショッピングカート管理システム100では、放置されたショッピングカート3がそのまま保管場所Pに戻される場合に備えて、顧客の会員証1のIDを読み取る会員証リーダ/ライタ9を保管場所Pの近くに配置している。この会員証リーダ/ライタ9は、通信機能が備えられ、顧客の会員証1から顧客ID情報を読み取ると、その顧客ID情報を顧客情報管理装置6の受信器10に送信するようになっている。
【0044】
一方、顧客情報管理装置6は、受信器10と接続され、その受信器10から顧客ID情報を受け取った後、保管場所に戻されたショッピングカート3のカートID情報を検知器4から受信すると、そのカートID情報に紐付けされている顧客ID情報と、受信した顧客ID情報との異同をチェックし、両者が一致しない場合に、保管場所Pに戻されたショッピングカート3は、放置されていたショッピングカート3と判断できるから、その場合に、新たに受信した顧客ID情報に紐付けされた顧客に通常とは異なる特典を付与するように記録する。その際、複数台のショッピングカート3が纏めて保管場所Pに戻されたときは、その返却台数に応じた特典が付与されることは当然である。こうして、ショッピングカート3の返却を顧客に促すことにより、放置されるショッピングカート3の抑制を図ることができる。
【0045】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
第1実施形態では、上記のように、検知器4を、ショッピングカート3の入庫を検知すると、検知されたショッピングカート3の電子タグ2から読み取ったカートID情報を顧客情報管理装置6に送信し、顧客情報管理装置6を、受信した顧客ID情報に紐付けされた顧客に特典を付与するように構成する。これにより、特典が付与されることがインセンティブ(メリット)となるため、顧客(ショッピングカートの利用者)に、使用したショッピングカート3を保管場所Pに正しく戻させるよう促すことができる。すなわち、ショッピングカート3が保管場所Pに戻されずに放置されることを抑制することができる。さらに、店舗側にとっては、比較的廉価な電子タグ2をショッピングカート3に取り付けることにより放置されているショッピングカート3の回収要員を配置しなくても済むので、経費節減となる。また、このシステムの導入によって、ショッピングカート3の返却により付与される特典を目当てとしたカード会員を増やすことができる。また、将来、ショッピングカート3に高価な情報端末機器を搭載する場合でも、この顧客情報管理装置6をベースに展開できるので、さらに高度なサービスを顧客に提供する際にも、本発明によるショッピングカート管理システム100(顧客情報管理装置6)を発展的に利用することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、顧客情報管理装置6を、検知器4が読み取ったカートID情報と顧客ID情報とを、顧客が購入商品を精算する際に関連付けるように構成する。これにより、商品を購入していない顧客に対してはカートID情報と顧客ID情報とが関連付けられないため、特典を不正に取得する目的でショッピングカート3を複数回または複数台入出庫する顧客に対して、重複する特典、または無用な特典を付与することを抑制することができる。また、精算時に顧客が提示する会員証1から(たとえば、精算機に設けられた会員証リーダ/ライタ8等に会員証1がかざされた際に)顧客IDを取得するので、ショッピングカート3の入庫時には、カートID情報のみを読み取れば特典の付与ができる。したがって、入庫時に顧客が会員証1等を提示する手間が不要となり、顧客の利便性を向上させることができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、顧客情報管理装置を、精算時に顧客の購入金額に応じてポイントを自動計算し、計算されたポイントを顧客ID情報に紐付けされた顧客の獲得ポイントに加算するように構成する。ここで、会員証1から顧客のIDを読み取るカードリーダ(会員証リーダ/ライタ8等)が接続された装置は、会員証1が利用できる店舗では、既に広く導入されている。この既存の装置に対して、電子タグ2から読み取ったカートID情報と顧客ID情報とを関連付けて記憶する機能と、ショッピングカート3が保管場所Pに戻されたことを条件にその顧客に特典を付与するように記録する機能とを追加することは、全ての装置(設備)を一から構築することに比べると容易である。したがって、ショッピングカート管理システム100を新たに導入する店舗側にとっては、既存の装置(設備)に、ショッピングカート3の入庫を確認するための検知器4や電子タグリーダ5を設置(増設)することや、上記の機能が追加されるようにソフトウェアをバージョンアップする、または、新たなソフトウェアを導入することのみにより対応することができる。したがって、設備投資を抑えたショッピングカート管理システム100とすることができるというメリットがある。また、顧客側にとっては、既存の会員証1(ポイントカード等)をそのまま利用することができるため、余分なカード等を新たに持ち運ぶ必要がないというメリットがある。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、顧客情報管理装置6を、カートID情報に顧客ID情報が既に関連付けられている場合に、新たに読み取った顧客ID情報が既に関連付けられている顧客ID情報と一致せず、かつ、一致しない顧客ID情報と関連付けられていたカートID情報により特定されるショッピングカート3が保管場所Pに入庫されたことを条件として、新たに読み取った顧客ID情報に紐付けされた顧客に対し、通常とは異なる特典を付与するように構成する。これにより、通常とは異なる特典がインセンティブとなるため、前に使用していた顧客により保管場所Pに返却されずに放置されているショッピングカート3を、別の顧客(異なる顧客ID情報と紐づけされた顧客)に使用させ、保管場所Pに返却させるように促すことができる。したがって、ショッピングカート3が保管場所Pに戻されずに放置されることをさらに抑制することができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、検知器4を、保管場所Pの出入口の外側において電子タグ2からカートID情報を読み取る外側リーダ40と、出入口の内側において電子タグ2からカートID情報を読み取る内側リーダ41と、を含み、外側リーダ40がカートID情報を読み取り、続いて内側リーダ41が同じカートID情報を読み取った場合に、カートID情報により特定されるショッピングカート3が保管場所Pに入庫されたと判断するように構成する。これにより、内側リーダ41と外側リーダ40とにより、保管場所Pの出入り口において、ショッピングカート3が外側から内側に入ってきたことを検知することが可能となるので、ショッピングカート3の入庫を正しく判断することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、(屋外の)検知器4を、太陽電池パネルが設けられ、太陽電池パネルによって生じた電力を用いて駆動するように構成する。これにより、検知器4が屋外に設置されているために屋内から電力供給を受けることが困難である場合にも、検知器4を駆動することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、特典の付与は、新たなポイントの付与、クーポン券や割引券の付与、または、支払に充てることができる割引サービスの付与を含む。これにより、顧客に次の来店を促すとともに、ショッピングカート3の保管場所Pへの返却を強く促すことができる。
【0053】
[第2実施形態]
(第2実施形態の構成)
次に、
図2を参照して、第2実施形態を説明する。第2実施形態のショッピングカート管理システム200では、上記第1実施形態の検知器4および顧客情報管理装置6に代えて、検知器43および顧客情報管理装置61が設けられている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
ここで、検知器43は、所定の範囲内にあるショッピングカート3に取り付けられた電子タグ2と定期的に双方向通信するとともに、顧客情報管理装置61に通信結果を送信し、顧客情報管理装置61は、通信結果から、返信が確認されなくなった電子タグ2により特定されるショッピングカート3を出庫されたと判断し、返信が確認されなくなった後に再び返信が確認された電子タグ2により特定されるショッピングカート3を入庫されたと判断するように構成されている。
【0055】
具体的には、検知器43は、保管場所Pの広さとほぼ一致する範囲である通信領域R3の内側に入ったショッピングカート3の電子タグ2とのみ双方向通信可能に構成されている。これは、たとえば、電波(電磁波)の届く範囲を保管場所Pと一致させればよい。これにより、ショッピングカート3が保管場所Pにある場合にのみ、ショッピングカート3は、検知器43からの通信を受信し、返信(送信)する。そして、検知器43は、通信結果を顧客情報管理装置61に送信する。顧客情報管理装置61は、受信した通信結果に基づいて、ショッピングカート3が通信可能範囲にはない(外に持ち出された)場合に、出庫されたと判断し、ショッピングカート3が再び通信可能範囲に入った(通信可能範囲に返却された)場合に、入庫されたと判断する。
【0056】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、検知器43を、所定の範囲内にあるショッピングカート3に取り付けられた電子タグ2と定期的に双方向通信するとともに、顧客情報管理装置61に通信結果を送信し、顧客情報管理装置61を、通信結果から、返信が確認されなくなった電子タグ2により特定されるショッピングカート3を出庫されたと判断し、返信が確認されなくなった後に再び返信が確認された電子タグ2により特定されるショッピングカート3を入庫されたと判断するように構成する。これにより、ショッピングカート3の保管場所に専用の出入口を設け難い場合にも、ショッピングカート3の入庫(および出庫)を判断することができる。
【0057】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0058】
[変形例]
以上、本発明の第1および第2実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の実施形態(変形例)も採用可能である。
【0059】
たとえば、上記第1実施形態では、外側リーダ(40)および内側リーダ(41)を有する検知器(4)を備える例を、上記第2実施形態では、所定の範囲に存在する電子タグ(2)と定期的に双方向通信を行う検知器(43)を備える例をそれぞれ示したが、本発明はこれに限られない。ショッピングカート管理システム中の複数の検知器のうち、一部を第1実施形態に示された検知器として構成し、一部を第2実施形態に示された検知器として構成してもよい。また、この他の構成の検知器としてもよい。
【0060】
また、上記第1および第2実施形態では、外側リーダと内側リーダとを近接配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。外側リーダを保管場所が存在する部屋の出入り口に設置し、内側リーダを(部屋の出入り口とは離れた)保管場所の出入り口に設置してもよい。
【0061】
また、上記第1および第2実施形態では、セミアクティブタグを使用したが、これに代えてパッシブタグやアクティブタグを使用することもできる。パッシブタグの場合は、保管場所の出入口に検知器を設置しておくことで保管場所への入庫を検知することができる。また、アクティブタグを使用する場合は、保管場所内の複数のショッピングカートと順番に交信することができるので、交信できなくなったカートは出庫と判断することができ、その後、交信できるようになると、そのショッピングカートは、入庫されたと判断することができる。したがって、郊外の大型店舗等において、保管場所がこのエリア一帯として指定されている場合は、アクティブタグが有効である。
【0062】
また、上記第1および第2実施形態では、保管場所に設置された検知器がショッピングカートの入庫を検知したことを条件に、その顧客に特典を付与するようにしたが、この保管場所を駐車場の一区画に設け、そこに検知器を設置しておく。そして、その検知器がショッピングカートの入庫を検知した場合でも、その顧客に特典を付与するようにしておけば、駐車場の広い郊外の大型店舗においても導入が可能になる。また、駐車場に設けられた保管場所のショッピングカートを店内に持ち込んで利用した後、それを店内の保管場所に戻した客に対しては、さらに特別の特典を付与するようにしておけば、駐車場に溜まっていくショッピングカートを回収して店内の保管場所に戻す作業員を減らすこともできる。
【0063】
また、太陽電池パネル(およびバッテリ)は、検知器の他、付近に配置されている会員証のカードリーダ/ライタや電灯等に対しても給電を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 会員証
2 電子タグ
3 ショッピングカート
40 外側リーダ
41 内側リーダ
4,43 検知器
5 電子タグリーダ(リーダ)
6,61 顧客情報管理装置
7 精算用POSレジスタ
8 会員証リーダ/ライタ
9 会員証リーダ/ライタ
E1 太陽電池パネル