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▶ リール・プレシジョン・マニュファクチュアリング・コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】慣性ロック摩擦ヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05C 21/00 20060101AFI20240920BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20240920BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20240920BHJP
   E05D 11/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E05C21/00 A
F16M13/00 T
F16M13/00 U
F16C11/04 F
E05D11/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023528476
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2021059023
(87)【国際公開番号】W WO2022103989
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】63/112,366
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523173313
【氏名又は名称】リール・プレシジョン・マニュファクチュアリング・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】REELL PRECISION MANUFACTURING CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100230640
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 望
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ホレイス
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0038225(US,A1)
【文献】国際公開第2017/051673(WO,A1)
【文献】再公表特許第2017/051673(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0274274(US,A1)
【文献】米国特許第05386636(US,A)
【文献】実開平05-075003(JP,U)
【文献】米国特許第05603540(US,A)
【文献】特開平08-184237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0024073(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0188504(US,A1)
【文献】実開昭52-001965(JP,U)
【文献】実公昭44-016488(JP,Y1)
【文献】特開平10-315867(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/079085(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 21/00
E05D 11/10
F16M 13/00
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヒンジ付き要素と、
第2ヒンジ付き要素と、
前記第1ヒンジ付き要素に結合し、シャフトアセンブリ凹部を有するシャフトアセンブリと、
前記第2ヒンジ付き要素に結合し、摩擦アセンブリ凹部を有する摩擦アセンブリであって、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとが、相対的な摩擦回転のために回転可能に結合される摩擦アセンブリと、
拘束部品と、を含み、
前記拘束部品は、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との一方の中に完全に収容されたとき、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとが、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック解除状態であるように、摩擦下で互いに対して相対的に回転できるように、慣性ロック摩擦ヒンジ内に配置され、
前記拘束部品は、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との両方に少なくとも部分的に収容されるとき、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態であるように、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとの相対的な回転が抑制されるように配置され、
前記慣性ロック摩擦ヒンジに重力が作用する場合、前記ロック解除状態となるように構成され、前記慣性ロック摩擦ヒンジに外部の衝撃力が作用する場合、前記ロック状態となるように構成されている、慣性ロック摩擦ヒンジシステム。
【請求項2】
前記慣性ロック摩擦ヒンジシステムに作用する重力が、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との一方に完全に収容され、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック解除状態となることをもたらすように構成される、請求項1に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム。
【請求項3】
前記慣性ロック摩擦ヒンジシステムに作用する外部の衝撃力が、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部とのそれぞれに部分的に収容され、前記慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態となることをもたらすように構成される、請求項1に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム。
【請求項4】
前記シャフトアセンブリは、シャフトハウジングとシャフトとを有し、
前記摩擦アセンブリは、少なくとも1つの摩擦要素を含む摩擦ハウジングを有し、
前記少なくとも1つの摩擦要素は、前記シャフトの上にしまりばめされて構成されている、請求項1に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム。
【請求項5】
前記シャフトは、シャフト軸に沿って回転し、
前記慣性ロック摩擦ヒンジシステムが前記ロック状態と前記ロック解除状態との間で変化するとき、前記拘束部品は、前記シャフトに対して半径方向に移動する、請求項に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム。
【請求項6】
前記拘束部品は、ピンと長方形のブロックとの一方である、請求項1に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム 。
【請求項7】
前記拘束部品は、付勢機構をさらに含み、
前記付勢機構は、衝撃力が前記付勢機構に負荷を与え、前記拘束部品を少なくとも部分的に前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との両方の内部に移動させるまで、前記拘束部品を前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との一方に保持するように構成される、請求項1に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム 。
【請求項8】
シャフトアセンブリ凹部を有するシャフトアセンブリと、
摩擦アセンブリ凹部を有する摩擦アセンブリであって、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとが、相対的な摩擦回転のために回転可能に結合される摩擦アセンブリと、
拘束部品と、を含み、
前記拘束部品は、慣性ロック摩擦ヒンジがロック解除状態にあるとき、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との両方に係合されず、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリが摩擦下で互いに対して相対的に回転できるように慣性ロック摩擦ヒンジ内に配置され、
前記拘束部品は、前記慣性ロック摩擦ヒンジがロック状態にあるとき、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との両方と少なくとも部分的に係合し、前記拘束部品によって前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとがロックされ、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとの相対的な回転が抑制されるように配置され、
前記慣性ロック摩擦ヒンジに重力が作用する場合は前記ロック解除状態となるように構成され、前記慣性ロック摩擦ヒンジに外部衝撃力が作用する場合は前記ロック状態となるように構成される、慣性ロック摩擦ヒンジ。
【請求項9】
前記慣性ロック摩擦ヒンジに作用する外部の衝撃力が、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部とのそれぞれと部分的に係合することをもたらし、慣性ロック摩擦ヒンジがロック状態にあるように構成される、請求項に記載の慣性ロック摩擦ヒンジ。
【請求項10】
前記シャフトアセンブリは、シャフトハウジングとシャフトとを有し、
前記摩擦アセンブリは、少なくとも1つの摩擦要素を含む摩擦ハウジングを有し、
前記少なくとも1つの摩擦要素は、前記シャフト上にしまりばめされて構成される、請求項に記載の慣性ロック摩擦ヒンジ。
【請求項11】
前記シャフトは、シャフト軸に沿って回転し、
慣性ロック摩擦ヒンジシステムが前記ロック状態と前記ロック解除状態との間で変化するとき、前記拘束部品は、前記シャフトに対して半径方向に移動する、請求項10に記載の慣性ロック摩擦ヒンジ。
【請求項12】
前記慣性ロック摩擦ヒンジへの衝撃力の作用により、前記拘束部品は、前記シャフトに向かって半径方向に遷移する、請求項11に記載の慣性ロック摩擦ヒンジ。
【請求項13】
前記拘束部品は、ピン、長方形のブロック、および爪のいずれか1つである、請求項に記載の慣性ロック摩擦ヒンジ。
【請求項14】
シャフトアセンブリ凹部を有するシャフトアセンブリと、
摩擦アセンブリ凹部を有する摩擦アセンブリであって、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとが、相対的な摩擦回転のために回転可能に結合される摩擦アセンブリと、
拘束部品と、を含み、
前記拘束部品は、慣性ロック摩擦ヒンジがロック解除状態にあるとき、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との一方に完全に収容され、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとが摩擦下で互いに対して相対的に回転できるように前記慣性ロック摩擦ヒンジ内に配置され、
前記拘束部品は、前慣性ロック摩擦ヒンジがロック状態にあるとき、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部の両方に少なくとも部分的に収容され、前記拘束部品によって前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとがロックされ、前記シャフトアセンブリと前記摩擦アセンブリとの相対的な回転が抑制されるように配置され、
慣性ロック摩擦ヒンジに外部の衝撃力が作用すると、前記ロック状態から前記ロック解除状態に変更し、または前記ロック解除状態から前記ロック状態に変更するように構成され、
慣性ロック摩擦ヒンジシステムに対する外部の衝撃力は、
前記慣性ロック摩擦ヒンジシステムが前記ロック解除状態となるように、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部との一方に完全に収容されること、または、
前記慣性ロック摩擦ヒンジシステムが前記ロック状態となるように、前記拘束部品が前記摩擦アセンブリ凹部と前記シャフトアセンブリ凹部とのそれぞれに部分的に収容されることをもたらす、慣性ロック摩擦ヒンジシステム
【請求項15】
前記シャフトアセンブリは、シャフトハウジングとシャフトとを有し、
前記摩擦アセンブリは、少なくとも1つの摩擦要素を含む摩擦ハウジングを有し、
前記少なくとも1つの摩擦要素は、前記シャフト上にしまりばめされて構成され、
前記シャフトは、シャフト軸に沿って回転し、
慣性ロック摩擦ヒンジシステムが前記ロック状態と前記ロック解除状態との間で変化するとき、前記拘束部品は、前記シャフトに対して半径方向に移動する、請求項14に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム。
【請求項16】
前記シャフトアセンブリと、前記摩擦アセンブリと、前記拘束部品とは、それぞれ統合された単一部品である、請求項14に記載の慣性ロック摩擦ヒンジシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
摩擦ヒンジは、一般的に多くの用途に使用されており、産業界では多くの種類がある。具体的な用途としては、自動車用のコンパートメントクロージャーが挙げられる。センターコンソールなどのヒンジ内に摩擦を加えることで、ユーザはしっかりとした感触を得ることができ、手で閉めるまで蓋を開けたままにできる。摩擦ヒンジだけでは、特定の荷重条件下でビンが開くことを抑制できない。そのため、特に自動車コンパートメントでは、安全基準を満たすために、ラッチや慣性ロックを用いて蓋を閉じておくことが知られている。慣性ロックは、コンパートメントを開けるたびに、ユーザにラッチを操作させたくないという要望がある場合に使用される。ラッチレスコンパートメント設計では、安全基準を満たすために、ラッチの代わりに慣性ロックが一般的に使用される。これらは、特定の衝撃荷重を受けたときのみ、コンパートメントの蓋の移動を防止する機能である。しかし、これらの慣性ロックは、外観上のデメリット、パッケージの大きさ、デバイス装着後のリセットが必要、装着に時間がかかる、また、複雑な組み立てが必要などの欠点を有する。
【0002】
そのため、摩擦トルクと慣性ロック機能を併せ持つコンパクトな設計で、上記用途におけるコストや見た目の要望に応えられるものが求められている。また、慣性力によるシステムの可動部の回転角度を制限する設計でこれらの機能を提供することが重要である。
【発明の概要】
【0003】
1つの実施形態は、第1ヒンジ付き要素と、第2ヒンジ付き要素と、第1ヒンジ付き要素に結合し、シャフトアセンブリ凹部を有するシャフトアセンブリと、第2ヒンジ付き要素に結合し、摩擦アセンブリ凹部を有する摩擦アセンブリと、を含む慣性ロック摩擦ヒンジシステムである。シャフトアセンブリと摩擦アセンブリは、相対的な摩擦回転のために回転可能に結合される。拘束部品は、慣性ロック摩擦ヒンジ内に配置され、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との一方の中に完全に収容されたとき、シャフトアセンブリと摩擦アセンブリは、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック解除状態であるように、摩擦下で互いに対して相対的に回転できるようになっている。拘束部品はさらに、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との両方に少なくとも部分的に収容されるとき、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態であるように、シャフトアセンブリと摩擦アセンブリとの相対的な回転が抑制されるように配置される。
【0004】
1つの実施形態は、任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムであり、慣性ロック摩擦ヒンジシステムは、慣性ロック摩擦ヒンジに重力が作用する場合、ロック解除状態となるように、慣性ロック摩擦ヒンジに外部の衝撃力が作用する場合、ロック状態となるように構成されている。
【0005】
1つの実施形態は、任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムであり、慣性ロック摩擦ヒンジシステムに作用する重力により、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との一方に完全に収容され、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック解除状態となるように構成される。
【0006】
1つの実施形態は、任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムであり、慣性ロック摩擦ヒンジシステムに作用する外部の衝撃力により、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部とのそれぞれに部分的に収容され、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態となるように構成される。
【0007】
1つの実施形態は、シャフトアセンブリがシャフトハウジングとシャフトとを有し、摩擦アセンブリが少なくとも1つの摩擦要素を含む摩擦ハウジングを有し、少なくとも1つの摩擦要素がシャフトの上にしまりばめされて構成されている、任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムである。
【0008】
1つの実施形態は、任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムであり、シャフトはシャフト軸に沿って回転し、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態とロック解除状態との間で変化するとき、拘束部品はシャフトに対して半径方向に移動する。
【0009】
1つの実施形態は、拘束部品がピンと長方形のブロックとの一方である前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムである。
【0010】
1つの実施形態は、任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムであり、拘束部品は、衝撃力が付勢機構に負荷を与え、それによって拘束部品を少なくとも部分的に摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との両方の内部に移動させるまで、拘束部品を摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との一方に保持するように構成された付勢機構をさらに含んでいる。
【0011】
1つの実施形態は、シャフトアセンブリ凹部を有するシャフトアセンブリと摩擦アセンブリ凹部を有する摩擦アセンブリを含む慣性ロック摩擦ヒンジである。シャフトアセンブリと摩擦アセンブリは、相対的な摩擦回転のために回転可能に結合される。拘束部品は、慣性ロック摩擦ヒンジがロック解除状態となるとき、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との両方に係合されず、シャフトアセンブリと摩擦アセンブリが摩擦下で互いに対して相対的に回転できるように慣性ロック摩擦ヒンジ内に配置される。拘束部品はさらに、慣性ロック摩擦ヒンジがロック状態となるとき、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との両方と少なくとも部分的に係合し、シャフトアセンブリと摩擦アセンブリとが拘束部品によってロックされ、シャフトアセンブリと摩擦アセンブリとの相対的な回転が阻止されるように配置される。
【0012】
1つの実施形態は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは前の実施形態の一方の慣性ロック摩擦ヒンジであり、慣性ロック摩擦ヒンジは、慣性ロック摩擦ヒンジに重力が作用する場合はロック解除状態となるように構成され、慣性ロック摩擦ヒンジに外部衝撃力が作用する場合はロック状態となるように構成される。
【0013】
1つの実施形態は、前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは慣性ロック摩擦ヒンジであり、慣性ロック摩擦ヒンジは、慣性ロック摩擦ヒンジに作用する外部の衝撃力が、拘束部品を摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部とのそれぞれと部分的に係合させ、慣性ロック摩擦ヒンジがロック状態となるように構成される。
【0014】
1つの実施形態は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジであり、シャフトアセンブリは、シャフトハウジングとシャフトとを有し、摩擦アセンブリは、少なくとも1つの摩擦要素を含む摩擦ハウジングを有し、少なくとも1つの摩擦要素は、シャフト上にしまりばめされて構成される。
【0015】
1つの実施形態は、任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは慣性ロック摩擦ヒンジであり、シャフトがシャフト軸に沿って回転し、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態とロック解除状態との間で変化するとき、拘束部品がシャフトに対して半径方向に移動する。
【0016】
1つの実施形態は、前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは慣性ロック摩擦ヒンジであり、慣性ロック摩擦ヒンジへの衝撃力の作用により、拘束部品は、シャフトに向かって半径方向に遷移する。
【0017】
1つの実施形態は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジであり、拘束部品は、ピン、長方形のブロック、爪のいずれか1つである。
【0018】
1つの実施形態は、シャフトアセンブリ凹部を有するシャフトアセンブリと摩擦アセンブリ凹部を有する摩擦アセンブリを含む慣性ロック摩擦ヒンジである。シャフトアセンブリと摩擦アセンブリは、相対的な摩擦回転のために回転可能に結合される。拘束部品は、慣性ロック摩擦ヒンジがロック解除状態にあるとき、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との一方の中に完全に収容されるように慣性ロック摩擦ヒンジ内に配置され、シャフトアセンブリと摩擦アセンブリが摩擦下で互いに対して相対的に回転できる。拘束部品はさらに、慣性ロック摩擦ヒンジがロック状態にあるとき、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との両方に少なくとも部分的に収容され、拘束部品によってシャフトアセンブリと摩擦アセンブリがロックされ、シャフトアセンブリと摩擦アセンブリとの相対的な回転が抑制されるように配置される。
【0019】
1つの実施形態は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたはいずれかの前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジであり、慣性ロック摩擦ヒンジシステムは、慣性ロック摩擦ヒンジに外部の衝撃力が作用すると、ロック状態からロック解除状態に変更し、またはロック解除状態からロック状態に変更するように構成されている。
【0020】
1つの実施形態は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジであり、慣性ロック摩擦ヒンジシステムに対する外部の衝撃力は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック解除状態となるように、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部との一方の中に完全に収容されること、または、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態となるように、拘束部品が摩擦アセンブリ凹部とシャフトアセンブリ凹部とのそれぞれに部分的に収容されることをもたらす。
【0021】
1つの実施形態は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジであり、シャフトアセンブリは、シャフトハウジングとシャフトとを有し、摩擦アセンブリは、少なくとも1つの摩擦要素を含む摩擦ハウジングを有し、少なくとも1つの摩擦要素は、シャフト上にしまりばめされて構成される。
【0022】
1つの実施形態は、慣性ロック摩擦ヒンジシステムまたは任意の前の実施形態の慣性ロック摩擦ヒンジであり、シャフトがシャフト軸に沿って回転し、慣性ロック摩擦ヒンジシステムがロック状態とロック解除状態との間で変化するとき、拘束部品がシャフトに対して半径方向に移動する。
【0023】
添付の図面は、実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものである。図面は、実施形態を示すものであり、説明とともに実施形態の原理を説明するのに役立つものである。他の実施形態および実施形態の意図された利点の多くは、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解され、容易に認識されるであろう。図面の各要素について、必ずしも相対的に縮尺が決まっているわけではない。類似の参照数字は、対応する類似の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジを有するヒンジ付きシステムの透視図である。
図2】1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジを有する図1のヒンジ付きシステムの分解図である。
図3】1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジの透視図である。
図4】1つの実施形態による図3の慣性ロック摩擦ヒンジの分解図である。
図5】1つの実施形態による図3図4の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図6】1つの実施形態による図3図4の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図7】1つの実施形態による図3図4の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図8】1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジの分解図である。
図9】1つの実施形態による図8の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図10】1つの実施形態による図8の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図11】1つの実施形態よる慣性ロック摩擦ヒンジを有するヒンジ付きシステムの透視図である。
図12】1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジを有する図11のヒンジ付きシステムの一部分解図である。
図13】1つの実施形態による3分割の慣性ロック摩擦ヒンジの透視図である。
図14】1つの実施形態による図13の3分割慣性ロック摩擦ヒンジの分解図である。
図15】1つの実施形態による図13図14の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図16】1つの実施形態による図13図14の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図17】1つの実施形態による図13図14の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図18】1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジの透視図である。
図19】1つの実施形態による図18の慣性ロック摩擦ヒンジの分解図である。
図20】1つの実施形態による図18図19の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図21】1つの実施形態による図18図19の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図22】1つの実施形態による図18図19の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図23】1つの実施形態による図18図19の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図24】1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジの透視図である。
図25】1つの実施形態による図24の慣性ロック摩擦ヒンジの分解図である。
図26】1つの実施形態による図24図25の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図27】1つの実施形態による図24図25の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
図28】1つの実施形態による図24図25の慣性ロック摩擦ヒンジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成する添付図面を参照し、その中に、本発明を実施できる特定の実施形態が例示として示されている。この点で、「上」、「下」、「前」、「後」、「先頭」、「後尾」などの方向性のある用語は、説明される図面の方向を基準として使用される。実施形態の構成要素は、多数の異なる配向で配置されてもよいため、方向に関する用語は、説明の目的で使用され、決して限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的または論理的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0026】
本明細書に記載された様々な例示的な実施形態の特徴は、特に断りのない限り、互いに組み合わせることができると理解されたい。
【0027】
図1は、1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジ16を組み込んだヒンジ付きシステム10を示す。図2は、ヒンジ付きシステム10の分解図をさらに示しており、図1では見えなかったさらなる構成要素を示している。1つの実施形態では、ヒンジ付きシステム10はベース14と上部12を含む。1つの実施形態では、ベース14は開口部18を含み、上部12は開口部19を含み、これらはそれぞれ慣性ロック摩擦ヒンジ16の一部を収容または収納するように構成されている。このようにして、上部12は慣性ロック摩擦ヒンジ16とベース14とに対して摩擦ヒンジされる。図示の実施形態では、2つの慣性ロック摩擦ヒンジ16が図示されているが、ある実施形態では1つが使用され、他の実施形態では3つ以上が使用される。
【0028】
1つの実施形態では、ヒンジ付きシステム10は、自動車の前席の間に位置するコンソールなどのコンソールである。慣性ロック摩擦ヒンジ16内の摩擦トルクは、上部12を、ベース14を閉じるように保持する。このようにして、ヒンジ付きシステム10は、上部12を閉じた状態に保持するための別のラッチを必要としない。ユーザは、慣性ロック摩擦ヒンジ16内の摩擦トルクよりも大きな力を加えるだけで、上部12を開けることができる。そのため、片手で簡単に操作でき、ヒンジの位置における摩擦によって、コンパートメントの後方コーナーでスペースが限られている場合、効率的な梱包が可能になる。
【0029】
さらに、慣性ロック摩擦ヒンジ16は、慣性ロック摩擦ヒンジ16内の慣性力を超えるような状況、例えば、ヒンジ付きシステム10が搭載された自動車が、通常であれば蓋が開くような衝撃のような外的な動的力を受けた場合、蓋12を完全に閉じて所定の位置にロックする。これにより、蓋12がベース14から離れる方向に大きく回転することが抑制され、衝撃や衝突の際にその中の内容物が自動車内に放出されることがない。慣性ロック摩擦ヒンジ16は、自動車以外の用途でも同様に実施できる。
【0030】
1つの実施形態では、ヒンジシステム10が図1および図2に示されるように配向されるとき、重力Fが矢印Fの方向に下向きに作用する。この配向では、慣性ロック摩擦ヒンジ16に作用する重力によって、慣性ロック摩擦ヒンジ16はロック解除状態に維持される。このようにして、ユーザは、慣性ロック摩擦ヒンジ16の摩擦トルクまたは力に打ち勝つことによって、ベース14に対して蓋12を開閉できる。しかし、ヒンジシステム10が動的な力または衝撃力を受けると、重力Fと同じ方向の、部品との衝突による慣性力が重力Fに打ち勝ち、慣性ロック摩擦ヒンジ16はロック状態となる。このようにして、蓋12は、蓋12に加えられる力に関係なく、ベース14に対して開いたり移動したりすることはできない。
【0031】
図3図7は、1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジ16を示したものである。1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ16にシャフトアセンブリ30と、摩擦アセンブリ40と、拘束部品50とが含まれる。1つの実施形態では、第1ヒンジ付き要素12が摩擦アセンブリ40に結合され、第2ヒンジ付き要素14がシャフトアセンブリ30に結合されている。第1ヒンジ付き要素12と摩擦アセンブリ40とが第2ヒンジ付き要素14とシャフトアセンブリ30とに対して相対的に回転すると、以下にさらに説明するように、慣性ロック摩擦ヒンジ16による摩擦トルクが発生する。1つの実施形態では、例えば、コンソールや他のコンパートメントに追加された場合、ユーザは、しっかりとした感触を体験し、蓋などのヒンジ付き要素12が、手動で閉じた状態にされるまで開いたままであり、手動で開いた状態にされるまで閉じたままであることを期待できる。そのため、片手で簡単に操作できる。また、慣性ロック摩擦ヒンジ16では、ラッチとキャッチの部品をなくすことができる。
【0032】
1つの実施形態では、シャフトアセンブリ30はシャフトハウジング32とシャフト34とを含む。1つの実施形態では、シャフトハウジング32はさらにシャフトハウジング開口部33とシャフトアセンブリ凹部54とを含む。1つの実施形態では、摩擦アセンブリ40は複数の摩擦要素44と摩擦ハウジング42とを含む。1つの実施形態では、摩擦ハウジング42は摩擦アセンブリ凹部52を含む。
【0033】
1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ16が組み立てられると、シャフト34はシャフトハウジング開口部33内にしっかりと取り付けられる。1つの実施形態では、シャフト34にはローレット加工が施された端部を有し、端部はシャフトハウジング開口部33に押し込まれて両者が固定される。シャフト34はその軸Xを中心に回転するように構成されており、シャフト34とシャフトハウジング32とは一緒に固定されていることによって一緒に回転する。
【0034】
摩擦要素44はシャフト34の上にしまりばめされて配置され、摩擦ハウジング42に収納される。1つの実施形態では、摩擦要素44とシャフト34との間にグリスが入っている。1つの実施形態では、摩擦ハウジング42は、摩擦要素44の摩擦ハウジング42との相対的な回転が抑制されるように、摩擦要素44の外側輪郭の一部と一致する輪郭を有する摩擦ハウジング開口部43を有する。したがって、シャフトハウジング32が摩擦ハウジング42に対して回転すると、シャフト34は摩擦要素44内で回転する。シャフト34と摩擦要素44との間にしまりばめによって、その相対的な回転は慣性ロック摩擦ヒンジ16内で摩擦トルクを発生させる。慣性ロック摩擦ヒンジ16内の摩擦トルクの量は、摩擦要素44の数をそれぞれ加算または減算することにより、容易に上下に調整できる。
【0035】
シャフトハウジング32と摩擦ハウジング42の相対的な配向の少なくとも一つの位置では、例えば図5に示されるように、摩擦アセンブリ凹部52とシャフトアセンブリ凹部54とが並んでいる。1つの実施形態では、拘束部品50は、図5に示されているように、完全にシャフトアセンブリ凹部54の中に配置されている。この位置では、慣性ロック摩擦ヒンジ16はロック解除状態になり、シャフトハウジング32を含むシャフトアセンブリ30と、摩擦ハウジング42を含む摩擦アセンブリ40とは、慣性ロック摩擦ヒンジ16の摩擦トルクよりも大きな力を加えることによって、互いに対して相対的に回転することができる。
【0036】
図6は、拘束部品50が完全にシャフトアセンブリ凹部54内に留まる中で、シャフトハウジング32が摩擦ハウジング42に対してどのように(図示のように反時計回りに)回転するかを示している。シャフトハウジング32の回転の間、拘束部品50は、摩擦ハウジング42の外径によってシャフトアセンブリ凹部54内に保持される。従って、この配向において発生する加減速は、拘束部品50を移動させない。摩擦アセンブリ凹部52とシャフトアセンブリ凹部54とが整列したときのみ、拘束部品50は重力および/または係合を引き起こす衝撃力によって移動するようになる。
【0037】
1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ16が外部からの衝撃力または動的な力を受けることで、慣性ロック摩擦ヒンジ16がロック解除状態からロック状態に変化する。例えば、図7に示されるように、慣性ロック摩擦ヒンジ16が衝撃力Fを受けると、これにより、拘束部品50は、その慣性力(摩擦力と呼ばれることもある)により、部分的にシャフトアセンブリ凹部54の外に、少なくとも部分的に摩擦アセンブリ凹部52の中に移動する。これが起こると、シャフトハウジング32と摩擦ハウジング42との大きな相対的な回転は、拘束部品50によって抑制される。拘束部品50の一部がシャフトアセンブリ凹部54の中に位置し、一部が摩擦アセンブリ凹部52の中に位置するとき、慣性ロック摩擦ヒンジ16はロック状態となる。慣性ロック摩擦ヒンジ16がコンソールに設置されると、カバー12はベース14に対して閉じられた状態でロックされ、ベース14内の内容物を保持する。
【0038】
1つの実施形態において、慣性ロック摩擦ヒンジ16がヒンジシステム10に設置されるとき、重力Fが下方に作用し、拘束部品50がシャフトアセンブリ凹部54内に留まるように、慣性ロック摩擦ヒンジ16は配向される(図5に示されるように)。ヒンジシステムが重力Fと同じ方向の動的力または衝撃力Fを受けると、ブロッカー50の慣性により、ブロッカー50は地面に対してその位置に留まりたがるが、ヒンジ16の他の部分は衝撃に従って下方に加速する。ヒンジシステム10が自動車に搭載されている用途の場合、シャフトアセンブリ30と、摩擦アセンブリ40と、第1ヒンジ付き要素12と、第2ヒンジ付き要素14とはすべて自動車に固定され、自動車上の衝撃力Fとともに加速する。しかし、拘束部品50は固定されておらず、シャフトアセンブリ凹部54と摩擦アセンブリ凹部52との中で自由に動くことができるため、その慣性力によって、(図7に示されている方法と相対的に)上方に、またはシャフト軸Xに向かって半径方向に、動くことになる。
【0039】
1つの実施形態において、動的力または衝撃力Fが消散すると、重力Fは、拘束部品50をシャフト軸Xから半径方向に離れて、シャフトアセンブリ凹部54(図5)内に戻らせるので、慣性ロック摩擦ヒンジ16は再びロック解除状態となり、カバー12はベース14に対して移動可能となる。1つの実施形態の場合、拘束部品50をシャフトアセンブリ凹部54からロックされた位置に移動させるのに必要な衝撃力Fの大きさは、ロックされた位置に保持している重力Fの約2倍であり、重力Fと同じ方向に適用される。
【0040】
図3図7に示す実施形態では、拘束部品50は、ピン状または概ね円筒状に構成されている。そして、摩擦アセンブリ凹部52とシャフトアセンブリ凹部54との対応する形状は、拘束部品50の形状を収容するように構成される。拘束部品50については、図示するような他の構成も可能である。
【0041】
慣性ロック摩擦ヒンジ16を有するヒンジシステム10は、摩擦ヒンジ機構の構成部品の中に慣性ロック機構を直接組み込んでいる。これら両方の機構を組み合わせることで、両方の機能が1つのシステムに統合されるため、システム10の組み立てが簡素化され、それによって、既知の別々のシステムの余分な部品が排除される。拘束部品50を含む慣性ロック機能をシャフト34の回転軸Xの近傍に配置することは、軸において摩擦を与えることに加えて、慣性ロックが係合するためにより時間をかけることを可能にするという利点を生み出す。慣性ロック摩擦ヒンジ16は、カバー12のエネルギーをピボットエリアに向けることによる高い応力に対処するという課題を抱えている。しかし、慣性ロック摩擦ヒンジ16とカバー12との構造は、それほど質量を増すことなく対応できる。同じ機能を提供するために、摩擦ディスクや他の摩擦トルク技術を含む摩擦ヒンジを作るためのいくつかの変形例を使用できる。
【0042】
さらに、摩擦トルクと慣性ロック摩擦ヒンジ16の慣性効果との両方があるため、先行システムに関連する別個のラッチ機構も別個の慣性ロック機構も必要ない。例えば、慣性ロック摩擦ヒンジ16がヒンジシステム10に設置されている場合、上部12をベース14に対して閉じた状態に保つためのラッチは必要ない。図1図2に示されているように、慣性ロック摩擦ヒンジ16がヒンジ付きシステム10の後部に取り付けられている場合、上部12が閉じたままであることを保証するために、いくつかの先行システムで必要とされるように、ヒンジ付きシステム10の前部において、ラッチは必要ない。これにより、特に他のメカニズムのためにスペースが必要な用途では、貴重なスペースが解放される。
【0043】
図1図7に示す慣性ロック摩擦ヒンジ16は、どちらの回転方向にも対称的な機能を提供する。慣性力や摩擦が大きいために複数のヒンジを必要とする用途では、一つの設計を、すべてのヒンジを採用してもよい。他の慣性ロック設計では、左右のペアが必要になることもある。図1図7に示された慣性ロック摩擦ヒンジ16は、回転システム部品(図1の上部12)に取り付けられたシャフトアセンブリ30または摩擦アセンブリ40のいずれか一方と一緒に使用できる。
【0044】
図8図10は慣性ロック摩擦ヒンジ116の分解図と断面図を示す。1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ116は、拘束部品150に結合されたばね58をさらに含む。1つの実施形態では、拘束部品150をシャフトアセンブリ凹部154内に保持するために、ばね158は弛緩状態に構成されている。この位置では、慣性ロック摩擦ヒンジ116はロック解除状態にあり、シャフトハウジング132と摩擦ハウジング142とは、慣性ロック摩擦ヒンジ116の摩擦トルクよりも大きな力を加えることによって互いに対して相対的に回転できる。
【0045】
図10は、ばね158に引張荷重を加え、ばね158を弛緩状態から伸張状態に移動させ、それによって拘束部品150がシャフトアセンブリ凹部154の外に移動できるように、十分な大きさの衝撃力Fを受けた後の慣性ロック摩擦ヒンジ116を示す。このようにして、拘束部品150は少なくとも部分的に摩擦アセンブリ凹部152内に延びて、慣性ロック摩擦ヒンジ116がロック状態となり、シャフトハウジング132と摩擦ハウジング142との相対的な回転が抑制される。従って、慣性ロック摩擦ヒンジ116をロック解除状態からロック状態に移行させるのに必要な衝撃力Fの大きさが任意の特定の用途に対してカスタマイズ可能であるように、慣性ロック摩擦ヒンジ116は、ばね158によって調節可能な大きさの引張荷重を提供するように設計されてもよい。
【0046】
ばね158の配向も調整できる。例えば、ばね158は、慣性ロック摩擦ヒンジ116がロック解除状態となるように、拘束部品150を摩擦アセンブリ凹部152内に保持するように構成されてもよい。ばね158に十分な引張荷重を与えるのに十分な衝撃力Fが加えられると、拘束部品150は少なくとも部分的にシャフトアセンブリ凹部154の中に延び、慣性ロック摩擦ヒンジ116がロック状態となり、シャフトハウジング132と摩擦ハウジング142との相対的な回転が抑制される。その他の付勢機構は、慣性ロック摩擦ヒンジ116をアンロックされた状態からロック状態に移行させるために、慣性力で打ち勝つ必要のある蓄積エネルギーのために使用されてもよい。例えば、圧縮バネ、板バネ、磁石、流体圧、および同様の付勢機構を使用して、拘束部品150をロック位置またはロック解除位置に保持でき、ロック状態からロック解除状態へ、またはロック解除状態からロック状態へ変更するためには、付勢機構に打ち勝たなければならない。
【0047】
また、慣性ロック摩擦ヒンジ116の配向、従って、ばね158と拘束部品150との配向は、力の印加がロック状態とロック解除状態との間の移行を引き起こすように、ばね158と拘束部品150とが予想される衝撃力Fと整列するように調整できる。
【0048】
図11図12は、ヒンジシステム100内の慣性ロック摩擦ヒンジ116の実施例を示している。このシステムでは、慣性ロック摩擦ヒンジ116は可動ドア112をベース114に対してヒンジで固定する(hinges)。1つの実施形態では、可動ドア112は自動車のグローブボックスである。図1図2のヒンジシステム10と同様に、ヒンジシステム100は、重力Fが矢印Fの方向に下向きに作用するように配向されている。この向きでは、慣性ロック摩擦ヒンジ116のばね158内の蓄積エネルギーが、重力Fに関係なく、慣性ロック摩擦ヒンジ116をロック解除状態に維持する。このようにして、ユーザは、慣性ロック摩擦ヒンジ116の摩擦力またはトルクに打ち勝つだけで、ベース114に対してドア112を開閉できる。
【0049】
1つの実施形態では、図10に示された慣性ロック摩擦ヒンジ116の配向が、ヒンジシステム100で使用される。したがって、図12に示すように衝撃力Fがヒンジシステム100に加えられると、拘束部品150はシャフトアセンブリ凹部154の外に移動し、少なくとも部分的に摩擦アセンブリ凹部152内に移動し、慣性ロック摩擦ヒンジ116はロック状態となり、シャフトハウジング132と摩擦ハウジング142との相対的な回転が抑制される。このようにして、衝撃時にドア112に加えられた力にかかわらず、ドア112をベース114に対して開けることはできない。
【0050】
慣性ロック摩擦ヒンジ116のこのような配向では、慣性ロック摩擦ヒンジ116がロック解除状態にあるとき、拘束部品150がシャフトアセンブリ凹部154にとどまることをより確実にするために、ばね158を使用してもよい。重力Fが、図12のヒンジシステム100における摩擦アセンブリ凹部152とシャフトアセンブリ凹部154との方向と直交する方向にあるため、重力Fは、拘束部品150がシャフトアセンブリ凹部154にとどまることをより確実にするような助けにはならない。1つの実施形態ではこのためにスプリング158を追加できる。
【0051】
図11および図12のヒンジシステム100は、自動車内の安全基準によっては、物体がビンから飛び出て飛散物になることを抑制するために求められる場合がある。他の様々なヒンジ付きシステムは、その有利な性能特性を利用するために、1つまたは複数の慣性ロック摩擦ヒンジ116を容易に導入してもよい。例えば、慣性ロック摩擦ヒンジ16または慣性ロック摩擦ヒンジ116は病院用カートに使用してもよく、カートが転倒した際に内容物が飛び出すのを抑制することができる。
【0052】
図13図17は、1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジ216を示す。1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ216はシャフトアセンブリ230と、摩擦アセンブリ240と、拘束部品250とを含む。1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ216はこの3つの主要コンポーネントのみを含んでいる。前述のように、上部12、ベース14、ドア112またはベース114のような第1ヒンジ付き要素は、摩擦アセンブリ240に結合され、上部12、ベース14、ドア112またはベース114のような第2ヒンジ付き要素は、シャフトアセンブリ230に結合され、それらの間の拘束部品250の相対的な動きは、慣性ロック摩擦ヒンジ216をロック状態とロック解除状態との間で移行させる。
【0053】
1つの実施形態では、シャフトアセンブリ230は単一部品として構成され、摩擦アセンブリ240は統合された単一部品として構成されている。このような構成により、部品点数、組み立て費用、及び全体的なコストが大幅に削減される。1つの実施形態では、シャフトアセンブリ230と、摩擦アセンブリ240と、拘束部品250との3つの部品は、特にプラスチック材料である場合、それぞれ射出成形プロセスで製造される。別の実施形態では、それぞれは金属射出成形(MIM)プロセスを用いて製造される。シャフトアセンブリ230と、摩擦アセンブリ240と、拘束部品250とをそれぞれ単一構成要素として製造するために、他の工程およびその組み合わせを使用してもよい。
【0054】
1つの実施形態では、シャフトアセンブリ230は、シャフトハウジング部分232と、シャフト部分234と、シャフトアセンブリ凹部254とを有する。1つの実施形態では、摩擦アセンブリ240は、摩擦部分244と、摩擦ハウジング部分242と、摩擦アセンブリ凹部252とを含む。図13図17の慣性ロック摩擦ヒンジ216は、シャフトアセンブリ230と摩擦アセンブリ240がそれぞれ単一の構成要素として構成されている点を除き、図1図10について上述したものと同様に動作する。
【0055】
1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ216が組み立てられると、シャフトアセンブリ230のシャフト部分234は、摩擦アセンブリ240の摩擦部分244上に延び、しまりばめを有する。1つの実施形態では、間にグリスが追加される。例えば図13図14に図示されているように、摩擦部分244は、シャフト部分234が摩擦部分244に押し込まれるにつれて、摩擦部分244がわずかに撓むことができるように、摩擦ハウジング部分242から少なくとも部分的に間隔を空けられている。したがって、シャフトアセンブリ230と摩擦アセンブリ240との相対的な回転において、シャフト部分232は摩擦部分244の中で回転し、慣性ロック摩擦ヒンジ216の中で摩擦トルクを発生させる。
【0056】
シャフトアセンブリ230と摩擦アセンブリ240との相対的な配向の少なくとも1つの位置では、例えば図15に示されるように、摩擦アセンブリ凹部252とシャフトアセンブリ凹部254とが並んでいる。1つの実施形態では、図15図16に示されているように、拘束部品250は、完全にシャフトアセンブリ凹部254の中に配置されている。この位置では、慣性ロック摩擦ヒンジ216はロック解除状態にあり、シャフトアセンブリ230と摩擦アセンブリ240とは、慣性ロック摩擦ヒンジ216の摩擦トルクよりも大きな力を加えることによって相対的に回転できる。図16は、拘束部品250が完全にシャフトアセンブリ凹部254内に留まると、摩擦アセンブリ240がシャフトアセンブリ230に対して(図示のように反時計回りに)どのように回転するかを示している。
【0057】
1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ216に衝撃力Fを加えることで、慣性ロック摩擦ヒンジ216がロック解除状態からロック状態に変わる。例えば、図17に示されているように、慣性ロック摩擦ヒンジ216に衝撃力Fが加えられた場合、拘束部品250上の慣性力は、拘束部品250がシャフトアセンブリ凹部254の外に部分的にシフトし、少なくとも部分的に摩擦アセンブリ凹部252内にシフトする。一旦これが起こると、シャフトアセンブリ230と摩擦アセンブリ240との相対的な回転は、拘束部品250によって実質的に抑制される。拘束部品250が部分的にシャフトアセンブリ凹部254内に配置され、部分的に摩擦アセンブリ凹部252内に配置される場合、慣性ロック摩擦ヒンジ216はロック状態となる。
【0058】
図13図17に示す実施形態では、拘束部品250は矩形ブロッカーとして構成されている。そして、摩擦アセンブリ凹部252とシャフトアセンブリ凹部254との対応する形状は、拘束部品250の形状を収容するように構成される。1つの実施形態において、シャフトアセンブリ凹部254の表面および摩擦アセンブリ凹部252の表面、および/または拘束部品250の表面は、わずかな角度をもって設計されてもよく、これは、いくつかの実施形態において改善された係合を提供し得る。
【0059】
図18図23は、1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジ316を示す。1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ316はシャフトアセンブリ330と、摩擦アセンブリ340と、拘束部品350とを含む。慣性ロック摩擦ヒンジ316は、前述の慣性ロック摩擦ヒンジ16、116、216と同様に動作する。
【0060】
1つの実施形態では、シャフトアセンブリ330はシャフトハウジング332とシャフト334とを含む。1つの実施形態では、シャフトハウジング332は、シャフトアセンブリ凹部354をさらに含む。1つの実施形態では、摩擦アセンブリ340は、複数の摩擦要素344と摩擦ハウジング342とを含む。1つの実施形態では、摩擦ハウジング342は、摩擦アセンブリ凹部352を含む。
【0061】
1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ316が組み立てられると、シャフト334は、シャフトハウジング332の開口部内にしっかりと取り付けられ、両者が固定される。このように、シャフト334とシャフトハウジング332とは一緒に回転する。摩擦要素344はシャフト334の上に配置され、任意のグリスとともに摩擦ハウジング342の中にも収容される。1つの実施形態では、摩擦要素344は、固定プレート部材344aと、摩擦ディスク部材344bと、皿バネ344cと、保持リング344dとが含まれる。1つの実施形態では、固定プレート部材344aはハウジング342に、摩擦ディスク部材344bはシャフト334に、保持リング344dはシャフト334に、軸方向にすべての部材をあわせて保持する圧縮力で圧入されている。皿バネ344cは、摩擦ディスク部材344bに圧縮力を与える。したがって、シャフトハウジング332が摩擦ハウジング342に対して相対的に回転すると、相対的な回転における固定プレート部材344aと摩擦ディスク部材344bとの間の圧縮力により、慣性ロック摩擦ヒンジ316内に摩擦トルクが発生する。慣性ロック摩擦ヒンジ316内の摩擦トルクの量は、皿バネ344cの圧縮を調整することにより、または固定プレート部材344aおよび摩擦ディスク部材344bの数を増減することにより、容易に上下に調整できる。シャフトハウジング332と摩擦ハウジング342との相対的な回転で摩擦トルクを発生させる他の手段も可能である。
【0062】
また、上記慣性ロック摩擦ヒンジ16、116、216と同様に、慣性ロック摩擦ヒンジ316におけるシャフトハウジング332と摩擦ハウジング342との相対的な配向の少なくとも1つの位置において、摩擦アセンブリ凹部352とシャフトアセンブリ凹部354とは、例えば、図22に示されるように並んでいる。1つの実施形態では、図22に示されているように、拘束部品350は完全にシャフトアセンブリ凹部354内に配置されている。この位置では、慣性ロック摩擦ヒンジ316はロック解除状態にあり、シャフトハウジング332を含むシャフトアセンブリ330と、摩擦ハウジング342を含む摩擦アセンブリ340とは、慣性ロック摩擦ヒンジ316の摩擦トルクよりも大きな力を加えることによって、互いに対して回転できる。図23は、拘束部品350が完全にシャフトアセンブリ凹部354内に留まると、シャフトハウジング332が摩擦ハウジング342に対してどのように(図示のように反時計回りに)回転するかを示している。
【0063】
1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ316に外部の衝撃力Fを与えることで、慣性ロック摩擦ヒンジ316がロック解除状態からロック状態に変わる。例えば、慣性ロック摩擦ヒンジ316が衝撃力Fを受けると、図21に示されているように、拘束部品350は、その慣性力によって、シャフトアセンブリ凹部354の外に部分的にシフトし、少なくとも部分的に摩擦アセンブリ凹部352内にシフトする。これが発生すると、拘束部品350のそれぞれに対する係合によって、シャフトハウジング332と摩擦ハウジング342との相対的な回転は、実質的に抑制される。拘束部品350が部分的にシャフトアセンブリ凹部354内に配向され、部分的に摩擦アセンブリ凹部352内に配向される場合、慣性ロック摩擦ヒンジ316はロック状態にある。
【0064】
慣性ロック摩擦ヒンジ316が図1に示すようなコンソールに設置されると、カバー12はベース14に対して閉じられた状態でロックされ、内容物をベース14内に保持する。図11に示すように、慣性ロック摩擦ヒンジ316がグローブボックスに設置されると、ドア112はベース114に対して閉じられた状態でロックされ、その内容物を保持する。1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ316がグローブボックスに設置される場合、配向によっては、拘束部品350に結合された、図10に示すようなばね158のようなばねを含むこともある。
【0065】
図19に示すように、拘束部品350は一般的に長方形のブロックであるが、図4の拘束部品50はピン状または円筒状であり、図14の拘束部品250はさらに別の直方体である。したがって、拘束部品にはさまざまな形状を使用でき、シャフトと摩擦アセンブリ凹部とは、拘束部品に収容するような補完的な形状を有する。慣性ロック摩擦ヒンジの中では、実施形態における様々なタイプの拘束部品、摩擦要素、付勢機構の様々な組み合わせが可能である。
【0066】
図24図28は、1つの実施形態による慣性ロック摩擦ヒンジ416を示す。1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ416にはシャフトアセンブリ430と、摩擦アセンブリ440と、拘束部品450とが含まれる。1つの実施形態では、シャフトアセンブリ430は、シャフトハウジング432と、シャフト434と、シャフトハウジング凹部454とを含む。1つの実施形態では、摩擦アセンブリ440は、複数の摩擦要素444と、摩擦ハウジング442と、摩擦ハウジング凹部452とを含む。慣性ロック摩擦ヒンジ416は、前述の慣性ロック摩擦ヒンジ16、116、216、316と同様に動作する。
【0067】
1つの実施形態では、慣性ロック摩擦ヒンジ416が組み立てられると、シャフト434はシャフトハウジング432の開口部内にしっかりと取り付けられ、両者は固定され、シャフト434とシャフトハウジング432とは一緒に回転する。摩擦要素444は、シャフト434の上にしまりばめされて配置され、摩擦ハウジング442の中にも収容され、よって、摩擦要素444と摩擦ハウジング442との相対的な回転は抑制される。したがって、シャフトハウジング432が摩擦ハウジング442に対して回転すると、シャフト434は、摩擦要素444内で回転し、慣性ロック摩擦ヒンジ416内で摩擦トルクを発生させる。
【0068】
1つの実施形態では、拘束部品450は爪ブロッカーとして構成されている。慣性ロック摩擦ヒンジ416がロック解除状態にあるとき、拘束部品450または爪は、ピボット軸456(図27参照)上にあり、摩擦ハウジング凹部452またはシャフトハウジング凹部454とは係合しない。図26および図28に示すように、拘束部品450は、シャフトハウジング432とともに回転し、重力は、摩擦ハウジング凹部452から外れた位置で拘束部品450を保持する。拘束部品450が図示のような爪である場合、その形状は、その重心CG(図27参照)がピボット軸456から外れるような形状であり、通常の重力下で爪が係合解除状態に保持される位置にある。前述した実施形態と同様に、実施形態の摩擦部分からの摩擦トルクは、通常の動作中、シャフトハウジング432と摩擦ハウジング442との間の移動に抵抗する全てである。
【0069】
法線重力と同じ方向の外部の衝撃力Fが設計時に設定した力を超えると、拘束部品450は、シャフトハウジング凹部454と係合する位置に回転し、シャフトハウジング432と摩擦ハウジング442との間の相対的な回転を抑制し、慣性ロック摩擦ヒンジ416をこのロック状態に配置する。摩擦ハウジング凹部452とシャフトハウジング凹部454とは、拘束部品450の爪の特徴とともに、ロック状態において負荷がかかっても外れないように、ロック角度をつけて設計されている。慣性力が消滅すると、爪は、重力によって係合が外れた位置に戻り、慣性ロック摩擦ヒンジ416はロック解除状態に戻る。
【0070】
本明細書では特定の実施形態を図示し説明したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、図示し説明した特定の実施形態に代えて、様々な代替的な実施態様および/または同等の実施態様を用いることができることが理解されよう。本出願は、本明細書で説明する特定の実施形態のあらゆる適合例または変形例をカバーすることを意図している。したがって、本発明は特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
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