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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】化合物、屈折率向上剤及び重合体
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/215 20060101AFI20240920BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20240920BHJP
   C07C 69/54 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 16/32 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 20/20 20060101ALI20240920BHJP
   C07D 303/27 20060101ALN20240920BHJP
   C08G 59/06 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
C07C43/215 CSP
C07C43/23 F
C07C69/54 B
C07C69/54 Z
C08F16/32
C08F20/20
C07D303/27
C08G59/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023571960
(86)(22)【出願日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2023023674
(87)【国際公開番号】W WO2024004962
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2022104012
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391052574
【氏名又は名称】三光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】小宮 直城
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-012828(JP,A)
【文献】特開昭58-170774(JP,A)
【文献】特開平02-111743(JP,A)
【文献】特開平08-188625(JP,A)
【文献】特開2008-247755(JP,A)
【文献】HAY, A. S. et al.,Photosensitive polyacetylenes,Jounal of Polymer Science Part B: Polymer Letters,1970年02月,Vol.8, No.2,pp.97-99
【文献】KIM, W. and HAY, A. S.,Synthesis of Soluble Poly(ether imide)s from Bis(ether anhydride)s Containing Bulky Substituents,Macromolecules,1993年09月27日,Vol.26, No.20,pp.5275-5280
【文献】GOTO, K. et al.,Polymer Design for Thermally Stable Polyimides with Low Dielectric Constant,Macromolecular Symposia,2003年10月06日,Vol.199, No.1,pp.321-332
【文献】安藤慎治,光学ポリマーの屈折率制御:理論予測と分子設計の手法,光学,2015年08月,44巻, 8号,pp.298-303
【文献】加藤真理子, 伊藤浩志,フルオレン含有ポリエステル光学樹脂の成形加工性と光学特性,成形加工,2012年01月20日,Vol.24, No.2,pp.46-50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 43/215
C07C 43/23
C07C 69/54
C07D 303/27
C08F 16/32
C08F 20/20
C08G 59/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表される化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
【化1】
前記化学式(1)中、
Aは、単結合であり、
及びXは、それぞれ重合性官能基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、
前記化学式(1)中、X及びXが、それぞれ独立して、下記化学式(2)、(4)、又は(5)の基で表される置換基である
【化2】
前記化学式(2)中、
*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、
nは、0又は1の整数である。
【化4】
前記化学式(4)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、
Dは、エチレン基又はイソプロピレン基であり、
mは、1~3の整数であり、
Dが複数の場合は、各Dは互いに同一でも異なっていてもよい。
【化5】
前記化学式(5)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、
Eは、エチレン基又はイソプロピレン基であり、
Fは、水素原子又はメチル基であり、
lは、0であり、
Eが複数の場合は、各Eは互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項2】
前記化学式(4)中、Dが、イソプロピレン基である、
請求項1記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩を含むモノマー成分、及び前記モノマー成分の重合体の少なくとも一方を含む、樹脂材料の屈折率を向上させるための屈折率向上剤。
【請求項4】
請求項1又は2記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩を含むモノマー成分の重合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、屈折率向上剤及び重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ビフェノール類及びビスフェノール類は様々な化合物が検討されている。さらに、特許文献1では、そのビフェノール類又はビスフェノール類に重合性の官能基を導入し、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用プリズムレンズシート、光ファイバー、光ディスク等の光学用物品の高屈折率の樹脂材料などへの使用が提案されている。特許文献1の一般式(1)で表される化合物は、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用プリズムレンズシート、光ファイバー、光ディスク等の光学用物品の高屈折率の樹脂材料などとして有用な新規の重合性モノマーである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2016/002607A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような用途の中で、高屈折率の樹脂材料は薄型化がされており、樹脂の更なる高屈折率化が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、高屈折率の樹脂材料を提供可能な化合物、屈折率向上剤及び重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の化合物は、下記化学式(1)で表される化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩である。
【0007】
【化1】
【0008】
前記化学式(1)中、
Aは、単結合、2価の炭化水素基、又はスルホニル基であり、前記2価の炭化水素基における水素原子の1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよく、
及びXは、それぞれ重合性官能基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0009】
本発明の屈折率向上剤は、前記本発明の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩を含む屈折率向上剤である。
【0010】
本発明の重合体は、前記本発明の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩を含むモノマー成分の重合体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高屈折率の樹脂材料を提供可能な化合物、屈折率向上剤及び重合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、合成例1で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図2図2は、合成例2で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図3図3は、実施例1で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図4図4は、実施例2で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図5図5は、実施例3で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図6図6は、実施例4で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図7図7は、実施例5で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図8図8は、実施例6で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図9図9は、実施例7で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図10図10は、実施例8で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図11図11は、実施例9で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図12図12は、実施例10で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
図13図13は、実施例11で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
【0014】
本発明において、化合物(例えば、前記化学式(1)で表される化合物等)に互変異性体又は立体異性体(例:幾何異性体、配座異性体及び光学異性体)等の異性体が存在する場合は、特に断らない限り、いずれの異性体も本発明に用いることができる。また、化合物が塩を形成し得る場合は、特に断らない限り、前記塩も本発明に用いることができる。前記塩は、酸付加塩でも良いが、塩基付加塩でも良い。さらに、前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でも良く、前記塩基付加塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でも良い。前記無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜フッ素酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜フッ素酸、亜塩素酸、亜臭素酸、亜ヨウ素酸、フッ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過フッ素酸、過塩素酸、過臭素酸、及び過ヨウ素酸等が挙げられる。前記有機酸も特に限定されないが、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸及び酢酸等が挙げられる。前記無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩等が挙げられ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等が挙げられる。前記有機塩基も特に限定されないが、例えば、エタノールアミン、トリエチルアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。これらの塩の製造方法も特に限定されず、例えば、前記化合物に、前記のような酸や塩基を公知の方法により適宜付加させる等の方法で製造することができる。
【0015】
また、本発明において、鎖状置換基(例えば、アルキル基、アルキレン基、不飽和脂肪族炭化水素基等の炭化水素基)は、特に断らない限り、直鎖状でも分枝状でも良く、その炭素数は、特に限定されないが、例えば、1~40、1~32、1~24、1~18、1~12、1~6、1~4、又は1~2(不飽和炭化水素基の場合は2以上)であっても良い。また、本発明において、環状の基(例えば、アリール基、ヘテロアリール基等)の環員数(環を構成する原子の数)は、特に限定されないが、例えば、5~32、5~24、6~18、6~12、又は6~10であっても良い。また、置換基等に異性体が存在する場合は、特に断らない限り、どの異性体でも良く、例えば、単に「ナフチル基」という場合は、1-ナフチル基でも2-ナフチル基でも良い。
【0016】
[1.本発明の化合物及びその製造方法等]
本発明の化合物は、前述のとおり、前記化学式(一般式)(1)で表される2,6-ジフェニルフェノール骨格を有する化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩である。また、本発明の化合物は、前記化学式(1)に示すとおり、重合性官能基であるX及びXを含んでいるので、重合してポリマー(重合体)を形成可能である。本発明の化合物は、それ自体が高い屈折率を有し、このため、重合することにより高屈折率の樹脂材料を提供可能である。
【0017】
以下において、前記一般式(1)で表される化合物の合成(製造)方法について、例を挙げて説明する。
【0018】
前記一般式(1)においてAが単結合である化合物は、例えば、下記化学式(6)で表される化合物(以下、「Bis-DPP」ともいう)を原料に用いて合成(製造)することができる。
【0019】
【化6】
【0020】
「Bis-DPP」は、例えば、Bul. Korean Chem. Soc. 1999, Vol.20, No.4, pp. 469-472に記載の方法で合成できるが、この方法に限定されず、その他の任意の方法で合成してもよい。
【0021】
前記一般式(1)において、Aがメチレン基の化合物は、例えば、下記化学式(7)で表される化合物(以下、「Bis-DPP-F」ともいう)を原料に用いて合成(製造)することができる。
【0022】
【化7】
【0023】
「Bis-DPP-F」は、例えば、European Polymer Journal, 1970, Vol.6, pp. 1339-1346に記載の方法で合成できるが、この方法に限定されず、その他の任意の方法で合成してもよい。
【0024】
前記一般式(1)において、Aは、前述のとおり、単結合、2価の炭化水素基、又はスルホニル基であり、前記2価の炭化水素基における水素原子の1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい。Aにおいて、前記2価の炭化水素基は、2価の鎖状の炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基であってもよい。Aにおいて、前記2価の鎖状の炭化水素基は、直鎖状でも分枝状でも飽和でも不飽和でもよい。前記2価の鎖状の炭化水素基は、例えば、直鎖又は分枝アルキレン基、直鎖または分枝アルケニレン基、直鎖または分枝アルキニレン基等が挙げられる。前記2価の鎖状の炭化水素基は、例えば、炭素数1~4の2価の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)、1つのメチルが付加した炭素数2~5の2価の炭化水素基(例えば、メチルメチレン基など)、2つのメチルが付加した炭素数3~6の2価の炭化水素基(ジメチルメチレン基など)などの基が挙げられ、メチレン基が特に好ましい。
【0025】
前記一般式(1)中のAにおいて、前記2価の炭化水素基における水素原子の1つ以上は、前述のとおり、それぞれ独立して、メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい。また、前記一般式(1)中のAにおいて、前記2価の鎖状の炭化水素基における水素原子の1つ以上は、前述のとおり、それぞれ独立して、メチル基又はフェニル基で置換されていてもよい。前記Aは、例えば、1つのフェニル基が付加した(すなわち、水素原子の1つがフェニル基で置換された)炭素数7~10の2価の炭化水素基であってもよい。前記1つのフェニル基が付加した炭素数7~10の2価の炭化水素基としては、例えば、フェニルメチレン基などが挙げられる。前記Aは、例えば、2つのフェニル基が付加した(すなわち、水素原子の2つがフェニル基で置換された)炭素数13~16の2価の炭化水素基であってもよい。前記2つのフェニル基が付加した炭素数13~16の2価の炭化水素基としては、例えば、ジフェニルメチレン基などが挙げられる。前記Aは、例えば、メチル基及びフェニル基が付加した(すなわち、水素原子の1つ以上がメチル基で置換され、かつ水素原子の1つ以上がフェニル基で置換された)炭素数2価の炭素数8~11の炭化水素基であってもよい。前記メチル基及びフェニル基が付加した炭素数2価の炭素数8~11の炭化水素基としては、例えば、メチルフェニルメチレン基などが挙げられる。前記Aにおいて、前記2価の鎖状の炭化水素基における水素原子の1つ以上がメチル基又はフェニル基で置換された基としては、特に、フェニルメチレン基、又はジフェニルメチレン基が好ましい。
【0026】
前記一般式(1)中のAは、前述のとおり、2価の脂環式炭化水素基であってもよく、例えば、シクロアルキレン基が挙げられる。前記シクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシレン基、シクロヘキシリデン基等が挙げられる。前記シクロペンチレン基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基が挙げられる。前記シクロへキシレン基としては、例えば、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0027】
前記一般式(1)中のAは、単結合又はメチレン基が好ましい。また、前記一般式(1)中のAとして、前述のとおり、スルホニル基を選択することもできる。
【0028】
前記一般式(1)中の重合性官能基X及びXは、前述のとおり、互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。前記重合性官能基としては、例えば、水酸基を含む官能基、アミノ基を含む官能基、カルボニル基を含む官能基、エポキシ基を含む官能基、アルケニル基を含む官能基、不飽和カルボン酸残基を含む官能基、イソシアナート基(-NCO基)を含む官能基等が挙げられる。
【0029】
前記一般式(1)中の重合性官能基X及びXが下記化学式(2)で表される場合は、前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記スキーム1又は下記スキーム2に表す方法で合成できる。下記スキーム1又は下記スキーム2に表す方法は、「Bis-DPP」(化合物(6))又は「Bis-DPP-F」(化合物(7))と、ハロビニル又はハロアリルとを反応させる方法である。反応条件は特に限定されず、例えば、無溶媒で反応させても有機溶媒中で反応させてもよいし、触媒を用いて反応させてもよいし、無触媒で反応させてもよい。
【0030】
【化2】
【0031】
【化S1】
【0032】
【化S2】
【0033】
前記化学式(2)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、nは、0又は1の整数である。
【0034】
前記ハロビニル又はハロアリルとしては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化アリル、臭化アリル等が例示できる。
【0035】
前記ハロビニル又はハロアリルの総使用量も特に限定されないが、「Bis-DPP」又は「Bis-DPP-F」に対して、1~6倍モル量であることが好ましく、2~4倍モル量であることがより好ましい。
【0036】
前記一般式(1)中の重合性官能基X及びXが下記化学式(3)で表される場合は、前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記スキーム3又は下記スキーム4に表す方法で合成できる。下記スキーム3又は下記スキーム4に表す方法は、「Bis-DPP」(化合物(6))又は「Bis-DPP-F」(化合物(7))と、エピハロヒドリンとを反応させる方法である。反応条件は特に限定されず、例えば、無溶媒で反応させても有機溶媒中で反応させてもよいし、触媒を用いて反応させてもよいし、無触媒で反応させてもよい。
【0037】
【化3】
【0038】
【化S3】
【0039】
【化S4】
【0040】
前記化学式(3)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手である。
【0041】
前記化学式(1)中、Aが単結合である場合は、X及びXの少なくとも一方は、前記化学式(3)以外の置換基であってもよく、X及びXのいずれのが、前記化学式(3)以外の置換基であってもよい。
【0042】
前記エピハロヒドリンとしては、特に限定されないが、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が例示できる。
【0043】
前記エピハロヒドリンの総使用量も特に限定されないが、「Bis-DPP」又は「Bis-DPP-F」に対して、1~12倍モル量であることが好ましく、特に、2~10倍モル量であることがより好ましい。
【0044】
前記スキーム3及び前記スキーム4の前記工程において、反応温度は特に限定されないが、-10℃~150℃であることが好ましい。反応温度が高すぎると副生成物が生じる可能性があり、且つ、反応温度が低すぎると反応時間がかかり過ぎる。前記反応温度は、20℃~130℃であることがより好ましい。また、前記工程の反応時間は、特に限定されず、反応温度に応じて調節できるが、1~15時間であることが好ましい。
【0045】
前記一般式(1)中の重合性官能基X及びXが下記化学式(4)で表される場合は、前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記スキーム5又は下記スキーム6に表す方法で合成できる。下記スキーム5又は下記スキーム6に表す方法は、「Bis-DPP」(化合物(6))又は「Bis-DPP-F」(化合物(7))と、エチレンオキサイド、炭酸エチレン、プロピレンオキサイド、及び炭酸プロピレンからなる群から選択される1種類以上とを反応させを反応させる方法である。反応条件は特に限定されず、例えば、無溶媒で反応させても有機溶媒中で反応させてもよいし、触媒を用いて反応させてもよいし、無触媒で反応させてもよい。
【0046】
【化4】
【0047】
【化S5】
【0048】
【化S6】
【0049】
前記化学式(4)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、Dは、エチレン基又はイソプロピレン基であり、mは、1~3の整数であり、Dが複数の場合は、各Dは互いに同一でも異なっていてもよい。また、Dは、例えば、イソプロピレン基であってもよい。
【0050】
前記エチレンオキシド、炭酸エチレン、プロピレンオキシド及び炭酸プロピレンの総使用量は、特に限定されないが、「Bis-DPP」又は「Bis-DPP-F」に対して、例えば、mが1の場合1~3倍モル量、mが2の場合は3~5倍モル量、mが3の場合は5~6倍モル量であることが好ましい。
【0051】
前記スキーム5及び前記スキーム6の前記工程において、反応温度は、特に限定されないが、-20℃~200℃であることが好ましい。反応温度が高すぎると副生成物が生じる可能性があり、且つ、反応温度が低すぎると反応時間がかかり過ぎる。前記反応温度は、0℃~180℃であることがより好ましい。また、前記工程の反応時間は、特に限定されず、反応温度に応じて調節することが好ましいが、1~18時間であることが好ましい。
【0052】
前記一般式(1)中の重合性官能基X及びXが下記化学式(5)で表され、前記化学式(5)中のlが0である場合は、前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記スキーム7又は下記スキーム8に表す方法で合成できる。下記スキーム7又は下記スキーム8に表す方法は、「Bis-DPP」(化合物(6))又は「Bis-DPP-F」(化合物(7))と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、又はジ(メタ)アクリル酸無水物からなる群から選択される1種類以上とを反応させる方法である。反応条件は特に限定されず、例えば、無溶媒で反応させても有機溶媒中で反応させてもよいし、触媒を用いて反応させてもよいし、無触媒で反応させてもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル及びメタクリルの少なくとも一方」を表す。例えば、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方」を表す。「(メタ)アクリル酸クロリド」は、「アクリル酸クロリド及びメタクリル酸クロリドの少なくとも一方」を表す。「ジ(メタ)アクリル酸無水物」は、「ジアクリル酸無水物及びジメタクリル酸無水物の少なくとも一方」を表す。
【0053】
【化5】
【0054】
【化S7】
【0055】
【化S8】
【0056】
前記化学式(5)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、Eは、エチレン基又はイソプロピレン基であり、Fは、水素原子又はメチル基であり、lは、0~3の整数であり、Eが複数の場合は、各Eは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0057】
前記(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド又はジ(メタ)アクリル酸無水物の総使用量は、特に限定されないが、「Bis-DPP」又は「Bis-DPP-F」対して、1~6倍モル量であることが好ましく、2~4倍モル量であることがより好ましい。
【0058】
前記スキーム7及び前記スキーム8の前記工程において、反応温度は特に限定されないが、-20℃~100℃であることが好ましい。反応温度が高すぎると副生成物が生じる可能性があり、且つ、反応温度が低すぎると反応時間がかかり過ぎる。前記反応温度は、-10℃~40℃であることがより好ましい。また、前記工程の反応時間は、特に限定されず、反応温度に応じて調節することが好ましいが、1~8時間であることが好ましい。
【0059】
前記一般式(1)中の重合性官能基X及びXが前記化学式(5)で表され、前記化学式(5)中のlが1~3である場合は、前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記スキーム9又は下記スキーム10に表す方法で合成できる。下記スキーム9又は下記スキーム10に表す方法は、前記スキーム5により前記化合物(6)-3を合成し、又は前記スキーム6により前記化合物(7)-3を合成した後に、前記化合物(6)-3又は前記化合物(7)-3と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、又はジ(メタ)アクリル酸無水物からなる群から選択される1種類以上とを反応させる方法である。反応条件は特に限定されず、例えば、無溶媒で反応させても有機溶媒中で反応させてもよいし、触媒を用いて反応させてもよいし、無触媒で反応させてもよい。
【0060】
【化5】
【0061】
【化S9】
【0062】
【化S10】
【0063】
前記スキーム9及び前記スキーム10において、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド又はジ(メタ)アクリル酸無水物の総使用量は、特に限定されないが、「Bis-DPP」又は「Bis-DPP-F」に対して、1~6倍モル量であることが好ましく、2~4倍モル量であることがより好ましい。
【0064】
前記スキーム9及び前記スキーム10において、前記化合物(6)-3又は前記化合物(7)-3と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、又はジ(メタ)アクリル酸無水物からなる群から選択される1種類以上とを反応させる工程の反応温度は、特に限定されないが、-20℃~200℃であることが好ましい。反応温度が高すぎると副生成物が生じる可能性があり、且つ、反応温度が低すぎると反応時間がかかり過ぎる。前記反応温度は、-10℃~140℃であることがより好ましい。また、前記工程の反応時間は、特に限定されず、反応温度に応じて調節することが好ましいが、1~20時間であることが好ましい。
【0065】
前記スキーム1~10の反応に溶媒を用いる場合、前記溶媒としては、特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル等のエステル;ジクロロメタン、トリクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミドが例示できる。前記有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0066】
前記スキーム1~10の反応に触媒を用いる場合、前記触媒は、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物やテトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の塩基性化合物、塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩又は炭酸水素塩等の無機塩基;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミンが例示できる。前記触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0067】
前記スキーム1~10の反応において、各段階の反応の終了後は、例えば、それぞれの化合物の物性、使用した原料や有機溶剤の種類及び量を考慮し、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、それぞれの化合物を取り出せばよい。具体的には、例えば、適宜必要に応じて、濾過、洗浄、抽出、pH調製、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、それぞれの化合物を取り出せばよい。また、取り出したそれぞれの化合物は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶剤による結晶の攪拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて1回以上行うことで、精製してもよい。
【0068】
本発明の化合物は、重合性官能基を有するため、重合させて重合体(ポリマー)とすることで、前記重合体により形成された樹脂材料を製造することが可能である。前記重合体は、本発明の化合物単独の重合体でもよいし、他のモノマー成分との共重合体でもよい。重合反応の条件(反応温度、反応時間等)も特に限定されず、例えば、本発明の化合物が有する重合性官能基の種類等に応じ、公知の重合反応の条件を参考にして適宜設定してもよい。前記重合反応は、例えば、本発明の化合物単体で、又はその他の化合物(前記他のモノマー成分等)を共存させ、任意に溶剤、触媒等を加えて反応させることで行なってもよい。
【実施例
【0069】
以下、本発明の実施例(合成例を含む)について、比較例と併せて示す。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例中において、「部」は、特に断らない限り「質量部」を表し、「%」は、特に断らない限り「質量%」を表す。
【0070】
以下の実施例及び参考例に示した各物性値は、下記の方法により測定した。
【0071】
H-NMRは、内部標準としてトリメチルシラン(TMS)を用い、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を用いて、日本電子株式会社製 JNM-ECZ400(商品名)装置にて記録した。
【0072】
融点は、株式会社島津製作所製 DSC-50(商品名)装置により測定した。
【0073】
平均分子量は、株式会社島津製作所製 LC-20AD(商品名)装置にて測定し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0074】
赤外吸収測定(IR)は、株式会社島津製作所製 赤外分光光度計 IRAffinity-1S(商品名)装置を用いて、ATR法にて測定した。
【0075】
屈折率は、以下のようにして測定した。まず、1-ブロモナフタレン又はN-メチル-2-ピロリドン(以下、「NMP」ともいう)に屈折率の測定対象物質である化合物を溶解して5重量%又は10重量%溶液を調整した。つぎに、各調整液と、対照として溶媒である1-ブロモナフタレン又はNMPとの屈折率を、株式会社アタゴ製 DR-2M(商品名)装置を用いて測定した。その測定により得られた3点の測定値から近似直線を導いた。その近似直線から屈折率の測定対象物質である各化合物の100重量%の値を読み取り、屈折率の値とした。
【0076】
[合成例1:化合物(6)(Bis-DPP)の合成]
3000mLの4ツ口フラスコに、2,6-ジフェニルフェノール(以下「DPP」ともいう)400.0g(1.62mol)、ベンゾニトリル800.0g、及び塩化銅(1)47.0gを仕込み、空気を吹き込みながら65℃程度に昇温して48時間撹拌した。その後、前記4ツ口フラスコを冷却して室温まで温度を下げ、その後にメタノール800.0gと35%塩酸50.0gを滴下した。その後、析出した結晶を固液分離して緑色の結晶330.8gを得た。
【0077】
得られた前記緑色の結晶は、H-NMR及びIRにより、下記化合物(6)と下記化合物(6X)との混合物であることを確認した。
【0078】
【化6】
【0079】
【化6X】
【0080】
2Lの4ツ口フラスコに前記緑色の結晶(化合物(6)及び(6X)の混合物)330.8g、キシレン864.0g、及びヒドラジン・一水和物81.1g(1.62mol)を仕込み、窒素フロー下で撹拌しつつ、70℃程度で3時間反応を行った。その後、水洗及び共沸脱水後に濾過を行った。その濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して白色の結晶346.0g(収率87.1%)を得た。この白色の結晶をH-NMR及びIRにより測定したところ、前記化学式(6)で表される化合物(Bis-DPP)であることを確認した。化合物(6)(Bis-DPP)の融点は198℃、屈折率は1.705であった。
【0081】
[合成例2:化合物(7)(Bis-DPP‐F)の合成]
1000mLの4ツ口フラスコに、DPP246.3g(1.00mol)、トルエン183.2g、及びメタンスルホン酸24.6gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しつつ、90℃に昇温した。つぎに、純度94%のパラホルムアルデヒド14.4g(0.45mol)を1時間かけて少量ずつ加え、さらに3時間撹拌した。その後、釜温度を冷却し、析出した結晶を固液分離して白色の結晶163.4gを得た。この白色の結晶をキシレン430.2gで溶解し、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して白色の結晶140.8g(収率62.0%、パラホルムアルデヒド換算)を得た。その白色の結晶をH-NMRにより測定することにより、前記化学式(7)で表される化合物(Bis-DPP-F)であることを確認した。化合物(7)(Bis-DPP-F)の融点は204~207℃、屈折率は1.689であった。
【0082】
[実施例1:化合物(6)-1aの合成]
300mLの4ツ口フラスコに化合物(6)(Bis-DPP)14.7g(0.030mol)、アセトン147.0g、48%水酸化ナトリウム5.3g(0.063mol)、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.28gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しながら55℃に昇温した。つぎに、塩化アリル9.2g(0.12mol)を2時間かけて滴下した。さらに、攪拌を続けながら5時間反応を行った。その後、過剰量の塩化アリルを留去した後、キシレン48.6gを加えて、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して白色の結晶14.2g(収率83.0%)を得た。得られた白色の結晶をH-NMR及びIRで分析したところ、下記化学式(6)-1aで表される化合物であることを確認した。得られた化合物(6)-1aの融点は192~194℃、屈折率は1.664であった。
【0083】
【化6-1a】
【0084】
化合物(6)-1aのH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0085】
化合物(6)-1a:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.67-7.65(dd、8H),σ7.61(s、4H),σ7.45-7.42(t、8H),σ7.38-7.34(tt、4H),σ5.49-5.39(m、2H),σ4.89-4.81(dd、4H),σ3.78-3.76(dd、4H)
【0086】
[実施例2:化合物(6)-2の合成]
200mLの4ツ口フラスコに化合物(6)(Bis-DPP)19.6g(0.040mol)、エピクロロヒドリン29.6g(0.64mol)、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.37gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しながら100℃に昇温し、その温度でさらに3時間撹拌を行った。その後、過剰量のエピクロロヒドリンを留去した後、トルエン40.0gを加え、釜温度100℃で48%水酸化ナトリウム14.2g(0.17mol)を滴下し、9時間撹拌した。その後、トルエン30.0gを追加し、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して白色の結晶18.2g(収率75.5%)を得た。得られた白色の結晶をH-NMR及びIRで分析したところ、前記化学式(6)-2で表される化合物であることを確認した。得られた化合物(6)-2の融点は201~202℃、屈折率は1.669であった。
【0087】
【化6-2】
【0088】
化合物(6)-2のH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0089】
化合物(6)-2:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.68-7.65(dd、8H),σ7.61(s、4H),σ7.47-7.43(t、8H),σ7.39-7.35(tt、4H),σ3.40-3.36(dd、2H),σ3.28-3.24(dd、2H),σ2.66-2.62(m、2H),σ2.44-2.42(t、2H),σ2.04-2.02(dd、2H)
【0090】
[実施例3:化合物(6)-3aの合成]
200mLの4ツ口フラスコに化合物(6)(Bis-DPP)40.2g(0.082mol)、炭酸エチレン15.9g(0.090mol)、炭酸ナトリウム2.0g、及びジメチルアセトアミド40.2gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しつつ、155℃に昇温して16時間撹拌した。その後、釜温度を100℃まで冷却し、濾過を行った。濾液にメタノール120.0gを加えて結晶を析出させた。析出した結晶を固液分離して白色の粗結晶43.5gを得た。得られた粗結晶とトルエン87.0gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しつつ、115℃まで昇温して結晶を溶解した。その後、釜温度を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して白色の結晶41.0g(収率86.3%)を得た。得られた白色の結晶をH-NMR及びIRで分析したところ、下記化学式(6)-3aで表される化合物であることを確認した。得られた化合物(6)-3aの融点は200~202℃、屈折率は1.671であった。
【0091】
【化6-3a】
【0092】
化合物(6)-3aのH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0093】
化合物(6)-3a:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.68-7.66(dd、8H),σ7.62(s、4H),σ7.50-7.46(t、8H),σ7.42-7.38(tt、4H),σ3.39-3.24(m、8H),σ1.10-1.07(t、2H)
【0094】
[実施例4:化合物(6)-4aの合成]
200mLの4ツ口フラスコに化合物(6)(Bis-DPP)7.8g(0.016mol)、トリエチルアミン5.4g(0.053mol)、ジメチルアセトアミド156.0g、及びp-メトキシフェノール0.004gを仕込み、溶解した後、5℃に冷却し、アクリル酸クロリド4.8g(0.053mol)を1時間かけて滴下し、さらに2時間撹拌した。その後、反応液を精製水400.0g中に滴下し、結晶を析出させた。固液分離をして白色の粗結晶9.6gを得た。得られた粗結晶とジメチルアセトアミド48.0gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しつつ、85℃まで昇温して結晶を溶解させた。これを濾過後、濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して白色の結晶6.6g(収率68.8%)を得た。得られた白色の結晶をH-NMR及びIRで分析したところ、下記化学式(6)-4aで表される化合物であることを確認した。得られた化合物(6)-4aの融点は218~220℃、屈折率は1.663であった。
【0095】
【化6-4a】
【0096】
化合物(6)-4aのH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0097】
化合物(6)-4a:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.67(s、4H),σ7.51-7.48(dd、8H),σ7.41-7.37(t、8H),σ7.35-7.31(tt、4H),σ6.26-6.22(dd、2H),σ5.97-5.90(dd、2H),σ5.74-5.71(dd、2H)
【0098】
[実施例5:化合物(6)-4bの合成]
200mLの4ツ口フラスコに化合物(6)(Bis-DPP)7.8g(0.016mol)、トリエチルアミン5.4g(0.053mol)、ジメチルアセトアミド156.0g、及びp-メトキシフェノール0.004gを仕込み、溶解した後、5℃に冷却し、メタクリル酸クロリド5.5g(0.053mol)を1時間かけて滴下し、さらに4時間撹拌した。その後、反応液を精製水400.0g中に滴下し、結晶を析出させた。固液分離をして白色の粗結晶8.6gを得た。得られた粗結晶とキシレン17.2gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しつつ、80℃まで昇温して結晶を溶解した。濾過後、濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して薄橙色の結晶4.3g(収率42.9%)を得た。得られた薄橙色の結晶をH-NMR及びIRで分析したところ、下記化学式(6)-4bで表される化合物であることを確認した。得られた化合物(6)-4bの融点は208~215℃、屈折率は1.650であった。
【0099】
【化6-4b】
【0100】
化合物(6)-4bのH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0101】
化合物(6)-4b:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.68(s、4H),σ7.51-7.48(dd、8H),σ7.41-7.37(t、8H),σ7.35-7.31(tt、4H),σ5.92(s、2H),σ5.43-5.42(dd、2H),σ1.70(s、6H)
【0102】
[実施例6:化合物(7)-1aの合成]
300mLの4ツ口フラスコに化合物(7)(Bis-DPP-F)15.1g(0.030mol)、アセトン151.0g、48%水酸化ナトリウム5.3g(0.063mol)、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.28gを仕込み、窒素フロー下で撹拌し、60℃に昇温した。その温度で、塩化アリル9.2g(0.12mol)を2時間かけて滴下し、さらに5時間撹拌を行った。その後、過剰量の塩化アリルを留去した後、トルエン(40.0g)を加えて、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液中のトルエンを留去させて濃縮し、橙色の液状物(16.9g、収率96.6%)を得た。得られた橙色の液状物をH-NMR及びIRで分析したところ、下記化学式(7)-1aで表される化合物であることを確認した。得られた化合物(7)-1aの屈折率は1.636であった。
【0103】
【化7-1a】
【0104】
化合物(7)-1aのH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0105】
化合物(7)-1a:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.60-7.58(dd、8H),7.42-7.37(t、8H),σ7.34-7.30(tt、4H),σ7.22(s、4H),σ5.45-5.35(m、2H),σ4.86-4.77(dd、4H),σ4.05(s、2H),σ3.70-3.68(dd、4H)
【0106】
[実施例7:化合物(7)-2の合成]
200mLの4ツ口フラスコに化合物(7)(Bis-DPP-F)10.1g(0.020mol)、エピクロロヒドリン14.8g(0.16mol)、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.19gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しながら100℃に昇温し、さらに4時間撹拌を行った。その後、過剰量のエピクロロヒドリンを留去した後、キシレン50.0gを加え、釜温度100℃で48%水酸化ナトリウム8.4g(0.10mol)を滴下し、9時間撹拌を行った。その後、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液中のキシレンを留去させて濃縮し、薄い黄色の液状物12.1g(収率98.4%)を得た。得られた薄い黄色の液状物をH-NMR及びIRで分析したところ、前記化学式(7)-2で表される化合物であることを確認した。得られた化合物(7)-2の屈折率は1.639であった。
【0107】
【化7-2】
【0108】
化合物(7)-2のH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0109】
化合物(7)-2:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.61-7.58(dd、8H),σ7.43-7.39(t、8H),σ7.35-7.31(tt、4H),σ7.22(s、4H),σ4.05(s、2H),σ3.33-3.29(dd、2H),σ3.19-3.15(dd、2H),σ2.61-2.57(m、2H),σ2.41-2.38(dd、2H),σ2.00-1.98(dd、2H)
【0110】
[実施例8:化合物(7)-3aの合成]
200mLの4ツ口フラスコに化合物(7)(Bis-DPP-F)10.1g(0.020mol)、炭酸エチレン4.1g(0.023mol)、炭酸ナトリウム0.5g、及びジメチルアセトアミド20.2gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しながら150℃に昇温し、さらに9時間撹拌を行った。その後、釜温度を60℃まで冷却し、濾過を行った。濾液に精製水300.0gを加えて結晶を析出させた。析出した結晶を固液分離して白色の粗結晶11.2gを得た。得られた粗結晶とキシレン44.8gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しながら100℃まで昇温して結晶を溶解させた。それを濾過後、濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して白色の結晶8.6g(収率72.3%)を得た。得られた白色の結晶をH-NMR及びIRで分析したところ、下記化学式(7)-3aで表される化合物であることを確認した。得られた化合物(7)-3aの融点は178~179℃、屈折率は1.653であった。
【0111】
【化7-3a】
【0112】
化合物(7)-3aのH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0113】
化合物(7)-3a:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.61-7.58(dd、8H),σ7.46-7.42(t、8H),σ7.38-7.34(tt、4H),σ7.23(s、4H),σ4.06(s、2H),σ3.31-3.19(m、8H),σ1.06-1.03(t、2H)
【0114】
[実施例9:化合物(7)-4aの合成]
200mLの4ツ口フラスコに化合物(7)(Bis-DPP-F)8.0g(0.016mol)、トリエチルアミン5.4g(0.053mol)、ジメチルアセトアミド160.0g、及びp-メトキシフェノール0.004gを仕込み、溶解した後、5℃に冷却し、アクリル酸クロリド4.8g(0.053mol)を1時間かけて滴下した。その後、4時間撹拌した。その後、トルエン50.0gを追加し、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して淡黄色の結晶6.6g(収率67.3%)を得た。得られた淡黄色の結晶をH-NMR及びIRで分析したところ、下記化学式(7)-4aで表される化合物であることを確認した。得られた化合物(7)-4aの融点は139~144℃、屈折率は1.647であった。
【0115】
【化7-4a】
【0116】
化合物(7)-4aのH-NMRの測定結果を以下に記す。
【0117】
化合物(7)-4a:
H-NMR(400MHz,CDCl):σ7.44-7.41(dd、8H),σ7.38-7.31(m、12H),σ7.30(s、4H),σ6.22-6.18(dd、2H),σ5.93-5.86(dd、2H),σ5.70-5.67(dd、2H),σ4.13(s、2H)
【0118】
[実施例10:化合物(6)-5a及びその重合体の合成]
200mLの4ツ口フラスコに、実施例3で合成した化合物(6)-3aを5.8g(0.010mol)、トルエン58.0g、メタンスルホン酸0.6g、p-メトキシフェノール0.004g、及びアクリル酸2.0g(0.028mol)を仕込み、撹拌を行った。80℃に昇温して、フラスコ内をおよそ0.033MPa程度に減圧してトルエンを還流させながら7時間撹拌を行った。反応液にトルエン20.0gを加えて、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液中のトルエンを留去させて濃縮し、薄い黄色の液状物6.0g(収率87.4%)を得た。その液状物を静置して結晶化させた。そのようにして得られた化合物の平均分子量は810であり、その平均分子量とIR分析結果とから、下記化学式(6)-5aで表される化合物とその重合体(重合物)との組成物(混合物)であることが確認された。得られた組成物(混合物)の融点は88~93℃、屈折率は1.630であった。実施例10で得られた組成物(混合物)のIR分析結果を図12に、実施例10の原料に用いた実施例3の化合物(6)-3aのIR分析結果を図5に示した。
【0119】
【化6-5a】
【0120】
[実施例11:化合物(7)-5a及びその重合体の合成]
200mLの4ツ口フラスコに実施例8で合成した化合物(7)-3aを5.9g(0.010mol)、トルエン60.0g、メタンスルホン酸0.6g、p-メトキシフェノール0.004g、及びアクリル酸2.0g(0.028mol)を仕込み、撹拌した。その後、80℃に昇温して、フラスコ内をおよそ0.033MPa程度に減圧してトルエンを還流させながら13時間撹拌した。そのようにして得られた反応液にトルエン20.0gを加えて、水洗、共沸脱水後に濾過を行った。その濾液中のトルエンを留去させて濃縮し、薄い黄色の液状物6.2g(収率88.6%)を得た。得られた薄い黄色の液状物化合物の平均分子量は1318であり、その平均分子量とIR分析結果とから、下記化学式(7)-5aで表される化合物とその重合体(重合物)との組成物(混合物)であることが確認された。この組成物(混合物)の屈折率は1.617であった。実施例11で得られた組成物(混合物)のIR分析結果を図13に、実施例11の原料に用いた実施例8の化合物(7)-3aのIR分析結果を図10に示した。
【0121】
【化7-5a】
【0122】
なお、実施例(合成例を含む)で合成(製造)した化合物のIRスペクトル図(IR分析結果)を、図1図13にまとめて示す。図1は、合成例1で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図2は、合成例2で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図3は、実施例1で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図4は、実施例2で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図5は、前述のとおり、実施例3で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図6は、実施例4で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図7は、実施例5で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図8は、実施例6で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図9は、実施例7で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図10は、前述のとおり、実施例8で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図11は、実施例9で得られた化合物のIR分析結果を示す図である。図12は、前述のとおり、実施例10で得られた化合物(組成物、混合物)のIR分析結果を示す図である。図13は、前述のとおり、実施例11で得られた化合物(組成物、混合物)のIR分析結果を示す図である。なお、図1~13において、横軸は波数(cm-1)であり、縦軸は透過率である。
【0123】
[比較例1]
200mLの4ツ口フラスコに4,4’-ジヒドロキシビフェニル27.9g(0.15mol)、炭酸エチレン29.1g(0.33mol)、炭酸ナトリウム1.4g、及びジメチルアセトアミド83.7gを仕込み、窒素フロー下で撹拌し、155℃に昇温して8時間撹拌した。その後、釜温度を110℃まで冷却し、濾過。濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して、下記化学式(9)で表される化合物の白色の結晶29.9g(収率72.7%)を得た。得られた化合物(9)の融点は217~219℃、屈折率は1.612であった。
【0124】
【化9】
【0125】
[比較例2]
200mLの4ツ口フラスコにビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン30.0g(0.15mol)、炭酸エチレン29.1g(0.33mol)、炭酸ナトリウム1.5g、及びジメチルアセトアミド30.0gを仕込み、窒素フロー下で撹拌し、155℃に昇温して15時間撹拌した。その後、釜温度を冷却し、反応液を精製水200.0gに加えて結晶を析出させた。析出した結晶を固液分離して白色の粗結晶42.8gを得た。得られた粗結晶と4-メチル-2-ペンタノン150.0gを仕込み、窒素フロー下で撹拌しつつ、100℃まで昇温して結晶を溶解した。濾過後、濾液を冷却しながら種結晶を加えて晶析を行い、固液分離して、下記化学式(10)で表される化合物の白色の結晶30.6g(収率70.7%)を得た。得られた化合物(10)の融点は109~111℃、屈折率は1.579であった。
【0126】
【化10】
【0127】
実施例及び比較例で合成した化合物の屈折率を、下記表1にまとめて示す。
【0128】
[表1]
化合物 屈折率
実施例 1 1.664
実施例 2 1.669
実施例 3 1.671
実施例 4 1.663
実施例 5 1.650
実施例 6 1.636
実施例 7 1.639
実施例 8 1.653
実施例 9 1.647
実施例10 1.617
実施例11 1.612
比較例 1 1.612
比較例 2 1.579
【0129】
以上、説明したとおり、実施例で合成(製造)した本発明の化合物は、いずれも重合性の官能基を有する化合物であった。さらに、実施例で合成(製造)した本発明の化合物は、いずれも、前記表1に示したように1.636~1.671の高い屈折率を示し、高屈折率が望まれる光学用樹脂材料等に適していることが確認できた。
【0130】
本発明は、以下の付記のようにも記載することが可能である。ただし、本発明は、これらには限定されない。
【0131】
(付記1)
下記化学式(1)で表される化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
【化1】
前記化学式(1)中、
Aは、単結合、2価の炭化水素基、又はスルホニル基であり、前記2価の炭化水素基における水素原子の1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよく、
及びXは、それぞれ重合性官能基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。
(付記2)
前記化学式(1)中のAにおいて、
前記2価の炭化水素基は、2価の鎖状の炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基であり、
前記2価の鎖状の炭化水素基又は前記2価の脂環式炭化水素基における水素原子の1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい、
付記1記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
(付記3)
前記化学式(1)中、
Aは、単結合、メチレン基、又はシクロヘキシレン基であり、前記メチレン基中の水素原子は、それぞれメチル基又はフェニル基に置換されていても置換されていなくてもよい、
付記1又は2記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
(付記4)
前記化学式(1)中、X及びXが、それぞれ独立して、下記化学式(2)~(5)のいずれかの基で表される置換基である、付記1から3のいずれかに記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
【化2】
前記化学式(2)中、
*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、
nは、0又は1の整数である。
【化3】
前記化学式(3)中、
*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手である。
【化4】
前記化学式(4)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、
Dは、エチレン基又はイソプロピレン基であり、
mは、1~3の整数であり、
Dが複数の場合は、各Dは互いに同一でも異なっていてもよい。
【化5】
前記化学式(5)中、*は、前記化学式(1)中のO原子に対する結合手であり、
Eは、エチレン基又はイソプロピレン基であり、
Fは、水素原子又はメチル基であり、
lは、0~3の整数であり、
Eが複数の場合は、各Eは互いに同一でも異なっていてもよい。
(付記5)
前記化学式(4)中、Dが、イソプロピレン基である、
付記4記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
(付記6)
前記化学式(1)において、
Aが、単結合、メチレン基、又はシクロヘキシレン基であり、前記メチレン基の水素原子の1つ以上は、それぞれ独立して、メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい、
付記4又は5記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩。
(付記7)
付記1から6のいずれかに記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩を含む屈折率向上剤。
(付記8)
付記1から6のいずれかに記載の化合物、その互変異性体若しくは立体異性体又はそれらの塩を含むモノマー成分の重合体。
【0132】
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0133】
以上、説明したとおり、本発明によれば、高屈折率の樹脂材料を提供可能な化合物、屈折率向上剤及び重合体を提供することができる。本発明の化合物、屈折率向上剤及び重合体の用途は特に限定されず、一般的な高屈折率の樹脂材料の用途を含む広範な用途に利用可能であり、産業上の利用価値は多大である。
【0134】
この出願は、2022年6月28日に出願された日本出願特願2022-104012を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13