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特許7557915テイラー反応装置及びカプセル粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】テイラー反応装置及びカプセル粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20240920BHJP
   A61J 3/07 20060101ALI20240920BHJP
   B01J 19/22 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K9/48
A61J3/07 M
B01J19/22
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2024501529
(86)(22)【出願日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2023037566
(87)【国際公開番号】W WO2024085149
(87)【国際公開日】2024-04-25
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2022167048
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396019631
【氏名又は名称】株式会社チップトン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 貴子
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小林 知之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 海里
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0080539(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0120169(US,A1)
【文献】特表2020-532528(JP,A)
【文献】特表2005-513145(JP,A)
【文献】特表2011-529912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61J 3/00-3/10
B01J 19/00-19/32
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テイラー反応装置を用いるカプセル粒子の製造方法であって、
テイラー反応装置が、外筒、内筒、及び1以上の流入口を備えており、
内筒は、外筒内に回転可能に配置されており、外筒との間に環状の反応室を形成するものであり、
内筒と外筒との間の間隙幅が0.01mm~1mmであり、
1以上の流入口が、第1流入口、第2流入口、及び、第3流入口を含み、第1流入口、第2流入口、第3流入口とは、互いに独立しており、それぞれ反応室に連結されており、
第1流入口から粒子形成成分または封入成分の一方を反応室へと注入し、第2流入口から他方を反応室へと注入し、
内筒を回転させ、粒子形成成分と封入成分とを反応室内で混合し、その後、第3流入口から希釈溶液を注入するカプセル粒子の製造方法。
【請求項2】
テイラー反応装置を用いるカプセル粒子の製造方法であって、
テイラー反応装置が、外筒、内筒、及び1以上の流入口を備えており、
内筒は、外筒内に回転可能に配置されており、外筒との間に環状の反応室を形成するものであり、
内筒と外筒との間の間隙幅が0.01mm~1mmであり、
1以上の流入口が、第1流入口、及び、第2流入口を含み、第1流入口と第2流入口とは、互いに独立しており、それぞれ反応室に連結されており、
第1流入口が、第1ライン及び第2ラインを含み、第1ラインと第2ラインとは合流するよう配置されており、合流したラインが共通の流入口を介して反応室に連結されており、
第1ラインから粒子形成成分または封入成分の一方が注入され、第2ラインから他方が注入され、粒子形成成分と封入成分とを反応室手前で混合して粒子形成成分-封入成分を生成し、次いで粒子形成成分-封入成分混合液を第1流入口を介して反応室へと注入し、内筒を回転させ、粒子形成成分-封入成分混合液を反応室内でさらに混合し、その後、第2流入口から希釈溶液を注入するカプセル粒子の製造方法。
【請求項3】
粒子形成成分と封入成分のそれぞれの流入口の内径が、同一の場合におけるそれぞれの注入速度の比が1:2~1:9の範囲から選択される、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
第1流入口と、第2流入口が内筒の軸方向に垂直な同一断面上に配置される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
反応室に液を供給する側を上流側、反応室から液を排出する側を下流側とすると、上流側から第1流入口、第2流入口、第3流入口の順に配置され、第1流入口から封入成分を注入し、その後、第2流入口から粒子形成成分を注入し、その後、第3流入口から希釈溶液を注入する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
粒子形成成分がポリマー成分又は脂質成分を含み、
封入成分が核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、又は低分子化合物を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項7】
粒子形成成分が脂質成分を含み、
封入成分が核酸を含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
内筒の周速が0.5~47m/sである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項9】
テイラー反応を行う撹拌時間が、1分以下の撹拌時間である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項10】
第1流入口、第2流入口との内径が同一若しくは略同一である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項11】
第1流入口と、第2流入口との内径が異なる、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項12】
カプセル粒子の製法に用いるためのテイラー反応装置であって、外筒、内筒、及び1以上の流入口を備えており、
内筒は、外筒内に回転可能に配置されており、外筒との間に環状の反応室を形成するものであり、
内筒と外筒との間の間隙幅が0.01mm~1mmであり、
1以上の流入口が、第1流入口、第2流入口、及び、第3流入口を含み、第1流入口、第2流入口、第3流入口とは、互いに独立しており、それぞれ反応室に連結されており、
第1流入口から粒子形成成分または封入成分の一方を注入するためのものであり
第2流入口から他方を注入するためのものであり、
内筒が、回転させて粒子形成成分と封入成分とを反応室内で混合するためのものであり、
第3流入口から希釈液を注入するためのものである、テイラー反応装置。
【請求項13】
カプセル粒子の製法に用いるためのテイラー反応装置であって、外筒、内筒、及び1以上の流入口を備えており、
内筒は、外筒内に回転可能に配置されており、外筒との間に環状の反応室を形成するものであり、
内筒と外筒との間の間隙幅が0.01mm~1mmであり、
1以上の流入口が、第1流入口、及び、第2流入口を含み、第1流入口と第2流入口とは、互いに独立しており、それぞれ反応室に連結されており、
第1流入口が、第1ライン及び第2ラインを有し、
第1ラインから粒子形成成分または封入成分の一方を注入するためのものであり、
第2ラインから他方を注入するためのものであり、
第1ラインと第2ラインとは反応室手前で合流しており、
合流部分よりも下流側が粒子形成成分-封入成分混合液ラインを形成しており、次いで共通の流入口を介して反応室へと連結されており、
内筒が、回転させて粒子形成成分-封入成分混合液を反応室内でさらに混合するためのものであり、
第2流入口が、希釈溶液を注入するためのものである、テイラー反応装置。
【請求項14】
粒子形成成分と封入成分のそれぞれの流入口の内径が、同一の場合におけるそれぞれの注入速度の比が1:2~1:9の範囲から選択される請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
第1流入口と、第2流入口が内筒の軸方向に垂直な同一断面上に配置される請求項12に記載の装置。
【請求項16】
反応室に液を供給する側を上流側、反応室から液を排出する側を下流側とすると、上流側から第1流入口、第2流入口、第3流入口の順に配置され、
第1流入口が封入成分を注入するためのものであり、
第2流入口が粒子形成成分を注入するためのものであり、
第3流入口から希釈溶液を注入するためのものである、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
粒子形成成分がポリマー成分、又は脂質成分を含むものであり、
封入成分が核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、又は低分子化合物を含むものである、
請求項12または13に記載の装置。
【請求項18】
粒子形成成分が脂質成分を含み、
封入成分が核酸を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
第1流入口と、第2流入口との内径が同一若しくは略同一である、請求項12または13に記載の装置。
【請求項20】
第1流入口と、第2流入口との内径が異なる、請求項12または13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テイラー反応装置及びカプセル粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
封入物を標的に送達するための手段として、カプセル粒子が挙げられる。カプセル粒子は通常、外側のカプセル部分が、内容物を内側に封入している。これにより安定性を向上させたり、内容物を標的に送達することができる。カプセル粒子を利用する例としては、化粧品、医薬品、機能性食品、印刷技術、産業用化学薬品などが挙げられる。カプセル粒子を製造する方法としては、溶媒注入法、ハンドシェイク法、逆相蒸発法、膜透過pH勾配法、バブル法、マイクロ流動法、薄膜水和法、加熱法、凍結融解法、脱水再水和法など、様々な方法が知られている。
【0003】
プラスミドDNA、アンチセンスオリゴ核酸、siRNA、miRNA、mRNA等の種々の核酸を用いた医薬品の研究開発が行われている。例えば、mRNAワクチンは、生体内にmRNAを投与することにより、生体内で目的のタンパク質を発現させ、それにより免疫反応を惹起するワクチンの一種である。mRNAワクチンにおける抗原タンパク質としては、ウイルス抗原や癌抗原が挙げられ、近年では、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の例がある。ほかには正常タンパク質をコードするmRNAを投与し、遺伝子疾患を治療する試みもある。
【0004】
核酸はそのまま投与しても負電荷の高分子であることから、細胞膜を透過できない。特に、mRNAは血中で速やかに分解されてしまうこと、生体内で炎症反応を惹起することが課題として挙げられる。そこで核酸の送達には、種々のドラッグデリバリーシステムが用いられる。
【0005】
核酸を送達するためのドラッグデリバリーシステムとしては、例えば、脂質ナノ粒子が挙げられる。脂質ナノ粒子は主に球状又は球状様の形状である。脂質としては、脂肪酸、アシルグリセロール、ワックス、およびこれらの界面活性剤との混合物を使用し得る。安定化剤を使用してもよく、安定化剤として、リン脂質、スフィンゴミエリンなどの生体膜脂質、胆汁酸塩、ステロール類(例えばコレステロール)等を使用し得る。脂質ナノ粒子については、例えばShahらのLipid Nanoparticles: Production, Characterization and Stability, Springer, 2015を参照のこと。
【0006】
脂質ナノ粒子の脂質成分としては、例えばリン脂質、コレステロール、pH応答性カチオン性脂質、及びPEG化された脂質が挙げられ、これに核酸が包埋(encapsulate)される。
【0007】
核酸を包埋した脂質ナノ粒子(LNP)の製造フローは一般的に次のとおりである。まず、脂質エタノール溶液と核酸水溶液(酸性)とを接触させ、脂質溶液と核酸溶液の混合を行う(混合工程)。次いで必要に応じて希釈する(希釈工程)。次いで、限外濾過や透析ろ過し、濃縮を行う(精製工程)。この段階で遊離の核酸は除去され、溶媒(エタノール)は除去され、最終媒体への置換が行われ、脂質ナノ粒子が目的濃度に濃縮される。次いでフィルターろ過を行う。
【0008】
従来の脂質成分と核酸成分の混合法としては、滴下混合法、インライン混合法及び、マイクロ流路混合法が知られている。滴下混合法は、バッチ式であるため連続生産に不向きであること、得られる粒子の品質が不均一であることが課題である。インライン混合は、連続生産は可能であるが、流路がミリメートルオーダーであるため、得られる粒子サイズが大きく、品質が不均一であり、再現性が乏しい。マイクロ流路混合法は、粒子サイズを小さく制御することができ、再現性が高いが、一方で、流路が0.1mm程度と小さいため生産量は低い。
【0009】
大規模生産に適したカプセル粒子の製造方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Shahら、Lipid Nanoparticles: Production, Characterization and Stability, Springer, 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは従来の粒子製造の問題を少なくとも部分的に解決するカプセル粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、一例として、テイラー反応装置を用いることによりカプセル粒子を製造することができることを見出し、これを一実施形態として包含する本発明を完成した。
【0013】
本開示は、以下の実施形態を包含する。
[1] テイラー反応装置を用いるカプセル粒子の製造方法。
[2] テイラー反応装置が、外筒、内筒、及び1以上の流入口を備えており、
内筒は、外筒内に回転可能に配置されており、外筒との間に環状の反応室を形成するものであり、
流入口のうち少なくとも1つは、反応室内に流体を流入させることができるよう配置されている、
実施形態1に記載の製造方法。
[3] 1以上の流入口が、第1流入口、及び、第2流入口を含み、第1流入口と第2流入口とは、互いに独立しており、それぞれ反応室に連結されており、
第1流入口から粒子形成成分を反応室へと注入し、
第2流入口から封入成分を反応室へと注入し、
内筒を回転させ、粒子形成成分と封入成分とを反応室内で混合する、
実施形態2に記載の製造方法。
[4] 1以上の流入口が、第1ライン及び第2ラインを含み、第1ラインと第2ラインとは合流するよう配置されており、合流したラインが共通の流入口を介して反応室に連結されており、
第1ラインから粒子形成成分を注入し、第2ラインから封入成分を注入し、粒子形成成分と封入成分とを反応室手前で混合して粒子形成成分-封入成分混合液を生成し、次いで粒子形成成分-封入成分混合液を共通の流入口を介して反応室へと注入し、内筒を回転させ、粒子形成成分-封入成分混合液を反応室内でさらに混合する、
実施形態2に記載の製造方法。
[5] 粒子形成成分がポリマー成分又は脂質成分を含み、
封入成分が核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、又は低分子化合物を含む、
実施形態3又は4に記載の製造方法。
[6] 粒子形成成分が脂質成分を含み、
封入成分が核酸を含む、
実施形態5に記載の製造方法。
[7] 先に粒子形成成分を注入し、その後、封入成分を注入する、実施形態3に記載の製造方法。
[8] 先に封入成分を注入し、その後、粒子形成成分を注入する、実施形態3に記載の製造方法。
[9] 粒子形成成分と封入成分とを同時に注入する、実施形態3に記載の製造方法。
[10] 内筒の周速が0.5~47m/sである、実施形態2~9のいずれかに記載の製造方法。
[11] 内筒と外筒との間の間隙幅が0.01mm~5mmである、実施形態2~10のいずれかに記載の製造方法。
[12] テイラー反応を行う撹拌時間が、1分以下の撹拌時間である、実施形態1~11のいずれかに記載の製造方法。
[13] 粒子形成成分の注入速度と封入成分の注入速度の比が、1:1~1:9の範囲から選択される比である、実施形態3及び5~12のいずれかに記載の製造方法。
[14] 第1流入口と、第2流入口との内径が同一若しくは略同一である、実施形態3~13のいずれかに記載の製造方法。
[15] 第1流入口と、第2流入口との内径が異なる、実施形態3~13のいずれかに記載の製造方法。
[16] カプセル粒子の製法に用いるためのテイラー反応装置であって、外筒、内筒、及び1以上の流入口を備えており、
内筒は、外筒内に回転可能に配置されており、外筒との間に環状の反応室を形成するものであり、
流入口のうち少なくとも1つは、反応室内に流体を流入させることができるよう配置されている、テイラー反応装置。
[17] 1以上の流入口が、第1流入口、及び、第2流入口を含み、第1流入口と第2流入口とは、互いに独立しており、それぞれ反応室に連結されており、
第1流入口が粒子形成成分を注入するためのものであり、
第2流入口が封入成分を注入するためのものであり、
内筒が、回転させて粒子形成成分と封入成分とを反応室内で混合するためのものである、実施形態16に記載の装置。
[18] 1以上の流入口が、第1ライン及び第2ラインを有し、
第1ラインが粒子形成成分を注入するためのものであり、
第2ラインが封入成分を注入するためのものであり、
第1ラインと第2ラインとは反応室手前で合流しており、
合流部分よりも下流側が粒子形成成分-封入成分混合液ラインを形成しており、次いで共通の流入口を介して反応室へと連結されており、
内筒が、回転させて粒子形成成分-封入成分混合液を反応室内でさらに混合するためのものである、
実施形態16に記載の装置。
[19] 粒子形成成分がポリマー成分、又は脂質成分を含むものであり、
封入成分が核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、又は低分子化合物を含むものである、
実施形態17又は18に記載の装置。
[20] 粒子形成成分が脂質成分を含み、
封入成分が核酸を含む、
19に記載の装置。
[21] 反応室に液を供給する側を上流側、反応室から液を排出する側を下流側とすると、第1流入口が上流側に配置され、第2流入口が下流側に配置されている、実施形態17又は実施形態17に従属する実施形態19に記載の装置。
[22] 反応室に液を供給する側を上流側、反応室から液を排出する側を下流側とすると、第2流入口が上流側に配置され、第1流入口が下流側に配置されている、実施形態17又は実施形態17に従属する実施形態19に記載の装置。
[23] 第1流入口と、第2流入口が内筒の軸方向に垂直な同一断面上に配置されている、実施形態17又は実施形態17に従属する実施形態19に記載の装置。
[24] 内筒と外筒との間の間隙幅が0.01mm~5mmである、実施形態16~23のいずれかに記載の装置。
[25] 粒子形成成分の注入速度と封入成分の注入速度の比が、1:1~1:9範囲から選択される比である、実施形態17及び19~24のいずれかに記載の装置。
[26] 第1流入口と、第2流入口との内径が同一若しくは略同一である、実施形態17~25のいずれかに記載の装置。
[27] 第1流入口と、第2流入口との内径が異なる、実施形態17~25のいずれかに記載の装置。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2022-167048号の開示内容を包含する。
【発明の効果】
【0014】
本開示の効果として、カプセル粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】テイラー反応装置の模式図である。
図2】第1ライン、及び第2ラインを備えた流入口の配置を示す。
図3】第1流入口と第2流入口の配置を示す。
図4】第1ライン、第2ライン、及び第3ラインを備えた流入口の配置を示す。
図5】第1ライン、第2ラインを備えた第1流入口、及び第2流入口の配置を示す。図5は、図1におけるA-A’断面に対応する。
図6】第1流入口、第2流入口、及び第3流入口の配置を示す。
図7】TfR2 siRNA封入核酸脂質粒子投与前のマウスにおける血漿中鉄濃度を示す図である。
図8】TfR2 siRNA封入核酸脂質粒子の投与の1日後のマウスにおける血漿中鉄濃度を示す図である。
図9】TfR2 siRNA封入核酸脂質粒子の投与の7日後のマウスにおける血漿中鉄濃度を示す図である。
図10】A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA封入核酸脂質粒子(参考例2、検体9、検体10、及び検体11)投与後のマウスにおける血清中HA特異的IgG濃度を示す図である。
図11】A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA封入核酸脂質粒子(参考例3、参考例4、検体12、検体13、及び検体14)投与後のマウスにおける血清中HA特異的IgG濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ある実施形態において、本開示は、テイラー反応装置を用いるカプセル粒子の製造方法を提供する。
【0017】
カプセル粒子とは、内容物がカプセル化された(encapsulated)粒子をいう。本明細書ではカプセル粒子に封入される内容物を、封入成分(封入される成分)ということがある。また、本明細書では、封入される内容物を取り囲む成分を、粒子を形成する成分(粒子形成成分)又はカプセル形成成分ということがある。また、カプセル粒子において、封入成分と粒子形成成分とは複合体を形成していてもよい。カプセル粒子には、脂質粒子、及びポリマー粒子が含まれるがこれに限らない。ある実施形態において、カプセル粒子は、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上、90nm以上、100nm以上、1μm以上、10μm以上、100μm以上、例えば1mm以上、2mm以下、1mm以下、100μm以下、10μm以下、1μm以下、例えば100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、例えば10nm以下の平均粒子径を有する粒子であり得るが、これに限らない。なお、カプセル粒子は任意の内容物(封入成分)を含み得る。また、カプセル粒子は、粒子形成成分や封入成分によって適宜、サイズや平均粒子径を調整し得る。例えば、粒子形成成分や封入成分、及びそれらの組合せによって粒子径は変わり得る。
【0018】
ある実施形態において、粒子形成成分は、ポリマー成分、脂質成分、及び補助成分等を含み得る。ポリマー成分としては、例えば生分解性ポリマーが挙げられる。そのような生分解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、及び、ポリデプシペプチド-乳酸共重合体が挙げられるがこれに限らない。脂質成分としては、例えば、両イオン性脂質、中性脂質、カチオン性脂質が挙げられる。具体的には、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、グリセロ脂質、ステロール脂質、ポリマー複合脂質が挙げられるがこれに限らない。ある実施形態において、粒子形成成分は、溶解等して用いることができる。封入成分としては、核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、低分子化合物、例えば薬剤化合物、化粧品若しくは化粧品成分、色素、スキンケア成分、サプリメント成分等が挙げられるがこれに限らない。ある実施形態において、封入成分は、溶解等して用いることができる。
【0019】
本明細書において、特に断らない限り、平均粒子径とは、動的光散乱法の原理に基づいて測定・算出されるによって求める体積平均粒子径をいう。ここで、粒子径の小さい順から、d1、d2、・・・di、・・・dkの粒子径を有する粒子がそれぞれn1個、n2個、・・・ni個、・・・nk個あるとする。また粒子1個当りの体積をviとする。このとき、体積平均粒子径(mean volume diameter)は、
[数1]
MV=Σ(Vi・di)/Σ(di)
により求められる。
【0020】
ポリマー粒子とはポリマー材料を含む粒子をいう。ある実施形態において、ポリマー粒子は、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上、90nm以上、100nm以上、1μm以上、10μm以上、100μm以上、例えば1mm以上、2mm以下、1mm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、例えば100μm以下、10μm以下、1μm以下、例えば100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、例えば10nm以下の平均粒子径を有する粒子であり得るが、これに限らない。ある実施形態において、ポリマー粒子は、10nm~500μm、例えば20nm~400μm、30nm~300μm、20nm~200μm、例えば10nm~100μmの平均粒子径を有する粒子であり得るが、これに限らない。ポリマー粒子としては、例えば粒子形成成分として生分解性ポリマーを含む粒子が挙げられる。生分解性ポリマーとしては、例えばポリ乳酸を含むポリマーが挙げられる。ポリ乳酸を含むポリマーとしては、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、及び、ポリデプシペプチド-乳酸共重合体等が挙げられるがこれに限らない。ポリマー粒子は任意の内容物(封入成分)を含み得る。
【0021】
脂質粒子とは、脂質成分を含む粒子をいう。脂質粒子の構造は特に限定されず、脂質多重層、脂質二重層又は脂質一重層であってもよく、部分的に脂質多重層、脂質二重層又は脂質一重層を有していてもよい。脂質粒子としては、例えば、脂質二重層を有する粒子、例えば脂質二重層を有するリポソーム若しくはニオソーム、脂質一重層を有する粒子、例えばテトラエーテル型脂質を含む脂質一重層粒子、部分的に脂質一重層及び/又は脂質二重層を有する粒子、脂質多重層を有する粒子、脂質ナノ粒子(LNP)などが挙げられるがこれに限らない。脂質粒子は任意の内容物(封入成分)を含み得るが、封入成分としては例えば、核酸、タンパク質、ペプチド、低分子化合物、薬剤化合物が挙げられ、好ましくは核酸、より好ましくはメッセンジャーRNA(mRNA)、二本鎖RNA(siRNA)、二重鎖RNA(dsRNA)、二重鎖DNA(dsDNA)、一重鎖DNA(ssDNA)、さらに好ましくはmRNAが挙げられる(核酸を封入成分とする脂質粒子を特に核酸脂質粒子ということがある)。なお、リポソームは少なくとも1つの脂質二重層を有する脂質粒子をいう。リポソームとしては、小さな単層小胞(SUV)、大きな単層小胞(LUV)、多層小胞(MLV)、オリゴラメラ小胞(OLV)、中型単層小胞(MUV)、巨大単層小胞(GUV)、巨大多層小胞(GMV)などが挙げられる。LUVは一般的に粒子径が100nm以上であり得るが、50nm以上とする分類もある。SUVは一般的に粒子径が20~100nmであり得るが、50nm未満とする分類もある。いずれの分類を採用してもよいが、LUVについてもSUVについても同一の分類を用いるものとする。MLVは、各小胞が2以上の二重層を有する。MLV内には、別個の水性区画が形成され得る。リポソームは、リン脂質で構成された二重膜を有し得る。ニオソームは、非イオン系界面活性剤で構成された二重膜を有し得る。例えば特表第2013-536803号を参照のこと。参照によりリポソームに関するその記載を本明細書に組み入れる。
【0022】
脂質成分は両イオン性脂質、中性脂質、アニオン性脂質、カチオン性脂質に大別される。脂質成分としては、特に限定されず、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、グリセロ脂質、ステロール脂質、ポリマー複合脂質が挙げられるがこれに限らない。
【0023】
カチオン性脂質としては、pHによらず脂質分子が正味の正電荷を有する脂質、及び生理学的pHなどの選択したpHにおいて、その脂質の有するpKaに応じて一部の脂質分子が正味の正電荷を有する脂質(pH応答性カチオン性脂質ということがある)が挙げられる。pHによらず脂質分子が正味の正電荷を有する脂質としては、例えば、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTAP)、N、N-ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパナミナムトリフルオロアセテート(DOSPA)、N-[1-(2、3-ジミリスチルオキシ)プロピル]-N、N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド(DMRIE)、3β-N-(N',N',-ジメチルアミノエタン)-カルバモイルコレステロール(DC-Chol)が挙げられるがこれに限らない。pH応答性カチオン性脂質としては、例えば、1,2-ジオレオイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DODAP)、N,N-ジメチル-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA)などが挙げられるがこれに限らない。例えば国際公開第2015/005253号、国際公開第2021/060440号パンフレットを参照のこと。参照によりカチオン性脂質に関するその記載を本明細書に組み入れる。
【0024】
両親媒性脂質とは、親水性基および疎水性基の両方を有する脂質をいう。両親媒性脂質としては、イオン性脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、グリセロ脂質などが挙げられるがこれに限らない。リン脂質としては、例えば、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質が挙げられる。グリセロリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリンなどが挙げられる。スフィンゴリン脂質としては、例えば、スフィンゴミエリン、スフィンゴエタノールアミンなどが挙げられる。糖脂質としては、グリセロ糖脂質とスフィンゴ糖脂質が挙げられる。グリセロ糖脂質としては、例えば、モノガラクトシルジアシルグリセロール、ジガラクトシルジアシルグリセロール、スルホキノボシルジアシルグリセロールなどが挙げられる。スフィンゴ糖脂質としては、例えば、セラミド、ガングリオシドなどが挙げられる。
【0025】
具体的なリン脂質としては、例えば1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PC)、1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン(PE)、1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルセリン(PS)、1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルグリセロール(PG)、1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(PA)、1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DDPC)、1,2-ジライウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLoPC)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DEPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MPPC)、1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MSPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PSPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SOPC)などが挙げられるがこれに限らない。例えば国際公開第2021/060440号パンフレットを参照のこと。参照によりリン脂質に関するその記載を本明細書に組み入れる。
【0026】
ステロール脂質としては、例えば、動物由来のステロール、植物由来のステロール、微生物由来のステロール等が挙げられる。動物由来のステロールとしては、例えば、コレステロール、コレステロールコハク酸、ジヒドロコレステロール、7-デヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール等が挙げられる。植物由来のステロールとしては、例えば、ブラシカステロール、カンペステロール、スティグマステロール、シトステロールが挙げられる。微生物由来のステロールとしては、例えば、チモステロール、エルゴステロールが挙げられる。
【0027】
ポリマー複合脂質とは、非イオン性ポリエーテル、非イオン性ポリエステル、非イオン性ポリアミノ酸、もしくは非イオン性ポリペプチド、又はこれらの末端がアルコキシ化されたポリマーなどが付加された脂質をいう。ポリマー複合脂質に付加されるポリマーとしては特に限定されないが、好ましくは非イオン性ポリエーテルもしくは非イオン性ポリエステル、又はこれらの末端がアルコキシ化されたポリマーであり、より好ましくは非イオン性ポリエーテル又は非イオン性モノアルコキシポリエーテルであり、さらに好ましくはポリアルキレングリコール又はモノメトキシポリアルキレングリコールであり、さらにより好ましくはポリエチレングリコール又はモノメトキシポリエチレングリコールである。ポリオキシアルキレン化脂質はポリアルキレングリコール又はその誘導体により修飾された脂質であり、例えば、ポリメチレングリコール化脂質、ポリエチレングリコール化脂質(PEG脂質)、ポリプロピレングリコール化脂質、ポリテトラメチレングリコール化脂質、ポリヘキサメチレングリコール化脂質などが挙げられるがこれに限らない。ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、例えば200~10,000Daであり得る。PEG脂質としては、PEG-コレステロール、PEG-リン脂質、PEG-セラミド、PEG-ジアシルグリセロールが挙げられるがこれに限らない。PEG脂質のPEG部分は、例えば、200~10,000Daの分子量を有しうる。PEG部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。PEGによる修飾には、ステアリル化ポリエチレングリコール、N-[カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-1000]-1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、N-[カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-2000]-1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、n-[カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-5000]-1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、N-[カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-750]-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、N-[カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-1000]-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、N-[カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-2000]-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、N-[カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-5000]-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスフォエタノールアミン、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(PEG-DMG)などのポリエチレングリコール誘導体などを使用し得るがこれに限らない。例えば国際公開第2020/262150号パンフレットを参照のこと。参照によりポリオキシアルキレン化脂質に関するその記載を本明細書に組み入れる。
【0028】
脂質成分は、単一でも複数でもよい。ある実施形態において、脂質成分は、カチオン性脂質を含む脂質であり得る。さらなる実施形態において、脂質成分は、両親媒性脂質、カチオン性脂質、ステロール脂質及びポリマー複合脂質を含み得る。さらなる特定の実施形態において、用いる脂質成分全体における各脂質の含有量は、両親媒性脂質としてリン脂質を5~30モル%、例えば12.5モル%、例えば17.5モル%、カチオン性脂質を10~75モル%、例えば30~70モル%、例えば40~65モル%、例えば45モル%、例えば60モル%、コレステロールを15~50モル%、例えば21モル%、例えば41モル%、及びポリオキシアルキレン化脂質を1~10モル%、例えば1~5モル%、例えば1.5モル%含む脂質であり得る。例えば国際公開2009/127060号、国際公開第2015/005253号を参照のこと。脂質成分の組成比に関するその記載を本明細書に組み入れる。
【0029】
カプセル粒子に含まれる封入成分(内容物)としては、核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、低分子化合物、及び薬剤化合物が挙げられるがこれに限らない。核酸としてはDNA及びRNAが挙げられる。RNAとしては、メッセンジャーRNA(mRNA)、二本鎖RNA(siRNA)、一本鎖RNA(antisense oligo)、核内低分子RNA(snRNA)、非コードRNA(ncRNA)、長鎖非コーディングRNA(lncRNA)、マイクロRNA(miRNA)、二重鎖RNA(dsRNA)、及び環状RNAが挙げられるがこれに限らない。DNAとしてはプラスミド、一本鎖DNA及び二本鎖DNAが挙げられるがこれに限らない。低分子化合物としては薬剤化合物、抗癌剤、生体に作用する化合物、生理活性を有する物質、代謝物質等が挙げられるがこれに限らない。タンパク質、ポリペプチド又はペプチドとしては、抗原タンパク質、治療用タンパク質、生理活性を有するタンパク質、抗体等が挙げられるがこれに限らない。
【0030】
粒子形成成分と封入成分の組み合わせは特に限られない。特定の実施形態において、粒子形成成分と封入成分の組み合わせは電荷、極性等を考慮して選定し得る。ある実施形態において、封入成分が負電荷を帯びている場合、粒子形成成分(例えば脂質成分)として例えば正電荷を帯びたものを選択することができる。ある実施形態において、封入成分が正電荷を帯びている場合、粒子形成成分(例えば脂質成分)として例えば負電荷を帯びたものを選択することができる。ある実施形態において、封入成分が電荷を帯びていないか又はほとんど帯びていない場合、粒子形成成分(例えば脂質成分)として例えば電荷を帯びていないか又はほとんど帯びていないものを選択することができる。ある実施形態において、封入成分が疎水性が高い成分である場合、封入成分を溶解させる媒体と粒子形成成分を溶解させる媒体とを同一の媒体としてもよい。別の実施形態では、封入成分が疎水性が高い成分である場合、封入成分を溶解させる媒体と粒子形成成分を溶解させる媒体とを異なる媒体としてもよい。
【0031】
本発明のある実施形態において、カプセル粒子は、封入成分として核酸を用いる脂質粒子(核酸脂質粒子ということがある)である。核酸脂質粒子としては、例えば、核酸を封入する脂質ナノ粒子(LNP)、及び核酸を封入するリポソームなどが挙げられる。粒子形成成分に用いる脂質成分としては、例えば、両イオン性脂質、中性脂質、カチオン性脂質、アニオン性脂質、両親媒性脂質、ステロール脂質、ポリマー複合脂質などが挙げられ、これらを単独又は2種以上用いることができる。核酸脂質粒子における脂質成分として複数の脂質を用いる場合、生体内におけるドラッグデリバリーの観点から、カチオン性脂質、両親媒性脂質、ステロール脂質、及びポリマー複合脂質を用いることが好ましく、pH応答性カチオン性脂質、リン脂質、コレステロール及びPEG脂質を用いることがより好ましい。用いる脂質成分全体における各脂質の含有量は、用いる脂質の種類及び封入する核酸等によって適宜調整できるが、例えば、リン脂質を5~30モル%、例えば12.5モル%、例えば17.5モル%、カチオン性脂質を10~75モル%、例えば30~70モル%、例えば40~65モル%、例えば45モル%、例えば60モル%、コレステロールを15~50モル%、例えば21モル%、例えば41モル%、及びPEG化脂質を1~10モル%、例えば1~5モル%、例えば1.5モル%、とすることができる。封入成分として用いる核酸としては特に限定されないが、好ましくはメッセンジャーRNA(mRNA)、二本鎖RNA(siRNA)、二重鎖RNA(dsRNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、一本鎖DNA(ssDNA)、より好ましくはmRNAが挙げられる。また、脂質成分としてカチオン性脂質を用いる場合、核酸脂質粒子内のカチオン性脂質の分子数(N)と核酸由来のリン原子数(P)の比率(N/P比率)は、例えば、約2.0~15.0とすることができ、好ましくは約2.0~12.0であり、より好ましくは、約2.0~9.0であり、さらに好ましくは約3.0~9.0である。N/P比率の下限は、例えば、2.0とすることができ、好ましくは2.5であり、より好ましくは3.0であり、上限は、例えば15.0とすることができ、好ましくは12.0、より好ましくは9.0である。核酸脂質粒子の平均粒子径としては特に限定されないが、例えば1nm~1μmとすることができ、好ましくは10nm~500nm、より好ましくは30nm~300nm、さらに好ましくは50nm~200nm、最も好ましくは75nm~150nmである。
【0032】
テイラー反応装置1は図1に示すように、テイラー反応(テイラー渦流反応ともいう)を行う装置をいう。ある実施形態において、テイラー反応装置1は、内筒3及び外筒2を有する。内筒3の外径(inner radius, IR)と、外筒2の内径(outer radius, OR)との間に間隙部分(d)が形成され、これを反応室5(反応槽ともいう)として利用する(OR=IR+dである)。したがってテイラー反応装置1は、外筒2及び内筒3を備えており、内筒3は、外筒2内に回転可能に配置されており、外筒2との間に環状の反応室5が形成される。テイラー反応装置1は、反応室5内へと液が流入するための1以上の流入口4(第1流入口41、第2流入口42を含む)を有し得る。流入口4、第1流入口41、第2流入口42、を本明細書において注入口、或いは注入ポートということがある。また、テイラー反応装置1は、反応室5内の液が外部へと流出するための流出口6を少なくとも1つ有し得る。流出口6を本明細書において排出口或いは流出ポートということがある。なお、符号7は制御装置で、内筒3を回転するモーター8の回転数制御と、第1ポンプ12、第2ポンプ14、及び第3ポンプ16の供給量制御を行う。符号20は反応室5を冷却するジャケット、21はジャケット20内の冷却媒体を循環して温度調節するジャケット温調用チラーである。
【0033】
封入成分及び粒子形成成分は溶液の状態で反応させて粒子を形成し得る。そのため、封入成分及び粒子形成成分の性質に応じて適宜それぞれの溶媒を選定し得る。核酸脂質粒子の製造においては、例えば、核酸はクエン酸バッファーに、脂質はエタノールに、それぞれ溶解させた状態で装置に供給し得る。したがって、封入成分、及び、粒子形成成分は、それぞれ溶媒で溶液の状態で準備することができ、それぞれ装置に供することができる。
【0034】
ある実施形態において、本開示の粒子の製造方法は、粒子形成成分と封入成分とを混合する工程を有し得る。反応室5内では、内筒3の回転軸に対して垂直方向の断面視において、1組の渦列5Vが互いに逆向きに軸方向に沿って多数形成され、この多数の渦列5Vが軸方向に移動する過程で各種溶液の混合(テイラー渦流反応)が行われる。特定の実施形態では、まず粒子形成成分の溶液が入った第1タンク11から第1ポンプ12を介して第1ライン4Aから供給し、封入成分の溶液が入った第2タンク13から第2ポンプ14を介して第2ライン4Bから供給して混合液ライン4Dで混合し、次いでこれを流入口4(請求項に記載の共通の流入口でもある)を介してテイラー反応装置1の反応室5に供給する(図1、2参照)。2液の混合が反応室5への注入の手前で行われることから、便宜上、これを本明細書において「反応室手前(反応槽手前)」での混合ということがある。別の実施形態では、粒子形成成分と封入成分とは、互いに接触することなく、それぞれ独立の注入ポート(第1流入口41、第2流入口42)を介してテイラー反応装置1の反応室5に供給され、次いで反応室5内で初めて2液が混合される(図3参照)。2液の混合が反応室5内で行われることから、便宜上、これを本明細書において「反応室内(反応槽内)」での混合ということがある。溶液を注入する順番は特に制限されず、粒子形成成分と封入成分とは同時に注入してもよく、粒子形成成分を先に注入してもよく、封入成分を先に注入してもよい。
【0035】
別の実施形態において、本開示の粒子の製造方法は、予め混合された粒子形成成分と封入成分とを含む混合用液を、第1流入口41から反応室5に供給し得る。この場合、粒子形成成分と封入成分との混合は、テイラー反応装置1の外で行われ得る。また、混合用液を注入する第1流入口41とは別の第2流入口42から、希釈溶液を注入し得る(図3参照)。例えば、粒子形成成分も、封入成分も、共に脂溶性又は疎水性である場合に、粒子形成成分及び封入成分を、同一又は異なる溶媒に溶解させて混合し得る。そしてそのような予め混合された溶液を、本開示の粒子の製造方法に使用し得る。
【0036】
ある実施形態において、本開示の粒子の製造方法は、希釈溶液をさらに注入する工程を有し得る。希釈溶液は、どの段階で注入してもよい。ある実施形態において、まず粒子形成成分を第1ライン4Aから供給し、次いで希釈溶液を第3ライン4Cから供給して混合し、粒子形成成分-希釈溶液混合液を生成し、次いで粒子形成成分-希釈溶液混合液に対して封入成分を第2ライン4Bから供給して粒子形成成分-封入成分-希釈溶液混合液を混合液ライン4Dにて生成し、これを流入口4(請求項に記載の共通の流入口でもある)を介して反応室5に供給しうる(図4参照)。別の実施形態において、まず封入成分と希釈溶液とを混合して、封入成分-希釈溶液混合液を生成し、次いで封入成分-希釈溶液混合液を粒子形成成分と混合して粒子形成成分-封入成分-希釈溶液混合液を生成し、これを反応室に供給しうる。別の実施形態において、まず粒子形成成分と封入成分とを混合して、粒子形成成分-封入成分混合液を生成し、次いで粒子形成成分-封入成分混合液を希釈溶液と混合して第1-2-3混合液を生成し、これを反応室に供給しうる。別の実施形態において、まず粒子形成成分の溶液が入った第1タンク11から第1ポンプ12を介して第1ライン41Aから供給し、封入成分の溶液が入った第2タンク13から第2ポンプ14を介して第2ライン41Bから供給して混合し、粒子形成成分-封入成分混合液を混合液ライン41Dにて生成し、これを第1流入口41を介して反応室5に供給し、次いで、希釈溶液が入った第3タンク15から第3ポンプ16を介して第2流入口42から反応室5に供給し、粒子形成成分-封入成分-希釈溶液混合液を生成し得る(図1、5参照)。溶液を反応室に注入する順番は特に制限されない。先に希釈溶液を反応室に供給し、次いで粒子形成成分-封入成分混合液を反応室に供給してもよい。また、希釈溶液と粒子形成成分-封入成分混合液とを同時に反応室に供給してもよい。
【0037】
ある実施形態において、希釈溶液は封入成分を安定化し得る。別の実施形態において、希釈溶液は、形成されたカプセル粒子を希釈することにより粒子同士の会合を低減し得る。希釈溶液の種類は、中性緩衝液、酸性緩衝液、又は塩基性緩衝液のいずれも使用でき、粒子形成成分や封入成分に応じて適宜、選択し得る。希釈溶液としては、例えばクエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、グッドバッファーを含む緩衝液等が挙げられるがこれに限らない。粒子形成成分がpH応答性カチオン性脂質を含み封入成分が核酸である場合、希釈溶液は好ましくは中性又は弱酸性の緩衝液とすることができ、例えば中性の緩衝液としてリン酸緩衝液、又は弱酸性の緩衝液としてクエン酸緩衝液等を用いることができる。粒子形成成分が中性の両親媒性脂質を含む場合、希釈液は中性付近の緩衝液、例えばリン酸緩衝液等を含み得る。粒子形成成分がアニオン性脂質を含む場合、希釈液は例えばアルカリ性若しくは弱アルカリ性緩衝液を含み得る。ある実施形態では核酸脂質粒子の製造において、脂質を溶解している溶媒(例えばエタノール)の含量を下げて、粒子を安定化させるために、封入成分の溶媒と同一の溶媒(例えば封入成分の溶媒にクエン酸緩衝液を使用したのであれば、クエン酸緩衝液)を希釈溶液として使用し得る。
【0038】
別の実施形態において、まず粒子形成成分と希釈溶液とを混合して粒子形成成分-希釈溶液混合液を生成し、次いで粒子形成成分-希釈溶液混合液を反応室に供給し、次いで、封入成分を反応室に供給し、粒子形成成分-封入成分-希釈溶液混合液を生成し得る。溶液を反応室に注入する順番は特に制限されない。封入成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に粒子形成成分-希釈溶液混合液を反応室に供給してもよい。別の実施形態において、まず封入成分と希釈溶液とを混合して、封入成分-希釈溶液混合液を生成し、次いで封入成分-希釈溶液混合液を反応室に供給し、次いで、粒子形成成分を反応室に供給し、粒子形成成分-封入成分-希釈溶液混合液を生成し得る。溶液を反応室に注入する順番は特に制限されない。粒子形成成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に封入成分-希釈溶液混合液を反応室に供給してもよい。別の実施形態において、粒子形成成分を第1流入口41を介して反応室5に供給し、封入成分を第2流入口42を介して反応室5に供給し、希釈溶液を第3流入口43を介して反応室5に供給し、反応室5で粒子形成成分-封入成分-希釈溶液混合液を生成し得る(図6参照)。溶液を反応室に注入する順番は特に制限されない。粒子形成成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に希釈溶液を反応室に供給し、同時に若しくは次に封入成分を反応室に供給してもよい。封入成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に粒子形成成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に希釈溶液を反応室に供給してもよい。封入成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に希釈溶液を反応室に供給し、同時に若しくは次に粒子形成成分を反応室に供給してもよい。希釈溶液を反応室に供給し、同時に若しくは次に粒子形成成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に封入成分を反応室に供給してもよい。希釈溶液を反応室に供給し、同時に若しくは次に封入成分を反応室に供給し、同時に若しくは次に粒子形成成分を反応室に供給してもよい。粒子形成成分、封入成分、及び希釈溶液の3液を同時に反応室に供給してもよい。
【0039】
粒子形成成分、封入成分、及び/又は希釈溶液以外の溶液についても同様である。すなわち、ある実施形態において、本開示の粒子の製造方法は、粒子形成成分、封入成分、及び/又は希釈溶液以外にも1以上のさらなる溶液を注入する工程をさらに有し得る。さらなる溶液は、それぞれ独立に、粒子形成成分を溶解させた溶液、封入成分を溶解させた溶液、若しくは希釈溶液、又はこれらの混合用液であり得る。
【0040】
なお、本開示のテイラー反応装置1を用いる粒子の製造方法に関し、粒子は必ずしも反応室5内においてのみ製造されなければならない訳ではない。例えば粒子形成成分と封入成分とを混合し、次いでこれをテイラー反応装置1の反応室5に供給する態様では、粒子形成成分と封入成分とを混合した段階から一部、目的の粒子が形成され得る。このような過程によって形成された目的粒子もまた、本開示の製造方法により製造された目的粒子、又は本開示の装置により製造された目的粒子に該当するものとする。なお、反応槽手前での混合ステップの場合、反応室5内では目的粒子を形成するのみならず、粒子の均質化を図ることができる。
【0041】
ある実施形態において、テイラー反応装置1は、粒子形成成分と封入成分とを混合した粒子形成成分-封入成分混合液を反応室5に注入するための流入口4(請求項に記載の共通の流入口でもある)を有する(図2参照)。ある実施形態において、粒子製造方法は、流入口4から粒子形成成分-封入成分混合液を注入し、内筒3を回転させ、粒子形成成分-封入成分混合液をさらに混合する工程を含む。反応室5では、粒子形成成分-封入成分混合液はテイラー渦流反応に供され、さらに混合され得る。
【0042】
ある実施形態において、テイラー反応装置1は、粒子形成成分を反応室5に注入するための第1流入口41及び封入成分を反応室5に注入するための第2流入口42を有する(図3参照)。ある実施形態において、粒子製造方法は、第1流入口41から粒子形成成分を注入し、第2流入口42から封入成分を注入し、内筒3を回転させ、粒子形成成分と封入成分とを混合する工程を含む。反応室5では、粒子形成成分と封入成分とはテイラー渦流反応に供され得る。
【0043】
ある実施形態において、テイラー反応装置1は、希釈溶液を反応室5に注入するための第3流入口43をさらに有し得る(図6参照)。ある実施形態において、粒子製造方法は、第3流入口43から希釈溶液を注入し、内筒3を回転させる工程を含む。反応室5では、希釈溶液と反応室5内の溶液とはテイラー渦流反応に供され得る。第4溶液を注入するための第4流入口、第5溶液を注入するための第5流入口、第n溶液を注入するための第n流入口、についても同様である(n=6以上の自然数)。すなわち、ある実施形態において、本開示のテイラー反応装置1は、第4流入口、第5流入口・・・第n流入口をさらに有し得る。
【0044】
ある実施形態において、製造される粒子は脂質粒子であり得る。ある実施形態において、脂質粒子は脂質成分及び核酸等の封入される成分を含み得る。ある実施形態において、粒子形成成分が脂質成分を含み、封入成分が核酸等の封入される成分を含み得る。別の実施形態において、粒子形成成分が核酸等の封入される成分を含み、封入成分が脂質成分を含み得る。
【0045】
特定の実施形態において、希釈溶液は、脂質を溶解している有機溶媒(エタノール等)の含量を下げ、粒子を安定化させ得る。希釈溶液は任意のタイミングで脂質成分を含む溶液と接触させ得る。
【0046】
ある実施形態において、本開示は、粒子を製造するためのテイラー反応装置1を提供する。製造される粒子としては、カプセル粒子が挙げられるがこれに限らない。ある実施形態において、テイラー反応装置1は、内筒3及び外筒2を有する。内筒3の外径と、外筒2の内径との間に間隙部分が形成されており、これが反応室5として利用される。したがってテイラー反応装置1は、外筒2及び内筒3を備えており、内筒3は、外筒2内に回転可能に配置されており、外筒2との間に環状の反応室5が形成される。テイラー反応装置1は、反応室5内へと液が流入するための流入口4を1以上有し得る。テイラー反応装置1は、反応室5内の液が外部へと流出するための流出口6を少なくとも1つ有し得る。
【0047】
ある実施形態において、テイラー反応装置1は、「反応室手前」で粒子形成成分と封入成分とを混合するよう構成され得る。この場合、粒子形成成分を注入する第1ライン4Aと、封入成分を注入する第2ライン4Bとが合流する(図2)。合流部分以降(すなわち下流側)のことを便宜上、本願明細書において粒子形成成分-封入成分混合液ライン4D、又は共通ラインということがある。粒子形成成分-封入成分混合液ライン4Dにおいて粒子形成成分と封入成分とが混合される。次いで、粒子形成成分-封入成分混合液ライン4Dが、粒子形成成分-封入成分混合液を流入口4(請求項に記載の共通の流入口でもある)を介して反応室5内へと供給する。別の実施形態では、テイラー反応装置1は、「反応室内」で粒子形成成分と封入成分とを混合するよう構成され得る。この場合、反応室5には、粒子形成成分を注入するための第1流入口41(第1注入ポートともいう)、及び、封入成分を注入するための第2流入口42(第2注入ポートともいう)が設けられる(図3)。「反応室手前」で粒子形成成分と封入成分とを混合する場合にも、「反応室内」で粒子形成成分と封入成分とを混合する場合にも、溶液を注入する順番は特に制限されず、粒子形成成分と封入成分とは同時に注入してもよく、粒子形成成分を先に注入してもよく、封入成分を先に注入してもよい。
【0048】
反応室5に、粒子形成成分を注入するための第1流入口41、及び、封入成分を注入するための第2流入口42を設ける場合、第1流入口41、及び、第2流入口42は、任意の相対的な配置とし得る。ある実施形態において、第1流入口41と第2流入口42とは、内筒3を回転させるための回転軸方向から見て(内筒3の円形断面に対して垂直方向から見て)、互いに約15度、約30度、約45度、約60度、約75度、約90度、約105度、約120度、約135度、約150度、約165度、約180度、約195度、約210度、約225度、約240度、約255度、約270度、約285度、約300度、約315度、約330度、約345度、又は約360度の角度を形成するよう配置され得るがこれに限らない。ここで、角度について「約」とは、示されている角度の±7.5度の範囲をいうものとする。ある実施形態において、第1流入口41と第2流入口42とは、内筒3を回転させるための回転軸に対して垂直方向から見て(内筒の長方形断面に対して垂直方向から見て)、隣接していてもよく、一定の間隔を置いて離れていてもよい。
【0049】
反応室5に液を供給する側を上流側、反応室5から液を排出する側を下流側とすると、ある実施形態において、第1流入口41を上流側に配置し、第2流入口42を下流側に配置してもよい。別の実施形態において、第2流入口42を上流側に配置し、第1流入口41が下流側に配置してもよい。別の実施形態において、第1流入口41と第2流入口42とを、内筒3の軸方向に垂直な同一断面上に配置してもよい(図3)。この場合、第1流入口41と第2流入口42は、いずれかが上流でいずれかが下流となるのではなく、どちらも同じ回転断面上にある。第3流入口43も任意に配置し得る。すなわち、第3流入口43を、第1流入口41の上流側、第1流入口41と同じ回転断面上、第1流入口41の下流側であって第2流入口42の上流側、第2流入口42と同じ回転断面上、又は第2流入口42の下流側に配置し得る。又は第1、第2、及び第3流入口43を同じ回転断面上に配置し得る(図6)。第4流入口、第5流入口、・・・、第n流入口についても同様である(n=6以上の自然数)。
【0050】
特定の実施形態では、粒子の製造方法に関し、及び/又は、テイラー反応装置1に関し、内筒3の周速が例えば0.5~47m/s、例えば0.4m/s以上、0.41m/s以上、0.42m/s以上、0.43 m/s以上、0.44 m/s以上、0.45 m/s以上、0.46 m/s以上、0.47 m/s以上、0.48 m/s以上、0.49 m/s以上、0.5m/s以上、0.51m/s以上、0.52m/s以上、0.53m/s以上、0.54m/s以上、0.55m/s以上、0.6m/s以上、0.65m/s以上、0.7m/s以上、0.75m/s以上、0.8m/s以上、0.85m/s以上、0.9m/s以上、0.95m/s以上、1m/s以上、1.5m/s以上、2m/s以上、2.5m/s以上、3m/s以上、4m/s以上、5m/s以上、6m/s以上、7m/s以上、8m/s以上、9m/s以上、10m/s以上、11m/s以上、12 m/s以上、13 m/s以上、14 m/s以上、15m/s以上、20m/s以上、25m/s以上、30m/s以上、35m/s以上、40m/s以上、41 m/s以上、42 m/s以上、43 m/s以上、44 m/s以上、45m/s以上、46m/s以上、例えば47m/s以上、例えば55m/s以下、54 m/s以下、53 m/s以下、52 m/s以下、51 m/s以下、50m/s以下、49 m/s以下、48 m/s以下、47 m/s以下、46 m/s以下、45 m/s以下、44 m/s以下、43 m/s以下、42 m/s以下、41 m/s以下、40 m/s以下、35 m/s以下、30 m/s以下、25 m/s以下、20 m/s以下、15 m/s以下、14 m/s以下、13 m/s以下、12 m/s以下、11 m/s以下、10 m/s以下、9 m/s以下、8 m/s以下、7 m/s以下、6 m/s以下、5 m/s以下、4 m/s以下、3 m/s以下、2 m/s以下、1 m/s以下、0.95 m/s以下、0.9 m/s以下、0.85 m/s以下、0.8 m/s以下、0.75 m/s以下、0.7 m/s以下、0.65 m/s以下、0.6 m/s以下、0.55 m/s以下、0.54 m/s以下、0.53 m/s以下、0.52 m/s以下、0.51 m/s以下、0.5 m/s以下、0.49 m/s以下、0.48 m/s以下、0.47 m/s以下、0.46 m/s以下、0.45 m/s以下、0.44 m/s以下、0.43 m/s以下、0.42 m/s以下、例えば0.41 m/s以下、例えばこれらの任意の上限及び下限の組み合わせ、例えば、0.4~55m/s、0.45~54m/s、0.5~53m/s、0.5~52m/s、0.5~51m/s、0.5~50m/s、0.5~49m/s、0.5~48m/s、0.5~47m/s、0.51~46m/s、0.52~45m/s、0.53~44m/s、0.54~43m/s、0.55~42m/s、0.6~41m/s、0.7~40m/s、0.8~35m/s、0.9~30m/s、1~25m/s、1.5~20m/s、2~15m/s、3~14m/s、4~13m/s、5~12m/s、6~11m/s、7~10m/s、例えば8~9m/sとすることができるが、これに限らない。なお、本明細書において、特に断らない限り、周速とは、
[数2]
周速=内筒外径×π×回転数
(式中、πは円周率を表す)
と定義される。
【0051】
特定の実施形態では、外筒内径がφ30mmである場合において、内筒3の回転数を、例えば500~30000rpm、550~25000rpm、600~20000rpm、650~15000rpm、700~10000rpm、750~9000rpm、800~8000rpm、850~7000rpm、900~6000rpm、例えば1000~6000rpmとすることができるが、これに限らない。特定の実施形態では、外筒内径がφ30mmである場合において、内筒外径をφ20mm以上、φ21mm以上、φ22mm以上、φ23mm以上、φ24mm以上、φ25mm以上、φ26mm以上、φ27mm以上、φ28mm以上、φ29mm以上、φ29.1mm以上、φ29.2mm以上、φ29.3mm以上、φ29.4mm以上、φ29.5mm以上、φ29.6mm以上、φ29.7mm以上、φ29.8mm以上、φ29.9mm以上、φ29.91mm以上、φ29.92mm以上、φ29.93mm以上、φ29.94mm以上、φ29.95mm以上、φ29.96mm以上、φ29.97mm以上、φ29.98mm以上、φ29.99mm以上とすることができるがこれに限らない。
【0052】
特定の実施形態では、粒子の製造方法に関し、及び/又は、テイラー反応装置1に関し、内筒3と外筒2との間の間隙幅dを0.01mm以上、0.02mm以上、0.03mm以上、0.04mm以上、0.05mm以上、0.06mm以上、0.07mm以上、0.08mm以上、0.09mm以上、0.1mm以上、0.11mm以上、0.12mm以上、0.13mm以上、0.14mm以上、0.15mm以上、例えば0.21mm以上、0.75mm以上、1.5mm以上、例えば5mm以下、4.9mm以下、4.8mm以下、4.7mm以下、4.6mm以下、4.5mm以下、4.4mm以下、4.3mm以下、4.2mm以下、4.1mm以下、4mm以下、3.5mm以下、3mm以下、2.5mm以下、2mm、1.5mm以下、1.0mm以下、例えば0.01mm~5mm、0.02mm~4.9mm、0.03mm~4.8mm、0.04mm~4.7mm、0.05mm~4.6mm、0.06mm~4.5mm、0.07mm~4.4mm、0.08mm~4.3mm、0.09mm~4.2mm、0.1mm~4.1mm、0.11mm~4mm、0.12mm~3.5mm、0.13mm~3mm、0.14mm~2mm、例えば0.15mm~1.5mmとすることができるが、これに限らない。
【0053】
粒子の製造方法に関し、及び/又は、テイラー反応装置1に関し、周速や間隙幅dは、せん断力を簡略化した式として攪拌力Rとなるよう、設定することができる。攪拌力Rは、下記の式により算出される。
[数3]
攪拌力R=周速÷間隙幅d
ある実施形態において、攪拌力Rは、0.5/5<R<47/0.01、100~5,000,000s-1、104~4,900,000s-1、105~4,900,000s-1、110~4,800,000s-1、120~4,710,000s-1、130~4,700,900s-1、140~4,700,000s-1、150~4,600,000s-1、160~4,500,000s-1、170~4,400,000s-1、180~4,300,000s-1、190~4,200,000s-1、200~4,100,000s-1、250~4,000,000s-1、300~3,900,000s-1、400~3,800,000s-1、500~3,700,000s-1、600~3,600,000s-1、700~3,500,000s-1、800~3,400,000s-1、900~3,300,000s-1、1000~3,200,000s-1、1500~3,100,000s-1、2000~3,000,000s-1、3000~2,500,000s-1、4000~2,000,000s-1、5000~1,500,000s-1、10,000~1,000,000s-1、又はこれらの上限及び下限の任意の組み合わせの範囲となるよう、内筒3の回転数及び内筒3と外筒2との間の間隙幅dを設定し得る。
【0054】
各溶液は、適切な注入速度にて、互いに混合することができ、反応室5に注入することができる。当業者であれば溶液の注入速度を適宜、設定し得る。また、当業者であれば各溶液の注入速度の比を適宜、設定し得る。ある実施形態において、粒子形成成分の注入速度と封入成分の注入速度の比を、1:1~1:9の範囲から選択される比、例えば1:2~1:9、1:3~1:9、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、例えば1:9とすることができるが、これに限らない。注入速度は粒子形成成分と封入成分の組み合わせに応じて決定し得る。粒子形成成分又は封入成分の注入速度は、例えば1mL/min以上、1.1mL/min以上、1.2mL/min以上、1.3mL/min以上、1.4mL/min以上、1.5mL/min以上、1.6mL/min以上、1.7mL/min以上、1.8mL/min以上、1.9mL/min以上、2mL/min以上、2.1mL/min以上、2.2mL/min以上、2.3mL/min以上、2.4mL/min以上、2.5mL/min以上、2.6mL/min以上、2.7mL/min以上、2.8mL/min以上、2.9mL/min以上、3mL/min以上、3.5mL/min以上、4mL/min以上、4.5mL/min以上、5mL/min以上、6mL/min以上、7mL/min以上、8mL/min以上、9mL/min以上、10mL/min以上、20mL/min以上、30mL/min以上、40mL/min以上、50mL/min以上、60mL/min以上、70mL/min以上、80mL/min以上、90mL/min以上、100mL/min以上、110mL/min以上、120mL/min以上、130mL/min以上、140mL/min以上、例えば150mL/min以上、150mL/min以下、140mL/min以下、130mL/min以下、120mL/min以下、110mL/min以下、100mL/min以下、90mL/min以下、80mL/min以下、70mL/min以下、60mL/min以下、50mL/min以下、40mL/min以下、30mL/min以下、20mL/min以下、10mL/min以下、9mL/min以下、8mL/min以下、7mL/min以下、6mL/min以下、5mL/min以下、4.5mL/min以下、4mL/min以下、3.5mL/min以下、3mL/min以下、2.9mL/min以下、2.8mL/min以下、2.7mL/min以下、2.6mL/min以下、2.5mL/min以下、2.4mL/min以下、2.3mL/min以下、2.2mL/min以下、2.1mL/min以下、2mL/min以下、1.9mL/min以下、1.8mL/min以下、1.7mL/min以下、1.6mL/min以下、1.5mL/min以下、1.4mL/min以下、1.3mL/min以下、1.2mL/min以下、1.1mL/min以下、例えば1mL/min以下であり得る。
【0055】
ある実施形態において、テイラー反応を行う撹拌時間を5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、90秒以下、60秒以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、15秒以下、例えば10秒以下とし得るがこれに限らない。ある実施形態において、テイラー反応を行う撹拌時間を1秒以上、2秒以上、3秒以上、4秒以上、例えば5秒以上とし得るがこれに限らない。なお、本明細書において「撹拌時間」とは、特に断らない限り、注入された液体が反応槽に流入してから出口ポートを通過するまでの時間をいう。注入された液体が反応槽に流入してから出口ポートを通過するまでの時間を、1パス通過分の時間ということがある。また、撹拌時間は、流入ポートが複数存在する場合は、最も遅く注入される液が反応槽に流入してから出口ポートを通過するまでの時間をいう。
【0056】
ある実施形態において、第1流入口41と、第2流入口42との内径は同一又は略同一であり得る。略同一とは、±5%を含むものとする。別の実施形態において、第1流入口41と、第2流入口42との内径は異なり得る。
【実施例
【0057】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
[実施例1]
siRNA封入核酸脂質粒子の調製
検体1~3として、次のようにsiRNA封入核酸脂質粒子を調製した。ジステアロイルホスファチジルコリン(1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine:以下DSPCと表記,NOF CORPORATION)、コレステロール(Cholesterol:以下Cholと表記、Sigma-Aldrich,Inc.)、カチオン性脂質1(WO2015/005253に記載の化合物)(以下LP1と表記)、及びポリエチレングリコールの分子量が約2000の1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Methoxypolyethyleneglycol、以下PEG2000-DMGと表記、NOF CORPORATION)を、DSPC:Chol:LP1:PEG2000-DMG=10:48:40:2のモル比にて、総脂質濃度1.96 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。
【0059】
一方、Transferin Receptor 2に対するsiRNA (AD-47882)を51.4 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)に溶解した。なお、AD-47882は、WO2012/177921に記載されているマウスTfR2に対するsiRNAである。
【0060】
上記の脂質溶液とsiRNA溶液とを、表1に記載のそれぞれの「注入ポート」から、表1に記載の「周速」となるよう内筒が回転し、表1に記載の内筒と外筒との間の「間隙幅」をもつテイラー反応装置に、表1に記載の「注入速度(脂質溶液とsiRNA溶液の注入速度の和)」でポンプを用いて注入することで混合し、出口ポートから核酸脂質粒子の分散液を得た。脂質溶液とsiRNA溶液の注入速度比は1:3とした。本実施例の装置では、第1流入口が上流側にあり、第2流入口が下流側にあり、第1流入口から封入成分であるsiRNA溶液を注入し、第2流入口から粒子形成成分である脂質溶液を注入した。なお、表1に示す「注入ポート」に関し、「反応槽内(反応室内)」と「反応槽手前(反応室手前)」は、2液の混合位置に関する条件である。注入ポートが「反応槽内」であれば、2液を反応槽で混合し得る。注入ポートが「反応槽手前」であれば、2液を反応槽の手前で混合し、次いで該混合液をテイラー反応装置の反応部、すなわち内筒と外筒との間の間隙部分に注入することができる。表2~5についても同様である。また、表1に示す「希釈有無」に関し、核酸脂質粒子の希釈を行う場合は、出口ポートの手前の注入ポートから希釈溶液としてクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)を表1に記載の「注入速度」と等速度にてポンプを用いて注入した。得られた核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量のPBS (pH7.4)にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたsiRNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0061】
尚、LP1はWO2015/005253に記載の方法に従い合成した。参照により、LP1の合成に関するWO2015/005253の記載を本明細書に組み入れる。
【0062】
[実施例2]
dsDNA封入核酸脂質粒子の調製
検体4~8として、次のようにdsDNA封入核酸脂質粒子を調製した。ジステアロイルホスファチジルコリン(1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine:以下DSPCと表記、NOF CORPORATION)、コレステロール(Cholesterol:以下Cholと表記、Sigma-Aldrich,Inc.)、LP1、及びポリエチレングリコール分子量が約2000の1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール メトキシポリエチレン グリコール(1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Methoxypolyethyleneglycol、以下PEG2000-DMGと表記、NOF CORPORATION)を、DSPC:Chol:LP1:PEG2000-DMG=12.5:41:45:1.5のモル比にて、総脂質濃度3.16 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。
【0063】
一方、β-catenin dsDNAを52.7 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)にて希釈調製した。
【0064】
上記の脂質溶液とdsDNA溶液を、表2に記載の「注入ポート」から、表2に記載の「周速」で内筒が回転し、表2に記載の内筒と外筒との間の「間隙幅」をもつテイラー反応装置に、表2に記載の「注入速度(脂質溶液とdsDNA溶液の注入速度の和)」でポンプを用いて注入することで混合し、出口ポートから核酸脂質粒子の分散液を得た。脂質溶液とdsDNA溶液の注入速度比は1:3とした。また、表2に示す「希釈有無」に関し、核酸脂質粒子の希釈を行う場合は、出口ポートの手前の注入ポートから希釈溶液としてクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)を表2に記載の「注入速度」と等速度にてポンプを用いて注入した。核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量のPBS (pH7.4)にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたdsDNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0065】
尚、LP1はWO2015/005253に記載の方法に従い合成した。
【0066】
[実施例3]
mRNA封入核酸脂質粒子の調製
検体9~11として、次のようにmRNA封入核酸脂質粒子を調製した。ジステアロイルホスファチジルコリン(1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine:以下DSPCと表記、NOF CORPORATION)、コレステロール(Cholesterol:以下Cholと表記、Sigma-Aldrich,Inc.)、LP1、及びポリエチレングリコール分子量が約2000の1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Methoxypolyethyleneglycol、以下PEG2000-DMGと表記、NOF CORPORATION)を、DSPC:Chol:LP1:PEG2000-DMG=12.5:41:45:1.5のモル比にて、総脂質濃度3.16 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。
【0067】
一方、A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA を52.7 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)にて希釈調製した。
【0068】
上記の脂質溶液とmRNA溶液を、表3に記載の「注入ポート」から、表3に記載の「周速」で内筒が回転し、表3に記載の内筒と外筒との間の「間隙幅」をもつテイラー反応装置に、表3に記載の「注入速度(脂質溶液とmRNA溶液の注入速度の和)」でポンプを用いて注入することで混合し、出口ポートから核酸脂質粒子の分散液を得た。脂質溶液とmRNA溶液の注入速度比は1:3とした。また、表3に示す「希釈有無」に関し、核酸脂質粒子の希釈を行う場合は、出口ポートの手前の注入ポートから希釈溶液としてクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)を表3に記載の「注入速度」と等速度にてポンプを用いて注入した。核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量のPBS (pH7.4)にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたmRNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0069】
尚、LP1はWO2015/005253に記載の方法に従い合成した。
【0070】
[実施例4]
mRNA封入核酸脂質粒子の調製
検体12、13として、次のようにmRNA封入核酸脂質粒子を調製した。ジステアロイルホスファチジルコリン(1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine:以下DSPCと表記、NOF CORPORATION)、コレステロール(Cholesterol:以下Cholと表記、Sigma-Aldrich,Inc.)、LP1、及びポリエチレングリコール分子量が約2000の1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Methoxypolyethyleneglycol、以下PEG2000-DMGと表記、NOF CORPORATION)を、DSPC:Chol:LP1:PEG2000-DMG=12.5:41:45:1.5のモル比にて、総脂質濃度3.16 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。
【0071】
一方、A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNAを52.7 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)にて希釈調製した。
【0072】
上記の脂質溶液とmRNA溶液を、表4に記載の「注入ポート」から、表4に記載の「周速」で内筒が回転し、表4に記載の内筒と外筒との間の「間隙幅」をもつテイラー反応装置に、表4に記載の「注入速度(脂質溶液とmRNA溶液の注入速度の和)」でポンプを用いて注入することで混合し、出口ポートから核酸脂質粒子の分散液を得た。脂質溶液とmRNA溶液の注入速度比は1:3とした。また、出口ポートの手前の注入ポートから希釈溶液としてクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)を表4に記載の「注入速度」と等速度にてポンプを用いて注入した。核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量の10 mM Histidine 300 mM Sucrose (pH7.0)にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたmRNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0073】
尚、LP1はWO2015/005253に記載の方法に従い合成した。
【0074】
[実施例5]
mRNA封入核酸脂質粒子の調製
検体14として、次のようにmRNA封入核酸脂質粒子を調製した。ジステアロイルホスファチジルコリン(1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine:以下DSPCと表記、NOF CORPORATION)、コレステロール(Cholesterol:以下Cholと表記、Sigma-Aldrich,Inc.)、カチオン性脂質2(WO2015/005253に記載の化合物)(以下LP2と表記)、及びポリエチレングリコール分子量が約2000の1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール メトキシポリエチレン グリコール(1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Methoxypolyethyleneglycol、以下PEG2000-DMGと表記、NOF CORPORATION)を、DSPC:Chol:LP2:PEG2000-DMG=17.5:21:60:1.5のモル比にて、総脂質濃度3.08 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。
【0075】
一方、A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA を、51.3 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)にて希釈調製した。
【0076】
上記の脂質溶液とmRNA溶液を、表5に記載の「注入ポート」から、表5に記載の「周速」で内筒が回転し、表5に記載の内筒と外筒との間の「間隙幅」をもつテイラー反応装置に、表5に記載の「注入速度(脂質溶液とmRNA溶液の注入速度の和)」でポンプを用いて注入することで混合し、出口ポートから核酸脂質粒子の分散液を得た。脂質溶液とmRNA溶液の注入速度比は1:3とした。また、出口ポートの手前の注入ポートから希釈溶液としてクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)を表5に記載の「注入速度」と等速度にてポンプを用いて注入した。核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量の10 mM Histidine 300 mM Sucrose (pH7.0)にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたmRNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0077】
尚、LP2はWO2015/005253に記載の方法に従い合成した。参照により、LP2の合成に関するWO2015/005253の記載を本明細書に組み入れる。
【0078】
[実施例6]
核酸封入核酸脂質粒子の特性評価
検体1~14について、核酸脂質粒子を含む分散液の特性評価を行った。それぞれの特性評価の方法について説明する。
【0079】
(1)核酸の封入率
核酸の封入率は、Quant-iT RiboGreen RNA Assay Kit (Invitrogen)を用い、添付文書に準じて測定した。
【0080】
すなわち、0.015% Triton X-100界面活性剤存在下及び非存在下において、核酸脂質粒子の分散液中の核酸を定量し、次式により封入率を算出した。
[数4]
{([界面活性剤存在下における核酸量]-[界面活性剤非存在下における核酸量])/[界面活性剤存在下における核酸量]}x100 (%)
【0081】
(2)平均粒子径・多分散指数(PDI)
核酸脂質粒子の平均粒子径及び多分散指数は、Zeta Potential/Particle Sizer NICOMP(商標) 380ZLS (PARTICLE SIZING SYSTEMS)にて測定した。表中の平均粒子径は体積平均粒子径を表す。また、PDIは(標準偏差/平均粒子径)の二乗により算出される多分散度指数(poly dispersity index)であり、単に分散度ということもある。
【0082】
特性評価の結果を表1~5に示した。表に示すように、平均粒子径が80~200 nm、核酸封入率が85%以上の核酸脂質粒子が得られた。これは、テイラー反応装置により、核酸が封入された脂質粒子を製造することができることを実証している。また、マイクロ流路によって製造可能な粒子はテイラー反応装置でも製造可能であることが実証された。
【0083】
(参考例) マイクロ流路混合による核酸脂質粒子の調製
(参考例1)siRNA封入核酸脂質粒子の調製及び特性評価
参考例1を次のように調製した。DSPC、Chol、LP1及びPEG2000-DMGをDSPC:Chol:LP1:PEG2000-DMG=10:48:40:2のモル比にて、総脂質濃度1.96 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。一方、Transferin Receptor 2に対するsiRNA (AD-47882)を51.4 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)に溶解した。上記の脂質溶液とmRNA溶液をその体積比が1:3となるようにNanoAssemblr BenchTop(Precision Nanosystems Inc.)を用いてマイクロ流路内で混合し、核酸脂質粒子の粗分散液を得た。核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量の緩衝液にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたsiRNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0084】
得られた参考例1の核酸脂質粒子について、実施例6と同様の方法にて、特性評価を実施し、結果を表6に記載した。
【0085】
(参考例2、3)mRNA封入核酸脂質粒子の調製及び特性評価
参考例2、3を次のように調製した。DSPC、Chol、LP1及びPEG2000-DMGをDSPC:Chol:LP1:PEG2000-DMG=12.5:41:45:1.5のモル比にて、総脂質濃度3.16 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。一方、A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA (配列情報)を52.7 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)にて希釈調製した。上記の脂質溶液とmRNA溶液をその体積比が1:3となるようにNanoAssemblr BenchTop(Precision Nanosystems Inc.)を用いてマイクロ流路内で混合し、核酸脂質粒子の粗分散液を得た。核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量の緩衝液にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたmRNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0086】
得られた参考例2、3の核酸脂質粒子について、実施例6と同様の方法にて、特性評価を実施し、結果を表6に記載した。
【0087】
(参考例4)mRNA封入核酸脂質粒子の調製及び特性評価
参考例4を次のように調製した。DSPC、Chol、LP2及びPEG2000-DMGをDSPC:Chol:LP2:PEG2000-DMG=17.5:21:60:1.5のモル比にて、総脂質濃度3.08 mg/mLになるようにエタノールに溶解した。一方、A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA (配列情報)を、51.3 μg/mLになるようにクエン酸緩衝液(20 mM Citrate Buffer, pH4.0)にて希釈調製した。上記の脂質溶液とmRNA溶液をその体積比が1:3となるようにNanoAssemblr BenchTop(Precision Nanosystems Inc.)を用いてマイクロ流路内で混合し、核酸脂質粒子の粗分散液を得た。核酸脂質粒子の分散液を約25~50倍量の緩衝液にて12~18時間透析(Float-A-Lyzer G2, MWCO:1,000kD, Spectra/Por)することにより、エタノール除去を行い、精製されたmRNA封入核酸脂質粒子の分散液を得た。
【0088】
得られた参考例4の核酸脂質粒子について、実施例6と同様の方法にて、特性評価を実施し、結果を表6に記載した。
【0089】
表6に示すように、参考例1~4について、平均粒子径が90~140 nm、核酸封入率が95%以上の核酸脂質粒子が得られた。
【0090】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
[試験例1] 正常マウスにおけるTfR2 siRNA封入核酸脂質粒子の薬効評価試験
上述した実施例1及び参考例1において脂質粒子に封入したTfR2 siRNAは、正常マウスにおける血漿中鉄濃度を上昇させることが報告されている(WO2012/177921)。そこで、テイラー反応装置を用いて製造したTfR2 siRNA封入核酸脂質粒子(検体1~3)と、マイクロ流路混合によって製造したTfR2 siRNA封入核酸脂質粒子(参考例1)を用いて以下の試験を行った。
【0093】
脂質粒子に封入したTfR2 siRNAを0.3 mg/kg (0.3mpk)の用量で、雄性のC57BL/6NJclマウス(日本クレア社製)に尾静脈内投与(i.v.)した(n=4/群)。ビヒクル(vehicle)群としては、PBSを尾静脈内投与した(n=4/群)。siRNAまたはPBSの処置前(Pre)、処置して1日後(Day1)、7日後(Day7)に尾静脈採血を行い、メタロアッセイ鉄測定キット(メタロジェニクス社製)を用いて、血漿中鉄濃度(plasma Fe (ug/mL))を測定した。各血漿中鉄濃度の結果を図7~9にそれぞれ示した(平均値±標準誤差)。
【0094】
図7~9に示すように、TfR2 siRNA封入核酸脂質粒子を投与して1日後および7日後において、vehicle群と比較して、血漿中鉄濃度の上昇効果が認められた。これらの結果は、テイラー反応装置を用いて製造したTfR2 siRNA封入核酸脂質粒子がインビボにおいて作用することを示している。
【0095】
[試験例2] 1価LNP-mRNAの免疫原性:A Singapore GP1908 2015 H1 mRNA封入核酸脂質粒子のHA特異的IgGの産生誘導能
テイラー反応装置を用いて製造したmRNA封入核酸脂質粒子のインビボにおける免疫誘導能を調べるために、A_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA封入核酸脂質粒子(検体9~14)と、マイクロ流路混合によって製造したA_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA封入核酸脂質粒子(参考例2~4)を用いて以下の試験を行った。
【0096】
7週齢のBALB/cマウスの腓腹筋内に、0.2 μgの参考例2、検体9、検体10、及び検体11を2週間隔で2回投与した。最終投与から2週間後に採血し、血清を調製した。同様に、6週齢のBALB/cマウスに、参考例3、参考例4、検体12、検体13、及び検体14を投与し、血清を調製した。HAに対する血清中特異的IgGをEnzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法で検出した。
【0097】
ELISA法の固相化処理は、96 wellプレートに0.5 μg/mLの組換えA/Michigan/45/2015のHAを25 μL/wellで添加し、4℃で一晩静置することで実施した。同時に、標準曲線を作成するため、既知の濃度のマウスIgGを段階希釈し、同様に固相化した。固相化液を除去後、0.05%のTween 20を含むDPBS(DPBST)で3回洗浄し、1%の牛血清アルブミン(BSA)及び0.05%のTween 20を含むダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(DPBST/BSA)でブロッキング処理した。血清は、DPBST/BSAで段階希釈した。ブロッキング処理後、DPBSTで3回洗浄し、25 μL/wellで希釈血清を添加した。標準曲線用のwellには、希釈血清の代わりにDPBST/BSAを添加した。室温で1時間以上反応させた後、DPBSTで3回洗浄し、DPBST/BSAで希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識抗マウスIgGを添加した。室温で1時間反応させた後、DPBSTで3回洗浄し、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)ペルオキシダーゼ基質を30 μL/wellで添加した。室温で約10分間静置して発色させた後、塩酸を含む発色停止液を30 μL/wellで添加し、450 nmの吸光度を測定した。血清中の特異的IgG濃度は、標準曲線から算出した。
【0098】
参考例2、検体9、検体10、及び検体11を投与した結果を図10に示す。検体10は参考例2と同程度の、検体9及び検体11は参考例2より高い特異的IgG誘導レベルを示した。
【0099】
同様に、参考例3、参考例4、検体12、検体13、及び検体14を投与した結果を図11に示す。参考例3及び参考例4は同程度の特異的IgG誘導レベルを示した。また、検体12、検体13、及び検体14は両参考例と同程度の特異的IgG誘導レベルを示した。
【0100】
これらの結果は、テイラー反応装置を用いて製造したA_Sin_GP1908_2015_H1 mRNA封入核酸脂質粒子がインビボにおいてHA特異的IgGの産生を誘導することを示している。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示により、カプセル粒子を製造することができる。これは例えばRNAワクチンやsiRNA医薬の製造に利用し得る。また、カプセル粒子を連続的に製造し得る。また、カプセル粒子を大規模生産し得るが、本発明はこれに限らない。
【0102】
本明細書においては、特許出願および製造業者のマニュアルを含む多数の文書が引用されている。これらの文書の開示は、本発明の特許性に関連するとはみなされないが、その全体を参照により本明細書に組み入れることとする。より詳細には、全ての参照文書を、各個の文書が参照により組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。引用されている文書との間に記載の齟齬又は矛盾が生じた場合は本明細書が優先する。
【符号の説明】
【0103】
1 テイラー反応装置
2 外筒
3 内筒
4 流入口
4A 第1ライン
4B 第2ライン
4D 混合液ライン
5 反応室
5V 渦列
6 流出口
7 制御装置
8 モーター
11 第1タンク
12 第1ポンプ
13 第2タンク
14 第2ポンプ
15 第3タンク
16 第3ポンプ
20 ジャケット
21 ジャケット温調用チラー
41 第1流入口
41A 第1ライン
41B 第2ライン
41D 混合液ライン
42 第2流入口
43 第3流入口
IR 内筒外径
d 間隙幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11