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特許7557916車載装置、車載装置の制御方法、および車載システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車載装置、車載装置の制御方法、および車載システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/233 20240101AFI20240920BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60K35/233
B60R16/02 640K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021016880
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119623
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 銀河
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山下 明俊
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-024709(JP,A)
【文献】特開2009-184406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00 - 37/20
B60R 16/00 - 17/02
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器に対する第1の信号の入力を受付けたときに前記対象機器から送信される、前記第1の信号に関する第2の信号を受信する受信部と、
前記第2の信号を受信したときに、前記対象機器の状態に関する1または複数の表示要素を含む第1の画像を、車両の運転者の前方視野の一部に予め設定された表示領域に表示する表示制御部と、
を備え
前記表示制御部は、
前記表示領域における前記対象機器の設置方向に対応する領域に前記第1の画像を表示する、
車載装置。
【請求項2】
前記第1の信号は、
前記対象機器の状態の切替指示信号、および、前記対象機器の状態の確認指示信号、の少なくとも一方である、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記第2の信号は、
前記対象機器の識別情報と、前記対象機器の前記表示要素に関する情報と、
を含む、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、
前記表示領域に表示される予め定められた第2の画像と、前記第1の画像と、の重畳画像を前記表示領域に表示する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記表示領域に表示される予め定められた第2の画像の縮小画像と、前記第1の画像と、を前記表示領域に表示する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、
前記対象機器に対する操作完了を判別したときに、前記第1の画像を非表示とし、且つ、前記第2の画像の縮小状態を解除した画像を、前記表示領域に表示する、
請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記表示要素は、
前記対象機器の状態の切替えに関する選択を受け付けるための表示要素である、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
前記対象機器は、
当該車載装置に通信可能に接続された電子機器であって、
車両状態表示装置、電子ルームミラー、および、ドライブレコーダ、の少なくとも1つである、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項9】
前記表示領域は、
車両の運転者の予め定めた俯角内における、前方視野の一部の領域である、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項10】
前記表示領域は、
前記車両のフロントウインドシールド上で且つ運転席の正面に設定された領域である、
請求項1~請求項の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項11】
前記表示領域は、前記フロントウインドシールド上に設定されたヘッドアップディスプレイ領域である、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項12】
対象機器に対する第1の信号の入力を受付けたときに前記対象機器から送信される、前記第1の信号に関する第2の信号を受信する受信ステップと、
前記第2の信号を受け付けたときに、前記対象機器の状態に関する1または複数の表示要素を含む第1の画像を、車両の運転者の前方視野の一部に予め設定された表示領域に表示する表示ステップと、
を含み、
前記表示ステップは、
前記表示領域における前記対象機器の設置方向に対応する領域に前記第1の画像を表示する、
車載装置の制御方法。
【請求項13】
車載装置と、前記車載装置に通信可能に接続された1または複数の電子機器と、
を備えた車載システムであって、
前記車載装置は、
対象となる前記電子機器である対象機器が第1の信号の入力を受付けたときに前記対象機器から送信される、前記第1の信号に関する第2の信号を受信する受信部と、
前記第2の信号を受け付けたときに、前記対象機器の状態に関する1または複数の表示要素を含む第1の画像を、車両の運転者の前方視野の一部に予め設定された表示領域に表示する表示制御部と、
を備え
前記表示制御部は、
前記表示領域における前記対象機器の設置方向に対応する領域に前記第1の画像を表示する、
車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、車載装置の制御方法、および車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された電子機器の設定状態や機能の選択肢などを車内に表示する技術が開示されている。ユーザは、対象とする電子機器を視認しながら操作を行うことで、表示内容や機能などに対する指示を入力する。また、電子機器のディスプレイの注視を抑制する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、ディスプレイに対する所定時間以上の注視継続が検出されたときに、ディスプレイへの表示をフロントウィンドウへの表示に切替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-20334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、運転者が対象となる電子機器である対象機器の状態の切替えや状態の確認などを行う際には、対象機器を注視しながら操作を行う必要があった。このため、従来技術では、対象機器の注視を抑制することが困難な場合があった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、対象機器の注視を抑制することができる、車載装置、車載装置の制御方法、および車載システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる車載機器は、受信部と、表示制御部と、を備える。受信部は、対象機器に対する第1の信号の入力を受付けたときに前記対象機器から送信される、前記第1の信号に関する第2の信号を受信する。表示制御部は、前記第2の信号を受信したときに、前記対象機器の状態に関する1または複数の表示要素を含む第1の画像を、車両の運転者の前方視野の一部に予め設定された表示領域に表示する。前記表示制御部は、前記表示領域における前記対象機器の設置方向に対応する領域に前記第1の画像を表示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる車載装置、車載装置の制御方法、および車載システムによれば、対象機器の注視を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の車載システムの一例を示す図である。
図2図2は、ハードウェア構成図の一例である。
図3図3は、車両の車室内の一例を示す模式図である。
図4図4は、HUD装置の使用例を示す模式図である。
図5A図5Aは、表示画像の一例の説明図である。
図5B図5Bは、表示画像の一例の説明図である。
図5C図5Cは、表示画像の一例の説明図である。
図6A図6Aは、表示画像の一例の説明図である。
図6B図6Bは、表示画像の一例の説明図である。
図6C図6Cは、表示画像の一例の説明図である。
図7A図7Aは、第1の画像の一例の模式図である。
図7B図7Bは、第1の画像の一例の模式図である。
図7C図7Cは、第1の画像の一例の模式図である。
図7D図7Dは、第1の画像の一例の模式図である。
図8A図8Aは、表示画像の一例の説明図である。
図8B図8Bは、表示画像の一例の説明図である。
図8C図8Cは、表示画像の一例の説明図である。
図8D図8Dは、表示画像の一例の説明図である。
図9図9は、実施形態の電子機器が実行する情報処理の一例を示す、フローチャートである。
図10図10は、本実施形態の車載装置が実行する情報処理の一例を示す、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本開示に係る車載装置、車載装置の制御方法、および車載システムの実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の車載システム1の一例を示す図である。車載システム1は、例えば、車両2に搭載されるシステムである。
【0011】
車載システム1は、車載装置10と、電子機器12と、入力部14と、を備える。車載装置10と、電子機器12と、入力部14とは、通信可能に接続されている。
【0012】
図2は、車載装置10および電子機器12のハードウェア構成図の一例である。
【0013】
車載装置10および電子機器12は、CPU(Central Processing Unit)11A、ROM(Read Only Memory)11B、RAM(Random Access Memory)11C、およびI/F11D等がバス11Eにより相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0014】
CPU11Aは、本実施形態の車載装置10および電子機器12を制御する演算装置である。ROM11Bは、CPU11Aによる各種の処理を実現するプログラム等を記憶する。RAM11Cは、CPU11Aによる各種の処理に必要なデータを記憶する。I/F11Dは、データを送受信するためのインターフェースである。
【0015】
本実施形態の車載装置10および電子機器12で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM11B等に予め組み込んで提供される。なお、本実施形態の車載装置10および電子機器12で実行されるプログラムは、車載装置10および電子機器12にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
【0016】
図1に戻り説明を続ける。
【0017】
車載システム1は、1または複数の電子機器12を備える。本実施形態では、車載システム1が、複数の電子機器12を備えた形態を一例として説明する。
【0018】
電子機器12は、対象機器の一例である。対象機器とは、ユーザである運転者による操作や確認の対象となる電子機器12である。電子機器12は、制御部13Aと、表示部13Bと、入力部13Cと、を備える。制御部13Aと、表示部13Bと、入力部13Cとは、通信可能に接続されている。制御部13Aは、制御部13Aに予めインストールされているプログラムを実行することで、予め定められた機構に対する制御処理などの情報処理を実行する。表示部13Bは、各種の情報を表示する。入力部13Cは、ユーザによる操作指示を受付ける。
【0019】
本実施形態では、電子機器12の制御部13Aは、車両2に搭載された各種の機構を制御する。
【0020】
車両2に搭載された機構は、例えば、車両2のエンジン、モータ、メータ、トランスミッション、ブレーキ、ランプ、パワーステアリング、エアコンディショナ、オーディオ、ナビゲーション、ドライブレコーダ、電子ルームミラー、ラジオ、電話発着信、等である。なお、機構は、車両2に搭載され、電子機器12によって制御される機構であればよく、これらに限定されない。
【0021】
電子機器12は、例えば、車両状態表示装置12A、電子ルームミラー12B、ドライブレコーダ12C、電話機能付マルチメディア12D、エアコンディショナ12E、ラジオ、などである。なお、電子機器12は、これらに限定されない。
【0022】
車両状態表示装置12Aは、車両2の状態に関する情報を表示する電子機器12である。車両2の状態に関する情報とは、例えば、車両2における、速度、平均燃費、瞬間燃費、車両メンテナンス、走行距離の積算値、走行可能距離、エネルギー残量、運転支援機能がオン状態であるかオフ状態であるか、などである。運転支援機能とは、例えば、車線維持制御機能、車間距離制御機能、速度維持制御機能、などである。機能は、モードと称される場合がある。
【0023】
例えば、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、車両2の状態に関する情報を表示部13Bへ表示する。
【0024】
また、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、ユーザの操作指示などによって選択された機能の実行指示を、対応する機構へ送信する。例えば、車線維持制御機能をオン状態とする指示が選択された場合を想定する。この場合、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、車線維持制御機能の実行指示を、車線維持機能を実行するためのECU(Electronic Control Unit)へ送信する。これらの処理により、車線維持制御機能はオン状態とされる。また、車間距離制御機能をオン状態とする指示が選択された場合を想定する。この場合、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、車間距離制御機能の実行指示を、車間距離制御機能を実行するためのECUへ送信する。これらの処理により、車間距離制御機能はオン状態とされる。同様に、速度維持制御機能をオン状態とする指示が選択された場合、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、速度維持制御機能の実行指示を、対応するECUへ送信する。これらの処理により、速度維持制御機能はオン状態とされる。
【0025】
電子ルームミラー12Bは、車両2に搭載されたバックミラーなどのルームミラー位置に設置される電子機器12である。電子ルームミラー12Bは、カメラ画像を表示するディスプレイを表示部13Bとして備える。電子ルームミラー12Bは、入射光の少なくとも一部を反射する反射機構を備えてもよい。反射機構は、例えばハーフミラーである。電子ルームミラー12Bは、例えば、広角モード、防眩モード、車室内モード、などの機能を有する。広角モードがオン状態に設定されている場合、電子ルームミラー12Bの制御部13Aは、広角撮影されたカメラ画像を表示部13Bに表示する。防眩モードがオン状態に設定されている場合、電子ルームミラー12Bの制御部13Aは、光の反射を抑制したカメラ画像を表示部13Bに表示する。車室内モードがオン状態に設定されている場合、電子ルームミラー12Bの制御部13Aは、車両2の車室内のカメラ画像を表示部13Bに表示する。電子ルームミラー12Bが、光の反射を抑制する防眩機構を備え、防眩モードがオン状態である場合には防眩機構がオン状態に設定されてもよい。そのような電子ルームミラー12Bにおいて、防眩モードがオン状態に設定されている場合、電子ルームミラー12Bの制御部13Aは、防眩機構をオン状態に設定する。
【0026】
ドライブレコーダ12Cは、車両2の走行中の状況を映像で記録する電子機器12である。ドライブレコーダ12Cは、例えば、イベント録画モード、常時録画モード、などの機能を有する。イベント録画モードがオン状態に設定されている場合、ドライブレコーダ12Cの制御部13Aは、イベント発生時に映像を録画する。ドライブレコーダ12Cは、例えば加速度センサを備え、加速度センサの検出した加速度がしきい値を超えた場合に、イベントが発生したと判定して映像の録画を行ってもよい。常時録画モードがオン状態に設定されている場合、ドライブレコーダの制御部13Aは、映像を常時録画する。
【0027】
電話機能付マルチメディア12Dは、電話機能を有するマルチメディアである。電話機能付マルチメディア12Dは、例えば、携帯電話、スマートフォンなどである。電話機能付マルチメディア12Dは、携帯電話機などを介して電話網に接続するハンズフリー装置であってもよい。
【0028】
例えば、電話機能付マルチメディア12Dの制御部13Aは、電話帳データ、発信履歴データ、着信履歴データ等の履歴データを記憶する。電話機能付マルチメディア12Dの制御部13Aは、ユーザによる操作指示に応じた情報を表示する。また、電話機能付マルチメディア12Dは、例えば、電話発信機能、発着信履歴管理機能、電話帳管理機能、お気に入り管理機能、などの機能を有する。電話機能付マルチメディア12Dの制御部13Aは、ユーザによる操作指示に応じて、電話発信機能、発着信履歴管理機能、電話帳管理機能、お気に入り管理機能、などの各種の機能を実行する。お気に入り管理機能とは、ユーザによってお気に入り情報として設定された電話情報を管理する機能である。お気に入り管理機能は、クイックダイヤル機能と称される場合がある。電話情報とは、電話番号、電話発信先のユーザ名などである。
【0029】
例えば、発着信履歴管理機能が選択された場合、電話機能付マルチメディア12Dの制御部13Aは、発着信履歴として記憶されている電話情報を表示部13Bへ表示する。ユーザによる操作指示によって電話情報が選択され、電話発信指示が入力された場合を想定する。この場合、電話機能付マルチメディア12Dの制御部13Aは、選択された電話情報に含まれる電話番号を発信先として発信する。
【0030】
エアコンディショナ12Eは、車両2内の空気の温度や湿度などを調整する空調機器である。エアコンディショナ12Eは、例えば、暖房機能、冷房機能、除湿機能、などの機能を有する。エアコンディショナ12Eの制御部13Aは、ユーザによる操作指示などに応じて、各種の機能のオンオフの制御や、設定された温度や湿度への空調制御、などを実行する。
【0031】
これらの複数の電子機器12の各々には、1または複数の表示要素を表示するための表示部13Bが設けられている。表示要素については後述する。表示部13Bは、1または複数の電子機器12で共通して設けられたものであってもよいし、電子機器12の各々に設けられていてもよい。本実施形態では、表示部13Bは、電子機器12の各々に対応する位置に設けられているものとして説明する。
【0032】
また、これらの複数の電子機器12の各々には、ユーザによる操作指示を受け付けるための入力部13Cが設けられている。ユーザは、入力部13Cを操作することで、対応する電子機器12に対する各種の指示を入力する。入力部13Cは、1または複数の電子機器12に共通して設けられたものであってもよいし、電子機器12の各々に設けられていてもよい。本実施形態では、入力部13Cは、電子機器12の各々に対応する位置に設けられているものとして説明する。
【0033】
入力部14は、ユーザによる電子機器12に対する各種の指示信号を受付ける。入力部14は、車両2の運転者が前方視野を視認しながら操作可能な位置に配置されている。
【0034】
図3は、車両2の車室内の一例を示す模式図である。
【0035】
入力部14は、例えば、車両2のステアリングホイール11に設けられている。電子機器12の各々は、入力部14による操作指示を受け付け可能に構成されている。
【0036】
本実施形態では、入力部14は、対象機器に対する第1の信号を受付ける。
【0037】
第1の信号とは、対象機器に対する指示信号である。詳細には、第1の信号は、対象機器の状態の切替指示信号、および、対象機器の状態の確認指示信号、の少なくとも一方である。切替指示信号とは、対象機器の状態の切替えを指示するための信号である。言い換えると、切替指示信号とは、ユーザが対象機器の状態の切替えを所望するときに入力される信号である。確認指示信号とは、対象機器の状態の確認を指示するための信号である。言い換えると、確認指示信号とは、ユーザが対象機器の状態の確認を所望するときに入力される信号である。
【0038】
対象機器の状態とは、対象機器の設定内容、対象機器の表示内容などである。対象機器の設定内容とは、対象機器である電子機器12の有する機能、該電子機器12の機能の各々に設定されている設定値、該電子機器12の機能の各々のオンオフ状態、などである。対象機器の表示内容とは、対象機器である電子機器12の表示部13Bに現在表示されている表示内容、該電子機器12で表示可能な情報、などである。
【0039】
ユーザである運転者は、電子機器12の状態の切替えや状態の確認を所望するときに、入力部14を操作する。上述したように、入力部14は、車両2の運転者が前方視野を視認しながら操作可能な位置に配置されている。このため、運転者は、前方視野を視認した状態で入力部14を操作することが可能である。入力部14の操作により、対象機器である電子機器12は、第1の信号を受付ける。なお、入力部14は、第1の信号を車載装置10へも出力してよい。
【0040】
本実施形態では、入力部14は、複数のスイッチ14A、スイッチ14B、スイッチ14Cから構成される場合を一例として説明する。
【0041】
本実施形態では、スイッチ14Aが第1の信号を受付けるためのスイッチである場合を一例として説明する。
【0042】
スイッチ14Aには、複数の電子機器12の各々に対応する操作パターンが予め定められている。特定の操作パターンの操作がなされることで、スイッチ14Aは、該操作パターンに対応する電子機器12に対する第1の信号を受付ける。操作パターンは、例えば、ダブルクリック、トリプルクリック、操作方向、などの組み合わせからなる。なお、複数の電子機器12の各々に対応するスイッチ14Aを設けた構成としてもよい。
【0043】
例えば、スイッチ14Aは、予め定められた操作パターンの操作がなされた場合、該操作パターンに対応する電子機器12へ、第1の信号を出力する。このため、複数の電子機器12の内、ユーザによる操作や確認の対象となる対象機器へ、第1の信号が出力される。
【0044】
スイッチ14Bおよびスイッチ14Cは、複数の電子機器12の各々に対する各種の指示を行うときに操作されるスイッチである。例えば、スイッチ14Bおよびスイッチ14Cは、スイッチ14Aの操作指示によって対象とされた電子機器12に対して、各種の機能に対する実行指示などを行うためのスイッチである。スイッチ14Bおよびスイッチ14Cの操作信号は、電子機器12および車載装置10へ出力される。
【0045】
なお、入力部14は、3つのスイッチ14A、スイッチ14B、スイッチ14Cから構成される形態に限定されない。例えば、入力部14は、1つのスイッチ、2つのスイッチ、または4つ以上のスイッチから構成されていてもよい。スイッチの各々には、スイッチの各々が操作されたときに出力される信号の種類を予め設定すればよい。
【0046】
また、ユーザである運転者によって操作される入力部14の位置は、車両2の運転者が前方視野を視認した状態で操作可能な位置に配置されていればよく、ステアリングホイール11に設けられた形態に限定されない。また、入力部14は、物理的に操作されるスイッチなどの部材に限定されず、運転者の動作や視線方向などを検知するシステムであってもよい。この場合、例えば、入力部14として、公知の視線解析システムや公知の画像解析システムなどを用いればよい。そして、入力部14は、運転者が予め定めた動作などを行ったときに、該動作に対応する電子機器12へ、第1の信号を出力してもよい。
【0047】
図1に戻り説明を続ける。
【0048】
次に、車載装置10について説明する。車載装置10は、通信部16と、記憶部18と、HUD(ヘッドアップディスプレイ)装置20と、制御部22と、を備える。通信部16、記憶部18、HUD装置20、および制御部22は、バス等を介して通信可能に接続されている。
【0049】
通信部16は、ネットワークまたはバス等を介して複数の電子機器12および入力部14の各々と通信する。
【0050】
記憶部18は、各種のデータを記憶する。記憶部18は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。なお、記憶部18は、記憶媒体であってもよい。具体的には、記憶媒体は、プログラムまたは各種の情報を、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどを介してダウンロードして記憶または一時記憶したものであってもよい。また、記憶部18を、複数の記憶媒体から構成してもよい。
【0051】
なお、記憶部18および制御部22の少なくとも一方は、車載装置10の外部に設けられていてもよい。また、記憶部18および制御部22の少なくとも一方は、車両2の外部に設けられていてもよい。
【0052】
HUD装置20は、車両2のフロントウインドシールドに画像の映像光を投射する装置である。
【0053】
図4は、HUD装置20の使用例を示す模式図である。HUD装置20は、例えば、車両2のダッシュボード30に配置されている。HUD装置20は、後述する制御部22の制御によって、画像の映像光をフロントウインドシールド24の表示領域26へ投射する。映像光はフロントウインドシールド24で反射し、例えば、車両2の運転者Dに向かう。これにより、運転者Dは、フロントウインドシールド24に投射された映像光が示す画像を、運転者Dの視認領域中の実風景に重畳表示された虚像の画像Vとして視認する。すなわち、HUD装置20は、映像光が示す画像を虚像として運転者Dに視認させる。
【0054】
なお、表示領域26は、運転者Dの予め定めた俯角α内における、前方視野の一部の領域であればよい。俯角αは、車両2の運転者Dの前方視野の視角の範囲内であればよい。また、表示領域26は、車両2の運転者Dの前方視野の一部にあらかじめ設定された領域であってもよい。本実施形態では、表示領域26は、車両2のフロントウインドシールド24上で且つ運転者Dの運転席の正面に設定された領域である場合を一例として説明する。すなわち、表示領域26は、フロントウインドシールド24上に設定されたヘッドアップディスプレイ領域である場合を一例として説明する。ヘッドアップディスプレイ領域とは、運転者Dの視認領域中に設定されたフロントウインドシールド24上の領域である。言い換えると、ヘッドアップディスプレイ領域は、HUD装置20によって映像が投射される領域である。
【0055】
本実施形態では、フロントウインドシールド24上の領域が表示領域26である場合を一例として説明する。なお、車両2にコンバイナが備えられている場合には、HUD装置20は、コンバイナに映像光を投射してもよい。この場合、表示領域26は、運転者Dの前方視野中に配置されたコンバイナ上の領域であってもよい。
【0056】
ここで、複数の電子機器12の各々は、車両2内における様々な箇所に配置されている。また、複数の電子機器12の各々の表示部13Bもまた、車両2内における様々な箇所に配置されている。
【0057】
図3を用いて説明する。例えば、図3に示すように、車両状態表示装置12Aの表示部13Bは、車両2の車室内におけるメータ内に設けられている。メータ内に設けられたディスプレイは、マルチインフォメーションディスプレイと称される場合がある。
【0058】
また、電子ルームミラー12Bの表示部13Bは、車両2の車室内におけるバックミラー位置に配置されている。また、ドライブレコーダ12C、電話機能付マルチメディア12D、およびエアコンディショナ12Eは、例えば、車両2のダッシュボード30内などに配置されている。これらのドライブレコーダ12C、電話機能付マルチメディア12D、およびエアコンディショナ12Eの表示部13Bには、例えば、センターディスプレイ28が用いられる。
【0059】
従来技術では、ユーザである運転者Dが電子機器12の状態の確認や状態の切替え等を所望する場合には、操作や確認の対象となる電子機器12や、該電子機器12の表示部13Bを注視しながら操作を行う必要があった。また、これらの操作は、車両2の走行中に行われる場合があった。このため、従来技術では、運転者Dの視線が車両2の前方方向や進行方向から外れ、操作や確認の対象となる電子機器12に集中してしまい、運転の妨げとなる場合があった。
【0060】
図1に戻り説明を続ける。そこで、本実施形態の車載システム1では、対象機器の注視を抑制する。
【0061】
具体的には、本実施形態では、電子機器12の制御部13Aは、入力部14から第1の信号を受付ける。すなわち、対象機器である電子機器12の制御部13Aが、第1の信号を受付ける。上述したように、第1の信号は、対象機器の状態の切替指示信号、および、対象機器の状態の確認指示信号、の少なくとも一方である。第1の信号を受付けた電子機器12の制御部13Aは、当該電子機器12の識別情報と、当該電子機器12の表示要素に関する情報と、を含む第2の信号を車載装置10へ送信する。
【0062】
表示要素とは、対象機器の状態の切替えに関する選択を受け付けるための表示要素である。“対象機器の状態”の定義は、上述したため、ここでは記載を省略する。
【0063】
なお、表示要素は、対象機器の状態の確認に関する指示を受け付けるための表示要素であってもよい。また、表示要素は、対象機器の有する機能の選択を受け付けるための表示要素であってもよい。
【0064】
表示要素は、対象機器の設定内容、対象機器の表示内容、対象機器の有する機能、設定値、などを示す文字またはアイコンなどによって表される。
【0065】
詳細には、対象機器が車両状態表示装置12Aである場合には、表示要素は、例えば、車両2の状態に関する文字やアイコンである。具体的には、この場合、表示要素は、速度、平均燃費、瞬間燃費、車両メンテナンス、走行距離の積算値、走行可能距離、エネルギー残量、運転支援機能がオン状態であるかオフ状態であるか、などに関する文字やアイコンである。
【0066】
また、対象機器が電子ルームミラー12Bである場合には、表示要素は、例えば、広角モードおよび防眩モードの各々を示す文字やアイコン、これらの機能がオン状態であるかオフ状態であるかを示す文字やアイコン、これらの機能のオンオフの切替えを受け付けるためのアイコン、などである。
【0067】
また、対象機器がドライブレコーダ12Cである場合には、表示要素は、例えば、イベント録画モードおよび常時録画モードの各々を示す文字やアイコン、これらの機能がオン状態であるかオフ状態であるかを示す文字やアイコン、などである。
【0068】
また、対象機器が電話機能付マルチメディア12Dである場合には、表示要素は、例えば、電話発信機能、発着信履歴管理機能、電話帳管理機能、お気に入り管理機能、などの各々を示す文字やアイコンなどである。
【0069】
また、対象機器がエアコンディショナ12Eである場合には、表示要素は、例えば、暖房機能、冷房機能、除湿機能、などを示す文字やアイコン、これらの機能がオン状態であるかオフ状態であるかを示す文字やアイコン、これらの機能の設定内容を示す文字やアイコン、などである。これらの機能の設定内容は、例えば、温度、風量、などの設定値である。
【0070】
また、対象機器がラジオである場合には、表示要素は、例えば、周波数の選択を受け付けるためのアイコン、周波数を示す文字、FM(Frequency Modulation)/AM(Amplitude Modulation)を切替えるためのアイコン、などである。
【0071】
第1の信号を受付けた電子機器12の制御部13Aは、当該電子機器12の状態に関する表示要素を特定する。詳細には、制御部13Aは、当該電子機器12の現在の設定内容、当該電子機器12の現在の設定値、当該電子機器12の表示部13Bに表示されている表示内容、当該電子機器12に設けられている機能の各々の選択を受け付けるためのアイコン、などの表示要素を特定する。そして、電子機器12の制御部13Aは、特定した表示要素と、当該電子機器12の識別情報と、を含む第2の信号を、車載装置10へ送信する。
【0072】
車載装置10の制御部22は、電子機器12から受信した第2の信号に応じて、HUD装置20を制御する。
【0073】
制御部22は、受信部22Aと、表示制御部22Bと、を備える。
【0074】
受信部22Aおよび表示制御部22Bの一部または全ては、例えば、CPU11A(図2参照)などの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0075】
受信部22Aは、電子機器12から第2の信号を受信する。上述したように、電子機器12は、入力部14から第1の信号を受付けたときに、第1の信号に関する第2の信号を車載装置10へ送信する。このため、車載装置10の受信部22Aは、対象機器に対する第1の信号の入力を受付けたときに、第1の信号に関する第2の信号を対象機器から受信する。
【0076】
なお、車載装置10の受信部22Aは、入力部14から第1の信号を受付けてもよい。この場合、受信部22Aは、受付けた第1の信号によって特定される電子機器12へ、第2の信号の送信要求を送信すればよい。そして、送信要求を受け付けた電子機器12の制御部13Aは、第2の信号を生成し、車載装置10へ送信すればよい。これらの処理によって、車載装置10の受信部22Aは、第2の信号を対象機器から受信してもよい。
【0077】
表示制御部22Bは、受信部22Aで第2の信号を受信したときに、第1の画像を表示領域26へ表示する。第1の画像とは、対象機器の状態に関する1または複数の表示要素を含む画像である。
【0078】
表示制御部22Bは、対象機器から受信した第2の信号に含まれる表示要素を含む第1の画像を、表示領域26へ表示する。表示制御部22Bが画像を表示領域26へ表示する、とは、画像を表示するようにHUD装置20を制御することを意味する。具体的には、表示制御部22Bは、第1の画像を含む表示画像の画像信号をHUD装置20へ出力する。HUD装置20は、受信した画像信号の映像光を、フロントウインドシールド24の表示領域26へ投射する。このため、フロントウインドシールド24の表示領域26には、第1の画像を含む表示画像が表示される。
【0079】
図5A図5Cは、表示領域26に表示される表示画像の一例の説明図である。図5A図5Cには、対象機器が車両状態表示装置12Aである場合を一例として示した。
【0080】
図5Aは、第2の画像26Bの一例の模式図である。第2の画像26Bとは、車載装置10が第2の信号を受信する前の状態である通常状態のときに、表示領域26に表示される画像である。第2の画像26Bは、予め定められた要素を含む画像であればよい。図5Aには、第2の画像26Bが、車両2の現在の走行状態を示す情報と、予定走行ルートの一部を示す情報と、を含む場合を一例として示した。
【0081】
例えば、表示制御部22Bは、通常状態では、第2の画像26Bを表示領域26へ表示する。このため、通常状態では、フロントウインドシールド24の表示領域26には、第2の画像26Bが表示される。
【0082】
図5Bは、第1の画像26Aを含む表示画像の一例を示す模式図である。表示制御部22Bは、第2の信号を受信したときに、第1の画像26Aを表示領域26へ表示する。表示制御部22Bは、第2の信号に含まれる表示要素40を含む第1の画像26Aを、表示領域26へ表示する。例えば、第1の画像26Aは、図中の右から順に、トリップメータ、運転支援機能、車両メンテナンス、エネルギー残量、表示オフ、の各々を選択するための表示要素40を含む。
【0083】
なお、第2の信号は、表示要素40を含む形態に限定されない。例えば、第2の信号は、表示要素40に替えて表示要素40の要素識別情報を含む信号であってもよい。この場合、例えば、記憶部18は、要素識別情報に対応する表示要素40を予め記憶する。表示制御部22Bは、第2の信号に含まれる、要素識別情報に対応する表示要素40を記憶部18から特定し、第1の画像26Aに用いればよい。
【0084】
図5Bに示すように、例えば、表示制御部22Bは、第2の画像26Bと第1の画像26Aとの重畳画像を表示領域26へ表示する。詳細には、表示制御部22Bは、第2の画像26B上に第1の画像26Aを重畳した重畳画像を、表示領域26へ表示する。
【0085】
運転者Dは、入力部14を操作することで、表示領域26に表示された複数の表示要素40の中から所望の表示要素40を選択する。例えば、ユーザは、スイッチ14Bまたはスイッチ14Cを操作することで、所望の表示要素40を選択する。スイッチ14Bまたはスイッチ14Cの操作信号を受付けた電子機器12の制御部13Aは、該操作信号に対応する処理を実行する。例えば、電子機器12は、運転支援機能をオン状態にする制御などを実行する。
【0086】
このため、図5Cに示すように、運転者Dは、車両状態表示装置12Aを注視することなく、フロントウインドシールド24上の表示領域26を視認した状態で、対象機器に対する状態の切替えや確認のための操作を行うことができる。すなわち、運転者Dは、車両2の前方を視認した状態を維持したまま、対象となる電子機器12に対する操作指示を行うことができる。
【0087】
なお、表示制御部22Bは、対象機器に対する操作完了を判別したときに、第1の画像26Aを非表示としてもよい。この場合、例えば、表示制御部22Bは、ユーザによる入力部14の操作指示によって表示要素40が選択されたときに、対象機器に対する操作完了を判別する。そして、操作完了を判別したときに、表示制御部22Bは、第1の画像26Aの表示を解除し、第2の画像26Bを含む表示画面を表示領域26に表示すればよい。また、例えば、表示制御部22Bは、操作のなされない状態が予め定めた時間以上継続したときに、操作完了を判別してもよい。予め定めた時間は、例えば、5秒などであるが、この時間に限定されない。この場合、例えば、表示領域26には、図5Aに示す第2の画像26Bの表示画像が表示される。
【0088】
このように、表示制御部22Bは、対象機器に対する操作完了を判別したときに、第1の画像26Aを非表示とし、通常状態の画像である第2の画像26Bを表示領域26へ表示する。このため、表示制御部22Bは、表示領域26を最大限有効に活用することができる。
【0089】
なお、表示制御部22Bは、第2の画像26Bの縮小画像と、第1の画像26Aと、を表示領域26へ表示してもよい。
【0090】
図6A図6Cは、表示領域26に表示される表示画像の一例の説明図である。
【0091】
図6Aに示すように、例えば、表示制御部22Bは、通常状態では、第2の画像26Bを表示領域26へ表示する。そして、図6Bに示すように、表示制御部22Bは、第2の信号を受信したときに、第2の画像26Bの縮小画像26B1と、第1の画像26Aと、を含む表示画像を表示領域26へ表示する。縮小画像26B1は、第2の画像26Bの表示倍率を縮小したものであってもよい。例えば、縮小画像26B1は、第2の画像26Bを水平方向、あるいは垂直方向に圧縮して表示するものであってもよい。あるいは、縮小画像26B1は、表示倍率はそのままに、第2の画像26Bの一部を切り取ったものであってもよい。以下、第2の画像26Bの一部を切り取って縮小画像26B1とすることについても、「縮小する」と称することがある。
【0092】
そして、表示制御部22Bは、対象機器に対する操作完了を判別したときに、第1の画像26Aを非表示とし、且つ、第2の画像26Bの縮小状態を解除した画像を、表示領域26に表示すればよい。この場合、表示領域26には、図6Aに示す表示画像が表示される。
【0093】
なお、表示制御部22Bは、第1の画像26Aの表示対象となる領域が第2の画像26Bに含まれる表示の要素に干渉すると判断した場合に、第2の画像26Bを縮小してもよい。そして、表示制御部22Bは、第2の画像26Bの縮小画像と、第1の画像26Aと、を含む表示画像を、表示領域26へ表示してもよい。
【0094】
また、表示制御部22Bは、表示領域26における、対象機器の設置方向に対応する領域に、第1の画像26Aを表示してもよい。
【0095】
この場合、表示制御部22Bは、第2の信号を受信したときに、第2の信号に含まれる識別情報によって識別される電子機器12の、表示領域26に対する設置方向を特定する。例えば、記憶部18は、電子機器12の識別情報と、表示領域26に対する相対的な設置方向と、を対応付けて予め記憶する。表示制御部22Bは、受信した第2の信号に含まれる識別情報に対応する設置方向を記憶部18から読み取ることで、設置方向を特定すればよい。
【0096】
そして、表示制御部22Bは、表示領域26における、特定した設置方向に第1の画像26Aを配置した表示画像を生成し、表示領域26へ表示すればよい。
【0097】
図6Cに示すように、この場合、表示領域26における、車両状態表示装置12Aの設置方向に対応する領域に、車両状態表示装置12Aに関する表示要素40を含む第1の画像26Aが表示される。本実施形態では、車両状態表示装置12Aは表示領域26に対して下方向に設置されている。このため、車両状態表示装置12Aに関する表示要素40を含む第1の画像26Aは、表示領域26における下方向の領域に表示される。
【0098】
同様に、例えば、対象機器が電話機能付マルチメディア12Dである場合を想定する。この場合には、表示制御部22Bは、表示領域26における電話機能付マルチメディア12Dの設置方向に対応する領域に第1の画像26Aを表示する。具体的には、図6Cにおける表示領域26の左側の領域に、電話機能付マルチメディア12Dの第1の画像26Aが表示される。
【0099】
このため、表示制御部22Bは、いずれの電子機器12に関する第1の画像26Aであるかを、運転者Dに対して直感的にわかりやすく提供することができる。
【0100】
図7A図7Dは、第1の画像26Aの一例の模式図である。
【0101】
図7Aおよび図7Bには、対象機器が電子ルームミラー12Bである場合を一例として示した。
【0102】
この場合、例えば、図7Aに示すように、第1の画像26Aは、防眩モードを示す文字やアイコン、防眩モードのオンオフの切替えを受け付けるためのアイコン、などの表示要素40を含む。また、例えば、図7Bに示すように、第1の画像26Aは、広角モードを示す文字やアイコン、広角モードのオンオフの切替えを受け付けるためのアイコン、などの表示要素40を含む。
【0103】
図7Cには、対象機器がドライブレコーダ12Cである場合を一例として示した。
【0104】
この場合、例えば、第1の画像26Aは、イベント録画モード、および、常時録画モード、の各々への切替えを受け付けるためのアイコンを表示要素40として含む。
【0105】
図7Dには、対象機器がエアコンディショナ12Eである場合を一例として示した。
【0106】
この場合、例えば、第1の画像26Aは、現在の設定温度、温度変更を受け付けるためのアイコン、などの表示要素40を含む。
【0107】
図8A図8Dは、表示領域26に表示される表示画像の一例の説明図である。図8A図8Dには、対象機器が電話機能付マルチメディア12Dである場合を一例として示した。
【0108】
図8Aに示すように、例えば、表示制御部22Bは、発着信履歴管理機能、お気に入り管理機能、電話帳管理機能、などの各々を示すアイコンを表示要素40として含む第1の画像26Aを、表示領域26へ表示する。
【0109】
ユーザによるスイッチ14Bの操作指示によって、発着信履歴管理機能の表示要素40が選択された場合を想定する。この場合、図8Bおよび図8Cに示すように、表示制御部22Bは、スイッチ14Bの操作指示を受け付けるごとに、発着信履歴に含まれる電話情報を第1の画像26Aとして順次表示領域26へ表示する。そして、例えば、ユーザによるスイッチ14Cの操作指示によって、電話発信が指示されると、電話機能付マルチメディア12Dの制御部13Aは、選択された電話情報に含まれる電話番号への発信処理を開始する。また、このとき、例えば、図8Dに示すように、表示制御部22Bは、該電話番号への発信中であることを示す表示要素40を含む第1の画像26Aを、表示領域26へ表示する。
【0110】
このため、運転者Dは、前方視野を視認した状態で、電話機能付マルチメディア12Dに対して機能の切替えや機能の実行などの各種の操作指示を行うことができる。
【0111】
次に、電子機器12が実行する情報処理を説明する。
【0112】
図9は、本実施形態の電子機器12が実行する情報処理の一例を示す、フローチャートである。
【0113】
車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、入力部14から第1の信号を受付けたか否かを判断する(ステップS100)。
【0114】
ステップS100で否定判断すると(ステップS100:No)、本ルーチンを終了する。ステップS100で肯定判断すると(ステップS100:Yes)、ステップS102へ進む。
【0115】
ステップS102では、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、第2の信号を生成し、車載装置10へ送信する。
【0116】
次に、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、入力部14または入力部13Cから各種の操作指示を受け付けたか否かを判断する(ステップ104)。ステップS104で否定判断すると(ステップS104:No)、本ルーチンを終了する。ステップS104で肯定判断すると(ステップS104:Yes)、ステップS106へ進む。
【0117】
ステップS106では、車両状態表示装置12Aの制御部13Aは、ステップS104で受け付けた操作指示に対応する処理を実行する(ステップS106)。そして本ルーチンを終了する。
【0118】
次に、車載装置10が実行する情報処理を説明する。
【0119】
図10は、本実施形態の車載装置10が実行する情報処理の一例を示す、フローチャートである。
【0120】
受信部22Aは、対象機器である電子機器12から第2の信号を受信したか否かを判断する(ステップS200)。ステップS200で否定判断すると(ステップS200:No)、本ルーチンを終了する。ステップS200で肯定判断すると(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
【0121】
ステップS202では、表示制御部22Bは、ステップS200で受信した第2の信号に含まれる識別情報に対応する電子機器12を特定することで、対象機器である電子機器12を特定する(ステップS202)。
【0122】
次に、表示制御部22Bは、表示制御部22Bは、ステップS200で受信した第2の信号に含まれる表示要素40を含む第1の画像26Aを生成する(ステップS204)。次に、表示制御部22Bは、表示画像を生成する(ステップS206)。ステップS206では、表示制御部22Bは、第2の画像26Bと第1の画像26Aとを含む表示画像を生成する。
【0123】
次に、表示制御部22Bは、ステップS206で生成した表示画像を表示領域26へ表示する(ステップS208)。
【0124】
次に、表示制御部22Bは、ステップS208で表示した第1の画像26Aに含まれる表示要素40の選択を受け付けたか否かを判断する(ステップS210)。表示制御部22Bは、ユーザによるスイッチ14Bまたはスイッチ14Cの操作指示により、これらのスイッチから操作信号を受付けたか否かを判別することで、ステップS210の判断を行う。
【0125】
表示制御部22Bは、肯定判断(ステップS210:Yes)するまで否定判断(ステップS210:No)を繰り返す。表示制御部22Bは、肯定判断(ステップS210:Yes)すると、ステップS212へ進む。
【0126】
ステップS212では、表示領域26に表示していた第1の画像26Aの表示を解除し(ステップS212)、第2の画像26Bを表示領域26へ表示する(ステップS214)。そして、本ルーチンを終了する。
【0127】
なお、ステップS210では、表示要素40の選択受付の判断に替えて、対象機器に対する操作完了を判別してもよい。そして、操作完了を判別したときに、ステップS212へ進んでもよい。また、表示要素40が階層状となっている場合には、表示制御部22Bは、表示要素40の選択を受け付けるごとに、異なる階層の他の表示要素40を表示してもよい。そして、何れかの表示要素40に対する実行が指示されたときに、ステップS210で肯定判断してもよい。
【0128】
以上説明したように、本実施形態の車載装置10は、受信部22Aと、表示制御部22Bと、を備える。受信部22Aは、対象機器に対する第1の信号の入力を受付けたときに該対象機器から送信される、該第1の信号に関する第2の信号を受信する。表示制御部22Bは、第2の信号を受信したときに、対象機器の状態に関する1または複数の表示要素40を含む第1の画像26Aを、車両2の運転者Dの前方視野の一部に予め設定された表示領域26に表示する。
【0129】
このように、本実施形態の車載装置10の表示制御部22Bは、第2の信号を受付けたときに、対象機器の状態に関する表示要素40を含む第1の画像を、運転者Dの前方視野の表示領域26に表示する。第2の信号は、対象機器に対する第1の信号の入力を受付けたときに、対象機器から受信する信号である。
【0130】
このため、本実施形態の車載装置10では、運転者Dは、前方視野を視認した状態で対象機器の状態に関する表示要素40を視認することができる。すなわち、本実施形態の車載装置10では、運転者Dは、操作や確認の対象となる電子機器12である対象機器を注視することなく、前方視野を視認した状態で、対象機器に対して状態の切替えや状態の確認などの操作指示を行うことができる。
【0131】
従って、本実施形態の車載装置10では、対象機器の注視を抑制することができる。
【0132】
また、運転者Dは、前方視野の表示領域26を視認しながら入力部14を操作することで、前方視野を視認した状態で、対象機器の状態の切替えなどを行うことができる。すなわち、車載装置10では、運転者Dに対して、前方視野の表示領域26上で疑似的に電子機器12に対する操作を行わせることができる。このため、本実施形態の車載装置10は、上記効果に加えて、安全運転の可能な環境を提供することができる。
【0133】
また、本実施形態の車載装置10によれば、運転者Dは、対象機器の状態の切替え時には前方を視認し、切替え後に対象機器を視認すればよい。このため、本実施形態の車載装置10は、運転者Dが前方視野から視線をそらす時間の短縮を図ることができる。
【0134】
また、本実施形態の車載装置10では、車両2が走行中であっても、運転者Dによる対象機器の注視を抑制することができる。このため、本実施形態の車載装置10は、上記効果に加えて、使用性の向上を図ることができる。
【0135】
また、本実施形態の車載システム1では、対象機器が第1の信号の入力を受付けたときに、車載装置10は該対象機器から受信した第2の信号を用いて該対象機器に関する表示要素40を含む第1の画像26Aを表示領域26へ表示する。このため、本実施形態の車載システム1では、電子機器12と車載装置10による機器連携を図ることが出来る。このため、電子機器12と車載装置10との間で一体感のある連携した表示などの処理を行うことができる。
【0136】
なお、上記には、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲または要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0137】
1 車載システム
2 車両
10 車載装置
12 電子機器
20 HUD装置
22A 受信部
22B 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10