(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】粉体移送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/46 20060101AFI20240920BHJP
A01C 7/16 20060101ALI20240920BHJP
A01C 15/00 20060101ALI20240920BHJP
A01M 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65G65/46 B
A01C7/16 Q
A01C15/00 E
A01M9/00 Z
(21)【出願番号】P 2022124783
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】栗田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 友樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 武司
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-142635(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0078042(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 33/00,65/46
A01C 7/00,9/00,15/00
A01M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンに取り付けて使用される粉体移送装置であって、
粉体が貯留され、当該粉体を後記粉体送り出し機構に投入する粉体投入機構と、
投入された前記粉体を送り出す、1つ又は複数の粉体送り出し機構と、を備え、
前記粉体送り出し機構は、粉体投入口を有する継ぎ手と、一方向型スクリューと、粉体排出口を有する押出部と、を含み、
前記継ぎ手は、前記粉体投入口側が狭いテーパ断面を有し、
前記一方向型スクリューは、
前記粉体投入口側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなる可変外径・可変ピッチ部と、
外径とピッチ間隔が一定である固定ピッチ部と、を含むことを特徴とする粉体移送装置。
【請求項2】
前記可変外径・可変ピッチ部は、着脱可能である、請求項1に記載の粉体移送装置。
【請求項3】
前記粉体送り出し機構の下方に、1段又は複数段の下段粉体送り出し機構をさらに備えた、請求項1に記載の粉体移送装置。
【請求項4】
前記下段粉体送り出し機構は、両方向型スクリューを含む、請求項3に記載の粉体移送装置。
【請求項5】
前記粉体送り出し機構及び前記下段粉体送り出し機構は、それぞれ、制御器と接続されるスクリューモータを含む、請求項3に記載の粉体移送装置。
【請求項6】
前記下段粉体送り出し機構は、両方向型スクリューを含み、
前記粉体送り出し機構及び前記下段粉体送り出し機構は、それぞれ、制御器と接続されるスクリューモータを含む、請求項3に記載の粉体移送装置。
【請求項7】
前記制御器は、前記ドローンの速度及び傾きの変化を検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記各スクリューモータが接続される、前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリュー及び/又は前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューの回転数を変化させる、請求項
6に記載の粉体移送装置。
【請求項8】
前記制御器は、前記粉体送り出し機構及び前記下段粉体送り出し機構の粉体の詰まりを検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記各スクリューモータが接続される、前記粉体の詰まりが検出された前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリュー及び/又は前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューを逆回転させる、請求項
6に記載の粉体移送装置。
【請求項9】
前記制御器は、さらに、前記粉体の詰まりが検出された1段目の前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューの停止又は逆回転を検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記粉体の詰まりが検出された1段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段に位置する前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリューのすべてを停止させる、請求項
8に記載の粉体移送装置。
【請求項10】
前記制御器は、さらに、前記粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューの停止又は逆回転を検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段(≦N-1)に位置する下段粉体送り出し機構の両方向型スクリュー、及び、前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリューのすべてを停止させる、請求項
8に記載の粉体移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体移送装置に関する。さらに詳細には、本発明は、ドローンに取り付けて使用され、例えば、ホッパ等の粉体投入機構に貯留された粒剤等の農薬や種籾などの粉体を移送するために用いられる粉体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粉体移送装置としては、例えば、非特許文献1等に開示されたものが知られている。
非特許文献1に開示された粉体移送装置は、粉体が貯留されるホッパ(粉体投入機構)と、前記ホッパから投入された前記粉体を粉体排出口まで送り出す、いわゆるスクリューフィーダー(粉体送り出し機構)と、を備えている。
【0003】
ところで、かかる構成の粉体移送装置にあっては、スクリューフィーダーの粉体投入口付近で粉体の詰まりが生じる虞がある。
この粉体の詰まりを解決するために、例えば、スクリューフィーダーの粉体投入口付近に攪拌部材を配置することが考えられるが、この場合には、モータの数が増え、装置全体の重量が増加してしまうという新たな課題が発生する。
【0004】
そこで、最近、1つのモータでスクリューフィーダーと攪拌部材を駆動するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】株式会社セイワ技研,粉体充填機 供給機 スクリューフィーダー,[online],[令和4年7月1日検索],インターネット〈URL;https://www.jyuuten-ki.com/〉
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1で提案されている技術は、1つのモータの駆動力を、スクリューフィーダーと攪拌部材に伝達する駆動力伝達機構を設け、この駆動力伝達機構を介してスクリューフィーダーと攪拌部材を駆動するようにしたものであるため、構造が複雑になるという課題を有していた。
【0008】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ね、その結果、装置全体の軽量化と構造の単純化を図りつつ、スクリューフィーダー(粉体送り出し機構)の粉体投入口付近での粉体の詰まりを解決することを可能にする構成に想到し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、装置全体の軽量化と構造の単純化を図りつつ、粉体送り出し機構の粉体投入口付近での粉体の詰まりを解決することを可能にする粉体移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明に係る粉体移送装置の構成は、
(1)ドローンに取り付けて使用される粉体移送装置であって、
粉体が貯留され、当該粉体を後記粉体送り出し機構に投入する粉体投入機構と、
投入された前記粉体を送り出す、1つ又は複数の粉体送り出し機構と、を備え、
前記粉体送り出し機構は、粉体投入口を有する継ぎ手と、一方向型スクリューと、粉体排出口を有する押出部と、を含み、
前記継ぎ手は、前記粉体投入口側が狭いテーパ断面を有し、
前記一方向型スクリューは、
前記粉体投入口側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなる可変外径・可変ピッチ部と、
外径とピッチ間隔が一定である固定ピッチ部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の粉体移送装置の上記(1)の構成は、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、上記(1)の構成によれば、粉体送り出し機構の、粉体投入口を有する継ぎ手が、前記粉体投入口側が狭いテーパ断面を有し、前記粉体送り出し機構の一方向型スクリューが、前記粉体投入口側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなる可変外径・可変ピッチ部を含んでいるため、大量の粉体が前記粉体投入口に溜まらないようになり、前記一方向型スクリューの回転速度によらず、前記粉体の安定移送がスムーズになる。また、前記一方向型スクリューが、外径とピッチ間隔が一定である固定ピッチ部を含んでいるため、一定スピードで一定量(適正量)の粉体を搬送することが可能となる。
そして、このように、前記粉体送り出し機構の前記粉体投入口付近に攪拌部材を配置しなくても(すなわち、モータの数を増やさなくても、また、駆動力伝達機構を設けなくても)、大量の粉体が前記粉体投入口に溜まらないようになるため、粉体移送装置全体の軽量化と構造の単純化を図ることができる。
従って、上記(1)の構成によれば、装置全体の軽量化と構造の単純化を図りつつ、粉体送り出し機構の粉体投入口付近での粉体の詰まりを解決することを可能にする粉体移送装置を提供することができる。
【0012】
本発明の粉体移送装置の上記(1)の構成においては、以下の(2)~(9)のような構成にすることが好ましい。
【0013】
(2)上記(1)の構成において、前記可変外径・可変ピッチ部は、着脱可能である。
【0014】
上記(2)の好ましい構成によれば、可変外径・可変ピッチ部を、様々な外径やピッチ間隔のものに交換することができる。そして、その結果、様々な形状・特性の粉体に対応させることが可能となり、また、一方向型スクリューの回転量に応じて継ぎ手への粉体の取出量を制御することも可能となる。
【0015】
(3)上記(1)の構成において、前記粉体送り出し機構の下方に、1段又は複数段の下段粉体送り出し機構をさらに備えている。
【0016】
(4)上記(3)の構成において、前記下段粉体送り出し機構は、両方向型スクリュー(分岐型スクリュー)を含んでいる。
【0017】
上記(4)の好ましい構成によれば、粉体を正確に分配することが可能となる。
【0018】
(5)上記(3)の構成において、前記粉体送り出し機構及び前記下段粉体送り出し機構は、それぞれ、制御器と接続されるスクリューモータを含んでいる。
【0019】
上記(5)の好ましい構成によれば、粉体送り出し機構の一方向型スクリューと下段粉体送り出し機構の両方向型スクリューを独立して制御することが可能となる。
【0020】
(6)上記(5)の構成において、前記下段粉体送り出し機構は、両方向型スクリューを含み、前記粉体送り出し機構及び前記下段粉体送り出し機構は、それぞれ、制御器と接続されるスクリューモータを含む。
(7)上記(6)の構成において、前記制御器は、前記ドローンの速度及び傾きの変化を検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記各スクリューモータが接続される、前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリュー及び/又は前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューの回転数を変化させる。
【0021】
上記(7)の好ましい構成によれば、制御器がドローンの速度や傾きの変化を検出した場合に、スクリューごとに粉体の吐出量と吐出速度を変化させて、吐出(播種等)する粉体の量、吐出強度、吐出タイミングを調整することができる。そして、その結果、全体として一定量の粉体を安定して吐出させることが可能となる。
【0022】
(8)上記(6)の構成において、前記制御器は、前記粉体送り出し機構及び前記下段粉体送り出し機構の粉体の詰まりを検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記各スクリューモータが接続される、前記粉体の詰まりが検出された前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリュー及び/又は前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューを逆回転させる。
【0023】
上記(8)の好ましい構成によれば、粉体の詰まりが検出された粉体送り出し機構及び
/又は下段粉体送り出し機構の、前記粉体の詰まりを解消することができる。
【0024】
(9)上記(8)の構成において、前記制御器は、さらに、前記粉体の詰まりが検出された1段目の前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューの停止又は逆回転を検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記粉体の詰まりが検出された1段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段に位置する前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリューのすべてを停止させる。
【0025】
上記(9)の好ましい構成によれば、粉体の詰まりが検出された1段目の下段粉体送り出し機構の両方向型スクリューが停止し又は逆回転しても、当該粉体の詰まりが検出された1段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段に位置する粉体送り出し機構の一方向型スクリューで粉体が詰まらないようにすることができる。そして、その結果、全体として一定量の粉体を安定して吐出させることが可能となる。
【0026】
(10)上記(8)の構成において、前記制御器は、さらに、前記粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューの停止又は逆回転を検出し、その検出結果に基づいて前記各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、前記粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段(≦N-1)に位置する下段粉体送り出し機構の両方向型スクリュー、及び、前記粉体送り出し機構の前記一方向型スクリューのすべてを停止させる。
【0027】
上記(10)の好ましい構成によれば、粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の下段粉体送り出し機構の両方向型スクリューが停止し又は逆回転しても、当該粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段(≦N-1)に位置する下段粉体送り出し機構の両方向型スクリュー、及び、粉体送り出し機構の一方向型スクリューで粉体が詰まらないようにすることができる。そして、その結果、全体として一定量の粉体を安定して吐出させることが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、装置全体の軽量化と構造の単純化を図りつつ、粉体送り出し機構の粉体投入口付近での粉体の詰まりを解決することを可能にする粉体移送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態における粉体移送装置の全体構成を示す正面図
【
図2】本発明の一実施形態における粉体移送装置の構成部材である粉体送り出し機構の内部構造を示す正面断面図
【
図3】本発明の一実施形態における粉体移送装置の構成部材である、粉体送り出し機構と下段粉体送り出し機構の位置関係、並びに、それらの内部構造を示す正面断面図
【
図4】本発明の一実施形態における粉体移送装置の、移送される粉体の経路を示す正面図(正面視右側半分だけ断面図で示しているが、図面を見やすくするためにハッチングは省略している)
【
図5】本発明の一実施形態における粉体移送装置の構成部材である、粉体送り出し機構及び下段粉体送り出し機構と制御器との関係を示す説明図
【
図6】本発明の一実施形態における粉体移送装置で粉体の詰まりが検出された場合の制御方法を示す説明図((a)は通常運転(順回転)時、(b)は詰まり検出時)
【
図7】本発明の一実施形態における粉体移送装置で粉体の詰まりが検出された場合の制御方法を示す説明図((c)は逆回転時、(d)は通常運転(順回転)時)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
(粉体移送装置の基本構成)
まず、本発明の一実施形態における粉体移送装置の基本構成について、
図1,
図2を参照しながら説明する。
【0032】
図1は本実施形態における粉体移送装置の全体構成を示す正面図、
図2は当該粉体移送装置の構成部材である粉体送り出し機構の内部構造を示す正面断面図である。
なお、
図2では、正面視右側の粉体送り出し機構のみを示している。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の粉体移送装置1は、ドローン2に取り付けて使用される。
粉体移送装置1は、ドローン2に取り付けられる粉体投入機構としてのホッパ3と、2つの粉体送り出し機構4a,4bと、を備えている。ホッパ3は、粉体が貯留され、当該粉体を各粉体送り出し機構4a,4bに投入するためのものである。各粉体送り出し機構4a,4bは、それぞれ、投入された前記粉体を後記粉体排出口8a(
図2,
図3を参照)まで送り出すためのものである。
【0034】
図1~
図3に示すように、正面視右側の粉体送り出し機構4bは、粉体投入口6aを有する継ぎ手6と、一方向型スクリュー7と、粉体排出口8aを有する押出部8と、一方向型スクリュー7の外周を包囲する円筒状ケーシング9と、を含んでいる。ここで、円筒状ケーシング9の両端縁は、それぞれ、継ぎ手6と押出部8に嵌入固定されている。
このように、粉体送り出し機構4bは、スクリューフィーダーとして構成されている。
【0035】
継ぎ手6は、粉体投入口6a側が狭いテーパ断面を有している。一方向型スクリュー7は、粉体投入口6a側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなる可変外径・可変ピッチ部10と、外径とピッチ間隔が一定である固定ピッチ部11と、を含んでいる。
【0036】
正面視左側の粉体送り出し機構4aは、上記した正面視右側の粉体送り出し機構4bと同一の構造を有し、当該粉体送り出し機構4bと左右対称に配置されている。
【0037】
移送の対象となる粉体としては、例えば、粒剤等の農薬、種籾などが挙げられる。従って、粉体移送装置1は、例えば、播種機等として使用することができる。
【0038】
以上説明した本実施形態の粉体移送装置1の構成は、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、かかる構成によれば、粉体送り出し機構4a,4bの、粉体投入口6aを有する継ぎ手6が、粉体投入口6a側が狭いテーパ断面を有し、粉体送り出し機構4a,4bの一方向型スクリュー7が、粉体投入口6a側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなる可変外径・可変ピッチ部10を含んでいるため、大量の粉体が粉体投入口6aに溜まらないようになり、一方向型スクリュー7の回転速度によらず、前記粉体の安定移送がスムーズになる。また、一方向型スクリュー7が、外径とピッチ間隔が一定である固定ピッチ部11を含んでいるため、一定スピードで一定量(適正量)の粉体を搬送することが可能となる。
そして、このように、粉体送り出し機構4a,4bの粉体投入口6a付近に攪拌部材を配置しなくても(すなわち、モータの数を増やさなくても、また、駆動力伝達機構を設けなくても)、大量の粉体が粉体投入口6aに溜まらないようになるため、粉体移送装置1全体の軽量化と構造の単純化を図ることができる。
従って、かかる構成によれば、装置全体の軽量化と構造の単純化を図りつつ、粉体送り出し機構4a,4bの粉体投入口6a付近での粉体の詰まりを解決することを可能にする粉体移送装置1を提供することができる。
【0039】
(粉体移送装置の各部の具体的構成及び粉体の移送動作等)
次に、本発明の一実施形態における粉体移送装置の各部の具体的構成及び粉体の移送動作等について、
図3,
図4をも参照しながらさらに詳細に説明する。
【0040】
図3は本実施形態における粉体移送装置の構成部材である、粉体送り出し機構と下段粉体送り出し機構の位置関係、並びに、それらの内部構造を示す正面断面図、
図4は当該粉体移送装置の、移送される粉体の経路を示す正面図(正面視右側半分だけ断面図で示しているが、図面を見やすくするためにハッチングは省略している)である。
なお、
図3では、正面視右側の粉体送り出し機構及び下段粉体送り出し機構のみを示している。
【0041】
図1に示すように、ホッパ3の下部には、左右一対の粉体落下口3a,3bが設けられている。また、2つの粉体送り出し機構4a,4bは、水平状態で左右対称に配置されており、ホッパ3の左右一対の粉体落下口3a,3bが、それぞれ、左右の粉体送り出し機構4a,4bの各粉体投入口6aに連結されている(
図2を参照)。ここで、左右の粉体送り出し機構4a,4bは、それぞれ、左右一対の連結部材12a,12bを介してホッパ3に固定されている。
【0042】
図2に示すように、一方向型スクリュー7は、継ぎ手6側と押出部8側で着脱可能に軸支され、継ぎ手6の外側端面に設けられたスクリューモータ13によって回転駆動するようにされている。
【0043】
一方向型スクリュー7は、継ぎ手6側の可変外径・可変ピッチ部10と、押出部8を構成する押出スクリュー部14と、可変外径・可変ピッチ部10と押出スクリュー部14との中間に位置する固定ピッチ部11と、を含んでいる。
上述したように、可変外径・可変ピッチ部10は、粉体投入口6a側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなっている。これにより、大量の粉体が粉体投入口6aに溜まらないようになり、一方向型スクリュー7の回転速度によらず、前記粉体の安定移送がスムーズになる。
また、上述したように、固定ピッチ部11は、外径とピッチ間隔が一定となっている。これにより、一定スピードで一定量(適正量)の粉体を搬送することが可能となる。
また、押出スクリュー部14は、先が拡がった形状に形成されている。これにより、固定ピッチ部11によって押出部8に搬送されてきた粉体が滑り落ちやすくなるため、押出部8での粉体の詰まりを防止することが可能となる。
【0044】
可変外径・可変ピッチ部10は、固定ピッチ部11に対して着脱可能となっている。
かかる構成によれば、可変外径・可変ピッチ部10を、様々な外径やピッチ間隔のものに交換することができる。そして、その結果、様々な形状・特性の粉体に対応させることが可能となり、また、一方向型スクリュー7の回転量に応じて継ぎ手6内への粉体の取出量を制御することも可能となる。
【0045】
図1,
図3に示すように、各粉体送り出し機構4a,4bの下方には、それぞれ、当該各粉体送り出し機構4a,4bと平行に1段の下段粉体送り出し機構15a,15bがさらに配置されている。
【0046】
正面視右側の下段粉体送り出し機構15bは、中央の粉体入口部16と、左右の粉体出口部17,18と、左側と右側でスクリュー羽根の巻き方向が逆になった両方向型スクリュー(分岐型スクリュー)19と、当該両方向型スクリュー19の外周を包囲する左右の円筒状ケーシング20,21と、を含んでいる。ここで、左側の円筒状ケーシング20の両端縁は、それぞれ、左側の粉体出口部17と中央の粉体入口部16に嵌入固定されている。また、右側の円筒状ケーシング21の両端縁は、それぞれ、中央の粉体入口部16と右側の粉体出口部18に嵌入固定されている。
このように、下段粉体送り出し機構15bは、スクリューフィーダーとして構成されている。
そして、下段粉体送り出し機構15bは、上記のように両方向型スクリュー19を含んでいるため、粉体を正確に左右に分配することが可能となる。
【0047】
中央の粉体入口部16は粉体入口16aを有し、左右の粉体出口部17,18は、それぞれ、粉体出口17a,18aを有している。両方向型スクリュー19は、左右の粉体出口部17,18側で軸支され、左側の粉体出口部17の外側端面に設けられたスクリューモータ22によって回転駆動するようにされている。
正面視右側の下段粉体送り出し機構15bの粉体入口16aには、正面視右側の粉体送り出し機構4bの粉体排出口8aが連結されている。
【0048】
両方向型スクリュー19は、左右の粉体出口部17,18で、先が拡がった形状に形成されている。これにより、中央の粉体入口部16から左右の粉体出口部17,18に搬送されてきた粉体が滑り落ちやすくなるため、粉体出口部17,18での粉体の詰まりを防止することが可能となる。
【0049】
正面視左側の下段粉体送り出し機構15aは、上記した正面視右側の下段粉体送り出し機構15bと同一の構造を有し、当該下段粉体送り出し機構15bと左右対称に配置されている。そして、正面視左側の下段粉体送り出し機構15aの粉体入口16aには、正面視左側の粉体送り出し機構4aの粉体排出口8aが連結されている。
【0050】
以上のように構成された粉体移送装置1において、ホッパ3に貯留された粉体は、以下のような経路を辿って左右の下段粉体送り出し機構15a,15bの粉体出口17a,18aから排出(吐出、播種)される。
【0051】
すなわち、
図4に示すように、ホッパ3に貯留された粉体は、当該ホッパ3の右側の粉体落下口3bから粉体送り出し機構4bの粉体投入口6aを介して継ぎ手6内に投入される(
図2,
図3、
図4の矢印Aを参照)。
図2,
図4に示すように、継ぎ手6内に投入された粉体は、まず、一方向型スクリュー7の可変外径・可変ピッチ部10によって一方向型スクリュー7の固定ピッチ部11側に送り出され、次いで、当該固定ピッチ部11によって押出部8の押出スクリュー部14側に送り出される(
図4の矢印Bを参照)。
図2~
図4に示すように、押出部8の押出スクリュー部14側に送り出された粉体は、当該押出スクリュー部14によって、粉体排出口8a、粉体入口16aを介して下段粉体送り出し機構15bの粉体入口部16内に押し出される(
図4の矢印Cを参照)。
図3,
図4に示すように、下段粉体送り出し機構15bの粉体入口部16内に押し出された粉体は、両方向型スクリュー19によって左右の粉体出口部17,18側に分岐して送り出され(
図4の矢印D,Eを参照)、当該左右の粉体出口部17,18の粉体出口17a,18aから排出(吐出、播種)される(
図4の矢印F,Gを参照)。
【0052】
ホッパ3の左側の粉体落下口3aから粉体送り出し機構4aの粉体投入口6aを介して継ぎ手6内に投入された粉体も、同様の経路を辿って、下段粉体送り出し機構15aの左右の粉体出口部17,18の粉体出口17a,18aから排出(吐出、播種)される。
【0053】
左右の下段粉体送り出し機構15a,15bは、それぞれ、左右の粉体送り出し機構4a,4bに着脱可能に取り付けられている。
かかる構成によれば、下段粉体送り出し機構15a,15bを、粉体出口17a,18a間の間隔の異なるものに交換することができる。その結果、粉体移送装置1を、例えば播種機として使用する場合に、種籾の植え付け間隔を調整することが可能となる。
【0054】
(粉体移送装置の制御)
次に、本発明の一実施形態における粉体移送装置の動作の制御について、
図5~
図7をも参照しながら説明する。
【0055】
図5は本実施形態における粉体移送装置の構成部材である、粉体送り出し機構及び下段粉体送り出し機構と制御器との関係を示す説明図、
図6は当該粉体移送装置で粉体の詰まりが検出された場合の制御方法を示す説明図((a)は通常運転(順回転)時、(b)は詰まり検出時)、
図7は当該粉体移送装置で粉体の詰まりが検出された場合の制御方法を示す説明図((c)は逆回転時、(d)は通常運転(順回転)時)である。
【0056】
図5に示すように、各粉体送り出し機構4a,4bのスクリューモータ13、及び、各下段粉体送り出し機構15a,15bのスクリューモータ22は、それぞれ、制御器23と接続されている。
かかる構成によれば、粉体送り出し機構4a,4bの各一方向型スクリュー7と下段粉体送り出し機構15a,15bの各両方向型スクリュー19を独立して制御することが可能となる。
【0057】
以下においては、粉体送り出し機構4aの一方向型スクリュー7、スクリューモータ13を、「一方向型スクリュー7a」、「スクリューモータ13a」、粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7、スクリューモータ13を、「一方向型スクリュー7b」、「スクリューモータ13b」、下段粉体送り出し機構15aの両方向型スクリュー19、スクリューモータ22を、「両方向型スクリュー19a」、「スクリューモータ22a」、下段粉体送り出し機構15bの両方向型スクリュー19、スクリューモータ22を、「両方向型スクリュー19b」、「スクリューモータ22b」と符号付けして説明する。
【0058】
図1,
図5に示すように、制御器23は、ドローン2の速度及び傾きの変化を検出し、その検出結果に基づいて各スクリューモータ13a,13b,22a,22bをそれぞれ独立して制御することにより、当該各スクリューモータ13a,13b,22a,22bが接続される、粉体送り出し機構4aの一方向型スクリュー7a及び/又は粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7b及び/又は下段粉体送り出し機構15aの両方向型スクリュー19a及び/又は下段粉体送り出し機構15bの両方向型スクリュー19bの回転数を変化させる。
【0059】
かかる構成によれば、制御器23がドローン2の速度や傾きの変化を検出した場合に、一方向型スクリュー7a,7b及び両方向型スクリュー19a,19bごとに粉体の吐出量と吐出速度を変化させて、吐出(播種等)する粉体の量、吐出強度、吐出タイミングを調整することができる。そして、その結果、全体として一定量の粉体を安定して吐出させることが可能となる。
【0060】
また、制御器23は、粉体送り出し機構4a,4b及び下段粉体送り出し機構15a,15bの粉体の詰まりを検出し、その検出結果に基づいて各スクリューモータ13a,13b,22a,22bをそれぞれ独立して制御することにより、当該各スクリューモータ13a,13b,22a,22bが接続される、粉体の詰まりが検出された粉体送り出し機構4aの一方向型スクリュー7a及び/又は粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7b及び/又は下段粉体送り出し機構15aの両方向型スクリュー19a及び/又は下段粉体送り出し機構15bの両方向型スクリュー19bを逆回転させる。
【0061】
かかる構成によれば、粉体の詰まりが検出された、粉体送り出し機構4a及び/又は粉体送り出し機構4b及び/又は下段粉体送り出し機構15a及び/又は下段粉体送り出し機構15bの、前記粉体の詰まりを解消することができる。
【0062】
制御器23は、さらに、粉体の詰まりが検出された下段粉体送り出し機構15aの両方向型スクリュー19a及び/又は下段粉体送り出し機構15bの両方向型スクリュー19bの停止又は逆回転を検出し、その検出結果に基づいて各スクリューモータ13a,13b,22a,22bをそれぞれ独立して制御することにより、当該粉体の詰まりが検出された下段粉体送り出し機構15a及び/又は下段粉体送り出し機構15bよりも上段に位置する粉体送り出し機構4aの一方向型スクリュー7a及び/又は粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7bのすべてを停止させる。
【0063】
かかる構成によれば、粉体の詰まりが検出された下段粉体送り出し機構15aの両方向型スクリュー19a及び/又は下段粉体送り出し機構15bの両方向型スクリュー19bが停止し又は逆回転しても、当該粉体の詰まりが検出された下段粉体送り出し機構15a及び/又は下段粉体送り出し機構15bよりも上段に位置する粉体送り出し機構4aの一方向型スクリュー7a及び/又は粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7bで粉体が詰まらないようにすることができる。そして、その結果、全体として一定量の粉体を安定して吐出させることが可能となる。
【0064】
制御器23は、粉体送り出し機構4a及び/又は粉体送り出し機構4b及び/又は下段粉体送り出し機構15a及び/又は下段粉体送り出し機構15bの、粉体の詰まりが解消されたことを検出すると、その検出結果に基づいて各スクリューモータ13a,13b,22a,22bをそれぞれ独立して制御することにより、当該各スクリューモータ13a,13b,22a,22bが接続される、粉体送り出し機構4aの一方向型スクリュー7a及び/又は粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7b及び/又は下段粉体送り出し機構15aの両方向型スクリュー19a及び/又は下段粉体送り出し機構15bの両方向型スクリュー19bを順回転させる(通常運転に復帰させる)。
【0065】
粉体送り出し機構4a及び/又は粉体送り出し機構4bのみで粉体の詰まりが検出された場合には、粉体送り出し機構4aの一方向型スクリュー7a及び/又は粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7bを逆回転させることにより、前記粉体の詰まりを解消することができる。
【0066】
以下、粉体送り出し機構4bのみで粉体の詰まりが検出された場合の制御方法について具体的に説明する。
図6(a)では、粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7(7b)は、順回転しながら、粉体を下段粉体送り出し機構15bの粉体入口部16(
図3を参照)内に押し出している状態にある(通常運転)。この時点では、まだ、粉体送り出し機構4bでの粉体の詰まりは検出されていない。
【0067】
図5,
図6(b),
図7(c)に示すように、制御器23は、粉体送り出し機構4bの粉体の詰まりを検出すると、その検出結果に基づいてスクリューモータ13bを制御し、当該スクリューモータ13bが接続される、粉体の詰まりが検出された粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7bを逆回転させる。
これにより、粉体の詰まりが検出された粉体送り出し機構4bの、前記粉体の詰まりが解消される。
なお、制御器23は、粉体送り出し機構4bの粉体の詰まりを検出しても、下段粉体送り出し機構15bのスクリューモータ22(22b)を制御することはない。
【0068】
図5,
図7(d)に示すように、制御器23は、粉体送り出し機構4bの粉体の詰まりが解消されたことを検出すると、その検出結果に基づいてスクリューモータ13bを制御し、当該スクリューモータ13bが接続される、粉体送り出し機構4bの一方向型スクリュー7bを順回転させる(通常運転に復帰させる)。
【0069】
なお、本実施形態においては、2つの粉体送り出し機構4a,4bを備えた粉体移送装置1を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもかかる構成に限定されるものではない。本発明において、粉体送り出し機構の個数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、各粉体送り出し機構4a,4bの下方に、それぞれ、下段粉体送り出し機構15a,15bをさらに備える場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもかかる構成に限定されるものではない。本発明において、下段粉体送り出し機構は必須の構成要件ではない。粉体送り出し機構の粉体排出口から直接粉体を吐出させるようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、各粉体送り出し機構4a,4bの下方に、それぞれ、1段の下段粉体送り出し機構15a,15bをさらに備える場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもかかる構成に限定されるものではない。下段粉体送り出し機構の段数は2段以上であってもよい。
この場合、例えば、制御器23は、N(>1)段目の下段粉体送り出し機構の粉体の詰まりを検出し、その検出結果に基づいてN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構のスクリューモータを制御することにより、当該スクリューモータが接続されるN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構の両方向型スクリューを逆回転させる。これにより、粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構の、前記粉体の詰まりが解消される。
【0072】
制御器23は、さらに、粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューの停止又は逆回転を検出し、その検出結果に基づいて各スクリューモータをそれぞれ独立して制御することにより、粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段(≦N-1)に位置する下段粉体送り出し機構の両方向型スクリュー、及び、粉体送り出し機構の一方向型スクリューのすべてを停止させる。
これにより、粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構の前記両方向型スクリューが停止し又は逆回転しても、当該粉体の詰まりが検出されたN(>1)段目の前記下段粉体送り出し機構よりも上段(≦N-1)に位置する下段粉体送り出し機構の両方向型スクリュー、及び、粉体送り出し機構の一方向型スクリューで粉体が詰まらないようにすることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 粉体移送装置
2 ドローン
3 ホッパ(粉体投入機構)
3a,3b 粉体落下口
4a,4b 粉体送り出し機構(スクリューフィーダー)
6 継ぎ手
6a 粉体投入口
7,7a,7b 一方向型スクリュー
8 押出部
8a 粉体排出口
9,20,21 円筒状ケーシング
10 可変外径・可変ピッチ部
11 固定ピッチ部
12a,12b 連結部材
13,13a,13b,22,22a,22b スクリューモータ
14 押出スクリュー部
15a,15b 下段粉体送り出し機構(スクリューフィーダー)
16 粉体入口部
16a 粉体入口
17,18 粉体出口部
17a,18a 粉体出口
19,19a,19b 両方向型スクリュー(分岐型スクリュー)
23 制御器