(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
B60N 2/56 20060101AFI20240920BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20240920BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20240920BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240920BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 B
B60H1/00 102V
B60N2/90
B60N3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018231863
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-12-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】小島 亮祐
【合議体】
【審判長】草野 顕子
【審判官】横溝 顕範
【審判官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-18057(JP,A)
【文献】特開2010-64607(JP,A)
【文献】特開2011-131708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N2/00-2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートシステムであって、
乗物に設けられた複数のシートと、
複数の前記シー
トに設けられた
複数の電装装置と、
複数の前記電装装置を制御する制御装置と、
前記乗物の乗員に対して注意喚起を行なう注意喚起手段と、
前記電装装置が設けられた前記シートに着席した前記乗員を検出するための乗員検出手段と、
前記制御装置への入力手段とを有し、
前記制御装置は、前記乗員検出手段からの信号に基づいて前記電装装置が設けられた前記シートの1つに前記乗員が着席していないことを判定し、かつ対応する前記シートの前記電装装置が作動中であることを判定したときに、前記注意喚起手段を作動させ、前記注意喚起手段を作動させた後の所定の期間内に前記入力手段から継続指令の入力がない場合に、前記乗員が着席していない前記シートに設けられた前記電装装置の作動を停止
すると共に前記乗員が着席している前記シートに設けられた前記電装装置の作動を維持し、前記入力手段から前記継続指令の入力があった場合に前記乗員が着席していない前記シートに設けられた前記電装装置
及び前記乗員が着席している前記シートに設けられた前記電装装置の作動を維持するシートシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記継続指令の入力があったときから前記シートに前記乗員が着席していない状態が所定の期間継続した場合に、前記注意喚起手段を再び作動させる請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記注意喚起手段を再び作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段から前記継続指令の入力がない場合に
前記乗員が着席していない前記シートに設けられた前記電装装置の作動を停止
すると共に前記乗員が着席している前記シートに設けられた前記電装装置の作動を維持し、前記入力手段から前記継続指令の入力があった場合に
前記乗員が着席していない前記シートに設けられた前記電装装置及び前記乗員が着席している前記シートに設けられた前記電装装置の作動を維持する請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記シートは、自動車の後部座席を含み、
前記入力手段は、前記自動車のインストルメントパネルに設けられている請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記入力手段は、カーナビゲーションシステムのタッチパネルディスプレイである請求項4に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記タッチパネルディスプレイは、前記注意喚起手段を兼ねる請求項5に記載のシートシステム。
【請求項7】
前記電装装置は、前記シートに設けられたヒータを含む請求項1~請求項6のいずれか1つの項に記載のシートシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記注意喚起手段を作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段から停止指令の入力があった場合に
前記乗員が着席していない前記シートに設けられた前記電装装置の作動を停止
すると共に前記乗員が着席している前記シートに設けられた前記電装装置の作動を維持する請求項1に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートを制御するためのシートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートにおいて、シートを構成するパッドと表皮材との間にシート状のヒータ部材を設け、シートを昇温できるようにしたものがある(例えば、特許文献1)。このような乗物用シートは、各乗員を個別に温度調節することができるため、各乗員に好みの温度環境を提供することができる。また、乗員の周囲を局所的に温度調節することができるため、エネルギー効率が良いという利点がある。このような乗物用シートは、ヒータの他に、ブロアや冷房装置等の温度調節装置を備えたものがある(例えば、特許文献2、3)。
【0003】
特許文献1に係る乗物用シートでは、シートクッションに圧電素子を設けて着席した乗員を検出し、乗員が存在しない場合にヒータを停止する。この構成によれば、乗員が着席していない場合にはヒータが自動的に停止するため、不要なエネルギー消費を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-253037号公報
【文献】国際公開2017/002764号公報
【文献】特開2012-239797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乗員の一時的な離席に対してヒータ等の電装装置(温度調節装置)を停止すると、乗員が再度着席したときにシートの温度等の状態が適切ではなく、乗員に快適な環境を提供することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の背景を鑑み、電装装置を備えた乗物用シートを含むシートシステムにおいて、エネルギー消費を抑制しつつ、乗員の快適性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シートシステム(1)であって、乗物(2)に設けられた複数のシート(3)と、前記シートの少なくとも1つに設けられた電装装置(4)と、前記電装装置を制御する制御装置(5)と、前記乗物の乗員に対して注意喚起を行なう注意喚起手段(6)と、前記電装装置が設けられた前記シートに着席した前記乗員を検出するための乗員検出手段(7)とを有し、前記制御装置は、前記乗員検出手段からの信号に基づいて前記電装装置が設けられた前記シートの1つに前記乗員が着席していないことを判定し、かつ対応する前記シートの前記電装装置が作動中であることを判定したときに、前記注意喚起手段を作動させる。
【0008】
この態様によれば、ある乗員がシートから離席したときには、制御装置は注意喚起手段を作動させて乗物内の他の乗員に注意喚起を行なう。これにより、乗物内の他の乗員は注意喚起に応じて離席したシートの電装装置の作動の維持及び停止を選択することができる。
【0009】
上記の態様において、前記制御装置への入力手段(30)を更に有し、前記制御装置は、前記注意喚起手段を作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段を介して所定の入力がない場合に前記電装装置の作動を停止し、前記入力手段を介して前記入力があった場合に前記電装装置の作動を維持するとよい。
【0010】
この態様によれば、乗物内の他の乗員は、入力手段に所定の入力を行なうことによって乗員が離席したシートの電装装置の作動を維持することができる。また、他の乗員が所定の入力を行なわない場合には、電装装置の作動を停止させることができる。
【0011】
上記の態様において、前記制御装置は、所定の前記入力があったときから前記シートに前記乗員が着席していない状態が所定の期間継続した場合に、前記注意喚起手段を再び作動させるとよい。
【0012】
この態様によれば、電動装置が作動した状態のシートに乗員が所定の期間着席しない場合には、制御装置は再び注意喚起手段を作動させて乗物内の他の乗員に注意喚起を行なう。これにより、乗物内の他の乗員は注意喚起に応じて電装装置の作動の維持及び停止を再び選択することができる。
【0013】
上記の態様において、前記制御装置は、前記注意喚起手段を再び作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段を介して前記入力がない場合に前記電装装置の作動を停止し、前記入力手段を介して前記入力があった場合に前記電装装置の作動を維持するとよい。
【0014】
この態様によれば、乗物内の他の乗員は、入力手段に所定の入力を行なうことによって乗員が離席したシートの電装装置の作動を維持することができる。また、他の乗員が所定の入力を行なわない場合には、電装装置の作動を停止させることができる。
【0015】
上記の態様において、前記シートは、自動車の後部座席を含み、前記入力手段は、前記自動車のインストルメントパネル(25)に設けられているとよい。
【0016】
この態様によれば、運転者が入力手段を操作し易くなる。
【0017】
上記の態様において、前記入力手段は、カーナビゲーションシステムのタッチパネルディスプレイ(28)であるとよい。
【0018】
この態様によれば、タッチパネルディスプレイを利用して入力手段を構成することができ、部品点数を削減することができる。
【0019】
上記の態様において、前記タッチパネルディスプレイは、前記注意喚起手段を兼ねるとよい。
【0020】
この態様によれば、タッチパネルディスプレイを利用して注意喚起手段を構成することができ、部品点数を削減することができる。
【0021】
上記の態様において、前記電装装置は、前記シートに設けられたヒータ(21)を含むとよい。
【0022】
この態様によれば、シートは、着席した乗員の温度を調節することができる。
【0023】
上記の態様において、前記制御装置への入力手段を更に有し、前記制御装置は、前記注意喚起手段を作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段を介して所定の入力があった場合に前記電装装置の作動を停止し、前記入力手段を介して所定の入力がない場合に前記電装装置の作動を維持するとよい。
【0024】
この態様によれば、乗物内の他の乗員は、入力手段に所定の入力を行なうことによって乗員が離席したシートの電装装置の作動を停止させることができる。また、他の乗員が所定の入力を行なわない場合には、電装装置の作動を維持させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様は、シートシステムであって、乗物に設けられた複数のシートと、前記シートの少なくとも1つに設けられた電装装置と、前記電装装置を制御する制御装置と、前記乗物の乗員に対して注意喚起を行なう注意喚起手段と、前記電装装置が設けられた前記シートに着席した前記乗員を検出するための乗員検出手段とを有し、前記制御装置は、前記乗員検出手段からの信号に基づいて前記電装装置が設けられた前記シートの1つに前記乗員が着席していないことを判定し、かつ対応する前記シートの前記電装装置が作動中であることを判定したときに、前記注意喚起手段を作動させる。この態様によれば、ある乗員がシートから離席したときには、制御装置は注意喚起手段を作動させて乗物内の他の乗員に注意喚起を行なう。これにより、乗物内の他の乗員は注意喚起に応じて離席したシートの電装装置の作動の維持及び停止を選択することができる。
【0026】
上記の態様において、前記制御装置への入力手段を更に有し、前記制御装置は、前記注意喚起手段を作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段を介して所定の入力がない場合に前記電装装置の作動を停止し、前記入力手段を介して前記入力があった場合に前記電装装置の作動を維持するとよい。この態様によれば、乗物内の他の乗員は、入力手段に所定の入力を行なうことによって乗員が離席したシートの電装装置の作動を維持することができる。また、他の乗員が所定の入力を行なわない場合には、電装装置の作動を停止させることができる。
【0027】
上記の態様において、前記制御装置は、所定の前記入力があったときから前記シートに前記乗員が着席していない状態が所定の期間継続した場合に、前記注意喚起手段を再び作動させるとよい。この態様によれば、電動装置が作動した状態のシートに乗員が所定の期間着席しない場合には、制御装置は再び注意喚起手段を作動させて乗物内の他の乗員に注意喚起を行なう。これにより、乗物内の他の乗員は注意喚起に応じて電装装置の作動の維持及び停止を再び選択することができる。
【0028】
上記の態様において、前記制御装置は、前記注意喚起手段を再び作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段を介して前記入力がない場合に前記電装装置の作動を停止し、前記入力手段を介して前記入力があった場合に前記電装装置の作動を維持するとよい。この態様によれば、乗物内の他の乗員は、入力手段に所定の入力を行なうことによって乗員が離席したシートの電装装置の作動を維持することができる。また、他の乗員が所定の入力を行なわない場合には、電装装置の作動を停止させることができる。
【0029】
上記の態様において、前記シートは、自動車の後部座席を含み、前記入力手段は、前記自動車のインストルメントパネルに設けられているとよい。この態様によれば、運転者が入力手段を操作し易くなる。
【0030】
上記の態様において、前記入力手段は、カーナビゲーションシステムのタッチパネルディスプレイであるとよい。この態様によれば、タッチパネルディスプレイを利用して入力手段を構成することができる。これにより、部品点数を削減することができる。
【0031】
上記の態様において、前記タッチパネルディスプレイは、前記注意喚起手段を兼ねるとよい。この態様によれば、タッチパネルディスプレイを利用して注意喚起手段を構成することができ、部品点数を削減することができる。
【0032】
上記の態様において、前記電装装置は、前記シートに設けられたヒータを含むとよい。この態様によれば、シートは、着席した乗員の温度を調節することができる。
【0033】
上記の態様において、前記制御装置への入力手段を更に有し、前記制御装置は、前記注意喚起手段を作動させた後の所定の期間内に、前記入力手段を介して所定の入力があった場合に前記電装装置の作動を停止し、前記入力手段を介して所定の入力がない場合に前記電装装置の作動を維持するとよい。この態様によれば、乗物内の他の乗員は、入力手段に所定の入力を行なうことによって乗員が離席したシートの電装装置の作動を停止させることができる。また、他の乗員が所定の入力を行なわない場合には、電装装置の作動を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施形態に係るシートシステムを適用した車両の車室の斜視図
【
図4】制御装置が実行する電装装置OFF制御の手順を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明のシートシステムを自動車に適用した実施形態について説明する。
【0036】
図1に示すように、シートシステム1は、乗物としての自動車2に設けられた複数のシート3と、シート3の少なくとも1つに設けられた電装装置4と、電装装置4を制御する制御装置5と、自動車2の乗員に対して注意喚起を行なう注意喚起手段6と、電装装置4が設けられたシート3に着席した乗員を検出するための乗員検出手段7とを有する。電装装置4はシート3のそれぞれに設けられていてもよい。
【0037】
複数のシート3は、自動車2の車室11に設けられている。複数のシート3は、運転席、助手席、後部座席であってよい。後部座席は、2列目席や3列目席を含む。各シート3は、車室11のフロア12に設けられたシートクッション13と、シートクッション13の後部上方に設けられたシートバック14とを有する。シートクッション13は乗員を臀部及び大腿部を下方から支持する着席部であり、シートバック14は乗員の背部を後方から支持する背もたれ部である。
【0038】
図2に示すように、シートクッション13は、骨格をなすシートクッションフレームと、シートクッションフレームに支持されたパッド16と、パッド16の外面に被せられた表皮材17とを有する。同様に、シートバック14は、骨格をなすシートバックフレームと、シートバックフレームに支持されたパッド18と、パッド18の外面に被せられた表皮材19とを有する。シートバックフレームは、下端においてシートクッションフレームに取り付けられている。シートバックフレームとシートクッションフレームとの結合部にはリクライニング機構が設けられてもよい。
【0039】
パッド16、18は、例えば発泡ウレタン等の可撓性を有する樹脂材料から形成されている。表皮材17、19は、例えば織布や皮革、合成皮革から形成されている。
【0040】
電装装置4は、シート3に着席した乗員の温度調節を行なう温度調節装置を含む。温度調節装置は、シートヒータ21、シート送風装置、シート冷却装置、及びシート空調装置の少なくとも1つを含む。また、電装装置4は、テレビやパーソナルコンピュータ、オーディオ、マッサージ機等を含んでもよい。
図1及び
図2には、一例として電装装置4がシートヒータ21である例を示す。
【0041】
シートヒータ21は、不織布や織布から形成されたシート材と、シート材に設けられた電熱線とを有する。シートヒータ21は、シートクッション13及びシートバック14の少なくとも一方のパッド16、18と表皮材17、19の間に配置されている。電熱線に電流が供給されることによって、シートヒータ21は発熱し、シート3に着席した乗員を温める。
【0042】
シート送風装置は、シートクッション13及びシートバック14の少なくとも一方のパッド16に形成された送風通路と、送風通路に設けられた電動ブロアとを有する。送風通路は、パッド16を表面側(乗員側)から裏面側に貫通している。表皮材17の送風通路の端部に対向する部分は、通気性部材によって形成されている。電動ブロアは、電動モータによって駆動され、送風通路の空気をパッド16の裏面側から表面側に送る。電動ブロアが駆動することによって、送風通路からシートクッション13及びシートバック14の表面側に空気が送出され、シート3に着席した乗員が冷却される。
【0043】
シート冷却装置は、ペルチェ素子を有する。ペルチェ素子は、シートクッション13及びシートバック14の少なくとも一方のパッド16、18と表皮材17、19の間に配置されている。ペルチェ素子に電流が供給されることによって、ペルチェ素子の乗員側は温度が低下し、シート3に着席した乗員を冷却する。
【0044】
シート空調装置は、シートクッション13及びシートバック14の少なくとも一方のパッド16に形成された空調通路と、空調通路に設けられ、空調通路を開閉するバルブとを有する。空調通路は、パッド16を表面側(乗員側)から裏面側に貫通している。表皮材17の空調通路の端部に対向する部分は、通気性部材によって形成されている。空調通路の裏面側の端部は、ダクトを介して自動車2の空調装置に接続されている。バルブが開状態のときには空調装置からの温度調節された空気が空調通路からシートクッション13及びシートバック14の表面側に送出され、シート3に着席した乗員の温度調節を行なう。バルブが閉状態のときには、空調装置からの空気は空調通路において遮断される。
【0045】
図3に示すように、制御装置5は電装装置4の少なくとも1つと接続され、電装装置4の作動を制御する。本実施形態では、1つの制御装置5が各シート3にそれぞれ設けられた電装装置4を制御する。制御装置5は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、ドライバ等から構成された電子制御回路(ECU)である。制御装置5は自動車2の任意の位置に配置されてよい。本実施形態では、制御装置5は、車室11の前部に設けられたインストルメントパネル25の内部に配置されている。
【0046】
乗員検出手段7は、シート3のシートクッション13に設けられた感圧センサ26、シート3のシートベルトの装着状態を検出するシートベルトセンサ、車室11内を撮像する車載カメラ、赤外線センサ、及びドアの開閉センサの少なくとも1つを含む。乗員検出手段7は、制御装置5と接続され、信号を制御装置5に出力する。
図2には、一例として乗員検出手段7が感圧センサ26である例を示す。
【0047】
感圧センサ26は、圧電素子や、静電容量型センサ、圧力に応じて開閉する接点を有するスイッチのいずれか1つを含む。感圧センサ26は、シートクッション13のパッド16の上面と表皮材17との間に配置されている。感圧センサ26は、シート3に着席した乗員の荷重を受けて信号を制御装置5に出力する。制御装置5は、感圧センサ26からの信号に基づいて対象となるシート3に乗員が着席しているか否かを検出する。
【0048】
シートベルトセンサは、シートベルトのタングとバックルとの接続、分離に応じて開閉する回路を含み、シートベルトのタングとバックルとの接続に応じた信号を制御装置5に出力する。制御装置5は、シートベルトセンサからの信号に基づいてシート3に乗員が着席しているか否かを検出する。
【0049】
車載カメラは、対象となるシート3を撮像し、画像情報を制御装置5に出力する。制御装置5は、車載カメラからの画像情報を所定のプログラムで解析し、シート3に乗員が着席しているか否かを検出する。車載カメラは、車室11の上部を構成するルーフやウインドシールドに設けられるとよい。
【0050】
赤外線センサは、シート3に向けて赤外線を照射する照射部と、シート3から反射した赤外線を検出する検出部とを有する。シート3に乗員が着席すると検出部が検出する赤外線の反射光に変化が生じる。赤外線センサの検出部は検出した赤外線の強度に応じた信号を制御装置5に出力する。制御装置5は、赤外線センサからの信号に基づいてシート3に乗員が着席しているか否かを検出する。
【0051】
図1に示すように、注意喚起手段6は、カーナビゲーションシステムのタッチパネルディスプレイ28、警告灯、スピーカ、及びバイブレータの少なくとも一つを含む。
図3に示すように、注意喚起手段6は制御装置5に接続されている。制御装置5は注意喚起手段6の作動を制御する。タッチパネルディスプレイ28は、画面に画像や文字を表示することによって、注意を喚起する。タッチパネルディスプレイ28及び警告灯は、インストルメントパネル25に設けられるとよい。スピーカは、自動車2のドアやインストルメントパネル25に設けられるとよい。バイブレータは、運転席を構成するシート3に設けられるとよい。
【0052】
図1及び
図3に示すように、シートシステム1は、乗員の操作に基づく信号を制御装置5に入力する入力手段30を有する。入力手段30は、カーナビゲーションシステムのタッチパネルディスプレイ28、及びインストルメントパネル25やドアに設けられたスイッチの少なくとも1つを含む。注意喚起手段6及び入力手段30が、共通のタッチパネルディスプレイ28によって構成されることによって部品点数を削減することができる。また、カーナビゲーションシステムのタッチパネルディスプレイ28は、インストルメントパネル25において運転者から操作し易い位置に配置されている。そのため、運転者は、注意喚起情報を確実に認識することができると共に、入力操作を容易に行うことができる。
【0053】
制御装置5は、各シート3に設けられた各電装装置4(例えば、シートヒータ21)に対して、
図4に示す電装装置作動制御を実行する。
【0054】
制御装置5は、最初に、電装装置4が作動中であるか否かを判定する(S1)。制御装置5は、ステップS1において、電装装置4が作動中ではないと判定した場合(S1の判定がNo)、電装装置4が作動中と判定されるまでステップS1の判定を繰り返す。
【0055】
制御装置5は、ステップS1において電装装置4が作動中であると判定した場合(S1の判定がYes)、乗員検出手段7(例えば、感圧センサ26)からの信号に基づいて電装装置4が設けられたシート3に対して乗員が離席したか否かを判定する(S2)。乗員がシート3に対して離席していない場合(S2の判定がNo)、電装装置作動制御はリターンに進み、ステップS1及びS2の判定を繰り返す。
【0056】
制御装置5は、乗員がシート3に対して離席している場合(S2の判定がYes)、注意喚起手段6を作動し、自動車2の他の乗員(同乗者)に注意喚起を行なう。例えば、注意喚起手段6はタッチパネルディスプレイ28であり、制御装置5はタッチパネルディスプレイ28に特定のシート3から乗員が離席したことを通知するメッセージを表示させる。また、制御装置5は、タッチパネルディスプレイ28に加えてスピーカを制御し、注意喚起を行うための警告音を発生させてもよい。
【0057】
本実施形態ではタッチパネルディスプレイ28は、入力手段30を兼ねる。そのため、制御装置5は、ステップS3においてタッチパネルディスプレイ28にメッセージを表示させると共に、タッチパネルディスプレイ28に電装装置4を停止させるための停止ボタン、及び電装装置4を継続作動させるための継続ボタンを表示させる。停止ボタンが乗員によって押されるとタッチパネルディスプレイ28は制御装置5に停止指令を入力し、継続ボタンが乗員によって押されるとタッチパネルディスプレイ28は制御装置5に継続指令を入力する。他の実施形態では、タッチパネルディスプレイ28に代えて、インストルメントパネル25やドアにスイッチを設け、スイッチの操作によってスイッチから制御装置5に停止指令又は継続指令が出力される構成としてもよい。
【0058】
制御装置5は、ステップS3の処理に続いて、タイマカウントを開始する(S4)。すなわち、制御装置5は、ステップS4の処理によって注意喚起手段6が注意喚起を行なったときからの時間を計測する。
【0059】
制御装置5は、ステップS4の処理に続いて、停止指令が入力されているか否かを判定する(S5)。停止指令は、乗員が入力手段30を操作することによって発生する。本実施形態では、タッチパネルディスプレイ28の画面に表示された停止ボタンを乗員が押すことによって停止指令が制御装置5に入力される。制御装置5は、停止指令が入力されている場合(S5の判定がYes)、電装装置4を停止させる(S6)。制御装置5は、電装装置4がシートヒータ21である場合にはシートヒータ21への電力供給を停止することによって、シートヒータ21の作動を停止させる。
【0060】
制御装置5は、ステップS6の処理を完了した後に、タイマカウントをリセットする(0にして停止する)(S7)。その後、制御装置5は、電装装置作動制御をステップS1から再度実行する。
【0061】
制御装置5は、ステップS5において停止指令が入力されていないと判定した場合(S5の判定がNo)、継続指令が入力されているか否かを判定する(S8)。継続指令は、乗員が入力手段30を操作することによって発生する。本実施形態では、タッチパネルディスプレイ28の画面に表示された継続ボタンを乗員が押すことによって継続指令が制御装置5に入力される。
【0062】
制御装置5は、継続指令が入力されている場合(S8の判定がYes)、タイマカウントをリセットし(S9)、再びタイマカウントを開始する(S10)。すなわち、制御装置5は、継続指令が入力されたときからの時間を計測する。
【0063】
制御装置5は、ステップS10の処理に続いて、乗員検出手段7からの信号に基づいて電装装置4が設けられたシート3に対して乗員が着席しているか否かを判定する(S11)。制御装置5は、乗員がシート3に着席していると判定した場合(S11の判定がYes)、タイマカウントをリセットし(S12)、電装装置作動制御をステップS1から再度実行する。これにより、電装装置4は作動した状態に維持される。
【0064】
制御装置5は、ステップS11において乗員がシート3に着席していないと判定した場合(S11の判定がNo)、タイマカウントTが所定の期間T1に達したか否かを判定する(S13)。すなわち、制御装置5は、ステップS13において、継続指令が入力されてから、シート3に乗員が着席していない時間が期間T1に達したか否かを判定する。制御装置5は、タイマカウントTが期間T1に達していないと判定した場合(S13の判定がNo)、ステップS11の判定を再度行う。制御装置5は、タイマカウントが期間T1に達したと判定した場合(S13の判定がYes)、タイマカウントをリセットし(S14)、ステップS3の処理を再度行う。
【0065】
制御装置5は、ステップS8において継続指令が入力されていないと判定した場合(S8の判定がNo)、タイマカウントTが所定の期間T2に達したか否かを判定する(S15)。すなわち、制御装置5は、ステップS15において、注意喚起手段6が注意喚起を行なったときからの時間が期間T2に達したか否かを判定する。制御装置5は、タイマカウントTが期間T2に達していないと判定した場合(S15の判定がNo)、ステップS5の判定を再度行う。制御装置5は、タイマカウントが期間T2に達したと判定した場合(S15の判定がYes)、電装装置4を停止させる(S16)。制御装置5は、ステップS16の処理を完了した後に、タイマカウントをリセットし(S17)、その後に電装装置作動制御をステップS1から再度実行する。
【0066】
電装装置作動制御によれば、制御装置5は、乗員検出手段7からの信号に基づいてシート3の1つに乗員が着席していないことを判定し、かつ対応するシート3の電装装置4が作動中であることを判定したときに、注意喚起手段6を作動させる。具体的には、制御装置5は、電装装置作動制御のステップS1において電装装置4が作動中であると判定し、かつステップS2において乗員が離席していると判定したときに、ステップS3において注意喚起手段6を作動させる。これにより、自動車2内の運転者等の他の乗員は注意喚起に応じて離席したシート3の電装装置4の作動の維持及び停止を選択することができる。
【0067】
制御装置5は、注意喚起手段6を作動させた後の所定の期間T2内に、入力手段30を介して所定の入力がない場合に電装装置4の作動を停止し、入力手段30を介して前記入力があった場合に前記電装装置4の作動を維持する。具体的には、制御装置5は、ステップS15において、注意喚起手段6を作動させた後の所定の期間T2内に、タッチパネルディスプレイ28等の入力手段30から停止指令又は継続指令が入力されているか否かを判定し、停止指令又は継続指令が入力されていない場合に電装装置4の作動を停止し(S16)、継続指令が入力されている場合(S8の判定がYes)に電装装置4の作動を継続する。これにより、他の乗員は入力手段30によって継続指令を入力することによって乗員が離席したシート3の電装装置4の作動を維持することができる。また、他の乗員が所定の入力を行なわない場合には、電装装置4の作動を停止させることができる。これにより、他の乗員が電装装置4の継続及び停止の判断をし忘れても、電装装置4を停止させることができる。
【0068】
制御装置5は、所定の入力があったときからシート3に乗員が着席していない状態が所定の期間継続した場合、注意喚起手段6を再び作動させる。具体的には、制御装置5は、継続指令があったときからシート3に乗員が着席していない状態が所定の期間T1継続した場合(S13の判定がYes)、注意喚起手段6を再び作動させる(S3)。すなわち、電動装置が作動した状態のシート3に期間T1の間、乗員が着席しない場合には、制御装置5は再び注意喚起手段6を作動させて乗物内の他の乗員に注意喚起を行なう。これにより、乗物内の他の乗員は注意喚起に応じて電装装置4の作動の維持及び停止を再び選択することができる。
【0069】
制御装置5は、注意喚起手段6を再び作動させた後の所定の期間内に、入力手段30を介して入力がない場合に電装装置4の作動を停止し、入力手段30を介して入力があった場合に前記電装装置4の作動を維持する。具体的には、制御装置5は、ステップS15において、注意喚起手段6を再び作動させた後の所定の期間T2内に、停止指令又は継続指令が入力されているか否かを判定し、停止指令又は継続指令が入力されていない場合に電装装置4の作動を停止し(S16)、継続指令が入力されている場合(S8の判定がYes)に電装装置4の作動を継続する。
【0070】
制御装置5は、注意喚起装置を作動させた後(S3)、停止指令が入力されている場合には電装装置4を停止することができる。これにより、乗員の意志により電装装置4を迅速に停止させることができる。
【0071】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、電装装置作動制御におけるステップS5~S7は必須の処理ではなく、省略することができる。この場合、ステップS4の処理に続いてステップS8の処理を実行するとよい。また、ステップS15の判定がNoの場合には、ステップS8の処理を実行するとよい。
【符号の説明】
【0072】
1 :シートシステム
2 :自動車
3 :シート
4 :電装装置
5 :制御装置
6 :注意喚起手段
7 :乗員検出手段
21 :シートヒータ
25 :インストルメントパネル
26 :感圧センサ
28 :タッチパネルディスプレイ
30 :入力手段