(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 5/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A46B5/00 B
(21)【出願番号】P 2019542017
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2018033018
(87)【国際公開番号】W WO2019054266
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2017175906
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】明間 洋子
(72)【発明者】
【氏名】奥田 靖
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】窪田 治彦
【審判官】米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-275027(JP,A)
【文献】特開昭56-136503(JP,A)
【文献】特開平10-215949(JP,A)
【文献】特開2001-299450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の毛束からなる植毛部と、
前記植毛部が植毛面に設けられたヘッド部と、ネック部と、ハンドル部と、を有するハンドル体とを備え、
側面視における前記ハンドル部の前記ネック部寄りに、前記植毛面側、且つ前記ネック部寄りに曲率中心を有し前記植毛面側と反対側の背面側に窪んだ凹状の第1曲面と、前記植毛面側、且つ前記ハンドル部寄りに曲率中心を有し前記背面側に窪んだ凹状の第2曲面とが交わる部分に形成され前記植毛面側に立ち上がる凸となる第1の指当て部の稜線を有し、
前記稜線は、前記第1の指当て部における先端側に位置し、
前記第1の指当て部は、前記稜線の後端側に凹部を有し、
正面視において、
前記ネック部の長さが、20mm以上、35mm以下であり、
前記ヘッド部とネック部の合計の長さが28mm以上、68mm以下であり、
前記ネック部の幅が、4mm以上、6mm以下であり、
正面視において、前記ネック部と前記ヘッド部の境界に位置する第1位置から前記ハンドル部側へ20mm移動した第2位置と、前記植毛面側に立ち上がる凸となる前記第1の指当て部の稜線の位置との間の距離が4mm以上、22mm以下であり、
側面視において、
前記ヘッド部の厚さが、2mm以上、4mm以下であり、
前記第1位置から前記第2位置までの前記ネック部の最小厚さは、3.0mm以上、4.5mm以下であり、
前記ネック部の厚みは、前記第1位置から前記第2位置に向けて漸次大きくなり、
前記第2位置と、前記植毛面側に立ち上がる凸となる前記第1の指当て部の稜線の位置とは、側面視における厚みの差が3mm以上、9mm以下である歯ブラシ。
【請求項2】
前記正面視における前記ネック部の幅と、前記側面視における前記ネック部の厚さとの関係が、前記第1位置から前記第2位置までの区間において、後端側に向かうにつれて、幅よりも厚さの変化量が常に同等以上である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記第1位置から第2位置に向かってネック部の幅と厚さの大小関係が逆転している、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記ネック部の前記植毛面側の表面は、
前記側面視における前記ヘッド部の先端の厚さの中央となる第1点と、
前記正面視におけるハンドル部の長さ方向中央位置で、側面視における厚さの中央となる第2点と、を結んだ直線に沿って直線状をなす、請求項1から3のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記ネック部の前記植毛面側の表面は、
前記側面視における前記ヘッド部の先端の厚さの中央となる第1点と、
前記側面視におけるハンドル部の後端の厚さの中央となる第3点と、を結んだ直線に沿って直線状をなす、請求項1から3のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
前記ハンドル体は、前記ハンドル部の前記ネック部寄りに、前記植毛面と反対側の背面側に凸となる第2の指当て部を有し、
前記第1の指当て部は、前記側面視において、前記植毛面側の前記ネック部側に曲率中心を有する第1曲面と、前記植毛面側の前記ハンドル部側に曲率中心を有する第2曲面と、が交わる部分に形成され、
前記第2の指当て部は、前記側面視において、前記植毛面側の前記ネック部側に曲率中心を有する第4曲面と、前記背面側の前記ハンドル部側に曲率中心を有する第5曲面と、が交わる部分に形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
前記第1の指当て部は、前記正面視において、前記第1曲面と前記第2曲面との交差部分に形成される第1の稜線が前記ネック部に向けて凸状に湾曲した形状とされており、
前記第2の指当て部は、背面視において、前記第4曲面と前記第5曲面との交差部分に形成される第2の稜線が前記ネック部側に向けて凸状に湾曲した形状とされている、請求項6に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
前記正面視において、前記ネック部の長さ方向における幅は一定である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項9】
前記ハンドル体の材質がポリプロピレン樹脂である、請求項1から8のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項10】
前記ハンドル体の少なくとも一部が軟質樹脂で被覆されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項11】
前記ハンドル体の全長は、110mm以上、170mm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに関する。
本願は、2017年9月13日に、日本に出願された特願2017-175906号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
う蝕、歯周病の予防には、歯ブラシを使用したブラッシングによる口腔内のプラーク除去が重要である。従来、プラーク除去効果を高めるために様々な歯ブラシが提案されている。例えば、歯ブラシのヘッド部を薄く、ネック部を細くすることで、通常の歯ブラシでは届きにくい奥歯の奥(奥歯の咽喉側)まで用毛を届かせることができる。特許文献1には、ヘッド部が薄型化され、口腔内での操作性に優れる歯ブラシが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、子供用の歯ブラシに関しては、プラーク除去効果とともに、ブラッシングに不慣れな子供が安心・安全にハミガキを行えるようにすることが第一に求められている。しかし、口腔内における歯ブラシの操作性の向上を目的とした子供用の歯ブラシの技術開発は、大人用の歯ブラシのようには進んでいなかった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、子供の口腔内において良好な操作性が得られる歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における歯ブラシは、複数の毛束からなる植毛部と、前記植毛部が植毛面に設けられたヘッド部と、ネック部と、ハンドル部と、を有するハンドル体とを備え、正面視において、前記ネック部の長さが、15mm以上、35mm以下であり、前記ヘッド部とネック部の合計の長さが28mm以上、68mm以下であり、前記ネック部の幅が、4mm以上、6mm以下であり、側面視において、前記ヘッド部の厚さが、2mm以上、4mm以下であり、正面視において、前記ネック部と前記ヘッド部の境界に位置する第1位置から前記ハンドル部側へ20mm移動した第2位置と、指当て部の稜線の位置との間の距離が4mm以上、22mm以下であり、前記第2位置と、前記指当て部の稜線の位置とは、側面視における厚みの差が3mm以上、9mm以下である。
【0007】
本発明の歯ブラシにおいて、前記正面視における前記ネック部の幅と、前記側面視における前記ネック部の厚さとの関係が、前記第1位置から前記第2位置までの区間において、後端側に向かうにつれて、幅よりも厚さの変化量が常に同等以上である構成としてもよい。
本発明の歯ブラシにおいて、前記第1位置から第2位置に向かってネック部の幅と厚さの大小関係が逆転している構成としてもよい。
【0008】
本発明の歯ブラシにおいて、前記ネック部の前記植毛面側の表面は、前記側面視における前記ヘッド部の先端の厚さの中央となる第1点と、前記正面視におけるハンドル部の長さ方向中央位置で、側面視における厚さの中央となる第2点と、を結んだ直線に沿って直線状をなす構成としてもよい。
【0009】
本発明の歯ブラシにおいて、前記ネック部の前記植毛面側の表面は、前記側面視における前記ヘッド部の先端の厚さの中央となる第1点と、前記側面視における前記ハンドル部の後端の厚さの中央となる第3点と、を結んだ直線に沿って直線状をなす構成としてもよい。
【0010】
本発明の歯ブラシにおいて、前記ハンドル体は、前記ハンドル部の前記ネック部寄りに、前記植毛面側に凸となる第1の指当て部と、前記植毛面と反対側の背面側に凸となる第2の指当て部と、を有し、前記第1の指当て部は、前記側面視において、前記植毛面側の前記ネック部側に曲率中心を有する第1曲面と、前記植毛面側の前記ハンドル部側に曲率中心を有する第2曲面と、が交わる部分に形成され、前記第2の指当て部は、前記側面視において、前記植毛面側の前記ネック部側に曲率中心を有する第4曲面と、前記背面側の前記ハンドル部側に曲率中心を有する第5曲面と、が交わる部分に形成されている構成としてもよい。
【0011】
本発明の歯ブラシにおいて、前記第1の指当て部は、前記正面視において、前記第1曲面と前記第2曲面との交差部分に形成される第1の稜線が前記ネック部に向けて凸状に湾曲した形状とされており、前記第2の指当て部は、背面視において、前記第4曲面と前記第5曲面との交差部分に形成される第2の稜線が前記ネック部側に向けて凸状に湾曲した形状とされている構成としてもよい。
【0012】
本発明の歯ブラシにおいて、前記正面視において、前記ネック部の長さ方向における幅は一定である構成としてもよい。
【0013】
本発明の歯ブラシにおいて、前記ハンドル体の材質がポリプロピレン樹脂である構成としてもよい。
【0014】
本発明の歯ブラシにおいて、前記ハンドル体の少なくとも一部が軟質樹脂で被覆されている構成としてもよい。
本発明の歯ブラシにおいて、前記ハンドル体の全長は、110mm以上、170mm以下である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、子供の口腔内において良好な操作性が得られる歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す斜視図。
【
図2】本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す正面図。
【
図3A】本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す側面図。
【
図4】本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の歯ブラシについて説明する。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0018】
先ず、本発明の歯ブラシ1について説明する。
図1は、本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す正面視の正面図である。
図3A及び
図3Bは、本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す側面視の側面図である。
図4は、本実施形態の歯ブラシ1の全体構成を示す背面視の背面図である。
ここで、植毛部11が設けられたヘッド部2の上面を植毛面2aと称する。
図3Aに示すように、植毛面2aを構成する仮想平面Kを水平なXY平面とし、ハンドル体5が全体として延在する方向をX軸方向とし、X軸に直交する方向をY軸方向とする。上記植毛面2aの法線方向をZ軸方向とする。以下の説明では、各部材のY軸方向の寸法をその部材の幅と称し、各部材のZ軸方向の寸法をその部材の厚さと称し、各部材のX軸方向の寸法をその部材の長さと称する。
図2の「正面視」とは、歯ブラシ1の植毛面2a側を+Z軸方向から見た図のことである。
図3A,
図3Bの「側面視」とは、歯ブラシ1を-Y軸方向から見た図のことである。
図4の「背面視」とは、歯ブラシ1を植毛面2aとは反対側の背面2bを-Z方向から見た図のことである。
【0019】
(歯ブラシ1)
図1に示すように、本実施形態の歯ブラシ1は、植毛部11と、植毛部11が設けられたヘッド部2と、ヘッド部2の基端側から延設されたネック部3と、ネック部3の基端側から延設されたハンドル部4と、を備えている。すなわち、ヘッド部2とネック部3とハンドル部4とは、一体に形成されている。以下、ヘッド部2とネック部3とハンドル部4とが一体になった部分をハンドル体5と称する。
【0020】
(ハンドル体5)
ハンドル体5は、全体として長尺状に一体成形されたものであり、例えば樹脂を材料とした射出成形により作製することができる。ハンドル体5の構成材料として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート(CP)、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS)などが挙げられる。これらの樹脂材料のうち、強度が高く、ヘッド部を薄肉化しやすい点では、POM、PBT、PENなどの材料を用いることが好ましい。
【0021】
特にポリプロピレンは、ポリアセタール等の樹脂に比べて、一般的に汎用性が高く、加工しやすくコストが低い反面、曲げ弾性率が低いという性質を有する。例えばポリアセタールの曲げ弾性率(JIS K7171)が概ね2500MPa程度であるのに対し、ポリプロピレンの曲げ弾性率は概ね1500~2000MPaである。そのため、従来であれば、ヘッド部が薄く、ネック部が細い歯ブラシの材料として、ポリプロピレンは使いにくい材料であった。
ところが、後述する本実施形態の歯ブラシの形状を採用することによって、ポリプロピレン等の曲げ弾性率が比較的低い樹脂も使用することができる。
【0022】
本実施形態において、ハンドル体5、特にネック部3の構成材料の曲げ弾性率(JIS K7171)は、1000MPa以上、2800MPa以下であることが好ましく、1200MPa以上、2500MPa以下であることがより好ましく、1500MPa以上、2000MPa以下であることが更に好ましい。
【0023】
上記の樹脂は、1種の樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上の樹脂を併用してもよい。また、ハンドル体5は、ハンドル部4の一部または全部が軟質樹脂で被覆されていてもよい。ハンドル部4の一部または全部が軟質樹脂で被覆されていることにより、使用者がハンドル部4を握った際の手のフィット感が向上し、把持した手指が滑ることを防止できる。軟質樹脂として、例えば、好ましくはショアA90以下の樹脂、より好ましくはショアA10~40の樹脂が挙げられる。このような軟質樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー樹脂、シリコン等が挙げられる。エラストマーなどの柔軟な樹脂を用いる場合には、接着性を高められる観点から、例えば、ポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
【0024】
本実施形態の歯ブラシ1は、例えば3歳~9歳の子供が使用する歯ブラシを想定して構成されている。
図2に示すように、ハンドル体5の全体の長さL5は、使用者の操作性等を勘案して決定することができる。ハンドル体5の全体の長さL5は、例えば110mm~170mm程度である。
【0025】
(ヘッド部2)
ヘッド部2は、
図3Aに示ように、厚さ方向で互いに平行をなす植毛面2aと背面2bを有する平板部2Aと、平板部2Aの一端側から延びる延在部2Bとを有する。
【0026】
ヘッド部2は、
図2に示すように、ハンドル体5の長さ方向が長手とされ、正面視において頂部が曲線で隅切りされた平板状とされている。ヘッド部2の植毛面2aには、植毛穴2hが複数形成されている。この植毛穴2hに、用毛が束ねられた毛束7(
図1)が植設されて、複数の毛束からなる植毛部11(
図1)が形成される。
【0027】
ヘッド部2は、正面視において、ヘッド部2の先端からネック部3に向かうに従い幅方向外側に広がり、次いで同等の幅で延在し、次いで幅方向内側に狭まり、ネック部3との境界(第1位置S1)に至る形状を有している。
図2に示す長さ(ヘッド長)L2は、ヘッド部2の先端からネック部3との境界である、第1位置S1までの長さを示す。
【0028】
本実施形態において、第1位置S1は、ヘッド部2の正面視形状における、ネック部3よりの隅切を形成する曲線の終点、即ち、隅切を形成する曲線の曲がり方向が変化する位置である。即ち、ヘッド部2とネック部3の境界である第1位置S1は、正面視でのヘッド部2におけるネック部3寄りの隅切部分の幅が狭くなる両縁を形成する曲線又は直線から、幅が広がる曲線もしくは直線、又は幅が同じ直線に変化する位置である。
また、正面視でネック部3がハンドル部4に向かうにしたがって幅が広くなる歯ブラシの場合、第1位置S1は、正面視でヘッド部2とネック部3における最も幅が小さい位置と一致する。
【0029】
ヘッド部2の寸法は、口腔内操作性などの特性を勘案して決定される。
ヘッド部2の長さL2は、長すぎると口腔内での操作性が損なわれやすく、短すぎると植毛される毛束7(
図1)の数が少なくなりすぎて、清掃効果が損なわれやすい。このため、ヘッド部2の長さL2は、例えば13mm~35mmであることが好ましい。なお、
図2、
図3Aにおいては、植毛部11の図示を省略する。
図2に示すように、ハンドル体5の長さ方向に交差する方向のヘッド部2の幅(ヘッド幅)W2は、大きすぎると口腔内での操作性が低下し、小さすぎると、植毛される毛束7の数が少なくなりすぎて、清掃効果が損なわれやすい。このため、ヘッド部2の幅W2は、例えば5mm~13mmであることが好ましい。
図3Aに示すように、ヘッド部2の厚さは、薄い程、口腔内操作性を高めることができるが、薄すぎると、ヘッド部2の強度が不十分になりやすい。このため、ヘッド部2の厚さ(ヘッド厚)T2は、ハンドル体5の構成材料、曲げ弾性率等を勘案して決定できる。ヘッド部2の厚さT2は、2.0mm以上、4.0mm以下であることが好ましく、2.5mm以上、3.5mm以下であることがより好ましい。
【0030】
図2に示すように、植毛穴2hの形状は、特に限定されず、真円、楕円などの円形であってもよいし、三角形、四角形などの多角形であってもよい。植毛穴2hの数量は、特に限定されず、例えば10個~60個程度であることが好ましい。本実施形態では、一例として、最も先端側の列は幅方向に並ぶ2穴、先端側から2列目が3穴とされ、最も後端側の列も3穴とされている。中央部分には、4穴の列が3列並んで形成されている。
【0031】
植毛穴2hの直径は、
図1に示す毛束7の太さに応じて決定され、例えば1mm~3mmであることが好ましい。植毛穴2hの配列パターンは、特に限定されず、いわゆる格子状、千鳥状等、いかなる配列パターンであってもよい。
【0032】
毛束7を構成する用毛としては、径が毛先に向かって漸次小さくなる用毛(テーパー毛)、毛先の丸め部を除いて外径が略同一である用毛(ストレート毛)が挙げられる。用毛の材質は、例えば、6-12ナイロン、6-10ナイロン等のポリアミド、PET、PBT、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、PEN、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル、PP等のポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の合成樹脂材料を用いることができる。これらの樹脂材料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。また、用毛は、芯部と芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造であってもよい。
【0033】
用毛の断面輪郭は、特に限定されず、例えば、真円形、楕円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、星形、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形等が挙げられる。
【0034】
用毛の太さは、特に限定されず、断面輪郭が円形の場合、例えば、3mil~11mil(1mil=1/1000inch=0.025mm)とされる。毛束は、全てが同じ太さの用毛で構成されていてもよいし、2種以上の異なる太さの用毛が組み合わされていてもよい。毛丈は、6mm~13mmであることが好ましい。
【0035】
(ネック部3)
ネック部3は、ヘッド部2とハンドル部4とを一体的に接続する。
本実施形態において、ネック部3は、
図2に示す正面視で、第1位置S1からハンドル部4に向かい同一幅または拡幅して延び、次いでハンドル部4との第3位置S3でさらに拡幅するまでの長さ、つまり、第1位置S1から第3位置S3までの長さL3である。
第3位置S3は、正面視において、ネック部3が同一または拡幅する部分の両縁を形成する直線の終点又は拡幅する部分の両縁を形成する曲線の曲がり方向が変化する位置である。
【0036】
ネック部3の長さ(ネック長)L3は、ヘッド部2を子供の口腔内に挿入したときにネック部3が唇に触れるために、15mm以上、35mm以下であることが好ましく、20mm以上、30mm以下であることがより好ましい。
また、ヘッド部2とネック部3の合計の長さ(L2+L3)は、子供の唇から奥歯への長さを勘案して、28mm以上、68mm以下が好ましく、30mm以上、65mm以下がより好ましく、33mm以上、61mm以下が更に好ましい。
ハンドル体5の全体の長さ(全長)L5に対するネック部3の長さL3の割合(%)としては、5.5%以上、31%以下が好ましく、8%以上、24%以下がより好ましく、10%以上、20%以下が更に好ましい。
【0037】
以下の説明において、
図3Aに示す側面視におけるヘッド部2の先端の厚さ方向(Z方向)の中央となる点を第1点A1とし、
図2に示す正面視におけるハンドル部4の長さ方向(X方向)および幅方向の中央となる位置であって、
図3Aに示す側面視におけるハンドル部4の厚さ方向(Z方向)の中央となる点を第2点A2とし、
図3Aに示す側面視におけるハンドル部4の後端の厚さ方向(Z方向)の中央となる点を第3点A3とする。
【0038】
図3Aに示す側面視において、ネック部3は、植毛面2a側の表面3aの一部が直線状となっている。具体的に、ネック部3における植毛面2a側の表面3aの一部は、例えば、第1点A1と第2点A2とを結んだ仮想的な直線L1に沿って直線状をなす。あるいは、第1点A1と第3点A3とを結んだ仮想的な直線L2に沿って直線状をなす。あるいは、第1点A1と第2点A2と第3点A3とを結んだ仮想的な直線L3に沿って直線状をなす。
このとき、ネック部3の表面3aは、直線L1,L2,L3のいずれかに必ずしも一致しているわけではなく、直線L1,L2,L3を中心として、歯ブラシ1の厚さ方向(Z方向)に設定した許容範囲内に位置していればよい。本実施形態では、許容範囲が、例えば、直線L1,L2,L3に対して歯ブラシ1の厚さ方向(Z方向)の上下それぞれ±1mm程度の範囲であることが好ましい。
【0039】
このように、ネック部3の植毛面2a側の表面3aの一部が、上記直線に沿った形状とされていることにより、ブラッシングに不慣れな幼児であっても、磨く際のハンドル部4からの力を無駄なくヘッド部2の植毛面2a側へ伝えることができ、口腔内の操作性が良好となる。
【0040】
図3Aに示すように、ネック部3の植毛面2a側の表面3aはハンドル部4側へ延在し、第1の指当て部9Aを形成する第1曲面4a1に連続する。
【0041】
また、ネック部3の背面3bはハンドル部4側へ延在し、第2の指当て部9Bを形成する第4曲面4b1に連続する。
【0042】
[ネック部3の幅W]
本実施形態のネック部3は、
図2および
図4に示すように、第1位置S1から、第3位置S3まで幅Wが長さ方向に亘って同一幅であるが、拡径してもよい。ネック部3の幅Wを同一幅の寸法にすることで、奥歯を磨く際に口を大きく開かなくてもヘッド部2を到達できる。
ネック部3の幅Wは、小さい程、口腔内操作性を高めることができるが、小さすぎると、ネック部3の強度が不十分になりやすい。このため、ネック部3の幅Wは、ハンドル体5の構成材料、曲げ弾性率などを勘案して決定できる。本実施形態において、ネック部3の幅Wは、4.0mm以上、6.0mm以下であることが好ましく、4.5mm以上、5.5mm以下であることがより好ましい。
【0043】
[ネック部3の厚さ]
ネック部3の長さ方向に交差する断面形状は、
図3Aに示すように、ネック部3のヘッド部2側からハンドル部4側に向けて漸次変化しており、ネック部3の幅と厚さとの大小関係が長さ方向で逆転している。
つまり、第1位置S1からハンドル部4側へ10mm移動した位置を第4位置S4とし、第1位置S1からハンドル部4側へ20mm移動した位置を第2位置S2とすると、ネック部3は、第1位置S1から第4位置S4及び第2位置S2にかけて急に厚くなった後、ハンドル部4側へ行くにしたがって緩やかに厚くなっている形状である。また、ネック部3の幅Wは厚みTよりもなるべく小さく細くなっていることが好ましく、ハンドル部4側へ行くにしたがって厚みを増やして断面積が大きくなっていく形状になっている。これにより、薄いヘッド部2で短いネック部3であっても、細くて丈夫なネック部3となる。
【0044】
本実施形態では、
図2および
図3Aに示すように、ヘッド部2とネック部3の境界である第1位置S1では、表1に示すように、第1の幅W1の方が第1の厚さT1よりも大きく(W1>T1)、幅広の断面形状とされている。
また、
図2および
図3Aに示すように、第1位置S1からハンドル部4側へ20mm移動した位置である第2位置S2では、表1に示すように、第2の幅W2よりも第2の厚さT2の方が大きく(W2<T2)、肉厚の断面形状とされている。
また、
図2および
図3Aに示すように、第1位置S1からハンドル部4側へ10mm移動した位置である第4位置S4では、第4の幅W4と第4の厚さT4が等しい形状(W4=T4)とされている。
【0045】
具体的に、第1位置S1の厚さは4mm、第4位置S4の厚さは5mmであり、第1位置S1の厚さに比べて第4位置S4では1.25倍の厚さとなっている。また、第2位置S2の厚さは5.6~5.8mmであり、第4位置S4の厚さに比べて第2位置S2では1.12~1.16倍の厚さとなっており、第1位置S1から第4位置S4までの変化よりも緩やかに厚さが変化している。このようにネック部3は、ヘッド部2側からハンドル部4側へ行くにしたがって厚さが大きくなっているが、その厚みが大きくなる比率は一定ではない。
【0046】
このように、ネック部3の長さ方向においてヘッド部2側からハンドル部4側に向けて漸次厚さが増すことで、ブラッシング時にネック部3は必要以上に撓むことなくヘッド部2へ良好に力が伝わり、安定してブラッシングすることができる。
また、上記構成のネック部3により、使用時に口先にあたる部分の幅が厚みに対して細くなるため口腔内での歯ブラシ1の取り回しが良好になる。また、使用時に口先にあたる部分の厚みが幅に対して太くなるため、子供がネック部3を強く噛んだ場合でも折れにくい。ヘッド部2を薄くしてもネック部3の強度を確保することができる。
【0047】
ネック部3の最小厚さとなる第1の厚さT1は、ハンドル体5の構成材料、曲げ弾性率等の条件を勘案してそれぞれ決定できる。ネック部3の第1の厚さT1は、3.0mm以上、4.5mm以下であることが好ましく、3.5mm以上、4.3mm以下であることがより好ましい。
また、ネック部3の最大厚さは、例えば4.5mm以上、7.0mm以下であることが好ましく、5.0mm以上、6.5mm以下であることがより好ましい。
【0048】
本実施形態の歯ブラシ1は、ヘッド部2が薄くなっており、奥歯の奥の口腔内の操作性が向上する。また、ネック部3の幅に対する厚さをヘッド部2側からハンドル部4側へ向かって厚くしたことにより、ヘッド部2の薄さに対応しつつ、使用時におけるネック部3の過剰な撓みを抑制することができる。このため、ハンドル部4を把持してブラッシングした際に、ヘッド部2の位置が変位しすぎないため、子供であっても毛束7を歯面にしっかり当てることができる。そのため、子供がしっかり握れて磨きやすい歯ブラシ1となる。
【0049】
(ハンドル部4)
図2、
図3Aおよび
図4に示すように、ハンドル部4は、ネック部3寄りの表裏にそれぞれ形成された第1の指当て部9Aおよび第2の指当て部9Bと、これら指当て部9A,指当て部9Bに連続して形成された把持部6と、を有する。
図2に示すように、ハンドル部4の長さ(ハンドル長)L4は、正面視において、ネック部3が同一または拡幅する部分の両縁を形成する直線の終点又は拡幅する部分の両縁を形成する曲線の曲がり方向が変化する第3位置S3から後端までの距離である。ハンドル部4の長さL4は、使用者である子供の手のサイズに合わせて、80mm~110mmであることが好ましい。
ネック部3の長さL3に対するハンドル部4の長さL4の比(L4/L3)としては、2.5以上、12.0以下が好ましく、3.0以上、7.0以下がより好ましく、3.5以上、5.5以下が更に好ましい。
【0050】
図2、
図3Aおよび
図4に示すように、ハンドル部4には、植毛面2a側に凸となる第1の指当て部9Aと、背面2b側に凸となる第2の指当て部9Bとが形成されている。
【0051】
(第1の指当て部9A)
図3Aに示す側面視において、第1の指当て部9Aは、植毛面2a側であってネック部3寄りに曲率中心を有する凹状の第1曲面4a1と、植毛面2a側であってハンドル部4寄りに曲率中心を有する凹状の第2曲面4a2とが交わる部分に形成されている。
図3Bに示すように、第1の指当て部9Aは、上記した凹状の第1曲面4a1と、凹状の第2曲面4a2と、曲面4a1および曲面4a2が交わる部分であって植毛面2aとは反対側の背面2b側に曲率中心を有する凸状の第3曲面4a3と、によって、植毛面2a側に凸状に形成される。ここで、第1曲面4a1のうち曲率が変化する位置P1と、第2曲面4a2のうち曲率が変化する位置P2と、を結んだ直線を仮想線Jとする。第1の指当て部9Aは、上記仮想線Jに対する垂線Gが延びる方向へ所望の高さを有し、
図3Aに示す植毛面2a側に凸形状をなす。一例として、仮想線Jからの距離が最も大きい位置に、第1曲面4a1と第2曲面4a2とが交差する稜線が形成される。
また、第1曲面4a1と第2曲面4a2との交差部分に形成された稜線は、ハンドル部4の幅方向に亘って
図2に示すような曲線状の第1の稜線8Aが形成される。
図2に示す正面視において、第1の指当て部9Aは、第1の稜線8Aが、ネック部3に向けて凸状に湾曲した円弧輪郭状とされている。正面視において、第2位置S2と第1の稜線8Aとの間の距離は、4mm以上、22mm以下が好ましく、5mm以上、18mm以下がより好ましく、6mm以上、15mm以下が更に好ましい。第2位置S2と第1の稜線8Aとは、側面視における厚みの差が3mm以上、9mm以下であることが好ましく、3mm以上、8mm以下がより好ましく、4mm以上、7mm以下が更に好ましい。
なお、平面視において、第1の稜線8Aが曲線でX軸方向(長さ方向)の位置が変化する場合、第2位置S2と第1の稜線8Aとの間の距離は、第2位置S2と第1の稜線8Aとの最短距離で規定される。また、ネック部3側の曲面とハンドル部4側の曲面とが交差して形成される曲面が明確に存在しない場合には、例えば、正面視において、ネック部3とハンドル部4の繋ぎ目で曲率が変化し、ハンドル部4を構成する直線又は曲線に接続される位置を上述の第1の稜線に相当する位置とすることができる。
そのため、歯ブラシ1を口が小さな子供用として用いる場合に、短いが後端まで細くしたネック部3である点、及びどこを握ってもグー握りできる、先端部から太めのハンドル部4である点を考慮して、ネック部3及びハンドル部4を短い距離で繋いだ場合には強度面で応力集中しやすく、且つ、操作性が影響を受けやすいが、本実施形態では、上述したように、正面視における第2位置S2と第1の稜線8Aとの間の距離、及び側面視における第2位置S2と第1の稜線8Aの位置の厚みの差を適切な範囲に設定することにより、ネック部3の強度向上及び操作性の向上を図ることができる。
【0052】
(第2の指当て部9B)
図3Aに示す側面視において、第2の指当て部9Bは、植毛面2a側であってネック部3寄りに曲率中心を有する凸状の第4曲面4b1と、植毛面2aとは反対の背面2b側であってハンドル部4寄りに曲率中心を有する凹状の第5曲面4b2と、が交わる部分に形成されている。
図3Bに示すように、第2の指当て部9Bは、凸状の第4曲面4b1と凹状の第5曲面4b2との2つのRで形成され、背面2b側に凸形状をなす。
また、第4曲面4b1と第5曲面4b2との交差部分に、ハンドル部4の幅方向に亘って
図4に示すような第2の稜線8Bが形成される。第2の指当て部9Bは、第2の稜線8Bが、ネック部3に向けて凸状に湾曲した円弧輪郭状とされている。
【0053】
図3A,
図3Bに示すように、第1の指当て部9Aおよび第2の指当て部9Bの突出量は互いに異なっている。第1の指当て部9Aは、植毛面2a側に曲率中心を有する2つの凹状の曲面より形成されているため、第1曲面4a1,第2曲面4a2の交点部分は厚さ方向外側へ大きく突出している。
【0054】
第2の指当て部9Bは、曲率中心が植毛面2a側に位置する凸状の第4曲面4b1と、曲率中心が背面2b側に位置する凹状の第5曲面4b2とにより形成されているため、各第4曲面4b1,第5曲面4b2の交点部分は厚さ方向外側にそれほど突出していない。
図3Aからも分かるように、歯ブラシ1の植毛面2aが水平な姿勢をなすとき、第2の指当て部9Bが、厚さ方向(Z方向)でネック部3の背面3bよりも外側には突出していない。
【0055】
第2の指当て部9Bの突出量が第1の指当て部9Aよりも小さいため、口腔内操作時に、第2の指当て部9Bが唇に当たりにくい。一方で、第1の指当て部9Aの突出量を十分に確保することで、第1の指当て部9Aに対して指が吸い付くように案内される。
使用者は、第1の指当て部9Aおよび第2の指当て部9Bに、親指、人差し指をそれぞれ当てるようにしてハンドル部4を持つことにより、指のすべりが防止されて歯ブラシ1を安定して操作することができる。第1の指当て部9Aには親指の第1関節の腹側が当接しやすく、第2の指当て部9Bには人差し指の第2関節の横腹側が当接しやすいため、ブラッシングが不慣れな子供でも的確な位置決めができ、ハンドル部4を把持した際の安定感が高まる。
【0056】
図2および
図4に示すように、把持部6の幅は、各指当て部9A,指当て部9B側から把持部6の後端側に向かい漸次拡径し次いで縮径し、再び拡径して後端に向かって漸次太くなっている。前述の拡径と縮径は2~4回繰り返してもよい。また把持部6の厚さは各指当て部9A,指当て部9B側から把持部6の後端側に向かい漸次拡径し次いで縮径している。
図2、
図4に示すように正面視において、把持部6の最小幅W6min(
図4)は、指当て部9A,指当て部9Bの最大幅W9max(
図4)よりも小さく、把持部6の最大幅W6max(
図4)は、指当て部9A,指当て部9Bの最大幅W9max(
図4)よりも大きい。
【0057】
ここで、指当て部9A,指当て部9Bの最大幅W9maxは、12.5mm以上、16.5mm以下であることが好ましく、13.5mm以上、15.5mm以下であることがより好ましい。
また、把持部6の最大幅W6maxは、18.0mm以上、22.0mm以下であることが好ましく、19.0mm以上、21.0mm以下であることがより好ましい。
また、把持部6の最小幅W6minは、例えば8.0mm以上、13.0mm以下であることが好ましく、9.0mm以上、12.0mmであることがより好ましい。
また、把持部6の厚さは7.0mm以上、15mm以下が好ましい。
上記寸法の範囲内であれば、子供の小さい手でもしっかり握ることができる。
【0058】
把持部6の最小幅W6minとなる先端部分には、幅方向両側の側面に幅方向内側に窪む窪み部6Aが形成されている。使用者は、例えば中指を窪み部6Aに当てることが可能となり、子供がしっかりハンドル部4を握ることができるので磨きやすくなる。また、各窪み部6Aのそれぞれに、親指、人差し指をそれぞれ当てるようにしてハンドル部4を持つこともできる。そのため、例えば、歯ブラシ1を横向きにして歯の側面をブラッシングする際にも、安定して操作することができる。
【0059】
さらに、把持部6のうち、後端側に向かって漸次太くなる部分の側面には、各窪み部6A,6Aに連続するとともに幅方向外側に凸状に湾曲する複数の湾曲面と、これら湾曲面どうしの間に形成される複数の凹み部とが形成されている。把持部6の長さ方向に湾曲面と凹み部とが交互に存在することで、使用者の指が凹み部に自ずと案内されてグリップ感が増し、握力の弱い子供であっても安定して持つことができる。また、ハンドル部4全体が太めで角のない形状のため、子供の小さい手でもしっかり握ることができる。
【0060】
本実施形態の歯ブラシ1は、従来公知の歯ブラシの製造方法に準じて製造される。例えば、金型に硬質樹脂を射出して、ハンドル15体を成形する。次いで、得られたハンドル体5の植毛面2aに毛束7を植設することで、歯ブラシ1が得られる。毛束7を植設する方法としては、例えば、毛束7を二つ折りにしその間に挟み込まれた平線を植毛穴2hに打ち込むことにより毛束7を植設する平線式植毛、毛束7の下端を植毛部11となる溶融樹脂中へ圧入して固定する熱融着法、毛束7の下端を加熱して溶融塊を形成した後に金型中に溶融樹脂を注入して植毛部11を成形するインモールド法等が挙げられる。
【0061】
[実施例]
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
本実施例において使用した材料は下記の通りである。
<ハンドル体5> ・ポリプロピレン
<毛束7の用毛> ・PBT
【0062】
図1~
図4に記載の歯ブラシについて、表1に示す仕様にしたがって、実施例1~実施例2および比較例1~比較例8の歯ブラシを射出成形法により作製した。
各歯ブラシの寸法は、表1に示す通りである。
【0063】
[口腔内操作性の評価]
専門化が子供用顎模型を用い、歯列全体を満遍なくブラッシングした際の歯ブラシ1の操作性の良さについて、4段階で回答を得た。「非常に良い」を4点、「良い」を3点、「やや良い」を2点、「悪い」を1点として、10名の平均点から以下の基準で操作性の良さを評価した。
○:2.5点以上
△:1.5点以上2.5点未満
×:1.5点未満
【0064】
【0065】
表1から分かるように、実施例1,2の歯ブラシでは、子供の口腔内において良好な操作性が得られる。
【0066】
以上述べた各実施形態で示した歯ブラシ1によれば、子供の口腔内において良好な操作性が得られる。また、子供の成長に合わせた歯ブラシ形状とすることによって、口腔内の磨きにくい場所もきちんと磨くことができる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
例えば、ハンドル部の形状、軟質樹脂の被覆形状、軟質樹脂の露出形状等を適宜設計することにより、すべり止め効果の向上、意匠性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、歯ブラシに適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1…歯ブラシ、2…ヘッド部、2a…植毛面、2b…背面、3…ネック部、3a…表面、4…ハンドル部、5…ハンドル体、6…把持部、7…毛束、8A…第1の稜線、8B…第2の稜線、9A…第1の指当て部、9B…第2の指当て部、11…植毛部、4a1…第1曲面、4a2…第2曲面、4b1…第4曲面、4b2…第5曲面、A1…第1点、A2…第2点、A3…第3点、S1…第1位置(ヘッド部とネック部との境界)、S2…第2位置(第1位置S1からハンドル部4側へ20mm移動した位置)、S3…第3位置(ネック部3とハンドル部4との境界)、L1、L2、L3…仮想的な直線、L2…ヘッド部2の長さ、L3…ネック部3の長さ、L4…ハンドル部4の長さ、T2…ヘッド部2の厚さ、W1…第1の幅、W2…第2の幅