(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240920BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240920BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240920BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/34
A61Q1/14
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2020019763
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/052798(WO,A1)
【文献】特開2014-214106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維径5~40μmの繊維状セルロース
を5質量%と、グリセリンを
75質量%含有する使用時に消しゴムかすの様な凝集物を発生するゴマージュ化粧料。
【請求項2】
洗い流し化粧料である請求項1に記載のゴマージュ化粧料。
【請求項3】
さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する請求項1又は請求項2に記載のゴマージュ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴマージュと称される化粧料は、肌に塗布した後に指先や手のひら、或いは器具などを用いて擦ることにより、消しゴムかすの様な凝集物(屑)を発生させ、この凝集物(屑)に古くなった角質や肌の汚れを吸着させて取り除く、所謂、ゴマージュ効果を発揮させることを目的としたものである。
【0003】
このようなゴマージュ効果を発揮させる化粧料として繊維状セルロースを含有するゴマージュ化粧料が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-210467号公報
【文献】特開2017-206472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のゴマージュ化粧料は、皮膚刺激を有しており、洗い流しに課題があった。
そこで本発明の課題は、ゴマージュ化粧料の最大の特徴である消しゴムかすの様な凝集物(屑)の発生が良好であり、優れたゴマージュ効果を発揮させるとともに、低刺激性で、洗い流しやすく、洗い流し時の軋み感のない良好な使用感を有するゴマージュ化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記のとおりである。
(1)
繊維状セルロースと、グリセリンを含有する皮膚外用剤。
(2)
ゴマージュ化粧料である、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)
グリセリンを50~90質量%含有する(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)
洗い流し化粧料である(1)~(3)のいずれか1に記載の皮膚外用剤。
(5)
さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する(1)~(4)のいずれか1に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚外用剤は、消しゴムかすの様な凝集物(屑)の発生が良好であり、優れたゴマージュ効果を発揮させるとともに、低刺激性で、洗い流しやすく、洗い流し時の軋み感のない良好な使用感を有するという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本明細書において、繊維状セルロースとは、上記ゴマージュ化粧料組成物中に単繊維の状態で存在する繊維状のセルロースを意味し、セルロースの分子鎖が緻密かつ規則的に存在する結晶セルロース粉末、若しくは、凝集した非繊維状のセルロース粒子(セルロース粉体)とは相違するものである。
【0010】
本発明で用いる繊維状セルロースは、皮膚外用剤に配合し得る繊維状セルロースであれば特に限定されないが、ゴマージュ効果、分散性の点から平均繊維長が30~500μmであることが好ましく、80~400μmであることがより好ましい。
【0011】
繊維状セルロースの平均繊維径(μm)は、優れたゴマージュ効果を十分に発揮できるものであれば特に限定されないが、分散性の観点、並びに古くなった角質や肌の汚れを巻き込みながら容易に凝集物を形成する観点から、5~40μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。
【0012】
繊維状セルロースは、1種を単独で用いても良く、平均繊維長、平均繊維径、平均繊維密度の異なる2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0013】
なお、繊維状セルロースは、市販品を用いることができる。繊維状セルロースの市販品としては、例えば、商品名「VITACEL CS300FC」、「VITACEL CS150F」(以上、レッテンマイヤー社製)などが挙げられる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤の繊維状セルロースの配合量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、ゴマージュ効果を十分に発揮させる観点から、皮膚外用剤全量に対し、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、均一分散性の観点から、皮膚外用剤全量に対し、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0015】
本発明で用いるグリセリンは、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されない。グリセリンの配合量は、皮膚刺激低減の観点から、皮膚外用剤全量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく1質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが最も好ましい。また皮膚外用剤全量に対し、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、ゴマージュ化粧料として有用である。
【0017】
本発明の皮膚外用剤は、洗い流し化粧料として有用である。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、洗い流し性、特に軋み感のなさが向上する。
【0019】
本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、皮膚外用剤に用いられるものであれば特に限定されないが、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリルから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましく、特にモノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリルから選択される1種又は2種を用いることが好ましい。
【0020】
本発明の皮膚外用剤において、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合する場合の配合量は、皮膚外用剤全量に対し0.2~5質量%配合することが好ましい。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、前記成分以外に、更に、通常の洗浄料に用いられる成分、例えば、上記以外の界面活性剤、保湿剤、油性成分、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、増粘剤、塩類、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【実施例】
【0022】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0023】
1、凝集物(消しゴムかすの様な凝集物)の生じやすさ、2、皮膚刺激性、3、洗い流しやすさ(きしみ感)、4、保存安定性(40℃1か月)の4項目について、下記の基準で評価を行った。なお、1~3の使用感評価に関する項目は、スキンケア官能評価専門家2名が独立して使用し、合議により評価した。
◎:非常に良好である
〇:良好である
△:あまりよくない
×:良くない
【0024】
表1に、本発明の実施例及び比較例にかかる皮膚外用剤(ゴマージュ化粧料)の処方を示す。皮膚外用剤は定法に従い調製し、評価に供した。
【0025】
【0026】
表1に示した通り、本発明の皮膚外用剤は、消しゴムかすの様な凝集物が生じやすく、皮膚刺激性が低く、安定性が良好であった。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合した実施例2は、これらに加えて洗い流しやすさやきしみ感の少ない使用感であった。これに対し、グリセリンをDPG(ジプロピレングリコール)に代替した比較例1は、すべての評価項目において、実施例より劣っていた。