(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電子ビーム照射によって可撓性バッグを殺菌するための改良された装置、およびそれらを殺菌するための方法
(51)【国際特許分類】
B65B 55/08 20060101AFI20240920BHJP
A61L 2/08 20060101ALI20240920BHJP
A61J 3/00 20060101ALN20240920BHJP
A61J 1/10 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
B65B55/08 B
A61L2/08 108
A61J3/00 300A
A61J1/10 330Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020068393
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516336747
【氏名又は名称】グライフォルス・エンジニアリング・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホルディ・ボイラ・ボノラ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・フレタ・コイト
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・ロウラ・サリエッティ
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/167334(WO,A1)
【文献】特開2003-139898(JP,A)
【文献】特表2008-536595(JP,A)
【文献】特開2017-095108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/08
A61L 2/08
A61J 3/00
A61J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
400keV~500keVのエネルギーを有する電子ビームを放射する第1の加速器、および少なくとも4MeVのエネルギーを有する電子ビームを放射する第2の加速器を備える殺菌区域を備える可撓性バッグの殺菌用装置であって、
前記第1の加速器および前記第2の加速器が、前記
殺菌用装置の上部に平行に配置され、前記電子ビームを下方に、地面に対して垂直方向に放射するように配置されていることを特徴とする可撓性バッグの殺菌用装置。
【請求項2】
前記第2の加速器が、4MeVから5MeVの間のエネルギーを有する電子ビームを放射することを特徴とする、請求項1に記載の可撓性バッグの殺菌用装置。
【請求項3】
前記第2の加速器が、4MeVのエネルギーを有する電子ビームを放射することを特徴とする、請求項2に記載の可撓性バッグの殺菌用装置。
【請求項4】
前記
殺菌用装置が、電子加速器による放射を閉じ込めるために対策が採られた、放射を通さない領域に配置されたことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の可撓性バッグの殺菌用装置。
【請求項5】
閉じ込めの対策が、少なくとも65cmの厚さの壁および/または床であることを特徴とする、請求項4に記載の可撓性バッグの殺菌用装置。
【請求項6】
前記壁および/または床が鉛製であることを特徴とする、請求項5に記載の可撓性バッグの殺菌用装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の
殺菌用装置を使用して、ヒト血漿タンパク質の溶液が入った可撓性バッグを電子ビームを用いて殺菌するための方法であって、
a)400keVから500keVの間のエネルギーを有する少なくとも
1回の電子ビームの放射のステップと、
b
)10ナノ秒から1.5秒後、少なくとも4MeVのエネルギーを有す
る第2の電子ビームパルスの放射のステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第2の加速器が、4MeVから5MeVの間のエネルギーを有する電子ビームを放射することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の加速器が、4MeVのエネルギーを有する電子ビームを放射することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
殺菌される前記可撓性バッグから照射源までの距離が1.5cmから7cmの間であることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
殺菌される前記可撓性バッグから照射源までの距離が4cmであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
殺菌されるバッグが50mLから500mLまでの量を入れることができることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
バッグの充填前または充填後に実施することができることを特徴とする、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記可撓性バッグに入れられる溶液が、血液、あるいは血漿、血清、赤血球、アルブミン、α-1アンチトリプシン、フォンヴィレブランド因子、凝固因子(第VII因子、第VIII因子、および第IX因子を含む)、免疫グロブリン、プラスミノーゲン、プラスミン、アンチトロンビンIII、フィブリノーゲン、フィブリン、トロンビン、またはこれらの組合せ
から選択された血液製剤
を含む生体由来の医薬溶液であることを特徴とする、請求項7から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
a)バッグの形成および熱印刷のステップと、
b)請求項7から13のいずれか一項に記載の方法を用いた、電子ビームによる前記バッグの殺菌のステップと、
c)無菌環境でのヒト血漿タンパク質の溶液の前記バッグへの充填のステップと、
d)バッグの封止のステップと
を含むことを特徴とする、可撓性バッグのためのインライン充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品分野に関し、具体的には、可撓性バッグを殺菌するための改良された装置に関し、特に、治療に使用するためのヒト血漿タンパク質の溶液を入れることができるタイプの可撓性バッグに関する。さらに、本発明は、電子ビーム照射によるこのような可撓性バッグの殺菌方法、ならびに本発明の殺菌装置および方法を用いた可撓性バッグのインライン充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「Eビーム」としても知られている電子ビーム照射は、一般的に、かけられたエネルギーの低貫通性および高線量によって特徴付けられるイオン化放射の形態である。前記ビームは、集中した高荷電の電子の流れである。これらの電子は、連続ビームまたはパルスビームを生成することができる加速器によって発生させられる。殺菌される材料は電子のエネルギーを吸収し、吸収線量としても知られている前記エネルギー吸収が、微生物のDNA鎖を破壊することによって微生物を除去する。
【0003】
商用の電子ビーム加速器装置は、典型的には、単一エネルギーで動作し、医薬製品を殺菌する場合には、高エネルギー電子ビームは、典型的には、製品および包装を貫通することが必要である。電子ビームのエネルギーを高くすることによって、製品内を電子ビームがより強く貫通する。
【0004】
1つの殺菌方法を実行するために電子ビームを評価するとき、製品の密度、大きさ、向き、および包装などの様々なパラメータを考慮しなければならない。一般的に、Eビーム照射は、低密度で均一に包装された製品に使用するときによりうまく機能する。
【0005】
ヒト血漿タンパク質の溶液を入れるのに適切な可撓性バッグという特定の場合では、これらは様々な材料および厚さからなる。例えば、バッグ壁は約130μmの厚さの場合があり、バッグ壁に封止されるバッグの出口ポートのチューブは1.24mmの厚さの場合があり、一方、ツイストオフキャップは最も厚い領域であり、約3mmの場合がある。バッグにこれらのヒト血漿タンパク質の溶液を充填する前に、すべてのこれらの部品を除染および殺菌しなければならない。本発明の装置を用いて殺菌するのに適したバッグは、特許文献1に開示されたものである。
【0006】
特許文献2には、450から500keVの間のエネルギーを有する電子ビームを放射する加速器と、700から750keVの間のエネルギーを有する別の電子ビームを放射する加速器とを備えた可撓性バッグの殺菌のための装置が開示されている。バッグは鉛直方向に置かれて、両方の電子銃は互いの方を向き、ビームは地面に平行に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】スペイン国特許出願第201431561号
【文献】スペイン国特許出願第201730338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の発明者らは、より高いエネルギーの電子ビームである、700から750keVの間のエネルギーを用いても、また最大2MeVのエネルギーを用いてさえ、このような可撓性バッグのキャップを殺菌するのに十分ではないことを見出した。これは、バッグのいくつかの内部部品は殺菌されないままで、これらは、あとでバッグに入れる医薬製品と接触することがあるという事実によるものである。これは、加速器はバッグの一方の側にあるので、電子加速器に最も近い領域のキャップの厚さの距離だけでなく、このような加速器から最も遠い部分のキャップの厚さの距離も放射が横切る必要があるという事実による。
【課題を解決するための手段】
【0009】
広範な研究の後、上記の欠点を克服するためには、この電子ビームは、4MeV以上のエネルギー、すなわち、現況技術で知られているエネルギーの少なくとも5倍より大きなエネルギーを有することが必要であると判断された。
【0010】
驚くことに、本発明者らは、この発明の装置を非常に効果的かつ安全にする新しい特徴の組合せを用いることができた。この発明の装置では、加速器を互いに対向させて放射させると加速器自体を損傷させるので対向させるべきではなく、放射が地面に平行な場合には、放射が周囲環境に漏れる可能性が非常に高く、その結果、人や周囲環境の方に漏れるので、電子ビームを垂直方向に、地面の方向に放射すべきであると、本発明者は判断した。殺菌されるバッグの位置もまた、地面に平行に修正された。さらに、放射の漏れを防ぐために閉じ込め対策が採られた。したがって、本発明の発明者らは、従来技術の欠点を克服する電子ビーム殺菌装置を開発した。本装置においては、両方の加速器は、装置の上部に配置され、したがって、これによって、バッグは地面に平行な状態で、放射が漏れないように追加の閉じ込め対策を有して、電子ビームを下方に、地面に対して垂直方向に放射することができる。
【0011】
次の図と関連して、下で本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による電子ビーム殺菌装置の一実施形態の前面図である。
【
図2】放射の漏れに対する保護対策を有する、本発明による電子ビーム殺菌装置の一実施形態の前面図である。
【
図3】本発明の装置を用いて殺菌される可撓性バッグのツイストオフ栓とポートとの構造体の一実施形態の斜視図である。
【
図4】
図3のポートとツイストオフ栓との構造体の斜視図である。
【
図5】
図4のポートの横断方向および長手方向両方の断面の斜視図である。
【
図6】
図5のポートのフランジを構成する長円形の短径を通る距離の関数として、材料にかけられた様々な電子ビームの最大線量と最小線量との間の比を示す線量均一度(DUR:dose uniformity ratio)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の態様では、本発明は、2つの電子加速器を備える殺菌区域を備えることを特徴とする、可撓性バッグの殺菌のための装置に関する。第1の電子加速器は、400から500keVの間のエネルギーを有する電子ビームを放射し、第2の電子加速器は、少なくとも4MeV、好ましくは4から5MeVの間、最も好ましくは4MeVのエネルギーを有する電子ビームを放射する。
【0014】
一実施形態では、本発明の装置は、加速器による放射を閉じ込めるために対策が採られた、放射を通さない領域に配置される。前記閉じ込め対策は、壁と床の両方にすることができ、壁は少なくとも65cm、好ましくは65から80cmの厚さ、および、好ましくは鉛製にしなければならない。床は、壁と同じ厚さおよび材料から作ることができる。
【0015】
図1は、本発明による殺菌装置の一実施形態の殺菌区域の前面図である。前記殺菌区域は、低い方のエネルギー(400~500keV)の電子ビームの1つの加速器または放射器1と、それよりも高いエネルギー(4~5MeV)の電子ビームの1つの加速器または放射器2と、殺菌される可撓性バッグ3とによって形成され、可撓性バッグ3は、ポートとツイストオフ栓との構造体4およびバッグの本体5の2つの領域を含む。この実施形態では、両方の加速器は装置の上部に配置され、それらの電子ビームを下方に、地面に対して垂直方向に照射する。エネルギーの低い方の加速器1は、バッグの本体5の区域に向けて電子ビームを照射し、一方、エネルギーの高い方の加速器2は、バッグのポートとツイストオフ栓4に向けて電子ビームを照射する。
【0016】
図2は、本発明による殺菌装置の一実施形態の殺菌区域の前面図である。前記殺菌区域は、低い方のエネルギー(400~500keV)を有する電子ビームの1つの加速器または放射器1と、それよりも高いエネルギー(4~5MeV)を有する電子ビームの1つの加速器または放射器2と、殺菌される可撓性バッグ3とから構成され、可撓性バッグ3は、ポートとツイストオフ栓との構造体4およびバッグの本体5の2つの領域を備える。この実施形態では、両方の加速器は装置の上部に配置され、それらの電子ビームを下方に、地面に対して垂直方向に照射する。さらに、保護対策が、この発明の装置を取り囲む壁6と床7の両方に見られる。一実施形態では、この発明の装置の壁6は、少なくとも65cm、好ましくは65から80cmの厚さである。この発明の装置の閉じ込め対策の重量は、少なくとも40トンであることが好ましく、材料は鉛が好ましい。
【0017】
図3は、殺菌される可撓性バッグのポートとツイストオフ栓との構造体4の斜視図である。このポートとツイストオフ栓との構造体4は、通常、ツイストオフ栓8とポート9とから構成される。ツイストオフ栓8は上部に作動キー10を有し、作動キー10は、通常、ツイストオフ栓8構造体の残りの部分との接触の弱い区域を有し、したがって、使用者によって、機械的な動作、例えば回転することによって、バッグを使用しようとするときに取り外したり作動させたりすることができる。
【0018】
図4は、
図3のポートとツイストオフ栓との構造体4のポート9の斜視図である。このポート9は長円形フランジ11を有し、フランジ11は連続した突出部13を有する上面を有し、突出部13はフランジ11と同じ長円形で描かれている上面の周囲を走る。フランジの中央には、可撓性バッグに入れる製品が通るチャネル12がある。
【0019】
別の態様では、本発明は、ヒト血漿タンパク質の溶液を入れる可撓性バッグを殺菌するために上記の電子ビーム加速器装置を使用する方法を開示する。このような方法は、以下のステップを含むことを特徴とする。
a)第1の電子加速器によって作られた400~500keVのエネルギーを有する電子ビームの少なくとも1回の放射
b)約10ナノ秒から1.5秒後、少なくとも4MeVのエネルギーを有する第2の電子加速器による第2の電子ビームの放射
【0020】
この第2の電子加速器のエネルギーは4から5MeVが好ましく、4MeVが最も好ましい。
【0021】
本発明の電子ビーム加速器装置の一実施形態では、殺菌される可撓性バッグから照射源までの距離は1.5cmから7cmの間である。このような距離は4cmが好ましい。
【0022】
本発明の殺菌方法は、バッグの充填前に実行されてもよいし、充填後でもよく、無菌室で行うことが好ましい。
【0023】
本発明の方法によって殺菌される可撓性バッグは、現況技術で知られている医薬業界用の適切な材料のいずれかから作ることができる。本発明の方法を用いて殺菌することができる可撓性バッグは、50mLから500mLの容量を有することができる。
【0024】
さらに、このような可撓性バッグには、血液、あるいは血漿、血清、赤血球、アルブミン、α-1-アンチトリプシン、フォンヴィレブランド因子、凝固因子(第VII因子、第VIII因子、および第IX因子を含む)、免疫グロブリン、プラスミノーゲン、プラスミン、アンチトロンビンIII、フィブリノーゲン、フィブリン、トロンビン、またはこれらの組合せなどの血液製剤などの生体由来の医薬溶液を入れることができる。また、医薬製品または医薬液は生体由来のものでなく、例えば、化学合成、組換え生産、または遺伝子導入生産など、現況技術で知られている任意の他の手順または方法によって得られたものであってもよいと考えられる。
【0025】
最後の態様では、本発明は、上記の装置を用いた電子ビームによる殺菌のステップを含むヒト血漿タンパク質の可撓性バッグのインライン充填方法に関する。
【0026】
可撓性バッグのこのようなインラインプロセスは以下のステップを含む。
a)バッグの形成および熱印刷(thermo-printing)
b)上記の方法による、電子ビームによるバッグの殺菌
c)無菌環境でのヒト血漿タンパク質の溶液のバッグへの充填
d)バッグの封止
【0027】
前記インラインプロセスでは、バッグの形成はコイルから実行され、ここで、バッグの壁を形成するフィルムはチューブ形に巻かれ、それにポートとツイストオフ栓との構造体を取り付けて溶着する。その後、バッグは、その表面への熱印刷によって識別される。
【0028】
この発明の方法を用いて殺菌することができる可撓性バッグは、50mLから500mLの容量を有することができる。
【0029】
さらに、前記可撓性バッグには、血液、あるいは血漿、血清、赤血球、アルブミン、α1アンチトリプシン、フォンヴィレブランド因子、凝固因子(第VII因子、第VIII因子、および第IX因子を含む)、免疫グロブリン、プラスミノーゲン、プラスミン、アンチトロンビンIII、フィブリノーゲン、フィブリン、トロンビン、またはこれらの組合せなどの血液製剤などの生体由来の医薬溶液を入れることができる。また、医薬製品または医薬液は生体由来のものでなく、例えば、化学合成、組換え生産、または遺伝子導入生産など、現況技術で知られている任意の他の手順または方法によって得られたものであってもよいと考えられる。
【0030】
よりよい理解のために、本発明を限定することを決して意図していない以下の例を参照してこの発明を下で説明する。
【0031】
(実施例)可撓性バッグのツイストオフ栓を殺菌するのに必要な最も高い電子ビームエネルギーの決定
4つの異なる容量(50、100、250、500mL)のLaboratorios Grifols S.A.製のバッグがテストされた。しかしながら、すべてのバッグの厚さは4つのすべての容量で同じであり、その特性が下の表1にまとめられている。バッグの壁は、様々な層を接着剤の層によって接合した多層フィルムからなる。
【0032】
【0033】
バッグの全壁厚は130μmであり、これは、接着剤の中間層の厚さが±12μmとなり得ることを考慮しない厚さである。一方、ツイストオフ栓の厚さは計測され、全厚さ2.85mmが得られた。
図5に示すように、ポートとツイストオフ栓との構造体のポート9のフランジ11を形成する長円形の短径は約16mmである。
【0034】
この検討のために、最も高いエネルギーの電子ビームから5つのエネルギー、1.8MeV(
図6の曲線A)、2.2MeV(曲線B)、3MeV(曲線C)、4MeV(曲線D)、および5MeV(曲線E)が選ばれ、それらを
図6に示す。最後の2つにはまた、ステンレス鋼プレートのコレクタが取り付けられ、これらは
図6で曲線D’とE’で示されている。
【0035】
図6に示すように、1.8MeV(曲線A)、2.2MeV(曲線B)、および3MeV(曲線C)の電子ビームはフランジの小径(16mm)全部を横切るほど十分貫通していない。
図6のグラフは、11mmより先(x軸)での電子のエネルギーの急激な落ち方を示している。これによって、殺菌力が失われ、したがって、適正に殺菌されずに、バッグに入れる製品と接触する、
図5に示す区域13ができる。一方、4MeV(曲線D)以上では、電子のエネルギーが16mmまで保たれるので、この区域は殺菌される。
【符号の説明】
【0036】
1 加速器
2 加速器
3 可撓性バッグ
4 ポートとツイストオフ栓との構造体
5 バッグの本体
6 壁
7 床
8 ツイストオフ栓
9 ポート
10 作動キー
11 フランジ
12 チャネル
13 突出部