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特許7557954制御装置、移動制御システム、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】制御装置、移動制御システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240920BHJP
【FI】
G05D1/43
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020068459
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021165897
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徳之
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-254542(JP,A)
【文献】実開昭63-020207(JP,U)
【文献】特開平01-135485(JP,A)
【文献】特開2001-301987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動で移動する移動体に情報を出力する制御装置であって、
整列した複数の目標物をピックアップまたはドロップする対象位置に移動させる移動体のルートを取得するルート取得部と、
前記移動体が、前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得する基準位置姿勢取得部と、
前記ルート取得部で取得した情報を前記移動体に出力する情報出力部と、を含み、
前記ルート取得部は、前記基準位置姿勢取得部で取得した情報に基づいて、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得し、
前記基準位置姿勢取得部は、前記対象位置に対応付けたマーカに基づいて算出した1つ目の目標物の位置情報を取得し、
前記目標物は、前記移動体による搬送時に支持体が挿入される開口部を有し、
前記マーカは、開口部に挿入する挿入治具に取り付けられ、
前記基準位置姿勢取得部は、前記挿入治具が1つ目の目標物に挿入された状態の位置情報を取得する制御装置。
【請求項2】
自動で移動する移動体に情報を出力する制御装置であって、
整列した複数の目標物をピックアップまたはドロップする対象位置に移動させる移動体のルートを取得するルート取得部と、
前記移動体が、前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得する基準位置姿勢取得部と、
前記ルート取得部で取得した情報を前記移動体に出力する情報出力部と、を含み、
前記ルート取得部は、前記基準位置姿勢取得部で取得した情報と、1つ目の前記目標物と2つ目以降の目標物との相対位置とに基づいて、2つ目以降の目標物の位置と姿勢を特定し、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得し、
前記基準位置姿勢取得部は、前記移動体が、1つ目の目標物の搬送で移動したルートの情報を取得する制御装置。
【請求項3】
1つ目の目標物の搬送で移動したルートの情報は、前記移動体が遠隔操作で移動されたルートの情報である請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
1つ目の目標物の搬送で移動したルートの情報は、前記移動体に作業者が乗車した状態での操作で移動されたルートの情報である請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
自動で移動する移動体に情報を出力する制御装置であって、
整列した複数の目標物をピックアップまたはドロップする対象位置に移動させる移動体のルートを取得するルート取得部と、
前記移動体が、前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得する基準位置姿勢取得部と、
前記ルート取得部で取得した情報を前記移動体に出力する情報出力部と、を含み、
前記ルート取得部は、前記基準位置姿勢取得部で取得した情報と、1つ目の前記目標物と2つ目以降の目標物との相対位置とに基づいて、2つ目以降の目標物の位置と姿勢を特定し、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得し、
さらに、2つ目以降の前記目標物の位置、姿勢の情報を取得し、取得した前記2つ目以降の前記目標物の位置、姿勢の情報に基づいて、取得した目標物以降の目標物を移動させる移動体のルートを修正する制御装置。
【請求項6】
前記基準位置姿勢取得部は、前記対象位置に対応付けたマーカに基づいて算出した1つ目の目標物の位置情報である請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記マーカは、前記対象位置の近傍に設置される請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記対象位置は、トラックの荷台である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の制御装置と、前記移動体とを含む、移動制御システム。
【請求項10】
複数の整列した目標物を対象位置に対して搬送する移動体の制御方法であって、
前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得するステップと、
1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報に基づいて、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得するステップと、
取得した移動体のルートを出力するステップと、を含み、
位置の情報を取得するステップは、前記対象位置に対応付けたマーカに基づいて算出した1つ目の目標物の位置情報を取得し、
前記目標物は、前記移動体による搬送時に支持体が挿入される開口部を有し、
前記マーカは、開口部に挿入する挿入治具に取り付けられ、
位置の情報を取得するステップは、前記挿入治具が1つ目の目標物に挿入された状態の位置情報を取得する制御方法。
【請求項11】
複数の整列した目標物を対象位置に対して搬送する移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得するステップと、
1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報に基づいて、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得するステップと、
取得した移動体のルートを出力するステップと、含み
位置の情報を取得するステップは、前記対象位置に対応付けたマーカに基づいて算出した1つ目の目標物の位置情報を取得し、
前記目標物は、前記移動体による搬送時に支持体が挿入される開口部を有し、
前記マーカは、開口部に挿入する挿入治具に取り付けられ、
位置の情報を取得するステップは、前記挿入治具が1つ目の目標物に挿入された状態の位置情報を取得する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、移動制御システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を搬送するフォークリフトなどの移動体では、搬送する対象物である荷物の位置を検出し、自動的にピックアップし、目標位置まで移動させる技術が知られている。特許文献1には、荷物に取り付けられた標識を検出し、荷物の位置を特定し、移動体の位置を制御して、荷物をピックアップする制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-212489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、荷物等の対象物は、想定された設置位置からずれた位置に載置されている場合がある。また、トラック等に搬送する対象物を搬送する場合、トラックの停止位置が想定位置からずれていると、トラック内の想定した位置に対象物を搬送することができない。特許文献1に記載されている方法では、対象物のマーカを検出することで、正確な位置を検出することができるが、毎回マーカを検出する処理を実行することになり、作業効率の向上に限界がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、効率よく、かつ、高い精度で対象物の搬送ができる制御装置、移動制御システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る制御装置は、自動で移動する移動体に情報を出力する演算装置であって、整列した複数の目標物をピックアップまたはドロップする対象位置に移動させる移動体のルートを取得するルート取得部と、前記移動体が、前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得する基準位置姿勢取得部と、前記ルート取得部で取得した情報を前記移動体に出力する情報出力部と、を含み、前記ルート取得部は、前記基準位置姿勢取得部で取得した情報に基づいて、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得する。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動制御システムは、前記演算装置と、前記移動体とを含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る制御方法は、複数の整列した目標物を対象位置に対して搬送する移動体の制御方法であって、前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得するステップと、1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報に基づいて、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得するステップと、取得した移動体のルートを出力するステップと、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、複数の整列した目標物を対象位置に対して搬送する移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記対象位置で1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報を取得するステップと、1つ目の前記目標物をピックアップまたはドロップする位置の情報に基づいて、2つ目以降の目標物を移動させる移動体のルートを取得するステップと、取得した移動体のルートを出力するステップと、を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、効率よく、かつ、高い精度で対象物の搬送ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図2図2は、トラックの概略構成を示す模式図である。
図3図3は、移動体の構成の模式図である。
図4図4は、管理システムの模式的なブロック図である。
図5図5は、演算装置の模式的なブロック図である。
図6図6は、トラックの処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、位置特定装置の一例を示す模式図である。
図8図8は、演算装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、移動体の処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、移動制御システムの処理を説明するための説明図である。
図11図11は、移動制御システムの処理を説明するための説明図である。
図12図12は、移動制御システムの処理を説明するための説明図である。
図13図13は、移動制御システムで目標物をドロップする処理を説明するための説明図である。
図14図14は、移動制御システムで目標物をドロップする処理を説明するための説明図である。
図15図15、他の実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図16図16は、位置特定装置の一例を示す模式図である。
図17図17は、演算装置の処理の他の例を示すフローチャートである。
図18図18は、移動体の処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0013】
(移動制御システムの全体構成)
図1は、第1実施形態に係る移動制御システムの模式図である。図1に示すように、第1実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10、管理システム12、及び演算装置14を含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。本実施形態の設備Wは、領域ArにトラックVが停車する。移動制御システム10は、移動体10で、トラック(車両)Vに搭載されたパレット(荷物)Pをピックアップして、所定の待機位置にドロップする。また、移動制御システム10は、移動体10で、所定の待機位置に配置されたパレットPをピックアップして、トラックVにドロップする。つまり、移動制御システム1は、トラックVからのパレットPの積み下ろし作業または、積み込み作業を行う。領域Arは、トラックVの停止位置として設定される領域であり、例えば白線などで区分されている。領域Arの周囲は、移動体10が移動する領域が確保される。待機場所は、設備Wの任意の場所に設けることができる。また、本実施形態の設備Wは、領域Arを1つのみ示しているが、複数個所に配置してもよい。また、移動体10の数も2台に限定されず、1台でも3台以上でもよい。
【0014】
(トラック)
図2は、トラックの概略構成を示す模式図である。本実施形態のトラックVは、複数のタイヤVEを駆動させることで、走行する車両である。トラックVは、複数のパレットPを搭載可能な車両である。図1に示すトラックVは、4個のパレットPが2列で配置される。トラックVは、図2に示すように、収納室VAにパレットPが搭載される。トラックVは、側方扉VBを備える。側方扉VBは、収納室VAの側方側に設けられる扉である。トラックVは、側方扉VBが解放されることで、収納室VAが外部と連通して、パレットPの搬出が可能となる。本実施形態のトラックVは、収納室VA内で、パレットPが保持される位置が設けられている。トラックVは、収納室VA内で複数のパレットPが並んで配置される。本実施形態のトラックVは、収納室VAに2列に並んで配置される。なお、パレットは、トラックの前方側に詰めて配置される場合、後方側詰めて配置される場合、収納室VA内で、間隔をおいて配置される場合、等種々の配置パターンがある。また、本実施形態のトラックVは、側面の両方に側方扉VBが設けられ、移動体10は、2つの側面のそれぞれからパレットPにアクセスすることができる。本実施形態のトラックVは、側方扉VBが剛体で、上下に開閉する構造としたが、側方扉VBを変形する布やプラスチックで形成し、一端を水平方向に移動させて開閉するカーテン式の扉としてもよい。
【0015】
(移動体)
移動体10は、自動で移動可能な装置である。本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、さらにいえば、いわゆるAGF(Automated Guided Forklift)やAGV(Automated Guided Vehicle)である。移動体10は、設備W内を移動する。移動体10は、例えば、ルートRに従って、トラックVの近傍に移動する。ルートRは、演算装置14から送信された情報である。移動体10は、車両10の近傍に到達したら、パレットPの位置情報に基づいて、設定されたルートに基づいて移動し、パレットPをピックアップする。ルートRの詳細については後述する。以下、水平方向の一方向を、方向Xとし、水平方向で方向Xに直交する方向を、方向Yとする。また、水平方向に直交する方向、すなわち方向X、Yに直交する方向を、方向Zとする。
【0016】
図3は、移動体の構成の模式図である。図3に示すように、移動体10は、車体20と、マスト22と、フォーク24と、センサ26と、制御装置28とを備えている。車体20は、車輪20Aを備えている。マスト22は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられている。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、第1方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、第2方向とする。
【0017】
センサ26は、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び向きの少なくとも1つを検出する。センサ26は、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の向きとを検出するともいえる。本実施形態では、センサ26は、マスト22に設けられており、車体20の第1方向側の対象物の位置及び向きを検出する。ただし、センサ26の検出方向は第1方向に限られず、例えば第1方向側と第2方向側の両方を検出してもよい。この場合、センサ26として、第1方向側を検出するセンサと第2方向側を検出するセンサとを設けてよい。センサ26は、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26は、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。なお、センサ26は、以上のものに限られず任意の方法で対象物検出するセンサであってよく、例えば、カメラなどであってもよい。また、センサ26の設けられる位置も、マスト22に限られない。具体的には、例えば、移動体10に設けられる安全センサを、センサ26として流用してもよい。安全センサを流用することで、新たにセンサを設ける必要がなくなる。また、センサ26として、フォークに対してz方向(上下方向)に動く機構を備えるセンサを設けてもよい。これにより、センサをz方向に移動させることで、フォークリフトのマストの動きと連動させずにセンシングできる。
【0018】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28は、コンピュータであり、制御部と記憶部とを含む。記憶部は、制御部の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。制御装置28は、移動体10の位置を検出し、演算装置14から供給されるルートRの情報に基づいて移動し、パレットPの移動を行う。また、制御装置28は、移動体10のセンサ26によるパレットPの位置や向きの検出結果に基づき、フォーク24の位置、移動体10の姿勢を調整し、パレットPをピックアップ、ドロップしてもよい。また、制御装置28は、センサ26で検出した情報を演算装置14に出力する。
【0019】
(管理システム)
図4は、管理システムの模式的なブロック図である。管理システム12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理システム12は、本実施形態ではWMS(Warehouse Management System)であるが、WMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理システム12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理システム12は、コンピュータであり、図3に示すように、制御部30と記憶部32とを含む。記憶部32は、制御部30の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0020】
制御部30は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部30は、作業決定部34を含む。制御部30は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業決定部34を実現して、その処理を実行する。なお、制御部30は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業決定部34を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0021】
作業決定部34は、搬送する対象となるパレットPを決定する。具体的には、作業決定部34は、例えば入力された作業計画に基づき、搬送する対象となるパレットPの情報を示す作業内容を決定する。作業内容は、搬送する対象となるパレットPを特定する情報であるともいえる。本実施形態の例では、作業決定部34は、どの設備にあるどのパレットP(荷物)を、いつまでに、どこに搬送するかを、作業内容として決定する。すなわち、作業内容は、対象となるパレットPが保管されている設備と、対象となるパレットPと、パレットPの搬送先と、パレットPの搬送時期と、を示す情報である。作業決定部34は、決定した作業内容を、演算装置14に送信する。
【0022】
(演算装置)
図5は、演算装置の模式的なブロック図である。演算装置14は、設備Wに設けられ、移動体10の移動に関する情報などを演算し、移動体10に情報を出力する装置である。また、演算装置14は、トラックVとの通信を行い、設備Wの領域Arに停車するトラックVの情報を取得する。トラックVの情報としては、設備Wで作業を行うか否かの情報、トラックVに搭載しているパレットP、または設備Wで搭載する予定のパレットPの種類、位置等の情報である。演算装置14は、コンピュータであり、図4に示すように、制御部40と記憶部42とを含む。記憶部42は、制御部40の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0023】
制御部40は、演算装置、すなわちCPUである。制御部40は、作業内容取得部50と、トラック情報取得部51と、移動体選定部52と、ルート取得部54と、基準位置姿勢取得部56と、情報出力部60と、を含む。制御部40は、記憶部42からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業内容取得部50と移動体選定部52とルート取得部54と情報出力部56と排他制御部58とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部40は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業内容取得部50とトラック情報取得部51と移動体選定部52とルート取得部54と基準位置姿勢取得部56と情報出力部60との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0024】
作業内容取得部50は、管理システム12が決定した作業内容の情報、すなわち搬送対象となるパレットPの情報を取得する。作業内容取得部50は、作業内容におけるパレットPの情報から、トラックVに対して積み下ろしするパレットPを特定し、パレットPが設置されている場所、パレットPを搬送する場所を特定する。例えば、記憶部42には、パレットPと、トラックVと、待機場所とが、関連付けて記憶されており、作業内容取得部50は、記憶部42からその情報を読み出すことで、を特定する。移動体選定部52は、対象となる移動体10を選定する。トラック情報取得部51は、設備Wに停車する予定のトラックVと通信を行い、トラックVから情報を取得する。
【0025】
移動体選定部52は、例えば、設備Wに所属する複数の移動体から、対象となる移動体10を選定する。移動体選定部52は、任意の方法で対象となる移動体10を選定してよいが、例えば、作業内容取得部50が特定したパレットPの場所や、トラックVの種類に基づき、パレットPの搬送に適した移動体10を、対象となる移動体10として選定してもよい。
【0026】
ルート取得部54は、作業内容取得部50が特定した領域Arに向かうルートRの情報を、取得する。ルート取得部54は、トラックVに積み込むまたは積み下ろしするパレットPのそれぞれに対応付けられたルートRの情報を取得する。ルート取得部54は、基準位置姿勢取得部56の情報に基づいて、ルートRを再計算した情報も取得する。ルート取得部54は、管理システム12からルートの情報を取得しても、演算処理して取得してもよい。最初のルートRは、例えば領域Ar毎に、予め設定されており、ルート取得部54は、例えば記憶部42から、作業内容取得部50が特定した領域Arに対して設定されたルートRの位置(座標)情報を、取得する。最初のルートRは、例えば、トラックVが領域Ar内の設定された位置に停車した場合のパレットPの位置に基づいて設定される。ルートRは、本実施形態では、予め設定されたスタート位置から、領域Arへの経路である。ここでのスタート位置とは、移動体10が待機している位置であってよい。ルートRは、設備Wの地図情報に基づき予め設定される。設備Wの地図情報は、設備Wに設置されている障害物(柱など)や移動体10が走行可能な通路などの位置情報を含んだ情報であり、領域A内で移動体10が移動可能な領域を示す情報といえる。また、ルートRは、設備Wの地図情報に加えて、移動体10の車両仕様の情報にも基づき、設定されてよい。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。車両仕様の情報にも基づきルートRが設定されている場合、ルートRは、移動体毎に設定されてよい。なお、ルートRは、人によって、地図情報や車両仕様の情報などに基づき設定されてもよいし、演算装置14などの装置によって、地図情報や車両仕様の情報などに基づき、自動的に設定されてもよい。自動的にルートRを設定する場合、例えば通過して欲しいポイント(Waypoint)を指定してもよく、この場合、通過して欲しいポイントを通過しつつ、最短、かつ障害物(壁などの固定物)を避けたルートRの設定が可能となる。
【0027】
基準位置姿勢取得部56は、トラックVに対して搬送する1つ目のパレットP、つまり、トラックVから最初に積み下ろすパレットP、または、トラックPに最初に積み込むパレットPのトラックV内での位置を特定可能な情報を取得する。基準位置姿勢取得部56は、トラックVに対して搬送する1つ目のパレットPの位置情報を、移動体10から取得する。パレットPのトラックV内での位置情報は、設備W内でのパレットPの位置、パレットPの水平方向の向きを少なくとも含む。パレットPのトラックV内での位置情報は、パレットPの高さ情報を備えていてもよい。
【0028】
情報出力部60は、演算装置14が取得した情報を、通信部を介して、移動体10に出力する。移動体10と演算装置14との通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。情報出力部60は、ルート取得部54が取得したルートRの情報を、移動体10に出力する。ルートRは、トラックVへ向かう経路であるため、移動体10の移動に関する情報であるといえる。
【0029】
次に、図6から図12を用いて、移動制御システム1の処理動作を説明する。移動制御システム1は、トラックVに対するパレットPの搬送時に、トラックVに対して搬送する1つ目のパレットPの情報を作業者の補助を得て取得し、取得した1つ目のパレットPの情報に基づいて、2つ目以降のパレットPに対する搬送のルートRを設定し、移動体10によるパレットPの搬送を行う。以下、トラックの処理、演算装置の処理、移動体の処理について、それぞれ説明することで、移動制御システム1で実行する処理について説明する。また、以下では、トラックVにパレットPが搭載された状態で、設備Wに到着し、トラックVのパレットPを移動体10がトラックVから搬出する、積み下ろし作業の場合として説明する。
【0030】
図6は、トラックの処理の一例を示すフローチャートである。図6に示す処理は、トラックの作業員が各種機器を用いて実行する。まず、トラックVは、到着情報を演算装置14に出力する(ステップS12)。具体的には、トラックVは、設備Wに到着する予定の時刻の情報や現在の位置情報を出力する。なお、設備Wに到着するスケジュール等が予め決定している場合、ステップS12の処理は実行しなくてもよい。
【0031】
トラックVは、停車位置の情報を受信する(ステップS14)。トラックVは、演算装置14から、設備Wのどの位置に停止するかの情報を取得する。トラックVは、停車位置に停車する(ステップS16)。作業員は、トラックVを指定された領域Arに停車させる。トラックVは、領域Arに停車した後、停車完了位置を演算装置14に出力する(ステップS18)。
【0032】
次に、トラックVは、パレット(荷物)の搬送準備及び1つ目の荷物の特定処理の準備を行う(ステップS20)。具体的には、作業員は、パレット(荷物)の搬送準備として、側壁VBを開き、パレットPを搬出可能な状態とする。また、作業員は、1つ目の荷物の特定処理の準備として、最初に運び出すパレットPの位置を、移動体10のセンサ26に通知可能な状態とする。
【0033】
図7は、位置特定装置の一例を示す模式図である。本実施形態の作業者は、パレットPが設置されている荷台の近傍に位置特定装置102を配置する。位置特定装置102は、センサ26で検出可能なマークである。具体的には、センサ26の測定光を反射する材料で形成されたマークである。位置特定装置102は、2次元パターンで形成される。センサ26で2次元パターンの位置特定装置102を検出することで、位置特定装置102に対応ついたパレットPの位置と姿勢(向き)を検出することができる。最初に運び出すパレットPの位置を、移動体10のセンサ26に通知可能な状態とするための手段は、位置特定装置102に限定されない。図7に示すように、作業者が把持することができる位置特定装置104を用いてもよい。位置特定装置104は、センサ26で検出できる可搬式のマークである。作業者は、位置特定装置104を持ち、パレットPの近傍で、移動体10のセンサ26に対するティーチングを行うことで、パレットPの位置を移動体10に提供することができる。移動体10での認識処理については後述する。トラックVは、準備が整った後、演算装置14に準備完了情報を演算装置14に出力する(ステップS22)。
【0034】
次に、演算装置14の処理を説明する。図8は、演算装置の処理の一例を示すフローチャートである。演算装置14は、トラックからの到着情報を取得する(ステップS32)。演算装置14は、トラックの停車位置を決定し(ステップS34)、トラックの停車位置の情報を、トラックに出力する(ステップS36)。演算装置14は、トラックの提示情報を取得したかを判定する(ステップS38)。演算装置14は、停止位置の情報を提供したトラックが指定の位置に停車したことを示す情報を受信したかを判定する。演算装置14は、トラックの提示情報を取得していない(ステップS38でNo)と判定した場合、ステップS38に戻る。つまり、演算装置14は、トラックの停車情報を取得するまで、ステップS38の処理を繰り返す。
【0035】
演算装置14は、トラックの提示情報を取得した(ステップS38でYes)と判定した場合、管理システムから情報を取得し、移動体の特定を行う(ステップS40)。つまり、トラックVからパレットPを運び出す移動体を特定する。演算装置14は、特定した移動体に作業指示を出力する(ステップS42)。作業指示には、1つ目のパレットPを運び出す移動体10に対して、領域Arの1つ目のパレットPの近傍に移動するルートの情報と、1つ目のパレットの位置を検出する処理を実行する指示が含まれる。
【0036】
次に、演算装置14は、移動体から1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報を取得したか判定する(ステップS44)。演算装置14は、1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報を取得していない(ステップS44でNo)と判定した場合、ステップS44に戻る。つまり、演算装置14は、1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報を取得するまで、ステップS44の処理を繰り返す。
【0037】
演算装置14は、1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報を取得した(ステップS44でYes)と判定した場合、1つ目の荷物(パレット)の特定情報に基づいて、移動体の1つ目の荷物のアクセスパスを生成する(ステップS46)。つまり、演算装置14は、移動体10が取得した1つ目のパレットの位置情報に基づいて、移動体10が現在の位置から1つ目のパレットに移動するルートを生成する。演算装置14は、アクセスパスを設定したら、1つ目の荷物(パレット)へのアクセスパスを移動体に出力する(ステップS48)。
【0038】
次に、演算装置14は、1つ目の荷物(パレット)の特定情報と、荷物(パレット)の相対位置情報に基づいて2つ目以降の荷物のアクセスパスを生成する(ステップS50)。つまり、1つ目のパレットの位置の情報と、トラックVに搭載されているパレットの相対位置情報とに基づいて、トラックVに搭載されている各パレットの位置を算出し、各パレットの位置に基づいて、移動体10がアクセスするルートを生成する。パレットの相対位置情報は、トラックから送信される情報に含まれるトラックの荷台の情報、搭載しているパレットの位置等に基づいて取得することができる。具体的には、演算装置14は、1つの目のパレットの位置と姿勢を取得する。また、演算装置14は、パレットの相対位置情報からトラックVに搭載されているパレットの個数と、配置間隔の情報(例えばパレットの間に配置される緩衝材の太さの情報)等に基づいて、トラックのパレットの配置位置を推定する。演算装置14は、推定した2つ目以降のパレットの位置情報、姿勢情報に基づいて、2つ目以降のパレットへのアクセスパスを生成する。
【0039】
なお、演算装置14は、2つ目以降のパレットの位置情報も取得し、取得した複数のパレットの位置情報に基づいて、ステップS46からステップS50と同様の処理を実行し、取得したパレット以降の搬送対象のパレットのアクセスパスを再生成(修正)するようにしてもよい。
【0040】
演算装置14は、アクセスパスを生成したら、2つ目以降の荷物(パレット)のアクセスパスを移動体に出力する(ステップS52)。演算装置14は、1つのトラックVに搭載されている複数のパレットPを複数台の移動体10で搬送する場合、それぞれの移動体10にアクセスパスを出力する。
【0041】
次に、移動体10の動作について説明する。図9は、移動体の処理の一例を示すフローチャートである。移動体10は、演算装置14から送信された作業情報を取得する(ステップS62)。移動体10は、作業情報を取得したら、1つ目の荷物(パレット)に対する処理であるかを判定する(ステップS64)。移動体10は、判定処理は行わず、作業情報に含まれる処理を実行して、ステップS64からステップS80の処理を実行してもよい。つまり、移動体10は、作業情報に基づいた処理を実行して、図9の各処理を実行するようにしてもよい。
【0042】
移動体10は、1つ目の荷物(パレット)に対する処理ではない(ステップS64でNo)と判定した場合、ステップS76に進む。移動体10は、1つ目の荷物(パレット)に対する処理である(ステップS64でYes)と判定した場合、現状のアクセスルートに基づいて、対象のトラックの近傍に移動する(ステップS66)。
【0043】
次に、移動体10は、1つ目の荷物の位置を特定するための情報である特定位置の情報を取得する(ステップS68)。具体的には、上述したように、作業員により1つ目のパレットの近傍に配置された位置特定装置をセンサ26で検出し、センサ26で検出した位置特定装置の位置を1つ目のパレットを特定するための特定位置とする。
【0044】
移動体10は、パレットの特定位置を検出した後、演算装置14に1つ目の荷物(パレット)の特定位置を出力する。(ステップS70)。移動体10は、特定位置を出力した後、1つ目の荷物(パレット)に対するアクセスパスを取得する(ステップS72)。つまり、特定位置に基づいて演算装置14が算出した、現在位置からパレットPまでの移動のルートを取得する。移動体10は、アクセスパルに基づいて移動し、荷物(パレット)を搬送する(ステップS74)。
【0045】
移動体10は、ステップS74の処理の実行後またはステップS64でNoと判定した場合、対象の荷物のアクセスパスの情報を取得する(ステップS76)。つまり移動体10は、2つ目以降のパレットを搬送するためのアクセスパス、対象のパレットへ移動するルートの情報を取得する。移動体10は、取得したアクセスパスに基づいて、移動し、荷物(パレット)を搬送する(ステップS78)。
【0046】
ここで、移動体10は、2つ目以降のパレットに対してアプローチする場合、アプローチ時にパレットの位置を計測し、推定されるパレットの位置と計測したパレットの位置のずれ情報を取得する。トラックに搭載されたパレットは、搭載時のずれや、緩衝材の太さのばらつきで、位置ずれが生じる場合がある。移動体10は、位置ずれの算出結果に基づいて、フォークをサイドシフト(フォークの水平方向の位置を移動)させ、パレットを保持できる状態とする。また、移動体10は、パレットの位置ずれの情報や、サイドシフトの量を演算装置14に出力する。また、移動体10は、位置ずれをサイドシフトで補正する方法以外にも、位置ずれに基づいてアプローチパスを更新して補正する方法や、サーボ機構を用いて位置ずれを補正する方法を用いてもよい。演算装置14は、上述したように、取得した2つ目以降のパレットの搬送の情報に基づいて、アクセスルートを再生成、微修正してもよい。これにより、緩衝材の大きさのズレやパレットの大きさのズレ、また、パレット上の荷物のオーバーハングによる影響を柔軟に対応することが可能となる。
【0047】
移動体10は、処理終了か、つまり、パレットの搬送が終了したかを判定する(ステップS80)。移動体10は、処理終了ではない(ステップS80でNo)と判定した場合、ステップS76に戻り、別のパレットPの搬送処理を実行する。移動体10は、処理終了である(ステップS80でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0048】
図10は、移動制御システムの処理を説明するための説明図である。図11は、移動制御システムの処理を説明するための説明図である。図12は、移動制御システムの処理を説明するための説明図である。移動制御システム10は、図6図8及び図9の処理をトラックV、演算装置14、移動体10で連動して実行することで、目標物であるパレット(荷物)を搬送することができる。
【0049】
移動制御システム1は、トラックVが停車する領域Arに対して、移動体10の標準的なアクセルルートR1が設定される。アクセルルートR1は、領域ArにトラックVが標準的な位置に停車することを想定して設定されるルートである。ここで、トラックVは、作業員が運転して停車するため、図10に示すように、領域Arの中心にトラックVが停車せず、想定した位置からずれることがある。このようにずれた状態で、ルートR1に沿って移動体10を移動させると、1つ目のパレットPを見つけるまで時間がかかることになる。また、別のパレットをご認識する可能性もある。さらに、複数のパレットPを毎回検出していると計算の負荷も高くなる。
【0050】
本実施形態の移動制御システム1は、図11のステップS92に示すように、1つ目のパレットPのピックアップ時に、移動体10をルートR1に基づいて、トラックVの近傍まで移動させる。その後、移動体10で、作業員が移動体10で認識できるように配置した位置特定装置102、104を検出し、1つ目のパレットの位置を検出する。
【0051】
移動制御システム1は、検出した結果に基づいて、1つ目のパレットの位置までのルートR2を算出し、ステップS92に示すように、移動体10を移動させる。これにより、移動体10を1つ目のパレットをピックアップしやすい位置に移動させることができる。
【0052】
以下、図12を用いて、移動体10でパレットをピックアップする処理について説明する。移動体10は、パレットPをピックアップする場合、ステップS102に示すように、パレットPから離れた位置から、ステップS104に示すようにパレットPの近傍まで移動する。次に、移動体10は、ステップS108に示すように、フォーク24をパレットPの保持位置となる位置まで、鉛直方向に移動させる。
【0053】
移動体10は、ステップS110に示すように、フォーク24を水平方向に伸ばし、パレットPの挿入位置にフォーク24の先端を挿入する。移動体10は、フォーク24をパレットに刺した状態で、フォーク24を鉛直方向上側に移動させた後、フォーク24を縮めることで、ステップS112に示すように、フォーク24でパレットPを保持した状態とする。移動体10は、その後、フォーク24を縮めることで、ステップS114に示すように、フォーク24の根本部分で、パレットPを保持した状態とする。なお、本実施形態では、フォーク24を水平方向に伸縮させる場合として説明したが、フォーク24を伸縮させずに、移動体10自体が、前後方向に移動して、フォーク24とパレットの位置関係を上記状態とするようにしてもよい。
【0054】
移動制御システム1は、1つ目のパレットPの搬送時に検出した1つ目のパレットPの位置情報と、トラックVの他のパレットとの相対位置の情報に基づいて、他のパレットへのアクセスルートR3を算出する。これにより、図11のステップS96に示すように、トラックVの姿勢に合わせて位置を調整したアクセルルートR3が算出される。移動制御システム1は、算出したアクセルルートR3に基づいて、移動体10を移動させる。
【0055】
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態に係る移動制御システム1は、1つ目のパレットの位置情報に基づいて、2つ目以降のパレットのアクセスルートを算出することで、対象領域であるトラックに搭載されたパレットを高い精度で移動体10を移動させることができる。また、1つ目のパレットの搬送時に、1つ目のパレットの位置情報を、作業者の支援に基づいて検出し、2つ目以降のパレットの搬送は自動運転とすることができる。これにより、作業者の負担を少なくしつつ、かつ、パレットへのアクセスの精度を高くすることができる。また、移動制御システム1は、パレットへのアクセス速度の向上によりスループットを改善することができる。
【0056】
移動制御システム1は、位置特定装置102、104をセンサ26で検出させることで、位置を特定できるため、作業者の作業負担が大きくなることも抑制できる。また、移動制御システム1は、移動体10にフォーク24をスライドさせる機構、チルトさせる機構を設け、パレットPを保持するフォーク24の位置を微調整させることが好ましい。これにより、位置特定装置102、104を用いて、1つ目のパレットの位置情報を特定するための情報の許容ずれ量を大きくすることができ、作業性を高くすることができる。移動制御システム1は、2つ目以降のパレットの位置がずれている場合も、パレットPを保持するフォーク24の位置を微調整できることで、パレット大きさの誤差、緩衝材の大きさの誤差、パレット上の荷物のオーバーハングなどでの位置ずれを吸収させることができ、より柔軟性を上げて稼働率を改善できる。
【0057】
また、上記実施形態では、目標物であるパレットを対象領域であるトラックからピックアップする場合としたが、目標物であるパレットを対象領域であるトラックにドロップする場合にも用いることができる。この場合、移動体10で目標物をドロップする際に、対象領域でのパレットPの位置を検出し、その結果を用いて、2つ目以降のパレットをドロップする位置を決定し、アクセスルートを算出する。なお、移動制御システム1は、パレットをドロップする場合、パレットのドロップ位置の両隣の環境を検出する。例えば、1つ目のパレットの場合、トラックの荷台の柱や壁の位置把握を行う。移動制御システム1は、2個目以降のパレットの場合、隣のパレットの荷物の位置と緩衝材の位置を推定してアクセスルートを設定する。また、移動制御システム1は、最後のパレットの場合、隣のパレットの荷と、荷台の柱や壁の情報に基づいて、アクセスルートを設定する。また、移動体は、アクセスルートの情報に基づいて移動し、最終的なドロップ時は、サイドシフト機構により微修正を行いながらドロップすることが好ましい。
【0058】
図13は、移動制御システムで目標物をドロップする処理を説明するための説明図である。図14は、移動制御システムで目標物をドロップする処理を説明するための説明図である。
【0059】
この場合、移動制御システム1は、図13のステップS132に示すように、移動体10がドロップするパレットPを保持した状態で、ルートR4に基づいて、1つ目のパレットPをドロップするトラックVの近傍まで移動させる。ここで、ルートR4は、領域のトラックVが理想的な位置に停車している場合のルートである。その後、移動体10で、作業員が移動体10で認識できるように配置した位置特定装置102、104を検出し、1つ目のパレットの位置を検出する。
【0060】
移動制御システム1は、検出した結果に基づいて、1つ目のパレットの位置までのルートR5を算出し、ステップS134に示すように、移動体10を移動させる。これにより、移動体10を1つ目のパレットをドロップしやすい位置に移動させることができる。
【0061】
以下、図14を用いて、移動体10でパレットをドロップする処理について説明する。移動体10は、パレットPをドロップする場合、ステップS142に示すように、ドロップする位置に対して離れた位置から、ステップS144に示すようにトラックVのパレットPをドロップする予定位置の近傍まで移動する。次に、移動体10は、ステップS146に示すように、フォーク24をパレットPの保持位置となる位置まで、鉛直方向に移動させる。
【0062】
移動体10は、ステップS148に示すように、フォーク24を水平方向に伸ばし、パレットPをトラックVのドロップ予定位置の真上まで移動させる。移動体10は、フォーク24をパレットPに刺した状態で、フォーク24を鉛直方向下側に移動させて、ステップS150に示すように、パレットPをトラックVと接触させる。その後、フォーク24を縮めることで、ステップS152に示すように、移動体10がパレットPから離れた状態とする。
【0063】
移動制御システム1は、1つ目のパレットPの搬送時に検出した1つ目のパレットPの位置情報と、トラックVの他のパレットとの相対位置の情報に基づいて、他のパレットへのアクセスルートR6を算出する。これにより、図13のステップS136に示すように、トラックVの姿勢に合わせて位置を調整したアクセルルートR6が算出される。移動制御システム1は、算出したアクセルルートR6に基づいて、移動体10を移動させて、トラックVの各位置にパレットPをドロップする。
【0064】
このように、移動制御システム1は、目標物を所定位置にドロップする場合も、1つ目のパレットのドロップ位置を、作業者の補助を得つつ、特定し、その結果を用いて、2つ目以降のパレットのドロップする位置を決定し、自動運転でパレットを搬送することで、高い精度でかつ効率よく、目標物を搬送することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、1つ目のパレットの位置を移動体10のセンサで検出したがこれに限定されない。図15は、他の実施形態に係る移動制御システムの模式図である。図16は、位置特定装置の一例を示す模式図である。図15に示す移動制御システムは、カメラ150、152を備える。移動制御システムは、カメラ150、152で位置特定装置202の位置を検出する。ここで、位置特定装置202は、図16に示すように、フォーク24の先端と対応する先端部と、作業者が保持する把持部とを備える。位置特定装置202は、先端部をパレットPに挿入した状態で、外部に露出する部分に、マーク210、212、214、216を備える。位置特定装置202は、パレットPに適正な位置まで挿入されるとパレットPと接触する位置にスイッチ220が配置される。
【0066】
1つ目のパレットPの位置を特定する情報を取得する場合、作業者が位置特定装置202を1つ目のパレットPに挿入し、スイッチ220とパレットPを接触させる。移動制御システム1は、スイッチ220とパレットPが接触している情報を取得すると、カメラ150、152で、位置特定装置202のマーク210、212、214,216を検出する、なお、本実施形態では、カメラ150、152で、マークを検出する場合としたが、マークの検出方法はこれに限定されない。例えば、カメラに替えて、レーザセンサで対象物の位置を検出してもよい。検出したマーク210、212、214,216の位置情報を1つ目のパレットPの位置を特定する情報として検出する。移動制御システム1は、マーク210、212、214,216が移っている画像情報を解析することで、パレットPの位置を算出し、アクセスルートを決定する。
【0067】
このように、1つ目のパレットPに対応つけた位置特定装置202を設備Wに配置したカメラで撮影し、パレットPの位置を算出するようにしてもよい。また、位置特定装置202を用いることで、パレットPを保持する際に、フォーク24は配置する位置を高い精度で検出することができる。これにより位置の検出精度を高くすることができる。なお、スイッチ220は、なくてもよい。
【0068】
上記実施形態の移動制御システム1は、位置特定装置を検出し、その結果に基づいて、1つ目のパレットの位置を特定する情報を取得したが、1つ目のパレットの位置を特定する情報の方法は、これに限定されない。移動制御システム1は、1つ目のパレットの位置を作業員が移動体10の運転を制御し、実際にパレットを移動させた情報に基づいて、検出してもよい。図17は、演算装置の処理の他の例を示すフローチャートである。図18は、移動体の処理の他の例を示すフローチャートである。
【0069】
演算装置14は、トラックからの到着情報を取得する(ステップS32)。演算装置14は、トラックの停車位置を決定し(ステップS34)、トラックの停車位置の情報を、トラックに出力する(ステップS36)。演算装置14は、トラックの提示情報を取得したかを判定する(ステップS38)。演算装置14は、停止位置の情報を提供したトラックが指定の位置に停車したことを示す情報を受信したかを判定する。演算装置14は、トラックの提示情報を取得していない(ステップS38でNo)と判定した場合、ステップS38に戻る。つまり、演算装置14は、トラックの停車情報を取得するまで、ステップS38の処理を繰り返す。
【0070】
演算装置14は、トラックの提示情報を取得した(ステップS38でYes)と判定した場合、管理システムから情報を取得し、移動体の特定を行う(ステップS40)。つまり、トラックVからパレットPを運び出す移動体を特定する。演算装置14は、特定した移動体に作業指示を出力する(ステップS42)。作業指示には、1つ目のパレットPを運び出す移動体10に対して、領域Arの1つ目のパレットPの近傍に移動するルートの情報と、1つ目のパレットの位置を検出する処理を実行する指示が含まれる。
【0071】
次に、演算装置14は、移動体から1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報として、搬送ルートの情報を取得したか判定する(ステップS202)。演算装置14は、1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報を取得していない(ステップS202でNo)と判定した場合、ステップS202に戻る。つまり、演算装置14は、1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報を取得するまで、ステップS202の処理を繰り返す。
【0072】
演算装置14は、1つ目の荷物(パレット)の位置の特定情報を取得した(ステップS202でYes)と判定した場合、1つ目の荷物(パレット)の特定情報と、荷物(パレット)の相対位置情報に基づいて2つ目以降の荷物のアクセスパスを生成する(ステップS50)。つまり、1つ目のパレットの位置の情報と、トラックVに搭載されているパレットの相対位置情報とに基づいて、トラックVに搭載されている各パレットの位置を算出し、各パレットの位置に基づいて、移動体10がアクセスするルートを生成する。パレットの相対位置情報は、トラックから送信される情報に含まれるトラックの荷台の情報、搭載しているパレットの位置等に基づいて取得することができる。演算装置14は、アクセスパスを生成したら、2つ目以降の荷物(パレット)のアクセスパスを移動体に出力する(ステップS52)。演算装置14は、1つのトラックVに搭載されている複数のパレットPを複数台の移動体10で搬送する場合、それぞれの移動体10にアクセスパスを出力する。
【0073】
次に、移動体10の動作について説明する。図18は、移動体の処理の一例を示すフローチャートである。移動体10は、演算装置14から送信された作業情報を取得する(ステップS62)。移動体10は、作業情報を取得したら、1つ目の荷物(パレット)に対する処理であるかを判定する(ステップS64)。移動体10は、判定処理は行わず、作業情報に含まれる処理を実行して、ステップS64からステップS80の処理を実行してもよい。つまり、移動体10は、作業情報に基づいた処理を実行して、図9の各処理を実行するようにしてもよい。
【0074】
移動体10は、1つ目の荷物(パレット)に対する処理ではない(ステップS64でNo)と判定した場合、ステップS76に進む。移動体10は、1つ目の荷物(パレット)に対する処理である(ステップS64でYes)と判定した場合、制御指示に基づいて1つ目の荷物(パレット)の搬送を行う(ステップS222)。ここで、制御指示は、作業者による入力である。作業者が入力する方法は、リモコンを用いて遠隔操作で入力しても、移動体10の操作部を操作して入力してもよい。リモコンを用いる場合、モニターで現地を確認しつつ操作しても、現地で移動体10とパレットを視認しつつ操作してもよい。次に、移動体10は、1つ目の荷物(パレット)を搬送するルートの情報を、パレットの位置を特定するための情報である特定位置の情報として演算装置に出力する(ステップS224)。
【0075】
移動体10は、ステップS224の処理の実行後またはステップS64でNoと判定した場合、対象の荷物のアクセスパスの情報を取得する(ステップS76)。つまり移動体10は、2つ目以降のパレットを搬送するためのアクセスパス、対象のパレットへ移動するルートの情報を取得する。移動体10は、取得したアクセスパスに基づいて、移動し、荷物(パレット)を搬送する(ステップS78)。
【0076】
移動体10は、処理終了か、つまり、パレットの搬送が終了したかを判定する(ステップS80)。移動体10は、処理終了ではない(ステップS80でNo)と判定した場合、ステップS76に戻り、別のパレットPの搬送処理を実行する。移動体10は、処理終了である(ステップS80でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0077】
移動制御システム1は、1つ目のパレットの搬送を、作業者の操作で実行し、操作されたルートの情報に基づいて、1つ目のパレットの位置を特定し、2つ目以降のパレットのアクセスルートを算出してもよい。これにより、作業者は1つ目のパレットの搬送を行うのみで、残りのパレットのアクセスルートを自動で検出することができる。また、本実施形態の場合、作業者が操作する移動体10の操縦席を設けるようにしてもよい。
【0078】
また、移動制御システム1は、監視装置を設け、作業者が1つ目のパレットの位置を特定するための補助動作を実行している場合、対象外の移動体10が作業者に近づかないようにすることが好ましい。これにより、作業の安全性を高くすることができる。
【0079】
(システムの他の例)
また、本実施形態では、管理システム12がパレットPの情報を示す作業内容を決定し、演算装置14が、対象となる移動体10を特定したり、ルートRを取得したりしていた。ただし、管理システム12と演算装置14との処理内容は、それらに限られない。例えば、管理システム12が、演算装置14の少なくとも一部の処理を受け持ってもよいし、演算装置14が、管理システム12の少なくとも一部の処理を受け持ってもよい。また、管理システム12と演算装置14とが1つの装置(コンピュータ)であってもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0081】
例えば、本実施形態では、対象領域をトラック等の車両としたが、目標物(荷物)が所定の範囲で規則的に並んでいる(整列している)状態であればよい。仕切りが設けられた領域に目標物が配置されている場合でも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 移動制御システム
10 移動体
12 管理システム
14 演算装置
24 フォーク
26 センサ
40 制御装置
42 記憶部
50 作業内容取得部
51 トラック情報取得部
52 移動体選定部
54 ルート取得部
56 基準位置姿勢取得部
60 情報出力部
102、104 位置特定装置
Ar 領域
P パレット(目標物)
R ルート
V トラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18