(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F25D17/08 307
(21)【出願番号】P 2020096997
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】西田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】森田 洋平
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/029728(WO,A1)
【文献】特開2020-070961(JP,A)
【文献】特開平11-094432(JP,A)
【文献】特開2003-121058(JP,A)
【文献】特開2003-075048(JP,A)
【文献】国際公開第2019/193648(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0356539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室と、冷凍室と、前記冷蔵室と前記冷凍室との間に配置されている野菜室とを有する貯蔵空間と、
前記冷凍室の背面に少なくとも一部が配置され、冷却器が配置されている冷却室と、
前記野菜室の背面に配置され、前記冷却室で生成された冷気を前記冷蔵室へ送出する冷気ダクトと、
前記冷蔵室と前記野菜室との間に配置され、前記冷蔵室から前記野菜室へ冷気を供給する冷気の流入口と、
前記野菜室に設けられた冷気の排出口から前記冷却室へ冷気を戻す冷気戻りダクトと
を備え、
前記冷気ダクトの少なくとも一部は、
前記野菜室の左右方向における中央部で前記野菜室の背面から前方側に突出し、
かつ、前記野菜室の上下方向に亘って延びており、
前記流入口と、前記排出口とは、
少なくとも一部が前記冷気ダクトの前方側の突出面よりも後方に位置するとともに、前記冷気ダクトを間に挟んで互いに異なる側に配置されており、
前記流入口は前記野菜室の上下方向に向いて開口しており、前記流入口から前記野菜室へ流入した冷気を、前記冷気ダクトの方へ導く送出方向制御部を備えている、冷蔵庫。
【請求項2】
前記野菜室の前方からの冷気が、前記排出口に流入することを抑制する流入方向制御部をさらに備えている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷気ダクトは、前記流入口が設けられている側よりも前記排出口が設けられている側の方が、より前方側へ突出している、請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵空間は、製氷室をさらに有しており、
前記冷蔵室内には、前記製氷室へ水を供給する給水タンクが設けられており、
前記流入口の少なくとも一つは、前記給水タンクの下に設けられている、
請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜室を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、冷蔵室の下方に野菜室を配置し、野菜室の下方に冷凍室を配置したものがある。例えば、特許文献1には、冷蔵庫本体1の最上部には冷蔵室7、その下部に野菜室8、そして最下部に冷凍室9が配置されていている、真ん中野菜室タイプの冷蔵庫が開示されている。この冷蔵庫本体1の後部には冷気を生成する冷却室16が設けられている。この冷却室16は、冷凍室9の背面から野菜室8の下部背面に渡って形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、冷蔵庫には、冷却室からの冷気を冷蔵室へ送出するための冷気ダクトが設けられている。冷気ダクトは、例えば、冷蔵室の背面の略中央部に設けられている。上記のような中段に野菜室が配置されている冷蔵庫では、野菜室の背面にも冷気ダクトが配置される構成となる。そして、冷却室で生成された冷気は、野菜室の背面を通った後、冷蔵室の背面から冷蔵室内へ送出される。
【0005】
野菜室は、冷蔵室と比較して温度が高く、湿度も高い傾向にある。そのため、野菜室の背面に設けられた冷気ダクトに冷たい空気が流れると、野菜室との温度差によって野菜室内の冷気ダクトの表面に結露が生じることがある。
【0006】
本発明では、野菜室における冷気ダクトとの境界部の結露を抑制することのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、冷蔵室と、冷凍室と、前記冷蔵室と前記冷凍室との間に配置されている野菜室とを有する貯蔵空間と、前記貯蔵空間の背面に配置され、冷却器が配置されている冷却室と、前記貯蔵空間の背面に配置され、前記冷却室で生成された冷気を前記冷蔵室へ送出する冷気ダクトと、前記冷蔵室と前記野菜室との間に配置され、前記冷蔵室から前記野菜室へ冷気を供給する冷気の流入口と、前記野菜室に設けられた冷気の排出口から前記冷却室へ冷気を戻す冷気戻りダクトとを備えている。この冷蔵庫において、前記流入口と、前記排出口とは、前記冷気ダクトを間に挟んで互いに異なる側に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一局面によれば、野菜室における冷気ダクトとの境界部の結露を抑制することのできる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる冷蔵庫の貯蔵空間の構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫の内部構成を示す断面模式図である。
【
図3】
図1に示す冷蔵庫の冷蔵貯蔵室内の冷気の循環経路を示す正面模式図である。
【
図4】第1の実施形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体の構成を示す斜視図である。
【
図5】冷気ダクトおよび野菜室の冷気の流れを示す正面模式図である。
【
図6】野菜室を上方から見た状態での野菜室内の冷気の流れを示す模式図である。
【
図7】第1の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室内に設けられている風向規制部材の構成を示す正面図である。
【
図8】第1の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室内に設けられている風向規制部材の構成を示す上方斜視図である。
【
図9】第1の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室内に設けられている風向規制部材の構成を示す側方斜視図である。
【
図10】第1の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室内に設けられている野菜ケースを示す斜視図である。
【
図11】野菜室を横方向から見た状態での野菜室内の冷気の流れを示す模式図である。
【
図12】第2の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室の構成を示す正面模式図である。
【
図13】
図12に示す冷蔵庫の野菜室内に設けられている野菜ケースの一例を示す斜視図である。
【
図14】
図12に示す冷蔵庫の野菜室内に設けられている野菜ケースの他の例を示す斜視図である。
【
図15】(a)および(b)は、
図12に示す冷蔵庫の野菜室内に設けられている野菜ケースの変形例を示す斜視図である。
【
図16】第3の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室の構成を示す正面模式図である。
【
図17】
図15に示す冷蔵庫の野菜室内に設けられている風向規制部材を示す斜視図である。
【
図18】第4の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室の構成を示す正面模式図である。
【
図19】第4の実施形態にかかる冷蔵庫内の構成を示す斜視図である。
【
図20】第5の実施形態にかかる冷蔵庫の野菜室の構成を示す正面模式図である。
【
図21】第5の実施形態にかかる冷蔵庫内の構成を示す斜視図である。
【
図22】第6の実施形態にかかる冷蔵庫内の構成を示す斜視図である。
【
図23】
図22に示す冷蔵庫の野菜室内に設けられている蓋部材の構成の一例を示す斜視図である。
【
図24】
図22に示す冷蔵庫の野菜室内に設けられている蓋部材の構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施形態>
(冷蔵庫の全体構成)
先ず、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を説明する。
図1には、冷蔵庫1の貯蔵空間10の構成を示す。
図2には、冷蔵庫1の内部構成を示す。
【0012】
図1に示すように、冷蔵庫1は、貯蔵空間10を有している。貯蔵空間10は、仕切り部59(具体的には、仕切り部59a・59b・59cなど)によって複数の貯蔵室に区画されている。貯蔵空間10は、主として、冷蔵室11、第1冷凍室12、野菜室13、製氷室14、および第2冷凍室15を有している。
【0013】
冷蔵室11は、最上段に配置されている。第1冷凍室12は、最下段に配置されている。野菜室13、製氷室14、および第2冷凍室15は、冷蔵室11と第1冷凍室12との間に配置されている。野菜室13は、製氷室14および第2冷凍室15の上段に配置されている。製氷室14および第2冷凍室15は、横に並んで配置されている。図示はしていないが、各貯蔵室には、扉がそれぞれ設けられている。
【0014】
これらの貯蔵室のうち、冷蔵室11および野菜室13は、冷蔵貯蔵室に分類され、第1冷凍室12、製氷室14、および第2冷凍室15は、冷凍貯蔵室に分類される。本実施形態にかかる冷蔵庫1は、上段側に冷蔵貯蔵室が配置され、下段側に冷凍貯蔵室が配置される。但し、別の実施態様では、上段側に冷凍貯蔵室が配置され、下段側に冷蔵貯蔵室が配置されてもよい。
【0015】
このように、冷蔵庫1の貯蔵空間10は、上段側の冷蔵貯蔵室と、下段側の冷凍貯蔵室とに大きく分けられる。そして、上段側の冷蔵貯蔵室(具体的には、冷蔵室11および野菜室13)と下段側の冷凍貯蔵室(具体的には、第1冷凍室12、製氷室14、および第2冷凍室15)との間を仕切る仕切り部59bは、内部に断熱材を有する断熱性の高い壁で形成されている。
【0016】
また、ともに冷蔵貯蔵室に分類される冷蔵室11と野菜室13との間に設けられた仕切り部59aは、比較的断熱性の低い板状の樹脂部材で形成されている。また、ともに冷凍貯蔵室に分類される第1冷凍室12、製氷室14、および第2冷凍室15の間を仕切る仕切り部59cは、間口部分のみに設けられている(
図4参照)。すなわち、断熱箱体50の内部では、冷凍貯蔵室は一つの空間で形成されている。この冷凍貯蔵室をまとめて冷凍室と呼ぶこともできる。
【0017】
冷蔵室11内には、チルド室16が設けられている。チルド室16は、冷蔵室11内の下方の仕切り部59a上に設けられている。また、チルド室16の横には、製氷室14へ水を供給する給水タンク18が設けられている。給水タンク18内の水は、野菜室13内に配置された給水管19を通って製氷室14へ供給される。野菜室13内には、野菜ケース17が設けられている。
【0018】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面とする。そして、前面に対向する面を背面とする。また、本明細書中において、「前面側」または「背面側」と規定するときは、任意の位置を基準として前面又は背面が設けられている側、あるいは、任意の位置から前面又は背面へ向かう方向のことを意味する。また、前面から背面、あるいは、背面から前面に向かう方向を前後方向という。
【0019】
冷蔵庫1には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている。断熱箱体50は、冷蔵庫1の外周を覆うように設けられている。
【0020】
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管を介して、圧縮機(図示せず)、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、及び、冷却器32などが接続されて構成されている。
【0021】
冷却器32は、冷蔵庫1の背面側に設けられた冷却室31内に配置されている。冷却室31内には、冷却器32の他に、冷却ファン33などが備えられている。冷却ファン33は、冷却室31と貯蔵空間10との間で空気を循環させるために設けられている。
【0022】
(冷気の循環経路について)
次に、冷蔵庫1における冷気の循環経路について説明する。ここでは、冷却室31内で生成された冷気が冷蔵室11および野菜室13などの冷蔵貯蔵室に供給され、各貯蔵室を通過した後、冷却室31へ戻されるときの冷気の循環経路について説明する。
【0023】
図2では、冷蔵貯蔵室内の冷気の循環経路を矢印で示す。また、
図3には、冷蔵庫1を正面から見た状態での冷蔵貯蔵室内の冷気の循環経路を矢印で示す。
【0024】
冷気は、貯蔵空間10の背面側に配置されている冷却室31内で生成される。本実施形態では、冷却室31は、第1冷凍室12などの冷凍室、および野菜室13の背面に配置されている(
図2参照)。冷却室31内の冷却器32によって冷やされた冷気は、冷却ファン33によって、貯蔵空間10の各貯蔵室へ送出される。
【0025】
冷蔵室11および野菜室13などの冷蔵貯蔵室へ供給される冷気は、冷気ダクト41を通って、先ず冷蔵室11へ送られる。冷気ダクト41は、冷蔵室11の背面に配置されている(
図2など参照)。本実施形態では、冷気ダクト41の一部(下方部分)は、野菜室13の背面に位置している。冷気ダクト41は、冷却室31の上方に位置しており、冷却室31と連通している。
【0026】
なお、冷蔵庫1は、冷却室31がより下方に位置していてもよい。このような構成の場合、冷気ダクト41は、野菜室13の背面にも設けられている。
【0027】
冷却室31と冷気ダクト41との間には、ダンパ34が設けられている。ダンパ34を開閉することで、冷蔵室11に供給される冷気の流れをON/OFFすることができる。
【0028】
図1などに示すように、冷気ダクト41は、断熱箱体50の左右方向における略中央部に配置されており、上下方向に延びている。冷気ダクト41と冷蔵室11との境界には、冷気の送出口42が設けられている。
図1に示す例では、送出口42は、冷気ダクト41の前面に上下方向に延びるように配置されている。冷却室31から冷気ダクト41を通過した冷気は、送出口42から冷蔵室11内へ供給される。送出口42はチルド室16にも設けられており、冷気ダクト41からの冷気はチルド室16にも供給される。
【0029】
冷蔵室11およびチルド室16を通った冷気は、冷蔵室11と野菜室13との間に設けられている吐出口(流入口)43から野菜室13へ送出される。吐出口43は、冷蔵室11と野菜室13とを仕切る仕切り部59aに形成されている開口部43aなどで実現される(
図4参照)。開口部43aは、正面から見て冷蔵室11または野菜室13の左端の後方側(背面側)の角部分に設けられている。
【0030】
吐出口43から野菜室13へ流入した冷気は、野菜室13内を通り、野菜室13の下方に設けられている戻り口(排出口)44から冷気戻りダクト45へ流入する。戻り口44は、正面から見て野菜室13の右端の後方側(背面側)の角部分に設けられている(
図8参照)。冷気戻りダクト45は、断熱箱体50の後方側に配置されており、冷却室31へと通じている。これにより、戻り口44から冷気戻りダクト45へ流入した冷気は、冷却室31に戻される。
【0031】
以上のように、冷蔵庫1には、冷蔵室11の背面の略中央部に冷却室31からの冷気を冷蔵室11へ送出するための冷気ダクト41が設けられている。冷気ダクト41から冷蔵室11に供給された冷気は、野菜室13を通過した後、野菜室13に設けられた戻り口44から冷却室31へと戻るような構成となっている。
【0032】
(野菜室内の冷気の流れについて)
続いて、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1において、野菜室13内で冷気がどのように流れるのかについて、より具体的に説明する。
図4には、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1の断熱箱体50の構成を示す。
図4では、冷蔵室11内の冷気を野菜室13へ流入させる吐出口43(すなわち、開口部43aおよび送風孔43b)の具体的な構成を示す。
【0033】
図5には、野菜室13、およびその背面の冷却室31および冷気ダクト41における冷気の流れを模式的に示す。
図5では、冷気ダクト41内を流れる冷気を破線の矢印で示し、野菜室13内を流れる冷気を実線の矢印で示している。
図6では、野菜室13を上方から見た状態での野菜室13内の冷気の流れを模式的に示す。
図11では、野菜室13を横方向から見た状態で野菜室13内の冷気の流れを模式的に示す。
図11では、冷気ダクト41内を流れる冷気を破線の矢印で示し、野菜室13内を流れる冷気を実線の矢印で示している。
【0034】
図5および
図6などに示すように、野菜室13に設けられた冷気の吐出口43と、冷気の戻り口44とは、冷気ダクト41(および冷却室31の一部)を間に挟んで互いに異なる側に配置されている。そして、吐出口43から野菜室13内に流入した冷気は、
図5に示すように、冷気ダクト41の前方側を通って、左右方向の反対側に設けられた戻り口44へと導かれる。また、
図6に示すように、野菜室13内では、吐出口43から流入した冷気のより多くを野菜室13の背面の方(すなわち、冷気ダクト41のより近傍)へと導くような構成となっている。
【0035】
本実施形態にかかる冷蔵庫1は、野菜室13内に流入した冷気の送出方向を上記のように規制するために、複数の風向規制部材が設けられている。
図7から
図10には、野菜室13内に設けられている複数の風向規制部材(具体的には、第1の風向規制部材61、第2の風向規制部材62、第3の風向規制部材63、および第4の風向規制部材64)の構成を示す。
【0036】
図7は、野菜室13内の構成を示す正面図である。
図8は、野菜室13内を上方側から見たときの斜視図である。
図8では、断熱箱体50の右側の側壁の一部および仕切り部59aの図示を省略し、野菜室13の内部を示している。
図9は、野菜室13内を側方側から見たときの斜視図である。
図9では、断熱箱体50の右側の側壁の一部および仕切り部59aの図示を省略し、野菜室13の内部を示している。
図10は、野菜室13内に配置される野菜ケース17の底面側の構成を示す斜視図である。
【0037】
第1の風向規制部材61は、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、冷気ダクト41の近傍を通って戻り口44の方(すなわち、斜め下方)へ導く送出方向制御部として機能する。
図7に示すように、第1の風向規制部材61は、野菜室13の吐出口43の下方に設けられている。本実施形態では、第1の風向規制部材61は、野菜ケース17を支持するために断熱箱体50の内箱の左側の側壁に設けられたフレーム部材21の支持部で形成されている。なお、
図7では図示していないが、フレーム部材21は、内箱の右側の側壁にも設けられている。
【0038】
第2の風向規制部材62は、野菜室前方から後方へと向かう冷気が戻り口44に流入することを抑制する流入方向制御部として機能する。
図8に示すように、第2の風向規制部材62は、野菜室13の底面上に、戻り口44の周囲を取り囲むように設けられている。これにより、野菜室13内前方からの冷気が戻り口44に流入することを抑制でき、野菜室13内後方の冷気ダクト41の前方側を通った冷気が戻り口44に流入することを促進する。
【0039】
第3の風向規制部材63は、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、野菜室の後方側へ導く送出方向制御部として機能する。
図8および
図9に示すように、第3の風向規制部材63は、仕切り部59aの下方に設けられ、後方側へ突出する壁状の部材である。なお、別の実施態様では、第3の風向規制部材63は設けられていなくてもよい。
【0040】
吐出口43が、野菜室13内のより前方側に設けられている構成の場合には、第3の風向規制部材63が設けられていることが好ましい。すなわち、後述するように、吐出口43が、給水タンク18の設置部53の側壁に設けられている送風孔43bを有する構成の場合には、第3の風向規制部材63によって送風孔43bから野菜室13内へ流入した冷気を野菜室13の後方側へ導くことができる。
【0041】
第4の風向規制部材64は、野菜室前方から後方へと向かう冷気が戻り口44に流入することを抑制する流入方向制御部として機能する。
図10に示すように、第4の風向規制部材64は、野菜ケース17の底面17aから立設する壁状の部材である。野菜ケース17が野菜室13内に設置された状態で、第4の風向規制部材64は、戻り口44の前方側に位置する。これにより、野菜室13内前方からの冷気が戻り口44に流入することを抑制でき、野菜室13内後方の冷気ダクト41の前方側を通った冷気が戻り口44に流入することを促進する。
【0042】
また、野菜ケース17も送出方向制御部や流入方向制御部として機能する。具体的には、野菜ケース17が野菜室13内に設置された状態で、
図6に示すように、野菜ケース17の背面部17bによって吐出口43から野菜室13へ流入した冷気が前方に流入することを抑制するため、野菜室の後方側へ導く送出方向制御部として機能する。また、野菜ケース17が野菜室13内に設置された状態で、野菜ケース17の底面17aによって野菜室前方から後方へと向かう冷気が戻り口44に流入する経路を狭くするため、野菜室前方から後方へと向かう冷気が戻り口44に流入することを抑制する流入方向制御部として機能する。
【0043】
以上のように、野菜室13内には、第1の風向規制部材61が設けられている。これにより、野菜室13内で、
図5の実線矢印に示すような風の流れを形成することができる。
【0044】
また、野菜室13内には、第2の風向規制部材62、第3の風向規制部材63、および第4の風向規制部材64が設けられている。これにより、野菜室13内で、
図6の矢印で示すように、野菜室13の背面に沿った風の流れを形成することができる。
【0045】
野菜室13は、冷蔵室11と比較して温度が高く、湿度も高い傾向にある。そのため、野菜室13の背面に設けられた冷気ダクト41により温度の低い空気が流れると、野菜室13との温度差によって野菜室13内の冷気ダクト41の表面に結露が生じることがある。
【0046】
本実施形態では、
図6に示すような野菜室13の背面に沿った風の流れを形成することで、野菜室13内の冷気ダクト41の表面近傍の空気が滞留することを防止できるため、冷気ダクト41の表面近傍の空気の温度が低下することを防止できる。したがって、冷気ダクト41の表面に結露が生じにくくなる。また、仮に冷気ダクト41の表面に結露が生じたとしても、風によって冷気ダクト41の表面近傍の空気がより低湿度の空気に置換されるため、野菜室13内の冷気ダクト41の表面の水分を蒸発させることができる。これにより、野菜室13における冷気ダクト41との境界部の結露を抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、野菜室13内の冷気を戻り口44へ導く構成として、第2の風向規制部材62および第4の風向規制部材64という2つの風向規制部材が設けられている。しかし、別の実施態様では、第2の風向規制部材62および第4の風向規制部材64の何れか一方の風向規制部材のみが設けられている構成であってもよい。
【0048】
また、
図8に示すように、野菜室13内では、冷気ダクト41の下方部分が前方側に突出した張り出し部41aとなっている。このように、野菜室13の背面に配置されている冷気ダクト41および冷却室31の少なくとも何れかは、吐出口43が設けられている側(本実施形態では、野菜室13の上方側)よりも戻り口44が設けられている側(本実施形態では、野菜室13の下方側)の方が、前方側(すなわち、野菜室13側)へ突出していることが好ましい。
【0049】
図11に示すように、野菜室13内では、上方(吐出口43側)から下方(戻り口44側)へと風が流れる。野菜室13の下方に張り出し部41aが設けられていることで、下方に流れた風は張り出し部41aに衝突して流速が低下する。そして流速が低下した風は張り出し部41aに沿って左右方向に拡散する。このように、張り出し部41aによって下方に流れる風を広範囲に拡散することができ、冷気ダクト41の表面に広範囲に風を流すことができる。これにより、野菜室13における冷気ダクト41との境界部の結露の抑制効果を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態にかかる冷蔵庫1では、冷蔵室11から野菜室13へ冷気を流入させる吐出口43は、開口部43aと送風孔43bとで構成されている。
図4に示すように、開口部43aは、正面から見て冷蔵室11または野菜室13の左端の後方側(背面側)の角部分に設けられている。また、送風孔43bは、給水タンク18の設置部53の側壁に形成されている複数の孔で形成されている。
【0051】
図4に示すように、給水タンク18の設置部53は、給水タンク18の取り付けおよび取り外しを行い易くするために、冷蔵室11の底面(本実施形態では、チルド室16の底面16a)よりも一段高い位置に形成されている。本実施形態では、チルド室16と野菜室13との境界となる給水タンク18の設置部53の側壁に送風孔43bを形成している。これにより、チルド室16内を通った冷気は、送風孔43bを介して、野菜室13内の給水タンク18の下方に位置する空間へ流入する。なお、吐出口43は、開口部43aと送風孔43bとのいずれか一方だけとしてもよい。
【0052】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、貯蔵空間10を備えている。貯蔵空間10は、冷蔵室11と、第1冷凍室12と、冷蔵室11と第1冷凍室12との間に配置されている野菜室13とを有している。貯蔵空間10の背面には、冷却器32が配置されている冷却室31が設けられている。また、貯蔵空間10の背面には、冷却室31で生成された冷気を冷蔵室11へ送出する冷気ダクト41が設けられている。冷蔵室11と野菜室13との間には、冷蔵室11から野菜室13へ冷気を供給する冷気の吐出口43が設けられている。野菜室13に流入した冷気は、冷気の戻り口44から冷気戻りダクト45を通って冷却室31へ戻る。
【0053】
上記の冷蔵庫1において、吐出口43と、戻り口44とは、冷気ダクト41を間に挟んで互いに異なる側(すなわち、左右方向の反対側)に配置されている(
図3参照)。これにより、野菜室13内において、冷気ダクト41の前面部分に風の流れを形成することができる。
【0054】
これにより、野菜室13内の冷気ダクト41の前面部分の温度低下を抑制し、野菜室13における冷気ダクト41との境界部の結露を抑制することができる。また、冷気ダクト41の前面部分の湿度増加を抑制し、結露した水分を蒸発させることができる。そのため、野菜室13内の結露水の凍結を防止するためのヒータを省略したり、ヒータの消費電力を抑えたりすることができる。
【0055】
また、本実施形態にかかる冷蔵庫1には、野菜室13内を流れる冷気の風向きを規制するための複数の風向規制部材が設けられている。このような風向規制部材が設けられていることで、
図5および
図6において実線の矢印で示すような風の流れをより形成しやすくすることができる。そのため、冷気ダクト41の配置領域に相当する野菜室13の背面により多くの風を送ることができ、野菜室13における冷気ダクト41との境界部の結露の抑制効果を高めることができる。
【0056】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の風向規制部材の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0057】
図12には、第2の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内の構成を示す。
図12では、野菜ケース17が野菜室13内に収納された状態を示す。第1の実施形態では、第1の風向規制部材61は、野菜ケース17を支持するためのフレーム部材21の一部で形成されている。これに対して、本実施形態では、野菜ケース17に第1の風向規制部材161が設けられている。第1の風向規制部材161は、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、冷気ダクト41の近傍を通って戻り口44の方(すなわち、斜め下方)へ導く送出方向制御部として機能する。
【0058】
図13には、本実施形態の冷蔵庫1に取り付けられる野菜ケース17の一例を示す。
図13では、野菜ケース17を背面側から見た状態で示す。この野菜ケース17は、第1の風向規制部材161Aを有している。
図13に示すように、第1の風向規制部材161Aは、野菜ケース17の背面部17bの上部側に設けられている。野菜ケース17が野菜室13内に設置された状態で、第1の風向規制部材161Aは、吐出口43の下方に位置する。第1の風向規制部材161Aは、野菜ケース17の側面部17c側から中央へ向かって下方に傾斜している。これにより、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、斜め下方(すなわち、戻り口44の方)へ導くことができる。
【0059】
図14には、本実施形態の冷蔵庫1に取り付けられる野菜ケース17の他の例を示す。
図14では、野菜ケース17を背面側から見た状態で示す。この野菜ケース17は、第1の風向規制部材161Bを有している。
図14に示すように、第1の風向規制部材161Bは、野菜ケース17の側面部17cの後方側に設けられている。
図14に示すように、野菜ケース17の背面部17bがケース上部まで設けられていない場合でも、野菜ケース17の側面部17cから後方に延ばして第1の風向規制部材161Bを形成することができる。
図13に示す第1の風向規制部材161Aと同様に、野菜ケース17が野菜室13内に設置された状態で、第1の風向規制部材161Bは、吐出口43の下方に位置する。第1の風向規制部材161Bは、野菜ケース17の側面部17c側から中央へ向かって下方に傾斜している。これにより、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、斜め下方(すなわち、戻り口44の方)へ導くことができる。
【0060】
図15には、本実施形態の変形例を示す。
図15(a)には、変形例にかかる冷蔵庫1に取り付けられる野菜ケース17と、この野菜ケースを支持するフレーム部材121とを分解した状態で示す。
図15(b)には、フレーム部材121に野菜ケース17が取り付けられた状態を示す。
図15では、野菜ケース17を背面側から見た状態で示す。
【0061】
フレーム部材121は、主として、左側フレーム122a、右側フレーム122b、連結部123、および第1の風向規制部材161Cなどを有している。左側フレーム122aは、正面から見て野菜室13内の左側の側壁に取り付けられる。右側フレーム122bは、正面から見て野菜室13内の右側の側壁に取り付けられる。連結部123は、野菜ケース17の背面側で、左側フレーム122aの後端部と、右側フレーム122bの後端部とを連結する。
【0062】
第1の風向規制部材161Cは、連結部123の左側フレーム122a側の端部に取り付けられており、吐出口43の下方に位置する。第1の風向規制部材161Cは、連結部123の端部側から中央へ向かって下方に傾斜している。これにより、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、斜め下方(すなわち、戻り口44の方)へ導くことができる。
【0063】
上記の変形例のように、第1の風向規制部材161は、野菜ケース17を支持するフレーム部材121の連結部123に設けられていてもよい。
【0064】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1の風向規制部材の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0065】
図16には、第3の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内の構成を示す。
図16では、給水タンク18内の水を製氷室14へ供給するための給水管19を図示している。給水管19は、野菜室13の背面側を通って、給水タンク18から製氷室14にまで延びている。本実施形態では、給水管19は、正面から見て野菜室13内の左側の側壁に沿うように配置されている。野菜室13内を延びる給水管19の周囲には、給水管カバー19aが設けられている。
【0066】
第1の実施形態では、第1の風向規制部材61は、野菜ケース17を支持するためのフレーム部材21の一部で形成されている。これに対して、本実施形態では、給水管カバー19aに第1の風向規制部材261が設けられている。
【0067】
図17には、給水管19周辺の構成を示す。
図17に示すように、第1の風向規制部材261は、給水管カバー19aの外周に取り付けられている。
図16に示すように、第1の風向規制部材261は、吐出口43の下方に位置する。第1の風向規制部材261は、野菜室13の側壁側から中央へ向かって下方に傾斜している板状の部材である。これにより、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、斜め下方(すなわち、戻り口44の方)へ導くことができる。
【0068】
また、製氷室14へと延伸する給水管19が製氷室14内の冷気によって冷却されたときに、給水管カバー19aの表面に結露が生じるおそれがある。本実施形態の構成によれば、給水管カバー19aに第1の風向規制部材261を設けることで、吐出口43からの風を給水管カバー19aに当てることができ、給水管カバー19aの表面に結露が生じにくくなる。
【0069】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、冷気ダクト41の前面に第5の風向規制部材365が設けられている点が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第4の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0070】
図18には、第4の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内の構成を示す。
図19には、第4の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内を斜め前方側から見たときの斜視図である。
図19では、断熱箱体50の右側の側壁の一部および仕切り部59aの図示を省略し、野菜室13の内部を示している。
【0071】
本実施形態にかかる冷蔵庫1には、野菜室13の背面を通る冷気ダクト41の前面に第5の風向規制部材365が設けられている。第5の風向規制部材365は、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、戻り口44の方(すなわち、斜め下方)へ導く送出方向制御部として機能する。
【0072】
図18に示すように、第5の風向規制部材365は、野菜室13内の冷気ダクト41の前面部に設けられている複数の傾斜板365a・365b・365cで構成されている。第5の風向規制部材365を構成する複数の傾斜板365a・365b・365cは、互いに傾斜角度が異なっている。具体的には、上方に位置する傾斜板365aの傾斜角度が最も大きく、下方の傾斜板ほど、傾斜角度が小さくなっている。
【0073】
第5の風向規制部材365が設けられていることにより、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、斜め下方(すなわち、戻り口44の方)へ導くことができる。
【0074】
なお、
図18などには図示されていないが、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、第5の風向規制部材365に加えて、第1の実施形態で説明した第1の風向規制部材61を有していてもよい。また、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、第1の風向規制部材61の代わりに、第1の風向規制部材161または第1の風向規制部材261を有していてもよい。
【0075】
<第5の実施形態>
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、冷気ダクト41の前面に第5の風向規制部材465が設けられている点が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第5の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0076】
図20には、第5の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内の構成を示す。
図21は、第5の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内を斜め前方側から見たときの斜視図である。
図21では、断熱箱体50の右側の側壁の一部および仕切り部59aの図示を省略し、野菜室13の内部を示している。
【0077】
本実施形態にかかる冷蔵庫1には、野菜室13の背面を通る冷気ダクト41の前面に第5の風向規制部材465が設けられている。第5の風向規制部材465は、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、戻り口44の方(すなわち、斜め下方)へ導く送出方向制御部として機能する。
【0078】
図21に示すように、第5の風向規制部材465は、冷気ダクト41の張り出し部41aの上面で形成されている。第5の風向規制部材465は、吐出口43側から戻り口44側へ向かって下方に傾斜している。
【0079】
第5の風向規制部材465が設けられていることにより、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気を、斜め下方(すなわち、戻り口44の方)へ導くことができる。
【0080】
なお、
図20などには図示されていないが、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、第5の風向規制部材465に加えて、第1の実施形態で説明した第1の風向規制部材61を有していてもよい。また、本実施形態にかかる冷蔵庫1では、第1の風向規制部材61の代わりに、第1の風向規制部材161または第1の風向規制部材261が設けられていてもよい。
【0081】
<第6の実施形態>
続いて、本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、野菜ケース17の上面を覆う蓋部材471が設けられている構成について説明する。第6の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0082】
図22には、第6の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内の構成を示す。
図22は、第6の実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13内を斜め前方側から見たときの斜視図である。
図22に示すように、本実施形態にかかる冷蔵庫1の野菜室13には、野菜ケース17の上面を覆う蓋部材471が設けられている。
図23および
図24には、野菜室13内の冷気ダクト41と蓋部材471とを示す。
【0083】
蓋部材471の上面には、第6の風向規制部材466が設けられている。第6の風向規制部材466は、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気が、蓋部材471の上面に沿って前面方向や側面方向に流れることを抑制し、野菜室13へ流入した冷気を野菜室13の背面方向へ導く。第6の風向規制部材466は、送出方向制御部の一例である。
【0084】
図23に示す第6の風向規制部材466は、蓋部材471の上面上で後方が開口したU字状に延びる壁部材である。
図23に示す第6の風向規制部材466は、吐出口43が例えば
図4に示す送風孔43bのように、野菜室13内のより前方側に設けられている構成に適用することが好ましい。
図24に示す第6の風向規制部材566も、蓋部材471の上面上で後方が開口したU字状の壁部材である。
図24に示す第6の風向規制部材566は、吐出口43が例えば
図22に示す開口部43aのように、野菜室13内の後端側に設けられている構成に適用することが好ましい。
【0085】
第6の風向規制部材は、吐出口43の下方に位置している。例えば、
図22に示す第6の風向規制部材566は、開口部43aの下方に位置している。これにより、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気が、蓋部材471の上面に沿って左右方向や前方に流れ出ることを抑制し、野菜室13へ流入した冷気を主に背面方向へ導くことができる。
【0086】
野菜ケース17の容積は大きいほうが利便性は高いため、野菜ケース17の背面部17bを後方に伸ばして容積を増やそうとすると、野菜ケース17の背面部17bが吐出口43の前縁の垂直下方に近接したり重なったりすることがある。また、蓋部材471は野菜ケース17の上面を覆う形状であるため、蓋部材471の後縁は吐出口43の前縁の垂直下方に重なりやすくなる。このような場合では、吐出口43からから野菜室13へ流入した冷気が、蓋部材471の後縁に衝突し、蓋部材471の上面に沿って流れやすくなる。そこで、蓋部材471の上面に第6の風向規制部材466または566を設けることで、冷気を主に背面方向へ導くことができる。
【0087】
上記の構成によれば、吐出口43から野菜室13へ流入した冷気が、蓋部材471の上面に沿って左右方向や前方に流れ出ることを抑制し、野菜室13へ流入した冷気を主に背面方向へ導くことができる。
【0088】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、冷蔵室(例えば、冷蔵室11)と、冷凍室(例えば、第1冷凍室12、製氷室14、第2冷凍室15)と、前記冷蔵室と前記冷凍室との間に配置されている野菜室(例えば、野菜室13)とを有する貯蔵空間(例えば、貯蔵空間10)と、前記貯蔵空間の背面に配置され、冷却器(例えば、冷却器32)が配置されている冷却室(例えば、冷却室31)と、前記貯蔵空間の背面に配置され、前記冷却室で生成された冷気を前記冷蔵室へ送出する冷気ダクト(例えば、冷気ダクト41)と、前記冷蔵室と前記野菜室との間に配置され、前記冷蔵室から前記野菜室へ冷気を供給する冷気の流入口(例えば、吐出口43)と、前記野菜室に設けられた冷気の排出口(例えば、戻り口44)から前記冷却室へ冷気を戻す冷気戻りダクト(例えば、冷気戻りダクト45)とを備えている。この冷蔵庫において、前記流入口と、前記排出口とは、前記冷気ダクトを間に挟んで互いに異なる側に配置されている。
【0089】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、前記流入口(例えば、吐出口43)から前記野菜室(例えば、野菜室13)へ流入した冷気を、前記冷気ダクトの方へ導く送出方向制御部(例えば、第1の風向規制部材61・161・261、第3の風向規制部材63)や、前記排出口(例えば、戻り口44)の方へ導く送出方向制御部(例えば、第5の風向規制部材365・465)をさらに備えていてもよい。
【0090】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、前記野菜室(例えば、野菜室13)の前方からの冷気(例えば、野菜室13の底面近傍の冷気)が、前記排出口(例えば、戻り口44)に流入することを抑制する流入方向制御部(例えば、第2の風向規制部材62、第4の風向規制部材64)をさらに備えていてもよい。
【0091】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記野菜室(例えば、野菜室13)の背面に配置されている前記冷気ダクト(例えば、冷気ダクト41)および前記冷却室(例えば、冷却室31)の少なくとも何れかは、前記流入口(例えば、吐出口43)が設けられている側よりも前記排出口(例えば、戻り口44)が設けられている側の方が、前方側へ突出していてもよい。
【0092】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記貯蔵空間(例えば、貯蔵空間10)は、製氷室(例えば、製氷室14)をさらに有しており、前記冷蔵室(例えば、冷蔵室11)内には、前記製氷室へ水を供給する給水タンク(例えば、給水タンク18)が設けられており、前記流入口(例えば、吐出口43)の少なくとも一つは、前記給水タンクの下に設けられていてもよい。
【0093】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 :冷蔵庫
10 :貯蔵空間
11 :冷蔵室
12 :第1冷凍室(冷凍室)
13 :野菜室
14 :製氷室(冷凍室)
15 :第2冷凍室(冷凍室)
17 :野菜ケース(送出方向制御部、流入方向制御部)
18 :給水タンク
19 :給水管
31 :冷却室
32 :冷却器
41 :冷気ダクト
41a :(冷気ダクトの)張り出し部
43 :吐出口(冷気の流入口)
43a :開口部
43b :送風孔
44 :戻り口(冷気の排出口)
45 :冷気戻りダクト
50 :断熱箱体
61 :第1の風向規制部材(送出方向制御部)
62 :第2の風向規制部材(流入方向制御部)
63 :第3の風向規制部材(送出方向制御部)
64 :第4の風向規制部材(流入方向制御部)
161 :第1の風向規制部材(送出方向制御部)
261 :第1の風向規制部材(送出方向制御部)
365 :第5の風向規制部材(送出方向制御部)
465 :第5の風向規制部材(送出方向制御部)
466 :第6の風向規制部材(送出方向制御部)
566 :第6の風向規制部材(送出方向制御部)