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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20240920BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B25J9/06 D
B25J19/00 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020109362
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2021008027
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】201920993407.7
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518092207
【氏名又は名称】尼得科儀器(浙江)有限公司
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 洋
(72)【発明者】
【氏名】王 卿
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187710(JP,A)
【文献】特開2019-010689(JP,A)
【文献】特開2002-338042(JP,A)
【文献】特開2008-018497(JP,A)
【文献】特開2009-168610(JP,A)
【文献】特開2019-027916(JP,A)
【文献】特開2015-066669(JP,A)
【文献】特開2017-007034(JP,A)
【文献】特開平10-337685(JP,A)
【文献】実開昭59-090595(JP,U)
【文献】特開2002-299892(JP,A)
【文献】特開2018-198263(JP,A)
【文献】特開2006-088235(JP,A)
【文献】特開2016-196073(JP,A)
【文献】特開平06-206182(JP,A)
【文献】特開平07-001381(JP,A)
【文献】特開2018-089765(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130925(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01825970(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/06-19/00
G01D 5/12-5/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本部材である台座と、前記台座に立設される柱体と、前記柱体に前記柱体に対して移動可能に連結されるハンド部と、を備え、前記基本部材にモータが設けられる産業用ロボットであって、
前記柱体は、第1柱部と、前記第1柱部に上下方向に移動可能に設けられた第2柱部と、を備え、
前記モータは、前記第1柱部内の上端部に配置され、
前記第1柱部には、外面に配置された導風カバーと、前記モータと前記導風カバーとの間に配置された導風管と、前記導風管を介して前記モータを流れる気流を形成するためのファンと、前記第1柱部内の上端部に近い位置に設けられ、且つ、前記モータの周囲にラジエーターが設けられ
前記ファンは、当該ファンの吹き出し口が下を向くように前記導風カバー内に配置されていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記モータが前記基本部材の内部に設けられ、
前記ファンが前記基本部材の外部に設けられ、且つ前記基本部材内の空気を外部へ吸引することを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記ファンの吹き出し口に濾過網が設けられることを特徴とする請求項2に記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記モータに該モータの回転数を検出するエンコーダーが設けられ、
前記エンコーダーが金属カバーで覆われていることを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記モータ及び/又は前記エンコーダーの近傍に温度センサが設けられ、
前記温度センサがI/O信号によって前記モータへの給電を制御することを特徴とする請求項に記載の産業用ロボット。
【請求項6】
前記柱体は少なくとも1つの柱部を備え、
前記柱部は上下方向に延びる角筒状を呈しており、
前記柱部内に前記モータが設けられ、
前記柱部の外面に前記ファンが設けられることを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項7】
前記柱体は少なくとも1つの柱部を備え、
前記柱部の柱本体は上下方向に延びる角筒状を呈しており、
前記柱本体の4つの側壁のうちの少なくとも1つに、上下方向に配列される貫通孔が複数形成され、前記貫通孔は前記柱本体の内部と外部を連通させ、
前記柱本体に柱カバーが着脱可能に設けられ、該柱カバーが前記貫通孔を覆っており、
前記柱部内の前記柱部の頂部付近の位置に前記モータが設けられ、
前記モータに該モータの回転数を検出するエンコーダーが設けられ、前記エンコーダーが金属カバーで覆われており、
前記モータの外周面に、前記ラジエーターを構成するフィン付きのアルミ板が固定され、
前記柱部の外面の前記柱部の頂部付近の位置に前記ファンが設けられ、
前記金属カバーは前記モータ及び前記エンコーダーを流れる空気を前記ファンへ案内し、
前記ファンの吹き出し口は下方を向いており、且つ濾過網が設けられ、
前記柱部の底部近傍に、前記柱部内の空気を外部へ吸引する排気ファンが設けられることを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項8】
前記台座は、
水平方向に延びるガイドレールと、
前記ガイドレールに前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられる基台と、
前記基台に上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に支持される旋回台と、を備え、
前記柱体は、
前記旋回台に固定される第1柱部と、
前記第1柱部に上下方向に移動可能に設けられる第2柱部と、を備え、
前記ハンド部は、
基端が前記第2柱部に上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるアームと、
前記アームの先端に上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるフォークと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
生産効率の向上、人件費の削減、作業の安全性の向上等を図るために、現在、多くの産業ではロボットが使用されている。
【0003】
たとえば、液晶パネルの生産ラインでは、液晶パネルの搬送等の作業にロボットがよく使用されている。
【0004】
通常、液晶パネルの生産ラインで使用されるロボットは、台座と、前記台座に立設される中空状を呈する柱体と、前記柱体に前記柱体に対して移動可能に連結されるハンド部と、を備える。
【0005】
また、液晶パネルの生産ラインで使用されるロボットでは、異なる作業要件に対応するようにハンド部を台座に対して移動させるために、通常、台座、柱体及びハンド部のうちの少なくとも一方に駆動源であるモータがさらに設けられる。
【0006】
しかしながら、近年、液晶パネルのサイズがますます大きくなり、液晶パネルの重量が増えており、液晶パネルの搬送等の作業をスムーズに行うために、液晶パネルの生産ラインで使用されるロボットは大型化の傾向があり、ロボットに使用されるモータも大型化する傾向があり、一方、モータの大型化に伴い、その発熱量も大きくなり、したがって、如何にモータの温度上昇を効果的に抑制するかは解決すべき課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-337685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされるものであり、モータの冷却効率を向上させるとともに、大型化及びコストアップを容易に回避することが可能である産業用ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は産業用ロボットを提供し、基本部材である台座と、前記台座に立設される柱体と、前記柱体に前記柱体に対して移動可能に連結されるハンド部と、を備え、前記基本部材にモータが設けられ、前記基本部材の前記モータに近い位置に、前記モータを流れる気流を形成するためのファンが設けられ、且つ、前記モータの周囲にラジエーターが設けられる。
【0010】
本発明の産業用ロボットによれば、基本部材のモータに近い位置に、モータを流れる気流を形成するためのファンが設けられるため、ファンによって形成される気流でモータを効率的に冷却することができる。また、モータの周囲にラジエーターが設けられるため、単に大型ファンを使用する場合と比較して、大型化を容易に回避することができるとともに、大型ファンの電力消費量の増加等によるコストアップを回避することができ、且つ、モータの冷却効率を向上させることで、動作量が同じ場合に発熱量が大型モータよりも大きい小型モータを使用することができ、この点でも大型化及びコストアップを回避することができる。
【0011】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記モータが前記基本部材の内部に設けられ、前記ファンが前記基本部材の外部に設けられ、且つ前記基本部材内の空気を外部へ吸引することが好ましい。
【0012】
本発明の産業用ロボットによれば、モータが基本部材の内部に設けられるため、モータと外部物体との衝突による破損を容易に回避することができ、且つ、ファンが基本部材の外部に設けられ、且つ基本部材内の空気を外部へ吸引するため、基本部材の内部で発生した塵埃等が基本部材の内部にたまって基本部材内の駆動機構等の機能部材の動作に悪影響を与えることを容易に回避することができる(たとえば、基本部材の内部で発生した塵埃等がモータに付着してモータの温度異常上昇等の故障を招くことを回避する)。
【0013】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記ファンの吹き出し口に濾過網が設けられることが好ましい。
【0014】
本発明の産業用ロボットによれば、ファンの吹き出し口に濾過網が設けられることで、基本部材の内部で発生した塵埃等が外部に排出されてロボットの設置環境(たとえば、無塵室)に悪影響を与えることを回避することができる。
【0015】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記ファンの吹き出し口は下方を向いていることが好ましい。
【0016】
本発明の産業用ロボットによれば、ファンの吹き出し口は下方を向いていることで、異物がファンの吹き出し口に落ちてファンの故障を招くことを回避することができる。
【0017】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記基本部材に導風管が設けられ、前記導風管が前記モータから前記ファンに向かって延びることが好ましい。
【0018】
本発明の産業用ロボットによれば、基本部材に、モータからファンに向かって延びる導風管が設けられることで、モータを流れる空気をファンへスムーズに流し、通風抵抗を低減させることができ、したがって、モータの冷却効率をさらに向上させることができる。
【0019】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記モータに該モータの回転数を検出するエンコーダーが設けられ、前記エンコーダーが金属カバーで覆われていることが好ましい。
【0020】
本発明の産業用ロボットによれば、金属カバーでエンコーダーが覆われていることで、エンコーダーへの外部の電磁干渉の影響を遮蔽することができ、エンコーダーを用いてモータの回転数を正確に検出することが容易になる。
【0021】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記モータ及び/又は前記エンコーダーの近傍に温度センサが設けられ、前記温度センサがI/O信号によって前記モータへの給電を制御することが好ましい。
【0022】
本発明の産業用ロボットによれば、モータ及び/又はエンコーダーの近傍にモータへの給電を制御する温度センサが設けられることで、モータ及び/又はエンコーダーの温度異常上昇が発生すると、温度センサは対応するI/O信号を送信し、産業用ロボットの制御側は対応する信号を認識した後、モータへの給電を遮断し、それによってモータ及び/又はエンコーダーの温度異常上昇による火災等を回避することができる。
【0023】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記柱体は少なくとも1つの柱部を備え、前記柱部は上下方向に延びる角筒状を呈しており、前記柱部内に前記モータが設けられ、前記柱部の外面に前記ファンが設けられることが好ましい。
【0024】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記柱体は少なくとも1つの柱部を備え、前記柱部の柱本体は上下方向に延びる角筒状を呈しており、前記柱本体の4つの側壁のうちの少なくとも1つに、上下方向に配列される複数の貫通孔が形成され、前記貫通孔によって前記柱本体の内部と外部を連通させ、前記柱本体に柱体カバーが着脱可能に設けられ、該柱体カバーが前記貫通孔を覆っており、前記柱部内の前記柱部の頂部付近の位置に前記モータが設けられ、前記モータに該モータの回転数を検出するエンコーダーが設けられ、前記エンコーダーが金属カバーで覆われており、前記モータの外周面に、前記ラジエーターを構成するフィン付きのアルミ板が固定され、前記柱部の外面の前記柱部の頂部付近の位置に前記ファンが設けられ、前記金属カバーは前記モータ及び前記エンコーダーを流れる空気を前記ファンへ案内し、前記ファンの吹き出し口は下方を向いており、且つ濾過網が設けられ、前記柱部の底部近傍に、前記柱部内の空気を外部へ吸引する排気ファンが設けられることが好ましい。
【0025】
本発明の産業用ロボットによれば、柱本体にその内部と外部を連通させる貫通孔が設けられることで、貫通孔を介して、柱本体内に設けられる機能部材を容易にメンテナンスすることができ、且つ、金属カバーでエンコーダーが覆われていることで、エンコーダーへの外部の電磁干渉の影響を遮蔽することができ、エンコーダーを用いてモータの回転数を正確に検出することが容易になり、且つ、金属カバーを用いて、モータ及びエンコーダーを流れる空気をファンへ案内することで、モータ及びエンコーダーを流れる空気をファンへスムーズに流し、通風抵抗を低減させることができ、したがって、モータの冷却効率をさらに向上させることができ、且つ、ファンの吹き出し口は下方を向いていることで、異物がファンの吹き出し口に落ちてファンの故障を招くことを回避することができ、且つ、ファンの吹き出し口に濾過網が設けられることで、柱体部内で発生した塵埃等が外部に排出されてロボットの設置環境(たとえば、無塵室)に悪影響を与えることを回避することができ、且つ、柱部の底部近傍に、柱部内の空気を外部へ排出する排気ファンが設けられることで、柱部の内部を効率的に冷却することができる。
【0026】
また、本発明の産業用ロボットでは、前記台座は、水平方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられる基台と、前記基台に上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に支持される旋回台と、を備え、前記柱体は、前記回転台に固定される第1柱部と、前記第1柱部に上下方向に移動可能に設けられる第2柱部と、を備え、前記ハンド部は、基端が前記第2柱部に上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるアームと、前記アームの先端に上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるフォークと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基本部材のモータに近い位置に、モータを流れる気流を形成するためのファンが設けられることで、ファンによって形成される気流でモータを効率的に冷却することができ、且つ、モータの周囲にラジエーターが設けられるため、単に大型ファンを使用する場合と比較して、大型化を容易に回避することができるとともに、大型ファンの電力消費量アップ等によるコストアップを回避することができ、且つ、モータの冷却効率を向上させることで、動作量が同じ場合に発熱量が大型モータよりも大きい小型モータを使用することができ、この点でも大型化及びコストアップを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの全体構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの全体構成を模式的に示す側面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの全体構成を模式的に示す平面図である。
図4】側方から見た本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの部分構成を模式的に示す拡大図であり、産業用ロボットの内部部材の一部を示す。
図5】上方から見た本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの部分構成を模式的に示す拡大図であり、産業用ロボットの内部部材の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1図4を参照しながら本発明の実施形態にかかる産業用ロボットを説明し、図1は本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの全体構成を模式的に示す正面図、図2は本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの全体構成を模式的に示す側面図、図3は本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの全体構成を模式的に示す平面図であり、図4は側方から見た本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの部分構成を模式的に示す拡大図であり、産業用ロボットの内部部材の一部を示し、図5は上方から見た本発明の実施形態にかかる産業用ロボットの部分構成を模式的に示す拡大図であり、産業用ロボットの内部部材の一部を示す。
【0030】
ここでは、説明の便宜上、相互に直交する3つの方向をX方向、Y方向及びZ方向とし、Z方向は上下方向に対応し、Z方向に垂直な方向は水平方向に対応する。且つ、ここでは、X方向の一方側をX1、X方向の他方側をX2、Y方向の一方側をY1、Y方向の他方側をY2、Z方向の一方側をZ1(上方側に対応する)、Z方向の他方側をZ2(下方側に対応する)とする。
【0031】
(産業用ロボットの全体構成)
【0032】
本実施形態の産業用ロボット1は、搬送対象物である液晶ディスプレイのガラス基板Wを搬送するための水平多関節型ロボットであり、たとえば、ガラス基板の生産ラインに組み立てて使用される。
【0033】
図1図3に示すように、産業用ロボット1は、台座10と、台座10に立設される柱体20と、柱体20に柱体20に対して移動可能に連結されるハンド部30と、を備える。
【0034】
ここでは、台座10は、水平方向に延びるガイドレール11と、ガイドレール11にガイドレール11に沿って移動可能に設けられる基台12と、基台12にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に支持される旋回台13と、を備える。且つ、柱体20は、中空状を呈しており、Z方向に延びており、且つ旋回台13に固定される第1柱部21と、中空状を呈しており、Z方向に延びており、且つ第1柱部21にZ方向に移動可能に設けられる第2柱部22と、を備える。且つ、ハンド部30はZ方向に積層するように一対設けられ、ハンド部30は図1中の実線で示される第1位置P1と図1中の破線で示される第2位置P2との間をZ方向に移動可能であり、且つハンド部30はZ方向に垂直な水平方向に伸縮可能である(図示される例では、各ハンド部30は水平方向に独立して伸縮可能である)。且つ、各ハンド部30は、基端が第2柱部22にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるアーム31と、アーム31の先端にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるフォーク32と、を備える。具体的には、ハンド部30は第2柱部22にZ方向に移動可能に設けられる支持部材33を介して第2柱部22に連結され、第1柱部21、第2柱部22及び支持部材33はY方向に配列され、且つ、アーム31は第1アーム311及び第2アーム312を備え、第1アーム311の基端が支持部材33にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結され、第2アーム312の基端が第1アーム311の先端にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結され、フォーク32が第2アーム312の先端にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結される。
【0035】
また、図4に示すように、基本部材に駆動機構が設けられ、該駆動機構はモータ40を備える。
【0036】
ここでは、第1柱部21に、モータ40、及び該モータ40の回転数を検出するエンコーダー50が設けられ、モータ40は、たとえば減速機構を介して第2柱部22を第1柱部21に対してZ方向に移動させ、減速機構がモータ40の出力側(図中のZ1方向側)の端部に設けられ、エンコーダー50がモータ40の出力反対側(図中のZ2方向側)の端部に設けられる。
【0037】
また、図示していないが、たとえば、基台12及び/又は旋回台13内にモータが設けられるようにしてもよい。
【0038】
(第1柱部の構成)
【0039】
図4及び図5に示すように、第1柱部21は、Z方向に延びる角筒状(Z方向から見たときに、略矩形)を呈している柱本体211を備え、且つ、柱本体21の4つの側壁のうちの少なくとも1つに、Z方向に配列される複数の貫通孔2111(図示される例では、貫通孔2111は円形であるが、これに限定されず、その形状は必要に応じて適宜変更することが可能である)が形成され、これらの貫通孔2111によって第1柱部21の柱本体211の内部と外部を連通させる。
【0040】
また、図示していないが、第1柱部21は、柱本体211に着脱可能に設けられ、且つ貫通孔2111を覆っている柱体カバーをさらに備える。
【0041】
また、図4に示すように、第1柱部21内にモータ40が設けられ、第1柱部21のモータ40に近い位置に、モータ40を通過する気流を形成するためのファン60が設けられ、且つ、モータ40の周囲にラジエーター70が設けられる。具体的には、第1柱部21(の柱本体211)内の第1柱部21の上端部(Z1方向側の端部)に近い位置に、モータ40、及び該モータ40の回転数を検出するエンコーダー50が設けられ、モータ40の外周面に、ラジエーター70を構成するフィン付きのアルミ板(図示される例では、モータ40のY方向の2つの側面に当接するアルミ板)が固定され、且つ、第1柱部21の外面の第1柱部21の上端部(Z1方向側の端部)に近い位置にファン60が設けられ、該ファン60は第1柱部21内の空気を外部へ吸引し、且つ吹き出し口が下方を向いており、且つ濾過網(図示せず)が設けられる。
【0042】
また、図4及び図5に示すように、第1柱部21内に導風管80が設けられ、該導風管80がモータ40からファン60へ延びており、モータ40を通過した空気をファン60へ案内する。具体的には、モータ40に該モータ40の回転数を検出するエンコーダー50が設けられ、該エンコーダー50が金属カバー90(たとえば、アルミ製)で覆われており、第1柱部21の外面のファン60よりもZ1方向側の位置に、正面視で略台形の導風カバー100が設けられ、モータ40及びエンコーダー50を通過した空気が金属カバー90によって導風管80へ案内され、さらに導風カバー100によってファン60へ案内される。
【0043】
また、図示していないが、モータ40及び/又はエンコーダー50の近傍に、温度センサが設けられてもよく、温度センサを用いて、I/O信号によってモータ40への給電を制御する(たとえば、モータ40及び/又はエンコーダー50の近傍の温度が高すぎると、温度センサは対応するI/O信号を送信し、産業用ロボットの制御側は対応する信号を認識した後、モータ40への給電を遮断できる)。
【0044】
(第2柱部の構成)
【0045】
図1図3に示すように、第2柱部22は全体としてZ方向に延びる角筒状(Z方向から見たときに、略長方形)を呈している柱本体221を備え、該柱本体221は第1柱部21の柱本体211と類似し、4つの側壁を有する。
【0046】
また、図示していないが、柱本体221の4つの側壁のうちの少なくとも1つの側壁に複数の貫通孔が設けられ、これらの貫通孔はZ方向に間隔をあけて配列され、且つ側壁の厚さ方向に側壁を貫通して柱本体221の内部と外部を連通させる。
【0047】
また、第2柱部22は、柱本体221に着脱可能に設けられ、且つ貫通孔を覆っている柱体カバーをさらに備える。
【0048】
また、第2柱部22の内部に駆動機構等の機能部材が設けられる。
【0049】
(本実施形態の主な効果)
【0050】
本実施形態の産業用ロボット1によれば、第1柱部21のモータ40に近い位置に、モータ40を通過する気流を形成するためのファン60が設けられるため、ファン60によって形成される気流でモータ40を効率的に冷却することができ、且つ、モータ40の周囲にラジエーター70が設けられるため、単に大型ファンを使用する場合と比較して、大型化を容易に回避することができるとともに、大型ファンの電力消費量の増加等によるコストアップを回避することができ、且つ、モータ40の冷却効率を向上させることで、動作量が同じ場合に発熱量が大型モータよりも大きい小型モータを使用することができ、この点でも大型化及びコストアップを回避することができる。
【0051】
また、本実施形態の産業用ロボット1によれば、金属カバー90でエンコーダー50が覆われていることで、エンコーダー50への外部の電磁干渉の影響を遮蔽することができ、エンコーダー50を用いてモータ40の回転数を正確に検出することが容易になる。
【0052】
また、本実施形態の産業用ロボット1によれば、金属カバー90を用いて、モータ40及びエンコーダー50を通過した空気をファン60へ案内することで、モータ40及びエンコーダー50を通過した空気をファン60へスムーズに流し、通風抵抗を低減させることができ、したがって、モータ40及びエンコーダー50の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態の産業用ロボット1によれば、ファン60の吹き出し口は下方を向いていることで、異物がファン60の吹き出し口に落ちてファン60の故障を招くことを回避することができる。
【0054】
また、本実施形態の産業用ロボット1によれば、ファン60の吹き出し口に濾過網が設けられることで、基本部材の内部で発生した塵埃等が外部に排出されてロボットの設置環境(たとえば、無塵室)に悪影響を与えることを回避することができる。
【0055】
以上、図面を参照しながら本発明を例示的に説明したが、明らかなように、本発明の具体的な実施は上記実施形態に限定されるものではない。
【0056】
たとえば、上記実施形態では、産業用ロボット1がガラス基板を搬送するための水平多関節型ロボットである場合について説明したが、これに限定されず、産業用ロボット1は他の用途に使用されてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、モータ40及びファン60が第1柱部21に設けられる場合について説明したが、これに限定されず、モータ及びファンの設置位置は必要に応じて適宜変更することが可能であり、たとえば、モータ及びファンが第2柱部に設けられてもよく、且つ、モータ及びファンが基本部材(ベース、柱部、ハンド部)の内部に設けられてもよく、基本部材の外部に設けられてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ファン60は第1柱部21内の空気を外部へ吹き出すが、これに限定されず、ファン60はモータ40へ空気を吹き出すように配置されてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、第1柱部21の底部近傍に、第1柱部21内の空気を外部へ排出する排気ファンが設けられてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、モータ40の外周面に、ラジエーター70を構成するフィン付きのアルミ板が固定されるが、ラジエーター70の具体的な構成、材料はこれに限定されず、必要に応じて適宜変更することが可能である。
【0061】
また、上記実施形態では、第1柱部21の柱本体211及び第2柱部22の柱本体221の4つの側壁のうちの少なくとも1つに、Z方向に配列される複数の貫通孔が形成され、これらの貫通孔によって、第1柱部21、第2柱部221の内部と外部を連通させるが、これに限定されず、場合によっては、貫通孔を設けなくてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、第1柱部21内に導風管80及び金属カバー90が設けられ、第1柱部21の外面に導風カバー100が設けられるが、これに限定されず、場合によっては、導風管80、金属カバー90及び導風カバー100のうちの1つ又は複数を省略してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、台座10は、水平方向に延びるガイドレール11と、ガイドレール11にガイドレール11に沿って移動可能に設けられる基台12と、基台12にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に支持される旋回台13と、を備えるが、これに限定されず、台座10の具体的な構成は必要に応じて適
宜変更することが可能であり、たとえば、ガイドレール11及び旋回台12を省略してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、柱体20は、旋回台13に固定される第1柱部21と、第1柱部21にZ方向に移動可能に設けられる第2柱部22と、を備えるが、これに限定されず、柱体20の具体的な構成は必要に応じて適宜変更することが可能であり、たとえば、柱体20は1つの柱部のみを備えてもよく、3つ以上の柱部を備えてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、第1柱部21はZ方向に延びる角筒状を呈しているが、これに限定されず、第1柱部21の形状は必要に応じて適宜変更することが可能であり、同様に、第2柱部22はZ方向に延びる角筒状としてもよく、他の形状としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、ハンド部30は、基端が第2柱部22にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるアーム31と、アーム31の先端にZ方向に延びる軸線回りに旋回可能に連結されるフォーク32と、を備えるが、これに限定されず、ハンド部30の具体的な構成は必要に応じて適宜変更することが可能であり、たとえば、ハンド部30はアームを備えなくてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ハンド部30はZ方向に積層するように一対設けられるが、これに限定されず、ハンド部30は1つのみ設けられてもよい。
【0068】
なお、本発明は、その範囲において、各実施形態を自由に組み合わせ、又は各実施形態を適宜変形させたり、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 産業用ロボット 10 台座 11 ガイドレール 12 基台 13 旋回台 20 柱体 21 第1柱部 211 柱本体 2111 貫通孔 22 第2柱部 221 柱本体 30 ハンド部 31 アーム 311 第1アーム 312 第2アーム 32 フォーク 33 支持部材 40 モータ 50 エンコーダー 60 ファン 70 ラジエーター 80 導風管 90 金属カバー 100 導風カバー W ガラス基板 P1 第1位置 P2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5