(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】屋根体
(51)【国際特許分類】
E04B 7/00 20060101AFI20240920BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04B7/00 Z
E04B1/343 U
E04B1/343 Y
(21)【出願番号】P 2020144404
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 誉士
(72)【発明者】
【氏名】宮田 知典
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 豊
(72)【発明者】
【氏名】大内 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】井元 真美
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-002197(JP,A)
【文献】特開2014-224429(JP,A)
【文献】特開2017-137681(JP,A)
【文献】特開2019-173526(JP,A)
【文献】特開2003-193611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00
E04B 7/00
E04B 1/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びる前側材と、
前記前側材に平行に延びる後側材と、
前記前側材と前記後側材とに亘って延びると共に前記前側材及び前記後側材の長手方向に並んで配置される複数の垂木と、
隣り合う前記垂木の間に取り付けられたパネル材と、を備え、
前記垂木は、垂木本体と、前記垂木本体の上部に配置され前記垂木本体との間に前記パネル材の端部を挟み込む垂木上部材と、を有し、
前記垂木は、前記垂木上部材の下面に設けられた上側部材及び前記垂木本体の上面に設けられた下側部材の少なくともいずれかを有し、
前記上側部材及び前記下側部材の少なくともいずれかは、前記垂木の長手方向の中央又は中央寄りの部分のみに配置されており、
前記パネル材における前記垂木側の端部は、
前記パネル材における前記垂木の長手方向の
中央又は中央寄りの部分において、
前記上側部材及び前記下側部材の少なくともいずれかにより、斜め上向きになるように前記垂木に保持される屋根体。
【請求項2】
前記垂木は、前記上側部材及び前記下側部材のうちの前記上側部材のみを有し、
前記パネル材における前記垂木側の端部は、前記垂木の長手方向の
中央又は中央寄りの部分において、前記上側部材により下方側に押されることで、斜め上向きになるように保持される、請求項
1に記載の屋根体。
【請求項3】
前記上側部材は、パッキン部材である、請求項
2に記載の屋根体。
【請求項4】
前記垂木は、前記上側部材及び前記下側部材の両方を有し、
前記パネル材における前記垂木側の端部は、前記垂木の長手方向の
中央又は中央寄りの部分において、前記上側部材及び前記下側部材により、斜め上向きになるように挟み込まれて保持される、請求項
1に記載の屋根体。
【請求項5】
前記前側材又は前記後側材に差し込まれた前記パネル材における前記垂木の長手方向の端部を前記前側材又は前記後側材に押圧する後付けビード材を更に備える請求項1~
4のいずれかに記載の屋根体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋根体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根体において、前枠(前側材)と、垂木掛け(後側材)と、前枠と垂木掛けとの間に延びると共に前枠及び垂木掛けが延びる方向に並んで配置される複数の垂木と、隣り合う垂木の間に取り付けられるパネル材と、を備え、パネル材の幅方向の端部を垂木が斜め上向きに保持された構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のパネル材の幅方向の端部は、垂木の長手方向の全域に亘って、斜め上向きに垂木に保持されており、幅方向の端部側から中央側に向かうに従って斜め上向きに撓んでいる。パネル材の長手方向の前側の端部は、前枠に保持され、垂木の長手方向の後側の端部は、垂木掛けに保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パネル材の幅方向の端部が、垂木の長手方向の全域に亘って、幅方向の端部側から中央側に向かうに従って斜め上向きに撓んでいると、パネル材の長手方向の端部において、前枠又は垂木掛けとパネル材との間に隙間が形成されて止水性能が悪くなったり、前枠又は垂木掛けにパネル材を取り付ける作業がしにくくなるなど、前枠又は垂木掛けとパネル材との納まりが十分でないことがあった。
【0006】
本開示は、パネル材の幅方向の端部を斜め上向きに保持する垂木を備え、パネル材における垂木の長手方向の端部において、前側材又は垂木掛けとパネル材との納まりを良好にすることができる屋根体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、所定方向に延びる前側材と、前記前側材に平行に延びる後側材と、前記前側材と前記後側材とに亘って延びると共に前記前側材及び前記後側材の長手方向に並んで配置される複数の垂木と、隣り合う前記垂木の間に取り付けられたパネル材と、を備え、前記パネル材における前記垂木側の端部は、前記垂木の長手方向の中間部分において、斜め上向きになるように前記垂木に保持される屋根体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るテラスを斜め上方側から見た斜視図である。
【
図2】テラスを上方側から見た図であって、中間カバー押圧パッキン及び端部カバー押圧パッキンの配置位置を示す図である。
【
図7】第2実施形態のテラスを上方側から見た図であって、挟み込み金具の配置位置を示す図である。
【
図8】
図7の挟み込み金具が配置された部分の部分拡大図である。
【
図11】第3実施形態のテラスを上方側から見た図であって、L字状支持金具の配置位置を示す図である。
【
図13】第4実施形態のテラスを上方側から見た図であって、傾斜ビード材及び傾斜部品の配置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の第1実施形態の屋根体2を含む屋根構造体について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、屋根構造体をテラス1に適用した例について説明する。なお、本実施形態においては、屋根構造体をテラス1に適用した例について説明するが、これに限定されない。例えば、屋根構造体を、テラス以外の構造物、例えば、カーポート、駐輪場、シェルター、休憩所、バス停などの構造物に適用してもよい。
【0010】
なお、本実施形態の説明においては、テラス1において、建物10の壁部10a側を後側といい、建物10の壁部10aと反対側の支柱11側を前側という。垂木掛け3及び前枠4が延びる方向を左右方向という。
【0011】
本実施形態のテラス1は、
図1に示すように、屋根体2と、2つの支柱11と、を備える。屋根体2の後側は、建物10の壁部10aに接続され、屋根体2の前側の端部は、2つの支柱11に支持されている。屋根体2は、
図1及び
図2に示すように、建物10の壁部10aに固定される垂木掛け3(後側材)と、垂木掛け3から建物10の壁部10aと反対側に離間して配置される前枠4(前側材)と、垂木掛け3と前枠4との間を延びて配置される複数の垂木5と、隣り合う垂木5の間に取り付けられて左右方向に並んで配置される複数のパネル材6と、を備える。複数のパネル材6は、それぞれ、左右方向に幅を有すると共に、垂木5の長手方向に延びる板状に形成される。本実施形態においては、パネル材6の幅方向は、左右方向に一致し、パネル材6の長手方向は、垂木5の長手方向に一致する。
【0012】
垂木掛け3は、建物10の壁部10aの所定高さの位置において、建物10の壁部10aの壁面に沿って左右方向に水平に延びる。垂木掛け3は、建物10の壁部10aの壁面に固定される。垂木掛け3には、複数の垂木5の後側の端部が接続される。垂木掛け3は、パネル材6の後側の端部を上下方向に挟み込んで保持する。
【0013】
垂木掛け3は、
図3に示すように、前側が開放する枠状に形成され、下部支持部31と、垂木掛け側垂木固定部32と、後面板33と、垂木掛け上面板34と、垂木掛け側パッキン嵌合部35と、垂木掛け側ビード配置部36と、を有する。
【0014】
下部支持部31は、垂木掛け3の下部を、後側の端部において建物10の壁部10aに当接して支持する。垂木掛け側垂木固定部32は、下部支持部31の前側の端部から前側に下り傾斜で延びる板状に形成される。垂木掛け側垂木固定部32の上面には、垂木5の後側の端部の下端が載置される。垂木掛け側垂木固定部32の上面に載置された垂木5の後側の端部の下端は、下方側から挿入されるネジ321により、垂木掛け側垂木固定部32が垂木5に固定される。
【0015】
後面板33は、建物10の壁部10aの壁面に沿って上下方向に延びる板状に形成される。後面板33は、建物10の壁部10aの壁面にボルト331により固定される。
【0016】
垂木掛け上面板34は、垂木掛け3の上端に形成され、後側から前側に向かって下り傾斜で延びる。
【0017】
垂木掛け側パッキン嵌合部35は、垂木掛け上面板34の下面において下方に向けて開放する略C字状の溝状に形成され、左右方向に延びる。垂木掛け側パッキン嵌合部35には、垂木掛け側パッキン351が配置される。
【0018】
垂木掛け側ビード配置部36は、垂木掛け側パッキン嵌合部35の下方に配置される。垂木掛け側ビード配置部36は、上方側に突出する凸状に形成され、左右方向に延びる。垂木掛け側ビード配置部36には、垂木掛け側後付けビード材37(後付けビード材)が配置される。
【0019】
垂木掛け側後付けビード材37は、垂木掛け3に差し込まれたパネル材6における垂木5の長手方向の後端部を垂木掛け3に押圧する。垂木掛け側後付けビード材37は、垂木掛け上面板34と垂木掛け側ビード配置部36との間にパネル材6が差し込まれた状態で、パネル材6と垂木掛け側ビード配置部36との間に配置される。垂木掛け側後付けビード材37は、垂木掛け側パッキン嵌合部35に取り付けられた垂木掛け側パッキン351との間で、パネル材6の長手方向の後側の端部側を挟み込む。
【0020】
前枠4は、
図1及び
図2に示すように、垂木掛け3に対して建物10の壁部10aと反対側に離間して配置される。前枠4は、垂木掛け3の高さよりも低い位置において、垂木掛け3と平行に水平に延びる。前枠4の長手方向の両端の下部には、支柱11が接続されており、前枠4は、支柱11に支持されている。前枠4は、パネル材6の長手方向の前側の端部を上下方向に挟み込んで保持する。
【0021】
前枠4は、
図4に示すように、中空状の前枠本体41と、パネル保持部42と、前枠側垂木固定部43と、前枠側ビード配置部44と、前側樋部45と、を有する。
【0022】
パネル保持部42は、前枠本体41の上面411の前後方向の途中から上方に突出し、後側が開放する略L字状に形成される。パネル保持部42は、立ち上がり板421と、立ち上がり板421の上端部から後側に上り傾斜で直線状に延びる傾斜上面板422と、を有する。傾斜上面板422の下面422aには、パネル材6の長手方向の前側の端部が当接して保持される。
【0023】
前枠側垂木固定部43は、前枠本体41の後面412の上下方向の途中から、後側に上り傾斜で直線状に突出する板状に形成される。前枠側垂木固定部43の上面には、垂木5の前側の端部の下端が載置される。前枠側垂木固定部43の上面に載置された垂木5の前側の端部の下端は、下方側から挿入されるネジ431により、前枠側垂木固定部43が垂木5に固定される。
【0024】
前枠側ビード配置部44は、前枠本体41の上面411の後側の端部から後方側に形成される。前枠側ビード配置部44は、L字状のL字状立ち上がり片441と、L字状立ち上がり片441の上端部に配置される引っ掛け片442と、を有する。L字状立ち上がり片441は、前側の上側が開放するL字状に形成される。引っ掛け片442は、L字状立ち上がり片441の上端部において前後方向に延びる直線状に形成され、前側及び後側に突出する。
【0025】
前枠側ビード配置部44には、前枠側後付けビード材46(後付けビード材)が配置される。前枠側後付けビード材46は、中空状のビード本体461と、下部に形成される引っ掛け片462と、を有する。引っ掛け片462は、下端部が前側に突出し且つ前側に開放するフック状に形成される。前枠側後付けビード材46は、引っ掛け片462が前枠側ビード配置部44の引っ掛け片442に引っ掛けられた状態で、前枠側ビード配置部44に配置される。
【0026】
前枠側後付けビード材46は、前枠4に差し込まれたパネル材6における垂木5の長手方向の前端部を前枠4に押圧する。前枠側後付けビード材46は、パネル保持部42にパネル材6の前側の端部が差し込まれた後に、パネル材6と前枠側ビード配置部44との間に押し込まれる。これにより、前枠側後付けビード材46は、引っ掛け片462が前枠側ビード配置部44の引っ掛け片442に引っ掛けられた状態で、パネル材6を下面から押し上げて、パネル材6の上面においてパネル保持部42との間でパネル材6の前側の端部側を挟み込む。
【0027】
複数の垂木5は、
図2に示すように、垂木掛け3と前枠4とに亘って延びると共に、垂木掛け3及び前枠4が延びる左右方向に並んで配置される。複数の垂木5は、
図1に示すように、それぞれ、垂木掛け3から前枠4に向かって下り傾斜で直線状に延びる。
【0028】
複数の垂木5は、
図1及び
図2に示すように、屋根体2の左右方向の両端部に配置される2つの端部垂木51(垂木)と、2つの端部垂木51の間において左右方向に並んで配置される複数の中間垂木52(垂木)と、を有する。端部垂木51は、端部垂木51における左右方向の一方側(屋根体2の左右方向の内側)において、パネル材6の幅方向の端部を上下方向において挟んで固定する。中間垂木52は、中間垂木52における左右方向の両側において、パネル材6の幅方向の端部を上下方向において挟んで固定する。
【0029】
端部垂木51は、
図5に示すように、端部垂木本体511(垂木本体)と、端部カバー部材513(垂木カバー材)と、を有する。端部垂木本体511は、端部垂木51の下方側に配置され、
図1に示すように、垂木掛け3から前枠4に向かって下り傾斜で延びる。
【0030】
端部垂木本体511は、
図5に示すように、中空状の端部ホロー部511aと、端部ホロー部511aの上面の左右方向の外側寄りに形成されるネジ固定凹溝部511bと、端部ホロー部511aの上面の左右方向の内側の端部に形成される端部本体側パッキン嵌合部511cと、端部ホロー部511aの上面の左右方向においてネジ固定凹溝部511bと端部本体側パッキン嵌合部511cとの間に形成される樋構成部511dと、を有する。
【0031】
ネジ固定凹溝部511bには、端部カバー部材513を端部垂木本体511に固定する際に、端部カバー部材513を貫通したカバー固定ネジ531の軸部がねじ込まれる。
【0032】
端部本体側パッキン嵌合部511cは、端部垂木51におけるパネル材6が配置される側の端部(テラス1の左右方向の内側の端部)に形成される。端部本体側パッキン嵌合部511cは、端部ホロー部511aの上面において上方に向けて開放する略C字状の溝状に形成され、前後方向(端部垂木51の長手方向)に延びる。端部本体側パッキン嵌合部511cには、端部本体側パッキン512が配置される。
【0033】
端部カバー部材513は、端部垂木本体511の上部に配置される。端部カバー部材513は、端部垂木本体511との間にパネル材6の幅方向の端部を挟み込む。
【0034】
端部カバー部材513は、端部垂木51の左右方向の外側寄りにおいて上下方向に貫通するカバー固定ネジ531が、端部垂木本体511のネジ固定凹溝部511bにねじ込まれることで、端部垂木本体511に固定される。カバー固定ネジ531は、
図2に示すように、端部垂木51の長手方向において、所定間隔毎に複数並んで配置される。端部カバー部材513は、端部垂木51の長手方向において、複数のカバー固定ネジ531により、所定間隔毎に固定される。
【0035】
端部カバー部材513は、
図5に示すように、上面が平面状に形成される端部カバー部材上面板513aと、端部カバー部材上面板513aにおけるパネル材6が配置される側の端部(テラス1の左右方向の内側の端部)の下部に形成される端部カバー側パッキン嵌合部513bと、を有する。
【0036】
端部カバー側パッキン嵌合部513bは、端部カバー部材上面板513aの下面において下方に開放する溝状に形成され、前後方向(端部垂木51の長手方向)に延びる。端部カバー側パッキン嵌合部513bには、端部カバー側パッキン514が配置される。
【0037】
端部垂木本体511の上部に端部カバー部材513がカバー固定ネジ531により固定されることで、パネル材6の幅方向(左右方向)の端部側は、端部垂木本体511と端部カバー部材513との間において、端部本体側パッキン嵌合部511cに取り付けられた端部本体側パッキン512と、端部カバー側パッキン嵌合部513bに取り付けられた端部カバー側パッキン514とに挟み込まれて保持される。
【0038】
端部カバー部材上面板513aの下面513cには、端部カバー押圧パッキン515(パッキン部材、上側部材)が設けられている。端部カバー押圧パッキン515は、端部カバー部材上面板513aの下面513cの左右方向において、端部カバー側パッキン嵌合部513bとカバー固定ネジ531が取り付けられる部分との間に配置される。端部カバー押圧パッキン515は、例えば、硬質のパッキン材により構成される。
【0039】
図2に示すように、端部カバー押圧パッキン515は、パネル材6における端部垂木51の長手方向の中間部分に配置される。パネル材6における端部垂木51の長手方向の中間部分は、パネル材6における端部垂木51の長手方向の中央C又は中央寄りの部分である。パネル材6における端部垂木51の長手方向の中央寄りの位置とは、
図2に示すように、パネル材6における端部垂木51の長手方向の中央Cと端部Tとを比較して、端部Tよりも中央C寄りの位置を意味する。
【0040】
端部カバー押圧パッキン515は、端部垂木51の長手方向に延びる。本実施形態においては、端部カバー押圧パッキン515の端部垂木51の長手方向の長さは、パネル材6における端部垂木51の長手方向の中央寄りにおいて、パネル材6を撓ませることができる長さであって、端部垂木51の長手方向の端部において、パネル材6の幅方向の端部を撓ませることが過大になり過ぎずに、端部垂木51の長手方向の端部の納まりが良好な長さが設定される。
【0041】
端部カバー押圧パッキン515は、端部垂木51の長手方向の中間部分において、
図5に示すように、端部本体側パッキン嵌合部511cに取り付けられた端部本体側パッキン512と端部カバー側パッキン嵌合部513bに取り付けられた端部カバー側パッキン514とに挟み込まれて保持されたパネル材6の端部垂木51側の端部よりも更に端部側の上面を上方側から下方側に向けて押圧する。
【0042】
これにより、パネル材6における端部垂木51側の端部は、端部垂木51の長手方向の中間部分において、端部カバー側パッキン514により下方側に押されることで、斜め上向きになるように保持される。端部垂木51の長手方向の中間部分において、パネル材6の端部が、隣りの中間垂木52側に向かうに従って斜め上方に向かうように押圧されることで、パネル材6は、幅方向の端部側から中央側に向かって上り傾斜して湾曲される。
【0043】
一方、
図2に示すように、端部カバー押圧パッキン515は、端部垂木51の長手方向の前側の端部側及び後側の端部側には設けられていない。そのため、端部垂木51の長手方向の前側の端部側及び後側の端部側において、パネル材6の端部が斜め上方に向かうように押圧されないため、パネル材6は、長手方向の中央側から端部側に向かうに従って、幅方向の端部側から中央側に向かって形成される上り傾斜の湾曲が小さくなる。そのため、パネル材6は、長手方向の端部側においては、湾曲が小さくなり又は湾曲が存在しなくなる。これにより、パネル材6の長手方向の前側の端部においては、パネル材6の後側の端部と前枠4との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を前枠4に納めやすい。また、パネル材6の長手方向の後側の端部においては、パネル材6の後側の端部と垂木掛け3との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を垂木掛け3に納めやすい。
【0044】
中間垂木52は、
図6に示すように、左右対称の形状に形成される。中間垂木52は、端部垂木51におけるパネル材6を保持する構成が、左右方向の両側に形成されている。
【0045】
中間垂木52は、中間垂木本体521(垂木本体)と、中間カバー部材523(垂木上部材)と、を有する。中間垂木本体521は、中間垂木52の下方側に配置され、
図1に示すように、垂木掛け3から前枠4に向かって下り傾斜で延びる。
【0046】
中間垂木本体521は、
図6に示すように、中空状の中間ホロー部521aと、中間ホロー部521aの上面の左右方向の中央に形成されるネジ固定凹溝部521bと、中間ホロー部521aの上面の左右方向の外側の両端部に形成される一対の中間本体側パッキン嵌合部521cと、中間ホロー部521aの上面の左右方向においてネジ固定凹溝部521bと中間本体側パッキン嵌合部521cとの間に形成される一対の樋構成部521dと、を有する。
【0047】
ネジ固定凹溝部521bには、中間カバー部材523を中間垂木本体521に固定する際に、中間カバー部材523を貫通したカバー固定ネジ532の軸部がねじ込まれる。
【0048】
一対の中間本体側パッキン嵌合部521cは、中間垂木52の左右方向の外側の両端部に形成される。中間本体側パッキン嵌合部521cは、中間ホロー部521aの上面において上方に向けて開放する略C字状の溝状に形成され、前後方向(中間垂木52の長手方向)に延びる。中間本体側パッキン嵌合部521cには、中間本体側パッキン522が配置される。
【0049】
中間カバー部材523は、中間垂木本体521の上部に配置される。中間カバー部材523は、中間垂木本体521との間にパネル材6の幅方向の端部を挟み込む。
【0050】
中間カバー部材523は、中間垂木52の左右方向の中央において上下方向に貫通するカバー固定ネジ532が、中間垂木本体521のネジ固定凹溝部521bにねじ込まれることで、中間垂木本体521に固定される。カバー固定ネジ532は、
図2に示すように、中間垂木52の長手方向において、所定間隔毎に複数並んで配置される。中間カバー部材523は、中間垂木52の長手方向において、複数のカバー固定ネジ532により、所定間隔毎に固定される。
【0051】
中間カバー部材523は、
図6に示すように、上面が平面状に形成される中間カバー部材上面板523aと、中間カバー部材上面板523aの左右方向の外側の両端部の下部に形成される一対の中間カバー側パッキン嵌合部523bと、を有する。
【0052】
中間カバー側パッキン嵌合部523bは、中間カバー部材523の下面において下方に開放する溝状に形成され、前後方向(中間垂木52の長手方向)に延びる。中間カバー側パッキン嵌合部523bには、中間カバー側パッキン524が配置される。
【0053】
中間垂木本体521の上部に中間カバー部材523がカバー固定ネジ532により固定されることで、パネル材6の幅方向の中央側は、中間垂木本体521と中間カバー部材523との間において、中間本体側パッキン嵌合部521cに取り付けられた中間本体側パッキン522と、中間カバー側パッキン嵌合部523bに取り付けられた中間カバー側パッキン524とに挟み込まれて保持される。
【0054】
中間カバー部材上面板523aの下面523cには、中間カバー押圧パッキン525(パッキン部材、上側部材)が設けられている。中間カバー押圧パッキン525は、中間カバー部材上面板523aの下面523cの左右方向において、中間カバー側パッキン嵌合部523bとカバー固定ネジ532が取り付けられる部分との間に配置される。中間カバー押圧パッキン525は、例えば、硬質のパッキン材により構成される。
【0055】
図2に示すように、中間カバー押圧パッキン525は、パネル材6における中間垂木52の長手方向の中間部分に配置される。パネル材6における中間垂木52の長手方向の中間部分は、パネル材6における中間垂木52の長手方向の中央C又は中央寄りの部分である。パネル材6における中間垂木52の長手方向の中央寄りの位置とは、
図2に示すように、パネル材6における中間垂木52の長手方向の中央Cと端部Tとを比較して、端部Tよりも中央C寄りの位置を意味する。
【0056】
中間カバー押圧パッキン525は、中間垂木52の長手方向に延びる。本実施形態においては、パネル材6における中間カバー押圧パッキン525の中間垂木52の長手方向の長さは、パネル材6における中間垂木52の長手方向の中央寄りにおいて、パネル材6を撓ませることができる長さであって、中間垂木52の長手方向の端部において、パネル材6の幅方向の端部を撓ませることが過大になり過ぎずに、中間垂木52の長手方向の端部の納まりが良好な長さが設定される。
【0057】
中間カバー押圧パッキン525は、中間垂木52の長手方向の中間部分において、
図6に示すように、中間本体側パッキン嵌合部521cに取り付けられた中間本体側パッキン522と中間カバー側パッキン嵌合部523bに取り付けられた中間カバー側パッキン524とに挟み込まれて保持されたパネル材6の中間垂木52側の端部よりも更に端部側の上面を上方側から下方側に向けて押圧する。
【0058】
これにより、パネル材6における中間垂木52側の端部は、中間垂木52の長手方向の中間部分において、中間カバー押圧パッキン525により下方側に押されることで、斜め上向きになるように保持される。中間垂木52の長手方向の中間部分において、パネル材6の端部が、隣りの中間垂木52側に向かうに従って斜め上方に向かうように押圧されることで、パネル材6は、幅方向の端部側から中央側に向かって上り傾斜して湾曲される。
【0059】
一方、
図2に示すように、中間カバー押圧パッキン525は、中間垂木52の長手方向の前側の端部側及び後側の端部側には設けられていない。そのため、中間垂木52の長手方向の前側の端部側及び後側の端部側において、パネル材6の端部が斜め上方に向かうように押圧されないため、パネル材6は、長手方向の中央側から端部側に向かうに従って、幅方向の端部側から中央側に向かって形成される上り傾斜の湾曲が小さくなる。そのため、パネル材6は、長手方向の端部側においては、湾曲が小さくなり又は湾曲が存在しなくなる。これにより、パネル材6の長手方向の前側の端部においては、パネル材6の後側の端部と前枠4との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を前枠4に納めやすい。また、パネル材6の長手方向の後側の端部においては、パネル材6の後側の端部と垂木掛け3との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を垂木掛け3に納めやすい。
【0060】
以上のように構成される屋根体2は、垂木5の長手方向の中間部分には、パネル材6の幅方向の端部を押圧するパッキン(端部カバー押圧パッキン515、中間カバー押圧パッキン525)が配置される。そのため、パネル材6は、長手方向の中間部分において、幅方向の端部側から中央側に向かって上り傾斜して湾曲される。一方、垂木5の長手方向の両端部側には、パネル材6の幅方向の端部を押圧するパッキン(端部カバー押圧パッキン515、中間カバー押圧パッキン525)が配置されていない。そのため、パネル材6は、長手方向の端部側においては、湾曲が小さく形成され又は湾曲が存在しない。これにより、パネル材6の長手方向の前側の端部においては、パネル材6の長手方向の後側の端部と前枠4との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を前枠4に納めやすい。また、パネル材6の長手方向の後側の端部においては、パネル材6の後側の端部と垂木掛け3との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を垂木掛け3に納めやすい。
【0061】
以上説明した本実施形態の屋根体2によれば、以下のような効果を奏する。
【0062】
本実施形態の屋根体2は、所定方向に延びる前枠4と、前枠4に平行に延びる垂木掛け3と、前枠4と垂木掛け3とに亘って延びると共に前枠4及び垂木掛け3の長手方向に並んで配置される複数の垂木5と、隣り合う垂木5の間に取り付けられたパネル材6と、を備え、パネル材6における垂木5側の端部は、垂木5の長手方向の中間部分において、斜め上向きになるように垂木5に保持される。これにより、パネル材6の長手方向の前側の端部においては、パネル材6の長手方向の前側の端部と前枠4との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を前枠4に納めやすい。また、パネル材6の長手方向の後側の端部においては、パネル材6の長手方向の後側の端部と垂木掛け3との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を垂木掛け3に納めやすい。
【0063】
本実施形態においては、垂木5(端部垂木51、中間垂木52)は、垂木本体(端部垂木本体511、中間垂木本体521)と、垂木本体(端部垂木本体511、中間垂木本体521)の上部に配置されパネル材6の幅方向の端部を挟み込む垂木カバー材(端部カバー部材513、中間カバー部材523)と、垂木本体の下面に設けられたパッキン部材と、を有し、パネル材6における垂木5側の端部は、パッキン部材(端部カバー押圧パッキン515、中間カバー押圧パッキン525)により下方側に押されることで、斜め上向きになるように保持される。これにより、パネル材6の端部をパッキン部材(端部カバー押圧パッキン515、中間カバー押圧パッキン525)により下方側に押圧することにより、パネル材6が斜め上向きになるように、パネル材6を容易に湾曲させることができる。
【0064】
本実施形態においては、前枠4又は垂木掛け3に差し込まれたパネル材6における垂木5の長手方向の端部を前枠4又は垂木掛け3に押圧する後付けビード材(垂木掛け側後付けビード材37、前枠側後付けビード材46)を更に備える。これにより、パネル材6における垂木5の長手方向の端部を、前枠4又は垂木掛け3に容易に差し込んで取り付けることができる。
【0065】
次に、第2実施形態~第4実施形態について説明する。第2実施形態~第4実施形態は、第1実施形態の変形形態であり、第1実施形態と比べて、パネル材6を保持する構成が異なる実施形態である。第2実施形態~第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。第2実施形態~第4実施形態の構成の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。なお、第2実施形態~第4実施形態においては、中間垂木52A、52B,57の構成についてのみ説明するが、端部垂木(図示せず)がパネル材6を保持する構成は、第1実施形態の端部垂木51と同様に、中間垂木52A、52B,57の左右方向の片側においてパネル材6を保持する構成と同様である。そのため、中間垂木52A、52B,57の左右方向の片側の構成の説明を、端部垂木の構成の説明に援用できる。
【0066】
第2実施形態の中間垂木52Aについて説明する。
図7に示すように、第2実施形態のパネル材6の幅方向の端部は、パネル材6における中間垂木52Aの長手方向の中間部分において、挟み込み金具70により挟み込まれている。
【0067】
挟み込み金具70は、中間垂木52Aの長手方向の中間部分において、中間垂木52Aの長手方向に沿って延びる。挟み込み金具70は、
図8~
図10に示すように、上金具71(上側部材)と、下金具72(下側部材)と、を備える。上金具71及び下金具72は、例えば、金属材料により形成される。本実施形態においては、上金具71及び下金具72の材料として、例えば、強度を有し、加工が容易で、且つ、安価な鉄系の材料を用いている。
【0068】
パネル材6における中間垂木52Aの長手方向の中間部分は、第1実施形態と同様に、パネル材6における中間垂木52Aの長手方向の中央C又は中央寄りの部分である。パネル材6における中間垂木52Aの長手方向の中央寄りの位置とは、
図7に示すように、パネル材6における中間垂木52Aの長手方向の中央Cと端部Tとを比較して、端部Tよりも中央C寄りの位置を意味する。
【0069】
本実施形態においては、パネル材6における挟み込み金具70の長手方向の長さは、パネル材6における中間垂木52Aの長手方向の中央寄りにおいて、パネル材6を撓ませることができる長さであって、中間垂木52Aの長手方向の端部において、パネル材6の幅方向の端部を撓ませることが過大になり過ぎずに、中間垂木52Aの長手方向の端部の納まりが良好な長さが設定される。
【0070】
図9及び
図10に示すように、上金具71は、パネル材6の幅方向の端部において、パネル材6の上面をパネル材6の上方から押さえている。下金具72は、パネル材6の幅方向の端部において、パネル材6の下面をパネル材6の下方から押さえている。
【0071】
図10に示すように、下金具72は、中間垂木本体521の樋構成部521dの上部に設けられる。下金具72は、パネル材6の幅方向の端部の下方に配置され、パネル材6の下面に対向する。下金具72は、中間垂木本体521の樋構成部521dの上面に例えば両面テープなどで貼り付けて取り付けられる。
【0072】
図9及び
図10に示すように、下金具72は、中間垂木52Aの長手方向に延びるL字状台座板721と、L字状台座板721から上方に突出する3つの下金具上方突起722と、を有する。
【0073】
L字状台座板721は、中間垂木本体521の樋構成部521dの上面に配置される。L字状台座板721は、下方の内側に開放する断面L字形状に形成される。下金具上方突起722は、L字状台座板721の一部を上方に切り起こすことで形成される。本実施形態においては、下金具上方突起722は、上方に三角形状に切り起されている。
【0074】
3つの下金具上方突起722は、
図8に示すように、L字状台座板721の長手方向において、中央及び両端部に離間して形成される。下金具上方突起722は、
図9及び
図10に示すように、パネル材6の幅方向の端部が上金具71及び下金具72により挟まれた場合に、パネル材6の幅方向の端部の下面に食い込む。
【0075】
図10に示すように、上金具71は、中間カバー部材523の中間カバー部材上面板523aの下面523cに設けられる。上金具71は、パネル材6の幅方向の端部の上方に配置され、パネル材6の上面に対向する。上金具71は、中間カバー部材523の中間カバー部材上面板523aの下面523cに例えば両面テープなどで貼り付けて取り付けられる。
【0076】
上金具71は、
図8及び
図9に示すように、下金具72よりも長手方向の長さが短く形成される。
図9及び
図10に示すように、上金具71は、中間垂木52Aの長手方向に延びるU字状台座板711と、U字状台座板711から下方に突出する3つの上金具下方突起712と、を有する。
【0077】
U字状台座板711は、中間カバー部材523の中間カバー部材上面板523aの下面523cに配置される。U字状台座板711は、上方が開放するU字形状に形成される。上金具下方突起712は、U字状台座板711の一部を下方に切り起すことで形成される。本実施形態においては、上金具下方突起712は、下方に三角形状に切り起されている。
【0078】
3つの上金具下方突起712は、
図8に示すように、U字状台座板711の長手方向において、中央及び両端部に離間して形成される。下金具上方突起722は、
図9及び
図10に示すように、パネル材6の幅方向の端部が上金具71及び下金具72により挟まれた場合に、パネル材6の幅方向の端部の上面に食い込む。
【0079】
図9に示すように、上金具71の3つの上金具下方突起712と下金具72の3つの下金具上方突起722とは、長手方向の位置がずれた位置に配置される。ここで、上金具下方突起712と下金具上方突起722とが横並びに配置された場合に、上金具下方突起712と下金具上方突起722との食い込み間の距離が近くなり、パネル材6の強度を考慮すると破損する可能性がある。これに対して、上金具下方突起712と下金具上方突起722とを横並びとしないことで、パネル材6が破断することを抑制できる。
【0080】
図10に示すように、上金具71の3つの上金具下方突起712のパネル材6の幅方向の位置は、下金具72の3つの下金具上方突起722のパネル材6の幅方向の位置よりも端部側に配置される。これにより、上金具71がパネル材6を上方から押した場合に、パネル材6の幅方向の端部側に配置される下金具72の下金具上方突起722が支点となることで、パネル材6の幅方向の端部が下方に押されて、パネル材6は、幅方向の端部側から中央側に向かって上り傾斜するように湾曲する。このように、パネル材6における中間垂木52A側の端部は、中間垂木52Aの長手方向の中間部分において、上金具71及び下金具72により、斜め上向きになるように挟み込まれて保持される。一方、中間垂木52Aの長手方向の両端部側には、上金具71及び下金具72が配置されていない。そのため、パネル材6は、長手方向の端部側においては、湾曲が小さく形成され又は湾曲が存在しない。
【0081】
よって、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、パネル材6の長手方向の前側の端部においては、パネル材6の後側の端部と前枠4との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を前枠4に納めやすい。また、パネル材6の長手方向の後側の端部においては、パネル材6の後側の端部と垂木掛け3との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を垂木掛け3に納めやすい。
【0082】
第3実施形態の中間垂木52Bについて説明する。
図11に示すように、第3実施形態のパネル材6は、中間垂木52Bの長手方向の中間部分において、幅方向の端部が、断面が複数のL字状アングル金具75(支持部材)により支持されている。L字状アングル金具75は、断面形状がL字状に形成され、中間垂木52Bの長手方向に所定長さ延びる。
【0083】
パネル材6における中間垂木52Bの長手方向の中間部分は、第1実施形態と同様に、パネル材6における中間垂木52Bの長手方向の中央C又は中央寄りの部分である。パネル材6における中間垂木52Bの長手方向の中央寄りの位置とは、
図11に示すように、パネル材6における中間垂木52Bの長手方向の中央Cと端部Tとを比較して、端部Tよりも中央C寄りの位置を意味する。
【0084】
本実施形態においては、パネル材6における複数のL字状アングル金具75は、中間垂木52Bの長手方向の中間部分において、2つ設けられる。2つのL字状アングル金具75は、中間垂木52Bの長手方向の中間部分において、中間垂木52Bの長手方向の中央Cを空けて、中間垂木52Bの長手方向に並んで配置される。なお、L字状アングル金具75の数は限定されず、例えば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0085】
L字状アングル金具75は、
図12に示すように、固定縦板751と、傾斜支持板752と、を有する。固定縦板751は、上下方向に延びる板状に形成され、中間垂木52Bの中間垂木本体521の上部の側面にネジ固定される。傾斜支持板752は、固定縦板751の上端部から左右方向の外側に上り傾斜で傾斜して直線状に延びる。
【0086】
傾斜支持板752は、バネ性を有して構成され、パネル材6の幅方向の端部を支持する。傾斜支持板752の上面は、左右方向の端部において中間垂木52Bの中間垂木本体521と中間カバー部材523とにより挟まれて保持された部分よりも中間垂木52Bの左右方向の外側において、パネル材6の下面を支持する。これにより、L字状アングル金具75は、バネ性を有した状態で、パネル材6における中間垂木52B側の端部を、中間垂木52Bの長手方向の中間部分において、斜め上向きになるように下方側から支持する。
【0087】
以上のL字状アングル金具75は、バネ性を有した状態で、パネル材6の幅方向の端部を支持する。L字状アングル金具75は、パネル材6の荷重が上方から作用することでパネル材6が撓る(しなる)ことで、荷重が解除されたときの上方に向けて反発する動きによりパネル材6を上方に押し返すように構成される。そのため、L字状アングル金具75は、例えば、バネ性を有し且つ強度を有する材料により形成される。例えば、L字状アングル金具75の材料として、バネ性を有する金属材料(例えばSUS301など)や、バネ性を有し且つ割れにくい樹脂材料などを用いることができる。
【0088】
これにより、パネル材6における中間垂木52B側の端部は、中間垂木52Bの長手方向の中間部分において、複数のL字状アングル金具75に支持されることで、パネル材6は、中間垂木52Bの長手方向の中間部分において、幅方向の端部側から中央側に向かって上り傾斜するように湾曲する。このように、パネル材6における中間垂木52B側の端部は、中間垂木52Bの長手方向の中間部分において、L字状アングル金具75により、斜め上向きになるように挟み込まれて保持される。一方、中間垂木52Bの長手方向の両端部側においては、複数のL字状アングル金具75により支持されていない。そのため、パネル材6は、長手方向の端部側においては、湾曲が小さく形成され又は湾曲が存在しない。
【0089】
よって、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、パネル材6の長手方向の前側の端部においては、パネル材6の後側の端部と前枠4との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を前枠4に納めやすい。また、パネル材6の長手方向の後側の端部においては、パネル材6の後側の端部と垂木掛け3との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を垂木掛け3に納めやすい。
【0090】
第4実施形態の屋根体2Cについて説明する。第4実施形態の屋根体2Cは、第1実施形態の垂木5(端部垂木51、中間垂木52)が垂木本体と垂木カバー部材で構成されるのに対して、第4実施形態の垂木5C(端部垂木56、中間垂木57)が垂木カバー部材を有さずに構成されている点において、第1実施形態の屋根体2と主に異なる。第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。第4実施形態の構成の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0091】
第4実施形態の屋根体2Cは、
図13に示すように、垂木掛け3(後側材)と、垂木掛け3から離間して配置される前枠4(前側材)と、垂木掛け3と前枠4との間を延びて配置される複数の垂木5Cと、隣り合う垂木5Cの間に配置される複数のパネル材6と、を備える。複数の垂木5Cは、屋根体2Cの左右方向の両端部に配置される2つの端部垂木56と、2つの端部垂木56の間において左右方向に並んで配置される複数の中間垂木57(垂木)と、を有する。端部垂木56は、端部垂木56における左右方向の一方側において、パネル材6の幅方向の端部を上下方向において挟んで固定する。中間垂木57は、中間垂木57における左右方向の両側において、パネル材6の幅方向の端部を上下方向において挟んで固定する。
【0092】
中間垂木57は、
図14に示すように、左右対称の形状に形成される。中間垂木57は、端部垂木56(
図13参照)におけるパネル材6を保持する構成が、左右方向の両側に形成されている。本実施形態においては、中間垂木57について主に説明する。端部垂木56の説明は、中間垂木57の説明を援用できる。
【0093】
中間垂木57は、
図14に示すように、左右方向の中央において上方に突出する凸部571aを有する中間垂木本体ホロー部571(垂木本体)と、中間垂木本体ホロー部571の凸部571aの上面から左右方向の両側に水平に延出する中間垂木上面板572(垂木上部材)と、中間垂木上面板572の左右方向の外側の両端部の下部に形成される一対の中間垂木パッキン嵌合部573と、中間垂木本体ホロー部571の左右方向の外側の端部における凸部571aよりも低い位置において上方に突出する一対のビード材配置部574(下部受け部分)と、中間垂木本体ホロー部571の上面の左右方向において凸部571aとビード材配置部574との間に形成される樋構成部575と、を有する。
【0094】
中間垂木上面板572の下面572aには、傾斜部品78(上側部材)が設けられる。傾斜部品78は、パネル材6における中間垂木57の長手方向の中間部分において、長手方向に所定長さ延びて形成される。
【0095】
パネル材6における中間垂木57の長手方向の中間部分は、パネル材6における中間垂木57の長手方向の中央C又は中央寄りの位置である。パネル材6における中間垂木57の長手方向の中央寄りの位置とは、
図13に示すように、パネル材6における中間垂木57の長手方向の中央Cと端部Tとを比較して、端部Tよりも中央C寄りの位置を意味する。本実施形態においては、傾斜部品78は、パネル材6における中間垂木57の長手方向の中央C又は中央寄りの位置において、長手方向に所定長さ延びて形成される。
【0096】
傾斜部品78は、
図14に示すように、傾斜部品上面板781と、傾斜部品中空部782と、下方突起783と、を有する。傾斜部品上面板781は、中間垂木上面板572の下面572aに例えば両面テープなどで貼り付けて取り付けられる。
【0097】
傾斜部品中空部782は、傾斜部品上面板781の左右方向の内側の下部に中空状に形成される。傾斜部品中空部782の左右方向の外側の側面には、左右方向の外側から内側に向かって下り傾斜する傾斜面782aが形成される。傾斜面782aは、パネル材6が中間垂木本体ホロー部571と中間垂木上面板572との間に挿入される際に、パネル材6の幅方向の端部の端面が斜め下方に向かうようにガイドする。
【0098】
下方突起783は、傾斜部品中空部782の左右方向の外側の端部から下方に突出する。下方突起783は、ビード材配置部574に配置された傾斜ビード材577と中間垂木パッキン嵌合部573に取り付けられた中間垂木側パッキン576とにより挟み込んだパネル材6の幅方向の端部の上面を押圧する。
【0099】
傾斜部品78は、例えば、硬質の材料が好ましい。例えば、傾斜部品78の材料として、硬質の樹脂や、アルミニウムや鉄などの金属を用いることができる。
【0100】
中間垂木パッキン嵌合部573は、溝状に形成され、中間垂木上面板572の下面において下方に開放して形成され、前後方向(中間垂木57の長手方向)に延びる。中間垂木パッキン嵌合部573には、中間垂木側パッキン576が配置される。
【0101】
ビード材配置部574は、上方側に突出する凸状に形成され、前後方向(中間垂木57の長手方向)に延びる。ビード材配置部574は、中間垂木パッキン嵌合部573の下方に配置される。ビード材配置部574には、傾斜ビード材577(挟み込み部材、下側部材)が配置される。傾斜ビード材577は、中間垂木上面板572とビード材配置部574との間にパネル材6が差し込まれた状態で、パネル材6とビード材配置部574との間に配置される。傾斜ビード材577は、中間垂木パッキン嵌合部573に取り付けられた中間垂木側パッキン576との間で、パネル材6の端部を挟み込む。傾斜ビード材577は、中間垂木57の長手方向の略全域に延びるように形成される。
【0102】
傾斜ビード材577は、パネル材6の幅方向の端部を傾斜部品78との間で挟み込んだ場合にパネル材6の幅方向の端部を斜め上向きになるように傾斜した状態で保持できるように、中間垂木57の左右方向の内側の上端部577aの位置が、中間垂木57の左右方向の外側の上端部577bの位置よりも低い位置となるように形成されている。パネル材6は、中間垂木57の左右方向の内側において、傾斜ビード材577の上端部577aに支持され、中間垂木57の左右方向の外側において、傾斜ビード材577の上端部577bに支持されることで、パネル材6の幅方向の端部側から中央側に向かって上り傾斜した状態で支持される。
【0103】
傾斜ビード材577の材質としては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂材料を用いることができる。傾斜ビード材577の材料として、例えば、パネル材6に接触する部分は軟質材料、ベース部分は硬質材料を用いることができる。
【0104】
中間垂木上面板572の下面572aに取り付けられた傾斜部品78とビード材配置部574との間にパネル材6が挿入された状態で、パネル材6の下面とビード材配置部574との間に傾斜ビード材577を押し込むことで、パネル材6の幅方向の端部は、中間垂木パッキン嵌合部573に取り付けられた中間垂木側パッキン576と、ビード材配置部574に配置された傾斜ビード材577とに挟み込まれて保持される。
【0105】
この状態において、傾斜部品78の下方突起783は、ビード材配置部574に配置された傾斜ビード材577と中間垂木パッキン嵌合部573に取り付けられた中間垂木側パッキン576とにより挟み込んだパネル材6の幅方向の端部の上面を押圧する。
【0106】
これにより、パネル材6における中間垂木57側の端部は、中間垂木57の長手方向の中間部分において、ビード材配置部574に配置された傾斜ビード材577と中間垂木パッキン嵌合部573に取り付けられた中間垂木側パッキン576とにより挟み込まれて保持される。この状態で、傾斜部品78の下方突起783がパネル材6の幅方向の端部の上面を下方に押圧することで、傾斜部品78の下方突起783を支点して、パネル材6の幅方向の端部が下方に押される。そして、パネル材6は、中間垂木57の長手方向の中間部分において、幅方向の端部側から中央側に向かって上り傾斜するように湾曲する。このように、パネル材6における中間垂木57側の端部は、中間垂木57の長手方向の中間部分において、ビード材配置部574に配置された傾斜ビード材577とパネル材6の幅方向の端部側に配置される傾斜部品78により、斜め上向きになるように挟み込まれて保持される。一方、中間垂木57の長手方向の両端部側には、パネル材6の幅方向の端部の上面を下方に押圧する傾斜部品78が配置されていない。そのため、パネル材6は、長手方向の端部側においては、湾曲が小さく形成され又は湾曲が存在しない。
【0107】
よって、第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、パネル材6の長手方向の前側の端部においては、パネル材6の後側の端部と前枠4との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を前枠4に納めやすい。また、パネル材6の長手方向の後側の端部においては、パネル材6の後側の端部と垂木掛け3との間に隙間が生じにくいと共に、パネル材6を垂木掛け3に納めやすい。
【0108】
以上、本開示の屋根体の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
2,2A,2C 屋根体、3 垂木掛け(後側材)、4 前枠(前側材)、5 垂木、6 パネル材、37 垂木掛け側後付けビード材(後付けビード材)、46 前枠側後付けビード材(後付けビード材)、51 端部垂木(垂木)、52,52A,52B,57 中間垂木(垂木)、71 上金具(上側部材)、72 下金具(下側部材)、75 L字状アングル金具(支持部材)、78 傾斜部品(上側部材)、511 端部垂木本体(垂木本体)、513 端部カバー部材(垂木上部材)、515 端部カバー押圧パッキン(パッキン部材、上側部材)、525 中間カバー押圧パッキン(パッキン部材、上側部材)、521 中間垂木本体(垂木本体)、523 中間カバー部材(垂木上部材)、577 傾斜ビード材(下側部材)