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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】塗料用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/08 20060101AFI20240920BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240920BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C09D201/08
C09D5/02
C09D133/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020159876
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053193
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(72)【発明者】
【氏名】松本 和明
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 優
(72)【発明者】
【氏名】坂元 芳峰
(72)【発明者】
【氏名】柏原 宮人
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-254727(JP,A)
【文献】特開2015-131935(JP,A)
【文献】特開2014-161805(JP,A)
【文献】特開2007-197644(JP,A)
【文献】特開2005-008862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/08
C09D 5/02
C09D 133/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体粒子を含み、前記重合体粒子は、下記一般式( 1 ) で表される構造単位と、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位とを含む、塗料用水性樹脂組成物。
【化1】
(一般式(1)中、R1は、炭素数1~4のアルキル基、水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムを表し、R1 の少なくとも一部が水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムである。
【請求項2】
上記一般式(1)において、Rの少なくとも一部がアルカリ金属原子、またはアンモニウムである、請求項1に記載の塗料用水性樹脂組成物。
【請求項3】
上記一般式( 1 ) で表される構造単位を5 0 質量% 以上有する重合体粒子を含む、請求項1 ~ のいずれか1 項に記載の塗料用水性樹脂組成物。
【請求項4】
アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム、およびポリエステル樹脂から選択される1 以上の樹脂を含む、請求項1 ~ のいずれか1 項に記載の塗料用水性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料用樹脂組成物に関する。より詳しくは、配合安定性に優れる、塗料用水性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば建築物は屋外に長期間暴露されることにより、雨、砂塵、太陽光などの影響により塗装表面が汚れたり、外観が悪化したりする。そこで、耐汚れ特性を改善する、いわゆる低汚染塗料に対する市場ニーズがある。それに対する手段として、塗料にシリカゾルを配合する方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-177604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり微粒子シリカを配合した低汚染塗料組成物が提案されているが、粒子径が大きいシリカ粒子が含まれる場合などは、塗膜が白濁したり、耐水白化性が悪化したりする課題があった。一方、粒子径が小さいシリカ粒子が含まれる場合などは、組成物がゲル化するなど、配合安定性が十分でない場合があり、良好な塗膜が得られないという課題があった。
【0005】
よって、本発明は、配合安定性が良好であり、得られた塗膜の耐水白化性、防汚性が良好な、塗料用水性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。
すなわち本開示の塗料用樹脂組成物は、重合体粒子を含み、前記重合体粒子は、下記一般式(1)で表される構造単位と、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位とを含む、塗料用水性樹脂組成物である。
【0007】
【化1】
【0008】
(一般式(1)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムを表す。)
【発明の効果】
【0009】
本開示の塗料用水性樹脂組成物は、良好な配合安定性を有し、耐水白化性、防汚性が良好な塗膜が得られる。よって、本開示の塗料用水性樹脂組成物は、例えば建材用塗料などに好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
【0011】
[本開示の重合体粒子]
本開示の構造単位は、後述する一般式(1)で表される構造単位と、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位とを含み、必要に応じてその他の単量体に由来する構造単位を有する。
【0012】
<一般式(1)で表される構造単位>
本開示の重合体粒子は、下記一般式(1)で表される構造単位を含む。
【0013】
【化2】
【0014】
(一般式(1)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムを表す。)
上記R1で表される炭素数1~4のアルキル基は、炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることがより好ましい。
【0015】
上記一般式(1)で表される構造単位は、下記一般式(2)で表される単量体が重合反応を経由することにより形成されても良いが、他の方法で形成されても良い。例えば、一般式(2)において、R1が炭素数1~4のアルキル基である単量体を重合し、加水分解をすることにより、上記一般式(1)においてR1がアルカリ金属の構造単位やアンモニウムの構造単位を形成しても良い。
【0016】
【化3】
【0017】
(一般式(2)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムを表す。)
なお、上記一般式(1)において、Rは、1種であってもよく、2種以上であっても良い。Rが2種以上の場合、2種以上の上記一般式(2)で表される単量体を重合して形成してもよく、Rが炭素数1~4のアルキル基である上記一般式(2)で表される単量体を重合した後に、エステル基を部分加水分解したり、2種以上の塩基性物質で加水分解することにより形成しても良い。
【0018】
上記Rが、アンモニウムとは、NH4+に限られず、有機アンモニウムを含む意味であると定義される。有機アンモニウムとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムなどの4級アンモニウム;アミンをプロトン化することによって形成されるアンモニウム(1~3級アンモニウム)などが挙げられる。Rとしては、アンモニア又はアミンのプロトン化によって形成されるアンモニウムが好ましい。前記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン(好ましくはトリC1-10アルキルアミン);ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのヒドロキシアルキルアミン(好ましくはジ又はトリ(ヒドロキシC1-10アルキル)アミンなど)などが挙げられ、ヒドロキシアルキルアミンが好ましい。
【0019】
本開示の重合体粒子は、上記一般式(1)で表される構造単位を、20質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましく、70質量%以上含むことがよりさらに好ましく、80質量%以上含むことが特に好ましく、90質量%以上含むことが最も好ましい。一方、本開示の重合体粒子は、上記一般式(1)で表される構造単位を、99.99質量%以下含むことが好ましく、99.9質量%以下含むことがより好ましく、99質量%以下含むことがさらに好ましく、97質量%以下含むことが特に好ましく、95質量%以下含むことが最も好ましい。上記範囲で含むことにより、本開示の塗料用水性樹脂組成物の示す配合安定性、耐水白化性、耐汚染性が向上する傾向にある。
【0020】
本開示の重合体粒子は、多層構造を有していてもよく、例えばコア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であってもよい。本開示の重合体粒子が多層構造を有する場合には、最外殻の層における組成が上記範囲であることが好ましい。
【0021】
<多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位>
本開示において、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位とは、多官能エチレン性不飽和単量体の、少なくとも一つの炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造単位を表す。例えば、ジビニルベンゼン、CH=CH-C-CH=CH、であれば、ジビニルベンゼン由来の構造単位は、例えば-CH-CH-C-CH-CH-、で表すことができる。多官能エチレン性不飽和単量体由来の構造単位は、例えば、多官能エチレン性不飽和単量体をラジカル重合することにより形成することができる。なお、多官能エチレン性不飽和単量体由来の構造単位は、多官能エチレン性不飽和単量体の炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造と同じ構造であればよく、多官能エチレン性不飽和単量体が重合することにより形成された構造単位に限定されず、例えば重合後の後反応により形成された構造単位であってもよい。
本開示の重合体粒子は、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を1種または2種以上含んでいても良い。
【0022】
本開示において、多官能エチレン性不飽和単量体としては、エチレン性の炭素炭素二重結合を2または3以上含む化合物であれば、特に制限されないが、例えば、CH=CH-基、CH=CH-O-基、CH=CH-CH-O-基、CH=C(CH)-CH-O-基、CH=CH-CH-CH-O-基、CH=C(CH)-CH-CH-O-基、CH=CH-CO-O-基、CH=C(CH)-CO-O-基、CH=CH-CO-NH-基、から選択される1種または2種以上のエチレン性の炭素炭素二重結合を2または3以上含む化合物が例示される。
【0023】
本開示において、多官能エチレン性不飽和単量体としては、分子量が50以上、1000以下であることが好ましく、100以上、400以下であることがより好ましい。
【0024】
また、上記多官能エチレン性不飽和単量体としては、ジビニルベンゼン;1,3-ブタジエン;トリビニルベンゼン;ジビニルナフタレン;トリビニルシクロヘキサン;ジビニルエーテル;ジアリルエーテル;多価メタクリル酸エステル、N、N’-メチレンビスアクリルアミド等が例示される。耐加水分解性の観点から、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、多価メタクリル酸エステル等が好ましく、より好ましくは、ジビニルベンゼン、多価メタクリル酸エステルが好ましく、さらに好ましくは、ジビニルベンゼンである。
【0025】
ジアリルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ジブチレングリコールジアリルエーテル等のジアルキレングリコールジアリルエーテル;ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリブチレングリコールジアリルエーテル等のポリアルキレングリコールジアリルエーテルが挙げられる。また、多価メタクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、メタクリル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0026】
本開示の重合体粒子は、上記多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を、0.01質量%以上含むことが好ましく、0.1質量%以上含むことがより好ましく、0.5質量%以上含むことがさらに好ましく、2質量%以上含むことがよりさらに好ましく、5質量%以上含むことが特に好ましい。一方、本開示の重合体粒子は、上記多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を、70質量%以下含むことが好ましく、50質量%以下含むことがより好ましく、30質量%以下含むことがさらに好ましく、20質量%以下含むことが特に好ましく、10質量%以下含むことが最も好ましい。上記範囲で含むことにより、本開示の塗料用水性樹脂組成物の示す配合安定性、耐水白化性、耐汚染性が向上する傾向にある。
【0027】
本開示の重合体粒子に含まれる上記多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位100質量%中、二官能不飽和単量体に由来する構造単位の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0028】
本開示の重合体粒子が多層構造を有する場合には、最外殻の層における組成が上記範囲であることが好ましい。
【0029】
<その他の単量体に由来する構造単位>
本開示の重合体粒子は、上記一般式(1)で表される構造単位、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。すなわち、上記一般式(2)で表される単量体、多官能エチレン性不飽和単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」といもいう)に由来する構造単位を1種または2種以上含んでいても良い。
【0030】
その他の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシランなどのシラン基含有単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等の窒素原子含有単量体;エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどのオキソ基含有単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-(メタ)アクリレート等の光安定化単量体;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体などの紫外線吸収性単量体などが例示される。
【0031】
本開示の重合体粒子における、その他の単量体に由来する構造単位の含有量は、75質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、2質量%以下であることが最も好ましい。
【0032】
上記範囲であることにより、本開示の塗料用水性樹脂組成物の示す配合安定性、耐水白化性、耐汚染性が向上する傾向にある。
【0033】
本開示の重合体粒子は、多層構造を有していてもよく、例えばコア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であってもよい。本開示の重合体粒子が多層構造を有する場合には、最外殻の層における組成が上記範囲であることが好ましい。
【0034】
上記のとおり、本開示の重合体粒子が多層構造を有する場合には、最外殻の層は上記一般式(1)で表される構造単位と、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位とを必須に含むことが好ましい。
一方で、最外殻以外の層の少なくとも1層は、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位、スチレン系単量体に由来する構造単位から選択される少なくとも1種以上を、含むことが好ましい。好ましくは、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位および/またはスチレン系単量体に由来する構造単位を合計で50質量%以上で含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことが特に好ましい。
【0035】
<本開示の重合体粒子の性状>
本開示の重合体粒子は、体積平均粒子径が10nm~10μmであることが好ましく、50nm~5μmであることがより好ましく、100nm~1μmであることがさらに好ましく、150~500nmであることが特に好ましい。
【0036】
本開示の重合体粒子は、ガラス転移温度が80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
【0037】
[本開示の重合体粒子の製造方法]
本開示の重合体粒子は、特に限定されないが、式(2)で表されるヒドロキシメチルアクリル酸系単量体のうちR1が炭素数1~4のアルキル基であるもの(以下、ヒドロキシメチルアクリル酸エステルという)と、多官能エチレン性不飽和単量体と(以下、これらをまとめて「原料単量体成分」という場合がある)を水系溶媒中で重合し、必要に応じ、部分的に又は完全に加水分解することにより製造することが好ましい。
重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、分散重合等が挙げられる。中でも、乳化剤の存在下、上記原料単量体成分を反応溶媒に分散させて(ラジカル)重合反応を行う乳化重合が好ましく、具体的には、本発明の重合体粒子の製造方法としては、乳化剤の存在下、式(2)で示される単量体の少なくとも1種と、多官能エチレン性不飽和単量体とを水系溶媒に分散させて重合反応を行う乳化重合を含むことが好ましい。乳化重合は、1段階のみで行ってもよく多段階で行ってもよい。
【0038】
前記乳化剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、非反応型界面活性剤であっても、ラジカル重合可能な基を構造中に有する反応型界面活性剤であってもよい。
【0039】
非反応型界面活性剤には、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が包含される。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル(アリル)スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸塩等が挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
【0040】
反応型界面活性剤には、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が包含される。アニオン性反応型界面活性剤としては、エーテルサルフェート型反応型界面活性剤、リン酸エステル系反応型界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0041】
乳化剤は、原料単量体成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
【0042】
本開示において、水系溶媒とは、水単独、または水と水混和性有機溶媒との混合溶媒が挙げられるが、水単独であることが好ましい。水系溶媒とは、典型的には、水の含有量が50体積%を超える溶媒を指す。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水、純水等を用いることができる。水混和性有機溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール等)を用いることができる。重合体粒子中に有機溶媒が極力残存しないようにする観点から、水系溶媒の80体積%以上が水である水系溶媒が好ましく、水系溶媒の90体積%以上が水である水系溶媒がより好ましく、水系溶媒の95体積%以上が水である水系溶媒がさらに好ましく、実質的に水からなる水系溶媒(99.5体積%以上が水である水系溶媒)が特に好ましく、水単独であることが最も好ましい。
【0043】
原料単量体成分を重合する際には、例えば、重合開始剤、紫外線や放射線の照射、熱の印加等の手段が用いられ、重合開始剤を使用することが好ましく、原料単量体成分を効率よく反応させ、残存するモノマーを十分に低減させる観点から、酸化剤及び還元剤を組み合わせた重合開始剤(レドックス型重合開始剤)が好ましい。
【0044】
本開示の重合体粒子の加水分解は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液、シクロヘキシルアミン水溶液等の塩基性水溶液を添加することで加水分解を行うことができる。さらに、加水分解液に適宜酸を添加することで、部分中和又は完全中和を行うことができる。加水分解及び中和を行うことで、式(1)のR1に該当する基を水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムにできる。重合時、加水分解時、及び中和時に用いる酸や塩基の量を調整したり、R1が水素原子である単量体単位の割合を調整することで、重合体粒子のpH及び粒子表面の親水性を容易に調整することができるため、本開示の塗料用水性樹脂組成物の示す配合安定性、耐水白化性、耐汚染性を向上させることができる。
【0045】
[本開示の塗料用水性樹脂組成物]
本開示の塗料用水性樹脂組成物は、本開示の重合体粒子を含む。本開示の塗料用水性樹脂組成物における本開示の重合体粒子の含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、本開示の塗料用水性樹脂組成物における本開示の重合体粒子の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲で含むことにより、本開示の塗料用水性樹脂組成物の示す配合安定性、耐水白化性、耐汚染性が向上する傾向にある。
【0046】
本開示の塗料用水性樹脂組成物は、水系溶媒を含むことが好ましい。本開示の塗料用水性樹脂組成物における水系溶媒の含有量は、取り扱い性を向上させる観点から、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、本開示の塗料用水性樹脂組成物における水系溶媒の含有量は、塗工時の生産性を向上させる観点から70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
【0047】
本開示の塗料用水性樹脂組成物は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素
樹脂、ゴム、およびポリエステル樹脂から選択される1種類以上の樹脂を含むことが好ましい。本開示の塗料用水性樹脂組成物における上記樹脂の含有量は、塗工時の生産性を向上させる観点から30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、本開示の塗料用水性樹脂組成物における上記樹脂の含有量は、取り扱い性を向上させる観点から、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
【0048】
本開示の塗料用水性樹脂組成物は、湿潤剤、増粘剤、防腐剤、安定剤、乾燥剤、分散剤などのその他の添加剤を含んでも良い。
【0049】
本開示の塗料用水性樹脂組成物は、特に限定されないが、本開示の重合体粒子水分散体と、上記樹脂のエマルションとを混合する工程を含み、製造することが好ましい。塗料用水性樹脂組成物は、上記混合する工程のほか、濃縮工程、希釈工程、濾過工程などの1または2以上の工程を含み、製造しても構わない。
【0050】
[本開示の塗料用水性樹脂組成物の用途]
本開示の塗料用水性樹脂組成物は、建材、建築・建造物、車、船舶など屋外で使用される構造物の外装などのトップコート塗料や下塗り塗料として好ましく使用できるが、内装用の塗料等として使用しても良い。
【実施例
【0051】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0052】
<体積平均粒子径>
微粒子分散体をイオン交換水で希釈したものを光散乱粒度分布測定機(スペクトリス社製「Zetasizer Ultra」)を用いて測定して、動的光散乱法により微粒子の体積平均粒子径(nm)を求めた。
【0053】
<配合安定性試験>
実施例および比較例の試料の配合後の状態を目視で評価した。
(評価基準)
〇:分散性良好。
×:ゲル化、析出物あり。
(総合評価基準)
〇:配合安定性評価で10種全て〇のもの。
×:配合安定性評価で一つでも×があるもの。
【0054】
<耐水白化性試験>
(塗膜作製)
黒色アクリル板〔日本テストパネル(株)製、縦:150mm、横:75mm、厚さ:3mm〕に、前記で得られた評価用試料を6milアプリケーターで塗布し、23℃の雰囲気中で1日間乾燥させることによって試験板を作製した。
(評価)
前記で得られた試験板のE値(E0)を色差計〔日本電色工業(株)製、商品名:分光式色差計SE-2000〕で測定し、さらにこの試験板を50℃に温調された温水中に4時間浸漬させた後、温水から引き上げ、キムタオル〔日本製紙クレシア(株)製〕で水分を拭き取り、1分間以内に前記色差計でE値(E1)を測定した。
次に、E値の変化値を下記式(1)に基づいて求め、以下の評価基準に基づいて耐温水白化性を評価した。
【0055】
【数1】
【0056】
<カーボン汚染試験>
(カーボン分散液作製)
イオン交換水95部にガラスビーズ(直径:1mm)5部を加え、ホモディスパーで回転速度500rpmにて撹拌しながらカーボンブラック〔三菱ケミカル(株)製、商品名:MA-100〕を5部添加した。添加後、回転速度を2500rpmにて30分間分散させた。分散後、60メッシュ金網で濾過しガラスビーズを除去後、カーボンブラック分散液として使用した。
(塗膜作製)
白アクリル板〔日本テストパネル(株))製、縦:150mm、横:75mm、厚さ:2mm〕に前記で得られた評価用試料を6milアプリケーターで塗布し、23℃の雰囲気中で1日間乾燥させることによって試験板を作製した。
(評価)
上記塗膜を乾燥後、試験板に関して初期E値(E0)を色差計〔日本電色工業(株)製、品番:ZE-6000〕で測定し、上記カーボン分散液を20milアプリケーターで塗布し、24時間乾燥させた。乾燥後、上記カーボンブラック分散液を流水と刷毛〔豚毛、毛丈40mm〕を使用して洗い流し、上記色差計で試験板に関してE値(E1)を測定した。
次に、E値の変化値を下記式(2)に基づいて求め、耐汚染性を評価した。
【0057】
【数2】
【0058】

[重合体粒子の合成]
<製造例A1>
攪拌機、温度計及び冷却機を備えたステンレス製の第1の反応釜に、脱イオン水1378質量部、及びエーテルサルフェート型アンモニウム塩を主成分とするアニオン性反応性乳化剤アデカリアソープSR-20(有効成分100質量%、ADEKA社製)をイオン交換水で有効成分10質量%に希釈したもの(以下「SR-20(有効成分10質量%)」という)0.96質量部を加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、第1の反応釜とは異なる第2の反応釜で、メチルメタクリレート(以下「MMA」と称する)50質量部とノルマルブチルアクリレート(以下「BA」と称する)50質量部を投入し、単量体組成物A 100質量部を調製した。さらに、第1の反応釜、第2の反応釜とは異なる第3の反応釜で、2-ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(以下「RHMA」と称する)90質量部と、ジビニルベンゼン(新日鉄住金化学社製、ジビニルベンゼン純度81%、以下「DVB810」と称する)10質量部とを混合して、単量体組成物B 100質量部を調製した。
【0059】
次に、第1の反応釜内を窒素ガスで置換した後、前記単量体組成物A100質量部、過酸化水素水(濃度3.35質量%)20質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(濃度5.0質量%)20質量部を第1の反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。続いて、前記単量体組成物B100質量部、過酸化水素水(濃度0.83質量%)100質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(濃度1.25質量%)100質量部、SR-20(有効成分10質量%)7.04質量部とアンモニア水溶液(濃度28質量%)0.36質量部とイオン交換水92.6質量%との混合組成物100質量部を、各々異なる投入口より、第1の反応釜へ3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、第1の反応釜の内温を75℃に保持し、同温度で2時間保持して熟成した後、反応溶液を冷却して、重合体が分散した重合体水分散体を得た。前記で得られた重合体水分散体10質量部、及び塩基性水溶液としてアンモニア水溶液(濃度25.0質量%)0.19質量部を第1の反応釜に加え、25℃で終夜撹拌することにより、部分的に加水分解された重合体粒子(1)が分散した重合体粒子水分散体(1a)を得た。
【0060】
<製造例A2>
単量体組成物AをMMA50質量部とBA50質量部から、BA100質量部に変更した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(2)が分散した重合体粒子水分散体(2a)を得た。
【0061】
<製造例A3>
攪拌機、温度計および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水832.0質量部およびエーテルサルフェート型アンモニウム塩を主成分とするアニオン性反応型界面活性剤アデカリアソープSR-20(有効成分100質量%、ADEKA社製)をイオン交換水で有効成分25.0質量%に希釈したもの(以下、「SR-20(有効成分25.0質量%)」という)を0.96質量部加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、上記反応釜とは異なる容器で、RHMA 180質量部とDVB810 20質量部とを混合して、単量体組成物200質量部を調製した。次に、上記反応釜内を窒素ガスで置換した後、上記単量体組成物40質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度1.28質量%)21質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度1.90質量%)21質量部を上記反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。続いて、上記単量体組成物の残部160質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度0.22質量%)479質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度0.33質量%)479質量部とSR-20(有効成分25.0質量%)7.04質量部との混合組成物486.04質量部を、各々異なる投入口より反応釜へ4時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温を85℃まで昇温し、同温度で2時間保持して熟成した後、反応溶液を冷却して、重合体粒子が分散した重合体粒子分散体を得た。前記で得られた重合体水分散体10質量部、及び塩基性水溶液としてアンモニア水溶液(濃度25.0質量%)0.38質量部を第1の反応釜に加え、25℃で終夜撹拌することにより、部分的に加水分解された重合体粒子(3)が分散した重合体粒子水分散体(3a)を得た。
【0062】
<製造例A4>
攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量10Lのガラス製反応器に、有機溶媒としてのメチルアルコール4266.5gと、28重量%アンモニア水(水および触媒)666.0gとを仕込み、攪拌しながら液温を20±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、シリコン化合物としてのテトラメトキシシラン666.0gをメチルアルコール533.0gに溶解してなる溶液を仕込んだ。そして、滴下装置から該溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解,縮合を行い、シリカ粒子の懸濁液を得た。該シリカ粒子の平均粒子径は300nmであった。得られた懸濁液を瞬間真空蒸発装置を用いて乾燥させることにより、粉体状のシリカ粒子(4)を取り出した。瞬間真空乾燥装置としては、クラックス・システム 8B型(ホソカワミクロン株式会社製)を使用した。また乾燥条件として、加熱管温度175℃、減圧度200torrを採用した。上記の瞬間真空蒸発装置は、加熱水蒸気が供給されるジャケットで覆われた内径8mm、長さ9mのステンレス鋼管と、該鋼管の一端部に懸濁液を供給する供給部と、鋼管の他端部に接続された、粉体と蒸気とを分離するバッグフィルタが設けられた減圧状態の粉体捕集室とを備えていた。そして、供給部から供給された懸濁液は、鋼管内を通過する際に加熱されて粉体と蒸気とに分離し、粉体はバッグフィルタによって捕集され、蒸気は凝縮された後、装置外に排出される構成となっていた。粉体状のシリカ粒子(4)をイオン交換水に分散させることで、粒子濃度22wt%のシリカ粒子水分散体(4a)を得た。
【0063】
[塗料樹脂の合成]
<製造例B1>
滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水685部を入れた。 一方、滴下ロート内で脱イオン水300部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-10の25%水溶液〕200部、2-エチルへキシルアクリレート365部、メチルメタクリレート625部および2-ヒドロキシエチルメタクリレート10部からなる滴下用プレエマルションを調製した。
フラスコ内にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液50部をフラスコ内に添加し、滴下用プレエマルションを2時間かけて滴下する事でアクリルエマルションを得た。
滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整して重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同じ)の金網で濾過することにより、不揮発分の含有率が47質量%である樹脂エマルション(B1)を得た。
【0064】
[塗料組成物の作製]
<実施例1-1>
製造例B1で得られた樹脂エマルション100質量部および製造例A1で得られた重合体粒子水分散体(1a)19.5質量部を混合することにより、水性樹脂組成物を調製した。なお、この際樹脂エマルションの不揮発分と重合体粒子水分散体の不揮発分との質量比(樹脂エマルション/重合体粒子)は、100/4であった。
前記水性樹脂組成物に、成膜助剤として2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS-12〕8.4質量部を添加し、ホモディスパーで回転速度1000rpmにて10分間撹拌した後、不揮発分量が47%となるように希釈水を添加した。更に増粘剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカノールUH-420〕の5%水溶液を当該混合物に2.4質量部添加しその状態で30分間攪拌後、300メッシュ金網で濾過することにより、試料を調製した。
【0065】
<実施例2-1、3-1>
実施例1において、重合体粒子水分散体(1a)を(2a)、(3a)に変更した以外は、実施例1と同様にして試料を調製した。
【0066】
<比較例1-1>
実施例1において、重合体粒子水分散体(1a)を製造例A4で合成したシリカ粒子水分散体(4a)に変更した以外は、実施例1と同様にして試料を調製した。
【0067】
<比較例2-1>
実施例1において、重合体粒子水分散体(1a)をシリカゾル(日産化学社製スノーテックスN)に変更した以外は、実施例1と同様にして試料を調製した。
【0068】
<比較例3-1>
実施例1において、重合体粒子水分散体(1a)をシリカゾル(日産化学社製スノーテックスAK)に変更した以外は、実施例1と同様にして試料を調製した。
【0069】
<比較例4-1>
実施例1において、重合体粒子水分散体(1a)をシリカゾル(日産化学社製スノーテックス30)に変更した以外は、実施例1と同様にして試料を調製した。
【0070】
<比較例5-1>
実施例1において、重合体粒子水分散体(1a)をシリカゾル(日産化学社製スノーテックスO)に変更した以外は、実施例1と同様にして試料を調製した。
【0071】
<実施例1-2~3-10、比較例1-2~5-10>
実施例1-1において、樹脂エマルション/重合体粒子を100/4から100/10に変更し、樹脂エマルションを製造例B1で得られた樹脂エマルションから表1に記載の塗料用樹脂に変更し、重合体粒子を製造例A1で得られた重合体粒子水分散体(1a)から表1に記載の粒子に変更した以外は、実施例1-1と同様にして試料を調製した。
【0072】
【表1】
【0073】
【0074】
【表2】
【0075】
表1、表2の結果から、本開示の塗料用水性樹脂組成物は、良好な配合安定性、耐水白化性、耐汚染性に優れることが明らかとなった。