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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】バキュームブロワ
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/00 20060101AFI20240920BHJP
   A47L 5/14 20060101ALI20240920BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20240920BHJP
   A47L 9/00 20060101ALI20240920BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20240920BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20240920BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B08B5/00 A
A47L5/14
A47L5/24 Z
A47L9/00 H
F04D25/16
F04D29/44 D
F04D29/58 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020162319
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054993
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐太
(72)【発明者】
【氏名】平松 高宗
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洸紀
(72)【発明者】
【氏名】谷本 夏樹
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-017620(JP,A)
【文献】特開2002-159924(JP,A)
【文献】特開2020-094571(JP,A)
【文献】特開2019-152105(JP,A)
【文献】特開2005-211185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 5/00
A47L 5/14
A47L 5/24
A47L 9/00
F04D 25/16
F04D 29/44
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バキュームブロワであって、
電動モータと、
前記電動モータの駆動により回転する第1ファンと、
吸気口を有しており、前記第1ファンの回転により前記吸気口から流入した空気が流れる第1空気通路と、
前記電動モータを冷却する空気の流れを発生させる第2ファンと、
吹き出し口を有しており、前記第2ファンの回転により空気が流れる第2空気通路と、
前記第1空気通路に接続されており、ダストを収集するダスト収集体と、を備えており、
前記第2空気通路の前記吹き出し口は、前記第1空気通路の前記吸気口に隣接して配置されており、
前記第1ファンの回転により空気が前記第1空気通路を通過して前記ダスト収集体に流入しているとき、前記第2ファンにより送り出される空気が前記吹き出し口から吹き出し、前記ダスト収集体を通過した空気が前記吹き出し口から吹き出ず、
前記電動モータは、空気の流れ方向に関して、前記第2空気通路において、前記第2ファンよりも上流側に配置されている、
バキュームブロワ。
【請求項2】
前記第2ファンは、前記電動モータの駆動により回転する、請求項1に記載のバキュームブロワ。
【請求項3】
一方の面に前記第1ファンが固定されており、他方の面に前記第2ファンが固定されている中間部材をさらに備えており、
前記電動モータの駆動により前記中間部材が回転することにより、前記第1ファンと前記第2ファンとが回転する、請求項2に記載のバキュームブロワ。
【請求項4】
前記中間部材を径方向外側で囲んでいる仕切部材をさらに備えており、
前記第1空気通路と前記第2空気通路とは、前記中間部材と前記仕切部材とにより区画されている、請求項3に記載のバキュームブロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、バキュームブロワに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バキュームブロワが開示されている。バキュームブロワは、電動モータと、電動モータの駆動により回転する第1ファンと、吸気口を有しており、第1ファンの回転により吸気口から流入した空気が流れる第1空気通路と、空気の流れ方向に関して、第1空気通路の下流端と連通しており、第1空気通路を流れるダストを収容するダスト袋と、ダスト袋を収容する収容体と、収容体の内部と連通する接続通路と、接続通路と連通しており、収容体を流れた空気が流れる送気通路と、を備えている。このバキュームブロワでは、第1空気通路を流れた空気は、ダスト袋に流入し、ダスト袋を内側から外側に向かって通り抜ける。その後、空気の一部は、ダスト袋と収容体との間の空間、接続通路、送気通路の順番に流れ、送気通路の吹き出し口から吹き出る。吹き出した空気が地面上の落ち葉に当たると、落ち葉が吹き上がり、落ち葉が吸入口から第1空気通路に吸い込まれやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2002-159924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、ダスト袋を通り抜けた比較的にきれいな空気を吹き出し口から吹き出る空気として利用することができる一方、ダスト袋を通り抜けた空気を集めるために、収容体と接続通路とが使用されている。これにより、バキュームブロワの構造が複雑となる。本明細書では、バキュームブロワの構造を簡便なものとしつつ、吹き出し口からきれいな空気を吹き出すことができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、バキュームブロワを開示する。バキュームブロワは、電動モータと、電動モータの駆動により回転する第1ファンと、吸気口を有しており、第1ファンの回転により吸気口から流入した空気が流れる第1空気通路と、電動モータを冷却する空気の流れを発生させる第2ファンと、吹き出し口を有しており、第2ファンの回転により空気が流れる第2空気通路と、を備えている。第2空気通路の吹き出し口は、第1空気通路の吸気口に隣接して配置されている。
【0006】
一般的に、電動モータを備えているバキュームブロワは、電動モータの過熱を抑制するために、第2ファンの回転により空気の流れを発生させて電動モータを冷却する構成を備えている。上記の構成では、電動モータを冷却するために第2ファンの回転により発生させた空気の流れを利用して、吹き出し口から空気を吹き出すことができる。このような構成とすることにより、バキュームブロワの構造を簡便なものとすることができる。また、電動モータを冷却した空気が吹き出し口から吹き出るので、吹き出し口からきれいな空気を吹き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例のバキューム状態にあるバキュームブロワ2を左側から見た左側面図である。
図2】実施例のバキューム状態にあるバキュームブロワ2を上側から見た上面図である。
図3】実施例のバキューム状態にあるバキュームブロワ2のノズル24近傍を左側から見た断面図である。
図4】実施例のバキューム状態にあるバキュームブロワ2のファン94近傍を左側から見た断面図である。
図5】実施例の送気状態にあるバキュームブロワ2のファン94近傍を左側から見た断面図である。
図6】実施例のバキュームブロワ2のファン94の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善されたバキュームブロワを提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第2ファンは、電動モータの駆動により回転してもよい。
【0012】
上記の構成では、1つの電動モータの駆動により、第1ファンと第2ファンとが回転する。このため、第1ファンを回転させる電動モータと、第2ファンを回転させる別の電動モータとが使用される場合と比較して、バキュームブロワの構造を簡便なものとすることができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バキュームブロワは、一方の面に第1ファンが固定されており、他方の面に第2ファンが固定されている中間部材をさらに備えていてもよい。電動モータの駆動により中間部材が回転することにより、第1ファンと第2ファンとが回転してもよい。
【0014】
上記の構成では、第1ファンと第2ファンとが一体的に形成されている。これにより、第1ファンと第2ファンとが別体である場合と比較して、バキュームブロワの構造を簡便なものとすることができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バキュームブロワは、中間部材を径方向外側で囲んでいる仕切部材をさらに備えていてもよい。第1空気通路と第2空気通路とは、中間部材と仕切部材とにより区画されていてもよい。
【0016】
上記の構成では、第1空気通路を流れる空気が第2空気通路を流れることを抑制することができる。これにより、第1空気通路を流れる落ち葉等のダストが第2空気通路に侵入することを抑制することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動モータは、空気の流れ方向に関して、第2空気通路において、第2ファンよりも上流側に配置されていてもよい。
【0018】
電動モータが空気の流れ方向に関して第2空気通路において第2ファンよりも下流側に配置されている場合、第2ファンから送り出された空気が電動モータを構成するステータやロータにぶつかることにより、空気の流れに乱れが生じやすい。上記の構成では第2ファンから送り出された空気が電動モータを構成するステータやロータにぶつかることがないため、空気の流れに乱れが生じることを抑制することができる。
【0019】
(実施例)
図1から図6を参照して、実施例のバキュームブロワ2を説明する。バキュームブロワ2は、落ち葉等のダストを収集するために使用される。図1および図2に示すように、バキュームブロワ2は、メインハウジング10と、モータハウジング12と、グリップハウジング14と、主電源スイッチ16と、トリガ18と、クルーズコントロールレバー20と、電源コード22と、ノズル24と、一対の車輪26と、連結部材28と、ダスト袋30と、を備えている。以下の説明では、ノズル24の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0020】
モータハウジング12は、メインハウジング10の後面上部から後方下側に向かって延びている。モータハウジング12は、メインハウジング10と一体的に形成されている。モータハウジング12の側面には、複数の開口32が形成されている。
【0021】
グリップハウジング14は、基部34と、第1把持部36と、第2把持部38と、を備えている。基部34は、メインハウジング10の上面後部とモータハウジング12の上面前部とから上側に向かって延びている。第1把持部36は、基部34の後面上部から後方下側に向かって延びた後、屈曲して、前側に向かって延び、モータハウジング12の後面に接続している。第2把持部38は、基部34の前面から上方前側に向かって延びた後、分岐して右側と左側とに向かって延びている。第1把持部36は、作業者の一方の手で把持され、第2把持部38は、作業者の他方の手で把持される。
【0022】
主電源スイッチ16は、基部34の上面に配置されている。主電源スイッチ16は、バキュームブロワ2のオン状態とオフ状態とを切り替えるための作業者からの操作を受け入れる。
【0023】
トリガ18は、第1把持部36の下面前部に配置されている。作業者は、第1把持部36を把持した手でトリガ18を操作することができる。バキュームブロワ2がオン状態にある場合にトリガ18が押し込まれると、スイッチ42(図4参照)からの信号が制御部44(図4参照)に送信される。クルーズコントロールレバー20は、基部34と第1把持部36との接続箇所の近傍に配置されている。作業者は、クルーズコントロールレバー20を前側に向かって移動させ、所望の位置に固定することにより、トリガ18を所望の量だけ押し込まれた状態に維持することができる。これにより、作業者は、トリガ18を手で押し込むことなく、作業することができる。
【0024】
電源コード22は、第1把持部36の下端部に配置されている。電源コード22を介して、バキュームブロワ2に電力が供給される。電源コード22は、例えば、作業者により背負われる背負い式のバッテリ、または外部電源に接続される。
【0025】
ノズル24は、メインハウジング10の前端部に配置されている。ノズル24の長手方向の長さは、調整可能である。ノズル24は、第1ノズル48と、第2ノズル50と、を備えている。第1ノズル48と第2ノズル50とは、一体的に形成されている。第1ノズル48は、第2ノズル50の上側に配置されている。図3に示すように、第1ノズル48は、吸気通路52を有する。吸気通路52の吸気口54は、第1ノズル48の先端部に位置している。第2ノズル50は、送気通路56を有する。送気通路56の吹き出し口58は、第2ノズル50の先端部に位置している。吹き出し口58は、吸気口54の下側に隣接して配置されている。
【0026】
図1および図2に示すように、一対の車輪26は、第2ノズル50の先端部に回転可能に取り付けられている。作業者は、一方の手で第1把持部36を把持し、他方の手で第2把持部38を把持した状態で、一対の車輪26を地面上で走行させることにより、ノズル24の先端部を地面に沿って容易に移動させることができる。
【0027】
図1に示すように、連結部材28は、連結部62と、レバー部64と、取手部66と、を備えている。連結部62は、メインハウジング10の下端部に着脱可能に連結される。レバー部64は、連結部62の後端部に配置されている。取手部66は、連結部62の後端部から後側に向かって延びている。作業者は、取手部66を一方の手で把持した状態で、レバー部64を下側に向かって押し下げることにより、連結部材28をメインハウジング10から取り外すことができる。
【0028】
ダスト袋30は、連結部62に取り付けられている。また、ダスト袋30は、第2ノズル50の中央下部に着脱可能に取り付けられている。ダスト袋30は、メッシュ素材から成る。これにより、ダスト袋30内の空気は、ダスト袋30を通り抜けることができる。
【0029】
図4に示すように、メインハウジング10は、空気通路70と、第1バイパス開口72と、第2バイパス開口74と、を有する。空気通路70は、第1開口76と、第2開口78と、第3開口80と、を有する。第1開口76は、メインハウジング10の前面上部に配置されている。第2開口78は、メインハウジング10の前面下部に配置されている。第2開口78は、第1開口76の下側に配置されている。第3開口80は、メインハウジング10の下面に配置されている。空気通路70は、第1開口76を介して、吸気通路52と連通している。空気通路70は、第2開口78を介して、送気通路56と連通している。空気通路70は、第3開口80を介して、ダスト袋30の内部と連通している。また、空気通路70は、モータハウジング12の内部と連通している。空気通路70は、第1開口76から後側に向かって延びた後、屈曲し前方下側に向かって延び、その後に分岐する。分岐した空気通路70の一方は、第2開口78に向かって延び、分岐した空気通路70の他方は、第3開口80に向かって延びる。第1バイパス開口72と第2バイパス開口74とは、メインハウジング10の右面を貫通している。第1バイパス開口72は、空気通路70の分岐箇所の近傍に配置されている。第2バイパス開口74は、空気通路70の分岐箇所と第2開口78との間に配置されている。
【0030】
図1に示すように、バキュームブロワ2は、切替レバー84をさらに備えている。切替レバー84は、メインハウジング10の左面に配置されている。切替レバー84は、作業者により、第1位置と第2位置とに切り替えられる。図4に示すように、切替レバー84が第1位置に位置するとき、切替レバー84は、空気通路70の分岐箇所から第2開口78に向かう通路を塞ぐ。この場合、第1開口76は、第3開口80のみと連通し、第2開口78とは連通していない。一方、図5に示すように、切替レバー84が第2位置に位置するとき、切替レバー84は、空気通路70の分岐箇所から第3開口80に向かう通路を塞ぐ。この場合、第1開口76は、第2開口78のみと連通し、第3開口80とは連通していない。
【0031】
図2に示すように、バキュームブロワ2は、バイパス管88をさらに備えている。バイパス管88は、メインハウジング10と一体的に形成されている。バイパス管88は、メインハウジング10の右面から前方右側に向かって延びた後、屈曲して前方左側に向かって延び、メインハウジング10の右面に接続している。図4および図5に示すように、バイパス管88の後端部は、第1バイパス開口72を介して空気通路70と連通している。また、バイパス管88の前端部は、第2バイパス開口74を介して空気通路70と連通している。なお、図4および図5では、バイパス管88が破線により図示されている。
【0032】
図4に示すように、バキュームブロワ2は、電動モータ92と、ファン94と、をさらに備えている。電動モータ92は、モータハウジング12の内部に収容されている。電動モータ92のシャフト96は、ベアリング98、100を介して、モータハウジング12に回転可能に支持されている。シャフト96の前端部は、メインハウジング10の空気通路70に配置されている。電動モータ92は、例えば、ブラシレスモータである。電動モータ92の動作は、スイッチ42から送信された信号に基づいて、制御部44により制御される。
【0033】
ファン94は、シャフト96に取り付けられている。図6に示すように、ファン94は、軸部材104と、中間部材106と、第1ファン108と、第2ファン110と、を備えている。図4に示すように、軸部材104は、軸部材104を前後方向に貫通する貫通孔114を有する。貫通孔114は、軸部材104の後面から中間位置まで延びる第1部分116と、中間位置から軸部材104の前面まで延びる第2部分118と、を備えている。第1部分116の直径は、第2部分118の直径よりも小さい。このため、第1部分116と第2部分118との接続箇所には、段差120が形成されている。第1部分116には、シャフト96が挿入されており、第2部分118には、シャフト96の前端部が配置されている。シャフト96の前端部には、キャップ122が取り付けられている。キャップ122は、段差120に前側から当接している。
【0034】
図5に示すように、中間部材106は、軸部材104の外周面を周方向に沿って延びている。中間部材106は、軸部材104の外周面の先端部から軸部材104の半径方向外側に向かって延びている。中間部材106は、軸部材104の外周面から軸部材104の半径方向の外側に向かうにつれて、湾曲し、軸部材104の後面側に寄っている。中間部材106は、第1面126と、第2面128と、外周面130と、を有する。第2面128は、第1面126の反対側に位置している。図4に示すように、第2面128は、電動モータ92側を向いている。外周面130の断面は、円形状を有する。外周面130は、第1面126と第2面128とを接続している。
【0035】
図6に示すように、第1ファン108は、第1面126に固定されている。第1ファン108は、軸部材104の外周面の周方向に関して、等間隔に配置されている複数枚のブレードを備えている。第2ファン110は、第2面128と軸部材104の外周面とに固定されている。第2ファン110は、軸部材104の外周面の周方向に関して、等間隔に配置されている複数枚のブレードを備えている。
【0036】
図4に示すように、バキュームブロワ2は、仕切部材134をさらに備えている。仕切部材134は、メインハウジング10の内面に形成されている。仕切部材134は、第1仕切部136と、第2仕切部138と、を備えている。第1仕切部136は、円環形状を有する。第1仕切部136の外周面の一部分は、メインハウジング10の内面に接続されており、第1仕切部136の外周面の残り部分は、メインハウジング10の内周面に接続されていない。第1仕切部136の内周面は、中間部材106の外周面130を、軸部材104の半径方向の外側において囲んでいる。第1仕切部136の内周面は、中間部材106の外周面130と対向している。第1仕切部136の内周面と中間部材106の外周面130とは、僅かに離れている。これにより、電動モータ92の駆動により中間部材106が回転する場合であっても、中間部材106が第1仕切部136に接触することを抑制することができ、第1仕切部136の内周面と中間部材106の外周面130との間を空気が流れることを抑制することができる。第2仕切部138の一端部は、第1仕切部136の外周面の残り部分に接続されており、第2仕切部138の他端部は、メインハウジング10の内面に接続されている。中間部材106と仕切部材134とにより、空気通路70は、第1ファン108が配置されている領域と、第2ファン110が配置されている領域とに画定される。第1ファン108が配置されている領域は、第1開口76と第2開口78と第3開口80とに連通しているが、グリップハウジング14の内部と連通してない。第2ファン110が配置されている領域は、グリップハウジング14の内部と連通しているが、第1開口76と第2開口78と第3開口80とに連通していない。
【0037】
次に、図3から図5を参照して、バキュームブロワ2の動作を説明する。バキュームブロワ2の動作は、バキューム動作と、送気動作と、を備えている。図4に示すように、バキューム動作は、切替レバー84が第1位置に位置している場合に実行される。作業者がトリガ18を押し込み、スイッチ42からの信号が制御部44に送信されると、制御部44は、電動モータ92を駆動する。その後、中間部材106が電動モータ92のシャフト96とともに回転することにより、第1ファン108と第2ファン110とが一体となって回転する。
【0038】
第1ファン108が回転すると、第1ファン108の前側に負圧が発生する。これにより、図3および図4に示すように、空気が、吸気口54から吸気通路52に流入し、第1開口76を通り、空気通路70を第1ファン108に向かって流れる。その後、空気は、第1ファン108により下側に向かって送り出され、第3開口80を通り、ダスト袋30の内部に流入する。中間部材106と仕切部材134とにより、第1ファン108が配置されている領域と第2ファン110が配置されている領域とが画定されているので、第1ファン108により送り出された空気は、第2ファン110が配置されている領域に向かって流れない。また、切替レバー84が空気通路70の分岐箇所から第2開口78に向かう通路を塞いでいるので、空気は、第2開口78に向かって流れない。以下では、切替レバー84が第1位置に位置している状態において、第1ファン108の回転により空気が流れる通路を、第1空気通路142と呼ぶ。
【0039】
また、第2ファン110が回転すると、第2ファン110の後側に負圧が発生する。これにより、空気が、モータハウジング12に形成されている複数の開口32(図1参照)からモータハウジング12の内部に流入し、電動モータ92を通過して第2ファン110に向かって流れる。空気が電動モータ92を通過することにより、電動モータ92が冷却される。その後、空気は、第2ファン110により下側に向かって送り出される。第2ファン110により送り出された空気は、第1バイパス開口72を通り、バイパス管88の内部に流入し、その後、第2バイパス開口74を通り、送気通路56を流れ、吹き出し口58から吹き出る。中間部材106と仕切部材134とにより、第1空気通路142と第2ファン110が配置されている領域とが画定されているので、第2ファン110に送り出された空気は、第1空気通路142に流れない。また、切替レバー84が空気通路70の分岐箇所から第2開口78に向かう通路を塞いでいるので、第2バイパス開口74を通過した空気は、第1空気通路142に流れない。以下では、第2ファン110の回転により空気が流れる通路を、第2空気通路144と呼ぶ。
【0040】
バキュームブロワ2がバキューム動作で動作している状態で、作業者によりノズル24の先端部が地面に向けられると、吹き出し口58から吹き出した空気が地面上にある落ち葉に当たり、落ち葉が浮き上がる。浮き上がった落ち葉は、吸気口54から第1空気通路142に侵入し、第1空気通路142を流れ、ダスト袋30の内部に収集される。なお、吹き出し口58から吹き出す空気の流速が4m/秒から40m/秒の範囲にある場合、落ち葉を十分に浮き上がらせることができるとともに、浮き上がった落ち葉を吸気口54から十分に吸い込むことができる。吹き出し口58から吹き出す空気の流速が4m/秒よりも小さい場合、空気が落ち葉に当たっても、落ち葉が十分に浮き上がらない。一方、吹き出し口58から吹き出す空気の流速が40m/秒よりも大きい場合、空気が落ち葉に当たると、落ち葉が浮き上がるものの、浮き上がった落ち葉を吸気口54から十分に吸い込むことができない。本実施例では、トリガ18が完全に押し込まれた状態では、吹き出し口58から吹き出す空気の流速が17m/秒である。
【0041】
次に、送気動作を説明する。図5に示すように、送気動作は、切替レバー84が第2位置に位置している場合に実行される。作業者がトリガ18を押し込み、スイッチ42からの信号が制御部44に送信されると、バキューム動作の場合と同様に、電動モータ92が駆動されて、第1ファン108と第2ファン110とが一体となって回転する。
【0042】
第1ファン108が回転すると、第1ファン108の前側に負圧が発生する。これにより、空気が、吸気口54から吸気通路52に流入し、第1開口76を通り、空気通路70を第1ファン108に向かって流れる。その後、空気は、第1ファン108により下側に向かって送り出され、切替レバー84に案内されて、第2開口78に向かって流れる。その後、空気は、送気通路56を流れ、吹き出し口58から吹き出る。中間部材106と仕切部材134とにより、第1ファン108が配置されている領域と第2空気通路144とが画定されているので、第1ファン108により送り出された空気は、第2空気通路144に向かって流れない。また、切替レバー84が空気通路70の分岐箇所から第3開口80に向かう通路を塞いでいるので、空気は、第3開口80に向かって流れない。以下では、切替レバー84が第2位置に位置している状態において、第1ファン108の回転により空気が流れる通路を、第3空気通路146と呼ぶ。
【0043】
また、第2ファン110が回転すると、バキューム動作と同様に、複数の開口32(図1参照)から流入した空気は、電動モータ92を通過した後、第2空気通路144を流れ、吹き出し口58から吹き出る。従って、第2空気通路144を流れる空気と第3空気通路146を流れる空気とが、吹き出し口58から吹き出る。このため、バキュームブロワ2がバキューム動作で動作している場合と比較して、吹き出し口58から吹き出る空気の流速が大きい。これにより、例えば、水で濡れた落ち葉が地面に張り付いている場合、バキュームブロワ2がバキューム動作で動作している場合と比較して、短時間で落ち葉を地面から剥がすことができる。
【0044】
(効果)
本実施例のバキュームブロワ2は、電動モータ92と、電動モータ92の駆動により回転する第1ファン108と、吸気口54を有しており、第1ファン108の回転により吸気口54から流入した空気が流れる第1空気通路142と、電動モータ92を冷却する空気の流れを発生させる第2ファン110と、吹き出し口58を有しており、第2ファン110の回転により空気が流れる第2空気通路144と、を備えている。図3に示すように、第2空気通路144の吹き出し口58は、第1空気通路142の吸気口54に隣接して配置されている。一般的に、電動モータを備えているバキュームブロワは、電動モータの過熱を抑制するために、第2ファンの回転により空気の流れを発生させて電動モータを冷却する構成を備えている。上記の構成では、電動モータ92を冷却するために第2ファン110の回転により発生させた空気の流れを利用して、吹き出し口58から空気を吹き出すことができる。このような構成とすることにより、バキュームブロワ2の構造を簡便なものとすることができる。また、電動モータ92を冷却した空気が吹き出し口58から吹き出るので、吹き出し口58からきれいな空気を吹き出すことができる。
【0045】
また、第2ファン110が、電動モータ92の駆動により回転する。上記の構成では、1つの電動モータ92の駆動により、第1ファン108と第2ファン110とが回転する。このため、第1ファン108を回転させる電動モータと、第2ファン110を回転させる別の電動モータとが使用される場合と比較して、バキュームブロワ2の構造を簡便なものとすることができる。
【0046】
また、図6に示すように、バキュームブロワ2は、第1面126に第1ファン108が固定されており、第2面128に第2ファン110が固定されている中間部材106をさらに備えている。電動モータ92の駆動により中間部材106が回転することにより、第1ファン108と第2ファン110とが回転する。上記の構成では、第1ファン108と第2ファン110とが一体的に形成されている。これにより、第1ファン108と第2ファン110とが別体である場合と比較して、バキュームブロワ2の構造を簡便なものとすることができる。
【0047】
また、図4および図5に示すように、バキュームブロワ2は、中間部材106を径方向外側で囲んでいる仕切部材134をさらに備えている。第1空気通路142と第2空気通路144とは、中間部材106と仕切部材134とにより区画されている。上記の構成では、第1空気通路142を流れる空気が第2空気通路144を流れることを抑制することができる。これにより、第1空気通路142を流れる落ち葉等のダストが第2空気通路144に侵入することを抑制することができる。
【0048】
また、電動モータ92は、空気の流れ方向に関して、第2空気通路144において、第2ファン110よりも上流側に配置されている。電動モータ92が空気の流れ方向に関して第2空気通路144において第2ファン110よりも下流側に配置されている場合、第2ファン110から送り出された空気が電動モータ92を構成するステータやロータにぶつかることにより、空気の流れに乱れが生じやすい。上記の構成では、第2ファン110から送り出された空気が電動モータ92を構成するステータやロータにぶつかることがないため、空気の流れに乱れが生じることを抑制することができる。
【0049】
(対応関係)
第1面126は、「一方の面」の一例であり、第2面128は、「他方の面」の一例である。
【0050】
一実施形態において、第2ノズル50は、第1ノズル48の上側、左側、または右側に配置されていてもよい。この場合、送気通路56の吹き出し口58は、吸気通路52の吸気口54の上側、左側、または右側に隣接して配置されていてもよい。
【0051】
一実施形態において、第1ファン108と、第2ファン110とは、中間部材106に固定されておらず、別体であってもよい。この場合、第1ファン108は、電動モータ92の駆動により回転し、第2ファン110は、電動モータ92とは別の電動モータの駆動により回転してもよい。
【0052】
一実施形態の電動モータ92は、空気の流れ方向に関して、第2空気通路144において、第2ファン110よりも下流側に配置されていてもよい。
【0053】
一実施形態のバキュームブロワ2は、電源コード22に替えて、バッテリパックを備えていてもよい。バッテリパックは、メインハウジング10、モータハウジング12、または、グリップハウジング14に配置されていてもよい。また、バキュームブロワ2は、電源コード22に替えて、内蔵型のバッテリを備えていてもよい。バッテリは、メインハウジング10、モータハウジング12、または、グリップハウジング14の内部に配置されていてもよい。
【0054】
一実施形態に係る仕切部材134は、第1仕切部136のみを備えており、第2仕切部138を備えていなくてもよい。この場合、第2ファン110により送り出された空気の一部は、第1バイパス開口72を通過し、残りの空気は、第3開口80に向かって流れてもよい。
【0055】
一実施形態に係るバキュームブロワ2は、切替弁と、切替スイッチと、をさらに備えていてもよい。切替弁は、バイパス管88の内部に配置されていてもよい。切替弁は、バイパス管88の通路を開く開状態と、バイパス管88の通路を閉じる閉状態とに切り替わってもよい。切替スイッチは、切替弁の開状態と閉状態とを切り替える信号を制御部44に送信してもよい。
【符号の説明】
【0056】
2 :バキュームブロワ
10 :メインハウジング
12 :モータハウジング
14 :グリップハウジング
24 :ノズル
30 :ダスト袋
32 :開口
48 :第1ノズル
50 :第2ノズル
52 :吸気通路
54 :吸気口
56 :送気通路
58 :吹き出し口
70 :空気通路
72 :第1バイパス開口
74 :第2バイパス開口
76 :第1開口
78 :第2開口
80 :第3開口
84 :切替レバー
88 :バイパス管
92 :電動モータ
94 :ファン
104 :軸部材
106 :中間部材
108 :第1ファン
110 :第2ファン
126 :第1面
128 :第2面
130 :外周面
134 :仕切部材
136 :第1仕切部
138 :第2仕切部
142 :第1空気通路
144 :第2空気通路
146 :第3空気通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6