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特許7558016信号記録再生装置、信号送受信装置および信号記録再生方法
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  • 特許-信号記録再生装置、信号送受信装置および信号記録再生方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】信号記録再生装置、信号送受信装置および信号記録再生方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/38 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01S7/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020162827
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055416
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】清沢 剛史
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163090(JP,A)
【文献】特開2002-277531(JP,A)
【文献】特開2018-119854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数ホッピング方式で送信される複数の周波数のRF信号から取り出された受信信号が順次入力され、前記受信信号が入力される度に合成用信号と合成して合成信号を生成する合成部と、
前記合成部が生成した前記合成信号をA/D変換した記録データを記憶し、出力する記憶部と、
前記記憶部が出力した前記記録データをD/A変換したアナログ信号を、前記合成用信号として出力する第1の経路と、送信信号として出力する第2の経路とを切り替える制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記合成信号が生成されている間は、前記第1の経路に切り替え、前記合成信号が生成されていない間は、前記第2の経路に切り替える信号記録再生装置。
【請求項2】
前記合成部は、前記受信信号を検波してデジタル化した受信ビデオ信号、および、前記合成信号を検波してデジタル化した合成ビデオ信号を、さらに生成し、
前記制御部は、前記受信ビデオ信号の立ち上がりで前記第1の経路に切り替えて、前記記憶部に前記記録データを出力させ、前記合成ビデオ信号の立ち下がりで前記第2の経路に切り替えて、前記記憶部に前記記録データを出力させる、
請求項1に記載の信号記録再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信ビデオ信号の立ち上がりから一定時間が経過後、前記記憶部に前記記録データの記録を開始させ、前記合成ビデオ信号の立ち下がりで、前記記憶部に前記記録データの記録を停止させ、
前記一定時間は、前記制御部が前記記憶部に前記記録データを出力させるトリガを送ってから前記合成用信号が出力されるまでの最小応答時間である、
請求項2に記載の信号記録再生装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記記録データのデータ長を出力後、再び前記記録データの先頭から出力することを繰り返す、
請求項1から3のいずれか1項に記載の信号記録再生装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の信号記録再生装置と、
周波数ホッピング方式で送信される複数の周波数のRF信号を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナが受信したRF信号から前記受信信号を取り出す受信部と、
前記送信信号をRF信号に変換する送信部と、
前記送信部が変換したRF信号を送信する送信アンテナと、
を備える、
信号送受信装置。
【請求項6】
周波数ホッピング方式で送信される複数の周波数のRF信号から取り出された受信信号が入力される信号記録再生装置が実行する信号記録再生方法であって、
前記受信信号が入力される度に合成用信号と合成して合成信号を生成する合成ステップと、
前記合成ステップで生成した前記合成信号をA/D変換した記録データを記憶する記憶ステップと、
前記記録データを出力する出力ステップと、
前記出力ステップで出力された前記記録データをD/A変換したアナログ信号を、前記合成用信号として出力する第1の経路と、送信信号として出力する第2の経路とを切り替える切替ステップと、
を備え、
前記切替ステップでは、前記合成信号が生成されている間は、前記第1の経路に切り替え、前記合成信号が生成されていない間は、前記第2の経路に切り替える信号記録再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、RF(RadioFrequency)信号を記録して再生する信号記録再生装置、信号送受信装置および信号記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ信号、通信信号などのRF信号を記録して再生する信号記録再生装置がある。信号記録再生装置は、例えば、レーダ、通信機などの試験、評価、電波妨害などを行うための模擬電波の発生に使用される。
【0003】
特許文献1には、複数の周波数を高速で切り替える周波数ホッピング方式で送出されるRF信号を記録データとして記録した直後に、複数の周波数成分を含む信号として、再生して送信することができるデジタルRFメモリ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-163090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、複数の周波数成分を含む信号を再生するために、それぞれの周波数のRF信号をダウンコンバートしてA/D(Analog/Digital)変換した記録データをそれぞれメモリに記録し、その後に加算演算を行う。このため、量子化誤差による再生する信号の忠実度の低下および処理時間による即時性の低下が生じる。
【0006】
本開示は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、周波数ホッピング方式で送出されるRF信号を記録し、複数の周波数成分を含む信号として再生する際の忠実度および即時性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る信号記録再生装置は、合成部と、記憶部と、制御部と、を備える。合成部は、周波数ホッピング方式で送信される複数の周波数のRF信号から取り出された受信信号が順次入力され、受信信号が入力される度に合成用信号と合成して合成信号を生成する。記憶部は、合成部が生成した合成信号をA/D変換した記録データを記憶し、出力する。制御部は、記憶部が出力した記録データをD/A(Digital/Analog)変換したアナログ信号を、合成用信号として出力する第1の経路と、送信信号として出力する第2の経路とを切り替える。制御部は、合成信号が生成されている間は、第1の経路に切り替え、合成信号が生成されていない間は、第2の経路に切り替える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、受信信号を合成用信号と合成して合成信号を生成してからA/D変換して記録データを記憶し、記録データをD/A変換したアナログ信号を、合成信号が生成されている間は合成用信号として出力し、合成信号が生成されていない間は送信信号として出力することで、周波数ホッピング方式で送出されるRF信号を記録し、複数の周波数成分を含む信号として再生する際の忠実度および即時性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る信号記録再生装置を備えた信号送受信装置の構成例を示す図
図2】実施の形態に係る信号記録再生装置の構成例を示す図
図3】実施の形態に係る信号記録再生装置が信号を記録および再生するタイミングを説明する図
図4】実施の形態に係る信号記録再生処理を示すフローチャート
図5】変形例に係る信号記録再生装置の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る信号記録再生装置、信号送受信装置および信号記録再生方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。以下の実施の形態では、信号記録再生装置の記憶部が記録データを記憶することを「記録」といい、信号記録再生装置の記憶部が記録データを出力することを「再生」という。
【0011】
図1は、実施の形態に係る信号記録再生装置を備えた信号送受信装置の構成を示す図である。信号送受信装置1は、周波数ホッピング方式で送信されるRF信号を受信する受信アンテナ11と、受信アンテナ11が受信したRF信号から受信信号を取り出す受信部12と、受信信号を合成してA/D変換した記録データを生成して記憶する信号記録再生装置13とを備える。信号記録再生装置13は、記憶した記録データから送信信号を生成する。信号送受信装置1は、信号記録再生装置13が生成した送信信号をRF信号に変換する送信部14と、送信部14が変換したRF信号を送信する送信アンテナ15とを備える。
【0012】
受信アンテナ11は、送信局から周波数ホッピング方式を用いて送信されるRF信号を順次受信する。送信局は、周波数f1~fn(nは整数)の範囲で予め定められたホッピングレートで周波数をホッピングさせて、RF信号を送信する。以下、周波数f1~fnの各周波数をホッピング周波数という。
【0013】
受信部12は、受信アンテナ11が受信したRF信号をダウンコンバートして、中間周波数信号であるIF(Intermediate Frequency)信号に変換する。受信部12は、変換したIF信号からホッピング周波数の範囲の受信信号を取り出す。受信部12は、取り出した受信信号を順次、信号記録再生装置13に送る。
【0014】
信号記録再生装置13は、受信部12から受け取った受信信号を合成用信号と合成した後にA/D変換し、記録データを生成する。合成用信号は、記憶している記録データをD/A変換したIF信号である。信号記録再生装置13は、生成した記録データを記憶する。
【0015】
具体的には、信号記録再生装置13は、最初に受け取った受信信号については、合成用信号がないので受信信号をA/D変換して記録データを記憶する。2回目以降に受け取った受信信号については、記憶している記録データをD/A変換した合成用信号と受信信号とを合成し、A/D変換して記録データを記憶する。つまり、信号記録再生装置13は、異なる周波数の受信信号を受け取るごとに順次合成してA/D変換した記録データを記憶する。
【0016】
信号記録再生装置13は、記憶された記録データをD/A変換したIF信号を、送信信号として送信部14に送る。
【0017】
送信部14は、信号記録再生装置13から受け取った送信信号を増幅し、アップコンバートしてRF信号に変換する。送信部14は、送信信号を変換したRF信号を送信アンテナ15に送る。送信アンテナ15は、送信部14から受け取ったRF信号を送信局へ送信する。送信アンテナ15が送信局へ向けてRF信号を送信することで、周波数ホッピング方式を用いて送信局から送信されるRF信号と電波干渉を生じさせることができる。これを用いて、信号送受信装置1は、例えば、レーダ装置からのレーダ電波に対して模擬電波を送信してレーダ装置の試験、評価、電波妨害などを行う発生電波応用装置として使用することができる。
【0018】
ここで、信号記録再生装置13について、図2を用いて説明する。図2に示すように、信号記録再生装置13は、受信部12から受け取った受信信号を合成用信号と合成して合成信号を生成する合成部131と、合成信号をA/D変換するA/D変換器132と、合成信号をA/D変換した記録データの記録および再生を制御する制御部133と、記録データを記憶して出力する記憶部134と、記憶部134から出力された記録データをD/A変換するD/A変換器135およびD/A変換器136とを備える。図中、アナログ信号の流れを実線の矢印、デジタル信号または制御信号の流れを破線の矢印で示す。
【0019】
合成部131は、受信信号と合成用信号とを合成して合成信号を出力する合成器1311と、合成信号を検波する検波器1312と、受信信号を検波する検波器1313とを備える。
【0020】
合成部131が受信部12から受け取った受信信号は、分配されて合成器1311と検波器1313とに入力される。検波器1313は、受信信号を検波して、デジタル化した受信ビデオ信号を制御部133に送る。合成器1311は、受信信号と合成用信号とを合成して、合成信号を出力する。合成器1311から出力された合成信号は、分配されてA/D変換器132と検波器1312とに入力される。A/D変換器132は、合成信号をA/D変換した記録データを記憶部134に送る。検波器1312は、合成信号を検波して、デジタル化した合成ビデオ信号を制御部133に送る。このように、信号記録再生装置13は、受信信号と合成用信号とを合成してからA/D変換をして記録データを生成するので、受信信号ごとに記録データに変換して記憶し、記録データの加算処理を毎回行う場合よりも、量子化誤差による再生する信号(送信信号)の忠実度の低下を抑えることができる。
【0021】
制御部133は、記録データの記録および再生を制御する記録再生制御部1331と、記憶部134が出力する記録データの出力先を切り替える経路切替部1332とを備える。制御部133は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)で構成される。
【0022】
記録再生制御部1331は、検波器1313から受信ビデオ信号が入力されると記憶部134に再生開始トリガを送る。記憶部134は、記録再生制御部1331から再生開始トリガを受け取ると、記録データを出力する。再生開始トリガは、記録データを出力させるトリガの例である。このとき、記録データの出力先は、D/A変換器136になっており、D/A変換器136から合成器1311へ合成用信号が出力される。D/A変換器136から合成器1311へ合成用信号が出力される経路は、第1の経路の例である。
【0023】
記録再生制御部1331は、再生開始トリガを送ってから時間t1経過後、記憶部134に記録開始指示を送って記録データの記録を開始させる。時間t1は、記録再生制御部1331が記憶部134に再生開始トリガを送ってから、D/A変換器136が合成用信号を出力するまでの最小応答時間である。記録再生制御部1331は、予め測定しておいた時間t1を示す情報を記憶している。
【0024】
記録再生制御部1331は、検波器1312から合成ビデオ信号が入力されなくなると、記憶部134に記録停止指示を送る。記憶部134は、記録停止指示を受け取ると、記録データの記録を停止する。また、記録再生制御部1331は、検波器1312から合成ビデオ信号が入力されなくなると、経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器135に切り替え、記憶部134に再生開始トリガを送る。
【0025】
記憶部134は、記録再生制御部1331から再生開始トリガを受け取ると、記録データを出力する。このとき、記録データの出力先が、D/A変換器135になっているので、D/A変換器135から送信部14へ送信信号が出力される。D/A変換器135から送信部14へ送信信号が出力される経路は、第2の経路の例である。記録再生制御部1331は、検波器1313から受信ビデオ信号が入力されると、経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器136に切り替える。記録再生制御部1331は、これらの処理を繰り返す。
【0026】
ここで、記録データの記録および再生について図3に示すタイミングチャートを用いて説明する。図中の(1)は、受信信号が信号記録再生装置13に入力されている時間を示すタイミングチャートである。高い値のときに入力されており、低い値のときは入力されていない。(2)は、受信ビデオ信号が出力されている時間を示すタイミングチャートである。高い値のときに出力されており、低い値のときは出力されていない。(3)は、合成ビデオ信号が出力されている時間を示すタイミングチャートである。高い値のときに出力されており、低い値のときは出力されていない。
【0027】
(4)は、制御部133が記憶部134に再生開始トリガを送るタイミングを示すタイミングチャートである。高い値のときに再生開始トリガが有効であり、低い値のときは再生開始トリガが無効である。(5)は、合成用信号が出力されている時間を示すタイミングチャートである。高い値のときに出力されており、低い値のときは出力されていない。(6)は、合成信号が出力されている時間を示すタイミングチャートである。高い値のときに出力されており、低い値のときは出力されていない。(7)は、記録開始指示および記録停止指示によって記録データが記録される時間を示す。高い値のときに記録されており、低い値のときは記録されていない。(8)は、送信信号が出力されている時間を示すタイミングチャートである。高い値のときに出力されており、低い値のときは出力されていない。
【0028】
合成部131に周波数f1の受信信号が入力されると、検波器1313が受信ビデオ信号を制御部133へ出力する。制御部133の記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで記憶部134に再生開始トリガを送って記録データを出力させる。このとき、記録データの出力先がD/A変換器136になっているが、この時点では記憶部134は記録データを記憶していないので、D/A変換器136から合成用信号は出力されない。従って、合成器1311から出力される合成信号は、周波数f1の信号である。
【0029】
合成器1311から出力された合成信号はA/D変換器132でA/D変換されて、記録データが記憶部134に送られる。記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで再生開始トリガを送ってから時間t1経過後、記憶部134に記録開始指示を送って記録データの記録を開始させる。記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで記憶部134に記録停止指示を送って記録データの記録を停止させる。つまり、受信ビデオ信号の立ち上がりの時間t1後から合成ビデオ信号の立ち下がりまでの周波数f1の合成信号の記録データが記憶部134に記録される。
【0030】
また、記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器135に切り替える。さらに、記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで記憶部134に再生開始トリガを送って記録データを出力させる。記録再生制御部1331が合成ビデオ信号の立ち下がりで再生開始トリガを送ってから時間t1経過後、D/A変換器135から送信部14へ周波数f1の送信信号が出力される。記録再生制御部1331が記憶部134に再生開始トリガを出力してから、D/A変換器135が送信信号を出力するまでの最小応答時間は、D/A変換器136が合成用信号を出力するまでの最小応答時間と同じ時間t1である。
【0031】
記憶部134は、記録再生制御部1331から再生開始トリガを受け取ると、記録データを出力する。記憶部134は、記録データのデータ長を出力後、再び記録データの先頭から出力することを繰り返す。これにより、送信信号を連続波にすることができる。
【0032】
合成部131に周波数f2の受信信号が入力されると、検波器1313が受信ビデオ信号を制御部133へ出力する。制御部133の記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで記憶部134に再生開始トリガを送って記録データを出力させる。このとき、記憶部134は周波数f1の合成信号の記録データを記憶しているので、D/A変換器136から周波数f1の合成用信号が出力される。また、記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器136に切り替える。
【0033】
合成器1311は、周波数f1の合成用信号と周波数f2の受信信号とを合成した合成信号を出力する。以下、周波数fiの合成用信号と周波数fjの受信信号とを合成した合成信号の周波数を周波数fi+fjと表記する。合成器1311から出力された合成信号はA/D変換器132でA/D変換されて、記録データが記憶部134に送られる。記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで再生開始トリガを送ってから時間t1経過後、記憶部134に記録開始指示を送って記録データの記録を開始させる。記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで記憶部134に記録停止指示を送って記録データの記録を停止させる。つまり、受信ビデオ信号の立ち上がりの時間t1後から合成ビデオ信号の立ち下がりまでの周波数f1+f2の合成信号の記録データが記憶部134に記録される。
【0034】
また、記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器135に切り替える。さらに、記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで記憶部134に再生開始トリガを送って記録データを出力させる。記録再生制御部1331が合成ビデオ信号の立ち下がりで再生開始トリガを送ってから時間t1経過後、D/A変換器135から送信部14へ周波数f1+f2の送信信号が連続で出力される。
【0035】
合成部131に周波数f3の受信信号が入力されると、検波器1313が受信ビデオ信号を制御部133へ出力する。制御部133の記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで記憶部134に再生開始トリガを送って記録データを出力させる。このとき、記憶部134は周波数f1+f2の合成信号の記録データを記憶しているので、D/A変換器136から周波数f1+f2の合成用信号が出力される。また、記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器136に切り替える。
【0036】
合成器1311は、周波数f1+f2の合成用信号と周波数f3の受信信号とを合成した合成信号を出力する。合成器1311から出力された合成信号はA/D変換器132でA/D変換されて、記録データが記憶部134に送られる。記録再生制御部1331は、受信ビデオ信号の立ち上がりで再生開始トリガを送ってから時間t1経過後、記憶部134に記録開始指示を送って記録データの記録を開始させる。記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで記憶部134に記録停止指示を送って記録データの記録を停止させる。つまり、受信ビデオ信号の立ち上がりの時間t1後から合成ビデオ信号の立ち下がりまでの周波数f1+f2+f3の合成信号の記録データが記憶部134に記録される。
【0037】
また、記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器135に切り替える。さらに、記録再生制御部1331は、合成ビデオ信号の立ち下がりで記憶部134に再生開始トリガを送って記録データを出力させる。記録再生制御部1331が合成ビデオ信号の立ち下がりで再生開始トリガを送ってから時間t1経過後、D/A変換器135から送信部14へ周波数f1+f2+f3の送信信号が連続で出力される。
【0038】
信号記録再生装置13は以降に受信する周波数f4~fnの受信信号についても、同様の処理を行う。最終的に送信部14へ周波数f1+f2+f3+・・・+fnの送信信号が連続で出力される。このように、制御部133は、合成信号が生成されている間は、記録データの出力先をD/A変換器136に切り替え、合成信号が生成されていない間は、記録データの出力先をD/A変換器135に切り替える。信号記録再生装置13は、合成ビデオ信号の立ち下がり、つまり、記録データの記録が完了してから時間t1経過後には送信信号を出力することができるので、受信信号ごとに記録データに変換して記憶し、記録データの加算処理を毎回行う場合よりも、処理時間による再生する信号(送信信号)のリアルタイム性の低下を抑えることができる。
【0039】
ここで、信号記録再生装置13が実行する処理の流れについて、図4を用いて説明する。図4に示す信号記録再生処理は、信号記録再生装置13に電源が投入されたときに開始する。受信部12から信号記録再生装置13に受信信号が入力されない場合(ステップS11;NO)、処理はステップS30に移行する。
【0040】
受信部12から信号記録再生装置13に受信信号が入力されると(ステップS11;YES)、受信信号は分配されて、信号記録再生装置13の合成部131の合成器1311と検波器1313とに入力される。合成器1311は、受信信号と後述の合成用信号とを合成し、合成信号を生成する。合成信号は、検波器1312に入力される。信号記録再生装置13の合成部131の検波器1313は、受信信号を検波して、デジタル化した受信ビデオ信号を出力を開始する。また、同時に、検波器1312は、合成信号を検波して、デジタル化した合成ビデオ信号を出力を開始する(ステップS12)。
【0041】
記録再生制御部1331は、検波器1313から受信ビデオ信号が入力されると、経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器136に切り替え(ステップS13)、記憶部134に再生開始トリガを送る(ステップS14)。ステップS13は、切替ステップの例である。記憶部134が記憶している記録データがなければ(ステップS15;NO)、処理はステップS17に移行する。例えば、ステップS11で周波数f1の受信信号が信号記録再生装置13に入力された場合、記憶部134が記憶している記録データはないので、処理はステップS17に移行する。
【0042】
記憶部134が記憶している記録データがある場合(ステップS15;YES)、記憶部134は、記録再生制御部1331から再生開始トリガを受け取ると、記録データをD/A変換器136に出力する(ステップS16)。ステップS15は、出力ステップの例である。例えば、ステップS11で周波数f2の受信信号が信号記録再生装置13に入力された場合、記憶部134は周波数f1の合成信号の記録データを記憶しているので、ステップS16で記憶部134は、周波数f1の合成信号の記録データをD/A変換器136に出力する。
【0043】
ステップS14で再生開始トリガを送ってから時間t1が経過していない場合、(ステップS17;NO)、記録再生制御部1331は、ステップS17を繰り返して時間t1の経過を待機する。ステップS14で再生開始トリガを送ってから時間t1が経過した場合、(ステップS17;YES)、記録再生制御部1331は、記憶部134に記録開始指示を送る(ステップS18)。また、D/A変換器136は、記録データをD/A変換した合成用信号を合成器1311へ出力する(ステップS19)。時間t1は、記録再生制御部1331が記憶部134に再生開始トリガを送ってから、D/A変換器136が合成用信号を出力するまでの最小応答時間である。
【0044】
記憶部134は、記録再生制御部1331から記録開始指示を受け取ると、記録データの記録を開始する(ステップS20)。ステップS20は、記憶ステップの例である。合成器1311は、受信信号と合成用信号とを合成して、合成信号を出力する(ステップS21)。ステップS21は、合成ステップの例である。合成器1311から出力された合成信号は、分配されてA/D変換器132と検波器1312とに入力される。A/D変換器132は、合成信号をA/D変換した記録データを記憶部134に送る(ステップS22)。
【0045】
D/A変換器136が出力する合成用信号が終了するか、または、受信部12からの受信信号の入力が終了すると、合成器1131は、合成信号の出力を停止する(ステップS22A)。また、D/A変換器136が出力する合成用信号が終了するか、または、受信部12からの受信信号の入力が終了すると、検波器1312は、合成ビデオ信号の出力を停止する(ステップS23)。このため、記録再生制御部1331には、検波器1312から合成ビデオ信号が入力されなくなる。記録再生制御部1331は、検波器1312から合成ビデオ信号が入力されなくなると、記憶部134に記録停止指示を送る(ステップS24)。記憶部134は、記録停止指示を受け取ると、記録データの記録を停止する(ステップS25)。また、記録再生制御部1331は、検波器1312から合成ビデオ信号が入力されなくなると、経路切替部1332を制御して記録データの出力先をD/A変換器135に切り替え(ステップS26)、記憶部134に再生開始トリガを送る(ステップS27)。ステップS26は、切替ステップの例である。記憶部134は、記録再生制御部1331から再生開始トリガを受け取ると、記録データをD/A変換器135に出力する(ステップS28)。ステップS27は、出力ステップの例である。ステップS27で再生開始トリガを送ってから時間t1が経過していない場合、(ステップS29;NO)、記録再生制御部1331は、ステップS29を繰り返して時間t1の経過を待機する。ステップS27で再生開始トリガを送ってから時間t1が経過した場合、(ステップS29;YES)、D/A変換器135は、記録データをD/A変換した送信信号を送信部14へ出力する(ステップS30)。
【0046】
信号記録再生装置13が他の周波数の受信信号をさらに受信する場合(ステップS31;YES)、処理はステップS11に戻り、ステップS11~ステップS31を繰り返す。すなわち、信号記録再生装置13が周波数f1、f2、・・・+fn-1の受信信号を受信した後、それぞれ処理はステップS11に戻り、ステップS11~ステップS31を繰り返す。信号記録再生装置13が他の周波数の受信信号を受信しない場合(ステップS31;NO)、処理を終了する。すなわち、信号記録再生装置13が周波数fnの受信信号を受信した後、処理を終了する。
【0047】
以上説明したように本実施の形態に係る信号記録再生装置13は、受信信号を合成用信号と合成して合成信号を生成してからA/D変換して記録データを記憶し、記録データをD/A変換したアナログ信号を、合成信号が生成されている間は合成用信号として出力し、合成信号が生成されていない間は送信信号として出力することで、周波数ホッピング方式で送出されるRF信号を記録し、複数の周波数成分を含む信号として再生する際の忠実度および即時性を高めることが可能となる。
【0048】
なお、本開示は、上記実施の形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0049】
例えば、図5に示すように、信号記録再生装置13は、制御部133の経路切替部1332、D/A変換器135およびD/A変換器136の代わりにスイッチ138およびD/A変換器137を備える構成にしてもよい。この場合、記憶部134が出力した記録データは、D/A変換器137に入力されてD/A変換される。D/A変換器137でD/A変換されたアナログ信号の出力先は、スイッチ138によって出力先が切り替えられる。合成器1311へは、合成用信号として出力される。送信部14へは、送信信号として出力される。記録再生制御部1331は、スイッチ138の切替制御を行う。スイッチ138から合成器1311へ合成用信号が出力される経路は、第1の経路の例である。スイッチ138から送信部14へ送信信号が出力される経路は、第2の経路の例である。
【0050】
上記の実施の形態では、記憶部134は、記録データのデータ長を出力後、再び記録データの先頭から出力することを繰り返すが、これに限らない。送信信号を連続波にする必要がない場合には、記憶部134は、記録再生制御部1331から再生開始トリガを受け取ると、記録データを1回出力する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 信号送受信装置、11 受信アンテナ、12 受信部、13 信号記録再生装置、14 送信部、15 送信アンテナ、131 合成部、132 A/D変換器、133 制御部、134 記憶部、135,136,137 D/A変換器、138 スイッチ、1311 合成器、1312,1313 検波器、1331 記録再生制御部、1332 経路切替部。
図1
図2
図3
図4
図5