(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】位相差層付偏光板および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240920BHJP
B32B 3/04 20060101ALI20240920BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240920BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240920BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240920BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20240920BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B3/04
B32B7/023
B32B27/00 A
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G09F9/00 313
(21)【出願番号】P 2020166681
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】新地 真規子
(72)【発明者】
【氏名】平岡 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】竹田 覚
【審査官】鈴木 玲子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109521510(CN,A)
【文献】特開2007-025643(JP,A)
【文献】特開2008-014988(JP,A)
【文献】特開2016-062028(JP,A)
【文献】特開2006-072309(JP,A)
【文献】特開2013-101409(JP,A)
【文献】特開2009-047800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0248102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 1/00-43/00
G02F 1/1335
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と該偏光子の一方の側に設けられた第1の保護層と該偏光子のもう一方の側に設けられた第2の保護層とを含む偏光板と、該偏光板の該第2の保護層側に粘着剤層を介して貼り合わせられた位相差層と、を有し、
端部に空隙部が形成されており、
該空隙部は、厚み方向において該位相差層から該第2の保護層の少なくとも一部まで
、かつ、該偏光子まで到達しないように延び、
該位相差層の遅相軸を含む面方向において該位相差層の遅相軸方向と交差する方向に延びる、
位相差層付偏光板。
【請求項2】
前記粘着剤層の23℃におけるクリープ値が110μm以下である、請求項1に記載の位相差層付偏光板
:
ここで、粘着剤層の23℃におけるクリープ値は、該粘着剤層を10mm×10mmの接合面にて支持板に貼着し、該支持板を固定した状態で、該粘着剤層に対して鉛直下方に500gfの荷重を加え、該荷重を加えて1秒後の該支持板からの該粘着剤層のずれ量と3600秒後の該支持板からの該粘着剤層のずれ量との差である。
【請求項3】
前記位相差層の前記偏光板と反対側に別の粘着剤層をさらに有し、前記空隙部が厚み方向において該別の粘着剤層から延びる、請求項1または2に記載の位相差層付偏光板。
【請求項4】
前記別の粘着剤層の23℃におけるクリープ値が70μm以下である、請求項3に記載の位相差層付偏光板
;
ここで、粘着剤層の23℃におけるクリープ値は、該粘着剤層を10mm×10mmの接合面にて支持板に貼着し、該支持板を固定した状態で、該粘着剤層に対して鉛直下方に500gfの荷重を加え、該荷重を加えて1秒後の該支持板からの該粘着剤層のずれ量と3600秒後の該支持板からの該粘着剤層のずれ量との差である。
【請求項5】
前記偏光子と前記第2の保護層との間にさらに別の粘着剤層をさらに有し、前記空隙部が厚み方向において該さらに別の粘着剤層の一部まで延びる、請求項1から4のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
【請求項6】
前記偏光子の位相差層側表面と前記位相差層の偏光子側表面との距離が30μm以上である、請求項1から5のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
【請求項7】
前記空隙部の先端と前記偏光子の位相差層側表面との距離が10μm以上である、請求項1から6のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
【請求項8】
前記空隙部が画像表示装置の非表示領域に対応する部分に形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
【請求項9】
前記空隙部表面の表面粗さRaが2.4μm以下である、請求項1から8のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
【請求項10】
前記位相差層が、nx>nz>nyの屈折率特性を示す、請求項1から9のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
【請求項11】
前記位相差層のNz係数が、0.3~0.7である、請求項10に記載の位相差層付偏光板。
【請求項12】
前記位相差層の面内位相差Re(550)が250nm~350nmである、請求項11に記載の位相差層付偏光板。
【請求項13】
前記位相差層が環状オレフィン系樹脂を含む、請求項12に記載の位相差層付偏光板。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の位相差層付偏光板を備える、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差層付偏光板および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、量子ドット表示装置)には、その画像形成方式に起因して、多くの場合、画像表示セルの少なくとも一方の側に偏光板が配置されている。画像表示装置の視認側に配置される偏光板には、外光反射や背景の映り込みの防止、色相の改善等を目的として、その画像表示セル側に位相差フィルムが積層される場合がある(位相差層付偏光板)。しかし、位相差層付偏光板においては、高温高湿環境下において位相差層にクラックが発生する場合がある。このようなクラックは、所定サイズ以上の位相差層付偏光板において顕著である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、優れた光学特性を維持しつつ、位相差層のクラックが抑制された位相差層付偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による位相差層付偏光板は、偏光子と該偏光子の一方の側に設けられた第1の保護層と該偏光子のもう一方の側に設けられた第2の保護層とを含む偏光板と、該偏光板の該第2の保護層側に粘着剤層を介して貼り合わせられた位相差層と、を有する。位相差層付偏光板においては、端部に空隙部が形成されており、該空隙部は、厚み方向において該位相差層から該第2の保護層の少なくとも一部まで延び、面方向において該位相差層の遅相軸方向と交差する方向に延びる。
1つの実施形態においては、上記粘着剤層の23℃におけるクリープ値が110μm以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、上記位相差層の上記偏光板と反対側に別の粘着剤層をさらに有し、上記空隙部は厚み方向において該別の粘着剤層から延びる。1つの実施形態においては、上記別の粘着剤層の23℃におけるクリープ値が70μm以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、上記偏光子と上記第2の保護層との間にさらに別の粘着剤層をさらに有し、上記空隙部は厚み方向において該さらに別の粘着剤層の一部まで延びる。
1つの実施形態においては、上記偏光子の位相差層側表面と上記位相差層の偏光子側表面との距離は30μm以上である。
1つの実施形態においては、上記空隙部の先端と上記偏光子の位相差層側表面との距離は10μm以上である。
1つの実施形態においては、上記空隙部は画像表示装置の非表示領域に対応する部分に形成されている。
1つの実施形態においては、上記空隙部表面の表面粗さRaは2.4μm以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層はnx>nz>nyの屈折率特性を示す。1つの実施形態においては、上記位相差層のNz係数は0.3~0.7である。1つの実施形態においては、上記位相差層の面内位相差Re(550)は250nm~350nmである。1つの実施形態においては、上記位相差層は環状オレフィン系樹脂を含む。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の位相差層付偏光板を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、位相差層付偏光板において、厚み方向において位相差層から偏光子の位相差層側の隣接層の一部まで空隙部を形成することにより、優れた光学特性を維持しつつ、位相差層のクラックが抑制された位相差層付偏光板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の要部概略断面図である。
【
図2】
図1の位相差層付偏光板の全体の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0009】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
(6)実質的に直交または実質的に平行
本明細書において「実質的に直交」および「略直交」という表現は、2つの方向のなす角度が90°±7°である場合を包含し、好ましくは90°±5°であり、さらに好ましくは90°±3°である。「実質的に平行」および「略平行」という表現は、2つの方向のなす角度が0°±7°である場合を包含し、好ましくは0°±5°であり、さらに好ましくは0°±3°である。さらに、本明細書において単に「直交」または「平行」というときは、実質的に直交または実質的に平行な状態を含み得るものとする。
【0010】
A.位相差層付偏光板の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の要部概略断面図であり;
図2は、
図1の位相差層付偏光板の全体の概略平面図である。図示例の位相差層付偏光板100は、偏光板10と位相差層30とを有する。偏光板10は、偏光子11と偏光子11の一方の側(図示例では視認側)に設けられた第1の保護層12と偏光子11のもう一方の側(図示例では視認側と反対側、すなわち位相差層側)に設けられた第2の保護層13とを含む。位相差層30は、偏光板10の第2の保護層13側に粘着剤層20を介して貼り合わせられている。位相差層30の遅相軸と偏光子11の吸収軸とのなす角度は、代表的には、実質的に直交または実質的に平行である。本発明の実施形態においては、第2の保護層は、空隙部50(後述)を形成することに対する緩衝層として機能し得る。第2の保護層を設けることにより、空隙部50を形成しても、偏光子の光抜けを良好に抑制することができる。なお、粘着剤層20を、便宜上第1の粘着剤層と称する場合がある。
【0011】
本発明の実施形態においては、位相差層付偏光板100の端部に空隙部50が形成されている。端部は、代表的には、画像表示装置の非表示領域に対応する部分である。空隙部50は、代表的には
図2に示すように、位相差層付偏光板の遅相軸方向の両端部に形成されている。より詳細には、空隙部50は、
図1に示すように、厚み方向において位相差層30から第2の保護層の少なくとも一部まで延び、ならびに、
図2に示すように、面方向において位相差層30の遅相軸方向と交差する方向(例えば、実質的に直交する方向)に延びる。このような空隙部を設けることにより、優れた光学特性を維持しつつ、位相差層のクラックが抑制された位相差層付偏光板を実現することができる。具体的には以下のとおりである。位相差層付偏光板(特に、所定サイズ以上の位相差層付偏光板)においては高温高湿環境下で位相差層にクラックが発生する場合があるところ、当該クラックは多くの場合、位相差層の端に発生し遅相軸方向に沿って成長する。位相差層の遅相軸方向と交差する方向(例えば、実質的に直交する方向)に延びる空隙部を形成することにより、仮に位相差層の遅相軸方向両端にクラックが発生して遅相軸方向に成長しても、当該空隙部において成長が停止する。空隙部は端部(代表的には、画像表示装置の非表示領域に対応する部分)に形成されているので、空隙部より外側に発生したクラックは画像表示性能に影響を与えることはなく、かつ、空隙部によりクラックの成長は停止するので画像表示領域まで延びる(成長する)ことはない。したがって、仮に端部にクラックが発生しても、画像表示領域(に対応する部分)において位相差層の光学特性が損なわれることはない。ここで、理論的には明らかではないが、本発明者らは、位相差層の厚み方向全体に空隙部を形成しても光学特性に大きな影響はないのに対し、偏光子の厚み方向の一部であっても空隙部を形成すると顕著な光抜けが発生することを見出した。したがって、空隙部が第2の保護層の一部まで延びる構成により(すなわち、空隙部が偏光子まで到達しない構成により)、偏光子の光抜けを防止することができる。以上のようにして、優れた光学特性を維持しつつ、位相差層のクラックが抑制された位相差層付偏光板を実現することができる。
【0012】
実用的には、位相差層30の偏光板10と反対側に(すなわち、視認側と反対側の最外層として)別の粘着剤層(図示せず:以下、第2の粘着剤層と称する場合がある)が設けられ、位相差層付偏光板は画像表示セルに貼り付け可能とされている。さらに、第2の粘着剤層の表面には、位相差層付偏光板が使用に供されるまで、セパレーター(図示せず)が仮着されていることが好ましい。セパレーターを仮着することにより、第2の粘着剤層を保護するとともに、位相差層付偏光板のロール形成が可能となる。この場合、空隙部50は、代表的には第2の粘着剤層から延びる。空隙部50は、セパレーターから延びてもよい。
【0013】
偏光子11と第1の保護層12および第2の保護層13とは、接着剤層を介して積層されてもよく、粘着剤層を介して積層されてもよい。1つの実施形態においては、偏光子11と第2の保護層13とは、粘着剤層を介して積層され得る。言い換えれば、偏光子11と第2の保護層13との間にさらに別の粘着剤層(図示せず:以下、第3の粘着剤層と称する場合がある)が設けられてもよい。この場合、空隙部50は、代表的には第3の粘着剤層の一部まで延びる。
【0014】
上記のとおり、本発明の実施形態においては、空隙部50は、視認側と反対側の最外部から偏光子の視認側と反対側の隣接層の一部まで延びていればよい。より詳細には、空隙部50は、位相差層の厚み方向全体および偏光子の視認側と反対側の隣接層に偏光子に到達しないように形成されていればよい。空隙部50は、任意の適切な方法により形成され得る。空隙部50は、代表的には、打ち抜き刃によるいわゆるハーフカットにより形成され得る。打ち抜き刃としては、例えば、トムソン刃、ピナクル(登録商標)刃が挙げられる。空隙部50の深さ(結果として、偏光子の視認側と反対側の隣接層における空隙部の先端の位置)は、打ち抜き時の下死点(刃深さ)を調整することにより制御することができる。
【0015】
偏光子11の位相差層側表面と位相差層30の偏光子側表面との距離は、例えば30μm以上であり、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは70μm以上である。空隙部と偏光子との間にこのような距離を確保することにより、偏光子の光抜けを顕著に抑制することができる。当該距離は、第2の保護層の厚み、第3の粘着剤層の厚み、第1の粘着剤層の厚み、および打ち抜き時の下死点(刃深さ)を調整することにより制御することができる。当該距離の上限は特に限定されないが、例えば100μm以下である。また、空隙部の先端と偏光子の位相差層側表面との距離が10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上がより好ましい。当該距離の上限も特に限定されないが、例えば100μm以下である。
【0016】
空隙部表面(具体的には、位相差層に形成された空隙部の表面)の表面粗さRaは、好ましくは6.0μm以下であり、より好ましくは4.5μm以下であり、さらに好ましくは2.4μm以下である。表面粗さRaは小さいほど好ましく、その下限は例えば0.01μmであり得る。また、当該空隙部表面の表面粗さRzは、好ましくは35μm以下であり、より好ましくは26μm以下であり、さらに好ましくは13μm以下である。表面粗さRzは小さいほど好ましく、その下限は例えば0.1μmであり得る。空隙部表面の表面粗さは、RaおよびRzの両方が上記範囲内であってもよく、RaまたはRzの一方が上記範囲内であってもよい。Raおよび/またはRzが上記範囲内であれば、信頼性試験投入時に基材の収縮膨張をきっかけとしたクラックが入りにくいという利点がある。RaおよびRzは、例えば、JIS B 0601-2001に準拠して測定され得る。
【0017】
位相差層付偏光板100は、位相差層30の偏光子10と反対側(画像表示セル側)に、目的に応じて任意の適切な機能層をさらに有していてもよい(図示せず)。機能層の代表例としては、別の位相差層、導電層が挙げられる。機能層の種類、数、組み合わせ、配置位置、特性(例えば、別の位相差層の光学特性:具体的には、屈折率特性、面内位相差、厚み方向位相差、Nz係数)は、目的に応じて適切に設定され得る。位相差層付偏光板が導電層をさらに有することにより、当該位相差層付偏光板は、インナータッチパネル型入力表示装置に好適に用いられ得る。
【0018】
位相差層付偏光板100は、長辺の長さが好ましくは400mm以上であり、より好ましくは600mm以上であり;短辺の長さが好ましくは200mm以上であり、より好ましくは300mm以上である。位相差層のクラックは所定サイズ以上の位相差層付偏光板において顕著になるところ、本発明の実施形態によれば、このようなサイズの位相差層付偏光板においてクラックを良好に防止することができる。
【0019】
以下、位相差層付偏光板の構成要素について、より詳細に説明する。
【0020】
B.偏光板
B-1.偏光子
偏光子11は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムで構成される。
【0021】
樹脂フィルムとしては、偏光子として用いられ得る任意の適切な樹脂フィルムを採用することができる。樹脂フィルムは、代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)フィルムである。
【0022】
上記PVA系樹脂フィルムを形成するPVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン-ビニルアルコール共重合体は、エチレン-酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%~100モル%であり、好ましくは95.0モル%~99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%~99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726-1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子を得ることができる。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
【0023】
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000~10000であり、好ましくは1200~4500、さらに好ましくは1500~4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726-1994に準じて求めることができる。
【0024】
樹脂フィルムに含まれる二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。好ましくは、ヨウ素が用いられる。
【0025】
樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0026】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、PVA系樹脂フィルムにヨウ素による染色処理および延伸処理(代表的には、一軸延伸)が施されたものが挙げられる。上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系樹脂フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系樹脂フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系樹脂フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
【0027】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、好ましくは、樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とポリビニルアルコール系樹脂とを含むポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。加えて、本実施形態においては、好ましくは、積層体は、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理に供される。代表的には、本実施形態の製造方法は、積層体に、空中補助延伸処理と染色処理と水中延伸処理と乾燥収縮処理とをこの順に施すことを含む。補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂上にPVAを塗布する場合でも、PVAの結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成することが可能となる。また、同時にPVAの配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVAの配向性の低下や溶解などの問題を防止することができ、高い光学特性を達成することが可能になる。さらに、PVA系樹脂層を液体に浸漬した場合において、PVA系樹脂層がハロゲン化物を含まない場合に比べて、ポリビニルアルコール分子の配向の乱れ、および配向性の低下が抑制され得る。これにより、染色処理および水中延伸処理など、積層体を液体に浸漬して行う処理工程を経て得られる偏光子の光学特性を向上し得る。さらに、乾燥収縮処理により積層体を幅方向に収縮させることにより、光学特性を向上させることができる。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0028】
偏光子の厚みは、上記のとおり12μm以下であり、好ましくは1μm~12μmであり、より好ましくは3μm~10μmであり、さらに好ましくは3μm~8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。
【0029】
偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、好ましくは40.0%~45.0%であり、より好ましくは41.5%~43.5%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0030】
B-2.保護層
第1の保護層12および第2の保護層13は、それぞれ、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。好ましくは、(メタ)アクリル系樹脂が用いられ得る。
【0031】
(メタ)アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
【0032】
(メタ)アクリル系樹脂として、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000-230016号公報、特開2001-151814号公報、特開2002-120326号公報、特開2002-254544号公報、特開2005-146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0033】
位相差層付偏光板は、代表的には画像表示装置の視認側に配置され、第1の保護層12は、その視認側に配置される。したがって、第1の保護層12には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。さらに/あるいは、第1の保護層12には、必要に応じて、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善する処理(代表的には、(楕)円偏光機能を付与すること、超高位相差を付与すること)が施されていてもよい。このような処理を施すことにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、位相差層付偏光板は、屋外で用いられ得る画像表示装置にも好適に適用され得る。
【0034】
第1の保護層の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは30μm~100μmであり、さらに好ましくは30μm~60μmである。なお、第1の保護層に表面処理が施されて表面処理層が形成される場合、第1の保護層の厚みは、表面処理層を含めた厚みである。
【0035】
第2の保護層13は、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。第2の保護層の厚みは、好ましくは5μm~80μmであり、より好ましくは20μm~70μmであり、さらに好ましくは30μm~60μmである。第2の保護層の厚みがこのような範囲であれば、偏光子と位相差層との距離を所望の範囲とすることができる。その結果、位相差層に対する偏光子の内部応力を緩和させることができる。また、第2の保護層は、空隙部に対する緩衝層として良好に機能し得る。
【0036】
C.位相差層
位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは250nm~350nmであり、より好ましくは260nm~330nmであり、さらに好ましくは270nm~290nmである。位相差層の面内位相差Re(550)がこのような範囲であれば、ポアンカレ球上での移動距離が短いので優れた色相および輝度特性が実現され、かつ、画像表示パネルのカラーシフトおよびTFTの位相差成分によるずれも小さくなる。
【0037】
位相差層は、好ましくは、屈折率特性がnx>nz>nyの関係を示す。位相差層がこのような屈折率特性を有することにより、位相差層付偏光板を適用する画像表示装置の斜め方向の色相を良好に改善することができる。さらに、このような斜め方向の色相改善は、位相差層と斜め方向の光学補償を行う層とを別個に設けることなく行うことができるので、位相差層付偏光板(結果として、画像表示装置)の薄型化に貢献し得る。
【0038】
位相差層のNz係数は、好ましくは0.3~0.7であり、より好ましくは0.4~0.6であり、さらに好ましくは0.45~0.55である。Nz係数がこのような範囲であれば、斜め方向の色相をさらに良好に改善することができる。
【0039】
位相差層は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。位相差層は、代表的には、フラットな波長分散特性を示す。
【0040】
位相差層は、その光弾性係数の絶対値が好ましくは15×10-12m2/N以下であり、より好ましくは10×10-12m2/N以下である。光弾性係数の絶対値の下限は、例えば1.0×10-12m2/Nであり得る。位相差層の光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、画像表示装置の表示ムラを良好に抑制することができる。
【0041】
位相差層は、代表的には、上記特性を実現し得る任意の適切な樹脂で形成された位相差フィルムである。この位相差フィルムを形成する樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリビニルアルコール、ポリフマル酸エステル、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂およびポリウレタンが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。好ましくは、環状オレフィン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂の代表例としては、ノルボルネン系樹脂が挙げられる。
【0042】
上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーを重合単位として重合される樹脂である。当該ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5-メチル-2-ノルボルネン、5-ジメチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3-ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6-メチル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-エチル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-エチリデン-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-クロロ-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-シアノ-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-ピリジル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-メトキシカルボニル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3~4量体、例えば、4,9:5,8-ジメタノ-3a,4,4a,5,8,8a,9,9a-オクタヒドロ-1H-ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9-トリメタノ-3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a-ドデカヒドロ-1H-シクロペンタアントラセン等が挙げられる。上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0043】
位相差層(位相差フィルム)は、上記樹脂から形成されたフィルムの延伸フィルムである。延伸フィルムの作製方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。代表的には、樹脂フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを貼り合わせて、加熱延伸する方法が挙げられる。当該収縮性フィルムは、加熱延伸時に延伸方向と直交する方向に収縮力を付与するために用いられる。そのような収縮力を付与することによりnzを大きくすることができ、結果として、Zフィルムを作製することができる。収縮性フィルムに用いられる材料としては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。収縮均一性、耐熱性が優れる点から、ポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。
【0044】
上記延伸方法としては、上記樹脂フィルムの延伸方向への張力と、当該延伸方向とフィルム面内で直交する方向への収縮力とを付与し得る限り、任意の適切な延伸方法を採用し得る。延伸温度は、好ましくは、上記樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)以上である。得られる延伸フィルムの位相差値が均一になり易く、また、フィルムが結晶化(白濁)しにくいからである。延伸温度は、より好ましくは上記高分子フィルムのTg+1℃~Tg+30℃、さらに好ましくはTg+2℃~Tg+20℃、特に好ましくはTg+3℃~Tg+15℃、最も好ましくはTg+5℃~Tg+10℃である。延伸温度をこのような範囲とすることにより、均一な加熱延伸を行い得る。さらに、延伸温度は、フィルム幅方向で一定であることが好ましい。位相差値のバラツキが小さい良好な光学均一性を有する延伸フィルムを作製し得るからである。
【0045】
上記延伸時の延伸倍率は、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは1.05~2.00倍、さらに好ましくは1.10~1.50倍、特に好ましくは1.20~1.40倍である。延伸倍率をこのような範囲とすることにより、フィルム幅の収縮が少なく、機械的強度に優れた延伸フィルムが得られ得る。
【0046】
位相差層の厚みは、好ましくは80μm~200μmであり、より好ましくは90μm~150μmであり、さらに好ましくは110μm~150μmである。このような厚みであれば、所望の面内位相差値が得られ得る。
【0047】
D.粘着剤層
以下、第1の粘着剤層(粘着剤層20)、第2の粘着剤層(別の粘着剤層)および第3の粘着剤層(さらに別の粘着剤層)に共通する事項については、まとめて粘着剤層として説明する。個別の粘着剤層について言及する場合には、「第1」、「第2」または「第3」を明記する。
【0048】
粘着剤層を形成する粘着剤としては、任意の適切な粘着剤が採用され得る。粘着剤のベース樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂が挙げられる。耐薬品性、浸漬時における処理液の浸入を防止するための密着性、被着体への自由度等の観点から、アクリル系樹脂が好ましい。すなわち、粘着剤層は、好ましくはアクリル系粘着剤(アクリル系粘着剤組成物)で構成され得る。アクリル系粘着剤組成物は、代表的には、(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、粘着剤組成物の固形分中、例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上の割合で粘着剤組成物に含有され得る。(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位としてアルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基としては、例えば、1個~18個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基の平均炭素数は、好ましくは3個~9個であり、より好ましくは3個~6個である。(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート以外に、カルボキシル基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸)、ヒドロキシル基含有モノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート)、アミド基含有モノマー(例えば、アクリルアミド)、芳香環含有(メタ)アクリレート(例えば、ベンジルアクリレート)、複素環含有(メタ)アクリレート(例えば、アクリロイルモルホリン)、橋かけ環構造を有する(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル)等が挙げられる。アクリル系粘着剤組成物は、好ましくは、シランカップリング剤および/または架橋剤を含有し得る。シランカップリング剤としては、例えばエポキシ基含有シランカップリング剤が挙げられる。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤が挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー単位、シランカップリング剤および架橋剤を適切に組み合わせて用いることにより、所望の特性を有するアクリル系粘着剤(結果として、粘着剤層)を得ることができる。粘着剤層またはアクリル系粘着剤組成物の詳細は、例えば、特開平01-066283号公報、特開2015-079254号公報に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0049】
D-1.第1の粘着剤層
第1の粘着剤層を形成する粘着剤は、(メタ)アクリル系ポリマーが、好ましくはヒドロキシル基含有モノマー(例えば、4-ヒドロキシブチルアクリレート)単位を含む。さらに、第1の粘着剤層を形成する粘着剤は、イソシアネート系架橋剤を比較的多量に含む。
【0050】
第1の粘着剤層の23℃におけるクリープ値は、例えば110μm以下であり、好ましくは75μm~110μmであり、より好ましくは80μm~100μmである。クリープ値がこのような範囲であれば、信頼性試験時の偏光板の寸法変化が大きくなり内部応力が緩和される。なお、クリープ値は、例えば以下の手順で測定され得る:試験サンプル(粘着剤シート)を10mm×10mmの接合面にて支持板に貼着する。試験サンプルを貼り付けた支持板を固定した状態で、500gfの荷重を鉛直下方に加える。荷重を加えて1秒後および3600秒後の支持板からのずれ量を測定し、それぞれCr1およびCr3600とする。Cr1およびCr3600から下記式により求められるΔCrをクリープ値とする。
ΔCr=Cr3600-Cr1
【0051】
第1の粘着剤層の厚みは、好ましくは好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは10μm~30μmであり、さらに好ましくは15μm~25μmである。厚みがこのような範囲であれば、信頼性試験時の基材と粘着剤の密着力を保つことができ、パネルの反りを最小限に抑えることができる。
【0052】
D-2.第2の粘着剤層
第2の粘着剤層を形成する粘着剤は、(メタ)アクリル系ポリマーが、好ましくはヒドロキシル基含有モノマー(例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート)単位およびカルボキシル基含有モノマー(例えば、アクリル酸)単位を含む。さらに、第2の粘着剤層を形成する粘着剤は、イソシアネート系架橋剤を多量に含む。
【0053】
第2の粘着剤層の23℃におけるクリープ値は、例えば70μm以下であり、好ましくは35μm~70μmであり、より好ましくは40μm~60μmである。クリープ値がこのような範囲であれば、信頼性試験時の位相差層の寸法変化が小さくなりクラックを抑制することができる。
【0054】
第2の粘着剤層の厚みは、好ましくは好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは10μm~40μmであり、さらに好ましくは20μm~30μmである。厚みがこのような範囲であれば、信頼性試験時の基材と粘着剤の密着力を保つことができ、位相差層の収縮膨張を抑制することができる。
【0055】
D-3.第3の粘着剤層
第3の粘着剤層を形成する粘着剤は、(メタ)アクリル系ポリマーが、好ましくはヒドロキシル基含有モノマー(例えば、4-ヒドロキシブチルアクリレート)単位を含む。さらに、第3の粘着剤層を形成する粘着剤は、イソシアネート系架橋剤を比較的多量に含む。
【0056】
第3の粘着剤層の23℃におけるクリープ値は、好ましくは75μm~110μmであり、より好ましくは80μm~100μmである。クリープ値がこのような範囲であれば、信頼性試験下において基材と粘着剤の密着力を保つことができ、パネルの反りを最小限に抑えることができる。
【0057】
第3の粘着剤層の厚みは、好ましくは好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは10μm~30μmであり、さらに好ましくは15μm~25μmである。厚みがこのような範囲であれば、偏光子と位相差層との距離を所望の範囲とすることができる。
【0058】
E.画像表示装置
本発明の実施形態による位相差層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。代表的には、位相差層付偏光板は、偏光板が視認側となるようにして画像表示装置の視認側に配置される。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、量子ドット表示装置が挙げられる。好ましくは液晶表示装置であり、より好ましくはIPSモードの液晶表示装置である。斜め方向の色相改善がより顕著だからである。
【実施例】
【0059】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。なお、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
【0060】
(1)クラック
実施例および比較例で得られた位相差層付偏光板を700mm×400mmに切り出し、第2の粘着剤層を介してガラス板に貼り合わせ、試験サンプルとした。試験サンプルを10個作製した。これらの試験サンプルを-40℃で30分間保持した後85℃で30分間保持することを300サイクル繰り返すヒートショック試験に供し、試験後の位相差層のクラックの発生状態を光学顕微鏡(倍率5倍)により観察した。具体的には、10個の試験サンプルのうちクラックが発生した試験サンプルの数を調べ、以下の基準で評価した。
○:クラックが発生した試験サンプルはなかった(0個)
△:1個~4個の試験サンプルにクラックが発生した
×:5個以上の試験サンプルにクラックが発生した
(2)光抜け
上記(1)と同様にして10個の試験サンプルをヒートショック試験に供した。試験後の位相差層付偏光板と標準偏光板とをクロスニコルの状態に配置し、光抜けの有無を顕微鏡(Olympus社製、「MX61L」、倍率10倍)により調べ、以下の基準で評価した。
○:光抜けが発生した試験サンプルはなかった(0個)
△:1個~4個の試験サンプルに光抜けが発生した
×:5個以上の試験サンプルに光抜けが発生した
【0061】
[製造例1:第1の粘着剤層の形成]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート99部、4-ヒドロキシブチルアクリレート1部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、このモノマー混合物100部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)180万のアクリル系ポリマーA1の溶液を調製した。
得られたアクリル系ポリマー溶液(A1)の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(東ソー社製、商品名「タケネートD110N」、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物)0.1部、過酸化物架橋剤(日本油脂社製、商品名「ナイパーBMT」)0.3部、シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名「KBM-403」)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。得られたアクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製、商品名「MRF38」、セパレータフィルム)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に第1の粘着剤層を形成した。
【0062】
[製造例2:第2の粘着剤層の形成]
ブチルアクリレート94.9部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.1部およびアクリル酸5部を含有するモノマー混合物を用いたこと以外は製造例1と同様にして、Mw220万のアクリル系ポリマーA2の溶液を調製した。得られたアクリル系ポリマー溶液(A2)の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物)0.6部、過酸化物架橋剤(日本油脂社製、商品名「ナイパーBMT」)0.2部、シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名「KBM-403」)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。以下の手順は製造例1と同様にして、セパレータフィルムの表面に第2の粘着剤層(厚み23μm)を形成した。
【0063】
[製造例3:第3の粘着剤層の形成]
製造例1と同様にして、Mw180万のアクリル系ポリマーA1の溶液を調製した。得られたアクリル系ポリマー溶液(A1)の固形分100部に対して、架橋剤としてのベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT 40SV、日本油脂(株)製)0.3部、イソシアネート系架橋剤(商品名:タケネートD110N、三井化学(株)製)0.095部、リワーク向上剤(商品名:サイリルSAT10、カネカ社製)0.03部、帯電防止剤(商品名:EMPTFSi50EA、三菱マテリアル社製)0.7部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、ヒンダードフェノール系、BASFジャパン社製)0.3部、および、シランカップリング剤(商品名:A-100、綜研化学社製、アセトアセチル基含有シランカップリング剤)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。以下の手順は製造例1と同様にして、セパレータフィルムの表面に第3の粘着剤層(厚み20μm)を形成した。
【0064】
[製造例4:位相差層(位相差フィルム)の作製]
厚み130μmのノルボルネン系樹脂フィルムの両側に、厚み60μmの収縮性フィルム[東レ社製 商品名「トレファンBO2873」]を、アクリル系粘着剤層(厚み15μm)を介して貼り合わせた。その後、ロール延伸機でフィルム長手方向を保持して、146℃の空気循環式オーブン内で1.38倍に延伸し、延伸後、収縮性フィルムをアクリル系粘着剤層と共に剥離して、位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムは、nx>nz>nyの屈折率特性を示し、Re(550)=280nm、Nz係数=0.52、光弾性係数は4.0×10-12m2/N、厚みは138μmであった。
【0065】
[実施例1]
1.偏光子の作製
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光子の単体透過率(Ts)が所定の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。
このようにして、樹脂基材上に偏光子を形成し、樹脂基材/偏光子の構成を有する積層体を得た。
【0066】
2.偏光板の作製
上記1.で得られた積層体の偏光子表面に、第1の保護層として、AG-アクリルフィルム(厚み46μm)を、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。なお、AG-アクリルフィルムは、ラクトン環構造を含むアクリル系樹脂フィルム(厚み40μm)にアンチグレア(AG)層(厚み6μm)が形成されたフィルムであり、アクリル系樹脂フィルムが偏光子側となるようにして貼り合わせた。次いで、樹脂基材を剥離し、当該剥離面に製造例3で得られた第3の粘着剤層を配置し、第3の粘着剤層を介して、ラクトン環構造を含むアクリル系樹脂フィルムを貼り合わせた。このようにして、第1の保護層/偏光子/第3の粘着剤層/第2の保護層の構成を有する偏光板を得た。
【0067】
3.位相差層付偏光板の作製
上記2.で得られた偏光板の第2の保護層表面に製造例1で得られた第1の粘着剤層を配置し、第1の粘着剤層を介して、製造例4で得られた位相差層を貼り合わせた。ここで、偏光板と位相差層とは、偏光子の吸収軸と位相差層の遅相軸とが実質的に直交するようにして貼り合わせた。さらに、位相差層の表面に製造例2で得られた第2の粘着剤層を配置した。このようにして、第1の保護層/偏光子/第3の粘着剤層/第2の保護層/第1の粘着剤層/位相差層/第2の粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。
【0068】
4.空隙部の形成
刃長さ18.4mmの超硬刃(刃深さ180μm)を用いて、上記3.で得られた位相差層付偏光板の遅相軸方向の両端部を第2の粘着剤層側からハーフカットし、
図1および
図2に示すような空隙部を形成した。空隙部は、面方向において位相差層の遅相軸方向に実質的に直交する方向に延びるよう形成した。また、本実施例においては、空隙部は、第2の保護層の偏光子側表面まで形成された。空隙部の先端と偏光子の位相差層側表面との距離は20μmであった。より詳細には、刃の下死点を第2の保護層の一部までの位置に設定し、第2の保護層の一部までをカットし残りはカットによる力で進展させた。また、偏光子の位相差層側表面と位相差層の偏光子側表面との距離は80μmであった。空隙部が形成された位相差層付偏光板を上記評価に供した。結果を表1に示す。
【0069】
[実施例2]
刃深さを150μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、空隙部が形成された位相差層付偏光板を得た。空隙部は、第1の粘着剤層の一部まで形成された。空隙部の先端と偏光子の位相差層側表面との距離は70μmであった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0070】
[実施例3]
刃深さを210μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、空隙部が形成された位相差層付偏光板を得た。空隙部は、第3の粘着剤層の一部まで形成された。空隙部の先端と偏光子の位相差層側表面との距離は10μmであった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0071】
[比較例1]
第2の保護層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、第1の保護層/偏光子/第1の粘着剤層/位相差層/第2の粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。この位相差層付偏光板の遅相軸方向の両端部を、刃長さ18.4mmの超硬刃を用いて第2の粘着剤層側からハーフカットし、空隙部を形成した。空隙部は、第1の粘着剤層の一部まで形成された。空隙部の先端と偏光子の位相差層側表面との距離は10μmであった。また、偏光子の位相差層側表面と位相差層の偏光子側表面との距離は20μmであった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。本比較例では偏光子と位相差層との間に第2の保護層がないので、刃深さのばらつきにより、空隙部先端が偏光子まで達して偏光子にクラックが生じる場合や、位相差層を完全に切断できず位相差層の光漏れが生じたと考えられる。
【0072】
[比較例2]
刃深さを130μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、空隙部が形成された位相差層付偏光板を得た。空隙部は、位相差層の一部まで形成された。空隙部の先端と偏光子の位相差層側表面との距離は90μmであった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0073】
[比較例3]
刃深さを220μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、空隙部が形成された位相差層付偏光板を得た。空隙部は、偏光子の一部まで形成された。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0074】
[比較例4]
実施例1と同様にして位相差層付偏光板を得た。この位相差層付偏光板をそのまま(すなわち、空隙部を形成することなく)実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
【0075】
【0076】
[評価]
表1から明らかなように、本発明の実施例によれば、緩衝層としての第2の保護層を設け、および、空隙部を偏光子の視認側と反対側の隣接層の一部まで形成することにより、光抜けおよび位相差層のクラックのない位相差層付偏光板が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の位相差層付偏光板は、液晶表示装置、有機EL表示装置、量子ドット表示装置のような画像表示装置に好適に用いられ得、特に液晶表示装置に好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0078】
10 偏光板
11 偏光子
12 第1の保護層
13 第2の保護層
20 粘着剤層(第1の粘着剤層)
30 位相差層
50 空隙部
100 位相差層付偏光板