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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ストロボ装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20210101AFI20240920BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B15/02 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020170198
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062299
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 健吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】平山 慧大
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-099411(JP,A)
【文献】特開2012-145865(JP,A)
【文献】特開2008-262141(JP,A)
【文献】実開昭63-076834(JP,U)
【文献】特開平06-018965(JP,A)
【文献】特開平11-064937(JP,A)
【文献】特開平10-228050(JP,A)
【文献】特開2008-180913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B15/04-15/05
G03B17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を回転させてバウンス機能を発揮させるバウンス機構と、前記発光部の回転を禁止するバウンスロック機構とを有したストロボ装置であって、
前記バウンスロック機構は、前記発光部と非回転部材との一方に形成された凹部を備えるとともに、その他方に設けられて、操作者の操作に基いて前記凹部に入り込んだり前記凹部から抜け出したりするように移動可能なロックピンを備え、
前記ロックピンの移動に連動して開閉されるスイッチにて構成されたバウンスロック検知装置を有することを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
バウンス機構は、前記発光部が上下方向の軸心まわりに回転する左右バウンス機構であることを特徴とする請求項1記載のストロボ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストロボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラなどに取り付けられるストロボ装置として、バウンス機能を備えたものが知られている(特許文献1)。バウンス機能は、発光部を回転させて被写体以外の箇所を照射し、その照射した箇所からの反射光を被写体に当てるようにすることで、発光部からの光を直接被写体に当てた場合に比べて画調の向上を図るようにしたものである。
【0003】
バウンス機能を発揮させるためのバウンス機構は、ストロボ装置の発光部を同ストロボ装置の土台部に対して回転自在に構成したものである。そして公知のストロボ装置では、発光部を土台部に対して所定の回転角度でロックして、その角度からの発光部の回転を禁止するバウンスロック機構が設けられている。このバウンスロック機構は、発光部と土台部とのいずれか一方に形成された凹部と、発光部と土台部との他方に設けられたロックピンと、このロックピンに凹部に向かう方向の力を作用させるばねとを備えている。そして、通常は、ばねの力によってロックピンを凹部にはめ込むことによって、バウンスロックが達成される。
【0004】
これに対し、手動操作などによってばね力に抗してロックピンを凹部から抜き出せば、バウンスロックが解除されて、発光部が土台部に対して回転可能な状態になる。それにより、土台部に対する発光部の回転角度を変更することができて、発光部による発光の方向を変化させることができる。所定の回転角度で手動操作を停止すれば、ロックピンは、ばねの力によって、その回転角度に対応する位置に形成された別の凹部にはめ込まれ、それによって、その回転位置でのバウンスロックが達成される。
【0005】
バウンス機能を備えた公知のストロボ装置においては、その使用時において、そのストロボ装置がバウンスロック状態にあるのか、あるいはバウンスロックが解除された状態にあるのかを使用者が知ることができれば、便利である。このため公知のストロボ装置においては、そのストロボ装置がバウンスロック状態にあるのか、あるいはバウンスロックが解除された状態にあるのかを検知して、その検知結果を表示などによって使用者に知らせるようにしたものがある。
【0006】
そのための検知装置は、以下のようになっている。すなわち、プリント配線基板に互いに分離して導通していない2つの配線パターンが形成され、バウンスロック解除のための使用者の手動操作に連動して移動されるレバーが設けられ、このレバーに金属製の摺動ブラシが取り付けられている。そして、手動操作に連動してレバーが移動されると、それによって摺動ブラシも移動し、その結果、摺動ブラシによって2つの配線パターンが導通されることで、バウンスロックが解除されたことが検知される。使用者の手動操作によってバウンスロックの解除が停止されると、すなわちバウンスロック状態が達成されると、その手動操作に連動してレバーが元の位置に戻り、それにともなって摺動ブラシも移動することで、2つの配線パターンは、バウンスロック解除時の導通状態から、再び非導通状態に戻される。それによって、バウンスロック状態になったことが検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-99411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような公知の構成では、バウンスロック状態かあるいはバウンスロック解除状態かを検知するために、そのためのレバーや摺動ブラシなどの専用の部材が特別に必要となる。しかもレバーおよび摺動ブラシという別個の部材を取付けにより一体化させたうえで一緒に移動する構成とすることが必要であり、そのための構造と動作とが複雑になってしまう。また摺動ブラシは、正常に機能させるためには押圧力の調整が必要であり、その調整は容易とは言えない。
【0009】
そこで本発明は、このような課題を解決して、簡単な構成および単純な動作の装置だけでストロボ装置がバウンスロック状態であるか否かを検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明のストロボ装置は、
発光部を回転させてバウンス機能を発揮させるバウンス機構と、前記発光部の回転を禁止するバウンスロック機構とを有し、
【0011】
前記バウンスロック機構は、前記発光部と非回転部材との一方に形成された凹部を備えるとともに、その他方に設けられて、操作者の操作に基いて前記凹部に入り込んだり前記凹部から抜け出したりするように移動可能なロックピンを備え、
前記ストロボ装置は、前記ロックピンの移動に連動して開閉されるスイッチにて構成されたバウンスロック検知装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のストロボ装置によると、バウンスロック機構を構成するロックピンに、バウンスロック状態を検知するための移動部材としての機能を兼備させたため、そのような移動部材を別途設ける必要が無い。またバウンスロック検知装置はスイッチにて構成されており、スイッチは安価でしかも取付けが容易な市販品が多種提供されており、またスイッチという完成された部品を用いることで摺動ブラシを用いる場合のような微妙な調整が不要になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態のストロボ装置の要部の断面構造であって、バウンスロック状態であることを示す図である。
図2図1に示すスイッチがオフ状態であることを示す図である。
図3図1に示すスイッチがオン状態であることを示す図である。
図4】本発明の実施の形態のストロボ装置の要部の断面構造であって、バウンスロックが解除された状態であることを示す図である。
図5図4に示す状態から発光部が回転した時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すストロボ装置は、非回転部材としての土台部11と、この土台部11に対して上下方向の軸心の周りに回転可能な発光部12とを備える。なお、土台部11はカメラなどへの取付け用の部材を備えるが、ここでは簡単のために図示を省略している。また発光部12はキセノン管やLEDなどの発光体を備えるが、同様にここでは簡単のために図示を省略している。13は土台部11に形成された上下方向の穴、14は発光部に設けられた円柱状の軸で、この軸14が穴13にはまり込んでいることで、上記した上下方向の軸心の周りでの発光部12の回転が可能となっている。すなわち、これらの部材によって左右の方向へのバウンス機構を構成している。
【0015】
次に図示のストロボ装置におけるバウンスロック機構について説明する。すなわち、土台部11には上向きに開口した凹部15が形成され、発光部12にはロックピン16が設けられている。ロックピン16は、上下方向に移動可能に構成されていることで、その下端部17が、凹部15に入り込んだり凹部15から抜け出したりするように構成されている。ロックピン16は、円錐形のばね18によって、凹部15に入り込む方向の力が及ぼされている。詳細には、ばね18はロックピン16に外ばめされるとともにその下端がロックピン16のフランジ19の上面によって受け止められ、ばね18の上端が発光部12側の定置式の部材20によって受け止められることで、このばね18の力によってロックピン16の下端部17を凹部15に入り込ませるようにしている。このため、図示のストロボ装置では、常時、発光部12の回転を禁止するバウンスロック状態となるようにされている。
【0016】
以下、バウンスロック状態を解除するための機構について説明する。ストロボ装置の発光部12には押しボタン23が設けられており、この押しボタン23は、ストロボ装置の使用者がバウンス機能を利用するときに、すなわち土台部11に対して発光部12を上下方向の軸心の周りに回転させてその発光方向を変化させたいときに手指にて押すことができるようにされたものである。また発光部12には揺動レバー24が設けられている。この揺動レバー24は、両方の側部が発光部12のボディに設けられた軸受25、25にそれぞれ回転自在に支持されることで、その揺動動作を行うことができるようにされている。揺動レバー24は、軸受25によって支持される位置を挟んで一端部26と他端部27とを有する。その一端部26は、押しボタン23と機械的に連結されることで、使用者の手指にて押される押しボタン23に連動して変位するように構成されている。揺動レバー23の他端部27には、ピン28が設けられている。発光部12の内部には、移動体30が設けられている。この移動体30は、揺動レバー23のピン28が実質的に隙間なくはまり込むスリット31を有している。このため移動体30は、軸受25によって支持された揺動レバー24が揺動したときに、それに連動して横方向たとえば水平方向に往復移動するように構成されている。移動体30には斜面32が形成されている。この斜面32は、ロックピン16のフランジ19の下面に接している。
【0017】
ロックピン16の上端部35は、定置式の部材20から上方へ突出した状態となるように配置されている。そして発光部12の内部には、バウンスロック状態であるかどうかを検知するための回路基板36が設けられており、この回路基板36には常開式または常閉式のオン・オフスイッチ37が取り付けられている。38はスイッチレバーで、このスイッチレバー38は、ロックピン16の上端部35に近接して設けられることで、この上端部によって動作されるように構成されている。図2はオン・オフスイッチ37が常開状態または常閉状態にあるときのスイッチレバー38の位置を示し、図示のスイッチ37ではその状態でのスイッチレバー38は、ばね力などの作用によってスイッチ37のケース39から大きく突出している。図3は、オン・オフスイッチ37が常開状態または常閉状態とは逆の状態になるときのスイッチレバー38の位置を示し、図示のスイッチ37ではその状態でのスイッチレバー38は、外力すなわちロックピン16の上端部35にて押されることにより、上記したばね力などの作用に抗して、スイッチ37のケース39の中に大きく入り込んでいる。
【0018】
このような構成において、押しボタン23が押されていない状態においては、ばね18がロックピン16のフランジ19を押すことで、ロックピン16はその下端部17が発光部12から下向きに突出して土台部11の凹部15にはまり込んでいる。このため発光部12は土台部11に対して回転することができず、ストロボ装置はバウンスロック状態に維持されている。このとき、ロックピン16の上端部35は、オン・オフスイッチ37のスイッチレバー38から離れるなどの状態をとることによって、常開状態または常閉状態のオン・オフスイッチ37の状態を変えるには至っていない。またこのとき、上述のようにばね18がロックピン16のフランジ19を押しているため、このフランジ19は移動体30の斜面32を下向きに押し、それによって移動体30は、斜面32の上端側がロックピン16から遠ざかる方向に移動した状態となっている。そして、それに連動して揺動レバー24が揺動され、この揺動レバー24に機械的に連結された押しボタン23は、ばね18の作用によって、押し込み可能な状態すなわち復帰状態に維持されている。
【0019】
発光部12を土台部11に対して回転させる場合には、バウンスロック状態を解除させる。そのためにストロボ装置の使用者が手指によって押しボタン23を押すと、それに連動して、ばね18の力に抗して揺動レバー24が揺動し、それにより移動体30が移動して、斜面32がばね18の力に抗してロックピン16のフランジ19を押し上げることで、図4に示すように、ロックピン16の下端部17が土台部11の凹部15から上向きに抜け出す。
【0020】
これによってバウンスロック状態が解除され、発光部12は、上下方向の軸心の周りに回転できることになる。図5は発光部12が回転した状態を示し、このときロックピン16の下端部17は土台部11の凹部15を外れた状態となる。すなわちバウンスロックの解除状態が維持されることになる。発光部12の回転によってロックピン16の下端部17が再び凹部15に対応して位置したときには、押しボタン23が押されていない限り、ロックピン16の下端部17はばね18の力によって元通り土台部11の凹部15にはめ込まれる。これによってバウンスロック状態へと復帰される。そのときに、ロックピン16のフランジ19がばね18の作用を受けることで、このフランジ19が移動体30の斜面32を押し、それによって移動体30が移動するとともに揺動レバー24が揺動することで、押しボタン23は、押圧されていた位置から、元の押圧を受け入れ可能な位置へと押し戻される。
【0021】
もし、凹部15が発光部12の回転方向に沿った複数の位置に設けられている場合には、任意の凹部15にロックピン16の下端部17をはめ込ませることができる。それによって、発光部12を、凹部15の位置によって規定される複数の特定の回転角度の位置でバウンスロックさせることができる。
【0022】
上述のように押しボタン23が押され、それによってロックピン16がばね18の力に抗して上向きに移動された場合には、このロックピン16の上端部35が、図2の状態にあったオン・オフスイッチ37のスイッチレバー38を蹴る。すると、スイッチレバー38は図3に示すようになり、それまで常開状態または常閉状態であったオン・オフスイッチ37が逆の状態に切り替わる。この切り替わりによって、回路基板36に設けられた電子回路が、バウンスロック状態が解除されたことを検知する。オン・オフスイッチ37は、そのための検知装置を代表する部材として機能する。
【0023】
バウンスロック状態の解除中は、上述のようにロックピン16は上昇した位置に保持されるため、オン・オフスイッチ37はスイッチレバー38が蹴られた状態を維持することになる。それによってバウンスロックの解除状態が検知され続けることになる。
【0024】
上述のようにバウンスロック状態に戻される場合には、ロックピン16が下方へ移動され、それによってオン・オフスイッチ37は、図3に示すようにスイッチレバー38がロックピン16の上端部35によって蹴られていた状態が、解除されることになるため、図2に示すようにスイッチレバー38は元の姿勢に復帰し、オン・オフスイッチ37も元の常開状態または常閉状態に戻る。これによって、バウンスロック状態に復帰されたことが検知される。
【0025】
上記においては、土台部11に凹部15が形成されるとともに、回転式の発光部12にロックピン16が設けられたものを説明した。しかし、本発明によれば、上記とは逆に、発光部12に凹部15が形成されるとともに、土台部11にロックピン16が設けられた構成とすることもできる。そのような変更は当業者にとって容易に実施できる。また、上記においては、バウンスロック状態においてロックピン16がオン・オフスイッチ37のスイッチレバー38に作用しないとともに、バウンスロックの解除状態においてロックピン16がオン・オフスイッチ37のスイッチレバー38を蹴るようにしたものを説明したが、これについても逆の構成とすることは容易である。そのほかにも、本発明の範囲内において様々な変形例を採用することが、もちろん可能である。
【0026】
特許文献1に記載の機構に対する本発明の機構の利点について説明する。特許文献1に記載の機構では、水平方向のバウンスロックを解除するための機構と、垂直方向のバウンスロックを解除する機構が互いに連動されている。すなわち、たとえば垂直方向のバウンスロックを解除すると、それと同時に水平方向のバウンスロックも解除される。つまり、垂直方向のバウンスロックと水平方向のバウンスロックとの一方を解除すると、それに連動して他方も解除される。そして、特許文献1に記載の機構では、両者の連動機構を構成する部材の動きに対応して、プリント配線基板と摺動ブラシとを有する検出手段が動作するように構成されている。この検出手段は、ストロボ装置の発光部が垂直方向または水平方向のいずれか、または両方のバウンス状態位置にあることを検出するものであって、「位置検出手段」と称されている(特許文献1、段落0025)。これによれば、2つのバウンスロックの解除状態を1つの検出手段で検出することができるという効果が得られる(特許文献1、段落0034)。
【0027】
しかし、特許文献1の検出手段では、バウンスロックの解除によりストロボ装置がバウンス動作したことも同時に検出されることになるが、これを1つの検出手段で検出するものであるために、垂直方向と水平方向のいずれの方向にバウンスしているのかを検出することができない。
【0028】
これに対し本発明のストロボ装置によれば、検出装置はバウンスロック機構のロックピンの移動に連動して開閉されるスイッチにて構成されているため、垂直方向と水平方向のいずれの方向にバウンスしているのかを、間違いなく確実に区別して検出することができるという利点がある。
【符号の説明】
【0029】
11 土台部(非回転部材)
12 発光部
13 穴
14 軸
15 凹部
16 ロックピン
18 ばね
23 押しボタン
24 揺動レバー
30 移動体
32 斜面
37 オン・オフスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5