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特許7558026液滴の拡がりを制御することによって硬化層を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】液滴の拡がりを制御することによって硬化層を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240920BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
H01L21/30 564Z
B29C59/02 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020172124
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2021082808
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】16/692,838
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニャーズ クスナトディノフ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ブライアン スタコウィアック
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ブライアン フレッチャー
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092996(JP,A)
【文献】特開2019-036725(JP,A)
【文献】特表2019-516249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に硬化層を形成する方法であって、
基板の外面を覆う第1の膜として液状の第1の硬化性組成物を付与する工程と、
前記第1の膜のうち少なくとも1つの第1の領域第1の化学線に曝され、且つ前記第1の膜のうち少なくとも1つの第2の領域が前記第1の化学線に曝されないように、所定の照射パターンで前記第1の膜に前記第1の化学線を照射することによって、前記少なくとも1つの第1の領域において液状の前記第1の硬化性組成物の少なくとも部分的な硬化を引き起こす程と、
前記第1の膜の上に液状の第2の硬化性組成物の液滴を配置する工程であって、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域内での前記液滴の液滴拡がりは、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域と比べて異なる、工程と、
前記第1の膜の上に配置された前記液滴をテンプレートまたはスーパーストレートに接触させて更に拡げ、前記基板の前記外面上で前記液滴を第2の膜に併合させる工程と、
前記第2の膜に第2の化学線の照射を適用し、前記第2の膜を硬化させて前記硬化層を形成する工程と、
前記硬化層から前記テンプレートまたはスーパーストレートを除去する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の硬化性組成物の前記液滴の少なくとも一部は、前記基板の前記外面を覆う前記第1の膜に沿って異方的に拡がる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の膜は、液状の前記第2の硬化性組成物の前記液滴を前記第1の膜の上に配置するときに流体である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の膜の前記第1の化学線は、照射パターンを含むマスクを通して適用され、前記照射パターンに従って前記第1の膜の複数の少なくとも部分的に重合された第1の領域を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
液状の前記第1の硬化性組成物の粘度は、1mPa・s~200mPa・sの間である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の化学線は、250nm~450nmの範囲内の波長を有する光である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の膜の上に前記第2の硬化性組成物の前記液滴を配置する前において、表面張力の比SE1:SE2は少なくとも1.1であり、SE1は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域の表面張力であり、SE2は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域の表面張力である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の膜の上に前記第2の硬化性組成物の前記液滴を配置する前において、粘度の比SV1:SV2は少なくとも1.2であり、SV1は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域の粘度であり、SV2は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域の粘度である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の硬化性組成物の表面張力は、前記第1の硬化性組成物の表面張力よりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
液状の前記第1の硬化性組成物は、アクリレートモノマーを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
液滴拡がり径の比SD2:SD1は少なくとも1.3であり、SD2は、前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域において前記第1の膜の上に配置された液滴の平均液滴拡がり径であり、SD1は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域の上に配置された液滴の平均液滴拡がり径である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基板の前記外面と前記第1の膜との間に接着層を適用する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
液状の前記第2の硬化性組成物の粘度は、50mPa・s以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法はナノインプリントリソグラフィに採用され、液状の前記第2の硬化性組成物はインプリントレジストである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の膜の上に配置された液滴はテンプレートと接触され、前記テンプレートの除去後に、前記硬化層は、少なくとも1つのインプリント領域および少なくとも1つの境界領域を含み、前記基板上の前記少なくとも1つのインプリント領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域に対応し、前記少なくとも1つの境界領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域に対応する、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化層は、少なくとも2つのインプリント領域および少なくとも2つの境界領域を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つのインプリント領域および前記少なくとも2つの境界領域は、交互の順序で配置されている、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つのインプリント領域は複数のラインを形成し、前記境界領域は前記インプリント領域のライン間に配置されている、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
物品を形成する方法であって、
基板の外面を覆う第1の膜として液状の第1の硬化性組成物を付与する工程と、
前記第1の膜のうち少なくとも1つの第1の領域第1の化学線に曝され、且つ前記第1の膜のうち少なくとも1つの第2の領域が前記第1の化学線に曝されないように、所定の照射パターンで前記第1の膜に前記第1の化学線を照射することによって、前記少なくとも1つの第1の領域において液状の前記第1の硬化性組成物の少なくとも部分的な硬化を引き起こす程と、
前記第1の膜の上にインプリントレジストの液滴を配置する工程であって、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域内での前記液滴の平均拡がり径は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域と比べて異なる、工程と、
前記第1の膜の上に配置された前記液滴をテンプレートに接触させて更に拡げ、前記基板の前記外面上で前記液滴を第2の膜に併合させる工程と、
前記第2の膜を第2の化学線に曝し、前記第2の膜を硬化させて硬化層を形成する工程と、
前記硬化層から前記テンプレートを除去する工程であって、前記テンプレートの除去後に、前記硬化層は、少なくとも1つのインプリント領域および少なくとも1つの境界領域を含み、前記基板上の前記少なくとも1つのインプリント領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域に対応し、前記少なくとも1つの境界領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域に対応する、工程と、
前記物品を作成するために、前記硬化層を有する前記基板を処理する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記方法はナノインプリントリソグラフィに採用される、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板上に硬化層を形成する方法に関し、特に、ナノインプリント・リソグラフィ・プロセスにおいて硬化層を形成する際の液滴の拡がりを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インプリント・リソグラフィでは、インプリントテンプレートが液滴に接触する前にレジスト液滴の拡がりを高速化することが、インプリントプロセスのスループットを向上させ、欠陥の量を低減し、且つ、より良好な残膜の均一性を達成するために使用される。液滴の拡がりを促進させる1つの方法は、インプリントレジスト材料の液滴の拡がりを増大させることを可能にするプレコーティング(pre-coating)を適用することである。
【0003】
しかしながら、基板表面を横切るレジスト体積の量について異なる要件が存在する場合、基板の表面上で加速されたレジストの拡がりは挑戦的でありうる。例えば、パターン密度の異なる領域は異なるレジスト体積を必要とし、パターン密度の高い領域は、パターン密度の低い領域よりも多くのレジスト体積を必要とする。ときには、好ましい方向へのインプリントレジストの拡がり及び流れが望まれる。さらに、インプリントレジストは、理想的にはインプリントフィールドの特定の境界領域を横切らず、画定されたインプリント領域の外側にあってはならない。境界領域に不要なレジストが存在することはレジスト漏れと呼ばれ、これは望ましくない押出成形の形成につながる可能性があり、後続のプロセス工程に不利な点を有する可能性がある。
【0004】
インプリントレジスト材料の液滴の拡がりにおいて、更なる柔軟性が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、基板上に硬化層を形成する方法は、基板の外面を覆う第1の膜として液状の第1の硬化性組成物を付与する工程と、前記第1の膜のうち少なくとも1つの第1の領域を第1の化学線に曝す工程であって、前記第1の化学線は、前記少なくとも1つの第1の領域において液状の前記第1の硬化性組成物の少なくとも部分的な硬化を引き起こす、工程と、前記第1の膜の上に液状の第2の硬化性組成物の液滴を配置する工程であって、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域内での前記液滴の液滴拡がりは、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった少なくとも1つの第2の領域と比べて異なる、工程と、前記第1の膜の上に配置された前記液滴をテンプレートまたはスーパーストレートに接触させて更に拡げ、前記基板の前記外面上で前記液滴を第2の膜に併合させる工程と、前記第2の膜に第2の化学線の照射を適用し、前記第2の膜を硬化させて前記硬化層を形成する工程と、前記硬化層から前記テンプレートまたはスーパーストレートを除去する工程と、を含むことができる。
【0006】
本方法の一態様では、前記第2の硬化性組成物の前記液滴の少なくとも一部は、前記基板の前記外面を覆う前記第1の膜に沿って異方的に拡がることができる。
【0007】
本方法の別の態様では、前記第1の膜は、液状の前記第2の硬化性組成物の前記液滴を前記第1の膜の上に配置するときに流体にすることができる。
【0008】
本方法の更なる態様では、前記第1の膜の前記第1の化学線は、照射パターンを含むマスクを通して適用されて、前記照射パターンに従って前記第1の膜の複数の少なくとも部分的に硬化された第1の領域を形成することができる。
【0009】
本方法の更なる別の態様では、液状の前記第1の硬化性組成物の粘度は、1mPa・s~200mPa・sの間にすることができる。
【0010】
本方法の別の態様では、前記第1の化学線は、250nm~450nmの範囲内の波長を有する光にすることができる。
【0011】
本方法の別の態様では、前記第1の膜の上に前記第2の硬化性組成物の前記液滴を配置する前において、表面張力の比SE1:SE2は少なくとも1.1にすることができ、SE1は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域の表面張力であり、SE2は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域の表面張力である。
【0012】
本方法の別の態様では、前記第1の膜の上に前記第2の硬化性組成物の前記液滴を配置する前において、粘度の比SV1:SV2は少なくとも1.2にすることができ、SV1は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域の粘度であり、SV2は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域の粘度である。
【0013】
一態様では、前記第2の硬化性組成物の表面張力は、前記第1の硬化性組成物の表面張力よりも低くすることができる。
【0014】
本方法の別の態様では、液状の前記第1の硬化性組成物は、アクリレートモノマーを含むことができる。
【0015】
本方法の更なる態様では、液滴拡がり径の比SD2:SD1は少なくとも1.3にすることができ、SD2は、前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域において前記第1の膜の上に配置された液滴の平均液滴拡がり径であり、SD1は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域の上に配置された液滴の平均液滴拡がり径である。
【0016】
別の態様では、本方法は、前記基板の前記外面と前記第1の膜との間に接着層を適用する工程をさらに含むことができる。
【0017】
本方法の更なる別の態様では、液状の前記第2の硬化性組成物の粘度は、50mPa・s以下にすることができる。
【0018】
一実施形態では、前記方法はナノインプリントリソグラフィに採用され、液状の前記第2の硬化性組成物はインプリントレジストでありうる。
【0019】
本方法の別の実施形態では、前記第1の膜の上に配置された液滴はテンプレートと接触されることができ、前記テンプレートの除去後に、前記硬化層は、少なくとも1つのインプリント領域および少なくとも1つの境界領域を含むことができ、前記基板上の前記少なくとも1つのインプリント領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域に対応し、前記少なくとも1つの境界領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域に対応する。
【0020】
本方法の別の態様では、前記硬化層は、少なくとも2つのインプリント領域および少なくとも2つの境界領域を含むことができる。一態様では、前記少なくとも2つのインプリント領域および前記少なくとも2つの境界領域は、交互の順序で配置されることができる。更なる態様では、前記少なくとも2つのインプリント領域は複数のラインを形成することができ、前記境界領域は前記インプリント領域のライン間に配置されることができる。
【0021】
別の実施形態では、物品を形成する方法は、基板の外面を覆う第1の膜として液状の第1の硬化性組成物を付与する工程と、前記第1の膜のうち少なくとも1つの第1の領域を第1の化学線に曝す工程であって、前記第1の化学線は、前記少なくとも1つの第1の領域において液状の前記第1の硬化性組成物の少なくとも部分的な硬化を引き起こす、工程と、前記第1の膜の上にインプリントレジストの液滴を配置する工程であって、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域内での前記液滴の平均拡がり径は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった少なくとも1つの第2の領域と比べて異なる、工程と、前記第1の膜の上に配置された前記液滴をテンプレートに接触させて更に拡げ、前記基板の前記外面上で前記液滴を第2の膜に併合させる工程と、前記第2の膜を第2の化学線に曝し、前記第2の膜を硬化させて硬化層を形成する工程と、前記硬化層から前記テンプレートを除去する工程であって、前記テンプレートの除去後に、前記硬化層は、少なくとも1つのインプリント領域および少なくとも1つの境界領域を含み、前記基板上の前記少なくとも1つのインプリント領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝された前記少なくとも1つの第1の領域に対応し、前記少なくとも1つの境界領域の位置は、前記第1の膜のうち前記第1の化学線に曝されなかった前記少なくとも1つの第2の領域に対応する、工程と、前記物品を作成するために、前記硬化層を有する前記基板を処理する工程と、を含むことができる。一態様では、本方法ナノインプリントリソグラフィに採用されることができ、液状の前記第2の硬化性組成物はインプリントレジストでありうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
実施形態は例として示されており、添付の図面に限定されない。
【0023】
図1図1は、一実施形態による、硬化層を形成する方法を説明する方式を含む。
図2A図2Aは、一実施形態による、第1の膜を含む基板の側面図を示す。
図2B図2Bは、一実施形態による、第1の化学線に更に曝された図2Aに示す基板の側面図である。
図2C図2Cは、図2Bに示される基板の側面図を示し、一実施形態により配置されたレジスト液滴を更に示す。
図2D図2Dは、図2Cに示される実施形態の上面図を示す。
図3図3は、一実施形態による、前処理された基板上のレジスト液滴の上面図を示す。
図4図4は、一実施形態による、前処理された基板上のレジスト液滴の上面図を示す。
図5図5は、一実施形態による、前処理された基板上のレジスト液滴の上面図を示す。
図6図6Aは、一実施形態による、前処理された基板上に配置された2つのレジスト液滴の上面図を示す。図6Bは、一実施形態による、図6Aに示される2つのレジスト液滴の拡がり後の上面図を示す。図6Cは、一実施形態による、図6Bの拡がったレジスト液滴上に適用されるように設計されたテンプレートの上面図を示す。
図7図7Aは、一実施形態による、前処理された基板上に配置されたレジスト液滴の上面図を示す。図7Bは、一実施形態による、図7Aに示されるレジスト液滴の拡がり後の上面図を示す。図7Cは、一実施形態による、図7Bの拡がったレジスト液滴上に適用されるように設計されたテンプレートのセクションの上面図を示す。
図8図8Aは、一実施形態による、前処理された基板上に配置されたレジスト液滴の上面図を示す。図8Bは、一実施形態による、図8Aに示されるレジスト液滴の拡がり後の上面図を示す。図8Cは、一実施形態による、図8Bの拡がったレジスト液滴上に適用されるように設計されたテンプレートの上面図を示す。
図9図9は、一実施形態による、前処理された基板上に付与された2つのレジスト液滴の上面図を示す。
図10図10は、一実施形態による、液滴配置の位置に依存する液滴径サイズを示すグラフを含む。
【0024】
当業者は、図中の要素が単純性と明瞭性のために説明されており、必ずしも縮尺に描かれていないことを理解する。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を改善するのを助けるために、他の要素に対して誇張されていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明は、本明細書で開示される教示の理解を助けるために提供され、教示の特定の実装および実施形態に焦点を当てるであろう。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供され、教示の範囲または適用可能性に関する限定として解釈されるべきではない。
【0026】
特に定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法および実施例は、例示にすぎず、限定を意図するものではない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料および処理動作に関する多くの詳細は従来のものであり、インプリントおよびリソグラフィ技術内の教科書および他の情報源に見出すことができる。
【0027】
本明細書において用いられる場合、「包含する(comprises)」、「包含している(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」との用語またはそれらの任意の他の活用形は、非限定的な包含をカバーするものとする。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、明示的にリストされていない、またはそのようなプロセス、方法、物品または装置に固有の他の特徴を含むことができる。
【0028】
本明細書において使用される場合、特に明示的に反対に記載されない限り、「または(or)」は、包括的な意味を示しており、排他的な意味を示すものではない。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在する)でありBが偽(または存在しない)であること、Aが偽(または存在しない)でありBが真(または存在する)であること、AおよびBの両方が真(または存在する)であることのいずれか1つによって満たされる。
【0029】
また、本明細書において説明される要素及び構成要素を記述するために、「a」又は「an」の使用が用いられている。これは、単に便宜上、本発明の範囲の一般的な意味を示すために用いられる。本明細書は、1つ又は少なくとも1つを含めるように読まれるべきであり、複数でないことを意図することが明白でない限り、単数形は複数形も含む。
【0030】
本開示は、基板上に硬化層を形成する方法に向けられており、基板の外面は、基板の外面上に硬化性組成物の液滴を配置するときに、基板の外面の少なくとも2つの領域で液滴の拡がりが異なるように改質されている。
【0031】
一実施形態では、図1にも示されるように、当該方法は、以下の工程を含むことができる:11)第1の膜として液状の第1の硬化性組成物を基板の外面上に付与(塗布、適用)する工程; 12)第1の膜の少なくとも1つの領域を第1の化学線に曝し、それによって、照射された膜領域の少なくとも部分的な硬化を引き起こす工程;13)第1の膜の上に液状の第2の硬化性組成物の液滴を配置する工程; 14)第1の膜の上に配置された液滴をテンプレートまたはスーパーストレートに接触させて更に拡げ、当該液滴を第2の膜に併合させる工程;15)化学線を照射し、第2の膜を硬化させる工程; 16)硬化層からテンプレートまたはスーパーストレートを除去する工程。
【0032】
一実施形態では、基板はウェハとすることができる。基板の非限定的な材料は、シリコン、溶融シリカ、石英、シリコンゲルマニウム、ガリウム砒素、リン化インジウム、炭化ケイ素、または窒化ケイ素でありうる。
【0033】
特定の実施形態では、基板は、基板の外面を覆う接着層を含むことができ、第1の膜は、接着層の上に直接適用されることができる。接着層の存在は、1以上の更に付与された硬化ポリマ層の接着を増加させることができる。本明細書で使用される場合、用語「基板」は、特に示されない限り、接着層のない基板、または接着層を含む基板の両方の選択肢を意味することが意図される。
【0034】
基板上に第1の膜として付与される液状の第1の硬化性組成物は、化学線に感受性であり、制御された様式で硬化されうる重合性材料を含むことができ、第1の膜の上に付与される第2の硬化性組成物の液滴の拡がり挙動に影響を及ぼすように、重合度、粘度、および表面張力などの特性が調整されうる。
【0035】
本開示の方法の実施形態が、図2A-2Dに示されている。基板(21)は、外面(22)上に第1の液膜(23)でコーティングされうる(図2A参照)。化学線(24)は、マスク(図示せず)を通して第1の領域(25)で第1の液膜(23)に適用され、当該膜の第2の領域(26)ではブロックされる(図2B参照)。化学線(24)は、第1の領域(25)における第1の膜(23)の部分硬化を引き起こし、それによって、これらの領域における第1の膜の粘度および表面張力特性を変化させることができる。図2Cに示すように、第2の硬化性組成物(例えば、インプリントレジスト)は、第1の膜(23)の第1の領域(25)上および第2の領域(26)上に正確に設置された液滴(28A、28B、および28C)の形態で配置することができ、配置された液滴は、第1の領域(25)内および第2の領域(26)内で異なる液滴の拡がり挙動を有することができる。第1の領域(25)上に配置された液滴28Bは、第2の領域(26)上に配置された液滴28Aよりも小さい液滴径を有することができる。第1の領域(25)および第2の領域(26)をカバーする位置に液滴が配置される場合、そのような液滴(28C)は異方的に拡がり、第1の領域(25)に向かうよりも第2の領域(26)に向かってより多く流れることができる。
【0036】
図2Dは、図2Cに示された基板の上面図である。第1の領域(25)に配置された液滴(28B)は、第2の領域(26)内に配置された液滴(28A)よりも小さい拡がり径を有することが分かる。さらに、第1の領域(25)と第2の領域(26)との間の境界線において、液滴は、第1または第2の領域内のように等方的に拡がらず、異方的な拡がり挙動を有し、第1の領域(25)に向かうよりも第2の領域(26)の方向により拡がることが分かる。
【0037】
第2の硬化性組成物の液滴の拡がりは、第2の硬化性組成物の液滴が配置されるときに第1の膜が依然として液状段階にありうるので、第1の膜との液滴の相互混合を含むことができる。一態様では、第1の膜と第2の硬化性組成物の配置された液滴との混合能力が第1の膜の化学線によって影響され得、混合能力は、化学線に曝された第1の膜の第1の領域において、化学線に曝されなった第1の膜の第2の領域よりも低くなりうる。特定の態様では、第1の膜の領域が完全に硬化され、化学線によって高粘度または固体段階に変換される場合、そのような領域に配置された液滴との混合が非常に限定されるか、または全く起こらないことがある。
【0038】
第1の膜として基板上に付与される液状の第1の硬化性組成物は、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合性ポリマ、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。さらに、液状の第1の硬化性組成物は、任意の添加剤、例えば、光開始剤、界面活性剤、および/または溶媒を含むことができる。特定の非限定的な態様では、液状の第1の硬化性組成物がアクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマーを含むことができる。第1の硬化性組成物の他の非限定的な例は、例えば、米国特許出願公開第2018/0272634号に記載されており、これは、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0039】
第1の膜(23)は、任意の適切な方法で基板上に付与されうる。特定の実施形態では、第1の膜(23)は、スピンコーティングによって付与されうる。
【0040】
特定の実施形態では、液状の第1の硬化性組成物は、基板上で薄く均一な膜の形成を容易にするために、低い粘度を有することができる。低い粘度はまた、第1の液膜上に第2の硬化性組成物の液滴の拡がりを促進させ、第1の硬化性組成物と混合させるのに有利となる。一態様では、第1の硬化性組成物の粘度は、100mPa・s以下、または50mPa・s以下、または30mPa・s以下、または20mPa・s以下、または15mPa・s以下、または12mPa・s以下、または10mPa・s以下など、200mPa・s以下とすることができる。別の態様では、第1の硬化性組成物の粘度は、少なくとも1mPa・s、または少なくとも3mPa・s、または少なくとも5mPa・sとすることができる。
【0041】
特定の態様では、第1の膜の厚さは、少なくとも1nm、または少なくとも3nm、または少なくとも5nm、または少なくとも10nmとすることができる。別の特定の態様では、第1の膜の厚さは、100nm以下、または50nm以下、または30nm以下、または20nm以下、または10nm以下としてもよい。
【0042】
第1の化学線24は、250nm~760nmの間の波長を有する光とすることができる。好ましい態様では、化学線は、300nm~450nmの間の波長を有してもよい。他の態様において、化学線は、近赤外線(760nm~2500nm)および中赤外線(2500nm~8000nm)とすることができる。第1の化学線(24)の光強度および照射量は、第1の硬化性組成物によって形成された第1の液膜が部分的にだけ硬化され、照射領域(25)内で特定の所望の材料および表面特性を得ることができるように調整されうる。
【0043】
特定の態様では、化学線は、パターンを有するマスクを通して第1の膜(23)の上に適用することができる。一態様では、マスクのパターンは、第2の液膜を形成するときに後に適用されるテンプレートのパターンに対応させることができる。
【0044】
第1の硬化性組成物の表面張力は、第2の硬化性組成物の表面張力を超えることができる。本明細書で使用される場合、表面張力は、硬化性組成物と空気との間の界面表面エネルギーとして定義される。特定の実施形態では、第1の硬化性組成物の表面張力は、25mN/m~60mN/mの範囲とすることができ、第2の硬化性組成物の表面張力は、20mN/m~50mN/mの間にすることができる。液状の第1の硬化性組成物の表面張力と第2の硬化性組成物の表面張力との間の差は、少なくとも0.5mN/m、または少なくとも1mN/m、または少なくとも5mN/m、または少なくとも7mN/m、または少なくとも10mN/mとすることができる。
【0045】
第1の液膜の特定の領域が第1の化学線に曝される場合、当該液膜は、部分的に硬化し、それによって、照射領域における表面張力を増加させることができる。一実施形態では、第1の化学線に曝された第1の膜の少なくとも1つの第1の領域は、表面張力SE1を有することができ、第1の化学線に曝されなかった第1の膜の少なくとも1つの第2の領域は、表面張力SE2を有することができ、表面張力比SE1:SE2は少なくとも1.1、または少なくとも1.2、または少なくとも1.3、少なくとも1.5、少なくとも1.8、または少なくとも2とすることができる。
【0046】
上記のように、第1の膜(23)の第1の領域(25)の第1の化学線の照射中に、粘度の増加に対応しうる第1の硬化性組成物の少なくとも部分的な硬化が起こりうる。一態様では、粘度比SV1:SV2は、少なくとも1.2、または少なくとも1.5、または少なくとも2、例えば少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、または少なくとも50とすることができ、SV1は第1の化学線の照射後の第1の領域における第1の膜の粘度であり、SV2は第1の化学線の照射に曝されなかった領域における第1の膜の粘度である。
【0047】
第1の膜の上に第2の硬化性組成物の液滴を配置する場合(図1の方法ステップ14を参照)、第1の膜の上に配置された液滴の位置に応じて、液滴は異なる方法で拡がることができる。
【0048】
典型的には、基板の表面、例えば、ナノインプリントリソグラフィにおけるPrepSpin材料の上に付与された液膜(第1の硬化性組成物)は、付与されたインプリントレジスト液滴の拡がりを増大させることができる。表面の特定の領域における第1の硬化性液膜の表面特性、粘度、および混合能力を変化させることによって、液滴の拡がりを再び減少させることができ、前処理膜を含まない基板表面上での液滴の拡がりに戻るように、またはそれよりもさらに低く変化させることさえできる。本明細書中で使用される場合、用語「第1の膜」および「前処理膜」は、別段に示されない限り、交換可能に使用される。
【0049】
理論に束縛されるものではないが、化学線照射および部分硬化に曝された第1の膜の領域における液滴の拡がりの減少は、そのような領域における膜の粘度の増加、および、それによる、第1の膜と液状の第2の硬化性組成物の液滴との表面張力および相互作用、例えば部分的な混合の変化によって説明することができる。
【0050】
特定の態様では、第2の硬化性組成物は、インプリントレジストとすることができる。第2の硬化性組成物は、重合性モノマー、オリゴマーまたはポリマを含むことができる。第2の硬化性組成物の非限定的な例は、例えば、米国特許出願公開第2018/0272634号に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
第2の硬化性組成物の粘度は、50mPa・s以下、30mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、または10mPa・s以下とすることができる。別の態様では、第2の硬化性組成物の粘度は、少なくとも1mPa・s、または少なくとも3mPa・s、または少なくとも5mPa・sとすることができる。
【0052】
第1の膜の上に第2の硬化性組成物の液滴を配置するための液滴体積は、形成されうる硬化膜の所望の厚さおよびパターン密度に依存する。一態様では、液滴体積は、少なくとも0.1pL、または少なくとも0.3pL、または少なくとも0.5、または少なくとも0.9pL、または少なくとも1pLとすることができる。別の態様では、液滴体積は、30pL以下、または20pL以下、または10pL以下であってもよい。
【0053】
一実施形態では、第1の膜23のうち第1の化学線に曝された少なくとも1つの領域25の上に配置された液滴の平均液滴拡がり径はSD1とすることができ、第1の化学線に曝されなかった少なくとも1つの第2の領域28において第1の膜23の上に配置された液滴の平均液滴拡がり径はSD2とすることができ、液滴拡がり径の比SD2:SD1は、少なくとも1.1、または少なくとも1.2、または少なくとも1.5、少なくとも2、または少なくとも3、または少なくとも5、または少なくとも10とすることができる。本明細書で使用される場合、液滴拡がり径は、テストされた基板の基板表面上に配置された液滴の直径であり、液滴径は、基板の表面に接触後、規定された時間に光学顕微鏡で測定される。特定の態様では、液滴径は、0.9pLの液滴サイズを有することができ、液滴径を測定するために第1の層の表面上に液滴を配置した後、500ms後に光学顕微鏡像が撮られる。
【0054】
図3は、液滴の拡がりを促進させる硬化性組成物のスピンコート膜(本明細書では第1の膜とも呼ばれる)で前処理された基板表面(30)上でのインプリントレジスト液滴の拡がりを示す。基板表面の左側の矩形領域(31)は、UV照射に曝された領域を示し、この領域(31)において前処理膜(第1の膜)の部分硬化を引き起こし、それにより、重合度、粘度、および表面張力などのその特性を変化させる。レジスト液滴の形状(実線33参照)は、基板上の位置(32)に正確に配置され、規定の時間にわたって拡がった後の液滴の形状に対応する。レジスト液滴は、基板のUV照射領域(31)をカバーする領域(34)と、基板表面の非照射領域30をカバーする領域(35)とに分割される。破線(36)は、領域31のUV処理が行われなかった場合における液滴の形状を示す。
【0055】
UV光に曝されなかった領域(30)では、液滴がより大きな基板領域にわたって対称的に拡がり、一方、UV照射に曝された領域(31)では、液滴が非常に小さい領域をカバーしていることが分かる。したがって、液滴の全体的な形状は非対称であり、この液滴の拡がりは異方性として説明することができる。
【0056】
図4は、液滴の拡がりを促進させる硬化性組成物のスピンコート膜(本明細書では第1の膜とも呼ばれる)で前処理された基板表面(40)上でのインプリントレジスト液滴の拡がりの別の実施形態を示す。図4は、UV照射および部分硬化(41)に曝された領域が2つの垂直ストライプの形状を有することを除いて、図3と同様である。レジスト液滴の形状(実線43参照)は、基板上の位置(42)に正確に配置され、規定の時間にわたって拡がった後の液滴の形状に対応する。レジスト液滴は、基板のUV照射領域(41)をカバーする領域(44)と、基板表面の非照射領域(40)をカバーする領域(45)とに分割される。破線(46)は、領域(41)のUV処理が行われなかった場合における液滴の形状を示す。
【0057】
レジスト液滴の全体形状も異方性であることが分かる。UV照射に曝されなかった領域(45)では、液滴の拡がりは速く且つ対称であるが、UV照射領域(44)における液滴によってカバーされる表面領域は非常に小さく、さらに少なくなる。最終結果は、UV光に曝されたストライプ(41)に垂直な方向に液滴があまり拡がらず、より垂直に拡がる傾向を有することである。
【0058】
図5は、液滴の拡がりを促進させる硬化性組成物のスピンコート膜(本明細書では第1の膜とも呼ばれる)で前処理された基板表面(50)上でのインプリントレジスト液滴の拡がりの別の実施形態を示す。図5は、UV照射および部分硬化(51)に曝された領域が6つの垂直ストライプの形状を有することを除いて、図4と同様である。レジスト液滴の形状(実線53参照)は、基板上の位置(52)に正確に配置され、規定の時間にわたって拡がった後の液滴の形状に対応する。レジスト液滴は、基板のUV照射領域(51)をカバーする領域(54)と、基板表面の非照射領域(50)をカバーする領域(55)とに分割される。破線(56)は、領域(51)のUV処理が行われなかった場合における液滴の形状を示している。
【0059】
レジスト液滴の全体形状が異方性であることが分かる。UV照射に曝されなかった領域では、液滴の拡がりはより速くなるが、UV照射領域において液滴によりカバーされる表面領域はより小さくなる。しかしながら、UV照射されなかった領域に液滴が達するとすぐに、液滴の拡がりがより速い速度に再び変化した。最終結果は、UV光露光ストリップ(51)に垂直な方向では液滴はより少なく拡がり、左右への拡がりを著しく減少させ、レジスト液滴を垂直y方向により拡げさせることである。
【0060】
図6Aは、レジスト液滴の拡がりを促進させる硬化性組成物の第1の膜で前処理された基板表面を示す。前処理された基板表面は、複数の等間隔に配置された垂直ストライプ(61)のパターンを用いるUV照射に曝された。交互のUV照射ストライプ(61)およびUV非照射ストライプ(60)の適用パターンにより、図6Bを参照するに、基板表面上の位置(62)に配置されたインプリントレジスト液滴は、大部分が垂直(y方向)に拡がり、レジスト領域(63)を形成する。図6Cに示すように、水平ストライプ(64)(x方向)のパターンを有するインプリントテンプレートが適用される場合、拡がったインプリントレジスト(63)の形状は有利であり、テンプレートパターンの高速充填を可能にする。この場合、レジストの流れは、垂直方向に必要とされず、それによってマスクの高速充填が可能となる。
【0061】
図7Aは、レジスト液滴の拡がりを促進させる硬化性組成物の第1の膜で前処理された基板表面70を示す。前処理された基板表面は、発散線71を有する渦のパターンを用いるUV照射に曝された。ラインパターンにより、基板表面上の位置72に配置されたインプリントレジスト液滴は、渦中心(75)に部分的に引き込まれるレジスト領域(73)を形成することができる(図7B参照)。これは、テンプレートマスクが基板に接触するように計画されてレジストで充填される位置であるフィーチャ74(図7C参照)の領域に、レジスト液滴をもたらすことができる。
【0062】
図8A、8B、および8Cは、レジスト液滴の拡がりを促進させる硬化性組成物の第1の膜で前処理された基板表面を示す。前処理された基板表面(80)は、複数の水平ストライプ(87)を有する上部に組み合わせられた複数の垂直ストライプ(85)のパターンを有するUV照射に曝された。位置82に配置されたインプリントレジスト液滴は、基板表面(図8B参照)上に形状(83)を形成するように垂直ストライプ(85)に沿って大部分が下方に拡げられ、パターン化テンプレート(88)が適用される領域をカバーしてレジスト(図8C参照)で充填されることができる。これは、配置された液滴の非理想的な位置(82)を補償することを可能にする。
【0063】
図9は、レジスト液滴の拡がりを促進させる硬化性組成物の第1の膜で前処理された基板表面を示す。前処理された基板表面は、領域(92)においてのみUV照射に曝され、線(93)は領域(92)の内部境界を示し、線(97)は領域(92)の外部境界を示す。領域(92)は、実枠線(91)で示されるインプリントフィールドの境界領域と重なる。インプリントフィールドの中心に位置する前処理された表面領域(94)は、UV照射に曝されなかった。領域(94)内の位置(95)に置かれたインプリントレジスト液滴は対称的に拡がり、拡がった液滴の丸い形状をもたらす。対照的に、領域(92)の内部境界の近くに配置されたインプリントレジスト液滴(96)は、UV露光領域(92)における拡がり速度が照射および部分効果に曝されなかった領域(94)よりも遅いため、異方性に拡がる。このようなセットアップは、境界領域の外へのレジスト漏れの防止を助けることができる。
【0064】
本開示は、物品を形成する方法に更に向けられる。この方法は、上記のように、基板上に硬化層を形成することを含みうる。基板および硬化層は、例えば、固化層および/または固化層の下にあるパターン化層の一方または両方におけるパターンに対応する画像を基板に転写するためのエッチング処理を含むことによって、所望の物品を形成するための追加の処理に供されてもよい。基板は、例えば、硬化、酸化、層形成、堆積、ドーピング、平坦化、エッチング、成形可能材料の除去、ダイシング、ボンディング、およびパッケージングなどを含む、デバイス(物品)製造のための公知のステップおよびプロセスをさらに受けることができる。ある態様では、基板は、複数の物品を製造するために処理されてもよい。
【0065】
また、硬化層は、さらに、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、またはD-RDRAM等の半導体装置の層間絶縁膜として、または半導体製造工程で用いられるレジスト膜として用いられてもよい。
【0066】
実施例においてさらに実証されるように、驚くべきことに、第1の硬化性液膜の規定された領域を化学線および部分硬化に供することによって、第1の液膜の表面上に付与された第2の硬化性組成物の液滴の拡がりを所望の方法で改善することができることが発見された。
【0067】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本明細書に記載される概念を例示する。
【0068】
実施例1
【0069】
シリコン基板は、光開始剤としてのエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート(TPO-L)を有する25重量%トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと75重量%テトラエチレングリコールジアクリレートとの混合物の約4nm厚の第1の膜層でコーティングされた。
【0070】
この第1の膜は、特定の領域において、不活性ガス環境下で約100msの間、約13000W/m(310nmで計測)の平均強度のHgXeランプからのUV光で露光された。
【0071】
続いて、インプリントレジストの約1pLの液滴が、第1の膜のUV露光領域および非露光領域の両方にわたって、第1のフィルムの上に配置された。非露光領域に付着した液滴は、急速に大きな直径の拡がりを示した。対照的に、UV露光領域上に配置された液滴は、著しく少なく拡がる。
【0072】
インプリントレジストは、約45重量%の単官能性アクリレート(イソボルニルアクリレートおよびベンジルアクリレート)、約48重量%の二官能性アクリレート(ネオペンチルグリコールジアクリレート)、約5重量%の光開始剤(ダロクール(Darocur)TPOおよびダロクール(Darocur)4265)、および約3重量%の界面活性剤を含む重合性組成物であった。レジスト液滴のサイズは、第1の膜上への配置後、約500msの時間で光学顕微鏡で測定された。液滴画像の分析は、UV非露光領域(SD2)において拡がった液滴の平均直径が約213μmであり、一方、UV露光領域(SD1)における液滴の平均直径サイズが約109μmであることを示した。これは、1.88の液滴拡がり直径の比SD2:SD1に相当する。
【0073】
UV露光領域が終了し、UV照射に曝されなかった領域が開始した遷移領域では、液滴サイズは、大きな液滴サイズから小さな液滴サイズへの約±100μmの距離にわたって連続的に減少し、この領域において非対称的な液滴の拡がりを示した。液滴配置の位置から依存する液滴径の変化を示すグラフが、図10に見られる。x軸は基板の長さ方向を示し、UV照射は0~1500μmの左側で行われ、1500μm~3000μmの領域はUV照射に曝されなかった。遷移領域は1450μmと1550μmとの間に見ることができ、液滴サイズは左から右の方向に連続的に減少していた(照射領域における213μmの平均液滴拡がりサイズから、非照射領域における109μmの平均液滴サイズまで)。
【0074】
本明細書に記載される実施形態の明細書および図面は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。本明細書および図面は、本明細書に記載された構造または方法を使用する装置およびシステムの要素および特徴のすべての網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図していない。別個の実施形態もまた、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴も、別個に、または任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲に記載された値への参照は、その範囲内における各々のおよび全ての値を含む。多くの他の実施形態は、本明細書を読んだ後にのみ、当業者に明らかになるであろう。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、本開示から導出することができる。したがって、本開示は、限定的ではなく、例示的であると見なされるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10