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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】伸縮性配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240920BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20240920BHJP
   A61N 1/18 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/02 A
H05K1/16 B
A61N1/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020213586
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099665
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-08-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)「電波有効利用促進型研究開発/先進的電波有効利用型/フェーズII/研究課題名:柔軟伸縮素材を伝送媒体とする接触・非接触併用型二次元通信の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 雅之
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-136673(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047519(WO,A1)
【文献】特開2019-50333(JP,A)
【文献】特開2018-164015(JP,A)
【文献】特開2005-64266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の少なくとも一方の主面に形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターンと、
前記伸縮性基材よりも剛性が高い補強基材と、
を備え、
前記補強基材は、平面視において前記伸縮性基材における前記伸縮性導体パターンの形成領域の全体の周囲240度以上の範囲に亘って取り囲むように、前記伸縮性基材に対して直接又は間接に積層されて、前記伸縮性基材を補強している伸縮性配線基板。
【請求項2】
伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の少なくとも一方の主面に形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターンと、
前記伸縮性基材よりも剛性が高い補強基材と、
を備え、
前記補強基材は、平面視において前記伸縮性基材における前記伸縮性導体パターンの形成領域の少なくとも一部分を取り囲むように、前記伸縮性基材に対して直接又は間接に積層されて、前記伸縮性基材を補強しており、
前記補強基材の一方の主面上に形成されている引出配線を備え、
前記引出配線の一端部と前記伸縮性導体パターンとが相互に接続されており、
前記引出配線の他端部には外部接続端子が設けられている伸縮性配線基板。
【請求項3】
絶縁性及び伸縮性を有し、前記補強基材と前記伸縮性基材との間に介装されている伸縮性カバー層を備え、
前記伸縮性カバー層に形成されている開口孔を介して、前記引出配線の一端部と前記伸縮性導体パターンとが相互に接続されている請求項2に記載の伸縮性配線基板。
【請求項4】
前記外部接続端子は、前記補強基材及び前記引出配線の一方の面側に配置されている第1部材と、前記補強基材及び前記引出配線の他方の面側から前記補強基材を介して前記第1部材に対して嵌入している第2部材と、を有する請求項2又は3に記載の伸縮性配線基板。
【請求項5】
前記補強基材は、
前記伸縮性導体パターンの形成領域を取り囲む包囲部と、
前記引出配線が形成されている引出配線形成部と、
を有し、
前記包囲部は、前記伸縮性導体パターンの形成領域の前記少なくとも一部分を取り囲む周回方向に長尺な帯状に形成されており、当該包囲部の幅寸法は2mm以下である請求項2から4のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項6】
前記伸縮性導体パターンの前記少なくとも一部分は螺線渦巻状に形成されているコイル配線である請求項1から5のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項7】
前記伸縮性導体パターンはアンテナとして機能するアンテナパターンである請求項1から6のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項8】
平面視において前記伸縮性導体パターンの形成領域の前記少なくとも一部分を覆う配置で、前記伸縮性基材に対して間接又は直接に積層されている磁気シールド層を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項9】
前記補強基材における前記伸縮性基材側とは反対側の面に対して直接又は間接に積層されている粘着層を備える請求項1から8のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項10】
前記補強基材における前記伸縮性基材側とは反対側の面に対して直接又は間接に積層されている粘着層を備え、
前記粘着層と前記補強基材との間に前記磁気シールド層が介装されている請求項8に記載の伸縮性配線基板。
【請求項11】
前記補強基材は、前記伸縮性導体パターンの形成領域の周囲を240度以上の範囲に亘って取り囲んでいる請求項1から10のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
【請求項12】
前記補強基材は、前記伸縮性導体パターンの形成領域の周囲を全周に亘って取り囲んでいる請求項11に記載の伸縮性配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性配線基板としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1の伸縮性配線基板は、伸縮性基材と、伸縮性基材の少なくとも一方の主面に形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターンと、伸縮性基材も面内剛性が高い補強基材と、補強領域と、補強領域よりも面内剛性が低く伸縮性を有する伸縮領域と、を備えており、補強領域は補強基材が設けられている領域であり、伸縮領域は補強基材が設けられていない領域である。
特許文献1の伸縮性配線基板は、人体、ロボットや各種デバイス、装置類、ウェアラブル用品等の貼付対象物に貼付されて用いられ、各貼付対象物の動きや表面の凹凸に追従して変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017―69530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の伸縮性配線基板は、伸縮性配線基板を貼付する際のハンドリング性について、なお改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の少なくとも一方の主面に形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターンと、
前記伸縮性基材よりも面内剛性が高い補強基材と、
を備え、
前記補強基材は、平面視において前記伸縮性基材における前記伸縮性導体パターンの形成領域の全体の周囲240度以上の範囲に亘って取り囲むように、前記伸縮性基材に対して直接又は間接に積層されて、前記伸縮性基材を補強している伸縮性配線基板が提供される。
また、本発明によれば、伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の少なくとも一方の主面に形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターンと、
前記伸縮性基材よりも剛性が高い補強基材と、
を備え、
前記補強基材は、平面視において前記伸縮性基材における前記伸縮性導体パターンの形成領域の少なくとも一部分を取り囲むように、前記伸縮性基材に対して直接又は間接に積層されて、前記伸縮性基材を補強しており、
前記補強基材の一方の主面上に形成されている引出配線を備え、
前記引出配線の一端部と前記伸縮性導体パターンとが相互に接続されており、
前記引出配線の他端部には外部接続端子が設けられている伸縮性配線基板が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、伸縮性配線基板を貼付する際のハンドリング性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図である。
図2】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な分解端面図である。
図3】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な端面図である。
図4】第1実施形態における補強基材を示す模式的な平面図である。
図5】第1実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な平面図であり、一方向に伸長した状態を示している。
図6】第1実施形態に係る伸縮性配線基板の使用方法の一例を説明するための模式的な端面図である。
図7】第2実施形態に係る伸縮性配線基板を示す模式的な端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図6を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、図2及び図3においては、図1のX-X線に沿った伸縮性配線基板100の切断端面を示している。
【0009】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る伸縮性配線基板100は、伸縮性基材10と、伸縮性基材10の少なくとも一方の主面10aに形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターン20と、伸縮性基材10よりも剛性が高い補強基材30と、を備えている。
補強基材30は、平面視において伸縮性基材10における伸縮性導体パターン20の形成領域の少なくとも一部分を取り囲むように、伸縮性基材10に対して間接に積層されて、伸縮性基材10を補強している。
ここで、補強基材30の剛性は、ヤング率(E)と断面二次モーメント(I)との積(E・I)である。そして、「剛性が高い」とは、面方向に対して交差する方向への曲げ荷重に対して変形しにくい、すなわち曲げ剛性が高いこと、もしくは面内方向の引張り応力に対して変形しにくいことの少なくともいずれか一方を意味しており、この両方で意味していることが好ましい。
また、補強基材30の「補強」とは、伸縮性基材10全体の剛性を部分的に補強し、コシを与えることを意味し、伸縮性配線基板100において伸縮性基材10と対応する部材の剛性を部分的に補強する意味も含まれる。
また、「伸縮性導体パターン20の形成領域の少なくとも一部分」とは、当該形成領域の全体でもよいし、その一部分でもよい。伸縮性導体パターン20の形成領域の少なくとも一部分が補強基材30によって取り囲まれている場合、伸縮性導体パターン20は、補強基材30と重なり合っている部分を含んでいてもよいし、補強基材30よりも外側にはみ出している部分を含んでいてもよいし、もしくはこれら両方を含んでいてもよい。
更に、「取り囲む」とは、補強基材30が、伸縮性導体パターン20の形成領域の周囲を少なくとも180度以上の範囲に亘って取り囲んでいることを意味している。
【0010】
伸縮性配線基板100は、対象物の対象面に貼付して用いられる。本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、人の生体における所望の部位の肌面300(図6参照)に対して貼付して用いられる。該肌面300は、凹凸を有する曲面であるとともに、筋肉の伸縮や関節の屈曲等に伴って変形(伸縮等)する。
ここで、伸縮性基材10は、肌面300に対するフィット性を実現する観点から、2つの主面(本実施形態の場合、一方の主面10a及び他方の主面10b)を有する薄膜のシート材である。伸縮性配線基板100が肌面300に対して貼付されている状態において、伸縮性基材10は、肌面300の凹凸、変形に追従して伸縮及び湾曲する。また、伸縮性を有する伸縮性導体パターン20も、伸縮性基材10の伸縮及び湾曲に伴って変形する。
なお、伸縮性配線基板100は、肌面300に貼付して用いられることに限定されず、例えば、生体の爪、衣服、ロボットや各種デバイス、装置類及びウェアラブル用品等に貼付して用いられてもよい。
【0011】
本実施形態によれば、補強基材30は、平面視において伸縮性基材10における伸縮性導体パターン20の形成領域の少なくとも一部分を取り囲むように、伸縮性基材10を補強している。
これにより、伸縮性基材10の十分な保形性を確保できるので、伸縮性配線基板100を肌面300に貼付する前の段階においては、少なくとも伸縮性基材10における伸縮性導体パターン20の形成領域において、伸縮性基材10の主面がその面方向に展開された状態を十分に維持できる。よって、伸縮性基材10のシワや撚れの発生を抑制しつつ、伸縮性基材10の主面が肌面300に沿うように伸縮性配線基板100を当該肌面300上に配置することが容易となるので、例えば、意図せず伸縮性配線基板100が使用者の手の平や指に貼り付いてしまうことや、伸縮性配線基板100の一部分同士が貼り付いてしまうことを抑制できる。
このように、本実施形態によれば、伸縮性配線基板100を貼付する際のハンドリング性を向上させることができる。
【0012】
本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、一例として、NFC(Near Field Communication)タグであり、不図示の外部機器とのNFC通信に用いられる。ただし、伸縮性配線基板100は、例えば、RFID(radio frequency identifier)タグであり、RFID通信に用いられてもよい。
また、図6に示すように、伸縮性配線基板100は、例えば、センサ200と接続して用いられる。センサ200は、例えば、心電図や心拍数、血圧、体温などの生体情報を検知する脳波や筋電位、心電等の微弱な生体信号を検出する生体センサや、生体の動き(加速度)を多軸に亘り検出する加速度センサやジャイロセンサなどである。なお、図1においては、センサ200を二点鎖線で示している。また、図6においては、センサ200の形状を模式的に示している。
なお、本発明において、伸縮性配線基板100は、例えば、電源、制御基板及びモニターなどのセンサ200以外の装置と接続して用いられてもよい。
【0013】
以下では、伸縮性配線基板100の各構成要素同士の位置関係などを説明するに際し、図3における上側を、上側又は上方などと称し、その反対側を下側又は下方などと称する。しかし、これらの方向の規定は便宜的なものであり、伸縮性配線基板100の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0014】
図1から図3のいずれかに示すように、伸縮性配線基板100は、平板状ないしはシート状に形成されている積層体である。より詳細には、伸縮性配線基板100は、例えば、伸縮性基材10、伸縮性導体パターン20及び補強基材30の他に、伸縮性カバー層50と、粘着層61と、第1剥離フィルム71及び第2剥離フィルム76と、を更に備えている。
本実施形態の場合、第1剥離フィルム71上に粘着層61が直に積層されており、粘着層61上に補強基材30が直に積層されている。また、補強基材30上に伸縮性カバー層50が直に積層されており、伸縮性カバー層50上に伸縮性基材10が直に積層されており、伸縮性基材10上に第2剥離フィルム76が直に積層されている。
伸縮性基材10と、補強基材30と、第2剥離フィルム76と、は互いに同一の外形形状となっている。同様に、伸縮性カバー層50と、粘着層61と、第1剥離フィルム71と、は互いに同一の外形形状となっている。ただし、図1に示すように、伸縮性カバー層50と、粘着層61と、第1剥離フィルム71の各々の外形形状は、伸縮性基材10、補強基材30及び第2剥離フィルム76の各々の外形形状から一部分が欠如した形状となっている。したがって、図3に示すように、伸縮性配線基板100は、第2剥離フィルム76、伸縮性基材10、伸縮性カバー層50、補強基材30、粘着層61及び第1剥離フィルム71の6つの層が積層された6層構造領域と、第2剥離フィルム76、伸縮性基材10及び補強基材30の3つの層が積層された3層構造領域(伸縮性カバー層50、粘着層61及び第1剥離フィルム71が積層されていない領域)と、を含む。なお、図3及び図6では、図面描写上、後述する包囲部31の内側領域において、伸縮性カバー層50と粘着層61との間に間隙Xが存在しているが、実際には、当該部位において、伸縮性カバー層50と粘着層61とが積層及び密着状態となり消滅する。同様に、図3及び図6では、図面描写上、後述する開口部19の周縁部において、伸縮性基材10と補強基材30及び/又は引出配線40との間に間隙Yが存在しているが、実際には、当該部位において、伸縮性基材10と補強基材30及び/又は引出配線40とが積層及び密着状態となり消滅する。
【0015】
図5に示すように、伸縮性基材10は、面内方向の少なくとも一方向に伸縮が可能な薄膜のシート材である。好ましくは、伸縮性基材10は、面内方向の二方向に伸縮が可能である。伸縮性基材10の面内方向の伸縮性は等方性でもよく、または面内の複数方向への伸縮性が互いに異なる異方性でもよい。なお、ここでいう伸縮性とは、伸縮性基材10に張力が作用して伸び、また、伸縮性基材10が圧縮力に応じて収縮する性質をいい、伸縮性基材10は収縮するよりも伸びることによる寸法形状の変化が大きい。
【0016】
伸縮性基材10を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ニトリルゴム、ラテックスゴム、ウレタン系エラストマー等のエラストマー材料等を挙げることができる。特に、医療用に用いられるウレタン系エラストマーシートを用いることで、人体の肌面300に貼り付けた場合でも高い安全性を得ることができる。
【0017】
伸縮性基材10の厚み寸法は、特に限定されないが、肌面300の伸縮の動きを阻害しないという観点からは、例えば、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下である。
このようにすることによって、伸縮性配線基板100の装着感が向上するとともに、使用済みの伸縮性配線基板100を肌面300から剥離した際に、当該肌面300に伸縮性配線基板100の貼付痕が一時的に残留してしまうことを抑制できる。更には、上述のように、伸縮性基材10は補強基材30によって補強されているので、伸縮性基材10の厚み寸法を5μm以下に設定したとしても、伸縮性配線基板100が肌面300に貼付される前の段階においては、伸縮性基材10の主面がその面方向に展開された状態を良好に維持することができる。
【0018】
伸縮性基材10は、最大伸び率が、10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、200%以上であることが特に好ましい。上述のように構成されている伸縮性基材10であれば、例えば、最大伸び率300%以上を発揮することが可能である。ここで伸縮性基材10の最大伸び率とは、面内方向の一方向に弾性変形可能な伸び率の最大値のことをいう。
なお、本実施形態において、伸び率とは、外力が付加されていない場合の寸法(伸び率0%寸法)に対し、力が加えられることで面内方向の一方向に伸びた割合を意味する。たとえば伸び率50%であれば伸び率0%寸法の1.5倍の伸び率であり、伸び率100%であれば伸び率0%寸法の2倍の伸び率である。
【0019】
図1に示すように、伸縮性基材10は、例えば、平面視円形状に形成されている円状部15と、平面視略矩形状に形成されている矩形部17と、を含む。
円状部15が平面視円形状に形成されているので、少なくとも円状部15において、略等方向性の伸縮性を実現できる。
矩形部17は、例えば、円状部15の周縁部の一部分から、当該円状部15の径方向外方に向けて局所的に張り出している。矩形部17は、例えば、当該矩形部17の張り出し方向に対して直交する方向に長尺となっている。矩形部17の長手方向における寸法は、円状部15の外径よりも小さい寸法に設定されている。
円状部15には、例えば、伸縮性導体パターン20が形成されており、伸縮性導体パターン20は、円状部15の伸縮に追従して変形可能となっている。
【0020】
本実施形態の場合、伸縮性導体パターン20の少なくとも一部分は、例えば、螺線渦巻状に形成されているコイル配線である。
更に、伸縮性導体パターン20は、例えば、アンテナとして機能するアンテナパターンである。
すなわち、本実施形態の場合、伸縮性導体パターン20は、コイル配線であるとともに、アンテナパターンでもある。ただし、伸縮性導体パターン20は、例えば、コイル配線又はアンテナパターンのいずれか一方であってもよく、伸縮性配線基板100の用途に応じて適宜設定することができる。
伸縮性配線基板100は、例えば、外部機器(不図示)から伸縮性導体パターン20(コイル配線)を介して励起された電力を、センサ200に送電する。
また、伸縮性導体パターン20(アンテナパターン)は、例えば、外部機器との間で信号の送受信を行う。より詳細には、伸縮性導体パターン20は、センサ200から入力された信号を外部機器に送信する。また、伸縮性導体パターン20は、外部機器から受信した信号あるいは電波をセンサ200に入力する。
【0021】
伸縮性導体パターン20の少なくとも一部分は、長尺な帯状に形成されており、平面視螺旋渦巻状に巻回されている。より詳細には、本実施形態の場合、伸縮性導体パターン20の全体は、例えば、長尺な帯状に形成されており、平面視螺旋渦巻状に巻回されている。伸縮性導体パターン20の一端部21及び他端部22は、それぞれその他の部分よりも相対的に広幅となっているとともに、平面視円形状に形成されている。また、一端部21と他端部22とは、伸縮性導体パターン20の径方向において互いに並んで配置されている。
また、平面視において、伸縮性導体パターン20の中心(螺旋渦巻の中心)は、伸縮性基材10の円状部15の中心と略一致している。
なお、伸縮性導体パターン20の平面形状や位置関係は、上述の例に限定されず、伸縮性配線基板100の寸法や用途に応じて適宜設定することができる。
【0022】
ここで、図2及び図3に示すように、伸縮性配線基板100は、例えば、補強基材30の一方の主面30a上に形成されている引出配線40を更に備えており、引出配線40の一端部41は、伸縮性導体パターン20に対して電気的及び機械的に接続されている。
図1に示すように、引出配線40は、例えば、伸縮性導体パターン20の一端部21と接続されている第1引出配線46と、伸縮性導体パターン20の他端部22と接続されている第2引出配線47と、を含む。
第1引出配線46及び第2引出配線47の各々は、相対的に広幅の一端部41及び他端部42と、相対的に狭幅の中間部43と、を含む。中間部43は、一端部41と他端部42とに亘って延在している。
一端部41及び他端部42の各々は、平面視円形状に形成されており、一端部41の外径は、他端部42の外径よりも小さい。
第1引出配線46の一端部41と第2引出配線47の一端部41とは、互いに同等の外径に設定されており、第1引出配線46の他端部42と第2引出配線47の他端部42とは、互いに同等の外径に設定されている。一方、第1引出配線46の中間部43の方が、第2引出配線47の中間部43よりも長尺に形成されている。
また、第1引出配線46の一端部41及び第2引出配線47の一端部41は、伸縮性導体パターン20の径方向において並んで配置されて、第1引出配線46の他端部42及び第2引出配線47の他端部42は、一端部41の並び方向に対して直交する方向において並んで配置されている。
なお、引出配線40(第1引出配線46及び第2引出配線47)の平面形状や位置関係は、上述の例に限定されず、伸縮性配線基板100の寸法や用途に応じて適宜設定することができる。
【0023】
図2及び図3に示すように、伸縮性導体パターン20と引出配線40との間には、伸縮性カバー層50が介在している。
より詳細には、伸縮性カバー層50は、例えば、絶縁性及び伸縮性を有し、補強基材30と伸縮性基材10との間に介装されている。
伸縮性カバー層50の上面は、伸縮性導体パターン20の形成領域を除き、伸縮性基材10の下面(一方の主面10a)に対して、実質的に全面的に直に接している。同様に、伸縮性カバー層50の下面は、引出配線40の形成領域を除き、補強基材30の上面(一方の主面30a)に対して、実質的に全面的に直に接している。
また、伸縮性導体パターン20は、例えば、伸縮性カバー層50に当該伸縮性カバー層50の上面側からめり込んだ状態となっており、引出配線40は、例えば、伸縮性カバー層50に当該伸縮性カバー層50の下面側からめり込んだ状態となっている。
【0024】
伸縮性カバー層50の平面形状は、例えば、一部分が局所的に径方向外方に張り出した略円形状に形成されている。伸縮性カバー層50において、円形状に形成されている部分は、平面視において伸縮性基材10の円状部15の全体を覆っており、残りの部分(局所的に径方向外方に張り出した部分)は、平面視において伸縮性基材10の矩形部17の一部分を覆っている。
【0025】
伸縮性カバー層50を構成している材料は、特に限定されないが、例えば、伸縮性基材10と同様のエラストマー材料である。
ただし、伸縮性カバー層50は、少なくとも絶縁性及び伸縮性を有する材料によって構成されていればよく、伸縮性基材10とは異なる材料によって構成されていてもよい。
伸縮性カバー層50の厚み寸法は、特に限定されないが、肌面300の伸縮の動きを阻害しないという観点からは、例えば、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下である。
【0026】
ここで、図2及び図3に示すように、本実施形態の場合、伸縮性カバー層50に形成されている開口孔55を介して、引出配線40の一端部41と伸縮性導体パターン20とが相互に接続されている。
より詳細には、開口孔55は、伸縮性カバー層50において、第1引出配線46の一端部41と対応する位置に形成されている第1開口孔56と、第2引出配線47の一端部41と対応する位置に形成されている第2開口孔57と、を含む。
第1引出配線46の一端部41は、第1開口孔56を介して、伸縮性導体パターン20の一端部21と電気的及び機械的に接続されており、第2引出配線47の一端部41は、第2開口孔57を介して、伸縮性導体パターン20の他端部22と電気的及び機械的に接続されている。
第1開口孔56と第2開口孔57とは、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。また、第1開口孔56及び第2開口孔57の各々の外径は、第1引出配線46の一端部41の外径よりも小さい。
なお、図3では、引出配線40の一端部41、伸縮性導体パターン20の一端部21及び他端部22の各々の厚みを便宜的に大きくして図示しているが、必ずしもこのように形成されていなくてもよい。
【0027】
本実施形態の場合、伸縮性導体パターン20及び引出配線40の各々は、例えば、導電性フィラーと、熱可塑性樹脂を含有するバインダーと、を含んで構成された塗膜である。
このため、伸縮性配線基板100を製造するに際して、伸縮性導体パターン20及び引出配線40の各々を加熱及び加圧することによって、開口孔55を介して、引出配線40の一端部41と伸縮性導体パターン20とを相互に融着させることができる。
すなわち、導電性接着剤等を介さずに、より簡素な構造で伸縮性導体パターン20と引出配線40とを相互に電気的及び機械的に接続させることができるので、伸縮性配線基板100の製造性を向上させることができる。
しかも、伸縮性導体パターン20が熱可塑性樹脂を含有するバインダーを含むことによって、伸縮性導体パターン20は、伸縮性基材10の伸縮に良好に追従することができる。
導電性フィラーは、例えば、銀、金、白金、カーボン、銅、アルミニウム、コバルトもしくはニッケル、又はこれらの合金等によって構成されている。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性のエラストマー材料を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂としては、塗膜化された状態における伸縮性導体パターン20の弾性率が伸縮性基材10の弾性率に比して同等か、またはより小さくなるように低ヤング率のものを選定することが望ましい。エラストマー材料は一種類で用いてもよく、または複数種類のエラストマー材料を混合して用いてもよい。
また、伸縮性導体パターン20及び引出配線40の各々の形成方法は、特に限定されないが、例えば、印刷法により形成することができる。印刷法は、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷方法、インクジェット印刷方法、グラビア印刷方法、オフセット印刷方法などである。
【0028】
伸縮性導体パターン20の厚みは、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm程度とすることがより好ましい。
同様に、引出配線40の厚みは、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm程度とすることがより好ましい。
【0029】
また、本実施形態の場合、補強基材30は、伸縮性導体パターン20の形成領域の周囲を240度以上の範囲に亘って取り囲んでいることが好ましい。更に好ましくは、補強基材30は、伸縮性導体パターン20の形成領域の周囲を270度以上の範囲に亘って取り囲んでいる。より詳細には、本実施形態の場合、補強基材30は、伸縮性基材10の円状部15の周縁部に沿って、240度以上の範囲に亘って延在していることが好ましい。
このようにすることにより、補強基材30によって、伸縮性基材10をより良好に補強することができる。
本実施形態の場合、補強基材30は、伸縮性導体パターン20の形成領域の周囲を全周に亘って取り囲んでいる。すなわち、補強基材30は、伸縮性基材10の円状部15の周縁部に沿って、周回状に延在している。
これにより、より確実に、補強基材30によって、伸縮性基材10をより良好に補強することができるので、特に伸縮性配線基板100を、例えば、生体の肌面300やその他柔軟性のある対象物に貼付する前段階において、伸縮性配線基板100や伸縮性基材10の十分な保形性を確保できる。
ただし、補強基材30は、少なくとも伸縮性導体パターン20の形成領域の一部分を囲んで形成されていればよく、例えば、包囲部31は、円状部15の周縁部に沿って間欠的に形成されていてもよいし、円状部15の周縁部における一部分に局所的に形成されていてもよい。更には、包囲部31の平面形状は特に限定されず、例えば、楕円環状、矩形環状、多角形環状等の円環状以外の形状であってもよい。
【0030】
より詳細には、図4に示すように、補強基材30は、例えば、伸縮性導体パターン20の形成領域の少なくとも一部分を取り囲む包囲部31と、引出配線40が形成されている引出配線形成部36と、を有する。
図5に示すように、包囲部31は、補強基材30において、相対的に剛性が低い部分であり、伸縮性基材10の伸縮に追従して変形する。一方、引出配線形成部36は、補強基材30において、相対的に剛性が高い部分であり、伸縮性基材10の伸縮に実質的に追従しない。
【0031】
包囲部31は、平面視略円環状に形成されており、円状部15の周縁部に沿って周回状に延在している。また、包囲部31の外径は、円状部15の外径と略同等の寸法に設定されている。本実施形態の場合、平面視において、伸縮性導体パターン20の全体は、包囲部31の内周縁よりも内側に配置されており、伸縮性導体パターン20の中心と包囲部31の中心とは互いに一致している。より詳細には、伸縮性導体パターン20の外周縁と、包囲部31の内周縁とは、これらの径方向において互いに離間している。伸縮性導体パターン20の外周縁と包囲部31の内周縁との離間距離(図1に示す距離D1)は、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上であることが好ましい。
引出配線形成部36は、例えば、包囲部31の周方向における一部分と接続されている。より詳細には、引出配線形成部36は、包囲部31を基準として、包囲部31の径方向外側に向けて突出している主部37と、当該径方向内側に向けて突出している突出部38と、を含む。
主部37は、例えば、伸縮性基材10の矩形部17と同一の平面形状に形成されており、平面視において当該矩形部17と重なり合っている。
突出部38の平面形状は特に限定されないが、図1及び図4等では、例えば、平面視略デルタ形状に形成されており、突出部38の先端(突出方向における先端)は、包囲部31の中心部に配置されている。ただし、突出部38は、例えば、平面視楕円形状に形成されていてもよい。
引出配線40(第1引出配線46及び第2引出配線47)の一端部41は、突出部38に形成されており、引出配線40の他端部42は、主部37に形成されている。また、引出配線40の中間部43は、突出部38と主部37とに亘って延在している。
【0032】
ここで、包囲部31の幅寸法(図1及び図4に示す寸法W1)は2mm以下であることが好ましい。
このようにすることにより、包囲部31の剛性をより局所的に低くすることができるので、包囲部31は、伸縮性基材10の伸縮に追従して良好に変形することができる。
より詳細には、包囲部31の幅寸法W1は、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。包囲部31の幅寸法W1が0.5mm以下であることにより、伸縮性配線基板100のハンドリング性及び装着感をそれぞれ向上させることができる。
【0033】
補強基材30は、可撓性を有する部材であって、伸縮性基材10よりも大きなヤング率を有している。補強基材30の材料は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはフッ素樹脂等の、低摺動性、耐食性かつ高強度の合成樹脂を用いることができる。このほか補強基材30には、セルロースナノファイバーペーパー等のように、相応の耐久性を備えた紙素材を用いてもよい。
本実施形態の場合、補強基材30はその全体が一体成形されているが、本発明はこの例に限らず、例えば、包囲部31と引出配線形成部36とが互いに別体に成形されていてもよい。
【0034】
補強基材30の厚み寸法は、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上100μm以下である。
【0035】
また、本実施形態の場合、補強基材30の主面には、不図示のエラストマー層が形成されている。このため、伸縮性配線基板100の製造する際に、加熱及び加圧することによって、補強基材30と伸縮性カバー層50とを互いに融着させることができるとともに、当該エラストマー層と伸縮性カバー層50との接合強度(密着強度)を極めて高いものとすることができる。また、この際に、伸縮性基材10と伸縮性カバー層50とも互いに融着させることができる。加熱手段としては、加熱ロールによるラミネート手法や、加熱プレスの手段を採用することができる。加圧プレスは大気中で行ってもよいし、または真空中で行ってもよい。
更には、本実施形態の場合、引出配線40は、エラストマー層を介して補強基材30の一方の主面30a上に形成されている。
このような構成により、補強基材30に対する引出配線40の一体性を良好にすることができる。すなわち、引出配線40が補強基材30に対して直に形成されているのではなく、エラストマー層を介して補強基材30上に形成されているため、引出配線40を下地層であるエラストマー層に対して密着性良く形成することができる。
【0036】
また、本実施形態の場合、粘着層61は、補強基材30における伸縮性基材10側とは反対側の面30bに対して直接に積層されている。なお、粘着層61は、補強基材30における伸縮性基材10側とは反対側の面30bに対して間接に積層されていてもよい。
本実施形態の場合、粘着層61は、粘着性材料が塗工されることにより形成されたものである。より詳細には、粘着層61は例えば、粘着性材料を、第1剥離フィルム71の上面上に所望の厚みで塗布した後に、熱加工処理によって硬化させることにより形成される単膜である。このため、粘着層61が不織布や紙などの芯材を含む場合と比較して、粘着層61は、伸縮性基材10の伸張に対してより良好に追従することができる。
なお、伸縮性配線基板100の製造するに際して、補強基材30に積層される前の段階では、粘着層61は、第1剥離フィルム71側とは反対側の面にも剥離フィルム(不図示)を有する。そして、この剥離フィルムを粘着層61から剥離することによって、粘着層61を補強基材30に対して貼付することができる。
粘着性材料は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂などを用いることができる。なお、本実施形態のように伸縮性配線基板100を肌面300に貼付する場合、生体への適合性を有する材料であることが好ましい。
【0037】
第1剥離フィルム71は、粘着層61から易剥離可能に、粘着層61の下面側に積層されている。同様に、第2剥離フィルム76は、伸縮性基材10から易剥離可能に、伸縮性基材10の上面側に積層されている。
伸縮性配線基板100を使用する際には、例えば、先ず、第1剥離フィルム71を粘着層61から剥離し、伸縮性配線基板100の下面側において粘着層61が露出する状態にする。そして、粘着層61を介して伸縮性配線基板100を肌面300に対して貼付することができる。したがって、伸縮性配線基板100は、伸縮性基材10の一方の主面10aが下側、その反対側の面(他方の主面10b)が上側を向いた姿勢で肌面300に貼付される。次に、第2剥離フィルム76を伸縮性基材10から剥離し、伸縮性配線基板100の上面側において伸縮性基材10が露出する状態にする。そして、センサ200を、伸縮性基材10の上面(他方の主面10b)上に配置する。このように、第2剥離フィルム76を剥離する前に、伸縮性配線基板100を肌面300に対して貼付することによって、容易に伸縮性配線基板100を肌面300に対してフィットさせることが可能となる。ただし、本実施形態の場合、上述のように伸縮性基材10は補強基材30によって補強されているので、第2剥離フィルム76が伸縮性配線基板100から剥離された状態においても、伸縮性基材10がその面方向に展開された状態を十分に維持できる。
【0038】
第1剥離フィルム71及び第2剥離フィルム76の各々の材料は、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)又は紙等であることが挙げられる。第1剥離フィルム71と第2剥離フィルム76とは、互いに同じ材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。
【0039】
また、本実施形態の場合、引出配線40の他端部42には外部接続端子80が設けられている。伸縮性配線基板100は外部接続端子80を介して、センサ200と電気的及び機械的に接続される。したがって、センサ200は、伸縮性基材10を介して引出配線形成部36上に配置される。
伸縮性配線基板100は、伸縮性導体パターン20(コイル配線)を介して励起された電力を引出配線40に供給し、更に外部接続端子80を介して当該電力をセンサ200に供給する。
【0040】
外部接続端子80は、例えば、補強基材30及び引出配線40の一方の面30a、40a側に配置されている第1部材81と、補強基材30及び引出配線40の他方の面30a、40a側から補強基材30を介して第1部材81に対して嵌入している第2部材86と、を有する。
より詳細には、図1及び図2に示すように、引出配線形成部36において、引出配線40の他端部42と対応する位置には、当該引出配線形成部36及び他端部42をそれぞれ上下に貫通する挿通孔39が形成されている。第1部材81と第2部材86とは、引出配線形成部36及び他端部42における挿通孔39の周囲縁部を上下に挟持された状態となる。上下に挟持した状態で、挿通孔39を介して互いに固定されている。
これにより、外部接続端子80は、引出配線40の他端部42に対して電気的及び機械的に接続されている。
【0041】
より詳細は、図2及び図3に示すように、第1部材81は、第2部材86が嵌入されている突起部83と、引出配線40の一方の面40a側に配置されている第1固定板82と、を有する。突起部83は、上方に起立した円筒状に形成されており、上端側は閉塞されている一方で、下端側は下方に向けて開口している。第1固定板82は、平面形状が環状の内フランジ状に形成されており、突起部83の下端から当該突起部83の径方向外側に張り出している。
第2部材86は、突起部83に対して嵌入している嵌合突起部88と、引出配線形成部36の他方の面30a側に配置されている第2固定板87と、を有する。
嵌合突起部88は、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。第2固定板87は、平面形状が環状の内フランジ状に形成されており、嵌合突起部88の下端から当該嵌合突起部88の径方向外側に張り出している。
また、挿通孔39の内径は、突起部83の外径よりも大きい一方で、第2固定板87の外径よりも小さい。このため、突起部83は挿通孔39に挿入される一方で、第2固定板87は挿通孔39に外部において、補強基材30の他方の面30bに対して係止される。
第1部材81と第2部材86とを互いに固定する際には、第1部材81の第1固定板82は、他端部42における挿通孔39の周囲縁部上に配置される。また、第2部材86の嵌合突起部88は、挿通孔39を介して、突起部83の下端側の開口から当該突起部83の内部に挿入される。このような状態で第1部材81に上方から圧力をかけて塑性変形させることにより、突起部83の内部で嵌合突起部88が当該突起部83と共に塑性変形する。これにより、第1部材81の第1固定板82と第2部材86の第2固定板87とが補強基材30及び引出配線40を上下に挟持した状態で、第1部材81と第2部材86とは互いに固定される。
【0042】
本実施形態の場合、一例として、外部接続端子80は、第2部材86が第1部材81に対して嵌入することによって形成される雄ホックである。また、センサ200は、当該雄ホックと対応している雌ホック210を備えており、雄ホックの凸部(突起部83)が雌ホック210の凹部に対して嵌入されることによって、センサ200は伸縮性配線基板100に対して電気的及び機械的に接続される。ただし、外部接続端子80が雌ホックを構成しており、センサ200が雄ホックを備えていてもよい。
なお、図6においては、雌ホック210の形状を模式的に示している。
【0043】
また、図1に示すように、外部接続端子80は、例えば、第1引出配線46の他端部42に設けられている第1外部接続端子80aと、第1引出配線46の他端部42に設けられている第2外部接続端子80bと、を含む。
第1外部接続端子80a及び第2外部接続端子80bの各々は、互いに同一に構成されており、上述の第1部材81及び第2部材86をそれぞれ備えている。そして、引出配線形成部36において、挿通孔39は、第1引出配線46の他端部42の中央部と、第2引出配線47の他端部42の中央部と、にそれぞれ形成されている。第1外部接続端子80aの第1部材81及び第2部材86の各々は、第1引出配線46の他端部42に形成されている挿通孔39を介して、引出配線形成部36及び第1引出配線46に対して固定されている。同様に、第2外部接続端子80bの第1部材81及び第2部材86の各々は、第2引出配線47の他端部42に形成されている挿通孔39を介して、引出配線形成部36及び第1引出配線46に対して固定されている。
また、図2及び図3に示すように、第1剥離フィルム71及び伸縮性基材10において、挿通孔39と対応する位置には、それぞれ開口部78、19が形成されている。センサ200が伸縮性配線基板100に接続される際には、第1部材81の突起部83は、当該開口部78、19を介して、センサ200の雌ホック210の凹部に嵌入される。
また、補強基材30には、必ずしも挿通孔39が形成されていなくてもよい。この場合、例えば、少なくとも、第1部材81が引出配線40に対して接触した状態を維持できるように、第2部材86が第1部材81を固定していればよく、第2部材86は引出配線40と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0044】
第1部材81及び第2部材86の各々は、例えば、ステンレス/SUSや真鍮などの導電性を有する材料によって構成されている。また、本実施形態のように伸縮性配線基板100が生体に貼付して用いられる場合には、第1部材81及び第2部材86の各々の表面は、ステンレスや金めっき等によって被覆されていることが好ましい。
第1部材81及び第2部材86の各々の外径は、特に限定されないが、5mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、図7を用いて第2実施形態を説明する。なお、図7においては、図1のX-X線に相当する線に沿った伸縮性配線基板100の切断端面を示している。また、図7では、図面描写上、包囲部31の内側領域において、伸縮性カバー層50と第2粘着層66との間に間隙Xが存在しているが、実際には、当該部位において、伸縮性カバー層50と第2粘着層66とが積層及び密着状態となり消滅する。同様に、図7では、図面描写上、後述する開口部19の周縁部において、伸縮性基材10と補強基材30及び/又は引出配線40との間に間隙Yが存在しているが、実際には、当該部位において、伸縮性基材10と補強基材30及び/又は引出配線40とが積層及び密着状態となり消滅する。
第2実施形態に係る伸縮性配線基板100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と同様に構成されている。
【0046】
本実施形態に係る伸縮性配線基板100は、平面視において伸縮性導体パターン20の形成領域の少なくとも一部分を覆う配置で、伸縮性基材10に対して間接に積層されている磁気シールド層90(図7参照)を備えている点において、第1実施形態に係る伸縮性配線基板100と相違している。
これにより、磁気シールド層90が磁気ヨークとして機能するので、外部装置(電源コイル)から発せられた磁界が効率的に伸縮性導体パターン20に作用することとなる。よって、伸縮性導体パターン20の電力伝送効率及び通信(送受信)距離をそれぞれ向上させることができる。
なお、磁気シールド層90は、例えば、平面視において伸縮性導体パターン20の形成領域を覆う配置で、伸縮性基材10に対して直接に積層されていてもよい。
【0047】
本実施形態の場合、粘着層61と補強基材30との間に磁気シールド層90が介装されている。より詳細には、本実施形態の場合も、伸縮性配線基板100は粘着層61を介して肌面300に貼付される。そして、伸縮性導体パターン20は、補強基材30の粘着層61側とは反対側に配置されている。
このため、伸縮性導体パターン20を基準として、磁気シールド層90が肌面300側に配置されるとともに、当該磁気シールド層90が磁気ヨークとして機能するので、外部装置(電源コイル)から発せられた磁界がより効率的に伸縮性導体パターン20に作用することとなる。
【0048】
磁気シールド層90は、例えば、磁性粉末とエラストマー樹脂とをそれぞれ含んで構成されたシート材である。磁性粉末は、特に限定されないが、10[μH/m]以上の透磁率を有するものであることが好ましく、より好ましくは20[μH/m]以上、更に好ましくは50[μH/m]以上の透磁率を有するものである。このような磁性粉末としては、例えば、パーマロイ(Ni―Fe系合金)や、センダスト(Fe-Si-AI系合金)等を挙げることができる。
このような磁気シールド層90としては、一例として、バスタレイド(登録商標)を用いることができる。
【0049】
磁気シールド層90の厚み寸法は、特に限定されないが、伸縮性配線基板100の伸縮性を十分に確保する観点から、例えば、0.25mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
【0050】
本実施形態の場合、伸縮性配線基板100は、磁気シールド層90と伸縮性基材10とを直接に接合する第2粘着層66を更に備えている。
第2粘着層66と磁気シールド層90とは、例えば、粘着層61と同一の外形形状となっている。第2粘着層66の下面は、実質的に全面的に、磁気シールド層90の上面に対して相互に直に接している。磁気シールド層90の下面は、実質的に全面的に、粘着層61の上面に対して直に接している。
なお、第2粘着層66は、磁気シールド層90と伸縮性基材10とを間接に接合するものであってもよい。
【0051】
ここで、第2粘着層66は、例えば、粘着層61と同様に、粘着性材料によって構成された単膜である。すなわち、本実施形態の場合、粘着層61と第2粘着層66の各々は、粘着性材料が塗工されることにより形成された単膜である。
これにより、粘着層61及び第2粘着層66は、伸縮性基材10の伸縮に伴って良好に変形することができる。
粘着層61と第2粘着層66とは、互いに同一の粘着性材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる粘着性材料によって構成されていてもよい。
【0052】
また、本実施形態の場合、第1実施形態と同様に、伸縮性導体パターン20は、例えば、コイル配線又はアンテナパターンのいずれか一方であってもよいし、コイル配線とアンテナパターンとの両方であってもよく、伸縮性配線基板100の用途に応じて適宜設定することができる。
【0053】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0054】
例えば、上記の例においては、補強基材30は、伸縮性基材10に対して間接に積層されている例を説明したが、本発明はこの例に限らず、補強基材30は、伸縮性基材10に対して直接に積層されていてもよい。また、例えば、補強基材30の一部分が、伸縮性基材10に対して直接に積層されており、補強基材30のその他の部分は、補強基材30は、伸縮性基材10に対して間接に積層されていてもよい。
【0055】
また、第2実施形態では、伸縮性配線基板100が、補強基材30を備えている例を説明したが、例えば、伸縮性配線基板100は、補強基材30を備えていなくてもよい。すなわち、本発明は、伸縮性基材10と、伸縮性基材10の少なくとも一方の主面10aに形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターン20と、平面視において伸縮性導体パターン20の形成領域の少なくとも一部分を覆う配置で、伸縮性基材10に対して間接又は直接に積層されている磁気シールド層90と、を備えている伸縮性配線基板100を提供する。本発明によれば、伸縮性導体パターン20の電力伝送効率及び通信(送受信)距離をそれぞれ向上させることができる。
【0056】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の少なくとも一方の主面に形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターンと、
前記伸縮性基材よりも剛性が高い補強基材と、
を備え、
前記補強基材は、平面視において前記伸縮性基材における前記伸縮性導体パターンの形成領域の少なくとも一部分を取り囲むように、前記伸縮性基材に対して直接又は間接に積層されて、前記伸縮性基材を補強している伸縮性配線基板。
(2)前記補強基材の一方の主面上に形成されている引出配線を備え、
前記引出配線の一端部と前記伸縮性導体パターンとが相互に接続されており、
前記引出配線の他端部には外部接続端子が設けられている(1)に記載の伸縮性配線基板。
(3)絶縁性及び伸縮性を有し、前記補強基材と前記伸縮性基材との間に介装されている伸縮性カバー層を備え、
前記伸縮性カバー層に形成されている開口孔を介して、前記引出配線の一端部と前記伸縮性導体パターンとが相互に接続されている請求項2に記載の伸縮性配線基板。
(4)前記外部接続端子は、前記補強基材及び前記引出配線の一方の面側に配置されている第1部材と、前記補強基材及び前記引出配線の他方の面側から前記補強基材を介して前記第1部材に対して嵌入している第2部材と、を有する(2)又は(3)に記載の伸縮性配線基板。
(5)前記補強基材は、
前記伸縮性導体パターンの形成領域の前記少なくとも一部分を取り囲む包囲部と、
前記引出配線が形成されている引出配線形成部と、
を有し、
前記包囲部は、前記伸縮性導体パターンの形成領域を取り囲む周回方向に長尺な帯状に形成されており、当該包囲部の幅寸法は2mm以下である(2)から(4)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(6)前記伸縮性導体パターンの少なくとも一部分は螺線渦巻状に形成されているコイル配線である(1)から(5)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(7)前記伸縮性導体パターンはアンテナとして機能するアンテナパターンである(1)から(6)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(8)平面視において前記伸縮性導体パターンの形成領域の前記少なくとも一部分を覆う配置で、前記伸縮性基材に対して間接又は直接に積層されている磁気シールド層を備える(1)から(7)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(9)前記補強基材における前記伸縮性基材側とは反対側の面に対して直接又は間接に積層されている粘着層を備える(1)から(8)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(10)前記補強基材における前記伸縮性基材側とは反対側の面に対して直接又は間接に積層されている粘着層を備え、
前記粘着層と前記補強基材との間に前記磁気シールド層が介装されている(8)に記載の伸縮性配線基板。
(11)前記補強基材は、前記伸縮性導体パターンの形成領域の周囲を240度以上の範囲に亘って取り囲んでいる(1)から(10)のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
(12)前記補強基材は、前記伸縮性導体パターンの形成領域の周囲を全周に亘って取り囲んでいる(11)に記載の伸縮性配線基板。
<1>
伸縮性基材と、
前記伸縮性基材の少なくとも一方の主面に形成されているとともに伸縮性を有する伸縮性導体パターンと、
平面視において前記伸縮性導体パターンの形成領域の前記少なくとも一部分を覆う配置で、前記伸縮性基材に対して間接又は直接に積層されている磁気シールド層と、
を備える伸縮性配線基板。
<2>
前記伸縮性基材に対して直接又は間接に積層されている粘着層を備え、
前記磁気シールド層は、前記粘着層と、前記伸縮性基材及び前記伸縮性導体パターンと、の間に介装されている<1>に記載の伸縮性配線基板。
<3>
前記伸縮性導体パターンの少なくとも一部分は螺線渦巻状に形成されているコイル配線である<1>又は<2>に記載の伸縮性配線基板。
<4>
前記伸縮性導体パターンはアンテナとして機能するアンテナパターンである<1>から<3>のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
<5>
前記磁気シールド層と前記伸縮性基材とを直接又は間接に接合する第2粘着層を備える<1>から<4>のいずれか一項に記載の伸縮性配線基板。
<6>
前記粘着層と前記第2粘着層の各々は、粘着性材料が塗工されることにより形成されたものである<5>に記載の伸縮性配線基板。
【符号の説明】
【0057】
10 伸縮性基材
10a 一方の主面
10b 他方の主面
15 円状部
17 矩形部
19 開口部
20 伸縮性導体パターン
21 一端部
22 他端部
30 補強基材
31 包囲部
36 引出配線形成部
37 主部
38 突出部
39 挿通孔
40 引出配線
40a 一方の面
40b 他方の面
41 一端部
42 他端部
43 中間部
45 第2挿通孔
46 第1引出配線
47 第2引出配線
50 伸縮性カバー層
50a 一方の面
50b 他方の面
55 開口孔
56 第1開口孔
57 第2開口孔
61 粘着層
66 第2粘着層
71 第1剥離フィルム
76 第2剥離フィルム
78 開口部
80 外部接続端子
80a 第1外部接続端子
80b 第2外部接続端子
81 第1部材
82 第1固定板
83 突起部
86 第2部材
87 第2固定板
88 嵌合突起部
90 磁気シールド層
100 伸縮性配線基板
200 センサ
300 肌面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7