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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20240920BHJP
   E06B 9/326 20060101ALI20240920BHJP
   E06B 9/262 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/326
E06B9/262
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021019211
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022122115
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝明
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-11055(JP,A)
【文献】特開2008-163578(JP,A)
【文献】特開2010-112049(JP,A)
【文献】国際公開第2020/139082(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/26- 9/327
E06B 9/42- 9/50
E06B 9/56- 9/92
A47H 1/00-23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の操作によって回転操作されるプーリと、
前記プーリと一体回転する駆動ギヤと、
前記プーリからの駆動力で回転して遮蔽材を昇降させる駆動軸に対して、前記駆動ギヤと連動して回転することで前記プーリからの駆動力を伝達可能な従動ギヤと、
前記従動ギヤおよび前記駆動ギヤの一方を、それぞれの回転軸に沿って移動させることによって、前記従動ギヤと前記駆動ギヤとが連動する駆動力伝達状態と、前記従動ギヤと前記駆動ギヤとの連動が解除された駆動力非伝達状態とを切替可能な切替操作部と、を備える、遮蔽装置。
【請求項2】
前記従動ギヤと一体回転し、前記プーリの駆動力を前記駆動軸に伝達可能な伝達軸を更に備え、
前記切替操作部は、前記従動ギヤを前記伝達軸上で摺動させて前記駆動ギヤとの連動を解除することで、駆動力伝達状態から駆動力非伝達状態に切り替える、請求項1記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記切替操作部は、
前記従動ギヤを前記伝達軸上で摺動可能に保持する保持部と、
前記切替操作部が収容される操作ユニットの外部から前記保持部を前記伝達軸上で摺動操作する操作部と、を備える、請求項2記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記操作部は、頭部と軸部を有し、前記保持部と螺合可能なネジ部材からなり、
前記操作ユニットは、前記ネジ部材を外側から導入可能なスロットを底部に有し、
前記スロットは、
前記頭部及び前記軸部の移動が許容される幅広部と、
前記軸部の移動のみが許容される幅狭部と、を有し、
前記幅広部は、前記駆動力伝達状態において前記操作部が位置する側に配置され、
前記幅狭部は、前記駆動力非伝達状態において前記操作部が位置する側に配置される、請求項3記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記操作部材は、前記操作ユニットと当接することで、前記遮蔽材の下限位置を規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記駆動力非伝達状態で前記操作部材が操作された場合、前記遮蔽材の昇降位置が維持された状態で前記操作ユニットに対して近接又は離間するように移動する、請求項3又は4記載の遮蔽装置。
【請求項6】
操作部材の操作によって回転操作されるプーリと、
前記プーリと一体回転する駆動ギヤと、
前記プーリからの駆動力で回転して遮蔽材を昇降させる駆動軸に対して、前記駆動ギヤと連動して回転することで前記プーリからの駆動力を伝達可能な従動ギヤと、
前記従動ギヤと前記駆動ギヤとが連動する駆動力伝達状態と、前記従動ギヤと前記駆動ギヤとの連動が解除された駆動力非伝達状態とを切替可能な切替操作部と、を備える遮蔽装置における前記操作部材の調整方法であって、
前記切替操作部により前記駆動力伝達状態から前記駆動力非伝達状態に切り替えることで、前記駆動軸に対して前記プーリを空転状態にし、
前記操作部材を空転状態の前記プーリに巻き掛ける、調整方法。
【請求項7】
前記操作部材は、前記プーリ、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを収容する操作ユニットに当接することで前記プーリの回転を制限して前記遮蔽材の下限位置を規制する規制部を有し、
前記操作部材を空転状態の前記プーリに巻き掛けする場合に、前記規制部の位置を調整することで前記遮蔽材の下限位置を調整する、請求項6記載の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関する。特に、操作部材を操作することで、遮蔽材を鉛直方向に昇降する操作装置を備えた遮蔽装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、遮蔽材となるプリーツスクリーンを昇降操作するボールチェーン(操作部材)に設けたボールチェーンコネクタ(規制部)が操作ユニットに当接することで、プリーツスクリーンがそれ以上下降しないように規制する遮蔽装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1による遮蔽装置では、プリーツスクリーンの下限位置が適切でないと、ボトムレールが窓枠や床面などに当たるため、ボールチェーンをプーリに巻き掛け直して組付け状態を調整することで、プリーツスクリーンの下限位置を調整する必要があった。すなわち、ボトムレールの高さ調整を行う必要があった。
【0004】
特許文献1による遮蔽装置では、このような不具合があったので、ボトムレールの高さ調整が容易な遮蔽装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-144528号公報
【文献】特許第6169959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2による遮蔽装置は、昇降コードの長さ調整が可能な調整部材をボトムレールの内部に設けている。そして、特許文献2による遮蔽装置は、ボトムレールに設けた開口部から調整部材の操作を可能としている。これにより、特許文献2による遮蔽装置は、プリーツスクリーンを窓枠などに取り付けた後であっても、ボトムレールの下限位置を調整できる。
【0007】
しかしながら、特許文献2による遮蔽装置は、全ての昇降コードに対して調整作業を実施する必要があるため、調整作業に手間を要するという問題があった。
【0008】
昇降コードを調整することなく、プーリに対する操作部材の組付け状態を容易に調整可能とする遮蔽装置が求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、プーリに対する操作部材の組付け状態を容易に調整可能とする遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、操作部材の操作によって回転操作されるプーリと、前記プーリと一体回転する駆動ギヤと、前記プーリからの駆動力で回転して遮蔽材を昇降させる駆動軸に対して、前記駆動ギヤと連動して回転することで前記プーリからの駆動力を伝達可能な従動ギヤと、前記従動ギヤおよび前記駆動ギヤの一方を、それぞれの回転軸に沿って移動させることによって、前記従動ギヤと前記駆動ギヤとが連動する駆動力伝達状態と、前記従動ギヤと前記駆動ギヤとの連動が解除された駆動力非伝達状態とを切替可能な切替操作部と、を備える、遮蔽装置に関する。
【0011】
また、遮蔽装置は、前記従動ギヤと一体回転し、前記プーリの駆動力を前記駆動軸に伝達可能な伝達軸を更に備え、前記切替操作部は、前記従動ギヤを前記伝達軸上で摺動させて前記駆動ギヤとの連動を解除することで、駆動力伝達状態から駆動力非伝達状態に切り替えることが好ましい。
【0012】
また、前記切替操作部は、前記従動ギヤを前記伝達軸上で摺動可能に保持する保持部と、前記切替操作部が収容される操作ユニットの外部から前記保持部を前記伝達軸上で摺動操作する操作部と、を備えることが好ましい。
【0013】
また、前記操作部は、頭部と軸部を有し、前記保持部と螺合可能なネジ部材からなり、前記操作ユニットは、前記ネジ部材を外側から導入可能なスロットを底部に有し、前記スロットは、前記頭部及び前記軸部の移動が許容される幅広部と、前記軸部の移動のみが許容される幅狭部と、を有し、前記幅広部は、前記駆動力伝達状態において前記係止部が位置する側に配置され、前記幅狭部は、前記駆動力非伝達状態において前記係止部が位置する側に配置されることが好ましい。
【0014】
また、前記操作部材は、前記操作ユニットと当接することで、前記遮蔽材の下限位置を規制する規制部を有し、前記規制部は、前記駆動力非伝達状態で前記操作部材が操作された場合、前記遮蔽材の昇降位置が維持された状態で前記操作ユニットに対して近接又は離間するように移動することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、操作部材の操作によって回転操作されるプーリと、前記プーリと一体回転する駆動ギヤと、前記プーリからの駆動力で回転して遮蔽材を昇降させる駆動軸に対して、前記駆動ギヤと連動して回転することで前記プーリからの駆動力を伝達可能な従動ギヤと、前記従動ギヤと前記駆動ギヤとが連動する駆動力伝達状態と、前記従動ギヤと前記駆動ギヤとの連動が解除された駆動力非伝達状態とを切替可能な切替操作部と、を備える遮蔽装置における前記操作部材の調整方法であって、前記切替操作部により前記駆動力伝達状態から前記駆動力非伝達状態に切り替えることで、前記駆動軸に対して前記プーリを空転状態にし、前記操作部材を空転状態の前記プーリに巻き掛ける、調整方法に関する。
【0016】
また、前記操作部材は、前記プーリ、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを収容する操作ユニットに当接することで前記プーリの回転を制限して前記遮蔽材の下限位置を規制する規制部を有し、前記操作部材を空転状態の前記プーリに巻き掛けする場合に、前記規制部の位置を調整することで前記遮蔽材の下限位置を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による遮蔽装置は、駆動ギヤと従動ギヤとの連動を解除して駆動軸に対するプーリからの駆動力を非伝達状態とすることで、プーリを空転可能な状態に切り替えることができるため、プーリに対する操作部材の組付け状態を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による遮蔽装置の全体構成を示す正面図である。
図2】前記実施形態による遮蔽装置の全体構成を示す右側面図である。
図3】前記実施形態による遮蔽装置に備わる操作ユニットの構成を示す縦断面図であり、図1のA―A矢視図である。
図4】前記実施形態による遮蔽装置に備わる操作ユニットの構成を示す縦断面図であり、図2のB―B矢視図である。
図5】前記実施形態による遮蔽装置の全体構成を示す右側面図であり、図5(a)は、操作部材の手前側を下方に引くことで遮蔽材が上昇している状態図、図5(b)は、図5(a)の状態から操作部材を解放することで遮蔽材が停止した状態図、図5(c)は、図5(b)の状態から操作部材の手前側を下方に少し引いて、操作部材を解放することで遮蔽材が下降し、停止している状態図である。
図6】前記実施形態による遮蔽装置に備わる操作ユニットの動作を示す図であり、図6(a)は、駆動ギヤと従動ギヤが噛合ってプーリからの駆動力が従動ギヤに伝達される状態を示す操作ユニットの斜視断面図、図6(b)は、駆動ギヤと従動ギヤの連動が解除されてプーリからの駆動力が従動ギヤに伝達されない状態を示す操作ユニットの斜視断面図、図6(c)は、駆動ギヤと従動ギヤが噛合ってプーリからの駆動力が従動ギヤに伝達される状態を示す操作ユニットの縦断面図、図6(d)は、駆動ギヤと従動ギヤの連動が解除されてプーリからの駆動力が従動ギヤに伝達されない状態を示す操作ユニットの縦断面図、図6(e)は、ネジ部材の頭部がスロットの幅広部に位置している状態を示す操作ユニットの斜視図である。図6(f)は、ネジ部材がスロットの幅狭部に位置している状態を示す操作ユニットの斜視図である。
図7】前記実施形態による遮蔽装置に備わる操作ユニットの縦断面図であり、図7(a)は、ネジ部材の頭部がスロットの幅広部に位置している状態図、図7(b)は、ネジ部材がスロットの幅狭部に位置している状態図である。
図8】前記実施形態による遮蔽装置の全体構成を示す右側面図であり、図8(a)は、遮蔽材の下限位置を調整する前の状態図、図8(b)は、遮蔽材の下限位置を調整している過程の状態図、図8(c)は、遮蔽材の下限位置を調整した状態図である。
図9】前記実施形態による遮蔽装置に備わる操作ユニットの概略構成を示す縦断面図であり、図9(a)は、プーリからの駆動力が従動ギヤに伝達される状態図、図9(b)は、プーリからの駆動力が従動ギヤに伝達されない状態図、図9(c)は、プーリに操作部材を巻き掛けしている状態図、図9(d)は、プーリに操作部材を巻き掛けした状態図である。
図10】本発明の変形例を示す操作ユニットの斜視断面図であり、図10(a)は、第1の変形例を示す概略図、図10(b)は、第2の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
[遮蔽装置の構成]
最初に、本発明の一実施形態による遮蔽装置の全体構成を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1又は図2を参照すると、本発明の一実施形態による遮蔽装置(以下、ブラインドという)Bdは、C形チャンネル状のヘッドボックスBhと遮蔽材となるプリーツスクリーンSpを備えている。ヘッドボックスBhは、複数のブラケットBrを介して、窓枠の上部又は天井面に取り付けできる。プリーツスクリーンSpは、山折りと谷折りの襞を矩形のシートの外面に交互に形成している。
【0022】
図1又は図2を参照すると、ヘッドボックスBhは、複数の昇降コードCr・Crを垂下している。昇降コードCrの下端部は、ボトムレールRbに係留している。プリーツスクリーンSpは、その上端部をヘッドボックスBhが支持している。又、プリーツスクリーンSpは、その下端部にボトムレールRbを取り付けている。プリーツスクリーンSpは、ヘッドボックスBhから垂下している。
【0023】
図1を参照すると、ヘッドボックスBhは、多角棒からなる駆動軸91sと複数の巻取ドラム9dを内部に配置している。又、ヘッドボックスBhは、ブレーキBkとストッパStを内部に配置している。更に、ヘッドボックスBhは、操作ユニット10を一端部に取り付けている。
【0024】
図1から図3を参照すると、操作ユニット10は、プーリ1Puを内部に配置している(図3参照)。プーリ1Puには、操作部材となるボールチェーン1Cbが巻き掛けされている。ボールチェーン1Cbを操作することで、操作ユニット10の内部に配置された歯車列を介して、プーリ1Puの回転を駆動軸91sに伝達できる。
【0025】
図1を参照すると、駆動軸91sは、ヘッドボックスBhの長手方向に沿って配置されている。駆動軸91sは、巻取ドラム9dの中心部を挿通している。駆動軸91sと巻取ドラム9dは一体となって回転する。巻取ドラム9dは、昇降コードCrの一端部側を外周に巻き回している。駆動軸91sをその軸回りに一方の方向に回転することで、巻取ドラム9dは、昇降コードCrを巻き取りできる。そして、プリーツスクリーンSpを上昇できる。駆動軸91sをその軸回りに他方の方向に回転することで、巻取ドラム9dは、昇降コードCrを巻き解きできる。そして、プリーツスクリーンSpを下降できる。
【0026】
図1を参照して、プリーツスクリーンSpが降下すべく、駆動軸91sが他方の方向に回転する過程では、ブレーキBkは、駆動軸91sの回転速度を制動し、プリーツスクリーンSpは低速で下降できる。
【0027】
図1を参照して、ストッパStは、クラッチばねと円筒カム(いずれも図示せず)を内部に配置している。プリーツスクリーンSpが降下した状態(図5(a)参照)から、ボールチェーン1Cbの手前側を下方に引くと、操作ユニット10の内部の歯車列を介して駆動軸91sに駆動力が伝達され、駆動軸91sは、巻取ドラム9dが昇降コードCrを巻き取る方向に回転する。ボールチェーン1Cbの引き動作を停止すると、ストッパStは、巻取ドラム9dが昇降コードCrを巻き取る方向と逆方向に回転することを規制する(図5(b)参照)。
【0028】
図5(b)に示した状態から、ボールチェーン1Cbの手前側を下方に少し引いて、ボールチェーン1Cbを解放すると、ストッパStは、ヘッドボックスBhに対する駆動軸91sのロックを解除する。これにより、駆動軸91sは、プリーツスクリーンSp及びボトムレールRbの自重により、巻取ドラム9dが昇降コードCrを巻き解く方向に回転する。そして、ボールチェーン1Cbに設けた規制部となるボールチェーンコネクタ1Cnがプーリ1Puに当接した位置まで、プリーツスクリーンSpを下降できる。これにより、プリーツスクリーンSpをその高さ位置で停止できる(図5(c)参照)。プリーツスクリーンSpが下降する過程及び上昇過程では、ストッパStが作動することなく、駆動軸91sの回転を継続できる。
【0029】
(操作ユニットの構成)
次に、実施形態による操作ユニット10の構成を説明する。図3又は図4及び図6を参照すると、操作ユニット10は、第1ケース11cと第2ケース12cをヘッドボックスBhの端部に設置している。第1ケース11cと第2ケース12cは、重ね合わせることで内部に空洞を形成する分割ケースである。第1ケース11cと第2ケース12cは、通常時は、嵌め合わされて、第1ケース11c側から締結される皿ネジ10sと、第2ケース12c側から締結される皿ネジ10sによりネジ止めされることで一体のケースを構成している。2つの皿ネジ10sを外すことにより、第1ケース11cと第2ケース12cを分離できる。
【0030】
図3又は図4及び図6を参照すると、操作ユニット10は、駆動ギヤ11g付きプーリ1Pu、中間ギヤ12g、及び、従動ギヤ13gを内部に配置している。駆動ギヤ11gは、プーリ1Puと一体回転できる。駆動ギヤ11g付きプーリ1Puは、その回転軸が第1ケース11cと第2ケース12cに回転自在に支持されている。
【0031】
図3又は図4及び図6を参照すると、中間ギヤ12gは、駆動ギヤ11gと噛み合っている。駆動ギヤ11gの回転を中間ギヤ12gに伝達できる。又、中間ギヤ12gの回転を駆動ギヤ11gに伝達できる。従動ギヤ13gは、中間ギヤ12gと噛み合っている。中間ギヤ12gの回転を従動ギヤ13gに伝達できる。又、従動ギヤ13gの回転を中間ギヤ12gに伝達できる。
【0032】
図3又は図4及び図6を参照すると、従動ギヤ13gは、その回転中心部に伝達軸92sを嵌合している。伝達軸92sは、その外周に複数の突条を形成した、いわゆるスプライン軸である。従動ギヤ13gは、その回転を伝達軸92sに伝達できると共に、伝達軸92s上を摺動できる。一方、伝達軸92sは、その回転のみを従動ギヤ13gに伝達できる。
【0033】
図3又は図4及び図6を参照すると、伝達軸92sは、駆動軸91sと同軸上に配置されている。伝達軸92sは、駆動軸91sの一端部側に嵌合している。伝達軸92sと駆動軸91sは、一体になって回転できる。
【0034】
図3又は図4及び図6を参照すると、操作ユニット10は、切替操作部1hを内部に備えている。切替操作部1hは、保持部となる断面C形のブラケット11と操作部となるネジ部材12を含んでいる。切替操作部1hは、従動ギヤ13gと駆動ギヤ11gとが中間ギヤ12gを介して連動する駆動力伝達状態と、従動ギヤ13gと駆動ギヤ11gとの中間ギヤ12gを介する連動が解除された駆動力非伝達状態とを切り替えできる。
【0035】
図6(a)又は図6(c)及び図7(a)に示した状態では、従動ギヤ13gと駆動ギヤ11gとが連動でき、プーリ1Puからの駆動力を駆動軸91sに伝達できる(図1又は図2参照)。図6(b)又は図6(d)及び図7(b)に示した状態では、従動ギヤ13gと駆動ギヤ11gとの連動が解除され、プーリ1Puからの駆動力は駆動軸91sに伝達されない。
【0036】
図3又は図4及び図6から図8を参照すると、ブラケット11は、従動ギヤ13gの両側面を保持する一対の保持片と一対の保持片の基端部を連結する底板を有している。従動ギヤ13gとブラケット11は、一体となって移動できる。ブラケット11の底板は、ネジ部材12が螺合できる雌ネジ部を設けている(図7参照)。
【0037】
図6(e)又は図6(f)及び図7を参照すると、ネジ部材12は、頭部12hと軸部12sを有している。ネジ部材12は、ブラケット11の底板に設けた雌ネジ部と螺合できる(図7参照)。図6(e)又は図6(f)を参照すると、第2ケース12cは、その底部にスロット13を切り欠いている。スロット13には、ネジ部材12を外側から導入できる。
【0038】
図6(e)又は図6(f)を参照すると、スロット13は、幅広部131と幅狭部132を形成している。幅広部131と幅狭部132は連続している。
幅広部131は、ネジ部材12の頭部12hの直径よりも大きな幅に形成される(図7(a)参照)。これにより、幅広部131においては、ネジ部材12の頭部12h及び軸部12sの移動が許容される。
幅狭部132は、ネジ部材12の頭部12hの直径よりも小さくかつ軸部12sの直径よりも大きな幅に形成される。これにより、幅狭部132においては、ネジ部材12の軸部12sの移動のみが許容される(図7(b)参照)。
幅広部131と幅狭部132は、伝達軸92sと略平行に形成されている。又、幅広部131は、駆動力伝達状態においてネジ部材12が位置する側に配置される。幅狭部132は、駆動力非伝達状態においてネジ部材12が位置する側に配置される。
【0039】
図7(a)を参照して、ネジ部材12をブラケット11に締め込んだ状態では、ネジ部材12の頭部12hは、少なくとも一部が幅広部131まで進入している。この状態においては、幅広部131と幅狭部132の段差に頭部12hが接触することで、ネジ部材12の幅広部131側から幅狭部132側への移動が規制されている。つまり、駆動力伝達状態においてネジ部材12を締め込んでおくことで、駆動力伝達状態から駆動力非伝達状態に状態を変更することを制限できる。
図7(b)を参照して、ネジ部材12をブラケット11から弛緩させた状態では、ネジ部材12の頭部12hは、第2ケース12cの下面よりも下方(外側)に突出し、スロット13部分には軸部12sが挿通した状態となる。この状態においては、ネジ部材12は、幅広部131と幅狭部132との間で移動が許容される。つまり、ネジ部材12をブラケット11から弛緩させた状態では、駆動力伝達状態と駆動力非伝達状態との状態の変更が可能となる。
【0040】
図3及び図7(a)を参照すると、操作ユニット10は、第2ケース12cの下面の下方を覆う矩形のプレート1pを備える。プレート1pは、ブラインドBdの略全幅に渡る長さを有し、プリーツスクリーンSpの上端をヘッドボックスBhに着脱可能に連結する。プレート1pは、第2ケース12cに差し込まれることで操作ユニット10の底面側を覆う。プレート1pは、弾性を利用して下方からヘッドボックスBh及び第2ケースの下面から差し込むことが可能である。
駆動力伝達状態においてネジ部材12をブラケット11に締め込んだ状態では、第2ケース12cの下面に頭部12hが突出しておらず、プレート1pを第2ケース12cに差し込むことができる(図3参照)。
【0041】
図7(b)を参照して、ネジ部材12をブラケット11から弛緩させた状態では、第2ケース12cの下面に頭部12hが突出しており、プレート1pを第2ケース12cに差し込むと、プレート1pの板厚面が頭部12hに接触することで、プレート1pの進入が阻止される。ここで、駆動力非伝達状態では、ネジ部材12はスロット13の幅狭部132に位置するのでネジ部材12を締め込むことはできない。よって、駆動力非伝達状態では、プレート1pを第2ケース12cに差し込めないので、誤って駆動力非伝達状態で作業を完了してしまうことを防げる。
【0042】
[遮蔽装置の作用]
次に、実施形態によるブラインドBdの動作を説明しながら、ブラインドBdの作用及び効果を説明する。
【0043】
図8(a)を参照すると、ボールチェーンコネクタ1Cnが操作ユニット10に当接しているが、ボトムレールRbは床面に着地しており、ボトムレールRbの下限位置を調整する必要がある。
【0044】
図8(b)を参照して、ボールチェーン1Cbの手前側を下方に少し引いて、ボールチェーン1Cbを解放すると、ボトムレールRbの下限位置を所望の位置に設定できる。次いで、プレート1pの一端部を第2ケース12cから下方に引き出して切替操作部1h(ネジ部材12)を露出させる。
【0045】
次いで、ネジ部材12を弛緩させて頭部12hを第2ケース12cの下面に突出させる。この状態でネジ部材12を操作してブラケット11に保持されている従動ギヤ13gを伝達軸92sの軸方向に摺動させる(図6参照)。すると、中間ギヤ12gと従動ギヤ13gの噛み合いが解除されて駆動力伝達状態から駆動力非伝達状態に状態が変更されるので、プーリ1Puを空転させられる。これにより、ボトムレールRbの位置を変えることなくプーリ1Puに対するボールチェーン1Cbの組付け状態を調整できる。
【0046】
次いで、プーリ1Puに対するボールチェーン1Cbの組付け状態を調整した後、ネジ部材12を操作して駆動力非伝達状態から駆動力伝達状態に状態を変更する。これにより、図8(c)に示すように、ボールチェーンコネクタ1Cnが操作ユニット10に当接した状態で、ボトムレールRbの下限位置を所望の位置に設定できる。
その後、ネジ部材12を締め込んで頭部12hをスロット13の幅広部131に進入させ、プレート1pを第2ケース12cに下方から差し込む。
【0047】
次に、ボールチェーン1Cbの組付け手順を説明する。図9(a)に示した駆動力伝達状態では、駆動ギヤ11g、中間ギヤ12g、及び、従動ギヤ13gが互いに噛み合っている。図9(b)に示した駆動力非伝達状態では、中間ギヤ12gと従動ギヤ13gの噛み合いが解除されることで、プーリ1Puをフリーにできる(空転できる)。
【0048】
図9(b)に示すように、プーリ1Puがフリーの状態では、プリーツスクリーンSpを昇降させることなく、プーリ1Puの手前側からボールチェーン1Cbをプーリ1Puに巻き掛けできる(図9(c)参照)。図9(d)を参照して、ボールチェーンコネクタ1Cnの位置が調整できたら、再び、操作ユニット10の内部を駆動力伝達状態に戻す。
【0049】
図9に示すように、実施形態によるブラインドBdは、ボトムレールRbの下限位置を容易に調整できるのみでなく、ボールチェーン1Cbをプーリ1Puに容易に巻き掛けできる。
【0050】
図3から図9を参照すると、実施形態によるブラインドBdは、駆動ギヤ11gと従動ギヤ13gとの連動を解除して駆動軸91sに対するプーリ1Puからの駆動力を非伝達状態とすることで、プーリ1Puを空転可能な状態に切り替えることができるため、プーリに対するボールチェーン1Cbの組付け状態を容易に調整できる。
【0051】
図3から図9を参照すると、実施形態によるブラインドBdは、従動ギヤ13gと一体回転し、プーリ1Puの駆動力を駆動軸91sに伝達可能な伝達軸92sを更に備えており、切替操作部1hのブラケット11は、従動ギヤ13gを伝達軸92s上で摺動させて駆動ギヤ11gとの連動を解除することで、駆動力伝達状態から駆動力非伝達状態に切り替えることができる。
【0052】
実施形態によるブラインドBdは、既存の操作ユニットにおける軸やギヤなどの配置を変更せずに、従動ギヤ13gを伝達軸92s上で摺動させる調整機構でボトムレールの下限位置を調整できるため、操作負荷に対する強度を維持しながらも、大幅な設計変更や部品点数増加に伴うコストアップを抑止できる。
【0053】
図3から図9を参照すると、切替操作部1hは、従動ギヤ13gを伝達軸92s上で摺動可能に保持するブラケット11と、切替操作部1hが収容される操作ユニット10の外部からブラケット11を伝達軸92s上で摺動操作するネジ部材12と、を備えているので、操作ユニット10の内部に収容された切替操作部1hを操作ユニット10の外部から操作でき、外観意匠に大きな影響を与えず、ボトムレールRbの下限位置の調整機構を実現できる。
【0054】
図6(e)又は図6(f)及び図7を参照すると、実施形態による操作ユニット10は、幅広部131が駆動力伝達状態においてネジ部材12が位置する側に配置され、幅狭部132が駆動力非伝達状態においてネジ部材12が位置する側に配置される。これにより、駆動力伝達状態においてネジ部材12を締め込んでおくことで、駆動力伝達状態から駆動力非伝達状態に状態を変更することを制限できる。
また、ネジ部材12をブラケット11から弛緩させた状態では、第2ケース12cの底面に頭部12hが突出しており、プレート1pを第2ケース12cの底面に差し込めない。ここで、駆動力非伝達状態では、ネジ部材12はスロット13の幅狭部132に位置しておりネジ部材12を締め込むことはできないため、駆動力非伝達状態において、プレート1pを第2ケース12cに差し込めない。よって、誤って駆動力非伝達状態で作業を完了してしまうことを防げる。
【0055】
図8又は図9を参照すると、ボールチェーン1Cbは、操作ユニット10と当接することで、プリーツスクリーンSpの下限位置を規制するボールチェーンコネクタ1Cnを有し、ボールチェーンコネクタ1Cnは、駆動力非伝達状態でボールチェーン1Cbが操作された場合、プリーツスクリーンSpの昇降位置が維持された状態で操作ユニット10に対して近接又は離間するように移動する。
【0056】
実施形態による操作ユニット10は、プーリを空転させて操作ユニット10に対するボールチェーンコネクタ1Cnの位置を調整できるため、プリーツスクリーンSpの下限位置を容易に調整できる。そのため、プリーツスクリーンSpの下限位置を適切な位置に調整しながらボールチェーン1Cbを組付けたり、ブラインドBdを設置した後に、ボールチェーン1Cbを操作して下限位置を再調整したりする作業を容易に実施できる。
【0057】
[遮蔽装置の変形例]
実施形態による遮蔽装置は、プーリ1Puを空転させることでプリーツスクリーンSpの下限位置を調整する方法を開示したが、第1の変形例による操作ユニット20は、図10(a)に示すように、中間ギヤ12gを上方に移動して、プーリ1Puを空転させることができる。
【0058】
一方、第2の変形例による操作ユニット30は、図10(b)に示すように、プーリ1Puを軸方向に移動することで、プーリ1Puを空転させることができる。
【0059】
本発明による遮蔽装置は、プーリを空転状態にすることで、ボールチェーンをプーリに容易に巻き掛けできるという作業性の向上の効果もある。
【0060】
尚、上述した実施形態では、駆動ギヤ11gと従動ギヤ13gとを、中間ギヤ12gを介して連動させたが、これに限らない。即ち、駆動ギヤと従動ギヤとを直接噛み合わせて連動させてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1Cb ボールチェーン(操作部材)
1Pu プーリ
11 ブラケット(保持部)
12 ネジ部材(操作部)
1h 切替操作部
11g 駆動ギヤ
13g 従動ギヤ
91s 駆動軸
Bd ブラインド(遮蔽装置)
Sp プリーツスクリーン(遮蔽材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10