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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/03 20060101AFI20240920BHJP
   H01R 13/405 20060101ALI20240920BHJP
   H01R 31/06 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H01R9/03 A
H01R13/405
H01R31/06 P
H01R31/06 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021036479
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136729
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】熊沢 和也
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-081373(JP,A)
【文献】特開2012-186920(JP,A)
【文献】特開2000-209739(JP,A)
【文献】特開2014-143899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/03
H01R 13/405
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込口を有するコネクタ部と、バスバーを有するバスバー部と、を備え、
前記バスバーは、
第1方向に沿って延出した第1接続部と、
前記第1方向に沿って前記第1接続部とは反対向きに延出し、前記差込口に差し込まれる第2接続部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部を連結する連結部と、を備え、
前記第1接続部及び前記第2接続部の各々は、前記第1方向と交差する第2方向において厚みを有し、
前記第1接続部、前記第2接続部及び前記連結部の各々は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において幅を有し、
前記バスバーは、第1バスバー及び第2バスバーを含み、
前記第1バスバー及び前記第2バスバーの各々は、前記第1接続部、前記第2接続部及び前記連結部を有し、
前記第3方向において、前記第2バスバーの前記連結部が前記第1バスバーの前記連結部よりも長く延びており、
前記第1バスバーでは、前記連結部における前記第1接続部と隣接する側の一端から前記連結部における前記第2接続部と隣接する側の他端にかけて、前記連結部の幅が前記第1接続部及び前記第2接続部の各々の幅より広くなっており、
前記第1バスバーでは、前記連結部における前記一端から前記他端までの距離が、前記第1接続部及び前記第2接続部の各々の幅より長く、
前記第1バスバーの前記連結部は、前記第1接続部と隣接して前記第1接続部と交差した隣接部分と、前記隣接部分から折れ曲がり前記第2接続部が位置する側に向かって延出した延出部分と、を備え、
前記第1バスバーでは、前記隣接部分及び前記延出部分の各々の幅が前記第1接続部及び前記第2接続部の各々の幅よりも広くなっており、
前記延出部分の幅は、前記隣接部分の幅以下である、コネクタ組立体。
【請求項2】
前記第1バスバーの前記第2接続部と、前記第2バスバーの前記第2接続部とは、互いに異なる機器と電気的に接続される、請求項に記載のコネクタ組立体。
【請求項3】
前記バスバー部は、前記第1方向において前記コネクタ部と組み付けられ、
前記隣接部分は、前記連結部における前記一端から、前記第2方向に延出し、
前記延出部分は、前記第1方向において前記第2接続部が延出する向きと同じ向きに屈曲し、前記連結部における前記他端まで延出している、請求項1又は2に記載のコネクタ組立体。
【請求項4】
前記第1バスバーの前記連結部における前記一端から前記他端までの距離は、屈曲した前記延出部分が仮に伸ばされた場合の前記第1バスバーの前記連結部における前記一端から前記他端までの距離である、請求項に記載のコネクタ組立体。
【請求項5】
前記第1バスバーの前記第1接続部と、前記第1バスバーの前記第2接続部とが前記第3方向において互いに異なる位置にある、請求項乃至のいずれか一項に記載のコネクタ組立体。
【請求項6】
前記第1バスバーは、前記第3方向に並ぶ複数の第1バスバーであり、
前記第2バスバーは、前記第3方向に並ぶ複数の第2バスバーであり、
前記第3方向において、前記複数の第2バスバーの各々の前記連結部が前記複数の第1バスバーの各々の前記連結部よりも長く延びており、
前記複数の第1バスバーの各々では、前記連結部における前記一端から前記他端にかけて、前記連結部の幅が前記第1接続部及び前記第2接続部の各々の幅より広くなっており、且つ、前記連結部における前記一端から前記他端までの距離が、前記第1接続部及び前記第2接続部の各々の幅より長い、請求項乃至のいずれか一項に記載のコネクタ組立体。
【請求項7】
前記複数の第1バスバーは、前記第3方向に並ぶ3つ以上の第1バスバーであり、
前記3つ以上の第1バスバーのうち、2つの第1バスバーの間に配置される第1バスバーでは、前記2つの第1バスバーの各々よりも、前記第3方向における前記連結部の両端間の距離が長い、請求項に記載のコネクタ組立体。
【請求項8】
前記バスバー部は、前記複数の第1バスバー及び前記複数の第2バスバーを保持するホルダを有し、
前記複数の第1バスバーの各々が有する前記連結部の全体、及び、前記複数の第2バスバーの各々が有する前記連結部の全体が、前記ホルダを構成する絶縁性の樹脂材料中に埋め込まれている、請求項又はに記載のコネクタ組立体。
【請求項9】
前記コネクタ部は、前記第2接続部と電気的に接続される端子と、前記端子の一部分が通過する空洞部を有する端子保持部と、前記空洞部において前記端子周りに配置されるパッキンと、を有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ組立体に係り、特に、複数のバスバーを有するバスバー部をコネクタ部に組み付けることで構成されるコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバーを介して機器同士を電気的に接続させる構造の一例として、バスバーを備えるバスバー部とコネクタ部とを備えたコネクタ組立体が挙げられる。このコネクタ組立体のバスバー部とコネクタ部とは、別々に設けられていて、使用前の段階では分離しており、使用の際に、バスバーの端部に設けられた接続部をコネクタ部の差込口に差し込むことで互いに組み付けられる。
【0003】
上記のコネクタ組立体の一例としては、図22に示すコネクタ組立体1が挙げられる(特許文献1参照)。特許文献1に示すコネクタ組立体1は、ハイブリッド車両用コネクタであり、3相交流用の2つのモータMをインバータと電気的に接続させるために用いられる。コネクタ組立体1は、2組のバスバー群2、3を有し、それぞれのバスバー群2、3は、U極バスバー4、7と、V極バスバー5、8と、W極バスバー6、9とを有する。
【0004】
各相のバスバーにおけるモータ側の両端部には接続部が設けられ、一方の接続部は、インバータに接続され、もう一方の接続部は、モータ側に設けられた不図示のコネクタ部の差込口に差し込まれてモータに接続される。この結果、バスバーを介してインバータとモータとが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-8656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したコネクタ組立体では、モータ及びインバータがバスバーに直接連結される場合に比べて接触抵抗が大きくなる等の理由から、通電時におけるバスバーでの発熱量が大きくなる傾向にある。このため、各バスバーの温度が上昇し、その温度上昇による影響がバスバー周辺の機器等に及ぶ虞がある。また、バスバーが短くなるほど、バスバーでの温度上昇が顕著になり得る。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。本発明は、上記従来技術の問題点を解決するものであり、通電時のバスバーでの温度上昇を抑えることが可能なコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のコネクタ組立体は、差込口を有するコネクタ部と、バスバーを有するバスバー部と、を備え、バスバーは、第1方向に沿って延出した第1接続部と、第1方向に沿って第1接続部とは反対向きに延出し、差込口に差し込まれる第2接続部と、第1接続部及び第2接続部を連結する連結部と、を備え、第1接続部及び第2接続部の各々は、第1方向と交差する第2方向において厚みを有し、第1接続部、第2接続部及び連結部の各々は、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において幅を有し、連結部における第1接続部と隣接する側の一端から連結部における第2接続部と隣接する側の他端にかけて、連結部の幅が第1接続部及び第2接続部の各々の幅より広くなっており、連結部における一端から他端までの距離が、第1接続部及び第2接続部の各々の幅より長いことを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された本発明のコネクタ組立体では、バスバーにおいて、連結部の表面積をより広くすることで、連結部からの放熱量を増やすことができる。これにより、通電時におけるバスバーでの温度上昇を抑制することが可能となる。
【0010】
また、本発明のコネクタ組立体において、バスバーは、第1バスバー及び第2バスバーを含み、第1バスバー及び第2バスバーの各々は、第1接続部、第2接続部及び連結部を有してもよい。また、第3方向において、第2バスバーの連結部が第1バスバーの連結部よりも長く延びてもよい。この場合、第1バスバーでは、連結部における一端から他端にかけて、連結部の幅が第1接続部及び第2接続部の各々の幅より広くなっており、且つ、連結部における一端から他端までの距離が、第1接続部及び第2接続部の各々の幅より長いと、好適である。
上記の構成によれば、第2バスバーに比べて短い第1バスバーにおいて、連結部の表面積を広くして、連結部からの放熱量を増やすことができる。
【0011】
また、本発明のコネクタ組立体において、第1バスバーの第2接続部と、第2バスバーの第2接続部とは、互いに異なる機器と電気的に接続されてもよい。
【0012】
また、本発明のコネクタ組立体において、第1バスバーの連結部は、第1接続部と隣接して第1接続部と交差した隣接部分と、隣接部分から折れ曲がり第2接続部が位置する側に向かって延出した延出部分と、を備えてもよい。この場合において、第1バスバーでは、隣接部分及び延出部分の各々の幅が第1接続部及び第2接続部の各々の幅よりも広くなっており、延出部分の幅は、隣接部分の幅以下であると、好適である。
上記の構成によれば、第1バスバーにおける連結部の表面積を広くして、連結部からの放熱量を増やすことができる。
【0013】
また、本発明のコネクタ組立体において、バスバー部は、第1方向においてコネクタ部と組み付けられてもよい。また、隣接部分は、連結部における一端から、第2方向に延出し、延出部分は、第1方向において第2接続部が延出する向きと同じ向きに屈曲し、連結部における他端まで延出してもよい。
上記の構成によれば、第1バスバーにおける連結部の表面積をより広くして、連結部からの放熱量を増やすことができる。
【0014】
さらに、上記の構成において、第1バスバーの連結部における一端から他端までの距離は、屈曲した延出部分が仮に伸ばされた場合の第1バスバーの連結部における一端から他端までの距離であってもよい。
上記の構成によれば、第1バスバーにおける連結部の表面積をより広くして、連結部からの放熱量を増やすことができる。
【0015】
また、本発明のコネクタ組立体において、第1バスバーの第1接続部と、第1バスバーの第2接続部とが第3方向において互いに異なる位置にあってもよい。
第1バスバーにおける第1接続部及び第2接続部の位置が異なる場合には、各々の接続部に接続される機器又は端子等の位置について自由度が高まる。
【0016】
また、本発明のコネクタ組立体において、第1バスバーは、第3方向に並ぶ複数の第1バスバーであり、第2バスバーは、第3方向に並ぶ複数の第2バスバーであり、第3方向において、複数の第2バスバーの各々の連結部が複数の第1バスバーの各々の連結部よりも長く延びてもよい。この場合には、複数の第1バスバーの各々では、連結部における一端から他端にかけて、連結部の幅が第1接続部及び第2接続部の各々の幅より広くなっており、且つ、連結部における一端から他端までの距離が、第1接続部及び第2接続部の各々の幅より長いと好適である。
上記の構成であれば、複数の第1バスバーの各々において、連結部の表面積をより広くして連結部からの放熱量を増やすことにより、通電時の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0017】
また、本発明のコネクタ組立体において、複数の第1バスバーは、第3方向に並ぶ3つ以上の第1バスバーでもよい。この場合、3つ以上の第1バスバーのうち、2つの第1バスバーの間に配置される第1バスバーでは、2つの第1バスバーの各々よりも、第3方向における連結部の両端間の距離が長いと、好適である。
2つの第1バスバーの間に配置される第1バスバーでは、通電時、熱が放出され難い傾向にある。そのような状況であっても、上記の構成であれば、2つの第1バスバーの間に配置される第1バスバーの温度上昇を効果的に抑えることができる。
【0018】
また、本発明のコネクタ組立体において、バスバー部は、複数の第1バスバー及び複数の第2バスバーを保持するホルダを有してもよい。この場合、複数の第1バスバーの各々が有する連結部の全体、及び、複数の第2バスバーの各々が有する連結部の全体が、ホルダを構成する絶縁性の樹脂材料中に埋め込まれていると好適である。
本発明では放熱量を増加させるために第1バスバーの連結部の幅を広げるため、第1バスバーの連結部同士の間隔が狭くなっており、例えば第1バスバーの位置がずれた場合には連結部同士が接する可能性がある。これに対して、上記の構成によれば、各バスバーの連結部の全体が絶縁性の樹脂材料中に埋め込まれているため、連結部同士の間隔を一定に維持することができ、これにより、連結部同士の接触を回避することができる。また、連結部同士の間を絶縁性の樹脂材料によって埋めることにより、バスバー間の絶縁性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明のコネクタ組立体において、コネクタ部は、第2接続部と電気的に接続される端子と、端子の一部分が通過する空洞部を有する端子保持部と、空洞部において端子周りに配置されるパッキンと、を有してもよい。
上記の構成であれば、通電時における第1バスバーでの温度上昇を抑制することにより、温度上昇による影響がバスバー部周辺に及ぶのを抑えることができる。具体的には、コネクタ部において使用されるパッキンの材質について選定上の制約を緩和させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バスバー部が有するバスバーにおいて、連結部の表面積を広くして連結部からの放熱量を増やすことで、通電時における温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一つの実施形態に係るコネクタ組立体の斜視図である。
図2】本発明の一つの実施形態に係るコネクタ組立体を+Y側から見た図である。
図3】本発明の一つの実施形態に係るコネクタ組立体を+Z側から見た図である。
図4】本発明の一つの実施形態に係るコネクタ組立体を+X側から見た図である。
図5図2に示すA-A断面の図である。
図6】バスバー部とコネクタ部とに分離されたコネクタ組立体を示す図である。
図7】コネクタ部の斜視図である。
図8】コネクタ部を+Y側から見た図である。
図9】コネクタ部を+Z側から見た図である。
図10】コネクタ部を+X側から見た図である。
図11】バスバー部の斜視図である。
図12】バスバー部を+Y側から見た図である。
図13】バスバー部を+Z側から見た図である。
図14】バスバー部を+X側から見た図である。
図15】バスバー部に設けられた複数のバスバーの斜視図である。
図16】バスバー部に設けられた複数のバスバーを+Y側から見た図である。
図17】バスバー部に設けられた複数のバスバーを+Z側から見た図である。
図18】バスバー部に設けられた複数のバスバーを+X側から見た図である。
図19】樹脂部における各バスバーの配置位置を示す図である。
図20】第1バスバー各部の寸法を示す斜視図である(その1)。
図21】第1バスバー各部の寸法を示す斜視図である(その2)。
図22】従来のコネクタ組立体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のコネクタ組立体について、添付の図面に示した具体例を参照しながら説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明のコネクタ各部の材質及び形状等は、本発明の用途及び本発明の実施時点での技術水準等に応じて任意に設定できる。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0023】
また、本発明では、互いに交差する(厳密には直交する)3つの方向として、第1方向、第2方向及び第3方向を規定しており、以下の説明では、第1方向をZ方向とし、第2方向をY方向とし、第3方向をX方向とする。Z方向は、後述のバスバー部がコネクタ部に組み付けられる方向であるとともに、コネクタ組立体の上下方向、並びに、その構成部品であるバスバー部及びコネクタ部の各々の上下方向に相当する。ここで、+Z側(上側)は、コネクタ組立体においてコネクタ部から見てバスバー部が位置する側であり、-Z側(下側)は、コネクタ組立体においてバスバー部から見てコネクタ部が位置する側である。
【0024】
また、本明細書において、「直交」及び「平行」は、本発明の技術分野において一般的に許容される誤差の範囲を含み、厳密な直交及び平行に対して数度(例えば2~3°)未満の範囲内でずれている状態も含むものとする。
【0025】
また、説明上の便宜のため、以下では、バスバー部をコネクタ部に組み付けることを、単に「組み付け」と呼び、バスバー部がコネクタ部に組み付けられている状態を、「組み付け状態」と呼ぶこととする。
【0026】
<<コネクタ組立体の構成例について>>
本発明の一つの実施形態に係るコネクタ組立体(以下、コネクタ組立体10)の構成例について、図1~21を参照しながら説明する。図5に示す断面は、図2のA-A断面であり、後述する差込口を通過する断面(YZ面)である。
【0027】
コネクタ組立体10は、例えばハイブリッド車両において車載モータ(不図示)とインバータ(不図示)とを電気的に接続させるために用いられ、図1~4に示す外観を有する。車載モータ及びインバータは、三相交流用の機器であり、コネクタ組立体10は、図1及び6等に示すように三相(U極、V極、W極)のバスバー21,22,23,24,25,26を有する。
【0028】
各バスバーは、比較的大容量の電流を導電するための導電体であり、例えば、銅、真鍮又はアルムニウム等の金属板片によって構成されている。
【0029】
本発明のコネクタ組立体10は、バスバー部12とコネクタ部14とを備え、バスバー部12及びコネクタ部14は、組立性向上の観点から、図6に示すように互いに分離可能である。バスバー部12は、インバータに接続され、図1及び6に示すように、3つのバスバーからなるバスバーユニット30,40を二組備える。各バスバーユニットには、U極バスバー21,24と、V極バスバー22,25と、W極バスバー23,26とが一つずつ含まれている。
【0030】
また、各バスバーの両端部には、Z方向において互いに反対向きに延出する接続部が設けられている。このうち、+Z側に延出する接続部が第1接続部27であり、-Z側に延出する接続部が第2接続部28である。第2接続部28は、コネクタ部14側の端子に接続される。
【0031】
二組のバスバーユニット30,40のそれぞれに含まれるバスバーの第1接続部27は、いずれも、共通の機器に接続され、例えばインバータ(詳しくは、インバータ側の端子)と電気的に接続される。他方、バスバーの第2接続部28は、バスバーユニット間で異なる機器に接続され、例えば、一方のバスバーユニット30に含まれるバスバーの第2接続部28は、車両走行用のモータ(詳しくは、モータ側の端子)と電気的に接続される。もう一方のバスバーユニット40に含まれるバスバーの第2接続部28は、充電用モータ(詳しくは、モータ側の端子)と電気的に接続される。
【0032】
コネクタ部14は、モータ側に固定されており、図6に示すように、+Z側の端面にバスバーと同数(つまり、6個)の差込口15を備える。差込口15は、規則的に並べて配置されてもよく、例えば、図6に示すように、3つの差込口15がX方向に直線状に並んで列をなし、その列がY方向に間隔を空けて一対設けられてもよい。ただし、これに限定されるものではなく、差込口15が不規則に配置されてもよい。
【0033】
そして、Z方向においてバスバー部12がコネクタ部14に組み付けられることで、図1に示す状態のコネクタ組立体10が組み立てられる。具体的には、組み付け時において、各バスバーの第2接続部28が、対応する差込口15に差し込まれる。組み付け状態では、図5に示すように、各バスバーの第2接続部28が、コネクタ部14の内部空間にてコネクタ内端子16と接触する。コネクタ内端子16は、第2接続部28が差し込まれる側とは反対側で主端子17に接触しており、主端子17は、モータと電気的に接続されている。
【0034】
以上の要領にてコネクタ組立体10が組み立てられることにより、モータとインバータとがバスバーを介して電気的に接続されて導通状態となる。
【0035】
(コネクタ部)
コネクタ部14の構成例について、図7~10を参照しながら詳しく説明する。コネクタ部14は、3つの部分からなり、図7~10に示すように、+Z側から、コネクタ本体51、ベース部52、端子保持部53及び主端子17を有する。ベース部52は、Z方向から見た場合の形状が略矩形状である板状の部分であり、コネクタ部14を車内の隔壁(不図示)に固定するための基台となる。ベース部52の中央部分には、コネクタ本体51を嵌め込む嵌合孔が設けられている。
【0036】
コネクタ本体51は、ベース部52の+Z側の表面から+Z側に突出した箱型の部分であり、コネクタ本体51の+Z側の端面には、図7及び9に示すように複数の差込口15が設けられている。コネクタ本体51の内部は、各差込口15と連通しており、コネクタ本体51の内部には、差込口15と同数のコネクタ内端子16が収容されている(図5参照)。
【0037】
端子保持部53は、ベース部52の-Z側の表面から-Z側に突出したステップ形状をなす部分であり、その内部には、差込口15と同数の空洞部54が形成されている。各空洞部54には、図5に示すように、対応する一つの主端子17が入り込んでおり、その主端子17の一部分が通過している。
【0038】
主端子17は、端子の一例であり、例えば、バスバー部12に備わるバスバー(第1バスバー及び第2バスバー)とは異なる他のバスバーによって構成されている。主端子17の数は、差込口15と同数であり、各主端子17の-Z側の端部は、空洞部54から外に出て露出しており、その露出部分には、不図示のモータ側端子が主端子17に接触した状態でボルト止めされる。そして、組み付け状態では、各主端子17が、コネクタ内端子16を介して、対応するバスバーの第2接続部28と電気的に接続される。すなわち、主端子17は、バスバー部12に備わるバスバー及びコネクタ内端子16とともに、インバータとモータとの間を流れる電流の経路をなす。
【0039】
また、コネクタ部14は、図5に示すように、空洞部54内に収容されたパッキン55を備える。パッキン55は、主端子17において空洞部54を通過する部分に装着され、空洞部54の内壁面と主端子17との間の隙間を封止する。このパッキン55により、モータ側から空洞部54内に進入したオイル等が上記の隙間を通じてインバータ側(すなわち、バスバー部12側)に流出するのを防ぐことができる。
【0040】
(バスバー部)
バスバー部12の構成例について、図11~14を参照しながら詳しく説明する。バスバー部12は、第1バスバーユニット30、第2バスバーユニット40、及びこれらのユニットを構成する各バスバーを保持するホルダ60を有する。第1バスバーユニット30に含まれるバスバーが第1バスバーであり、、第2バスバーユニット40に含まれるバスバーが第2バスバーである。
【0041】
第1バスバーユニット30及び第2バスバーユニット40は、それぞれ、X方向に並ぶ複数のバスバーであり、具体的には、図11~14に示す3つのバスバーによって構成されている。各バスバーユニットでは+X側からU極バスバー21,24、V極バスバー22,25、及びW極バスバー23,26が順に並んでいる。第1バスバーユニット30を構成する3つのバスバー21,22,23は、複数の第1バスバーに相当し、第2バスバーユニット40を構成する3つのバスバー24,25,26は、複数の第2バスバーに相当する。
【0042】
第1バスバーユニット30及び第2バスバーユニット40は、X方向において互いに異なる位置に配置されている。具体的には、図11~13に示すように、+X側に第1バスバーユニット30が、-X側に第2バスバーユニット40が、それぞれ配置されている。また、第1バスバーユニット30では、3つのバスバー21,22,23がバスバー間に間隔を空けて配置され、詳しくは後述する連結部29がX方向にずれて配置されるように並べられている(図15~17参照)。第2バスバーユニット40では、3つのバスバー24,25,26がX方向及びY方向にずらして配置されている。詳しくは、3つのバスバー24,25,26は、それぞれの連結部29をY方向に重ねて、且つ+X側に向かうにつれて、重なる連結部29の数が増えるように並べられている(図15~17参照)。
【0043】
それぞれのバスバーユニットを構成する各バスバーは、前述したように、Z方向における両端部に接続部、詳しくは第1接続部27及び第2接続部28を有する。第1接続部27及び第2接続部28は、図11及び13に示すように、Z方向において互いに反対の向きに延出している。
【0044】
第1接続部27は、各バスバーにおいてコネクタ部14とは反対側(+Z側)に設けられて+Z側に延出しており、正面視(Y方向から見たとき)の形状が長方形状をなしている。また、図11~13に示すように、第1バスバーユニット30に含まれる各バスバーの第1接続部27は、X方向において、第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの第1接続部27とは異なる位置にあり、組み付け状態では、X方向においてコネクタ部14により近い側(すなわち+X側)に位置する。
【0045】
第2接続部28は、各バスバーにおいてコネクタ部14が位置する側(-Z側)に設けられて-Z側に延出しており、正面視(Y方向から見たとき)の形状が長方形状をなしている。各バスバーでは、図11~13、15及び16に示すように、第2接続部28がX方向において第1接続部27とは異なる位置にあり、+X側にずれている。X方向において第1接続部27と第2接続部28とが異なる位置にあるとは、X方向における第1接続部27の中央位置と第2接続部28の中央位置との間にずれが存在することを意味する。
なお、X方向における第1接続部27と第2接続部28との間のずれ量は、第1バスバーユニット30に含まれる各バスバーに比べて、第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの方でより大きくなっている。
【0046】
また、第1バスバーユニット30に含まれる各バスバーの第2接続部28と、第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの第2接続部28は、いずれも、バスバー部12の+X側端部にあり、具体的には、後述する第1保持部63の-Z側の端面から延出している。また、図11、12に示す構成では、第1バスバーユニット30と第2バスバーユニット40との間で、U極バスバー21,24の第2接続部28がX方向において略同じ位置に配置されている。同様に、X方向におけるV極バスバー22,25の第2接続部28の位置は、バスバーユニット間で略同じ位置であり、W極バスバー23,26の第2接続部28の位置もバスバーユニット間で略同じ位置である。
【0047】
なお、第1バスバーユニット30及び第2バスバーユニット40の各々を構成するバスバーの個数は、コネクタ組立体10に接続される電気機器の仕様に応じて決められればよく、3個以上でもよいし、あるいは2個以下でもよい。
【0048】
また、各バスバーは、第1接続部27と第2接続部28との間に連結部29を有する(図15~21参照)。連結部29は、第1接続部27と第2接続部28とを連結する部分であり、連結部29の構成については、後に詳しく説明することとする。
【0049】
ホルダ60は、絶縁性の樹脂成型品である。ホルダ60を構成する樹脂材料としては、耐熱性に優れた材料が好ましく、例えばポリフェニルレンサルファイド(PPS)等が利用可能である。ホルダ60は、図11~14に示すようにプレート状の長尺部61と、長尺部61の-Z側の面から-Z側に突出した保持部62を有する。
【0050】
長尺部61は、X方向に延びた部分であり、各バスバーの第1接続部27がZ方向に貫通している。具体的には、図11~14に示すように、長尺部61の+X側では第1バスバーユニット30の各バスバーの第1接続部27が突出しており、長尺部61の-X側では第2バスバーユニット40の各バスバーの第1接続部27が突出している。なお、図11及び13に示す構成では、第1バスバーユニット30に含まれるバスバー21,22,23の第1接続部27、及び、第2バスバーユニットに含まれるバスバー24,25,26の第1接続部27がX方向に一直線上に並んでいる。
【0051】
保持部62は、各バスバーの連結部29が埋設されている部分であり、図11及び13に示すように第1保持部63及び第2保持部64に分かれている。
【0052】
第2保持部64は、保持部62のうち、-X側に位置する部分であり、第2保持部64には、第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの連結部29が埋設されている。第2保持部64は、図11及び13に示すようにX方向に延び、且つY方向において3段階で厚みが変化し、+X側に向かって厚みが大きくなっている。第2保持部64において厚みが変わる部分では、埋設される連結部29の数が変化する。例えば、最も厚みが小さい部分には、1つのバスバー26の連結部29が埋設され、最も厚みが大きい部分には、3つのバスバー24,25,26の連結部29が埋設されている。
【0053】
第1保持部63は、保持部62のうち、+X側に位置し、X方向において第2保持部64と連続する部分である。第1保持部63には、第1バスバーユニット30に含まれる各バスバーの連結部29、及び、第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの連結部29(厳密には、連結部29のうちの+X側部分)が埋め込まれている。
【0054】
第1保持部63の-Z側の端面からは、図11~13に示すように、第1バスバーユニット30及び第2バスバーユニット40のそれぞれに含まれるバスバー(つまり、6つのバスバー)の第2接続部28が突出している。
【0055】
以上のホルダ60により、第1バスバーユニット30に含まれる3つのバスバー、及び第2バスバーユニット40に含まれる3つのバスバーが、バスバー間に所定の間隔(クリアランス)を設けた状態で良好に保持されている。これにより、バスバー間の絶縁性が確保され、特に、3つのバスバーがホルダ60と一体成型されることで絶縁性がより向上している。
【0056】
より詳しく説明すると、第1バスバーユニット30に含まれる各バスバーの連結部29の全体、及び第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの連結部29の全体が、ホルダ60を構成する樹脂材料中に埋め込まれている(図19参照)。以上により、ホルダ60内において隣り合うバスバーの間(詳しくは、連結部29同士の間)では、ホルダ60をなす絶縁性の樹脂材料が入り込んで一定のクリアランスが確保される。この結果、バスバー同士の接触によって生じる短絡(ショート)を適切に回避することができる。
【0057】
なお、ホルダ60の製造方法としては、不図示の金型によって形成される射出空間の所定位置に複数のバスバーを予めセットしてから樹脂材料を射出空間内に導入する成型方法、すなわちインサート成形(一体成型)が好ましい。ただし、これに限定されず、例えば、ホルダ60を断片化して成形し、複数の断片の各々にバスバーを嵌合させ、バスバーが嵌合された複数の断片を組み合わせてホルダ60を構成してもよい。
【0058】
(各バスバーの連結部)
第1バスバーユニット30及び第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの連結部29について、図15~21を参照しながら詳しく説明する。第1バスバーユニット30に含まれるバスバーの連結部29は、第2バスバーユニット40に含まれるバスバーの連結部29とは異なる構成であり、異なる形状を有する。
【0059】
第1バスバーユニット30に含まれるバスバーの連結部29は、図15に示すように、側方視(X方向から見たとき)の形状が略L字状をなすように屈曲している。換言すると、第1バスバーユニット30では、連結部29が、第1接続部27と隣接して第1接続部27と交差した隣接部分71と、隣接部分71から折れ曲がり第2接続部28が位置する側に向かって延出した延出部分72と、を備える。
【0060】
隣接部分71は、図20及び21に示すように、連結部29における第1接続部27と隣接する側の一端から+Y側に延出している。連結部29における第1接続部27と隣接する側の一端(以下、連結部29における一端という)は、-Y側で屈曲し始める部位(詳しくは、曲率が変化し始める箇所)である。延出部分72は、図20及び21に示すように、Z方向において第2接続部28が延出する向きと同じ向き、すなわち-Z側に屈曲し、連結部29における第2接続部28と隣接する側の他端まで延出している。連結部29における第2接続部28と隣接する側の他端(以下、連結部29における他端という)は、第2接続部28の根元位置と重なる部位であり、換言するとZ方向において連結部29と第2接続部28との間の段差が形成された箇所である。
【0061】
一方、第2バスバーユニット40に含まれるバスバーの連結部29は、図15から分かるように、X方向に長く延びた形状を有する。なお、第2バスバーユニット40に含まれるバスバーのうち、図15及び16に示すように、U極バスバー24及びV極バスバー25では、連結部29の+X側端部及び-X側端部がそれぞれL字状に屈曲している。具体的には、連結部29の-X側端部では、第1接続部27と隣接する側の端から+Y側に延出した後に-Z側に屈曲しており、連結部29の-X側端部では、第2接続部28と隣接するように-Y側及び-Z側に屈曲している。
【0062】
また、第2バスバーユニット40に含まれる各バスバーの連結部29は、図15及び19に示すように、X方向において、第1バスバーユニット30に含まれる各バスバーの連結部29よりも格段に長く延びている。換言すると、第1バスバーユニット30を構成する3つのバスバー21,22,23の各々の連結部29は、第2バスバーユニット40を構成する3つのバスバー24,25,26の各々の連結部29よりも短い。
【0063】
そして、本発明では、第1バスバーユニット30に含まれる各バスバーにおいて、連結部29の寸法が第1接続部27及び第2接続部28の各々の寸法に応じて設定されている。
【0064】
具体的に説明すると、第1バスバーユニット30に含まれる3つのバスバー21,22,23の各々において、第1接続部27及び第2接続部28は、それぞれ、Y方向において厚みを有する。厚みとは、バスバーを構成する金属板のうち、第1接続部27及び第2接続部28の各々に相当する部分の厚み(板厚)である。また、3つのバスバー21,22,23の各々において、第1接続部27、第2接続部28及び連結部29のそれぞれは、X方向において幅を有する。幅は、バスバー各部分におけるX方向一端からX方向他端までの長さであり、バスバー各部分の横幅に相当する。
【0065】
そして、第1バスバーユニット30に含まれる3つのバスバー21,22,23の各々では、図20及び21から分かるように、連結部29の幅が第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅よりも広くなっている。また、各バスバー21,22,23(すなわち、第1バスバー)では、連結部29における一端から他端にかけて、連結部29の幅が第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅より広くなっている。つまり、第1バスバーでは、連結部29における一端から他端までの範囲全域に亘って、連結部29が、第1接続部27及び第2接続部28よりも広い幅を有する。
【0066】
より詳しく説明すると、各バスバー21,22,23では、図20及び21に示すように、連結部29を構成する隣接部分71及び延出部分72の各々の幅が、第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅よりも広くなっている。また、連結部29のうち、延出部分72の幅が隣接部分71の幅以下となっている。図20及び21に示すケースでは、U極バスバー21及びW極バスバー23の各々の連結部29において延出部分72の幅が隣接部分71の幅と略同じあり、V極バスバー22の連結部29では、延出部分72の幅が隣接部分71の幅よりも若干狭くなっている。
【0067】
また、図20及び21に示すように、X方向に並ぶ3つのバスバー21,22,23のうち、2つのバスバー21,23の間に配置されるバスバー(すなわち、V極バスバー22)が有する連結部29の両端間距離は、上記2つのバスバー21,23の各々が有する連結部29の両端間距離よりも長くなっている。両端間距離は、X方向における連結部29の両端間の距離であり、厳密には、連結部29において最も+X側に位置する端から、最も-X側に位置する端までの距離であり、換言すると、連結部29における最大幅に相当する。
【0068】
なお、各バスバー21,22,23の連結部29の形状については、連結部29の幅が上述の条件を満たす限り、任意に決めることができる。例えば、3つのバスバー21,22,23をよりコンパクトに配置する観点から、図20及び21に示すように、隣り合う2つのバスバーの一方が有する連結部29の隣接部分71を、他方のバスバーと対向する側で切り欠き、他方のバスバーが有する連結部29の隣接部分71を、上記の切り欠きに入り込むように突出させたり、当該切り欠きに対応した形状としたりしてもよい。
【0069】
さらに、第1バスバーユニット30に含まれる3つのバスバー21,22,23の各々では、図20及び21に示すように、連結部29の延出長さが、第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅よりも長くなっている。連結部29の延出長さとは、連結部29の一端から他端までの距離であり、より詳しくは、屈曲した延出部分72が仮に伸ばされた場合の連結部29における一端から他端までの距離が、連結部29の延出長さに該当し、図20及び21にて記号d1,d2,d3にて示す距離である。
【0070】
<<本発明のコネクタ組立体の有効性について>>
以上のように、本発明では、第1バスバーユニット30に含まれる3つのバスバーユニット21,22,23の各々において、連結部29の幅が第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅よりも広く、連結部29の延出長さが第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅よりも長くなっている。これにより、通電時におけるコネクタ組立体10の温度上昇を効果的に抑えることができる。
【0071】
詳しく説明すると、本発明のようにバスバー部12をコネクタ部14に組み付けてコネクタ組立体をなす構成では、モータ及びインバータの各々の端子がバスバーに直接繋がれる構成に比べて接触抵抗が大きくなる等の理由から、通電時におけるバスバーでの発熱量が大きくなる傾向にある。特に、第1バスバーユニット30では、第2バスバーユニット40に比べてバスバーの連結部29の長さがより短いため、バスバーにおける温度上昇がより顕著になり得る。
【0072】
以上の事情から、本発明では、第1バスバーユニット30における各バスバーについて、連結部29における一端から他端までの範囲全域に亘って、連結部29の幅が、第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅よりも広くなっている。また、上記の各バスバーにおいて、連結部29の延出長さが、第1接続部27及び第2接続部28の各々の幅よりも長くなっている。このようにして連結部29の表面積を増やすことにより、連結部29からの放熱量を増やすことができ、第1バスバーユニット30における各バスバーの温度上昇が効果的に抑えられる。
【0073】
また、バスバーのうち、第1接続部27及び第2接続部28は、電源の仕様、又はバスバーに接続される機器の仕様に応じて設計されるのに対し、接続部同士の間に位置する連結部29については、設計上の自由度が比較的高い。そのため、連結部29における放熱性を向上させる観点から、幅及び延出長さ等を含む連結部29の形状を最適化することができ、これにより、バスバーでの温度上昇をより一層効果的に抑えることができる。
【0074】
また、バスバーの温度上昇が抑えられることにより、当該温度上昇がコネクタ組立体10に及ぼす影響を小さくすることができ、例えば、バスバー周辺部への熱ストレスを軽減することができる。また、コネクタ組立体10の構成部品の材質の選定について、バスバーの温度上昇による制約が緩和される。例えば、コネクタ部14の内部で主端子17に装着されるパッキン55等の材質を耐熱性が高い材料等に限定する必要がなく、これにより、利用候補となる材質の種類が増える。
【0075】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明のコネクタ組立体について、具体例を挙げて説明してきたが、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例に過ぎず、上記以外の実施形態も考えられ得る。
【0076】
また、上述の実施形態では、連結部29の長さが異なる第1バスバー及び第2バスバーが、それぞれ複数備えられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1バスバー及び第2バスバーの各々が1つのみ備えられる構成でもよい。ただし、上述の実施形態のように第1バスバーが複数備えられる構成では、例えば複数の第1バスバーが密集すると、より内側に配置された第1バスバーでは、熱が籠り易く温度上昇が生じ易くなる。そのため、連結部29の表面積を増やして連結部29からの放熱量を増やすことで温度上昇を抑える本発明の効果が、より際立って発揮されるようになる。
【0077】
また、上述の実施形態では、3つ以上の第1バスバーが並べて設けられ、詳しくは、第1バスバーユニット30において3つのバスバーがX方向に並べて設けられていることとした。また、上述の実施形態では、第1バスバーユニット30に含まれる3つ以上のバスバーの連結部29の両端間距離がバスバー間で異なることとした。具体的には、2つのバスバーの間に配置されるバスバーにおける連結部29の両端間距離が、当該2つのバスバーの各々における連結部29の両端間距離より長いこととした。しかし、これに限定されず、例えば、各バスバーの連結部29の両端間距離がバスバー間で揃ってもよい。ただし、前述のように、3つ以上の第1バスバーのうち、より内側に配置された第1バスバーでは、熱が籠り易く温度上昇が生じ易くなる。そのため、2つの第1バスバーの間に配置される第1バスバーについては、放熱性をより高めるのが好ましく、その観点では、2つの第1バスバーの間に配置される第1バスバーの連結部29の両端間距離をより長く設定するとよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、第1バスバーユニット30に含まれるすべての第1バスバーにおいて、連結部29における一端から他端にかけて、連結部29の幅が各接続部27,28の幅より広く、且つ、連結部29の延出長さが各接続部27,28の幅より長いこととした。ただし、これに限定されるものではなく、第1バスバーユニット30に含まれる複数の第1バスバーのうち、一部の第1バスバーのみにおいて、連結部29の幅を各接続部27,28の幅よりも広くし、且つ、連結部29の延出長さを各接続部27,28の幅より長くしてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、コネクタ組立体の一例として、ハイブリッド車両に搭載されるコネクタ組立体を挙げて説明した。ただし、コネクタ組立体は、上記の例に限られず、複数の機器を電気的に接続させるために用いられるものであればよく、その場合に用いられるコネク組立体に対して本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 コネクタ組立体
12 バスバー部
14 コネクタ部
15 差込口
16 コネクタ内端子
17 主端子
21,24 U極バスバー
22,25 V極バスバー
23,26 W極バスバー
27 第1接続部
28 第2接続部
29 連結部
30 第1バスバーユニット
40 第2バスバーユニット
51 コネクタ本体
52 ベース部52
53 端子保持部
54 空洞部
55 パッキン
60 ホルダ
61 長尺部
62 保持部
63 第1保持部
64 第2保持部
71 隣接部分
72 延出部分
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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