(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加工物の造形方法及び加工物
(51)【国際特許分類】
B29C 64/35 20170101AFI20240920BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240920BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20240920BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240920BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240920BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20240920BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20240920BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240920BHJP
B22F 10/38 20210101ALI20240920BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20240920BHJP
B22F 10/47 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
B29C64/35
B29C64/153
B29C64/40
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/20
B22F3/16
B22F10/28
B22F10/38
B22F10/66
B22F10/47
(21)【出願番号】P 2021052438
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】512209689
【氏名又は名称】SOLIZE株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】三武 順
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 佑太
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149139(JP,A)
【文献】特表2020-506085(JP,A)
【文献】特開2018-016830(JP,A)
【文献】特表2018-527219(JP,A)
【文献】特開2002-347128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00
B22F 10/00
B22F 12/00
B33Y
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタによって積層造形する加工物の造形方法であって、
少なくとも一部が中空領域と、該中空領域の内部と外部を通じる2以上の開孔部とを備える加工物を積層造形する際に、
該中空領域の壁部を積層すると同時に、該中空領域
の1つの開孔部を塞ぐ仮閉塞体を造形する構成であって、
該仮閉塞体の周縁は該壁部と結合すると共に、
該仮閉塞体には流体を該中空領域の内部との間で流入又は流出可能な流通孔を形成し、
該流体の流入又は流出の後に、該仮閉塞体を除去する
ことを特徴とする加工物の造形方法。
【請求項2】
前記中空領域は、少なくとも一部が略筒状である
ことを特徴とする請求項1に記載の加工物の造形方法。
【請求項3】
前記仮閉塞体は、積層方向に向かって先細な形状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加工物の造形方法。
【請求項4】
前記流体によって、前記中空領域内部に残留した造形材料を除去する
請求項1ないし3のいずれかに記載の加工物の造形方法。
【請求項5】
前記流体によって、前記中空領域内部の加圧検査または減圧検査を行う
請求項1ないし3のいずれかに記載の加工物の造形方法。
【請求項6】
前記仮閉塞体が、略円錐形状であって、前記流通孔がその頂点に設けた円柱状のボス部に形成される
請求項1ないし3のいずれかに記載の加工物の造形方法。
【請求項7】
前記仮閉塞体が、積層造形時のサポート材を兼用する
請求項1ないし6のいずれかに記載の加工物の造形方法。
【請求項8】
前記仮閉塞体によって塞がれていない複数の開孔部について、一つ当たり100mm
2以下の開口面積の孔から成る請求項1ないし7のいずれかに記載の加工物の造形方法。
【請求項9】
前記仮閉塞体の厚みが、1mm以下である
請求項1ないし8のいずれかに記載の加工物の造形方法。
【請求項10】
3Dプリンタによって積層造形される加工物であって、
少なくとも一部が中空領域と、
該中空領域の内部と外部を通じる2以上の開孔部と、
該中空領域の
1つの開孔部を塞ぐ仮閉塞体とを備え、
該仮閉塞体において、
その周縁は該中空領域の壁部と
結合しており、
流体を該中空領域の内部との間で流入又は流出可能な流通孔を有する
ことを特徴とする加工物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタによって積層造形する加工物の造形方法及び積層造形された加工物に関し、特に造形材料の除去や加圧検査を容易にする方法に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dプリンタによる造形方法が進化しており、製造現場では試作品や量産品の製造に多用されている。3次元CADデータに基づいて、薄くスライスされた2次元の層を一層ずつ積層することによって3次元の加工物を製造する積層造形法が特に一般的である。
【0003】
積層造形法のうち、粉末焼結積層造形法は、熱可塑性樹脂粉末や合金粉末を造形ステージ上に1層ずつ敷き詰めた上で、レーザーや放電で溶かし焼結させることで立体形状を造形するものであり、熱溶解積層法や光造形法に比べてサポート材を使わなくてもオーバーハングした形状などでも造形できる。タービンや熱交換器のように複雑な形状を有する加工物の製造に適している。
【0004】
一方で、このような複雑な形状の加工物では、内部空間に焼結されていない粉末が残留するためにこれを除去することや、加圧試験において開孔部を一次的に塞ぐためにゴム栓などの専用治具を用意する必要があった。
【0005】
残留粉末や、内部のサポートの除去方法として次のような従来技術が知られている。
引用文献1では、粉末材料に対し電子ビームを照射して溶融させ、三次元の物体を造形する三次元造形方法において、物体の下方の位置に棒状部材を含む支持体を造形する造形工程と、造形された支持体から棒状部材を引き抜く引抜工程と、棒状部材の引き抜きにより形成される空間に対しエア及び粒体を吹き付けで支持体を除去する除去工程とを含む技術が開示されている。
【0006】
また、引用文献2では、厚さ方向に貫通する貫通孔を高密度に備えるポーラス構造を有する金属造形物の製造方法であって、交差する2方向に間隔をあけつつ基板の複数個所に樹脂材料を含む液体を供給する樹脂材料供給工程と、液体を硬化する硬化工程とを実行することで、基板から延びる複数の柱状構造体を有する型を形成する型形成工程と、型に被焼結材料を供給する被焼結材料供給工程と、基板を除去する除去工程と、柱状構造体を脱脂する脱脂工程と、被焼結材料を焼結する焼結工程と、を有する方法が開示されている。
【0007】
引用文献3には、羽根車の流路の形状が複雑であっても羽根車の性能を向上させる技術として、羽根車の軸方向に間隔を設けて配置されたシュラウド及びハブと、当該シュラウドとハブとの間に配置された複数の翼と、当該シュラウド及び当該ハブの羽根車出口側に連結されている補強部材と、を有する構造体を、ベースプレートの上に金属粉末を用いた積層造形法により形成する構造体形成工程と、当該構造体から当該補強部材を除去する除去工程と、を有する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2021-31756号公報
【文献】特開2021-21102号公報
【文献】特開2020-172876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来開示されている残留粉末やサポート材の除去方法としては、粉体の材料の選択に特徴を有するものや、独自の製造工程を加えるものなどが中心であり、複数の開孔部を備えた加工物から残留した造形材料を除去したり内部の加圧検査を行うために仮閉塞体を簡便に造形する技術は提供されていない。
【0010】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、3Dプリンタを用いて積層造形する加工物の造形時に、造形材料の除去や加圧検査を容易に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するため、本発明は次のような加工物の造形方法を提供する。
すなわち、第1の実施態様によれば、3Dプリンタによって積層造形する加工物の造形方法であって、少なくとも一部が中空領域と、中空領域の内部と外部を通じる2以上の開孔部とを備える加工物を積層造形する際に、中空領域の壁部を積層すると同時に、中空領域の少なくとも1つの開孔部を塞ぐ仮閉塞体を造形する構成であって、仮閉塞体の周縁は壁部と結合すると共に、仮閉塞体には流体を中空領域の内部との間で流入又は流出可能な流通孔を形成し、流体の流入又は流出の後に、仮閉塞体を除去する。
【0012】
本発明の第2の実施態様によれば、上記の中空領域は、少なくとも一部が略筒状であってもよい。
【0013】
本発明の第3の実施態様によれば、上記の仮閉塞体は、積層方向に向かって先細な形状であってもよい。
【0014】
本発明の第4の実施態様によれば、上記の流体によって、上記中空領域内部に残留した造形材料を除去することができる。
【0015】
本発明の第5の実施態様によれば、上記流体によって、上記中空領域内部の加圧検査または減圧検査を行うことができる。
【0016】
本発明の第6の実施態様によれば、上記仮閉塞体が、略円錐形状であって、流通孔がその頂点に設けた円柱状のボス部に形成される構成でもよい。
【0017】
本発明の第7の実施態様によれば、上記仮閉塞体が、積層造形時のサポート材を兼用することもできる。
【0018】
本発明の第8の実施態様によれば、上記の仮閉塞体によって塞がれていない複数の開孔部について、一つ当たり100mm2以下の開口面積の孔から成る構成でもよい。
【0019】
本発明の第9の実施態様によれば、上記の仮閉塞体の厚みが、1mm以下である構成でもよい。
【0020】
本発明の第10の実施態様によれば、流通孔の個数は、仮閉塞体が塞ぐ開孔部の個数よりも少ないことも好適である。
【0021】
また、本発明は次のような加工物の造形物を提供することもできる。
すなわち、本発明の第11の実施態様によれば、3Dプリンタによって積層造形される加工物であって、少なくとも一部が中空領域と、中空領域の内部と外部を通じる2以上の開孔部と、中空領域の少なくとも1つの開孔部を塞ぐ仮閉塞体とを備え、仮閉塞体において、その周縁は中空領域の壁部と連なり、流体を中空領域の内部との間で流入又は流出可能な流通孔を有することを特徴とする加工物を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、少なくとも一部が中空領域と、中空領域の内部と外部を通じる2以上の開孔部とを備える加工物を積層造形する際に中空領域の壁部と結合する仮閉塞体を造形することによって、所定の開孔部を塞いで流路を形成し、残留した造形材料の除去や中空領域の加圧検査を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る加工物の造形方法の工程を示す説明図。
【
図2】本発明に係る残留材料の除去の態様を示す説明図。
【
図4】本発明に係る仮閉塞体の除去態様を示す説明図。
【
図5】本発明に係る加工物の造形方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。本発明は以下の実施例に限定されず請求項記載の範囲で適宜実施することができる。
3Dプリンタによる積層造形方法は周知であり、任意の製造装置、製造方法を採用することができるので、説明は簡略にする。
【0025】
本実施例では、材料バケット内に蓄積した金属粉末を、供給エレベータが上昇させつつ、コーターが材料バケットから掻き取って造形ステージ上に積層する1層分ずつを積層する。3D-CADデータから3Dプリント用に変換されたスライスのデータを用いて、その1層の溶融を行う。溶融にはレーザを光を用い、レーザ光が照射した部分だけが焼結し、照射されなかった部分は粉末のままとなる。これを繰り返すことで、立体の加工物が積層造形される。
【0026】
このような積層造形において、完全に閉鎖された中空領域を有する加工物の場合、造形の終了後には内部に造形材料の粉末が残留してしまうので、逃し穴を設けて造形材料を排出する必要がある。その場合は逃し穴を後から塞ぐ処理を行う。
また、造形された加工物の耐圧試験が必要な場合には、逃し穴から空気や流体を流入させて試験を行うこともある。
【0027】
さらに複雑な形状で、中空領域を有しながら、その内部と外部を通じる2以上の開孔部がある場合には、一方の開孔部から流体を流入させても、別の開孔部から流出してしまうため、十分な加圧や抵抗が得られずに、造形材料の除去や加圧検査が難しい問題が生じる。
特に、小径な開孔部が多数配置されるような加工物では、これらを塞ぐことが難しく、工程が複雑かする問題があった。
【0028】
図1は、本発明に係る加工物の造形方法の工程を示す説明図である。
図1(c)に示すように、本実施例では、円筒形の小円筒部(10)と、その下部の周囲に同心円で円筒形の大円筒部(20)からなる加工物のサンプルを用いて説明する。小円筒部(10)と大円筒部(20)の間にはスリット状の複数の開孔部(11)が形成されており、小円筒部(10)の内部の中空領域(12)と、大円筒部(20)の内部の中空領域(21)は連通している。また、大円筒部(20)の上面にも小さな複数の開孔部(22)が設けられている。
【0029】
この加工物を積層造形するとき、
図1(a)(b)に示すように底面側から1層ずつ積層していくので、中空領域(12)(21)には造形材料の粉末で満たされた状態となる。粉末は開孔部(11)(22)の中にも詰まっている。
【0030】
このような加工物では、造形ステージから取り出しても、内部の区画された中空領域に多くの粉末が留まり、除去することが難しい。例えば、小円筒部(10)の上面は大開口(13)となっているため、単に空気や洗浄液を上から流しても、小さな開孔部(22)から粉末を排出させることはできない。適当なシール部材で覆ってホースと接続しなければ圧力を高めることは困難である。
【0031】
従来は、この部分に適合するカバーや、ゴム栓、カプラーなどの専用治具を作成して嵌め込み、場合によってはロウ付けをした上で造形材料の除去や加圧検査を行う必要があった。
このような工程は複雑でコスト高の原因にもなることから、本発明では3Dプリント時に小円筒部(10)内に一体的に仮閉塞体(30)を形成することを提案する。
【0032】
図示されるように、仮閉塞体(30)は略円錐形状であって、頂点には円柱状のボス部(31)が設けられている。ボス部(31)の内側には流通孔(32)が形成される。
仮閉塞体(30)は、大開口(13)を閉塞するように底辺を小円筒部(10)の壁部の内壁(14)と結合して形成される。
図1(b)に示すように、壁部を積層するのと同時に仮閉塞体(30)も同時に形成している。
【0033】
仮閉塞体を略円錐形状としているのは、積層時にサポート材を不要とするように、45度以上の傾斜角で形成することが好ましいためであり、サポート材を用いる場合にはこれに限らない。また、本発明は略筒状の中空領域を有する加工物に適用することが特に好ましいが、中空領域の形状は任意である。例えば球状や不定形状でもよい。略筒状の場合にも円筒形に限らず、任意の断面形状でもよい。その場合は、断面形状に対応する錘体状などとすることができる。
【0034】
図2は、本発明に係る残留材料の除去の態様を示す説明図、
図3は、同、加圧検査の態様を示す説明図、
図4は仮閉塞体の除去態様を示す説明図、
図5は本発明に係る加工物の造形方法のフローチャートである。これらの図を参照しながら本発明の工程を説明する。
【0035】
本発明は、積層造形の開始から終了までの間に、加工物と共に仮閉塞体(30)を造形することによって、3Dプリントの工程の中で同時に残留材料の除去や加圧検査に適する仮閉塞体(30)が形成されている。
そこで、
図2に示すようにボス部(31)には流体、例えば洗浄液のノズルを接続して、流通孔(32)から洗浄液を流入させる。
【0036】
このとき仮閉塞体(30)によって小円筒部(10)の大開口(13)は閉塞されているため、その下方の内部領域から開孔部(11)(22)だけが逃げ口となり、洗浄液は高圧力、あるいは高流速で
図2に図示するような経路で開孔部(22)から流出する。
これにより、内部領域(12)(21)の隅部や開孔部(11)(22)からも残留材料が効果的に除去されるため、加工物の品質の向上と共に、造形方法の簡略化、低コスト化にも寄与する。
【0037】
あるいは、本実施例のように複数の開孔部を有する加工物において、中空領域内部の加圧検査をする場合、多くの開孔部があると塞ぐ作業は煩雑になる。
そこで仮閉塞体(30)を利用して加圧検査を行うことも可能である。例えば開孔部(22)をカバーで塞いで、流通孔(32)から流体を注入して加圧してもよい
【0038】
同様に、流体の流し方を変えることで、減圧検査にも利用できる。例えば、開孔部(22)をカバーで塞ぎながら仮閉塞体(30)の流通孔(32)から吸気して減圧してもよい。
【0039】
あるいは
図3のように、仮閉塞体(30)の流通孔(32)をキャップ(33)で塞ぎ、開孔部(22)のカバー(23)の一部に設けた加圧孔(24)から流体を流入させて加圧検査を行うことができる。このカバー(23)を仮閉塞体(30)の一つとして3Dプリンタによって積層造形することもできる。
図示から明らかなように、
図3においては流体の流入・流出は
図2とは逆方向になっている。本発明ではこのように流入及び流出を工程や検査部位によって逆にすることもできる。
【0040】
図4に示すように、残留材料の除去や加圧検査が完了した後、本発明の造形方法では仮閉塞体(30)をフライス盤(33)等によって除去する。
除去して完成した加工物の態様は
図4(b)に示す。
【0041】
仮閉塞体の除去を容易にし、また材料を節約するために仮閉塞体(30)の厚みは1mm以下の薄板とすることが好ましい。なお、壁部の内壁(14)との連結部やボス部(31)についてはこれよりも厚みを増してもよい。
【0042】
仮閉塞体(30)は、積層造形時のサポート材を兼用することもできる。3Dプリンタによる積層造形法では、形状に基づく条件や、変形を防ぐためのサポート材が必要とする場合がある。そこで、本発明の仮閉塞体(30)をサポート材と兼用させることで、さらに効率的な製造が可能となる。例えば、上記実施例における仮閉塞体(30)は縦長の円筒状の途中に設けられるので、縦方向の変形や断面形状の保持に寄与する。
【0043】
本発明の仮閉塞体を備える場合、開孔部が小さく複数設けられる加工物に適用することが特に好ましい。上述したように開孔部が多数の場合、それらを閉塞することが難しいだけでなく、小さな開口面積の開孔部には残留材料が留まりやすく、除去が困難になる。このような対象に対して、適する部位に仮閉塞体を設けることによって、効率的に内部空間を閉塞することができる。
具体的には、仮閉塞体によって塞がれていない開孔部が、100mm2以下、特に40mm2以下の開口面積の孔から成る場合に適用すると本発明の効果は特に高い。
【0044】
本発明は、上記の仮閉塞体を備えた加工物の状態で提供することもできる。
【0045】
別実施例として、
図6に仮閉塞体の様々な実施例を示す説明図を示す。
図6(a)は、加工物の略筒状のが均一な断面積ではなく、上方に向かって大となる形状(60)を示している。このように略筒状は壁部によって囲まれた中空領域を一部でも有する加工物の全てを含むものであり、上面と下面は塞がれていても開口されていてもよく、本発明にかかる開孔部はいかなる部分に設けられていてもよい。
【0046】
図6(b)は、仮閉塞体(62)の形状の別態様を示したものであり、錘体ではなく上に向けて膨張した曲面形状と、その上端にボス部(63)を設けている。本発明において仮閉塞体は上方に向かって先細(スライスした時に小径)とすることが特に好ましいが、形状は問わない。
ボス部は、その上端に限らず、例えば外部からアクセスしやすい場所に設けることができる。
【0047】
図6(c)は、仮閉塞体(64)(65)を2以上備える構成を示している。開孔部の位置に応じて、内部領域を効果的に閉塞するために、略筒状に沿って3以上の部分に区画するようにしてもよい。2以上の仮閉塞体を備える場合、1つ以外の仮閉塞体にはボス部は設けなくてもよい。
【0048】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 小円筒部
11 開孔部
12 中空領域
20 大円筒部
21 中空領域
22 開孔部
30 仮閉塞体
31 ボス部
32 流通孔