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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】無線アンテナ、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/24 20060101AFI20240920BHJP
   H01Q 15/08 20060101ALI20240920BHJP
   H01P 3/16 20060101ALI20240920BHJP
   H01P 5/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01Q13/24
H01Q15/08
H01P3/16
H01P5/08 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021062940
(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公開番号】P2022158202
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】福田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭宜
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-326529(JP,A)
【文献】松村 和仁,上田 俊和,苫米地 義郎,方形断面をもつ誘電体導波路の端部近傍電磁界の解析,電子情報通信学会論文誌B,Vol.J68ーB,No.7,日本,1985年07月25日,pp.803-810
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/24
H01Q 15/08
H01P 3/16
H01P 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波帯または準ミリ波帯の信号を送受信可能な無線アンテナであって、
誘電体で形成されたケーブル状の導波路と、誘電体で形成された塊体と、電気伝導体を含み、
上記塊体は、上記導波路の近傍に位置し、
上記電気伝導体は、上記導波路上において、上記塊体の近傍に位置し、
上記導波路の誘電率は、上記電気伝導体を除く上記導波路の周囲の誘電率よりも大きい
無線アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の無線アンテナにおいて、
上記導波路の上記近傍は、上記塊体が電磁波を放射できる、あるいは、電磁波を吸収できる範囲である
ことを特徴とする無線アンテナ。
【請求項3】
請求項1に記載の無線アンテナにおいて
上記導波路は、分岐構造を持っている
ことを特徴とする無線アンテナ。
【請求項4】
請求項3に記載の無線アンテナにおいて、
上記分岐構造を持つ上記導波路は、一体成形された構造、あるいは、同一の構造を持つ複数のサブ導波路を接続した構成を持っている
ことを特徴とする無線アンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載の無線アンテナにおいて
上記導波路は、電磁波を伝播できる媒体に接続している
ことを特徴とする無線アンテナ。
【請求項6】
請求項5に記載の無線アンテナにおいて、
上記媒体は、上記導波路の材料と異なる材料で作られた線路、または、空気である
ことを特徴とする無線アンテナ。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれかに記載の無線アンテナにおいて、
記導波路の上記近傍は、上記塊体が電磁波を放射できる、あるいは、電磁波を吸収できる範囲である
ことを特徴とする無線アンテナ。
【請求項8】
無線アンテナと通信端末とを含む無線通信システムであって、
上記無線アンテナは、誘電体で形成されたケーブル状の導波路と、誘電体で形成された塊体と、電気伝導体を含み、
上記塊体は、上記導波路の近傍に位置し、
上記電気伝導体は、上記導波路上において、上記塊体の近傍に位置し、
上記導波路の誘電率は、上記電気伝導体を除く上記導波路の周囲の誘電率よりも大きく、
上記通信端末は、上記通信端末のアンテナで、上記塊体から放射された電磁波を受信し、
上記塊体は、上記通信端末のアンテナからの電磁波を受信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項8に記載の無線通信システムにおいて
上記導波路は、分岐構造を持っている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項8に記載の無線通信システムにおいて
上記導波路は、電磁波を伝播できる媒体に接続している
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アンテナとこの無線アンテナを用いた無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話など電磁波を用いた移動体無線通信サービスが広く普及している。このような無線通信サービスを利用して、動画配信などの高い通信速度と大きな通信容量を必要とするサービスがユーザに提供されている。このため、データトラフィック量の飛躍的な増加に対応するため無線通信サービスの高速化と大容量化が進められている。無線通信では、一般的に、使用する周波数帯域幅が広いほど通信速度が速くなり通信容量が大きくなる。したがって、無線通信サービスを提供する事業者は、周波数帯域幅ができるだけ広いチャネルを確保することを望んでいる。しかし、無線通信に用いられる周波数の使用には制限が設けられており、一般的に、移動通信で用いられている周波数帯付近では広帯域のチャネルの確保が困難である。
【0003】
そこで、広い帯域幅のチャネルを得るため、ミリ波(30GHz~300GHz)や準ミリ波(明確な定義はないがおよそ20GHz~30GHz)と呼ばれる高周波領域の移動体通信への適用が検討されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「ドコモ5Gホワイトペーパー 2020年以降の5G無線アクセスにおける要求条件と技術コンセプト」、株式会社NTTドコモ、2014年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような高周波領域では、よく知られているように、移動体無線通信が用いている数GHz以下という周波数領域に比べて、伝送ケーブルとしてこれまで広く用いられてきた同軸ケーブルの損失が高くなり、離れた場所に設置された送信信号を生成する装置とアンテナとの間を同軸ケーブルで接続することが困難となる。したがって、送信信号を生成する装置をできるだけアンテナの近くに配置することや、送信信号を生成する装置とアンテナとを一体に製造することが必要になる。
【0006】
また高周波領域の利用には別の課題もある。フリスの伝達公式(1)によれば、送信アンテナから距離Dだけ離れた地点に設けられた受信アンテナにおける電磁波の受信電力Pは周波数fの二乗に反比例する。cは光速、GSは送信側アンテナゲイン、GRは受信側アンテナゲイン、PSは送信電力である。
【数1】
【0007】
このため、高周波領域を利用する場合、一つの送信アンテナがカバーするサービスエリアは、数GHz以下の周波数を利用した場合に比べて狭くなり、従来のサービスエリアと同じ広さのサービスエリアをカバーするにはアンテナゲインを大きくする必要があり、結果、多数のアンテナが必要となる。多数のアンテナを設ける場合、例えば一つの送信装置からの信号を分配して離れた場所にある複数のアンテナに信号を伝送する方法が考えられるが、同軸ケーブルを用いる場合、既述のとおり損失が大きいため効率が悪い。各アンテナの近傍に送信信号を生成する装置を配置する場合もしくはアンテナと送信信号を生成する装置とを一体に製造した場合は、送信信号を生成する装置の数だけコストがかかる。
【0008】
そこで、本発明は、簡易かつ低コストでサービスエリアを形成することのできる無線アンテナとこの無線アンテナを用いた無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで述べる技術事項は、特許請求の範囲に記載された発明を明示的にまたは黙示的に限定するためではなく、さらに、本発明によって利益を受ける者(例えば出願人と権利者である)以外の者によるそのような限定を容認する可能性の表明でもなく、単に、本発明の要点を容易に理解するために記載される。他の観点からの本発明の概要は、例えば、この特許出願の出願時の特許請求の範囲から理解できる。
本発明の無線アンテナは誘電体導波路を持ち、この誘電体導波路上または誘電体導波路の近傍に誘電体で形成された塊体が位置しており、さらに、当該塊体の近傍に位置する電気伝導体がこの誘電体導波路上に位置している。誘電体導波路は、電気伝導体を除く周囲の誘電率よりも大きい誘電率を持つ。塊体は、電磁波の放射と吸収を行う部位である。塊体と通信端末との間で電磁波の送受信が実現される。誘電体導波路は、分岐構造を持っていてもよい。誘電体導波路は、電磁波を伝播できる媒体に接続していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、電磁波の放射部あるいは吸収部が誘電体導波路上または誘電体導波路の近傍の塊体で実現されるので、簡易かつ低コストでサービスエリアを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】無線アンテナの構成例。
図2】無線アンテナの構成例。
図3】無線アンテナの構成例。
図4】無線アンテナの構成例。
図5】誘電体導波路の断面図。(a)第1例。(b)第2例。(c)第3例。(d)第4例。(e)第5例。(f)第6例。
図6】塊体を持たない導波路の通過損失および反射損失を示す図。
図7】塊体を持つ導波路および反射損失の通過損失を示す図。
図8】塊体が存在する部位での放射パターンを示す図。
図9】方位角φと極角θの定義を説明する図。
図10】塊体が近傍に位置する誘電体導波路の断面図。(a)第1例。(b)第2例。(c)第3例。
図11】分岐構図を持つ誘電体導波路の例。
図12】誘電体導波路が媒体に接続されている構造。(a)第1例。(b)第2例。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態の無線通信システム1は、実施形態の無線アンテナ100と、通信端末200と、信号生成装置800を含む。無線アンテナ100は、図1図4に示すように、誘電体で形成された細長いケーブル状の導波路110と、誘電体で形成された1個以上の塊体110cと、1個以上の電気伝導体114を含む構成を持つ。導波路110は、図2~4に示すように直線状に伸びていてもよいし、図1に示すように少し蛇行するように、換言すれば、後述する導波路110の低損失伝播に悪影響を及ぼさない程度の曲げを持つように伸びていてもよいし、あるいは、分岐構造を持っていてもよい。導波路110の分岐構造については後述する。各塊体110cは、詳細は後述するが、導波路110と同じ誘電体でもよいし、導波路110と異なる誘電体でもよい。各塊体110cは、導波路110上に位置する。この場合、塊体110cは、導波路110から突起のように突出している。あるいは、各塊体110cは、導波路110から離れた導波路110の近傍に位置する。あるいは、N個(ただし、Nは2以上の予め定められた整数である)の塊体110cのうちn個(ただし、nは1≦n<Nを満たす予め定められた整数である)の塊体110cは導波路110上に位置しており、残りのN-n個の塊体110cは導波路110から離れた導波路110の近傍に位置する。各電気伝導体114は、例えば薄い板状の金属(例えば展性を持つ銅、アルミニウムなど)である。電気伝導体114は、詳細は後述するが、導波路110上に位置する。ただし、塊体110cの位置と電気伝導体114の位置は重複していない。この実施形態では、導波路110の一端は、ミリ波(30GHz~300GHz)あるいは準ミリ波(明確な定義はないがおよそ20GHz~30GHz)の周波数を持つ信号を生成する信号生成装置800に接続されている。この信号の種類に限定はなく、アナログ信号でも、デジタル信号でも、離散時間信号でも、連続時間信号でもよい。導波路110の他端は、図1図4に示す例では、何にも接続されず開放されているが、短絡されていてもよいし、アンテナ(例えば、線状アンテナ、開口面アンテナなど)に接続されていてもよいし、あるいは、終端されていてもよい。
【0013】
導波路110は、導波路110の長手方向の任意の位置(ただし、塊体110cが存在する部位を除く)における当該長手方向に垂直な断面図である図5(a)に示すように、形状と大きさが共に一定の断面を持つ。この例では、導波路110の断面形状は長方形である。したがって、細長い直方体状の導波路110は、導波路110の長手方向と直交する方向において互いに対向する二つの長辺側面111と、導波路110の長手方向と直交する方向において互いに対向する二つの短辺側面113を持つ。長辺側面111は、幅(つまり、導波路110の長手方向と直交する方向の長さ)が断面の長方形の長辺の長さに等しい側面であり、短辺側面111は、幅が断面の長方形の短辺の長さに等しい側面である。このように、導波路110は、塊体110cが存在する部位を除いて一様な構造、つまり、任意の位置(ただし、塊体110cが存在する部位を除く)での断面の形状と大きさが共に一定であり、材質が任意の位置(ただし、塊体110cが存在する部位を除く)で一定である構造を持っている。なお、図5(a)では、導波路110の断面形状は長方形であるが、このような構造に限定されず、例えば、正方形あるいは半円であってもよい。
【0014】
導波路110の誘電率は、導波路110の周囲(ただし、電気伝導体114を除く)の誘電率よりも大きい。図5(a)に示す例では、導波路110の周囲は空気であり、空気の誘電率はおよそ1であるので、導波路110の誘電率は1よりも大きい。このため、導波路110の上記一端に入力された信号生成装置800からの信号の電磁界は、塊体110cが存在しない場合、誘電率の大きい導波路110に集中して、導波路110の上記他端に向かって低損失に伝わり、導波路110の上記他端に至る。
【0015】
各塊体110cの形状は、一切の限定が無く、例えば、多角柱、円柱、球あるいはそれらのうちのいずれかの一部分である。塊体110cの総数が2以上である場合、これら塊体110cの一部が共通して持つ形状が、これら塊体110cの他の一部あるいは全部が共通して持つ形状と同じでもよいし異なっていてもよい。あるいは、これら塊体110cのうちの互いに異なる任意の2個の塊体110cが、互いに異なる形状を持っていてもよい。さらに、塊体110cの数が2以上である場合、これら塊体110cの一部が共通して持つ大きさが、これら塊体110cの他の一部あるいは全部が共通して持つ大きさと同じでもよいし異なっていてもよい。あるいは、これら塊体110cのうちの互いに異なる任意の2個の塊体110cが、互いに異なる大きさを持っていてもよい。
【0016】
各電気伝導体114の形状は、一切の限定が無く、例えば、楕円形、円形、長方形、正方形である。ただし、各電気伝導体114の幅(つまり、導波路110の長手方向と直交する方向での長さ)は、導波路110の幅(つまり、導波路110の長手方向と直交する方向での長さ)よりも大きいことが好ましい。電気伝導体114の総数は通例、1で足りるが、電気伝導体114の総数が2以上である場合、これら電気伝導体114の一部が共通して持つ形状が、これら電気伝導体114の他の一部あるいは全部が共通して持つ形状と同じでもよいし異なっていてもよい。あるいは、電気伝導体114の総数が2以上である場合、これら電気伝導体114のうちの互いに異なる任意の2個の電気伝導体114が、互いに異なる形状を持っていてもよい。さらに、電気伝導体114の数が2以上である場合、これら電気伝導体114の一部が共通して持つ大きさが、これら電気伝導体114の他の一部あるいは全部が共通して持つ大きさと同じでもよいし異なっていてもよい。あるいは、これら電気伝導体114のうちの互いに異なる任意の2個の電気伝導体114が、互いに異なる大きさを持っていてもよい。
【0017】
長手方向における導波路110上での塊体110cの位置は、好ましくは、導波路110の両端を除く位置であり、さらに好ましくは、不整合が発生しにくく、且つ、伝播モードの変換が発生しにくい位置である。塊体110cの総数が2以上である場合、これら塊体110cのうちの互いに異なる任意の2個の塊体110cの導波路110の一端からその長手方向に沿って計測した距離が互いに異なってもよいし、例えば、互いに異なる或る2個以上の塊体110cの導波路110の一端からその長手方向に沿って計測した距離が互いに等しくてもよい。後者の場合、これら2個以上の塊体110cは、導波路110の周上の異なる位置に位置する。前者の場合、周方向における導波路110上での塊体110cの位置は、導波路110の周方向の閉曲線(厳密には単純閉曲線であり、つまり、導波路110の長手方向に垂直な断面の縁である)上の一部であり、後者の場合、当該閉曲線上で2個以上の塊体110cの位置は互いに重複していない。
【0018】
長手方向における導波路110上での電気伝導体114の位置は、電気伝導体114に対応する少なくとも1個の塊体110cの近傍である(図1参照)。この「近傍」は次のとおりに理解される。周方向における導波路110上での電気伝導体114の位置は、当該電気伝導体114に対応する塊体110cが位置する上記閉曲線上の一部である。ただし、当該閉曲線上で電気伝導体114の位置と塊体110cの位置は互いに重複しておらず、当該閉曲線上において電気伝導体114が塊体110cからできるだけ離れていることが好ましい。例えば、導波路110の形状が上述のように細長い直方体状であり、塊体110cが一対の長辺側面111の一方に位置する場合、電気伝導体114は一対の長辺側面111の他方に位置することが好ましく(後述する図5(b),(e),(f)の例)、導波路110の形状が細長い半円柱体状である場合、塊体110cが曲面の中央部に位置し、電気伝導体114が平面部に位置することが好ましい(後述する図5(c)の例)。また、塊体110cを導波路110の長手方向に直交する方向で正視したとき、電気伝導体114と塊体110cがオーバーラップする位置関係にある。
【0019】
各電気伝導体114の長さ(つまり、導波路110の長手方向での長さ)は、当該電気伝導体114に対応する塊体110cの総数が1である場合は、当該塊体110cの長さ(つまり、導波路110の長手方向での長さ)よりも大きいことが好ましく、当該電気伝導体114に対応する塊体110cの総数が2以上である場合は、2個以上の塊体110cのうち導波路110に沿って互いに最も離れている2個の塊体110cの間の距離よりも大きいことが好ましい。例えば、電気伝導体114の総数が1であり、塊体110cの総数がN(N≧2)である場合、1個の電気伝導体114にN個の塊体110cが対応するので、1個の電気伝導体114がN個の塊体110cの近傍に位置するために、1個の電気伝導体114は、N個の塊体110cのうち導波路110に沿って互いに最も離れている2個の塊体110cを跨いで導波路110上に位置する(図2参照)。また、例えば、電気伝導体114の総数がM(M≧2)であり、塊体110cの総数がN(N≧2)である場合、通例、M=Nが好ましく、1個の電気伝導体114は、対応する1個の塊体110cの近傍に位置するが(図1参照)、M<Nの場合、2個以上の塊体110cに跨る1個以上の電気伝導体114が存在することになり(図3参照)、M>Nの場合、対応する塊体110cが存在しない1個以上の電気伝導体114が存在することになる(図4参照)。
【0020】
上述の前者について、直方体状の導波路110の長手方向に垂直な断面図である図5(b)は、互いに対向する2個の長辺側面111の一方に1個の三角柱体である塊体110cが存在しており、塊体110cの幅つまり三角柱体の高さが断面の長方形の長辺の長さと等しく、その他方に1個の電気伝導体114が存在している例を示している。半円柱体状の導波路110の長手方向に垂直な断面図である図5(c)は、導波路110の半円柱面である側面の中央部に1個の略球体状の塊体110cが存在しており、導波路110の平面である側面に1個の電気伝導体114が存在している例を示している。塊体110cが三角柱体である場合の直方体状導波路110の長手方向に沿った断面図を図5(e)に示し、塊体110cが半円柱体である場合の直方体状導波路110の長手方向に沿った断面図を図5(f)に示す。図5(e)および図5(f)では、1個の電気伝導体114が導波路110のほぼ全長に亘って導波路110に取り付けられている。
【0021】
塊体110cが導波路110上に位置する例において、各塊体110cは、導波路110と一体に形成された物でもよいし、導波路110と別に形成された物でもよい。後者の場合、各塊体110cは、導波路110に取り付けられるが、その後、導波路110から取り外せなくてもよいし、導波路110から取り外せてもよい。各塊体110cが導波路110から取り外せる場合であっても、ひとたび各塊体110cが導波路110に取り付けられたならば、各塊体110cが導波路110上で動かないことが望まれる。各塊体110cは導波路110に密着した状態にある。このため、塊体110cを導波路110に取り付ける場合、塊体110cは、塊体110cが取り付けられる導波路110の部位の局所的表面形状と同じ表面形状を持つ密着面を持ち、例えば、導波路110が細長い直方体であれば塊体110cの密着面は少なくとも1個の平面で構成され(図5(b)参照)、導波路110が細長い円柱であれば塊体110cの密着面は円柱面の一部である(図5(c)参照)。塊体110cを導波路110に密着させる際に接着剤または粘着剤を用いる場合、接着剤または粘着剤の誘電率は導波路110の誘電率と同じ程度か、または、塊体110cの誘電率と同じ程度であることが望ましい。
【0022】
塊体110cが導波路110から離れた導波路110の近傍に位置する例において、塊体110cと導波路110との間の距離の上限は、塊体110cの誘電率、導波路110の誘電率、塊体110cと導波路110との間の媒質(媒質として、空気または発砲プラスチックを例示できる)の誘電率、導波路110を伝播する信号の強度、導波路110の断面の形状、導波路110の断面の大きさなどによって決まる。ただし、ここで「塊体110cと導波路110との間の距離」は、塊体110c上の任意の点と導波路110上の任意の点との間の距離のうち最短のものをいう。塊体110cと導波路110との間の距離が上記上限以下であれば、塊体110cは後述する放射部としてあるいは受信部として機能する。換言すれば、塊体が位置する「導波路の近傍」とは、塊体110cが後述する放射部としてあるいは受信部として機能できる範囲である。
【0023】
塊体110cと導波路110との位置関係は、永続的関係でもよいし、一時的関係でもよい。永続的関係の場合、例えば図10(a)に示すように、導波路110に固定された取付部品310に、塊体110cが固定されている。取付部品310の材質は、誘電体でもよいし金属でもよい。ただし、塊体110cと導波路110との間に電気伝導体(例えば、取付部品310の材質が金属である場合、取付部品310の一部または全部である)が存在することを避けることが望ましい。取付部品310は、塊体110cを保持するホルダーとしての役割と、塊体110cと導波路110との間の距離を一定に保つスペーサーとしての役割を担っている。
【0024】
一時的関係の場合、例えば図10(b)に示すように、筒状のスライダー320に塊体110cを固定し、このスライダー320を導波路110に取り付ける。スライダー320は、導波路110に沿って移動できる。スライダー320の材質は、誘電体でもよいし金属でもよい。ただし、この例においても、塊体110cと導波路110との間に電気伝導体(例えば、スライダー320の材質が金属である場合、スライダー320の一部または全部である)が存在することを避けることが望ましい。スライダー320は、塊体110cを保持するホルダーとしての役割と、塊体110cと導波路110との間の距離を一定に保つスペーサーとしての役割を担っている。
【0025】
一時的関係の他の例として、塊体110cが可動物(可動物として、履物、アンクレットのような人体に着用する物、あるいは、搬送ロボットを例示できる)に取り付けられており、導波路110の全部または一部が床、通路のような構造物に埋設されている形態を例示できる。図10(c)に可動物が搬送ロボット330の場合の例を示す。この場合、構造物上を移動する可動物が導波路110に近づいたとき、つまり、可動物に取り付けられた塊体110cが、導波路110からの距離が上記上限以下である範囲に入ったとき、塊体110cは後述する放射部としてあるいは受信部として機能する。可動物が受信機あるいは送信機を持っている場合(可動物は、必要に応じて、増幅器などの電子部品を持っていてもよい)、信号生成装置800(後述するとおり、信号生成装置800に限らず、受信装置、あるいは、送受信装置でもよい)と可動物の受信機あるいは送信機との間で、通信が実現する。塊体110cが可動物に取り付けられている例によると、可動物が導波路110に近づいたときだけ電磁波の放射が発生するので、エネルギーの利用効率が向上する。
【0026】
各電気伝導体114は、導波路110から取り外せなくてもよいし、導波路110から取り外せてもよい。或る塊体110cが導波路110から取り外せる場合であっても、当該着脱可能な塊体110cに対応する1個以上の電気伝導体114は導波路110から取り外せなくてもよいし、導波路110から取り外せてもよい。ひとたび各電気伝導体114が導波路110に取り付けられたならば、各電気伝導体114が導波路110上で動かないことが望まれる。各電気伝導体114は導波路110に密着した状態にある。このため、電気伝導体114を導波路110に取り付ける場合、電気伝導体114は、電気伝導体114が取り付けられる導波路110の部位の局所的表面形状と同じ表面形状を持つ密着面を持ち、例えば、導波路110が細長い直方体であれば電気伝導体114の密着面は少なくとも1個の平面で構成される(図5(b)参照)。電気伝導体114を導波路110に密着させるために周知の接着剤または粘着剤を用いることができる。
【0027】
図5(a)~(c)に示す例に限定されず、一つ以上の塊体110cを持つ導波路110の外周に、誘電体で形成された被覆部110bを配置してもよい(導波路110の長手方向に垂直な断面図である図5(d)参照)。図5(d)では、電気伝導体114が被覆部110bで覆われていないが、もちろん、電気伝導体114が被覆部110bで覆われる構成も許容される。被覆部110bは、導波路110および導波路110上の塊体110cに密着している。図5(d)に示す例に限らず、被覆部110bは、塊体110cを除いて、あるいは、塊体110cが位置する導波路110の部位および塊体110cを除いて、導波路110を被覆してもよい。導波路110の誘電率および塊体110cの誘電率は、被覆部110bの誘電率よりも大きい。このため、導波路110の上記一端に入力された信号生成装置800からの信号の電磁界は、塊体110cが存在しない場合、誘電率の大きい導波路110に集中して、導波路110の上記他端に向かって低損失に伝わり、導波路110の上記他端に至る。
【0028】
各塊体110cは、電磁波(帯域としては電波である)を放射する放射部として機能することができる。塊体110cにおいて電磁波の放射によって失われる電力は、主に、塊体110cの形状、大きさ、数およびその誘電率に依存する。より強い電力の電磁波を放射する観点から、例えば、塊体110cの誘電率は導波路110の誘電率と同じまたは大きいことが好ましい。さらに好ましくは、損失の観点から、使用する電磁波の周波数帯において誘電正接が小さい材料が導波路110と塊体110cのそれぞれの誘電体として選定される。一般に、誘電率が高くなると誘電正接が大きくなるので、放射量と損失量を考慮して、導波路110と塊体110cのそれぞれの誘電体が持つべき誘電率が決定される。このように、塊体110cが存在する場合、信号生成装置800からの信号は、この塊体110cで電磁波として放射される。なお、「放射」とは、塊体110cに到達した信号の電力のうち電磁波の放射によって失われる電力が、当該塊体110cが存在しない場合に実際には発生する伝送損失を超えることをいう。塊体110cで電磁波の放射によって失われる電力は、通常、塊体110cに到達した信号の電力の一部であり、残余の電力を持った信号は導波路110において塊体110cが位置する部位を通過する。塊体110cを通過した信号は、導波路110を伝わり、隣の塊体110cに向かって、隣の塊体110cが無ければ導波路110の上記他端に向かって、低損失に伝播する。塊体110cで放射された電磁波は、携帯電話などの通信端末200が持つ無線アンテナ(図示せず)によって受信される。
【0029】
導波路110は、単一の製品としての構成を持っていてもよいし、例えば同一の構造を持つ複数の導波路(以下、サブ導波路と呼称する)が一列に接続された構成を持っていてもよい。後者の場合、サブ導波路とサブ導波路との接続として、光ファイバーを参考に、融着による接続またはコネクタを用いる接続を採用できる。あるいは、溶接または溶着によって、サブ導波路とサブ導波路を互いに接続してもよい。互いに接続された隣り合う2個のサブ導波路の一方のサブ導波路の誘電率は、他方のサブ導波路の誘電率と異なってもよい。
【0030】
導波路110は分岐構造を持っていてもよい。分岐形状および分岐数に限定は無い。図11に、分岐数が2の場合のT型導波路110の例を示す。分岐構造を持つ導波路110は、単一の製品としての構成(換言すれば、一体成形された構造)を持っていてもよいし、例えば同一の構造を持つ複数のサブ導波路を接続した構成を持っていてもよい。後者の場合、サブ導波路とサブ導波路との接続として、例えば分岐導波管350を用いる接続を採用できる。
【0031】
上述の実施形態では、導波路110の一端は信号生成装置800に物理的に接続されているが、この構成に限定されない。例えば図12に示すように、導波路110の一端を電磁波を伝播できる媒体の一部に接続し、媒体の他部を信号生成装置800に接続してもよい。媒体として、導波路110の材料と異なる材料で作られた線路(例えば、同軸線路、あるいは、導波路110の誘電率と異なる誘電率を持つ導波路である)、あるいは、空気を例示できる。媒体が空気である場合から理解できるように、「接続」という用語は、必ずしも物理的接続のみを意味せず、電磁波が伝播可能である物理的態様を意味する。媒体が線路110aである場合、図12(a)に示すように、線路110aと導波路110は例えばコネクタ360を用いて互いに接続される。媒体が空気である場合、例えば図12(b)に示すように、信号生成装置800に取り付けたアンテナ装置370aと、導波路110の一端に取り付けたアンテナ装置370bによって、信号生成装置800と導波路110との間で電磁波の伝播が実現する。導波路110の一端に取り付けるアンテナ装置370bは、例えば、捕捉した電磁波を増幅するレピーター(repeater)を含んでもよい。ただし、信号生成装置800に取り付けたアンテナ装置370aと導波路110の一端とのアラインメントが良好である場合、導波路110の一端が直接、信号生成装置800からの信号を受信してもよい。
【0032】
導波路110の形状が上述のように細長い直方体状である場合、短辺側面113の幅(つまり、導波路110の長手方向と直交する方向の長さ)は、電気伝導体114が無い場合に同じ周波数帯の信号を通過させる導波路110の短辺側面113の幅のおよそ半分であることが好ましい。
【0033】
図6は、空気(誘電率:1)で囲まれた導波路110(誘電率:2、短辺:4mm、長辺:12mm、長さ:50mm)の28GHz近傍における通過損失(Sパラメータ:S21)および反射損失(Sパラメータ:S11)を示している。ただし、この導波路110は、塊体110cを持たない。図6の通過損失から、導波路110に塊体110cが存在しない場合は信号が低損失で通過していることがわかる。また、図6の反射損失から、負荷とのインピーダンス整合が取れていることがわかる。
【0034】
図7は、空気(誘電率:1)で囲まれた導波路110(誘電率:2、短辺:4mm、長辺:12mm、長さ:50mm)の28GHz近傍における通過損失(Sパラメータ:S21)および反射損失(Sパラメータ:S11)を示している。ただし、この導波路110は、導波路110の一端から30mmの位置において、導波路110の長辺側面111に1個の塊体110c(誘電率:2)を持つ。塊体110cの形状は三角柱体であり、底辺の長さは5mm、三角柱体の長さ(つまり三角柱体の高さ)は導波路110の長辺と同じく12mmである。図7の通過特性から導波路110に塊体110cが存在する場合、塊体110cから電磁波が放射されることがわかる。また、図7の反射損失から、負荷とのインピーダンス整合が取れていることがわかる。よって、導波路110に塊体110cを取り付けたことによる損失の殆どは、導波路110の外部への電磁波の放射に依る。
【0035】
図8は、空気(誘電率:1)で囲まれた導波路110(誘電率:2、短辺:4mm、長辺:12mm、長さ:50mm)の、塊体110cが存在する部位での放射パターンを表している。ただし、この導波路110は、導波路110の一端から15mmの位置において、導波路110の長辺側面111のそれぞれに1個の塊体110c(誘電率:1.5)を持つ。塊体110cの形状は三角柱体であり、底辺の長さは5mm、三角柱体の長さ(つまり三角柱体の高さ)長さは導波路110の長辺と同じく12mmである。放射パターンは、図9に定義される方位角φと極角θによって示されている。導波路110は、その短辺側面の幅方向がx方向に一致し、その長辺側面の幅方向がy方向に一致し、その高さ方向(つまり、導波路110の長手方向)がz方向に一致するように配置されている。図8はφ=0度、-180≦θ≦180度の範囲における利得(dBi)を示している。図8から、導波路110の長辺側面111の正面方向(φ=0度、θ=±30度)、つまり塊体110cが突出している方向に利得が0dBi以上である強い領域があり、電磁波を放射していることが分かる。
【0036】
導波路110が2個以上の塊体110cを持つ場合、塊体110cの総数は、電磁波の放射によって失われる所望の電力に応じて定められる。導波路110の上記一端に入力される信号生成装置800からの信号の電力は、各塊体110cと導波路110の上記他端とで電磁波の放射によって失われる電力の総和に、導波路110において導波路として機能する部分での実際には発生する伝送損失を加えた総電力であることが必要である。
【0037】
あるいは、導波路110の上記一端に入力される信号生成装置800からの信号の電力(以下、入力電力と呼称する)が予め定まっている場合には、導波路110において導波路として機能する部分での実際には発生する伝送損失を入力電力から除いた電力が、各塊体110cと導波路110の上記他端とで電磁波の放射によって失われる電力に分配され、各塊体110cでの放射の程度は、分配される電力に応じて定められる。例えば、各塊体110cで等しい放射損失が望まれる場合がある。この場合、N個の塊体110cが在るとして信号生成装置800に近い方から1番目、2番目、…、i番目、…、N番目の塊体110cと呼称すると、第i番目の塊体110cが位置する部位に到達する信号の電力のうち式(2)で表される割合の電力を放射によって損失するように第i番目の塊体110cの放射の程度を調整すればよい。この場合、N番目の塊体110cでは、ここに到達した信号の電力のほぼ全部が放射によって損失されるため、導波路110の上記他端での電磁波の放射はほぼ無い。例えばN=5の場合、1番目、2番目、3番目、4番目の各塊体110cは、それぞれ、到達した信号のうち、-7dB(5分の1),-6dB(4分の1),-4.8dB(3分の1),-3dB(2分の1)を電磁波として放射し、5番目の塊体110cは、可能な限り、到達した信号の全電力を電磁波として放射する。
【数2】
【0038】
式(2)によると第i番目の塊体110cに到達する信号の電力と放射損失の割合はiの増大とともに大きくなるため、iの増大に伴いi番目の塊体110cでは放射電力が大きくなるように塊体110cの形状や大きさなどが選定される。
【0039】
実施形態の無線アンテナ100では、塊体110cの密着状態の保持が恒久的な方法でなされなければ、導波路110の一部を電磁波の放射部として機能させる塊体110cの密着状態はいつでも解消可能である。つまり、導波路110の一部を電磁波の放射部として機能させる必要のある期間では塊体110cの密着状態は保持され続けるが、当該必要が無くなった場合、放射部として機能する部位の塊体110cの密着状態が解消される。密着状態が解消された部位は、電磁波の放射部としての機能を失うとともに導波路として機能する。このため、サービスエリアの変更に応じて電磁波の放射部の位置、つまり塊体110cを導波路110に取り付ける位置を容易に変更することができる。
【0040】
上述の無線アンテナ100は、送信用のアンテナとしてではなく、受信用のアンテナとしても使用できる。この場合、例えば、導波路110の上記一端には、信号生成装置800に替えて受信装置が接続される。例えば携帯電話から発せられた電磁波は受信部(無線アンテナ100を送信用のアンテナと使用したときの塊体110cである)で吸収され、導波路110によって受信装置に伝達される。3dBの損失は、受信部で吸収された電磁波が導波路110の上記一端と上記他端とに向かって分配されることによって発生する。導波路110の上記一端には、信号生成装置800に替えて送信機能と受信機能の両方を持つ送受信装置が接続されてもよい。この他、(1)上記一端に信号生成装置800が接続されている導波路110の上記他端に受信装置を接続する構成も採用できるし、(2)上記一端に送受信装置が接続されている導波路110の上記他端に受信装置を接続する構成も採用できるし、(3)無線アンテナ100の上記一端と上記他端のそれぞれに受信装置を接続する構成も採用できるし、(4)無線アンテナ100の上記一端と上記他端のそれぞれに送受信装置を接続する構成も採用できる。特に、(2),(3),(4)の構成によると、図示しない合成装置が導波路110の両端に接続された装置の受信機能で受信した電磁波を合成することによって、上述の3dBの損失を解消することができる。
【0041】
上述の各種の実施形態に開示された技術的特徴は互いに排他的であるとは限らない。技術的観点から矛盾の無い限り、或る実施形態の技術的特徴を他の実施形態の技術的特徴に適用してもよい。
【0042】
<補遺>
明細書と特許請求の範囲では、「接続された」という用語とこのあらゆる語形変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的な接続を意味し、互いに「接続」された2つの要素の間に1つ以上の中間要素が存在することを含むことができる。
【0043】
明細書と特許請求の範囲では、用語「含む」とその語形変化は非排他的表現として使用されている。例えば、「XはAとBを含む」という文は、XがAとB以外の構成要素(例えばC≠A且つC≠BであるC)を含むことを否定しない。また、明細書と特許請求の範囲において或る文が用語「含む」またはその語形変化が否定辞と結合した語句を含む場合、当該文は用語「含む」またはその語形変化の目的語について言及するだけである。したがって、例えば「XはAとBを含まない」という文は、XがAとB以外の構成要素を含む可能性を認めている。さらに、明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または」は排他的論理和ではないことが意図される。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更と変形が許される。選択され且つ説明された実施形態は、本発明の原理およびその実際的応用を解説するためのものである。本発明は様々な変更あるいは変形を伴って様々な実施形態として使用され、様々な変更あるいは変形は期待される用途に応じて決定される。そのような変更および変形のすべては、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲に含まれることが意図されており、公平、適法および公正に与えられる広さに従って解釈される場合、同じ保護が与えられることが意図されている。
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