(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】接続方法およびコネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
H01R 43/20 20060101AFI20240920BHJP
H01R 12/65 20110101ALI20240920BHJP
H01R 13/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01R43/20 Z
H01R12/65
H01R13/04 A
(21)【出願番号】P 2021074130
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃
(72)【発明者】
【氏名】松尾 誠也
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-018906(JP,A)
【文献】特開平06-119947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0112200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/20
H01R 12/65
H01R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物の一方の面に露出しているフレキシブル導体に導電性を有するコンタクトを電気的に接続する接続方法であって、
前記フレキシブル導体は、前記フレキシブル導体の一部からなり且つ前記接続対象物に対して垂直な方向から見たときに所定の位置に位置する接続部を有し、
前記フレキシブル導体が前記接続対象物の表面および裏面のいずれに露出しているかに対応して前記フレキシブル導体の状態を異ならせ、前記フレキシブル導体が前記接続対象物の
前記表面上に露出している場合には、そのままの状態で、前記所定の位置における前記接続対象物の前記表面上に前記コンタクトを配置し、前記フレキシブル導体が前記接続対象物の
前記裏面上に露出している場合には、前記接続部が前記所定の位置を保持したまま前記接続対象物の前記表面側を向くように前記接続対象物の前記接続部が配置されている部分を反転させた状態で、前記所定の位置における前記接続対象物の前記表面上に前記コンタクトを配置し、
前記接続対象物に取り付けられるハウジングに前記コンタクトを保持させると共に前記コンタクトを前記接続部に接触させて前記フレキシブル導体に電気的に接続させることを特徴とする接続方法。
【請求項2】
前記コンタクトは、筒状部を有し、
前記
ハウジングは、前記コンタクトの前記筒状部に対応する突起を有し、
前記コンタクトを前記ハウジングに保持する際に、前記フレキシブル導体の前記接続部を前記突起により前記コンタクトの前記筒状部内に押し込むことで、前記コンタクトを前記フレキシブル導体に電気的に接続させる請求項1に記載の接続方法。
【請求項3】
一方の面にフレキシブル導体が露出している接続対象物と、
前記接続対象物に取り付けられるコネクタと
を備え、
前記コネクタは、
前記接続対象物の表面上に配置され且つ導電性を有するコンタクトと、
前記接続対象物に取り付けられ且つ前記コンタクトを保持するハウジングと
を有し、
前記フレキシブル導体は、前記フレキシブル導体の一部からなり且つ前記接続対象物に対して垂直な方向から見たときに所定の位置に位置する接続部を有し、
前記フレキシブル導体が前記接続対象物の前記表面および裏面のいずれに露出しているかに対応して前記フレキシブル導体の状態を異ならせ、前記フレキシブル導体が前記接続対象物の前記表面上に露出している場合には、そのままの状態で、前記所定の位置における前記接続対象物の前記表面上に前記コンタクトが配置され、前記フレキシブル導体が前記接続対象物の
前記裏面上に露出している場合には、前記接続部が前記所定の位置を保持したまま前記接続対象物の前記表面側を向くように前記接続対象物の前記接続部が配置されている部分が反転された状態で、前記所定の位置における前記接続対象物の前記表面上に前記コンタクトが配置され、
前記ハウジングに保持された前記コンタクトが前記接続部に接触して前記フレキシブル導体に電気的に接続されることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項4】
前記接続対象物は、絶縁性を有するシート状の支持体と、前記支持体の一方の面に配置された前記フレキシブル導体とを有し、
前記支持体は、互いに対向する一対の切り込みにより囲まれ且つ一方の面に少なくとも1つの前記接続部が配置されている島状部と、前記島状部の両端をそれぞれ周囲の前記支持体に連結する一対の連結部とを有し、
前記一対の連結部を変形させることにより、前記島状部が前記支持体に沿って延びる反転軸の回りに反転される請求項3に記載のコネクタ組立体。
【請求項5】
前記一対の連結部は、それぞれ、前記反転軸に対して交差する方向に延び、
前記一対の連結部を、前記反転軸上に配置された折り返し線に沿って折り返すことにより、前記島状部が前記反転軸の回りに180度反転される請求項4に記載のコネクタ組立体。
【請求項6】
前記一対の連結部は、前記反転軸に平行な一直線上に延び、
前記一対の連結部を、前記反転軸の回りに180度捩じることにより、前記島状部が前記反転軸の回りに反転される請求項4に記載のコネクタ組立体。
【請求項7】
前記接続部は、前記反転軸上に配置されている請求項4~6のいずれか一項に記載のコネクタ組立体。
【請求項8】
前記島状部に、前記反転軸に沿って2つの前記接続部が配置され、
前記一対の連結部に、それぞれ、対応する前記接続部に接続された前記フレキシブル導体が配置されている請求項7に記載のコネクタ組立体。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記接続対象物の前記表面側に配置されるトップインシュレータと前記接続対象物の裏面側に配置されるボトムインシュレータからなり、
前記接続対象物が前記トップインシュレータおよび前記ボトムインシュレータで挟まれることにより、前記コンタクトが前記ハウジングに保持される請求項3~8のいずれか一項に記載のコネクタ組立体。
【請求項10】
前記コンタクトは、筒状部と、前記筒状部の一端に形成されたフランジを有し、
前記トップインシュレータは、前記コンタクトの前記筒状部が貫通し且つ前記フランジよりも小さいコンタクト用貫通孔を有し、
前記コンタクト用貫通孔に前記コンタクトの前記筒状部を貫通させると共に前記フランジを前記フレキシブル導体の前記表面に向けて押しつけるように、前記フレキシブル導体を挟んで前記トップインシュレータが前記ボトムインシュレータに固定されることで、前記コンタクトが前記ハウジングに保持される請求項9に記載のコネクタ組立体。
【請求項11】
前記ボトムインシュレータは、前記コンタクトの前記筒状部に対応する突起を有し、
前記コンタクトが前記ハウジングに保持される際に、前記フレキシブル導体の前記接続部が前記突起により前記コンタクトの前記筒状部内に押し込まれることで、前記コンタクトが前記フレキシブル導体に電気的に接続される請求項10に記載のコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接続方法に係り、特に、接続対象物の一方の面に露出しているフレキシブル導体に導電性を有するコンタクトを電気的に接続する接続方法に関する。
また、この発明は、接続対象物の一方の面に露出しているフレキシブル導体に導電性を有するコンタクトが電気的に接続されたコネクタ組立体にも関している。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル導体を有する接続対象物に取り付けられるコネクタとして、例えば、特許文献1には、
図26に示されるようなコネクタ1が開示されている。コネクタ1は、平板形状の第1絶縁部材2と中央に開口部3Aを有する枠形状の第2絶縁部材3との間に、接続対象物4を挟んで保持した構造を有している。
【0003】
第1絶縁部材2には、第2絶縁部材3の開口部3A内に突出する凸部2Aと、凸部2Aよりも第1絶縁部材2の側縁部に近い箇所で第2絶縁部材3に向かって突出する突起2Bとが形成されており、凸部2Aおよび突起2Bの表面上においてそれぞれ露出されるようにコンタクト5が第1絶縁部材2に保持されている。第1絶縁部材2に対向する第2絶縁部材3の面には、第1絶縁部材2の突起2Bを収容するための凹状の突起収容部3Bが形成されている。
【0004】
接続対象物4は、裏面、すなわち、第1絶縁部材2に対向する面上に露出するフレキシブル導体6を有している。第1絶縁部材2と第2絶縁部材3との間に接続対象物4を配置した状態で、第1絶縁部材2と第2絶縁部材3を互いに近接するように押し込むと、
図27に示されるように、第1絶縁部材2の突起2Bにより、接続対象物4が第2絶縁部材3の突起収容部3B内に挿入される。その結果、接続対象物4は、突起収容部3Bの内面と、第1絶縁部材2の突起2Bの表面上に配置されているコンタクト5との間に挟み込まれ、コンタクト5が、接続対象物4の裏面に露出しているフレキシブル導体6に電気的に接続される。
【0005】
なお、第1絶縁部材2の凸部2Aの表面上に配置されている部分のコンタクト5は、相手側コネクタの一部が第2絶縁部材3の開口部3A内に挿入されて、相手側コネクタがコネクタ1に嵌合した際に、相手側コネクタの対応するコンタクトに接触して電気的に接続された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにして、特許文献1のコネクタ1を用いることにより、接続対象物4の裏面上に露出しているフレキシブル導体6にコンタクト5を電気的に接続することができる。
しかしながら、第2絶縁部材3の突起収容部3B内において、接続対象物4の裏面がコンタクト5に接触するため、フレキシブル導体6が接続対象物4の裏面上に露出せずに、接続対象物4の表面上にのみ露出している場合には、フレキシブル導体6にコンタクト5を電気的に接続することができないという問題がある。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、フレキシブル導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクトを接続対象物のフレキシブル導体に電気的に接続することができる接続方法を提供することを目的とする。
また、この発明は、接続対象物に取り付けられるコネクタを用いてコンタクトを接続対象物のフレキシブル導体に電気的に接続するコネクタ組立体を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る接続方法は、
接続対象物の一方の面に露出しているフレキシブル導体に導電性を有するコンタクトを電気的に接続する接続方法であって、
フレキシブル導体は、フレキシブル導体の一部からなり且つ接続対象物に対して垂直な方向から見たときに所定の位置に位置する接続部を有し、
フレキシブル導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出しているかに対応してフレキシブル導体の状態を異ならせ、フレキシブル導体が接続対象物の表面上に露出している場合には、そのままの状態で、所定の位置における接続対象物の表面上にコンタクトを配置し、フレキシブル導体が接続対象物の裏面上に露出している場合には、接続部が所定の位置を保持したまま接続対象物の表面側を向くように接続対象物の接続部が配置されている部分を反転させた状態で、所定の位置における接続対象物の表面上にコンタクトを配置し、
接続対象物に取り付けられるハウジングにコンタクトを保持させると共にコンタクトを接続部に接触させてフレキシブル導体に電気的に接続させる方法である。
【0010】
コンタクトは、筒状部を有し、ハウジングは、コンタクトの筒状部に対応する突起を有し、コンタクトをハウジングに保持する際に、フレキシブル導体の接続部を突起によりコンタクトの筒状部内に押し込むことで、コンタクトをフレキシブル導体に電気的に接続させるように構成することができる。
【0011】
この発明に係るコネクタ組立体は、
一方の面にフレキシブル導体が露出している接続対象物と、
接続対象物に取り付けられるコネクタと
を備え、
コネクタは、
接続対象物の表面上に配置され且つ導電性を有するコンタクトと、
接続対象物に取り付けられ且つコンタクトを保持するハウジングと
を有し、
フレキシブル導体は、フレキシブル導体の一部からなり且つ接続対象物に対して垂直な方向から見たときに所定の位置に位置する接続部を有し、
フレキシブル導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出しているかに対応してフレキシブル導体の状態を異ならせ、フレキシブル導体が接続対象物の表面上に露出している場合には、そのままの状態で、所定の位置における接続対象物の表面上にコンタクトが配置され、フレキシブル導体が接続対象物の裏面上に露出している場合には、接続部が所定の位置を保持したまま接続対象物の表面側を向くように接続対象物の接続部が配置されている部分が反転された状態で、所定の位置における接続対象物の表面上にコンタクトが配置され、
ハウジングに保持されたコンタクトが接続部に接触してフレキシブル導体に電気的に接続されるものである。
【0012】
接続対象物は、絶縁性を有するシート状の支持体と、支持体の一方の面に配置されたフレキシブル導体とを有し、支持体は、互いに対向する一対の切り込みにより囲まれ且つ一方の面に少なくとも1つの接続部が配置されている島状部と、島状部の両端をそれぞれ周囲の支持体に連結する一対の連結部とを有し、一対の連結部を変形させることにより、島状部が支持体に沿って延びる反転軸の回りに反転されることが好ましい。
【0013】
一対の連結部は、それぞれ、反転軸に対して交差する方向に延び、一対の連結部を、反転軸上に配置された折り返し線に沿って折り返すことにより、島状部が反転軸の回りに180度反転されるように構成することができる。
あるいは、一対の連結部は、反転軸に平行な一直線上に延び、一対の連結部を、反転軸の回りに180度捩じることにより、島状部が反転軸の回りに反転されるように構成することもできる。
接続部は、反転軸上に配置されていることが好ましい。
島状部に、反転軸に沿って2つの接続部が配置され、一対の連結部に、それぞれ、対応する接続部に接続されたフレキシブル導体が配置されていてもよい。
【0014】
ハウジングは、接続対象物の表面側に配置されるトップインシュレータと接続対象物の裏面側に配置されるボトムインシュレータからなり、接続対象物がトップインシュレータおよびボトムインシュレータで挟まれることにより、コンタクトがハウジングに保持されることが好ましい。
【0015】
コンタクトは、筒状部と、筒状部の一端に形成されたフランジを有し、トップインシュレータは、コンタクトの筒状部が貫通し且つフランジよりも小さいコンタクト用貫通孔を有し、コンタクト用貫通孔にコンタクトの筒状部を貫通させると共にフランジをフレキシブル導体の表面に向けて押しつけるように、フレキシブル導体を挟んでトップインシュレータがボトムインシュレータに固定されることで、コンタクトがハウジングに保持されるように構成することができる。
【0016】
ボトムインシュレータは、コンタクトの筒状部に対応する突起を有し、コンタクトがハウジングに保持される際に、フレキシブル導体の接続部が突起によりコンタクトの筒状部内に押し込まれることで、コンタクトがフレキシブル導体に電気的に接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、フレキシブル導体が接続対象物の表面上に露出している場合には、そのままの状態で、所定の位置における接続対象物の表面上にコンタクトを配置し、フレキシブル導体が接続対象物の裏面上に露出している場合には、接続部が所定の位置を保持したまま接続対象物の表面側を向くように接続対象物の接続部が配置されている部分を反転させた状態で、所定の位置における接続対象物の表面上にコンタクトを配置し、接続対象物に取り付けられるハウジングにコンタクトを保持させると共にコンタクトを接続部に接触させるので、フレキシブル導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクトを接続対象物のフレキシブル導体に電気的に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】裏面にフレキシブル導体が露出する接続対象物にコネクタが取り付けられた実施の形態1に係るコネクタ組立体を斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】裏面にフレキシブル導体が露出する接続対象物にコネクタが取り付けられた実施の形態1に係るコネクタ組立体を斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係るコネクタ組立体の分解斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられるトップインシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられるトップインシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられるボトムインシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられるボトムインシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられるコンタクトを斜め上方から見た斜視図である。
【
図9】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられるコンタクトを斜め下方から見た斜視図である。
【
図10】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられる補強シートを斜め上方から見た斜視図である。
【
図11】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられる接続対象物の表面を示す平面図である。
【
図12】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられる接続対象物の裏面を示す底面図である。
【
図13】実施の形態1に係るコネクタ組立体に用いられる接続対象物の裏面の要部を示す拡大斜視図である。
【
図14】実施の形態1において、島状部を反転させた状態の接続対象物の裏面を示す斜視図である。
【
図15】実施の形態1において、島状部を反転させた状態の接続対象物の表面を示す斜視図である。
【
図16】接続対象物の表面側を向いた接続部の上にコンタクトが配置された状態を示す斜視図である。
【
図17】表面側に補強シートとトップインシュレータが配置された状態の接続対象物の裏面を示す斜視図である。
【
図19】実施の形態1に係るコネクタ組立体の要部を示す部分拡大断面図である。
【
図20】参考例となる接続対象物の裏面を示す底面図である。
【
図21】実施の形態1の変形例に係るコネクタ組立体に用いられる接続対象物の裏面の要部を示す拡大斜視図である。
【
図22】実施の形態1の変形例において、島状部を反転させた状態の接続対象物の裏面を示す斜視図である。
【
図23】実施の形態1の変形例において、島状部を反転させた状態の接続対象物の表面を示す斜視図である。
【
図24】表面にフレキシブル導体が露出する接続対象物にコネクタが取り付けられた実施の形態1に係るコネクタ組立体を斜め上方から見た斜視図である。
【
図25】実施の形態2に係るコネクタ組立体に用いられる接続対象物の裏面を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1および
図2に、実施の形態1に係るコネクタ組立体を示す。コネクタ組立体は、シート状の接続対象物F1にコネクタ11が取り付けられたものである。
コネクタ11は、例えば、ウエアラブルデバイスを嵌合するための衣服側コネクタ部として使用されるもので、ハウジング12を有している。ハウジング12には、4つのコンタクト13が、互いに平行な2列に配列された状態で、それぞれ接続対象物F1に対して垂直に突出するように保持されている。
【0020】
また、コネクタ11は、接続対象物F1を補強するための補強シート14と共に接続対象物F1に取り付けられている。
接続対象物F1は、例えば、絶縁性樹脂材料から形成され且つ可撓性を有するシート状の支持体F11の裏面にフレキシブル導体F12による配線が露出しているものである。支持体F11の表面には、フレキシブル導体F12は露出していない。また、接続対象物F1として、導電性繊維の織り込み、導電性インクの印刷等により少なくとも一方の面に配線が形成された、いわゆるスマートテキスタイルを用いることもできる。
【0021】
ここで、便宜上、接続対象物F1がXY面に沿って延び、4つのコンタクト13の2列の配列方向をY方向、4つのコンタクト13がそれぞれ突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。Z方向は、コネクタ11が図示しない相手側コネクタと嵌合する嵌合方向となる。
【0022】
図3は、コネクタ組立体の分解斜視図である。コネクタ11は、それぞれ絶縁性樹脂等の絶縁性材料からなるトップインシュレータ15およびボトムインシュレータ16を有しており、これらトップインシュレータ15およびボトムインシュレータ16によりハウジング12が構成されている。
【0023】
また、4つのコンタクト13は、それぞれ、補強シート14に形成されている開口部14Aを通して接続対象物F1の表面上に配置され、接続対象物F1の表面側に配置されるトップインシュレータ15と接続対象物F1の裏面側に配置されるボトムインシュレータ16により接続対象物F1がZ方向に挟まれることで、4つのコンタクト13および補強シート14が、ハウジング12に保持される。
【0024】
図4および
図5に示されるように、トップインシュレータ15は、+Z方向に向かって開いている凹部15Aを有し、凹部15A内に、4つのコンタクト用貫通孔15Bが形成されている。4つのコンタクト用貫通孔15Bは、4つのコンタクト13にそれぞれ対応している。
【0025】
トップインシュレータ15の-Z方向を向いた面において、4つのコンタクト用貫通孔15Bの外側の箇所からそれぞれ-Z方向に突出する複数の円柱形状の固定用ポスト15Cが形成されている。複数の固定用ポスト15Cは、コネクタ11が接続対象物F1に取り付けられる際に、トップインシュレータ15にボトムインシュレータ16を固定するためのものである。
【0026】
また、トップインシュレータ15の-Z方向を向いた面には、4つのコンタクト用貫通孔15Bの間の箇所からそれぞれ-Z方向に突出する4つの円柱形状の位置決めピン15Dが形成されている。これらの位置決めピン15Dは、トップインシュレータ15に対して接続対象物F1を位置決めするためのもので、固定用ポスト15Cよりも低い高さを有している。
【0027】
図6および
図7に示されるように、ボトムインシュレータ16は、XY面に沿って延びる平板部16Aを有し、平板部16Aの+Z方向を向いた面に、それぞれ+Z方向に突出する4つの突起16Bが形成されている。4つの突起16Bは、4つのコンタクト13にそれぞれ対応している。
【0028】
また、平板部16Aの+Z方向を向いた面において、4つの突起16Bの外側の箇所からそれぞれ+Z方向に突出する複数の位置ずれ防止ピン16Cが形成されている。これらの位置ずれ防止ピン16Cは、円錐形状を有しており、コネクタ11が接続対象物F1に取り付けられる際に、接続対象物F1と補強シート14の位置止めを行うものである。
【0029】
さらに、平板部16Aには、4つの突起16Bの外側の箇所に、それぞれ平板部16AをZ方向に貫通する複数の貫通孔16Dが形成されている。複数の貫通孔16Dは、トップインシュレータ15の複数の固定用ポスト15Cにそれぞれ対応している。
【0030】
図8および
図9に示されるように、コンタクト13は、金属等の導電性材料から形成されたプラグ型のコンタクトで、+Z方向に延びる円筒形状の筒状部13Aと、筒状部13Aの-Z方向端部に一体に形成され且つXY面に沿って筒状部13Aの外方に延びるフランジ13Bを有している。
なお、コンタクト13の筒状部13Aは、トップインシュレータ15のコンタクト用貫通孔15Bの内径より小さい外径を有し、コンタクト13のフランジ13Bは、トップインシュレータ15のコンタクト用貫通孔15Bの内径より大きい外径を有している。
【0031】
筒状部13Aの内部には、-Z方向に向かって開口する凹部13Cが形成されている。凹部13Cは、ボトムインシュレータ16の突起16Bの外径に、接続対象物F1の支持体F11の厚さとフレキシブル導体F12の厚さの和の2倍を加えた値よりわずかに小さい内径を有している。このようなコンタクト13は、例えば、金属材料にプレス加工、切削加工、絞り加工等を施すことにより作製することができる。
【0032】
図10に示されるように、補強シート14は、中央部に形成され且つ補強シート14を貫通する開口部14Aを有し、開口部14Aの周囲に、補強シート14を貫通する複数の貫通孔14Bが形成されている。複数の貫通孔14Bは、トップインシュレータ15の複数の固定用ポスト15Cにそれぞれ対応している。
このような補強シート14は、例えば、ポリウレタン等の伸縮性に優れた樹脂から形成されている。
【0033】
図11に示されるように、接続対象物F1のシート状の支持体F11には、互いにX方向に隣接して配置された第1の島状部21および第2の島状部31が形成されている。
【0034】
第1の島状部21は、互いにX方向に対向する一対の切り込み22および23によって囲まれており、第1の島状部21のY方向の両端部が、一対の連結部24および25を介して周囲の支持体F11に連結されている。
連結部24および25は、それぞれ、X方向に延びており、連結部24および25のX方向の中間部に、それぞれ、Y方向に延びる折り返し線26および27が設定されている。これらの折り返し線26および27は、互いに同一のX方向位置にあり、Y方向に延びる一直線上に位置している。
【0035】
第1の島状部21は、折り返し線26および27を通り且つY方向に延びる反転軸A1上に位置しており、一対の連結部24および25を、それぞれ、折り返し線26および27において折り返すことにより、第1の島状部21を反転軸A1の回りに180度反転することができる。
【0036】
同様に、第2の島状部31は、互いにX方向に対向する一対の切り込み32および33によって囲まれており、第2の島状部31のY方向の両端部が、一対の連結部34および35を介して周囲の支持体F11に連結されている。
連結部34および35は、それぞれ、X方向に延びており、連結部34および35のX方向の中間部に、それぞれ、Y方向に延びる折り返し線36および37が設定されている。これらの折り返し線36および37は、互いに同一のX方向位置にあり、Y方向に延びる一直線上に位置している。
【0037】
第2の島状部31は、折り返し線36および37を通り且つY方向に延びる反転軸A2上に位置しており、一対の連結部34および35を、それぞれ、折り返し線36および37において折り返すことにより、第2の島状部31を反転軸A2の回りに180度反転することができる。
【0038】
接続対象物F1の支持体F11には、第1の島状部21および第2の島状部31を囲むように第1の島状部21および第2の島状部31の周辺に配置された複数の貫通孔41が形成されている。これら複数の貫通孔41は、トップインシュレータ15の複数の固定用ポスト15Cにそれぞれ対応している。
また、第1の島状部21のY方向の中央部には、X方向に並ぶ2つの貫通孔42が形成され、同様に、第2の島状部31のY方向の中央部にも、X方向に並ぶ2つの貫通孔42が形成されている。これらの貫通孔42は、トップインシュレータ15の4つの位置決めピン15Dにそれぞれ対応している。
【0039】
図12に示されるように、支持体F11の-Z方向を向いた裏面には、フレキシブル導体F12による4本の配線51~54が露出している。これらの配線51~54は、それぞれ、Y方向に沿って延びている。
【0040】
第1の島状部21には、フレキシブル導体F12の一部からなり且つ配線51の端部に接続された接続部51Aとフレキシブル導体F12の一部からなり且つ配線52の端部に接続された接続部52Aが、反転軸A1上で且つ反転軸A1に沿ってY方向に並んで配置されている。配線51は、支持体F11の裏面を-Y方向から+Y方向に向かって延び、連結部24を通って第1の島状部21に至り、接続部51Aに接続されている。同様に、配線52は、支持体F11の裏面を+Y方向から-Y方向に向かって延び、連結部25を通って第1の島状部21に至り、接続部52Aに接続されている。
【0041】
第2の島状部31には、フレキシブル導体F12の一部からなり且つ配線53の端部に接続された接続部53Aとフレキシブル導体F12の一部からなり且つ配線54の端部に接続された接続部54Aが、反転軸A2上で且つ反転軸A2に沿ってY方向に並んで配置されている。配線53は、支持体F11の裏面を-Y方向から+Y方向に向かって延び、連結部34を通って第2の島状部31に至り、接続部53Aに接続されている。同様に、配線54は、支持体F11の裏面を+Y方向から-Y方向に向かって延び、連結部35を通って第2の島状部31に至り、接続部54Aに接続されている。
【0042】
このような構成を有するため、
図13に示されるように、配線51および52が内側になり且つ支持体F11が外側になるように、一対の連結部24および25を、それぞれ、折り返し線26および27において折り返すことにより、接続部51Aおよび52Aが配置されている第1の島状部21は、反転軸A1の回りに180度反転する。
同様に、配線53および54が内側になり且つ支持体F11が外側になるように、一対の連結部34および35を、それぞれ、折り返し線36および37において折り返すことにより、接続部53Aおよび54Aが配置されている第2の島状部31は、反転軸A2の回りに180度反転する。
【0043】
その結果、
図14および
図15に示されるように、第1の島状部21の接続部51Aおよび52Aと第2の島状部31の接続部53Aおよび54Aは、-Z方向側から見えなくなり、+Z方向を向くこととなる。
なお、第1の島状部21および第2の島状部31は、反転軸A1およびA2の回りに180度反転した場合に、切り込み22、23、32、33を超えて周囲の支持体F11に重複しないように配置されている。
【0044】
なお、第1の島状部21の接続部51Aおよび52Aは、反転軸A1上に配置されており、第1の島状部21を反転軸A1の回りに180度反転する前後において、接続対象物F1の裏面側を向くか、表面側を向くかの違いはあるものの、接続対象物F1に垂直なZ方向から見たときに、接続対象物F1に対し、ほぼ同じ所定の位置を保持している。
同様に、第2の島状部31の接続部53Aおよび54Aは、反転軸A2上に配置されており、第2の島状部31を反転軸A2の回りに180度反転する前後において、接続対象物F1の裏面側を向くか、表面側を向くかの違いはあるものの、接続対象物F1に垂直なZ方向から見たときに、接続対象物F1に対し、ほぼ同じ所定の位置を保持している。
【0045】
ここで、-Z方向を向いた裏面にフレキシブル導体F12が露出している接続対象物F1にコネクタ11を取り付けて、コネクタ組立体を組み立てる方法について説明する。
まず、
図13に示されるように、一対の連結部24および25を折り返し線26および27において折り返すことにより、接続部51Aおよび52Aが配置されている第1の島状部21を反転軸A1の回りに180度反転させると共に、一対の連結部34および35を折り返し線36および37において折り返すことにより、接続部53Aおよび54Aが配置されている第2の島状部31を反転軸A2の回りに180度反転させる。これにより、-Z方向を向いていた第1の島状部21の接続部51Aおよび52Aと第2の島状部31の接続部53Aおよび54Aは、
図15に示されるように、+Z方向を向くこととなる。
【0046】
この状態で、
図16に示されるように、+Z方向を向いている接続部51A、52A、53Aおよび54Aの上にそれぞれコンタクト13が配置される。それぞれのコンタクト13は、フランジ13Bが、対応する接続部51A、52A、53Aまたは54Aに接触し、筒状部13Aが、+Z方向に向かって延びた状態となる。
【0047】
次に、接続部51A、52A、53Aおよび54Aの上に配置された4つのコンタクト13が補強シート14の開口部14A内に位置するように、補強シート14が接続対象物F1の表面上に配置され、さらに、トップインシュレータ15が補強シート14の+Z方向側に配置される。
このとき、4つのコンタクト13の筒状部13Aは、
図4に示されるトップインシュレータ15の4つのコンタクト用貫通孔15Bに挿入されて、トップインシュレータ15の凹部15A内に突出する。
【0048】
また、トップインシュレータ15の複数の固定用ポスト15Cが、補強シート14の複数の貫通孔14Bおよび接続対象物F1の複数の貫通孔41を貫通し、
図17に示されるように、接続対象物F1の-Z方向を向いた裏面から-Z方向に突出する。これにより、接続対象物F1に対するトップインシュレータ15と補強シート14のXY方向における位置合わせが行われる。
【0049】
さらに、トップインシュレータ15の4つの位置決めピン15Dが、接続対象物F1の第1の島状部21の2つの貫通孔42と第2の島状部31の2つの貫通孔42に通される。これにより、反転軸A1およびA2の回りに180度反転された第1の島状部21および第2の島状部31は、トップインシュレータ15および4つのコンタクト13に対して位置合わせされる。
【0050】
なお、
図18に示されるように、第1の島状部21の2つの貫通孔42のうち、一方の貫通孔42を、トップインシュレータ15の位置決めピン15Dの外径に対応する径を有する円形に形成し、他方の貫通孔42を、トップインシュレータ15の位置決めピン15Dの外径に対応する短径を有する長円形に形成すれば、トップインシュレータ15および接続対象物F1の製造公差、並びに、第1の島状部21を反転する際の組立公差を吸収して、第1の島状部21の位置合わせを行うことができる。
第2の島状部31の2つの貫通孔42についても同様である。
【0051】
その後、ボトムインシュレータ16を-Z方向から+Z方向に移動させて、トップインシュレータ15への組み込みを開始する。
このとき、ボトムインシュレータ16の複数の貫通孔16Dに、接続対象物F1から-Z方向に突出しているトップインシュレータ15の複数の固定用ポスト15Cを通すことで、トップインシュレータ15に対するボトムインシュレータ16のXY方向における位置合わせが行われる。
【0052】
この状態で、トップインシュレータ15とボトムインシュレータ16を、互いに近接するようにZ方向に押しつけ合うと、ボトムインシュレータ16の4つの突起16Bが、それぞれ、接続対象物F1の-Z方向を向いた裏面に接触して、接触した箇所の接続対象物F1が+Z方向に押し込まれる。
【0053】
その結果、
図19に示されるように、接続対象物F1を間に挟んで、ボトムインシュレータ16の突起16Bが、対応するコンタクト13の凹部13Cに挿入される。これにより、接続対象物F1の第1の島状部21とその+Z方向側の面に露出している接続部51Aが、突起16Bにより凹部13Cに向かって+Z方向に突き出されて変形し、コンタクト13の凹部13Cの内周面が、XY面に沿った方向において、接続部51Aに接触する。
【0054】
ここで、第1の島状部21および接続部51Aは、それぞれ、接続対象物F1の支持体F11およびフレキシブル導体F12の一部からなり、コンタクト13の凹部13Cは、ボトムインシュレータ16の突起16Bの外径に、接続対象物F1の支持体F11の厚さとフレキシブル導体F12の厚さの和の2倍を加えた値よりわずかに小さい内径を有しているので、突起16Bによりコンタクト13の凹部13Cの内周面に接続部51Aを押しつけて接触圧を与える状態となり、コンタクト13が接続部51Aに電気的に接続される。
【0055】
同様にして、第1の島状部21の接続部52A、第2の島状部31の接続部53Aおよび54Aが、それぞれ、対応するコンタクト13に電気的に接続される。
【0056】
また、コンタクト13のフランジ13Bは、トップインシュレータ15のコンタクト用貫通孔15Bの内径より大きい外径を有しており、トップインシュレータ15の-Z方向側の面と接続対象物F1の+Z方向側の面との間に挟み込まれる。
トップインシュレータ15の固定用ポスト15Cは、ボトムインシュレータ16の貫通孔16Dを貫通して-Z方向側に突出するが、この固定用ポスト15Cの-Z方向端部が加熱変形されることにより、ボトムインシュレータ16がトップインシュレータ15に対して固定される。その結果、コンタクト13が、トップインシュレータ15およびボトムインシュレータ16からなるハウジング12に保持される。
【0057】
さらに、トップインシュレータ15とボトムインシュレータ16を、互いに近接するようにZ方向に押しつけ合うことにより、ボトムインシュレータ16の平板部16Aから+Z方向に突出している円錐形状の位置ずれ防止ピン16Cが接続対象物F1の支持体F11および補強シート14に突き刺さり、これにより、接続対象物F1と補強シート14の位置ずれが防止される。
【0058】
このようにして、
図1および
図2に示されるように、接続対象物F1にコネクタ11が取り付けられ、コネクタ組立体の組み立てが完了する。
【0059】
なお、
図12に示されるように、第1の島状部21の接続部51Aおよび52Aは、反転軸A1上に配置されており、第1の島状部21の反転前後において、Z方向から見たときに、ほぼ同じ所定の位置を保持し、同様に、第2の島状部31の接続部53Aおよび54Aは、反転軸A2上に配置されており、第2の島状部31の反転前後において、Z方向から見たときに、ほぼ同じ所定の位置を保持している。このような第1の島状部21および第2の島状部31を形成するために、
図11に示されるように、X方向の抜き幅W1にわたって支持体F11を打ち抜いて、切り込み22、23、32、33を形成している。
【0060】
これに対し、仮に、
図20に示される接続対象物F2のように、第1の島状部61および第2の島状部62が反転軸A3およびA4の上に位置しておらず、フレキシブル導体F22による配線71および72に接続された接続部71Aおよび72Aがそれぞれ第1の島状部61および第2の島状部62に配置され、第1の島状部61および第2の島状部62を反転軸A3およびA4の回りに180度反転させることにより、接続部71Aおよび72Aを、
図15に示される接続対象物F1の接続部51A、52Aおよび53A、54Aと同じ所定の位置に位置させることを想定する。
【0061】
この場合、第1の島状部61および第2の島状部62が反転軸A3およびA4上ではなく反転軸A3およびA4の外側に位置しているため、接続対象物F1における抜き幅W1よりも広い抜き幅W2にわたって接続対象物F2の支持体F21を打ち抜く必要が生じてしまう。
【0062】
図11および
図12に示される接続対象物F1では、反転軸A1およびA2の上に接続部51A、52Aおよび53A、54Aをそれぞれ配置しているため、支持体F11の抜き幅W1を小さくすることができる。その結果、接続対象物F1の第1の島状部21を囲む切り込み22,23および第2の島状部31を囲む切り込み32,33を、トップインシュレータ15およびボトムインシュレータ16で挟まれる領域内に配置して、コネクタ11の小型化を図ることが可能となる。
【0063】
また、
図13に示されるように、配線51および52が内側になり且つ支持体F11が外側になるように、一対の連結部24および25を、それぞれ、折り返し線26および27において折り返し、同様に、配線53および54が内側になり且つ支持体F11が外側になるように、一対の連結部34および35を、それぞれ、折り返し線36および37において折り返しているが、これに限るものではない。
【0064】
図21に示されるように、配線51および52が外側になり且つ支持体F11が内側になるように、一対の連結部24および25を、それぞれ、折り返し線26および27において折り返し、同様に、配線53および54が外側になり且つ支持体F11が内側になるように、一対の連結部34および35を、それぞれ、折り返し線36および37において折り返しても、接続部51Aおよび52Aが配置されている第1の島状部21および接続部53Aおよび54Aが配置されている第2の島状部31を、反転軸A1およびA2の回りに180度反転させることができる。
【0065】
このようにしても、
図22および
図23に示されるように、第1の島状部21の接続部51Aおよび52Aと第2の島状部31の接続部53Aおよび54Aは、-Z方向側から見えなくなり、+Z方向を向くこととなる。従って、実施の形態1と同様にして、接続対象物F1にコネクタ11を取り付け、コネクタ組立体を組み立てることができる。
【0066】
上記の実施の形態1では、
図1および
図2に示されるように、-Z方向を向いた裏面にフレキシブル導体F12が露出している接続対象物F1にコネクタ11が取り付けられたが、
図24に示されるように、接続対象物F1を裏返しにして、+Z方向を向いた表面上にフレキシブル導体F12が露出し、-Z方向を向いた裏面にはフレキシブル導体F12が露出しない状態の接続対象物F1に対しても、コネクタ11を取り付けることができる。
【0067】
この場合、第1の島状部21および第2の島状部31に配置された接続部51A、52A、53Aおよび54Aは、既に+Z方向を向いているため、第1の島状部21および第2の島状部31を反転軸A1およびA2の回りに180度反転させることなく、そのままの状態で、
図16に示されるように、接続部51A、52A、53Aおよび54Aの上にそれぞれコンタクト13が配置される。その後、上記の実施の形態1と同様に、接続対象物F1の+Z方向側に補強シート14とトップインシュレータ15が配置され、接続対象物F1の-Z方向側からボトムインシュレータ16がトップインシュレータ15に組み込まれる。
【0068】
これにより、コネクタ組立体が組み立てられ、4つのコンタクト13は、それぞれ、接続部51A、52A、53Aおよび54Aに電気的に接続される。
このように、実施の形態1のコネクタ組立体によれば、フレキシブル導体F12が接続対象物F1の裏面および表面のいずれに露出していても、接続対象物F1の第1の島状部21および第2の島状部31を反転軸A1およびA2の回りに180度反転するか、あるいは、反転しないでそのままにするか、を選択するだけで、コンタクト13、補強シート14、トップインシュレータ15およびボトムインシュレータ16以外の部材を用いることなく、コネクタ11を接続対象物F1に取り付けて、コンタクト13を接続対象物F1のフレキシブル導体F12に電気的に接続することが可能となる。
【0069】
なお、上記の実施の形態1では、コネクタ11が4つのコンタクト13を有しているが、1つ以上のコンタクト13を有していればよく、コンタクト13の個数は4つに限るものではない。
また、接続対象物F1が、第1の島状部21および第2の島状部31を有しているが、例えば、コンタクト13の個数に応じて、1つの島状部あるいは3つ以上の島状部を有していてもよい。
【0070】
さらに、上記の実施の形態1では、接続対象物F1の第1の島状部21に2つの接続部51Aおよび52Aが配置され、第2の島状部31にも2つの接続部53Aおよび54Aが配置されているが、1つの島状部に1つの接続部のみが配置されていてもよい。この場合、1つの接続部に一対の配線を接続し、これら一対の配線を、島状部の両端に連結されている一対の連結部を通して島状部から引き出し、周囲の支持体上で1つの配線に合流させることもできる。このように、一対の配線を島状部の1つの接続部に接続することで、配線の電気抵抗を低下させて、コンタクト13を介した微弱電流の検出を精度よく行うことが可能となる。
【0071】
また、1つの島状部に3つ以上の接続部を配置することもできる。この場合、島状部の両端に連結されている一対の連結部の少なくとも一方に2本以上の配線を配置することで、3つ以上の接続部からそれぞれ配線を引き出すことができる。連結部を折り返して島状部を反転させる際に、連結部に配置されている2本以上の配線の短絡を防止するために、
図21に示されるように、配線を外側に且つ支持体を内側にして連結部を折り返すことが好ましい。
図13に示されるように、配線を内側に且つ支持体を外側にして連結部を折り返す場合には、折り返される連結部の間に絶縁シート等の絶縁層を介在させることで、連結部に配置されている2本以上の配線の短絡を防止することができる。
【0072】
上記の実施の形態1では、接続対象物F1の第1の島状部21のY方向の両端部が、一対の連結部24および25を介して周囲の支持体F11に連結されているが、第1の島状部21のY方向の一端部のみを連結部により周囲の支持体F11に連結し、Y方向の他端部に連結部を配置しない構成とすることもできる。ただし、実施の形態1のように、第1の島状部21のY方向の両端部に連結部24および25を配置する方が、第1の島状部21を反転軸A1の回りに安定して反転させることができるので好ましい。
第2の島状部31の連結部34および35も同様である。
【0073】
また、実施の形態1では、コネクタ11は、補強シート14と共に接続対象物F1に取り付けられているが、特に接続対象物F1を補強する必要がない場合には、補強シート14を省略してもよい。
【0074】
なお、フレキシブル導体F12が接続対象物F1の裏面および表面のいずれに露出している場合であっても、
図16に示されるように、接続部51A、52A、53Aおよび54Aの上にそれぞれコンタクト13が配置されるので、ボトムインシュレータ16の突起16Bにより接続対象物F1の接続部51A、52A、53Aおよび54Aをそれぞれ対応するコンタクト13の凹部13Cに挿入する代わりに、ハンダ付け等により接続部51A、52A、53Aおよび54Aをそれぞれ対応するコンタクト13に電気的に接続することもできる。
【0075】
実施の形態2
上記の実施の形態1においては、接続対象物F1の第1の島状部21および第2の島状部31に連結された連結部24、25、34および35が、それぞれ、反転軸A1およびA2に対して交差するX方向に延びており、連結部24、25、34および35を反転軸A1およびA2に沿った折り返し線26、27、36および37で折り返すことにより、第1の島状部21および第2の島状部31を反転軸A1およびA2の回りに180度反転しているが、これに限るものではない。
【0076】
例えば、
図25に示される接続対象物F3は、支持体F31に形成された島状部81のY方向の両端部が、それぞれY方向に延びる一対の連結部82および83を介して周囲の支持体F31に連結されている。支持体F31の-Z方向を向いた裏面には、フレキシブル導体F32による2本の配線91および92が露出しており、島状部81に、フレキシブル導体F32の一部からなり且つ配線91の端部に接続された接続部91Aとフレキシブル導体F32の一部からなり且つ配線92の端部に接続された接続部92Aが、反転軸A5上で且つ反転軸A5に沿ってY方向に並んで配置されている。
【0077】
一対の連結部82および83は、いずれも、反転軸A5に沿った一直線上に延びており、これらの連結部82および83を、反転軸A5の回りに180度捩じることにより、接続部91Aおよび92Aが配置されている島状部81を反転軸A5の回りに180度反転させることができる。
島状部81の接続部91Aおよび92Aは、反転軸A5上に配置されており、島状部81を反転軸A5の回りに180度反転する前後において、接続対象物F3の裏面側を向くか、表面側を向くかの違いはあるものの、接続対象物F3に垂直なZ方向から見たときに、接続対象物F3に対し、ほぼ同じ所定の位置を保持している。
【0078】
従って、このような接続対象物F3を用いても、実施の形態1のコネクタ組立体と同様に、フレキシブル導体F32が接続対象物F3の裏面および表面のいずれに露出している状態であっても、接続対象物F3の島状部81を反転軸A5の回りに180度反転するか、あるいは、反転しないでそのままにするか、を選択するだけで、実施の形態1に示されるコンタクト13、補強シート14、トップインシュレータ15およびボトムインシュレータ16以外の部材を用いることなく、コネクタ11を接続対象物F3に取り付けて、コンタクト13を接続対象物F3のフレキシブル導体F32に電気的に接続することが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
1 コネクタ、2 第1絶縁部材、2A 凸部、2B 突起、3 第2絶縁部材、3A 開口部、3B 突起収容部、4 接続対象物、5 コンタクト、6 フレキシブル導体、11 コネクタ、12 ハウジング、13 コンタクト、13A 筒状部、13B フランジ、13C 凹部、14 補強シート、14A 開口部、14B,41,42,16D 貫通孔、15 トップインシュレータ、15A 凹部、15B コンタクト用貫通孔、15C 固定用ポスト、15D 位置決めピン、16 ボトムインシュレータ、16A 平板部、16B 突起、16C 位置ずれ防止ピン、21,61 第1の島状部、31,62 第2の島状部、22,23,32,33 切り込み、24,25,34,35,82,83 連結部、26,27,36,37 折り返し線、51,52,53,54,71,72,91,92 配線、51A.52A,53A,54A,71A,72A,91A,92A 接続部、81 島状部、F1,F2,F3 接続対象物、F11,F21,F31 支持体、F12,F22,F32 フレキシブル導体、A1,A2,A3.A4.A5 反転軸、W1,W2 抜き幅。