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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20240920BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 612U
G09G3/20 642L
G09G3/20 611H
G09G3/20 641E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021076509
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170407
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迫 和彦
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 一成
(72)【発明者】
【氏名】原田 勉
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-290458(JP,A)
【文献】特開2003-345309(JP,A)
【文献】特開2001-188513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0033258(US,A1)
【文献】特開2018-025639(JP,A)
【文献】特開2007-156409(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108320707(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/137-1/141
G09G 3/00-3/38
H04N 9/00-9/898
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤のスペクトルがピークの光を発する第1副画素と、緑のスペクトルがピークの光を発する第2副画素と、青のスペクトルがピークの光を発する第3副画素と、を有する画素を備え、
前記第1副画素、前記第2副画素及び前記第3副画素は、無機発光ダイオードであり、
前記第1副画素が所定以下の低輝度範囲内の発光強度で発光する場合、前記第1副画素の発光強度を基準として予め定められた比率で前記第2副画素の発光強度が強められ
緑の出力階調性は、赤の出力階調性及び青の出力階調性よりも多い、
表示装置。
【請求項2】
前記緑の出力階調性は、前記第2副画素の出力階調性と、フレームレートコントロールと、の組み合わせによる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記フレームレートコントロールは、前記赤の出力階調性の増加及び前記青の出力階調性の増加に適用されない、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
赤のスペクトルがピークの光を発する第1副画素と、緑のスペクトルがピークの光を発する第2副画素と、青のスペクトルがピークの光を発する第3副画素と、を有する画素を備え、
前記第1副画素、前記第2副画素及び前記第3副画素は、無機発光ダイオードであり、
前記第2副画素及び前記第3副画素が発光しない場合、前記第1副画素の発光強度が強いほど前記第1副画素からの光による再現色における緑の混入の度合いが上がり、
前記第1副画素が所定以下の低輝度範囲内の発光強度で発光する場合、前記第1副画素の発光強度を基準として予め定められた比率で前記第2副画素の発光強度が強められる、
表示装置。
【請求項5】
前記低輝度範囲内で、前記第1副画素が相対的に低輝度で発光する場合、前記第1副画素が相対的に高輝度で発光する場合に比して第1補正比率が大きく、
前記第1補正比率は、前記第1副画素の発光強度に対する、前記画素で再現される赤を調整するための前記第2副画素の発光強度の比率である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2副画素は、前記表示装置に対する入力信号が示す緑の階調値と、前記入力信号が示す赤の階調値と前記第1補正比率とに基づいた追加階調値と、を足し合わせた値に対応した発光強度で発光する、
請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2副画素が相対的に低輝度で発光する場合、前記第2副画素が相対的に高輝度で発光する場合に比して第2補正比率が大きく、
前記第2副画素が相対的に高輝度で発光する場合、前記第2副画素が相対的に低輝度で発光する場合に比して第3補正比率が大きく、
前記第2補正比率は、前記第2副画素の発光強度に対する、前記画素で再現される緑を調整するための前記第1副画素の発光強度の比率であり、
前記第3補正比率は、前記第2副画素の発光強度に対する、前記画素で再現される緑を調整するための前記第3副画素の発光強度の比率である、
請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1副画素は、前記表示装置に対する入力信号が示す赤の階調値と、前記入力信号が示す緑の階調値と前記第2補正比率とに基づいた追加階調値と、を足し合わせた値に対応した発光強度で発光し、
前記第3副画素は、前記表示装置に対する入力信号が示す青の階調値と、前記入力信号が示す緑の階調値と前記第3補正比率とに基づいた追加階調値と、を足し合わせた値に対応した発光強度で発光する、
請求項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLED(Light Emitting Diode)を利用して画像を表示する表示装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-187180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロLEDは、与えられる電流の大きさによって光のスペクトルのピークが変わることがある。特に、赤のスペクトルをピークとするマイクロLEDを赤の副画素として利用する場合、発光強度によって再現される赤の色度が変わることがある。これは、相対的に小さい電流で点灯する低輝度状態と相対的に大きい電流で点灯する高輝度状態とで緑のスペクトルの混在の度合いが異なることによる。このような赤の色度の変化を抑制することが求められていた。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、発光強度の強弱による色度の変化を抑制できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、赤のスペクトルがピークの光を発する第1副画素と、緑のスペクトルがピークの光を発する第2副画素と、青のスペクトルがピークの光を発する第3副画素と、を有する画素を備え、前記第1副画素、前記第2副画素及び前記第3副画素は、無機発光ダイオードであり、前記第1副画素が所定以下の低輝度範囲内の発光強度で発光する場合、前記第1副画素の発光強度を基準として予め定められた比率で前記第2副画素の発光強度が強められる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、複数の画素を示す平面図である。
図3図3は、画素回路を示す回路図である。
図4図4は、発光強度の強弱による再現色の変化を色度図上で示した図である。
図5図5は、第1副画素の発光強度の強弱による再現色の変化を参考例1、参考例2、参考例3の比較で示す図である。
図6図6は、実施形態で行われる信号処理による実施例1、実施例2及び実施例3を示す図である。
図7図7は、入力信号における赤の階調値と、出力信号に加えられる緑の階調値の比率と、追加される緑の階調値と、の対応関係をグラフで示す図である。
図8図8は、入力信号における緑の階調値と、出力信号に加えられる緑の階調値と、の関係をグラフで示す図である。
図9図9は、駆動ICで行われる信号処理の流れの一例を示す図である。
図10図10は、図9に示す信号処理とは異なる信号処理を行う駆動ICによる信号処理の流れの例を示す図である。
図11図11は、緑の色度を安定させる仕組みを示す模式図である。
図12図12は、実施形態で行われる信号処理による実施例4、実施例5及び実施例6を示す図である。
図13図13は、駆動ICで行われる信号処理の流れの一例を示す図である。
図14図14は、図13に示す信号処理とは異なる信号処理を行う駆動ICによる信号処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板21、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。
【0010】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0011】
複数の画素Pixは、基板21の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、基板21の表面に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、基板21の法線方向に対応する。なお、以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0012】
駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8(図3参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0013】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210は、基板21の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装される。これに限定されず、駆動IC210は、基板21の周辺領域GAに接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。
【0014】
カソード配線60は、基板21の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子3のカソードは、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。
【0015】
図2は、複数の画素を示す平面図である。図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の副画素49を含む。例えば、画素Pixは、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。第1副画素49Rは、赤のスペクトルがピークの光を発する。第2副画素49Gは、緑のスペクトルがピークの光を発する。第3副画素49Bは、青のスペクトルがピークの光を発する。第1副画素49Rからの光と、第2副画素49Gからの光と、第3副画素49Bからの光と、の組み合わせによって加色混合による色再現が行われる。図2に示すように、1つの画素Pixにおいて、第1副画素49Rと第2副画素49Gは第1方向Dxで並ぶ。また、第2副画素49Gと第3副画素49Bは第2方向Dyで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤、緑、青に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
【0016】
副画素49は、それぞれ発光素子3と、アノード電極23とを有する。表示装置1は、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bにおいて、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる光を出射することで画像を表示する。発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオードチップであり、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置1は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子3の大きさを限定するものではない。
【0017】
なお、複数の発光素子3は、4色以上の異なる光を出射してもよい。また、複数の副画素49の配置は、図2に示す構成に限定されない。例えば、第1副画素49Rは第3副画素49Bと第1方向Dxに隣り合っていてもよい。また、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bが、この順で第1方向Dxに繰り返し配列されてもよい。
【0018】
図3は、画素回路を示す回路図である。図3は、1つの副画素49に設けられた画素回路PICAを示しており、画素回路PICAは複数の副画素49のそれぞれに設けられている。図3に示すように、画素回路PICAは、発光素子3と、5つのトランジスタと、2つの容量とを含む。具体的には、画素回路PICAは、駆動トランジスタDRT(トランジスタ)、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTを含む。駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。また、画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2を含む。
【0019】
発光素子3のカソード(カソード端子32)は、カソード電源線L10に接続される。また、発光素子3のアノード(アノード端子33)は、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTを介してアノード電源線L1に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDDが供給される。カソード電源線L10には、カソード配線60を介してカソード電源電位PVSSが供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。
【0020】
アノード電源線L1は、副画素49に、駆動電位であるアノード電源電位PVDDを供給する。具体的には、発光素子3は、理想的にはアノード電源電位PVDDとカソード電源電位PVSSとの電位差(PVDD-PVSS)により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。つまり、アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSに対し、発光素子3を発光させる電位差を有している。発光素子3のアノード端子33は、アノード電極23に電気的に接続され、アノード電極23とアノード電源線L1との間に等価回路として、第2容量Cs2が接続される。
【0021】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、アノード電極23を介して発光素子3のアノード端子33に接続され、ドレイン電極は、出力トランジスタBCTのソース電極に接続される。駆動トランジスタDRTのゲート電極は、第1容量Cs1、画素選択トランジスタSSTのドレイン電極及び初期化トランジスタISTのドレイン電極に接続される。
【0022】
出力トランジスタBCTのゲート電極は、出力制御信号線L6に接続される。出力制御信号線L6には、出力制御信号BGが供給される。出力トランジスタBCTのドレイン電極は、アノード電源線L1に接続される。
【0023】
初期化トランジスタISTのソース電極は、初期化電源線L4に接続される。初期化電源線L4には、初期化電位Viniが供給される。初期化トランジスタISTのゲート電極は、初期化制御信号線L8に接続される。初期化制御信号線L8には、初期化制御信号IGが供給される。すなわち、駆動トランジスタDRTのゲート電極には、初期化トランジスタISTを介して初期化電源線L4が接続される。
【0024】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線L2に接続される。映像信号線L2には、映像信号Vsigが供給される。画素選択トランジスタSSTのゲート電極には、画素制御信号線L7が接続されている。画素制御信号線L7には、画素制御信号SGが供給される。
【0025】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット電源線L3に接続される。リセット電源線L3には、リセット電源電位Vrstが供給される。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御信号線L5に接続される。リセット制御信号線L5には、リセット制御信号RGが供給される。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、アノード電極23(発光素子3のアノード端子33)及び駆動トランジスタDRTのソース電極に接続される。リセットトランジスタRSTのリセット動作により、第1容量Cs1及び第2容量Cs2に保持された電圧がリセットされる。
【0026】
リセットトランジスタRSTのドレイン電極と、駆動トランジスタDRTのゲート電極との間に、等価回路として、第1容量Cs1が設けられる。画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2により、駆動トランジスタDRTの寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制することができる。
【0027】
なお、以下の説明において、アノード電源線L1及びカソード電源線L10を単に電源線と表す場合がある。映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4を信号線と表す場合がある。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7及び初期化制御信号線L8をゲート線と表す場合がある。
【0028】
駆動トランジスタDRTのゲート電極には、映像信号Vsig(または、階調信号)に応じた電位が供給される。つまり、駆動トランジスタDRTは、出力トランジスタBCTを介して供給されたアノード電源電位PVDDに基づいて、映像信号Vsigに応じた電流を発光素子3に供給する。このように、アノード電源線L1に供給されたアノード電源電位PVDDは、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTによって降下するため、発光素子3のアノード端子33には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。
【0029】
第2容量Cs2の一方の電極には、アノード電源線L1を介してアノード電源電位PVDDが供給され、第2容量Cs2の他方の電極には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。つまり、第2容量Cs2の一方の電極には、第2容量Cs2の他方の電極よりも高い電位が供給される。
【0030】
表示装置1において、駆動回路12(図1参照)は、複数の画素行を、先頭行(例えば、図1中の表示領域AAにおいて、最上部に位置する画素行)から順番に選択する。駆動IC210は、選択された画素行の副画素49に映像信号Vsig(映像書き込み電位)を書き込み、発光素子3を発光させる。駆動IC210は、1水平走査期間ごとに、映像信号線L2に映像信号Vsigを供給し、リセット電源線L3にリセット電源電位Vrstを供給し、初期化電源線L4に初期化電位Viniを供給する。表示装置1は、これらの動作が1フレームの画像ごとに繰り返される。映像信号Vsigは、後述する出力Rout,Gout,Boutに対応した信号になる。
【0031】
副画素49は、映像信号Vsigの元になる入力信号が示す階調値に基づいた発光強度で発光する。入力信号は、表示装置1に対して入力される信号であって、出力される画像の内容に対応する信号である。赤、緑、青の各々の階調値が8ビットの数値で表されるRGB画像信号が入力信号として入力される場合を例とすると、階調値が0の場合に副画素49は消灯する。また、この例では、階調値が0を超える値である場合に0に近い程弱く発光し、最大値(255)に近い程強く発光する。
【0032】
ここで、第1副画素49Rや第2副画素49Gは、発光強度の強弱によって再現色が変化することがある。以下、図4を参照して、発光強度の強弱と再現色との関係を説明する。
【0033】
図4は、発光強度の強弱による再現色の変化を色度図上で示した図である。図4に示す色度図は、国際照明委員会(CIE:Commission internationale de l’eclairage、なおl’eclairageの「’」は本来アポストロフィであり、その直後のeはアクサン付きである)が定めるCIE1931色空間のxy色度図である。以下、単に色度図と記載した場合、当該CIE1931色空間のxy色度図をさす。
【0034】
以下、第1副画素49Rに流される電流の大小によって調節可能な発光強度の調節範囲内で、相対的に小さな電流が流されて発光強度が弱い低輝度状態で再現される赤の色を第1赤色Rminとし、相対的に大きな電流が流されて発光強度が強い高輝度状態で再現される赤の色を第2赤色Rmaxとする。また、第2副画素49Gに流される電流の大小によって調節可能な発光強度の調節範囲内で、相対的に小さな電流が流されて発光強度が弱い低輝度状態で再現される緑の色を第1緑色Gminとし、相対的に大きな電流が流されて発光強度が強い高輝度状態で再現される緑の色を第2緑色Gmaxとする。
【0035】
図4に示すように、第2赤色Rmaxは、色度図上において第1赤色Rminに比して緑側に位置する。このことから、第2赤色Rmaxを再現している高輝度状態の第1副画素49Rから発せられる光は、第1赤色Rminを再現している低輝度状態の第1副画素49Rから発せられる光よりも緑のスペクトルの影響が強い光であるといえる。このような第1赤色Rminと第2赤色Rmaxとの差は、第1副画素49Rの発光特性による。すなわち、第1副画素49Rは、低輝度状態と高輝度状態とで、発する光のスペクトルが異なる。
【0036】
また、図4に示すように、第2緑色Gmaxは、色度図上において第1緑色Gminに比して赤側に位置する。このことから、第2緑色Gmaxを再現している高輝度状態の第2副画素49Gから発せられる光は、第1緑色Gminを再現している低輝度状態の第2副画素49Gから発せられる光よりも赤のスペクトルの影響が強い光であるといえる。また、第1緑色Gminを再現している低輝度状態の第2副画素49Gから発せられる光は、第2緑色Gmaxを再現している高輝度状態の第2副画素49Gから発せられる光よりも青のスペクトルの影響が強い光であるといえる。このような第1緑色Gminと第2緑色Gmaxとの差は、第2副画素49Gの発光特性による。すなわち、第2副画素49Gは、低輝度状態と高輝度状態とで、発する光のスペクトルが異なる。
【0037】
なお、第3副画素49Bは、点灯する場合、発光強度の強弱に関わらず、図4に示す色度図上の青色Bcomを再現する発光特性を有する。
【0038】
このような第1赤色Rminと第2赤色Rmaxとの関係、第1緑色Gminと第2緑色Gmaxとの関係及び青色Bcomを考慮すると、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bが全て低輝度状態である場合に再現可能な色度範囲は、図4に示す第1色度範囲Tminのように表せる。第1色度範囲Tminは、第1赤色Rmin、第1緑色Gmin及び青色Bcomを頂点とする三角形状の色度範囲である。また、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bが全て高輝度状態である場合に再現可能な色度範囲は、図4に示す第2色度範囲Tmaxのように表せる。第2色度範囲Tmaxは、第2赤色Rmax、第2緑色Gmax及び青色Bcomを頂点とする三角形状の色度範囲である。なお、第1色度範囲Tmin及び第2色度範囲Tmaxの内側で図示している×は、白の色度の位置を示す。
【0039】
図4を参照して説明した副画素49の発光特性のうち、第1副画素49Rの発光特性によって生じる現象について、図5を参照してさらに説明する。図5を参照して説明する参考例では、実施形態と異なり、入力信号が示す階調値をそのまま出力信号、すなわち、映像信号Vsigに反映して第1副画素49Rに与える制御が適用される。
【0040】
図5は、第1副画素49Rの発光強度の強弱による再現色の変化を参考例1、参考例2、参考例3の比較で示す図である。図5に示す参考例1は、第1赤色Rminが再現される低輝度状態で第1副画素49Rが点灯する場合を示す。参考例2は、第1赤色Rminが再現される低輝度状態と、第2赤色Rmaxが再現される高輝度状態と、の間の中間輝度状態で第1副画素49Rが点灯する場合を示す。参考例3は、第2赤色Rmaxが再現される高輝度状態で第1副画素49Rが点灯する場合を示す。
【0041】
図5に示すように、参考例1では、参考例2及び参考例3に比して、入力信号が示す赤の階調値が低い。また、参考例3では、参考例1及び参考例2に比して、入力信号が示す赤の階調値が高い。なお、参考例2では、参考例1に比して入力信号が示す赤の階調値が高く、参考例3に比して入力信号が示す赤の階調値が低い。
【0042】
図5では、参考例1における入力信号が示す赤の階調値を階調値R1としている。また、参考例2における入力信号が示す赤の階調値を階調値R2としている。また、参考例3における入力信号が示す赤の階調値を階調値R3としている。参考例1、参考例2及び参考例3の各々の出力信号は、図5に示すように、各々の入力信号をそのまま反映する。
【0043】
参考例1では、出力信号が示す赤の階調値である階調値R1に対応して点灯した第1副画素49Rが再現する光の色が、赤の階調値である階調値Raで表せることを示している。言い換えれば、第1赤色Rminを赤の階調値で表した場合、階調値Raである。参考例1で示すように、階調値R1に対応して点灯した第1副画素49Rが再現する光の色は、赤の成分のみを含み、緑及び青の成分を含まない。一方、より高階調な階調値に対応した出力信号が与えられると、出力信号に対して実際にヒトによって視認される再現色としてのR画素の色合いは、緑を含んだ色にシフトする。
【0044】
例えば、参考例2では、出力信号が示す赤の階調値である階調値R2に対応して点灯した第1副画素49Rが再現する光の色が、赤の階調値である階調値Rbと、緑の階調値である階調値Gbとの組み合わせで表せることを示している。また、参考例3では、出力信号が示す赤の階調値である階調値R3に対応して点灯した第1副画素49Rが再現する光の色が、赤の階調値である階調値Rcと、緑の階調値である階調値Gcとの組み合わせで表せることを示している。言い換えれば、第2赤色Rmaxを階調値で表した場合、階調値Rcと階調値Gcとの組み合わせである。
【0045】
さらに、参考例3における階調値Rcに対する階調値Gcの比率は、参考例2における階調値Rbに対する階調値Gbの比率よりも小さい。すなわち、参考例3は、参考例2に比して、緑のスペクトルの影響がより大きい。以上、参考例1、参考例2、参考例3の比較で示すように、第1副画素49Rは、発光強度が強くなるほど、発光による再現色における緑の成分が強くなる発光特性を示す。このような発光特性によって、図4を参照して説明したような第1赤色Rminと第2赤色Rmaxとの差が生じる。言い換えれば、第1副画素49Rの再現色は、発光強度が強くなるにつれて、色度図上における第1赤色Rmin側から第2赤色Rmax側に移動するように変化する。従って、参考例では、入力信号が示す赤の階調値の高低によって、第1副画素49Rの点灯によって再現される赤の色度が変化する。具体的には、出力信号に対して実際にヒトによって視認される再現色としてのR画素の色合いは、より高階調である(OLEDに対する電流がより大きい)程、緑の混入の度合いが上がる。
【0046】
そこで、実施形態の駆動IC210は、入力信号が示す赤の階調値の高低によらず、画素Pixの点灯によって再現される赤の色度を安定させるための信号処理を行う。
【0047】
図6は、実施形態で行われる信号処理による実施例1、実施例2及び実施例3を示す図である。実施例1における入力信号は、参考例1(図5参照)と同様である。実施例2における入力信号は、参考例2(図5参照)と同様である。実施例3における入力信号は、参考例3(図5参照)と同様である。
【0048】
駆動IC210は、信号処理を行うことで、第1副画素49Rが所定以下の低輝度範囲内の発光強度で発光する場合、第1副画素49Rの発光強度を基準として予め定められた比率で第2副画素49Gの発光強度を強める。具体的には、駆動IC210は、当該低輝度範囲内で入力信号における赤の階調値が低いほど、当該赤の階調値に対してより高い比率で緑の成分を出力信号に加える信号処理を、画素Pix単位で個別に行う。また、駆動IC210は、加えられた緑の成分によって第2副画素49Gが点灯することで生じる画素Pixの輝度上昇分に対応した輝度低下を第1副画素49Rで生じさせる。具体的には、駆動IC210は、当該輝度低下のため、入力信号における赤の階調値よりも出力信号における赤の階調値を下げる信号処理を、画素Pix単位で個別に行う。実施例1の出力信号には、実施例1の入力信号に含まれていた階調値R1よりも低い階調値Rdに加えて、緑の階調値である階調値G1がさらに含まれている。また、実施例2の出力信号には、実施例2の入力信号に含まれていた階調値R2よりも低い階調値Reに加えて、緑の階調値である階調値G2がさらに含まれている。
【0049】
このような出力信号に応じて、実施例1における画素Pixの再現色は、赤の階調値である階調値Rdと、緑の階調値である階調値Gdとの組み合わせで表せる色になっている。また、実施例2における画素Pixの再現色は、赤の階調値である階調値Reと、緑の階調値である階調値Geとの組み合わせで表せる色になっている。
【0050】
なお、実施例3の出力信号には、実施例3の入力信号に含まれていた階調値R3が含まれており、緑の成分は含まれていない。従って、実施例3における画素Pixの再現色は、参考例3における第1副画素49Rの再現色と同様、赤の階調値である階調値Rcと、緑の階調値である階調値Gcとの組み合わせで表せる色になっている。
【0051】
ここで、階調値Rd:階調値Gdと、階調値Re:階調値Geと、階調値Rc:階調値Gcと、は共通の比α:βとして表せる。すなわち、実施例1における画素Pixの再現色と、実施例2における画素Pixの再現色と、実施例3における画素Pixの再現色と、は、色度図上における共通色になる。具体的には、当該共通色は、図4における第2赤色Rmaxである。このように、実施形態では、駆動IC210が信号処理を行うことによって、入力信号が示す赤の階調値の高低によらず、画素Pixの点灯によって再現される赤の色度が、図4に示すRmaxに対応した色度で安定する。従って、図6を参照した出力信号制御が行われることで、再現色における赤と青との関係が、図4に示す第2赤色Rmaxと青色Bcomとの線上で安定する。なお、後述する図11及び図12を参照した説明に対応した出力信号制御がさらに行われることで、再現色における赤、青、緑の関係が、図4に示す第2赤色Rmaxと、青色Bcomと、図11に示す第3緑色Gtarと、を三頂点とする関係に安定する。
【0052】
なお、上述のように、実施例3の出力信号には、実施例の入力信号に含まれていた階調値R3が含まれており、緑の成分は含まれていない。これは、第2赤色Rmaxにおける緑のスペクトルの影響を基準として、第2赤色Rmaxを再現する第1副画素49Rよりも低輝度で点灯する第1副画素49Rの再現色を色度図上における第2赤色Rmaxにするように、駆動IC210が信号処理を行うことによる。
【0053】
なお、入力信号が示す赤の階調値の高低と、出力信号に加えられる緑の階調値の高低と、の対応関係は、予め定められている。
【0054】
図7は、入力信号における赤の階調値と、出力信号に加えられる緑の階調値の比率と、追加される緑の階調値と、の対応関係をグラフで示す図である。なお、図7のグラフにおいて破線の縦軸P1に記載された「出力信号に加えられる緑の階調値の比率」とは、出力信号の元になった入力信号が示す赤の階調値に対する緑の階調値の比率である。すなわち、図7に示す破線のグラフP2は、画素Pixが再現する赤の色を安定させるために信号処理によって出力信号に加えられる緑の階調値が、当該出力信号の元になった入力信号が示す赤の階調値の何%であるかを示している。
【0055】
また、図7のグラフにおいて一点鎖線の縦軸Q1に記載された「追加される緑の階調値」とは、入力信号が示す赤の階調値に応じて出力信号に加えられる緑の階調値である。すなわち、図7に示す一点鎖線のグラフQ2は、画素Pixが再現する赤の色を安定させるために信号処理によって出力信号に加えられる緑の階調値の高低を示している。
【0056】
図7において破線のグラフで示すように、入力信号が示す赤の階調値が低い程、入力信号が示す赤の階調値に対する出力信号に加えられる緑の階調値の比率が高い。このように、赤の階調値と緑の階調値との比率で見た場合、赤の階調値が低い程、出力信号に加えられる緑の階調値の比率が高くなる。
【0057】
これに対し、一点鎖線のグラフで示すように、出力信号に加えられる緑の階調値のピークは、入力信号が示す赤の階調値の最低値と最高値との間の中間で生じている。より具体的には、出力信号に加えられる緑の階調値のピークに対応した赤の階調値を基準として、入力信号が示す赤(G)の階調値が当該基準よりも低い赤の階調値から当該基準に近づくよう高まるにつれて出力信号に加えられる緑の階調値が高まる。また、入力信号が示す赤(G)の階調値が当該基準から高まるにつれて出力信号に加えられる緑の階調値が低くなる。すなわち、赤の入力階調値が大きいほど、第2副画素49Gを点灯させることによる「意図的な緑へのシフト」を生じさせる度合いがより小さく済むことから、図7に示すグラフにおける「入力信号における赤の階調値」の高階調側では、再現色を緑に移動させる色度の差が小さいため移動に使用するGの量も収束していくことがグラフQ2で示されている。
【0058】
図7を参照して説明した事項のうち、少なくとも一点鎖線のグラフで示すデータ、すなわち、入力信号が示す赤の階調値と出力信号に加えられる緑の階調値との対応関係を示すデータは、あらかじめ測定されて駆動IC210によって保持されている。駆動IC210は、信号処理において当該データを参照する。当該データは、例えばLUT(Look Up Table)の形式であるが、これに限られるものでなく、データとして同様に機能するものであればよい。
【0059】
以上、図6及び図7を参照した説明では、入力信号が示す緑の階調値及び青の階調値がともに0である場合を想定している。次に、入力信号が示す緑の階調値の高低に応じた駆動IC210による信号処理のより詳細な仕組みについて、図8を参照して説明する。
【0060】
図8は、入力信号における緑の階調値と、出力信号に加えられる緑の階調値と、の関係をグラフで示す図である。図8のグラフにおける縦軸の「出力信号に加えられる緑の階調値」とは、赤の色度を安定させるために、入力信号が示す赤(G)の階調値に基づいて信号処理で出力信号に加えられる緑の階調値である。
【0061】
図7を参照して説明したように、赤の色度を安定させるために信号処理で出力信号に加えられる緑の階調値(追加階調値)は入力信号が示す赤(G)の階調値に基づいて決定される。一方、入力信号は、赤(G)の階調値を示す情報だけでなく、緑の階調値を示す情報も含んでいる。ここで、緑の再現における当該追加階調値の影響は、当該追加階調値が加えられる前の緑の階調値によって変化する。具体的には、高階調になるほど、より少ない追加階調値で赤の色度を安定させるために十分な緑の成分を得られる。これは、入力信号に基づいた表示出力における色再現において、ガンマ変換処理が行われることによる。ガンマ変換によって、緑の階調値の上昇に対するコンピュータのディスプレイにおける再現色としての緑の輝度の上昇は比例的でなく、より顕著に生じる。従って、実施形態の駆動IC210は、図8に示すように、当該追加階調値が追加される前の画素Pixの入力信号における緑の階調値に応じて当該追加階調値を決定する。
【0062】
具体的な処理例を挙げると、駆動IC210は、図7を参照した説明に基づいて決定された、赤の色度を安定させるために信号処理で出力信号に加えられる緑の階調値を補正前の値とする。駆動IC210は、当該補正前の値を、図8に示すグラフにおける「入力信号における緑の階調値」が最低である場合の値とする。駆動IC210は、追加階調値が追加される前の画素Pixの入力信号における赤(G)の階調値に対応するグラフのカーブがとる値であって、「追加階調値が追加される前の画素Pixの入力信号における緑の階調値」に対応する横軸方向の位置の値を追加階調値として特定する。駆動IC210は、このようにして特定された追加階調値を、画素Pixの入力信号における緑の階調値に加える。これによって、赤の色度を安定させるために信号処理が実現される。
【0063】
図8では、入力信号における各色の階調値が8ビットであることを前提として、入力信号が示す赤の階調値が15である場合(R=15)、31である場合(R=31)、47である場合(R=47)、63である場合(R=63)、79である場合(R=79)及び95である場合(R=95)を例示しているが、赤の階調値はこれら例示したものに限られず、他の階調値についても同様に入力信号における緑の階調値と、出力信号に加えられる緑の階調値と、の関係に応じて、出力信号に加えられる緑の階調値が決定される。駆動ICによって赤の階調値に応じて緑の階調値がより高められる範囲である低輝度範囲は、例えば階調値が8ビットの場合、赤の階調値が0以上であって254以下である範囲である。すなわち、階調値の最大値未満である場合に、出力信号制御による色のシフトが発生する。
【0064】
図8に示すグラフで示すデータは、あらかじめ測定されて駆動IC210によって保持されている。駆動IC210は、信号処理において当該データを参照する。当該データは、例えばLUTの形式であるが、これに限られるものでなく、データとして同様に機能するものであればよい。また、ガンマ変換処理で参照されるガンマカーブに対応するデータも、あらかじめ駆動IC210から参照可能に保持されている。
【0065】
図9は、駆動IC210で行われる信号処理の流れの一例を示す図である。図9ならびに後述する図10図13及び図14では、入力信号が示す赤の階調値を階調値Rinとしている。また、入力信号が示す緑の階調値を階調値Ginとしている。また、入力信号が示す青の階調値を階調値Binとしている。階調値Rin、階調値Gin及び階調値Binは、例えば8ビットの情報量で現される値である。
【0066】
駆動IC210は、階調値Rinに基づいたガンマ変換処理を行う。具体的には、駆動IC210は、上述の図7を参照して説明したデータに対応するLUT(2色LUT)及びガンマカーブに対応するデータに基づいて、赤の階調値RRと、赤の色度を安定させるために信号処理で出力信号に加えられる緑の階調値RGと、を階調値Rinから導出する。赤の階調値RRは、例えば入力信号が示す赤の階調値をガンマ変換した値である。図9では、赤の階調値RRの一例として、16ビットのリニア階調値を例示している。緑の階調値RGは、図7を参照して説明した、入力信号が示す赤(G)の階調値に基づいて決定される、赤の色度を安定させるために信号処理で出力信号に加えられる緑の階調値である。図9では、緑の階調値RGの一例として、16ビットのリニア階調値を例示している。
【0067】
また、駆動IC210は、上述のガンマカーブに対応するデータに基づいて、緑の階調値GGを階調値Ginから導出する。緑の階調値GGは、例えば入力信号が示す緑の階調値をガンマ変換した値である。図9では、緑の階調値GGの一例として、16ビットのリニア階調値を例示している。駆動IC210は、緑の階調値RGと、緑の階調値GGと、を足し合わせた緑の階調値(G)を導出する。ここで、緑の階調値(G)が16ビットのリニア階調値の最大値を超えた場合、当該緑の階調値(G)は、当該最大値に補正される。この補正は、図9に示す「Limit」の部分で行われる。なお、緑の階調値RGと、緑の階調値GGと、を足し合わせて当該緑の階調値(G)を導出する処理に先立って、駆動IC210は、図8を参照した説明に基づき、緑の階調値RGと階調値Ginとの関係に対応する追加階調値を導出し、緑の階調値RGに代えて当該追加階調値を緑の階調値GGと足し合わせるようにしてもよい。緑の階調値RGは、第1補正比率に対応した発光強度の光を第2副画素49Gからの光に追加するために加えられる階調値であるといえる。
【0068】
駆動IC210は、赤の階調値RRを赤の階調値(R)として扱い、当該赤の階調値(R)に逆ガンマ変換処理を施して出力Routを導出する。図9では、信号処理後に駆動IC210から出力される出力信号が示す赤の階調値を出力Routとしている。なお、逆ガンマ変換処理で参照されるデータは、上述のガンマカーブに対応するデータであってもよいし、逆ガンマ変換用に用意された専用のデータであってもよい。また、図9では、逆ガンマ変換に伴い、16ビットだった当該赤の階調値(R)から8ビットの出力Routを導出する情報量変更処理も併せて行われている。
【0069】
駆動IC210は、緑の階調値RGと、緑の階調値GGと、を足し合わせた緑の階調値(G)に逆ガンマ変換処理を施す。図9では、当該逆ガンマ変換処理に伴い、16ビットだった当該緑の階調値(G)から10ビットの緑の階調値(G)を導出する情報量変更処理も併せて行われている。
【0070】
駆動IC210は、フレームレートコントロール(FRC:Frame Rate Control)を適用して、8ビットの緑の階調値に対応して発光強度が制御される第2副画素49Gで10ビットの緑を再現する。第2副画素49Gによる緑の再現では、階調値が1上がることによる発光強度の変化の度合いが、赤の色度を調整するために適当な変化の度合いとして過剰すぎる場合がある。すなわち、仮に上述の追加階調値を最低(1)としたとしても、当該追加階調値によって生じる「第2副画素49Gで再現される緑の変化」が赤の色度を調整するために適当な変化の度合いとして過剰すぎる場合がある。そこで、実施形態の駆動IC210は、このような過剰な緑の変化を抑制し、赤の色度を調整するために適当な変化を得るため、複数のフレーム画像のうち一部のフレーム画像に当該追加階調値を反映するFRCを行う。
【0071】
一例を挙げると、所定のフレームレートで表示装置1が出力を継続する複数フレームの画像において、2フレームあたり1フレームに当該追加階調値が反映されるようにすることで、当該追加階調値による「第2副画素49Gで再現される緑の変化」を、FRCを適用しない場合に比して50%にすることができる。また、4フレームあたり3フレームに当該追加階調値が反映されるようにすることで、当該追加階調値による「第2副画素49Gで再現される緑の変化」を、FRCを適用しない場合に比して75%にすることができる。同様の考え方で、pフレームあたりqフレームに当該追加階調値が反映されるようにすることで、当該追加階調値による「第2副画素49Gで再現される緑の変化」を、FRCを適用しない場合に比してq/pにすることができる。このようにして、表示装置1は、8ビットの緑の階調値に対応して発光強度が制御される第2副画素49Gで10ビットの緑を再現できる。図9では、FRCを利用して再現される緑を出力Goutとして示している。
【0072】
なお、実施形態では、FRCによる階調性の増加は、緑の再現にのみ適用され、赤及び青には適用されない。緑の再現に特にFRCが必要な理由としては、BT.709に従った表示装置の場合、全ての副画素49が最高輝度で点灯する場合の赤の輝度成分と緑の輝度成分との比は、0.3576:0.7152となる。すなわち、緑の輝度は、赤の輝度の2倍になる。このように他の色に比してヒトに高輝度の色として視認される緑を、赤の色度の調整のために微調整するには、より多階調での出力制御精度を確保する必要がある。このような出力制御精度を確保するため、FRCが採用される。なお、BT.709は、国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)の無線通信部門(ITU-R:ITU Radiocommunication Sector)で定められた、表示装置における画像のエンコーディングと信号特性を標準化するリファレンスである。
【0073】
また、駆動IC210は、階調値Binをそのまま出力Boutとして扱う。図9では、信号処理後に駆動IC210から出力される出力信号が示す青の階調値を出力Boutとしている。
【0074】
信号処理の流れは、図9に示すものに限られない。図10を参照して、信号処理の流れの他の例について説明する。
【0075】
図10は、図9に示す信号処理とは異なる信号処理を行う駆動IC210Aによる信号処理の流れの例を示す図である。図10に示す例が適用される場合、駆動IC210に代えて駆動IC210Aが採用される。駆動IC210Aは、信号処理の流れの詳細が駆動IC210と異なることを除いて、駆動IC210と同様の構成である。
【0076】
駆動IC210Aは、階調値Rinに対応する出力Routを、専用のLUT(R用LUT)を参照して導出する。すなわち、駆動IC210Aは、図9を参照して説明した赤の階調値RRの導出を過程に含む階調値Rinからの出力Routの導出のための演算と同様の結果を導出できる入力(階調値Rin)と出力(出力Rout)の関係を示すLUTとして当該専用のLUTをあらかじめ保持している。
【0077】
また、駆動IC210Aは、階調値Rinと階調値Ginに対応する出力Goutを、専用のLUT(G用LUT)を参照して導出する。すなわち、駆動IC210Aは、図9を参照して説明した緑の階調値RG及び緑の階調値GGの導出を過程に含む階調値Ginからの出力Goutの導出のための演算と同様の結果を導出できる入力(階調値Gin)と出力(出力Gout)の関係を示すLUTとして当該専用のLUTをあらかじめ保持している。なお、図9を参照した説明における「緑の階調値RGと、緑の階調値GGと、を足し合わせた緑の階調値(G)」に基づいてFRCを行う仕組みは、駆動IC210Aにも同様に適用される。
【0078】
また、駆動IC210Aは、駆動IC210と同様、階調値Binをそのまま出力Boutとして扱う。
【0079】
以上、画素Pixの点灯によって再現される赤の色度を安定させる信号処理について説明したが、信号処理は、さらに緑の色度を安定させるための処理を含んでいてもよい。
【0080】
図11は、緑の色度を安定させる仕組みを示す模式図である。図4を参照して説明したように、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bが全て低輝度状態である場合に再現可能な色度範囲は、図4に示す第1色度範囲Tminのように表せる。また、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bが全て高輝度状態である場合に再現可能な色度範囲は、図4に示す第2色度範囲Tmaxのように表せる。
【0081】
ここで、第1緑色Gminと第1赤色Rmin(図4参照)とを結ぶ第1色度範囲Tminの一辺Tmin1と、第2緑色Gmaxと青色Bcom(図4参照)とを結ぶ第2色度範囲Tmaxの一辺Tmax1と、の交差位置上に位置する色度を第3緑色Gtarとする。第3緑色Gtarの位置は、第1緑色Gminを第1赤色Rmin側に色度移動量Rv移動させた位置である。従って、色度移動量Rvに対応する赤(G)の成分を第1緑色Gminに追加することで、第3緑色Gtarを再現できる。また、第3緑色Gtarの位置は、第2緑色Gmaxを青色Bcom側に色度移動量Bv移動させた位置である。従って、色度移動量Bvに対応する青の成分を第2緑色Gmaxに追加することで、第3緑色Gtarを再現できる。
【0082】
また、第2副画素49Gによって再現される色の色度は、輝度によって、低輝度状態の第1緑色Gminと高輝度状態の第2緑色Gmaxとの間の色度移動範囲内に含まれる。図11では、当該色度移動範囲内に含まれる色のうち、第1緑色Gminと第2緑色Gmax以外の色を、破線の三角形で模式的に示している。当該色度移動範囲内に含まれる色は、赤(G)の成分と青の成分を適宜加えることで、第3緑色Gtarにすることができる。
【0083】
図12は、実施形態で行われる信号処理による実施例4、実施例5及び実施例6を示す図である。
【0084】
図12に示す実施例4の入力信号は、信号処理を行わない場合に第1緑色Gminが再現される低輝度状態で第2副画素49Gが点灯する場合の入力信号を示す。図12では、当該入力信号が示す緑の階調値を階調値G4としている。
【0085】
実施例5の入力信号は、信号処理を行わない場合に第1緑色Gminが再現される低輝度状態と第2緑色Gmaxが再現される高輝度状態との間の中間輝度状態で第2副画素49Gが点灯する場合の入力信号を示す。図12では、当該入力信号が示す緑の階調値を階調値G5としている。
【0086】
実施例6の入力信号は、信号処理を行わない場合に第2緑色Gmaxが再現される高輝度状態で第2副画素49Gが点灯する場合の入力信号を示す。図12では、当該入力信号が示す緑の階調値を階調値G6としている。
【0087】
図12に示すように、階調値G4は、階調値G5及び階調値G6より低い階調値である。また、階調値G5は、階調値G4より高く、階調値G6より低い階調値である。また、階調値G6は、階調値G4及び階調値G5より高い階調値である。
【0088】
駆動IC210は、入力信号が示す緑の階調値が階調値G4である場合に赤の成分を加え、入力信号が示す緑の階調値が階調値G6である場合に青の成分を加え、入力信号が示す緑の階調値が階調値G4と階調値G6との間の階調値(例えば、階調値G5)である場合に赤の成分及び青の成分を加える信号処理を、画素Pix単位で個別に行う。また、駆動IC210は、加えられた赤の成分及び青の成分の少なくとも一方によって第1副画素49R及び第3副画素49Bが点灯することで生じる画素Pixの輝度上昇分に対応した輝度低下を第2副画素49Gで生じさせる。具体的には、駆動IC210は、当該輝度低下のため、入力信号における緑の階調値よりも出力信号における緑の階調値を下げる信号処理を、画素Pix単位で個別に行う。これによって、実施例4の出力信号には、実施例4の入力信号に含まれていた階調値G4よりも低い階調値Gkに加えて、階調値R4がさらに含まれている。また、実施例5の出力信号には、実施例5の入力信号に含まれていた階調値G5よりも低い階調値Gmに加えて、階調値R5及び階調値B5がさらに含まれている。また、実施例6の出力信号には、実施例6の入力信号に含まれていた階調値G6よりも低い階調値Gnに加えて、階調値B6がさらに含まれている。
【0089】
このような出力信号に応じて、実施例4における画素Pixの再現色は、赤の階調値である階調値Rkと、緑の階調値である階調値Gkと、青の階調値である階調値Bkと、の組み合わせで表せる色になっている。なお、階調値Bkに対応する青の成分は、第2副画素49Gの発光特性によって、低輝度状態の第2副画素49Gが生じさせる。また、実施例5における画素Pixの再現色は、赤の階調値である階調値Rmと、緑の階調値である階調値Gmと、青の階調値である階調値Bmと、の組み合わせで表せる色になっている。また、実施例6における画素Pixの再現色は、赤の階調値である階調値Rnと、緑の階調値である階調値Gnと、青の階調値である階調値Bnと、の組み合わせで表せる色になっている。なお、階調値Rnに対応する赤の成分は、第2副画素49Gの発光特性によって、高輝度状態の第2副画素49Gが生じさせる。
【0090】
ここで、階調値Rk:階調値Gk:階調値Bkと、階調値Rm:階調値Gm:階調値Bmと、階調値Rn:階調値Gn:階調値Bnと、実質共通の比γ:Δ:εとして表せる。すなわち、実施例4における画素Pixの再現色と、実施例5における画素Pixの再現色と、実施例6における画素Pixの再現色と、は、色度図上における共通色になる。具体的には、当該共通色は、図11における第3緑色Gtarである。このように、実施形態では、信号処理によって、入力信号が示す緑の階調値の高低によらず、画素Pixの点灯によって再現される緑の色度が安定する。
【0091】
図示しないが、図7及び図8を参照して説明した、入力信号が示す赤の階調値と緑の階調値との関係に対応して追加階調値を導出するためのデータと同様の趣旨のデータが、緑の色度を安定させるためにも予め用意される。
【0092】
以下、赤及び緑の色度を安定させる信号処理を行う駆動IC210Bによる信号処理の流れについて、図13を参照して説明する。駆動IC210Bは、信号処理の流れの詳細が駆動IC210と異なることを除いて、駆動IC210と同様の構成である。
【0093】
図13は、駆動IC210Bで行われる信号処理の流れの一例を示す図である。
【0094】
駆動IC210Bは、階調値Rinに基づいたガンマ変換処理を行う。具体的には、駆動IC210Bは、駆動IC210と同様、上述の図7を参照して説明したデータに対応するLUT(2色LUT)及びガンマカーブに対応するデータに基づいて、赤の階調値RRと、緑の階調値RGと、を階調値Rinから導出する。
【0095】
また、駆動IC210Bは、階調値Ginに基づいたガンマ変換処理を行う。具体的には、駆動IC210Bは、上述の緑の色度を安定させるためのデータを参照して、赤の階調値GRと、緑の階調値GGと、青の階調値GBと、を階調値Ginから導出する。赤の階調値GR及び青の階調値GBは、緑の色度を安定させるために信号処理で出力信号に加えられる階調値である。
【0096】
また、駆動IC210Bは、上述のガンマカーブに対応するデータに基づいて、青の階調値BBを階調値Binから導出する。赤の階調値GR、青の階調値GB及び青の階調値BBは、例えば、16ビットの階調値である。
【0097】
駆動IC210Bは、赤の階調値RRと、赤の階調値GRと、を足し合わせた赤の階調値(R)を導出する。ここで、赤の階調値(R)が16ビットのリニア階調値の最大値を超えた場合、当該赤の階調値(R)は、当該最大値に補正される。この補正は、図13に示すRR(リニア)とGR(リニア)との足し合わせ(+)箇所における「Limit」の部分で行われる。駆動IC210Bは、当該赤の階調値(R)に逆ガンマ変換処理を施して出力Routを導出する。図13では、当該逆ガンマ変換処理に伴い、16ビットだった当該赤の階調値(R)から8ビットの出力Routを導出する情報量変更処理も併せて行われている。赤の階調値GRは、第2補正比率に対応した発光強度の光を第1副画素49Rからの光に追加するために加えられる階調値であるといえる。
【0098】
また、駆動IC210Bは、駆動IC210と同様、緑の階調値RGと、緑の階調値GGと、を足し合わせた緑の階調値(G)を導出する。ここで、当該緑の階調値(G)が16ビットのリニア階調値の最大値を超えた場合、当該緑の階調値(G)は、当該最大値に補正される。この補正は、図13に示すRG(リニア)とGG(リニア)との足し合わせ(+)箇所における「Limit」の部分で行われる。駆動IC210Bは、当該緑の階調値(G)に逆ガンマ変換処理を施して出力Goutを導出する。図13では、当該逆ガンマ変換処理に伴い、16ビットだった当該緑の階調値(G)から10ビットの出力Goutを導出する情報量変更処理も併せて行われている。駆動IC210Bは、駆動IC210と同様、FRCを適用して、8ビットの緑の階調値に対応して発光強度が制御される第2副画素49Gで10ビットの緑を再現する。
【0099】
また、駆動IC210Bは、青の階調値GBと、青の階調値BBと、を足し合わせた青の階調値(B)を導出する。ここで、当該青の階調値(B)が16ビットのリニア階調値の最大値を超えた場合、当該青の階調値(B)は、当該最大値に補正される。この補正は、図13に示すGB(リニア)とBB(リニア)との足し合わせ(+)箇所における「Limit」の部分で行われる。駆動IC210Bは、当該青の階調値(B)に逆ガンマ変換処理を施して出力Boutを導出する。図13では、当該逆ガンマ変換処理に伴い、16ビットだった当該青の階調値(B)から8ビットの出力Boutを導出する情報量変更処理も併せて行われている。青の階調値GBは、第3補正比率に対応した発光強度の光を第3副画素49Bからの光に追加するために加えられる階調値であるといえる。
【0100】
赤及び緑の色度を安定させる信号処理の流れは、図13に示すものに限られない。図14を参照して、信号処理の流れの他の例について説明する。
【0101】
図14は、図13に示す信号処理とは異なる信号処理を行う駆動IC210Cによる信号処理の流れの例を示す図である。図14に示す例が適用される場合、駆動IC210Bに代えて駆動IC210Cが採用される。駆動IC210Cは、信号処理の流れの詳細が駆動IC210と異なることを除いて、駆動IC210と同様の構成である。
【0102】
駆動IC210Cは、階調値Rin及び階調値Ginに対応する出力Routを、専用のLUT(R用LUT)を参照して導出する。すなわち、駆動IC210Cは、図13を参照して説明した赤の階調値RR、赤の階調値GRの導出を過程に含む階調値Rin及び階調値Ginからの出力Routの導出のための演算と同様の結果を導出できる入力(階調値Rin、階調値Gin)と出力(出力Rout)の関係を示すLUTとして当該専用のLUTをあらかじめ保持している。
【0103】
また、駆動IC210Cは、階調値Rinと階調値Ginに対応する出力Goutを、専用のLUT(G用LUT)を参照して導出する。すなわち、駆動IC210Cは、図9を参照して説明した緑の階調値RG及び緑の階調値GGの導出を過程に含む階調値Ginからの出力Goutの導出のための演算と同様の結果を導出できる入力(階調値Gin)と出力(出力Gout)の関係を示すLUTとして当該専用のLUTをあらかじめ保持している。なお、FRCを行う仕組みは、駆動IC210Cにも同様に適用される。
【0104】
また、駆動IC210Cは、階調値Gin及び階調値Binに対応する出力Boutを、専用のLUT(B用LUT)を参照して導出する。すなわち、駆動IC210Cは、図13を参照して説明した青の階調値GB、青の階調値BBの導出を過程に含む階調値Gin及び階調値Binからの出力Boutの導出のための演算と同様の結果を導出できる入力(階調値Gin、階調値Bin)と出力(出力Bout)の関係を示すLUTとして当該専用のLUTをあらかじめ保持している。
【0105】
以上説明したように、実施形態によれば、表示装置1は、赤のスペクトルがピークの光を発する第1副画素49Rと、緑のスペクトルがピークの光を発する第2副画素49Gと、青のスペクトルがピークの光を発する第3副画素49Bと、を有する画素Pixを備える。第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bは、無機発光ダイオードである。第1副画素49Rが所定以下の低輝度範囲内の発光強度で発光する場合、第1副画素49Rの発光強度を基準として予め定められた比率で第2副画素49Gの発光強度が強められる。これによって、当該低輝度範囲内の発光強度で点灯する第1副画素49Rから発せられる光のスペクトルを、当該低輝度範囲外の高輝度範囲で生じる第1副画素49Rの光のスペクトルに合わせるよう調整できる。従って、画素Pix単位で見た赤の色度を第1副画素49Rの発光強度に関わらず安定させることができる。すなわち、発光強度の強弱による色度の変化を抑制できる。
【0106】
また、上述の低輝度範囲内で第1副画素49Rが相対的に低輝度で発光する場合、第2副画素49Gが相対的に高輝度で発光する場合に比して第1補正比率が大きい。当該第1補正比率は、第1副画素49Rの発光強度に対する、画素Pixで再現される赤を調整するための第2副画素49Gの発光強度の比率である。これによって、高輝度状態の場合に低輝度状態に比して緑の成分が強くなる第1副画素49Rの発光特性に応じて、低輝度状態の場合に緑の成分を補うように第2副画素49Gの発光強度を調整できる。従って、画素Pix単位で見た赤の色度を第1副画素49Rの発光強度に関わらず安定させることができる。すなわち、発光強度の強弱による色度の変化を抑制できる。
【0107】
また、第2副画素49Gは、表示装置1に対する入力信号が示す緑の階調値と、入力信号が示す赤の階調値と上述の第1補正比率とに基づいた追加階調値と、を足し合わせた値に対応した発光強度で発光する。これによって、入力信号が示す緑の階調値に対応した緑の再現と、赤の色度の変化の抑制と、を両立できる。
【0108】
また、第2副画素49Gが相対的に低輝度で発光する場合、第2副画素49Gが相対的に高輝度で発光する場合に比して第2補正比率が大きい。また、第2副画素49Gが相対的に高輝度で発光する場合、第2副画素49Gが相対的に低輝度で発光する場合に比して第3補正比率が大きい。当該第2補正比率は、第2副画素49Gの発光強度に対する、画素Pixで再現される緑を調整するための第1副画素49Rの発光強度の比率である。当該第3補正比率は、第2副画素49Gの発光強度に対する、画素Pixで再現される緑を調整するための第3副画素49Bの発光強度の比率である。これによって、高輝度状態の場合に低輝度状態に比して赤の成分が強くなり、低輝度状態の場合に高輝度状態に比して青の成分が強くなる第2副画素49Gの発光特性に応じて、低輝度状態の場合に赤の成分を補うように第1副画素49Rの発光強度を調整でき、高輝度状態の場合に青の成分を補うように第2副画素49Gの発光強度を調整できる。従って、画素Pix単位で見た緑の色度を第2副画素49Gの発光強度に関わらず安定させることができる。すなわち、発光強度の強弱による色度の変化を抑制できる。
【0109】
また、第1副画素49Rは、表示装置1に対する入力信号が示す赤の階調値と、入力信号が示す緑の階調値と第2補正比率とに基づいた追加階調値と、を足し合わせた値に対応した発光強度で発光し、第3副画素49Bは、表示装置1に対する入力信号が示す青の階調値と、入力信号が示す緑の階調値と第3補正比率とに基づいた追加階調値と、を足し合わせた値に対応した発光強度で発光する。これによって、入力信号が示す赤の階調値に対応した赤の再現と、入力信号が示す青の階調値に対応した青の再現と、緑の色度の変化の抑制と、を並立できる。
【0110】
また、緑の出力階調性は、赤の出力階調性及び青の出力階調性よりも多い。これによって、赤の色度の調整に必要な緑の出力階調性をより確実に確保できる。
【0111】
また、緑の出力階調性は、第2副画素49Gの出力階調性と、FRCと、の組み合わせによる。これによって、第2副画素49Gの発光強度の調整のみによって赤の色度の調整に必要な緑の出力階調性を確保することが困難な場合であっても、赤の色度の調整に必要な緑の出力階調性をより確実に確保できる。
【0112】
また、FRCは、赤の出力階調性の増加及び青の出力階調性の増加に適用されない。これによって、全フレーム期間に渡り、赤及び青の出力をより安定させることができる。
【0113】
なお、上述の説明で採用されている各種信号又は階調数を示すビット数はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0114】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0115】
1 表示装置
49R 第1副画素
49G 第2副画素
49B 第3副画素
210 駆動IC
Pix 画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14