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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】作物回収機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240920BHJP
   A01D 33/00 20060101ALI20240920BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20240920BHJP
   A01D 51/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01B69/00 303D
A01D33/00
A01D69/00 302Z
A01B69/00 303G
A01D51/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021082712
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175930
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】森園 吉一
(72)【発明者】
【氏名】秋元 賢佑
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉村 達也
(72)【発明者】
【氏名】崎山 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】丸山 義貴
(72)【発明者】
【氏名】岩切 雅也
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-291313(JP,A)
【文献】特開平10-113025(JP,A)
【文献】特開2019-106897(JP,A)
【文献】特開2019-106104(JP,A)
【文献】特開2016-208871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0270286(US,A1)
【文献】特開2021-003026(JP,A)
【文献】特開2007-319049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01D 33/00
A01D 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土中から掘り出されて条を成す状態で圃場に並べられた作物を回収する作物回収機であって、
機体と、
前記機体を支持して走行させる走行装置と、
作物を回収する回収装置と、
前記条の位置を示す条情報を取得する条情報取得部と、
前記条情報取得部が取得した前記条情報に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御する走行制御部と
測位データを出力する衛星測位装置と、
前記機体の後端位置から回収した作物を排出する排出シュートと、を備え、
前記条情報取得部は、前記条の絶対位置を示す前記条情報としての絶対位置情報を取得し、
前記走行制御部は、前記測位データと前記絶対位置情報とに基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御し、
前記衛星測位装置は、前記排出シュートを支持するフレームに取り付けられている作物回収機。
【請求項2】
前記条情報取得部は、トラクタが圃場の畝立てを行なった際に前記トラクタの走行軌跡に基づいて生成された畝位置情報を、前記絶対位置情報として取得する請求項に記載の作物回収機。
【請求項3】
前記条情報取得部は、作業機が圃場に播種又は苗移植を行なった際に前記作業機の走行軌跡に基づいて生成された作物位置情報を、前記絶対位置情報として取得する請求項に記載の作物回収機。
【請求項4】
前記条情報取得部は、掘取機が作物の掘り取り作業を行なった際に前記掘取機の走行軌跡に基づいて生成された掘取位置情報を、前記絶対位置情報として取得する請求項に記載の作物回収機。
【請求項5】
圃場に並べられた作物を撮影して画像を生成する撮影装置と、
前記画像における作物の位置を特定する位置特定部と、を備え、
前記条情報取得部は、前記位置特定部が特定した作物の位置に基づいて、前記条情報としての走行基準線を設定し、
前記走行制御部は、前記機体が前記走行基準線に沿って走行するように前記走行装置を制御する請求項1に記載の作物回収機。
【請求項6】
前記撮影装置は、前記回収装置における上部の右端部分又は左端部分に、前記回収装置の前方の作物を撮影可能な姿勢にて配置されている請求項に記載の作物回収機。
【請求項7】
土中から掘り出されて条を成す状態で圃場に並べられた作物を回収する作物回収機であって、
機体と、
前記機体を支持して走行させる走行装置と、
作物を回収する回収装置と、
前記条の位置を示す条情報を取得する条情報取得部と、
前記条情報取得部が取得した前記条情報に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御する走行制御部と、
作物が並べられる畝を検出可能な畝検出装置と、
前記機体の後端位置から回収した作物を排出する排出シュートと、を備え、
前記条情報取得部は、前記条情報としての前記畝検出装置の出力を取得し、
前記走行制御部は、前記畝検出装置の出力に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御し、
前記畝検出装置は、カメラであり、
前記カメラは、前記排出シュートを支持するフレームに取り付けられている作物回収機。
【請求項8】
土中から掘り出されて条を成す状態で圃場に並べられた作物を回収する作物回収機であって、
機体と、
前記機体を支持して走行させる走行装置と、
作物を回収する回収装置と、
前記条の位置を示す条情報を取得する条情報取得部と、
前記条情報取得部が取得した前記条情報に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御する走行制御部と、
作物が並べられる畝を検出可能な畝検出装置と、を備え、
前記条情報取得部は、前記条情報としての前記畝検出装置の出力を取得し、
前記走行制御部は、前記畝検出装置の出力に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御し、
前記畝検出装置は、2つの測距センサであり、
2つの前記測距センサは、それぞれ、前記回収装置における上側部分の左端と右端とに配置される作物回収機。
【請求項9】
圃場の作物を直接検出する作物検出装置を備え、
前記条情報取得部は、前記条情報としての前記作物検出装置の出力を取得し、
前記走行制御部は、前記作物検出装置の出力に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御する請求項1に記載の作物回収機。
【請求項10】
前記作物検出装置は、圃場の作物と接触したときに圃場の作物を検出する接触式のセンサである請求項に記載の作物回収機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場から作物を回収する作物回収機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗用型の玉ねぎ用の収穫機(作物回収機)が記載されている。この収穫機は、圃場で掘り出され、圃場に置かれる状態で乾燥された玉ねぎを、収穫部により圃場から拾い上げ、搬送部を介して回収部に回収する。この収穫機は、エンジンからの動力により駆動される左右一対のクローラ走行装置を備える。操舵は、運転部に搭乗するオペレータにより行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-187291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作物回収機では、オペレータが操舵を行なう必要があるため、オペレータの作業負荷が大きい。また、オペレータが操舵を誤った場合、作物の回収漏れが発生したり、作物に傷をつけてしまう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、オペレータの作業負荷を軽減すると共に、作物の回収漏れや傷の発生を抑制できる作物回収機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の作物回収機は、土中から掘り出されて条を成す状態で圃場に並べられた作物を回収する作物回収機であって、機体と、前記機体を支持して走行させる走行装置と、作物を回収する回収装置と、前記条の位置を示す条情報を取得する条情報取得部と、前記条情報取得部が取得した前記条情報に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御する走行制御部と、測位データを出力する衛星測位装置と、前記機体の後端位置から回収した作物を排出する排出シュートと、を備え、前記条情報取得部は、前記条の絶対位置を示す前記条情報としての絶対位置情報を取得し、前記走行制御部は、前記測位データと前記絶対位置情報とに基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御し、前記衛星測位装置は、前記排出シュートを支持するフレームに取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、条情報に基づいて、機体が条に沿って走行するように走行装置が制御されるので、オペレータの作業負荷が軽減され、作物の回収漏れや傷の発生が抑制される。
【0008】
【0009】
また、本構成によれば、測位データと絶対位置情報とに基づいて走行装置が制御されるので、確実に機体を条に沿って走行させることができる。
【0010】
本発明において、前記条情報取得部は、トラクタが圃場の畝立てを行なった際に前記トラクタの走行軌跡に基づいて生成された畝位置情報を、前記絶対位置情報として取得すると好適である。
【0011】
作物の栽培において、トラクタによって畝立てが行なわれ、畝に作物が植えられる。本構成によれば、測位データと畝位置情報とに基づいて走行装置が制御されるので、作物が植えられた畝に沿って機体が走行する。従って、作物を確実に回収することができる。
【0012】
本発明において、前記条情報取得部は、作業機が圃場に播種又は苗移植を行なった際に前記作業機の走行軌跡に基づいて生成された作物位置情報を、前記絶対位置情報として取得すると好適である。
【0013】
作物の栽培において、作業機によって圃場への播種又は苗移植が行なわれる。そして、播種又は苗移植が行なわれた位置において作物が成長する。本構成によれば、測位データと作物位置情報とに基づいて走行装置が制御されるので、播種又は苗移植が行なわれた位置に沿って機体が走行する。従って、作物を確実に回収することができる。
【0014】
本発明において、前記条情報取得部は、掘取機が作物の掘り取り作業を行なった際に前記掘取機の走行軌跡に基づいて生成された掘取位置情報を、前記絶対位置情報として取得すると好適である。
【0015】
作物の収穫の際に、掘取機に掘り採られた作物が、そのまま圃場に置かれて乾燥される場合がある。本構成によれば、測位データと堀取位置情報とに基づいて走行装置が制御されるので、作物が掘り採られた位置に沿って機体が走行する。従って、作物を確実に回収することができる。
【0016】
本発明において、圃場に並べられた作物を撮影して画像を生成する撮影装置と、前記画像における作物の位置を特定する位置特定部と、を備え、前記条情報取得部は、前記位置特定部が特定した作物の位置に基づいて、前記条情報としての走行基準線を設定し、前記走行制御部は、前記機体が前記走行基準線に沿って走行するように前記走行装置を制御すると好適である。
【0017】
本構成によれば、走行基準線が設定され、走行基準線に沿って機体が走行するように走行装置が制御されるので、オペレータの作業負荷が軽減され、作物の回収漏れや傷の発生が抑制される。
【0018】
本発明において、前記撮影装置は、前記回収装置における上部の右端部分又は左端部分に、前記回収装置の前方の作物を撮影可能な姿勢にて配置されていると好適である。
【0019】
本構成によれば、圃場の作物を斜め上から撮影することができ、作物の位置の特定および走行基準線の設定を確実に行なうことができる。
【0020】
また、本発明の作物回収機は、土中から掘り出されて条を成す状態で圃場に並べられた作物を回収する作物回収機であって、機体と、前記機体を支持して走行させる走行装置と、作物を回収する回収装置と、前記条の位置を示す条情報を取得する条情報取得部と、前記条情報取得部が取得した前記条情報に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御する走行制御部と、作物が並べられる畝を検出可能な畝検出装置と、前記機体の後端位置から回収した作物を排出する排出シュートと、を備え、前記条情報取得部は、前記条情報としての前記畝検出装置の出力を取得し、前記走行制御部は、前記畝検出装置の出力に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御し、前記畝検出装置は、カメラであり、前記カメラは、前記排出シュートを支持するフレームに取り付けられていることを特徴とする
また、本発明の作物回収機は、土中から掘り出されて条を成す状態で圃場に並べられた作物を回収する作物回収機であって、機体と、前記機体を支持して走行させる走行装置と、作物を回収する回収装置と、前記条の位置を示す条情報を取得する条情報取得部と、前記条情報取得部が取得した前記条情報に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御する走行制御部と、作物が並べられる畝を検出可能な畝検出装置と、を備え、前記条情報取得部は、前記条情報としての前記畝検出装置の出力を取得し、前記走行制御部は、前記畝検出装置の出力に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御し、前記畝検出装置は、2つの測距センサであり、2つの前記測距センサは、それぞれ、前記回収装置における上側部分の左端と右端とに配置されることを特徴とする
【0021】
本構成によれば、畝検出装置の出力に基づいて走行装置が制御されるので、作物が植えられた畝に沿って機体が走行する。従って、作物を確実に回収することができる。
【0022】
【0023】
また、本構成によれば、非接触で畝を検出することができ、畝検出装置の故障を抑制することができる。
【0024】
【0025】
【0026】
本発明において、圃場の作物を直接検出する作物検出装置を備え、前記条情報取得部は、前記条情報としての前記作物検出装置の出力を取得し、前記走行制御部は、前記作物検出装置の出力に基づいて、前記機体が前記条に沿って走行するように前記走行装置を制御すると好適である。
【0027】
本構成によれば、作物検出装置によって圃場の作物が直接検出され、作物検出装置の出力に基づいて機体が条に沿って走行するように走行装置が制御されるので、オペレータの作業負荷が軽減され、作物の収穫漏れや傷の発生が抑制される。
【0028】
本発明において、前記作物検出装置は、圃場の作物と接触したときに圃場の作物を検出する接触式のセンサであると好適である。
【0029】
本構成によれば、圃場の作物が確実に検出されるので、確実に機体が条に沿って走行できる。従って、作物の収穫漏れや傷の発生が確実に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】(第1実施形態)作物回収機の左側面図である。
図2】(第1実施形態)作物回収機の平面図である。
図3】(第1実施形態)作物回収機の制御の態様を示す機能ブロック図である。
図4】(第2実施形態)作物回収機の左側面図である。
図5】(第2実施形態)作物回収機の平面図である。
図6】(第2実施形態)作物回収機の制御の態様を示す機能ブロック図である。
図7】(第2実施形態)撮影画像と走行基準線の例を示す図である。
図8】(第3実施形態)作物回収機の制御の態様を示す機能ブロック図である。
図9】(第4実施形態)作物回収機の左側面図である。
図10】(第4実施形態)作物検出装置による作物の検出の態様を示す図である。
図11】(第4実施形態)作物回収機の制御の態様を示す機能ブロック図である。
図12】(第4実施形態の変形例)作物回収機の平面図である。
図13】(第4実施形態の変形例)作物検出装置による作物の検出の態様を示す図である。
図14】(第4実施形態の変形例)作物検出装置による作物の検出状態と走行制御との関係を示す図である。
図15】(第4実施形態の変形例)作物検出装置による作物の検出状態と走行制御との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る作物回収機の実施の形態である玉ねぎ用の作物回収機1について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0032】
なお、以下の説明においては、図中に示される矢印FRの方向を「前」、矢印BKの方向を「後」、矢印RHの方向を「右」、矢印LHの方向を「左」、矢印UPの方向を「上」、矢印DWの方向を「下」とする。
【0033】
作物回収機1は、圃場で掘り出され、圃場に置かれる状態で乾燥された玉ねぎ(作物の一例)を拾い上げて回収するものである。従って、玉ねぎの回収は、掘り取り機(図示せず)により、圃場に埋まっている玉ねぎを掘り出し、掘り出し位置に数日間置いて乾燥させた後に行われる。本実施形態では、作物回収機1は、土中から掘り出されて条を成す状態で圃場に並べられた玉ねぎを回収する。
【0034】
(作物回収機の全体構成)
図1図2に示すように、作物回収機1は、機体10と、機体10に設けられた左および右のクローラ型の走行装置11を備える。走行装置11は、機体10を支持して走行させる。作物回収機1は、機体10の前部に拾上部2を備える。作物回収機1は、さらに、拾上部2の後側に分離部3、搬送部4、後搬送部5、及び、排出シュート20を備える。
【0035】
この作物回収機1は、機体10の右前部に運転座席12aを有する運転部12を備える。運転部12に、オペレータにより操作される操舵具12bが設けられている。また、作物回収機1は、搬送部4の左および右の横側のそれぞれに、補助作業者のための座席13a,13bを備える。
【0036】
図3及び図4に示すように、作物回収機1は、左右のクローラ型の走行装置11で機体10を前進させながら(図1を参照)、圃場の玉ねぎを拾上部2で拾い上げると共に上側に持ち上げ、分離部3を経て、搬送部4に受け渡す。分離部3は、玉ねぎとその他の夾雑物とを分離する。搬送部4は玉ねぎを後方に搬送する。
【0037】
左および右の座席13a,13bに補助作業者が搭乗し、この補助作業者が搬送部4により搬送される玉ねぎから不良の玉ねぎの取り出す等の選別作業を行うことができる。搬送部4を通過した玉ねぎが後搬送部5に受け渡される。後搬送部5の終端部(後端位置)から排出された玉ねぎは、排出シュート20を通過して、例えば、作物回収機1に後方を伴走する伴走補助車(不図示)に搭載された回収容器に投入される。
【0038】
拾上部2が、玉ねぎ(作物)を回収する回収装置の一例である。
【0039】
図1に示すように、排出シュート20は、後方に突出して玉ねぎを後方に排出する排出姿勢(図1の実線)と前方に且つ下方に揺動した収納姿勢(図1の一点鎖線)との間で姿勢変更可能である。
【0040】
図2から明らかなように、平面視で、搬送部4の搬送面の幅は、拾上部2の搬送面の幅、分離部3の搬送面3aの幅、及び、後搬送部5の搬送面の幅よりも小さく設定されている。また、排出シュート20の幅は、前端部(上流側端部)においては、後搬送部5の搬送面の幅とほぼ同じ幅であり、後端部(下流側端部)に向かうほど幅が小さくなっている。
【0041】
(拾上部の構成)
図1図2に示すように、拾上部2は、掻込装置6と拾上装置7とを備えている。掻込装置6は、拾上装置7より前方位置に配置され、拾上装置7の前端位置の部材に対し左右方向に沿う姿勢の揺動軸芯を中心に上下に揺動自在に支持されている。また、この掻込装置6を揺動操作する油圧型のシリンダ(図示省略)が、掻込装置6と拾上装置7とに亘って接続されている。このシリンダにより、拾上装置7に対する、揺動軸芯を中心にした掻込装置6の姿勢が設定される。
【0042】
掻込装置6は、掻込コンベア8と、掻込コンベア8の下方に設けられた下コンベア9とを備える。掻込コンベア8は、無端チェーン8aと、無端チェーン8aに支持される複数の掻込部材8bと、を備える。下コンベア9は、無端チェーン9aと、無端チェーン9aに支持される複数の棒状部材9bと、を備える。
【0043】
この掻込装置6では、掻込コンベア8の無端チェーン8aが図1に示す方向視で反時計回りに回転する。下コンベア9の無端チェーン9aが図1に示す方向視で時計回りに回転する。機体10が前進すると、掻込部材8bが、圃場の玉ねぎに対して圃場の上側から接触し、その玉ねぎを後側(拾上装置7側)に扱き込む。また、下コンベア9の棒状部材9bが、玉ねぎを後側(拾上装置7側)に搬送する。このように、掻込コンベア8及び下コンベア9が協同して、玉ねぎを後方に搬送し、玉ねぎを拾上装置7に供給する。
【0044】
拾上装置7は、コンベアである。拾上装置7は、掻込装置6と機体10の前部との間に設けられている。拾上装置7は、上側(下流側)ほど後方に位置するように傾斜している。拾上装置7の下端部(上流側端部)は、下コンベア9の後端部(下流側端部)に近接して配置されている。拾上装置7の上端部(下流側端部)は、分離部3の上方に位置している。
【0045】
拾上装置7は、無端チェーン7aと、無端チェーン7aに支持される複数の板状の拾上部材7bと、を備えている。
【0046】
この拾上装置7では、無端チェーン7aが図1に示す方向視で時計回りに回転する。掻込装置6により掻き込まれた玉ねぎが、拾上装置7の下端部において拾上部材7bにより拾い上げられ、拾上部材7bに載った状態で後方上方に搬送される。そして、玉ねぎは、分離部3に供給される。
【0047】
図3に、左右の走行装置11への駆動力伝達の態様が示されている。エンジンEからの動力が、左右の変速装置T(例えば、静油圧式無段変速装置(HST))により変速されて、左右の走行装置11へ伝達される。左右の変速装置Tは、制御装置40により制御される。作物回収機1がオペレータにより手動操舵されるとき、制御装置40は、操舵具12bが受け付けた人為操作に基づいて、変速装置Tを制御する。
【0048】
本実施形態では、衛星測位装置30が、運転部12の上方に取り付けられている。詳しくは、衛星測位装置30は、排出シュート20を支持するフレーム20aに支持されている。衛星測位装置30は、人工衛星からのGNSS(Global Navigation Satellite System)の信号を受信して、受信した信号に基づいて作物回収機1の自車位置を示す測位データを生成し、測位データを制御装置40(図3)へ送る。GNSSとしては、GPS、QZSS、Galileo、GLONASS、BeiDou、等を利用可能である。
【0049】
作物回収機1は、制御装置40を備える。制御装置40は、所謂ECUであって、後述する機能部に対応するプログラムを記憶するメモリ(HDDや不揮発性RAMなど。図示省略)と、当該プログラムを実行するCPU(図示省略)と、を備えている。プログラムがCPUにより実行されることにより、各機能部の機能が実現される。すなわち、制御装置40は、プログラムを記憶した一次的ではない(non-transitory)記録媒体を備える。
【0050】
制御装置40は、機能部として、条情報取得部41、及び走行制御部42を備える。
【0051】
条情報取得部41は、条の位置を示す条情報を取得する。ここで「条」とは、回収対象である玉ねぎ(作物)が並ぶ列であり、土中から掘り出されて圃場に並べられた玉ねぎが並ぶ列である。ここで、回収対象である玉ねぎは、一列に並んでいてもよいし、左右に複数並び且つ帯状に列を成していてもよい。
【0052】
条情報は、例えば、条の始点位置及び終点位置を示す情報、条に含まれる複数の点の位置を示す情報、条の始点(又は終点)及び条が延びる方向を示す情報、条の始点(又は終点)と条が延びる方向と条の長さとを示す情報、などである。
【0053】
条情報取得部41が、条の絶対位置を示す条情報としての絶対位置情報を取得するよう構成されてもよい。「条の絶対位置」とは、作物回収機1と条との相対的な位置関係ではなく、空間における条の位置である。例えば、緯度と経度とによって示される位置や、衛星測位により得られる位置、地上の固定点を基準とする位置などが、「条の絶対位置」である。
【0054】
走行制御部42は、条情報取得部41が取得した条情報に基づいて、機体10が条に沿って走行するように走行装置11を制御する。走行制御部42は、左右の変速装置Tを制御することにより、左右の走行装置11の駆動を制御する。
【0055】
本実施形態では、走行制御部42は、衛星測位装置30が生成した測位データと、条情報取得部41が取得した絶対位置情報とに基づいて、機体10が条に沿って走行するように走行装置11を制御する。具体的には、走行制御部42は、絶対位置情報が示す条の絶対位置からの、測位データが示す機体10の位置のズレ量を算出する。走行制御部42は、算出したズレ量が小さくなるように、走行装置11を制御する。
【0056】
条情報取得部41が、営農システムのサーバ50や、圃場の畝立てを行なうトラクタ60、播種又は苗移植を行なう作業機70、作物の掘り取り作業を行なう掘取機80から、条情報を取得するよう構成されてもよい。
【0057】
具体的には、図3に示されるように、作物回収機1の制御装置40は、通信ネットワークを介してサーバ50と通信可能なように構成されている。サーバ50は、通信ネットワークを介して、トラクタ60の制御装置61、作業機70の制御装置71、及び掘取機80の制御装置81と通信可能なように構成されている。
【0058】
トラクタ60の制御装置61は、圃場の畝立てを行なう際に、トラクタ60の走行軌跡に基づいて畝位置情報を生成する。詳しくは、トラクタ60は制御装置61及び衛星測位装置62を備える。制御装置61は、衛星測位装置62が生成する測位データに基づいてトラクタ60の走行軌跡を取得する。制御装置61は、取得した走行軌跡に基づいて畝位置情報を生成する。
【0059】
トラクタ60の制御装置61は、生成した畝位置情報をサーバ50へ送信する。作物回収機1の条情報取得部41は、サーバ50に保存された畝位置情報を絶対位置情報(条情報)として取得する。なお、条情報取得部41が、トラクタ60の制御装置61から畝位置情報を取得してもよい。
【0060】
なお、トラクタ60の制御装置61が、圃場の畝立て作業以外の作業を行なう際に、トラクタ60の走行軌跡に基づいて畝位置情報を生成してもよい。例えば、トラクタ60が薬剤や肥料の散布、畝溝の成形等の作業走行を行なう際に、制御装置61が畝位置情報を生成してもよい。
【0061】
作業機70の制御装置71は、圃場に播種又は苗移植を行なう際に、作業機70の走行軌跡に基づいて作物位置情報を生成する。詳しくは、作業機70は制御装置71及び衛星測位装置72を備える。制御装置71は、衛星測位装置72が生成する測位データに基づいて作業機70の走行軌跡を取得する。制御装置71は、取得した走行軌跡に基づいて作物位置情報を生成する。
【0062】
作業機70の制御装置71は、生成した作物位置情報をサーバ50へ送信する。作物回収機1の条情報取得部41は、サーバ50に保存された作物位置情報を絶対位置情報(条情報)として取得する。なお、条情報取得部41が、作業機70の制御装置71から作物位置情報を取得してもよい。
【0063】
掘取機80の制御装置81は、作物の掘り取り作業を行なう際に、掘取機80の走行軌跡に基づいて掘取位置情報を生成する。詳しくは、掘取機80は制御装置81及び衛星測位装置82を備える。制御装置81は、衛星測位装置82が生成する測位データに基づいて掘取機80の走行軌跡を取得する。制御装置81は、取得した走行軌跡に基づいて掘取位置情報を生成する。
【0064】
掘取機80の制御装置81は、生成した掘取位置情報をサーバ50へ送信する。作物回収機1の条情報取得部41は、サーバ50に保存された掘取位置情報を絶対位置情報(条情報)として取得する。なお、条情報取得部41が、掘取機80の制御装置81から掘取位置情報を取得してもよい。
【0065】
掘取機80が1回の作業走行(直進走行)で2条分の玉ねぎの掘り取りを行なうよう構成され、作物回収機1が1回の作業走行(直進走行)で4条分の玉ねぎの回収を行なうよう構成される場合がある。すなわち、作物回収機1は、掘取機80が往路で掘り取った玉ねぎと復路で掘り取った玉ねぎとを一度に纏めて回収する。このとき、作物回収機1の走行制御部42は、往路に係る堀取位置情報及び復路に係る堀取位置情報の両方を利用して、作物回収機1の走行装置11を制御する。これにより、走行制御部42が、機体10が更に正確に条に沿って走行するように走行装置11を制御することができる。
【0066】
なお、玉ねぎの掘り取り作業が、玉ねぎ掘り取り用のインプルメントを装備したトラクタ60により行なわれてもよい。この場合、トラクタ60の制御装置61が、掘取位置情報を生成しサーバ50へ送信する。
【0067】
〔第1実施形態の変形例〕
条情報が、オペレータにより人為的に設定されたものであってもよい。例えば、条情報が、オペレータにより地図上に設定された線(直線、曲線など)であってもよい。この場合、走行制御部42は、条情報である設定された線に沿って機体10が走行するように走行装置11を制御する。条情報が、オペレータによって地図上に設定された複数の点であってもよい。この場合、走行制御部42は、条情報である複数の点を機体10が通るように走行装置11を制御する。
【0068】
〔第2実施形態〕
以下の説明において、上述の実施形態と同様の構成に対して同一の符号が付される。それらの構成についての説明が省略される場合がある。
【0069】
図4図5図6に示されるように、本実施形態の作物回収機1は、圃場に並べられた作物を撮影して画像を生成する撮影装置90を備える。本実施形態では、撮影装置90は、カラー画像を生成するカメラである。撮影装置90が、白黒画像を生成するカメラであってもよい。撮影装置90は、経時的に撮影を実行し、生成した画像を制御装置100(図6)へ送信する。撮影装置90が画像として静止画を生成してもよいし、動画を生成してもよい。以下、撮影装置90が生成した画像を「撮影画像」と称する。
【0070】
撮影装置90は、拾上部2(回収装置)における上部の右端部分に、拾上部2の前方の作物を撮影可能な姿勢にて配置されている。詳しくは、撮影装置90は、排出シュート20を支持するフレーム20aに、レンズの光軸が左斜め下を向く姿勢にて支持されている。撮影装置90が拾上部2(回収装置)における上部の左端部分に配置されてもよい。
【0071】
図6に示されるように、本実施形態の作物回収機1は、制御装置100を備える。制御装置100は、制御装置40と同様のECUである。制御装置100は、位置特定部101、条情報取得部102、及び走行制御部103を備える。
【0072】
位置特定部101は、撮影装置90が生成した撮影画像における作物の位置を特定する。詳しくは、位置特定部101は、撮影画像を解析して、撮影画像における作物に対応する領域を特定し、当該領域の全部、一部、又は当該領域に含まれる点を、撮影画像における作物の位置として特定する。例えば、位置特定部101は、特定した領域の中央を、撮影画像における作物の位置として特定する。
【0073】
図7に、撮影装置90が生成した撮影画像の一例が示されている。撮影画像における玉ねぎの位置が、点Pとして特定されている。図示例では、掘り出されて畝の上に置かれた多数の玉ねぎの位置が特定されている。位置特定部101が、撮影画像中の一部の玉ねぎの位置を特定するよう構成されてもよい。
【0074】
例えば、位置特定部101は、撮影画像における画素の輝度に基づいて作物の位置を特定する。撮影装置90が生成する撮影画像が白黒画像である場合を説明する。白色である玉ねぎに対応する画素は、緑色である葉部及び濃茶色である土壌に対応する画素よりも輝度が高い。所定の閾値よりも輝度が高い画素を抽出することにより、玉ねぎに対応する領域を特定することが可能である。位置特定部101が、更に他の手法(形状認識など)を用いて玉ねぎに対応する画素を抽出するよう構成されてもよい。
【0075】
位置特定部101が、撮影画像における画素の色に基づいて作物の位置を特定するよう構成されてもよい。撮影装置90が生成する撮影画像がカラー画像である場合を説明する。撮影画像において、白色の画素は玉ねぎに対応し、緑色の画素は葉部に対応し、濃茶色の画素は土壌に対応する。白色の画素を抽出することにより、玉ねぎに対応する領域を特定することが可能である。位置特定部101が、更に他の手法(形状認識など)を用いて玉ねぎに対応する画素を抽出するよう構成されてもよい。
【0076】
位置特定部101は、特定した玉ねぎに対応する領域の内部の点を、作物の位置として特定する。図示例では、略円形の領域の中央の点Pが、作物の位置として特定されている。
【0077】
条情報取得部102は、条の位置を示す条情報を取得する。詳しくは、条情報取得部102は、位置特定部101により特定された作物の位置に基づいて、条情報としての走行基準線を設定することにより、条情報を取得する。図7の例では、走行基準線Lが、点Pが並ぶ帯状の領域の中央を通るように、設定されている。走行基準線は、他の位置、他の形態に設定されてもよい。例えば、走行基準線が、折れ線や直線、滑らかな曲線として設定されてもよい。
【0078】
走行制御部103は、条情報取得部102により設定された走行基準線に沿って機体10が走行するように走行装置11を制御する。走行制御部103は、左右の変速装置Tを制御することにより、左右の走行装置11の駆動を制御する。
【0079】
走行制御部103による機体10の走行制御は、例えば以下の態様により行なわれる。走行制御部103が、撮影画像における基準位置からの走行基準線の左右ズレを算出し、算出した左右ズレに応じて機体10の走行を制御する。基準位置とは、作物を適切に回収可能な位置に作物回収機1があるときの、撮影画像における走行基準線の位置である。例えば、圃場に置かれた玉ねぎが拾上部2の幅方向に関して内側に位置しているとき、作物回収機1は作物を適切に回収可能な位置にあるといえる。このとき、撮影装置90の視野(画角)が固定されている限り、特定された作物の位置に基づいて設定された走行基準線は、撮影画像において所定の位置に位置するはずである。例えば、図7に示されるように、撮影画像において走行基準線Lが拾上部2の中央付近に位置する。走行基準線が基準位置よりも右(または左)に位置する場合、機体10が過度に左(または右)に位置していることになる。その場合、機体10を右旋回(または左旋回)させることにより、撮影画像において走行基準線が基準位置に近づく。
【0080】
すなわち、走行制御部103は、撮影画像において走行基準線Lが基準位置よりも右(または左)に位置することに応じて、機体10を右(または左)に旋回させる。詳しくは、走行制御部103は、算出した左右ズレが右(または左)へのズレである場合に、機体10を右(または左)に旋回させる。例えば、走行制御部103は、左右の変速装置Tを制御して、左の走行装置11の走行速度に対して右の走行装置11の走行速度を小さく(大きく)する。このような制御を実行することにより、走行制御部103は、設定された走行基準線に沿って機体10が走行するように走行装置11を制御することができる。
【0081】
走行制御部103による機体10の走行制御が、以下の態様により行なわれてもよい。走行制御部103が、撮影画像における機体10の所定部位に対応する位置(以下「機体対応位置」と称する。)を特定する。例えば、走行制御部103が、撮影画像における拾上部2の中央の位置を画像解析により特定する。走行制御部103が、走行基準線Lからの機体対応位置の左右ズレを算出し、算出した左右ズレに応じて機体10の走行を制御する。走行制御部103は、算出した左右ズレが右(または左)へのズレである場合に、機体10を左(または右)に旋回させる。例えば、走行制御部103は、左右の変速装置Tを制御して、左の走行装置11おの走行速度に対して右の走行装置11の走行速度を小さく(大きく)する。このような制御を実行することにより、走行制御部103は、設定された走行基準線に沿って機体10が走行するように走行装置11を制御することができる。
【0082】
〔第2実施形態の変形例〕
(1)条情報取得部102が、位置特定部101により特定された作物の位置に基づいて、作物と土との境界線上に走行基準線を設定するよう構成されてもよい。
【0083】
(2)条情報取得部102が、撮影装置90が生成した撮影画像から作物と土との境界線を特定し、特定された境界線上に走行基準線を設定するよう構成されてもよい。
【0084】
(3)条情報取得部102が、撮影装置90が生成した撮影画像から、複数並ぶ条の間に対応する領域(土に対応する領域)を特定し、特定された領域に走行基準線を設定するよう構成されてもよい。
【0085】
(4)撮影装置90が、撮影視野における温度分布を計測可能な装置であってもよい。位置特定部101が、撮影装置90が生成した撮影画像に示される温度分布に基づいて作物の位置を特定するように構成されてもよい。例えば、位置特定部101が、撮影画像において所定の閾値よりも温度が低い画素(または高い画素)を抽出することにより、作物に対応する領域を特定し、当該領域の内部の点を作物の位置として特定するよう構成されてもよい。
【0086】
(5)撮影装置90が、近赤外光を検知する装置であってもよい。作物回収機1が、近赤外光により作物(玉ねぎ)の位置を検知し、機体10がその位置に追従して走行するよう構成されてもよい。
【0087】
〔第3実施形態〕
本実施形態の作物回収機1は、図4図5に示される第2実施形態の作物回収機1と同様の構成を備える。そして、撮影装置90が、作物が並べられる畝を検出可能な畝検出装置として機能する。撮影装置90は、拾上部2の前方の畝を撮影して撮影画像を生成し、撮影画像を制御装置110(図8)へ送信する。撮影装置90は、カラー画像を生成するカメラである。撮影装置90が、白黒画像を生成するカメラであってもよい。
【0088】
図8に示されるように、本実施形態の作物回収機1は、制御装置110を備える。制御装置110は、制御装置40と同様のECUである。制御装置110は、条情報取得部111、及び走行制御部112を備える。
【0089】
条情報取得部111は、条の位置を示す条情報を取得する。詳しくは、条情報取得部111は、条情報としての畝検出装置の出力(撮影装置90の撮影画像)を取得する。すなわち条情報取得部111は、撮影装置90が生成した撮影画像を取得する。
【0090】
走行制御部112は、撮影装置90(畝検出装置)の出力に基づいて、機体10が条に沿って走行するように走行装置11を制御する。走行制御部112は、左右の変速装置Tを制御することにより、左右の走行装置11の駆動を制御する。
【0091】
具体的には、走行制御部112は、撮影画像を解析して、撮影画像における畝の位置を特定する。例えば、走行制御部112は、撮影画像における画素の輝度または色に基づいて作物の位置を特定する。畝に対応する画素は、畝溝(畝の両側の溝)と輝度または色が異なる。特定の輝度または色の画素を抽出することにより、畝に対応する領域を特定することが可能である。走行制御部112が、更に他の手法(形状認識など)を用いて畝または畝溝に対応する画素を抽出するよう構成されてもよい。
【0092】
走行制御部112は、特定された畝の位置に基づいて走行基準線を設定する。例えば、走行制御部112は、畝に対応する帯状の領域の中央に走行基準線を設定する。そして走行制御部112は、上述の実施形態と同様の手法にて、設定された走行基準線に沿って機体10が走行するように走行装置11を制御する。
【0093】
なお、走行制御部112が、撮影画像において畝溝に対応する領域を特定し、特定された畝溝の位置に基づいて走行基準線を設定するように構成されてもよい。
【0094】
〔第3実施形態の変形例〕
畝検出装置は、測距センサであってもよい。例えば、畝検出装置は、レーザー式測距センサである。本例の作物回収機1は、畝検出装置として左右一対の測距センサを備える。測距センサの一方は、畝における右側部分との距離が測定可能な位置に配置される。測距センサの他方は、畝における左側部分との距離が測定可能な位置に配置される。例えば、左右の測距センサが、拾上部2における上側部分の左端と右端とに配置される。
【0095】
拾上部2が畝の中央部に位置するように作物回収機1が走行しているとき、作物は適切に回収される。このとき、左右の測距センサからのレーザー光は畝における右側部分及び左側部分に当たる。左右の測距センサの出力(距離)は、所定範囲内の値となる。作物回収機1の位置が畝に対して右(または左)にずれると、右(または左)の測距センサからのレーザー光が畝に当たらなくなり、右(または左)の測距センサの出力が所定範囲の外の値となる。走行制御部112は、右(または左)の測距センサの出力が所定範囲の外の値となったことに応じて、走行装置11を制御して機体10を左(または右)に旋回させる。これにより、機体10が条に沿って走行する。
【0096】
測距センサが、畝天(台形状の畝における略水平な上面、左右の傾斜面ではない面)との距離を測定可能な位置に配置されてもよい。この場合も、前項と同様の手法にて、走行制御部112が、機体10が条に沿って走行するように走行装置11を制御することができる。
【0097】
〔第4実施形態〕
図9に示されるように、本実施形態の作物回収機1は、圃場の作物(玉ねぎ)を直接検出する作物検出装置120を備える。「直接検出する」とは、カメラ等による撮影画像を解析して作物の有無や位置を検出するような間接的な手法ではなく、直接的な手法により圃場の作物を検出することを意味する。本実施形態では、作物検出装置120は、圃場の作物と接触したときに圃場の作物を検出する接触式のセンサである。
【0098】
作物検出装置120は、拾上部2における前側部分に設けられている。図10に示されるように、作物検出装置120は、複数の板状検出部材120aを備える。板状検出部材120aは、下方へ延びる姿勢にて、左右方向に延びる軸芯C1の周りに揺動可能な状態で配置されている。作物回収機1が圃場を走行すると、板状検出部材120aが玉ねぎWに接触して揺動する。作物検出装置120は、それぞれの板状検出部材120aの揺動の有無を制御装置130(図11)へ出力する。すなわち、作物検出装置120は、圃場の作物と接触したときに圃場の作物を検出する接触式のセンサである。
【0099】
図11に示されるように、本実施形態の作物回収機1は、制御装置130を備える。制御装置130は、制御装置40と同様のECUである。制御装置130は、条情報取得部131、及び走行制御部132を備える。
【0100】
条情報取得部131は、条の位置を示す条情報を取得する。詳しくは、条情報取得部131は、条情報としての作物検出装置120の出力を取得する。
【0101】
走行制御部132は、条情報取得部131が取得した作物検出装置120の出力に基づいて、機体10が条に沿って走行するように走行装置11を制御する。走行制御部132は、左右の変速装置Tを制御することにより、左右の走行装置11の駆動を制御する。
【0102】
作物検出装置120の出力は、機体左右方向に並んだ板状検出部材120aの揺動の有無を示している。機体10が作物の条に沿って走行しているとき、中央付近の板状検出部材120aが玉ねぎWと接触して揺動し、それらの板状検出部材120aに対応する出力が「ON」となる。機体10が作物の条に対して右(または左)に偏って走行しているとき、左寄り(または右寄り)の板状検出部材120aが玉ねぎWと接触して揺動し、それらの板状検出部材120aに対応する出力が「ON」となる。
【0103】
従って、走行制御部132が、作物検出装置120の出力に基づいて、機体10が作物の条に対して右寄り(または左寄り)に走行していることを判定することが可能である。走行制御部132は、機体10が作物の条に対して右寄り(または左寄り)に走行している場合に、機体10が左旋回(または右旋回)するよう走行装置11を制御する。
【0104】
〔第4実施形態の変形例〕
(1)図12に示されるように、本例の作物回収機1は、上述の例とは異なる形態の作物検出装置120を備える。詳しくは、本例の作物回収機1は、作物検出装置120として左センサ120L及び右センサ120Rを備えている。
【0105】
図示例では、左センサ120Lは、掻込コンベア8における前端部分の左部分に設けられている。右センサ120Rは、掻込コンベア8における前端部分の右部分に設けられている。
【0106】
図13に、本例の作物検出装置120による作物の検出の態様が示されている。作物検出装置120は、レバー式の接触センサであって、本体120b及びレバー120cを備える。レバー120cは、縦軸芯C2の周りに揺動可能な状態で、本体120bに支持されている。レバー120cが玉ねぎWに接触可能なように、作物検出装置120が配置される。作物回収機1が走行してレバー120cが玉ねぎWに接触すると、レバー120cが玉ねぎWに押されて後方へ揺動する。レバー120cが所定角度を超えて揺動したことを本体120bが検知すると、本体120bは、作物を検出したことを示す信号を出力する。
【0107】
図14を参照しながら、作物検出装置120による玉ねぎW(作物)の検出状態及び走行制御部132による走行制御について説明する。本例では、図14の上段に示されるように、左センサ120L及び右センサ120Rは、機体10が作物の条に対して適切な位置(作物を適切に回収可能な位置)を走行しているときに左センサ120L及び右センサ120RがON(作物を検出)するような位置に配置されている。走行制御部132は、左センサ120L及び右センサ120RがONであるとき、機体10が直進するように走行装置11を制御する。
【0108】
図14の中段に示されるように、機体10が作物の条に対して右寄りに走行しているとき、作物(玉ねぎ)は拾上部2に対して左寄りに位置する。従って、左センサ120LがONし右センサ120RがOFFする状態となる。走行制御部132は、右センサ120RがOFFであるとき、機体10が左旋回するように走行装置11を制御する。
【0109】
図14の下段に示されるように、機体10が作物の条に対して左寄りに走行しているとき、作物(玉ねぎ)は拾上部2に対して右寄りに位置する。従って、左センサ120LがOFFし右センサ120RがONする状態となる。走行制御部132は、左センサ120LがOFFであるとき、機体10が右旋回するように走行装置11を制御する。
【0110】
(2)図15に、図14の態様の変形例が示されている。本例では、図15の上段に示されるように、左センサ120L及び右センサ120Rは、機体10が作物の条に対して適切な位置(作物を適切に回収可能な位置)を走行しているときに左センサ120L及び右センサ120RがOFF(作物を検出しない)するような位置に配置されている。走行制御部132は、左センサ120L及び右センサ120RがOFFであるとき、機体10が直進するように走行装置11を制御する。
【0111】
図15の中段に示されるように、機体10が作物の条に対して左寄りに走行しているとき、作物(玉ねぎ)は拾上部2に対して右寄りに位置する。従って、左センサ120LがOFFし右センサ120RがONする状態となる。走行制御部132は、右センサ120RがONであるとき、機体10が右旋回するように走行装置11を制御する。
【0112】
図15の下段に示されるように、機体10が作物の条に対して右寄りに走行しているとき、作物(玉ねぎ)は拾上部2に対して左寄りに位置する。従って、左センサ120LがONし右センサ120RがOFFする状態となる。走行制御部132は、左センサ120LがONであるとき、機体10が左旋回するように走行装置11を制御する。
【0113】
(3)作物検出装置120が、光学式等の非接触式のセンサであってもよい。例えば、作物検出装置120が、作物と拾上部2との間の機体左右方向の距離を測定する測距センサ(例えば、レーザー式や超音波式)であってもよい。
【0114】
(4)掻込部材8bが、作物検出装置120として機能するよう構成されてもよい。例えば、掻込部材8bに作用する力の大きさ及び力の作用位置を検知する装置を設ける。走行制御部132が、掻込部材8bに作用する力の大きさ及び作用位置に基づいて、作物の条に対する機体10の走行位置が中央、右寄り、及び左寄りの何れであるかを判定し、判定結果に基づいて走行装置11を制御するよう構成されてもよい。
【0115】
〔他の実施形態〕
(1)作物回収機1が、他の形態の走行装置を備えてもよい。例えば、作物回収機1が走行装置11として車輪を備えてもよい。
【0116】
(2)作物回収機1の旋回の制御が、他の形態により行なわれてもよい。例えば、アクチュエータにより走行装置11の向きを変えることにより、旋回の制御が行なわれてもよい。左右の走行装置11の一方の駆動を停止(クラッチの切断)することにより、旋回の制御が行なわれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、乗用型の作物回収機の他、オペレータが歩行しながら操作する歩行型回収機にも適用可能である。また、回収する作物は玉ねぎに限られず、人参や大根等の他の野菜や果実等、他の作物であってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 :作物回収機
2 :拾上部(回収装置)
10 :機体
11 :走行装置
30 :衛星測位装置
41 :条情報取得部
42 :走行制御部
60 :トラクタ
70 :作業機
80 :掘取機
90 :撮影装置(畝検出装置)
101 :位置特定部
102 :条情報取得部
103 :走行制御部
111 :条情報取得部
112 :走行制御部
120 :作物検出装置
131 :条情報取得部
132 :走行制御部
L :走行基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15