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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】水滴除去装置および水滴除去方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/24 20060101AFI20240920BHJP
   B65B 55/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65B55/24
B65B55/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021115490
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2023012070
(43)【公開日】2023-01-25
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】長山 弘之
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-064347(JP,A)
【文献】特開2016-064346(JP,A)
【文献】特開2002-211520(JP,A)
【文献】特表2019-536707(JP,A)
【文献】特開2009-291789(JP,A)
【文献】特開平06-034576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/24
B65B 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から水滴を除去する装置であって、
前記容器の底を支持した状態で前記容器を搬送方向に搬送するコンベヤと、
前記コンベヤに対して直交する幅方向において前記容器の少なくとも一方側に配置され、前記容器が搬送される所定の第1区間に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1吐出口と、
前記容器の側面を前記幅方向の一方側から支持することで、上下方向に対して傾斜した状態に前記容器を支持する支持ガイドと、を備え、
前記第1吐出口は、前記搬送方向に移動する前記容器の前記側面に対し、前記加圧空気の供給位置を前記容器の軸線の一方側から他方側へと一方向に変化させながら前記加圧空気を供給し、
前記第1区間は、前記第1区間の一端部を含み他端部と比べて前記第1吐出口の位置が前記底に近接している底近接領域を含み、
少なくとも前記底近接領域では、前記底が前記幅方向における前記容器の両側のうち、前記支持ガイドとは反対側で、前記第1吐出口からの前記加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されている、
水滴除去装置。
【請求項2】
前記容器の前記側面に接触するベルトを前記支持ガイドとして備え、
前記ベルトは、前記側面に接触しているときに、前記コンベヤの前記搬送方向への移動速度よりも低い速度で前記搬送方向に駆動される、
請求項に記載の水滴除去装置。
【請求項3】
前記コンベヤは、少なくとも前記底近接領域において、前記容器の前記軸線に対して直交した状態に配置されて前記底を支持するプレートを含み、
前記底は、少なくとも前記底近接領域において、前記プレートを前記幅方向へ超えていることにより下方へ開放されている、
請求項1または2に記載の水滴除去装置。
【請求項4】
容器から水滴を除去する装置であって、
前記容器の底を支持した状態で前記容器を搬送方向に搬送するコンベヤと、
前記コンベヤに対して直交する幅方向において前記容器の少なくとも一方側に配置され、前記容器が搬送される所定の第1区間に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1吐出口と、
前記容器の側面に対向するガイドと、を備え、
前記第1吐出口は、前記搬送方向に移動する前記容器の前記側面に対し、前記加圧空気の供給位置を前記容器の軸線の一方側から他方側へと一方向に変化させながら前記加圧空気を供給し、
前記第1区間は、前記第1区間の一端部を含み他端部と比べて前記第1吐出口の位置が前記底に近接している底近接領域を含み、
前記コンベヤは、上下方向に沿って起立した状態の前記容器の前記底を支持するプレートを含み、
前記ガイドにより前記プレートに対する前記幅方向の相対位置が設定される前記容器の前記底は、少なくとも前記底近接領域において、前記プレートを前記幅方向へ超えていることにより前記第1吐出口からの前記加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されている、水滴除去装置。
【請求項5】
前記底に向けて加圧空気を吐出する第2吐出口を備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の水滴除去装置。
【請求項6】
容器から水滴を除去する方法であって、
コンベヤにより前記容器の底を支持した状態で前記容器を搬送方向へ搬送しつつ、前記コンベヤに対して直交する幅方向において前記容器の少なくとも一方側に配置される第1吐出口から、前記容器の側面を前記幅方向の一方側から支持ガイドで支持されることで、上下方向に対して傾斜した状態に前記容器が搬送される所定の第1区間に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1水滴除去ステップを備え、
前記第1水滴除去ステップにおいては、
前記第1吐出口により、前記搬送方向に移動する前記容器の側面に対し、前記加圧空気の供給位置を前記容器の軸線の一方側から他方側へと一方向に変化させながら前記加圧空気を供給し、
前記第1区間の一端部を含み他端部と比べて前記第1吐出口の位置が前記底に近接している底近接領域を前記容器が移動するとき、前記底が前記幅方向における前記容器の両側のうち、前記支持ガイドとは反対側で前記第1吐出口からの前記加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されていることに基づいて、前記第1吐出口から前記容器に到達した前記加圧空気を前記底よりも下方の開放空間へと流入させる、水滴除去方法。
【請求項7】
容器から水滴を除去する方法であって、
コンベヤが含むプレートにより上下方向に沿って起立した状態の前記容器の底を支持した状態で前記容器を搬送方向へ搬送しつつ、前記コンベヤに対して直交する幅方向において前記容器の少なくとも一方側に配置される第1吐出口から、前記容器が搬送される所定の第1区間に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1水滴除去ステップを備え、
前記第1水滴除去ステップにおいては、
前記第1吐出口により、前記搬送方向に移動する前記容器の側面に対し、前記加圧空気の供給位置を前記容器の軸線の一方側から他方側へと一方向に変化させながら前記加圧空気を供給し、
前記第1区間の一端部を含み他端部と比べて前記第1吐出口の位置が前記底に近接している底近接領域を前記容器が移動するとき、前記容器の前記側面に対向するガイドにより前記プレートに対する前記幅方向の相対位置が設定される前記容器の前記底が、少なくとも前記底近接領域において、前記プレートを前記幅方向へ超えていることにより、前記第1吐出口からの前記加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されていることに基づいて、前記第1吐出口から前記容器に到達した前記加圧空気を前記底よりも下方の開放空間へと流入させる、水滴除去方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料製品等の容器から水滴を除去する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の内容物が充填されて密封された容器は、温度調節や滅菌のため、シャワーやノズルにより水が噴射されることで、表面に水が付着する。容器の表面に付着している水滴は、製品の検査や箱詰め等に先立ち、加圧空気を用いて容器表面から除去される。
特許文献1に記載された洗缶水滴除去装置は、容器を搬送するコンベヤと、容器に水を噴射する水洗部と、容器に加圧空気を吹き付ける水滴除去部とを備えている。かかる洗缶水滴除去装置は、充填時に容器の表面に付着した製品液を除去するため、容器の頂面および側面への水の噴射と、頂面への加圧空気の吹付けと、頂面および側面への再度の水の噴射と、頂面および側面への加圧空気の吹付けとをこの順序で行う。
【0003】
特許文献1の洗缶水滴除去装置において最も下流に配置される水滴除去部は、コンベヤの幅方向の両側にそれぞれ、容器の軸線方向に対して傾斜して設置されるエアナイフを備えている。エアナイフは、ダクト状の本体の長手方向に連続したスリット状の吐出口を備え、コンベヤにより搬送される容器に対し、吐出口から容器の側面に向けて加圧空気を吹き出す。
特許文献1のエアナイフは、吐出口から吹き出される加圧空気が、容器の搬送に伴って容器側面の上方から下方に移動するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6457224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の洗缶水滴除去装置は、洗缶水滴除去の最後の工程として、エアナイフの吐出口から、移動する容器の側面に加圧空気を吹き付けて水滴を除去する。吐出口は容器の軸線に対して傾斜しているため、容器の側面における加圧空気の吹き付け位置は、容器の軸線方向における上方から下方へと漸次変化する。
ここで、吹き付け位置が容器の下端近傍に到達し、吐出口から吹き出された加圧空気の流れが、容器の底を支持するコンベヤに干渉して上方へ転回すると、上方への加圧空気の流れによって水滴が容器の側面へ飛散するおそれがある。
それを避けるため、吐出口の最下端の位置をコンベヤの搬送面よりも上方に、吐出口からの加圧空気の流れがコンベヤと干渉しない程度に搬送面から離して設定すると、容器の側面の下端に水滴が残存するおそれがある。
【0006】
以上より、本開示は、容器から水滴をより十分に除去することが可能な水滴除去装置および水滴除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る水滴除去装置は、容器から水滴を除去する装置であって、容器の底を支持した状態で容器を搬送方向に搬送するコンベヤと、コンベヤに対して直交する幅方向において容器の少なくとも一方側に配置され、容器が搬送される所定の第1区間に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1吐出口と、を備える。
第1吐出口は、搬送方向に移動する容器の側面に対し、加圧空気の供給位置を容器の軸線の一方側から他方側へと一方向に変化させながら加圧空気を供給する。
第1区間は、第1区間の一端部を含み他端部と比べて第1吐出口の位置が底に近接している底近接領域を含む。
少なくとも底近接領域では、底の少なくとも一部が、第1吐出口からの加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されている。
【0008】
また、本開示に係る水滴除去方法は、容器から水滴を除去する方法であって、コンベヤにより容器の底を支持した状態で容器を搬送方向へ搬送しつつ、コンベヤに対して直交する幅方向において容器の少なくとも一方側に配置される第1吐出口から、容器が搬送される所定の第1区間に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1水滴除去ステップを備える。
第1水滴除去ステップにおいては、第1吐出口により、搬送方向に移動する容器の側面に対し、加圧空気の供給位置を容器の軸線の一方側から他方側へと一方向に変化させながら加圧空気を供給し、第1区間の一端部を含み他端部と比べて第1吐出口の位置が底に近接している底近接領域を容器が移動するとき、底の少なくとも一部が、第1吐出口からの加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されていることに基づいて、第1吐出口から容器に到達した加圧空気を底よりも下方の開放空間へと流入させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、容器の底の一部が第1吐出口からの加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されているので、容器の側面における底に近接した部位に加圧空気を吹き付けて水滴を除去する際に、第1吐出口から容器に到達した加圧空気を底よりも下方の開放空間へと流入させることができる。そうすると、加圧空気の流れがコンベヤの部材に干渉するのを避けることができるので、コンベヤの部材から加圧空気が上方に巻き返すことに伴う水滴の飛散を避けながら、容器の軸線方向の一端から他端までに亘る加圧空気の一方向への掃引により容器から水滴を十分に除去することができる。
容器から水滴が十分に除去されることで、例えば、容器の検査や箱詰め等の後工程の処理を支障なく適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る飲料製品の製造ラインの一部を示す模式平面図である。製造ラインには、水滴除去装置が含まれる。
図2】(a)は、水滴除去装置における水滴除去区間の平面図である。(b)は、水滴除去区間の側面図である。
図3図2(a)および(b)のIII-III線矢視図である。
図4】(a)は、図2(a)に示す水滴除去区間と、水滴除去区間の上流および下流とを示す模式平面図である。(b)は、容器の底を支持するコンベヤのプレートの姿勢が変化するとともに、容器の側面に対向するガイドの姿勢も変化することを示す模式断面図である。(c)は、容器の側面に対向するガイドの姿勢が変化するとともに、容器の底を支持するコンベヤのプレートの姿勢も変化することを示す模式断面図である。
図5】(a)は、容器の側面に加圧空気を吐出する第1吐出口に関し、容器の底の一部が下方へ開放されていることによる作用を説明するための模式図である。(b)は、比較例を示す模式図である。
図6】(a)は、第2吐出口から容器の底に向けて加圧空気を吐出する様子を示す模式図である。(b)は、容器の底を示す平面図である。
図7】容器の底の開放に係る別形態を示す図である。
図8】(a)および(b)は、本開示の変形例に係る水滴除去装置を示す図である。(a)は、(b)のVIIIa-VIIIa線矢視図である。
図9】(a)は、本開示の他の変形例に係る水滴除去装置を示す図である。(b)は、(a)のIXb-IXb線矢視図である。(c)は、(a)のIXc-IXc線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。
〔適用される製造ラインの一例〕
図1には、飲料製品を製造するライン1の一部が示されている。かかる製造ライン1は、図示しない上流工程により製品液が充填され密封された容器2(図2(a)、(b)および図3)に対して、温度調節や滅菌のために水を散布するパストライザ3と、パストライザ3から払い出された容器を順次搬送する多列コンベヤ4、単列化コンベヤ5、および単列コンベヤ6と、容器2から水滴を除去する水滴除去装置10と、容器を検査する第1検査機7および第2検査機8とを備えている。
【0012】
容器2は、例えば、金属材料から筒状に形成された缶である。その他、容器2は、樹脂材料または金属材料から形成されたボトルや、ガラス材料から形成された壜であってもよい。
後述するように本実施形態では、側方からガイドにより支持された容器2を軸線Aの周りに回転させるので、容器2の横断面の形状は、容器2が安定して回転可能な形状、つまり、円形状、あるいは円形に近似する多角形状等であることが好ましい。
【0013】
本実施形態の容器2は、アルミニウム合金から形成された円筒状の缶であり、例えば、炭酸飲料が封入されている。容器2は、軸線Aに対して平行に延びている周壁21と、軸方向の一端側で周壁21に設けられる頂部22と、軸方向の他端側で周壁21に連なる底23とを備えている。頂部22には、図示しないプルタブが設けられている。底23には、頂部22に向けて窪む凹部231(図5(a)、(b))が形成されている。
【0014】
パストライザ3から多列コンベヤ4へと複数列に並んだ状態に払い出される容器2は、単列化コンベヤ5による列数の減少を経て単列コンベヤ6上に一列に並ぶ。容器2は、多列コンベヤ4、単列化コンベヤ5、および単列コンベヤ6により、頂部22を上方に向けて正立した状態で搬送され、水滴除去装置10へと導入される。
【0015】
第1検査機7および第2検査機8により光電センサ等を用いて容器2を適切に検査するため、パストライザ3において容器2に付着した水滴が、検査に先立ち容器2から除去されている必要がある。そのため、水滴除去装置10は、第1検査機7および第2検査機8よりも上流において、一列に並ぶ容器2のそれぞれの表面に付着している水滴を加圧空気により除去する。水滴除去装置10は、容器2における少なくとも側面24(周壁21の外側の表面)および底23に対して加圧空気を吹き付けて水滴を除去する。
検査の他、処理に先立ち容器2から水滴が除去されている必要のある処理としては、例えば、底23への印字や、容器2の箱詰めが挙げられる。
【0016】
〔水滴除去装置の構成〕
図2(a)および(b)は、水滴除去装置10に備わる容器2の搬送路としての水滴除去区間30を示している。水滴除去区間30を容器2が搬送方向xに移動する間に、容器2の側面24および底23に加圧空気が吹き付けられる。水滴除去区間30は、側面24に対応する第1区間31と、底23に対応する第2区間32とからなる。
容器2は搬送方向xに一列に並んだ状態で水滴除去区間30を搬送される。搬送方向xに隣接する容器2間には、隙間Gが存在している。例えば、容器2間にピッチを割り付ける図示しないスクリュー装置を用いることにより、容器2間に隙間Gを与えることができる。
【0017】
水滴除去装置10は、図2(a)、(b)および図3に示すように、容器2の底23を支持した状態で容器2を搬送方向xに搬送するコンベヤ11と、コンベヤ11に対して直交する幅方向yの一方側(y1側)から容器2の側面24を支持する支持ガイド12と、いずれも加圧空気を吐出する第1吐出部材13および第2吐出部材14とを備えている。
なお、水滴除去装置10、または図示しない別の水滴除去装置が、頂部22に向けて加圧空気を吐出する吐出部材を備えていてもよい。例えば、第1吐出部材13および第2吐出部材14よりも上流に設けられる別の吐出部材により、頂部22の天面に向けて上方から加圧空気を吹き付けることで、天面から水を除去することができる。
【0018】
水滴除去装置10は、単一または複数の第1吐出部材13と、単一または複数の第2吐出部材14とを備えることができる。これらの第1吐出部材13および第2吐出部材14を搬送方向xに適宜な順序で並べて設置することができる。
【0019】
コンベヤ11は、例えば、チェーン、駆動スプロケット、従動スプロケット、およびモータ(いずれも図示しない)を備えたチェーンコンベヤである。モータのトルクによりチェーンが駆動されることで、チェーンに設けられたプレート110上に支持された容器2が搬送方向xに移動する。コンベヤ11は、搬送方向xに並べられる多数のプレート110を備えている。
【0020】
本実施形態において、支持ガイド12は、水滴除去区間30の全長に亘り、容器2を上下方向z(鉛直方向)に対して幅方向y側に傾斜した状態に支持する。水滴除去区間30において、容器2は、頂部22をy1側に、底23を反対側(y2側)に向けた状態に傾斜している。
支持ガイド12は、例えば、円形の横断面を呈する単一または複数の棒状部材12Aから構成されている。これに限らず、支持ガイド12は、適宜な形状の部材から構成することができる。
【0021】
本実施形態の支持ガイド12は、ステンレス鋼から形成された2つの棒状部材12Aを備えている。2つの棒状部材12Aは、上下方向zに対して幅方向y側に傾斜した直線A2上に配置されている。これら棒状部材12Aにより安定して支持される容器2の軸線Aは、上下方向zに対して適宜な角度θをなしている。
ラインで製造する製品の切り替えに伴う型替え時には、必要に応じて、支持ガイド12の昇降や、傾斜角度θの調整等が可能となっている。第1吐出部材13や第2吐出部材14についても、必要に応じて、それぞれが第1区間31または第2区間32に設置される数や、区間長、傾斜角度等の調整を行うことができる。
【0022】
プレート110は、上下方向zに対して傾斜した軸線Aに対して直角(90°)をなしており、底23を安定して支持する。但し、プレート110は、必ずしも軸線Aに対して直交している必要はなく、例えば図7に示すように水平に配置されていてもよい。
【0023】
第1吐出部材13は、幅方向yにおいて容器2よりもy2側に配置され、第1区間31に亘り連続的に加圧空気を吐出する。第1吐出部材13は、いわゆるエアナイフに相当する。
本実施形態の第1吐出部材13は、図2(a)、(b)および図3に示すように、圧縮されている空気の供給源(図示しない)から加圧空気が導入されるダクト131A(図3)を含む本体131と、ダクト131Aの長手方向に連続したスリット状の第1吐出口132Aが形成されたノズル132とを備えている。ダクト131Aに導入される加圧空気は、ノズル132の第1吐出口132Aから容器2の側面24に向けて吐出される。第1吐出口132Aは、側面24に対して直交する方向を基準とすると、基準よりも下向きに加圧空気を吐出する。第1吐出口132Aの向きはこれに限らず、基準の方向や水平方向に第1吐出口132Aから加圧空気を吐出してもよい。
【0024】
第1吐出部材13は、容器2よりもy2側で搬送方向xに延在し、かつ、容器2の軸線Aに対して傾斜して設置されている。ダクト131Aおよび第1吐出口132Aのいずれも軸線Aに対して傾斜している。
図3には、第1吐出部材13の下流端13Dにおけるノズル132が実線で示され、第1吐出部材13の上流端13Uにおけるノズル132が二点鎖線で示されている。下流端13Dにおけるノズル132の位置は、上流端13Uにおけるノズル132の位置よりも下方にある。
【0025】
そのため、ノズル132の第1吐出口132Aは、搬送方向xに移動する容器2の側面24に対し、加圧空気の供給位置を軸線Aの方向の上側から下側へと一方向に漸次変化させながら加圧空気を供給する。
第1吐出口132Aの上流端は、容器2の頂部22付近に設定され、第1吐出口132Aの下流端は、容器2の底23付近に設定されている。容器2の側面24の軸方向全体に亘り加圧空気が供給されるように、第1吐出口132Aは、第1吐出部材13の上流端13Uにおいては側面24の上端241よりも上方に位置し、第1吐出部材13の下流端13Dにおいては側面24の下端242よりも下方に位置していることが好ましい。
【0026】
第1吐出部材13が傾斜して設置されているため、第1区間31の上流端31U(図4(a))における第1吐出口132Aの位置と比べて、第1区間31の下流端31D(図4(a))における第1吐出口132Aの位置は、容器2の底23に近接している。第1区間31の下流端31Dを含む領域のことを底近接領域R1と称するものとする。
【0027】
第2吐出部材14は、第2区間32において底23よりも下方に設置されている。この第2吐出部材14は、容器2の底23に向けて加圧空気を吐出するため、図示しない圧縮空気供給源から加圧空気が導入されるノズル141を備えている。第2吐出部材14は、加圧空気を局所的に供給可能なノズル141を備えるものであってもよいし、搬送方向xに適宜な長さに亘り延在したエアナイフであってもよい。ノズル141の第2吐出口141Aは、例えば、円形や矩形等の適宜な形状に形成されている。
【0028】
後述するように、少なくとも底近接領域R1において、底23の一部(以下、露出部23A)はプレート110に覆われることなく下方へ開放されている。そのため、ノズル141の第2吐出口141Aから吐出される加圧空気は、プレート110に遮られることなく直接的に底23に供給される。
【0029】
なお、第2区間32は必ずしも第1区間31の下流端31Dに隣接している必要はない。第2区間32は、水滴除去区間30において、底23が下方へ開放されている任意の領域に、例えば、第1区間31よりも上流の領域に設定することができる。
本実施形態では、第1区間31および第2区間32を含む水滴除去区間30の全長に亘り底23が下方へ開放されているため、第1吐出部材13の長さ方向における任意の部位の直下に第2吐出部材14を配置してもよい。その場合は、第2区間32が、第1区間31の一部として第1区間31に含まれることとなる。
【0030】
図4(a)は、水滴除去区間30を含む水滴除去装置10の全体構成の一例を示している。容器2の図示は省略されている。
コンベヤ11は、単列コンベヤ6から容器2が導入される導入区間101と、上下方向zに対して容器2を傾斜させる上流姿勢変化区間102と、水滴除去区間30と、容器2の姿勢を軸線Aが上下方向zに一致した正立状態に復帰させる下流姿勢変化区間103と、容器2を第1検査機7に向けて排出させる排出区間104とを備えている。
水滴除去装置10は、少なくとも水滴除去区間30を覆うカバー16を備えていてもよい。
【0031】
導入区間101では、軸線Aが上下方向zに一致しており、かつ、頂部22が上方を向いた正立の状態で容器2が搬送される。このときプレート110は水平に配置されている。
【0032】
上流姿勢変化区間102においては、容器2を支持するプレート110の姿勢を変化させることで、容器2の姿勢が正立状態から傾斜した状態へと変化する。
図4(b)は、上流姿勢変化区間102の始端IVAから終端IVBまで同一のプレート110が移動する間に亘り、水平面Hに対して当該プレート110のなす角度が0°からθまで漸次変化することを示している。例えば、ツイスト状に加工された図示しないレールによりプレート110を案内させることで、プレート110を変位させることができる。
プレート110の姿勢変化に伴い、プレート110上の容器2の姿勢も変化し、容器2は、ガイド15に向けてy1側に倒れる。そのため、底23に接触するプレート110と、側面24に接触するガイド15とにより、容器2は上下方向zに対して傾斜した状態に支持される。
【0033】
容器2の姿勢を安定して変化させるため、ガイド15は、プレート110の姿勢変化に伴う容器2の側面24の変位に倣い、下流に向かうにつれてy1側に次第に変位するように、搬送方向xに対して傾斜していることが好ましい。図4(b)には、始端IVAにおけるガイド15の位置と、終端IVBにおけるガイド15の位置とを示している。ガイド15と側面24との間には一定のクリアランスが与えられる。
【0034】
傾斜した状態で水滴除去区間30を搬送される容器2に対して、第1吐出部材13および第2吐出部材14から加圧空気が供給されることにより、容器2から水滴を除去するステップが行われる。当該ステップは、第1区間31に亘り第1吐出部材13から連続的に加圧空気を吐出することで側面24から水滴を除去する第1水滴除去ステップと、第2区間32において第2吐出部材14から加圧空気を吐出することで底23から水滴を除去する第2水滴除去ステップとを含む。
【0035】
水滴除去区間30以外の区間101,102,103,104において幅方向yの両側y1,y2にガイド(15,17等)が配置されているとしても、水滴除去区間30においては、容器2が倒れるy1側のみに支持ガイド12が配置されていれば足りる。支持ガイド12は、y1側のガイド15,17と連続していてもよい。
【0036】
y1側に倒れて支持ガイド12に支持されている容器2の底23の一部(露出部23A)は、図3に示すように、プレート110の端縁110Aをy2側へ超えている。そのため、露出部23Aは、第1吐出部材13が配置されるy2側で、第1吐出部材13からの加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されている。また、露出部23Aは、第2吐出部材14からの加圧空気の流れも受け入れ可能に下方へ開放されている。
底23の一部をプレート110から露出させるため、プレート110の幅が、必要に応じて、底23全体を支持するプレートの幅よりも狭く設定されている。
底23は、その領域全体における少なくとも1/3の範囲に亘り下方へ開放されていることが好ましい。底23の領域全体に対する露出部23Aの面積比率は、1/2未満に設定することができる。
【0037】
傾斜している容器2が、自重による支持ガイド12との間の摩擦力に抗して支持ガイド12を転動すると、容器2は、底23を支持するプレート110上を滑りつつ軸線Aを中心に回転しながら、プレート110の移動速度よりも低い速度で搬送方向xに移動する。そうすると、第1区間31を搬送される同一の容器2について、第1吐出口132Aから側面24への加圧空気の供給位置が、軸線Aの方向に加えて容器2の周方向にも変化する。
【0038】
水滴除去区間30に続く下流姿勢変化区間103により、容器2の姿勢を正立に復帰させる。図4(c)には、下流姿勢変化区間103の始端IVAにおけるガイド17の位置と、下流姿勢変化区間103の終端IVBにおけるガイド17の位置とを示している。ガイド17は、下流へ向かうにつれて、支持ガイド12の位置からy2側に次第に変位するように、搬送方向xに対して傾斜している。このガイド17により側面24がy2側に押されることで容器2はy2側に変位し、正立の姿勢に復帰する。
【0039】
プレート110は、下流姿勢変化区間103に亘り水平に配置されていてもよいが、同一のプレート110が水平面Hに対してなす角度は、始端IVCから終端IVDまでに亘り、θから0°まで漸次変化することが好ましい。そうすると、傾斜した状態の容器2を正立の姿勢へと安定して変位させることができる。
排出区間104では、導入区間101と同様に、水平なプレート110上に、容器2が上下方向zに沿って正立に起立した状態で搬送される。
【0040】
〔水滴除去装置による作用および効果〕
図5(a)および図6(a)を参照し、水滴除去装置10による作用を説明する。図5(a)および図6(a)には、加圧空気の流れの一例が示されている。
【0041】
水滴除去区間30の第1区間31を容器2が搬送される間に亘り、第1吐出部材13の第1吐出口132Aから容器2の側面24に向けて加圧空気が吐出される。ここで、第1吐出部材13は傾斜して設置されているため、第1吐出部材13の第1吐出口132Aから容器2の側面24に加圧空気が供給される位置は、同一容器2が第1区間31を移動する間に亘り、側面24の上端241から漸次下方へと移動する。
【0042】
容器2の側面24に付着していた水滴は、例えば、加圧空気の供給により吹き飛ばされたり、加圧空気の供給により側面24が乾燥したりすることで除去される。その他、加圧空気の流れに水滴を巻き込んで下方へと掃引し、容器2の下端で最終的に水滴を吹き飛ばすことにより側面24から水滴が除去される。
【0043】
図5(a)には、第1吐出口132Aから側面24への加圧空気の供給位置が、容器2の移動に伴い側面24の下端242まで移動し、底23に近接したときの加圧空気の流れかF1で示されている。また、さらなる容器2の移動により、第1吐出口132Aからの加圧空気の供給位置が、側面24の下端242、および側面24に対して径が縮小した縮径部243を下方へ超えたときの加圧空気の流れがF2で示されている。
【0044】
概ね、加圧空気の流れF1が容器2の側面24の下端242に供給される時から、同一の容器2について加圧空気の流れF2が側面24の下端242および縮径部243を下方に超えた時までの間に亘り、同一の容器2の底23に第1吐出口132Aが近接している。このとき容器2は、底近接領域R1に位置している。
【0045】
底近接領域R1において第1吐出口132Aが底23に近接しているとしても、第1吐出口132Aのあるy2側で底23の一部がプレート110に覆われることなく下方へと開放されているため、加圧空気の流れF1,F2は、プレート110に干渉することなく、底23よりも下方の開放空間へと流入する。
【0046】
図5(b)に示す比較例においては、プレート110が底23の全域に亘り延在しているので、底23は下方へ開放されていない。そのため、第1吐出口132Aが底23に近接する底近接領域R1においては、第1吐出口132Aからの加圧空気が容器2の側面24に吹き付けられるのみならず、底23を支持するプレート110に対しても吹き付けられる。そうすると、第1吐出口132Aから吐出された加圧空気の流れは、F3で示すように、プレート110に干渉することで上方へ曲がるので、上方への加圧空気の流れによって、容器2の側面24へと水滴が飛散するおそれがある。
【0047】
本実施形態のように、底23の一部が第1吐出口132Aからの加圧空気の流れF1,F2を受け入れ可能に下方へ開放されていることによれば、側面24における底23に近接した下部に加圧空気を吹き付けて水滴を除去する際に、第1吐出口132Aから容器2に到達した加圧空気を底23よりも下方の開放空間へと流入させることができる。
【0048】
そのため、第1吐出口132Aから吐出された加圧空気の流れF1,F2がプレート110に干渉しないので、比較例における加圧空気の流れF3のように加圧空気の巻き返しを発生させることなく、側面24の上端241から下端242までに亘る加圧空気の一方向への掃引により水滴を側面24からより十分に除去することが可能となる。
【0049】
その上、第1区間31を傾斜した姿勢で搬送される各容器2が軸線Aを中心に回転することにより、1吐出口132Aが配置されているy2側だけでなく、容器2の周方向の全体に亘り加圧空気を吹き付けることができる。そうすると、側面24の軸線A方向および周方向の全域に亘り容器2から水滴を除去することができる。
【0050】
第1吐出口132Aから吐出される加圧空気を側面24の全域に亘り均等に吹き付けるため、第1区間31において容器2が少なくとも1回転することが好ましい。第1区間31における回転の回数は、容器2の傾斜角度θや、第1区間31の長さ等を設定することで決めることができる。
【0051】
容器2が回転するので、幅方向yの一方側(y2側)のみに第1吐出部材13が設置されていれば足りる。但し、y2側に加えてy1側にも第1吐出部材13が設置されることは妨げられない。
【0052】
第1吐出部材13がy2側のみに設置されるにせよ、あるいは両側y1,y2に設置されるにせよ、容器2が回転することによれば、側面24上の一部の領域(例えば、側面24における搬送方向xの前後の領域)への水滴の残存が起こり難い。第1区間31を容器2が通過する際に、側面24において水滴が付着している位置は不定であるところ、容器2の回転により側面24に満遍なく加圧空気が供給されることで、回転しない場合と比べて水滴を側面24から効率よく除去することができる。
【0053】
容器2と支持ガイド12との摩擦が小さいため容器2が回転しない、あるいは安定して回転しないことは許容される。その場合は、y2側に加えてy1側にも第1吐出部材13が設置されることが好ましい。
【0054】
底23の一部が下方へ開放されていることからすれば、第2吐出部材14により、加圧空気を底23に直接的に供給して水滴を底23から十分に除去することができる。
特に、底23に凹部231が形成されている場合は、図6(a)に示すように第2吐出部材14により、例えば、プレート110をy2側へ超えて露出している凹部231の直下の位置から、y1側に向けて加圧空気を吐出することが好ましい。そうすると、加圧空気を凹部231の内側に十分に流入させて水滴を除去することができる。
【0055】
エアナイフ等により加圧空気を底23に向けて必ずしも連続的に供給しなくとも、ノズル141の第2吐出口141Aから吐出された加圧空気は、プレート110から上方へ退いた凹部231の内側に行き渡る。そのため、底23に存在する水滴を除去する観点からは、容器2を必ずしも回転させながら底23に連続的に加圧空気を供給する必要はない。発明者により行われた試験の結果によれば、底23の領域の少なくとも1/3の範囲に亘りプレート110からy2側に露出しているならば、底23の全域に亘り水滴を除去することができる。
第2吐出口141Aから底23に向けて加圧空気を吹き出す角度は、適宜に設定することが可能である。
【0056】
本実施形態の水滴除去装置10により容器2から水滴が十分に除去されることで、容器2の検査や、底23への印字、箱詰め等の後工程の処理を確実に行うことができる。
【0057】
〔変形例〕
本実施形態のプレート110として、厚さ方向に貫通する多数の孔が形成された網状のプレートが採用されることは妨げられない。孔越しに底23が露出するので、網状のプレートの下方にもノズル141を配置し、底23からの水滴除去の効果を高めることができる。
但し、本実施形態のように、底23が少なくとも第1吐出口132A側でプレート110により全く覆われずに下方へ開放されているのならば、非網状のプレート110と比べてコスト、剛性の点で不利な網状のプレートを採用する必要がない。しかも、網状プレートの開口率が余程高くない限り、網状プレートを採用する場合よりも、加圧空気による底23からの水滴除去効果が高い。
【0058】
上述の実施形態においては、水滴除去区間30に亘り容器2が傾斜した姿勢に維持され、かつ、底23がプレート110からy2側へはみ出して下方へ開放されているが、これには限られない。底23が下方へ開放されていることによる上述の作用に基づくと、少なくとも、第1区間31の下流端31Dを含む底近接領域R1において底23の少なくともy2側が下方へ開放されていれば足りる。底近接領域R1においてのみ底23の一部を下方へ開放させるのならば、例えば、プレート110に切り欠きを形成するとよい。
【0059】
上述の実施形態とは異なり、第1吐出口132Aから容器2の側面24への加圧空気の供給位置が、容器2の搬送に伴い、容器2の下端から上端に向けて変化するように、第1吐出部材13が上記実施形態とは逆向きに傾斜して設置されていてもよい。この場合も、第1吐出口132Aが底23に近接する領域、つまり第1区間31の上流端31U側の領域で底23を下方へ開放させることにより、プレート110に妨げられることなく第1吐出口132Aからの加圧空気を容器2の下端に直接的に吹き付けることができる。そうすると、容器2の下端から上端まで、軸線Aの方向の全体に亘り水滴を十分に除去することができる。
【0060】
底23が下方へ開放されることの別形態としては、図7に示すように、支持ガイド12に向けて傾斜した状態の容器2の底23の周縁部23Bのみがプレート110上に支持されていてもよい。この場合、底23は、周縁部23Bを除いて略全域が下方へ開放されているから、必ずしも、底23がプレート110の端縁110Aをy2側へ超えていなくとも、底23と、例えば水平に配置されるプレート110との間の三角状の開放空間Sに、第1吐出口132Aおよび第2吐出口141Aからそれぞれ吐出される加圧空気の流れを流入させることが可能である。
【0061】
図8(a)および(b)に示す水滴除去装置10-1は、容器2を積極的に回転させるための手段としてベルト装置40を備えている。ベルト装置40は、駆動プーリ41と、従動プーリ42と、上記実施形態の支持ガイド12に相当するベルト43と、駆動プーリ41にトルクを出力する図示しないモータとを備えている。上下方向zに対して傾斜して設置されるベルト43により容器2の側面24が支持されることで、容器2には、上下方向zに対して傾斜した姿勢が与えられる。
【0062】
モータのトルクによりベルト43は、例えば、図8(b)に矢印で示すように、容器2に接触しているときに搬送方向xとは逆向きに移動する向きに駆動される。容器2の側面24に接触しているときにベルト43がプレート110の搬送方向xへの移動速度よりも低い速度で搬送方向xに移動するならば、ベルト43が駆動される向きは、搬送方向xに対して逆向きでも(図8(b)に示す例)同じ向きでもいずれでもよい。側面24を支持するベルト43と、底23を支持するプレート110との速度差に相応のトルクが容器2に与えられることで、容器2が回転する。容器2は、プレート110上を滑りつつ搬送方向xに移動する。
ベルト装置40を備えることにより、より確実に安定して容器2を回転させることができるので、側面24の全域に亘る加圧空気の供給により、容器2から水滴をより十分に除去することができる。
【0063】
図9(a)~(c)は、容器2が非傾斜かつ非回転の例を示している。水滴除去装置10-2は、コンベヤ11と、幅方向yにおける容器2の両側にそれぞれ配置されるガイド18と、幅方向yにおけるプレート110の両側にそれぞれ配置される第1吐出部材13(13-1,13-2)とを備えている。
【0064】
プレート110は、水平に配置され、容器2の底23を支持する。容器2は、上下方向zに沿ってプレート110上に起立した状態で、コンベヤ11の第1区間31を搬送される。
【0065】
ガイド18は、一対をなして並走し、幅方向yの両側から容器2を案内することで容器2に所定の軌道を与える。第1区間31において、一対のガイド18は、y1側に向けて凸になるように湾曲したy1側湾曲部181と、y2側に向けて凸になるように湾曲したy2側湾曲部182とを備えている。
【0066】
y1側湾曲部181によりプレート110と容器2との相対位置が設定されることで、容器2の底23はプレート110からy1側にはみ出す。このとき、容器2は、プレート110をy1側へ超えていることにより下方へ開放されている。y1側湾曲部181よりもy1側には、第1吐出部材13-1が設けられている。
【0067】
また、y2側湾曲部182によりプレート110と容器2との相対位置が設定されることで、容器2の底23はプレート110からy2側にはみ出す。このとき、容器2は、プレート110をy2側へ超えていることにより下方へ開放されている。y2側湾曲部182よりもy2側には、第1吐出部材13-2が設けられている。
【0068】
図9(b)に示すように、第1吐出部材13-1の第1吐出口132Aから、容器2の側面24に対して加圧空気が供給される位置は、搬送方向xへの容器2の移動に伴い、側面24の上端241から、側面24の下端242を底23側に超える位置まで移動する。第1吐出口132Aの位置が底23に近接している底近接領域R1において、底23は下方へと開放されているので、プレート110との干渉による加圧空気の巻き返しの発生を避けて、上端241から下端242までに亘り加圧空気を吹き付けることができる。
【0069】
図9(c)に示すように、第1吐出部材13-2の第1吐出口132Aから側面24に対して加圧空気が供給される位置についても、同様である。底23が下方へと開放されているので、加圧空気の巻き返しの発生を避けて、上端241から下端242までに亘り加圧空気を吹き付けることができる。
【0070】
第1吐出部材13-1,13-2により、幅方向yの両側y1,y2で加圧空気が上端241から下端242までに亘り吹き付けられることによれば、必ずしも容器2を回転させなくとも、側面24の全域に亘り水滴を十分に除去することができる。
また、底23が下方へ開放されているので、例えば、第1吐出部材13-1,13-2のそれぞれの上流端13Uの直下に第2吐出部材14を付加することにより、底23から水滴を除去することが可能となる。
【0071】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、本開示は、容器2の軸線方向に沿って容器2の高さ方向全体に亘り延在する吐出口を有したノズルを用いる場合の水滴除去にも有効である。つまり、容器2の底23の少なくとも一部がコンベヤの搬送面に覆われずに下方へ開放されているのならば、容器2の高さ方向全体に亘り容器2の軸線方向に沿って延在する吐出口を有したノズルを用いて、容器2の高さ方向全体に亘り同時に加圧空気を吹き付けることにより、容器2の側面下部を含め、容器2の側面全体から水滴を十分に除去することができる。
【0072】
〔付記〕
以上で説明した水滴除去装置および水滴除去方法は、以下のように把握される。
〔1〕容器2から水滴を除去する装置10,10-1,10-2は、容器2の底23を支持した状態で容器2を搬送方向xに搬送するコンベヤ11と、コンベヤ11に対して直交する幅方向yにおいて容器2の少なくとも一方側(y1)に配置され、容器2が搬送される所定の第1区間31に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1吐出口132Aと、を備える。第1吐出口132Aは、搬送方向xに移動する容器2の側面24に対し、加圧空気の供給位置を容器2の軸線Aの一方側から他方側へと一方向に変化させながら加圧空気を供給する。第1区間31は、第1区間31の一端部を含み他端部と比べて第1吐出口132Aの位置が底23に近接している底近接領域R1を含む。少なくとも底近接領域R1では、底23の少なくとも一部が、第1吐出口132Aからの加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されている。
「少なくとも底近接領域R1では、底23の少なくとも一部が、第1吐出口132Aからの加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されている。」は、「少なくとも底近接領域R1では、底23の少なくとも一部が、幅方向yにおいて第1吐出口132Aが配置されている一方側または両側で、下方へ開放されている」構造に該当する。
〔2〕水滴除去装置10は、容器2の側面24を幅方向yの一方側(y1)から支持することで、上下方向zに対して傾斜した状態に容器2を支持する支持ガイド12を備える。少なくとも底近接領域R1においては、底23が、幅方向yにおける容器2の両側(y1,y2)のうち、支持ガイド12とは反対側(y2側)で下方へ開放されている。
〔3〕水滴除去装置10-1は、容器2の側面24に接触するベルト43を支持ガイド12として備える。ベルト43は、側面24に接触しているときに、コンベヤ11の搬送方向xへの移動速度よりも低い速度で搬送方向xに駆動される。
〔4〕コンベヤ11は、少なくとも底近接領域R1において、容器2の軸線Aに対して直交した状態に配置されて底23を支持するプレート110を含む。底23は、少なくとも底近接領域R1において、プレート110を幅方向yへ超えていることにより下方へ開放されている。
〔5〕水滴除去装置10-2は、容器2の側面24に対向するガイド18を備える。コンベヤ11は、上下方向zに沿って起立した状態の容器2の底23を支持するプレート110を含む。ガイド18によりプレート110に対する幅方向yの相対位置が設定される容器2の底23は、少なくとも底近接領域R1において、プレート110を幅方向yへ超えていることにより下方へ開放されている。
〔6〕水滴除去装置10は、底23に向けて加圧空気を吐出する第2吐出口141Aを備える。
〔7〕容器2から水滴を除去する方法は、コンベヤ11により容器2の底23を支持した状態で容器2を搬送方向xへ搬送しつつ、コンベヤ11に対して直交する幅方向yにおいて容器2の少なくとも一方側(y1側)に配置される第1吐出口132Aから、容器2が搬送される所定の第1区間31に亘り連続的に加圧空気を吐出する第1水滴除去ステップを備える。第1水滴除去ステップにおいては、第1吐出口132Aにより、搬送方向xに移動する容器2の側面24に対し、加圧空気の供給位置を容器2の軸線Aの一方側から他方側へと一方向に変化させながら加圧空気を供給し、第1区間31の一端部を含み他端部と比べて第1吐出口132Aの位置が底23に近接している底近接領域R1を容器2が移動するとき、底23の少なくとも一部が、第1吐出口132Aからの加圧空気の流れを受け入れ可能に下方へ開放されていることに基づいて、第1吐出口132Aから容器2に到達した加圧空気を底23よりも下方の開放空間へと流入させる。
【符号の説明】
【0073】
1 製造ライン
2 容器
3 パストライザ
4 多列コンベヤ
5 単列化コンベヤ
6 単列コンベヤ
7 第1検査機
8 第2検査機
10,10-1,10-2 水滴除去装置
11 コンベヤ
12 支持ガイド
12A 棒状部材
13,13-1,13-2 第1吐出部材
13D 下流端
13U 上流端
14 第2吐出部材
15,17,18 ガイド
16 カバー
21 周壁
22 頂部
23 底
23A 露出部
23B 周縁部
24 側面
30 水滴除去区間
31 第1区間
31U 上流端
31D 下流端
32 第2区間
40 ベルト装置
41 駆動プーリ
42 従動プーリ
43 ベルト
101 導入区間
102 上流姿勢変化区間
103 下流姿勢変化区間
104 排出区間
110 プレート
110A 端縁
131 本体
131A ダクト
132 ノズル
132A 第1吐出口
141 ノズル
141A 第2吐出口
181 y1側湾曲部
182 y2側湾曲部
231 凹部
241 上端
242 下端
243 縮径部
A 軸線
A2 直線
G 隙間
H 水平面
IVA,IVC 始端
IVB,IVD 終端
R1 底近接領域
S 開放空間
x 搬送方向
y 幅方向
z 上下方向
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9