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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】フィルタ装置および洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/10 20060101AFI20240920BHJP
   D06F 37/12 20060101ALI20240920BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20240920BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
D06F39/10 B
D06F37/12 H
D06F37/12 Z
D06F39/02 Z
D06F39/08 331
D06F39/10 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021149224
(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公開番号】P2023042112
(43)【公開日】2023-03-27
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 千洋
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0038031(US,A1)
【文献】特開2009-136430(JP,A)
【文献】特開2019-150391(JP,A)
【文献】特開2018-134261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/10
D06F 37/12
D06F 39/02
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機に用いられるフィルタ装置であって、
前記洗濯機の動作により送り出された水に含まれるリントを捕捉するリントケース、を備えており、
前記リントケースは、
水が流れる主流路と、
前記主流路から分岐している分岐流路と、
前記分岐流路を画定する第1リブと、を備えており、
前記分岐流路は、
前記主流路から前記分岐流路に流入する水が流れる往き流路と、
前記第1リブにより前記往き流路と分けられており、前記分岐流路から前記主流路に流出する水が流れる戻り流路と、を備えており、
前記往き流路と前記戻り流路とは、前記主流路に対して傾斜している、フィルタ装置。
【請求項2】
前記往き流路と前記戻り流路とは、前記戻り流路を流れる水の向きと前記往き流路を流れる水の向きが反対となるように設けられている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記リントケースは、
前記リントを捕捉するリントフィルタを備える第1ケースと、
前記第1ケースにスライド可能に取り付けられ、前記第1リブを備える第2ケースと、を備えており、
前記第2ケースが前記第1ケースに対してスライドして前記第1ケースから取り外される際に、前記第1リブは、前記リントフィルタに沿って移動する、請求項1または2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記リントケースは、
前記リントを捕捉するリントフィルタと、前記第1リブと、を備える第1ケースと、
前記第1ケースにスライド可能に取り付けられている第2ケースであって、前記第2ケースが前記第1ケースに取り付けられた際に前記第1リブを受け入れるスクレーパを備える前記第2ケースと、を備えており、
前記第2ケースが前記第1ケースに沿ってスライドして前記第1ケースから取り外される際に、前記第1リブは、前記スクレーパを横切って移動する、請求項1または2に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
洗濯機であって、
請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタ装置と、
前記フィルタ装置が内壁に配置される洗濯槽と、
前記洗濯槽の底部に回転可能に配置されている回転翼と、を備えており、
前記フィルタ装置は、前記洗濯槽の前記内壁に取り付けられており、前記リントケースを着脱可能に支持するカバーをさらに備えており、
前記カバーは、
洗剤を投入する洗剤投入部と、
前記洗剤投入部に連通しており、前記洗剤投入部から投入された前記洗剤が流れる洗剤流路と、
前記洗剤流路に配置される第2リブと、を備えており、
前記洗剤流路は、
水を流れる主洗剤流路と、
前記主洗剤流路から分岐しており、前記第2リブにより画定されている分岐洗剤流路と、を備えており、
前記分岐洗剤流路は、
前記主洗剤流路から前記分岐洗剤流路に流入する水が流れる往き洗剤流路と、
前記第2リブにより前記往き洗剤流路と分けられており、前記分岐洗剤流路から前記主洗剤流路に流出する水が流れる戻り洗剤流路と、を備えており、
前記往き洗剤流路と前記戻り洗剤流路とは、前記主洗剤流路に対して傾斜している、請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタ装置を備えている、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、フィルタ装置および洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される洗濯機は、脱水槽と、脱水槽の底部に回転可能に配置されているパルセータと、脱水槽の内壁に配置されているフィルタユニットと、を備えている。フィルタユニットは、ろ過部材を備えている。水がろ過部材を通過することにより、水に含まれるリントがろ過部材に捕捉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-141552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、水に含まれるリントを捕捉する性能が向上しているものの、水に含まれるリントを完全に捕捉することができない。
【0005】
本明細書では、水に含まれるリントを捕捉する性能を向上させることができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるフィルタ装置は、洗濯機に用いられる。フィルタ装置は、洗濯機の動作により送り出された水に含まれるリントを捕捉するリントケース、を備えている。リントケースは、水が流れる主流路と、主流路から分岐している分岐流路と、分岐流路を画定する第1リブと、を備えている。分岐流路は、主流路から分岐流路に流入する水が流れる往き流路と、第1リブにより往き流路と分けられており、分岐流路から主流路に流出する水が流れる戻り流路と、を備えている。往き流路と戻り流路とは、主流路に対して傾斜している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例の洗濯機の概略図である。
図2】第1実施例のフィルタ装置を表側から見た図である。
図3】第1実施例のリントケースの第1ケースを裏側から見た図である。
図4】第1実施例のリントケースの第2ケースを表側から見た図である。
図5】第1実施例のリントケースの主流路と分岐流路の概略図である。
図6】第1実施例のフィルタ装置を裏側から見た図である。
図7】第1実施例のカバーの主洗剤流路と分岐洗剤流路の概略図である。
図8】第2実施例のリントケースの第1ケースを裏側から見た図である。
図9】第2実施例のリントケースの第2ケースを裏側から見た図である。
図10】第2実施例の第2ケースを第1ケースに取り付ける様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施例)
図1から図7を参照して、第1実施例の洗濯機2を説明する。図1に示すように、洗濯機2は、筐体4と、筐体4内に固定されている水槽6と、水槽6内に配置されている洗濯槽8と、水槽6を上側から閉じる洗濯蓋10と、を備えている。また、洗濯機2は、水槽6に水を供給する給水流路14と、水槽6内の水を排出する排水流路18と、水槽6内の水を撹拌するパルセータ22(回転翼の一例)と、を備えている。また、洗濯機2は、洗濯槽8および/またはパルセータ22を回転駆動する駆動モータ24と、駆動モータ24の回転を洗濯槽8および/またはパルセータ22に伝達する動力伝達機構26と、を備えている。
【0009】
実施例の洗濯機2は、パルセータ22を備えるタテ型(縦軸型)の洗濯機である。洗濯機2は、洗濯槽8内に収容された洗濯物を洗濯する洗濯運転を実行可能に構成されている。洗濯運転は、例えば、洗濯物を洗う洗い工程と、洗濯物をすすぐすすぎ工程と、洗濯物を脱水する脱水工程と、を備えている。
【0010】
筐体4は、例えば、箱型に構成されている。筐体4内の水槽6は、給水流路14により供給される水を貯留する。水槽6内に貯留された水により、洗濯物が洗濯される。水槽6内の洗濯槽8は、洗濯物を収容する。洗濯槽8内に収容された洗濯物が洗濯される。洗濯槽8は、水槽6の内部に、回転可能な状態で配置されている。
【0011】
水槽6に水を供給する給水流路14には、給水バルブ16が配置されている。給水バルブ16は、給水流路14を開閉する。給水バルブ16が開弁すると、水が水槽6内に供給され、給水バルブ16が閉弁すると、水が水槽6内に供給されなくなる。また、水槽6内の水を排出する排水流路18には、排水バルブ20が配置されている。排水バルブ20は、排水流路18を開閉する。排水バルブ20が開弁すると、水槽6内の水が排出され、排水バルブ20が閉弁すると、水槽6内の水が排出されなくなる。
【0012】
パルセータ22は、洗濯槽8の底部に回転可能に配置されている。パルセータ22が回転することにより、水槽6内の水と洗濯槽8内の洗濯物が撹拌される。
【0013】
駆動モータ24は、筐体4の内部に配置されている。駆動モータ24は、動力伝達機構26を介して、洗濯槽8とパルセータ22に機械的に連結されている。駆動モータ24が回転することにより、洗濯槽8および/またはパルセータ22が回転する。
【0014】
動力伝達機構26は、筐体4の内部に配置されている。動力伝達機構26は、例えば、ギアと、プーリーと、クラッチ等を備えている。動力伝達機構26は、クラッチを切り替えることにより、動力の伝達経路を切り替えることができる。例えば、動力伝達機構26のクラッチが切り替わることにより、駆動モータ24の動力が洗濯槽8に伝達される状態と、駆動モータ24の動力がパルセータ22に伝達される状態とが切り替わる。また、駆動モータ24の電力が洗濯槽8とパルセータ22の両方に伝達されてもよい。
【0015】
図2に示すように、洗濯機2は、洗濯槽8の内壁に配置されているフィルタ装置30をさらに備えている。以下では、パルセータ22の回転軸に沿う方向(図2では紙面上下方向)を上下方向と呼び、洗濯槽8の内周面に沿っており、上下方向に直交する方向(図2では紙面左右方向)を左右方向と呼ぶことがある。フィルタ装置30は、洗濯槽8の内壁との間に送水流路32(図6参照)を画定している。送水流路32には、パルセータ22(図1参照)の回転により送り出された水が流入する。この流入した水には、リント(例えば糸くず)が含まれており、フィルタ装置30は、流入した水からリントを捕捉することができる。以下では、フィルタ装置30のリントを捕捉するための構成を説明する。また、フィルタ装置30の説明に用いられる図3と、図6と、図7のそれぞれでは、左右方向が反転していることに留意されたい。
【0016】
フィルタ装置30は、リントケース40と、カバー130と、を備えている。リントケース40は、カバー130に着脱可能に取り付けられる。カバー130は、洗濯槽8の内壁に取り付けられている。リントケース40は、カバー130に取り付けられることにより、洗濯槽8の内壁に対して固定される。
【0017】
まず、リントケース40について説明する。図3および図4に示すように、リントケース40は、第1ケース42と、第2ケース70と、を備えている。図3に示すように、第1ケース42は、第1ケース本体46と、リントフィルタ56と、右レール壁58と、左レール壁60と、を備えている。
【0018】
図2に示すように、リントケース40がカバー130に取り付けられているとき、第1ケース本体46の表面46aは、洗濯槽8の内部で露出している。図3に示すように、第1ケース本体46は、主壁48と、主壁48の上端に配置される上壁50と、主壁48の右端に配置される右壁52と、主壁48の左端に配置される左壁54と、を備えている。主壁48と上壁50と右壁52と左壁54は、一体的に形成されている。主壁48は、厚み方向に貫通する複数の孔48aを有する。上壁50と右壁52と左壁54は、第1ケース本体46の裏面46b側に配置されている。右壁52は、上壁50の右端から下側に向かって延びている。左壁54は、上壁50の左端から下側に向かって延びている。
【0019】
リントフィルタ56は、第1ケース本体46の裏面46b側から、主壁48に取り付けられている。リントフィルタ56は、主壁48のすべての孔48aを覆っている。リントフィルタ56は、パルセータ22(図1参照)の回転により送り出された水が複数の孔48aを通過する際に、水に含まれるリントを捕捉する。
【0020】
右レール壁58と左レール壁60は、第1ケース本体46の裏面46b側に配置されている。右レール壁58と左レール壁60は、主壁48上を上下方向に延びている。右レール壁58は、第1ケース本体46の右壁52とリントフィルタ56との間を、右壁52に沿って延びている。左レール壁60は、第1ケース本体46の左壁54とリントフィルタ56との間を、左壁54に沿って延びている。
【0021】
図4に示す第2ケース70は、第1ケース42(図3参照)に着脱可能に取り付けられる。第2ケース70は、第2ケース本体72を備えている。
【0022】
第2ケース70が第1ケース42に取り付けられたとき、第2ケース本体72の表面72aは、第1ケース本体46の裏面46bと対向している。第2ケース本体72は、主壁74と、主壁74の右端に配置されている右壁76と、主壁74の左端に配置されている左壁78と、を備えている。主壁74と右壁76と左壁78は、一体的に形成されている。右壁76と左壁78は、第2ケース本体72の表面72a側に配置されている。右壁76と左壁78は、上下方向に延びている。
【0023】
右壁76は、第1ケース本体46の右壁52と右レール壁58との間をスライド可能である。また、左壁78は、第1ケース本体46の左壁54と左レール壁60との間をスライド可能である。第2ケース70を第1ケース42から外した状態で、第1ケース42に対して第2ケース70を上側にスライドさせることにより、右壁76が第1ケース本体46の右壁52と右レール壁58との間を上側にスライドし、左壁78が第1ケース本体46の左壁54と左レール壁60との間を上側にスライドする。この結果、第2ケース70が第1ケース42に取り付けられる。また、第2ケース70が第1ケース42に取り付けられた状態から、第1ケース42に対して第2ケース70を下側にスライドさせることにより、右壁76が第1ケース本体46の右壁52と右レール壁58との間を下側にスライドし、左壁78が第1ケース本体46の左壁54と左レール壁60との間を下側にスライドする。この結果、第2ケース70が第1ケース42から取り外される。
【0024】
また、第2ケース70は、第1リブ86と、主流路104と、分岐流路108と、をさらに備えている。第1リブ86は、第2ケース本体72の表面72a側に配置されている。第1リブ86は、第2ケース本体72の主壁74から突出している。図示省略しているが、第2ケース70が第1ケース42に取り付けられたとき、第1リブ86は、第1ケース本体46の主壁48と微小な隙間を有して主壁48と対向している。第1リブ86は、第1右側リブ88と、第1左側リブ96と、を備えている。
【0025】
第1右側リブ88は、第1右側長尺リブ90と、第1右側短尺リブ92と、を備えている。第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92は、上下方向に交互に並んでいる。隣接する第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92は、上下方向に間隔を有して配置されている。最も上側に位置する第1右側リブ88と、最も下側に位置する第1右側リブ88は、第1右側長尺リブ90である。第1右側長尺リブ90は、第2ケース本体72の右壁76から左壁78に向かう方向に延びている。第1右側長尺リブ90は、上方左側に向かって延びている。第1右側短尺リブ92は、右壁76と隙間を有している。第1右側短尺リブ92は、第1右側短尺リブ92の右壁76側の端部から、第2ケース本体72の左壁78に向かう方向に延びている。第1右側短尺リブ92は、上方左側に向かって延びている。第1右側短尺リブ92の長さは、第1右側長尺リブ90の長さよりも短い。第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92は、第1方向F1(本実施例では下方向)に対して90度以下の角度で傾斜している。
【0026】
第1左側リブ96は、第1左側長尺リブ98と、第1左側短尺リブ100と、を備えている。第1左側長尺リブ98と第1左側短尺リブ100は、上下方向に交互に並んでいる。隣接する第1左側長尺リブ98と第1左側短尺リブ100は、上下方向に間隔を有して配置されている。最も上側に位置する第1左側リブ96と、最も下側に位置する第1左側リブ96は、第1左側長尺リブ98である。第1左側長尺リブ98は、第2ケース本体72の左壁78から右壁76に向かう方向に延びている。第1左側長尺リブ98は、上方右側に向かって延びている。第1左側長尺リブ98の長さは、第1右側長尺リブ90の長さと等しい。第1左側短尺リブ100は、左壁78と隙間を有している。第1左側短尺リブ100は、第1左側短尺リブ100の左壁78側の端部から、第2ケース本体72の右壁76に向かう方向に延びている。第1左側短尺リブ100の長さは、第1左側長尺リブ98の長さよりも短く、第1右側短尺リブ92の長さと等しい。第1左側長尺リブ98と第1左側短尺リブ100は、第1方向F1(本実施例では下方向)に対して90度以下の角度で傾斜している。
【0027】
主流路104は、第2ケース本体72の表面72aと第1ケース本体46の裏面46b(図3参照)との間に配置されている。主流路104は、上下方向に延びている。主流路104は、第1右側リブ88と第1左側リブ96との間に配置されている。パルセータ22(図1参照)により送り出された水は、主流路104を、下側から上側に向かう方向に流れる。また、水は、主流路104を、上側から下側に向かう方向(第1方向F1)に流れることもできる。
【0028】
分岐流路108は、主流路104から分岐している。分岐流路108は、第2ケース本体72の表面72aと第1ケース本体46の裏面46b(図4参照)との間に配置されている。分岐流路108は、第1右側リブ88により画定される右側分岐流路110と、第1左側リブ96により画定される左側分岐流路120と、を備えている。
【0029】
右側分岐流路110は、略U字形状を有する。右側分岐流路110は、右側往き流路112と、右側戻り流路114と、右側折り返し流路116と、を備えている。左側分岐流路120は、略U字形状を有する。左側分岐流路120は、左側往き流路122と、左側戻り流路124と、左側折り返し流路126と、を備えている。右側分岐流路110の形状は、主流路104を挟んで、左側分岐流路120の形状と左右対称である。このため、以下では、右側分岐流路110を詳細に説明する。
【0030】
図5に示すように、右側往き流路112は、主流路104に連通している。図5では、右側分岐流路110が実線で模式的に図示されている。右側往き流路112は、第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92により画定されている。右側往き流路112は、主流路104に対して傾斜している。右側往き流路112は、下方右側に向かって傾斜している。右側往き流路112の向きは、第1方向F1に対して90度以下の角度A1で傾斜している。本実施例では、右側往き流路112の向きは、第1方向F1に対して90度よりも小さい角度A1で傾斜している。
【0031】
右側戻り流路114は、右側往き流路112よりも第1方向F1の下流側で、主流路104に連通している。右側戻り流路114は、第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92により画定されている。右側戻り流路114は、第1右側短尺リブ92により、右側往き流路112と分けられている。右側戻り流路114は、主流路104に対して傾斜している。右側戻り流路114は、上方左側に向かって傾斜している。右側戻り流路114の向きは、第1方向F1に対して90度以下の角度A2で傾斜している。本実施例では、右側戻り流路114の向きは、第1方向F1に対して90度よりも小さい角度A2で傾斜している。また、右側戻り流路114が傾斜する角度A2は、右側往き流路112が傾斜する角度A1と同様である。右側戻り流路114の向き(上方左側の向き)は、右側往き流路112の向き(下方右側の向き)と反対である。
【0032】
右側折り返し流路116は、右側往き流路112と右側戻り流路114の両方に連通している。右側折り返し流路116は、第1右側長尺リブ90と、第1右側短尺リブ92と、第2ケース本体72の右壁76により画定されている。右側折り返し流路116は、略上下方向に延びている。
【0033】
次に、カバー130について説明する。図2に示すように、カバー130は、カバー本体132と、洗剤投入部148と、を備えている。カバー本体132は、洗濯槽8の内壁に取り付けられている。カバー本体132の表面132aは、洗濯槽8の内部で露出している。洗剤投入部148は、カバー本体132の表面132a側において、カバー本体132の上端部近傍に取り付けられている。洗剤投入部148は、開状態と閉状態に切り替わることができる。洗剤投入部148が開状態であるとき、ユーザは洗剤を洗剤投入部148に投入することができ、洗剤投入部148が閉状態であるとき、ユーザは洗剤を洗剤投入部148に投入することができない。
【0034】
図6に示すように、カバー130は、洗剤流路150をさらに備えている。洗剤流路150は、カバー本体132の裏面132bと洗濯槽8(図1参照)の内壁との間に配置されている。洗剤流路150は、送水流路32の一部を構成している。洗剤流路150は、洗剤投入部148の内部の空間と連通する。このため、洗剤投入部148から投入された洗剤は、洗剤投入部148の内部の空間から洗剤流路150に流入する。その後、洗剤は、洗剤流路150を、洗濯槽8の底部に向かう第2方向F2(下方向)に流れる。
【0035】
洗剤流路150は、右側洗剤流路152と、左側洗剤流路154と、を備えている。右側洗剤流路152は、リントケース40よりも右側に配置されている。右側洗剤流路152は、カバー本体132の右外壁134と右内壁136との間に配置されている。右外壁134と右内壁136は、上下方向に延びており、右内壁136は、右外壁134よりもリントケース40側に配置されている。
【0036】
左側洗剤流路154は、リントケース40よりも左側に配置されている。左側洗剤流路154は、カバー本体132の左外壁138と左内壁140との間に配置されている。左外壁138と左内壁140は、上下方向に延びており、左内壁140は、左外壁138よりもリントケース40側に配置されている。
【0037】
カバー130は、第2リブ160をさらに備えている。第2リブ160は、カバー本体132の裏面132b側に配置されている。第2リブ160は、カバー本体132から突出している。第2リブ160は、第2右側リブ162と、第2左側リブ172と、を備えている。
【0038】
第2右側リブ162は、第2右側長尺リブ164と、第2右側短尺リブ166と、を備えている。第2右側長尺リブ164と第2右側短尺リブ166は、上下方向に交互に並んでいる。隣接する第2右側長尺リブ164と第2右側短尺リブ166は、上下方向に間隔を有して配置されている。最も上側に位置する第2右側リブ162と、最も下側に位置する第2右側リブ162は、第2右側長尺リブ164である。第2右側長尺リブ164は、カバー本体132の右内壁136から右外壁134に向かう方向に延びている。第2右側長尺リブ164は、下方右側に向かって延びている。第2右側短尺リブ166は、右内壁136と隙間を有している。第2右側短尺リブ166は、第2右側短尺リブ166の右内壁136側の端部から、右外壁134に向かう方向に延びている。第2右側長尺リブ164は、下方右側に向かって延びている。第2右側短尺リブ166の長さは、第2右側長尺リブ164の長さよりも短い。第2右側長尺リブ164と第2右側短尺リブ166は、第3方向F3(本実施例では上方向。図7参照)に対して90度以下の角度で傾斜している。なお、第3方向F3は、第2方向F2と反対である。
【0039】
第2左側リブ172は、第2左側長尺リブ174と、第2左側短尺リブ176と、を備えている。第2左側長尺リブ174と第2左側短尺リブ176は、上下方向に交互に並んでいる。隣接する第2左側長尺リブ174と第2左側短尺リブ176は、上下方向に間隔を有して配置されている。最も上側に位置する第2左側リブ172と、最も下側に位置する第2左側リブ172は、第2左側長尺リブ174である。第2左側長尺リブ174は、カバー本体132の左内壁140から、左外壁138に向かう方向に延びている。第2左側長尺リブ174は、下方左側に向かって延びている。第2左側長尺リブ174の長さは、第2右側長尺リブ164の長さと等しい。第2左側短尺リブ176は、左内壁140と隙間を有している。第2左側短尺リブ176は、第2左側短尺リブ176の左内壁140側の端部から、左外壁138に向かう方向に延びている。第2左側短尺リブ176は、下方左側に向かって延びている。第2左側短尺リブ176の長さは、第2左側長尺リブ174の長さよりも短く、第2右側短尺リブ166の長さと等しい。第2左側長尺リブ174と第2左側短尺リブ176は、第3方向F3(図7参照)に対して90度以下の角度で傾斜している。
【0040】
図7に示すように、右側洗剤流路152は、右側主洗剤流路180と、右側分岐洗剤流路184と、を備えている。図7では、右側分岐洗剤流路184が実線で模式的に図示されている。右側主洗剤流路180は、上下方向に延びている。右側主洗剤流路180は、カバー本体132の右外壁134と第2右側リブ162との間に配置されている。
【0041】
右側分岐洗剤流路184は、右側主洗剤流路180から分岐している。右側分岐洗剤流路184は、略U字形状を有する。右側分岐洗剤流路184は、右側往き洗剤流路186と、右側戻り洗剤流路188と、右側折り返し洗剤流路190と、を備えている。
【0042】
右側往き洗剤流路186は、右側主洗剤流路180に連通している。右側主洗剤流路180は、第2右側長尺リブ164と第2右側短尺リブ166により画定されている。右側往き洗剤流路186は、右側主洗剤流路180に対して傾斜している。右側往き洗剤流路186は、上方左側に向かって傾斜している。右側往き洗剤流路186の向きは、第3方向F3に対して90度以下の角度A3で傾斜している。本実施例では、右側往き洗剤流路186の向きは、第3方向F3に対して90度よりも小さい角度A3で傾斜している。
【0043】
右側戻り洗剤流路188は、右側往き洗剤流路186よりも第3方向F3の下流側で、右側主洗剤流路180に連通している。右側戻り洗剤流路188は、第2右側長尺リブ164と第2右側短尺リブ166により画定されている。右側戻り洗剤流路188は、右側主洗剤流路180に対して傾斜している。右側戻り洗剤流路188は、第2右側短尺リブ166により、右側往き洗剤流路186と分けられている。右側戻り洗剤流路188は、下方右側に向かって傾斜している。右側戻り洗剤流路188の向きは、第3方向F3に対して90度以下の角度A4で傾斜している。本実施例では、右側戻り洗剤流路188の向きは、第3方向F3に対して90度よりも小さい角度A4で傾斜している。また、右側戻り洗剤流路188が傾斜する角度A4は、右側往き洗剤流路186が傾斜する角度A3と同様である。右側戻り洗剤流路188の向き(下方右側の向き)は、右側往き洗剤流路186の向き(上方左側の向き)と反対である。
【0044】
右側折り返し洗剤流路190は、右側往き洗剤流路186と、右側戻り洗剤流路188の両方に連通している。右側折り返し洗剤流路190は、第2右側長尺リブ164と、第2右側短尺リブ166と、カバー本体132の右内壁136により画定されている。右側折り返し洗剤流路190は、略上下方向に延びている。
【0045】
図6に示すように、左側洗剤流路154の形状は、リントケース40を挟んで、右側洗剤流路152の形状と左右対称である。よって、左側洗剤流路154の説明を省略する。
【0046】
次に、フィルタ装置30によりリントを捕捉する挙動を説明する。図6に示すように、パルセータ22(図1参照)が回転すると、水は、送水流路32(フィルタ装置30と洗濯槽8の内壁との間の空間)に送り出される。水は、送水流路32を下側から上側に向かって流れる。その後、送水流路32を流れる水の一部は、リントケース40の内部に流入し、送水流路32の流れる水の残りは、右側洗剤流路152と左側洗剤流路154に流入する。まず、リントケース40の内部に流入する水の流れを説明する。
【0047】
図4に示すように、リントケース40の内部に流入した水は、リントケース40の主流路104を下側から上側に(第1方向F1と反対の方向に)流れる。その後、水は、リントフィルタ56(図3参照)と第1ケース本体46の主壁48の孔48aを通過して、フィルタ装置30の外部に流出する。水がリントフィルタ56を通過すると、水に含まれていたリントがリントフィルタ56に捕捉される。
【0048】
次に、パルセータ22(図1参照)の回転が停止すると、水は、送水流路32(図6参照)に送り出されなくなる。リントケース40の主流路104内の水面が下側に向かって移動することに伴い、水は、主流路104を第1方向F1に流れる。右側往き流路112と左側往き流路122のそれぞれが主流路104に対して傾斜しているため、主流路104を第1方向F1に流れる水の一部は、右側往き流路112から右側分岐流路110に流入するとともに、左側往き流路122から左側分岐流路120に流入する。なお、図4では、右側分岐流路110と左側分岐流路120に流入する水の流れが矢印により図示されている。右側分岐流路110を流れる水の挙動は、左側分岐流路120を流れる水の挙動と同様であるため、以下では、右側分岐流路110内を流れる水の流れについて説明する。
【0049】
図5に示すように、まず、右側分岐流路110に流入した水は、第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92に沿って、右側往き流路112を下方右側に向かって流れる。このとき、水に含まれていたリントの一部は、第1右側長尺リブ90や第1右側短尺リブ92に衝突すると、水の流れから脱落し、右側往き流路112に蓄積される。次に、水は、右側往き流路112から右側折り返し流路116に流入する。水は、右側折り返し流路116を流れると、水の流れの向きが下方右側から上方左側に反転する。これにより、水に含まれていたリントの一部は、水の流れから脱落し、右側折り返し流路116に蓄積される。また、水の流れの向きが反転する際に、水に含まれていたリントの一部は、第1右側長尺リブ90、第1右側短尺リブ92や第2ケース本体72の右壁76に衝突すると、水の流れから脱落し、右側折り返し流路116に蓄積され易くなる。
【0050】
次に、右側折り返し流路116を流れる水は、右側折り返し流路116から右側戻り流路114に流入する。右側戻り流路114に流入した水は、第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92に沿って、右側戻り流路114を上方左側に向かって流れる。このとき、水に含まれていたリントの一部は、第1右側長尺リブ90や第1右側短尺リブ92に衝突すると、水の流れから脱落し、右側戻り流路114に蓄積される。また、右側戻り流路114を流れる水の向きは、右側往き流路112を流れる水の向きと反対である。右側戻り流路114を流れる水は、右側戻り流路114から主流路104に流出する。このとき、水が上方左側に向かって主流路104に流出するため、主流路104から流出した水は、主流路104を第1方向F1に流れる水と衝突する。これにより、水の流れに乱れが発生する。水に含まれていたリントの一部は、右側戻り流路114において水の流れから脱落する。水の流れから脱落したリントは、その後に右側折り返し流路116に蓄積される。また、主流路104から流出した水が主流路104を流れる水と衝突することにより、主流路104を流れる水の流速が低下する。水に含まれていたリントの一部は、水の流れから脱落し易くなり、主流路104にも蓄積され易くなる。
【0051】
次に、右側洗剤流路152と左側洗剤流路154に流入する水の流れを説明する。右側洗剤流路152を流れる水の挙動は、左側洗剤流路154を流れる水の挙動と同様であるため、以下では、右側洗剤流路152に流入する水の流れを説明する。
【0052】
図7に示すように、上述したように、パルセータ22(図1参照)が回転していると、水が右側洗剤流路152に流入する。右側洗剤流路152に流入した水は、右側主洗剤流路180を下側から上側に(第3方向F3に)流れる。右側往き洗剤流路186が右側主洗剤流路180に対して傾斜しているため、右側主洗剤流路180を第3方向F3に流れる水の一部は、右側往き洗剤流路186から右側分岐洗剤流路184に流入する。
【0053】
まず、右側分岐洗剤流路184に流入した水は、第2右側長尺リブ164と第2右側短尺リブ166に沿って、右側往き洗剤流路186を上方左側に向かって流れる。次に、水は、右側往き洗剤流路186から右側折り返し洗剤流路190に流入する。水は、右側折り返し洗剤流路190を流れると、水の流れの向きが上方左側から下方右側に反転する。右側折り返し洗剤流路190を流れる水は、右側折り返し洗剤流路190から右側戻り洗剤流路188に流入する。右側戻り洗剤流路188に流入した水は、第2右側長尺リブ164と第2右側短尺リブ166に沿って、右側戻り洗剤流路188を下方右側に向かって流れる。右側戻り洗剤流路188を流れる水の向きは、右側往き洗剤流路186を流れる水の向きと反対である。右側戻り洗剤流路188を流れる水は、右側戻り洗剤流路188から右側主洗剤流路180に流出する。このとき、水が下方右側に向かって右側主洗剤流路180に流出するため、右側主洗剤流路180に流出した水は、右側主洗剤流路180を第3方向F3に流れる水と衝突する。これにより、右側主洗剤流路180を流れる水の流速が低下する。低下した水の流速と、水の自重により、水が右側主洗剤流路180を第3方向F3に(即ち、上側に)流れ難くなる。水が洗剤投入部148まで到達して、洗剤投入部148から噴き出ることを抑制することができる。また、右側主洗剤流路180を流れる水の流量が低下するため、水をリントケース40の内部に流入し易くすることができる。これにより、リントをフィルタ装置30でより捕捉することができる。
【0054】
次に、図4を参照して、リントケース40に捕捉されたリントを回収する方法を説明する。まず、リントケース40(図6参照)がカバー130(図6参照)から取り外される。次に、第2ケース70が第1ケース42に対して下側にスライドされる。第1リブ86が第1ケース本体46の主壁48と微小な隙間を有して主壁48と対向しているため、第2ケース70が第1ケース42に対してスライドすると、第1リブ86が第1ケース42のリントフィルタ56に沿って移動する。これにより、第1リブ86は、リントフィルタ56に捕捉されていたリントをリントフィルタ56から剥がす。剥がされたリントフィルタ56は、第2ケース70(例えば、第1リブ86や第2ケース本体72の主壁74)に付着する。ユーザは、第2ケース70を第1ケース42に対してスライドさせることにより、リントを第2ケース70に集めることができる。第2ケース70のみを清掃することにより、リントを回収することができる。
【0055】
(効果)
以上、第1実施例のフィルタ装置30について説明した。フィルタ装置30は、洗濯機2に用いられる。フィルタ装置30は、洗濯機2の動作により送り出された水に含まれるリントを捕捉するリントケース40、を備えている。リントケース40は、第1方向F1に水が流れる主流路104と、主流路104から分岐している右側分岐流路110と、右側分岐流路110の少なくとも一部を画定する第1右側リブ88と、を備えている。右側分岐流路110は、主流路104から右側分岐流路110に流入する水が流れる右側往き流路112と、第1右側リブ88により右側往き流路112と分けられており、右側分岐流路110から主流路104に流出する水が流れる右側戻り流路114と、を備えている。右側往き流路112の向きは、第1方向F1に対して90度以下の角度A1で傾斜している。右側戻り流路114の向きは、右側往き流路112の向きと異なり、かつ、第1方向F1に対して傾斜している。
【0056】
上記の構成によれば、右側往き流路112が主流路104に対して傾斜しているため、主流路104を流れる水の一部は、右側往き流路112から右側分岐流路110に流入する。水が右側往き流路112と右側戻り流路114を流れる間に、水に含まれていたリントの一部は、第1右側リブ88に衝突すると、水の流れから脱落し、右側分岐流路110に蓄積される。また、右側戻り流路114が主流路104に対して傾斜しているため、右側戻り流路114から主流路104に流出した水は、主流路104を流れる水と衝突する。これにより、水の流れに乱れが発生する。水に含まれていたリントの一部は、右側分岐流路110において水の流れから脱落し、右側分岐流路110に蓄積される。以上より、水に含まれるリントを捕捉する性能を向上させることができる。
【0057】
また、右側戻り流路114の向きは、右側往き流路112の向きと反対である。
【0058】
上記の構成によれば、右側往き流路112を流れる水の流れの向きは、右側戻り流路114を流れる水の流れの向きと反対となる。右側往き流路112を流れた水は、その後に折り返して、右側戻り流路114に流れる。すなわち、水が右側往き流路112から右側戻り流路114まで流れる間に、水の流れの向きが反転する。これにより、水に含まれていたリントの一部は、右側分岐流路110内において水の流れの向きが反転する際に、水の流れからより脱落し易くなり、右側分岐流路110により蓄積され易くなる。水に含まれるリントを捕捉する性能をより向上させることができる。
【0059】
また、リントケース40は、リントを捕捉するリントフィルタ56を備える第1ケース42と、第1ケース42にスライド可能に取り付けられ、第1リブ86を備える第2ケース70と、を備えている。第2ケース70が第1ケース42に対してスライドする際に、第1リブ86は、リントフィルタ56に沿って移動する。
【0060】
上記の構成によれば、第2ケース70が第1ケース42から取り外される際に、リントフィルタ56に捕捉されていたリントが第1リブ86によりリントフィルタ56から剥がされる。剥がされたリントフィルタ56は、第2ケース70に付着する。ユーザは、第2ケース70を第1ケース42に対してスライドさせることにより、リントを第2ケース70に集めることができる。これにより、リントを容易に回収することができる。
【0061】
本実施例では、洗濯機2は、フィルタ装置30と、フィルタ装置30が内壁に配置される洗濯槽8と、洗濯槽の底部に回転可能に配置されているパルセータ22と、を備えている。フィルタ装置30は、洗濯槽8の内壁に取り付けられており、リントケース40を着脱可能に支持するカバー130をさらに備えている。カバー130は、洗剤を投入する洗剤投入部148と、洗剤投入部148に連通しており、洗剤投入部148から投入された洗剤が第2方向F2に流れる右側洗剤流路152と、洗剤流路150に配置される第2右側リブ162と、を備えている。右側洗剤流路152は、水を流れる右側主洗剤流路180と、右側主洗剤流路180から分岐しており、第2右側リブ162により画定されている右側分岐洗剤流路184と、を備えている。右側分岐洗剤流路184は、右側主洗剤流路180から右側分岐洗剤流路184に流入する水が流れる右側往き洗剤流路186と、第2右側リブ162により右側往き洗剤流路186と分けられており、右側分岐洗剤流路184から右側主洗剤流路180に流出する水が流れる右側戻り洗剤流路188と、を備えている。右側往き洗剤流路186の向きは、第2方向F2と反対の第3方向F3に対して90度以下の角度で傾斜している。右側戻り洗剤流路188の向きは、右側往き洗剤流路186の向きと異なり、かつ、第3方向F3に対して傾斜している。
【0062】
上記の構成によれば、右側戻り洗剤流路188から右側主洗剤流路180に流出した水は、右側主洗剤流路180を第3方向F3に流れる水と衝突する。これにより、右側主洗剤流路180を流れる水の流速が低下する。低下した水の流速により、水が右側主洗剤流路180を第3方向F3に流れ難くなる。水が洗剤投入部148まで到達して、洗剤投入部148から噴き出ることを抑制することができる。また、右側主洗剤流路180を流れる水の流量が低下するため、パルセータ22の動作により送り出された水をリントケース40の内部に流入し易くすることができる。これにより、リントをフィルタ装置30でより捕捉することができる。
【0063】
本実施例では、洗濯機2は、フィルタ装置30を備えている。
【0064】
上記の構成によれば、上記のフィルタ装置30と同様に、水に含まれるリントを捕捉する性能を向上させることができる。
【0065】
(第2実施例)
図8から図10を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については同様の符号を付して説明を省略する。第2実施例では、洗濯機2は、第1実施例のリントケース40に代えて、リントケース240を備えている。また、以下の説明に用いられる図8図10のそれぞれでは、左右方向が反転していることに留意されたい。
【0066】
図8に示すリントケース240は、カバー130(図2参照)に着脱可能に取り付けられる。図8および図9に示すように、リントケース240は、第1ケース242と、第2ケース280と、を備えている。図8に示すように、第1ケース242は、第1ケース本体246と、リントフィルタ256と、を備えている。
【0067】
リントケース240がカバー130(図2参照)に取り付けられているとき、第1ケース本体246の表面は、洗濯槽8の内部で露出している。第1ケース本体246は、主壁248と、主壁248の上端に配置される上壁250と、主壁248の右端に配置される右壁252と、を備えている。主壁248と上壁250と右壁252は、一体的に形成されている。主壁248は、厚み方向に貫通する複数の孔248aを有する。上壁250と右壁252は、第1ケース本体246の裏面246a側に配置されている。上壁250の下面250aは、上方左側から下方右側に向かって傾斜している。右壁252は、上壁250の右端から下側に向かって延びている。
【0068】
リントフィルタ256は、第1ケース本体246の裏面246a側から、主壁248に取り付けられている。リントフィルタ256は、主壁248のすべての孔248aを覆っている。リントフィルタ256は、第1実施例のリントフィルタ56と同様の構成である。
【0069】
第1ケース242は、第1リブ260と、主流路268と、分岐流路270と、を備えている。第1リブ260は、第1ケース本体246の裏面246a側に配置されている。第1リブ260は、第1長尺リブ262と、第1短尺リブ264と、を備えている。第1長尺リブ262と第1短尺リブ264は、上下方向に交互に並んでいる。第1長尺リブ262と第1短尺リブ264は、上下方向に間隔を有して配置されている。最も上側に位置する第1リブ260と、最も下側に位置する第1リブ260は、第1長尺リブ262である。第1長尺リブ262は、第1ケース本体246の右壁252から左側に向かう方向に延びている。第1長尺リブ262は、上方左側に向かって延びている。第1長尺リブ262は、第1ケース本体246の上壁250の下面250aと略平行である。第1短尺リブ264は、右壁252と隙間を有している。第1短尺リブ264は、第1短尺リブ264の右壁252側の端部から、左側に向かう方向に延びている。第1短尺リブ264は、上方左側に向かって延びている。第1短尺リブ264は、第1ケース本体246の上壁250の下面250aと略平行である。第1短尺リブ264の長さは、第1長尺リブ262の長さよりも短い。第1長尺リブ262と第1短尺リブ264は、第1方向F1(本実施例では下方向)に対して90度以下の角度で傾斜している。第1長尺リブ262と第1短尺リブ264が傾斜する角度は、第1実施例の第1右側長尺リブ90と第1右側短尺リブ92が傾斜する角度と同様である。
【0070】
主流路268は、第1ケース242と第2ケース280との間に配置されている。主流路268は、上下方向に延びている。主流路268は、第1リブ260と、第1ケース本体246の左端との間に配置されている。パルセータ22(図1参照)により送り出された水は、主流路268を、下側から上側に向かう方向に流れる。また、水は、主流路268を、上側から下側に向かう方向(第1方向F1)に流れることもできる。
【0071】
分岐流路270は、主流路268から分岐している。分岐流路270は、第1ケース242と第2ケース280との間に配置されている。分岐流路270は、往き流路272と、戻り流路274と、折り返し流路276と、を備えている。往き流路272と、戻り流路274と、折り返し流路276のそれぞれは、第1実施例の右側往き流路112と、右側戻り流路114と、右側折り返し流路116のそれぞれと同様の構成を有する。また、分岐流路270を流れることによりリントを捕捉する挙動は、第1実施例でのリントの捕捉の挙動と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
図9に示すように、第2ケース280は、第1ケース242(図8参照)に着脱可能に取り付けられる。第2ケース280は、第2ケース本体282を備えている。
【0073】
第2ケース280が第1ケース242に取り付けられたとき、第2ケース本体282の表面282aは、第1ケース本体246の裏面246a(図8参照)と対向している。第2ケース本体282は、主壁284と、主壁284の上端に配置される上壁286と、主壁284の右端に配置される右壁288と、主壁284の左端に配置される左壁290と、を備えている。主壁284と上壁286と右壁288と左壁290は、一体的に形成されている。上壁286と右壁288と左壁290は、第2ケース本体282の表面282a側に配置されている。第2ケース280が第1ケース242に取り付けられたとき、上壁286の上面286aは、第1ケース本体246の上壁250の下面250aに沿って配置される。右壁288と左壁290は、上下方向に延びている。右壁288は、厚み方向(左右方向)に貫通する複数の受入孔288aを有する。複数の受入孔288aは、上下方向に所定の間隔を有して配置されている。複数の受入孔288aの数は、第1リブ260の数と同様である。受入孔288aは、第1リブ260を受け入れる。受入孔288aの上下方向の幅は、第1リブ260の厚みよりも僅かに広い。以下では、右壁288を、スクレーパ288と呼ぶこともある。
【0074】
次に、図10を参照して、リントケース240に捕捉されたリントを回収する方向を説明する。まず、リントケース240がカバー130(図6参照)から取り外される。次に、第2ケース280が第1ケース242に対して第1ケース本体246の上壁250の下面250aに沿う方向に(上方左側の方向に)スライドされる。受入孔288aの上下方向の幅が第1リブ260の厚みよりも僅かに広いため、第2ケース280が第1ケース242に対してスライドすると、第1リブ260は、スクレーパ288を横切るように受入孔288a内を移動する。これにより、スクレーパ288は、分岐流路270に蓄積されたリント(例えば、第1リブ260に付着したリントや第1ケース本体246の主壁248に付着したリント)を第1ケース242から剥がす。剥がされたリントは、スクレーパ288に付着する。ユーザは、第2ケース280を第1ケース242に対してスライドさせることにより、リントをスクレーパ288に集めることができる。
【0075】
(効果)
リントケース240は、リントを捕捉するリントフィルタ256と第1リブ260とを備える第1ケース242と、第1ケース242にスライド可能に取り付けられている第2ケース280であって、第2ケース280が第1ケース242に取り付けられた際に第1リブ260を受け入れるスクレーパ288を備える第2ケース280と、を備えている。第2ケース280が第1ケース242に沿ってスライドする際に、第1リブ260は、スクレーパ288を横切って移動する。
【0076】
上記の構成によれば、第2ケース280が第1ケース242から取り外される際に、第1リブ260に付着しているリントは、スクレーパ288により第1リブ260から剥がされる。剥がされたリントは、スクレーパ288に付着する。ユーザは、第2ケース280を第1ケース242に対してスライドさせることにより、リントをスクレーパ288に集めることができる。これにより、リントを容易に回収することができる。
【0077】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、以下の実施例では、実施例と異なる点のみを説明し、実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0078】
(変形例1)
右側分岐流路110と、左側分岐流路120と、右側分岐洗剤流路184と、分岐流路270は、略U字形状を有していてもよい。
【0079】
(変形例2)
洗濯機2は、二槽式洗濯機であってもよい。この場合、フィルタ装置30は、洗濯槽側に配置されていてもよい。
【0080】
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0081】
2 :洗濯機
8 :洗濯槽
22 :パルセータ
30 :フィルタ装置
40 :リントケース
42 :第1ケース
56 :リントフィルタ
58 :右レール壁
60 :左レール壁
70 :第2ケース
86 :第1リブ
88 :第1右側リブ
96 :第1左側リブ
104 :主流路
108 :分岐流路
110 :右側分岐流路
112 :右側往き流路
114 :右側戻り流路
116 :右側折り返し流路
120 :左側分岐流路
122 :左側往き流路
124 :左側戻り流路
126 :左側折り返し流路
130 :カバー
148 :洗剤投入部
150 :洗剤流路
152 :右側洗剤流路
154 :左側洗剤流路
160 :第2リブ
162 :第2右側リブ
172 :第2左側リブ
180 :右側主洗剤流路
184 :右側分岐洗剤流路
186 :右側往き洗剤流路
188 :右側戻り洗剤流路
190 :右側折り返し洗剤流路
240 :リントケース
242 :第1ケース
256 :リントフィルタ
260 :第1リブ
268 :主流路
270 :分岐流路
272 :往き流路
274 :戻り流路
276 :折り返し流路
280 :第2ケース
288 :スクレーパ
288a :受入孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10