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特許7558138半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240920BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240920BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/66 A
H01L21/66 C
G01R31/28 L
B23K26/00 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021189866
(22)【出願日】2021-11-24
(62)【分割の表示】P 2021544363の分割
【原出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022031283
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2020025354
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】活洲 政敬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信介
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148550(JP,A)
【文献】特開2002-340990(JP,A)
【文献】特開平05-121504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/28
B23K 26/00
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスから第1光学系を介して第1光を第1光検出部が受け、前記第1光学系が前記半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する解析部と、
前記半導体デバイスから第2光学系を介して第2光を第2光検出部が受けると共に、前記半導体デバイスに対して前記第2光学系を介してレーザ光を照射し、前記第2光学系が前記半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動するマーキング部と、
前記解析部と前記マーキング部との間に配置されて、前記半導体デバイスを保持すると共に、前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、前記チャックが前記解析部及び前記マーキング部に対して第3の駆動部によって相対的に移動するデバイス配置部と、前記解析部、前記マーキング部及び前記デバイス配置部に命令を出力する制御部と、を備え、
前記ターゲットは、前記ターゲットの一方の側から前記第1光検出部によって検出可能であると共に、前記ターゲットの他方の側から前記第2光検出部によって検出可能であり、
前記制御部は、
前記第1光検出部が前記ターゲットを検出可能な位置に前記チャックを移動させた後に、前記ターゲットを基準として、前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるアライメント命令を前記マーキング部及び前記デバイス配置部に出力し、
前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、前記半導体デバイスに設定されるマーキング位置に前記レーザ光を照射させるマーキング命令と、を前記マーキング部及び前記デバイス配置部に出力する、半導体故障解析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記アライメント命令を出力する前に、前記解析部によって前記半導体デバイスの故障箇所を解析する解析命令を前記解析部に出力する、請求項1に記載の半導体故障解析装置。
【請求項3】
前記マーキング命令は、前記第3の駆動部によって前記チャックを前記マーキング位置に移動させた後に、前記半導体デバイスに前記レーザ光を照射させる、請求項1又は2に記載の半導体故障解析装置。
【請求項4】
前記アライメント命令は、前記第1光検出部に一方の側からの前記ターゲットの第1画像を取得させ、前記第2光検出部に他方の側からの前記ターゲットの第2画像を取得させ、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるように前記第2光学系を移動させる、請求項1~3の何れか一項に記載の半導体故障解析装置。
【請求項5】
前記ターゲットは、前記チャックにおいて前記半導体デバイスが保持されるデバイス保持部とは異なる場所に設けられている、請求項1~4の何れか一項に記載の半導体故障解析装置。
【請求項6】
前記第1光検出部は、前記ターゲットを一方の側から見た第1画像を取得し、
前記第2光検出部は、前記ターゲットを他方の側から見た第2画像を取得する、請求項1~5の何れか一項に記載の半導体故障解析装置。
【請求項7】
前記ターゲットは、前記第1光検出部及び前記第2光検出部が検出可能な光を透過する光透過部を含む、請求項1~6の何れか一項に記載の半導体故障解析装置。
【請求項8】
半導体故障解析装置を用いて半導体デバイスを解析する半導体故障解析方法であって、
前記半導体故障解析装置は、
前記半導体デバイスから第1光学系を介して第1光を第1光検出部が受け、前記第1光学系が前記半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する解析部と、
前記半導体デバイスから第2光学系を介して第2光を第2光検出部が受けると共に、前記半導体デバイスに対して前記第2光学系を介してレーザ光を照射し、前記第2光学系が前記半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動するマーキング部と、
前記解析部と前記マーキング部との間に配置されて、前記半導体デバイスを保持すると共に、前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、前記チャックが前記解析部及び前記マーキング部に対して第3の駆動部によって相対的に移動するデバイス配置部と、
前記解析部、前記マーキング部及び前記デバイス配置部に命令を出力する制御部と、を備え、
前記ターゲットは、前記ターゲットの一方の側から前記第1光検出部によって検出可能であると共に、前記ターゲットの他方の側から前記第2光検出部によって検出可能であり、
前記第1光検出部が前記ターゲットを検出可能な位置に前記チャックを移動させた後に、前記ターゲットを基準として、前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるアライメント工程と、
前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、前記半導体デバイスに設定されるマーキング位置に前記レーザ光を照射させるマーキング工程と、を有する、半導体故障解析方法。
【請求項9】
前記アライメント工程の前に、前記解析部によって前記半導体デバイスの故障箇所を解析する解析工程をさらに有する、請求項8に記載の半導体故障解析方法。
【請求項10】
前記マーキング工程は、前記第3の駆動部によって前記チャックを前記マーキング位置に移動させた後に、前記半導体デバイスに前記レーザ光を照射させる、請求項8又は9に記載の半導体故障解析方法。
【請求項11】
前記アライメント工程が、前記第1光検出部に一方の側からの前記ターゲットの第1画像を取得させ、前記第2光検出部に他方の側からの前記ターゲットの第2画像を取得させ、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるように前記第2駆動部を移動させる、請求項8~10の何れか一項に記載の半導体故障解析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化が進んでいる。半導体デバイスの微細化にあっては、半導体デバイスを製造するための露光技術やパターニング技術の向上が望まれる。また、これらの技術によって製造された半導体デバイスが正常に動作するか否かを明らかにする技術が重要である。さらには、正常に動作しない場合には、不具合を生じている原因を明らかにする技術も重要である。
【0003】
特許文献1、2は、半導体デバイスを検査する装置を開示する。これらの検査装置は、電気信号が与えられた半導体デバイスに光を照射する。半導体デバイスに照射された光は、半導体デバイスの状態に応じた反射光となる。そして、これらの検査装置は、反射光を利用して、半導体デバイスの動作状態に関する情報を得る。特許文献1の検査装置は、所定の周波数で動作している半導体デバイスの部位に関する情報を得る。特許文献2の検査装置は、半導体デバイスの故障箇所に生じる熱源に関する情報を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-92514号公報
【文献】国際公開第2016/056110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体故障解析装置の技術分野では、半導体デバイスの故障箇所を良好に検出する技術が望まれている。そこで、本発明は、半導体デバイスの故障箇所を良好に検出する半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態である半導体故障解析装置は、半導体デバイスが発した光を第1光学系を介して第1光検出部が受け、第1光学系が半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する第1解析部と、半導体デバイスが発した光を第2光学系を介して第2光検出部が受け、第2光学系が半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動する第2解析部と、第1解析部と第2解析部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが第1解析部及び第2解析部に対して相対的に移動するデバイス配置部と、半導体デバイスに刺激信号を印加する刺激信号印加部と、第1解析部、第2解析部、デバイス配置部及び刺激信号印加部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1解析部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2解析部によって検出可能である。制御部は、第1光検出部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせるアライメント命令を第2解析部及びデバイス配置部に出力し、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに刺激信号を印加させると共に、刺激信号に応じて発せられる半導体デバイスからの光を第1光検出部又は第2光検出部の少なくとも一方で受ける解析命令を第1解析部、第2解析部、刺激信号印加部及びデバイス配置部に出力する。
【0007】
この半導体故障解析装置は、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに刺激信号を印加させると共に、刺激信号に応じて発せられる半導体デバイスからの光を第1光検出部又は第2光検出部の少なくとも一方で受ける。従って、半導体デバイスからの光を受ける第1光学系と第2光学系とは、光軸が一致した状態であるので、半導体デバイスの故障箇所を良好に検出することができる。
【0008】
一形態における半導体故障解析装置のアライメント命令は、第1光検出部に一方の側からのターゲットの第1画像を取得させ、第2光検出部に他方の側からのターゲットの第2画像を取得させ、第1画像及び第2画像に基づいて第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせるように第2光学系を移動させてもよい。
【0009】
一形態における半導体故障解析装置の解析命令は、第1光学系の光軸及び第2光学系の光軸に半導体デバイスが重複するようにデバイス配置部が含む第3の駆動部によってチャックを移動させた後に、半導体デバイスの解析を行わせてもよい。
【0010】
一形態における半導体故障解析装置のターゲットは、チャックにおいて半導体デバイスが保持されるデバイス保持部とは異なる場所に設けられていてもよい。
【0011】
一形態における半導体故障解析装置の第1光検出部は、ターゲットを一方の側から見た第1画像を取得してもよい。第2光検出部は、ターゲットを他方の側から見た第2画像を取得してもよい。
【0012】
一形態における半導体故障解析装置のターゲットは、第1光検出部及び第2光検出部が検出可能な光を透過する光透過部を含んでもよい。
【0013】
本発明の別の形態に係る半導体故障解析装置は、第1光走査部を有する第1光学系を介して半導体デバイスに第1光源で発生された光を照射する第1解析部と、第2光走査部を有する第2光学系を介して半導体デバイスに第2光源で発生された光を照射する第2解析部と、第1解析部と第2解析部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが第1解析部及び第2解析部に対して相対的に移動するデバイス配置部と、半導体デバイスが出力する電気信号を受ける電気信号取得部と、第1解析部、第2解析部、デバイス配置部及び電気信号取得部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1解析部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2解析部によって検出可能である。制御部は、第1解析部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光走査領域の中心を第1光学系の光走査領域の中心に合わせるアライメント命令を第2解析部及びデバイス配置部に出力し、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに第1解析部及び第2解析部の少なくとも一方から光を照射させ、電気信号取得部によって半導体デバイスからの電気信号を受ける解析命令を第1解析部、第2解析部、電気信号取得部及びデバイス配置部に出力する。
【0014】
本発明の別の形態に係る半導体故障解析装置の第1解析部は、第1解析部は、半導体デバイスの一方の側からの光を受ける第1光検出部を含み、第2解析部は、半導体デバイスの他方の側からの光を受ける第2光検出部を含み、アライメント命令は、第1光検出部に一方の側からのターゲットの第1画像を取得させ、第2光検出部に他方の側からのターゲットの第2画像を取得させ、第1画像及び第2画像に基づいて第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせることで、第1光学系の走査領域の中心と第2光学系の走査領域の中心とを合わせてもよい。
【0015】
本発明の別の形態に係る半導体故障解析装置の解析命令は、第1光学系の光走査領域及び第2光学系の光走査領域に半導体デバイスが重複するようにデバイス配置部が含む第3の駆動部によってチャックを移動させた後に、半導体デバイスの解析を行わせてもよい。
【0016】
本発明の別の形態に係る半導体故障解析装置のターゲットは、チャックにおいて半導体デバイスが保持されるデバイス保持部とは異なる場所に設けられていてもよい。
【0017】
本発明の別の形態に係る半導体故障解析装置の第1解析部は、半導体デバイスの一方の側からの光を受ける第1光検出部を含み、第2解析部は、半導体デバイスの他方の側からの光を受ける第2光検出部を含み、第1光検出部は、ターゲットを一方の側から見た第1画像を取得し、第2光検出部は、ターゲットを他方の側から見た第2画像を取得してもよい。
【0018】
本発明の別の形態に係る半導体故障解析装置の第1解析部は、半導体デバイスの一方の側からの光を受ける第1光検出部を含み、第2解析部は、半導体デバイスの他方の側からの光を受ける第2光検出部を含み、ターゲットは、第1光検出部及び第2光検出部が検出可能な光を透過する光透過部を含んでもよい。
【0019】
本発明のさらに別の形態に係る半導体故障解析装置は、第1光走査部を有する第1光学系を介して半導体デバイスに第1光源で発生された光を照射し、第1光源の光に応じて発生する半導体デバイスからの第1応答光を第1光検出部が受ける第1解析部と、第2光走査部を有する第2光学系を介して半導体デバイスに第2光源で発生された光を照射し、第2光源の光に応じて発生する半導体デバイスからの第2応答光を第2光検出部が受ける第2解析部と、第1解析部と第2解析部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが第1解析部及び第2解析部に対して相対的に移動するデバイス配置部と、半導体デバイスに刺激信号を印加する刺激信号印加部と、第1解析部、第2解析部、デバイス配置部及び刺激信号印加部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1解析部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2解析部によって検出可能である。制御部は、第1光検出部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光走査領域の中心を第1光学系の光走査領域の中心に合わせるアライメント命令を第2解析部及びデバイス配置部に出力し、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置関係を維持すると共に刺激信号を半導体デバイスに印加させた状態で、半導体デバイスに第1解析部及び第2解析部の少なくとも一方から光を照射させ、半導体デバイスからの第1応答光及び第2応答光の少なくとも一方を第1光検出部及び第2光検出部の少なくとも一方で受ける解析命令を第1解析部、第2解析部、刺激信号印加部及びデバイス配置部に出力する。
【0020】
本発明のさらに別の形態に係る半導体故障解析装置のアライメント命令は、第1光検出部に一方の側からのターゲットの第1画像を取得させ、第2光検出部に他方の側からのターゲットの第2画像を取得させ、第1画像及び第2画像に基づいて第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせることで、第1光学系の走査領域の中心と第2光学系の走査領域の中心とを合わせてもよい。
【0021】
本発明のさらに別の形態に係る半導体故障解析装置の解析命令は、第1光学系の光走査領域及び第2光学系の光走査領域に半導体デバイスが重複するようにデバイス配置部が含む第3の駆動部によってチャックを移動させた後に、半導体デバイスの解析を行わせてもよい。
【0022】
本発明のさらに別の形態に係る半導体故障解析装置のターゲットは、チャックにおいて半導体デバイスが保持されるデバイス保持部とは異なる場所に設けられていてもよい。
【0023】
本発明のさらに別の形態に係る半導体故障解析装置の第1光検出部は、ターゲットを一方の側から見た第1画像を取得してもよい。第2光検出部は、ターゲットを他方の側から見た第2画像を取得してもよい。
【0024】
本発明のさらに別の形態に係る半導体故障解析装置のターゲットは、第1光検出部及び第2光検出部が検出可能な光を透過する光透過部を含んでもよい。
【0025】
本発明のさらに別の形態は、半導体故障解析装置を用いて半導体デバイスを解析する半導体故障解析方法である。半導体故障解析装置は、半導体デバイスが発した光を第1光学系を介して第1光検出部が受け、第1光学系が半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する第1解析部と、半導体デバイスが発した光を第2光学系を介して第2光検出部が受け、第2光学系が半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動する第2解析部と、第1解析部と第2解析部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが第1解析部及び第2解析部に対して相対的に移動するデバイス配置部と、半導体デバイスに刺激信号を印加する刺激信号印加部と、第1解析部、第2解析部、デバイス配置部及び刺激信号印加部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1光検出部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2光検出部によって検出可能である。半導体故障解析方法は、第1光検出部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせるアライメント工程と、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに刺激信号を印加させると共に、刺激信号に応じて発せられる半導体デバイスからの光を第1光検出部又は第2光検出部の少なくとも一方で受ける解析工程と、を有する。
【0026】
本発明のさらに別の形態の半導体故障解析方法は、解析工程の後に、第1解析部及び第2解析部によって得た半導体デバイスの故障箇所を示すマークを半導体デバイスに付すマーキング工程をさらに有してもよい。
【0027】
本発明のさらに別の形態は、半導体故障解析装置を用いて半導体デバイスを解析する半導体故障解析方法である。半導体故障解析装置は、第1光走査部を有する第1光学系を介して半導体デバイスに第1光源で発生された光を照射する第1解析部と、第2光走査部を有する第2光学系を介して半導体デバイスに第2光源で発生された光を照射する第2解析部と、第1解析部と第2解析部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが第1解析部及び第2解析部に対して相対的に移動するデバイス配置部と、半導体デバイスが出力する電気信号を受ける電気信号取得部と、第1解析部、第2解析部、デバイス配置部及び電気信号取得部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1解析部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2解析部によって検出可能である。半導体故障解析方法は、第1解析部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光走査領域の中心を第1光学系の光走査領域の中心に合わせるアライメント工程と、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに第1解析部及び第2解析部の少なくとも一方から光を照射させ、電気信号取得部によって半導体デバイスからの電気信号を受ける解析工程と、を有する。
【0028】
本発明のさらに別の形態の半導体故障解析方法は、解析工程の後に、第1解析部及び第2解析部によって得た半導体デバイスの故障箇所を示すマークを半導体デバイスに付すマーキング工程をさらに有してもよい。
【0029】
本発明のさらに別の形態は、半導体故障解析装置を用いて半導体デバイスを解析する半導体故障解析方法である。半導体故障解析装置は、第1光走査部を有する第1光学系を介して半導体デバイスに第1光源で発生された光を照射し、第1光源の光に応じて発生する半導体デバイスからの第1応答光を第1光検出部が受ける第1解析部と、第2光走査部を有する第2光学系を介して半導体デバイスに第2光源で発生された光を照射し、第2光源の光に応じて発生する半導体デバイスからの第2応答光を第2光検出部が受ける第2解析部と、第1解析部と第2解析部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが第1解析部及び第2解析部に対して相対的に移動するデバイス配置部と、半導体デバイスに刺激信号を印加する刺激信号印加部と、第1解析部、第2解析部、デバイス配置部及び刺激信号印加部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1光検出部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2光検出部によって検出可能である。半導体故障解析方法は、第1光検出部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光走査領域の中心を第1光学系の光走査領域の中心に合わせるアライメント工程と、第1光学系の光走査領域の中心と第2光学系の光走査領域の中心との位置関係を維持すると共に刺激信号を半導体デバイスに印加させた状態で、半導体デバイスに第1解析部及び第2解析部の少なくとも一方から光を照射させ、半導体デバイスからの第1応答光及び第2応答光の少なくとも一方を第1光検出部及び第2光検出部の少なくとも一方で受ける解析工程と、を有する。
【0030】
本発明のさらに別の形態の半導体故障解析方法は、解析工程の後に、第1解析部及び第2解析部によって得た半導体デバイスの故障箇所を示すマークを半導体デバイスに付すマーキング工程をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、半導体デバイスの故障箇所を良好に検出する半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施形態に係る半導体故障解析装置の構成図である。
図2図2は、半導体デバイスへのレーザマーキングイメージを説明するための図である。図2(a)はレーザマーキングされた半導体デバイスの裏面を示す図である。図2(b)はレーザマーキングされた半導体デバイスの表面を示す図である。図2(c)は図2(b)のII(c)-II(c)に沿った断面図である。
図3図3は、図1の解析装置におけるマーキング制御を説明するための図である。
図4図4は、ターゲットを平面視して示す図である。
図5図5は、図1の解析装置を用いた半導体故障解析方法の主要な工程を示すフロー図である。
図6図6(a)は解析工程を示す図である。図6(b)はアライメント工程を構成する一工程を示す図である。
図7図7(a)は、図6(b)に続くアライメント工程を構成する一工程を示す図である。図7(b)は、図7(a)に続くアライメント工程を構成する一工程を示す図である。
図8図8は、図7(b)に続くアライメント工程を構成する一工程を示す図である。
図9図9は、第2実施形態の半導体故障解析装置の構成図である。
図10図10は、図9の解析装置を用いた半導体故障解析方法の主要な工程を示すフロー図である。
図11図11は、変形例の半導体故障解析装置の構成図である。
図12図12は、図11の解析装置を用いた半導体故障解析方法の主要な工程を示すフロー図である。
図13図13は、第3実施形態の半導体故障解析装置の構成図である。
図14図14は、図13の解析装置を用いた半導体故障解析方法の主要な工程を示すフロー図である。
図15図15は、第3実施形態の半導体故障解析装置の構成図である。
図16図16は、図15の解析装置を用いた半導体故障解析方法の主要な工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ところで、半導体デバイスを解析する技術として、故障箇所が特定された場合に、故障箇所の周囲における数か所に対して、レーザ光の照射によってマークを付す技術がある。故障解析における後工程では、マークに基づいて、故障箇所を容易に把握することができる。従って、このような技術は、極めて有効である。
【0034】
特開2016-148550号公報は、半導体デバイスの解析装置を開示する。特許文献1が開示する解析装置は、半導体デバイスの故障箇所を解析する構成と、故障箇所の周囲にマークを付す構成と、を有する。解析装置は、まず、故障箇所を検出する構成とマークを付す構成との位置合わせを行う。次に、解析装置は、故障箇所を検出する構成を半導体デバイスに対して移動させながら、故障箇所を解析する。故障箇所を検出する構成が故障箇所の位置を特定したとき、解析装置は、マークを付す構成を故障箇所の位置まで移動させる。
【0035】
故障解析の後工程では、マークに基づいて故障箇所の位置を特定する。従って、マークは、故障箇所の位置を正確に示すことが望まれる。一方、装置の構成要素を移動させるXYステージといった移動機構は、高精度のものであったとしても、移動指令値が示す位置と実際の位置とにわずかな誤差が生じる。わずかな誤差であっても、実際の故障箇所の位置に対してマークが示す故障箇所の位置がずれる可能性がある。つまり、実際の故障箇所の位置とマークが示す故障箇所の位置とのずれは、移動機構の精度に依存する。
【0036】
本発明は、故障箇所の位置とマークが示す故障箇所の位置とのずれを低減することが可能な半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法を提供することを目的とする。
【0037】
本発明の一形態である半導体故障解析装置は、半導体デバイスから第1光学系を介して第1光を第1光検出部が受け、第1光学系が半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する解析部と、半導体デバイスから第2光学系を介して第2光を第2光検出部が受けると共に、半導体デバイスに対して第2光学系を介してレーザ光を照射し、第2光学系が半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動するマーキング部と、解析部とマーキング部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが解析部及びマーキング部に対して第3の駆動部によって相対的に移動するデバイス配置部と、解析部、マーキング部及びデバイス配置部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1光検出部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2光検出部によって検出可能である。制御部は、第1光検出部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせるアライメント命令をマーキング部及びデバイス配置部に出力し、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに設定されるマーキング位置にレーザ光を照射させるマーキング命令と、をマーキング部及びデバイス配置部に出力する。
【0038】
本発明の別の形態は、半導体故障解析装置を用いて半導体デバイスを解析する半導体故障解析方法である。半導体故障解析装置は、半導体デバイスから第1光学系を介して第1光を第1光検出部が受け、第1光学系が半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する解析部と、半導体デバイスから第2光学系を介して第2光を第2光検出部が受けると共に、半導体デバイスに対して第2光学系を介してレーザ光を照射し、第2光学系が半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動するマーキング部と、解析部とマーキング部との間に配置されて、半導体デバイスを保持すると共に、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、チャックが解析部及びマーキング部に対して第3の駆動部によって相対的に移動するデバイス配置部と、解析部、マーキング部及びデバイス配置部に命令を出力する制御部と、を備える。ターゲットは、ターゲットの一方の側から第1光検出部によって検出可能であると共に、ターゲットの他方の側から第2光検出部によって検出可能である。半導体故障解析方法は、第1光検出部がターゲットを検出可能な位置にチャックを移動させた後に、ターゲットを基準として、第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせるアライメント工程と、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに設定されるマーキング位置にレーザ光を照射させるマーキング工程と、を有する。
【0039】
半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法では、まず、マーキング部が有する第2光学系の光軸を、チャックに設けられたターゲットに基づいて解析部が有する第1光学系の光軸に合わせる。その後、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスに設定されるマーキング位置にレーザ光を照射させる。つまり、第1光学系の光軸と第2光学系の光軸とを合わせた後は、第1光学系及び第2光学系は、一方が他方に対して相対的に移動しない。従って、移動によって生じる可能性がある移動指令値が示す位置と実際の位置とのずれは生じない。その結果、解析部が示す故障箇所の位置に対して、マークが示す故障箇所の位置のずれを低減することができる。
【0040】
一形態の半導体故障解析装置において、制御部は、アライメント命令を出力する前に、解析部によって半導体デバイスの故障箇所を解析する解析命令を解析部に出力してもよい。同様に、別の形態の半導体故障解析方法は、アライメント工程の前に、解析部によって半導体デバイスの故障箇所を解析する解析工程をさらに有してもよい。この構成によれば、故障箇所の位置を精度よく示すマークを付すことができる。
【0041】
一形態の半導体故障解析装置において、マーキング命令は、第3の駆動部によってチャックをマーキング位置に移動させた後に、半導体デバイスにレーザ光を照射させてもよい。同様に、別の形態の半導体故障解析方法において、マーキング工程は、第3の駆動部によってチャックをマーキング位置に移動させた後に、半導体デバイスにレーザ光を照射させてもよい。この構成によれば、第1光学系の光軸に第2光学系の光軸を合わせた後に、第1光学系及び第2光学系の相対的な位置に加えて絶対的な位置も維持したまま、半導体デバイスの所望の位置にレーザ光を照射することができる。その結果、マーキング部によって付されるマークが示す故障箇所の位置のずれをさらに低減することができる。
【0042】
一形態の半導体故障解析装置において、アライメント命令は、第1光検出部に一方の側からのターゲットの第1画像を取得させ、第2光検出部に他方の側からのターゲットの第2画像を取得させ、第1画像及び第2画像に基づいて第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせるように第2光学系を移動させてもよい。同様に、別の形態の半導体故障解析方法において、アライメント工程は、第1光検出部に一方の側からのターゲットの第1画像を取得させ、第2光検出部に他方の側からのターゲットの第2画像を取得させ、第1画像及び第2画像に基づいて第2光学系の光軸を第1光学系の光軸に合わせるように第2駆動部を移動させてもよい。この構成によれば、第1光学系の光軸に第2光学系の光軸を合わせる動作を確実に行うことができる。
【0043】
一形態の半導体故障解析装置において、ターゲットは、チャックにおいて半導体デバイスが保持されるデバイス保持部とは異なる場所に設けられてもよい。この構成によれば、半導体デバイスの種類によらず、第1光学系の光軸に第2光学系の光軸を合わせることができる。
【0044】
一形態の半導体故障解析装置において、第1光検出部は、ターゲットを一方の側から見た第1画像を取得してもよい。第2光検出部は、ターゲットを他方の側から見た第2画像を取得してもよい。この構成によっても、第1光学系の光軸に第2光学系の光軸を合わせる動作を確実に行うことができる。
【0045】
一形態の半導体故障解析装置において、ターゲットは、第1光検出部及び第2光検出部が検出可能な光を透過する光透過部を含んでもよい。この構成によっても、第1光学系の光軸に第2光学系の光軸を合わせる動作を確実に行うことができる。
【0046】
本発明によれば、故障箇所の位置とマークが示す位置とのずれを低減することが可能な半導体故障解析装置及び半導体故障解析方法が提供される。
【0047】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0048】
図1に示されるように、本実施形態に係る半導体故障解析装置は、被検査デバイス(DUT:Device Under Test)である半導体デバイスDを解析する。以下の説明において、本実施形態に係る半導体故障解析装置は、単に「解析装置1」と称する。また、半導体デバイスDの解析とは、例えば、半導体デバイスDが含む故障箇所の位置の特定が挙げられる。なお、半導体デバイスDの解析は、故障箇所の位置の特定に限定されない。半導体デバイスDの解析は、半導体デバイスDに関するその他の解析及び検査などを含む。以下、本実施形態の解析装置1は、半導体デバイスDが含む故障箇所の位置を特定するものとして説明する。
【0049】
さらに、解析装置1は、故障箇所の位置を特定すると共に、故障箇所の周囲に、故障箇所を示す印(マーク)を付す。この印を付す動作を「マーキング」と称する。マークは、故障解析の後工程において、解析装置1が特定した故障箇所を容易に把握するためのものである。
【0050】
半導体デバイスDとしては、トランジスタ等のPN接合を有する集積回路(IC:Integrated Circuit)、あるいは大規模集積回路(LSI:LargeScale Integration)であるロジックデバイス、メモリデバイス、アナログデバイス、さらに、それらを組み合わせたミックスドシグナルデバイス、または、大電流用/高圧用MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、IGBT等の電力用半導体デバイス(パワーデバイス)等が挙げられる。半導体デバイスDは、基板及びメタル層を含む積層構造を有する。半導体デバイスDの基板としては、例えばシリコン基板が用いられる。
【0051】
解析装置1は、解析部10と、マーキング部20と、デバイス配置部30と、計算機40と、を含む。解析部10は、半導体デバイスDの故障箇所を特定する。マーキング部20は、故障箇所の位置を示すマークを付す。デバイス配置部30には、半導体デバイスDが配置される。解析装置1は、例えば、レーザマーキングの機能を有する倒立型のエミッション顕微鏡であってもよい。
【0052】
<解析部>
解析部10は、テスタユニット11と、光源12(第1光源)と、観察用光学系13(第1光学系)と、XYZステージ14(第1駆動部)と、二次元カメラ15(第1光検出部)と、を有する。
【0053】
テスタユニット11は、ケーブルを介して半導体デバイスDに電気的に接続されている。テスタユニット11は、半導体デバイスDに刺激信号を印加する刺激信号印加部である。テスタユニット11は、図示しない電源によって動作させられる。テスタユニット11は、半導体デバイスDに所定のテストパターンなどの刺激信号を繰り返し印加する。テスタユニット11が出力する刺激信号は、変調電流信号であってもよいし、CW(continuous wave)電流信号であってもよい。
【0054】
テスタユニット11は、ケーブルを介して計算機40に電気的に接続されている。テスタユニット11は、計算機40から指定された刺激信号を、半導体デバイスDに印加する。テスタユニット11は、必ずしも計算機40に電気的に接続されていなくてもよい。テスタユニット11は、計算機40に電気的に接続されていない場合には、単体でテストパターンなどの刺激信号を決定する。なお、電源又はパルスジェネレータ等をテスタユニット11として用いてもよい。
【0055】
光源12は、半導体デバイスDに光を出力する。光源12は、例えばLED(Light Emitting Diode)又はSLD(Super LuminescentDiode)であってもよい。さらに、光源12は、ランプ光源等のインコヒーレント光源又はレーザ光源等のコヒーレント光源であってもよい。光源12から出力される光は、半導体デバイスDの基板を透過する。例えば、半導体デバイスDの基板がシリコンである場合、光源12から出力される光の波長は、好ましくは1064nm以上である。光源12から出力された光は観察用光学系13に提供される。
【0056】
観察用光学系13は、光源12から出力された光を半導体デバイスDに出力する。例えば、光源12は、マーキング処理中において、半導体デバイスDの裏面D1側に光を照射する。観察用光学系13は、対物レンズ13a及びビームスプリッタ13bを有する。対物レンズ13aは、観察エリアに光を集光する。
【0057】
観察用光学系13は、半導体デバイスDにおいて反射された光を、二次元カメラ15に導く。具体的には、観察用光学系13から照射された光は、半導体デバイスDの基板SiE(図2(c)参照)を透過する。次に、基板SiEを透過した光は、メタル層ME(図2(c)参照)で反射される。次に、メタル層MEを反射した光は、再び基板SiEを透過する。そして、基板SiEを透過した光は、観察用光学系13の対物レンズ13a及びビームスプリッタ13bを介して二次元カメラ15に入力される。また、観察用光学系13は、刺激信号の印加によって半導体デバイスDで発生した発光を二次元カメラ15に導く。具体的には、半導体デバイスDのメタル層MEは、刺激信号の印加に起因してエミッション光などの光を発する場合がある。メタル層MEが発した光は、基板SiEを透過した後に、観察用光学系13の対物レンズ13a及びビームスプリッタ13bを介して二次元カメラ15に入力される。
【0058】
観察用光学系13は、XYZステージ14に載置されている。Z軸方向は、対物レンズ13aの光軸方向である。XYZステージ14は、Z軸方向に移動可能である。さらに、XYZステージ14は、Z軸方向に直交するX軸方向及びY軸方向にも移動可能である。XYZステージ14は、後述する計算機40の制御部41bに制御される。XYZステージ14の位置によって観察エリアが決定される。観察用光学系13は、照射された光に応じた半導体デバイスDからの反射光を、半導体デバイスDからの光として二次元カメラ15に導く。
【0059】
二次元カメラ15は、半導体デバイスDからの光(第1光)を受ける。二次元カメラ15は、受けた光に基づく画像データを出力する。本明細書でいう半導体デバイスDからの光は、照明光に応じて半導体デバイスDにおいて反射された反射光であってもよい。また、本明細書でいう半導体デバイスDからの光は、刺激信号に応じて生じたエミッション光であってもよい。例えば、二次元カメラ15は、マーキング処理中において、半導体デバイスDの基板SiE側から、半導体デバイスDを撮像する。換言すると、二次元カメラ15は、マーキング処理中において、半導体デバイスDの裏面D1側から、半導体デバイスDを撮像する。
【0060】
二次元カメラ15は、半導体デバイスDにおいて反射された光を受ける。そして、二次元カメラ15は、受けた光に基づいて、パターン画像を作成するための画像データを計算機40に出力する。パターン画像によれば、マーキング位置を把握することができる。また、二次元カメラ15は、刺激信号に応じて生じたエミッション光を受ける。二次元カメラ15は、受けた光に基づいて、発光画像を生成するための画像データを計算機40に出力する。発光画像によれば、半導体デバイスDにおける発光箇所を特定することができる。発光箇所を特定することにより、半導体デバイスDの故障箇所を特定することができる。
【0061】
二次元カメラ15としては、半導体デバイスDの基板SiEを透過する波長の光を検出可能な撮像装置を用いてよい。二次元カメラ15として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)イメージセンサを搭載したカメラを採用してよい。二次元カメラ15として、InGaAsカメラ又はMCTカメラ等を採用してもよい。なお、発光計測の際には、光源12からの照明光は、不要である。つまり、発光計測の際には、光源12を動作させる必要はない。
【0062】
<マーキング部>
次に、マーキング部20について説明する。マーキング部20は、故障箇所を示すマークを付す。マーキング部20は、レーザ光源21と、レーザマーキング用光学系22(第2光学系)と、XYZステージ23(第2駆動部)と、プロービングカメラ24(第2光検出部)と、照明光源25と、を有する。
【0063】
マーキング部20は、解析部10において特定された故障箇所の周囲に、マークを付す。図2(a)及び図2(b)に示されるように、故障箇所fpの周囲にマーキング箇所mpが設定される。図2(a)及び図2(b)では、4個のマーキング箇所mpを図示する。レーザマーキングが完了した状態においては、図2(c)に示されるように、半導体デバイスDのメタル層MEを貫通する貫通穴が形成される。レーザマーキングは、貫通穴がメタル層MEと基板SiEとの境界面ssに達することにより、基板SiEにおけるメタル層MEに接する面が露出する程度まで行われる。つまり、本明細書でいう「マーク」とは、メタル層MEに形成された貫通穴を意味してもよい。また、本明細書でいう「マーク」とは、貫通穴から露出する基板SiEを意味してもよい。
【0064】
マーキング部20は、図3に示すように、レーザ光源21によって出力されたレーザ光を、レーザマーキング用光学系22を介して半導体デバイスDのマーキング箇所mpに照射する。マーキング部20は、半導体デバイスDのメタル層ME側からマーキング箇所mpにレーザ光を照射する。以下、マーキング部20の詳細について説明する。
【0065】
図1に示すように、レーザ光源21は、半導体デバイスDに照射されるレーザ光を出力する。レーザ光は、メタル層MEに貫通穴を形成する。レーザ光源21は、計算機40から出力開始命令が入力されると、レーザ光の出力を開始する。レーザ光源21は、例えば固体レーザ光源及び半導体レーザ光源等を採用してよい。レーザ光源21から出力される光の波長は、250nm以上2000nm以下である。
【0066】
レーザマーキング用光学系22は、半導体デバイスDのマーキング箇所mpにレーザ光を照射する。具体的には、レーザマーキング用光学系22は、半導体デバイスDのメタル層ME側からレーザ光を半導体デバイスDに照射する。換言すると、レーザマーキング用光学系22は、半導体デバイスDの表面D2側からレーザ光を半導体デバイスDに照射する。レーザマーキング用光学系22は、対物レンズ22a及び切替部22bを有している。切替部22bはレーザ光源21及びプロービングカメラ24の光路を切り替える。対物レンズ22aは、レーザ光をマーキング箇所mpに集光する。対物レンズ22aは、半導体デバイスDの表面から来た光をプロービングカメラ24へ導く。
【0067】
レーザマーキング用光学系22は、XYZステージ23に載置されている。XYZステージ23のZ軸方向は、対物レンズ22aの光軸方向である。XYZステージ23は、計算機40から制御命令を受ける。XYZステージ23は、制御命令に応じて、Z軸方向にレーザマーキング用光学系22を移動させる。また、XYZステージ23は、制御命令に応じて、Z軸方向に直交するX軸方向及びY軸方向にレーザマーキング用光学系22を移動させる。なお、レーザマーキング用光学系22がXYZステージ23を代替する光走査部を有し、半導体デバイスDの表面D2上のマーキング箇所mpにレーザ光を集光させてもよい。光走査部として、例えばガルバノミラー又はMEMSミラー等の光走査素子を用いてよい。また、レーザマーキング用光学系22は、シャッタを備えてもよい。この構成によれば、シャッタによって、制御部41bからの制御によってレーザ光源21からのレーザ光を通過させたり遮ったりする。その結果、レーザ光の出力を制御することができる。
【0068】
プロービングカメラ24は、半導体デバイスDの表面D2側から、半導体デバイスDのメタル層MEを撮像する。プロービングカメラ24は、撮像した撮像画像を計算機40に出力する。ユーザは、撮像画像を確認することにより、半導体デバイスDの表面D2側から見たレーザマーキングの状況を把握することができる。照明光源25は、プロービングカメラ24で撮像する際に半導体デバイスDへ照明光を照明する。
【0069】
<デバイス配置部>
デバイス配置部30は、半導体デバイスDを保持する。さらに、デバイス配置部30は、観察用光学系13に対する半導体デバイスDの位置を変更する。同様に、デバイス配置部30は、レーザマーキング用光学系22に対する半導体デバイスDの位置を変更する。デバイス配置部30は、サンプルステージ31と、ウェハチャック32と、XY駆動部33(第3の駆動部)と、を有する。
【0070】
従って、解析装置1は、観察用光学系13と、レーザマーキング用光学系22と、デバイス配置部30と、のそれぞれが駆動機構を有している。つまり、解析装置1は、3つの自由度を有する。3つの自由度を有する構成によれば、例えば、観察用光学系13を固定した状態で、レーザマーキング用光学系22及びデバイス配置部30を移動させることができる。さらに、観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22を固定した状態で、デバイス配置部30を移動させることもできる。「固定」とは、位置を変更しないことを意味する。例えば、「観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22を固定した状態」とは、観察用光学系13に対するレーザマーキング用光学系22の相対的な位置が維持される状態をいう。
【0071】
サンプルステージ31には、ウェハチャック32が摺動可能に載置される。ウェハチャック32は、半導体デバイスDを保持するデバイス保持部32aを有する。デバイス保持部32aは、ウェハチャック32に設けられた貫通穴と、貫通穴を物理的にふさぐガラス板と、を含む。
【0072】
ウェハチャック32は、アライメントターゲット50を有する。アライメントターゲット50(図4参照)は、ガラス板である。ガラス板の一方の面には、基準点bpを中心に放射状に伸びるパターンが設けられている。このパターンは例えば、金属膜である。一例としては、パターンはアルミニウムの薄膜によって作成される。従って、パターンは、不透明部50bを構成する。ガラス板は、半導体デバイスDの基板SiEを透過する波長の光を透過する。その結果、ガラス板は、照明光源25及び光源12から出力される光も透過する。従って、パターンが設けられていない領域は、光透過部50aを構成する。ウェハチャック32は、アライメントターゲット50が配置されるターゲット穴32bを有している。アライメントターゲット50は、ターゲット穴32bを閉鎖するように配置される。この配置によれば、プロービングカメラ24及び二次元カメラ15は、ガラス板の一面に設けられたパターンの像を取得することができる。
【0073】
アライメントターゲット50は、ウェハチャック32に設けられている。つまり、ウェハチャック32において、デバイス保持部32aが設けられた位置は、アライメントターゲット50が設けられた位置と異なる。XY駆動部33によってウェハチャック32の位置が変更された場合には、半導体デバイスDの位置及びアライメントターゲット50の位置が同時に変更される。つまり、ウェハチャック32に取り付けられた半導体デバイスDに対するアライメントターゲット50の位置は、不変である。
【0074】
XY駆動部33は、計算機40からの制御命令に応じて、ウェハチャック32をX軸方向又はY軸方向に移動させる。その結果、観察用光学系13を移動させることなく、観察エリアを変更することができる。同様に、レーザマーキング用光学系22を移動させることなく、レーザ光の照射位置を変更することができる。
【0075】
なお、デバイス配置部30の具体的な構成は、上記の構成に限定されない。デバイス配置部30は、半導体デバイスDを保持する機能と、半導体デバイスDをX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方へ移動させる機能と、を奏する構成を採用してよい。例えば、サンプルステージ31及びXY駆動部33に代えて、ウェハチャック32をX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方へ移動させるXYステージを有してもよい。
【0076】
<計算機>
計算機40は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。計算機40は、物理的には、RAM、ROM等のメモリ、CPU等のプロセッサ(演算回路)、通信インターフェイス、ハードディスク等の格納部を備えて構成されている。計算機40としては、例えばパーソナルコンピュータ、クラウドサーバ、スマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末など)などが挙げられる。計算機40は、メモリに格納されるプログラムをコンピュータシステムのCPUで実行することにより機能する。計算機40は、機能的な構成要素として、条件設定部41aと、制御部41bと、画像処理部41cと、を有する。
【0077】
<条件設定部>
条件設定部41aは、入力部41eから入力された故障箇所fpを示す情報に基づいて、マーキング箇所mpを設定する。特定された故障箇所fpの周囲には、数か所のマーキング箇所mpが設定される。数か所とは例えば4箇所である。条件設定部41aは、例えば故障箇所fpを示す情報が入力された場合には、故障箇所fpを中心として、故障箇所fpの周囲の4箇所に、マーキング箇所mpを自動的に設定する。具体的には、条件設定部41aは、例えば平面視において、故障箇所fpを中心とした十字状にマーキング箇所mpを設定する(図2(a)及び図2(b)参照)。なお、マーキング箇所mpは、表示部41dに表示された解析画像を見たユーザからのマーキング箇所mpを示す情報の入力を入力部41eが受け付けることより設定されてもよい。この場合、条件設定部41aは、マーキング箇所mpを自動的に設定しない。条件設定部41aは、入力部41eから入力されるマーキング箇所mpを示す情報に基づいて、マーキング箇所mpを設定する。条件設定部41aは、リファレンス画像を生成する。リファレンス画像は、解析画像に対して、故障箇所fpを示す目印と、マーキング箇所mpを示す目印と、を付加したものである。条件設定部41aは、リファレンス画像を計算機40のメモリに保存する。
【0078】
<制御部>
制御部41bは、二次元カメラ15の視野に故障箇所の観察エリアが収まるように、解析部10のXYZステージ14を制御する。制御部41bは、観察用光学系13の光軸にレーザマーキング用光学系22の光軸が一致するように、マーキング部20のXYZステージ23を制御する。制御部41bは、レーザマーキング用光学系22の光軸がマーキング箇所mpに重複するように、デバイス配置部30のXY駆動部33を制御する。
【0079】
制御部41bは、レーザ光源21も制御する。制御部41bは、画像処理部41cによってマーク像が現れたと判断された場合に、レーザ光源21に対して出力停止信号を出力する。レーザ光源21は、出力停止信号が入力された場合に、レーザ光の出力を停止する。このため、レーザ光源21は、制御部41bによって出力開始信号が入力されてから出力停止信号が入力されるまでの間レーザ光を出力し続ける。以上より、制御部41bは、レーザマーキングによって形成されるマーク像がパターン画像に現れるまでレーザマーキングが行われるように、レーザ光源21を制御する。また、レーザ光の貫通閾値が設定されているので、制御部41bは、レーザ光がメタル層MEを貫通するまでレーザマーキングが行われるように、レーザ光源21を制御する。
【0080】
<画像処理部>
計算機40は、ケーブルを介して二次元カメラ15に電気的に接続されている。計算機40は、二次元カメラ15から入力された画像データを利用して、パターン画像及び発光画像を作成する。ここで、上述した発光画像だけでは、半導体デバイスDのパターンにおける発光位置を特定することが難しい。そこで、計算機40は、解析画像として、半導体デバイスDからの反射光に基づくパターン画像と半導体デバイスDからの発光に基づく発光画像とを重畳させた重畳画像を生成する。
【0081】
画像処理部41cは、マーキング画像を作成する。マーキング画像は、マーク像を含むパターン画像と発光画像とが重畳されている。作成されたマーキング画像は、計算機40のメモリに保存される。また、画像処理部41cは、マーキング画像を表示部41dに表示する。マーキング画像により、ユーザは、後工程において、故障箇所の位置に対するマーキング位置を正確に把握することができる。また、画像処理部41cは、マーキング情報を取得する。マーキング情報とは、故障箇所の位置に対するマーキング位置を把握するために必要な情報である。マーキング情報として、例えば、マーキング位置から故障箇所までの位置の距離、及び故障箇所の位置を基準にしたマーキング位置の方位などが挙げられる。取得されたマーキング情報は、リストとして表示してもよい。また、マーキング情報は、マーキング画像に付加して表示してもよい。また、マーキング情報は、紙媒体で出力してもよい。
【0082】
計算機40は、解析画像を表示部41dに出力する。表示部41dは、ユーザに解析画像等を示すためのディスプレイ等の表示装置である。ユーザは、表示部41dに表示された解析画像から故障箇所の位置を確認することができる。また、ユーザは、入力部41eを用いて故障箇所を示す情報を入力する。入力部41eは、ユーザからの入力を受け付けるキーボード及びマウス等の入力装置である。入力部41eは、故障箇所を示す情報を計算機40に出力する。なお、計算機40、表示部41d、及び入力部41eは、タブレット端末であってもよい。
【0083】
なお、画像処理部41cは、レーザ光の照射を停止させる制御命令を制御部41bに出力させてもよい。レーザ光の照射を停止させる制御命令は、パターン画像に現れるマーク像を利用して生成される。具体的には、画像処理部41cは、レーザ光源21が出力したレーザ光によるレーザマーキングと並行して、パターン画像を順次生成する。レーザマーキングによって、マーキング箇所mpのメタル層MEには穴が形成される。メタル層MEの穴が浅いときには、マーキング位置での反射光の強度変化が小さく光学反射像の変化も小さい。換言すると、レーザマーキングにより形成される穴がメタル層MEにのみ形成され基板SiEにまで到達していないときには、マーキング位置での反射光の強度変化が小さい。従って、光学反射像の変化も小さい。その結果、レーザマーキングの影響は、パターン画像に現れない。一方、メタル層MEの穴が深くなると、裏面D1側の光の屈折率、透過率、及び反射率の少なくともいずれか1つの変化が大きくなる。具体的には、穴がメタル層MEと基板SiEとの境界面ssに達する程度に深くなると、裏面D1側の光の屈折率、透過率、及び反射率の少なくともいずれか1つの変化が大きくなる。これらの変化に起因して、マーキング位置での反射光の強度変化が大きくなる。その結果、パターン画像にはマーキング箇所を示すマーク像が現れる。
【0084】
画像処理部41cは、例えば、上述したリファレンス画像と、パターン画像とを比較する。比較の結果、画像の差異が予め定めた規定値よりも大きくなっている場合に、画像処理部41cは、マーク像が現れたと判断する。規定値を予め設定しておくことにより、マーク像が現れたと判断されるタイミングを決定することができる。
【0085】
なお、画像処理部41cは、ユーザからの入力内容に応じて、マーク像が現れたか否かを判断してもよい。また、画像処理部41cは、マーク像が現れたと判断した場合において、リファレンス画像とパターン画像とを比較する。そして、パターン画像のマーク形成箇所が、リファレンス画像のマーキング箇所mpとずれている場合には、画像処理部41cは、マークの位置ずれが生じていると判断してもよい。この場合、正しいマーキング箇所mpにマークが形成されるように再度レーザマーキングを行ってもよい。
【0086】
次に、解析装置1のマーキング処理について図5図8を用いて説明する。図5は、解析装置1のマーキング処理の主要な工程を示すフロー図である。
【0087】
<解析工程S10>
まず、半導体デバイスDの故障箇所を特定する(S10)。制御部41bは、工程S10のための解析命令を解析部10に出力する。具体的には、図6(a)に示すように、観察用光学系13の視野に観察したいエリアを捉えるように、XYZステージ14は、X軸方向及びY軸方向を制御して観察用光学系13を移動させる。次に、観察したいエリアに対物レンズ13aの焦点位置があうように、XYZステージ14のZ軸方向を制御して、観察用光学系13を移動させる。次に、光源12は、半導体デバイスDに光を照射する。そして、二次元カメラ15は、半導体デバイスDからの反射光を受ける。二次元カメラ15は、反射光に基づいて光学反射像を生成する。そして、二次元カメラ15は、光学反射像を計算機40に出力する。光学反射像が出力された後に、光源12は、半導体デバイスDへの光の照射を停止する。続いて、テスタユニット11は、半導体デバイスDに刺激信号を印加する。そして、二次元カメラ15は、刺激信号に起因する光を受ける。二次元カメラ15は、刺激信号に起因する光に基づいて発光像を生成する。そして、二次元カメラ15は、発光像を計算機40に出力する。画像処理部41cは、光学反射画像と発光画像とが重畳された解析画像を生成する。次に、解析画像を利用して、故障箇所fpが特定される。
【0088】
上述したように、解析工程が行われている期間において、半導体デバイスDに対する観察用光学系13の位置関係は、観察用光学系13の視野に観察エリアが含まれている。そして、解析工程が行われている期間において、半導体デバイスDに対する観察用光学系13の位置関係は、維持される。一方、解析工程が行われている期間において、半導体デバイスDに対するレーザマーキング用光学系22の位置は、特に制限はない。例えば、レーザマーキング用光学系22の光軸は、観察用光学系13の光軸に対して一致していてもよいし、一致していなくてもよい。通常は、光軸の位置合わせを行わない限り、レーザマーキング用光学系22の光軸は、観察用光学系13の光軸に対して一致しない。本実施形態の解析方法では、上述した解析工程の前に、光軸の置合わせを実施してもよいが、必須ではない。本実施形態の解析方法において、光軸の位置合わせは、解析工程が完了した後に実施する。
【0089】
<アライメント工程S20>
次に、観察用光学系13とレーザマーキング用光学系22との位置合わせを行う(S20)。制御部41bは、工程S20のためのアライメント命令をマーキング部20及びデバイス配置部30に出力する。以下の説明では、アライメント工程を実施する直前において、観察用光学系13の光軸は、半導体デバイスDの故障箇所と交差している状態を例示する。まず、図6(b)に示すように、観察用光学系13の視野にアライメントターゲット50を捉えるように、XY駆動部33は、X軸方向及びY軸方向を制御してウェハチャック32を移動させる(S21)。この移動を「半導体デバイスDの退避」とも称する。このとき、制御部41bは、半導体デバイスD(ウェハチャック32)の移動量を記憶する。
【0090】
次に、図7(a)に示すように、レーザマーキング用光学系22の視野にアライメントターゲット50を捉えるように、XYZステージ23は、X軸方向及びY軸方向を制御してレーザマーキング用光学系22を移動させる(S22)。次に、照明光源25は、アライメントターゲット50に向けて照明光を出力する。照明光は、アライメントターゲット50の光透過部50aを透過して、観察用光学系13に入射する。入射した照明光は、二次元カメラ15に捉えられる。二次元カメラ15は、透過像を計算機40に出力する。また、照明光は、アライメントターゲット50の不透明部50bで反射する。反射した光は、レーザマーキング用光学系22に再び入射する。そして、入射した反射光は、プロービングカメラ24に捉えられる。プロービングカメラ24は、反射像を計算機40に出力する。画像処理部41cは、透過像及び反射像を用いて、観察用光学系13の光軸に対するレーザマーキング用光学系22の光軸のずれを算出する。このずれが許容範囲に収まるまで、レーザマーキング用光学系22の移動と、ずれ量の確認と、を繰り返し行う。ずれが許容範囲に収まったと判定されたとき、光軸の位置合わせが完了する。
【0091】
光軸の位置合わせが完了した後に、図7(b)に示すように、観察用光学系13の視野に半導体デバイスDの故障箇所を捉えるように、XY駆動部33は、X軸方向及びY軸方向を制御してウェハチャック32を移動させる(S23)。このとき、制御部41bは、半導体デバイスDの退避時に記憶した移動量に基づいて、XY駆動部33を制御してよい。また、二次元カメラ15及びプロービングカメラ24から出力される画像データを用いて、レーザマーキング用光学系22と半導体デバイスDとの相対的な位置を制御してもよい。この場合にも、移動の対象は、半導体デバイスDのみである。そして、この工程における半導体デバイスDの移動を「半導体デバイスDの復帰」とも称する。つまり、光軸の位置合わせが完了した直後は、半導体デバイスDが退避しているので、観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22の視野に半導体デバイスDは存在しない。そこで、光軸の位置合わせが完了した後に、観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22の視野に半導体デバイスDを収める。より詳細には、観察用光学系13の光軸及びレーザマーキング用光学系22の光軸に、半導体デバイスDの故障箇所を一致させる。つまり、位置合わせが完了した後に移動させるものは、半導体デバイスDである。換言すると、位置合わせが完了した後には、観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22は、移動させない。その結果、観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22の相対的な位置関係は、位置合わせの結果が維持される。
【0092】
<マーキング工程S30>
図8に示すように、マーキング箇所mpへのレーザマーキングを実行する(S30)。制御部41bは、工程S30のためのマーキング命令をマーキング部20及びデバイス配置部30に出力する。具体的には、レーザ光源21は、レーザ光を出力する。レーザマーキングは、設定されたマーキング箇所mpのすべてに対して実行する。なお、それぞれのマーキング箇所mpへのレーザ光の出力動作において、画像処理部41cは、パターン画像上にマーク像が現れたか否かを判定してもよい。パターン画像上にマーク像が現れていないと判定された場合には、再度、レーザ光の照射を実行する。このレーザ光の照射動作と並行して、画像処理部41cは、パターン画像を生成する。
【0093】
以下、本実施形態の解析装置1の作用効果について説明する。
【0094】
解析装置1及び半導体故障解析方法では、まず、マーキング部20が有するレーザマーキング用光学系22の光軸を、ウェハチャック32に設けられたアライメントターゲット50に基づいて解析部10が有する観察用光学系13の光軸に合わせる。その後、観察用光学系13の光軸とレーザマーキング用光学系22の光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに設定されるマーキング位置にレーザ光を照射させる。つまり、観察用光学系13の光軸とレーザマーキング用光学系22の光軸とを合わせた後は、観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22は、一方が他方に対して相対的に移動しない。従って、移動によって生じ得る移動指令値が示す位置と実際の位置とのずれは生じない。その結果、解析部10が示す故障箇所の位置に対して、マーキング部20によって付されるマークが示す位置のずれを低減することができる。
【0095】
制御部41bは、アライメント命令を出力する前に、解析部10によって半導体デバイスDの故障箇所を解析する解析命令を解析部10に出力する。この構成によれば、故障箇所の位置を精度よく示すマークを付すことができる。
【0096】
マーキング命令は、XY駆動部33によってウェハチャック32をマーキング位置に移動させた後に、半導体デバイスDにレーザ光を照射させてもよい。この構成によれば、観察用光学系13の光軸にレーザマーキング用光学系22の光軸を合わせた後に、観察用光学系13及びレーザマーキング用光学系22の相対的な位置に加えて絶対的な位置も維持したまま、半導体デバイスDの所望の位置にレーザ光を照射することができる。その結果、マーキング部20によって付されるマークが示す位置のずれをさらに低減することができる。
【0097】
アライメント命令は、二次元カメラ15に一方の側からのアライメントターゲット50の第1画像を取得させ、プロービングカメラ24に他方の側からのアライメントターゲット50の第2画像を取得させ、第1画像及び第2画像に基づいてレーザマーキング用光学系22の光軸を観察用光学系13の光軸に合わせるように第2駆動部を移動させる。この構成によれば、観察用光学系13の光軸にレーザマーキング用光学系22の光軸を合わせる動作を確実に行うことができる。
【0098】
アライメントターゲット50は、ウェハチャック32において半導体デバイスDが保持されるデバイス保持部32aとは異なる場所に設けられる。この構成によれば、半導体デバイスDの種類によらず、観察用光学系13の光軸にレーザマーキング用光学系22の光軸を合わせることができる。
【0099】
二次元カメラ15は、アライメントターゲット50を一方の側から見た第1画像を取得する。プロービングカメラ24は、ターゲットを他方の側から見た第2画像を取得する。この構成によっても、観察用光学系13の光軸にレーザマーキング用光学系22の光軸を合わせる動作を確実に行うことができる。
【0100】
アライメントターゲット50は、二次元カメラ15及びプロービングカメラ24が検出可能な光を透過する光透過部50aを含む。この構成によっても、観察用光学系13の光軸にレーザマーキング用光学系22の光軸を合わせる動作を確実に行うことができる。
【0101】
要するに、第1半導体故障解析装置は、半導体デバイスから第1光学系を介して第1光を第1光検出部が受け、前記第1光学系が前記半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する解析部と、前記半導体デバイスから第2光学系を介して第2光を第2光検出部が受けると共に、前記半導体デバイスに対して前記第2光学系を介してレーザ光を照射し、前記第2光学系が前記半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動するマーキング部と、前記解析部と前記マーキング部との間に配置されて、前記半導体デバイスを保持すると共に、前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、前記チャックが前記解析部及び前記マーキング部に対して第3の駆動部によって相対的に移動するデバイス配置部と、前記解析部、前記マーキング部及び前記デバイス配置部に命令を出力する制御部と、を備え、前記ターゲットは、前記ターゲットの一方の側から前記第1光検出部によって検出可能であると共に、前記ターゲットの他方の側から前記第2光検出部によって検出可能であり、前記制御部は、前記第1光検出部が前記ターゲットを検出可能な位置に前記チャックを移動させた後に、前記ターゲットを基準として、前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるアライメント命令を前記マーキング部及び前記デバイス配置部に出力し、前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、前記半導体デバイスに設定されるマーキング位置に前記レーザ光を照射させるマーキング命令と、を前記マーキング部及び前記デバイス配置部に出力する。
【0102】
第2半導体故障解析装置は、第1半導体故障解析装置の前記制御部が、前記アライメント命令を出力する前に、前記解析部によって前記半導体デバイスの故障箇所を解析する解析命令を前記解析部に出力する。
【0103】
第3の半導体故障解析装置は、第1又は第2半導体故障解析装置の前記マーキング命令が、前記第3の駆動部によって前記チャックを前記マーキング位置に移動させた後に、前記半導体デバイスに前記レーザ光を照射させる。
【0104】
第1~第3の何れかの半導体故障解析装置の前記アライメント命令は、前記第1光検出部に一方の側からの前記ターゲットの第1画像を取得させ、前記第2光検出部に他方の側からの前記ターゲットの第2画像を取得させ、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるように前記第2光学系を移動させる。
【0105】
第4の半導体故障解析装置は、第1~第3の何れかの半導体故障解析装置の前記ターゲットが、前記チャックにおいて前記半導体デバイスが保持されるデバイス保持部とは異なる場所に設けられている。
【0106】
第5の半導体故障解析装置は、第1~第4の何れかの半導体故障解析装置の前記第1光検出部が、前記ターゲットを一方の側から見た第1画像を取得し、前記第2光検出部は、前記ターゲットを他方の側から見た第2画像を取得する。
【0107】
第6の半導体故障解析装置は、第1~第5の何れかの半導体故障解析装置の前記ターゲットが、前記第1光検出部及び前記第2光検出部が検出可能な光を透過する光透過部を含む。
【0108】
半導体故障解析装置を用いて半導体デバイスを解析する第1半導体故障解析方法であって、前記半導体故障解析装置は、前記半導体デバイスから第1光学系を介して第1光を第1光検出部が受け、前記第1光学系が前記半導体デバイスに対して第1駆動部によって相対的に移動する解析部と、前記半導体デバイスから第2光学系を介して第2光を第2光検出部が受けると共に、前記半導体デバイスに対して前記第2光学系を介してレーザ光を照射し、前記第2光学系が前記半導体デバイスに対して第2駆動部によって相対的に移動するマーキング部と、前記解析部と前記マーキング部との間に配置されて、前記半導体デバイスを保持すると共に、前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置合わせのためのターゲットが設けられたチャックを有し、前記チャックが前記解析部及び前記マーキング部に対して第3の駆動部によって相対的に移動するデバイス配置部と、前記解析部、前記マーキング部及び前記デバイス配置部に命令を出力する制御部と、を備え、前記ターゲットは、前記ターゲットの一方の側から前記第1光検出部によって検出可能であると共に、前記ターゲットの他方の側から前記第2光検出部によって検出可能であり、前記第1光検出部が前記ターゲットを検出可能な位置に前記チャックを移動させた後に、前記ターゲットを基準として、前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるアライメント工程と、前記第1光学系の光軸と前記第2光学系の光軸との位置関係を維持した状態で、前記半導体デバイスに設定されるマーキング位置に前記レーザ光を照射させるマーキング工程と、を有する。
【0109】
第2半導体故障解析方法は、第1半導体故障解析方法が前記アライメント工程の前に、前記解析部によって前記半導体デバイスの故障箇所を解析する解析工程をさらに有する。
【0110】
第3の半導体故障解析方法は、第1又は第2半導体故障解析方法の前記マーキング工程が、前記第3の駆動部によって前記チャックを前記マーキング位置に移動させた後に、前記半導体デバイスに前記レーザ光を照射させる。
【0111】
第4の半導体故障解析方法は、第1~第3の半導体故障解析方法の前記アライメント工程が、前記第1光検出部に一方の側からの前記ターゲットの第1画像を取得させ、前記第2光検出部に他方の側からの前記ターゲットの第2画像を取得させ、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて前記第2光学系の光軸を前記第1光学系の光軸に合わせるように前記第2駆動部を移動させる。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0113】
例えば、レーザ光がメタル層MEを貫通し、基板SiEにおけるメタル層MEに接する面が露出する程度までレーザマーキングが行われるとして説明した。しかし、この態様には、限定されない。レーザマーキングによる穴の深さは、マーク像がパターン画像に現れる程度であればよい。具体的には、例えば、メタル層MEを貫通すると共に基板SiEにおけるメタル層MEに接する面が露出した後も更にレーザマーキングが行われてもよい。例えばメタル層MEの厚さが10μmであり、基板SiEの厚さが500μmである場合に、基板SiEにおけるメタル層MEに接する面から更に1μm程度深く、レーザマーキングによる穴が形成されてもよい。また、レーザマーキングは必ずしもメタル層MEを貫通するように行われなくてもよい。例えば、メタル層MEの厚さが10μmであり、基板SiEの厚さが500μmである場合に、レーザマーキングによる穴が形成された箇所のメタル層MEの厚さが50nm程度であってもよい。つまり、穴は、基板SiEにおけるメタル層MEに接する面に到達しなくてもよい。
【0114】
パターン画像の生成はレーザマーキングが行われている間に行われるとして説明した。しかし、この態様には限定されない。例えば、レーザ光の出力が停止しているときに、パターン画像が生成されてもよい。この場合、レーザ光の出力及びレーザ光の停止すなわちパターン画像の生成は、所定の間隔で交互に行われてもよい。
【0115】
レーザ光源21から出力されるレーザ光の波長が1000ナノメートル以上の場合は、観察用光学系13は、1000ナノメートル以上である波長のレーザ光のみを遮る光学フィルタを有してもよい。このため、レーザ光源21から出力されたレーザ光が半導体デバイスDの基板SiEを透過した場合であっても、レーザ光が観察用光学系13において遮光される。その結果、レーザ光によって光検出器が破壊されることを抑制することができる。
【0116】
レーザ光源21から出力されるレーザ光の波長が1000ナノメートル未満であってもよい。この場合、例えば半導体デバイスDがシリコン基板などの基板により構成されている場合には、基板にレーザ光が吸収される。その結果、光学フィルタ等を備えることなく、二次元カメラ15等の光検出器がレーザ光により破壊されることを抑制することができる。
【0117】
半導体デバイスDに刺激信号を印加する構成要素は、テスタユニット11に限られない。半導体デバイスDに刺激信号を印加する構成要素である刺激信号印加部として、半導体デバイスDに電圧又は電流を印加する装置を採用してよい。そして、これらの装置を用いて、半導体デバイスDに刺激信号を印加してもよい。
【0118】
<第2実施形態の半導体故障解析装置>
図9に示すように、第2実施形態の半導体故障解析装置(以下、「解析装置1A」と称する)は、第1解析部10Aと、第2解析部20Aと、デバイス配置部30と、計算機40と、刺激信号印加部60と、を含む。
【0119】
第1解析部10Aは、第1光源12Aと、第1観察用光学系13A(第1光学系)と、XYZステージ14(第1駆動部)と、第1カメラ15A(第1光検出部)と、を有する。第1光源12Aは、第1実施形態の光源12と同様の構成を有する。第1観察用光学系13Aは、第1実施形態の観察用光学系13と同様の構成を有する。第1カメラ15Aは、第1実施形態の二次元カメラ15と同様の構成を有する。
【0120】
第2解析部20Aは、レーザ光源21と、第2観察用光学系22A(第2光学系)と、XYZステージ23(第2駆動部)と、第2カメラ24A(第2光検出部)と、第2光源25Aと、を有する。第2観察用光学系22Aは、第1実施形態のレーザマーキング用光学系22と同様の構成を有する。第2カメラ24Aは、第1実施形態のプロービングカメラ24と同様の構成を有する。第2光源25Aは、第1実施形態の照明光源25と同様の構成を有する。
【0121】
なお、第1解析部10A又は第2解析部20Aの何れかは、故障箇所を示すマークを付す機能を有してもよい。つまり、第1解析部10A又は第2解析部20Aの何れかは、第1実施形態のマーキング部20が有するマーキング用のレーザ光源を有してもよい。第2解析部20Aのレーザ光源21をマーキング用のレーザ光源として用いてもよい。
【0122】
<第2実施形態の半導体故障解析方法>
次に、解析装置1Aの解析処理について説明する。図10は、解析装置1Aを用いた解析処理の主要な工程を示すフロー図である。
【0123】
<アライメント工程S100A>
まず、第1観察用光学系13Aと第2観察用光学系22Aとの位置合わせを行う(S100A)。制御部41bは、工程S100Aのためのアライメント命令を第2解析部20A及びデバイス配置部30に出力する。第1観察用光学系13Aの視野にアライメントターゲット50を捉えるように、XY駆動部33は、ウェハチャック32を移動させる(S101)。制御部41bは、半導体デバイスD(ウェハチャック32)の移動量を記憶する。
【0124】
次に、第1観察用光学系13Aの光軸と第2観察用光学系22Aの光軸を合わせる(S102)。まず、第2観察用光学系22Aの視野にアライメントターゲット50を捉えるように、XYZステージ23は、第2観察用光学系22Aを移動させる。次に、第2光源25Aは、アライメントターゲット50に向けて照明光を出力する。照明光は、アライメントターゲット50の光透過部50aを透過する。第1観察用光学系13Aの第1カメラ15Aは、アライメントターゲット50の光透過部50aを透過した光による透過像を得る。第1カメラ15Aは、透過像を計算機40に出力する。第2カメラ24Aは、アライメントターゲット50の不透明部50bで反射した反射光による反射像を得る。そして、第2カメラ24Aは、反射像を計算機40に出力する。画像処理部41cは、透過像及び反射像を用いて、第1観察用光学系13Aの光軸に対する第2観察用光学系22Aの光軸のずれを算出する。このずれが許容範囲に収まるまで、第2観察用光学系22Aの移動と、ずれ量の確認と、を繰り返し行う。ずれが許容範囲に収まったと判定されたとき、光軸の位置合わせが完了する。なお、ずれを許容範囲に収めるための動作として、第1観察用光学系13Aの位置を固定した状態で第2観察用光学系22Aを移動させてもよい。また、第2観察用光学系22Aの位置を固定した状態で第1観察用光学系13Aを移動させてもよい。さらに、第1観察用光学系13A及び第2観察用光学系22Aの両方を移動させてもよい。
【0125】
光軸の位置合わせが完了した後に、第1観察用光学系13A及び第2観察用光学系22Aの視野に半導体デバイスDを捉えるように、XY駆動部33は、ウェハチャック32を移動させる(S103)。このとき、制御部41bは、半導体デバイスDの退避時に記憶した移動量に基づいて、XY駆動部33を制御してよい。また、第1カメラ15A及び第2カメラ24Aから出力される画像データを用いて、第1観察用光学系13A及び第2観察用光学系22Aと半導体デバイスDとの相対的な位置を制御してもよい。この場合にも、移動の対象は、半導体デバイスDのみである。光軸の位置合わせが完了した直後は、半導体デバイスDが退避しているので、第1観察用光学系13A及び第2観察用光学系22Aの視野に半導体デバイスDは存在しない。そこで、光軸の位置合わせが完了した後に、第1観察用光学系13A及び第2観察用光学系22Aの視野に半導体デバイスDを収める。より詳細には、第1観察用光学系13Aの光軸及び第2観察用光学系22Aの光軸に、半導体デバイスDを配置する。つまり、位置合わせが完了した後に移動させるものは、半導体デバイスDである。換言すると、位置合わせが完了した後には、第1観察用光学系13A及び第2観察用光学系22Aは、移動させない。その結果、第1観察用光学系13A及び第2観察用光学系22Aの相対的な位置関係は、位置合わせの結果が維持される。
【0126】
<解析工程S110A>
次に、半導体デバイスDの故障箇所を特定する(S110A)。解析工程S110Aでは、いわゆる発光解析を実施する。発光解析を行う場合には、第1カメラ15A及び第2カメラ24Aは、半導体デバイスDの基板SiEを透過する波長の光を検出可能な撮像装置を採用する。例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)イメージセンサを搭載したカメラを採用してよい。また、InGaAsカメラ又はMCTカメラ等を採用してもよい。
【0127】
まず、計算機40は、第1光源12A及び第2光源25Aからの照明光の照射を停止する。次に、計算機40は、刺激信号を刺激信号印加部60から半導体デバイスDに出力させる。半導体デバイスDのメタル層MEが故障箇所を含む場合に、当該故障箇所においてエミッション光を発する。メタル層MEが発した光は、基板SiEの一方の面を介して第1観察用光学系13Aに入射する。その結果、第1カメラ15Aは、入射した光に応じた画像を計算機40に出力する。同様に、メタル層MEが発した光は、基板SiEの他方の面を介して、第2観察用光学系22Aに入射する。その結果、第2カメラ24Aは、入射した光に応じた画像を計算機40に出力する。計算機40は、これらの画像データから発光位置を特定することにより、故障箇所を特定する。
【0128】
第1カメラ15A及び第2カメラ24Aの撮像動作は、第1態様と第2態様とを取り得る。撮像動作とは、光の入力を受けた場合に画像データを出力可能な動作をいう。従って、「撮像動作をさせる」とは、カメラに光を到達させ得る状態にすると共に、光を受けたカメラが画像データを出力可能である状態にすることを意味する。
【0129】
第1態様として第1カメラ15Aの撮像動作と、第2カメラ24Aによる撮像動作とは、時間的に並行して行ってもよい。つまり、第1カメラ15Aの撮像動作を実施しているときに、第2カメラ24Aの撮像動作を実施してもよい。より詳細には、計算機40は、第1観察用光学系13Aにおいて光を第1カメラ15Aに到達可能な状態にすると共に光を受けた第1カメラ15Aが画像データを出力可能な状態とする。さらに、計算機40は、第2観察用光学系22Aにおいて光を第2カメラ24Aに到達可能な状態にすると共に光を受けた第2カメラ24Aが画像データを出力可能な状態とする。
【0130】
第1態様において、半導体デバイスDの一方の面及び他方の面の両方から光が出力される場合には、第1カメラ15A及び第2カメラ24Aの両方から画像データが出力される。しかし、エミッション光が発生した場合において、当該エミッション光は必ずしも半導体デバイスDの一方の面及び他方の面の両方から出力されるとは限らない。例えば、配線層において一方のエミッション光が遮られる場合があり得る。つまり、半導体デバイスDの一方の面から光が出力されるが、他方の面からは光が出力されないことがある。第1態様では、第1カメラ15A及び第2カメラ24Aの両方が画像データを出力可能な状態である。しかし、第1カメラ15Aのみに光が入射するので、第1カメラ15Aのみが画像データを出力する。逆に、半導体デバイスDの他方の面から光が出力されるが、一方の面からは光が出力されないことがある。この場合には、第2カメラ24Aのみが画像データを出力する。
【0131】
また、第2態様として、第1カメラ15Aの撮像動作と、第2カメラ24Aによる撮像動作とは、交互に行ってもよい。つまり、第1期間では第1カメラ15Aの撮像動作を行う。第1期間と重複しない第2期間では第2カメラ24Aによる撮像動作を行う。
【0132】
より詳細には、第1期間では、計算機40は、第1観察用光学系13Aにおいて光を第1カメラ15Aに到達可能な状態にすると共に光を受けた第1カメラ15Aが画像データを出力可能な状態とする。さらに、計算機40は、第2観察用光学系22Aにおいて光を第2カメラ24Aに到達させない状態にする、及び/又は、光を受けた第2カメラ24Aが画像データを出力しない状態とする。第2期間では、計算機40は、第1観察用光学系13Aにおいて光を第1カメラ15Aに到達させない状態にする、及び/又は、光を受けた第1カメラ15Aが画像データを出力しない状態とする。さらに、計算機40は、第2観察用光学系22Aにおいて光を第2カメラ24Aに到達可能な状態にすると共に、光を受けた第2カメラ24Aが画像データを出力可能な状態とする。
【0133】
<マーキング工程S120A>
マーキング箇所mpへのレーザマーキングを実行する(S120A)。制御部41bは、工程S120Aのためのマーキング命令を第2解析部20A及びデバイス配置部30に出力する。具体的には、レーザ光源21は、レーザ光を出力する。レーザマーキングは、設定されたマーキング箇所mpのすべてに対して実行する。なお、それぞれのマーキング箇所mpへのレーザ光の出力動作において、画像処理部41cは、パターン画像上にマーク像が現れたか否かを判定してもよい。パターン画像上にマーク像が現れていないと判定された場合には、再度、レーザ光の照射を実行する。このレーザ光の照射動作と並行して、画像処理部41cは、パターン画像を生成する。
【0134】
解析装置1Aは、半導体デバイスDが発した光を第1観察用光学系13Aを介して第1カメラ15Aが受け、第1観察用光学系13Aが半導体デバイスDに対して第1駆動部によって相対的に移動する第1解析部10Aと、半導体デバイスDが発した光を第2観察用光学系22Aを介して第2カメラ24Aが受け、第2観察用光学系22Aが半導体デバイスDに対して第2駆動部によって相対的に移動する第2解析部20Aと、第1解析部10Aと第2解析部20Aとの間に配置されて、半導体デバイスDを保持すると共に、第1観察用光学系13Aの光軸と第2観察用光学系22Aの光軸との位置合わせのためのアライメントターゲット50が設けられたウェハチャック32を有し、ウェハチャック32が第1解析部10A及び第2解析部20Aに対して相対的に移動するデバイス配置部30と、半導体デバイスDに刺激信号を印加する刺激信号印加部60と、第1解析部10A、第2解析部20A、デバイス配置部30及び刺激信号印加部60に命令を出力する制御部41bと、を備える。アライメントターゲット50は、アライメントターゲット50の一方の側から第1解析部10Aによって検出可能であると共に、アライメントターゲット50の他方の側から第2解析部20Aによって検出可能である。制御部41bは、第1カメラ15Aがアライメントターゲット50を検出可能な位置にウェハチャック32を移動させた後に、アライメントターゲット50を基準として、第2観察用光学系22Aの光軸を第1観察用光学系13Aの光軸に合わせるアライメント命令を第2解析部20A及びデバイス配置部30に出力する。さらに、制御部41bは、第1観察用光学系13Aの光軸と第2観察用光学系22Aの光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに刺激信号を印加させると共に、刺激信号に応じて発せられる半導体デバイスDからの光を第1カメラ15A又は第2カメラ24Aの少なくとも一方で受ける解析命令を第1解析部10A、第2解析部20A、刺激信号印加部60及びデバイス配置部30に出力する。
【0135】
解析装置1Aを用いて半導体デバイスDを解析する半導体故障解析方法は、第1カメラ15Aがアライメントターゲット50を検出可能な位置にウェハチャック32を移動させた後に、アライメントターゲット50を基準として、第2観察用光学系22Aの光軸を第1観察用光学系13Aの光軸に合わせるアライメント工程(S100A)と、第1観察用光学系13Aの光軸と第2観察用光学系22Aの光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに刺激信号を印加させると共に、刺激信号に応じて発せられる半導体デバイスDからの光を第1カメラ15A又は第2カメラ24Aの少なくとも一方で受ける解析工程(S120A)と、を有する。
【0136】
解析装置1A及び半導体故障解析方法は、第1観察用光学系13Aの光軸と第2観察用光学系22Aの光軸との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに刺激信号を印加させると共に、刺激信号に応じて発せられる半導体デバイスDからの光を第1カメラ15A又は第2カメラ24Aの少なくとも一方で受ける。従って、半導体デバイスDからの光を受ける第1観察用光学系13Aと第2観察用光学系22Aとは、光軸が一致した状態であるので、半導体デバイスDの故障箇所を良好に検出することができる。
【0137】
<変形例>
なお、解析工程では、上述した発光解析とは異なる解析を実施してもよい。例えば、解析工程では、発熱解析を実施してもよい。この場合には、刺激信号印加部60は、刺激信号として比較的低い周波数の変調電流を与える。例えば、半導体デバイスDの内部に短絡箇所が含まれている場合には、変調電流に起因して短絡箇所が発熱する。その結果、半導体デバイスDには、熱源が生じる。変調電流に起因して発熱する熱源の温度は、変調電流の周波数に応じて周期的に変化する。温度の変化は、熱源の周囲であって照射光及び反射光が通過する部材の屈折率に変化を及ぼす。この屈折率の変化は、反射光の強度に変化をもたらすので、その結果、照射光の強度に対する反射光の強度の度合いである反射率が変化する。この熱源の温度変化に起因する反射率の変化を刺激信号に対する応答として利用する。その結果、半導体デバイスDが含む故障箇所の一例である短絡箇所を特定できる。
【0138】
<変形例の半導体故障解析装置>
図11に示すように、変形例の半導体故障解析装置(以下、「解析装置1S」と称する)は、第1解析部10Sと、第2解析部20Sと、デバイス配置部30と、計算機40と、刺激信号印加部60と、を含む。第1解析部10Sは、第1カメラ15Aに代えて、第1赤外カメラ15Sを有する。また、第2解析部20Sは、第2カメラ24Aに代えて、第2赤外カメラ24Sを有する。
【0139】
第1赤外カメラ15Sは、可視光とは異なる波長を検出対象とする光検出部である。第1赤外カメラ15Sは、例えば、熱線である波長2μm~10μmの光を検出対象とする。第1赤外カメラ15Sとしては、InSbカメラ等を用いてよい。第1赤外カメラ15Sによれば、半導体デバイスDの輻射率の分布を示す画像を取得することができる。第1赤外カメラ15Sは、半導体デバイスDからの熱線を撮像することにより、画像データを出力する。画像データに応じた赤外線の情報を用いて、半導体デバイスDにおける発熱箇所を特定することができる。発熱箇所を特定することにより、半導体デバイスDの故障個所を特定することができる。なお、第2赤外カメラ24Sも第1赤外カメラ15Sと同様の構成である。
【0140】
計算機40の画像処理部41cは、上述した画像データに基づいて赤外画像を生成する。また、画像処理部41cは、検出信号に基づいてパターン像を生成する。そして、画像処理部41cは、パターン像に赤外画像を重畳させた重畳画像を解析画像として生成する。
【0141】
なお、熱線を検出対象とする場合には、可視光像を得る場合と異なり、照明光を必要としない。従って、解析装置1Sは、第1光源12A及び第2光源25Aを省略することも可能である。第1光源12Aを省略した場合には、第1観察用光学系13Aはビームスプリッタ13bを省略できる。同様に、第2光源25Aを省略した場合には、第2観察用光学系22Aはビームスプリッタである切替部22bを省略できる。
【0142】
<変形例の半導体故障解析方法>
次に、解析装置1Sの解析処理について説明する。図12は、解析装置1Sを用いた解析処理の主要な工程を示すフロー図である。
【0143】
<アライメント工程S100S>
変形例のアライメント工程S100Sは、第2実施形態のアライメント工程S100Aと同様である。
【0144】
<解析工程S110S>
次、半導体デバイスDの故障箇所を特定する(S110S)。まず、第1赤外カメラ15Sによって半導体デバイスDからの熱線を計測し、画像処理部41cにおいて赤外画像を生成する。刺激信号印加部60によってテストパターンなどの刺激信号が印加されている状態とする。第1赤外カメラ15Sは、半導体デバイスDの発熱を含む第1画像データを取得する。第1赤外カメラ15Sは、所定の露光時間で連続的に撮像された複数枚の画像データを第1画像データとして計算機40に送る。画像処理部41cは、当該複数枚の画像データを加算する。加算処理によって、第1画像データが生成される。第1画像データは半導体デバイスDの発熱と半導体デバイスDを形成する素子の形状の情報とを含む。次に、刺激信号印加部60による刺激信号の印加を停止する。第1赤外カメラ15Sは、半導体デバイスDの形成する素子の形状の情報のみを含む画像データを取得する。
第1赤外カメラ15Sは、所定の露光時間で連続的に撮像された複数枚の画像データが計算機40に出力する。画像処理部41cは、当該複数枚の画像データを加算する。加算処理によって、第2画像データが生成される。第2画像データは、半導体デバイスDを形成する素子の形状の情報のみを含む。そして、画像処理部41cは、第1画像データと第2画像データとの差分を得る。その結果、半導体デバイスDの発熱のみを含む赤外画像が生成される。画像処理部41cは、第2画像データに赤外画像を重畳させた重畳画像又は第1画像データを解析画像として出力する。また、画像処理部41cは、第2画像データをパターン像として出力する。
【0145】
また、第2解析部20Sにおいても、上述した第1解析部10Sにおける発熱解析動作と同様の処理を行う。第1解析部10Sにおける発熱解析動作と第2解析部20Sにおける発熱解析動作とは、並行して行ってもよい。また、これらの動作は、交互に行ってもよい。
【0146】
<マーキング工程S120S>
変形例のマーキング工程120Sは、第2実施形態のマーキング工程S120Aと同様である。
【0147】
変形例の解析装置1S及び半導体故障解析方法も、第1観察用光学系13Sの光軸と第2観察用光学系22Sの光軸とが一致した状態で故障箇所を検出する処理を行う。半導体デバイスDの故障箇所を良好に検出することができる。
【0148】
<第3実施形態の半導体故障解析装置>
図13に示すように、第3実施形態の半導体故障解析装置(以下、「解析装置1B」と称する)は、第1解析部10Bと、第2解析部20Bと、デバイス配置部30と、計算機40と、刺激信号印加部60と、電気信号取得部61と、を含む。解析装置1Bは、第1解析部10B及び第2解析部20Bから光を出力する。第1解析部10Bが出力する光は、半導体デバイスDの基板SiEの一方の面に照射される。第2解析部20Bが出力する光は、半導体デバイスDの基板SiEの他方の面に照射される。解析装置1Bは、光の照射によって生じる電気信号を利用して半導体デバイスDの故障箇所を解析する。光が照射される半導体デバイスDは、刺激信号を受ける場合もあるし、刺激信号を受けない場合もある。
【0149】
第1解析部10Bは、第1光源12Bと、第1観察用光学系13B(第1光学系)と、XYZステージ14(第1駆動部)と、第1カメラ15B(第1光検出部)と、を有する。第1光源12Bは、半導体デバイスDに照射する光を発生する。第1光源12Bの詳細は、解析の手法に応じて決まる。
【0150】
例えば、半導体デバイスDにレーザ光のようなコヒーレントな光を照射する解析では、第1光源12Bとして、固体レーザ光源又は半導体レーザ光源等を採用してよい。OBIRCH(Optical Beam Induced Resistance Change)画像又はSDL(Soft Defect Localization)画像を取得する解析では、第1光源12Bは、半導体デバイスDが電荷(キャリア)を発生しない波長帯のレーザ光を出力する。例えば、シリコンにより構成される半導体デバイスDの解析では、第1光源12Bは、1200nmより大きい波長帯のレーザ光を出力する。第1光源12Bは、好ましくは1300nm程度の波長帯のレーザ光を出力する。また、OBIC画像又はLADA(Laser Assisted Device Alteration)画像を取得する解析では、第1光源12Bは、半導体デバイスDが電荷(キャリア)を発生する波長帯の光を出力する。OBIC画像又はLADA画像を取得する解析では、第1光源12Bは、1200nm以下の波長帯の光を出力する。例えば、第1光源12Bは、1064nm程度の波長帯のレーザ光を出力する。
【0151】
なお、半導体デバイスDにインコヒーレントな光を照射する解析では、第1光源12Bとして、SLD(Super Luminescent Diode)、ASE(AmplifiedSpontaneousEmission)、及びLED(Light Emitting Diode)等を採用してよい。
【0152】
第1光源12Bから出力された光は、偏光保存シングルモード光カプラ(図示せず)、及び、プローブ光用の偏光保存シングルモード光ファイバを介して第1観察用光学系13Bに導かれる。第1観察用光学系13Bは、対物レンズ13aと、ビームスプリッタ13bと、第1光走査部13sと、を有する。第1光走査部13sは、半導体デバイスDの裏面上の照射スポットを走査する。第1光走査部13sは、例えばガルバノミラー又はMEMSミラー等の光走査素子によって構成されている。対物レンズ13aは、第1光走査部13sによって導かれた光を照射スポットに集光する。第1光走査部13sは、計算機40の制御部41bによって制御される。
【0153】
第1カメラ15Bは、レーザ光に応じた半導体デバイスDの反射光を検出する。第1カメラ15Bは、検出信号を計算機40に出力する。第1カメラ15Bは、例えば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、又はエリアイメージセンサ等である。
【0154】
第2解析部20Bは、第2光源21Bと、第2観察用光学系22B(第2光学系)と、第2カメラ24B(第2光検出部)と、を有する。第2光源21Bは、第1光源12Bと同様の構成を有する。第2観察用光学系22Bは、対物レンズ22aと、切替部22b(ビームスプリッタ)と、第2光走査部22sと、を有する。第2光走査部22sは、第1光走査部13sと同様の構成を有する。第2カメラ24Bは、第1実施形態のプロービングカメラ24と同様の構成を有する。
【0155】
電気信号取得部61は、半導体デバイスDに電気的に接続されている。電気信号取得部61は、レーザ光に応じて半導体デバイスDで生じた電気信号を検出する。電気信号取得部61は、検出した電気信号に応じた電気信号特性値を計算機40に出力する。
【0156】
計算機40の画像処理部41cは、電気信号特性値に基づいて電気信号画像を出力する。電気信号画像とは、電気信号特性値を、第1光走査部13s及び第2光走査部22sによるレーザ光の走査位置に関連づけて画像化したものである。また、画像処理部41cは、検出信号に基づいて光学反射像を出力する。そして、画像処理部41cは、光学反射像に電気信号画像を重畳する。その結果、画像処理部41cは、光学反射像に電気信号画像を重畳した重畳画像を解析画像として出力する。
【0157】
電気信号画像とは、例えば、光起電流画像であるOBIC画像、電気量変化画像であるOBIRCH画像、正誤情報画像であるSDL画像、及びLADA画像等である。
【0158】
OBIC画像は、レーザ照射によって生じた光起電流に基づく。OBIC画像は、光起電流の電流値又は電流変化値を電気信号特性値として画像化したものである。
【0159】
OBIRCH画像は、半導体デバイスDにレーザ光を照射した位置において生じる抵抗値に基づく。レーザ光が照射される半導体デバイスDには、一定の電流が印加されている。抵抗値の変化は、電圧値又は電圧の変化として得ることができる。OBIRCH画像は、電圧値又は電圧の変化を示す電気信号特性値を画像化したものである。なお、OBIRCH画像を得るとき、レーザ光が照射される半導体デバイスDには、一定の電圧が印加されていてもよい。この場合には、半導体デバイスDにおける照射位置の抵抗値の変化は、電流値の変化として得ることができる。OBIRCH画像は、電流値の変化を示す電気信号特性値を画像化したものである。
【0160】
SDL画像は、誤作動状態に係る情報(例えばPASS/FAIL信号)を画像化したものである。テストパターンなどの刺激信号が印加された半導体デバイスDにレーザ光を照射する。このレーザ光は、キャリアが励起されない波長を有する。刺激信号の印加とレーザ光の照射によって、誤作動状態を検出することができる。そして、誤作動に係る情報を輝度値として取得する。SDL画像は、当該輝度値に基づく画像である。
【0161】
LADA画像も、誤作動状態に係る情報(例えばPASS/FAIL信号)を画像化したものである。しかし、LADA画像を得る解析では、キャリアを励起するような波長を有するレーザ光を半導体デバイスDに照射する点でSDL画像を得る解析と異なっている。刺激信号の印加とレーザ光の照射によって、誤作動に係る情報を輝度値として取得する点と、当該輝度値に基づき画像データを生成する点は、SDL画像と同様である。
【0162】
なお、第1解析部10B又は第2解析部20Bの何れかは、故障箇所を示すマークを付す機能を有してもよい。つまり、第1解析部10B又は第2解析部20Bの何れかは、第1実施形態のマーキング部20が有するマーキング用のレーザ光源を有してもよい。
【0163】
<第3実施形態の半導体故障解析方法>
次に、解析装置1Bの解析処理について説明する。図14は、解析装置1Bを用いた解析処理の主要な工程を示すフロー図である。
【0164】
<アライメント工程S100B>
まず、第1観察用光学系13Bと第2観察用光学系22Bとの位置合わせを行う(S100B)。ここでいう位置合わせとは、第1観察用光学系13Bの光軸と第2観察用光学系22Bの光軸を合わせることで、第1観察用光学系13Bに関する第1光走査領域の中心と、第2観察用光学系22Bに関する第2光走査領域の中心と、のずれを解消することをいう。制御部41bは、工程S100Bのためのアライメント命令を第2解析部20B及びデバイス配置部30に出力する。第1観察用光学系13Bの視野にアライメントターゲット50を捉えるように、XY駆動部33は、ウェハチャック32を移動させる(S101)。制御部41bは、半導体デバイスDの移動量を記憶する。移動量は、ウェハチャック32のものとしてもよい。
【0165】
次に、第1観察用光学系13Bの第1光走査領域と第2観察用光学系22Bの第2光走査領域とを合わせる(S102B)。これは、第1観察用光学系13Bの光軸と第2観察用光学系22Bの光軸を合わせることで、第1観察用光学系13Bに関する第1光走査領域の中心と、第2観察用光学系22Bに関する第2光走査領域の中心と合わせることを指す。まず、第2観察用光学系22Bの視野にアライメントターゲット50を捉えるように、XYZステージ23は、第2観察用光学系22Bを移動させる。次に、第2光源25Bは、アライメントターゲット50に向けて照明光を出力する。照明光は、アライメントターゲット50の光透過部50aを透過する。第1観察用光学系13Bの第1カメラ15Bは、アライメントターゲット50の光透過部50aを透過した光による透過像を得る。第1カメラ15Bは、透過像を計算機40に出力する。第2カメラ24Bは、アライメントターゲット50の不透明部50bで反射した反射光による反射像を得る。そして、第2カメラ24Bは、反射像を計算機40に出力する。画像処理部41cは、透過像及び反射像を用いて、第1観察用光学系13Bの光軸に対する第2観察用光学系22Bの光軸のずれを算出する。このずれが許容範囲に収まるまで、第2観察用光学系22Bの移動と、ずれ量の確認と、を繰り返し行う。ずれが許容範囲に収まったと判定されたとき、光軸の位置合わせが完了する。これにより、第1観察用光学系13Bに関する第1光走査領域の中心と、第2観察用光学系22Bに関する第2光走査領域の中心と合わせることができる。なお、ずれを許容範囲に収めるための動作として、第1観察用光学系13Bの位置を固定した状態で第2観察用光学系22Bを移動させてもよい。また、第2観察用光学系22Bの位置を固定した状態で第1観察用光学系13Bを移動させてもよい。さらに、第1観察用光学系13B及び第2観察用光学系22Bの両方を移動させてもよい。
【0166】
光走査領域の位置合わせが完了した後に、第1観察用光学系13B及び第2観察用光学系22Bの視野に半導体デバイスDを捉えるように、XY駆動部33は、X軸方向及びY軸方向を制御してウェハチャック32を移動させる(S103)。このとき、制御部41bは、半導体デバイスDの退避時に記憶した移動量に基づいて、XY駆動部33を制御してよい。また、第1カメラ15B及び第2カメラ24Bから出力される画像データを用いて、第1観察用光学系13B及び第2観察用光学系22Bと半導体デバイスDとの相対的な位置を制御してもよい。この場合にも、移動の対象は、半導体デバイスDのみである。走査領域の位置合わせが完了した直後は、半導体デバイスDが退避しているので、第1観察用光学系13B及び第2観察用光学系22Bの視野に半導体デバイスDは存在しない。そこで、走査領域の位置合わせが完了した後に、第1観察用光学系13B及び第2観察用光学系22Bの視野に半導体デバイスDを収める。より詳細には、第1観察用光学系13Bの第1光走査領域及び第2観察用光学系22Bの第2光走査領域に、半導体デバイスDを配置する。つまり、位置合わせが完了した後に移動させるものは、半導体デバイスDである。換言すると、位置合わせが完了した後には、第1観察用光学系13B及び第2観察用光学系22Bは、移動させない。その結果、第1観察用光学系13Bの第1光走査領域及び第2観察用光学系22Bの第2光走査領域の相対的な位置関係は、位置合わせの結果が維持される。
【0167】
<解析工程S110B>
次に、半導体デバイスDの故障箇所を特定する(S110B)。解析工程S110Bでは、光照射による信号解析を行う。第1観察用光学系13Bは、第1レーザ光を半導体デバイスDの一方の面に照射する。また、第2観察用光学系22Bは、第2レーザ光を半導体デバイスDの他方の面に照射する。第1レーザ光及び第2レーザ光の照射は、時間的に並行してもよい。つまり、第1レーザ光が照射される期間は、第2レーザ光が照射される期間と重複する部分を有してよい。また、第1レーザ光が照射される期間は、第2レーザ光が照射される期間と重複しなくてもよい。つまり、第1レーザ光の照射が停止された後に、第2レーザ光の照射が開始されもよい。解析工程S110Bでは、第1レーザ光及び第2レーザ光の特性、及び、レーザ光の照射を受けている半導体デバイスDの状態に応じて、いくつかの電気信号画像を得ることができる。電気信号画像とは、例えば、光起電流画像であるOBIC画像、電気量変化画像であるOBIRCH画像、正誤情報画像であるSDL画像、及びLADA画像等である。
【0168】
第1解析として、第1レーザ光及び第2レーザ光を半導体デバイスDに照射する。第1解析では、刺激信号印加部60は、半導体デバイスDに刺激信号を与えない。レーザ光を受けた半導体デバイスDは、光起電流が生じることがある。電気信号取得部61は、光起電流の電流値又は電流変化値を電気信号特性値として出力する。第1解析で得られる電気信号特性値に基づく電気信号画像は、OBIC画像である。
【0169】
第2解析として、第1レーザ光及び第2レーザ光を半導体デバイスDに照射する。第2解析では、刺激信号印加部60は、半導体デバイスDに刺激信号である一定の電流を与える。なお、刺激信号は、一定の電圧であってもよい。刺激信号を受けた半導体デバイスDにレーザ光を照射すると、半導体デバイスDにおける照射位置の抵抗値が変化する。電気信号取得部61は、抵抗値の変化に応じた電圧値又は電圧の変化値を電気信号特性値として出力する。第2解析で得られる電気信号特性値に基づく電気信号画像は、OBIRCH画像である。
【0170】
第3の解析として、第1レーザ光及び第2レーザ光を半導体デバイスDに照射する。第3の解析では、第1レーザ光及び第2レーザ光として、キャリアが励起されない波長のレーザを採用する。さらに、第3の解析では、刺激信号印加部60は、テストパターンなどの刺激信号を与える。刺激信号を受けた半導体デバイスDにキャリアが励起されない波長のレーザ光を照射すると、半導体デバイスDの誤動作状態を検出できる。電気信号取得部61は、誤作動状態に係る情報(例えばPASS/FAIL信号)を電気信号特性値として出力する。第3の解析で得られる電気信号特性値を輝度値に変換して得た画像は、SDL画像である。
【0171】
第4の解析として、第1レーザ光及び第2レーザ光を半導体デバイスDに照射する。第4の解析では、第1レーザ光及び第2レーザ光として、キャリアが励起される波長のレーザを採用する。さらに、第4の解析では、刺激信号印加部60は、テストパターンなどの刺激信号を与える。刺激信号を受けた半導体デバイスDにキャリアが励起される波長のレーザ光を照射すると、半導体デバイスDの誤動作状態を検出できる。電気信号取得部61は、誤作動状態に係る情報(例えばPASS/FAIL信号)を電気信号特性値として出力する。第4の解析で得られる電気信号特性値を輝度値に変換して得た画像は、LADA画像である。
【0172】
<マーキング工程S120B>
第3実施形態のマーキング工程S120Bは、第2実施形態のマーキング工程S120Aと同様である。第2観察用光学系22Bによってマーキングを行う場合には、第2観察用光学系22Bは、マーキング用のレーザ光源とXYZステージと照明光源とを備えてもよい。
【0173】
解析装置1Bは、第1光走査部13sを有する第1観察用光学系13Bを介して半導体デバイスDに第1光源12Bで発生された光を照射する第1解析部10Bと、第2光走査部22sを有する第2観察用光学系22Bを介して半導体デバイスDに第2光源21Bで発生された光を照射する第2解析部20Bと、第1解析部10Bと第2解析部20Bとの間に配置されて、半導体デバイスDを保持すると共に、第1観察用光学系13Bの光走査領域と第2観察用光学系22Bの光走査領域との位置合わせのためのアライメントターゲット50が設けられたウェハチャック32を有し、ウェハチャック32が第1解析部10B及び第2解析部20Bに対して相対的に移動するデバイス配置部30と、半導体デバイスDが出力する電気信号を受ける電気信号取得部61と、第1解析部10B、第2解析部20B、デバイス配置部30及び電気信号取得部61に命令を出力する制御部41bと、を備える。アライメントターゲット50は、アライメントターゲット50の一方の側から第1解析部10Bによって検出可能であると共に、アライメントターゲット50の他方の側から第2解析部20Bによって検出可能である。制御部41bは、第1解析部10Bがアライメントターゲット50を検出可能な位置にウェハチャック32を移動させた後に、アライメントターゲット50を基準として、第2観察用光学系22Bの光走査領域を第1観察用光学系13Bの光走査領域に合わせるアライメント命令を第2解析部20B及びデバイス配置部30に出力する。さらに、制御部41bは、第1観察用光学系13Bの光走査領域と第2観察用光学系22Bの光走査領域との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに第1解析部10B及び第2解析部20Bの少なくとも一方から光を照射させ、電気信号取得部61によって半導体デバイスDからの電気信号を受ける解析命令を第1解析部10B、第2解析部20B、電気信号取得部61及びデバイス配置部30に出力する。
【0174】
解析装置1Bを用いた半導体デバイスDを解析する半導体故障解析方法は、第1解析部10Bがアライメントターゲット50を検出可能な位置にウェハチャック32を移動させた後に、アライメントターゲット50を基準として、第2観察用光学系22Bの光走査領域を第1観察用光学系13Bの光走査領域に合わせるアライメント工程(S100B)と、第1観察用光学系13Bの光走査領域と第2観察用光学系22Bの光走査領域との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに第1解析部10B及び第2解析部20Bの少なくとも一方から光を照射させ、電気信号取得部61によって半導体デバイスDからの電気信号を受ける解析工程(S110B)と、を有する。
【0175】
解析装置1Bは、第1観察用光学系13Bの光走査領域と第2観察用光学系22Bの光走査領域との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに光を照射する。従って、第1観察用光学系13Bと第2観察用光学系22Bとは、光走査領域が一致した状態であるので、半導体デバイスDの故障箇所を良好に検出することができる。
【0176】
<第4実施形態の半導体故障解析装置>
第4実施形態に係る半導体故障解析装置は、EOP又はEOFM(Electro-Optical Frequency Mapping)と称される光プロービング技術により故障箇所を特定する。また、EOFMを利用して、光学プローブ熱反射率イメージマッピング(optical probed thermo-reflectance image mapping:OPTIM)を行ってもよい。光プロービング技術は、目的とした周波数で動作している回路の位置を特定する。光プロービング技術では、光源から出射された光を集積回路に照射する。集積回路で反射された光は、光センサにより検出される。光センサから出力される検出信号から、目的とする周波数を有する信号成分を抽出する。抽出した信号成分の振幅エネルギーは、時間的な経過として表示される。また、抽出した信号成分の振幅エネルギーは、2次元のマッピングとして表示される。
【0177】
つまり、光プロービング技術は、駆動中の半導体デバイスDからの光の強度変調に基づいて、半導体デバイスDの故障を解析する。そこで、半導体故障解析装置は、所定の変調周波数を有する電気信号を半導体デバイスDに印加する。この場合の変調周波数は、熱源位置を特定する解析に用いられる刺激信号の周波数よりも高いことが多い。例えば、半導体故障解析装置は、刺激信号として半導体デバイスDの駆動信号と同等の周波数の駆動電流を与える。
【0178】
図15に示すように、第4実施形態の半導体故障解析装置(以下、「解析装置1C」と称する)は、第1解析部10Cと、第2解析部20Cと、デバイス配置部30と、計算機40と、刺激信号印加部60と、を含む。つまり、第4実施形態の解析装置1Cは、第3実施形態の解析装置1Bが有する電気信号取得部61を備えない。
【0179】
第1解析部10Cは、第1光源12Cと、第1観察用光学系13C(第1光学系)と、XYZステージ14(第1駆動部)と、第1カメラ15C(第1光検出部)と、を有する。第1光源12Cは、第2実施形態の第1光源12Bと同様である。第1観察用光学系13Cは、第2実施形態の第1観察用光学系13Bと同様である。第1カメラ15Cは、第2実施形態の第1カメラ15Bと同様である。
【0180】
第2解析部20Cは、第2光源21Cと、第2観察用光学系22C(第2光学系)と、第2カメラ24C(第2光検出部)と、を有する。第2光源21Cは、第2実施形態の第2光源21Bと同様である。第2観察用光学系22Cは、第2実施形態の第2観察用光学系22Bと同様である。第2カメラ24Cは、第2実施形態の第2カメラ24Bと同様である。
【0181】
なお、第1解析部10C又は第2解析部20Cの何れかは、故障箇所を示すマークを付す機能を有してもよい。つまり、第1解析部10C又は第2解析部20Cの何れかは、第1実施形態のマーキング部20が有するマーキング用のレーザ光源を有してもよい。
【0182】
<第4実施形態の半導体故障解析>
次に、解析装置1Cの解析処理について説明する。図16は、解析装置1Cを用いた解析処理の主要な工程を示すフロー図である。
【0183】
<アライメント工程S100C>
第4実施形態のアライメント工程S100Cは、第3実施形態のアライメント工程S100Bと同様である。従って、第4実施形態のアライメント工程S100Cが有する光走査領域を合わせる工程(S102C)は、第3実施形態の工程S102Bと同様である。
【0184】
<解析工程S110C>
次に、半導体デバイスDの故障箇所を特定する(S110C)。第1解析部10Cは、第1光源12Cからの光を第1光走査部13sによって半導体デバイスDに照射する。第1光源12Cが出力する光は、例えば530nm以上の波長帯の光である。なお、第1光源12Cが出力する光は、好ましくは1064nm以上の波長帯の光である。光は、半導体デバイスDの表面で反射する。反射した光は、第1解析部10Cに入射する。入射した光は、第1カメラ15Cによって検出される。第1カメラ15Cは、反射光に基づく情報を計算機40に出力する。計算機40の画像処理部41cは、第1カメラ15Cが出力した情報を利用して光学反射像を生成する。なお、この動作では、刺激信号印加部60は、刺激信号を出力しない。
【0185】
次に、刺激信号印加部60は、半導体デバイスDに対してテストパターンなどの刺激信号を出力する。刺激信号を受けた半導体デバイスDに対して、第1解析部10Cは、第1光源12Cからの光を照射する。この動作では、ユーザが選択した照射位置に第1光源12Cからの光が照射される。ユーザは、表示部41dに表示された光学反射像を見ながら、入力部41eを用いて照射位置を計算機40に入力してよい。第1カメラ15Cは、刺激信号を受けている半導体デバイスDからの反射光を検出する。そして、第1カメラ15Cは、計算機40に反射光に基づく情報を計算機40に出力する。
【0186】
刺激信号を受けている半導体デバイスDは、半導体デバイスDを構成する素子が動作している。素子が動作している半導体デバイスDからの反射光は、素子に動作に伴って変調されている。
【0187】
計算機40の画像処理部41cは、第1カメラ15Cが出力した検出信号を利用して、信号波形を生成する。画像処理部41cは、表示部41dに当該信号波形を表示する。そして、上述した光学反射像に基づき照射位置を変えながら、検出信号を取得すると共に信号波形を生成する。生成した信号波形を利用すると、故障個所を特定することができる。
【0188】
なお、画像処理部41cは、電気光学周波数マッピング画像(EOFM画像)を生成してもよい。EOFM画像とは、検出信号とテストパターンなどの刺激信号との位相差情報を、照射位置に関連づけて画像化したものである。この場合、位相差情報は、検出信号から抽出した交流成分から求めることができる。また、交流成分と同時に抽出した直流成分を照射位置に関連づけて画像化することにより光学反射像を得ることができる。そして、光学反射像にEOFM画像を重畳させた重畳画像を解析画像として用いることができる。
【0189】
また、第2解析部20Cにおいても、上述した第1解析部10Cにおける解析動作と同様の処理を行う。第1解析部10Cにおける解析動作と第2解析部20Cにおける解析動作とは、並行して行ってもよい。また、これらの動作は、交互に行ってもよい。
【0190】
<マーキング工程S120C>
第4実施形態のマーキング工程S120Cは、第2実施形態のマーキング工程S120Aと同様である。第2観察用光学系22Cによってマーキングを行う場合には、第2観察用光学系22Bは、マーキング用のレーザ光源とXYZステージと照明光源とを備えてもよい。
【0191】
解析装置1Cは、第1光走査部13sを有する第1観察用光学系13Cを介して半導体デバイスDに第1光源12Cで発生された光を照射し、第1光源12Cの光に応じて発生する半導体デバイスDからの第1応答光を第1カメラ15Cが受ける第1解析部10Cと、第2光走査部22sを有する第2観察用光学系22Cを介して半導体デバイスDに第2光源21Cで発生された光を照射し、第2光源21Cの光に応じて発生する半導体デバイスDからの第2応答光を第2カメラ24Cが受ける第2解析部20Cと、第1解析部10Cと第2解析部20Cとの間に配置されて、半導体デバイスDを保持すると共に、第1観察用光学系13Cの光走査領域と第2観察用光学系22Cの光走査領域との位置合わせのためのアライメントターゲット50が設けられたウェハチャック32を有し、ウェハチャック32が第1解析部10C及び第2解析部20Cに対して相対的に移動するデバイス配置部30と、半導体デバイスDに刺激信号を印加する刺激信号印加部60と、第1解析部10C、第2解析部20C、デバイス配置部30及び刺激信号印加部60に命令を出力する制御部41bと、を備える。アライメントターゲット50は、アライメントターゲット50の一方の側から第1解析部10Cによって検出可能であると共に、アライメントターゲット50の他方の側から第2解析部20Cによって検出可能である。制御部41bは、第1カメラ15Cがアライメントターゲット50を検出可能な位置にウェハチャック32を移動させた後に、アライメントターゲット50を基準として、第2観察用光学系22Cの光走査領域を第1観察用光学系13Cの光走査領域に合わせるアライメント命令を第2解析部20C及びデバイス配置部30に出力する。さらに、制御部41bは、第1観察用光学系13Cの光走査領域と第2観察用光学系22Cの光走査領域との位置関係を維持すると共に刺激信号を半導体デバイスDに印加させた状態で、半導体デバイスDに第1解析部10C及び第2解析部20Cの少なくとも一方から光を照射させ、半導体デバイスDからの第1応答光及び第2応答光の少なくとも一方を第1カメラ15C及び第2カメラ24Cの少なくとも一方で受ける解析命令を第1解析部10C、第2解析部20C、刺激信号印加部60及びデバイス配置部30に出力する。
【0192】
解析装置1Cを用いて半導体デバイスを解析する半導体故障解析方法は、第1カメラ15Cがアライメントターゲット50を検出可能な位置にウェハチャック32を移動させた後に、アライメントターゲット50を基準として、第2観察用光学系22Cの光走査領域を第1観察用光学系13Cの光走査領域に合わせるアライメント工程(S100C)と、第1観察用光学系13Cの光走査領域と第2観察用光学系22Cの光走査領域との位置関係を維持すると共に刺激信号を半導体デバイスDに印加させた状態で、半導体デバイスDに第1解析部10C及び第2解析部20Cの少なくとも一方から光を照射させ、半導体デバイスDからの第1応答光及び第2応答光の少なくとも一方を第1カメラ15C及び第2カメラ24Cの少なくとも一方で受ける解析工程(S110C)と、を有する。
【0193】
解析装置1Cは、第1観察用光学系13Cの光走査領域と第2観察用光学系22Cの光走査領域との位置関係を維持した状態で、半導体デバイスDに光を照射する。従って、第1観察用光学系13Cと第2観察用光学系22Cとは、光走査領域が一致した状態であるので、半導体デバイスDの故障箇所を良好に検出することができる。
【符号の説明】
【0194】
1,1A,1B,1C,1S…解析装置(半導体故障解析装置)、10…解析部、10A,10B,10C…第1解析部、11…テスタユニット、12…光源、13…観察用光学系(第1光学系)、14…XYZステージ(第1駆動部)、15…二次元カメラ(第1光検出部)、20…マーキング部、20A,20B,20C…第2解析部、21…レーザ光源、22…レーザマーキング用光学系(第2光学系)、23…XYZステージ(第2駆動部)、24…プロービングカメラ(第2光検出部)、25…照明光源、30…デバイス配置部、31…サンプルステージ、32…ウェハチャック、33…XY駆動部(第3の駆動部)、32a…デバイス保持部、32b…ターゲット穴、40…計算機、41a…条件設定部、41b…制御部、41c…画像処理部、41e…入力部、41d…表示部、50…アライメントターゲット、50a…光透過部、50b…不透明部、D…半導体デバイス、ME…メタル層、fp…故障箇所、mp…マーキング箇所。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16