(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】多状態電気化学セルを制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C25B 15/027 20210101AFI20240920BHJP
C25B 1/46 20060101ALI20240920BHJP
C25B 9/65 20210101ALI20240920BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20240920BHJP
C25B 15/00 20060101ALI20240920BHJP
C25B 15/023 20210101ALI20240920BHJP
C25B 15/029 20210101ALI20240920BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20240920BHJP
C25C 3/20 20060101ALI20240920BHJP
C25C 7/06 20060101ALI20240920BHJP
C25D 21/02 20060101ALI20240920BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20240920BHJP
C25D 21/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C25B15/027
C25B1/46
C25B9/65
C25B9/77
C25B15/00 303
C25B15/023
C25B15/029
C25B15/08 302
C25C3/20
C25C7/06 302
C25D21/02
C25D21/12 A
C25D21/14 D
(21)【出願番号】P 2021548229
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(86)【国際出願番号】 US2020018331
(87)【国際公開番号】W WO2020172066
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-13
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521362678
【氏名又は名称】アチニバージーチン インテレクチュアル プロパティー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウア シーナイ, デオイス チアライン マック シームイス
【審査官】黒木 花菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-026893(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104047026(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0292259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 15/08
C25B 9/77
C25B 15/027
C25B 15/029
C25B 9/65
C25B 1/46
C25B 15/023
C25D 21/02
C25D 21/12
C25D 21/14
C25C 3/20
C25C 7/06
C25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、前記システムは、
可変制御可能電力回路と、
前記可変制御可能電力回路に結合された電解セルであって、前記電解セルは、アノードとカソードとを備え、前記電解セルは、前記アノードと前記カソードとの間の電位差に依存して、それぞれの異なる時間に複数の動作状態のうちの異なるものにおいて動作するように構成されている、電解セルと、
電力回路コントローラであって、前記電力回路コントローラは、前記アノードと前記カソードとを横断して所与の電位差を印加し、前記所与の電位差に関連付けられた前記複数の動作状態のうちの特定のものにおいて前記電解セルの動作を開始することを前記可変制御可能電力回路に行わせ、前記複数の動作状態は、
着目生成物が前記電解セルによって生産される第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態と、
前記電解セルによる前記着目生成物の生産を支援するために不十分である第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態と
を備えている、電力回路コントローラと、
前記電解セルが前記生産状態で動作している間、および前記電解セルが前記アイドル状態で動作している間、前記電解セルのための生産プロセス条件の所定の組を維持するように構成された監視および制御サブシステムと
を備え、
前記生産プロセス条件の所定の組は、所定の動作温度範囲
および所定の濃度範囲を備え
、
前記生産プロセス条件の所定の組を維持することは、前記電解セルの原料内の活性種の濃度が前記所定の濃度範囲外であるという指示を受信することに応答して、前記原料内の前記活性種の濃度を増加または低減させ、前記原料内の前記活性種の濃度を前記所定の濃度範囲内の値に戻すことを含む、システム。
【請求項2】
前記電解セルは、各々が電気化学プロセスのための原料を備えている2つ以上のタンクと、前記タンク間のイオン伝導経路とを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記多状態電解セルにおける前記アノードと前記カソードとを横断する電位差は、集合的に制御可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記多状態電解セルの各々における前記アノードと前記カソードとを横断するそれぞれの電位差は、個々に制御可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記可変
制御可能電力
回路は、スケジュール不可能な電源から電力を受け取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記可変
制御可能電力
回路は、前記アノードと前記カソードとを横断して前記所与の電位差を印加するための電源を2つ以上の電源の中から選択するように制御可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記監視および制御サブシステムは、前記電解セルにおける電流条件の測定値を表すデータをセンサから受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電解セルは、再循環ループを備え、それを通して、
電気化学プロセスの出力が、入力として前記電解セルに返される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電解セルは、前記電解セルが前記生産状態で動作している間、第2の着目生成物を生産するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記生産状態は、前記電解セルが動作するように構成されている複数の生産状態のうちの1つであり、
前記電解セルが前記着目生成物を生産する率および前記電解セルが入力リソースを消費する率のうちの少なくとも1つは、前記電解セルが動作している前記生産状態のうちの前記1つに依存する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記生産状態は、前記電解セルが動作するように構成されている複数の生産状態のうちの1つであり、
前記電解セルは、複数の着目生成物を生産するように構成され、
前記電解セルによって生産される前記複数の着目生成物の相対量は、前記電解セルが動作している前記生産状態のうちの前記1つに依存する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記生産プロセス条件の所定の組は、
前記電解セル内の
ガスへの背圧に関する所定の圧力範囲
をさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
方法であって、前記方法は、
電解セルのアノードとカソードとを横断して第1のゼロではない電位差を印加し、着目生成物が前記電解セルによって生産される前記第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態で前記電解セルの動作を開始するように、可変制御可能電力回路を構成することと、
前記生産状態で前記電解セルを動作させ、前記着目生成物を生産することと、
前記生産状態で前記電解セルを動作させながら、前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して第2のゼロではない電位差を印加し、前記第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で前記電解セルの動作を開始するように、前記可変制御可能電力回路を構成することであって、前記第2のゼロではない電位差は、前記電解セルによる前記着目生成物の生産を支援するために不十分である、ことと、
前記アイドル状態で前記電解セルを動作させながら、前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して前記第1のゼロではない電位差を再印加し、前記電解セルを前記生産状態に戻すように、前記可変制御可能電力回路を構成することと
、
前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断する前記第1のゼロではない電位差の印加に先立って、所定の動作温度範囲および所定の濃度範囲を備えている生産プロセス条件の所定の組の下で動作するように、前記電解セルを構成することと、
前記電解セルが前記生産状態で動作している間、前記生産プロセス条件の所定の組を維持することと、
前記電解セルが前記アイドル状態で動作している間、前記生産プロセス条件の所定の組を維持することと
を含
み、
前記生産プロセス条件の所定の組を維持することは、前記電解セルの原料内の活性種の濃度が前記所定の濃度範囲外であるという指示を受信することに応答して、前記原料内の前記活性種の濃度を増加または低減させ、前記原料内の前記活性種の濃度を前記所定の濃度範囲内の値に戻すことを含む、方法。
【請求項14】
前記生産プロセス条件の所定の組を維持することは、温度が前記所定の動作温度範囲外であるという指示を受信することに応答して、加熱または冷却要素をアクティブにし、前記電解セルの温度を前記所定の動作温度範囲内の値に戻すことを
さらに含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
方法であって、前記方法は、
電解セルのアノードとカソードとを横断して第1のゼロではない電位差を印加し、着目生成物が前記電解セルによって生産される前記第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態で前記電解セルの動作を開始するように、可変制御可能電力回路を構成することと、
前記生産状態で前記電解セルを動作させ、前記着目生成物を生産することと、
前記生産状態で前記電解セルを動作させながら、前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して第2のゼロではない電位差を印加し、前記第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で前記電解セルの動作を開始するように、前記可変制御可能電力回路を構成することであって、前記第2のゼロではない電位差は、前記電解セルによる前記着目生成物の生産を支援するために不十分である、ことと、
前記アイドル状態で前記電解セルを動作させながら、前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して前記第1のゼロではない電位差を再印加し、前記電解セルを前記生産状態に戻すように、前記可変制御可能電力回路を構成することと、
前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断する前記第1のゼロではない電位差の印加に先立って、所定の動作温度範囲を備えている生産プロセス条件の所定の組の下で動作するように、前記電解セルを構成することと、
前記電解セルが前記生産状態で動作している間、前記生産プロセス条件の所定の組を維持することと、
前記電解セルが前記アイドル状態で動作している間、前記生産プロセス条件の所定の組を維持することと
を含み、
前記生産プロセス条件の所定の組を維持することは、
前記電解セル内のガスへの背圧が所定の圧力範囲外であるという指示を受信することに応答して、
前記ガスに背圧を印加し、または
前記背圧を低減させ、前記
ガスへの
前記背圧を前記所定の圧力範囲内の値に戻すことを含む、
方法。
【請求項16】
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して前記第1のゼロではない電位差を印加するように、前記可変制御可能電力回路を構成することは、前記複数の多状態電解セルの各々の前記アノードおよび前記カソードを横断してそれぞれの電位差を集合的に制御することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して前記第1のゼロではない電位差を印加するように、前記可変制御可能電力回路を構成することは、前記複数の多状態電解セルの各々の前記アノードおよび前記カソードを横断してそれぞれの電位差を個々に制御することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学生産プロセスに関し、より具体的に、生産プロセス条件の所定の組の下で生産状態およびアイドル状態の両方において動作する電解セルにおける電気化学生産プロセスを制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解は、種々の金属および非金属の生産のために多くの業界で使用される。例えば、ナトリウム、塩素、マグネシウム、フッ素、およびアルミニウムが、電解を使用して商業的に生産される。既存の電解セルでは、電極間の電位差が減少するにつれて、温度、圧力、pH、または活性種濃度等の生産プロセス条件が変化する。これらの既存の電解セルを用いると、セルが着目生成物を生産する電流および電圧値の限定された範囲が存在する。例えば、これらの電解セル内の電流が、臨界点を下回って降下する場合、電解セルのイオン勾配は、減少し、最終的に、荷電層を崩壊させ、究極的に、圧潰させ、セルに不可逆的損傷を引き起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一側面では、開示されるシステムは、可変制御可能電力回路と、可変制御可能電力回路に結合され、アノードとカソードとを含む電解セルとを含む。電解セルは、アノードとカソードとの間の電位差に依存するそれぞれの異なる時間に複数の動作状態のうちの異なるものにおいて動作するように構成される。システムはさらに、可変制御可能電力回路に、アノードとカソードとを横断して所与の電位差を印加させ、所与の電位差に関連付けられた複数の動作状態のうちの特定のものにおいて電解セルの動作を開始する、電力回路コントローラを含む。複数の動作状態は、着目生成物が電解セルによって生産される第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態と、着目生成物が電解セルによって生産されない第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態とを含む。
【0004】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、システムはさらに、電解セルが生産状態で動作している間、および電解セルがアイドル状態で動作している間、電解セルのための生産プロセス条件の所定の組を維持するように構成された監視および制御サブシステムを含み得る。生産プロセス条件の所定の組は、所定の動作温度範囲を含み得る。
【0005】
別の側面では、開示される方法は、電解セルのアノードとカソードとを横断して第1のゼロではない電位差を印加し、着目生成物が状態電解セルによって生産される第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態で電解セルの動作を開始するように、可変制御可能電力回路を構成することと、着目生成物の生産を開始することと、着目生成物の生産を開始することに続いて、電解セルのアノードとカソードとを横断して第2のゼロではない電位差を印加し、着目生成物が電解セルによって生産されない第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で電解セルの動作を開始するように、可変制御可能電力回路を構成することとを含む。
【0006】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、方法はさらに、電解セルのアノードとカソードとを横断する第1のゼロではない電位差の印加に先立って、所定の動作温度範囲を備えている、生産プロセス条件の所定の組の下で動作するように、電解セルを構成することを含み得る。方法はまた、電解セルが生産状態で動作している間、生産プロセス条件の所定の組を維持することと、電解セルがアイドル状態で動作している間、生産プロセス条件の所定の組を維持することとを含み得る。
【0007】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、各々が電気化学プロセスのための原料を備えている2つ以上のタンクと、タンク間のイオン伝導経路とを含み得る。
【0008】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり得る。多状態電解セルにおけるアノードとカソードとを横断する電位差は、集合的に制御可能であり得る。
【0009】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり得る。多状態電解セルの各々におけるアノードとカソードとを横断するそれぞれの電位差は、個々に制御可能であり得る。
【0010】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、可変電力制御回路は、スケジュール不可能な電源から電力を受け取り得る。
【0011】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、可変電力制御回路は、可変制御可能電力回路によってアノードとカソードとを横断して印加される所与の電位差に下限を課す、分極整流器を含み得る。
【0012】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、可変電力制御回路は、2つ以上の電源の中から、アノードとカソードとを横断して所与の電位差を印加するための電源を選択するように制御可能であり得る。
【0013】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、監視および制御サブシステムは、多状態電解セルにおける電流条件の測定値を表すデータをセンサから受信し得る。
【0014】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、生産プロセス条件の所定の組を維持することは、多状態電解セルの温度が所定の温度範囲外であるという指示を受信することに応答して、加熱または冷却要素をアクティブにし、多状態電解セルの温度を所定の温度範囲内の値に戻すことを含み得る。
【0015】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、生産プロセス条件の所定の組を維持することは、多状態電解セル内のヘッドガス圧が所定の圧力範囲外であるという指示を受信することに応答して、多状態電解セル内のヘッドガスに背圧を印加し、またはそれを低減させ、多状態電解セル内のヘッドガス圧を所定の圧力範囲内の値に戻すことを含み得る。
【0016】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、生産プロセス条件の所定の組を維持することは、原料内の活性種濃度が所定の濃度範囲外であるという指示を受信することに応答して、多状態電解セルの原料内の活性種の濃度を増加または低減させ、原料内の活性種濃度を所定の濃度範囲内の値に戻すことを含み得る。
【0017】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、生産プロセス条件の所定の組を維持することは、多状態静的電解セルのpHが所定の温度範囲外であるという指示を受信することに応答して、酸または塩基を電解質に添加し、多状態電解セルのpHを所定のpH範囲内の値に戻すことを含み得る。
【0018】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、それを通して電気化学プロセスの出力が入力として多状態電解セルに返される、再循環ループを含み得る。
【0019】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、電解セルが生産状態で動作している間、第2の着目生成物を生産するように構成され得る。
【0020】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、生産状態は、多状態電解セルが動作するように構成されている複数の生産状態のうちの1つであり得、多状態電解セルが着目生成物を生産する率または多状態電解セルが入力リソースを消費する率は、多状態電解セルが動作している生産状態のうちの1つに依存し得る。
【0021】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、生産状態は、多状態電解セルが動作するように構成されている複数の生産状態のうちの1つであり得、電解セルは、複数の着目生成物を生産するように構成され得、多状態電解セルによって生産される複数の着目生成物の相対量は、多状態電解セルが動作している生産状態のうちの1つに依存し得る。
【0022】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、着目生成物は、ガスであるか、または、それを含み得る。
【0023】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、着目生成物は、固体であり得るか、それを含み得るか、またはそれになり得る。
【0024】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、着目生成物は、液体であり得るか、それを含み得るか、またはそれになり得る。
【0025】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、着目生成物は、精製または修飾原料であるか、または、それを含み得る。
【0026】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、水溶液の電解を使用して、着目生成物を生産するように構成され得る。
【0027】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、非水溶液の電解を使用して、着目生成物を生産するように構成され得る。
【0028】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、塩素アルカリ生産プロセスのために構成され得、生産状態で動作するとき、着目生成物として塩素、アルカリ、および水素を生産し得る。
【0029】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、溶融塩の電解を使用して、着目生成物として金属を抽出するように構成され得る。
【0030】
開示される実施形態のうちのいずれかでは、電解セルは、電気めっきプロセスを使用して、着目生成物を生産するように構成され得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
システムであって、前記システムは、
可変制御可能電力回路と、
前記可変制御可能電力回路に結合された電解セルであって、前記電解セルは、アノードとカソードとを備え、前記電解セルは、前記アノードと前記カソードとの間の電位差に依存して、それぞれの異なる時間に複数の動作状態のうちの異なるものにおいて動作するように構成されている、電解セルと、
電力回路コントローラであって、前記電力回路コントローラは、前記アノードと前記カソードとを横断して所与の電位差を印加し、前記所与の電位差に関連付けられた前記複数の動作状態のうちの特定のものにおいて前記電解セルの動作を開始することを前記可変制御可能電力回路に行わせ、前記複数の動作状態は、
着目生成物が前記電解セルによって生産される第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態と、
前記電解セルによる前記着目生成物の生産を支援するために不十分である第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態と
を備えている、電力回路コントローラと、
前記電解セルが前記生産状態で動作している間、および前記電解セルが前記アイドル状態で動作している間、前記電解セルのための生産プロセス条件の所定の組を維持するように構成された監視および制御サブシステムと
を備え、
前記生産プロセス条件の所定の組は、所定の動作温度範囲を備えている、システム。
(項目2)
前記電解セルは、各々が電気化学プロセスのための原料を備えている2つ以上のタンクと、前記タンク間のイオン伝導経路とを備えている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記多状態電解セルにおける前記アノードと前記カソードとを横断する電位差は、集合的に制御可能である、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記多状態電解セルの各々における前記アノードと前記カソードとを横断するそれぞれの電位差は、個々に制御可能である、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記可変電力制御回路は、スケジュール不可能な電源から電力を受け取るように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記可変電力制御回路は、前記アノードと前記カソードとを横断して前記所与の電位差を印加するための電源を2つ以上の電源の中から選択するように制御可能である、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記監視および制御サブシステムは、前記電解セルにおける電流条件の測定値を表すデータをセンサから受信するように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記電解セルは、再循環ループを備え、それを通して、前記電気化学プロセスの出力が、入力として前記電解セルに返される、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記電解セルは、前記電解セルが前記生産状態で動作している間、第2の着目生成物を生産するように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記生産状態は、前記電解セルが動作するように構成されている複数の生産状態のうちの1つであり、
前記電解セルが前記着目生成物を生産する率および前記電解セルが入力リソースを消費する率のうちの少なくとも1つは、前記電解セルが動作している前記生産状態のうちの前記1つに依存する、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記生産状態は、前記電解セルが動作するように構成されている複数の生産状態のうちの1つであり、
前記電解セルは、複数の着目生成物を生産するように構成され、
前記電解セルによって生産される前記複数の着目生成物の相対量は、前記電解セルが動作している前記生産状態のうちの前記1つに依存する、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記生産プロセス条件の所定の組は、
前記電解セル内のヘッドガスへの背圧に関する所定の圧力範囲と、
前記電解セルの原料内の活性種の濃度に関する所定の濃度範囲と
のうちの少なくとも1つをさらに備えている、項目1に記載のシステム。
(項目13)
方法であって、前記方法は、
電解セルのアノードとカソードとを横断して第1のゼロではない電位差を印加し、着目生成物が前記電解セルによって生産される前記第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態で前記電解セルの動作を開始するように、可変制御可能電力回路を構成することと、
前記生産状態で前記電解セルを動作させ、前記着目生成物を生産することと、
前記生産状態で前記電解セルを動作させながら、前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して第2のゼロではない電位差を印加し、前記第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で前記電解セルの動作を開始するように、前記可変制御可能電力回路を構成することであって、前記第2のゼロではない電位差は、前記電解セルによる前記着目生成物の生産を支援するために不十分である、ことと、
前記アイドル状態で前記電解セルを動作させながら、前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して前記第1のゼロではない電位差を再印加し、前記電解セルを前記生産状態に戻すように、前記可変制御可能電力回路を構成することと
を含む、方法。
(項目14)
前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断する前記第1のゼロではない電位差の印加に先立って、所定の動作温度範囲を備えている生産プロセス条件の所定の組の下で動作するように、前記電解セルを構成することをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記電解セルが前記生産状態で動作している間、前記生産プロセス条件の所定の組を維持することと、
前記電解セルが前記アイドル状態で動作している間、前記生産プロセス条件の所定の組を維持することと
をさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記生産プロセス条件の所定の組を維持することは、温度が前記所定の動作温度範囲外であるという指示を受信することに応答して、加熱または冷却要素をアクティブにし、前記電解セルの温度を前記所定の動作温度範囲内の値に戻すことを含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記生産プロセス条件の所定の組を維持することは、ヘッドガスへの背圧が所定の圧力範囲外であるという指示を受信することに応答して、前記電解セル内のヘッドガスに背圧を印加し、またはそれを低減させ、前記ヘッドガスへの背圧を前記所定の圧力範囲内の値に戻すことを含む、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記生産プロセス条件の所定の組を維持することは、原料内の活性種の濃度が所定の濃度範囲外であるという指示を受信することに応答して、前記電解セルの原料内の前記活性種の濃度を増加または低減させ、前記原料内の前記活性種の濃度を前記所定の濃度範囲内の値に戻すことを含む、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して前記第1のゼロではない電位差を印加するように、前記可変制御可能電力回路を構成することは、前記複数の多状態電解セルの各々の前記アノードおよび前記カソードを横断してそれぞれの電位差を集合的に制御することを含む、項目13に記載の方法。
(項目20)
前記電解セルは、各々がそれぞれのアノードとそれぞれのカソードとを備えている複数の多状態電解セルのうちの1つであり、
前記電解セルの前記アノードと前記カソードとを横断して前記第1のゼロではない電位差を印加するように、前記可変制御可能電力回路を構成することは、前記複数の多状態電解セルの各々の前記アノードおよび前記カソードを横断してそれぞれの電位差を個々に制御することを含む、項目13に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明およびその特徴および利点のより完全な理解のために、ここで、付随する図面と併せて解釈される、以下の説明が参照される。
【0032】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用して着目生成物を生産するためのシステムの選択された要素を図示するブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルシステムの選択された要素を図示するブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用する電気化学プロセスに関する生産曲線を図示する。
【
図4-1】
図4A-4Dは、本開示のいくつかの実施形態による、塩素アルカリプロセスのための多状態電解セルシステム400の選択された要素を図示するブロック図である。
【
図4-2】
図4A-4Dは、本開示のいくつかの実施形態による、塩素アルカリプロセスのための多状態電解セルシステム400の選択された要素を図示するブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、3つの多状態電解セルを含む電解セルアセンブリの選択された要素を図示するブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、3つの多状態電解セルを含むマクロセルの選択された要素を図示するブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、高温アルミニウム生産プロセスのための多状態電解セルシステムの選択された要素を図示するブロック図である。
【
図8】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルシステムの選択された要素を図示するブロック図である。
【
図9】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、電気めっきプロセスのための多状態電解セルシステム900の選択された要素を図示するブロック図である。
【
図10】
図10は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用する電気めっきプロセスに関する生産曲線を図示する。
【
図11】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用する電気化学プロセスを制御する方法の選択された要素を図示するフロー図である。
【
図12】
図12は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルの生産プロセス条件の組を維持する方法の選択された要素を図示するフロー図である。
【
図13】
図13は、本開示のいくつかの実施形態による、多状態電解セルのためのリアルタイム監視および制御サブシステムの選択された要素を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明では、詳細が、開示される主題の議論を促進するために一例として記載される。しかしながら、開示される実施形態が、全ての可能な実施形態のうちで包括的ではなく例示的であることが、当業者に明白となるはずである。
【0034】
電気化学が、水酸化ナトリウムおよびカリウム、塩素、フッ素、硫酸、マグネシウム、およびアルミニウムを含む、種々の金属および非金属の生産のために多くの業界で使用される。一実施例では、電解セルは、塩素アルカリ生産プロセス等において、水溶液の電解を使用して、着目生成物を生産するように構成され得る。別の実施例では、電解セルは、溶融塩の電解を使用して、着目生成物として金属を抽出するように構成され得る。さらに別の実施例では、電解セルは、電気めっきプロセスを使用して、着目生成物を生産するように構成され得る。これらおよび他のタイプの電気化学プロセスでは、時としてカットイン電圧とも称される、少なくとも所定の量の電位差が、1つ以上の着目生成物の生産を開始するように、電解セルの電極を横断して印加され得る。
【0035】
既存の電解セルでは、損傷、安全性の問題、または他の懸念を引き起こすことなく、セルが着目生成物を生産する、電流および電圧値の限定された範囲が存在する。これらの電解セル内の電流が、臨界点を下回って降下する場合、電解セルのイオン勾配または荷電層が機能しなくなり、セルに不可逆的損傷を引き起こす。これらの既存のセルの生産を停止させるために、電極を横断する電位差は、ゼロにされ、その後、生産を再開することは、高価かつ時間がかかる動作である。したがって、計画外の動作停止を回避するために、これらの既存の電解セルを使用する電気化学プラントは、電解セルに供給される電力を完全に制御する能力に依拠しなければならない。
【0036】
既存の電気化学プラントと異なり、本明細書に説明されるシステムは、電極を横断する電位差が1つまたは複数の着目生成物の生産のために十分ではないときでさえも、生産の準備ができた条件で多状態電解セルを維持する能力を有し得る。例えば、これらのシステムは、温度、圧力、pH、イオン強度、濁度、または活性種濃度等の生産プロセス条件の所定の組が満たされているかどうかを検出し、該当しない場合、是正措置を開始し、多状態電解セルを生産プロセス条件の所定の組に戻すための監視および制御サブシステムを含み得る。生産プロセス条件の所定の組は、多状態電解セルが、1つ以上の着目生成物が生産されている、第1のゼロではない電位差値に関連付けられた生産状態で動作している間、および多状態電解セルが、1つまたは複数の着目生成物が生産されていない、第2のより低いゼロではない電位差値に関連付けられた安全なアイドル状態で動作している間に維持され得る。
【0037】
多状態電解セルが、アイドル状態で動作している間に生産の準備ができた条件で維持されるため、生産は、任意の時間において迅速に再開され、これらのシステムが、生産されている着目生成物または多状態電解セル自体を損傷することなく、アイドル状態と生産状態との間で繰り返して頻繁に前後に切り替わることを可能にし得る。結果は、完全に削減可能かつ実行可能である、可逆的プロセスである。生産されている生成物または多状態電解セル自体に損傷を引き起こすことなく、アイドル状態と生産状態との間で繰り返して頻繁に切り替わる能力は、電気化学プラントが、生産されている着目生成物を破壊することなく、または多数の電解セルを含む繊細かつ高価な機器を損傷することなく、プラントに供給される電力の可用性または価格の変化に動的に反応することを可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、電気化学プラントは、スケジュール不可能な電源によってプラントに供給される電力の可用性または価格の変化に動的に反応し得る。
【0038】
図1は、いくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用して着目生成物を生産するためのシステム100の選択された要素を図示するブロック図である。
図1に図示されるように、システム100は、多状態電解セル112を使用して着目生成物140を生産する、電気化学プラント110を含み得る。例えば、電気化学プラント110は、水溶液の電解、溶融塩の電解、電気めっきプロセス、またはカットイン電圧を有する別の電気化学プロセスを使用して、着目生成物を生産し得る。多状態電解セル112は、異なる時間において、着目生成物140が生産される生産状態、および着目生成物140が生産されないが、多状態電解セル112の生産プロセス特性が維持される、安全なアイドル状態で動作し得る。例えば、限定ではないが、多状態電解セルが生産状態で動作している間の着目生成物140の生産のために好適な温度範囲、ヘッドガス圧の範囲、pH範囲、イオン強度を表す値の範囲、または活性種濃度範囲を含む、生産プロセス条件の所定の組はまた、多状態電解セルがアイドル状態で動作している間に維持され得る。これは、電気化学プラント110内の着目生成物140の生産が、アイドル状態から生産状態に切り替わるときに迅速に再開することを可能にし得る。
【0039】
図1に図示されるように、システム100は、スケジュール不可能な電源120と、スケジュール不可能な電源120を電気化学プラント110に結合および結合解除するためのスイッチ125を含む電力伝送経路122とを含み得る。図示される実施形態では、スケジュール不可能な電源は、複数の風力タービンを備えている風力発電所として描写される。他の実施形態では、スケジュール不可能な電源は、集光型太陽光発電システム、光起電力システム、または別のタイプのスケジュール不可能な電源であるか、または、それを含み得る。システム100はまた、電力網130と、電力網130を電気化学プラント110に結合および結合解除するためのスイッチ132を含む電力伝送経路135とを含み得る。いくつかの実施形態では、電力網130は、電力を受け取るその能力が限定され得る。いくつかの実施形態では、システム100は、スケジュール不可能な電源120を電力網130に結合および結合解除するためのスイッチ115を含む電力伝送経路114を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、スケジュール不可能な電源120は、電力を電力網130に供給し得る電気化学プラント110は、電力網130から電力を受け取り得るその量または価格は、スケジュール不可能な電源120によって電力網130に供給される電力の可用性および需要に基づく。アイドル状態から生産状態に切り替わるとき、電気化学プラント110内の着目生成物140の生産を迅速に再開する能力は、電気化学プラント110が電力の可用性および需要の変動を利用し、着目生成物を生産するコストを最小限にすることを可能にし得る。例えば、電気化学プラント110は、配電網130によって供給される電力の需要および対応する価格が低いとき、生産状態で動作し、配電網130によって供給される電力を受け取り得る配電網130によって供給される電力の需要および対応する価格が高いとき、着目生成物が生産されないアイドル状態に切り替わってもよい。別の実施例では、電気化学プラント110は、スケジュール不可能な電源120によって発生される電力の需要および価格が低いとき、生産状態で動作し、スケジュール不可能な電源120によって直接または間接的に供給される電力を受け取り得るスケジュール不可能な電源120によって発生される電力の需要および対応する価格が高いとき、着目生成物が生産されないアイドル状態に切り替わり得、スケジュール不可能な電源120によって発生される電力の需要および価格が再び下落するとき、生産状態に戻るように切り替わり、スケジュール不可能な電源120によって直接または間接的に供給される電力を受け取り得る。
【0041】
システム100は、プロセス入力150を電気化学プラント110に選択的に提供するための弁155を含む、入力リソースパイプ152を含み得る。入力リソースパイプ152は、それを通してそれぞれのプロセス入力が電気化学プラント110に提供されるいくつかのパイプ、ポータル、または他の運搬機構のうちの1つであり得る。プロセス入力150は、限定ではないが、熱源、冷却源、塩水または別のタイプの原料、多状態電解セル112内の電解質を補充するための活性種、酸または塩基等の添加物、電気化学プロセスの再生利用される出力、または電気化学プロセスから回収されるガスを含む、着目生成物140を生産するため、または生産プロセス条件の所定の組を維持するために要求される、任意または全てのリソースを含み得る。
【0042】
システム100は、電気化学プラント110によって生産される着目生成物140を選択的に出力するための弁145を含む生成物出力パイプ142を含み得る。いくつかの実施形態では、電気化学プロセスによって生産される2つ以上の着目生成物が存在し得る。そのような実施形態では、出力リソースパイプ142は、それを通して電気化学プロセスのそれぞれの生成物が電気化学プラント110から出力されるいくつかのパイプ、ポータル、または他の運搬機構のうちの1つであり得る。種々の実施形態では、着目生成物は、固体、液体、またはガスであるか、または、それを含み得る。1つ以上の着目生成物が、生産状態である間およびアイドル状態である間に生産プロセス条件の所定の組の下で動作する多状態電解セルによって生産されるシステムの実施例が、
図2、4A、4B、5、6、7、8、9に図示され、下記に説明される。
【0043】
多くの既存の電解セルのように、本明細書に説明される多状態電解セルは、各々が電解質溶液を含む2つのタンクと、タンクの外側の直流(DC)電源に結合される2つの電極と、2つのタンクの間のイオン伝導性経路とを含み得る。電極を横断する電位差が、多状態電解セルによる着目生成物の生産のために好適であるとき、電子が、イオン伝導性経路を横断して移送される。還元・酸化またはレドックス反応によると、還元生成物が、電子を獲得するイオン伝導性経路の側面上で生産され、酸化生成物が、電子を失うイオン伝導性経路の側面上で生産される。本明細書に説明される多状態電解セルによって生産される生成物は、商業的着目生成物としての流通のために後処理され得る。例えば、それらは、異なる実施形態では、蒸留される、濾過される、清浄化される、分離される、圧縮される、加熱される、冷却される、他の原料と反応される、または別様に流通のために処理され得る。
【0044】
図2は、いくつかの実施形態による、多状態電解セルシステム200の選択された要素を図示するブロック図である。
図1に図示されるように、多状態電解セルシステム200は、完全に削減可能かつ実行可能である電気化学プロセスを通して1つ以上の着目生成物を生産するための多状態電解セル202と、可変制御可能電力回路218と、ブリード回路216とを含み得る。多状態電解セル202はまた、カソード212およびアノード214として示される、2つの電極と、それを通していくつかのイオンが横断し得るが、他のイオンおよび電子が横断することができない、イオン経路210の両側の電解質の間のイオン経路210とを含む。図示される実施形態では、イオン経路210は、膜である。他の実施形態では、イオン経路210は、塩橋、ガラス管、または任意の他の好適な荷電平衡機構であり得る。
【0045】
可変制御可能電力回路218は、多状態電解セル202の複数の動作状態のうちのそれぞれのものとそれぞれ関連付けられる、異なる時間においてカソード212およびアノード214を横断して異なる電位差を印加するように構成され得る。ある実施形態では、またはある時間において、可変制御可能電力回路218は、
図1に図示される電力網130等の電力網から電力を供給され得る。ある実施形態では、またはある時間において、可変制御可能電力回路218は、
図1に図示され、上記に説明されるスケジュール不可能な電源120等のスケジュール不可能な電源によって発生される電力を供給され得る。いくつかの実施形態では、またはある時間において、可変制御可能電力回路218は、複数の利用可能な電源から電力を供給され得、電極を横断する所与の電位差の印加のための電源を選択し、特定の動作状態で多状態電解セル202の動作を開始し得る。可変制御可能電力回路218は、カソード212およびアノード214を横断して印加される電位差および電力源を制御するための任意の好適なカスタムまたは市販の技術を含み得る。例えば、出力電圧または電流は、ノブまたは他の機械的切り替え要素等の機械的手段を使用して、または1つ以上の制御信号を使用して、プログラムされ得る。同様に、電力源は、ノブまたは他の機械的切り替え要素等の機械的手段を使用して、または1つ以上の制御信号を使用して、選択され得る。可変制御可能電力回路によってカソード212およびアノード214を横断して印加される電位差および電力源は、可変制御可能電力回路218内の電力回路コントローラ等によって、ローカルで制御され得る、または異なる実施形態では、多状態電解セルシステム200の別のコンポーネントから、または遠隔コンポーネントから可変制御可能電力回路218によって受信されるデジタルまたはアナログ制御信号によって制御され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、可変制御可能電力回路218は、多状態電解セル202が動作している、複数の動作状態のうちのいずれかを決定するように構成される状態モニタを含み得る。いくつかの実施形態では、状態モニタは、218内の電力回路コントローラの要素であり得る。他の実施形態では、状態モニタは、多状態電解セルシステム200の別の部分内のリアルタイム監視および制御サブシステムの要素であり得る。いくつかの実施形態では、状態モニタは、多状態電解セル202の動作状態の指示を1つ以上のリアルタイム監視および制御サブシステムに、または多状態電解セルシステム200の別のコンポーネントに提供し得る。
【0047】
多状態電解セル202の動作状態は、着目生成物が生産され、多状態電解セル202の生産プロセス条件の所定の組が維持される1つ以上の生産状態を含み得る。例えば、1つ以上の生産状態のそれぞれにおける多状態電解セル202の動作中、温度、ヘッドガス圧、pH、イオン強度、濁度、および活性種濃度のうちのいずれかまたは全てが、着目生成物の生産のために好適な所定の範囲内で維持され得る。動作状態はまた、着目生成物が生産されないが、多状態電解セル202の生産プロセス条件の所定の組が維持されるアイドル状態を含み得る。例えば、温度、ヘッドガス圧、pH、イオン強度、濁度、および活性種濃度は、多状態電解セルが生産状態のうちのいずれかで動作しているときと同一の所定の範囲内で維持され得る。第1のゼロではない電位差が、カソード212およびアノード214を横断して印加されるとき、これは、特定の生産状態で着目生成物の生産を開始し得る。第1のゼロではない電位差よりも低い第2のゼロではない電位差が、カソード212およびアノード214を横断して印加されるとき、これは、アイドル状態で動作を開始し得る。いくつかの実施形態では、電極は、活性化電位または過電位を最小限にするように設計される、分極可能電極であり得る。いくつかの実施形態では、多状態電解セル202は、3つ以上の電極を含み得る。
【0048】
多状態電解セル202は、水性または溶融電解質溶液内の活性種等の原料220をそれぞれ含む、1つ以上のタンクを含み得る。例えば、多状態電解セル202が、電気めっきプロセスのために構成される場合、多状態電解セル202は、単一のタンクのみを含み得る。他方では、多状態電解セル202が、種々の水性または溶融塩ベースの電気化学プロセスのうちのいずれかのために構成される場合、これは、2つ以上のタンクを含み得る。例えば、BPMED(双極膜電気透析)のために構成されるとき、多状態電解セル202は、3つのタンクを含み得る。他の実施形態では、多状態電解セル202は、4つ以上のタンクを含み得る。2つ以上のタンクまたはドメインが存在するいくつかの実施形態では、タンクは、最初に同一の原料を含有し得るが、2つのタンク内の原料の組成は、それらが続いて異なるように、着目生成物の生産の間に変化し得る。2つ以上のタンクが存在する、いくつかの実施形態では、タンクは、最初に異なる原料を含有し得る。いくつかの実施形態では、多状態電解セル202は、ガス状電解質を含み得る。いくつかの実施形態では、多状態電解セル202は、固体酸化物電気化学セル内等に固体電解質を含み得る。
【0049】
図2に図示されるように、多状態電解セルシステム200は、カソード212に結合され、可変制御可能電力回路218の出力と並列であるブリード回路216を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、多状態電解セル202が、カソード212およびアノード214を横断する電位差が半セル電位を下回る、アイドル状態で動作しているとき、電位差は、依然として、電荷を多状態電解セル202のケーシング、ボルト、または他の金属コンポーネント上に蓄積させるために十分である。容量および抵抗要素を含む、ブリード回路216は、多状態電解セル202がアイドル状態で動作している間に蓄積する電荷が、接地まで放電することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、多状態電解セルシステム200は、ブリード回路216によって発生される熱を捕捉し、多状態電解セルシステム200を加熱するように構成され得る。
【0050】
図3は、いくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用する電気化学プロセスに関する生産曲線300を図示する。より具体的に、生産曲線300は、多状態電解セル内に流動する電流(i)を、多状態電解セルのアノードとカソードとの間の対応する電位差(V)にマップする。生産曲線に沿った特定の点は、多状態電解セルのそれぞれの動作状態を表す。
【0051】
図3では、y軸上で302として標識される電流値は、セルに関する最大電流限界を表し得る。生産曲線上の点308は、本明細書に説明されるような、アノードとカソードとの間の電位差および多状態電解セル内に流動する電流が両方ともゼロである点を表し得る。x軸上で312として標識される電圧値は、多状態電解セルに関する半セル電位、すなわち、E
1/2を表し得る。いくつかの実施形態では、これは、多状態電解セルが妥当な品質を伴う着目生成物を生産し始める、電位差に対応し得る。
【0052】
生産曲線上の点324は、着目生成物が多状態電解セルによって生産される第1の標識生産状態を表す。本点における電位差は、x軸上で314として示される。同様に、点326は、x軸上で316として示される電位差に関連付けられた第2の標識生産状態を表し、点328は、x軸上で318として示される電位差に関連付けられた第3の標識生産状態を表し、点330は、x軸上で320として示される電位差に関連付けられた第4の標識生産状態を表し、点332は、x軸上で334として示される電位差に関連付けられた第5の標識生産状態を表す。生産状態324-332の全てでは、多状態電解セルは、同一の所定の生産プロセス条件下で動作し、着目生成物を生産し得る。しかしながら、着目生成物の生産率およびプロセスリソースが消費される率は、生産状態324-332のうちの異なるものにおいて異なり得る。いくつかの実施形態では、より低い電位差において動作するために、限定ではないが、ブリード率を増加させること、寄生負荷を増加させること、背圧を発生させ、印加すること、pHの平衡を保つこと、活性種濃度を調節すること、または加熱または冷却要素をアクティブにすることを含む、1つ以上のアクションが、所定の生産プロセス条件を維持するように講じられる必要があり得る。したがって、種々のリソースの消費は、変化するであろう。塩素アルカリプロセスを伴う一実施例では、塩素、ヨウ素、フッ素、または他の還元生成物のより低い生産において流率を維持するために、塩水が、より高い率において酸性化される必要があり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、点332は、着目生成物の生産率が最大限にされる、生産状態に対応し得る。2つ以上の着目生成物が生産される実施形態では、多状態電解セルは、異なる生産状態のそれぞれにおいてわずかに異なる生成物混合物を生産し得る。例えば、電解質が、複数の活性種を伴う複合溶液であり、多状態電解セルが、高い電位差において動作している場合、多状態電解セルは、ある割合または相対量の各生成物を含む、生成物の混合を生産し得る。しかしながら、電位差が、より低いとき、多状態電解セルは、生成物の異なる混合、またはより高い電位差において生産されるであろう異なる割合または相対量の各生成物を含む生成物の混合を生産し得る。いくつかの実施形態では、任意の数の化合物を含む、廃水等の多化学電解質を取り扱うとき、「最適」状態が存在しない場合がある。任意の所与の電位差に関して、セルは、電位差に依存する比で多くの生成物を生産し得る。
【0054】
図3では、生産曲線上の点322は、いずれの着目生成物も生産されないアイドル状態を表すが、多状態電解セルがアイドル状態で動作するプロセス条件は、多状態電解セルが生産状態で動作する所定の生産プロセス条件と同一である。例えば、温度、pH、活性種濃度、イオン強度、およびヘッドガス圧は、多状態電解セルが生産状態324-332のうちのいずれかで動作しているときと同一の所定の範囲内で維持され得る。
図3に図示されるように、多状態電解セルが(点322において)アイドル状態で動作しているときの電位差は、E
1/2点(312)を十分に下回り得る。アイドル状態で多状態電解セルを通して流動する電流は、y軸上で電流値306として示される。アイドル状態時の対応する電位差は、x軸上で電位差310として示される。
【0055】
いくつかの既存の電解セルに関して、セルが着目生成物を生産する、電流および電圧値の限定された範囲が存在する。これらの既存の電解セルを用いると、生産プロセス条件は、電極の間の電位差が減少するにつれて変化する。例えば、
図3のy軸上で304として標識される電流値は、電流を表し得、それを下回ると、既存の電解セルでは、時として荷電層とも称される、電解セルのイオン勾配が妨害され、機能しなくなり始める。荷電層がなくなると、電極に対する活性種の濃度、電解質のpHの変化、電解質溶液のオスモル濃度の変化、還元電位の変化、および電極を腐食させ始める化学的活動の変化を含む、セルに不可逆的な損傷を引き起こす、変化の連鎖が生じ得る。最終的に、活性中間体が電流を逆転させ始め得るように、電解質内に過剰に多くの活性種が存在し得る。最大電流限界と荷電層が既存の電解セル内で妨害される電流との間の関係は、電解セルの特定の化学性質に依存し得る。例えば、塩素アルカリプロセスのために構成される既存の電解セルに関して、荷電層が妨害される点における電流は、最大電流限界の約20%であり得る。他の化学性質を有する既存の電解セルに関して、荷電層が妨害される点における電流は、電解セルに関する最大電流限界の20%を上回る、またはそれ未満であり得る。
【0056】
しかしながら、本明細書に説明される多状態電解セルでは、温度、pH、活性種濃度、イオン強度、およびヘッドガス圧等の生産プロセス条件は、電極の間の電位差が有意に減少され、そうでなければ荷電層が特定の化学性質の電解セル内で妨害される点であったであろうものを下回って電流が降下するにつれてさえも、維持される。結果は、多状態電解セルの電極の間の電位差が、いずれの着目生成物も生産されないアイドル状態まで迅速に漸減され、着目生成物の生産が再開する状態に戻るように迅速に漸増される、完全に削減可能かつ実行可能である可逆的プロセスである。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される多状態電解セルは、既存の電解セルのように数時間または数日かかるのではなく、わずか数分で生産状態からアイドル状態まで、またはアイドル状態から生産状態まで漸減され得、本サイクルは、1日に何回も繰り返され得る。例えば、
図4Aおよび4Bに図示され、下記に説明される多状態電解セル等の塩素アルカリ生産のための多状態電解セルは、5分未満で最大生産状態からアイドル状態まで漸減され得る、または単一のSCED区間が、バッテリ限界を超える限界を受ける。
【0057】
生産曲線300は、限定ではないが、水溶液の電解、溶融塩の電解、電気めっきプロセス、またはカットイン電圧を有する任意の電気化学プロセスを含む、生産状態の間で移行している間、または生産状態とアイドル状態との間で移行している間に生産プロセス条件の事前決定されたセットを維持する能力から利益を享受し得る種々の電気化学プロセスのうちのいずれかの挙動を表し得る。そのようなプロセスの一実施例は、水溶液の電解を使用し、塩素を生産する、塩素アルカリプロセスである。平均で、約3.2ボルトの多状態電解セルの電極の間の電位差が、塩素アルカリプロセスのための着目生成物の商業生産のために好適であり得るが、これは、特定のセル設計に関して変動し得る。平均で、約1.36ボルトの多状態電解セルの電極の間の電位差が、それを下回ると塩素の生産が停止する、カットイン電圧を表し得るが、これは、特定のセル設計に関して変動し得る。生産状態が3.2ボルトの電位差に関連付けられ、カットイン電圧が1.36ボルトである、実施形態では、約1.29ボルトの電位差が、アイドル状態に関連付けられた標的電圧であり得る。下記により詳細に説明されるように、多状態電解セルシステム内の可変制御可能電力回路は、電位差が標的アイドル状態電圧を下回って降下しないように防止し、逆電流を誘発すること、多状態電解セルを損傷すること、または塩素アルカリプロセスの入力リソースを、生産を再開することに応じて着目生成物を生産するために不適切にすることを回避し得る。
【0058】
塩素アルカリプロセスのために構成される多状態電解セルでは、原料は、塩水、すなわち、23%~25%塩化ナトリウムを伴う水中の飽和塩化ナトリウムであり得る。本実施例では、電極材料は、低いpHのみにおいて安定し得る。加えて、ガス状形態の塩素である一次着目生成物は、約3pHにおいて安定し、pHが4を上回る場合、不要な副反応が生じる。したがって、原料は、適切なモル濃度またはプロトン活性に到達し、pH制御を提供するまで、塩酸の液滴毎の添加によって酸性化され得る。塩素アルカリプロセスへの他の入力は、30%における水中の水酸化ナトリウム溶液を含み得る。
【0059】
塩素アルカリプロセスの追加の出力は、32%における水中の水酸化ナトリウム溶液であり得る。いくつかの実施形態では、追加の2%水酸化ナトリウムが、抽出され、50%水酸化ナトリウム溶液および30%水酸化ナトリウムに分離され得、30%水酸化ナトリウムは、塩素アルカリプロセスへの入力として再生利用される。50%水酸化ナトリウム溶液は、液体として分配される、または固体である薄片またはアルカリ液錠剤形態の苛性ソーダにさらに処理され得る付加価値のある化学物質である。いくつかの実施形態では、塩素アルカリプロセスによって生産される塩素は、乾燥機プロセスを使用して後処理され得、また、商業的流通に先立って精緻化され得る。塩素アルカリプロセスによって生産される水素は、そのまま使用され得る、放出され得る、燃焼され得る、または塩酸を生産するように再結合される、または商業的流通のために他の原料と組み合わせられ得る。
【0060】
塩素アルカリプロセスのために構成される多状態電解セルの動作状態を生産状態からアイドル状態に切り替えるために、電極を横断する電位差は、荷電種がイオン伝導性経路を横断して移動することを停止するにつれてさえも、生産プロセス条件が多状態電解セル内で維持されるように、制御された様式で低下され得る。いくつかの実施形態では実質的に並行して講じられ得るアイドル状態に切り替えるための第1のステップは、例えば、約3.2ボルトの値から約1.29ボルトの値まで電極を横断する電位差を下降させること、および窒素(または任意の不活性ガス)を多状態電解セルの中に送給し始め、セル内の塩素を外にパージし、したがって、電極を保護することである。いくつかの実施形態では、電位差は、大型コンデンサの対数関数等の線形ではない減衰パターンを使用して低下され得る。いくつかの実施形態では、窒素等の不活性ガスが、イオン伝導性経路の両側で(例えば、下方から)多状態電解セルの中に注入され得、塩素を外にパージし、また、システムの全体を通した任意のわずかな漏出にもかかわらず、ヘッドガス背圧を維持することに役立つであろう、補完的ガスを添加する。例えば、窒素は、システムを通して物理的に進行し、ヘッド空間ガスまで発泡する気泡として、多状態電解セルに進入し得る。これまでに、それらは、電極の間の電位差がアイドル状態に関連付けられた電位差に到達するとき、塩素がもはや電極に存在しなくなるように、電解質から塩素を取り除いてもよい。電位差が窒素(または他の不活性ガス)パージと実質的に並行して低下される、一例示的実施形態では、これらの2つのステップが完了されるために約18秒かかり得る。いくつかの実施形態では、窒素パージは、電位差の降下が開始するにつれて、第1の窒素の気泡が荷電板に衝打するように、電極を横断する電位差を降下させ始めることに先立って開始され得る。いくつかの実施形態では、窒素を使用して、塩素を外にパージするのではなく、塩素は、アルゴンまたはクリプトン等の別の不活性ガスを使用してパージされ得る。
【0061】
塩素アルカリプロセスのために構成される多状態電解セルにおいて生産状態からアイドル状態に移行するときに講じられるべき追加のアクションは、制御可能背圧ポンプまたは逆止弁を調節し、セルが生産状態で動作していたときと同一の圧力範囲内でヘッド空間圧を維持することと、塩酸等の新鮮な酸を添加し、セルが生産状態で動作していたときと同一の範囲内でpHを維持することとを含み得る。塩素アルカリプロセス以外のプロセスのために構成される多状態電解セルに関して、酸または塩基が、具体的プロセスのための所定の生産プロセス条件内でpHを維持するように添加され得る。
【0062】
図4A-4Dは、いくつかの実施形態による、塩素アルカリプロセスのための多状態電解セルシステムの選択された要素を図示するブロック図である。
図4Aでは、多状態電解セルシステム400は、多状態電解セル450と、可変制御可能電力回路420と、加熱器回路430とを含む。多状態電解セル450が生産状態であるとき、これは、上記に説明されるように、生産プロセス条件の所定の組の下で動作し、塩素、水酸化ナトリウム等のアルカリ、および水素を生産する。
【0063】
多状態電解セル450は、カソード424と、アノード422と、電解セル450のカソード側とアノード側との間のイオン経路412とを含む。図示される実施例では、イオン経路412は、それを通して正イオンが横断し得るが、負イオンが横断することができない、高いアニオン拒否を呈するプラスチックポリマー膜等の膜である。他の実施形態では、イオン経路412は、ガラス管または他の好適な要素、または別のタイプのプラスチックまたは他の材料から作製される膜であるか、または、それを含み得る。
図4Aに図示されるように、多状態電解セル450は、着目生成物の生産のための活性種、具体的に、塩水を含む、原料444を含む。
【0064】
図4Aに図示されるように、多状態電解セル450は、塩水402、塩酸404、およびいくつかの実施形態では、再生利用される塩水を受容するための入力パイプ436を含み得る。いくつかの実施形態では、前もって酸性化された塩水が、入力パイプ436において多状態電解セルの中に導入され得る。多状態電解セル450はまた、それを通してセル450によって生産される塩素406が塩素アルカリプロセスの生成物として出力される、出力パイプ438と、それを通してセル450によって生産される水素408が電気化学プロセスの生成物として出力される、出力パイプ440とを含み得る。多状態電解セル450はまた、電気化学プロセスへの入力として、入力パイプ436に戻るように枯渇した塩水426を再生利用するための出力パイプ432を含み得る。本再生利用ループは、再生利用される塩水が、入力パイプ436において多状態電解セル450の中に再導入される前に、清浄化される、加熱される、冷却される、濃縮される、酸性化される、または別様に処置され得る処理要素425を含み得る。
【0065】
図示される実施形態では、多状態電解セル450は、それを通して水酸化ナトリウムまたは腐食剤等のアルカリ410、および弱い水酸化ナトリウムまたは弱い腐食剤等の再生利用されるアルカリ428がセルの中に導入され得る入力パイプ442を含む。多状態電解セル450はまた、電気化学プロセスの生成物として腐食剤等のアルカリ456を提供するため、および電気化学プロセスへの入力として入力パイプ442に戻るように弱い腐食剤等のアルカリ428を再生利用するための出力パイプ434を含み得る。本再生利用ループは、再生利用されるアルカリが、入力パイプ442において多状態電解セル450の中に再導入される前に、清浄化される、加熱される、冷却される、濃縮される、または別様に処置され得る処理要素455を含み得る。
【0066】
図4Aに示されるように、多状態電解セル450は、セルのアノード側で窒素、アルゴン、またはクリプトン等の不活性ガス452を受容するための入力パイプ446と、セルのカソード側で窒素、アルゴン、またはクリプトン等の不活性ガス454を受容し、多状態電解セル450がアイドル状態になっている、またはアイドル状態で動作しているとき、塩素をパージするための入力パイプ448とを含み得る。多状態電解セル450内のヘッドガスは、ヘッドガス414として示される。出力パイプ438は、セルのアノード側で特定のヘッドガス圧を維持するための背圧ポンプ416を含み得る。同様に、出力パイプ440は、セルのカソード側で特定のヘッドガス圧を維持するための背圧ポンプ418を含み得る。
【0067】
図4Aでは、出力パイプ432から入力パイプ436までの枯渇した塩水426のための塩水再循環ループは、枯渇した塩水を多状態電解セル450の中に再導入することに先立って、それを再濃縮するように構成され得る。例えば、枯渇した塩水は、入力パイプ436においてセルの中に戻るように拍出されることに先立って、最大23%~25%塩化ナトリウムに戻るように再濃縮され得る15%~20%塩化ナトリウムを含み得、過剰な水が、副生成物またはプロセスとして離れるように分路される(図示せず)。
【0068】
加熱器回路430が、多状態電解セル450の中へのその再導入に先立って、再生利用される塩水を加熱し得る再生利用される塩水426のための再循環ライン上に示される。本位置では、または多状態電解セルシステム400内の別の位置では、加熱器回路430は、これらまたは他の入力リソース、または全体として多状態電解セル450を加熱し、生産プロセス条件の所定の組と一致するセルの温度を維持し得る。いくつかの実施形態では、多状態電解セルシステム400は、加熱器回路単独ではなく、複合加熱/冷却要素、または別個の加熱および冷却要素を含み得る。いくつかの実施形態では、1つのセルあたり2つ以上の加熱器回路または加熱/冷却要素が存在し得る。例えば、塩水426のための再循環ライン上の加熱器回路430に加えて、アルカリ428のための再循環ライン上等のセルの反対側に補助加熱器回路または補助加熱/冷却要素が存在し得る。加熱器回路430は、電気加熱を提供するが、多状態電解セルシステム400内の他の加熱/冷却要素は、生産状態の間で移行するとき、または生産状態とアイドル状態との間で移行するとき、生産プロセス条件の所定の組と一致するセルの温度を維持するための他のタイプの加熱または冷却を提供し得る。例えば、生産がより迅速に漸増されるほど、より多くの熱が発生され、これは、冷却が所定の範囲内で温度を維持する必要性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、加熱器回路430または補助加熱器は、エネルギー消費型である必要はないが、溶融塩リザーバまたは別のエネルギー貯蔵リザーバなどの熱リザーバであるか、または、それを含み得る。いくつかの実施形態では、熱リザーバは、太陽光貯蔵、または多状態電解セル450の温度を維持するように循環される別の機構によって拍出され得る。いくつかの実施形態では、制御信号435が、加熱器回路430の加熱および冷却機能をアクティブ化またはアクティブ化解除するように、本明細書に説明される監視および制御サブシステムのうちの1つ等のローカルまたは遠隔コントローラから加熱器回路430に提供され得る。
【0069】
図示される実施形態では、可変制御可能電力回路420は、異なる時間においてカソード424およびアノード424を横断して異なる電位差を印加し、多状態電解セル450を異なる動作状態にするように構成される。ある場合に、またはある時間において、電位差の変動は、電力がスケジュール不可能な電源によって供給されるとき等にDC電源から受電される電力の変動に起因し得る。いくつかの実施形態では、またはある時間において、電位差の変動は、セルレベルにおいて電圧および電流を制御するように、可変制御可能電力回路420内の回路によってローカルで制御され得る。他の実施形態では、またはある時間において、電位差の変動は、多状態電解セル450のスタックまたはラック等の多状態電解セル450の群に関して集合的に制御され得る。可変制御可能電力回路420は、カソード424およびアノード422を横断して電位差を操作し、多状態電解セル450の動作状態に変化をもたらすための任意の好適なカスタムまたは市販の可変制御可能電源を含み得る。
【0070】
上記のように、多状態電解セル450は、生産状態であるとき、生産プロセス条件の所定の組の下で動作し、塩素、アルカリ、および水素を生産する。多状態電解セル450が、第2のより低いゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で動作しているとき、いずれの生成物も生産されない。例えば、多状態電解セル450は、電極の間の電位差が1.36ボルトを上回る、または好ましくは、約3.2ボルトであるとき、塩素、アルカリ、および水素が生産される、生産状態で、および電極の間の電位差が1.36ボルト未満であるか、または、好ましくは、約1.29ボルトであるとき、これらの生成物のうちのいずれも生産されない、アイドル状態で動作するように構成され得る。しかしながら、生産プロセス条件の所定の組が、セルが1つ以上の生産状態のうちのいずれかで動作しているか、またはアイドル状態で動作しているかどうかにかかわらず、多状態電解セル内で維持され得る。着目生成物の生産率は、電位差が生産電圧範囲の下端にあるときよりも、電位差が生産電圧範囲の上端にあるときに高くあり得る。いくつかの実施形態では、塩素アルカリプロセスのための入力リソースが消費される率は、生産率がより高いときにより高くあり得、生産率がより低いときにより低くあり得る。いくつかの実施形態では、多状態電解セル450は、セルが動作している特定の生産状態に依存する、わずかに異なる量または相対比で塩素、アルカリ、および水素を生産し得る。
【0071】
図4Bは、いくつかの実施形態による、塩素アルカリプロセスのための多状態電解セルシステム455の選択された要素を図示する。多状態電解セルシステム455は、簡単にするために4Bに示されていない、
図4Aの400に示される1つ以上の要素を含み得る。
図4Bに示され、
図4Aに示される対応する要素と同一の参照番号を有する要素は、実質的に類似し得る。
図4Bでは、多状態電解セルシステム455は、多状態電解セル458と、パージ要素460と、貯蔵タンク478とを含む。いくつかの実施形態では、多状態電解セルシステム455はまた、
図4Aに図示される可変制御可能電力回路420等の可変制御可能電力回路と、
図4Aに図示される(
図4Bに示されていない)加熱器回路430等の加熱器回路とを含み得る。多状態電解セル458が、電極を横断する第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態で動作しているとき、セルは、上記に説明されるように、生産プロセス条件の所定の組の下で動作し、塩素、水酸化ナトリウム、および水素を生産し得る。
図4Bに図示されるように、塩素アルカリ生産の間、M
+として示されるカチオン476が、多状態電解セル458が生産状態で動作している間にイオン経路412を横断し得る。しかしながら、多状態電解セル458が、第2のより低いゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で動作しているとき、カチオン476の移動は、完全に停止され得るまたは塩素、水酸化ナトリウム、または水素を生産するために不十分である量まで低減され得る。
【0072】
図4Bに図示されるように、多状態電解セル458の出力ポートのうちの1つは、セル458によって生産される塩素を取り扱うための4方向弁462を含み得る。4方向弁462はさらに、
図4Cに図示され、下記に説明される。
図4Bに図示されるように、多状態電解セル458の出力ポートのうちの1つは、セル458によって生産される水素を取り扱うための2方向弁464を含み得る。2方向弁464はさらに、
図4Dに図示され、下記に説明される。図示される実施形態では、多状態電解セル458は、セルのアノード側でヘッドガス472のための適切なヘッドガス圧を維持するための背圧ポンプ466と、セルのカソード側でヘッドガス474のための適切なヘッドガス圧を維持するための背圧ポンプ468とを含む。
【0073】
図4Bに図示されるように、多状態電解セルシステム455は、入力パイプ446を通して、不活性ガス452、例えば、窒素をセル458のカソード側に供給する、貯蔵タンク478を含み得る。いくつかの実施形態では、貯蔵タンク478はまた、
図4Aに図示される(4Bに示されていない)入力パイプ448等のセルのアノード側の入力パイプにおいて不活性ガス452をセル458に供給する。図示される実施例では、塩水再循環ライン上のパージ要素460への入力は、Cl
2+NaOH(484)と、枯渇した塩水(426)と、貯蔵タンク478からの不活性ガス(482)とを含む。パージ要素460の出力は、不活性ガス485を含む。他の実施形態では、窒素以外の不活性ガス等のパージ要素460への他の入力が、多状態電解セル458がアイドル状態で動作しているときに多状態電解セルシステム455から塩素をパージするために使用され得る。アイドル状態から生産を再開するステップは、例えば、生産状態に関連付けられた電位差まで戻るように、電極を横断する電位差を徐々に漸増させるステップを含み得る。いくつかの実施形態では、生産状態への復帰は、塩素生産のために必要とされる中間体を電解質に添加し、はるかに早い応答時間をもたらすことによって、効果的に瞬間的であるように加速され得る。
【0074】
図4Cは、いくつかの実施形態による、4方向弁462上の設定を図示する。図示される実施例では、設定は、生産設定488と、回収設定490と、「テーリングを擦り落とす」設定492と、「オフ」設定494とを含む。弁462を生産設定488に設定することは、セルによって生産される着目生成物としての塩素の出力を引き起こす。弁462を回収設定490に設定することは、塩素を回収圧縮機(図示せず)にルーティングさせる。弁462を「テーリングを擦り落とす」設定492に設定することは、弁における出力ガスをシステムの別のコンポーネント(図示せず)にルーティングさせ、テーリングを擦り落とす。テーリングを擦り落とすために、不活性ガスが、塩素を押し出すためにヘッド空間内で出力ガスを通して発泡され得る。最初に、塩素が、出力ガス内の標的生産濃度において出力され得る。しかしながら、ある点において、塩素の濃度は、下降するであろう。塩素濃度が、例えば、90%塩素~10%塩素等のある点に達すると、これは、回収可能な量を表し得、出力ガスは、回収圧縮機にルーティングされ得る。回収圧縮機は、塩素が液化するが、窒素が液化しないように、ガス混合を圧縮する塩素圧縮機であり得る。この場合、液体塩素は、回収される生成物である。最終的に、出力ガス内の塩素の濃度は、回収可能な限界を下回って下降し、その点において、水を通してそれを希釈すること、または、例えば、水酸化ナトリウムを用いてそれを擦り落とすことによって、中和され得る。弁462は、塩素が出力ガスに存在しなくなると、「オフ」設定494に設定され得る。4方向弁が
図4Cに示されるが、他の実施形態では、弁462は、より多い、より少ない、または異なる設定を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、出力ガスの全ては、回収圧縮機にルーティングされ得、その後、非凝縮性材料が、テーリングを擦り落とすために別の要素にルーティングされ得る。この実施例では、回収圧縮機は、生産可能な塩素、例えば、擦り落とされるべきテーリングを出力するであろう。
【0075】
図4Dは、いくつかの実施形態による、2方向弁464上の設定を図示する。図示される実施例では、設定は、生産設定496と、「オフ」設定498とを含む。弁464を生産設定496に設定することは、セルによって生産される着目生成物としての水素の出力を引き起こす。弁464は、弁464における出力ガスに水素が存在しなくなると、「オフ」設定498に設定され得る。2方向弁が
図4Dに示されるが、他の実施形態では、弁464は、例えば、別の目的のために、セルによって生産される水素の少なくとも一部をシステム内の別のコンポーネントにルーティングする設定を含む、2つを上回る設定を有し得る。いくつかの実施形態では、塩素アルカリプロセスで使用されるものに類似する、または異なる化学性質を伴う多状態電解セルは、異なる時間において特定の条件下で特定の電気化学プロセスの生成物のルーティングおよび分布を制御するための弁を含み得、そのうちのいくつかは、
図4Cおよび4Dに図示されるものに類似し得る。
【0076】
図4A-4Dは、塩素アルカリプロセスのために構成される多状態電解セルおよびシステムの例示的実施形態を図示するが、他の実施形態では、塩素アルカリプロセスのために構成される多状態電解セルおよびシステムは、
図4A-4Dに図示されるものよりも多い、少ない、または異なる要素を含み得る、または
図4A-4Dに示されるものと異なる組み合わせで
図4A-4Dに図示される要素のうちのいずれかを含み得る。同様に、塩素アルカリプロセスで使用されるものと類似する、または異なる化学性質を伴う多状態電解セルは、
図4A-4Dに示されるものと同一または異なる組み合わせで
図4A-4Dに図示される要素のうちのいずれかを含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、多状態電解セルは、セルの中央で生じる水中の電解質溶液からのイオンが多状態電解セルの両側の膜のうちのそれぞれのものを横断することを可能にする、複数のイオン伝導性経路を提供する、双極膜を含み得る。1つのそのような実施形態では、多状態セルによって実施される電気化学プロセスは、電解質溶液からの種の除去を伴ってもよく、着目生成物は、精製水であり得る。一般に、電気透析プロセスのために構成される多状態電解セルは、着目生成物として修飾または精製原料を生産し得る。
【0078】
典型的電気化学プラントでは、多数の電解セルが、協働して大量の着目生成物を生産するように組み立てられ得る。例えば、電気化学プラントは、いくつかの電解セルをそれぞれ含む、アセンブリの大型アレイを含み得る。
図5は、いくつかの実施形態による、3つの多状態電解セルを含む、塩素アルカリプロセスのための電解セルアセンブリ500の選択された要素を図示するブロック図である。そのようなアセンブリは、時として、多状態電解セルの「ラック」または「スタック」とも称され得る。多状態電解セルはそれぞれ、502a-502cとして示されるそれぞれのカソードと、504a-504cとして示されるそれぞれの膜と、506a-506cとして示されるそれぞれのアノードとを含む。図示される実施形態では、多状態電解セルは、塩素アルカリプロセスのために構成され、セルのそれぞれの幅は、約1~5センチメートルであり、電解セルアセンブリ500内のセルの間にプラスチックの非伝導性板セパレータが存在する。他の実施形態では、多状態電解セルのラックは、3つ以外のいくつかのセルを含み得る。
【0079】
図示される実施形態では、多状態電解セルは、パイプの集合を使用して、1つのセルから次のセルまで流動する塩素アルカリプロセスの種々の入力リソースおよび生成物を伴って並んで設置される。例えば、電解セルアセンブリ500は、それを通して塩水が電解セルアセンブリ500に進入する、入力パイプ512と、それを通して水酸化ナトリウム528が電解セルアセンブリ500に進入する、入力パイプ542と、それを通して枯渇した塩水が1つのセルからその隣接するセルまで流動する、塩水パイプ516aおよび516bと、それを通して弱い腐食剤が1つのセルからその隣接するセルまで流動する、腐食剤パイプ514aおよび514bとを含む。水酸化ナトリウムが生産プロセス条件を維持するように添加され得る腐食剤パイプ514aおよび514bに沿った追加の場所が、それぞれ、544aおよび544bに示される。電解セルアセンブリ500はまた、電解セルアセンブリ500の集合的セルの生成物として腐食剤520を出力するための出力パイプ518と、枯渇した塩水524を出力または再生利用するための出力パイプ522とを含む。526に示されるように、塩化水素が、生産プロセス条件の所定の組に関して定義される範囲等の所定の許容範囲内で第1のセルまたは全体として電解セルアセンブリ500のpHを維持するために必要に応じて、電解セルアセンブリ500内の第1のセルに入力され得る。塩酸が生産プロセス条件に関してpHを維持するように添加され得る塩水パイプ516aおよび516bに沿った追加の場所が、それぞれ、540aおよび540bに示される。
図5に示されていないものは、
図4Aおよび4Bに図示されるものに類似し得るが、明確にするために
図5から省略されている、電解セルアセンブリ500の多状態電解セルによって生産される塩素および水素のための出力パイプである。
図5に図示される実施形態では、これらの出力パイプは、電解セルアセンブリ500の上側に位置し得る。
【0080】
図5に図示されるように、電解セルアセンブリ500は、所定の許容範囲内で電解セルアセンブリ500またはその特定の部分の温度を維持するための加熱/冷却要素534を含み得る。例えば、加熱/冷却要素534は、種々の時間において、塩水等の電解セルアセンブリ500のための入力リソースを加熱または冷却するため、個々のセルを加熱または冷却するため、またはラック全体を加熱または冷却するために、構成され得る。加熱/冷却要素534は、
図5では塩水パイプ516bに結合されて示されるが、1つ以上の加熱/冷却要素が、加熱/冷却要素534の代わりに、またはそれに加えて、電解セルアセンブリ500内の他の場所に位置し得る。例えば、いくつかの実施形態では、電解セルアセンブリ500は、1つの電解セルあたりそれぞれの加熱/冷却要素を含み得る。他の実施形態では、電解セルアセンブリ500は、複数の電解セルのための1つの加熱/冷却要素、または電解セルアセンブリ500内の電解セルのラック全体のための単一の加熱/冷却要素を含み得る。
【0081】
図示される実施例では、電解セルアセンブリ500は、窒素または塩素が本明細書に説明されるもの等のパージ動作のために使用され得る再循環ループ536を含む。電解セルアセンブリ500はまた、パージ動作のために窒素または塩素を供給するための1つ以上の貯蔵タンク538を含み得る。窒素パージが実装される実施形態では、窒素は、電解セルアセンブリ500全体が同時にパージされ得、したがって、勾配または他の望ましくない条件を回避するように、電解セルアセンブリ500の両側で導入され得る。また、
図5に示されるものは、それぞれ、電解セルアセンブリ500が動作する電気化学プラント内の電力回路(図示せず)に結合される、電力出力530および電力出力532である。いくつかの実施形態では、電力出力530および532が結合される電力回路は、
図2に図示される可変制御可能電力回路218または
図4に図示される可変制御可能電力回路420等の可変制御可能電力回路であるか、または、それを含み得る。
【0082】
図5に明示的に示されていないが、電解セルアセンブリ500の多状態電解セルは、種々の組み合わせで、本明細書に説明される多状態電解セルのうちのいずれかの要素のうちのいずれかまたは全てを含み得る。いくつかの実施形態では、
図5に示されるものよりも多い、少ない、または異なる要素が、それぞれの生産プロセス条件を維持するように電解セルアセンブリ500に含まれてもよい。例えば、電解セルアセンブリ500の多状態電解セルはそれぞれ、そのセルに関して全ての生産状態およびアイドル状態で生産プロセス条件の所定の組を維持するために使用可能である、1つ以上の監視および制御サブシステムおよび是正要素を含み得る。電解セルアセンブリ500内の多状態電解セルが塩素アルカリプロセス以外の電気化学プロセスのために好適な化学性質を有する、実施形態では、生産プロセス条件の特定の所定の組およびそれらの条件を維持するために要求されるシステム要素は、電解セルアセンブリ500内の多状態電解セルの化学性質に依存し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、
図5に図示される電解セルアセンブリ500の3つの多状態電解セル等の多状態電解セルのラックまたはスタックが、ある目的のために単一の「マクロセル」として扱われてもよい。
図6は、いくつかの実施形態による、マクロセル614を含む、電解セルアセンブリ600の選択された要素を図示するブロック図である。図示される実施形態では、マクロセル614は、3つの多状態電解セルを含む。より具体的に、マクロセル614は、セル606、608、および610として示される、3つの多状態電解セルを含む。他の実施形態では、マクロセル614は、2つの多状態電解セルまたは4つ以上の多状態電解セルを含む。
【0084】
図6に図示されるように、3つの多状態電解セル606、608、および610は、直列または並列に選択的に構成され得るそれぞれの抵抗要素として表され得る。図示される実施例では、マクロセル614は、直列または並列にマクロセル614内の3つの電解セルを選択的に構成するためのスイッチ604および612を含む。スイッチ604およびスイッチ612が、閉鎖されるとき、マクロセル614内の3つの電解セルは、並列に3つの抵抗要素として構成される。逆に、スイッチ604およびスイッチ612が、開放しているとき、マクロセル614内の3つの電解セルは、直列に3つの抵抗要素として構成される。
【0085】
いくつかの実施形態では、スイッチ604および612は、マクロセル614内、またはマクロセル614が常駐する電気化学プラント内の他の場所のリアルタイム監視および制御サブシステムを通して、集合的に、または個々に、デジタル信号によって制御され得る。いくつかの実施形態では、マクロセル614および追加の類似マクロセル内の一連のスイッチを制御することによって、セルの異なる集合が、並列構成と直列構成との間で切り替えられ得る。このように、ラックを横断する抵抗は、変化し得、これはまた、マクロセル614のそれぞれの中のセルのうちの種々のものの中の電極を横断して電位差を変化させ得る。いくつかの実施形態では、このアプローチは、生産状態の間で、または生産状態とアイドル状態との間で移行するために使用され得る。マクロセル内のセルのうちの種々のものの中の電極を横断して電位差を変化させるための他の方法も、他の実施形態で実装され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、多状態電解セルは、溶融塩の電解を使用して、着目生成物としてアルミニウム等の金属を抽出するように構成され得る。
図7は、いくつかの実施形態による、高温アルミニウム生産プロセスのための多状態電解セルシステム700の選択された要素を図示するブロック図である。
【0087】
図示される実施形態では、多状態電解セルシステム700は、カソード710と、アノード716とを含む。いくつかの実施形態では、これらの電極の一方または両方が、鋼鉄から作製され得る。多状態電解セルシステム700は、溶融電解質720を含むカソード側に電解質タンク722を含む。本実施例では、溶融電解質720は、氷晶石、すなわち、Na3AlF6内の酸化アルミニウムであるか、または、それを含み得る。多状態電解セルシステム700はまた、電解質730を含むアノード側に電解質タンク732も含む。いくつかの実施形態では、電解質730は、ヨウ化ナトリウム、塩化ナトリウム、または別のハロゲン化ナトリウム化合物であるか、または、それを含み得る。
【0088】
図7に図示されるように、多状態電解セルシステム700は、それぞれ、タンク722および732内の電解質720と730との間のイオン経路としての役割を果たす、塩橋714を含み得る。多状態電解セルシステム700はまた、生産状態の間で、または生産状態とアイドル状態との間で切り替わるために、電極を横断して特定の電位を印加するように構成される、可変制御可能電力回路740を含み得る。多状態電解セルシステム700が、電極を横断する第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態で動作しているとき、これは、生産プロセス条件の所定の組の下で動作し得る。例えば、加熱器回路724および734は、セルが生産状態で動作している間、生産プロセス条件の所定の組の一部として定義される温度範囲内で多状態電解セルシステム700の温度を維持するように、それぞれ、制御信号726および736によって、必要に応じてアクティブ化またはアクティブ化解除され得る。加熱器回路724および734の一方または両方は、種々の実施形態では、複合加熱/冷却要素であるか、または、それを含み得る。生産プロセス条件の所定の組を維持するための他の是正要素が、多状態電解セルシステム700に存在し得(図示せず)、セルが生産状態で動作している間、必要に応じて、アクティブ化、アクティブ化解除、または調節され得る。生産状態で動作するとき、セルは、多状態電解セルシステム700から出力される着目生成物として、タンク722の底部に集合する溶融アルミニウム725および水718を生産する。
【0089】
図示される実施例では、多状態電解セルシステム700は、それを通して溶融アルミニウム725が商業的流通のために着目生成物として吸い出され得る出力ポート735を含む。溶融アルミニウム725を生産する溶融塩電気化学プロセスはまた、タンク722の上部の近傍でスラグ712も生産する。多状態電解セルシステム700が、第2のより低いゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で動作しているとき、いずれの着目生成物も生産されないが、生産プロセス条件の所定の組が、維持される。例えば、加熱器回路724および734は、セルがアイドル状態で動作している間、生産プロセス条件の所定の組の一部として定義される温度範囲内で多状態電解セルシステム700の温度を維持するように、それぞれ、制御信号726および736によって、必要に応じてアクティブ化またはアクティブ化解除され得る。生産プロセス条件の所定の組を維持するための他の是正要素が、多状態電解セルシステム700に存在し得(図示せず)、セルがアイドル状態で動作している間、必要に応じて、アクティブ化、アクティブ化解除、または調節され得る。
【0090】
種々の実施形態では、本明細書に説明される多状態電解セルのうちのいずれかまたは全ては、生産プロセス条件の所定の組を維持するための1つ以上のリアルタイム監視および制御サブシステムを含み得る。
図8は、これらのシステム内の多状態電解セルが、電極を横断する第1のゼロではない電位差、またはゼロではない電位差の第1の範囲に関連付けられた生産状態で動作しているとき、およびいずれの着目生成物も生産されない、電極を横断する第2のゼロではない電位差、またはゼロではない電位差の第2の範囲に関連付けられたアイドル状態で動作しているとき、生産プロセスパラメータの所定の組を維持するための複数のリアルタイム監視および制御サブシステムを含む、多状態電解セルシステム800の選択された要素を図示するブロック図である。
【0091】
図示される実施形態では、多状態電解セルシステム800は、アノード820と、カソード840とを含む。多状態電解セルシステム800はまた、電解質834を含むアノード側の電解質タンク838と、電解質836を含むカソード側の電解質タンク858とを含む。いくつかの実施形態では、電解質タンク838および電解質タンク858は、それぞれ、イオン経路のアノードおよびカソード側の単一のタンクの一部を表し得る。
図8に図示されるように、多状態電解セルシステム800は、電解質834と836との間に1つ以上のイオン経路814、816、または818を含み得る。例えば、イオン経路814、816、または818はそれぞれ、任意の組み合わせで、膜、塩橋、ガラス管、または別のタイプのイオン伝導性経路であるか、または、それを含み得る。
【0092】
図示される実施形態では、多状態電解セルシステム800は、多状態電解セルシステム800によって実施される電気化学プロセスの生成物を出力するための出力ポータル802および808を含む。多状態電解セルシステム800はまた、電気化学プロセスによって使用または生産されるリソースを再生利用するための出力ポータル826および832と、システムの中への再生利用されるリソースの再導入のための入力ポータル824および848とを含む。また、
図8に示されるものは、それぞれ、電解質834および836の上のヘッドガス830aおよび830bである。いくつかの実施形態では、ヘッドガス830aは、電気化学プロセスの酸化部分の結果として生産され得、ヘッドガス830bは、電気化学プロセスの対応する還元部分の結果として生産され得る。
【0093】
図8に図示されるように、多状態電解セルシステム800は、セルが特定の生産状態またはアイドル状態であるときに電極を横断して好適な電位差を選択的に印加するために、可変DC電源852と、分極整流器854と、電力回路コントローラ856とを含む、可変制御可能電力回路850を含み得る。例えば、生産状態に関連付けられたゼロではない電位差が、生産プロセス条件の所定の組の下で着目生成物の生産を開始するように、可変制御可能電力回路850によって電極を横断して印加され得る。別の実施例では、アイドル状態に関連付けられたゼロではない電位差が、生産プロセス条件の所定の組を維持しながら、着目生成物の生産を削減するように、可変制御可能電力回路850によって電極を横断して印加され得る。いくつかの実施形態では、可変DC電源852および分極整流器854は、特定の生産状態またはアイドル状態で多状態電解セルシステム800の動作を開始するために、電極を横断して好適な電位差を印加するように、電力回路コントローラ856によって制御され得る。いくつかの実施形態では、可変制御可能電力回路850はまた、
図1に図示される配電網130等の配電網によって供給される電力、または
図1に図示されるスケジュール不可能な電源120等のスケジュール不可能な電源によって直接または間接的に供給される電力の可用性または価格の変化に動的に反応することが可能であり得る。例えば、可変制御可能電力回路850の電力回路コントローラ856は、1つまたは複数の着目生成物の生産のために好適である電位差を、電極を横断して印加しながら、過剰な電力を止めさせる、または配電網に戻らせることが可能であり得る。逆に、可変制御可能電力回路850の電力回路コントローラ856は、配電網またはスケジュール不可能な電源によって供給される電力が、例えば、分極整流器854を使用する多状態電解セル858のためのカットイン電圧を下回って降下するとき、電極を横断する電位差がゼロまで降下しないように防止するように構成され得る。
【0094】
図8に図示される例示的実施形態では、出力ポータル802および808は、適切なヘッドガス背圧を維持するため、またはpH平衡のため等に、生産プロセス条件の所定の組を維持するためのそれぞれの監視および制御サブシステム806および810を含む。いくつかの実施形態では、監視および制御サブシステム806および810は、多状態電解セルシステム800内の電流条件を示すデータを提供する、それらが常駐する出力ポータルの内側にセンサまたは他の測定デバイスを含み得る。他の実施形態では、監視および制御サブシステム806および810は、多状態電解セルシステム800内の他の場所の種々のセンサまたは他の測定デバイスから、システム内の電流条件を示す情報を受信し得る。
【0095】
多状態電解セルシステム800内の条件が、生産プロセス条件の所定の組と一致していない場合、追加のシステム要素が、システムを生産プロセス条件の所定の組にする、または戻すように、監視および制御サブシステム806および810によってアクティブ化され得る。例えば、出力ポータル802および808は、多状態電解セルのアノードまたはカソード側のヘッドガス圧が、所定のヘッドガス圧閾値を下回って降下し、それをヘッドガス圧値の定義された許容範囲等の生産プロセス条件の所定の組と一致する値に戻す場合、それぞれの監視および制御サブシステム806または810によってアクティブ化される、それぞれの背圧ポンプ804および810を含み得る。
【0096】
図8に図示されるように、多状態電解セルシステム800は、活性種能濃度、パージ、または他の方法を通して生産プロセス条件の所定の組を維持するために、再循環ライン822等のシステムのアノード側の再循環ライン上に監視および制御サブシステム828を含み得る。再循環ライン822内の再生利用されるリソースを監視することに基づいて、活性種濃度または再生利用されるリソースの別の特性が生産プロセス条件の所定の組と一致していないことが決定される場合、監視および制御サブシステム828は、添加物の導入、電解溶液の希釈、または多状態電解セルシステム800を生産プロセス条件の所定の組に戻すための不要な要素のパージ等の是正措置を開始し得る。例えば、監視および制御サブシステム828は、
図4Bに図示される460等のパージ要素をアクティブにする、
図4Aおよび4Bに図示される酸404等の酸の添加を開始する、活性種の入力量を修正する、またはより多いまたは少ない再生利用されるリソースをシステムの中に導入するための制御信号を出力し得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、多状態電解セルシステム800は、温度、活性種濃度、イオン強度、またはpH等の生産プロセス条件を制御または維持するために、システムのカソード側の再循環ライン上に監視および制御サブシステム844を含み得る。例えば、監視および制御サブシステム844は、1つ以上の温度センサ、pHセンサ、または他の入出力デバイスから、多状態電解セルシステム800内の条件を示す測定データを受信し得る。監視および制御サブシステム828に関して説明される監視および制御機能のうちのいずれかまたは全てを実施することに加えて、監視および制御サブシステム844は、1つ以上の加熱/冷却要素846をアクティブにし、入力リソース、多状態電解セルシステム800の一部、または全体として多状態電解セルシステム800の温度を、生産プロセス条件に関して規定される許容範囲内の値に戻し得る。
【0098】
特定の監視および制御サブシステムおよび是正要素が、
図8に図示される多状態電解セルシステム800内の具体的場所に示されるが、他の実施形態では、より多い、より少ない、または異なる監視および制御サブシステムおよび是正要素が、異なる組み合わせで生じてもよく、多状態電解セルシステム内の他の場所に常駐し得る。いくつかの実施形態では、単一の集中型中監視および制御サブシステムが、複数の分散型センサまたは測定デバイスから入力を受信し、制御信号を種々の是正要素に出力し、セルを生産プロセス条件の所定の組に戻し得る。
【0099】
図8に図示され、上記に説明されるものに類似するリアルタイム監視および制御要素は、これらのシステム内の多状態電解セルが、電極を横断する第1のゼロではない電位差に関連付けられた生産状態で動作しているとき、およびいずれの着目生成物も生産されない、電極を横断する第2のゼロではない電位差に関連付けられたアイドル状態で動作しているとき、生産プロセスパラメータの所定の組を維持するように、限定ではないが、
図2、4A、4B、7、および9に図示されるものを含む、他の多状態電解セルシステムで実装され得る。
【0100】
本明細書に説明される多状態電解セルを使用して実装され得る別のタイプの電気化学プロセスは、銀めっきプロセス等の電気めっきプロセスである。いくつかの実施形態では、電気めっきプロセスはまた、本明細書に説明されるように、生産状態の間で移行しながら、または生産状態とアイドル状態との間で移行しながら、生産プロセス条件の所定の組を維持する能力から利益を享受し得る。電気めっきプロセスは、
図3に図示され、上記に説明される生産曲線と若干異なる生産曲線を使用して、説明され得る。電気めっきプロセスに関する例示的生産曲線が、
図10に図示され、下記に説明される。
【0101】
図9は、いくつかの実施形態による、電気めっきプロセスのための多状態電解セルシステム900の選択された要素を図示するブロック図である。より具体的に、多状態電解セルシステム900は、複数の標的914上に銀を電気めっきするために構成される。図示される実施形態では、多状態電解セルシステム900は、アノード910と、ブリード回路936に結合されるカソード912とを含む。多状態電解セルシステム900はまた、シアン銀溶液918を含む、単一のタンク924も含む。
【0102】
図9に図示されるように、多状態電解セルシステム900は、分極整流器926と、可変制御可能DC電源928と、本明細書に説明されるように、可変制御可能DC電源を電極に選択的に結合し、アノードとカソードとを横断して特定の電位差を印加するためのスイッチ934とを含み得る。電極を横断して印加される電位差は、電気めっきが生じる生産状態、または電気めっきが生じないアイドル状態に対応し得る。いくつかの実施形態では、電気めっきが妥当な品質を伴って可能である、2つ以上の生産状態が存在し得る。多状態電解セルシステム900が、生産状態で動作しており、標的914が、シアン銀溶液918の中に下げられるとき、めっきされるべき標的が、多状態電解セルシステム900内の第3の電極として作用し、電気めっき反応が、開始される。
【0103】
図示される実施形態では、多状態電解セルシステム900は、窒素等の電気めっきプロセスの生成物を出力するための出力ポート920を含む。出力ポート920は、この場合、窒素916、活性種濃度、温度、または他の条件として示される、プロセスによって生産されるヘッドガス上の圧力等の生産プロセス条件の所定の組を維持するためのリアルタイム監視および制御サブシステム922を含み得る。
【0104】
また、
図9に示されるものは、多状態電解セルシステム900内のリソースを再生利用するための再循環機構930である。いくつかの実施形態では、多状態電解セルシステム900は、圧力、活性種濃度、温度、または他の条件等の生産プロセス条件の所定の組を制御または維持するためのリアルタイム監視および制御サブシステム932を含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、多状態電解セルシステム900の電極を横断して電位差を制御することによって、生産状態からアイドル状態に移行する能力は、電気めっき動作の標的914が、アイドル状態で動作している間に標的914上に銀の複数の層を堆積させるための動作の前または合間、清浄化または不動態化されることを可能にし得る。例えば、第1の層を堆積させる前に、アイドル状態に関連付けられた電位差が、電極を横断して印加され得る。セルがアイドル状態で動作している間、標的は、清浄化され得る。続いて、生産状態に関連付けられた電位差が、電極を横断して印加され得る。本状態では、第1の層が、標的914上に堆積され得る。第1の層の堆積に続いて、アイドル状態に関連付けられた電位差が、電極を横断して再び印加され得る。セルがアイドル状態で動作している間、標的は、生産状態に関連付けられた電位差が第2の層等を堆積させるために電極を横断して再び印加される前に、清浄化または不動態化され得る。
【0106】
図10は、いくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用する電気めっきプロセスに関する生産曲線1000を図示する。より具体的に、生産曲線1000は、多状態電解セル内に流動する電流(i)を、多状態電解セルのアノードとカソードとの間の対応する電位差(V)にマップする。生産曲線に沿った特定の点は、多状態電解セルのそれぞれの状態を表す。
図10では、y軸上で1012として標識される電流値は、電極の間の電位差がゼロであるときの負の電流を表し得る。1016として標識される電圧値は、めっきが生じるが、低品質である、カットイン電圧に対応する、半セル電位、すなわち、またはE
1/2を表し得る。生産曲線1000上の点1018は、良質なめっきのための標的生産点を表し得る。
【0107】
図10では、生産曲線1000上の点1014は、いずれの着目生成物も生産されず、いずれのめっきも生じない、アイドル状態を表すが、多状態電解セルがアイドル状態で動作するプロセス条件は、多状態電解セルが生産状態態で動作する所定のプロセス条件と同一である。また、
図10に示されるものは、アンダーポテンシャル析出領域1015および1010として示される逆電流の領域である。
【0108】
図11は、いくつかの実施形態による、多状態電解セルを使用する電気化学プロセスを制御する方法1100の選択された要素を図示するフロー図である。
【0109】
1102では、方法1100は、着目生成物が多状態電解セルによって生産される生産状態に関連付けられた生産プロセス条件の所定の組の下で動作するように、多状態電解セルを構成するステップを含む。例えば、限定ではないが、生産のために好適な活性種の濃度を含む電解質溶液、または生産のために好適なpHを達成するために必要とされる種々の添加物を含む、生産プロセス入力が、多状態電解セルの中に導入され得る。加えて、加熱要素、冷却要素、背圧ポンプ、またはスイッチ等の1つ以上のコンポーネントが、多状態電解セルを生産プロセス条件の所定の組に到達させるためにアクティブ化され得る。
【0110】
1104では、方法は、多状態電解セルのアノードとカソードとを横断して第1のゼロではない電位差を印加するように、可変制御可能電力回路を構成するステップを含み、第1のゼロではない電位差は、生産状態に関連付けられる。一実施例では、オペレータが、電力源の選択または電極を横断する電位差の増減を制御し得る。別の実施例では、電力源の選択または電極を横断する電位差の増減は、そのうちのいくつかがスケジュール不可能な電源であり得る種々の源からの電力の可用性、および多状態電解セルシステム内の電流条件に基づいて、自動的に制御され得る。
【0111】
1106では、方法1100は、生産プロセス条件の所定の組の下で着目生成物の生産を開始することを含む。
【0112】
1108では、方法は、着目生成物の生産を開始することに続いて、多状態電解セルのアノードとカソードとを横断して第2のゼロではない電位差を印加するように、可変制御可能電力回路を構成することを含み、第2のゼロではない電位差は、生産プロセス条件の所定の組が多状態電解セル内で維持されるが、着目生成物が生産されない、アイドル状態に関連付けられる。多状態電解質セルが、生産状態で動作するときに2つ以上の着目生成物を生産する、いくつかの実施形態では、着目生成物のうちのいずれも、アイドル状態である間に生産され得ない。
【0113】
1110では、多状態電解セルがアイドル状態にされたことに続いて、方法1100は、アノードとカソードとを横断して第1のゼロではない電位差を印加し、1つまたは複数の着目生成物の生産を再開するように、可変制御可能電力回路を構成することを含む。いくつかの実施形態では、1108および1110に示される動作は、電力の可用性または価格の変化に応答するように、または他の理由により、任意の回数で交互様式において繰り返され得る。
【0114】
図12は、いくつかの実施形態による、多状態電解セルの生産プロセス条件の組を維持する方法1200の選択された要素を図示するフロー図である。種々の実施形態では、
図12に示される動作はそれぞれ、多状態電解セルのそれぞれの監視および制御サブシステムによって実施され得る。いくつかの実施形態では、
図12に示される複数の動作が、単一の監視および制御サブシステムによって実施され得るか、または、
図12に示される動作の全てが、単一の監視および制御サブシステムによって実施され得る。
【0115】
1202では、方法1200は、
図11を参照して上記に説明されるように、生産プロセス条件の所定の組の下で動作するように、多状態電解セルを構成することを含む。1204では、方法は、多状態電解セルが動作している条件を監視し始めることを含む。
【0116】
1206では、多状態電解セルがもはや生産プロセス条件の所定の組の下で動作していないことが決定される場合、方法1200は、1208に進み得る。そうでなければ、方法1200は、多状態電解セルがもはや生産プロセス条件の所定の組の下で動作しなくなるまで、またはその場合を除いて、1206に戻り得る。
【0117】
1208では、多状態電解セルが生産プロセス条件の所定の組の一部として定義される温度範囲等の所定の許容温度範囲外で動作していることが決定される場合、方法は、1210に進み得る。そうでなければ、方法は、1212において継続し得る。
【0118】
1210では、方法1200は、加熱または冷却要素をアクティブにし、多状態電解セルまたはそのコンポーネントの温度を所定の許容温度範囲に戻すことを含む。例えば、システムは、異なる実施形態では、セル、セルへの入力、またはセルに近接するシステムの要素を加熱または冷却するためのセルあたりまたはラックあたりそれぞれの加熱または冷却要素を含み得る。
【0119】
1212では、多状態電解セルが生産プロセス条件の所定の組の一部として定義されるヘッドガス圧範囲等の所定の許容ヘッドガス圧範囲外のヘッドガス圧とともに動作していることが決定される場合、方法は、1214に進み得る。そうでなければ、方法は、1216において継続し得る。
【0120】
1214では、方法1200は、多状態電解セルの一部内で背圧を印加し、または印加を低減させ、ヘッドガス圧を、セルのその部分に関する所定の許容ヘッドガス圧範囲に戻すことを含む。例えば、方法は、背圧ポンプまたは旋回弁をアクティブにし、セルの影響を受けた部分内のヘッドガス圧を増加または減少させることを含み得る。
【0121】
1216では、多状態電解セルが生産プロセス条件の所定の組の一部として定義されるpH範囲等の所定の許容pH範囲外のpHとともに動作していることが決定される場合、方法は、1218に進み得る。そうでなければ、方法は、1220において継続し得る。
【0122】
1218では、方法1200は、酸または塩基を多状態電解セルの中に導入し、pHを所定の許容pH範囲に戻すことを含む。
【0123】
1220では、多状態電解セルが生産プロセス条件の所定の組の一部として定義される範囲等の所定の許容範囲外の電解質内の活性種の量または割合とともに動作していることが決定される場合、方法は、1222に進み得る。そうでなければ、方法は、1224において継続し得る。
【0124】
1222では、方法1200は、電解質内の活性種の量または割合の添加または低減を開始し、所定の許容範囲に戻すことを含む。例えば、新鮮または再生利用されるプロセスリソース、または他の添加物が、入力パイプまたはポータルにおいて電解質の中に導入され得る、または水または別の物質が、活性種の濃度を希釈するように電解質に添加され得る。
【0125】
1224では、多状態電解セルが生産プロセス条件の異なる所定の組の下での動作のために再構成されることが決定される場合、方法1200は、1206に戻り、適宜、1208-1224として示される動作のうちの1つ以上のものを繰り返すステップを含み得る。そうでなければ、方法1200は、1204に戻り、適宜、1206-1224として示される動作のうちの1つ以上のものを繰り返し得る。生産プロセス条件の所定の組は、
図12に図示される、または本明細書に議論されるもの以外の条件に関して、容認可能な値または値の範囲を規定し得ることを留意されたい。これらの追加の条件はまた、監視され得、それらが所定の生産プロセス条件外であることが見出されるとき、是正措置をトリガし得る。
【0126】
図13は、いくつかの実施形態による、多状態電解セルのための監視および制御サブシステム1300の選択された要素を図示するブロック図である。例えば、監視および制御サブシステム1300は、
図8に図示される監視および制御サブシステム806、810、828、または844、
図9に図示される監視および制御サブシステム922または932、または
図8に図示される電力回路コントローラ856等の可変制御可能電力回路に関連付けられた監視および制御サブシステムを含む、本明細書に説明される監視および制御サブシステムのうちの複数のもののいずれかを表し得る。いくつかの実施形態では、監視および制御サブシステム1300は、多状態電解セルシステム内またはその多状態電解セルのうちのいずれかの中の条件の変化にリアルタイムで応答し、是正措置を講じ、システムを生産プロセス条件の所定の組に戻す、リアルタイム監視および制御サブシステムであり得る。いくつかの実施形態では、監視および制御サブシステム1300は、複数の利用可能な電力源のうちの1つの選択を制御するように、または多状態電解セルの電極を横断して印加される電位差を制御し、1つ以上の生成物が生産される特定の生産状態、またはいずれの生成物も生産されないアイドル状態時のセルの動作を開始するように構成され得る。
【0127】
図13に図示されるように、監視および制御サブシステム1300は、1つ以上のプロセッサ1310と、データ1322およびプロセッサ1310によって実行可能な命令1324を含む、メモリ1320とを含み得る。監視および制御サブシステム1300はまた、それを通して監視および制御サブシステム1300が通信し、データ、コマンド、または制御信号を種々の入出力デバイス1350と交換し、本明細書に説明される方法を実施し得る1つ以上の入出力インターフェース1330を含み得る。入出力デバイスは、例えば、種々のセンサ、キーボード、または他のユーザ入力デバイスのうちのいずれか、ディスプレイ、タッチデバイス、スイッチ、アクチュエータ、加熱または冷却要素、背圧ポンプ、または入力を提供し、多状態電解セル内の電気化学生産プロセスを制御するように監視および制御サブシステム1300によって制御され得るシステムの任意の他の機械または電気コンポーネントを含み得る。監視および制御サブシステム1300はまた、それを通して監視および制御サブシステム1300が通信し、データ、コマンド、または制御信号をネットワーク1360内の種々の遠隔デバイス1365と交換し、本明細書に説明される方法を実施し得る1つ以上のネットワークインターフェース1340を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、入力またはコマンドが、プラント自体の外側に位置する電気化学プラントのための中心制御システム等の遠隔システムから監視および制御サブシステム1300によって受信され得る。プロセッサ1310、メモリ1320、入出力インターフェース1330、およびネットワークインターフェース1340は、相互結線1302を経由して相互に結合され得る。
【0128】
種々の実施形態では、入力が、キーボードおよびマウスを使用して、またはタッチデバイス(図示せず)を使用して、オペレータ、管理者、または別のユーザによって監視および制御サブシステム1300に提供され得る。いくつかの実施形態では、監視および制御サブシステム1300の動作のうちの少なくともいくつかは、完全に自動化され得る。いくつかの実施形態では、監視および制御サブシステム1300の動作のうちの少なくともいくつかは、安全上の理由により、または多状態電解セルシステム内の予期しない条件に応答して等、必要である場合、オペレータまたは管理者が自動特徴をオーバーライドするためのオプションを伴って自動化され得る。
【0129】
入出力インターフェース1330は、例えば、種々の通信インターフェース、グラフィックインターフェース、ビデオインターフェース、ユーザ入力インターフェース、および/または周辺インターフェースを表し得る。いくつかの実施形態では、オペレータまたは管理者が、ユーザインターフェースを通して、生産状態およびアイドル状態の両方で維持されるべき生産プロセス条件を定義し得るオペレータまたは管理者が、多状態電解セルの電極を横断して印加されるべき電位差を選択し、多状態電解セルを特定の生産状態またはアイドル状態にし得る。いくつかの実施形態では、監視および制御サブシステム1300は、入出力インターフェース1330を通して、多状態電解セルの電流条件を示すデータを種々のセンサから自動的に受信し、電流条件の変化または受電された電力の可用性の変化を検出するように、かつ電極を横断する電位差を変化させる、または是正要素をアクティブにし、セルを生産プロセス条件の所定の組に戻すとき、およびそうするかどうかを決定するように、構成され得る。例えば、電極を横断する電位差が、セルを異なる状態にするように変化されるべきであること、または是正要素が、セルを生産プロセス条件の所定の組に戻すようにアクティブ化されるべきであることを決定することに応答して、監視および制御サブシステム1300は、制御信号を背圧ポンプ、アクチュエータ、スイッチ、加熱または冷却要素、またはシステムの任意の他の機械または電気コンポーネントに伝送し、決定された変化をもたらすように構成され得る。
【0130】
相互結線1302は、種々の好適なタイプのバス構造、例えば、選択された実施形態では種々のバスアーキテクチャを使用する、メモリバス、周辺バス、またはローカルバスを表し得る。例えば、そのようなアーキテクチャは、限定ではないが、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、拡張ISA(EISA)バス、周辺コンポーネント相互接続(PCI)バス、PCI-エクスプレスバス、ハイパートランスポート(HT)バス、およびビデオエレクトロニクススタンダーズアソシエーション(Video Electronics Standards Association;VESA)ローカルバスを含み得る。
【0131】
図13では、ネットワークインターフェース1340は、監視および制御サブシステム1300とネットワーク1360との間のインターフェースとしての役割を果たすように動作可能である、好適なシステム、装置、またはデバイスであり得る。ネットワークインターフェース1340は、監視および制御サブシステム1300が、異なる実施形態では、限定ではないが、伝送プロトコルおよび/または規格を含む、好適な伝送プロトコルおよび/または規格を使用して、ネットワークを経由して通信することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース1340は、ネットワーク1360を介して種々の遠隔デバイス1365に通信可能に結合され得る。ネットワーク1360は、ストレージエリアネットワーク(SAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、イントラネット、インターネット、または信号、データ、および/またはメッセージ(概して、データと称される)の通信を促進する別の適切なアーキテクチャまたはシステムとして実装され得る、またはその一部であり得る。ネットワーク1360は、限定ではないが、ファイバチャネル、フレームリレー、非同期転送モード(ATM)、インターネットプロトコル(IP)、他のパケットベースのプロトコル、小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)、インターネットSCSI(iSCSI)、シリアルアタッチトSCSI(SAS)またはSCSIプロトコルとともに動作する別のトランスポート、アドバンストテクノロジーアタッチメント(ATA)、シリアルATA(SATA)、アドバンストテクノロジーアタッチメントパケットインターフェース(ATAPI)、シリアル記憶アーキテクチャ(SSA)、統合ドライブエレクトロニクス(IDE)、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む、所望の記憶および/または通信プロトコルを使用して、データを伝送し得る。ネットワーク1360および/またはそれに関連付けられた種々のコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、実装され得る。
【0132】
図13で描写されるように、プロセッサ1310は、プログラム命令および/またはプロセスデータを解釈および/または実行するように動作可能なシステム、デバイス、または装置を備えてもよく、プログラム命令および/またはプロセスデータを解釈および/または実行するように構成される、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または別のデジタルまたはアナログ回路を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1310は、ローカルで(例えば、メモリ1320内に)記憶されたプログラム命令および/またはプロセスデータを解釈および/または実行し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1310は、遠隔で(例えば、示されていないネットワーク1360上のネットワーク記憶リソース内に)記憶されたプログラム命令および/またはプロセスデータを解釈および/または実行し得る。
【0133】
メモリ1320は、ある時間周期にわたってプログラム命令および/またはデータを留保する、および/または読み出すように動作可能なシステム、デバイス、または装置を備え得る(例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体)。メモリ1320は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、PCMCIAカード、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光磁気記憶装置、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CD-ROMまたは他のタイプの回転記憶媒体またはソリッドステート記憶媒体、または監視および制御サブシステム1300への電力が切られた後にデータを留保する好適な一連またはアレイの揮発性または不揮発性メモリを備え得る。
【0134】
種々の実施形態では、監視および制御サブシステム1300の任意の特定のインスタンスは、監視および制御サブシステム1300のインスタンスが動作しているコンテキストのために適宜、
図13に図示されるものよりも多い、少ない、または異なるコンポーネントを含み得る。
【0135】
上記の開示される主題は、制限的ではなく例証的と見なされるものであり、添付の請求項は、本開示の真の精神および範囲内に該当する、全てのそのような修正、向上、および他の実施形態を網羅することを意図している。したがって、法によって許容される最大の程度に、本開示の範囲は、以下の請求項およびそれらの均等物の最も広義の許容できる解釈によって決定されることとなり、前述の発明を実施するための形態によって制限または限定されないものとする。