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特許7558196コンピューティングシステム、コンピュータ可読データ記憶媒体、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コンピューティングシステム、コンピュータ可読データ記憶媒体、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/363 20210101AFI20240920BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20240920BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20240920BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B5/363
A61B5/33 120
A61B5/33 300
G06N3/02
G06N20/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021564729
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 US2020029431
(87)【国際公開番号】W WO2020226904
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】62/843,693
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/850,618
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバーシー,ニランジャン
(72)【発明者】
【氏名】ダニ,シッダルト
(72)【発明者】
【氏名】ハダド,タレク・ディー
(72)【発明者】
【氏名】カトラ,ロドルフェ
(72)【発明者】
【氏名】マスグローブ,ドナルド・アール
(72)【発明者】
【氏名】ペダルティ,リンゼイ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ラトケ,アンドリュー
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/070978(WO,A1)
【文献】米国特許第7490085(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0374105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/346-5/366
A61B 5/33
A61B 5/318
G06N 3/02
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の患者の心臓電位図(EGM)ストリップ(strip)を記憶するように構成された記憶媒体と、
処理回路であって、
前記心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律(cardiacrhythm)分類器ニューラルネットワーク(CRC)を適用することであって、
前記第1のCRCが、複数の患者を含む第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、
前記第1のCRCが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントに基づいて、前記現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、ことと、
前記心臓EGMストリップの前記セグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することであって、
前記第2のCRCが、前記第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される前記第1のCRCのバージョンであり、
前記第2のCRCが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントに基づいて、前記現在の患者の前記心調律の前記態様に関する第2のデータを生成する、ことと、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、ユーザインタフェースを介して出力可能な出力データを生成することと、を行うように構成された、処理回路と、を含む、コンピューティングシステム。
【請求項2】
前記第2の集団が、前記現在の患者からなる、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項3】
前記第2の集団が、前記現在の患者と1つ以上の特徴を共有する患者のコホートである、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の特徴が、前記患者のコホート(cohort)および前記現在の患者の診断を含む、請求項3に記載のコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記処理回路が、前記心臓EGMストリップを入力として用いて、第3のCRCを適用するようにさらに構成され、
前記第3のCRCが、前記第1の集団からの前記心臓EGMストリップを訓練することに基づいて訓練され、前記現在の患者からの心臓EGMストリップを訓練することのみに基づいてさらに訓練された、前記第1のCRCのバージョンであり、
前記第3のCRCが、心臓EGMストリップの前記セグメントに基づいて、前記現在の患者の前記心調律の前記態様に関する第3のデータを生成し、
前記処理回路が、前記出力データを生成することの一部として、前記処理回路が前記第1のデータ、前記第2のデータ、および前記第3のデータに基づいて前記出力データを生成するように構成されている、請求項3または4に記載のコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記現在の患者の前記心調律の前記態様が、前記現在の患者の前記心調律における心不整脈の発生の発生であり、
前記第1のデータが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントが前記心不整脈の少なくとも1回の発生を表す第1の確率に基づいており、
前記第2のデータが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントが前記心不整脈の少なくとも1回の発生を表す第2の確率に基づいている、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項7】
前記現在の患者の前記心調律の前記態様が、前記現在の患者の前記心調律で発生する心不整脈の発生の形態学的態様であり、
前記第1のデータが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントで表される前記心不整脈の発生の前記形態学的態様に関する第1のデータを含み、
前記第2のデータが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントで表される前記心不整脈の前記発生の前記形態学的態様に関する第2のデータを含み、
前記出力データが、前記発生の前記形態学的態様に関する前記第1のデータと、前記発生の前記形態学的態様に関する前記第2のデータとを比較するデータを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項8】
前記処理回路が、
前記第2のデータの、前記現在の患者からの事前の心臓EGMストリップに基づいて前記第2のCRCによって生成された履歴データとの比較に基づいて、第2の出力データを生成するようにさらに構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項9】
前記第1のCRCが、出力ベクトルを生成し、
前記コンピューティングシステムが、前記第2の集団からの心臓EGMストリップのみに基づいて前記第1のCRCのインスタンスを訓練することによって、前記第2のCRCを生成するようにさらに構成され、前記処理回路が、前記第2のCRCを生成することの一部として、前記第2の集団からの各々のそれぞれの心臓EGMストリップの各々のそれぞれのセグメントについて、
前記第1のCRCを前記それぞれの心臓EGMストリップの前記それぞれのセグメントに適用して、前記それぞれの心臓EGMストリップの第1の出力ベクトルを生成することと、
前記第2のCRCを前記それぞれの心臓EGMストリップの前記それぞれのセグメントに適用して、前記それぞれの心臓EGMストリップの第2の出力ベクトルを生成することと、
前記それぞれの心臓EGMストリップの前記それぞれのセグメントの前記第2の出力ベクトルが、前記それぞれの心臓EGMストリップの前記第1の出力ベクトルよりも正確であるかどうかを判定することと、
前記心臓EGMストリップの前記第2の出力ベクトルが、前記それぞれの心臓EGMストリップの前記第1の出力ベクトルよりも正確であるかどうかに基づいて、前記第2のCRCのパラメータを更新することであって、
前記処理回路が、前記心臓EGMストリップの前記第2の出力ベクトルが前記それぞれの心臓EGMストリップの前記第1の出力ベクトルよりも正確である場合に、前記第2のCRCの前記パラメータを更新するように構成され、
前記処理回路が、前記心臓EGMストリップの前記第2の出力ベクトルが前記それぞれの心臓EGMストリップの前記第1の出力ベクトルよりも正確でない場合に、前記第2のCRCの前記パラメータを更新しないように構成されている、ことと、を行うように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項10】
コンピュータ可読データ記憶媒体であって、実行されると、コンピューティングシステムに、
現在の患者の心臓電位図(EGM)ストリップを取得することと、
前記心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器ニューラルネットワーク(CRC)を適用することであって、
前記第1のCRCが、複数の患者を含む第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、
前記第1のCRCが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントに基づいて、前記現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、ことと、
前記心臓EGMストリップの前記セグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することであって、
前記第2のCRCが、前記第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される前記第1のCRCのバージョンであり、
前記第2のCRCが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントに基づいて、前記現在の患者の前記心調律の前記態様に関する第2のデータを生成する、ことと、
前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、ユーザインタフェースを介して出力可能な出力データを生成することと、を行わせる命令がそれらの上に記憶されている、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【請求項11】
コンピューティングシステムによって、現在の患者の心臓電位図(EGM)ストリップを取得することと、
前記コンピューティングシステムによって、前記心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器ニューラルネットワーク(CRC)を適用することであって、
前記第1のCRCが、複数の患者を含む第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、
前記第1のCRCが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントに基づいて、前記現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、ことと、
前記コンピューティングシステムによって、前記心臓EGMストリップの前記セグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することであって、
前記第2のCRCが、前記第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される前記第1のCRCのバージョンであり、
前記第2のCRCが、前記心臓EGMストリップの前記セグメントに基づいて、前記現在の患者の前記心調律の前記態様に関する第2のデータを生成する、ことと、
前記コンピューティングシステムによって、前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて、ユーザインタフェースを介して出力可能な出力データを生成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、健康管理、より具体的には、心臓の健康管理に関する。
【背景技術】
【0002】
心室細動などの悪性頻脈性不整脈は、心臓の心室の心筋の非協調性収縮であり、心停止患者で最もよく確認される不整脈である。この不整脈が数秒を超えて続くと、心原性ショックや有効血液循環の停止がもたらされる可能性がある。その結果、心臓突然死(SCD)がほんの数分でもたらされる可能性がある。
【0003】
植込み型または非植込み型の医療デバイスにより、患者の心不整脈を監視することができる。医師などのユーザは、心房もしくは心室の頻脈性不整脈、または心静止などの心不整脈の発生について、医療デバイスによって生成されたデータをレビューすることができる。ユーザは、心不整脈の発生に基づいて患者の病状を診断することができる。
【発明の概要】
【0004】
一般に、本開示では、患者の心調律を分析する人工知能(AI)モデルをパーソナライズするための技法、または患者コホートのためにAIモデルを特化させるための技法が説明される。本開示で考察されるように、コンピューティングシステムは、心臓電位図(EGM)ストリップ、例えば、現在の患者について、ある期間にわたる心臓EGM波形の値のシーケンスを表すデータを取得することができる。さらに、コンピューティングシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器(CRC)を適用することができる。第1のCRCは、第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される。第1のCRCは、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する。コンピューティングシステムはまた、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することができる。第2のCRCは、より小さな第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される。第2のCRCは、現在の患者の心調律の態様に関する第2のデータを生成する。コンピューティングシステムは、第1および/または第2のデータに基づいて出力データを生成することができる。
【0005】
一態様では、本開示は、コンピューティングシステムによって、現在の患者の心臓電位図(EGM)ストリップを取得することと、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器ニューラルネットワーク(CRC)を適用することであって、第1のCRCが、複数の患者を含む第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、第1のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、適用することと、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することであって、第2のCRCが、第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される第1のCRCのバージョンであり、第2のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第2のデータを生成する、適用することと、コンピューティングシステムによって、第1のデータおよび第2のデータに基づいて出力データを生成することと、を含む方法を説明する。
【0006】
別の態様では、本開示は、コンピューティングシステムによって、現在の患者の心臓EGMストリップを取得することと、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて特化型心調律分類器(CRC)を適用することであって、特化型CRCが、現在の患者からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、特化型CRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、適用することと、コンピューティングシステムによって、第1のデータと、現在の患者からの事前の心臓EGMストリップに基づいて特化型CRCによって生成された履歴データに基づいて出力データを生成することと、を含む方法を説明する。
【0007】
別の態様では、本開示は、処理回路および記憶媒体を含むコンピューティングシステム、これらの方法を実行するように構成されたコンピューティングデバイスを説明する。別の態様では、本開示は、コンピュータ可読データ記憶媒体であって、実行されると、コンピューティングシステムにこれらの方法を実行させる命令がその上に記憶されているコンピュータ可読データ記憶媒体を説明する。
【0008】
別の態様では、本開示は、現在の患者の心臓電位図(EGM)ストリップを記憶するように構成された記憶媒体と、処理回路であって、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器ニューラルネットワーク(CRC)を適用することであって、第1のCRCが、複数の患者を含む第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、第1のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、適用することと、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することであって、第2のCRCが、第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される第1のCRCのバージョンであり、第2のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第2のデータを生成する、適用することと、第1のデータおよび第2のデータに基づいて出力データを生成することと、を行うように構成された処理回路と、を含むコンピューティングシステムを説明する。
【0009】
別の態様では、本開示は、コンピュータ可読データ記憶媒体であって、実行されると、コンピューティングシステムに、現在の患者の心臓電位図(EGM)ストリップを取得することと、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器ニューラルネットワーク(CRC)を適用することであって、第1のCRCが、複数の患者を含む第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、第1のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、適用することと、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することであって、第2のCRCが、第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される第1のCRCのバージョンであり、第2のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第2のデータを生成する、適用することと、第1のデータおよび第2のデータに基づいて出力データを生成することと、を行わせる命令がその上に記憶されているコンピュータ可読データ記憶媒体を説明する。
【0010】
この要約は、本開示に記載されている主題の概要を提供することを意図する。以下の添付の図面および説明の中で詳細に説明されている、装置および方法の排他的または包括的な説明を提供することを意図するものではない。1つ以上の例のさらなる詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の技法による、患者の心調律の1つ以上の態様を分析するためのシステムを示すブロック図である。
図2図1の植込み型医療デバイス(IMD)およびシステムのリードをより詳細に示す概念図である。
図3】本開示の技法による植込み型医療デバイスの例のブロック図である。
図4】本開示の1つ以上の技法に従って動作する例示的なコンピューティングデバイスを示すブロック図である。
図5】本開示の技法による例示的な動作を示すフローチャートである。
図6】本開示の技法による、個々の患者の心臓電位図(EGM)に基づいて、一般型心調律分類器(CRC)が更新される例を示す概念図である。
図7】本開示の技法による、コンピューティングシステムが一般型CRCおよびコホートベースCRCを適用する例を示す概念図である。
図8】本開示の技法による、コンピューティングシステムが一般型CRC、コホートベースCRC、および特化型CRCを適用する動作例を示すフローチャートである。
図9】本開示の技法による、特化型CRCを訓練するための動作例を示すフローチャートである。
図10】本開示の技法による、パーソナライズされた出力データを生成するための動作例を示すフローチャートである。
図11】本開示の技法による、コンピューティングシステムがパーソナライズされた出力データを生成する例を示す概念図である。
【0012】
同様の参照文字は、図および明細書全体を通して同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本開示の技法による、患者14の心調律の1つ以上の態様を分析するためのシステム10を示すブロック図である。システム10は、医療デバイス16を含む。かかる医療デバイスの一例は、図1に示されるような植込み型医療デバイス(IMD)である。図1の例示的なシステム10によって示されるように、医療デバイス16は、いくつかの例では、例えば、植込み型心臓モニタ、植込み型心臓ペースメーカ、植込み型心臓除細動器(ICD)、またはペースメーカ/心臓除細動器/除細動器であってもよい。いくつかの例では、医療デバイス16は、非植込み型心臓モニタ(例えば、ホルターモニタ)などの非植込み型医療デバイスである。
【0014】
図1の例では、医療デバイス16は、リード18、20、および22に接続され、外部デバイス27に通信可能に結合され、外部デバイス27は、通信ネットワーク25を介してコンピューティングシステム24に通信可能に結合される。医療デバイス16は、1つ以上のリード18、20、および22上の電極または医療デバイス16のハウジングを介して、心臓12の脱分極および再分極に付随する電気信号、例えば、心臓電位図(EGM)を感知する。医療デバイス16はまた、1つ以上のリード18、20および22または医療デバイス16のハウジングに配置された電極を介して、心臓12に電気信号の形態で治療を送達することができる。治療は、ペーシング、電気的除細動、および/または除細動パルスであり得る。医療デバイス16は、リード18、20、または22上の電極によって収集された心臓EGM信号を監視し、心臓EGM信号に基づいて、心不整脈を診断および治療することができる。
【0015】
いくつかの例では、医療デバイス16は、図1の外部デバイス27などの別のデバイスと通信するための任意の好適な回路、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせを含む通信回路17を含む。例えば、通信回路17は、コンピューティングシステム24などの他のデバイスとの無線周波数通信のための1つ以上のプロセッサ、メモリ、無線ラジオ、アンテナ、送信機、受信機、変調および復調回路、フィルタ、増幅器などを含んでもよい。医療デバイス16は、通信回路17を使用して、ダウンリンクされたデータを受信し、医療デバイス16の1つ以上の動作を制御し、かつ/またはアップリンクされたデータを外部デバイス27に送信することができる。
【0016】
リード18、20、22は、患者14の心臓12内に延びて、心臓12の電気的活動を感知し、および/または心臓12に電気刺激を送達する。図1に示される例では、右心室(RV)リード18は、1つ以上の静脈(図示せず)を通り、上大静脈(図示せず)、および右心房26を通って右心室28に延びる。左心室(LV)リード20は、1つ以上の静脈を通り、大静脈、右心房26を通って冠状静脈洞30に入り、心臓12の左心室32の自由壁に隣接する領域まで延びる。右心房(RA)リード22は、1つ以上の静脈および大静脈を通って、心臓12の右心房26内に延びる。
【0017】
図1の例示的なシステム10は医療デバイス16を示しているが、他の例では、本開示の技法は、必ずしも植込み型ではない、他のタイプの医療デバイスに適用され得る。例えば、本開示の技法による医療デバイスは、患者14が着用するウェアラブル医療デバイスまたは「スマート」アパレルを含み得る。例えば、そのような医療デバイスは、患者14が着用する腕時計、または患者14に密着して貼り付けられる回路の形態を取ることができる。別の例では、本明細書に記載の医療デバイスは、植込み型電極を備えた外部医療デバイスを含み得る。
【0018】
いくつかの例では、外部デバイス27は、モバイルデバイス、「スマート」フォン、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)などのような外部プログラマまたはモバイルデバイスの形態を取る。いくつかの例では、外部デバイス27は、Medtronic,Inc.から入手可能なCareLink(商標)モニタである。医師、技術者、外科医、電気生理学者、または他の臨床医などのユーザは、外部デバイス27と対話して、医療デバイス16から生理学的または診断情報を取得することができる。上記のような患者14または臨床医などのユーザはまた、外部デバイス27と対話して、医療デバイス16をプログラムすることができ、例えば、医療デバイス16の動作パラメータの値を選択または調整することができる。外部デバイス27は、医療デバイス16およびコンピューティングシステム24の各々の間で情報を送受信することができる処理回路、メモリ、ユーザインターフェース、および通信回路を含み得る。
【0019】
いくつかの例では、コンピューティングシステム24は、ハンドヘルドコンピューティングデバイス、コンピュータワークステーション、サーバもしくは他のネットワーク化されたコンピューティングデバイス、スマートフォン、タブレット、またはユーザに情報を提示し、ユーザから入力を受け取るためのユーザインターフェースを含む外部プログラマの形態を取る。いくつかの例では、コンピューティングシステム24は、ニューラルネットワーク、深層学習システム、または別のタイプの機械学習システムなどの機械学習システムを実装する1つ以上のデバイスを含み得る。医師、技術者、外科医、電気生理学者、または他の臨床医などのユーザは、コンピューティングシステム24と対話して、医療デバイス16から生理学的または診断情報を検索することができる。ユーザはまた、コンピューティングシステム24と対話して、医療デバイス16をプログラムすることができ、例えば、IMDの動作パラメータの値を選択することができる。コンピューティングシステム24は、心臓EGM(もしくはそのセグメント)および/または医療デバイス16からコンピューティングシステム24に送信される他の感知された信号を評価するように構成されたプロセッサを含み得る。
【0020】
ネットワーク25は、1つ以上の非エッジスイッチ、ルータ、ハブ、ゲートウェイ、ファイアウォール、侵入検知、および/または侵入防止デバイスなどのセキュリティデバイス、サーバ、コンピュータ端末、ラップトップ、プリンタ、データベース、携帯電話や携帯情報端末などのワイヤレスモバイルデバイス、ワイヤレスアクセスポイント、ブリッジ、ケーブルモデム、アプリケーションアクセラレータ、または他のネットワークデバイスなどの1つ以上のコンピューティングデバイス(図示せず)を含み得る。ネットワーク25は、サービスプロバイダによって管理される1つ以上のネットワークを含み得、これにより、インターネットなどの大規模なパブリックネットワークインフラストラクチャの一部を形成し得る。ネットワーク25は、コンピューティングシステム24および医療デバイス16などのコンピューティングデバイスにインターネットへのアクセスを提供し得る。ネットワーク25は、コンピューティングデバイスが互いに通信することを可能にする通信フレームワークを提供し得る。いくつかの例では、ネットワーク25は、通信フレームワークを提供するプライベートネットワークであり得、当該通信フレームワークは、コンピューティングシステム24、医療デバイス16、およびEMRデータベース66が互いに通信することを可能にするが、セキュリティの目的で、コンピューティングシステム24、医療デバイス16、およびEMRデータベース66を外部デバイスから分離する。いくつかの例では、コンピューティングシステム24、医療デバイス16、およびEMRデータベース66間の通信は暗号化されている。
【0021】
外部デバイス27およびコンピューティングシステム24は、当技術分野で知られている任意の技法を使用して、ネットワーク25を介した無線または非無線通信を介して通信することができる。いくつかの例では、コンピューティングシステム24は、ローカルアクセスポイント、ワイヤレスルータ、またはゲートウェイなどのネットワーク25に配置された中間デバイスを介して外部デバイス27と通信する、リモートデバイスである。図1の例では、外部デバイス27とコンピューティングシステム24はネットワーク25を介して通信するが、いくつかの例では、外部デバイス27とコンピューティングシステム24とは互いに直接的に通信する。通信技術の例には、例えば、Bluetooth(登録商標)またはBLEプロトコルに従った通信が含まれ得る。他の通信技術も企図されている。コンピューティングシステム24はまた、有線および無線の両方の複数の既知の通信技術を使用して、1つ以上の他の外部デバイスと通信することができる。
【0022】
EMRデータベース66は、患者14のEMRデータを記憶する。EMRデータベース66は、処理回路および1つ以上の記憶媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM))、電子的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、またはフラッシュメモリ)を含み得る。いくつかの例では、EMRデータベース66はクラウドコンピューティングシステムである。いくつかの例では、EMRデータベース66の機能は、複数のコンピューティングシステムに分散されている。
【0023】
一例では、コンピューティングシステム24は、患者14の医療デバイス16によって収集された患者データを受信する。いくつかの例では、患者データには、患者14の生理学的データ例えば、患者14の活動レベルのうちの1つ以上、患者14の心拍数、患者14の姿勢、患者14の心臓電位図、患者14の血圧、患者14のパルス通過時間、患者14の呼吸数、患者14の低呼吸指数もしくは無呼吸、患者14の加速度計データ、患者14の加速度計データから得られた特徴(例えば、活動数、姿勢、統計的管理プロセス変数など)、患者14の生の筋電図、患者14の生の筋電図もしくは心臓EGMから得られた1つ以上の特徴(例えば、心拍変動、t波交互脈、QRS形態など、間隔データと間隔データから派生した特徴、心音、カリウム濃度、グリセミック指数)、患者14の体温、または前述のパラメトリックデータから導出可能なデータ、あるいは任意の他のタイプの患者パラメトリックデータが含まれる。いくつかの例では、医療デバイス16または別のデバイスは、1つ以上のセンサからの情報を処理することによって、患者のパラメトリックデータを自動的に生成することができる。例えば、医療デバイス16は、1つ以上のセンサを介して、患者14が転倒したこと、患者14が虚弱であるか病気にかかっていること、または患者14が睡眠時無呼吸のインスタンスに苦しんでいることを判定してもよい。
【0024】
いくつかの例では、患者データには、患者14の近傍の大気質測定値、オゾンレベル、粒子数、または汚染レベル、周囲温度、もしくは日照時間などの環境データが含まれる。いくつかの例では、医療デバイスまたは外部デバイス27のうちの1つは、1つ以上のセンサを介して、環境データを感知することができる。別の例では、環境データは、気象アプリケーションなどのアプリケーションを介して外部デバイス27によって受信され、外部デバイス27上で実行され、ネットワーク25を介してコンピューティングシステム24にアップロードされる。別の例では、コンピューティングシステム24は、患者14の位置ベースのデータを有するクラウドサービスから直接的に環境データを収集する。
【0025】
いくつかの例では、患者データには、外部デバイス27などの外部デバイスを介して患者14によってアップロードされた患者症状データが含まれる。例えば、患者14は、スマートフォン上で実行されるアプリケーションを用いて患者症状データをアップロードすることができる。いくつかの例では、患者14は、タッチスクリーン、キーボード、グラフィカルユーザインターフェース、音声コマンドなどによるユーザインターフェース(図1には図示せず)を介して患者症状データをアップロードすることができる。
【0026】
いくつかの例では、患者データには、デバイス関連のデータ、例えば、医療デバイスのうちの1つ以上の電極のインピーダンスのうちの1つ以上、電極の選択、医療デバイスの薬物送達スケジュール、患者に送達された電気ペーシング療法の履歴、または医療デバイスの診断データなどが含まれる。いくつかの例では、患者データを収集する医療デバイスは、IMDである。他の例では、患者データを収集する医療デバイスは、患者14のウェアラブル医療デバイスまたはモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)などの別のタイプの患者デバイスである。いくつかの例では、コンピューティングシステム24は、定期的に、例えば毎日、患者データを受信する。
【0027】
いくつかの例では、コンピューティングシステム24はさらに、EMRデータベース66から患者14のEMRデータを受信する。EMRデータは、別の形態の患者データとみなすことができる。いくつかの例では、EMRデータベース66によって記憶されたEMRデータは、患者14に関する多くの異なるタイプの過去の医療情報を含み得る。例えば、EMRデータベース66には、患者の投薬履歴、患者の外科的処置履歴、患者の入院履歴、経時的な患者のカリウム濃度、例として、患者14の1つ以上のラボテスト結果、患者14の心血管系の病歴、または心房細動、心不全、糖尿病などの患者14の併存疾患が記憶されてもよい。
【0028】
コンピューティングシステム24は、慢性心臓病の管理を支援し得る心臓EGM監視システムを実装することができる。心臓EGM監視システムを実装するために、コンピューティングシステム24は、人工知能(AI)技術を適用して、心臓EGMデータなどの患者データを分析することができる。AI技術の例には、深層学習または他の機械学習技法が含まれ得る。ニューラルネットワークアルゴリズムは、深層学習アルゴリズムの一例である。
【0029】
医療デバイス16、外部デバイス27、またはコンピューティングシステム24によって適用されるAI技術は、患者14の心調律の1つ以上の態様に関するデータを生成することができる。例えば、AI技術は、医療デバイス16などの1つ以上の医療デバイスから得られた心臓EGMストリップに少なくとも部分的に基づいて、心不整脈の発生を識別してもよい。心臓EGMストリップには、連続する期間(例えば、30秒、45秒など)における患者の心調律を表すデータが含まれる。心臓EGMストリップは、心調律の波形を表す一連のサンプルを含み得る。ユーザ(例えば、技術者、医師、患者、医療専門家、または他のタイプのユーザ)は、診断目的のために、または患者14の継続的なケアを実行する一環として、検出された心不整脈の発生をレビューすることができる。心臓EGMストリップに加えて、AI技術は、1つ以上の他のタイプのデータを使用して、患者14の電子医療記録からの情報などの心不整脈の発生を検出することができる。
【0030】
心臓のEGMストリップの処理から抽出されたメトリックに適用される信号処理技術とヒューリスティックは、従来、低電力設定で実装され、心不整脈の検出、EGMデータの記録のトリガーなどの目的で使用されていたものである。AIアルゴリズムは、そのような従来から実装されている技術を補強するものであってもよく、その代わりに用いるものであってもよい。有利には、AIアルゴリズムを使用する場合、患者14の心不整脈または心調律の他の態様の発生を識別するために、機能および信号処理技術を手動で設計しなくてもよい場合がある。むしろ、AIアルゴリズムは、集団データから学習し、集団における心臓病の現れ方の代表的なモデルとなり得る。AIアルゴリズムは、時間の経過と共に(例えば、強化学習、残余学習、転移学習などの戦略を実装することによって)改善することができる。
【0031】
AIアルゴリズムは、患者14の心調律のこのような態様を識別するように訓練された心調律分類モデルを適用することによって、所与の心臓EGMストリップに関心のある患者14の心調律の1つ以上の態様を識別するように訓練され得る。患者14の心調律の態様は、様々な心不整脈、不整脈の発生時間を反映する1つ以上の心臓EGMストリップ内のかかる心不整脈の位置、心不整脈の発生の形態学的態様などを含み得る。心調律分類モデルは、被験者の集団から抽出されたEGMストリップ、およびいくつかの例では、他のデータで訓練することができる。
【0032】
本開示は、心調律分類モデルをパーソナライズするための技法を説明する。例えば、本開示は、小規模な患者のコホートのために心調律分類モデルを訓練するための技法を説明する。本開示はまた、個々の患者のための心調律分類モデルを訓練するための技法を説明する。心調律分類モデルをパーソナライズすることにより、ユーザは、より代表的な集団のコンテキストで、または患者14の事前の履歴と比較して、患者14の心臓EGM記録を分析することが可能になり得る。これにより、ユーザは、対象の個々の患者により適した決定を下すことができる。本開示の他の箇所で詳細に説明されるように、かかる技法は、医療デバイス16および/または外部デバイス27の電力消費および/または帯域幅利用を低減するために使用することができる。
【0033】
したがって、本開示の一例では、AIシステムは、患者14(すなわち、現在の患者)のための心臓EGMストリップを取得することができる。AIシステムは、メモリおよび1つ以上の処理回路で構成されるコンピューティングシステムである。図1の文脈では、AIシステムは、医療デバイス16、コンピューティングシステム24、外部デバイス27、または別のデバイスもしくは複数のデバイスのシステムであり得る。したがって、本開示では、AIシステムによって実行される動作の考察は、別段明記されない限り、これらのデバイスのいずれかによって実行される動作に適用され得る。
【0034】
さらに、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器(CRC)を適用することができる。CRCは、心調律分類モデルの例であり、ニューラルネットワークまたは他のタイプの深層学習技術として実装され得る。心臓EGMストリップのセグメントは、心臓EGMストリップの全てまたは心臓EGMストリップのサブセグメントを含み得る。いくつかの例では、心臓EGMストリップのセグメントに加えて、CRCへの入力には、EMRデータベース66内のデータなどのデータが含まれる。
【0035】
第1のCRCは、第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される。第1の集団は、複数の患者を含む。いくつかの例では、第1の集団は、心臓EGMデータがコンピューティングシステム24またはその亜集団によって監視されている全ての患者を含む。コンピューティングシステム24がグローバルまたはリージョナル監視システムを実装するいくつかの例では、第1の集団は、何千または数百万の患者を含み得る。第1のCRCは、かかる集団を使用して訓練されるため、本開示では、第1のCRCを一般型CRCと称する場合がある。心臓EGMストリップに基づくCRCの訓練は、心臓EGMストリップのセグメントに基づくCRCの訓練に適用され得る。
【0036】
AIシステムが第1のCRCを心臓EGMストリップのセグメントに適用すると、第1のCRCは、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、患者14の心調律の態様に関する第1のデータを生成する。例えば、第1のCRCは、入力層、出力層、および入力層と出力層との間に1つ以上の隠れ層を有するニューラルネットワークとして実装されてもよい。入力層は、心臓EGMストリップのセグメントの各サンプル値の入力ニューロンを含み得る。出力層は、1つ以上の心不整脈のセット内の各心不整脈に対応する出力ニューロンを含み得る。AIシステムが第1のCRCを心臓EGMストリップのセグメントに適用すると、入力ニューロンは、セグメントからサンプル値を受け取り、隠れ層は、サンプル値を処理し、出力ニューロンは、セグメントが対応する心不整脈の発生を表すかどうかを示す値を出力し得る。
【0037】
さらに、この例では、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することができる。第2のCRCは、第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練された、第1のCRCのバージョンである。第2の集団は第1の集団よりも小さい。例えば、いくつかの例では、第2の集団は、患者14のみで構成され得る。他の例では、第2の集団は、患者14と1つ以上の特徴を共有する患者のコホートであり得る。かかる特性には、診断コードまたは手順コード、植込み型医療デバイス、年齢、性別、タバコの使用、併存疾患、性別、サイズなどが含まれ得る。いくつかの例では、第1の集団は第2の集団を含む。他の例では、第1の集団には第2の集団が含まれていない。第2のCRCは、第1の集団よりも小さい集団を使用して訓練されるため、本開示では、第2のCRCを特化型CRCと称してもよい。AIシステムが特化型CRCを心臓のEGMストリップのセグメントに適用すると、特化型CRCは、心臓のEGMストリップのセグメントに基づいて、心調律タイプの態様に関する第2のデータを生成する。
【0038】
異なる訓練データを使用して訓練されることを除き、特化型CRCは、一般型CRCと同じ様式で実装され得る。例えば、一般型CRCおよび特化型CRCがニューラルネットワークとして実装される例では、一般型CRCおよび特化型CRCは、同じ数および配置のニューロンを有してもよい。ただし、この例では、一般型CRCおよび特化型CRCのニューラルネットワークのパラメータ(例えば、ニューロンへの入力の重み、バイアス値など)が異なってもよい。他の例では、特化型CRCは、一般型CRCとは異なる様式で実装されてもよい。例えば、特化型CRCは、一般型CRCよりも多いか、または少ない層、ニューロンなどを含んでもよい。
【0039】
AIシステムは、第1のデータおよび/または第2のデータに基づいて出力データを生成することができる。AIシステムは、1つ以上の様々な方式で出力データを生成することができる。例えば、AIシステムは、グラフ、チャート、リスト、表、またはその他のデータの配置の形態で出力データを生成してもよく、これにより、ユーザ(例えば、患者、医師、健康管理技術者、家族など)は、患者14の心調律の1つ以上の態様に関する1つ以上のタイプのデータをレビューおよび/または比較することができる。例えば、第1のデータが、心臓EGMストリップのセグメントが心不整脈の発生を表すかどうかの指標を含み、第2のデータが、心臓EGMストリップのセグメントが心不整脈の発生を表すかどうかの指標を含むそのような一例では、AIシステムは、そのような兆候を収集および処理して、一般型CRCによって識別される心不整脈の発生数と特化型CRCによって識別される心不整脈の発生数を比較する棒グラフを生成することができる。
【0040】
AIシステムが医療デバイス16に実装されるいくつかの例では、一般型CRCが心臓EGMストリップのセグメントが心不整脈の発生を表すと判定した場合、医療デバイス16は心臓EGMストリップを外部デバイス27に送信することができる。次に、いくつかの例では、外部デバイス27は、ネットワーク25を介して心臓EGMストリップをコンピューティングシステム24に送信することができる。したがって、心臓EGMストリップは、コンピューティングシステム24、外部デバイス27、および/またはそれらのユーザによるレビューおよびさらなる処理のために利用可能であり得る。ただし、一般型CRCは第1の集団に基づいて訓練され、患者14に特化して訓練されていないため、一般型CRCは、特化型CRCと比較して、患者14の心臓EGMストリップのセグメントにおける心不整脈の発生を過小に識別する場合がある。したがって、医療デバイス16が一般型CRCを適用するだけであれば、医療デバイス16は、心臓EGMストリップが心不整脈の発生を表す可能性があるにもかかわらず、心臓EGMストリップを外部デバイス27に送信しない可能性がある。ただし、この例では、医療デバイス16は、特化型CRCを適用することによって、心不整脈の発生を表す可能性がある追加の心臓EGMストリップを識別することができる。次に、医療デバイス16は、追加の心臓EGMストリップを外部デバイス27に送信することができる。このプロセスにより、医療デバイス16で電力を節約し、ネットワーク帯域幅を節約することができる。なぜなら、外部デバイス27および/またはコンピューティングシステム24が、一般型CRCによって識別されなかった心不整脈の発生を表す心臓EGMストリップにアクセスするために、全ての心臓EGMストリップを送信する必要性を回避することができるからである。同様の考慮事項が、AIシステムが外部デバイス27によって実装され、外部デバイス27が心臓EGMストリップをコンピューティングシステム24に送信する例においても適用され得る。
【0041】
AIシステムが医療デバイス16に実装されているいくつかの例では、一般型CRCは、特化型CRCと比較して、患者14からの心臓EGMストリップのセグメントにおける心不整脈の発生を過剰に識別する場合がある。したがって、かかる一例では、医療デバイス16は、一構成において、一般型CRCおよび特化型CRCの両方が、心臓EGMストリップが心不整脈の発生を表すと判定する場合にのみ、心臓EGMストリップを外部デバイス27に送信することができる。これにより、医療デバイス16によって送信されるデータの量を減らし、それによって電力を節約し、帯域幅の消費を減らすことができる。同様の考慮事項が、AIシステムが外部デバイス27によって実装され、外部デバイス27が心臓EGMストリップをコンピューティングシステム24に送信する例においても適用され得る。
【0042】
さらに、いくつかの例では、AIシステムは、医療デバイス16および外部デバイス27に実装されている。例えば、この例では、医療デバイス16は、一般型CRCを実装してもよい。この例では、医療デバイス16は、心不整脈の発生を表すために、一般型CRCによって判定された心臓EGMストリップを外部デバイス27に送信することができる。さらに、この例では、外部デバイス27は、医療デバイス16から受信した心臓EGMストリップに特化型CRCを適用することができる。この例では、いくつかのモードでは、外部デバイス27は、受信した心臓EGMストリップのうち、特化型CRCによって心不整脈の発生を表すと判定されたものをコンピューティングシステム24に送信することができる。これにより、ネットワーク25を介した心臓EGMストリップのコンピューティングシステム24への送信と関連付けられた帯域幅消費を低減することができる。
【0043】
図2は、図1のシステム10の医療デバイス16およびリード18、20、22をより詳細に示す概念図である。図示の例では、双極電極40および42は、リード18の遠位端に隣接して配置され、双極電極48および50は、リード22の遠位端に隣接して配置される。さらに、4つの電極44、45、46、および47が、リード20の遠位端に隣接して配置されている。リード20は、四極LVリードと称されることがある。他の例では、リード20は、より多くのまたはより少ない電極を含み得る。いくつかの例では、LVリード20は、セグメント化された電極を含み、例えば、電極44、45、46および47の位置などのリードの複数の長手方向電極位置の各々が、リードの円周上のそれぞれの円周方向位置に配置された複数の個別の電極を含んでいる。
【0044】
図示の例では、電極40および44~48はリング電極の形態を取り、電極42および50は、それぞれ絶縁電極ヘッド53および56内に格納式に取り付けられた拡張可能な螺旋状先端電極の形態を取り得る。リード18および22はまた、それぞれ、コイルの形態を取ることができる細長い電極62および64を含む。いくつかの例では、電極40、42、44~48、50、62、および64の各々は、関連するリード18、20、22のリード本体内のそれぞれの導体に電気的に結合され、それによって医療デバイス16内の回路に結合される。
【0045】
いくつかの例では、医療デバイス16は、図2に示されるハウジング電極4などの1つ以上のハウジング電極を含んでおり、これは、医療デバイス16の密閉されたハウジング8の外面と一体的に形成され得るか、別様でハウジング8に結合され得る。いくつかの例では、ハウジング電極4は、医療デバイス16のハウジング8の外向き部分の非絶縁部分によって画定される。ハウジング8の絶縁部分と非絶縁部分との間の他の分割を使用して、2つ以上のハウジング電極を画定することができる。いくつかの例では、ハウジング電極は、ハウジング8の実質的に全てを含む。
【0046】
ハウジング8は、心臓ペーシング、電気的除細動、および除細動パルスなどの治療刺激を生成する信号生成回路、ならびに心臓12の脱分極および再分極に伴う電気信号を感知するための感知回路を封入している。ハウジング8はまた、感知された電気信号を記憶するためのメモリを封入することができる。ハウジング8はまた、医療デバイス16とコンピューティングシステム24との間の通信のための通信回路17を封入することができる。
【0047】
医療デバイス16は、電極4、40、42、44~48、50、62、および64を介して、心臓12の脱分極および再分極に付随する電気信号を感知する。医療デバイス16は、電極40、42、44~48、50、62、および64の任意の双極の組み合わせを介して、かかる電気信号を感知することができる。さらに、電極40、42、44~48、50、62、および64のいずれかを、ハウジング電極4と組み合わせて単極感知に使用することができる。
【0048】
リード18、20、22および電極の図示された数および構成は、例にすぎない。他の構成、すなわち、リードおよび電極の数および位置が可能である。いくつかの例では、システム10は、患者14に対して治療を感知および/または提供するために、心臓血管系の異なる位置に配置された1つ以上の電極を有する追加のリードまたはリードセグメントを含み得る。例えば、心臓間リード18、20および22の代わりに、またはそれに加えて、システム10は、心臓12内に配置されていない1つ以上の心外膜または血管外(例えば、皮下または胸骨下)リードを含み得る。
【0049】
医療デバイス16は、患者データを(例えば、外部デバイス27を介して)コンピューティングシステム24に送信することができる。患者データは、電極4、40、42、44~48、50、62、および/または64によって検出された電気信号に基づくデータを含み得る。例えば、医療デバイス16は、心臓EGMデータを収集し、コンピューティングシステム24に送信してもよい。本開示の技法によれば、コンピューティングシステム24は、患者データを使用して、患者14が1回以上の心不整脈の発生を経験した確率を示す確率値を決定することができる。
【0050】
本明細書では、治療用の電気刺激を提供する医療デバイス16の文脈で説明しているが、本明細書に開示される技法は、他のタイプのデバイスと共に使用することができる。例えば、本技法は、心臓血管系の外側の電極に結合された心臓外除細動器、アイルランドのダブリンのMedtronic PLCから市販されているMicra(商標)経カテーテルペーシングシステムなど、心臓内へ植込み用に構成された経カテーテルペースメーカー、Medtronic PLCから市販されているReveal LINQ(商標)ICMなどの挿入可能な心臓モニタ、神経刺激装置、薬物送達デバイス、ウェアラブル心臓除細動器などのウェアラブルデバイス、フィットネストラッカ、またはその他のウェアラブルデバイス、モバイルデバイス、「スマート」電話、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、または「スマート」グラスもしくは「スマート」ウォッチなどの「スマート」アパレルなどのモバイルデバイスを用いて実装されてもよい。
【0051】
図3は、本開示の技法による例示的な医療デバイス16のブロック図である。図示の例では、医療デバイス16は、処理回路58、メモリ59、通信回路17、感知回路50、治療送達回路52、センサ57、および電源54を含む。メモリ59は、処理回路58によって実行されると、医療デバイス16および処理回路58に、本明細書の医療デバイス16および処理回路58に起因する様々な機能(例えば、心不整脈の短期予測の実行、抗頻脈ペーシング、徐脈ペーシング、およびショック後ペーシング療法などの治療の送達)を実行させるコンピュータ可読命令を含む。メモリ59は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的消去可能なプログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、または他のいずれかのデジタルまたはアナログ媒体などのいずれかの揮発性、不揮発性、磁気的、光学的、または電気的媒体を含み得る。
【0052】
処理回路58は、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または同等の個別またはアナログ論理回路のうちのいずれか1つ以上を含み得る。いくつかの例では、処理回路58は、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のDSP、1つ以上のASIC、または1つ以上のFPGAのいずれかの組み合わせなどの複数の構成要素、ならびに他の個別または統合論理回路を含み得る。本明細書の処理回路58に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらのいずれかの組み合わせとして具体化することができる。
【0053】
処理回路58は、メモリ59に記憶され得る治療パラメータに従って、心臓5に刺激治療を送達するように治療送達回路52を制御する。例えば、処理回路58は、治療パラメータによって指定された振幅、パルス幅、周波数、または電極極性を有する電気パルスを送達するように治療送達回路52を制御することができる。このようにして、治療送達回路52は、電極34および40を用いて、ペーシングパルス(例えば、ATPパルス、徐脈ペーシングパルス、またはショック後ペーシング療法)を心臓5に送達することができる。いくつかの例では、治療送達回路52は、電圧または電流の電気パルスの形態で、ペーシング刺激、例えば、ATP療法、徐脈療法、またはショック後ペーシング療法を送達することができる。他の例では、治療送達回路52は、正弦波、方形波、または他の実質的に連続する時間信号などの他の信号の形態で、これらのタイプの刺激のうちの1つ以上を送達することができる。
【0054】
治療送達回路52は、医療デバイス16のハウジングに搭載された電極34および40に電気的に結合されている。医療デバイス16は、2つの電極、例えば、電極34および40のみを含み得るが、他の例では、医療デバイス16は、3つ以上の電極を利用し得る。医療デバイス16は、電極の任意の組み合わせを使用して、治療を送達し、かつ/または患者14からの電気信号を検出することができる。いくつかの例では、治療送達回路52は、充電回路、1つ以上のパルス発生器、コンデンサ、変圧器、スイッチングモジュール、および/またはペーシング療法として、心臓再同期療法、他の治療、また治療の組み合わせを送達するためのエネルギーを生成および/または蓄積することが可能な他の構成要素を含む。いくつかの例では、治療送達回路52は、治療の振幅、周波数、電圧または電流を定義する1つ以上の治療パラメータセット、または治療の他のパラメータに従って、1つ以上の電気パルスとして治療を送達する。
【0055】
感知回路50は、心臓12の電気的活動、インピーダンス、または他の電気的現象を監視するために、電極4、40、42、44~48、50、62(図2)、および64(図2)の中から2つ以上の電極のうちの1つ以上の組み合わせ(ベクトルとも称される)からの信号を監視する。いくつかの例では、感知回路50は、1つ以上のアナログ構成要素、デジタル構成要素、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、感知回路50は、1つ以上の感知増幅器、比較器、フィルタ、整流器、閾値検出器、アナログ・デジタル変換器(ADC)などを含む。いくつかの例では、感知回路50は、感知された信号をデジタル形式に変換し、処理または分析のためにデジタル信号を処理回路58に提供する。一例では、感知回路50は、電極4、40、42、44~48、50、62、および64からの信号を増幅し、増幅された信号をADCによってマルチビットデジタル信号に変換する。
【0056】
いくつかの例では、感知回路50は、心拍数または心拍変動を判定するために、または不整脈(例えば、頻脈性不整脈または徐脈)を検出するために、または心電図から他のパラメータまたはイベントを感知するために、心電図の感知を実行する。感知回路50はまた、電流感知構成で使用される電極の組み合わせまたは電極ベクトルに応じて、心臓活動を感知するために使用可能な電極(および電極極性)のどれを選択するためのスイッチング回路を含み得る。処理回路58は、感知電極として機能する電極とその極性を選択するためのスイッチング回路を制御してもよい。感知回路50は、1つ以上の検出チャネルを含み得、それらの各々は、その電極構成を用いて心臓信号を検出するために選択された電極構成に結合され得る。いくつかの例では、感知回路50は、処理された信号を閾値と比較して、心房または心室の脱分極の存在を検出し、心房脱分極(例えば、P波)または心室脱分極(例えば、R波)の存在を処理回路58に示す。感知回路50は、心電図の振幅を調整可能であり得る閾値と比較するための1つ以上の増幅器または他の回路を含み得る。
【0057】
処理回路58は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらのいずれかの組み合わせとして具体化され得るタイミングおよび制御モジュールを含み得る。タイミングおよび制御モジュールは、マイクロプロセッサなどの他の処理回路58の構成要素とは別に、ASICなどの専用のハードウェア回路、またはマイクロプロセッサまたはASICであり得る処理回路58の構成要素によって実行されるソフトウェアモジュールを含み得る。タイミングおよび制御モジュールは、プログラム可能なカウンタを実施することができる。医療デバイス16が徐脈ペーシングパルスを生成して心臓12に送達するように構成されている場合、かかるカウンタは、DDD、VVI、DVI、VDD、AAI、DDI、DDDR、VVIR、DVIR、VDDR、AAIR、DDIR、および他のペーシングモードと関連付けられた基本的な時間間隔を制御し得る。
【0058】
いくつかの例では、医療デバイス16の処理回路58は、AIシステム300を実装する。例えば、処理回路58は、本開示の他の箇所で説明されるように、一般型CRCおよび/または特化型CRCを心臓EGMストリップに適用してもよい。処理回路58は、特別な目的の回路を使用して、またはメモリ59などのコンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェア命令を実行することによって、AIシステム300を実装することができる。感知回路50は、電極4、40、42、44~48、50、62、および64から受信したデータに基づいて心臓EGMストリップを生成することができる。通信回路17は、心臓EGMストリップおよび/または他のデータを外部デバイス27に送信することができる。
【0059】
メモリ59は、種々の動作パラメータ、治療パラメータ、感知および検出されたデータ、ならびに患者14の治療および処置に関連する他の情報を記憶するように構成され得る。図3の例では、メモリ59は、例えば、検出または予測された不整脈と関連付けられた感知された心臓EGM、および治療送達回路52によって提供される治療の送達を定義する治療パラメータを記憶してもよい。他の例では、メモリ59は、データがコンピューティングシステム24にアップロードできるようになるまでデータを記憶するための一時的なバッファとして機能してもよい。
【0060】
通信回路17は、図1のネットワーク25を介してコンピューティングシステム24などの別のデバイスと通信するための、任意の好適な回路、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせを含む。例えば、通信回路17は、ネットワーク25を介したコンピューティングシステム24などの他のデバイスとの無線周波数通信のための1つ以上のアンテナ、変調および復調回路、フィルタ、増幅器などを含んでもよい。通信回路17は、処理回路58の制御下で、内部および/または外部であり得るアンテナの助けを借りて、コンピューティングシステム24からダウンリンクテレメトリを受信し、コンピューティングシステム24にアップリンクテレメトリを送信することができる。処理回路58は、例えば、アドレス/データバスを介して、コンピューティングシステム24にアップリンクされるデータと、通信回路17内の遠隔測定回路のための制御信号とを提供することができる。いくつかの例では、通信回路17は、マルチプレクサを介して受信データを処理回路58に提供することができる。
【0061】
電源54は、医療デバイス16の回路を動作させるために電荷を保持するように構成された任意のタイプのデバイスであり得る。電源54は、充電式または非充電式電池として提供され得る。他の例では、電源54は、患者14内の医療デバイス16の移動から電気エネルギーを蓄積するエネルギー掃気システムを組み込むことができる。
【0062】
本開示の技法に従って、医療デバイス16は、感知回路50および/またはセンサ57を介して、患者14の患者データを収集する。センサ57は、1つ以上の加速度計、圧力センサ、O2飽和のための光学センサなどの1つ以上のセンサを含み得る。いくつかの例では、患者データには、患者14の活動レベル、患者14の心拍数、患者14の姿勢、患者14の心臓電位図(例えば、患者14の心臓EGMストリップ)、患者14の血圧、患者14の加速度計データ、または他のタイプの患者パラメトリックデータのうちの1つ以上が含まれる。医療デバイス16は、通信回路17を介して、患者パラメトリックデータをネットワーク25を通じてコンピューティングシステム24にアップロードする。いくつかの例では、医療デバイス16は、毎日、患者のパラメトリックデータをコンピューティングシステム24にアップロードする。いくつかの例では、患者パラメトリックデータには、長期間(例えば、約24時間~約48時間)にわたる患者14の平均測定値を表す1つ以上の値が含まれる。例えば、患者14のウェアラブル医療デバイスまたはモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)などの1つ以上の他のデバイスは、患者パラメトリックデータを収集し、患者パラメトリックデータを外部デバイス27および/またはコンピューティングシステム24にアップロードすることができる。
【0063】
本明細書では、治療用の電気刺激を提供する医療デバイス16の文脈で説明しているが、本明細書に開示される心不整脈の短期予測のための技法は、他のタイプのデバイスと共に使用することができる。例えば、本技法は、アイルランドのダブリンのMedtronic PLCから市販されているMicra(商標)経カテーテルペーシングシステムなど、心臓内へ植込み用に構成された経カテーテルペースメーカー、Medtronic PLCから市販されているReveal LINQ(商標)ICMなどの挿入可能な心臓モニタ、神経刺激装置、薬物送達デバイス、ウェアラブル心臓除細動器などのウェアラブルデバイス、フィットネストラッカ、またはその他のウェアラブルデバイス、モバイルデバイス、「スマート」フォン、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、または「スマート」グラスもしくは「スマート」ウォッチなどの「スマート」アパレルなどのモバイルデバイスを用いて実装されてもよい。
【0064】
図4は、本開示の1つ以上の技法に従って動作する例示的なコンピューティングシステム24を示すブロック図である。一例では、コンピューティングシステム24は、監視システム450または本明細書に記載の任意の他のアプリケーションを含むアプリケーション424を実行するための処理回路402を含む。例示の目的のために、図4にはスタンドアロンのコンピューティングシステム24として示されているが、コンピューティングシステム24は、ソフトウェア命令を実行するための処理回路または他の好適なコンピューティング環境を含む任意の構成要素またはシステムであってもよく、例えば、必ずしも図4に示される1つ以上の要素を含む必要はない(例えば、通信回路406、およびいくつかの例では、記憶デバイス408などの構成要素は、他の構成要素と同じ場所に配置されないか、または同じシャーシ内に配置されなくてもよい)。いくつかの例では、コンピューティングシステム24は、複数のデバイスに分散されたクラウドコンピューティングシステムであり得る。
【0065】
図4の例に示すように、コンピューティングシステム24は、処理回路402、1つ以上の入力デバイス404、通信回路406、1つ以上の出力デバイス412、1つ以上の記憶デバイス408、およびユーザインターフェース(UI)デバイス410を含む。一例では、コンピューティングシステム24は、コンピューティングシステム24によって実行可能である監視システム450、およびオペレーティングシステム416などの1つ以上のアプリケーション424をさらに含む。構成要素402、404、406、408、410、および412の各々は、構成要素間通信のために(物理的に、通信可能に、および/または動作可能に)結合される。いくつかの例では、通信チャネル414は、システムバス、ネットワーク接続、プロセス間通信データ構造、またはデータを通信するためのいずれかの他の方法を含み得る。一例として、構成要素402、404、406、408、410、および412は、1つ以上の通信チャネル414によって結合され得る。
【0066】
一例では、処理回路402は、コンピューティングシステム24内で実行するための機能および/または処理命令を実装するように構成される。例えば、処理回路402は、記憶デバイス408に記憶された命令を処理することが可能であり得る。処理回路402の例は、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または同等の個別または集積論理回路のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0067】
1つ以上の記憶デバイス408は、動作中にコンピューティングシステム24内に情報を記憶するように構成することができる。いくつかの例では、記憶デバイス408は、コンピュータ可読記憶媒体として説明されている。いくつかの例では、記憶デバイス408は一時メモリであり、これは、記憶デバイス408の主な目的が長期記憶ではないことを意味する。いくつかの例では、記憶デバイス408は、揮発性メモリとして説明され、これは、コンピュータがオフにされたときに、記憶デバイス408が記憶された内容を維持しないことを意味する。揮発性メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、および当技術分野で知られている他の形態の揮発性メモリが含まれる。いくつかの例では、記憶デバイス408を使用して、処理回路402によって実行するためのプログラム命令を記憶する。一例では、記憶デバイス408は、コンピューティングシステム24上で実行されるソフトウェアまたはアプリケーション424によって使用され、プログラム実行中に情報を一時的に記憶する。
【0068】
いくつかの例では、記憶デバイス408はまた、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含む。記憶デバイス408は、揮発性メモリよりも大量の情報を記憶するように構成され得る。記憶デバイス408は、情報の長期記憶のためにさらに構成され得る。いくつかの例では、記憶デバイス408は、不揮発性記憶要素を含む。そのような不揮発性記憶要素の例には、磁気ハードディスク、光ディスク、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、または電気的プログラム可能メモリ(EPROM)または電気的消去可能なプログラム可能(EEPROM)メモリの形態が含まれる。
【0069】
コンピューティングシステム24は、いくつかの例では、通信回路406も含む。一例では、コンピューティングシステム24は、通信回路406を利用して、図1の医療デバイス16およびEMRデータベース66などの外部デバイスと通信する。通信回路406は、イーサネットカード、光トランシーバ、無線周波数トランシーバ、または情報を送受信することができるいずれかの他のタイプのデバイスなどのネットワークインターフェースカードを含み得る。このようなネットワークインターフェースの他の例には、3G、4G、5G、およびWI-FI(商標)無線が含まれてもよい。
【0070】
一例では、コンピューティングシステム24は、1つ以上のユーザインターフェースデバイス410も含む。いくつかの例では、ユーザインターフェースデバイス410は、触覚、音声、または映像フィードバックを通して、ユーザからの入力を受信するように構成されている。ユーザインターフェースデバイス410の例には、プレゼンスセンシティブディスプレイ、マウス、キーボード、音声応答システム、ビデオカメラ、マイクロフォン、またはユーザからのコマンドを検出するための任意の他のタイプのデバイスが含まれる。いくつかの例では、プレゼンスセンシティブディスプレイはタッチスクリーンを含む。
【0071】
1つ以上の出力デバイス412もまた、コンピューティングシステム24に含まれ得る。出力デバイス412は、いくつかの例では、触覚、音声、または映像刺激を使用してユーザに出力を提供するように構成されている。出力デバイス412は、一例では、プレゼンスセンシティブディスプレイ、サウンドカード、ビデオグラフィックアダプタカード、または信号を人間または機械が理解できる適切な形態に変換するためのいずれかの他のタイプのデバイスを含む。いくつかの例では、出力デバイス412は、ディスプレイデバイスを含む。出力デバイス412の追加の例には、スピーカ、ブラウン管(CRT)モニタ、液晶ディスプレイ(LCD)、またはユーザに理解可能な出力を生成することができるいずれかの他のタイプのデバイスが含まれる。
【0072】
コンピューティングシステム24は、オペレーティングシステム416を含み得る。オペレーティングシステム416は、いくつかの例では、コンピューティングシステム24の構成要素の動作を制御する。例えば、オペレーティングシステム416は、一例では、処理回路402、通信回路406、記憶デバイス408、入力デバイス404、ユーザインターフェースデバイス410、および出力デバイス412との、1つ以上のアプリケーション424および監視システム450の通信を容易にする。
【0073】
アプリケーション422はまた、コンピューティングシステム24によって実行可能なプログラム命令および/またはデータを含み得る。コンピューティングシステム24によって実行可能な例示的なアプリケーション422は、監視システム450を含み得る。示されていない他の追加のアプリケーションは、本明細書に記載された他の機能を提供するために代替的にまたは追加的に含まれ得るが、簡素化にするために図示されていない。
【0074】
本開示の技法によれば、アプリケーション424は、監視システム450を含む。監視システム450は、患者データを受信し、患者データを評価し、出力データを生成するように構成することができる。例えば、一例では、監視システム450は、患者14(図1)が1つ以上の心不整脈に属する1つ以上の心不整脈イベントを経験した可能性が高いと監視システム450が判定したときに、通知を生成してもよい。別の例では、監視システム450は、患者14の心調律の1つ以上の態様への変化を示す1つ以上のチャートを生成してもよい。
【0075】
図4の例に示されるように、監視システム450は、いくつかの例では、1つ以上のCRCを含むAIシステム451を実装することができる。例えば、図4の例では、監視システム450は、CRC452A~CRC452N(総称して、「CRC452」)を含み得る。CRC452は、一般型CRCおよび1つ以上の特化型CRCを含み得る。CRCの以下の考察はCRC452およびAIシステム451に言及しているが、以下の考察は、医療デバイス16または外部デバイス27またはそれらの組み合わせなど、コンピューティングシステム24以外のデバイスまたはシステムに実装されたCRCおよびAIシステムに等しく適用され得る。
【0076】
いくつかの例では、CRC452の各々は、1つ以上のニューラルネットワークシステム、深層学習システム、または他のタイプの教師ありもしくは教師なしの機械学習システムを使用して実装される。例えば、CRCは、畳み込みニューラルネットワーク、動径基底関数ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、モジュラーまたは連想ニューラルネットワークなどのフィードフォワードニューラルネットワークによって実装されてもよい。いくつかの例では、AIシステム451は、異なる患者の集団について、集団内の患者の心調律の1つ以上の態様に関するデータに対し、心臓EGMストリップを含む患者データを用いて、CRC452を訓練する。いくつかの例では、AIシステム451が患者の集団の患者データを用いてCRCを事前訓練した後、AIシステム451は、患者14またはより小さな患者コホートに固有の患者データを用いて、機械学習モデルをさらに訓練し得る。
【0077】
いくつかの例では、AIシステム451は、患者の集団の患者データを用いてCRCを訓練し、CRCのエラー率を決定し、次いで、CRCがエラー率に基づいてその予測を更新できるように、エラー率をCRCにフィードバックする。いくつかの例では、エラー率は、入力データに基づいてCRCによって決定された出力データと、同じ入力データの事前にラベル付けされた出力データとの間の差異に対応し得る。いくつかの例では、AIシステム451は、エラー関数を使用してエラー率を決定してもよい。エラー関数は、心不整脈の発生を検出するために従来使用されている様式で、信号処理技術およびヒューリスティックを使用して実装することができる。いくつかの例では、監視システム450は、検出された心不整脈が特定の期間内に患者14で発生したかどうかを示すフィードバックをユーザ(例えば、患者14、臨床医、または別のタイプの人物)から受け取ることができる。いくつかの例では、監視システム450は、医療デバイス16から、医療デバイス16が患者14における心不整脈の発生を検出した(または検出しなかった)ことを示すメッセージを受信することができる。いくつかの例では、監視システム450は、EMRデータを定期的にチェックして心不整脈が発生したかどうかを判定するなど、他の方式でフィードバックを取得することができる。監視システム450は、フィードバックによってCRCを更新することができる。このように、訓練プロセスは、過去にCRCによって生成された正しいデータと誤ったデータとから「学習」することで、CRCによって生成されたデータを段階的に改善するために、反復的に行われ得る。さらに、訓練プロセスを使用して、集団ベースのデータを使用して訓練されたCRCをさらに微調整して、より正確な特定の個人のデータを生成することができる。いくつかの例では、監視サービスの担当者がフィードバックを提供してもよい。
【0078】
いくつかの例では、CRC452の各々は、ニューラルネットワークを使用して実装される。ニューラルネットワークは、入力層、出力層、および入力層と出力層との間の1つ以上の隠れ層を含み得る。ニューラルネットワークの各層には、1つ以上の人工ニューロンが含まれ、本開示では、これは、単にニューロンと称される。ニューラルネットワークの入力層は、複数の入力ニューロンを含む。入力層は、心臓EGMストリップのセグメントのサンプル値ごとに別個の入力ニューロンを含み得る。いくつかの例では、セグメントは、心臓EGMストリップと隣接してもよい。他の例では、セグメントは、心臓EGMストリップのサブセグメントであってもよい。例えば、心臓EGMストリップが患者14の心調律の45秒を表すサンプルを含む例では、セグメントは、心臓EGMストリップの最初の10秒を表すサンプルを含んでもよい。
【0079】
AIシステム451は、心臓EGMストリップの重複するセグメントをCRCに提供することができる。例えば、AIシステム451は、心臓EGMストリップの0秒~10秒を表すサンプルを含むセグメントを提供し、次に、心臓EGMストリップの5秒~15秒を表すサンプルを含むセグメントを提供し、次に、心臓EGMストリップの10秒~20秒を表すサンプルを含むセグメントを提供することができる、などである。いくつかの例では、コンピューティングシステム24は、2つ以上の心臓EGMストリップにまたがるセグメントを提供し得る。
【0080】
いくつかの例では、CRC452の各々は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。例えば、一例では、畳み込み層は、上記のタイプの入力層の後に続いてもよい。第1の畳み込み層ニューロンは、所与の数の連続する入力層ニューロンからなる入力層ニューロンの第1のセットから入力を受け取ることができる。第2の畳み込み層ニューロンは、同じ所与の数の連続する入力層ニューロンからなる入力層ニューロンの第2のセットから入力を受け取ることができるが、入力層ニューロンの第1のセットの第1の入力層ニューロンからストライド長だけオフセットする。第3の畳み込み層ニューロンは、同じ所与の数の連続する入力層ニューロンからなる入力層ニューロンの第3のセットから入力を受け取ることができるが、入力層ニューロンの第2のセットの第1の入力層ニューロンからストライド長だけオフセットなどする。所与の連続する入力ニューロンの数およびストライド長は、CNNの異なるハイパーパラメータである。1つ以上の完全に結合された隠れ層が畳み込み層の後に続いてもよい。CNNとしてCRC452を実装すると、CRC452のパフォーマンスが向上し得る。
【0081】
本開示のいくつかの例では、1つ以上の心不整脈のセットのうちの各々のぞれぞれの心不整脈について、CRC452の各々は、それぞれの心不整脈の1回以上の発生が心臓EGMストリップのセグメントで表されるかどうかを示すデータを生成することができる。例えば、一例では、CRCの隠れ層は、CRCの出力層に入力データを提供する。一連の心不整脈の各々のそれぞれの心不整脈について、CRCの出力層は、それぞれの心不整脈に対応する別個の出力ニューロンを含む。それぞれの心不整脈に対応する出力ニューロンは、CRCの隠れ層にある、それぞれの心不整脈にも対応するCRCの隠れ層にある単一のニューロンから入力データを受け取る。それぞれの心不整脈に対応する隠れ層ニューロンによって生成されたデータには、心不整脈の発生が心臓EGMストリップのセグメントで発生した確率を示す確率値が含まれる。出力ニューロンの活性化関数により、隠れ層ニューロンによって生成された確率値に閾値関数を適用することができる。各出力ニューロンについて、閾値関数は、出力ニューロンに提供される確率値が閾値よりも大きい場合、出力ニューロンに、第1の値(例えば、1)を生成させ、出力ニューロンに提供される確率値が同閾値よりも小さい場合、第2の値(例えば、0)を生成させることができる。
【0082】
さらに、前の段落の例では、AIシステム451は、隠れ層によって生成された確率値を使用して、心臓EGMストリップ内で心不整脈の発生がどこで発生したかを追跡することができる。例えば、上記のように、心臓EGMストリップはセグメントに細分され得、AIシステム451は、入力としてCRC452にセグメントを提供する。したがって、AIシステム451は、心臓EGMストリップのどのセグメントが心不整脈に対応する最も高い確率値をもたらしたかを判定することによって、どのセグメントが心不整脈の発生を表す可能性が最も高いかを判定することができる。
【0083】
本開示の他の箇所に記載されているように、CRC452に提供される入力には、心臓EGMストリップのセグメントに加えて、患者データが含まれ得る。例えば、いくつかの例では、患者データは、患者の生理学的状態(例えば、活動、姿勢、呼吸などの患者の生理学的状態)に関するデータをさらに含み得、これはまた、医療デバイス16によって捕捉され得る。異なる生理学的状態(例えば、安静、夜間の安静、高い姿勢角での夜間の安静など)に対応する患者データを、モデル訓練の追加パラメータまたはCRC452の入力データとして使用することができる。かかるデータを使用すると、AIシステムが他の病状での心不整脈の発生を検出することが可能になり得る(例えば、安静時の頻脈の高感度モデルを使用して心不全(HF)患者を監視することができ、活動中の徐脈のモデルを使用して、変時性機能不全について患者を監視することができる)。いくつかの例では、監視システム450は、通信回路406を介して、EMRデータベース66から患者14のEMRデータを受信する。いくつかの例では、EMRデータベース66によって記憶されたEMRデータは、患者14に関する多くの異なるタイプの過去の医療情報を含み得る。例えば、EMRデータベース66は、患者の投薬履歴、患者の外科的処置履歴、患者の入院履歴、経時的な患者のカリウム濃度、または患者の1つ以上の臨床試験結果などを記憶することができる。EMRデータは、1つ以上のCRC452への入力として使用される患者データの一部を形成することができる。
【0084】
いくつかの例では、CRC452の各々は、患者データを、患者データを表す1つ以上のベクトルおよびテンソル(例えば、多次元配列)に変換する。CRC452は、1つ以上のベクトルおよびテンソルに数学的演算を適用して、患者データの数学的表現を生成することができる。CRC452は、患者データと心不整脈の発生との間の識別された関係に対応する異なる重みを決定することができる。CRC452は、患者データに異なる重みを適用して、確率値を生成することができる。
【0085】
図5は、本開示の技法による動作例を示すフローチャートである。便宜上、図5図1に関して説明する。本開示のフローチャートは、例として提示されている。本開示の技法による他の例では、より多くの、より少ない、または異なる動作を含んでもよく、あるいは動作は、異なる順序でまたは並行して実行されてもよい。図5の動作は、医療デバイス16、コンピューティングシステム24、外部デバイス27、および/または他のデバイスのうちの1つ以上に実装されたAIシステムによって実行され得る。
【0086】
図5の例では、AIシステムは、患者14(すなわち、現在の患者)の心臓EGMストリップを取得することができる(500)。AIシステムは、様々な方式のうちの1つ以上で、患者14の心臓EGMストリップを取得することができる。例えば、コンピューティングシステム24がAIシステムを実装する例では、コンピューティングシステム24は、医療デバイス16から(例えば、外部デバイス27およびネットワーク25を介して)患者14の心臓EGMストリップを取得してもよい。AIシステムが医療デバイス16に実装されるいくつかの例では、AIシステムは、電極からのデータに基づいて心臓EGMストリップを生成することによって心臓EGMストリップを取得することができる。いくつかの例では、AIシステムは、現在の患者の1つ以上の心臓EGMストリップを記憶するデータベース(例えば、EMRデータベース66)から現在の患者の心臓EGMストリップを取得することができる。心臓EGMストリップを取得する他の例は、本開示の他の箇所に記載されている。
【0087】
さらに、図5の例では、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1のCRC(すなわち、一般型CRC)を適用することができる(502)。第1のCRCは、第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される。いくつかの例では、第1の集団は、心臓EGMデータがコンピューティングシステム24によって監視されている全ての患者を含む。AIシステムが第1のCRCを適用すると、第1のCRCは、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、患者14の心調律の態様に関する第1のデータを生成する。
【0088】
いくつかの例では、現在の患者の心調律の態様は、現在の患者の心調律における心不整脈の発生の発生である。かかる例では、第1のデータには、心臓EGMストリップのセグメントが1つ以上の心不整脈の1回以上の発生を表すかどうかを示すデータが含まれ得る。例えば、第1のデータは、心臓EGMストリップのセグメントが心不整脈の少なくとも1回の発生を表す第1の確率に基づいてもよい。いくつかの例では、1つ以上の心不整脈のセットの各心不整脈について、第1のデータは、心不整脈の発生が心臓EGMストリップで表されるという信頼水準を示す信頼値を含み得る。信頼値は、出力層に先行する隠れ層のニューロンの出力値であり得る。いくつかの例では、第1の出力データは、1回以上の心不整脈の発生が心臓EGMストリップのどこで発生したかを示すタイミングデータを含み得る。
【0089】
さらに、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRC(すなわち、特化型CRC)を適用することができる(504)。第2のCRCは、第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される第1のCRCのバージョンである。例えば、いくつかの例では、第2の集団は、患者14のみで構成され得る。他の例では、第2の集団は、患者14と1つ以上の特徴を共有する患者のコホートなどの患者のコホートであり得る。特徴の例には、患者のコホートおよび患者14の診断が含まれ得る。AIシステムが第2のCRCを適用すると、第2のCRCは、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、心調律タイプに関する第2のデータを生成することができる。第2のデータは、第1のデータと同じタイプのデータを含み得る。例えば、第2のデータは、心臓EGMストリップのセグメントが心不整脈の少なくとも1回の発生を表す第2の確率に基づいている。
【0090】
AIシステムは、第1のデータおよび第2のデータのうちの少なくとも1つに基づいて出力データを生成することができる(506)。いくつかの例では、コンピューティングシステム24は、グラフィカルユーザインターフェース、音声インターフェース、ウェブページ、または別の形態を介して出力データを提示することができる。いくつかの例では、出力データは、電子メールメッセージ、テキストメッセージ、アプリ内通知、インスタントメッセージ、ボイスメールメッセージ、または別のタイプのメッセージなどの通知またはメッセージを含み得る。
【0091】
いくつかの例では、AIシステムは表示用のダッシュボードインターフェースを出力することができる。ダッシュボードインターフェースは、出力データを含む一種のグラフィカルユーザインターフェースである。ダッシュボードインターフェースは、リスト、チャート、スパークライン、棒グラフ、表、または患者14の心調律に関する1つ以上のタイプの情報を直感的な方法で伝達するように設計された他のタイプのデータを含み得る。
【0092】
例えば、一例では、第1のデータは、一般型CRCが、心臓EGMストリップのセグメントにおける特定の心不整脈の発生を識別したかどうかを示す。この例では、ダッシュボードインターフェースは、一般型CRCによって識別された特定の心不整脈の発生数に比例するサイズを有する棒グラフのうちの第1の棒の形態の出力データを含み得る。同様に、いくつかの例では、第2のデータは、特化型CRCが、心臓EGMストリップのセグメントにおける特定の心不整脈の発生を識別したかどうかを示し得る。この例では、棒グラフは、特化型CRCによって識別された特定の心不整脈の発生数に比例するサイズを有する第2の棒を含み得る。このようにして、棒グラフにより、第1および第2のCRCによって識別された特定の不整脈の発生数の比較が可能となり得る。
【0093】
一例では、現在の患者の心調律の態様は、患者14の心調律で発生する心不整脈の発生の形態学的態様である。この例では、第1のデータには、心臓EGMストリップのセグメントで表される心不整脈の発生の形態学的態様に関する第1のデータが含まれ得る。さらに、この例では、第2のデータには、心臓EGMストリップのセグメントで表される心不整脈の発生の形態学的態様に関する第2のデータが含まれ得る。出力データには、発生の形態学的態様に関する第1のデータと、発生の形態学的態様に関する第2のデータとを比較するデータが含まれ得る。例えば、出力データには、発生の形態学的態様に関する第1のデータと、発生の形態学的態様に関する第2のデータとの間の差異を示すチャートが含まれてもよい。
【0094】
第1のデータおよび第2のデータが、一般型および特化型CRCが心臓EGMストリップのセグメントにおける心不整脈の発生を識別したかどうかを示す別の例では、ダッシュボードインターフェースには、時間の経過に伴う心不整脈の発生頻度を示すスパークラインが含まれ得る。出力データの他の多くの例は、本開示の他の箇所で提供される例で説明されるタイプのデータなどにより可能である。
【0095】
いくつかの例では、AIシステムは、第2のデータの、現在の患者からの事前の心臓EGMストリップに基づいて特化型CRCによって生成された履歴データとの比較に基づいて、第2の出力データを生成することができる。例えば、AIシステムは、患者14の心調律の態様の傾向を示すデータを生成してもよい。一例では、AIシステムは、各期間(例えば、毎日)の間に、第2の特化型CRCによって識別される心不整脈の発生数をカウントし、そのカウントを表またはグラフの形態で表示してもよい。
【0096】
AIシステムは、出力データを1つ以上のタイプのユーザに提示することができる。例えば、AIシステムは、出力データを、患者14、患者14の医療提供者、医療監視組織のユーザ、または別のタイプの人物に提示してもよい。
【0097】
図6は、本開示の技法による、個々の患者の心臓EGMに基づいて一般型CRC602が更新される例を示す概念図である。一般型CRC602は、第1の集団の心臓EGMストリップに基づいて訓練され、特定の患者の心臓EGMストリップに基づいてさらに訓練されて、特定の患者に特化したCRC604を生成し得る。例えば、一般型CRC602が患者の心調律で発生する心不整脈の1つ以上の態様に関するデータを生成するように訓練される例では、AIシステムは、患者14の心臓EGMストリップに基づいて一般型CRC602をさらに訓練して、患者14の心調律で発生する心不整脈の1つ以上の態様に関するデータを生成することができる。したがって、AIシステムが患者14の監視を開始するとき、特化型CRC604は、一般型CRC602と同じであり得る。しかしながら、時間の経過につれて、AIシステムは、患者14の患者データ(例えば、EGMストリップ)に基づいて、患者14の特化型CRC604を選択的に再訓練することができる。例えば、コンピューティングシステム24は、バックプロパゲーションアルゴリズムを適用して、患者14の特化型CRC604におけるニューロンの1つ以上の層への入力と関連付けられたパラメータ(例えば、重み値、バイアス値など)を更新してもよい。本開示の他の箇所でより詳細に説明される図9は、特化型CRCを訓練するための例示的な動作を示すフローチャートである。
【0098】
図6の例に示されるように、AIシステムは、患者14の心臓EGMストリップ600を取得することができる。さらに、AIシステムは、心臓EGMストリップ600のセグメントを入力として用いて、一般型CRC602および特化型CRC604を適用することができる。図6の例では、一般型CRC602および特化型CRC604は、心臓EGMストリップによって表される心調律における1回以上の心不整脈の発生を識別する。図6の例では、識別された心不整脈の発生は、楕円606でマークされている。さらに、図6の例に示されるように、一般型CRC602は、心臓EGMストリップ600のセグメントが一般型CRC602への入力として提供される場合、心不整脈の3回の発生を識別することができる。しかしながら、図6の例に示されるように、特化型CRC604は、心臓EGMストリップ600のセグメントが特化型CRC604への入力として提供される場合、4回の心不整脈の発生を識別することができる。患者14で発生する特定の心不整脈の発生の形態学的態様は、一般型CRC602が訓練される一般集団で発生する特定の心不整脈の発生の形態学的態様とは何らかの形で異なり得るため、特化型CRC604は、追加の発生を識別することができる。
【0099】
さらに、図6の例に示されるように、AIシステムは、一般型CRC602および特化型CRC604によって生成されたデータに基づいて、様々なタイプの出力データを生成することができる。例えば、AIシステムは、パーソナライズされた心不整脈の発生の検出を示す出力データを生成してもよい。
【0100】
いくつかの例では、AIシステムは、特化型CRC604によって検出された心不整脈の発生の形態学的属性の、特化型CRC604によって従来検出された心不整脈の発生の形態学的属性との比較を示す出力データを生成することができる。例えば、この例では、AIシステムは、特化型CRC604を患者14の心臓EGMストリップのセグメントに適用して、1回以上の心不整脈の発生を識別してもよい。形態学的属性の例として、QRS幅、固有の心室性期外収縮(PVC)形態の数、検出された不整脈の平均心拍数、PR間隔などが挙げられる。さらに、AIシステムは、識別された心不整脈の発生の形態学的属性の値を生成することができる。次に、AIシステムは、識別された心不整脈の発生の形態学的属性の値を使用して、識別された不整脈の発生の形態学的属性の値をユーザが比較することを可能にする比較データを生成する。
【0101】
例えば、心不整脈が心房細動である例では、形態学的属性は、心房細動の発生の心房細動中の時間的継続時間または心拍数であってもよい。この例では、AIシステムは、患者14の心臓EGMストリップのセグメントに特化型CRC604を適用して、心房細動の発生を識別することができる。さらに、この例では、識別された心房細動の発生の各々について、AIシステムは、識別された心房細動の発生の時間的継続時間を示す時間的継続時間値を決定することができる。この例では、AIシステムは、決定された時間的継続時間の値を使用して、比較データを生成することができる。例えば、この例では、比較データは、決定された時間的継続時間値の傾向を示す折れ線グラフを含んでもよい。いくつかの例では、比較データは、決定された時間的継続時間値を列挙することができる。
【0102】
いくつかの例では、AIシステムは、患者14のパーソナライズされた傾向を示す出力データを生成することができる。例えば、一例では、AIシステムは、特化型CRC604によって識別される心不整脈の発生における形態学的属性への経時変化、特化型CRC604によって識別される心不整脈の発生頻度への経時変化などを示す出力データを生成し得る。
【0103】
いくつかの例では、AIシステムは、一般型CRC602および特化型CRC604を、患者14の同じセットの心臓EGMストリップのセグメントに適用して、1回以上の心不整脈の発生を識別することができる。したがって、AIシステムは、一般型CRC602を適用することによって第1の発生のセットを識別し、特化型CRC604を適用することによって第2の発生のセットを識別することができる。この例では、コンピューティングシステム24は、第1の発生のセットおよび第2の発生のセットに基づいて比較データを生成することができる。いくつかの例では、比較データは、第1の発生のセットおよび第2の発生のセットにおける発生数の比較を提供することによって、特化型CRC604を使用する価値を強調するのに役立ち得る。
【0104】
いくつかの例では、AIシステムは、特化型CRC604によって識別される心不整脈の発生の形態学的属性と、一般型CRC602によって識別される心不整脈の発生の形態学的属性との分析を実行し得る。例えば、一例では、AIシステムは、一般型CRC602を患者14の心臓EGMストリップのセットのセグメントに適用することによって、心不整脈の第1の発生のセットを識別してもよい。この例では、AIシステムは、患者14の同じセットの心臓EGMストリップのセグメントに特化型CRC604を適用することによって、心不整脈の第2の発生のセットを識別することができる。さらに、この例では、AIシステムは、一般型CRC602によって識別される心不整脈の発生の形態学的属性の第1の値のセットを生成することができる。同様に、この例では、AIシステムは、心不整脈の発生の形態学的属性の第2の値のセットを生成することができる。次に、AIシステムは、ユーザが一般型CRC602および特化型CRC604によって識別される心不整脈の発生における形態学的属性の値を比較することを可能にする比較データを生成し得る。さらに、比較データには、一般集団のメンバーにおける心不整脈の発生の形態学的属性の値を示すデータが含まれ得る。
【0105】
図7は、コンピューティングシステム24が、本開示の技法に従って、一般型CRC700およびコホートベースの特化型CRC702を適用する例を示す概念図である。図6の例と同様に、コンピューティングシステム24は、患者14の心臓EGMストリップ704を取得することができる。
【0106】
図7の例では、集団内の全ての患者(例えば、監視システム450(図4)によって監視されている患者の集団)からのデータについて訓練されるのではなく、コホートベースのCRC702などの1つ以上の特化型CRCのセットが、特定の患者コホートに基づいて訓練される。患者コホートは、様々な方式のうちのいずれかで定義され得る。例えば、患者コホートは、診断および手順コード、例えば国際疾病統計分類の第10版(ICD-10)および現行医療行為用語(CPT)コードで定義されたコードに基づいて定義されてもよい。この例では、コホートベースのCRC702は、EGMストリップのセグメント、およびいくつかの例では、選択した患者グループの他の患者データに基づいて訓練され得、これらは全て、医療記録に共有のICD-10および/またはCPTコード履歴を有する。したがって、コホートベースのCRC702によって生成されたデータは、選択された患者グループの生理学的情報を反映し得る。
【0107】
AIシステムは、出力データを生成し得、当該出力データは、ユーザが、患者14に関するデータ、患者コホートに関するデータ、および/または一般型CRC700が訓練された集団に関するデータの2つ以上を比較することを可能にする。例えば、AIシステムは、個々の患者ではなく、コホートを用いて、図6の個々の患者に関して説明されたタイプのいずれかの出力データを生成してもよい。
【0108】
いくつかの例では、AIシステムはまた、個々の患者(例えば、患者14)に特化型CRCを適用することができる。このため、AIシステムは、出力データを生成し得、当該出力データは、ユーザが個人のデータを一般型CRC700およびコホートベースのCRC702によって生成されたデータと比較することを可能にし得る。これにより、ユーザは、一般の集団だけでなく、同様の診断と手順の履歴を持つ他の集団の両方と比較して、その個人のデータを見ることができる。
【0109】
いくつかの例では、AIシステムは、複数のコホートベースのCRCによって生成されたデータおよび個々の患者のためにパーソナライズされたCRCによって生成されたデータに基づいて、どのコホートベースのCRCが個々の患者のパーソナライズされたCRCによって生成されたデータに最も似たデータを生成するかを判定することができる。例えば、AIシステムは、平均二乗誤差、絶対差の合計、またはコホートベースのCRCによって生成されたデータと個々の患者のパーソナライズされたCRCによって生成されたデータとの間の類似性を決定する他のメトリックを計算することができる。このようにして、AIシステムは、どのコホートベースのCRC(ひいては、どの患者コホート)が個々の患者に最も似ているかを判定することができる。これにより、一般的な人口統計情報よりも、個々の患者と患者コホートとの間のより良い関連付けが可能になり得る。例えば、AIシステムは、個々の患者が50代半ばであるにもかかわらず、40代半ばの人の心調律プロファイルを有していると判定することができる。いくつかの例では、AIシステムは、個々の患者が個々の現在の患者と関連付けられている患者コホートよりも特定の患者コホートとよく関連付けられているという判定に応答して、通知を生成することができる。
【0110】
図8は、本開示の技法による、コンピューティングシステムが一般型CRC、コホートベースCRC、および特化型CRCを適用する動作例を示すフローチャートである。図8の例では、AIシステムは、患者14(すなわち、現在の患者)の心臓EGMストリップを取得することができる(800)。さらに、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1のCRC(例えば、一般型CRC)を適用することができる(802)。第1のCRCは、第1の集団からのEGMストリップで訓練される。第1のCRCは、第1のデータを生成する。AIシステムは、図5の動作に関して説明したものと同じ様式で第1のCRCを適用することができる(502)。
【0111】
さらに、図8の例では、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRC(例えば、コホートベースのCRC)を適用することができる(804)。第2のCRCは、患者コホートなどの第2の集団からのEGMストリップで訓練される。第2のCRCは、第2のデータを生成する。さらに、図8の例では、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第3のCRC(例えば、患者14のための特化型CRC)を適用することができる(806)。第3のCRCは、患者14のEGMストリップで訓練される。第3のCRCは、第3のデータを生成する。いくつかの例では、第3のCRCは、第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することに基づいて訓練され、患者14からの心臓EGMストリップの訓練のみに基づいてさらに訓練された、第1のCRCのバージョンである。
【0112】
AIシステムは、第1のデータ、第2のデータ、および第3のデータのうちの少なくとも1つに基づいて出力データを生成することができる(808)。例えば、AIシステムは、本開示および他の箇所で説明されている様々なタイプの比較のいずれかを可能にするチャート、グラフ、および他のタイプのデータを含む出力データを生成してもよい。
【0113】
図9は、本開示の技法による特化型CRCを訓練するための動作例を示すフローチャートである。図9の例では、AIシステムは、第1の集団の患者のために、EGMストリップのセグメントに基づいて一般型CRCを訓練することができる(900)。AIシステムは、本開示の他の箇所で提供される例のいずれかに従って、一般型CRCを訓練することができる。さらに、AIシステムは特化型CRCを生成することができる。例えば、AIシステムは、第2の集団からの心臓EGMストリップに基づいて(例えば、当該心臓EGMストリップのみに基づいて)第1のCRCのインスタンスを訓練することによって、特化型CRCを生成してもよい。AIシステムは、動作(902)~(910)を実行して、特化型CRCを生成することができる。
【0114】
さらに、図9の例では、AIシステムは、一般型CRCを第2の集団からの心臓EGMストリップの現在のセグメントに適用して、心臓EGMストリップの現在のセグメントの第1の出力ベクトルを生成することができる(902)。第2の集団は、第1の集団よりも小さくてもよい。例えば、第2の集団は、単一の患者または患者のコホートに限定されてもよい。出力ベクトルは、CRCによって生成された数値またはブール値などの要素のベクトルである。さらに、図9の例では、AIシステムは、心臓EGMストリップの現在のセグメントに特化型CRCを適用して、心臓EGMストリップの現在のセグメントの第2の出力ベクトルを生成することができる(904)。
【0115】
次に、AIシステムは、心臓EGMストリップの現在のセグメントの第2の出力ベクトルが、心臓EGMストリップの現在のセグメントの第1の出力ベクトルよりも正確であるかどうかを判定することができる(906)。AIシステムは、1つ以上の方式のうちのいずれかでこの判定を行うことができる。例えば、一例では、第1の出力ベクトルおよび第2の出力ベクトルは、尤度値を含み、この尤度値は、心臓EGMストリップの現在のセグメントの尤度が心不整脈の発生を含むことを示す。この例では、AIシステムは、一般型CRCと特化型CRCとによって生成された尤度値を比較することができる。この例では、人間のレビューごとに心不整脈の存在に対応する尤度が高く、人間のレビューごとに心不整脈が不在に対応する尤度の値が低いことが好ましい。AIシステムは、注釈付きデータセットの出力ベクトルを比較して、(例えば、感度および特異性に基づいて)全体的な精度を確認することもできる。
【0116】
第2の出力ベクトルが第1の出力ベクトル(906の「はい」の分岐)よりも正確であるとの判定に応答して、AIシステムは、特化型CRCのパラメータを更新することができる(908)。例えば、AIシステムは、特化型CRCの期待される出力ベクトルと特化型CRCの実際の出力ベクトルとの間の誤差を計算する誤差関数を適用してもよい。この例では、AIシステムは、バックプロパゲーションアルゴリズムでこのエラー関数を使用して、特化型CRCのパラメータを更新することができる。
【0117】
特化型CRCのパラメータを更新した後、または第2の出力ベクトルが第1の出力ベクトル(906の「いいえ」分岐)よりも正確ではないと判定した場合、AIシステムは、心臓EGMストリップの残りのセグメントまたは第2の集団(910)の残りのEGMストリップがあるかどうかを判定することができる。心臓EGMストリップの1つ以上の残りのセグメントまたは第2の集団の残りのEGMストリップ(910の「はい」分岐)がある場合、AIシステムは、現在のセグメントおよび/または心臓EGMストリップとしての第2の集団について、別のセグメントまたはEGMストリップを用いて動作902~910を繰り返すことができる。その他の場合(910の「いいえ」分岐)、図9の訓練動作が終了し得る。
【0118】
この方法により特化型CRCを訓練することは、特化型CRCによって生成された出力ベクトルの精度が一般型CRCによって生成された出力ベクトルの精度よりも悪くないことを保証するのに役立ち得る。さらに、この方式で特化型CRCを訓練することは、EGMストリップの全てのセグメントで特化型CRCを訓練するよりも効率的であり、計算リソースの消費量が少なくなり得る。
【0119】
いくつかの例では、AIシステムは、特化型CRCを訓練するプロセスを実行するためのユーザ入力の指示を受信することに応答して、当該プロセスを実行するように構成される。例えば、AIシステムは、AIシステムが特定の心臓EGMストリップに基づいて特化型CRCを訓練することを示すユーザ入力の表示を受信してもよい。
【0120】
図10は、本開示の技法による、パーソナライズされた出力データを生成するための動作例を示すフローチャートである。図10の例では、AIシステムは、現在の患者の心臓EGMストリップを取得することができる(1000)。さらに、AIシステムは、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いてパーソナライズされたCRCを適用することができる(1002)。図10の例では、特化型CRCは、現在の患者からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される。特化型CRCは、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する。心調律の態様は、心不整脈、心調律の形態学的態様、現在の患者のR-R間隔、または現在の患者の心調律の別の態様であり得る。
【0121】
さらに、図10の例では、AIシステムは、現在の患者からの事前の心臓EGMストリップに基づく特化型CRCによって生成された第1のデータおよび履歴データに基づいて、出力データを生成する(1004)。したがって、図10の例では、特化型CRCは、必ずしも訓練されているとは限らず、別様で、より大きな集団からの訓練データに基づいているとは限らない。むしろ、特化型CRCは、現在の患者の訓練データに基づいてのみ訓練することができる。いくつかの例では、出力データは、現在の患者の心調律の態様の傾向を示している。いくつかの例では、心臓EGMストリップはイベント後のものであり、初期の心臓EGMストリップの各々はイベント前のものである。この例では、出力データには、イベントの前後の現在の患者の心調律の態様の比較が含まれる。イベントの例には、医療デバイスの植込み、外科的処置、現在の患者が使用している薬の変更、新しい心不整脈の発症などが含まれてもよい。
【0122】
図11は、本開示の技法による、コンピューティングシステムがパーソナライズされた出力データを生成する例を示す概念図である。図11は、図10の動作例と一致している。図11の例では、純粋に個々の患者からのデータに基づいて、不整脈パターンのディクショナリが全ての患者に対して構築されている。単一の患者からの全てのデータを使用して、ニューラルネットワークが訓練され、その患者の病歴で発生する心不整脈と正常なリズムがスコアリングされる。標準の分類器とは異なり、このタイプのパーソナライズされたCRCは、悪条件にフラグを立てるのに最適ではない場合がある。より一般的なCRCによって、悪状態をよりよく識別することができる。ただし、パーソナライズされたCRCは、単一の患者の長期データの傾向を把握するのに役立ち得る。
【0123】
パーソナライズされたCRCの出力は、様々な目的のうちの1つ以上に使用することができる。例えば、パーソナライズされたCRCの出力を使用して、患者自身のベースラインからの変化をスコアリングおよび傾向分析してもよい。例えば、この例では、AIシステムは、患者14に監視デバイス(例えば、医療デバイス16)を植込んだ後の時点から、患者14の心調律の1つ以上の態様に関する傾向を示す出力データを生成してもよい。この例では、心調律の1つ以上の態様には、ある期間(例えば、1週間)にわたるR-R間隔、特定の心不整脈の発生頻度などが含まれ得る。
【0124】
別の例では、パーソナライズされたCRCの出力を使用して、従来検出された心不整脈の発生の形態学的態様と比較して、検出された心不整脈の発生の1回以上の形態学的態様の変化を検出およびスコアリングすることができる。例えば、パーソナライズされたCRCの出力を使用して、心室性期外収縮(PVC)の平均線長の変化を検出および追跡してもよい。別の例では、パーソナライズされたCRCの出力は、投薬の変更または実行された新しい処置の実行に伴う患者のデータの変更を示してもよい。
【0125】
単一の被験者のデータで訓練されたパーソナライズされたCRCは、より大きな集団モデルと比較して、より小さな計算フットプリント(ハードウェアおよびソフトウェア)を有し、モバイルデバイスおよび植込みハードウェアなどのより小さなハードウェアプラットフォームで実行し得るように設計することもできる。例えば、一般型CRCおよびパーソナライズされたCRCの両方の基礎となるモデルアーキテクチャ(例えば、50層の残余ニューラルネットワーク)が同じである場合、初期層のモデルの重みは、両方のモデルで類似していてもよい。ただし、最後の数層のモデルの重みだけで、その患者コホートのパーソナライズされたCRC用に訓練することができる。実装態様に関して、一般型CRCおよびパーソナライズされたCRCの両方がニューラルネットワークの初期層に対応する共通の計算を有している場合、これらの一般型CRCからの値は、(計算を繰り返すのではなく)パーソナライズされたCRCで使用でき、当該パーソナライズされたCRCは、最後の複数のニューラルネットワーク層のみに対応するより小さな計算セットを有することができる。
【0126】
いくつかの例では、本開示の技法は、本明細書に記載のいずれかの方法を実行するための手段を含むシステムを含む。いくつかの例では、本開示の技法は、処理回路に本明細書に記載のいずれかの方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体を含む。
【0127】
以下は、本開示の1つ以上の技法による例の非限定的なリストである。
【0128】
実施例1A. コンピューティングシステムによって、現在の患者の心臓電位図(EGM)ストリップを取得することと、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第1の心調律分類器ニューラルネットワーク(CRC)を適用することであって、第1のCRCが、複数の患者を含む第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、第1のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、適用することと、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて、第2のCRCを適用することであって、第2のCRCが、第1の集団よりも小さい第2の集団からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練される第1のCRCのバージョンであり、第2のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第2のデータを生成する、適用することと、コンピューティングシステムによって、第1のデータおよび第2のデータに基づいて出力データを生成することと、を含む、方法。
【0129】
実施例2A. 第2の集団が現在の患者からなる、請求項1Aに記載の方法。
【0130】
実施例3A. 第2の集団が、現在の患者と1つ以上の特徴を共有する患者のコホートである、請求項1Aに記載の方法。
【0131】
実施例4A. 1つ以上の特徴が、患者のコホートおよび現在の患者の診断を含む、請求項3Aに記載の方法。
【0132】
実施例5A. 方法が、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップを入力として用いて、第3のCRCを適用することをさらに含み、第3のCRCが、第1の集団からの心臓EGMストリップを訓練することに基づいて訓練され、現在の患者からの心臓EGMストリップを訓練することのみに基づいてさらに訓練された、第1のCRCのバージョンであり、第3のCRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第3のデータを生成し、出力データを生成することが、第1のデータ、第2のデータ、および第3のデータに基づいて出力データを生成することを含む、請求項3Aに記載の方法。
【0133】
実施例6A. 現在の患者の心調律の態様が、現在の患者の心調律における心不整脈の発生の発生であり、第1のデータは、心臓EGMストリップのセグメントが心不整脈の少なくとも1回の発生を表す第1の確率に基づいており、第2のデータは、心臓EGMストリップのセグメントが心不整脈の少なくとも1回の発生を表す第2の確率に基づいている、請求項1Aに記載の方法。
【0134】
実施例7A. 現在の患者の心調律の態様が、現在の患者の心調律で発生する心不整脈の発生の形態学的態様であり、第1のデータが、心臓EGMストリップのセグメントで表される心不整脈の発生の形態学的態様に関する第1のデータを含み、第2のデータが、心臓EGMストリップのセグメントで表される心不整脈の発生の形態学的態様に関する第2のデータを含み出力データが、発生の形態学的態様に関する第1のデータと、発生の形態学的態様に関する第2のデータとを比較するデータを含む、請求項1Aに記載の方法。
【0135】
実施例8A. 第2のデータの、現在の患者からの事前の心臓EGMストリップに基づいて第2のCRCによって生成された履歴データとの比較に基づいて、第2の出力データを生成することをさらに含む、請求項1A~7Aのいずれか一項に記載の方法。
【0136】
実施例9A. 第1のCRCが、出力ベクトルを生成し、方法が、コンピューティングシステムによって、第2の集団からの心臓EGMストリップのみに基づいて第1のCRCのインスタンスを訓練することによって、第2のCRCを生成することをさらに含み、第2のCRCを生成することが、第2の集団からの各々のそれぞれの心臓EGMストリップの各々のそれぞれのセグメントについて、処理回路が、コンピューティングシステムによって、第1のCRCをそれぞれの心臓EGMストリップのそれぞれのセグメントに適用して、それぞれの心臓EGMストリップの第1の出力ベクトルを生成することと、コンピューティングシステムによって、第2のCRCをそれぞれの心臓EGMストリップのそれぞれのセグメントに適用して、それぞれの心臓EGMストリップの第2の出力ベクトルを生成することと、コンピューティングシステムによって、それぞれの心臓EGMストリップのそれぞれのセグメントの第2の出力ベクトルが、それぞれの心臓EGMストリップの第1の出力ベクトルよりも正確であるかどうかを判定することと、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップの第2の出力ベクトルが、それぞれの心臓EGMストリップの第1の出力ベクトルよりも正確であるかどうかに基づいて、第2のCRCのパラメータを更新することと、を含み、コンピューティングシステムは、心臓EGMストリップの第2の出力ベクトルがそれぞれの心臓EGMストリップの第1の出力ベクトルよりも正確である場合に、第2のCRCのパラメータを更新するように構成され、コンピューティングシステムは、心臓EGMストリップの第2の出力ベクトルがそれぞれの心臓EGMストリップの第1の出力ベクトルよりも正確でない場合に、第2のCRCのパラメータを更新しないように構成される、更新することと、を行うように構成されている、請求項1A~8Aのいずれか一項に記載の方法。
【0137】
実施例1B. コンピューティングシステムによって、現在の患者の心臓EGMストリップを取得することと、コンピューティングシステムによって、心臓EGMストリップのセグメントを入力として用いて特化型心調律分類器(CRC)を適用することであって、特化型CRCが、現在の患者からの心臓EGMストリップを訓練することで訓練され、特化型CRCが、心臓EGMストリップのセグメントに基づいて、現在の患者の心調律の態様に関する第1のデータを生成する、適用することと、コンピューティングシステムによって、第1のデータと、現在の患者からの事前の心臓EGMストリップに基づいて特化型CRCによって生成された履歴データに基づいて出力データを生成することと、を含む、方法。
【0138】
実施例2B. 出力データが、現在の患者の心調律の態様の傾向を示している、請求項1Bに記載の方法。
【0139】
実施例3B. 心調律の態様が、現在の患者のR-R間隔である、請求項2Bに記載の方法。
【0140】
実施例4B. 心調律の態様が、心不整脈である、請求項2Bに記載の方法。
【0141】
実施例5B. 心調律の態様が、現在の患者の心不整脈の形態学的態様である、請求項4Bに記載の方法。
【0142】
実施例6B. 心臓EGMストリップが、イベント後のものであり、事前の心臓EGMストリップの各々が、イベント前のものであり、出力データが、イベント前後の現在の患者の心調律の態様の比較を含む、請求項2Bに記載の方法。
【0143】
実施例7B. イベントが、医療デバイスの植込み、外科的処置、現在の患者が服用している薬の変更、または新しい心不整脈の発症のうちの1つである、請求項6Bに記載の方法。
【0144】
実施例1C. 処理回路および記憶媒体を含むコンピューティングシステムであって、請求項1A~7Bのいずれかの方法を実行するように構成されている、コンピューティングシステム。
【0145】
実施例2C. コンピュータ可読データ記憶媒体であって、実行されると、コンピューティングシステムに請求項1A~7Bのいずれかに記載の方法を実行させる命令がその上に記憶されている、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【0146】
実施例3C. 本明細書に記載されている方法。
【0147】
本明細書に開示される様々な態様および例は、説明および添付の図面に具体的に提示された組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わせることができることを理解されたい。本明細書に記載のプロセスまたは方法のいずれかの特定の行為またはイベントは、実施例に応じて異なる順序で行われてもよく、追加、併合、または完全に省略されてもよい(例えば、全ての記載された行為またはイベントは、本技法を実行するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。さらに、本開示の特定の態様は、明確にするために、単一のモジュール、ユニット、または回路によって実行されるものとして説明されているが、本開示の技法は、例えば、医療デバイス置と関連付けられたユニット、モジュール、または回路の組み合わせによって実行され得ることが理解されるべきである。
【0148】
1つ以上の例では、説明される技法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されることができる。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されることができる。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることができ、かつコンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0149】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行されることができる。したがって、本明細書に使用される「プロセッサ」または「処理回路」という用語は、前述の構造のいずれか、または記載された技法の実装態様に好適な任意の他の物理的構造を指すことができる。また、それらの技術は、1つ以上の回路または論理素子内に完全に実装され得る。
【0150】
様々な例が記載されている。これらおよび他の例は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1
図2
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図7
図8
図9
図10
図11