(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】遅延放出ソフトゲルカプセル
(51)【国際特許分類】
A61K 9/64 20060101AFI20240920BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240920BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240920BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K9/64
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/10
A23L5/00 C
(21)【出願番号】P 2021571794
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020035666
(87)【国際公開番号】W WO2020247352
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-06-01
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520355792
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チー
(72)【発明者】
【氏名】スクル,カルナカル
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0301546(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104644609(CN,A)
【文献】特開昭62-155212(JP,A)
【文献】特表2018-531985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A23L 5/00- 5/49
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)充填材料;および
(b)pH依存シェル組成物
を含む遅延放出ソフトゲルカプセルであって、
前記充填材料が少なくとも1種の薬学的活性成分を含み、
前記pH依存シェル組成物がゼラチン、ペクチン、およびデキストロースを含む
が、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、酢酸コハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸塩、ステアリン酸、ならびにシェラックからなる群より選択される従来のpH依存ポリマーを含まず、
前記pH依存シェル組成物が、2:1~11:1の範囲のゼラチン対ペクチンw:w比を有し、
前記遅延放出ソフトゲルカプセルが、30℃~60℃の範囲の温度で硬化されてなる、遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項2】
前記pH依存シェル組成物が可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項3】
前記ペクチンが低メトキシルペクチンである、請求項1または2に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項4】
前記ペクチンがアミド化ペクチン、非アミド化ペクチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項5】
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して40wt%~80wt%のゼラチンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項6】
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して2wt%~20wt%のペクチンを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項7】
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して0.01wt%~4wt%のデキストロースを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項8】
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して15wt%~40wt%の可塑剤を含む、請求項2から7のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項9】
前記ゼラチンがタイプAゼラチン、タイプBゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項10】
前記ゼラチンが魚ゼラチン、獣皮ゼラチン、骨ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項11】
前記ペクチンが非アミド化ペクチンである、請求項1から10のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項12】
前記可塑剤がグリセリン、ソルビトールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2から11のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項13】
必要に応じてパンクレアチンを含むpH6.8リン酸緩衝液中で50rpmの速度のパドルを用いるUSP Apparatus IIにおいて行われる溶解/崩壊試験に基づいて、腸環境において60分未満、45分未満、30分未満、20分未満、10分未満、または5分未満で溶解/崩壊する、請求項1から12のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項14】
必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl中で50rpmの速度のパドルを用いるUSP Apparatus IIにおいて行われる溶解/崩壊試験に基づいて、酸性媒体中で少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、または少なくとも5時間で溶解/崩壊する、請求項1から13のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項15】
追加のpH依存ポリマーを含まない、請求項1から14のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項16】
前記pH依存シェル組成物が110,000cPs~125,000cPsの範囲の粘度を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項17】
前記pH依存シェル組成物が5:1~1:5の範囲の可塑剤対ゼラチンw:w比を有する、請求項1から
16のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
【請求項18】
(a)活性剤を含む充填材料を調製するステップと;
(b)前記充填材料をpH依存シェル組成物で封入するステップと
を含む、請求項1から
17のいずれか一項に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを調製するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/856,601号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ゼラチンベースシェル組成物が、pH依存コーティングも従来のpH依存合成ポリマーの添加も必要としない遅延放出特性を有する、遅延放出ソフトゲルカプセルに関する。
【背景技術】
【0003】
ソフトカプセル、特にソフトゼラチンカプセル(またはソフトゲルカプセル)は、飲み込みやすく、活性剤の任意の不快な味をマスキングするために風味を付ける必要がないので、患者によってより容易に受け入れられる剤形を提供する。薬物のソフトゲル封入は、医薬品のバイオアベイラビリティを改善する可能性をさらに提供する。例えば、ゼラチンシェルが破断するとすぐに活性成分は液体形態で迅速に放出され得る。
【0004】
遅延放出剤形を作るために努力されてきた。遅延放出剤形は、剤形の中身を胃の条件から保護するように設計される。例えば、遅延放出剤形は、pH依存コーティングを錠剤またはカプセルなどの製造された剤形の表面に添加することによって生産され得る。そのようなコーティングは、剤形に噴霧し、続いて通常は高温で剤形を乾燥させることにより塗布され得る。カプセルをpH依存コーティングでコーティングするこの方法は、性能および外観に関する欠点をもたらし得る。例えば、カプセルは粗く見えることがあり、コーティングは不均一に塗布されることがある、および/またはコーティングはひび割れるもしくは剤形から剥がれ落ちやすい可能性がある。加えて、pH依存コーティングを塗布するプロセスは非常に非効率的である。
【0005】
従来のpH依存ポリマー(すなわち酸不溶性ポリマー)がカプセルシェルに添加された他の遅延放出剤形が開発された。しかし、従来のpH依存ポリマーの添加は、不十分な密封ゆえに漏出しやすいカプセルをもたらし得る。
【0006】
したがって、pH依存コーティングの塗布もシェルへの従来のpH依存ポリマーの添加も必要としない遅延放出ソフトゲルカプセルが現在必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は遅延放出ソフトゲルカプセルを対象とする。遅延放出ソフトゲルカプセルは、(a)充填材料および(2)pH依存シェル組成物を含む。本発明による遅延放出ソフトゲルカプセルは、pH依存コーティングも、添加される従来のpH依存ポリマーも必要としない。したがって、pH依存シェル組成物はpH依存コーティングを添加する必要を排除し、これはまたコーティングプロセス中にカプセルを損傷するリスクを最小にする。
【0008】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)デキストロース、(c)低メトキシペクチンなどのペクチンおよび必要に応じて(d)可塑剤を含む。pH依存シェル組成物(例えば、ペクチンの量、デキストロースの量、ゼラチン対ペクチン比)およびその調製プロセス(例えば、硬化時間、リボンの厚み)は、様々なpH環境でシェル組成物の標的pH溶解プロファイル(例えば、酸性媒体および緩衝媒体中での破断/溶解/崩壊時間)を実現するために調節/調整/改変され得る。本発明は遅延放出ソフトゲルカプセルを作製するプロセスも対象とする。
【0009】
本発明は、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲル組成物のいずれかを対象に投与することによって状態を処置する方法も対象とする。
【0010】
本開示の上記および他の特色、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することでより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】老化時間に応じたアミド化ペクチンを含むおよびアミド化ペクチンを含まないシェル組成物の粘度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、pH依存コーティングを塗布することも、従来のpH依存合成ポリマーをカプセルシェルに添加することも必要とせずに従来の遅延放出剤形に関連する利点を達成する、遅延放出経口剤形、特に遅延放出ソフトゲルカプセルを開発することによって現況技術を前進させる。本発明の遅延放出ソフトゲルカプセルは、胃の胃環境において溶解せず、むしろ約3.5以上であるpHにおいて(例えば、十二指腸領域および/または腸において)溶解する。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルの溶解プロファイルは、ソフトゲルカプセルのシェル組成を改変することによって調節され得る。
【0013】
そのような機構は、胃の刺激を引き起こし得るまたは胃の酸性環境に感受性である活性成分の送達に有益である。そのような機構は、おくびの一因となる傾向がある充填材料を封入するカプセルを摂取した後のおくびを減少させるのにも有益である。例えば、おくびは、ビタミン、ミネラル、サプリメント、および/または腸に到達する前に胃でいくらかの漏出(非常に少量であっても)を示す剤形に製剤化された医薬製品を摂取すると発生することが多い。おくびが一般的にソフトゲルで送達される魚油およびニンニクなどの不快な臭いの知覚を有する物質と関連する場合、漏出は特に問題であり得る。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルは、胃の胃環境において早期漏出(結果として、カプセルの充填物の早期放出)を最小にするおよび/または排除する様式で製剤化され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「pH依存」は、例えば、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約5時間の期間、胃の胃環境において溶解または崩壊が発生しないまたは実質的に発生しないような、物質の溶解または崩壊耐性を指すために使用される。ある特定の実施形態では、胃の胃環境はここでは、0.1N HClおよび必要に応じてペプシンの添加により模擬され得る。薬局方の方法はペプシンを含まないが、インビボ条件をより良く模擬/模倣するために、ペプシンが本明細書に記載のある特定の溶解/崩壊試験において添加されたことに留意されるべきである。したがって、限定されると解釈されることなく、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ペプシンを含む0.1N HCl環境(ペプシンを含まない0.1N HClより攻撃的な環境であると推定される)でさえ上記の時間、溶解/崩壊に耐性がある。
【0015】
例えば、本明細書に記載の実施形態は、生体、人工または模擬胃液と比較して、約3.5以上のpH(例えば、生体、人工または模擬十二指腸環境および/もしくは腸液)において優先的に溶解するpH依存シェル組成物を含む。ある特定の実施形態では、腸環境はここでは、パンクレアチンを含むまたは含まないpH6.8リン酸緩衝液で模擬され得る。例えば、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は、約60分未満、約45分未満、約30分未満、約20分未満、約10分未満、または約5未満で、約3.5以上のpHにおいて(例えば、必要に応じてパンクレアチンを含むpH6.8リン酸緩衝液などの生体、人工または模擬十二指腸環境および/または腸液において)溶解する。薬局方の方法はパンクレアチンを含まないが、インビボ条件をより良く模擬/模倣するために、パンクレアチンが本明細書に記載のある特定の溶解/崩壊試験において添加されたことに留意されるべきである。したがって、限定されると解釈されることなく、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、パンクレアチンを含むpH6.8緩衝環境(パンクレアチンを含まないpH6.8緩衝環境より攻撃的な環境であると推定される)において同様の溶解/崩壊プロファイルを示す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「薬学的活性成分」、「活性剤」は、状態の診断、治癒、緩和、処置、または防止において使用され得る薬物または化合物を指す。ある特定の実施形態では、適切な「活性剤」は、ビタミン、ミネラル、およびサプリメント(VMS)などの栄養補助食品を含む。例示的な遅延放出ソフトゲルカプセルは限定なしに、乳酸菌、プロバイオティクス、魚油カプセル、バルプロ酸、ニンニク、ハッカ油、ポリエチレングリコール、イブプロフェン溶液または懸濁液、プロトンポンプ阻害剤、アスピリンおよび同様の製品を含有するカプセルを含み得る。
【0017】
用語「状態(condition)」または「状態(conditions)」は、有効量の活性剤の対象への投与によって処置または防止され得るそれらの医学的状態を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「活性成分」は、その目的のために政府機関によって承認されていようがいまいが、治療、予防、または他の意図される効果をもたらすことが意図されている任意の物質を指す。特定の薬剤に関するこの用語は、薬学的活性剤、ならびにその全ての薬学的に許容される塩、溶媒和物および結晶形態を含み、塩、溶媒和物および結晶形態は薬学的に活性である。
【0019】
水溶性であるものおよび水難溶性であるものの両方を含む任意の薬学的活性成分が、本発明の目的のために使用され得る。適切な薬学的活性成分は限定なしに、鎮痛薬および抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、アスピリン)、制酸薬、駆虫薬、抗不整脈剤、抗菌剤、抗凝固薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、止瀉薬、抗てんかん薬、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧剤、抗マラリア薬、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗新生物剤および免疫抑制薬、抗原虫剤、抗リウマチ薬、抗甲状腺剤、抗ウイルス薬、抗不安薬、鎮静薬、睡眠薬および神経弛緩薬、ベータ遮断薬、心臓変力剤、コルチコステロイド、咳止め薬、細胞傷害薬、充血除去薬、利尿薬、酵素、抗パーキンソン病剤、胃腸剤、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、脂質制御剤、局所麻酔薬、神経筋作用剤、硝酸薬および抗狭心症剤、栄養剤、オピオイド鎮痛薬、抗痙攣剤(例えばバルプロ酸)、経口ワクチン、タンパク質、ペプチドおよび組換え薬物、性ホルモンおよび避妊薬、殺精子薬、刺激薬、ならびにそれらの組合せを含む。
【0020】
一部の実施形態では、活性医薬成分は限定なしに、ダビガトラン、ドロネダロン、チカグレロル、イロペリドン、イバカフトール、ミドスタウリン、アシマドリン、ベクロメタゾン、アプレミラスト、サパシタビン、リンシチニブ、アビラテロン、ビタミンD類似体(例えば、カルシフェジオール、カルシトリオール、パリカルシトール、ドキセルカルシフェロール)、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ)、タクロリムス、テストステロン、ルビプロストン、それらの薬学的に許容される塩、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0021】
一部の実施形態では、剤形中の脂質は限定なしに、アーモンド油、アルガン油、アボカド油、ルリジサ種子油、キャノーラ油、カシュー油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、カカオ脂、ヤシ油、ナタネ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、大麻油、水酸化レシチン、レシチン、アマニ油、マカダミア油、マンゴー脂、マニラ油、モンゴンゴナッツ油、オリーブ油、パーム核油、パーム油、ラッカセイ油、ペカン油、エゴマ油、パインナッツ油、ピスタチオ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、ハッカ油、コメぬか油、ベニバナ油、ゴマ油、シア脂、ダイズ油、ヒマワリ油、硬化植物油、クルミ油、およびメロン種子油からなる群から選択され得る。他の油および脂肪は、これらに限定されないが、魚油(オメガ-3)、クリル油、例えばその硬化形態の動物性または植物性脂肪、遊離脂肪酸ならびにC8-、C10-、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-およびC22-脂肪酸を含むモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、EPAおよびDHA3のような脂肪酸エステルならびにそれらの組合せを含み得る。
【0022】
ある特定の実施形態によると、活性剤は、これらに限定されないが、スタチン(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、およびピタバスタチン)、フィブラート(例えば、クロフィブラート、シプロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、およびゲムフィブロジル)、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤、エゼチミブ、ロミタピド、フィトステロール、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグ、前述のもののいずれかの混合物などを含む脂質低下剤を含み得る。
【0023】
適切な栄養補助食品活性剤は、これらに限定されないが、5-ヒドロキシトリプトファン、アセチルL-カルニチン、アルファリポ酸、アルファ-ケトグルタル酸、ミツバチ生成物、ベタイン塩酸塩、ウシ軟骨、カフェイン、ミリストレイン酸セチル、炭、キトサン、コリン、コンドロイチン硫酸、コエンザイムQ10、コラーゲン、初乳、クレアチン、シアノコバラミン(ビタミン812)、ジメチルアミノエタノール、フマル酸、三二酸化ゲルマニウム、腺生成物、グルコサミンHCl、グルコサミン硫酸塩、ヒドロキシルメチルブチレート、免疫グロブリン、乳酸、L-カルニチン、肝臓生成物、リンゴ酸、無水マルトース、マンノース(d-マンノース)、メチルスルホニルメタン、フィトステロール、ピコリン酸、ピルビン酸、紅色酵母抽出物、S-アデノシルメチオニン、セレン酵母、サメ軟骨、テオブロミン、硫酸バナジル、および酵母を含み得る。
【0024】
適切な栄養サプリメント活性剤は、ビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、アミノ酸、ハーブサプリメントまたはそれらの組合せを含み得る。
【0025】
適切なビタミン活性剤は、これらに限定されないが以下を含み得る:アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンB、ビオチン、脂溶性ビタミン、葉酸、ヒドロキシクエン酸、イノシトール、ミネラルアスコルビン酸塩、混合トコフェロール、ナイアシン(ビタミンB3)、オロト酸、パラアミノ安息香酸、パントテン酸塩、パントテン酸(ビタミンB5)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、合成ビタミン、チアミン(ビタミンB1)、トコトリエノール、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミン油および油溶性ビタミン。
【0026】
適切なハーブサプリメント活性剤は、これらに限定されないが以下を含み得る:アルニカ、ビルベリー、ブラックコホシュ、キャッツクロー、カモミール、エキナセア、メマツヨイグサ油、コロハ、アマニン、ナツシロギク、ニンニク油、ショウガの根、イチョウ(ginkgo biloba)、チョウセンニンジン、アキノキリンソウ、サンザシ、カバカバ、カンゾウ、オオアザミ、オオバコ、インドジャボク、センナ、ダイズ、セイヨウオトギリソウ、ノコギリパルメット、ウコン、カノコソウ。
【0027】
ミネラル活性剤は、これらに限定されないが以下を含み得る:ホウ素、カルシウム、キレート化ミネラル、塩化物、クロム、コーティングされたミネラル、コバルト、銅、ドロマイト、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、ミネラルプレミックス、ミネラル製品、モリブデン、リン、カリウム、セレン、ナトリウム、バナジウム、リンゴ酸、ピルビン酸塩、亜鉛、および他のミネラル。
【0028】
他の可能な活性剤の例は、これらに限定されないが、抗ヒスタミン薬(例えば、ラニチジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンおよびデクスクロルフェニラミンマレイン酸塩)、非ステロイド抗炎症剤(例えば、アスピリン、セレコキシブ、Cox-2阻害剤、ジクロフェナク、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン(flubufen)、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、スリンダク、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、アセクロフェナク、アロキシピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、サリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサル、エトドラク、エトリコキシブ、ファイスラミン(faislamine)、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、メフェナム酸、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、サリチル酸サリチル、スリンダク、スルフィンピラゾン、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルメチン、それらの薬学的に許容される塩およびそれらの混合物)ならびにアセトアミノフェン、制吐薬(例えば、メトクロプラミド、メチルナルトレキソン)、抗てんかん薬(例えば、フェニロイン、メプロブメートおよびニトラゼパム)、血管拡張薬(例えば、ニフェジピン、パパベリン、ジルチアゼムおよびニカルジピン)、鎮咳剤および去痰薬(例えばコデインリン酸塩)、抗喘息薬(例えばテオフィリン)、制酸薬、鎮痙薬(例えば、アトロピン、スコポラミン)、抗糖尿病薬(例えばインスリン)、利尿薬(例えば、エタクリン酸、ベンドロフルチアジド)、抗低血圧薬(例えば、プロプラノロール、クロニジン)、抗高血圧薬(例えば、クロニジン、メチルドパ)、気管支拡張薬(例えばアルブテロール)、ステロイド薬(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン)、抗菌薬(例えばテトラサイクリン)、抗痔薬、睡眠薬、向精神薬、止瀉薬、粘液溶解薬、鎮静薬、充血除去薬(例えばプソイドエフェドリン)、緩下薬、ビタミン、刺激薬(フェニルプロパノールアミンなどの食欲抑制薬を含む)およびカンナビノイド、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
【0029】
活性剤はベンゾジアゼピン、バルビツレート、刺激薬、またはそれらの混合物でもあり得る。用語「ベンゾジアゼピン」は、中枢神経系を抑制することができる、ベンゾジアゼピンおよびベンゾジアゼピンの誘導体である薬物を指す。ベンゾジアゼピンは、これらに限定されないが、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグおよび混合物を含む。活性剤として使用され得るベンゾジアゼピンアンタゴニストは、これらに限定されないが、フルマゼニルならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含む。
【0030】
用語「バルビツレート」は、バルビツール酸(2,4,6,-トリオキソヘキサヒドロピリミジン)から誘導された鎮静-睡眠薬を指す。バルビツレートは、これらに限定されないが、アモバルビタール、アプロバルボタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メトヘキシタール、メホバルビタール、メタルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタールならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、および混合物を含む。活性剤として使用され得るバルビツレートアンタゴニストは、これらに限定されないが、アンフェタミンならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含む。
【0031】
用語「刺激薬」は、これらに限定されないが、アンフェタミン、例えば、デキストロアンフェタミン樹脂複合体、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、および溶媒和物および混合物を含む。活性剤として使用され得る刺激薬アンタゴニストは、これらに限定されないが、ベンゾジアゼピン、ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および混合物を含む。
【0032】
本開示による剤形は、様々な活性剤およびそれらの薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩は、これらに限定されないが、無機酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など;有機酸塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩など;スルホン酸塩、例えば、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩など;アミノ酸塩、例えば、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩など、および金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩など;アルカリ土類金属、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など;有機アミン塩、例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「治療的に有効な」および「有効量」は、所望の治療結果をもたらすのに必要な、活性剤の量またはそれが投与される割合を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「シェル」または「シェル組成物」は、充填材料を封入するソフトゲルカプセルのシェルを指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「従来のpH依存ポリマー」は、これらに限定されないが、商標名EUDRAGIT(登録商標)で入手可能であり得るアクリルおよびメタクリル酸ポリマーならびに他の従来の酸不溶性ポリマー、例えばアクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマーを指す。他の従来の酸不溶性ポリマーは限定なしに、酢酸コハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カリウムなどのアルギン酸塩、ステアリン酸、ならびにシェラックを含む。ペクチンおよびペクチン誘導体は従来のpH依存ポリマーとみなされない。一部の実施形態では、本発明のpH依存シェル組成物は酸不溶性ポリマーを含まない。言い換えると、ある特定の実施形態では、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、「従来のpH依存ポリマーを含まないまたは実質的に含まない」。
【0036】
本明細書で使用される場合、「含まないまたは実質的に含まない」は、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.25wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満、または0wt%の前記成分を含む組成物を指す。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲を通してwt%への全ての言及は、対象組成物全体の重量に関する成分の重量を指し、w/wとも表され得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「充填材料」または「充填物」は、pH依存カプセルシェルによって封入される組成物を指し、少なくとも1種の薬学的活性成分を含有する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「遅延放出カプセル」または「遅延放出ソフトゲルカプセル」または「pH依存カプセル」または「pH依存ソフトゲルカプセル」は、充填材料がシェルに封入され、カプセルが乾燥されると、遅延またはpH依存特性を有するカプセルを指す。ある特定の実施形態では、これらの用語は乾燥後に硬化もされたカプセルを指し得る。ある特定の実施形態では、乾燥後のさらなる加工ステップは必要ない。ある特定の実施形態では、硬化後のさらなる加工ステップは必要ない。
【0040】
本明細書で使用される場合、「約」は、±10%の変動内にある任意の値を指し、したがって「約10」は9~11を含む。本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」は、特に指定されていない限り1つまたは複数を指す。したがって例えば、「1つの賦形剤」への言及は、単一の賦形剤および2つ以上の異なる賦形剤の混合物などを含む。
【0041】
本明細書に特に示されていない限り、本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内にある各々別々の値に個々に言及する簡略方法として機能することが意図されているだけであり、各々別々の値は、本明細書で個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に特に示されていない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、本明細書に記載の全ての方法は、任意の適切な順序で行われ得る。
【0042】
本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、ある特定の材料および方法を単に明らかにすることが意図されており、範囲に制限を課さない。本明細書中の言葉は、任意の特許請求されない要素が開示された材料および方法の実践に必須であることを示すと解釈されるべきでない。
【0043】
第1の実施形態によると、pH依存ソフトゲルカプセルは(a)充填材料および(b)pH依存シェル組成物を含み、充填材料は少なくとも1種の薬学的活性成分を含み、pH依存シェル組成物はゼラチン、デキストロース、pH依存材料(例えば低メトキシルペクチン)および必要に応じて可塑剤を含む。好ましくは、pH依存シェル組成物は追加のpH依存ポリマーを含まない。
【0044】
適切な充填材料は、少なくとも1種の薬学的活性成分を含み、公知の方法に従って作製され得る。少なくとも1種の薬学的活性成分に加えて、適切な充填材料は、追加の充填成分、例えば、香味剤、甘味剤、着色剤および充填剤または他の薬学的に許容される賦形剤もしくは添加剤、例えば、合成色素および鉱物酸化物を含み得る。薬学的活性成分および薬学的に許容される賦形剤の適切な量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0045】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中のゼラチンは、単独でまたは組合せで使用されるタイプAゼラチン、タイプBゼラチン、獣皮もしくは皮ゼラチン(例えば、子牛の皮、ブタの皮)および/または骨ゼラチン(例えば、子牛の骨、ブタの骨)を含み得る。一実施形態では、ゼラチンは250ブルームゼラチンである。別の実施形態では、1つのタイプのゼラチンだけがある。さらに別の実施形態では、ゼラチンは少なくとも2つのタイプのゼラチンの組合せである。1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中のゼラチンの量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約65wt%、約45wt%~約75wt%、もしくは約50wt%~約70wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0046】
一実施形態では、pH依存カプセルシェル組成物はデキストロースを含む。1つの実施形態では、pH依存カプセルシェル組成物中のデキストロースの量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約0.001wt%~約1.0wt%、約0.002wt%~約0.008wt%、約0.005wt%もしくは約0.01wt%~約4wt%、約0.1wt%もしくは約0.15wt%~約3wt%、約0.1wt%~約1wt%、約0.1もしくは約0.15wt%もしくは約0.2wt%もしくは約0.25wt%~約2wt%、約0.1wt%~約0.2wt%、約0.1wt%~約0.4wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。デキストロースは、ゲル強度の潜在的な減少を緩和するために遅延放出カプセルシェルに添加され得る。限定的と解釈されることなく、デキストロースはシェル組成物中でゼラチンと相互作用し、ゼラチンに架橋させると考えられる。シェル組成物の溶解特性に対するデキストロースの量の効果は、実施例においてさらに説明される。pH依存シェル組成物中のデキストロースの濃度は、ゲル強度を改善する有効量であり得るが、カプセルの密封または製造性または製品性能に干渉するほど高くなくてよい。
【0047】
一部の実施形態では、pH依存シェル組成物は、ペクチン、例えば低メトキシルペクチンを含み得る。1つの実施形態では、ペクチンは50未満のエステル化度を有する低メチルエステル(LM)ペクチンである。一部の実施形態では、ペクチンはアミド化ペクチンである。他の実施形態では、低メトキシル(LM)ペクチンは非アミド化ペクチンである。ある特定の実施形態では、ペクチンはアミド化ペクチンおよび非アミド化ペクチンの組合せである。ペクチンの添加は、剤形のpH依存性に寄与する。
【0048】
剤形中の多すぎるペクチンはソフトゲルカプセルのゲル強度を減少させる可能性があり、これは次にソフトゲルカプセルの密封性に悪影響を及ぼし得る。pH依存シェル組成物中の多すぎるペクチンは、シェル組成物の粘度を増加させる可能性もあり、製造観点から加工を困難または不可能にする。
【0049】
したがって、ペクチンは、遅延放出剤形を形成するのに十分高く、同時にゲル強度の減少を緩和し、粘度増加を緩和するのに十分低い濃度で剤形に添加され得る。
【0050】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中のペクチンの量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約3wt%~約5.5wt%、約4wt%~約11wt%、約7wt%~約12wt%、約8wt%~約13wt%、もしくは約5wt%~約10wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0051】
pH依存シェル組成物中に組み込まれるペクチンのエステル化度は、約50%未満であり得るか、または約10%~約50%、約20%~約40%、もしくは約25%~約35%の範囲であり得る。またペクチンはアミド化または非アミド化であり得る。
【0052】
ある特定の実施形態では、pH依存シェル組成物は、ジェランガムを含む安定剤および/または結合剤を含む。ある特定の実施形態では、ペクチンの安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)に対する比は、約1:10~約50:1;約1:5~約40:1;約1:1~約25:1または約10:1~約24:1である。
【0053】
ある特定の実施形態では、pH依存シェル組成物中の安定剤および/または結合剤(例えば、ジェランガム)の量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、もしくは約0.2wt%~約2wt%の安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)、あるいはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0054】
ある特定の実施形態では、pH依存シェル組成物は約20,000cPs、約30,000cPs、約40,000cPs、約50,000cPs、約60,000cPs、もしくは約70,000cPsのいずれかから、約80,000cPs、約90,000cPs、約100,000cPs、約110,000cPs、約120,000cPs、約130,000cPs、約140,000cPs、もしくは約150,000cPsのいずれかの範囲、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値の粘度を有し得る。一実施形態では、pH依存シェル組成物は、約100,000cPs~約130,000cPs、または約110,000cPs~約125,000cPsの範囲、または約115,000cPs、もしくは約120,000cPsの粘度を有する。粘度は、
図1に関連する実施例においてさらに詳細に記載される通り、レオメーターを60℃で使用し、測定される。ゲル塊試料(例えば、本明細書に記載のpH依存シェル組成物のいずれかの)を60℃に維持されたレオメーターの試料台に載せる。円盤がある特定の速度で回転し、一定のせん断速度をもたらす。粘度は、せん断応力およびせん断速度を測定することによって得られる。
【0055】
ある特定の実施形態では、pH依存シェル組成物は、最大約24時間、最大約48時間、最大約72時間、最大約96時間、または最大約1週間熱老化させた後でさえ製造性に適した粘度を維持し得る。ある特定の実施形態では、pH依存シェル組成物の粘度は、熱老化後(最大約24時間、最大約48時間、最大約72時間、最大約96時間、または最大約1週間)、(老化前の組成物の粘度値から)最大約80%、最大約70%、最大約60%、最大約50%、最大約40%、最大約35%、または最大約30%減少し得る。
【0056】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中の可塑剤は、グリセロール、グリセリン、ソルビトールおよびそれらの組合せを含み得る。他の適切な可塑剤は、これらに限定されないが、糖アルコール可塑剤、例えば、イソマルト、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリスリトール、またはマンニトール;またはポリオール可塑剤、例えば、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、最大10,000MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン;およびそれらの混合物を含み得る。他の例示的な可塑剤は限定なしに、低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、油、小有機分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル系可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、クエン酸エステル系可塑剤、およびトリアセチンも含み得る。そのような可塑剤は、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、モノステアリン酸グリセリル、ポリソルベート80、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチルおよびグリコール酸アリル、ならびにそれらの混合物を含み得る。
【0057】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物中の可塑剤の量は、乾燥カプセルシェル組成物の総重量に対して約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約18wt%~約45wt%、約18wt%~約42wt%、約20wt%~約35wt%、約25wt%~約30wt%、またはその中の任意の単一の値もしくは部分範囲である。
【0058】
ある特定の実施形態では、様々な成分(例えば、ペクチン、デキストロース、ゼラチン、可塑剤)の量および様々な成分の比は、様々なpH範囲にわたるソフトゲルカプセルの溶解および/または崩壊特性を制御するために調節される。
【0059】
例えば、pH依存シェル組成物中のゼラチン対ペクチンw:w比は、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、もしくは約9:1のいずれかから、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、もしくは約20:1のいずれかの範囲、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値であり得る。ある特定の実施形態では、より低いゼラチン対ペクチンw:w比は、酸性媒体(例えば、必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl)中でより安定である(するとしてもよりゆっくり溶解する)pH依存シェル組成物を提供するが、より高いゼラチン対ペクチンw:w比は、酸性媒体(例えば、必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl)中であまり安定でない(より速く溶解する)pH依存シェル組成物を提供する。ゼラチン対ペクチンw:w比は、酸性媒体中でのソフトゲルカプセルの特定の溶解時間を実現するように調節され得る(例えば、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約90分など)。
【0060】
またpH依存シェル組成物中のゼラチン対可塑剤w:w比は、特定のカプセル硬度レベルを実現するように調節されてもよく、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2の範囲、約1:1、またはその中の任意の単一の比の値もしくは部分範囲であり得る。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は約5N、約6N、約7N、約8N、約9N、または約10Nのいずれかから、約11N、約12N、約13N、約14N、または約15Nのいずれかの範囲の硬度を有し得る。カプセル硬度は硬度計を使用して決定される。カプセルの2.0mmの変形を引き起こすのに必要なニュートン単位の力がカプセル硬度と定義される。
【0062】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%のいずれかから、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%のいずれかの範囲のシェル水分を有し得る。シェル水分は乾燥減量法によって決定される。1~2グラムのpH依存カプセルシェル組成物試料を105℃のオーブンに17時間入れる。試料の初期重量を記録する。試料を105℃のオーブン内で17時間乾燥させた後、試料の最終重量を記録する。以下の式に従って計算される重量損失のパーセンテージが、シェル水分と定義される:
【0063】
【0064】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は、約25%、約28%、約30%、約32%、約34%、または約35%のいずれかから、約38%、約40%、約42%、約45%、または約50%のいずれかの範囲の平衡相対湿度を有し得る。平衡相対湿度(%)は、カプセルが一定の総重量を維持した湿度条件と定義される。それは、飽和塩溶液を使用して一定の湿度に維持された環境室を使用して決定される。
【0065】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は、約50kg、約60kg、約70kg、約80kg、または約90kgのいずれかから、約100kg、約110kg、約120kg、約130kg、約140kg、または約150kgのいずれかの範囲の破裂強度を有し得る。破裂強度はテクスチャーアナライザーを使用して決定される。テクスチャーアナライザーは、カプセルが破裂するまでカプセルを加圧する。カプセルを破裂させるのに必要なキログラム単位の力が破裂強度と定義される。
【0066】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、従来のpH依存ポリマーを含まなくてもよいもしくは実質的に含まなくてもよいおよび/またはソフトゲルシェル上のpH依存保護膜を含まなくてもよい。
【0067】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、Ca++(例えばCaCh)またはMg++(例えばMgCh)などの二価の陽イオン塩を含み得る。別の実施形態では、pH依存シェル組成物およびpH依存ソフトゲルカプセルは、Ca++(例えばCaCh)またはMg++(例えばMgCh)などの二価の陽イオン塩を含まなくてもよいまたは実質的に含まなくてもよい。さらなる実施形態では、pH依存シェル組成物は、他の成分に存在し得る二価の陽イオン塩の量以外のCa++(例えばCaCh)またはMg++(例えばMgCh)などの二価の陽イオン塩の添加のステップを含まなくてもよい。
【0068】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、必要に応じて追加の薬剤、例えば、安定剤または結合剤(例えばジェランガム)、着色剤、香味剤、甘味剤、充填剤、抗酸化剤、希釈剤、pH調整剤または他の薬学的に許容される賦形剤もしくは添加剤、例えば、合成色素および鉱物酸化物を含み得る。
【0069】
例示的な適切な着色剤は、これらに限定されないが、例えば、白色、黒色、黄色、青色、緑色、桃色、赤色、橙色、菫色、藍色、および茶色などの色を含み得る。特定の実施形態では、剤形の色はその中に含有されている中身(例えば1種または複数の活性成分)を示し得る。
【0070】
例示的な適切な香味剤は、これらに限定されないが、しばしばエタノールまたは水などの溶媒を使用することによって原料、例えば、動物または植物材料の一部を抽出することによって得られる「香味抽出物」;花、果実、根など、または植物全体から精油を抽出することによって得られる天然エッセンスを含み得る。
【0071】
剤形中に存在し得る追加の例示的な香味剤は、これらに限定されないが、メントール、スペアミント、およびシナモンのような口臭消臭化合物、コーヒー豆、特に口腔衛生のために使用されるものである、フルーツ香味料(例えば、サクランボ、オレンジ、ブドウなど)などの他の香味料または香料、ならびに第四級アンモニウム塩基などの歯および口腔洗浄で使用される活性物質を含み得る。香味料の効果は、酒石酸、クエン酸、バニリンなどの香味増強剤を使用して増強され得る。
【0072】
例示的な甘味剤は、これらに限定されないが、1つもしくは複数の人工甘味料、1つもしくは複数の天然甘味料、またはそれらの組合せを含み得る。人工甘味料は、例えば、アセスルファムおよびその様々な塩、例えばカリウム塩(Sunett(登録商標)として入手可能)、アリテーム、アスパルテーム(NutraSweet(登録商標)およびEqual(登録商標)として入手可能)、アスパルテーム-アセスルファムの塩(Twinsweet(登録商標)として入手可能)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ジヒドロカルコン化合物、ネオテーム、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンおよびその様々な塩、例えばナトリウム塩(Sweet’N Low(登録商標)として入手可能)、ステビア、スクロースのクロロ誘導体、例えばスクラロース(Kaltame(登録商標)およびSplenda(登録商標)として入手可能)、ならびにモグロシドを含む。天然甘味料は、例えば、グルコース、デキストロース、転化糖、フルクトース、スクロース、グリチルリチン;グリチルリチン酸一アンモニウム(商標名MagnaSweet(登録商標)で販売されている);ステビア(Stevia rebaudiana)(ステビオシド)、天然の強力甘味料、例えばラカンカ、ポリオール、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどを含む。
【0073】
一部の実施形態では、pH依存シェル組成物および/またはpH依存ソフトゲルカプセルは、酸性媒体(必要に応じてペプシンを含むpH1.2(0.1N HCl))、続いて緩衝媒体(必要に応じてパンクレアチンを含むpH6.8リン酸緩衝液)において50rpmの速度のパドルを用いるUSP Apparatus IIで行われる崩壊/溶解試験において試験され得る。この実施形態によるpH依存ソフトゲルカプセルは、酸性媒体中で少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約5時間無傷のままであり得、約60分以下、約45分以下、約30分以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、または約5分以下で緩衝媒体中で崩壊し得る。
【0074】
2相溶解/崩壊試験の緩衝媒体はpH6.8を有するが、同様の溶解/崩壊プロファイルが約3.5以上のpHを有する緩衝媒体(必要に応じてパンクレアチンを含む)で実現され得ることに留意されるべきである。ペプシン(酸性媒体中)およびパンクレアチン(緩衝媒体中)の存在は、薬局方の方法に必要とされないが、インビボ条件をより良く模倣するより攻撃的な環境を模擬するためにある特定の例において本明細書で使用されることにも留意されるべきである。
【0075】
一部の実施形態では、2相溶解/崩壊試験、崩壊/溶解試験は、合計(酸性媒体および緩衝媒体の両方を含む)約420分、約360分、約300分、約240分、約210分、約180分、約150分、約120分、約105分、約90分、約75分、約60分、約45分、約30分、約15分、約10分、または約5分間行われ得る。
【0076】
充填材料の封入は、任意の従来の様式で成し遂げられ得る。例として、回転ダイ封入が使用され得る。
【0077】
1つの実施形態によると、pH依存ソフトゲルカプセルは、(a)少なくとも1種の薬学的活性成分を含む充填材料を調製するステップと;(b)ステップ(a)の充填材料をpH依存シェル組成物に封入するステップとを含むプロセスによって調製される。ステップ(b)による封入プロセスは、例えば、ゼラチン、デキストロース、ペクチンおよび必要に応じて可塑剤を混合することによってpH依存シェル組成物を調製するサブステップをさらに含み得る。好ましくは、pH依存シェル組成物は追加のpH依存ポリマー(例えば従来のpH依存合成ポリマー)を含まない。
【0078】
pH依存シェル組成物のリボンの厚み(例えば回転ダイ封入中に使用されるような)も最終のpH依存ソフトゲルカプセルのpH依存溶解プロファイルを制御するために調節され得る。pH依存シェル組成物のリボンの厚みは限定なしに、約0.02インチ、約0.022インチ、約0.024インチ、約0.026インチ、約0.028インチ、もしくは約0.030インチのいずれかから、約0.032インチ、約0.034インチ、約0.036インチ、約0.038インチ、約0.04インチ、約0.042インチ、約0.044インチ、もしくは約0.050インチのいずれかの範囲、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値であり得る。
【0079】
ある特定の実施形態では、pH依存ソフトゲルカプセル(例えば封入後)は、乾燥および必要に応じて硬化され得る。ソフトゲルカプセルを硬化することは、約25℃~約75℃、約25℃~約70℃、約30℃~約60℃、または約35℃~50℃の範囲の温度で行われ得る。硬化温度は、ソフトゲルカプセルの遅延放出特性を増強するのに十分高いが、ソフトゲルカプセルを溶かすほど高くない温度であるべきである。
【0080】
硬化の時間は、約12時間~約168時間、約18時間~約120時間、約24時間~約72時間の範囲、約24時間、約48時間、約72時間、またはその中の任意の部分範囲もしくは単一の値であってもよい。1つの実施形態では、ソフトゲルカプセルの硬化は約40℃の温度で約24時間行われ得る。1つの実施形態では、ソフトゲルカプセルの硬化は約40℃の温度で約48時間行われ得る。1つの実施形態では、ソフトゲルカプセルの硬化は約40℃の温度で約72時間行われ得る。ある特定の実施形態では、硬化は空気中で(窒素または酸素または湿度の含有量についての任意の特定の制御装置なしに)行われ得る。ある特定の実施形態では、硬化は不活性条件下(例えば窒素中)で行われ得る。
【0081】
1つの実施形態では、pH依存ソフトゲルカプセルを調製するためのプロセスは、a)本明細書に記載の充填材料のいずれかを調製するステップと;b)ステップa)からの充填材料を本明細書に記載のpH依存シェル組成物のいずれかに(例えば回転ダイ封入により)封入するステップと;c)封入されたpH依存ソフトゲルカプセルを(例えば、タンブル乾燥またはタンブリングなしのかごの中での通常乾燥によって)乾燥させるステップと;必要に応じてd)本明細書に記載の硬化条件のいずれかに従ってpH依存ソフトゲルカプセルを硬化するステップとを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0082】
ある特定の実施形態では、乾燥は約10℃~約50℃、約15℃~約40℃、または約20℃~約35℃で、約5%~約40%、約10%~約30%、または約15%~約25%の相対湿度で行われる。
【0083】
ある特定の実施形態では、乾燥および硬化への言及は、ここでは区別されるべきである。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを乾燥させる目的は、封入直後に遅延放出ソフトゲルカプセルから余分な水を除去することである。したがって、カプセルは物理的に安定になる。本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを硬化する目的は、遅延放出ソフトゲルカプセルの遅延放出特性を増強することである。したがって、乾燥ステップの存在は硬化ステップと同じではなく、同様に硬化ステップの存在は乾燥ステップと同じではない。
【0084】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物を有する遅延放出ソフトゲルカプセルは、化学的および物理的に安定である。
【0085】
例えば、それらの化学的安定性は充填材料中の活性剤の含有量(例えば、充填材料が魚油を含む場合、魚油構成成分の含有量)によって証明され得る。ある特定の実施形態では、充填材料構成成分の含有量は、最大12カ月、最大6カ月、最大3カ月、または最大1カ月間保存後(これらの期間のいずれかの間、周囲条件でまたは40℃および75%相対湿度のストレス条件で)、保存前の原料と比較して実質的に類似している(または規格内である)。
【0086】
ある特定の実施形態では、遅延放出ソフトゲルカプセルの物理的安定性は、酸性媒体および緩衝媒体中でのカプセルの溶解プロファイルによって証明され得る。例えば、酸性媒体および緩衝媒体中でのカプセルの溶解プロファイルは、最大12カ月、最大6カ月、最大3カ月、または最大1カ月間保存後(これらの期間のいずれかの間、周囲条件でまたは40℃および75%相対湿度のストレス条件で)、保存前のカプセルの溶解プロファイルと比較して実質的に類似している(または規格内である)。
【0087】
用語「実質的に類似している」は、対応する比較値の約30%以内、約25%以内、約20%以内、約15%以内、約10%以内、約5%以内、または約1%以内にある特定の値を指し得る。パーセンテージは比較値の額面値に基づいて計算されている。例えば、27分~33分の溶解時間範囲は、30分の比較溶解時間の10%以内とみなされ得る。
【0088】
ある特定の実施形態では、本開示は本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルのいずれかを安定化させる方法も対象とし得る。方法は、本明細書に記載の充填材料のいずれか(少なくとも1種の活性剤を含む)を本明細書に記載のpH依存シェル組成物のいずれかに封入することによって、本明細書に記載の充填材料のいずれかを保護するステップ(例えば、酸化または化学的分解の別の潜在的な原因から)を含み得る。
【0089】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は、酸性環境(例えば胃環境)において充填材料の早期放出をほとんどまたは全く有しない頑強な遅延放出ソフトゲルカプセルを生産する。例えば、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセルは、酸性環境への最大約150分、最大約120分、最大約105分、最大約90分、最大約75分、最大約60分、最大約45分、最大約30分、最大約15分、最大約10分、または最大約5分間の曝露後、酸性環境において充填材料の総重量に対して充填材料の最大約10wt%、最大約9wt%、最大約8wt%、最大約7wt%、最大約6wt%、最大約5wt%、最大約4wt%、最大約3wt%、最大約1wt%、または0wt%を放出し得る。
【0090】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル(すなわちpH依存シェル組成物で封入されたもの)を硬化することは、酸性環境において任意の量の早期放出を示すカプセルの数を減少させ得るまたは排除し得る。例えば、酸性環境において(酸性環境への最大約150分、最大約120分、最大約105分、最大約90分、最大約75分、最大約60分、最大約45分、最大約30分、最大約15分、最大約10分、または最大約5分間の曝露後)早期放出を示す硬化されたカプセルの数は、バッチ内のカプセルの総数の最大約30%、最大約25%、最大約20%、最大約15%、最大約10%、最大約5%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、または0%であり得る。
【0091】
比較として硬化なしでは、酸性環境において(酸性環境への最大約150分、最大約120分、最大約105分、最大約90分、最大約75分、最大約60分、最大約45分、最大約30分、最大約15分、最大約10分、または最大約5分間の曝露後)早期放出を示すカプセル(同じ組成を有する)の数は、バッチ内のカプセルの総数の約2%超、約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、または約90%超であり得る。
【0092】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル(すなわちpH依存シェル組成物で封入されたもの)を硬化することは、酸性環境において(例えば、酸性環境への最大約150分、最大約120分、最大約105分、最大約90分、最大約75分、最大約60分、最大約45分、最大約30分、最大約15分、最大約10分、または最大約5分間の曝露後)いくらかの早期放出を示すカプセルから放出される充填材料の量を減少させ得るまたは排除し得る。
【0093】
例えば、酸性環境において(例えば、酸性環境への最大約150分、最大約120分、最大約105分、最大約90分、最大約75分、最大約60分、最大約45分、最大約30分、最大約15分、最大約10分、または最大約5分間の曝露後)いくらかの早期放出を示す硬化されたカプセルから放出される充填材料の量は、カプセル中の充填材料の総重量の最大約5wt%、最大約4wt%、最大約3wt%、最大約2wt%、最大約1wt%、または0%であり得る。
【0094】
比較として硬化なしでは、酸性環境において(例えば、酸性環境への最大約150分、最大約120分、最大約105分、最大約90分、最大約75分、最大約60分、最大約45分、最大約30分、最大約15分、最大約10分、または最大約5分間の曝露後)早期放出を示すカプセル(同じ組成を有する)から放出される充填材料の量は、カプセル中の充填材料の総重量の約1wt%超、約2wt%超、約3wt%超、約4wt%超、約5wt%超、約6wt%超、約7wt%超、約8wt%超、約9wt%超、約10wt%超、約15wt%超、または約20wt%超であり得る。
【0095】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のpH依存シェル組成物は、酸性環境(例えば、胃環境または模擬胃環境、例えば、模擬胃液、必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl)において、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約5時間無傷なままであるが、約3.5以上のpHにおいて(例えば、十二指腸領域および/もしくは腸またはその模擬環境、例えば、必要に応じてパンクレアチンを含むpH6.8緩衝媒体中で)最大約5分、最大約10分、最大約15分、最大約20分、最大約25分、最大約30分、最大約35分、最大約40分、最大約45分、または最大約60分で充填材料の総重量に対して充填材料の少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、少なくとも約96wt%、少なくとも約97wt%、少なくとも約98wt%、または少なくとも約98wt%を放出する頑強な遅延放出ソフトゲルカプセルを生産する。
【0096】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)デキストロース、(c)pH依存ポリマー(例えば、低メトキシルペクチンなどのペクチン)、(d)可塑剤(例えば、グリセリン、ソルビトール、およびそれらの組合せ)、ならびに必要に応じて(e)安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)を含む。これらの成分の量およびwt:wt比は、上記の値または範囲のいずれかに従っていてもよい。
【0097】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)デキストロース、(c)pH依存ポリマー(例えば、低メトキシペクチンなどのペクチン)、(d)可塑剤(例えば、グリセリン、ソルビトール、ジェランガム、およびそれらの組合せ)、ならびに必要に応じて(e)安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)から本質的になる。これらの成分の量およびwt:wt比は、上記の値または範囲のいずれかに従っていてもよい。
【0098】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)ゼラチン、(b)デキストロース、(c)pH依存ポリマー(例えば、低メトキシルペクチンなどのペクチン)、(d)可塑剤(例えば、グリセリン、ソルビトール、ジェランガム、およびそれらの組合せ)、ならびに必要に応じて(e)安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)からなる。これらの成分の量およびwt:wt比は、上記の値または範囲のいずれかに従っていてもよい。
【0099】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約65wt%、約45wt%~約75wt%、または約50wt%~約70wt%のゼラチン、(b)約0.01wt%~約4wt%、または約0.1wt%~約3wt%、約0.2wt%~約2wt%、または約0.01wt%~約0.1wt%、または約0.05wt%~約0.5wt%、または約0.1wt%~約0.2wt%のデキストロース、(c)約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約7wt%~約15wt%、約3wt%~約5.5wt%、または約7wt%~約12wt%のpH依存ポリマー(例えば、低メトキシペクチンなどのペクチン)、(d)約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約20wt%~約35wt%、または約25wt%~約30wt%の可塑剤、ならびに必要に応じて(e)約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%の安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)を含む。全てのwt%は乾燥pH依存シェル組成物の総重量に基づく。
【0100】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約65wt%、約45wt%~約75wt%、または約50wt%~約70wt%のゼラチン、(b)約0.01wt%~約4wt%、または約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%、または約0.01wt%~約0.1wt%、または約0.05wt%~約0.5wt%、または約0.1wt%~約0.2wt%のデキストロース、(c)約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約7wt%~約15wt%、または約3wt%~約5.5wt%、または約7wt%~約12wt%のpH依存ポリマー(例えば、低メトキシペクチンなどのペクチン)、(d)約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約20wt%~約35wt%、または約25wt%~約30wt%の可塑剤、ならびに必要に応じて(e)約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%の安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)から本質的になる。全てのwt%は乾燥pH依存シェル組成物の総重量に基づく。
【0101】
1つの実施形態では、pH依存シェル組成物は、(a)約30wt%~約85wt%、約30wt%~約75wt%、約30wt%~約65wt%、約30wt%~約55wt%、約30wt%~約40wt%、約40wt%~約80wt%、約45wt%~約65wt%、約45wt%~約75wt%、または約50wt%~約70wt%のゼラチン、(b)約0.01wt%~約4wt%、または約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%、または約0.01wt%~約0.1wt%、または約0.05wt%~約0.5wt%、または約0.1wt%~約0.2wt%のデキストロース、(c)約2wt%~約20wt%、約3wt%~約15wt%、約7wt%~約15wt%、または約3wt%~約5.5wt%、または約7wt%~約12wt%のpH依存ポリマー(例えば、低メトキシペクチンなどのペクチン)、(d)約15wt%~約45wt%、約15wt%~約40wt%、約20wt%~約35wt%、または約25wt%~約30wt%の可塑剤、ならびに必要に応じて(e)約0.05wt%~約5wt%、約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%の安定剤および/または結合剤(例えばジェランガム)からなる。全てのwt%は乾燥pH依存シェル組成物の総重量に基づく。
【実施例】
【0102】
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例を参照することによって今から実証される。これらの実施例は本発明を説明するためだけに開示され、本発明の範囲を限定すると決して解釈されるべきでないことが理解されるべきである。
【0103】
[実施例1]
組成物の製造に対するデキストロース濃度の効果
様々な濃度のデキストロースを含むpH依存シェル組成物を調製し、組成物の製造性に対するデキストロース濃度の効果を研究した。pH依存シェル組成物は表1に示されている。
【0104】
【表1】
pH6.8での破断時間に対するpH依存シェル組成物中の様々な量のデキストロースの効果は表2にある。
【0105】
【0106】
デキストロースは還元糖であり、ゼラチンに架橋させることによってゼラチンと相互作用すると考えられる。ゼラチンが架橋すると、その溶解度は減少する。デキストロースは、酸性媒体中でペクチンソフトゲルカプセルを安定化させる(すなわち漏出を減少させる)ことが示された。デキストロースは、pH6.8リン酸緩衝液で放出される活性剤(ビタミン、ミネラル、サプリメント、または医薬成分)の量にも寄与し得る。表2に示されるように一部のカプセル(例えば、群2、3、および4)は、pH6.8リン酸緩衝液中で60分間破断しなかった。
【0107】
[実施例2]
カプセル放出特性に対する硬化の効果
pH依存シェル組成物を調製し、カプセルの放出特性に対する硬化の効果を研究した。pH依存シェル組成物は表3に示されている。
【0108】
【0109】
既存の市販品は、多数のカプセルにおいて早期放出を示し、早期に放出された充填材料の量が増え、一部の例では充填材料のほぼ100wt%が酸性媒体中で10分間以内に放出される。
【0110】
コーティングされたソフトゲルカプセルを企図したが、それらは長時間(約60分より長く、一部の例では120分もの長い間)緩衝媒体中で溶解しなかった。緩衝媒体中での長い溶解は、コーティングされたソフトゲルカプセルが生体利用可能でないことを示唆すると考えられた。これは、2ステップ製造プロセスの課題と共に、別のコーティングなしに遅延放出ソフトゲルカプセルを形成するためのpH依存シェル組成物の探求を促した。
【0111】
表3に示されているpH依存シェル組成物を使用して、早期放出の発生および早期に放出される充填材料の量をある程度(既存の市販品と比較して)減少させるペクチンソフトゲルを形成した。
【0112】
しかし、表3において「硬化前に早期放出を有するカプセル%」でまとめられている通り、硬化前に各ロットにおけるソフトゲルカプセルのかなりの割合が酸性環境(例えば0.1N HCl)において充填材料のいくらかの早期放出を依然として示し続けた。約60~約72個のカプセルを各ロットから試験し、硬化前に早期放出を有するカプセル%を評価した。
【0113】
ある特定の実施形態では、充填材料の約10wt%が、硬化前に早期放出を有するカプセルから放出された。ある特定の実施形態では、充填材料の10wt%超または充填材料の10wt%未満が、硬化前に早期放出を有するカプセルから放出された。
【0114】
後続の実施例において示されるように、硬化は早期放出の発生、早期放出の発生時に放出される充填材料の量を減少させ、一部の例では早期放出を完全に排除した。
【0115】
ペクチンソフトゲルカプセルを硬化し、酸性環境(例えば0.1N HCl)におけるそれらの安定性を増強した。ペクチンソフトゲルをカートン(バルク用)または高密度ポリエチレン(HDPE)ビンに詰め、40℃に加熱したオーブンに入れた。湿度制御装置は使用しなかった。試料間の唯一の変数は硬化時間であった。ロット1、2、および3の硬化研究結果を以下の表4にまとめる。
【0116】
【0117】
コーティングされていない腸溶ソフトゲルに適用可能な2段階腸溶解試験のためのUSP腸溶試験法に従って、硬化後の溶解を評価した。特に指定されていない限り、この出願全体の全ての溶解/崩壊/破断結果および/または特性についての酸性媒体、緩衝媒体、装置、および溶解試験条件は2段階腸溶解試験について本明細書に記載されている通りであった。
【0118】
パドルを用いるUSP Apparatus IIを、50rpmのパドル速度で、37℃で使用した。酸性段階媒体は0.1N HClであった。緩衝段階媒体はpH6.8リン酸緩衝液であった。ビタミンミネラルサプリメントおよび/または栄養補助食品について、腸溶カプセルは、第1段階を通過するために酸性媒体中で少なくとも60分間無傷なままであり、第2段階を通過するために緩衝段階媒体中で45分以内に破断すべきである。医薬製品について、腸溶カプセルは、第1段階を通過するために酸性媒体中で少なくとも120分間無傷なままであり、第2段階を通過するために緩衝段階媒体中で45分以内に破断すべきである。
【0119】
ソフトゲルカプセルの硬化を24時間、48時間、72時間、120時間、168時間、および288時間で評価した。しかし72時間までのデータだけを本明細書で提示する。
【0120】
表5は、2時間の終了時のUSP腸溶試験基準に従う酸性媒体中での硬化前および硬化後のロット3のペクチンソフトゲルカプセルからの充填材料の早期放出の量を表す。放出された充填材料の最大量は5%であった。ロット3のペクチンソフトゲルカプセルは、充填材料中に魚油(ドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)を含む)を含んだ。
【0121】
【0122】
硬化データは、硬化が酸性媒体中でのペクチンカプセルからの充填材料の早期放出を顕著に減少させるまたは排除し、頑強な腸溶特性を有するカプセルおよび高品質な腸溶製品をもたらすことを示した。
【0123】
表5における試験されたペクチンソフトゲルカプセルの全てがpH6.8緩衝液中で15分以内に溶解したことに留意されたい。
【0124】
[実施例3]
ペプシンを含む模擬胃液(SGF)における腸溶解データ
表6Aにまとめられているゲル塊配合を有する硬化されたペクチンカプセルを、2段階腸溶解研究のために、ペプシンを含むSGF(0.1N HCl)(ヒトのインビボ条件を模擬するため)を使用する腸内破断試験に供した。
【0125】
【0126】
【0127】
適切なシェル組成、例えばゼラチン対ペクチン比を使用した場合、ペプシンは、0.1N HCl媒体中でペクチンシェルの溶解に影響を与えなかった。表6Aおよび6Bに示されているロット4および5において、ゼラチン対ペクチンw:w比は7:1であった。限定と解釈されることなく、ペクチンソフトゲルは頑強であり、酵素を含まない薬局方の方法と異なり、生体関連媒体を表す、ペプシンの存在下での0.1N HCl中でさえ120分間無傷なままであるペクチンソフトゲルカプセルによって証明される通り、ゼラチン-ペクチンネットワークはペプシンの効果に耐えるほど十分強いと考えられる。したがって、ペクチンソフトゲルカプセルはインビボでも十分に頑強であると考えられる。
【0128】
[実施例4]
ゼラチン対ペクチン比を変えることによる腸内媒体中のペクチンカプセル破断時間のモジュレーション
ペクチンソフトゲルカプセルを様々なゼラチン対ペクチン比で調製した。様々なロットの組成を以下の表7Bにまとめる。以下の表7Aにまとめられている通り、ペプシンを含むSGF(0.1N HCl)中のペクチンカプセルの破断時間は、様々なゼラチン対ペクチン比と共に変化した。
【0129】
【0130】
【0131】
表7Aのペクチンソフトゲルカプセルの全てはpH6.8緩衝液中で45分以内に破断した。表7Aは、酸性媒体中のペクチンソフトゲルカプセルの破断時間が、ゼラチン対ペクチン比を変えることによってモジュレートされ得ることを示す。
【0132】
[実施例5]
ペクチンソフトゲルカプセルの腸溶性能に対するソフトゲルリボンの厚みの効果
ペクチンソフトゲルカプセルを様々なリボンの厚みで調製した。様々なリボンの厚みで製造されたロットの乾燥pH依存シェル組成物の組成を以下の表8Aにまとめる。約72~96時間の硬化後の様々なリボンの厚みのペクチンカプセルのSGF(0.1N HCl)およびpH6.8緩衝液中の溶解を評価した。結果を以下の表8Bにまとめる。
【0133】
【0134】
【0135】
表8Bに表されている溶解結果は、0.028インチ~0.038インチの範囲のリボンの厚みを有する硬化後のペクチンソフトゲルカプセルが、頑強であることが示され、医薬製品およびVMS(ビタミン、ミネラル、サプリメント)製品の腸溶基準を満たすことが示されることを示す。この厚みの範囲は限定と解釈されるべきでない。ある特定の実施形態では、より厚いリボンまたはより薄いリボンも利用され得る。
【0136】
[実施例6]
老化後のpH依存シェル組成物粘度
ペクチンおよびゼラチンは互いに相互作用し、
図1に示されるゲル塊粘度の顕著な増加に寄与するネットワークを形成する。ペクチンおよびゼラチンの相互作用は、カプセルシェル組成物の遅延放出特性に寄与すると考えられる。しかし
図1に示される通り、pH依存シェル組成物のゲル塊の粘度は経時的に低下する。粘度および減少%を以下の表9にまとめる。
【0137】
この実施例におけるおよび本明細書全体の粘度は、レオメーター(Thermo FisherによるTheostress 6000)を60℃で使用し、測定した。試験は周囲条件で行った。ゲル塊試料を60℃に維持したレオメーターの試料台に載せた。40mmの円盤が0.1Hzの周波数で振動し、一定のせん断速度をもたらした。せん断応力およびせん断速度を測定することによって粘度を得た。
【0138】
【0139】
表9から分かる通り、60℃で48時間の老化、60℃で72時間の老化、および60℃で96時間の老化後、非アミド化ペクチンの粘度は、アミド化ペクチンの粘度と比較してより小さいパーセンテージ低下する。
【0140】
粘度の低下は、ペクチンおよびゼラチンの分子鎖長の熱分解によって引き起こされると考えられる。この粘度減少にもかかわらず、pH依存シェル組成物のゲル塊は、組成物を60℃の熱中に4日間保持した後でさえ製造性および切削性に適した粘度を維持する。さらに、老化したゲルで製造したソフトゲルカプセルは依然として十分なpH依存遅延放出特性を有する。
【0141】
[実施例7]
ペクチンソフトゲルカプセルの化学的安定性
以下の表10は、周囲条件ならびに40℃および75%相対湿度(RH)で6カ月間保存後の本明細書に記載の実施形態によるペクチンpH依存シェル組成物に封入された魚油の化学的安定性を表す。許容されるカプセルは、EPA TG≧160mg/g、DHA TG≧100mg/g、過酸化物≦5meq O2/kg、p-アニシジン≦20、0.1N HCl(pH1.2)中120分超の溶解時間、および緩衝媒体(pH6.8リン酸緩衝液)中最大45分の溶解時間を有するべきである。これらのパラメーターについての値は、対照(魚油原料)、周囲条件で6カ月間保存された遅延放出ソフトゲルペクチンカプセル、ならびに40℃および75%RHで6カ月間保存された遅延放出ペクチンソフトゲルカプセルについて表10にまとめる。
【0142】
【0143】
加速安定性データ(表10にまとめられている)は、原料と比較して、6カ月後(周囲条件でならびに40℃および75%RHのストレス条件で)の過酸化物およびp-アニシジン価ならびにEPAおよびDHAアッセイのわずかな/実質的な類似性から明らかな通り、実施形態によるpH耐性ペクチンシェル組成物が充填材料(例えば魚油構成成分)を酸化から保護したことを実証する。
【0144】
[実施例8]
バルプロ酸ペクチンソフトゲルカプセル
以下の表11Aは、T=0、40℃および75%相対湿度(RH)で3カ月間の保存後(T=3カ月)、ならびに40℃および75%RHで6カ月間の保存後(T=6カ月)の本明細書に記載の実施形態による、ペクチンpH依存シェル組成物(乾燥シェル組成物のゲル処方は表11Bにまとめられている)に封入されたバルプロ酸の溶解プロファイルの安定性を表す。表11Aにおいて証明される通り、40℃および75%RHで3カ月間の保存後ならびに40℃および75%RHで6カ月間の保存後のpH依存シェル組成物の溶解プロファイルは、T=0の溶解プロファイルと実質的に類似したままである。
【0145】
【0146】
【0147】
[実施例9]
ペクチンソフトゲルカプセルの物理的属性
本明細書に記載のpH依存シェル組成物を有する遅延放出ソフトゲルカプセルは、以下の表12にまとめられている物理的属性に基づいて証明される通り頑強である。
【0148】
【0149】
シェル水分は乾燥減量法によって決定した。1~2グラムのpH依存カプセルシェル組成物試料を105℃のオーブンに17時間入れた。試料の初期重量を記録した。試料を105℃のオーブン内で17時間乾燥させた後、試料の最終重量を記録した。以下の式に従って計算される重量損失のパーセンテージをシェル水分と定義した:
【0150】
【0151】
カプセル硬度は硬度計を使用して決定した。カプセルの2.0mmの変形を引き起こすのに必要なニュートン単位の力をカプセル硬度と定義した。
【0152】
平衡相対湿度(%)は、カプセルが一定の総重量を維持した湿度条件と定義した。それは、飽和塩溶液を使用して一定の湿度に維持された環境室を使用して決定した。
【0153】
破裂強度はテクスチャーアナライザーを使用して決定した。テクスチャーアナライザーは、カプセルが破裂するまでカプセルを加圧する。カプセルを破裂させるのに必要なキログラム単位の力を破裂強度と定義した。
【0154】
[実施例10]
ペクチンおよびジェランガム遅延放出ソフトゲルカプセルの例示的な組成
ペクチンおよびジェランガムの組合せを含む遅延放出ソフトゲルカプセルを調製した。乾燥シェル組成物に基づく配合を以下の表13にまとめる。
【0155】
【0156】
説明を簡潔にするために、この開示の方法の実施形態は、一連の行為として表され、記載されている。しかし、この開示による行為は、様々な順序でおよび/または同時に、本明細書に提示および記載されていない他の行為と共に行うことができる。さらに、全ての説明された行為が、開示された主題による方法を実行するのに必要とされ得るわけではない。加えて、方法は状態図または事象により、一連の相互に関連する状態として代替的に表され得ることを当業者は理解し、認識する。
【0157】
前述の記載において、本発明の完全な理解を提供するために、特定の材料、寸法、プロセスパラメーターなどの多数の特定の詳細が示されている。特定の特色、構造、材料、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わされ得る。単語「例」または「例示的な」は、例、事例、または実例として機能することを意味するために本明細書で使用される。「例」または「例示的な」と本明細書に記載される任意の態様または設計は、他の態様または設計に対して好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきでない。むしろ、単語「例」または「例示的な」の使用は、具体的に概念を提示することが意図されている。この出願で使用される場合、用語「または」は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図されている。つまり特に指定されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」は、自然な包括的置換のいずれかを意味することが意図されている。つまりXがAを含む;XがBを含む;またはXがAおよびBの両方を含む場合、「XはAまたはBを含む」は前述の事例のいずれにおいても満たされる。「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、または「一実施形態」へのこの明細書全体の言及は、その実施形態に関連して記載された特定の特色、構造、または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体の様々な場所でのフレーズ「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、または「一実施形態」の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0158】
本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して記載されてきた。したがって本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。本明細書に示され、記載されたものに加えて、本発明の様々な改変は、当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
なお、本発明は、以下の態様をも含むものである。
<1>
(a)充填材料;および
(b)pH依存シェル組成物
を含む遅延放出ソフトゲルカプセルであって、
前記充填材料が少なくとも1種の薬学的活性成分を含み、
前記pH依存シェル組成物がゼラチン、ペクチン、およびデキストロースを含む、遅延放出ソフトゲルカプセル。
<2>
前記pH依存シェル組成物が可塑剤をさらに含む、上記1に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<3>
前記ペクチンが低メトキシルペクチンである、上記1または2に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<4>
前記ペクチンがアミド化ペクチン、非アミド化ペクチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、上記1から3のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<5>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して約40wt%~約80wt%のゼラチンを含む、上記1から4のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<6>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して約2wt%~約20wt%のペクチンを含む、上記1から5のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<7>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して約0.01wt%~約4wt%のデキストロースを含む、上記1から6のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<8>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の重量に対して約15wt%~約40wt%の可塑剤を含む、上記2から7のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<9>
前記ゼラチンがタイプAゼラチン、タイプBゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、上記1から8のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<10>
前記ゼラチンが魚ゼラチン、獣皮ゼラチン、骨ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、上記1から9のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<11>
前記ペクチンが非アミド化ペクチンである、上記1から10のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<12>
前記可塑剤がグリセリン、ソルビトールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、上記2から11のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<13>
前記可塑剤がグリセリンである、上記12に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<14>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約45wt%~約75wt%の前記ゼラチンを含む、上記5に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<15>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約45wt%~約65wt%の前記ゼラチンを含む、上記14に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<16>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約3wt%~約15wt%のペクチンを含む、上記6に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<17>
前記pHシェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約7wt%~約15wt%のペクチンを含む、上記16に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<18>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約20wt%~約35wt%の前記可塑剤を含む、上記2から17のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<19>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約25wt%~約30wt%の前記可塑剤を含む、上記18に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<20>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約0.05wt%~約0.5wt%のデキストロースを含む、上記1から19のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<21>
前記pH依存シェル組成物が、乾燥pH依存シェル組成物の総重量に対して約0.1wt%~約0.2wt%のデキストロースを含む、上記20に記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<22>
必要に応じてパンクレアチンを含むpH6.8リン酸緩衝液中で50rpmの速度のパドルを用いるUSP Apparatus IIにおいて行われる溶解/崩壊試験に基づいて、腸環境において約60分未満、約45分未満、約30分未満、約20分未満、約10分未満、または約5分未満で溶解/崩壊する、上記1から21のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<23>
必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl中で50rpmの速度のパドルを用いるUSP Apparatus IIにおいて行われる溶解/崩壊試験に基づいて、酸性媒体中で少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約5時間で溶解/崩壊する、上記1から22のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<24>
追加のpH依存ポリマーを含まない、上記1から23のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<25>
前記pH依存シェル組成物が約110,000cPs~約125,000cPsの範囲の粘度を有する、上記1から24のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<26>
前記pH依存シェル組成物が約2:1~約20:1または約6:1~約18:1の範囲のゼラチン対ペクチンw:w比を有する、上記1から25のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<27>
前記pH依存シェル組成物が約5:1~約1:5の範囲の可塑剤対ゼラチンw:w比を有する、上記1から26のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<28>
(a)活性剤を含む充填材料を調製するステップと;
(b)前記充填材料をpH依存シェル組成物で封入するステップと
を含む、上記1から27のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを調製するプロセス。
<29>
封入された遅延放出ソフトゲルカプセルを乾燥させるステップをさらに含む、上記28に記載のプロセス。
<30>
前記遅延放出ソフトゲルカプセルを硬化するステップをさらに含む、上記28または29に記載のプロセス。
<31>
硬化が約25℃~約75℃、約30℃~約60℃、または約35℃~約60℃の範囲の温度で起こる、上記30に記載のプロセス。
<32>
前記硬化が約12時間~約168時間、約18時間~約120時間、約24時間~約72時間、約24時間、約48時間、または約72時間の範囲の時間にわたり起こる、上記30または31に記載のプロセス。
<33>
前記pH依存シェル組成物を調製するステップをさらに含む、上記28から32のいずれかに記載のプロセス。
<34>
調製するステップが、ゼラチン、デキストロース、ペクチンおよび必要に応じて可塑剤を混合し、pH依存シェル組成物リボンを形成することを含む、上記33に記載のプロセス。
<35>
前記pH依存シェル組成物リボンが、約0.020インチ~約0.050インチの範囲の厚みを有する、上記34に記載のプロセス。
<36>
pH依存シェル組成物に封入された充填材料からなる遅延放出ソフトゲルカプセルのpH依存溶解プロファイルを調節するための方法であって、前記pH依存シェル組成物中のペクチンの量を調整し、酸性媒体および/または緩衝媒体中での標的pH依存溶解プロファイルを実現するステップを含む方法。
<37>
前記遅延放出ソフトゲルカプセルの硬化時間を調整するステップをさらに含む、上記36に記載の方法。
<38>
前記pH依存シェル組成物中のゼラチンのペクチンに対するwt:wt比を調整するステップをさらに含む、上記36または37に記載の方法。
<39>
前記pH依存シェル組成物中のデキストロースの量を調整するステップをさらに含む、上記36から38のいずれかに記載の方法。
<40>
前記pH依存シェル組成物のリボンの厚みを調整するステップをさらに含む、上記36から39のいずれかに記載の方法。
<41>
上記1から27のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセルを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、状態を処置する方法。
<42>
(a)充填材料;および
(b)pH依存シェル組成物
を含む遅延放出ソフトゲルカプセルを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、おくびの発生を減少させる方法であって、
前記充填材料が少なくとも1種の薬学的活性成分を含み、
前記pH依存シェル組成物がゼラチン、ペクチン、およびデキストロースを含む、方法。
<43>
前記充填材料が、魚油、クリル油、ニンニク油、またはそれらの組合せを含む、上記42に記載の方法。
<44>
前記遅延放出ソフトゲルカプセルが、必要に応じてペプシンを含む0.1N HCl中で50rpmの速度のパドルを用いるUSP Apparatus IIにおいて行われる溶解/崩壊試験に基づいて、酸性媒体中で少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、または少なくとも約5時間で溶解/崩壊する、上記42または43に記載の方法。
<45>
従来のpH依存ポリマーをさらに含む、上記1から27のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<46>
従来のpH依存ポリマーを実質的に含まないまたは含まない、上記1から27のいずれかに記載の遅延放出ソフトゲルカプセル。
<47>
(a)充填材料;および
(b)pH依存シェル組成物
を含む遅延放出ソフトゲルカプセルであって、
前記充填材料が少なくとも1種の薬学的活性成分を含み、
前記pH依存シェル組成物がゼラチン、pH依存ポリマー、およびデキストロースを含む、遅延放出ソフトゲルカプセル。
<48>
ソフトゲルカプセルの遅延放出特性を増強するための方法であって、
少なくとも1種の活性剤を含む充填材料を、ゼラチン、pH依存ポリマー、およびデキストロースを含むpH依存シェル組成物に封入するステップと;
前記ソフトゲルカプセルを硬化するステップと
を含む、方法。
<49>
遅延放出特性を増強することが、前記充填材料の早期漏出の発生を減少させること、充填材料漏出量を減少させること、またはそれらの組合せを含む、上記48に記載の方法。
<50>
遅延放出ソフトゲルカプセルを安定化させる方法であって、
少なくとも1種の活性剤を含む充填材料を、ゼラチン、pH依存ポリマー、およびデキストロースを含むpH依存シェル組成物に封入することによって、前記充填材料を酸化から保護するステップと;
前記ソフトゲルカプセルを硬化するステップと
を含む、方法。