(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】改善された体積抵抗率を有するポリオレフィン組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 255/06 20060101AFI20240920BHJP
H01B 3/44 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08F255/06
H01B3/44 Z
(21)【出願番号】P 2022513423
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2019103785
(87)【国際公開番号】W WO2021035710
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-08-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シャオソン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ポ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、シエンミン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、タオ
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-052031(JP,A)
【文献】特表2008-545559(JP,A)
【文献】特開2016-117846(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102002194(CN,A)
【文献】HATTORI,I. et al.,先進的分子触媒(AMC)による自動車シール材向けEPDMの開発,日本ゴム協会誌,日本,2018年,91巻4号,p.115-120
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08F 251/00-283/00
H01B 3/16-3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非チーグラーナッタ触媒ポリオレフィンと、(B)珪質土と、(C)架橋剤と、(D)架橋助剤と、を含む、硬化性組成物であって、
前記非チーグラーナッタ触媒ポリオレフィンは、40重量%~95重量%の量で前記硬化性組成物中に存在し、
前記非チーグラーナッタ触媒ポリオレフィンは、0.4ppm以下の量のバナジウムを含み、
前記非チーグラーナッタ触媒ポリオレフィンは、エチレン/プロピレン/ジエンインターポリマーであり、
前記硬化性組成物は、シリコーン化合物を含ま
ず、
前記硬化性組成物は、3.0E+15ohm.cm超の体積抵抗率を有する、
硬化性組成物。
【請求項2】
(E)添加剤成分をさらに含み、前記添加剤成分が、金属酸化物および酸化防止剤を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記硬化性組成物の総重量に基づいて、40重量%~95重量%の前記非チーグラーナッタ触媒ポリオレフィンと、
1重量%~50重量%の前記珪質土と、
0.01重量%~8重量%の前記架橋剤と、
0.01重量%~5重量%の前記架橋助剤と、
任意に0重量%~20重量%の添加剤成分と、
を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記非チーグラーナッタ触媒ポリオレフィンが、0.3ppm以上の量の第4族金属を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記非チーグラーナッタ触媒ポリオレフィンが、ASTM D1646に従って、5MU~100MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)を有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
架橋ポリマー組成物であって、請求項1~
5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の反応生成物を含み、前記架橋ポリマー組成物が、3.0E+15ohm.cm超の体積抵抗率を有する、架橋ポリマー組成物。
【請求項7】
請求項
6に記載の架橋ポリマー組成物を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ワイヤとケーブル、自動車のウェザーストリップ、ホース、および電気アクセサリの用途など、様々の用途においてポリオレフィンには、優れた電気的特性が必要である。高い体積抵抗率(VR)は、一般に電気化学的劣化(ECD)耐性の改善に役立つと理解されているため、これらの用途にはVRが高いポリオレフィンが必要である。
【0002】
ポリオレフィンは、チーグラーナッタ(ZN)触媒システムまたは非チーグラーナッタ(非ZN)触媒システムなどの異なる触媒システムを介して生成することができる。ZN触媒システムは、従来の技術であり、低い触媒効率を有し、そのため、触媒の高負荷および精製のための脱灰ステップが必要である。非ZN触媒システムは、非常に高い効率を有し、脱灰を必要としないため、生産性が著しく増加し、生産コストが大幅に削減される。これに加えて、非ZN触媒を介して生成されたポリオレフィンは、より均質な組成および改善された特性を有する。
【0003】
しかしながら、電気的特性に関しては、ZN触媒ポリオレフィンは、非ZN触媒ポリオレフィンよりも性能が優れ得る。例えば、VRに関しては、ZN触媒EPDMは、非ZN触媒を介して生成されたEPDMよりもはるかに性能が優れている。したがって、非ZN触媒システムの利点をそのような用途にもたらすことができるように、電気用途のための非ZN触媒ポリオレフィン組成物のVRを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
特定の実施形態では、本開示は、(A)ポリオレフィンと、(B)珪質土と、(C)架橋剤と、(D)架橋助剤と、を含む硬化性組成物に関する。任意選択で、硬化性組成物は、(E)添加剤成分をさらに含み得る。(E)添加剤成分は、金属酸化物および/または酸化防止剤を含み得る。
【0005】
さらなる実施形態では、本開示は、(A)ポリオレフィンと、(B)珪質土と、(C)架橋剤と、(D)架橋助剤と、任意選択で、(E)金属酸化物および酸化防止剤を含む添加剤成分と、を含む硬化性組成物の反応生成物である架橋ポリマー組成物に関する。
【0006】
定義
本明細書における元素周期表へのすべての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版および著作権化された元素周期表を指すものとする。また、族へのいずれの参照も、族の付番のためにIUPACシステムを使用して、元素のこの周期表に反映された族に対するものとする。
【0007】
米国特許実務の目的のために、参照される特許、特許出願、または公開物のいかなる内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義にも矛盾しない範囲まで)、および当該技術分野における一般的知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書で開示される数値範囲は、下限値および上限値からのすべての値を含み、かつ下限値および上限値を含む。明示的な値(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7)を含む範囲について、任意の2つの明示的な値の間のあらゆる下位範囲(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)も含まれる。
【0009】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0010】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0011】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびこれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義が生じないようにするために、「含む」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、(ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらず)、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含むことができる。対照的に、「本質的に~からなる」という用語は、実施可能性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の列挙の範囲から、いかなる他の成分、ステップ、または手順も除外する。「からなる」という用語は、明確に描写または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、逆もまた同様である。
【0012】
「ポリマー」という用語は、モノマーのセットを反応させる(すなわち、重合する)ことによって調製された材料を指し、このセットは、同質な(すなわち、1つのタイプのみ)モノマーのセットまたは異質な(すなわち、複2つ以上のタイプ)モノマーのセットである。本明細書で使用されるポリマーという用語は、同質なモノマーのセットから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、および以下に定義される「インターポリマー」という用語を含む。
【0013】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。この用語は、「コポリマー」、すなわち、2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、および3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどの両方を含む。この用語は、ランダム、ブロック、同質、異質などのようなすべてのインターポリマーの形態も包含する。
【0014】
本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)、およびアルファ-オレフィンである少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーを指す。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーまたはブロックインターポリマーであり得る。「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」および「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」という用語は、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語によって網羅される。
【0015】
本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態で、過半重量パーセントのエチレン(コポリマーの重量に基づく)、およびアルファ-オレフィンであるコモノマーを含むコポリマーを指し、エチレンおよびアルファ-オレフィンは、2つのモノマータイプのみである。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。
【0016】
本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」または「オレフィンブロックコポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン、および2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の、化学的または物理的特性が異なる複数のブロックまたはセグメントを特徴とする1つ以上の共重合性アルファ-オレフィンコモノマーを含むポリマーを指す。具体的には、この用語は、線状の様式で結合した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に特異な領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント方式またはグラフト化方式ではなく、重合した官能基に対して、端と端とが結合(共有結合)した化学的に異なる単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、領域規則性もしくは領域不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐を含む分岐の量、均一性、および/または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー分子量分布(PDIまたはMw/Mn)およびブロック長分布の両方において独特の分布を持つことを特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例、ならびにそれらを調製するためのプロセスは、すべて参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,858,706(B2)号、同第8,198,374(B2)号、同第8,318,864(B2)号、同第8,609,779(B2)号、同第8,710,143(B2)号、同第8,785,551(B2)号、および同第9,243,090(B2)号に開示されている。
【0017】
本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン、アルファ-オレフィン、およびジエンを含むポリマーを指す。一実施形態では、「エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマー」は、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)を含む。
【0018】
本明細書で使用される「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのプロピレン(インターポリマーの重量に基づく)、およびアルファ-オレフィン(エチレンはアルファ-オレフィンとみなされる)である少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーを指す。プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーまたはブロックインターポリマーであり得る。「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語を含む。
【0019】
本明細書で使用される「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態で、過半重量パーセントのプロピレン(コポリマーの重量に基づく)、およびアルファ-オレフィンであるコモノマーを含むコポリマーを指し、プロピレンおよびアルファ-オレフィンは、唯一の2つのモノマータイプである。プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。
【0020】
「ポリオレフィン」は、モノマーとしてのオレフィンの重合から生成されるポリマーであり、オレフィンモノマーは、少なくとも1つの二重結合を有する炭素および水素の線状、分岐状、または環式化合物である。したがって、本明細書で使用される「ポリオレフィン」という用語は、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー」、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、および「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」を含む。
【0021】
本明細書で使用される「チーグラーナッタ触媒」という用語は、バナジウム系触媒を指す。本明細書で使用される「チーグラーナッタ触媒ポリマー」または同様の用語は、本明細書に開示される方法または類似の方法に従って、バナジウム含有量が0.4ppmを超えるポリマーを指す。
【0022】
本明細書で使用される「非チーグラーナッタ触媒」という用語は、メタロセン触媒、拘束幾何学的複合体(CGC)触媒、ポストメタロセン触媒、分子触媒、および高度な分子触媒として当技術分野で知られているものを含む、第4族金属に基づく触媒を指す。本明細書で使用される「非チーグラーナッタ触媒ポリマー」および同様の用語は、本明細書に開示される方法または類似の方法に従って、第4族金属含有量が0.3ppm以上のポリマーを指す。「非チーグラーナッタ触媒ポリマー」はまた、本明細書に開示される方法または類似の方法に従って、0.4ppm以下のバナジウム含有量を有し得る。
【0023】
試験方法
本開示に記載されている各特性は、以下の方法に従う。
【0024】
ムーニー粘度:ムーニー粘度は、ASTM 1646に従ってムーニーせん断ディスク粘度計で測定する。機器は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000である。2rpmでローターを回転させるためのトルクをトルクトランスデューサーによって測定する。プラテンを閉じた後、試料を1分間予熱する。次いで、モーターが始動し、トルクを4分間にわたって記録する。結果を、ムーニー単位(MU)で「125℃でのML(1+4)」として報告する。「ML」という用語は、大型ローター「ムーニーラージ」が粘度試験で使用されることを示し、この大型ローターは標準サイズのローターである。ムーニー粘度(MV)は、比較的低いせん断速度で流動するポリマーの抵抗性を測定し、ポリマーの流動性を示す。
【0025】
密度:ASTM D792、方法Bに従って測定する。結果を1立方センチメートル当たりのグラム(g/ccまたはg/cm3)で記録する。
【0026】
モノマー含有量:インターポリマーのエチレン含有量およびプロピレン含有量は、重量パーセントとして、ASTM D3900に従うフーリエ変換赤外(FTIR)分析によって決定される。重量パーセントとしてのインターポリマーのジエン(ENB)含有量は、ASTM D6047に従うフーリエ変換赤外(FTIR)分析によって決定される。
【0027】
残留元素分析:インターポリマーの金属含有量(例えば、バナジウム含有量、第4族金属含有量、チタン含有量、ハフニウム含有量、および/またはジルコニウム含有量)を決定するための残留元素分析は、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)技術を使用して実行される。ICP-AES分析の場合、試料を石英管に秤量し、1mLの水および3mLの硝酸を試料に添加する。試料を115℃のホットブロックに30分間入れる。次いで、試料をUltraWaveマイクロ波に入れて、250℃で分解する。マイクロ波で分解した後、試料を希釈し、Perkin Elmer ICPでアルミニウム、カルシウム、クロム、チタン、およびバナジウムについて分析する。結果を百万分率(ppm)で報告する。
【0028】
ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」):クロマトグラフィーシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC-IR(スペイン、バレンシア)の高温GPCクロマトグラフで構成されていた。オートサンプラーオーブン区画を摂氏160度に設定し、カラム区画を摂氏150度に設定した。使用したカラムは、4本のAgilent「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混合床カラムおよび20umのプレカラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、これは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素スパージされた。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分であった。
【0029】
GPCカラムセットの較正を、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、個々の分子量の間に少なくとも10倍の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配列した。標準物質は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中の0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中の0.05グラムでポリスチレン標準物質を調製した。ポリスチレン標準物質を穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載):
Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)B (式1)
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0030】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点に当てはめた。Aに対してわずかな調整(約0.375~0.445)を行い、カラム分解能およびバンド拡張効果を、線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるように補正した。
【0031】
GPCカラムセットの総プレート計数を、(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)デカンで行った。プレート計数(式2)および対称性(式3)を、以下の式に従って200マイクロリットル注入で測定した。
【数1】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピークの幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数2】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピークの幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピーク前方を指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は、18,000超となるべきであり、対称性は、0.98~1.22となるべきである。
【0032】
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製され、2mg/mlを試料の目標重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素スパージされたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振とうしながら摂氏160度で2時間溶解した。
【0033】
Mn
(GPC)、Mw
(GPC)、およびMz
(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、各々の等間隔のデータ回収点(i)におけるベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式1の点(i)における狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用して、式4~6によるPolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用して、GPC結果に基づいて行われた。
【数3】
【数4】
【数5】
【0034】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))のRVを、狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれと整合することによって各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に較正するために使用された。次いで、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、実行の全体にわたって流量(流量(有効))における線状シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合させる。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量は式7のように計算される。流量マーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアにより行われた。許容される流量補正は、有効流量が名目流量の+/-1%以内であるべきである。
流量(実効)=流量(名目)*(RV(較正済みFM)/RV(FM試料))(式7)
【0035】
ムービングダイレオメーター(MDR):180℃での硬化特性は、ASTM D5289-15に従うプレスコットレオラインMDRを使用して測定した。各試料についてのトルク対時間曲線は、所与の間隔をわたって記録した。25分の試験間隔(MH)中にMDRによって加えられる最大トルクは、デシ-ニュートンメートル(dNm)で記録される。MHは、典型的には、25分で加えられる最大トルクに対応する。トルクがMHのX%(tx)に達するまでの時間は、分単位で記録される。txは、各樹脂の硬化速度を理解するために標準化された測定値である。MHの90%(t90)に達するまでの時間は、分単位で記録される。
【0036】
体積抵抗率:体積抵抗率は、ASTM D257に基づく以下の方法で決定される。体積抵抗率は、Keithley 8009試験治具と組み合わせたKeithley 6517B電位計を使用して決定される。Keithleyモデル8009試験チャンバは、高温で動作することができる強制空気オーブン内にある(最大温度80℃)。漏電流は、ソフトウェアを介して機器から記録され、以下の等式を使用して、体積抵抗率(VR)が計算され、
【数6】
式中、ρはohm.cm単位の体積抵抗率であり、Vはボルト単位の印加電圧であり、Aはcm
2単位の電極接触面積であり、Iは10分の印加電圧後に記録されたアンペア単位の漏電流であり、tは試料の厚さである。圧縮成形フィルムの厚さは、試験前に測定される。フィルムの5点を測定して、計算に使用される平均厚さを得る。試験は、室温で、500ボルトで実施される。2つの圧縮成形フィルムが試験され、記録されたVRは2つの試験の平均である。結果は、オームセンチメートル(ohm.cm)で報告される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ポリオレフィン
本開示の(A)ポリオレフィンは、オレフィンが一次モノマーである任意のインターポリマーであり得る。すなわち、ポリオレフィンは、オレフィンモノマーに由来する重合単位の過半量を含むインターポリマーであり得、インターポリマーは、オレフィンモノマーとは異なり、かつC2-C30線状、分岐状、または環式アルファ-オレフィンであるコモノマーに由来する単位をさらに含む。本開示の目的のために、エチレンは、アルファ-オレフィンである。コモノマーとしての使用のためのC2-C30アルファ-オレフィンの非限定的な例には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、および1-オクタデセンが挙げられる。
【0038】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの非限定的な例には、エチレンとC3-C8アルファ-オレフィン、またはC4-C8アルファ-オレフィンとのインターポリマー、例えばエチレン/プロピレンインターポリマー、エチレン/1-ブテンインターポリマー、エチレン/1-ヘキセンインターポリマー、エチレン/1-オクテンインターポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの非限定的な例には、エチレンとC3-C8アルファ-オレフィン、またはC4-C8アルファ-オレフィンとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/1-ブテンコポリマー、エチレン/1-ヘキセンコポリマー、エチレン/1-オクテンコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、以下でさらに議論されるように、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーである。
【0041】
さらなる実施形態では、ポリオレフィンは、本明細書で定義されるようなエチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマーまたはオレフィンブロックコポリマーである。
【0042】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである。プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの非限定的な例には、プロピレン/エチレンインターポリマー、プロピレン/1-ブテンインターポリマー、プロピレン/1-ヘキセンインターポリマー、プロピレン/1-オクテンインターポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらなる実施形態では、ポリオレフィンは、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーの非限定的な例には、プロピレン/エチレンコポリマー、プロピレン/1-ブテンコポリマー、プロピレン/1-ヘキセンコポリマー、プロピレン/1-オクテンコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、ヘテロ原子が不在である。本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の原子である。ヘテロ原子は、周期表の第IV、V、VI、およびVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、F、N、O、P、B、S、およびSiが挙げられる。
【0044】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、本明細書に開示される方法または類似の方法に従って、0.4ppm以下または0.3ppm以下のバナジウム含有量を有する(またはそれらの量のバナジウムを含む)。さらなる実施形態では、ポリオレフィンは、本明細書に開示される方法または類似の方法に従って、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、0.6ppm以上の第4族金属含有量を有する(またはそれらの量の第4族金属を含む)。さらなる実施形態では、ポリオレフィンは、0.4ppm以下もしくは0.3ppm以下のバナジウム含有量(もしくはその量のバナジウムを含む)および/または0.3ppm以上、もしくは0.4ppm以上、もしくは0.5ppm以上、もしくは0.6ppm以上の第4族金属含有量(もしくはそれらの量の第4族金属を含む)を有する。
【0045】
さらなる実施形態では、ポリオレフィンは、以下のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する:ASTM D1646に従って、ゼロ超~100MU、または5~100MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)、ASTM D792、方法Bに従う、0.850g/cc~0.920g/ccの密度、40重量%~80重量%、または50重量%~80重量%の重合エチレン、ゼロ~10重量%の重合ジエン;および1~7、または1~5、または2~4の分子量分布(MWDもしくはMw/Mn)。
【0046】
好適なポリオレフィンには、The Dow Chemical CompanyからのNORDEL(商標)、ENGAGE(商標)、INFUSE(商標)、およびVERSIFY(商標)、ExxonMobil Chemical CompanyからのExact(商標)およびVistamaxx(商標)、ならびにLG ChemicalからのLUCENE(商標)の商品名で入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
ポリオレフィンは、本明細書に記載の実施形態の任意の組み合わせを有し得る。
【0048】
エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー
本開示の(A)ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーである実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、重合形態でエチレン、アルファ-オレフィン、およびジエンを含む。ジエンは、共役していても非共役であってもよい。アルファ-オレフィンの好適な例には、C3-C20アルファ-オレフィンまたはC3-C10アルファ-オレフィンが挙げられる。ジエンの好適な例には、C4-C40非共役ジエンが挙げられる。
【0049】
アルファ-オレフィンは、脂肪族または芳香族化合物のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、アルファ-オレフィンは、C3-C10脂肪族アルファ-オレフィンである。いくつかの実施形態では、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。特定の実施形態では、アルファ-オレフィンは、プロピレンである。
【0050】
特定の実施形態では、ジエンは、非環式または環式である非共役ジエンである。非共役ジエンの非限定的な例には、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、および1,9-デカジエンなどの直鎖非環式ジエン;5-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、およびジヒドロミルセンの混合異性体などの分岐鎖非環式ジエン;1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、および1,5-シクロドデカジエンなどの単環脂環式ジエン;テトラ-ヒドロインデンおよびメチルテトラヒドロインデンなどの多環脂環式縮合および架橋環ジエン;5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、および5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、およびシクロアルキリデンノルボルネンが挙げられる。さらなる実施形態では、ジエンは、ENB、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、および7-メチル-1,6-オクタジエンからなる群から選択される非共役ジエンである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0051】
いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)インターポリマーである。さらなる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)インターポリマーであり、ジエンは、ENBである。
【0052】
いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、CGC触媒、高度な分子触媒、またはポストメタロセン触媒などの非チーグラーナッタ触媒を用いて調製される。そのような触媒の例には、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、および同第8,101,696号、ならびに刊行物US2005/0164872およびWO2007/136494に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されず、それぞれ参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0053】
いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、ASTM D1646に従って、0超~100MU、または5~100MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)を有する。特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、ASTM D1646に従って、5MU、または10MU、15MU、または18MU、または20MU、または25MU、または30MU、または35MU~40MU、または45MU、または50MU、または55MU、または60MU、または65MU、または70MU、または75MU、または80MU、または85MU、または90MU、または99MU、または100MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)を有する。
【0054】
さらなる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、ASTM D1646に従って、0超~100MU、または5MU~100MU、または15MU~100MU、または15MU~99MU、または15MU~90MU、または15MU~80MU、または15MU~70MU、または15MU~60MU、または15MU~50MU、または18MU~45MU、または18MU~40MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)を有する。
【0055】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、ASTM D792、方法Bに従って、0.850g/cc、または0.860g/cc、または0.870g/cc~0.880g/cc、または0.890g/cc、または0.900g/cc、または0.910g/cc、または0.920g/ccの密度を有する。さらなる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、ASTM D792、方法Bに従って、0.850g/cc~0.920g/cc、または0.860g/cc~0.910g/cc、または0.860g/cc~0.900g/cc、または0.860g/cc~0.890g/cc、または0.860g/cc~0.880g/ccの密度を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含む。特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または68重量%~70重量%、または71重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%の重合エチレンを含む。さらなる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、40~80重量%、または50~80重量%、または55~70重量%の重合エチレンを含む。
【0057】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、インターポリマーの重量に基づいて、0重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%、または3.5重量%、または4重量%、または4.5重量%、または4.7重量%~4.9重量%、または5重量%、または6重量%、または7重量%、または7.5重量%、または8重量%、または8.5重量%、または9重量%、または10重量%の重合ジエンを含む。さらなる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、ゼロ超~10重量%、または0.5重量%~9重量%、または0.5重量%~8.5重量%の、重合ENBなどの重合ジエンを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、1~7、または1~5、または1.5~5、または2~4の分子量分布(MWDもしくはMw/Mn)を有する。
【0059】
エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に開示される方法または類似の方法に従って、以下の金属含有量を有し得る。特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、0.4ppm以下、または0.3ppm以下のバナジウム含有量を有するか、またはそれらの量のバナジウムを含む。
【0060】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上のチタン含有量を有するか、またはそれらの量のチタンを含む。
【0061】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上のジルコニウム含有量を有するか、またはそれらの量のジルコニウムを含む。
【0062】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上のハフニウム含有量を有するか、またはそれらの量のハフニウムを含む。
【0063】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上の第4族金属含有量を有するか、またはそれらの量の第4族金属を含む。
【0064】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上の量のチタン、ジルコニウム、および/またはハフニウムを含む。
【0065】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、0.4ppm以下、もしくは0.3ppm以下のバナジウム含有量、または0.3ppm以上、0.4ppm以上、もしくは0.5ppm以上、もしくは0.6ppm以上の第4族金属含有量を有する。
【0066】
特定の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、ヘテロ原子が不在である。本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の原子である。ヘテロ原子は、周期表の第IV、V、VI、およびVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、F、N、O、P、B、S、およびSiが挙げられる。
【0067】
本開示のエチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得るか、または本明細書に記載の実施形態の任意の組み合わせであり得る。
【0068】
珪質土
本開示の硬化性組成物は、(B)珪質土をさらに含む。特定の実施形態では、本開示の珪質土は、古典的なノイブルク珪質土であり、小体ノイブルクシリカと層状カオリナイトとの自然な組み合わせであり、物理的方法では分離できない緩い混合物である。
【0069】
さらなる実施形態では、本開示の珪質土は、Malvern InstrumentsからのレーザーデバイスであるMatersizer 3000で実行される回折スペクトルのフラウンホーファー分析に基づいて、1.5~4の粒子サイズ分布(D50)を有する古典的なノイブルグ珪質土である。
【0070】
特定の実施形態では、本開示の珪質土は、Hoffman Mineral GmbHからSillitinという名前で入手可能な古典的なノイブルグ珪質土である。特定の実施形態では、本開示の珪質土は、Hoffman Mineral GmbHからSillitin N 85またはSillitin Z 86として入手可能な古典的なノイブルグ珪質土である。
【0071】
珪質土は、2つ以上の古典的なノイブルク珪質土の混合物であり得る。珪質土は、本明細書に開示される実施形態の任意の組み合わせであり得る。
架橋剤
【0072】
本開示の硬化性組成物は、架橋ポリマー組成物を形成するように硬化され得る。架橋ポリマー組成物は、硬化から生じる硬化性組成物の反応生成物である。したがって、特定の実施形態では、硬化性組成物は、(C)架橋剤をさらに含む。
【0073】
好適な架橋剤の非限定的な例には、過酸化物;フェノール;アジド;アルデヒド-アミン反応生成物;置換尿素;置換グアニジン;置換キサントゲン酸塩;置換ジチオカルバメート;チアゾール、スルフェンアミド、チウラムジスルフィド、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄などの硫黄含有化合物;イミダゾール;シラン;亜鉛、マグネシウム、および鉛酸化物などの金属酸化物;p-キノン-ジオミシムおよびp,p’-ジベンゾイルキノン-ジオキシムなどのジニトロソ化合物;ならびにヒドロキシメチルまたはハロメチル官能基を含有するフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
好適な架橋剤には、元素硫黄などの硫黄系のものが挙げられる。硫黄系硬化剤を用いるとき、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメート、キサントゲン酸塩、4,4’-ジチオジモルホリン、チウラムジ-およびポリスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、および2-モルホリノ-ジチオベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-メルカプトベンゾチアゾレートジスルフィド(MBTS)、亜鉛-2-メルカプトベンゾチアゾレート(ZMBT)、亜鉛ジエチルジチオカルバメート亜鉛(ZDEC)、亜鉛ジブチルジチオカルバメート(ZDBC)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルファンアミド(TBBS)、およびそれらの混合物などの促進剤および硬化活性化剤も同様に使用することができる。
【0075】
追加の架橋剤には、フェノール樹脂、アジド、アルデヒド-アミン反応生成物、ビニルシラン、ヒドロシリル化剤、置換尿素、置換グアニジン、置換キサントゲン酸塩、置換ジチオカルバメート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤は、任意選択の助剤を伴うフェノール系硬化剤もしくは過酸化物硬化剤、またはヒドロシリル化触媒を伴うヒドロシリル化架橋剤、または任意選択の助剤アルミナ三水和物(「ATH」)を伴うジブチルスズジラウレート(「DBTDL」)であってよい。人気のある工業用触媒は、H2PtCl6である「Speierの触媒」、およびアルケンで安定化された白金(0)触媒であるKarstedtの触媒である。
【0076】
好ましい実施形態では、架橋剤は、過酸化アルキル、過酸化アリール、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、環式過酸化物、過酸化ジアルキル、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、またはそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない1つ以上の有機過酸化物であり得る。過酸化物の例には、ジ-tertブチル過酸化物、過酸化ジクミル、ジ(3,3,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチル-クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチル-ペルオキシル-イソプロピル)ベンゼン、またはそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。例示的な架橋剤は、Arkemaから商品名LUPEROX(登録商標)、またはAkzo Nobelから商品名TRIGONOX(登録商標)で市販されている過酸化ジクミルである。さらなる例示的な架橋剤は、Vanderbilt ChemicalsからのVAROX(登録商標)DBPH-50である。架橋剤が過酸化物であるとき、ステアリン酸およびZnOなどの特定の加工助剤および硬化活性剤も使用され得る。
【0077】
好適な有機過酸化物のさらなる例には、過酸化ジクミル、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過安息香酸三級ブチル、過酸化ジ(三級ブチル)、クメンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3、2,-5-ジ-メチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、三級ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルペルカーボネート、アルファ,アルファ’-ビス(三級ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシル-モノカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロキシペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、アルファ,アルファ’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、過酸化ビス(1,1-ジメチルエチル)、過酸化ビス(1,1-ジメチルプロピル)、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキシン、4,4-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)吉草酸、ブチルエステル、1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-アミルペルオキシド(「DTAP」)、ビス(アルファ-t-ブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」)、イソプロピルクミルt-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ビス(tブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,1,1-ビス(tブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、イソプロピルクミルククミルペルオキシド、ブチル4,4-ジ(tertブチルペルオキシ)バレレート、ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド、2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジフェニルヘキサン、ビス(アルファ-メチルベンジル)ペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過安息香酸t-ブチル、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペロキソナン、ビス(t-ブチルペルオキシ)-ジイソプロピルベンゼン、ジ-2-t-ブチルペルオキシイソプロピルベンゼン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
好適な市販の有機過酸化物の非限定的な例には、商品名TRIGONOX(登録商標)でAkzoNobelから入手可能なもの、およびLUPEROX(登録商標)F40Pなどの商品名LUPEROX(登録商標)でArkemaから入手できるものが挙げられる。
【0079】
以下でさらに議論されるように、過酸化物系硬化剤を使用するとき、共活性化剤、または助剤を過酸化物系硬化剤と組み合わせて使用してもよい。好適な助剤には、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、および1,4-フェニレンジマレイミド(TCI Chemicalsから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
架橋剤が使用されるとき、架橋は、硬化性組成物中の架橋剤を活性化することによって誘導することができる。架橋剤は、その分解温度より上の温度にそれを曝すことによって活性化することができる。温度は、50℃~300℃、例えば80℃~275℃の範囲である。時間は、選択されたポリマーおよび硬化成分に応じて、当業者によって決定され得る。
【0081】
あるいは、架橋剤は、架橋剤からフリーラジカルの生成を引き起こす放射線にそれを曝すことによって活性化することができる。好適な放射線の非限定的な例には、UVもしくは可視光線、電子ビーム、またはベータ線、ガンマ線、X線、もしくは中性子線が挙げられる。放射線は、ポリマー中にラジカルを生成することによって架橋を活性化させると考えられ、これは引き続き結合し、架橋し得る。放射線量は多くの要因に依存し、当業者によって決定され得る。架橋剤が過酸化ジベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、過酸化水素、ペルオキシジサルフェート、および2,2-ビス(テルブチルペルオキシ(terbutylperoxy))-2,5-ジメチルヘキサンなどの過酸化物光開始剤であるとき、UVまたは可視光線の活性化が起こり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、熱、湿気硬化、および放射線から選択される組み合わせなどの、少なくとも2つの活性化方法を含む二重硬化系を効果的に用いてもよい。例えば、過酸化物架橋剤をシラン架橋剤と併用する、過酸化物架橋剤を放射線と併用する、硫黄含有架橋剤をシラン架橋剤と併用することなどが望ましい場合がある。当業者は、所望の架橋レベル、ポリマーの特徴、例えば分子量、分子量分布、コモノマー含有量、架橋促進助剤、他の添加剤などの存在に基づいて、架橋剤の量を容易に選択することができるであろう。
【0083】
架橋助剤
本開示の硬化性組成物が過酸化物架橋剤を含む特定の実施形態では、硬化性組成物は、(D)架橋性助剤をさらに含み得る。架橋助剤は、エステル、エーテル、ケトン、シアヌレート、イソシアヌレート、ホスフェート、オルトギ酸、アリル、ビニル、またはアクリレートなどの少なくとも2つ、好ましくは3つの不飽和基を含有する脂肪族エーテルもしくは芳香族エーテルが挙げられるが、これらに限定されない架橋助剤のうちいずれか1つ、または架橋助剤の混合物とすることができる。架橋助剤中の炭素原子の数は、9~40の範囲、またはそれよりも多い数とすることができ、好ましくは9~20である。
【0084】
助剤の具体例には、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)としても既知のトリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ヘキサアリルメラミン、リン酸トリアリル(TAP)、オルトギ酸トリアリル、テトラ-アリルオキシ-エタン、トリアリルベンゼン-1,3,5-トリカルボキシレート、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、亜鉛ジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、C14またはC15の平均鎖長を有するメタクリレート末端モノマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、デペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2,4,6-トリアリル-1,3,5-トリオン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、トリアリルトリメリテート(TATM)、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラ-オキサスピロ[5.5]ウンデカン(DVS)、アルファ-メチルスチレンダイマー(AMSD)、1,2ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、NN’-m-フェニレンビスマレイミド、トルエンビスマレイミド-p-キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
特定の実施形態では、架橋助剤は、TRIM、TAIC、TAC、TAP、ビニル環式シロキサン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0086】
添加剤成分
本開示の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。したがって、本開示の硬化性組成物および架橋ポリマー組成物は、(E)添加剤成分を含み得る。添加剤成分を含み得る好適な添加剤には、金属酸化物、酸化防止剤、充填剤、UV安定剤、難燃剤、可塑剤または油、着色剤または顔料、粘着付与剤、強化剤、脂肪酸およびそれらの塩、耐発火性添加剤、焼け焦げ防止剤、安定剤、ブロー剤、潤滑剤、加工助剤、押出助剤、核剤、スカベンジャー、ワックス、硬化添加剤、促進剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
金属酸化物には、シリコン、カルシウム、亜鉛、鉄、チタン、およびアルミニウムの酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。充填剤には、カーボンブラック;アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムのシリケート、およびそれらの混合物;カルシウム、マグネシウムのカーボネート、およびそれらの混合物;カルシウム、バリウム、鉛のサルフェート;アルミナ三水和物;水酸化マグネシウム;フェノール-ホルムアルデヒド、ポリスチレン、およびポリ(アルファメチル)-スチレン樹脂、天然繊維、合成繊維などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
可塑剤または油には、芳香油およびナフテン油などの石油;ポリアルキルベンゼン油;オレイン酸およびステアリン酸アルキルおよびアルコキシアルキルなどの有機酸モノエステル;ジアルキル、ジアルコキシアルキル、およびアルキルアリールフタレート、テレフタレート、セバケート、アジペート、およびグルタレートなどの有機酸ジエステル;トリ-、テトラ-、およびポリエチレングリコールジアルカノエートなどのグリコールジエステル;トリメリット酸トリアルキル;トリアルキル;トリアルコキシアルキル、アルキルジアリール、およびトリアリールホスフェート;塩素化パラフィン油;クマロン-インデン樹脂;パインタール;ヒマシ油、トール油、ナタネ油、および大豆油などの植物油、ならびにそれらのエステルおよびエポキシ化誘導体;などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
酸化防止剤およびオゾン劣化防止剤には、ヒンダードフェノール、ビスフェノール、およびチオビスフェノール;置換ヒドロキノン;トリス(アルキルフェニル)ホスファイト;ジアルキルチオジプロピオン酸塩;フェニルナフチルアミン;置換ジフェニルアミン;ジアルキル、アルキルアリール、およびジアリール置換p-フェニレンジアミン;モノマーおよびポリマーのジヒドロキノリン;2-(4-ヒドロキシ-3,5-t-ブチルアニリン)-4,6-ビス(オクチルチオ)1,3,5-トリアジン;ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-s-トリアジン;2,4,6-トリス(n-1,4-ジメチルペンチルフェニレンジアミノ)-1,3,5-トリアジン;トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、2-メルカプトトリルイミダゾールおよびその亜鉛塩、石油ワックス、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
UV安定剤には、ヒンダードフェノール、亜リン酸塩、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、UV吸収剤、ヒンダードベンゾエート、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適なUV安定剤には、TCIから入手可能なT770;TCIから入手可能なUV531;Cynergy A400、A430、およびR350;Cyasorb UV-3529;Cyasorb UV-3346;Cyasorb UV-3583;HostavinN30;Univil 4050;Univin 5050;Chimassorb UV-119;Chimassorb 944 LD;Tinuvin 622 LD;ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、およびこれらの組み合わせ、例えば、Tinuvin 328またはCyasorb UV-1164などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
特定の実施形態では、(E)添加剤成分は、金属酸化物および酸化防止剤を含む。
【0092】
硬化性組成物
本開示は、(A)ポリオレフィン成分と、(B)珪質土と、(C)架橋剤と、(D)架橋助剤と、任意選択で、(E)添加剤成分と、を含む硬化性組成物に関する。(E)添加剤成分は、酸化防止剤および金属酸化物を含み得る。
(A)ポリオレフィンは、硬化性組成物の総重量に基づいて、30重量%~95重量%、または40重量%~95重量%、または50重量%~85重量%、または55重量%~75重量%の量で硬化性組成物中に存在し得る。
(B)珪質土は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~55重量%、または1重量%~50重量%、または10重量%~40重量%、または15重量%~35重量%、または20重量%~35重量%の量で硬化性組成物中に存在し得る。
(C)架橋剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~10重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.5重量%~8重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~4重量%の量で硬化性組成物中に存在し得る。
(D)架橋助剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.05重量%~3重量%、または0.1重量%~1重量%の量で硬化性組成物中に存在し得る。
(E)添加剤成分は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0重量%~20重量%、または0.01重量%~20重量%、または0.01重量%~15重量%、または0.01重量%~10重量%、または0.1重量%~10重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~8重量%、または2重量%~6重量%の量で硬化性組成物中に存在し得る。
【0093】
特定の実施形態では、硬化性組成物中の(A)ポリオレフィンと(B)珪質土との比は、(A)ポリオレフィンおよび(B)珪質土の総重量に基づいて、100:5~100:120または100:20~100:80である。
【0094】
ポリオレフィンは、1つ以上のポリマーとブレンドされ得る。したがって、本開示の硬化性組成物(および硬化性組成物の反応生成物を含む架橋ポリマー組成物)は、不飽和ポリオレフィン(別のEPDM、ポリブタジエンなど)、飽和ポリオレフィン(PE、PP、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、オレフィンブロックコポリマーなど)、他のエラストマー(SBC、PVC、EVAなど)、および他のエンジニアリング熱可塑性プラスチック(スチレン、ポリアミド、ポリエステルなど)が挙げられるが、これらに限定されない1つ以上のポリマーをさらに含み得る。
【0095】
特定の実施形態では、ポリオレフィンは、他のポリマーとブレンドされていない。特定の実施形態では、硬化性組成物は、(A)ポリオレフィン以外のいかなるポリマーも不在である(または含まない)。
【0096】
本開示の硬化性組成物は、架橋ポリマー組成物を形成するように硬化され得る。本開示の架橋ポリマー組成物は、硬化性組成物の反応生成物である。
【0097】
硬化性組成物または架橋ポリマー組成物は、本明細書に開示される方法または類似の方法に従って以下の特性を有し得、体積抵抗率は、室温である。特定の実施形態では、硬化性組成物または架橋ポリマー組成物は、1.0E+15ohm.cm超、または3.0E+15ohm.cm以上、または5.0E+15ohm.cm、または7.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または4.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または7.0E+16ohm.cm以上、または1.0E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する。
【0098】
特定の実施形態では、硬化性組成物または架橋ポリマー組成物は、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~2.0E+17ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0099】
硬化性組成物および架橋ポリマー組成物のそれぞれは、本明細書に記載の実施形態の任意の組み合わせを有し得る。
【0100】
物品および用途
本開示の硬化性組成物または架橋ポリマー組成物を使用して、いくつかの従来のプロセスおよび装置のいずれか1つによって物品を調製し得る。例示的なプロセスには、押出、カレンダー加工、圧縮成形、および他の典型的な熱硬化性材料形成プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、物品は、押出、押出に続いて熱処理、低圧成形、圧縮成形などによって調製することができる。
【0101】
本開示の硬化性組成物または架橋ポリマー組成物で調製された物品には、シート、フィルム、成形品、繊維、および押出成形部品が挙げられるが、これらに限定されない。追加の物品には、ソフトタッチ商品、自動車部品、接着剤、配管、ウェザーストリップ、ベルト、ホース、建物プロファイル、ワイヤおよびケーブルジャケットおよび構成部品、床材、ガスケットおよびプロファイル、タイヤおよびタイヤ部品、コンピューター部品、建築材料、コーティング、木工品、光起電性物品、ならびに履物部品が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、過度の実験なしにこのリストを容易に増強することができる。
【0102】
この物品は、本明細書に開示された方法および類似の方法に従って、以下のVR特性を有し得る。特定の実施形態では、硬化性組成物もしくは架橋ポリマー組成物を含む(またはそれから作製される)物品は、1.0E+15ohm.cm超、または3.0E+15ohm.cm以上、または3.45E+15ohm.cm以上、または5.0E+15ohm.cm以上、または7.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または4.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または7.0E+16ohm.cm以上、または1.0E+17ohm.cm以上、または1.25E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または5.0E+18ohm.cm以上、または1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する。
【0103】
特定の実施形態では、硬化性組成物もしくは架橋ポリマー組成物を含む(またはそれから作製される)物品は、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~2.0E+17ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0104】
硬化性組成物もしくは架橋ポリマー組成物を含む(またはそれから作製される)物品は、本明細書に開示される実施形態の任意の組み合わせであり得る。
【0105】
本開示の特定の実施形態には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
1.硬化性組成物であって、(A)ポリオレフィンと、(B)珪質土と、(C)架橋剤と、(D)架橋助剤と、任意選択で、(E)金属酸化物および酸化防止剤を含む添加剤成分と、を含む、硬化性組成物。
2.
(A)硬化性組成物の総重量に基づいて、30重量%~95重量%、または40重量%~95重量%、または50重量%~85重量%、または55重量%~75重量%のポリオレフィンと、
(B)硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~55重量%、または1重量%~50重量%、または10重量%~40重量%、または15重量%~35重量%、または20重量%~35重量%の珪質土と、
(C)硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~10重量%、または0.1重量%~10重量%、または0.5重量%~8重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~4重量%の架橋剤と、
(D)硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、または0.05重量%~3重量%、または0.1重量%~1重量%の架橋助剤と、
(E)硬化性組成物の総重量に基づいて、0重量%~20重量%、または0.01重量%~20重量%、または0.01重量%~15重量%、または0.01重量%~10重量%、または0.1重量%~10重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~8重量%、または2重量%~6重量%の添加剤成分と、を含む、実施形態1に記載の硬化性組成物。
3.ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびエチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマーからなる群から選択される、実施形態1または2に記載の硬化性組成物。
4.アルファ-オレフィンが、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、および1-オクタデセンからなる群から選択される、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
5.ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーである、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
6.ポリオレフィンが、エチレン/プロピレン/ジエンインターポリマーである、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
7.ポリオレフィンが、エチレン/プロピレン/ENBインターポリマーである、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
8.ポリオレフィンが、0.4ppm以下または0.3ppm以下の量のバナジウムを含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
9.ポリオレフィンが、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上の量の第4族金属を含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
10.ポリオレフィンが、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上の量のチタンを含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
11.ポリオレフィンが、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上の量のジルコニウムを含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
12.ポリオレフィンが、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上の量のハフニウムを含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
13.ポリオレフィンが、0.3ppm以上、または0.4ppm以上、または0.5ppm以上、または0.6ppm以上の量のチタン、ジルコニウム、および/またはハフニウムを含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
14.ポリオレフィンが、ASTM D1646に従って、0超~100MU、または5MU~100MU、または15MU~100MU、または15MU~99MU、または15MU~90MU、または15MU~80MU、または15MU~70MU、または15MU~60MU、または15MU~50MU、または18MU~45MU、または18MU~40MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)を有する、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
15.エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーが、ASTM D792、方法Bに従って、0.850g/cc~0.920g/cc、または0.860g/cc~0.910g/cc、または0.860g/cc~0.900g/cc、または0.860g/cc~0.890g/cc、または0.860g/cc~0.880g/cc、または0.870~0.880g/ccの密度を有する、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
16.ポリオレフィンが、40~80重量%、または50~80重量%、または55~70重量%の重合エチレンを含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
17.ポリオレフィンが、ゼロ~10重量%、または0.5重量%~9重量%、または0.5重量%~8.5重量%の重合ジエンを含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
18.ポリオレフィンが、1~7、または1~5、または1.5~5、または2~4の分子量分布(MWDもしくはMw/Mn)を有する、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
19.珪質土が、古典的なノイブルク珪質土である、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
20.珪質土が、1.5~4の粒子サイズ分布(D50)を有する、実施形態19に記載の硬化性組成物。
21.架橋剤が、有機過酸化物である、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
22.有機過酸化物が、ジ-2-t-ブチルペルオキシイソプロピルベンゼン、tert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、過酸化ジクミル、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過安息香酸三級ブチル、過酸化ジ(三級ブチル)、クメンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3、2,-5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルペルカーボネート、アルファ、アルファ’-ビス(ターシャリー-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロキシペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、アルファ、アルファ’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態21に記載の硬化性組成物。
23.架橋助剤が、トリアリルイソシアヌレート、トリアリールシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
24.添加剤成分が、金属酸化物および酸化防止剤を含む、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
25.硬化性組成物が、1.0E+15ohm.cm超、または3.0E+15ohm.cm以上、または5.0E+15ohm.cm以上、または7.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または4.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または7.0E+16ohm.cm以上、または1.0E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または5.0E+18ohm.cm以上、または1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
26.硬化性組成物が、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0+15ohm.cm超~3.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~2.0E+17ohm.cmの体積抵抗率を有する、前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物。
27.前述の実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物を含む、架橋ポリマー組成物。
28.実施形態1~26のいずれかに記載の硬化性組成物の反応生成物である、架橋ポリマー組成物。
29.実施形態1~26のいずれかに記載の硬化性組成物の反応生成物を含む、架橋ポリマー組成物。
30.架橋ポリマー組成物が、1.0E+15ohm.cm超、または3.0E+15ohm.cm以上、または5.0E+15ohm.cm以上、または7.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または4.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または7.0E+16ohm.cm以上、または1.0以上E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または5.0E+18ohm.cm以上、または1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する、実施形態27~29のいずれかに記載の架橋ポリマー組成物。
31.架橋ポリマー組成物が、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~3.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~2.0E+17ohm.cmの体積抵抗率を有する、実施形態27~30のいずれかに記載の架橋ポリマー組成物。
32.実施形態1~26のいずれかに記載の硬化性組成物を含む、物品。
33.実施形態1~26のいずれかに記載の硬化性組成物から作製された、物品。
34.実施形態27~31のいずれかに記載の架橋ポリマー組成物を含む、物品。
35.実施形態27~31のいずれかに記載の架橋ポリマー組成物から作製された、物品。
36.物品が、1.0E+15ohm.cm超、または3.0E+15ohm.cm以上、または5.0E+15ohm.cm以上、または7.0E+15ohm.cm以上、または1.0E+16ohm.cm以上、または2.0E+16ohm.cm以上、または4.0E+16ohm.cm以上、または5.0E+16ohm.cm以上、または7.0E+16ohm.cm以上、または1.0E+17ohm.cm以上、または5.0E+17ohm.cm以上、または1.0E+18ohm.cm以上、または5.0E+18ohm.cm以上、またはそれ以上1.0E+19ohm.cm以上の体積抵抗率を有する、実施形態31~35のいずれかに記載の物品。
37.物品が、1.0E+15ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、または1.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~5.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~3.0E+17ohm.cm、または3.0E+15ohm.cm超~2.0E+17ohm.cmの体積抵抗率を有する、実施形態31~36のいずれかに記載の物品。
38.物品が、フィルムである、実施形態31~37のいずれかに記載の物品。
【実施例】
【0106】
材料
以下の実施例で使用した材料を後述する。
【0107】
NORDEL(商標)3720P(「EPDM1」):0.880g/ccの密度(ASTM D792)、20MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)(ASTM D1646)、70重量%のエチレン含有量(ASTM D3900)、および0.6重量%のENB含有量(ASTM D6047)を有するThe Dow Chemical Companyから入手可能なエチレンプロピレンジエンインターポリマー(非ZN触媒を介して作製)。
【0108】
NORDEL(商標)3722P(「EPDM2」):0.880g/ccの密度(ASTM D792)、18MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)(ASTM D1646)、71重量%のエチレン含有量(ASTM D3900)、および0.5重量%のENB含有量(ASTM D6047)を有するThe Dow Chemical Companyから入手可能なエチレンプロピレンジエンインターポリマー(非ZN触媒を介して作製)。
【0109】
NORDEL(商標)4725P(「EPDM3」):0.880g/ccの密度(ASTM D792)、25MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)(ASTM D1646)、70重量%のエチレン含有量(ASTM D3900)、および4.9重量%のENB含有量(ASTM D6047)を有するThe Dow Chemical Companyから入手可能なエチレンプロピレンジエンインターポリマー(非ZN触媒を介して作製)。
【0110】
EPT(商標)2060M(「EPDM4」):40MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)(ASTM D1646)、55重量%のエチレン含有量(ASTM D3900)、および2.3重量%のENB含有量(ASTM D6047)を有するMitsui Chemicalsから入手可能なエチレンプロピレンジエンインターポリマー(非ZN触媒を介して作製)。
【0111】
KEP(登録商標)210(「EPDMA」):0.860g/ccの密度(ASTM D792)、23MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)(ASTM D1646)、65重量%のエチレン含有量(ASTM D3900)、5.7%のENB含有量(ASTM D6047)を有するKumho Polychemから入手可能なチーグラーナッタ触媒エチレンプロピレンジエンインターポリマー。
【0112】
Vistalon(商標)2504(「EPDMB」):25MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)(ASTM D1646)、58重量%のエチレン含有量(ASTM D3900)、4.7重量%のENB含有量(ASTM D6047)を有するExxonMobil Chemical Companyから入手可能なチーグラーナッタ触媒エチレンプロピレンジエンインターポリマー。
【0113】
Luperox(登録商標)F40P(「過酸化物」):Arkemaから入手可能なジ-2-t-ブチルペルオキシイソプロピルベンゼン(炭酸カルシウム中の40%の活性含有量)。
【0114】
SR350NS(「助剤」):Sartomer Arkema Groupから入手可能なトリメチロールプロパントリメタクリレート。
【0115】
Sillitin N85(「珪質土1」):Hoffman Mineral GmbHから入手可能な古典的なノイブルク珪質土。粒子状のノイブルクシリカと層状カオリナイトとの自然な組み合わせ:物理的方法では分離できない緩い混合物、D50=4.0μm。
【0116】
Sillitin Z86(「珪質土2」):Hoffman Mineral GmbHから入手可能な古典的なノイブルク珪質土。粒子状のノイブルクシリカと層状カオリナイトとの自然な組み合わせ:物理的方法では分離できない緩い混合物、D50=1.9μm。
【0117】
SIPERNAT(登録商標)622LS(「シリカ」):Evonik Industries AGから入手可能な4.5μmの粒子サイズD50の沈降シリカ。
【0118】
Agerite(登録商標)ResinD(登録商標)(「酸化防止剤」):Vanderbilt Chemicals,LLCから入手可能な重合1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン。
【0119】
Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltdから入手可能な酸化亜鉛(「ZnO」)。
【0120】
EPDM1~4およびEPDM AおよびBのニート樹脂のVRおよび残留金属含有量は、本明細書に記載され、表1に示されている方法に従って測定した。「ND」は、「検出不能」を意味し、その金属の検出限界(Zrの場合は0.3ppm、Vの場合は0.4ppm、Tiの場合は0.8ppm)を下回る測定値を示す。
【表1】
【0121】
試料調製
比較例(CE1~CE7)および発明実施例(IE1~IE7)のそれぞれを、後述するように、表2および3の配合に従って調製する。
【0122】
EPDMを、100℃の設定温度、30rpmのローター速度でBrabenderミキサーに供給した。約2分後、EPDMを均質に加熱/溶融した。珪質土を含む他のすべての成分を秤量し、次いで徐々にチャンバに添加した。充填剤および他の様々な添加剤を分散させるために、50rpmをさらに3分間用いた。最終混合を、設定温度およびローター速度40rpmで6分間操作し、より低いローター速度を使用して、溶融温度の急激な上昇を制御し、スコーチを回避した。化合物を収集し、以下の用途のために平らなパイに加圧成形した。
【0123】
硬化フィルムの調製:Brabender混合からの化合物を圧縮成形して0.5mmのフィルムにした。試料を事前に圧縮して、次いで最初に脱気し、続いて180℃でT90+6分の加圧成形プロセスを行って試料を完全に硬化させ、続いて室温まで下げた。
【0124】
非硬化フィルムの調製:Brabender混合からの化合物を120℃で5分間予熱し、次いで脱気し、続いて120℃で1分間加圧成形プロセスを行って、続いて室温まで下げた。フィルム厚も0.5mmである。
【0125】
VRおよび硬化特性を測定し、表2および3に示す。
【表2】
【表3】
【0126】
表1に示すように、ZN触媒ポリオレフィン(EPDM AおよびB)は、非ZN触媒(EPDM1-4)で作製されたポリオレフィンに対して、はるかに高いVR(2~3桁)を有する。
【0127】
発明実施例IE1~IE7に示すように、珪質土を含む本開示の組成物は、驚くべきことに、かつ予想外に、VRを著しい量で改善する。実際、VRは、発明実施例1~7のそれぞれで、1桁以上、さらには2桁も改善されている。対照的に、CE1~CE5に示すように、ZN触媒ポリオレフィンへの珪質土の同じ添加は、ポリオレフィン組成物のVRをほとんど減少させた。加えて、実施例CE6およびCE7に示すように、シリカの添加がポリオレフィン組成物のVRを減少させることが示されている。
【0128】
これを超えて、発明実施例1~7の硬化特性は、VRを改善するための珪質土の添加が硬化特性に悪影響を及ぼさないことを示している。要約すると、本開示の組成物は、硬化特性を損なうことなく、非ZN触媒EPDMなどのポリオレフィンの電気的特性(より高いVR)を著しく改善することができ、それにより、電気関連用途におけるそのようなポリオレフィンの使用を可能にし、さらに、そのような改善は、珪質土を同じように添加したZN触媒ポリオレフィンでは達成することができない。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] (A)ポリオレフィンと、(B)珪質土と、(C)架橋剤と、(D)架橋助剤と、を含む、硬化性組成物。
[2] (E)添加剤成分をさらに含む、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 前記添加剤成分が、金属酸化物および酸化防止剤を含む、[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 前記硬化性組成物の総重量に基づいて、
30重量%~95重量%の前記ポリオレフィンと、
1重量%~50重量%の前記珪質土と、
0.01重量%~8重量%の前記架橋剤と、
0.01重量%~5重量%の前記架橋助剤と、
0重量%~20重量%の前記添加剤成分と、を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5] 前記ポリオレフィンが、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー、およびプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーからなる群から選択される、[1]~[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6] 前記ポリオレフィンが、エチレン/プロピレン/ジエンインターポリマーである、[1]~[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7] 前記ポリオレフィンが、0.4ppm以下の量のバナジウムを含む、[1]~[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8] 前記ポリオレフィンが、0.3ppm以上の量の第4族金属を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9] 前記ポリオレフィンが、ASTM D1646に従って、5MU~100MUのムーニー粘度(125℃でML1+4)を有する、[1]~[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10] 前記硬化性組成物が、3.0E+15ohm.cm超の体積抵抗率を有する、[1]~[9]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[11] [1]~[10]のいずれかに記載の硬化性組成物の反応生成物を含む、架橋ポリマー組成物。
[12] 前記架橋ポリマー組成物が、3.0E+15ohm.cm超の体積抵抗率を有する、[11]に記載の架橋ポリマー組成物。
[13] [1]~[10]のいずれかに記載の硬化性組成物を含む、物品。
[14] [11]または[12]に記載の架橋ポリマー組成物を含む、物品。
[15] 前記物品が、3.0E+15ohm.cm超の体積抵抗率を有する、[13]または[14]に記載の物品。