(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】インプラント、特に脊柱インプラント
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B17/70
(21)【出願番号】P 2022520993
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2020077874
(87)【国際公開番号】W WO2021069385
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】102019006963.3
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522042614
【氏名又は名称】シグナス メディシンテクニク ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SIGNUS MEDIZINTECHNIK GMBH
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 2, 63755 Alzenau, Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シードラー,ウーヴェ
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-125715(JP,A)
【文献】特表2012-508038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓根スクリューの形態の締結要素(3)、特に椎弓根スクリューを接続要素、特に脊椎支持体の接続ロッドに結合するのに役立つマルチパート接続装置の形態のインプラント、特に脊椎インプラントであって、
弾性クリッピングによって椎弓根スクリューのヘッドを保持するレセプタクルを有する、サドル(2)の形態の第1の部分(2)と、
軸方向の上部領域において接続要素のためのレセプタクルを有し、軸方向の下部領域において前記サドル(2)の前記レセプタクルを取り囲む、チューリップ(1)の形態の第2の部分(1)
であって、前記チューリップ(1)は、前記上部領域に、方位角方向に間隔を置いた2つの側壁(18L、18R)を有し、その間に前記接続要素のための前記レセプタクルが存在する、第2の部分(1)と、を備え、
前記サドル(2)の組み立て状態では、前記チューリップ(1)に所定の方向にすでに取り付けられており、前記サドル(2)は、前記チューリップ(1)内で軸方向(X)に移動可能であり、前記上部領域
の方向に移動すると、受容位置にある前記サドルは、
前記椎弓根スクリューの前記ヘッドを受容することができ、前記下部領域の方向に移動すると、保持位置にある前記サドルは、前記
椎弓根スクリューの受容された前記
ヘッドをもはや解放することができず、
前記椎弓根スクリューの前記ヘッドのための前記レセプタクルは、多軸カップリング用であり、前記椎弓根スクリューは、前記チューリップの下部開口部から挿入可能であり、
軸方向可動性の
2つの軸方向ガイド(14、24)は、
それぞれ、半径方向に見たときの前記サドル(2)の外面上に突出領域(24)を備え、前記突出領域(24)は、半径方向に見たときの前記チューリップ(1)の内面上のくぼみ領域(14)に係合し、
前記サドル(2)は、そのレセプタクルとは反対側に、前記側壁(18L、18R)に対応する所定の方向に配置された2つの壁(28L、28R)を有し、前記2つの壁(28L、28R)のそれぞれが前記軸方向ガイドのそれぞれの突出領域を保持し、前記突出領域(24)の端部領域
どうしの間の方位間隔は、
方位角方向で見ると少なくとも18°、好ましくは少なくとも24°
であり、前記突出領域(24)が前記上部領域の方向にくぼみ領域(14)から軸方向に出るのを防止する軸方向ロックを備
え、
前記突出領域(24)が回転して前記くぼみ領域(14)に入るのを防ぎ、組み立て状態で、前記突出領域(24)が回転して前記くぼみ領域(14)から出るのを防ぐ回転ロックを備え
、前記チューリップと前記サドルは、前記軸方向ガイドの軸方向に見て、上方から前記チューリップによって前記サドルを挿入することによって組み立て状態を作り出し、それに対して、前記サドル(2)の前記壁は、半径方向内側への曲げに対して弾性的な復元力を有し、これにより、組み立て状態を作り出すときに、前記軸方向ロックを解消して前記サドル(2)が前記チューリップ(1)に軸方向に入ることを許容し、前記チューリップと前記サドルは、前記軸方向ロックが上方からの軸方向進入によって解消され前記突出領域が前記くぼみ領域に入った後、前記チューリップの前記下部開口部を通して前記椎弓根スクリューを挿入することによって、前記サドルの前記レセプタクルが前記弾性クリッピングによって前記椎弓根スクリューの前記ヘッドを受け入れることができるように構成されている、
インプラント。
【請求項2】
180°の
位置で互いに反対に配置された
前記2つの軸方向ガイドを有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記側壁(18L、18R)の内面に設けられ、軸方向の力が特に前記接続要素を介して前記サドル(2)に作用可能である固定ねじのねじ込みに役立つねじ山(13)を備えた、請求項
1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
一方または両方の側壁の前記ねじ山(13)は、前記チューリップ(1)への軸方向の前記サドル(2)の進入を容易にするノッチ(13A)を有する、請求項
3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記方位間隔は、少なくとも30°、好ましくは少なくとも36°、特に少なくとも42°
である、請求項1から
4のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記軸方向に直交する断面で見たときに、前記くぼみ領域は、前記突出領域の形状を補完する形状を有する、請求項1から
5のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記軸方向に直交する断面で見たときに、一方の突出領域または両方の突出領域は、連続しており、特に三日月形の突起として形成されている、請求項
6に記載のインプラント。
【請求項8】
前記軸方向断面で見たときに、一方の突出領域または両方の突出領域は、上方向に特に実質的に長方形のステップおよび/または下方向に鈍角のステップを形成する、請求項
7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記サドル(2)の壁は、それらの内面に、細長い器具の結合に役立つねじ山を有し、前記器具は、
前記椎弓根スクリューの前記ヘッドが
前記サドルの
前記レセプタクルに受け入れられるとき
の受容位置に
前記サドル(2)を軸方向に保持することによって
前記椎弓根スクリューを解放するのに役立つ、請求項
1から
8のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記サドル(2)の
前記レセプタクルは
、最大ヘッド直径の領域を超えて係合するレセプタクル(22)である、請求項1から
9のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記側壁のねじ山(13)と一致するように設計されたねじ山を有する固定ねじを備えた、請求項
3から
10のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項12】
特に丸い断面を有する少なくとも1つの接続ロッドと、少なくとも2つの椎弓根スクリューと、組み立て状態の請求項1から
11のいずれか1項に記載の少なくとも2つのインプラントと、を有するインプラントセットであって、前記椎弓根スクリューのヘッドは、前記チューリップ(1)の前記下部領域の端部(12)にある開口部から前記チューリップ(1)に挿入でき、前記サドル(2)のレセプタクルで受容することができる、インプラントセット。
【請求項13】
前記受容位置での前記チューリップ(1)に対して前記サドル(2)を保持するための、前記サドル(2)の前記壁(28)の前記ねじ山と一致するねじ山を有する器具を備えた、請求項
12に記載のインプラントセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結要素、特に椎弓根スクリューを接続要素、特に脊椎支持体の接続ロッドに結合するのに役立つマルチパート接続装置の形態のインプラント、特に脊椎インプラントであって、締結要素の一部のためのレセプタクルを有する、サドルの形態の第1の部分と、軸方向の上部領域において接続要素のためのレセプタクルを有し、軸方向の下部領域においてサドルのレセプタクルを取り囲む、チューリップの形態の第2の部分であって、チューリップ(1)は、上部領域に、方位角方向に間隔を置いた2つの側壁を有し、その間に前記接続要素のための前記レセプタクルが存在する、第2の部分と、を備え、サドルは、組み立て状態では、チューリップに所定の方向にすでに取り付けられており、チューリップ内で軸方向に移動可能であり、上部領域の方向に移動すると、受容位置にあるサドルは、締結要素の一部を受容することができ、下部領域の方向に移動すると、保持位置にあるサドルは、締結要素の受容された一部をもはや解放することができず、軸方向可動性の2つの軸方向ガイドは、それぞれ、半径方向に見たときのサドルの外面上に突出領域を備え、突出領域は、半径方向に見たときのチューリップの内面上のくぼみ領域に係合し、突出領域の端部領域どうしの間の方位間隔は、方位角方向で見ると少なくとも18°、好ましくは少なくとも24°であり、突出領域が上部領域の方向にくぼみ領域から軸方向に出るのを防止する軸方向ロックを備えるインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のインプラントは、特に脊椎支持体システム用の脊椎インプラントとして知られており、例えば、米国特許第9,486,246号に記載されている。簡単に言えば、2つ以上の椎骨が脊椎支持体を介して接続される。この目的のために、椎弓根スクリューは、既知の方法で椎骨にねじ込まれ、例えば冒頭で述べたタイプのインプラントを介して接続ロッドにしっかりと結合され、他の椎骨は、次に椎弓根スクリューを介しておよび接続装置の形での同一または類似のインプラントを介してこの接続ロッドに結合される。この堅固な結合は、上記の保持位置から開始し、さらに、サドルをスリーブ状のチューリップに押し付ける軸方向の力を加えることによって得られ、これは、チューリップにねじ込むことができる固定ねじによって達成され、ねじ込みは、接続ロッドを介してサドルに直接または間接的に作用し、たとえば、チューリップの下部領域とサドルの受容領域の両方の円錐形の設計により、椎弓根スクリューヘッドのクランプ力が得られ、したがって、椎弓根スクリューと接続ロッドの間の堅固な結合が実現される。
【0003】
椎弓根スクリューを接続装置に挿入するために、サドルは、保持位置から受容位置まで軸方向に移動可能である。そこでは、サドルの受容領域は、拡張するために利用可能なより多くの半径方向の空間を有し、この位置で、サドルの受容部分は、例えば、クリッピング作用で、椎弓根スクリューのヘッドの周りに係合することができる。受容位置では、接続装置の軸方向に対する椎弓根スクリューの軸方向の位置合わせの方向は、一定の制限内で自由に調整可能であり(多軸接続)、これは、過度の軸方向の力がない限り、保持位置でも当てはまる。この設計のおかげで、接続装置を便利な方法で使用することができ、外科医は、最終的な固定の前に、所与の条件下で脊椎支持体のすべての構成要素の正しい位置決めを達成することができる。
【発明の概要】
【0004】
上記の米国特許第9,486,246号では、軸方向ガイドもサドル上の突起の形で提供され、その突起は、チューリップのくぼみに係合する。突起は、動作状態のチューリップとサドルを正しく組み立てるために、回転ラグの形をしている。この場合、チューリップの側壁(多くの場合U字型)と接続ロッドのサドルの支持領域(同様にU字型)の間の切り込みは、組み立てられた状態で、接続ロッドが一方ではチューリップのU字型の開口部を通過し他方ではサドルのU字型の支持体上に位置するように方向付けられている。使用中の椎弓根スクリューも、例えば、チューリップの下部開口部を通して挿入され、サドルによって受容されるため、サドルがチューリップから軸方向に上方に出ることを確実に防止する軸方向ロックが設けられ、これは、上記の先行技術において、くぼみを区切る肩によって達成され、サドルの突起/回転ラグが隣接する。この種の接続装置をすぐに使用できるようにするために、動作状態に対して90°回転したチューリップに対するサドルの向きから開始する回転ラグを、チューリップに軸方向に挿入し、次に、この回転した向きからのチューリップのくぼみにねじ込む。
【0005】
本発明の目的は、特にその信頼性の観点から、冒頭で述べたタイプの接続装置の形でインプラントを改良することである。
【0006】
この目的は、最初に述べたタイプのインプラントのさらなる開発を通じて本発明によって達成され、主に、突出領域が回転してくぼみ領域に入るのを防ぎ、組み立て状態で、突出領域が回転してくぼみ領域から出るのを防ぐ回転ロックによって特徴付けられる。
【0007】
したがって、本発明は、回転ラグのために提供される内向き(外向き)回転が特に防止されるという点で、前述の米国特許第9,486,246号の教示から外れる。本発明の文脈において、本発明による実施形態では、チューリップおよびサドルの方向の増加した位置安定性が達成され、したがって、これによる脊椎支持体全体の増加した位置安定性が達成され、これは、特に脊椎支持体が長年着用されている場合にプラスの効果があり、したがって着用者にとって不快な早期の再調整を回避できる可能性があることが見出された。
【0008】
多軸カップリング、受容位置および保持位置に関して最初に与えられた説明は、本発明にも当てはまる。これは、使用中、すなわち移植中に、組み立て状態の接続装置を多軸ねじのヘッドに配置できることを意味し、好ましい変形例では、サドルの受容領域がねじヘッドにクリップされる(受容位置で)。次に、スクリューとチューリップを異なる方向(保持位置)に押し込むと、サドルの下部領域は、スリーブ状のチューリップの下部領域に隣接し、椎弓根スクリューは、チューリップの下部開口部から軸方向に逃げることができなくなるが、ヘッドはレセプタクル内で依然として回転することができ、これは、椎弓根スクリューに対してチューリップが回転するのと同じである(多軸調整オプション)。チューリップ/サドルに挿入された接続ロッドが、たとえば固定ネジを介してしっかりと結合されている場合にのみ、チューリップとサドルの相互作用によるクランプ力により、ネジヘッドがしっかりと固定され、したがって、椎弓根スクリューと脊柱支持体の接続ロッドの間の堅固な結合を確保する。
【0009】
突出領域は、壁のようなサドル領域から突出することが好ましく、それ自体は平面であり、特に軸方向に対して円形の断面で湾曲している。特に好ましい実施形態では、突出領域の方位角端部領域間の弧長は、軸方向における突出領域の寸法よりも複数倍、特に少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、特に少なくとも4倍長い。
【0010】
特に好ましい実施形態では、特に180°の位置で互いに反対に配置されたこの種の2つの軸方向ガイドが、特に対称的な配置で設けられる。両方の軸方向ガイドとその端部領域により、サドルは、断面で見て、中心が軸方向軸線を通り、上下方向が接続ロッドの位置に対して90°回転される「X」の端点のようにある領域でチューリップ内でガイドされることが保証される。
【0011】
好ましい実施形態では、チューリップは、上部領域に、2つの方位角方向に間隔を置いた側壁を有し、その間に接続要素のためのレセプタクルが存在する。軸方向ガイドのくぼみ領域は、各側壁に配置される。これらの側壁は、断面で見た場合、同様に弓形、特に円形であることが好ましい。
【0012】
側壁の内面には、固定ねじをねじ込むためのねじ山を設けることが好ましく、これにより、特に接続要素を介して、固定ねじによってサドルに軸方向の力を加えることができる。しかしながら、原則として、チューリップの側壁にねじ山があり、ねじキャップがねじ込まれている実施形態も考えられる。
【0013】
特に好ましい実施形態では、サドルは、そのレセプタクルから離れる方向に向けられた面上に、側壁に対応する所定の方向に配置され、それぞれがそれぞれの軸方向ガイドの突出領域を運ぶ2つの壁を有する。これらの壁の間に、好ましくは軸方向断面がU字形である自由空間も形成され、この自由空間は、チューリップの対応する自由空間に対応するときに、接続ロッドの受容チャネルを形成することができる。
【0014】
組み立て状態を作り出すために、サドルは、軸方向ガイドの軸方向(上からの軸方向の入口)に、上から、すなわち軸方向の上部領域(すなわち、締結要素の一部のレセプタクルとは反対側に面する側)からチューリップに挿入される。
【0015】
特に好ましい実施形態では、サドルの壁は、半径方向内向きの曲げに対して弾性ひずみエネルギーを有し、これにより、組み立て状態が生成されるときに、軸方向ロックを解消することによって、サドルがチューリップに軸方向に入ることを許容する。これにより、構成要素の主な塑性変形なしに軸方向の組み立てが容易になる。
【0016】
好ましい実施形態では、一方または両方の側壁のねじ山は、チューリップへの軸方向のサドルの進入を容易にするノッチを有する。これにより、半径方向の寸法に関してコンパクトな設計を維持しながら、軸方向の挿入が容易になる。
【0017】
さらに、一方の突出領域または両方の突出領域の端部領域どうしの間の方位間隔は、少なくとも30°、好ましくは少なくとも36°、特に少なくとも42°であることが好ましい。これにより、軸方向ガイドの案内安定性がさらに向上する。
【0018】
好ましい実施形態では、くぼみ領域は、軸方向に直交する断面で見た場合、いくつかの点でまたは全体的に突出領域の形状を補完する形状を有する。これにより、軸方向の可動性の妨害が回避される。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、軸方向に直交する断面で見た場合、一方の突出領域または両方の突出領域は、連続しており、特に三日月形の突起として形成されている。これにより、サドルの製造における精密さ、精度が向上する。
【0020】
さらに、軸方向断面で見たときに、一方の突出領域または両方の突出領域が、上方向に特に実質的に長方形のステップおよび/または下方向に鈍角のステップを形成することが好都合に提供される。これにより、意図した軸方向ロックを維持しながら横方向の力を低く抑えることができる一方で、組み立て状態を作成するときに軸方向ロックを簡単に解消できる。
【0021】
好ましい実施形態では、サドルの壁は、それらの内面に、細長い器具の結合に役立つ保持ベアリング、特にねじ山を有し、この器具は、締結要素の一部がそのレセプタクルに受け入れられるときにサドルを受容位置に軸方向に保持することによって締結要素を解放するのに役立つ。
【0022】
サドルのレセプタクルに関して、これは、特に弾性クリッピングによって椎弓根スクリューのヘッドを保持するレセプタクルであり、特に、最大ヘッド直径の領域を超えて係合するレセプタクルであることが好ましい。これにより、ネジと接続装置間の結合がまだ固定されていない場合の取り扱いが簡単になる。
【0023】
接続装置のさらなる構成要素は、側壁のねじ山と一致するように設計されたねじ山を有する特に一体型の固定ねじであり得る。
【0024】
さらに、本発明はまた、特に丸い断面を有する少なくとも1つの接続ロッドと、少なくとも2つの椎弓根スクリューと、組み立て状態における前述の態様の1つによる少なくとも2つのインプラントと、を有するインプラントセットの保護を主張し、ここで、椎弓根スクリューのヘッドは、後者の下部領域の端部にある開口部を通してチューリップに挿入可能であり、サドルのレセプタクルによって受容することができる。
【0025】
そのようなインプラントセットはまた、受容位置でのチューリップに対してサドルを保持するための、サドルの壁のねじ山と一致するねじ山を有する器具を含むことができる。
【0026】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、添付の図を参照する本発明の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】チューリップ内のサドルを、異なる領域において異なる視点で示す。
【
図2】椎弓根スクリューが保持された状態での
図1の構成の下部領域の断面図を示す。
【
図3】方位角平面におけるサドルの突出領域の形状を示す図である。
【
図5】軸方向の組み立ての中間段階を、斜視図、正面図及び軸方向断面で示す。
【
図6】
図3に示したものとは異なる突出領域の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、埋め込まれる接続装置の一部、すなわち、チューリップ1とチューリップ1に配置されたサドル2の組み合わせの基本構造の概略図である。
図1の例では、描写の右半分は正面図を示し、描写の左半分は、接続装置の軸方向軸線Xの左側に対する右側の領域における立面図であり描写の左端の断面図にさらに分割されている。
【0029】
軸方向軸線Xに関して、チューリップ1は、上端11と下端12を備えたスリーブ形状の部分を形成する。上端11から開始して、観察者の方を向くスリーブ壁の一部及び観察者から離れる方を向く一部におけるU字型のくぼみは、
図1の紙面に垂直な方向Yに延びるチャネルを形成する。
図1と
図5a)から明らかなように、U字型のくぼみの両側に横方向に配置された側壁18L、18R(チャネルの延びる方向Yに対して横方向に見た場合)は、軸方向ガイドのくぼみ領域14を備える。接続ロッド(
図1には示されていない)は、このチャネルを通して配置することができ、接続ロッドは、当業者に知られている方法で、図示されるタイプの複数の接続装置を接続し、次に、それらは椎弓根スクリュー(同様に
図1には示されていない)に結合される。接続ロッドは、横方向(Y方向)または上から軸方向Xに沿って挿入できる。ロッドは、チューリップ1の上部領域に形成されたねじ山13にねじ込まれる、グラブねじなどのクランプねじ(図示せず)を介して接続装置に固定される。
【0030】
その上部領域では、サドル2も同様にU字型のくぼみを有しており、くぼみは、
図1に示す位置で使用を意図して、チューリップ1のチャネルと平行に走るチャネルを形成する。
【0031】
図1に示すように、使用の用意が整った組み立て位置では、サドル2は、軸方向ガイドを使用してチューリップ1内で軸方向に移動できる。この目的のために、くぼみ14は、チューリップ1のU字型の切り欠きのために上部領域に残っている側壁18L、18R内に形成され、このくぼみ14は、肩15によって下向きの軸方向にかつ肩16によって上向きの軸方向に制限されている。突起24は、くぼみ14内に案内され、突起24は、半径方向に見たときに上部サドル壁28Lの外面であるサドル2の上部領域に配置される。
図1に示されるようなチューリップ1に対するその位置から開始して、突起24の上端26が肩16に隣接するまで、サドル2は、前記チューリップ1に対して軸方向上方に移動可能であることが分かるであろう。このようにして、チューリップ1内のサドル2がチューリップ1の上端11の方向にそれ以上移動するのを防ぐ軸方向ロックが設けられる。同じ軸方向ガイドが、第2の壁18Rの右側に配置されている。
【0032】
その下部領域では、サドル2は、ギャップ21によって互いに分離された保持部分22を備えたカップ状のレセプタクルの形状に形成されている。カップ状のレセプタクルは、椎弓根スクリュー3のねじヘッド32を受け容れることができる(
図2)。例えば、椎弓根スクリュー3がすでに椎骨にねじ込まれている場合、サドル2が中にあるチューリップ1をねじヘッド32に押し込むことができる。これが行われている間、サドル2は、最初にチューリップ1内で上方に移動する。下部領域で最大半径方向寸法を有するサドル2が、チューリップ1の内側湾曲が下端12よりも大きい内径を与える領域(破線ZMで示される)に達するとすぐに、保持部分22は、弾性を伴って半径方向外向きに曲がることができ、クリップのようにねじヘッド32を受け容れ、ねじヘッド32を受け取った状態で、ねじヘッドの最大直径の領域を超えてねじヘッド32に渡ってかみ合うことができる。
【0033】
当業者に知られているこの位置では、軸方向軸線Xに対するねじ軸の方向は、平行位置から開始して、任意の速度で特定の角度、各空間方向に旋回することができる(椎弓根スクリュー3と接続装置の間の堅固な固定の前の多軸結合)。
【0034】
同様に当技術分野で知られているメカニズムによれば、チューリップ1およびサドル2から構成される接続装置と、椎弓根スクリュー3と、の間の最終的に望まれる堅固な結合は、ねじ山13にねじ込まれたクランプねじが下部領域のチューリップ1の開口部が下端12に向かって特に円錐状に狭くなるまで、接続ロッドを介してチューリップ1のサドル2を下向きに押し込み、保持部分22は、半径方向内側に押し込まれて、ねじ(不図示)をねじ山13にしっかりとねじ込むことによって達成される堅固な結合が得られるまでますますしっかりとねじを保持する。ねじがわずかに締められているだけでありまだ完全に締められていない場合、意図しない位置の変化がもはや起こらない間、外科医がターゲットを絞った力の使用によってねじとチューリップ1との間の相対位置を依然として変更できるという意味で、移植外科医にとって好ましい状況が達成されることが理解されよう。
【0035】
図5における列a)の左上の図でよくわかるように、くぼみ14は、同様に方位角方向(Y-Z平面での回転方向)に制限されており、側壁18Lおよび18Rの間でU字型の切開部に向かって開いていない。したがって、
図5c)および
図1に見られるように、サドル2の突出領域24は、それぞれの側壁18L、18Rのくぼみ14に受け入れられる。このように形成された回転ロックは、
図1に示す相対位置からの回転軸として軸方向軸線Xを有するチューリップ1内でのサドル2の回転を防止する。逆に、
図1に示される位置に対して軸方向軸線Xを中心に90°回転した位置から、回転ロックが方位角方向に対して両方向に作用するため、サドル2も
図1に示す位置に移動できない。したがって、チューリップ1へのサドル2の挿入は、従来技術のように回転運動を介して行うことができない。代わりに、
図5a)からわかるように、軸方向軸線Xに沿って上から行う。
【0036】
図1に示すこの動作状態の生成、つまり構成要素、サドル2とチューリップ1の組み立ては、
図5に示すように、純粋に軸方向の経路上で行われる。
図5は、そのような組み立て手順の中間段階を、上から下への斜視図、正面図および断面図の3種類の表現で示している。左側の
図5a)の図は、サドル2がチューリップ1の上に、共通の軸方向軸線Xに対して同軸に配置され、それぞれのU字型の切り欠きによって形成されたチャネルが整列している様子を示している。この位置から開始して、サドル2は、
図5a)の中央の列に示される状態に達するまで、最初は実質的に力および変形がない方法で、チューリップ1の上面11の開口部を通してチューリップ1に軸方向に挿入される。この目的のために、示される例示的な実施形態では、切り欠き13Aがねじ山13のねじ山リブに設けられる。さらに、この例示的な実施形態では、半径方向の寸法関係は、突起24がまた軸方向挿入中に切り欠き13Aによって形成される空間を少なくとも部分的に利用するようなものであり、言い換えれば、軸方向の挿入は、切り欠き13Aなしではより困難である。切り欠き13Aは、ねじ山13のねじ山リブのレベルで取られた断面の詳細が
図4に示されている。
【0037】
図5b)に示す位置から開始すると、上記の軸方向ロック16、26のため、最小限の力でそれ以上挿入することはできなくなる。しかしながら、その後、力によって実行される挿入によって、壁18L、18Rは、抵抗が解消され突起24が壁18L、18Rの弾性回復により肩26のレベルでくぼみ14に入ることができるまで、弾性を伴って半径方向内側に押しやられる。次に、
図5c)に示される組み立て位置に達し、これは実質的に
図1に対応する。
【0038】
この例示的な実施形態(
図3)では、突起24L、24Rの方位角範囲は約50°である。突起24の正確な形状に関係なく、特にその端部領域間の中央領域において、突出領域の方位角端部領域は、軸方向ガイドの可能な限り位置的に安定した案内を達成するために、上記の範囲の方位角距離を有することが好ましい。この目的のために、突出領域は、材料の蓄積に関して、例えば
図6に示されるように、中央の24’mよりも端部領域24’a、b、c、dで重量が大きい状態で、方位角端部領域により多くシフトすることもできる。
【0039】
図5b)の拡大底面図の軸方向断面に見られるように、突起24の下面27と肩16の上向面17は、組み立て状態を生成するときに軸方向ロックを解消しやすくするために、軸方向Xに直交するように設計されているのではなく、円錐形に設計されている。したがって、軸方向断面で見ると、突起24は、その基本形状に関してステップ形状を有することができ、上面26に対して実質的に90°のステップを、下面27に対して傾斜した段階的変化を有する(鈍角を有する)。
【0040】
断面で見ると、突出領域の三日月形の構成(
図3)が好ましい。上で説明したように、最小方位角距離の追従が提供される他の構成が考えられる(例えば、
図6)。
【0041】
上記から明らかなように、本発明は、図を参照して説明した実施形態に限定されない。むしろ、説明の個々の特徴および添付の特許請求の範囲の特徴は、その様々な実施形態における本発明の実現に不可欠である。