IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーオーピー エルエルシーの特許一覧

特許7558284強化されたUZM-44アルミノシリケートゼオライトを使用するトルエン不均化
<>
  • 特許-強化されたUZM-44アルミノシリケートゼオライトを使用するトルエン不均化 図1
  • 特許-強化されたUZM-44アルミノシリケートゼオライトを使用するトルエン不均化 図2
  • 特許-強化されたUZM-44アルミノシリケートゼオライトを使用するトルエン不均化 図3
  • 特許-強化されたUZM-44アルミノシリケートゼオライトを使用するトルエン不均化 図4
  • 特許-強化されたUZM-44アルミノシリケートゼオライトを使用するトルエン不均化 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】強化されたUZM-44アルミノシリケートゼオライトを使用するトルエン不均化
(51)【国際特許分類】
   C07C 6/12 20060101AFI20240920BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20240920BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20240920BHJP
   C01B 39/48 20060101ALI20240920BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20240920BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
C07C6/12
C07C15/04
C07C15/08
C01B39/48
B01J29/70 M
C07B61/00 300
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022549404
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021017200
(87)【国際公開番号】W WO2021167813
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】16/793,530
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ボルディン、エドウィン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、クリストファー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】エイブラムス、マルタ リー
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-511072(JP,A)
【文献】米国特許第05612270(US,A)
【文献】特表2016-503430(JP,A)
【文献】特表2016-505574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルエン不均化方法であって、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトを含む触媒と接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、
前記ゼオライトが、UZM-44であり、
前記触媒が、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、炭素の沈着のための処理、シリカの沈着のための処理、及びその両方、から選択される少なくとも一つの強化処理工程の6または7回の処理サイクルで強化されており、
前記流出物流中のベンゼン対キシレンのモル比が、1.00~1.14の範囲であり、前記流出物流中のパラキシレン対キシレンのモル比が、0.80~1.0の範囲であり、トルエンの転化率が、20%~40%である、トルエン不均化方法。
【請求項2】
前記微多孔質結晶性ゼオライトが、少なくともAlO及びSiO四面体単位の三次元骨格、並びに次の実験式で表される水素型の実験組成を含み、
M1 N+Al(l-x)Siy’z’’
式中、M1は、アルカリ、アルカリ土類金属、希土類金属、亜鉛、アンモニウムイオン、水素イオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの交換可能な陽イオンであり、「a」は、M1対(Al+E)のモル比であり、0.05~50で変化し、「N」は、M1の加重平均原子価であり、+1~+3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、「x」は、Eのモル分率であり、0~1.0で変化し、y’は、Si対(Al+E)のモル比であり、9を超えて実質的に純粋なシリカまで変化し、z’’は、O対(Al+E)のモル比であり、式:
z’’=(a・N+3+4・y’)/2
によって決定される値を有し
前記ゼオライトは、それが、少なくとも表Bに記載されるd面間隔及び強度を有するX線回折パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【表1】
【請求項3】
前記強化処理工程が、シリカの沈着のための処理を含む、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、全体が本明細書に組み込まれる、2020年2月18日に出願された、米国特許出願第16/793,530号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、微多孔質であり、角部を共有するAlO及び/又はSiO四面体から形成される、結晶性アルミノシリケート組成物である。ゼオライトは、天然に存在するものも合成によって調製されるものも、様々な工業プロセスにおいて使用される。合成ゼオライトは、Si、Alの好適な供給源、及びアルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン、又は有機アンモニウム陽イオンなどの構造指向剤を用いる水熱合成を介して調製される。構造指向剤は、ゼオライトの細孔内に存在し、最終的に形成される特定の構造に大きく関与する。これらの種は、アルミニウムに関連する骨格電荷のバランスをとり、空間充填剤としても機能することができる。ゼオライトは、均一な寸法の細孔開口部を有し、顕著なイオン交換能力を有し、永久ゼオライト結晶構造を構成する任意の原子を著しく変位させることなく、結晶の内部空隙全体に分散される、吸着相を可逆的に脱着することが可能であることを特徴とする。ゼオライトは、炭化水素転化反応のための触媒として使用することができ、これは、細孔内の外側表面上及び内部表面上で起こり得る。
【0003】
1つの特定のゼオライト、IM-5は、1996年にBenazzi,et al.によって最初に開示され(仏国特許第96/12873号、国際公開第98/17581号)、Benazzi,et al.は、ナトリウムの存在下で、柔軟性ジカチオン性構造指向剤、1,5-ビス(N-メチルピロリジニウム)ペンタンジブロミド又は1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジブロミドからのIM-5の合成を記載している。IM-5の構造がBaerlocher et al.(Science,2007,315,113-6)によって解明された後、International Zeolite Structure Commissionにより、このゼオライト構造型にIMFのコードが与えられた。International Zeolite Association Structure Commissionがhttp://www.iza-structure.org/databases/にて管理している、Atlas of Zeolite Framework Typesを参照されたい。IMF構造型はまた、3つの相互に直交しているチャネルのセットを含み、各チャネルが四面体配位原子の10員環によって画定されていることがわかった。しかしながら、三次元における連結性は、2.5nmごとに中断されるため、拡散はやや限定される。更に、複数の異なるサイズの10員環チャネルが構造内に存在する。
【0004】
出願人は、UZM-44と呼ばれる新しい材料ファミリーの調製に成功した。この材料のトポロジーは、IM-5で観察されたものと同様である。この材料は、1,5-ジブロモペンタン及び1-メチルピロリジンなどの単純な市販の構造指向剤の混合物の使用によって調製され、米国特許第8,609,920号、及び同第8,623,321号に記載されている。UZM-44は、メタン転化(米国特許第8,921,634号)、デヒドロサイクロ二量化(米国特許第8,889,939号)、触媒熱分解(米国特許第8,609,911号及び同第8,710,285号)、アルキル転位反応(米国特許第8,609,921号及び同第8,704,026号)、及び芳香族化合物の変換(米国特許第8,609,919号、同第8,748,685号、及び同第8,716,540号)を含む、いくつかの反応において触媒として利用されている。UZM-44は、トルエン不均化反応における触媒として使用され得る。
【0005】
キシレン異性体は、様々な重要な工業用化学物質の原料として石油から大量に生産される。キシレン異性体のうち最も重要なものは、ポリエステルの主要供給原料であるパラキシレンであり、多くの基本的需要によって高い成長率を享受し続けている。オルトキシレンは、大規模ではあるが成熟した市場を有する無水フタル酸を生成するために使用される。メタキシレンは、可塑剤、アゾ染料、及び木材保存剤などの製品において使用され、より小規模であるが量が増大している。
【0006】
芳香族炭化水素の中で、キシレンの全体的な重要性は、工業用化学物質の供給原料としてのベンゼンの重要性に匹敵する。キシレン又はベンゼンのいずれも、ナフサの改質によっては需要を満たすのに十分な量で石油から生成されない。したがって、キシレン及びベンゼンの生成を増加させるために、他の炭化水素の転化が必要である。多くの場合、トルエンを選択的に不均化してベンゼン及びC芳香族を生じ、これから個々のキシレン異性体が回収される。
【0007】
パラ選択的トルエン不均化は、1980年代に商業化されたプロセスであり、トルエンを、典型的には0.85超の高いパラキシレン対全キシレンモル比(pX/Xモル比)で、トルエンをベンゼン及びキシレンに転化することを目的としている。この技術は、ポリエステル及びパラキシレンに由来する他の化学物質が必要であるが、他のキシレンに対する需要が限定されている場合に特に望ましい。高pX/Xは、当初、炭素及び/又はコークスを用いた触媒の「選択化(selectivation)」によって、MFI細孔径を狭くし、MFI結晶の外表面の酸部位を覆うことで達成された。その後、触媒上にシリカを沈着させると同様の結果が達成されたことがわかった。
【0008】
米国特許第4,016,219(B1)号(Kaeding)は、少なくとも0.5質量%の量のリンの添加によって変性されたゼオライトを含む触媒を使用するトルエン不均化のためのプロセスを開示している。ゼオライトの結晶をリン化合物と接触させて、ゼオライトとリン化合物とを反応させる。次いで、変性されたゼオライトを、示されているマトリックス材料に組み込むことができる。
【0009】
米国特許第4,097,543(B1)号(Haag et al.)は、制御されたプレコーキングを受けたゼオライトを使用したパラキシレンの選択的生成のためのトルエン不均化を教示している。ゼオライトは、IB族~VIII族の様々な元素とイオン交換され、様々な粘土及び他の多孔質マトリックス材料と複合化され得る。
【0010】
米国特許第6,114,592(B1)号(Gajda et al.)は、トルエンの選択的不均化のための改善されたプロセスの組み合わせを教示している。この組み合わせは、トルエン供給原料の選択的水素化に続いて、リン酸アルミニウム結合剤中に油滴を滴下させたゼオライト触媒と接触させることにより高収率のパラキシレンを達成することを含む。
【0011】
米国特許第6,429,347(B1)号(Boldingh)は、触媒をプレコーキング条件でコークス形成供給物と接触させることによって触媒を選択的にプレコーキングした後、リン酸アルミニウムと結合したMFIゼオライトを含む触媒を使用して、パラキシレンの選択的に生成するためのトルエン不均化を教示している。
【0012】
これらのプロセスでは、選択されたゼオライトは、MFI骨格を有するZSM-5であった。これらの触媒を使用すると、十分な量のコークス又はシリカの沈着により、パラキシレン対キシレン(pX/X)のモル比を0.24の平衡レベルから0.90以上に増加させることができる。これによりpX/Xモル比が増加するが、それは常に、ベンゼン対キシレン(Bz/X)のモル比が理論値の1よりも大幅に大きくなることを伴う。pX/Xモル比が高いほど、Bz/Xモル比が高くなる。
【0013】
理論に拘束されることを望むものではないが、Bz/Xモル比の増加は、全キシレン収率の損失によって引き起こされるようである。一般に、パラキシレン収率が特定のレベルを超えて増加するにつれて、全キシレン収率は典型的には減少する。これは避けられないと考えられ、多くの研究が、Bz/Xモル比を最小限に抑えるためにコークス又はシリカの使用を最適化することを目的としてきた。最良のシリカ沈着技術を使用して、pX/Xのモル比を0.90以上に増加させるために、400psigの圧力で、30%のトルエン転化率、H/HC=2、WHSV=4の不均化条件で最大1.4のBz/Xモル比値が見られることが極めて一般的である。
【0014】
したがって、pX/Xモル比が高く(例えば、0.70以上)、Bz/Xモル比が1.2未満である改善されたトルエン不均化プロセスが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】トルエン不均化プロセスの一実施形態の図である。
図2】30%転化率での様々な触媒についてのpX/Xモル比の関数としてのBz/Xモル比を示すグラフである。
図3】30%転化率での様々な触媒についてのpX/Xモル比の関数としてのキシレンへの選択率を示すグラフである。
図4】30%転化率での様々な触媒についてのpX/Xモル比の関数としての軽留分(C1~C6)への選択率を示すグラフである。
図5】達成されたpX/Xモル比に対してプロットされた様々な触媒について30%転化率を達成するために必要な温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一態様は、トルエン不均化プロセスである。一実施形態では、プロセスは、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトと接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、流出物流中のベンゼン対キシレン(Bz/X)のモル比が、1.00~1.14の範囲であり、流出物流中のパラキシレン対キシレン(pX/X)のモル比が、0.80~1.0の範囲であり、トルエンの転化率が20%~40%である。
【0017】
本発明は、UZM-44と呼ばれるアルミノシリケートゼオライトの触媒使用に関する。UZM-44は、少なくともAlO及びSiO四面体単位の三次元骨格、並びに次の実験式で表される、合成されたままの無水基準にある実験組成を有する物質であり、
Na k+Al1-xSi
式中、「n」は、Na対(Al+E)のモル比であり、0.05~0.5の値を有し、Mは、亜鉛、周期表の第1族(IUPAC1)、第2族(IUPAC2)、第3族(IUPAC3)、及びランタニド系列、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの金属を表し、「m」は、M対(Al+E)のモル比であり、0~0.5の値を有し、「k」は、1つ又は複数の金属Mの平均電荷であり、Tは、有機構造指向剤又は反応物R及びQから誘導される薬剤であり、ここで、Rは5個の炭素原子を有するA,Ω-ジハロゲン置換アルカンであり、Qは6個以下の炭素原子を有する少なくとも1つの中性モノアミンであり、「t」は、1つ又は複数の有機構造指向剤からのN対(Al+E)のモル比であり、0.5~1.5の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、「x」はEのモル分率であり、0~1.0の値を有し、「y」は、Si対(Al+E)のモル比であり、9を超えて25まで変化し、「z」は、O対(Al+E)のモル比であり、式:
z=(n+k・m+3+4・y)/2
によって決定される値を有する。
【0018】
合成されたままのUZM-44は、少なくとも以下の表Aに記載されるd面間隔及び相対強度を有するX線回折パターンによって特徴付けられる。本明細書における回折パターンは、銅のK線Cu Kアルファを利用する、45kV及び35maで動作する高強度X線管を備えた典型的な実験室用粉末回折計を使用して得られた。平坦な圧縮粉末試料を、2°から56°(2θ)まで、連続的に走査した。角度2シータ(2θ)によって表される回折ピークの位置から、試料の特徴的な面間距離dhklは、ブラッグの式を用いて計算することができる。当業者によって理解されるとおり、パラメータ2θの決定は、人為的及び機械的誤差の両方を受けやすく、これらが組み合わさって、報告された2±の各値に対して0.4°θの不確実性を課す可能性がある。この不確実性はまた、当然ながら、2θ値から計算されるd面間隔の報告値で現れる。この不正確さは、当分野全体を通して一般的なものであり、本結晶性物質を相互と、及び先行技術の組成物と差別化することを妨げる程のものではない。
【0019】
強度は、X線回折パターン上の最も強いピークを表す線に対する100の値に起因する相対強度スケールに基づいて計算され、その結果、非常に弱い(very weak、vw)は、5未満を意味し、弱い(weak、w)は、15未満を意味し、中程度(medium、m)は、15~50の範囲内を意味し、強い(strong、s)は、50~80の範囲内を意味し、非常に強い(very strong、vs)は、80超を意味する。強度はまた、上記の範囲を含むものとして示すことができる。データ(d面間隔及び強度)が得られるX線回折パターンは、多数の反射によって特徴付けられ、そのうちのいくつかは、広いピーク又はより高い強度のピークにショルダーを形成するピークである。ショルダーの一部又はすべては、分解されない可能性がある。これは、特定のコヒーレントに成長した複合構造の、結晶化度が低い試料の場合、又はX線の著しい広がりを引き起こすのに十分小さい結晶を有する試料の場合に当てはまり得る。これはまた、回折パターンを生成するために使用される機器又は作動条件が、この場合に使用されるものとは著しく異なる場合であり得る。
【0020】
ゼオライトは、少なくとも表Aに記載されるd面間隔及び強度を有するX線回折パターンによって更に特徴付けることができる。
【0021】
【表1】
【0022】
示されているように、ゼオライトは、一実施形態では、600℃を超える温度まで、別の実施形態では少なくとも800℃まで、熱的に安定である。
【0023】
合成されたままのUZM-44材料は、その細孔内にいくらかの交換性又は電荷平衡陽イオンを含有する。これらの交換可能な陽イオンは、他の陽イオンと交換可能であるか、又は有機陽イオンの場合、制御された条件下で加熱することによって除去することができる。イオン交換によって直接UZM-44ゼオライトから一部の有機陽イオンを除去することも可能である。UZM-44ゼオライトは、特定の用途での使用に、用途に合わせるために、多くの手段で変性させることができる。変性としては、参照により全体が組み込まれる米国特許第6,776,975(B1)号のUZM-4Mの場合について概説されるように、焼成、イオン交換、蒸気処理、様々な酸抽出、アンモニウムヘキサフルオロシリケート処理、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。条件は、米国特許第6,776,975号に示されるものよりも苛酷であり得る。変性させる特性としては、多孔性、吸着性、Si/Al比、酸度、熱安定性などが挙げられる。
【0024】
焼成、イオン交換及び焼成の後、並びに無水基準で、変性微多孔質結晶性ゼオライトUZM-44は、少なくともAlO及びSiO四面体単位の三次元骨格、並びに次の実験式によって表される水素型の実験組成を有し、
M1 N+Al(l-x)Siy’z’’
式中、M1は、アルカリ、アルカリ土類金属、希土類金属、アンモニウムイオン、水素イオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの交換可能な陽イオンであり、「a」は、M1対(Al+E)のモル比であり、0.05~50で変化し、「N」はM1の加重平均原子価であり、+1~+3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、「x」はEのモル分率であり、0~1.0で変化し、y’は、Si対(Al+E)のモル比であり、9を超えて実質的に純粋なシリカまで変化し、「z’’」は、O対(Al+E)のモル比であり、式:
z’’=(a・N+3+4・y’)/2
によって決定される値を有する。
【0025】
水素型では、焼成、イオン交換及び焼成を行ってNHを除去した後、変性UZM-44(UZM-44M)は、少なくとも表Bに記載のd面間隔及び強度を有するX線回折パターンを示す。UZM-44のこれらのピーク特性を表Bに示す。追加のピーク、特に非常に弱い強度の追加のピークもまた存在し得る。UZM-44中に存在する中程度、又はより高い強度のすべてのピークが表Bに示される。
【0026】
【表2】
【0027】
表面積、微細孔容積、及び総細孔容積は、例えば、Micromeritics ASAP 2010ソフトウェアで実施される吸着等温線のt-プロット分析と組み合わせた分析の従来のBET法(J.Am.Chem.Soc.,1938,60,309-16)を使用したN吸着によって決定することができる。t-プロットは、多層吸着の数学的表現であり、分析下でゼオライト材料の微細孔に吸着されたNの量を決定することを可能にする。特に、本明細書に記載の材料については、0.45、0.50、0.55、0.60、及び0.65P/Pの点を使用して、t-プロット線の傾きを決定し、その切片が微細孔容積である。全細孔容積は、0.98P/Pで決定される。本発明で利用されるUZM-44は、0.155mL/g未満、典型的には0.150mL/g未満、しばしば0.145mL/g未満の微細孔容積を有する。更に、dV/dlogD対細孔直径プロット(細孔直径の関数として吸着された窒素の微分量)を見ると、本発明で利用されるUZM-44は、約200~300Åでは特徴を含まない。UZM-44は、450Å超で生ずる吸着特徴を有する。一実施形態において、0.1mLを超えるN/gÅは、475Åの細孔直径で示差的に吸着(differentially adsorbed)される。好ましくは、0.1mLを超えるN/gÅは、475Åを超える細孔直径で示差的に吸着され、示差的に吸着されることは、特定の細孔直径で吸着された窒素の微分体積を示す。
【0028】
本明細書でゼオライト出発物質の割合又はゼオライト生成物などの吸着特性を指定する際には、特に明記しない限り、ゼオライトの「無水状態」が意図される。「無水状態」という用語は、物理的に吸着された水及び化学的に吸着された水の両方を実質的に欠いているゼオライトを指すために本明細書で使用される。
【0029】
UZM-44又はUZM-44Mは、トルエン不均化中に達成されるpX/X比を増加させるために強化され得る。強化は、トルエン不均化中に平衡値0.24を大幅に上回るpX/Xモル比を増加させる工程を示すことを意味する。3つの既知の例は、炭素の沈着、シリカでの処理、及び炭素及び/又はシリカの沈着後の蒸気処理である。
【0030】
驚くべきことに、不均化条件中に達成されるpX/Xモル比が0.6超まで強化工程を受けたUZM-44を含む触媒は、過剰なベンゼンを生成することなく、高pX/Xモル比と高い全キシレン選択率との独自の組み合わせを有していたことが見出された。
【0031】
触媒は、不均化触媒の製造を促進し、強度を提供し、製造コストを低減すること、又はそれらの組み合わせを目的とした耐火性結合剤又はマトリックスを更に含み得る。結合剤は、組成が均一であり、プロセスで使用される条件に対して比較的耐火性であり得る。好適な結合剤としては、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、クロミア、チタニア、ボリア、トリア、リン酸塩、酸化亜鉛、及びシリカ、のうちの1つ以上などの無機酸化物が挙げられ得る。アルミナ及び/又はシリカは、好ましい結合剤である。結合触媒中に存在するゼオライトの量は、かなり変化し得るが、通常、触媒の30~90質量パーセント、好ましくは50~80質量パーセントの量で存在する。
【0032】
シリカを沈着させるための例示的な強化工程は、ゼオライトをオルトケイ酸テトラエチル(tetraethylorthosilicate、TEOS)などのケイ素試薬に曝露し、続いて焼成工程を含む。シリカ処理による例示的な強化は、シリカをゼオライトに組み込む。シリカの沈着による強化は、ゼオライトの処理によって行うことができ、耐火性酸化物と結合する前にゼオライトに対して行うことができ、又は結合された触媒に対して行うことができる。
【0033】
一態様では、UZM-44は、強化の前に金属酸化物結合剤とともに押し出され得る。イオン交換ゼオライト粉末は、SiO、TiO、ZrO、Alを含むもの、又はそれらの混合物を含む耐火性金属酸化物を有する円柱状又はトリローブ(trilobe)として押出成形されてもよい。一態様では、耐火金属酸化物は、SiOであり得る。ゼオライト及び耐火金属酸化物の相対的な添加量は、変化し得る。触媒押出物中のゼオライト含有量は、50重量%超、又は55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は95重量%未満、又は90重量%未満、又は80重量%未満であり得る。押出機のサイズ及び形状は、既知の技術的境界内で変化し得、1.6mmの円柱状及びトリローブが好ましい。押出物の幅は、0.75mm~4mm、又は1.0mm~3mmであり得る。
【0034】
乾燥押出物は、空気中350℃~600℃の範囲の温度で5分~6時間で焼成され得る。15分~4時間、又は30分~3時間の時間が許容可能であり得る。400℃~550℃、又は450℃~550℃の温度が許容可能であり得る。任意選択で、押出物は、10:1:1の重量比の水:硝酸アンモニウム:押出物を使用して75℃で1時間イオン交換することができる。イオン交換された場合、押出物を、脱イオンHOで複数回すすぐ。利用される場合、必要に応じてイオン交換を繰り返すことができる。次いで、最終乾燥押出物は、上記のように焼成することができる。
【0035】
シリカによる強化処理は、試料を容器に入れ、有機溶媒を添加することによって進行し得る。一態様では、添加される有機溶媒の量は、表1から決定され得る。容器を、有機溶媒の還流温度で1時間加熱することができ、その間に水をシステムから除去することができる。次いで、ケイ素試薬を容器に添加してもよい。一態様では、ケイ素試薬は、ケイ素アルコキシドを含むが、これらに限定されない。好適なケイ素アルコキシドとしては、オルトケイ酸テトラメチル(tetramethyl orthosilicate、TMOS)、オルトケイ酸テトラエチル(tetraethyl orthosilicate、TEOS)、オルトケイ酸テトラプロピル(tetrapropyl orthosilicate、TPOS)、オルトケイ酸テトライソプロピル(tetraisopropyl orthosilicate、TiPOS)、オルトケイ酸テトラブチル(tetrabutyl orthosilicate、TBOS)が挙げられるが、これらに限定されない。ケイ素試薬は、ケイ素の部分的に加水分解されたアルコキシド又はシロキサンであり得る。好適な供給源は、Evonikから入手可能なDynaslan(登録商標)Silbond(登録商標)ファミリーのうちの1つであり得る。ケイ素試薬は、クロロシランであり得る。使用されるケイ素試薬の濃度は、試料重量に基づいて5~25重量%の範囲であり得る。
【0036】
ケイ素試薬が添加されると、容器の内容物を還流で5分~8時間、又は30分~4時間反応させることができる。還流後、溶媒を試料から除去することができる。好適な溶媒除去方法は、デカンテーション、蒸留、又は減圧蒸留を含み得る。次いで、試料を少なくとも175℃~最大600℃の熱処理工程に曝露して、強化された触媒を形成することができる。強化処理は、所望のpX/X選択率を達成するために、必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0037】
炭素の沈着による強化は、より高温、より低圧、より高空間速度、又はより高い水素対炭化水素比のうちの1つ以上を含む後続の不均化工程に関連する条件下で行われ得る。そのような炭素沈着条件は、100kPa~4MPa絶対圧の圧力、及び0.2~10hr-1の単位時間当たりの液空間速度を含み得る。条件は、反応温度よりも少なくとも50℃高い入口温度、反応圧力よりも少なくとも100kPaが低い圧力、又は好ましくは後続の不均化工程で利用される圧力の半分以下の圧力、のうちの1つ以上を含み得る。好ましくは、遊離水素対供給原料コークス形成炭化水素のモル比は、後続の不均化工程で利用されるそのモル比の半分以下である。より低い圧力及び/又はより低い水素/炭化水素比は、発熱芳香族飽和反応の割合を低下させ、したがって温度上昇を制限し、その結果、比較的平らな温度プロファイルになるはずである。したがって、典型的な温度範囲は、300℃~700℃であり、典型的な水素対コークス形成供給物の範囲は、0.01~5である。炭素の沈着による強化は、5~40質量%の炭素、好ましくは10~30質量%の炭素の触媒炭素含有量をもたらし得る。炭素を沈着させるためのコークス形成供給物は、以下に記載する不均化工程への供給原料を含み得る。一態様では、トルエン、又は好ましくは芳香族を含む、当該技術分野で既知の又は他の特定の炭化水素又は混合物をコークス形成供給物として使用することができる。
【0038】
UZM-44は、炭素及び/又はシリカで1回以上強化され得る。強化は、ゼオライトを含む触媒中に炭素又はシリカを組み込むことができる。「中に」とは、その表面中又は表面上を意味し、炭素又はシリカの強化が、ゼオライト結晶の外面上に、並びに/又は存在する任意の耐火性酸化物の外面上及び/若しくはその細孔構造内に材料を沈着させる得ることを示すことを意味する。理論に拘束されることを望むものではないが、「中に」は、ゼオライトの微細孔内に材料の沈着を説明するものではない。一実施形態では、強化は、ゼオライト上で実施するか、上記耐火性酸化物と結合する前にゼオライト上で実施するか、又はUZM-44又はUZM-44Mを含む結合触媒上で実施することができる。不均化条件で所望の選択率が達成されるまで、個々の強化工程を繰り返すことができる。一態様では、強化工程は、pX/Xが0.6を超える、又は0.7を超える、又は0.8を超える、又は0.85を超える、又は0.9を超えるまで、実行することができる。
【0039】
炭素の沈着又はシリカの沈着による強化に続いて、強化されたUZM-44は、任意選択的に蒸気処理を受けることができる。強化後の蒸気処理は、不均化中に達成されるpX/Xを増加させ得る。しかしながら、蒸気処理はまた、ゼオライト又は触媒の活性を低減し得る。一態様では、蒸気処理条件は、100℃~750℃、又は200℃~700℃、又は450℃~650℃の温度、0.1~0.5、又は0.15~0.35の水の分圧、10分~26時間、又は30分~6時間の時間を利用することができる。一態様では、不均化中の高いpX/X比は、1つ若しくは複数の強化工程によって、又は1つ若しくは複数の強化工程と1つ若しくは複数の蒸気処理工程との組み合わせによって達成され得る。蒸気処理工程及び強化工程は、高pX/Xを達成するために見出される任意の順序で実行され得る。
【0040】
本発明の強化されたUZM-44ゼオライトは、トルエン不均化プロセスにおいて触媒又は触媒担体として利用され得る。
【0041】
トルエン不均化プロセスは、トルエンを含む供給流をゼオライトを含む触媒と不均化条件で接触させて、ベンゼン及びキシレンを含む流出物流を得ることを含む。本発明のような選択的不均化プロセスでは、触媒は、十分な量のコークス又はシリカの沈着によって、平衡レベル0.24~0.60以上のパラキシレン対キシレン(pX/X)のモル比を増加させるために、1つ以上の処理工程によって強化されている可能性がある。この強化により、pX/Xモル比が増加するが、これまでは、これにはベンゼン対キシレン(Bz/X)のモル比が1の理論値よりも大幅に大きくなることが伴っていた。最良のシリカ沈着技術を使用して、pX/Xのモル比を0.90以上に増加させるために、2.8MPa(g)の圧力で30%トルエン転化率、H/HC=2、WHSV=4hr-1を含み得る不均化条件で最大1.4のBz/Xモル比値が見られることが一般的である。
【0042】
理想的には、トルエン不均化プロセスは、反応からキシレン収率を最大化しながら、最高のトルエン転化率で作動する。一態様では、トルエン転化率は、20重量%超、又は25重量%以上、又は28重量%超、又は30重量%超、又は32重量%超、又は35重量%超、又は50重量%未満、又は40重量%未満、又は35重量%未満であり得る。
【0043】
不均化反応のための供給物は、任意選択的にはCの二重芳香族化合物と組み合わせて、トルエンを含むことができ、好適には1つ又は様々な供給源に由来する。供給原料は、例えば、ナフサから、触媒改質によって、又は熱分解とそれに続く水素化処理により合成的に生成して、芳香族に富む生成物を得ることができる。供給原料は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素との混合物からの芳香族炭化水素の抽出及び抽出物の分別によって、好適な純度でそのような生成物から得ることができる。例えば、芳香族化合物は、改質油から回収され得る。供給物は、質量で少なくとも80%のトルエン、又は85%を超えるトルエン、又は90%を超えるトルエン、又は95%を超えるトルエン、又は更には98.5%を超えるトルエンを含み得る。供給物は、質量で90%を超える芳香族化合物、又は95%を超える芳香族化合物、又は98%を超える芳香族化合物、又は99%を超える芳香族化合物、又は更には99.5%を超える芳香族化合物を含み得る。一態様では、供給原料は、10質量%以下の非芳香族化合物を含有し得る。一態様では、供給物は、10質量%以下のベンゼンを含有し得る。一態様では、供給物は、10質量%以下のキシレンを含有し得る。一態様では、供給物は、10質量%以下のA9芳香族化合物を含有し得る。望ましくは、非芳香族化合物、ベンゼン、キシレン、及びA9芳香族化合物は、0質量%に近い。一態様では、この段落に列挙される条件のうちのすべて又は任意の条件の混合は、供給物の特性評価に適用され得る。
【0044】
不均化反応条件は、200℃~600℃、又は300℃~450℃、又は350℃~425℃の範囲の温度を含み得る。圧力は、1.0MPa~7.0MPa、又は1.4MPa(g)~4.5MPa(g)、又は2.0MPa(g)~3.5MPa(g)の範囲であり得る。不均化反応は、広範囲の空間速度にわたって行うことができ、より高い空間速度は、転化率を犠牲にしてパラキシレンのより高い比率をもたらす。単位時間当たりの重量空間速度(weight hourly space velocit、WHSV)は、0.5~10hr-1の範囲、又は1.0~7hr-1の範囲、又は1.0~5hr-1の範囲であり得る。水素対炭化水素の比は、供給原料の炭化水素と比較した遊離水素のモル比に基づいて計算される。0.5を超える、好ましくは1~5の範囲の炭化水素対水素の周期的増加は、ソフトコークスの水素化による触媒の再生を可能にし得る。水素対炭化水素比は、0.25~10、又は0.5~5の範囲であり得る。
【0045】
流出物中のパラキシレン対キシレン(pX/X)のモル比は、選択的トルエン不均化プロセスにおける重要な要素である。平衡pX/Xは、トルエン不均化条件で0.24であるため、パラ選択的トルエン不均化プロセスは、0.25を超える、又は0.30を超えるpX/Xを含む流出物を生成する。トルエン不均化プロセスからの流出物は、0.60を超える、又は0.70を超える、又は0.75を超える、又は0.80を超える、又は0.85を超える、又は0.90を超えるpX/Xモル比を有することができ、0.98未満、又は0.96未満、又は0.94未満であり得る。
【0046】
理想的には、トルエン不均化プロセスは、1.00の流出物中のベンゼン対キシレンモル比(Bz/X)で作動する。1.00のBz/Xは、生成されたベンゼンの1モルごとに、キシレンの1モルが生成されることを示す。1.00に近いBz/X比が好ましく、一態様では、Bz/Xモル比は、1.20未満、又は1.16未満、又は1.12未満、又は1.08未満、又は1.06未満、又は1.05未満、又は1.04未満、又は1.03未満、又は1.02未満、又は1.01未満、及び1.00超、又は0.99超、又は0.98超であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.25~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して0.98~1.20の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.25~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して0.98~1.16の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.25~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して0.98~1.12の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.25~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して0.98~1.08の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.25~0.90の範囲のpX/Xモル比に関して0.98~1.06の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.25~0.85の範囲のpX/Xモル比に関して0.98~1.05の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.25~0.85の範囲のpX/Xモル比に関して0.98~1.02の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.98~1.01の範囲のpX/Xモル比に関して0.25~0.80の範囲のである。いくつかの実施形態では、Bz/X比は、0.80~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して1.00~1.20の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/X比は、0.80~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して1.00~1.16の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/Xモル比は、0.80~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して1.00~1.12の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/X比は、0.80~0.95の範囲のpX/Xモル比に関して1.00~1.08の範囲である。いくつかの実施形態では、Bz/X比は、0.80~0.90の範囲のpX/Xモル比に関して1.00~1.06の範囲である。
【0047】
供給物がベンゼン又はキシレンを含有する場合、供給物中のベンゼン又はキシレン又はパラキシレンの量は、Bz/X比及びpX/X比を決定するために生成物中の量から差し引かれる。言い換えれば、
Bz/Xモル比=(Bz生成物-Bz供給物)/(X生成物-X供給物)である。
【0048】
更に、パラキシレン対全キシレンモル比は、pX/Xモル比=(pX生成物-pX供給物)/(X生成物-X供給物)=PXXによって決定することができる。
【0049】
ベンゼン対キシレンのモル比Bz/Xと、パラキシレン対キシレンのモル比pX/Xとの間には関係が存在し、XとしてpX/Xが増加すると、Bz/Xが増加する。驚くべきことに、UZM-44を含む触媒は、以前に既知の触媒よりもこの問題の影響をかなり受けにくい。したがって、pX/Xが0.60~1.0の範囲にある場合、Bz/Xは、1.00~0.375PXX+0.825の範囲であり得、PXXは、パラキシレン対キシレンモル比である。理論に束縛されるものではないが、この式により、当業者は、0.60のpX/Xの場合、Bz/Xが1.00~1.05の範囲であり得ることを計算することができる。0.80のpX/Xでは、Bz/Xは、1.00~1.13の範囲であり得る。0.90のpX/Xでは、Bz/Xは、1.00~1.16の範囲であり得る。
【0050】
すべてのpX/Xモル比でのキシレンに対する非常に高い選択率は、0.8を超えるpX/Xモル比であっても、UZM-44を使用して作製された強化された触媒を利用して達成できる。キシレンに対する選択率は、0.3~0.9以上の範囲のpX/Xモル比で52%超、又は0.3~0.85以上の範囲のpX/Xモル比で53%超、又は0.3~0.85以上のpX/Xモル比で54%超、又は0.3~0.8以上のpX/Xモル比で55%超であり得る。一態様では、この段落に列挙される条件のうちのすべて又は任意の条件の混合は、0.6~0.95の範囲のpX/Xモル比、又は0.8~0.95の範囲のpX/Xモル比で適用され得る。
【0051】
0.8を超えるpX/Xのモル比でさえ、すべてのpX/Xのモル比でUZM-44を使用して作製された強化された触媒を利用して、軽留分(例えば、C-C炭化水素)に対する非常に低い選択率を達成することができる。軽留分に対する選択率は、0.3~0.9以上の範囲のpX/Xモル比で3.5重量%未満、又は0.3~0.9以上の範囲のpX/Xモル比で3重量%未満、又は0.3~0.85以上の範囲のpX/Xモル比で2重量%未満、又は0.3~0.8以上の範囲のpX/Xモル比で1.5重量%未満、又は0.3~0.8以上の範囲のpX/Xモル比で1重量%未満であり得る。一態様では、この段落に列挙される条件のうちのすべて又は任意の条件の混合は、0.6~0.95の範囲のpX/Xモル比、又は0.8~0.95の範囲のpX/Xモル比で適用され得る。
【0052】
本発明の強化された触媒は、低い環損失を有し得る。環損失は、生成物中の単環芳香族のモルを供給物中の単環芳香族のモル数から引いたものを供給物中の単環芳香族のモル数で割り、100を掛けることによって計算され得る。したがって、環損失=(Ar生成物-Ar供給物)/(Ar供給物100である。単環芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、キシレン、9炭素芳香族分子、10炭素芳香族分子などを含み得る。単環芳香族は、ナフタレンを含まない。理論に束縛されるものではないが、軽留分に対する選択率及び環損失は、クラッキングによって比例し得る。すなわち、軽留分に対する選択率が高い触媒も、高い環損失を有し得る。軽留分は、1~6個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素を示す。一態様では、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、及びシクロヘキサンは、軽留分を含み得る。一態様では、環損失は、1.5%未満、又は1.4%未満、又は1.3%未満、又は1.2%未満、又は1.1%未満、又は1.0%未満、又は0.8%未満、又は0.65%未満、又は0.5%未満であり得る。
【0053】
一態様では、業界において、不均化中のメチル基の保持が望まれている。ベンゼンは、ベンゼン1モル当たりゼロモルのメチル基、トルエンは、トルエン1モル当たり1モルのメチル基、キシレンは2モルなどである。流れ中のメチル対フェニル比は、流れ中のメチル基のモル数を流れ中の単環芳香族化合物のモル数で割ることによって計算することができる。一態様では、生成物のメチル対フェニル比は、供給物のメチル対フェニル比と同様であり得る。MPPは、生成物流のメチル対フェニル比を供給流のメチル対フェニル比で割ることによって計算される。MPPは、0.96超、又は0.97超、又は0.98超、又は0.99超、及び1.0未満であり得る。
【0054】
強化されたUZM-44ゼオライトは、図1に示されるものなどのトルエンの不均プロセスで使用することができる。トルエン不均化プロセスは、複数のモジュールを含み得る。一態様では、トルエンを含む供給流100は、第2の流れ304と統合されて、反応ゾーン200に送られる統合供給流102を形成する。不均化プロセス内で、供給流又は統合供給流は、反応ゾーンの流出物に対する間接熱交換によって最初に加熱され、次いで、燃焼加熱器内で更に加熱され得る。得られた蒸気流は、1つ以上の個々の反応器を備え得る反応ゾーンを通過する。供給物は、望ましくは、10質量%未満のベンゼン、10質量%未満のキシレン、10質量%未満のA9芳香族化合物、及び10質量%未満の非芳香族化合物を含有する。ベンゼン、キシレン、A9芳香族化合物、及び非芳香族化合物は、統合供給流102において5質量%未満であり得る。これらのすべては、0質量%に近いことが望ましい。
【0055】
反応ゾーン200は、1つ以上の反応器を含み得る。1つ以上の反応器は、固定床反応器であり得、UZM-44を含む触媒の1つ又は複数の固定床が配置される。触媒の固定円筒床を有する単一の反応容器の使用が好ましいが、必要に応じて、触媒の移動床又は半径流式反応器を利用する他の反応構成を用いてもよい。反応ゾーン200における反応条件は、前述の不均化反応条件を含み得る。
【0056】
反応ゾーンを通る統合供給流102の通過は、水素、生成炭化水素、及び未転化供給炭化水素を含む蒸気状流出物204の生成をもたらす。反応ゾーン200からの流出物204が生成され、流出物204は、統合流102に存在するよりも高い濃度のpXを有する。一態様では、PXXは、0.6より高く、又は0.7より高く、又は0.8より高く、又は0.85より高く、又は0.9より高くなり得る。流出物204は、分離ゾーン300に通されて、未反応のトルエンを生成物ベンゼン及びキシレンから分離することができる。この流出物は通常、反応ゾーンに入る流れに対する間接熱交換によって冷却され得、次いで、空気又は冷却水の使用を通じて更に冷却される。流出物流の温度は、1分子当たり6個以上の炭素原子を有する供給物及び生成炭化水素の実質的にすべての凝縮をもたらすのに十分な熱交換によって低下させることができる。得られた混合相流は、気液分離機に送られ得、そこで2つの相が分離され、そこから水素に富む蒸気が、第1の再循環流で反応ゾーンに再循環される。
【0057】
分離ゾーン300は、1つ以上の蒸留塔を含み得る。分離機からの凝縮物は、ストリッピング塔に通され得、そこで流出物中に存在する実質的にすべてのC及び軽質炭化水素が、塔頂流に濃縮され、プロセスから除去される。不均化流出物流と呼ばれる芳香族に富む流れは、正味のストリッパー塔底流として回収され得る。一態様では、ベンゼン塔及びトルエン塔が存在し得る。不均化流出物流は、分離ゾーン中のベンゼン塔及びトルエン塔に供給され得る。ベンゼンを含む第1の流れ302は、分離され及び芳香族複合体における他の反応操作に利用され得るか、又は販売のためにタンクに送られ得る。一態様では、第1の流れ302は、ベンゼン塔からの塔頂流であり得る。トルエンを含む第2の流れ304は、分離され得る。一態様では、第2の流れ304の全部又は一部は、統合供給流102の一部として反応ゾーンに再循環させることができる。一態様では、第2の流れ304は、10質量%未満のベンゼン、又は5質量%未満のベンゼン、又は3質量%未満のベンゼン、又は1質量%未満のベンゼンを含む。一態様では、第2の流れ304は、ベンゼンを本質的に含まない。「本質的に含まない」とは、0.1質量%未満を意味する。一態様では、第2の流れ304は、10質量%未満のキシレン、又は5質量%未満のキシレン、又は3%未満のキシレン、又は1質量%未満のキシレンを含む。一態様では、第2の流れ304は、本質的にキシレンを含まない。一態様では、第2の流れ304は、トルエン塔の塔頂流であり得る。一態様では、ベンゼン塔からの塔底流は、トルエン塔に供給され得る。キシレンを含む第3の流れ306が分離され得る。
【0058】
第3の流れ306は、所望のパラキシレン純度に応じて、あるとして利用され得るか、又はpX精製セクション400に送られ得る。一態様では、分離ゾーン又はpX精製セクションはまた、エチルベンゼン転化及び脱アルキル化のための触媒アルキル芳香族ゾーンを含み得る。精製セクション400は、1つ以上のpX精製デバイスを含み得る。多くのpX精製デバイスが知られており、これらには、UOPから入手可能なParex(商標)プロセスのような結晶化プロセス及び吸着分離プロセスが含まれるが、これらに限定されない。各場合において、最大100%pXを含む精製pX流れ404が形成され得る。精製セクション400はまた、メタキシレン(meta-xylene、mX)及びオルトキシレン(ortho-xylene、oX)を含む排除(reject)流402を生成し得る。排除流402はまた、エチルベンゼン(ethylbenzene、EB)を含み得る。排除流は、プロセスからパージすることができる。排除流の例示的な使用は、UOPから入手可能なIsomar(商標)プロセスなどのキシレン異性化プロセスへの供給物としてあり得る。キシレン異性化生成物は、精製セクション400に再循環され得る。
【0059】
本発明の一態様は、トルエン不均化プロセスである。一実施形態では、プロセスは、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトを含む触媒と接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、流出物流中のパラキシレン及びベンゼンのモル比が1.00~1.14の範囲であり、流出物流中のパラキシレン対キシレンのモル比が0.80~1.0の範囲であり、トルエンの転化率は、20%~40%である。
【0060】
いくつかの実施形態では、ベンゼン対キシレンのモル比は、1.00~1.08の範囲である。
【0061】
微多孔質結晶性ゼオライトが、少なくともAlO及びSiO四面体単位の三次元骨格、並びに次の実験式で表される水素型の実験組成を含み、
M1 N+Al(l-x)Siy’z’’
式中、M1は、アルカリ、アルカリ土類金属、希土類金属、亜鉛、アンモニウムイオン、水素イオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの交換可能な陽イオンであり、「a」は、M1対(Al+E)のモル比であり、0.05~50で変化し、「N」は、M1の加重平均原子価であり、+1~+3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、「x」は、Eのモル分率であり、0~1.0で変化し、y’は、Si対(Al+E)のモル比であり、9を超えて実質的に純粋なシリカまで変化し、z’’は、O対(Al+E)のモル比であり、式:
z’’=(a・N+3+4・y’)/2
によって決定される値を有し、
ゼオライトは、それが、少なくとも表Bに記載されるd面間隔及び強度を有するX線回折パターンを有することを特徴とする。
【0062】
【表3】
【0063】
いくつかの実施形態では、触媒は、少なくとも1つの強化処理工程で強化されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの強化処理工程は、シリカを組み込むための少なくとも1つの処理を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、触媒は、少なくとも1つの強化処理工程の後に蒸気処理される。
【0066】
いくつかの実施形態では、ベンゼン対キシレンのモル比は、0.80~0.95の範囲のパラキシレン対キシレンのモル比に関して1.00~1.08の範囲である。
【0067】
いくつかの実施形態では、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、キシレンに対する選択率は52%を超える。
【0068】
いくつかの実施形態では、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、軽留分に対する選択率は3.5%未満である。
【0069】
いくつかの実施形態では、不均化条件は、200℃~600℃の範囲の温度、1.4~4.5MPa(g)の範囲の圧力、0.1~10hr-1の範囲の重量空間速度、又は0.25:1~10:1の範囲の水素対炭化水素比、のうちの1つ以上を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、環損失は、1.5%未満である。
【0071】
本発明の別の態様は、トルエン不均化プロセスである。一実施形態では、プロセスは、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトを含む触媒と接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、流出物流中のパラキシレン及びベンゼンのモル比が1.00~1.20の範囲であり、流出物流中のパラキシレン対キシレンのモル比が0.60~1.0の範囲であり、ゼオライトが、少なくともAlO及びSiO四面体単位の三次元骨格、並びに次の実験式で表される水素型の実験組成を有し、
M1 N+Al(l-x)Siy’z’’
式中、M1は、アルカリ、アルカリ土類金属、希土類金属、亜鉛、アンモニウムイオン、水素イオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの交換可能な陽イオンであり、「a」は、M1対(Al+E)のモル比であり、0.05~50で変化し、「N」は、M1の加重平均原子価であり、+1~+3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、「x」は、Eのモル分率であり、0~1.0で変化し、y’は、Si対(Al+E)のモル比であり、9を超えて実質的に純粋なシリカまで変化し、z’’は、O対(Al+E)のモル比であり、式:
z’’=(a・N+3+4・y’)/2
によって決定される値を有し、
ゼオライトは、それが、少なくとも表Bに記載されるd面間隔及び強度を有するX線回折パターンを有することを特徴とする。
【0072】
【表4】
【0073】
いくつかの実施形態では、トルエンの転化率は、20%~40%である。
【0074】
いくつかの実施形態では、ゼオライトは、炭素の沈着のための処理、シリカの沈着のための処理、又はその両方から選択される少なくとも1つの強化で強化されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、触媒は、少なくとも1つの強化処理工程の後に蒸気処理される。
【0076】
いくつかの実施形態では、ベンゼン対キシレンのモル比は、0.80~0.95の範囲のパラキシレン対キシレンのモル比に関して1.00~1.08の範囲である。
【0077】
いくつかの実施形態では、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、キシレンに対する選択率は52%を超える。
【0078】
いくつかの実施形態では、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、軽留分に対する選択率は3.5%未満である。
【0079】
いくつかの実施形態では、不均化条件は、200℃~600℃の範囲の温度、1.4~4.5MPa(g)の範囲の圧力、0.1~10hr-1の範囲の重量空間速度、又は0.25~10の範囲の水素対炭化水素比、のうちの1つ以上を含む。
【0080】
本発明の別の態様は、トルエン不均化プロセスである。一実施形態では、プロセスは、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトを含む触媒と接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、ここで、PXXが、流出物流中のパラキシレン対キシレンのモル比であり、BXが、流出物流中のベンゼン対キシレンのモル比であり、PXXが、0.60~1.0の範囲である場合、BXは、1.00~0.375PXX+0.825の範囲である。
【0081】
特定の場合では、合成された生成物の純度は、そのX線粉末回折パターンを参照して評価され得る。したがって、例えば、試料が純粋であると述べられている場合、この試料のx線パターンが結晶性不純物に起因する線を含まないことのみが意図されており、非晶質物質が存在しないことを意図するものではない。
【0082】
本発明をより完全に説明するために、以下の実施例が記載される。実施例は例示目的に過ぎず、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の広範な範囲に対する過度の限定として意図するものではないことを理解されたい。
【実施例
【0083】
UZM-44ゼオライト材料を、米国特許第8,609,920号及び同第8,623,321号に記載されている手順に従って、28SiO/Al比で調製した。MFI#1は、UOPから入手可能な38SiO/Al比のMFIゼオライトである。MFI#2は、Zeolystから入手可能な23SiOSiO/Al比のMFIゼオライトである。
【0084】
標準触媒押出
ゼオライトは、典型的には、強化前に押し出し成形された。特に明記しない限り、イオン交換ゼオライト粉末を、35重量%のSiOを有する1/16インチの円柱又はトリローブとして押し出し、一晩乾燥させた。乾燥した押出物を空気中550℃で2~4時間焼成した。場合によっては、10:1:1重量比の水:硝酸アンモニウム:押出物を使用して75℃で1時間イオン交換した。イオン交換した場合、試料を脱イオンHOで複数回すすいだ。イオン交換を3回繰り返し、最終乾燥押出物を450~500℃の空気中で4時間焼成した。
【0085】
一般的な強化手順:
強化される試料をガラス丸底フラスコに入れ、適切な量の表1からの有機溶媒を添加した。ディーンスタークトラップ及び凝縮器を丸底フラスコに取り付け、追加の溶媒で充填し、錫箔で断熱した。フラスコを加熱マントルで1時間加熱還流させ、その後、ディーンスタークトラップを排出し、フラスコから除去した。特に明記しない限り、オルトケイ酸テトラエチル又は他のケイ素試薬を、試料重量に基づいて14重量%でフラスコに添加した。凝縮器を再び取り付け、フラスコの内容物を還流下で2時間反応させた。次いで、デカンテーション、蒸留、又は減圧蒸留を介して試料から溶媒を除去した。その後、試料は少なくとも175℃の熱処理工程を通して、強化触媒を形成させた。所望のpX/X選択率を達成するために、必要な回数だけ強化処理を繰り返した。
【0086】
【表5】
【0087】
実施例1.UZM-44を、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0088】
実施例2.UZM-44を、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、6処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0089】
実施例3.UZM-44を、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、5処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0090】
実施例4.UZM-44を、溶媒除去法としての回転蒸発を使用して、14%TEOS濃度で6処理サイクル及び6%TEOS濃度で7回目処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0091】
比較例5~31.例5~24は、MFI#1で作製される。例25~31は、MFI#2で作製される。
【0092】
比較例5.MFI#1を、溶媒としてヘキサンを使用して、3処理サイクルでの調製で使用した。
【0093】
比較例6.MFI#1を、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0094】
比較例7.MFI#1を、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0095】
比較例8.MFI#1を、4処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0096】
比較例9.MFI#1を、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0097】
比較例10.MFI#1を、4処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0098】
比較例11.MFI#1を、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0099】
比較例12.MFI#1を、4処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0100】
比較例13.MFI#1を、溶媒は蒸留によって除去する、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0101】
比較例14.MFI#1を、70%ゼオライト含有量でTiOとともに押し出し、4標準的処理サイクルで処理した。
【0102】
比較例15.MFI#1を、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0103】
比較例16.MFI#1を、2処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0104】
比較例17.MFI#1を、3処理サイクルの前にヘキサン中20%TEOSを使用して、標準的な調製で使用した。
【0105】
比較例18.MFI#1を、溶媒としてヘキサンを使用し190℃の加熱工程が続く3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0106】
比較例19.MFI#1を、溶媒としてヘキサン及び溶媒除去法として蒸留を使用して3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0107】
比較例20.MFI#1を、溶媒としてn-オクタン及び溶媒除去法としてデカンテーションを使用して2処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0108】
比較例21.MFI#1を、溶媒としてn-デカン及び溶媒除去法としてデカンテーションを使用して3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0109】
比較例22.MFI#1を、シクロヘキサン中の10.2%TMOSを使用して、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0110】
比較例23.MFI#1を、トルエン中の14%TBOSを使用し、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、2処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0111】
比較例24.MFI#1を、Dynaslan Silbond、Evonikから入手可能なTEOS由来の製品の4処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0112】
比較例25.MFI#2を、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0113】
比較例26.MFI#2を、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0114】
比較例27.MFI#2を、米国特許第4,629,717号に記載されている方法を使用して、ZrOを70%ゼオライト含有量で含む球形にした。次に、70/30のMFI/ZrOの球体を3処理サイクルで強化した。
【0115】
比較例28.MFI#2を、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、1処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0116】
比較例29.MFI#2を、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、2処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0117】
比較例30.MFI#2を、溶媒除去法として回転蒸発を使用して、3処理サイクルでの標準的な調製で使用した。
【0118】
比較例31.MFI#2を、1サイクルのメシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)中の14%TEOSを溶媒として使用し、溶媒除去法としてデカンテーションを使用した標準的な調製で使用した。
【0119】
触媒試験手順:
名目上100重量%のトルエンの供給物を使用して、触媒を不均化反応で試験した。不均化反応条件は、4hr-1のWHSV、2の水素対供給物のモル比、2.8MPa(g)(400psig)の圧力、及び350℃~460℃の温度であった。達成された結果を表2に示し、目標の30重量%の全トルエン転化率で比較した。
【0120】
図2は、生成物中のベンゼン対キシレンモル比(Bz/X)対、達成されたパラキシレンモル比(pX/X)としてプロットされた表2の結果を示す。MFI#1を使用して作製された触媒は、暗い黒色のトレンドラインを有する黒丸で、MFI#2を使用して作製された触媒は、灰色のトレンドラインを有する白丸で、UZM-44で作製された本発明の触媒は、破線のトレンドラインを有する白四角で示されている。すべてのpX/X比で、UZM-44を使用して作製された強化触媒は、pX/Xが0.8を超える場合でも、非常に低いBz/X比を示す。MFIゼオライトを使用して作製された触媒は、0.85を超えるpX/Xで1.17を超えるBz/X比を有する。
【0121】
図3は、生成物中のキシレン選択率対、達成されたパラキシレンモル比(pX/X)としてプロットされた表2の結果を示す。MFI#1を使用して作製された触媒は、暗い黒色のトレンドラインを有する黒丸で、MFI#2を使用して作製された触媒は、灰色のトレンドラインを有する白丸で、UZM-44で作製された本発明の触媒は、破線のトレンドラインを有する白四角で示されている。すべてのpX/X比で、UZM-44を使用して作製された強化された触媒は、pX/Xが0.8を超える場合でも、キシレンに対して非常に高い選択率を示す。UZM-44を使用して作製された触媒は、0.8を超える、又は0.85を超える、又は0.9を超えるpX/Xで、52%を超える、又は53%を超える、又は54%を超えるキシレンに対する選択率を有し得る。
【0122】
図4は、生成物中の軽留分(C1~C6非芳香族炭化水素)に対する選択率対、達成されたパラキシレンモル比(pX/X)としてプロットされた表2の結果を示す。MFI#1を使用して作製された触媒は、暗い黒色のトレンドラインを有する黒丸で、MFI#2を使用して作製された触媒は、灰色のトレンドラインを有する白丸で、UZM-44で作製された本発明の触媒は、破線のトレンドラインを有する白四角で示されている。すべてのpX/X比で、UZM-44を使用して作製された強化された触媒は、pX/Xが0.8を超える場合でも、軽留分に対する非常に低い選択率を示す。UZM-44を使用して作製された触媒は、0.8を超える、又は0.85を超える、又は0.9を超えるpX/Xで、3.5重量%未満、又は3重量%未満、又は2重量%未満、又は1.5重量%未満、又は更に1重量%未満の軽留分に対する選択率を有し得る。
【0123】
図5は、トルエンの30%転化率に達するのに必要な温度対、達成されたパラキシレンモル比(pX/X)としてプロットされた表2の結果を示す。MFI#1を使用して作製された触媒は、暗い黒色のトレンドラインを有する黒丸で、MFI#2を使用して作製された触媒は、灰色のトレンドラインを有する白丸で、UZM-44で作製された本発明の触媒は、破線のトレンドラインを有する白四角で示されている。
【0124】
強化されたUZM-44触媒は、完全に独自のものである。その驚くほど低いBz/Xモル比に加えて、それは、同様のpX/Xモル比を有する他の触媒のいずれよりも、より高い全キシレン収率、より低い環損失、より低い軽留分(例えば、C-C炭化水素)、及びより良好なメチル/フェニル保持性を示す。
【0125】
【表6】
特定の実施形態
【0126】
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、本明細書は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0127】
本発明の第1の実施形態は、トルエン不均化プロセスであって、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトを含む触媒と接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、流出物流中のベンゼン対キシレンのモル比が、1.00~1.14の範囲であり、流出物流中のパラキシレン対キシレンのモル比が、0.80~1.0の範囲であり、トルエンの転化率が、20%~40%である、トルエン不均化プロセスである。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、ベンゼン対キシレンのモル比が、1.00~1.08の範囲である。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、微多孔質結晶性ゼオライトが、少なくともAlO2及びSiO2四面体単位の三次元骨格、並びに次の実験式によって表される水素型の実験組成を含み、
M1 N+Al(l-x)Siy’z’’
式中、M1は、アルカリ、アルカリ土類金属、希土類金属、亜鉛、アンモニウムイオン、水素イオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの交換可能な陽イオンであり、「a」は、M1対(Al+E)のモル比であり、0.05~50で変化し、「N」は、M1の加重平均原子価であり、+1~+3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、「x」は、Eのモル分率であり、0~1.0で変化し、y’は、Si対(Al+E)のモル比であり、9を超えて実質的に純粋なシリカまで変化し、z’’は、O対(Al+E)のモル比であり、式:
z’’=(a・N+3+4・y’)/2
によって決定される値を有し、
ゼオライトは、それが、少なくとも表Bに記載されるd面間隔及び強度を有するX線回折パターンを有することを特徴とする。
【0128】
【表7】
本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、触媒が、少なくとも1つの強化処理工程で強化されている。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、少なくとも1つの強化処理工程が、シリカを組み込むための少なくとも1つの処理を含む。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、触媒が、少なくとも1つの強化処理工程の後に蒸気処理される。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、ベンゼン対キシレンのモル比が、0.80~0.95の範囲のパラキシレン対キシレンのモル比に関して1.00~1.08の範囲である。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、キシレンに対する選択率が52%を超える。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、軽留分に対する選択率が3.5%未満である。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、不均化条件が、200℃~600℃の範囲の温度、1.4~4.5MPa(g)の範囲の圧力、0.1~10hr-1の範囲の単位時間当たりの重量空間速度、又は0.251~101の範囲の水素対炭化水素比、のうちの1つ以上を含む。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、環損失が、1.5%未満である。
【0129】
本発明の第2の実施形態は、トルエン不均化プロセスであって、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトを含む触媒と接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、流出物流中のベンゼン対キシレンのモル比が、1.00~1.20の範囲であり、流出物流中のパラキシレン対キシレンのモル比が、0.60~1.0の範囲であり、ゼオライトが、少なくともAlO2及びSiO2四面体単位の三次元骨格、並びに次の実験式で表される水素型の実験組成を有し、
M1 N+Al(l-x)Siy’z’’
式中、M1は、アルカリ、アルカリ土類金属、希土類金属、亜鉛、アンモニウムイオン、水素イオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの交換可能な陽イオンであり、「a」は、M1対(Al+E)のモル比であり、0.05~50で変化し、「N」は、M1の加重平均原子価であり、+1~+3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、「x」は、Eのモル分率であり、0~1.0で変化し、y’は、Si対(Al+E)のモル比であり、9を超えて実質的に純粋なシリカまで変化し、z’’は、O対(Al+E)のモル比であり、式:
z’’=(a・N+3+4・y’)/2
によって決定される値を有し、
ゼオライトは、それが、少なくとも表Bに記載されるd面間隔及び強度を有するX線回折パターンを有することを特徴とする、トルエン不均化プロセスである。
【0130】
【表8】
本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、トルエンの転化率が、20%~40%である。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、ゼオライトが、炭素の沈着のための処理、シリカの沈着のための処理、又はその両方から選択される少なくとも1つの強化で強化されている。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、触媒は、少なくとも1つの強化処理工程の後に蒸気処理される。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、ベンゼン対キシレンのモル比が、0.80~0.95の範囲のパラキシレン対キシレンのモル比に関して1.00~1.08の範囲である。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、キシレンに対する選択率が52%を超える。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、パラキシレン対キシレンのモル比が0.80~0.9の範囲である場合、軽留分に対する選択率が3.5%未満である。本発明の一実施形態は、本項の先の実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてであり、不均化条件が、200℃~600℃の範囲の温度、1.4~4.5MPa(g)の範囲の圧力、0.1~10hr-1の範囲の単位時間当たりの重量空間速度、又は0.25~10の範囲の水素対炭化水素比、のうちの1つ以上を含む。
【0131】
本発明の第3の実施形態は、トルエン不均化プロセスであって、トルエンを含む供給物を不均化条件で微多孔質結晶性ゼオライトを含む触媒と接触させて、パラキシレン及びベンゼンを含む流出物流を生成することを含み、ここで、PXXが、流出物流中のパラキシレン対キシレンのモル比であり、BXが、流出物流中のベンゼン対キシレンのモル比であり、PXXが、0.60~1.0の範囲である場合、BXは、1.00~0.375PXX+0.825の範囲である、トルエン不均化プロセスである。
【0132】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0133】
上記では、すべての温度は摂氏度で記載され、すべての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
図1
図2
図3
図4
図5