(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】配車装置、配車システム、車載装置、配車方法、および配車プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2022553419
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2020037663
(87)【国際公開番号】W WO2022070430
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230533(WO,A1)
【文献】特開2017-091363(JP,A)
【文献】特表2019-527389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1予約客にマッチングされていたタクシーに、前記第1予約客と異なる第2予約客が乗車したことを示す情報を受信し、
前記情報を受信した場合に、前記第2予約客に当初マッチングされていたタクシーの車載装置に対して前記第1予約客の予約情報を送信し、当該タクシーへ配車指示を行う、
配車装置。
【請求項2】
前記車載装置に、前記第2予約客に当初マッチングされていたタクシーと前記第1予約客を再マッチングした結果を通知する、
請求項1に記載の配車装置。
【請求項3】
配車装置と車載装置からなる配車システムであって、
前記配車装置は、
第1予約客にマッチングされていたタクシーに、前記第1予約客と異なる第2予約客が乗車したことを示す情報を前記車載装置から受信し、
前記情報を受信した場合に、前記第2予約客に当初マッチングされていたタクシーの車載装置に対して前記第1予約客の予約情報を送信し、当該タクシーへ配車指示を行い、
前記車載装置は、
配車指示の対象である前記第1予約客以外の前記第2予約客が乗車したことを検出すると、前記情報を送信する、
配車システム。
【請求項4】
配車指示の対象である第1予約客以外の第2予約客が乗車した場合には、前記第2予約客が乗車したことを示す情報を配車装置へ送信し、
配車指示の対象である前記第1予約客が乗車した場合には、客の変更はない旨の情報を前記配車装置へ送信し、
配車指示の対象である前記第1予約客が別のタクシーに乗車した場合には、当該別のタクシーに当初マッチングされていた第2予約客の予約情報を配車装置から受信する、
車載装置。
【請求項5】
第1予約客にマッチングされていたタクシーに、前記第1予約客と異なる第2予約客が乗車したことを示す情報を受信し、
前記情報を受信した場合に、前記第2予約客に当初マッチングされていたタクシーの車載装置に対して前記第1予約客の予約情報を送信し、当該タクシーへ配車指示を行う、
マイクロコンピュータが行う配車方法。
【請求項6】
第1予約客にマッチングされていたタクシーに、前記第1予約客と異なる第2予約客が乗車したことを示す情報を受信する手順と、
前記情報を受信した場合に、前記第2予約客に当初マッチングされていたタクシーの車載装置に対して前記第1予約客の予約情報を送信し、当該タクシーへ配車指示を行う手順と、
をコンピュータに実行させる配車プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、配車装置、配車システム、車載装置、および配車方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、客の端末装置からタクシーの配車予約を受け付けた場合に、客の送迎を希望するタクシーを選択して、客の所へ配車する配車装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同一乗り場や近隣の地点から多くの客によって略同時期にタクシーの配車予約が行われた場合、配車予約時に成立したタクシーとお客様の組み合わせで、指定迎車ポイントでの出会いが難しく、見た目の状況的には多乗客と多タクシーとの関係となり、相互に該当する相手先が分かりにくくなる。このため、これらの客をスムーズにタクシーに誘導して乗車させることができない。特に混雑した状況では、タクシー、客が共に移動困難となるため、配車予約時に成立したタクシーとお客様の組み合わせでの乗車に困難が伴う。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、同一乗り場や近隣の地点からから略同時期に配車予約を行った場合などの、多くの配車されたタクシーと多くの客が近隣に混在した場合にも各客をスムーズに適切なタクシーに乗車させることができる配車装置、配車システム、車載装置、および配車方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る配車装置は、第1予約客にマッチングされていたタクシーに、前記第1予約客と異なる第2予約客が乗車したことを示す情報を受信し、前記情報を受信した場合に、前記第2予約客に当初マッチングされていたタクシーの車載装置に対して前記第1予約客の予約情報を送信し、当該タクシーへ配車指示を行う。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様に係る配車装置、配車システム、車載装置、および配車方法は、同一乗り場や近隣の地点からから略同時期に配車予約を行った場合などの、多くの配車されたタクシーと多くの客が近隣に混在した場合にも各客をスムーズに適切なタクシーに乗車させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る配車方法の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る配車システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る再マッチングの具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る配車システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る2次元コードを使用したシステム運用例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る2次元コードを使用したシステム運用例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る2次元コードを使用したシステム運用例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、配車装置、配車システム、車載装置、および配車方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る配車方法の一例を示す説明図である。
【0010】
図1に示すように、実施形態に係る配車装置1は、客Uの端末装置10からタクシーTの配車予約を受け付けると(ステップS1)、配車予約に応じるタクシーTと客Uとをマッチングする(ステップS2)。尚、本実施形態では説明を分かりやすくするため、同一乗り場や近隣の地点(例えばイベント会場や訪問客の多い会社等)に存在する複数の客Uの端末装置10から、略同時期(タクシー乗り場が混雑するような予約状況)にタクシーの配車予約を受け付けた場合を想定して、説明を行う。
【0011】
そして、配車装置1は、配車装置1は、乗り場に到着した客Uの順に乗り場で一列に整列し、列の先頭の客Uから順番に、到着するタクシーTへ順次乗車するように要求する要求情報を端末装置10に送信する(ステップS3)。尚、実際には、乗り場の指示情報を端末装置10に送信するだけでも良い。これにより、複数の客Uは、乗り場で整列する(ステップS4)。
【0012】
その後、配車装置1は、配車予約に応じるタクシーTの車載装置にマッチングした客Uの予約情報を通知してタクシーTを複数の客Uがいる同一乗り場へ配車する(ステップS5)。予約情報には、客の氏名、乗り場、および行先等の情報が含まれる。
【0013】
ここで、各客Uが乗り場に到着する順番と、各客UとマッチングされたタクシーTが乗り場に到着する順番とが一致するとは限らない。このため、客UとタクシーTとのマッチングが当初のマッチングのままだと、タクシーTのドライバは、マッチングされた客Uを探すのに時間がかかり、客Uをスムーズに乗車させることができない。
図1には、乗り場に到着した客Uと、到着したタクシーTとをつなぐ破線によって、当初のマッチングを示している。
【0014】
そこで、配車装置1は、前述したように、客に対して乗り場で整列し、到着するタクシーTへ順次乗車するように要求する。尚、配車装置1がこのような要求するのではなく、タクシー乗り場にこのような要求を表示装置により表示するようにしても良い。そして、配車装置1は、乗り場へ到着したタクシーTの車載装置から、当初マッチングされた客Uとは別の客(非予約客)を乗車させたことを示す変更情報を受信すると(ステップS6)、客UとタクシーTとを再マッチングする。尚、タクシーT搭載の車載装置からは、客Uの端末装置10との情報通信内容や運転手の操作等に基づき客Uを識別し、当該タクシーに乗車した客Uの情報(当初マッチングされた客Uと異なる場合は変更情報となる)が配車装置1に送信される。
【0015】
このため、マッチングに反することによる各タクシーと各客の混乱を招くことなく、タクシーTは再マッチングされた客Uを乗車させることができる一方、客Uは当初マッチングされたタクシーTの到着を待つことなく、乗り場に到着したタクシーTに乗車することができる。これにより、配車装置1は、同一乗り場や近隣地点から略同時期に配車予約を行った複数の客UをスムーズにタクシーTに乗車させることができる。
【0016】
次に、
図2を参照し、実施形態に係る配車システムの構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る配車システムの構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る配車システム100は、配車装置1と、客Uによって携帯される端末装置10と、タクシーTに搭載される車載装置20とを含む。
【0017】
端末装置10は、例えば、スマートフォンである。なお、端末装置10は、スマートフォンと同様の機能を有する装置であれば、タブレット型端末やノートパソコン等、他の携帯可能な装置であってもよい。端末装置10には、配車システム100を利用可能とするアプリケーションプログラムがインストールされている。また、端末装置10は、通信機能の他、カメラ機能、2次元バーコード読み取り機能、GPS(Global Positioning System)による測位機能等を備える。
【0018】
車載装置20は、通信機能の他、画像を表示する機能、2次元バーコード読み取り機能、タクシーTに搭載されるドライブレコーダの撮影画像を画像認識する機能、画像から人の顔を認証する顔認証機能等を備える。なお、タクシーTには、後部座席に乗車する客Uを撮像するカメラが搭載される。また、車載装置20は、客変更検出部と変更情報送信部とを備える。客変更検出部は、配車指示の対象である予約客以外の非予約客が乗車したことを検出する。変更情報送信部は、客変更検出部が検出した非予約客の乗車に基づき変更情報を配車装置1へ送信する。
【0019】
配車装置1は、例えば、インターネット等の通信ネットワーク101を介して端末装置10および車載装置20と無線通信可能に接続される。配車装置1は、通信部2と、記憶部3と、処理部4とを備える。通信部2は、通信ネットワーク101を介して、端末装置10および車載装置20と、処理部4との間で情報の送受信を行う通信I/F(インターフェース)である。
【0020】
記憶部3は、例えば、データフラッシュ等の情報記憶デバイスであり、配車予約の内容を含む予約情報31を記憶して蓄積する。予約情報31には、客Uの氏名、配車予約の年月日、配車先の場所、および客Uの目的地の場所等が含まれる。
【0021】
処理部4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。処理部4は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備える。一例では、処理部4は、決定部41、受付部42、マッチング部43、配車部44、変更情報受信部45、および再マッチング部46を備える。
【0022】
なお、処理部4が備える決定部41、受付部42、マッチング部43、配車部44、変更情報受信部45、および再マッチング部46は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0023】
処理部4が備える決定部41、受付部42、マッチング部43、配車部44、変更情報受信部45、および再マッチング部46は、それぞれ以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、処理部4の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0024】
受付部42は、客Uの端末装置10からタクシーTの配車予約を受け付ける。配車予約には、客Uの氏名、客の現在地、および目的地等が含まれる。尚、客の氏名に代えて客の識別用データ、例えば顧客番号等でも良い。この場合、配車装置が顧客データベースを持つことにより顧客番号等から指名等の必要な顧客情報を得る構成が好ましい。受付部42は、複数の客Uの端末装置10から同一乗り場へのタクシーTの配車予約も受け付ける。受付部42は、受け付けた配車予約の予約情報31を順次記憶部3に記憶させて蓄積する。
【0025】
決定部41は、記憶部3に蓄積された予約情報31に基づいて、配車予約が集中している混雑領域を判別し、混雑領域については特定乗り場を決定する。そして決定部41は、判別した混雑領域に対応する特定乗り場を受付部42へ出力する。尚、決定部41は、予約情報31の時間別推移を分析し、例えば、月に1回以上、配車予約の集中が発生する場所を混雑領域として判定し、適切な特定乗り場を決定し、記憶部3に当該混雑領域の特定乗り場として記憶する機能を有する。
【0026】
受付部42は、配車予約を受け付けた場合に、端末装置10の現在位置を端末装置10から取得し、近傍の適切な乗車位置を通知する。この際、受付部42は、端末装置10の現在位置が混雑領域の場合、決定部41によって決定された特定乗り場のうち、端末装置10の現在位置に近い特定乗り場を端末装置10へ通知する。
【0027】
これにより、配車装置1は、配車予約の集中する場所においてバラバラの位置でタクシーTを待つ複数の客Uを1箇所の特定乗り場に誘導することとなり、スムーズに客UをタクシーTに乗車させることができる。
【0028】
このとき、受付部42は、目的地が近い客Uのグループ毎に、特定乗り場を通知する。例えば、受付部42は、同一混雑領域において、東行きの客Uと、西行きの客Uとがいる場合、東行きの客Uに対しては、東行きの道路に面した特定乗り場を通知し、西行きの客Uに対しては、西行きの道路に面した特定乗り場を通知する。これにより、配車装置1は、例えば客Uの目的地とは逆の方角に走行を開始するタクシーTに客Uを乗車させることを抑制することができ、タクシーTの無駄なUターンによる交通の混乱も抑制することができる。
【0029】
また、受付部42は、配車予約を受け付けた場合に、同一乗り場に到着した客の順にタクシーTに乗車するように要求する要求情報を端末装置10へ送信する。これにより、客Uは、当初マッチングされたタクシーTを待つことなく、到着するタクシーTにすぐ乗車することができる。したがって、配車装置1は、スムーズに客UをタクシーTに乗車させることができる。尚、この要求情報は、タクシー乗り場に表示装置を用いて表示するようにしても良いが、この方式が適用されている場合(混雑領域発生している場合の該当タクシー乗り場)にのみ表示する(配車装置1による遠隔表示制御される液晶ディスプレイ等による可変表示)ようにすることが、案内板等による常時固定表示より望ましい。そして、受付部42は、受け付けた配車予約情報をマッチング部43へ出力する。
【0030】
マッチング部43は、予約受付に応じるタクシーTを募集する。例えば、マッチング部43は、客Uの乗り場および目的地を複数のタクシーTに開示することによって、予約受付に応じるタクシーTを募集する。客Uの送迎を希望するタクシーTは、配車希望を車両識別用の情報や車両位置情報を含む車両情報と共にマッチング部43へ送信する。マッチング部43は、予約受付に応じた各タクシーと客Uとをマッチングし、各車両の位置や過去の配車状況等の各種車両情報も考慮して配車するタクシーTを決定する。そして、マッチング部43は、マッチング結果を配車部44へ出力する。
【0031】
配車部44は、配車の決定をしたタクシーTの車載装置20にマッチングした客Uの予約情報31を通知してタクシーTを客Uに通知した乗車位置へ配車する。この際、混雑領域からの予約の場合、タクシーTは特定乗り場への配車となる。
【0032】
変更情報受信部45は、タクシーTの車載装置20から予約客が乗車したことを示す乗車情報を受信する。また、変更情報受信部45は、タクシーTがマッチング部43よってマッチングされた客Uとは別の客Uを乗車させた場合には、特定乗り場へ到着したタクシーTの車載装置20から、マッチング部43よってマッチングされた客Uとは別の客U(予約客以外の非予約客)を乗車させたことを示す変更情報を受信する。また、タクシーTに配車予約をしていない客が乗車した場合、車載装置20は、通常の流し乗車に切替え、流し乗車に切替えた旨を示す情報と当初のマッチング結果を含む変更情報を配車装置1の変更情報受信部45へ送信する。
【0033】
変更情報には、当初のマッチング結果と、今回乗車させた客の予約情報31(あるいは流し乗車に切替えた旨を示す情報)、等が含まれる。変更情報受信部45は、受信した変更情報を再マッチング部46へ出力する。
【0034】
再マッチング部46は、変更情報受信部45によって変更情報が受信される場合に、同一の特定乗り場(あるいは同一の混雑領域に対する他の特定乗り場を含めても良い)へ配車した他のタクシーTと乗車前の客Uとを再マッチングし、再マッチング結果を他のタクシーTの車載装置20に通知する。これにより、新たなマッチングが成立する。尚、再マッチング部46は、流し乗車に切替えた旨を示す情報出会った場合は、配車するタクシーを新たに募集することになる。
【0035】
したがって、配車装置1は、客UとタクシーTの運転手に混乱を発生させることなく、乗り場に到着した客Uの順に、客Uを到着するタクシーTに乗車させることができるので、同一イベント会場や近隣位置、同一乗り場等から略同時期に配車予約を行った複数の客UをスムーズにタクシーTに乗車させることができる。
【0036】
このとき、再マッチング部46は、既にタクシーTに乗車した客Uと当初マッチングされていたタクシーTの車載装置20に対して、既に客Uを乗車させたタクシーと当初マッチングされていた客Uの予約情報を再マッチング結果として通知する。
【0037】
これにより、再マッチング結果を通知されたタクシーTは、当初マッチングされた客Uが別のタクシーTに乗車しても、すぐに再マッチングされた新たな客Uを乗車させることができる。なお、配車システム100は、再マッチングによって、当初のマッチングの場合よりも走行距離が短くなり、運賃が減少するタクシーTについては、差額を補填する機能を持っていても良い。例えば、変更のあった各タクシー(相互に関連する変更があったタクシー)の運賃情報を収集し、変更前の配車による運賃と変更後の配車による運賃の差額の所定割合(例えば、半分)を調整(変更後に運賃増加した場合は減額、変更後に運賃減少した場合は増額)し、精算システムに反映するようにする。
【0038】
また、再マッチング部46は、既にタクシーTに乗車した客Uに当初マッチングされていたタクシーTの車載装置20に、タクシーTとマッチングされていない客Uが同一乗り場(通知した特定乗り場)に残っていることを通知してもよい。この場合、再マッチング部46は、当該乗り場に近いタクシーTについては、優先的に再マッチングを行う。これにより、再マッチング部46は、適切なタクシーTへのマッチングが図れ、例えば乗り場に遠いタクシーTに対して、何度も無駄に再マッチングを行うことを抑制することができる。
【0039】
次に、
図3を参照し、再マッチングの具体例について説明する。
図3は、実施形態に係る再マッチングの具体例を示す図である。ここでは、配車予定客のAさん、Bさん、Cさん、Dさんと、1号車~4号車のタクシーとをマッチングする場合について説明する。
【0040】
図3に示すように、配車装置1は、例えば、配車予約受付時に、Aさんと1号車、Bさんと2号車、Cさんと3号車、Dさんと4号車とをマッチングして配車する。その後、Cさん、Aさん、Dさん、Bさんの順に乗り場に到着し、4号車、1号車、3号車、2号車の順に乗り場に到着する場合を想定する。
【0041】
Cさんは、最初に到着する4号車に乗る。Cさんは、当初のマッチングでは、3号車待ちである。このため、3号車は、当初マッチングされていたCさんを乗車させることができない。また、4号車は、当初Dさん用である。このため、Dさんは、4号車に乗ることができない。
【0042】
そこで、配車装置1は、4号車をCさん用として、4号車とCさんとを再マッチングする。そして、配車装置1は、3号車をDさん用として、3号車とDさんとを再マッチングする。その結果、Dさんは、4号車待ちから3号車待ちとなる。
【0043】
Aさんは、当初のマッチング通り1号車に乗ることができる。Bさんも、当初のマッチング通り2号車に乗ることができる。このように、再マッチングによって、Cさんと4号車、Aさんと1号車、Dさんと3号車と、Bさんと2号車がペアとなる。これにより、配車装置1は、Aさん、Bさん、Cさん、およびDさんを待たせることなく、また1号車、2号車、3号車、4号車も乗り場付近で到着の順番を変更したり、客を探すことなく、スムーズにタクシーTに乗車させることができる。
【0044】
次に、
図4を参照し、実施形態に係る配車システムの動作について説明する。実施形態に係る配車システムの動作例を示すシーケンス図である。
図4に示すように、客Uが端末装置10により配車予約操作を行うと、端末装置10は配車予約情報を配車装置1に送信する。そして、配車装置1は、まず、客Uの端末装置10から配車予約情報を受け付ける(ステップS11)。
【0045】
続いて、配車装置1は、配車予約に応じるタクシーTの車両募集情報を車載装置20に送信する。そして、車載装置20はこの車両募集情報を受信し、運転手に必要な情報をディスプレイに表示する(ステップS12)。ディスプレイに表示された車両募集情報に基づき、配車を希望する運転手が車載装置20で配車希望操作を行うと、車載装置20は配車装置1に配車希望情報を送信する。そして、配車装置1は配車予約に応じるタクシーTの車載装置20から配車希望を受信する(ステップS13)。その後、配車装置1は、配車予約情報、配車希望情報に含まれる位置情報、客の各種希望情報、タクシーの配車履歴等に基づき、客Uとタクシーとをマッチングする(ステップS14)。
【0046】
そして、配車装置1は、タクシー乗車場(位置)指示や配車タクシー等の情報等の要求情報を該当の客Uの端末装置10へ送信する(ステップS15)。そして、客Uの端末装置10は要求情報を受信し、ディスプレイに客Uに必要な要求情報を表示する。また、配車装置1は、予約情報31を車載装置20へ送信する(ステップS16)。そして、車載装置20はこの予約情報31を受信し、運転手に必要な情報をディスプレイに表示する。タクシーTが乗り場に近付くと(車載装置20に搭載されたGPS等の位置検出装置で検出された現在位置データと予約情報に含まれる配車位置(タクシー乗り場位置)データを比較)、車載装置20がカメラ画像による画像認識処理を用いる等して予約客を探索し、車載装置20が予約客を表示する(ステップS17)。なお、ステップS17の具体例については、
図8~
図11を参照して後述する。また、予約客を探索は、運転手が目視当で行い、その結果を車載装置20に入力する方法でも良い。
【0047】
その後、タクシーTに客Uが乗車すると、車載装置20は、乗客認証を行う(ステップS18)。ステップS18の具体例については、
図5~
図7、
図12、
図13を参照して後述する。尚、予約客を認証は、運転手が目視等で行い、その結果を車載装置20に入力する方法でも良い。車載装置20は、ステップS18において、乗車させた客Uが当初マッチングされた客Uでないと判定した場合、変更情報を含む実車情報(客乗車情報)を配車装置1へ送信する(ステップS19)。尚、車載装置20は、ステップS18において、乗車させた客Uが当初マッチングされた客Uであると判定した場合、客の変更はない旨の情報を含む実車情報を配車装置1へ送信する。そして、配車装置1は実車情報を受信し、客Uに対する配車は完了したと判断して、客Uに対する配車完了処理(データ記録、待客表示の消去等)を行う。
【0048】
配車装置1は、変更情報を受信した場合、再マッチングを行い(ステップS20)、再マッチング結果を、変更情報を送信してきた車載装置20およびこの情報が必要な他のタクシーT(主に、新たにマッチングされたタクシー)の車載装置20へ送信する(ステップS21)。その後、変更情報を送信してきた車載装置20は、賃走処理を継続して処理をステップS23へ移す。尚、新たにマッチングされたタクシーの車載装置20は、予約客への迎車処理、つまりステップS17の処理に進むことになる。
【0049】
また、車載装置20は、ステップS18において、乗車させた客Uが当初マッチングされた客Uであると判定した場合、賃走処理を継続して処理をステップS23へ移す。その後、タクシーTが客Uの目的地に到着すると、車載装置20および端末装置10は、決済を行う(ステップS23)。また、車載装置20は空車になった旨の情報、直前の実車に関する情報(実車走行距離、運賃等)を含む空車情報を配車装置1に送信する。そして、配車装置1はこの空車情報を受信し、必要な情報の記録、該当タクシーの状態データの変更(空車として配車対象車両とする)等の処理を行い、配車システム100の1連の動作が終了する。
【0050】
次に、
図5~
図7を参照し、実施形態に係る2次元コードを使用したシステム運用例について説明する。
図5~
図7は、実施形態に係る2次元コードを使用したシステム運用例を示す図である。
【0051】
図5に示すように、配車システム100では、配車装置1の受付部42は、配車予約を受け付けた場合に、タクシー側2次元バーコードTDを車載装置20へ送信し、ユーザ側2次元バーコードUDを端末装置10へ送信する。
【0052】
タクシー側2次元バーコードTDは、予約情報31を含む。ユーザ側2次元バーコードUDは、要望情報と決済用情報とを含む。決済用の情報は、運賃の決済方法や決済に使用する電子マネーの種類等を含む情報である。要望情報は、配車予約時に客Uによって入力されるタクシーTへの要望を含む情報である。例えば、要望情報は、運転の好み、希望道路、会話のOK/NG、至急/不急等の情報を含む。車載装置20は、タクシー側2次元バーコードTDを受信すると、タクシー側2次元バーコードTDを端末装置10へ送信する。尚、この送信は、配車装置1経由で送信する方法、予約情報31に含まれる客Uの端末情報(連絡先アドレス)に基づき車載装置が送信する方法等により実現できる。
【0053】
その後、
図6に示すように、車載装置20は、タクシーTに客Uが乗車する場合、先に送信していたタクシー側2次元バーコードTDを端末装置10によって表示してもらい、それをカメラで読み取り、配車装置1から送信されたタクシー側2次元バーコードTDと照合して、客Uを確認する。これにより、車載装置20は、タクシーTのドライバおよび客Uに面倒をかけることなく、マッチングされた客Uか否かを確認することができる。尚、乗車させた客Uがマッチングされた客Uである場合は、客の変更はない旨の情報を含む実車情報を配車装置1へ送信する。また、乗車させた客Uがマッチングされた客Uでない場合は、変更情報を含む実車情報(客乗車情報)、配車装置1へ送信する。つまり、
図4のステップS18、S19の処理をこの
図5で示した2次元バーコードTDを利用した方法を用いることにより、運転手および客の操作を簡単にでき、配車システムを好適に実現できる。
【0054】
また、車載装置20は、端末装置10からユーザ側2次元バーコードUDを読み込み、例えば、車載装置20のディスプレイ21に要望情報を表示させる。これにより、タクシーTのドライバは、客Uの要望に応じた運転を行うことができる。
【0055】
その後、
図7に示すように、車載装置20は、客Uの目的地に到着すると、ユーザ側2次元コードUDを読み込んで運賃の決済を行う。これにより、車載装置20は、タクシーTのドライバおよび客Uに面倒をかけることなく、決済を完了することができる。
【0056】
なお、タクシー側2次元コードTDに決済用コードが含まれていてもよい。この場合、端末装置10は、タクシー側2次元コードTDから決済用コードを読み込んで決済を行うこともできる。
【0057】
また、ユーザ側2次元コードUDに予約情報31が含まれていてもよい。この場合、端末装置10は、予約時に予約情報31、要望情報、および決済情報を含むユーザ側2次元コードUDを車載装置20へ送信してもよい。
【0058】
これにより、車載装置20は、タクシーTのドライバおよび客Uに面倒をかけることなく、マッチングされた客Uか否かを確認することができ、決済を完了することができる。また、タクシーTのドライバは、客Uの要望に応じた運転を行うことができる。
【0059】
次に、
図8~
図13を参照し、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例について説明する。
図8~
図13は、実施形態に係る写真情報を使用したシステム運用例を示す図である。
【0060】
図8に示すように、配車システム100では、端末装置10は、配車予約を行う場合に、客Uの顔が撮影した写真情報P1を配車装置1へ送信する。配車装置1の受付部42は、配車予約を受け付け、客Uの顔が撮影された写真情報P1を客Uの端末装置10から取得する。配車部44は、客Uの写真情報を含む客Uの予約情報31を車載装置20に通知する。
【0061】
車載装置20は、端末装置10から予約情報31を受信し、予約情報31に含まれる写真情報P1をタクシーTのドライバによる客Uの探索材料として使用する。例えば、
図9に示すように、車載装置20は、乗り場に近付くと、ディスプレイ21に写真情報P1を自動的に表示させる。これにより、タクシーTのドライバは、ディスプレイ21に表示される写真情報P1を確認することで、乗り場にいる客Uを簡単に見つけることができる。
【0062】
また、
図10に示すように、車載装置20は、ドライブレコーダ22のカメラによる車両周囲の撮影映像を使用して画像認識処理を行い、写真情報P1に含まれる客Uの顔および服装等の特徴点から特定した客Uの写真情報P2をディスプレイ21に拡大または協調表示させることもできる。これにより、タクシーTのドライバは、ディスプレイ21に表示される写真情報P2を確認することで、乗り場にいる客Uを簡単に見つけることができる。
【0063】
また、
図11に示すように、車載装置20は、乗り場に到着する場合、端末装置10に到着通知を送信する(ステップS21)ことができる。端末装置10は、到着通知を受信すると、GPSによって測位した客Uの位置情報を車載装置20へ送信する(ステップS22)。
【0064】
車載装置20は、客Uの位置情報に基づいて、ドライブレコーダ22の映像から検出対象をある程度絞り込んだうえで(ステップS23)、画像認識処理を行い、特定した客Uの写真情報P2をディスプレイ21に拡大または強調表示させる。これにより、運転手は車載装置20による表示に基づき、より短時間で客Uを検出することができる。
【0065】
なお、配車システム100は、個人情報保護の観点からアプリケーションプログラムで配車予約をするたびに、顧客情報をタクシーTに送信する旨を許諾確認し、許諾を得た場合にのみ顧客情報を送信し、かつ乗車が完了すると自動的に顧客情報を消去する。
【0066】
そして、
図12に示すように、車載装置20は、タクシーTに客Uが乗車すると、後部座席に乗車する客Uを撮像するドライブレコーダのカメラ23の画像P3と、配車装置1から事前に受信した客Uの写真情報P1とを照合して、配車予約した客Uか否かを確認する。これにより、予約したタクシーTに他の客が乗車することを防止することができる。尚、乗車させた客Uがマッチングされた客Uである場合は、客の変更はない旨の情報を含む実車情報を配車装置1へ送信する。また、乗車させた客Uがマッチングされた客Uでない場合は、変更情報を含む実車情報(客乗車情報)、配車装置1へ送信する。つまり、ドライブレコーダのカメラ等の撮影画像を用いた客認識方法を用いることにより、運転手および客の操作を簡単にでき、配車システムを好適に実現できる。
【0067】
また、車載装置20は、配車予約時に端末装置10から客Uの服装等の情報をさらに取得し、ディスプレイ21に表示する等することもできる。これにより、タクシーTのドライバによる客Uの確認も容易になる。
【0068】
また、配車システム100では、配車予約のたびに、客Uの写真情報P1を端末装置10から送信させると、端末装置10の通信料や処理負荷が嵩む。このため、配車システム100では、端末装置10のアプリケーションプログラムから事前に客Uの写真情報P1を登録してもらうことも可能である。
【0069】
ただし、配車システム100では、客Uが長期にわたって配車システム100を利用する場合、経年変化を考慮して写真情報P1を更新してもらう必要がある。しかし、かかる更新作業は、客Uにとって負担となる。
【0070】
そこで、車載装置20は、経年変化を考慮した顔画像生成機能を備える。そして、車載装置20は、
図13に示すように、写真情報P1を登録してから長期間が経過した客Uが乗車した場合、カメラ23の画像P4と、写真情報P1から経年変化を考慮して生成した写真情報P5とを照合して、配車予約した客Uか否かを確認する。これにより、配車システム100では、客Uに写真情報P1を定期的に更新してもらう負担を軽減することができる。尚、写真情報P1から経年変化を考慮して生成した写真情報P5は、写真情報P1の撮影時期からの経過時間に基づく人工知能を用いた深層学習による経年劣化処理等を利用することにより実現できる。
【0071】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 配車システム
101 通信ネットワーク
1 配車装置
2 通信部
3 記憶部
31 予約情報
4 処理部
41 決定部
42 受付部
43 マッチング部
44 配車部
45 変更情報受信部
46 再マッチング部
10 端末装置
20 車載装置
21 ディスプレイ
22 ドライブレコーダ
23 カメラ
U 客
T タクシー