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特許7558306疼痛の治療における使用のためのTGF-α及びエピレグリンに結合する抗体
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  • 特許-疼痛の治療における使用のためのTGF-α及びエピレグリンに結合する抗体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】疼痛の治療における使用のためのTGF-α及びエピレグリンに結合する抗体
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240920BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240920BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240920BHJP
   C07K 16/22 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P29/00
C12N15/13 ZNA
C07K16/22
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022580029
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 US2021038394
(87)【国際公開番号】W WO2021262662
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】63/044,455
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/070,507
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】シェディッド,マルシオ
(72)【発明者】
【氏名】ホイヤー,ジョセフ ジー.
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-515743(JP,A)
【文献】Loren J. MARTIN et al.,“Epiregulin and EGFR interactions are involved in pain processing”,Journal of Clinical Investigation,2017年08月07日,Vol. 127, No. 9,p.3353-3366,DOI: 10.1172/JCI87406
【文献】C. Thomas G. APPLETON et al.,“Reduction in Disease Progression by Inhibition of Transforming Growth Factor α-CCL2 Signaling in Experimental Posttraumatic Osteoarthritis”,Arthritis & Rheumatology,2015年09月23日,Vol. 67, No. 10,p.2691-2701,DOI: 10.1002/art.39255
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、C12N、C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛の治療が必要な対象におけるその治療用の薬学的組成物であって、軽鎖及び重鎖を含む抗体を含み、前記軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である、薬学的組成物
【請求項2】
前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9又は配列番号10である、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項3】
前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項4】
前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9であり、前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項5】
前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13又は配列番号14である、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項6】
前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項7】
前記抗体が、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項8】
前記抗体が、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号14である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項9】
抗体の用量が750mgの開始用量であり、患者が疼痛の治療を必要とする限り、その後2週間ごとに500mgの用量である、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項10】
前記慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛が2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法の治療レジメンに対して不応性である、請求項に記載の薬学的組成物
【請求項11】
軽鎖及び重鎖を含む抗体であって、前記軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である、軽鎖及び重鎖を含む抗体
を含む、慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛治療用の医薬
【請求項12】
前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9又は配列番号10である、請求項11に記載の医薬
【請求項13】
前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、請求項11に記載の医薬
【請求項14】
前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9であり、前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、請求項11に記載の医薬
【請求項15】
前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13又は配列番号14である、請求項11に記載の医薬
【請求項16】
前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である、請求項11に記載の医薬
【請求項17】
各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む請求項11に記載の医薬
【請求項18】
各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号14である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む請求項11に記載の医薬
【請求項19】
抗体の用量が750mgの開始用量であり、患者が前記慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛の治療を必要とする限り、その後2週間ごとに500mgの用量である、請求項1118のいずれか一項に記載の医薬
【請求項20】
前記慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛が2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法の治療レジメンに対して不応性である、請求項1118のいずれか一項に記載の医薬
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵害受容性、神経障害性、及び混合性疼痛を含む慢性疼痛の治療における、特に慢性変形性関節症(OA)疼痛又は慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛(DPNP)、又は慢性腰痛症の治療における、ヒトTGF-α及びエピレグリンに結合する抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性疼痛は、そのメカニズムに基づいて、侵害受容性、神経障害性、及び混合性の様々なカテゴリに分類される。侵害受容性疼痛は、神経細胞以外の組織に損傷を与える可能性がある、又は実際に損傷を引き起こす刺激によって引き起こされる。これにより、末梢感覚系の侵害受容性受容器が活性化される。変形性関節症(OA)による疼痛は、体性侵害受容性疼痛の典型的な一例である。神経障害性疼痛は、中枢神経系又は末梢神経系の損傷又は疾患によって引き起こされ、感覚神経系の不適応過敏症を導く。糖尿病性末梢神経障害(DPNP)による疼痛は、末梢神経障害性疼痛の典型的な一例である。慢性腰痛症等の、侵害受容性疼痛及び神経障害性疼痛の両方の特徴を示す状態は、混合性疼痛に分類される。
【0003】
慢性疼痛は、非常に広まっている状態であり、社会に大きな影響を及ぼす。2016年には、米国の成人人口の推定20.4%が、国民健康調査のデータに基づいて、過去6ヶ月間のほとんどの日又は毎日の疼痛として定義される慢性疼痛を経験していた。人口の推定8%が、過去6か月間、ほぼ毎日、又は毎日、生活又は仕事の活動を制限する慢性疼痛を有していた。その結果、慢性疼痛は医療費の主な原因となっており、2010年の米国における慢性疼痛管理の年間費用は約6,350億ドルと推定された。高い疾患負荷及び社会的影響にもかかわらず、慢性疼痛の管理は現在満足のいくものではない。非薬物療法だけでは、疼痛緩和又は機能改善に十分とは言えず、利用可能な薬物療法の利点はわずかであり、重大な安全上のリスクがある。現在、最も一般的なタイプの慢性疼痛を緩和するために最も頻繁に使用されている薬物は、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、及びオピオイドである。ガバペンチノイド、その他の抗けいれん薬(ジバルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、又はラモトリギン等)、及び一部の抗うつ薬(三環系薬又はデュロキセチン等)は、特定の疼痛障害に使用できる。現在の薬理学的医療設備は、通常、低レベルの有効性、忍容性の問題、及び/又は有害な副作用を示している。オピオイドは急性疼痛には効果的であるが、乱用のリスクが高く、重篤な有害反応の可能性があるため、慢性疼痛の治療選択肢は制限されている。患者及び社会に対する慢性疼痛の身体的、感情的、及び経済的影響は、効果的かつ許容可能な治療選択肢の欠如と相まって、満たされていない重大な医療ニーズとなっている。
【0004】
データは、EGFR経路が神経障害性疼痛の病因に関与していることを示唆している(Kersten,C,Cameron MG,Laird B,Mjaland S.Epidermal growth factor receptor-inhibition(EGFR-I)in the treatment of neuropathic pain.Br J Anaesth.2015;115(5):761-767)。しかし、EGFR抗体又はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤により受容体を標的することは、胃腸(GI)及び皮膚の有害反応の高い発生率に関連し、これは、慢性疼痛を伴う非腫瘍集団における使用の可能性を制限する。EGFRに結合し、活性化するリガンドには、エピレグリン(EREG)、トランスフォーミング増殖因子α(transforming growth factorα:TGFα)、上皮増殖因子、ヘパリン結合上皮様増殖因子、ベータセルリン、アンフィレグリン、及びエピゲンが含まれる(Schneider MR,Wolf E.The epidermal growth factor receptor ligands at a glance.J Cell Physiol.2009;218(3):460-466)。EGFRリガンドの2つであるTGFα及びエピレグリンは、受容体の分解を誘導できず、結果として受容体の再利用及び持続的なEGFR経路の活性化を促進するという点で独特である(Roepstorff K,Grandal MV,Henriksen L,Knudesen SL,Lerdrup M,Grovdal L,Willumsen BM,van Deurs B.Differential effects of EGFR ligands on endocytic sorting of the receptor.Traffic.2009;10(8):1115-1127)。
【0005】
抗体Iは、高親和性ヒト化免疫グロブリンG4(IgG4)モノクローナル抗体であり、ヒトTGFα及びエピレグリンのC末端領域の重要な残基に結合し、それらのEGFRへの結合及び活性化を防止する。抗体I、並びにこの抗体及び製剤を調製する方法は、糖尿病性腎症の治療方法と共に国際公開第2012/138510号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、及び混合性疼痛を含む慢性疼痛、特に変形性関節症(OA)、又は糖尿病性末梢神経障害(DPNP)、又は慢性腰痛症の治療における、代替及び/又は改善された治療法に対する満たされていないニーズが残っている。更に、2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法治療レジメンに対して不応性である疼痛として本明細書で定義される治療抵抗性疼痛を治療するための、侵害受容性、神経障害性、及び混合性疼痛を含む慢性疼痛、特に変形性関節症(OA)、又は糖尿病性末梢神経障害(DPNP)、又は慢性腰痛症の治療の、代替及び/又は改善された治療法に対する満たされていないニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、侵害受容性、神経障害性、及び混合性疼痛を含む慢性疼痛の治療、特に慢性変形性関節症(OA)疼痛、又は慢性糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)、又は慢性腰痛症の治療のためのTGF-α及びエピレグリンに対する抗体を提供する。更に、本発明は、2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法治療レジメンに不応性の慢性変形性関節症(OA)疼痛、又は慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛(DPNP)、又は慢性腰痛症の治療のためのTGF-α及びエピレグリンに対する抗体を提供する。
【0008】
一実施形態では、本発明は、慢性疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法を提供し、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を対象に投与することを含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である。
【0009】
一実施形態では、本発明は、慢性変形性関節症疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法を提供し、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を対象に投与することを含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である。
【0010】
一実施形態では、本発明は、慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法を提供し、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を対象に投与することを含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である。
【0011】
一実施形態では、本発明は、慢性腰痛症の治療が必要な対象においてそれを治療する方法を提供し、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を対象に投与することを含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である。
【0012】
一実施形態では、本発明は、LCVRのアミノ酸配列が配列番号9又は配列番号10である、上記実施形態のいずれか1つによる方法を提供する。
【0013】
一実施形態では、本発明は、HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、上記実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、LCVRのアミノ酸配列が配列番号9であり、HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、上記実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13又は配列番号14である、上記実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0016】
一実施形態では、本発明は、重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である、上記実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む、上記実施形態のいずれか1つによる方法を提供する。
【0018】
一実施形態では、本発明は、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号14である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む、上記実施形態のいずれか1つによる方法を提供する。
【0019】
一実施形態では、本発明は、抗体の用量が750mgの開始用量であり、患者が疼痛の治療を必要とする限り、その後、2週間ごとに500mgの用量である、上記の実施形態のいずれか1つによる方法を提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、慢性疼痛が2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法の治療レジメンに対して不応性である、上記の実施形態のいずれか1つによる方法を提供する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、慢性疼痛の治療における使用のための、軽鎖及び重鎖を含む抗体を提供し、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である。一実施形態では、本発明は更に、慢性疼痛が、慢性変形性関節症疼痛、慢性糖尿病性神経障害性疼痛、及び慢性腰痛症からなる群から選択される上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、LCVRのアミノ酸配列が配列番号9又は配列番号10である、上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、LCVRのアミノ酸配列が配列番号9であり、HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13又は配列番号14である上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号14である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、慢性疼痛が慢性変形性関節症疼痛である上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、慢性疼痛が慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛である上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、慢性疼痛が慢性腰痛症である上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、抗体の用量が750mgの開始用量であり、患者が疼痛の治療を必要とする限り、その後2週間ごとに500mgの用量である、上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は更に、慢性疼痛が2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法の治療レジメンに対して不応性である、上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は、慢性疼痛を治療するための医薬品を製造するための上記実施形態による抗体の使用を提供する。一実施形態では、本発明は、慢性変形性関節症疼痛、慢性糖尿病性神経障害性疼痛、及び慢性腰痛症から選択される慢性疼痛の治療のための医薬品の製造のための上記の実施形態による抗体の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ラット半月板損傷モデルにおける抗体IIIの疼痛有効性の図である。データは平均±SEMとして表され、群サイズはn=6である。統計的比較:対照IgG1との比較のためのANOVA及びダネットの検定(*p<0.001)、及び1~10mg/kgの抗体IIIの比較のためのテューキーの検定(*p<.05)。略語:ANOVA=分散分析。IgG1=免疫グロブリンG1;SEM=平均値の標準誤差。
図2】抗体Iとプラセボとを比較する26週間の第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の概要の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において使用される場合、慢性疼痛とは、1日を超えて持続する疼痛、又は月に数回再発する疼痛を指す。慢性変形性関節症疼痛、慢性糖尿病性神経障害性疼痛、及び慢性腰痛症、並びにこれらの状態に苦しむ患者の同定は、本明細書に記載のものを含む確立された基準を使用して、当業者に知られている方法によって決定することができる。本明細書で使用される場合、患者は、本明細書に記載の抗体による治療を必要とする状態又は障害を有すると診断されたヒトである。本発明の方法によって治療することができる障害が、変形性関節症疼痛、糖尿病性神経障害性疼痛、又は腰痛症等の確立され、受け入れられている分類によって知られている場合、それらの分類は様々な情報源に見出すことができ、国際疾病分類、第10改訂版(ICD-10)は、本明細書に記載の障害の分類を提供する。当業者は、DSM-IV及びICD-10に記載のものを含む、本明細書に記載の障害についての代替的な命名法、疾病分類学、及び分類系統があること、並びに用語及び分類系統が医科学の進歩と共に進化することを認識することになる。
【0024】
本明細書で使用される場合、変形性関節症疼痛は、非神経根性(非神経障害性)疼痛を明確に含む。本明細書で使用される場合、神経障害性疼痛には、神経根性疼痛CLBP、DNP、及びLSRが明示的に含まれる。いくつかの実施形態では、疼痛は、本発明の方法によって治療される、例えば、筋骨格性及び神経障害性起源の両方の慢性疼痛等の慢性疼痛である。他の実施形態では、本発明の方法によって治療される疼痛は、内臓痛(例えば、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎(膀胱痛)又は慢性骨盤痛等)である。
【0025】
他の実施形態は、侵害受容性/炎症性、神経障害性、侵害形成性(nociplastic)、又は混合性病因の疼痛を治療する方法を提供する。他の実施形態では、疼痛は、起源が筋骨格性又は神経障害性である慢性疼痛である。本方法によって治療される他のタイプの疼痛には、手術後の疼痛、関節リウマチの疼痛、神経障害性疼痛、及び変形性関節症疼痛が含まれる。
【0026】
例示的な種類の疼痛としては、神経障害性疼痛、例えば、疼痛を伴う糖尿病性神経障害、化学療法誘導性末梢神経障害、腰痛、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、坐骨神経痛、及び複合性局所疼痛症候群;例えば、リウマチ性関節炎、骨関節炎、変形性関節症からの炎症性疼痛;PDN又はCIPN;例えば、膵炎、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、子宮内膜症、骨盤痛、及びアンギナからの内臓痛;癌性疼痛、火傷性疼痛、口腔内疼痛、圧挫及び損傷によって誘発された疼痛、切開疼痛、骨痛、鎌状赤血球病に伴う疼痛、線維筋痛、及び筋骨格系疼痛のような群から選択される疼痛;又は痛覚過敏症若しくは異痛症からの疼痛が挙げられる。
【0027】
本明細書で定義されるように、疼痛は、筋骨格性及び神経障害性起源の両方の慢性疼痛を明確に含む。「術後疼痛」(「切開後」又は「外傷後疼痛」と交換可能に呼ばれる)は、個体の組織への切り傷、刺し傷、切開、裂傷、又は創傷等の外的外傷(侵襲的又は非侵襲的にかかわらず、すべての外科的処置から生じるものを含む)から生じる又は起因する疼痛を指す。本明細書で使用される場合、術後疼痛は、外部の身体的外傷なしに発生する(生じる又は由来する)疼痛を含まない。いくつかの実施形態では、術後疼痛は内的又は外的(末梢を含む)疼痛であり、創傷、切り傷、外傷、裂傷、又は切開は、偶発的に(外傷性創傷と同様に)又は故意に(外科的切開と同様に)発生し得る。本明細書で使用される場合、「疼痛」は、侵害受容及び痛覚を含み、疼痛スコア及び当該技術分野で周知の他の方法を使用して、疼痛を客観的及び主観的に評価することができる。本明細書で使用される場合、術後疼痛には、異痛症(すなわち、通常は非有害な刺激に対する反応の増加)及び痛覚過敏(すなわち、通常の有害又は不快な刺激に対する反応の増加)が含まれ、これは、熱的又は機械的(触覚)であり得る。いくつかの実施形態では、疼痛は、熱的感受性、機械的感受性、及び/又は安静時痛を特徴とする。いくつかの実施形態では、術後疼痛は、機械的に誘導される疼痛又は安静時痛を含む。他の実施形態では、術後疼痛は、安静時痛を含む。当該技術分野で周知のように、疼痛は、一次性又は二次性疼痛であり得る。
【0028】
本明細書で互換的に使用される場合、「患者」、「対象」、及び「個体」という用語は、ヒトを指す。特定の実施形態では、患者は、TGF-α及びエピレグリンの阻害から恩恵を受けるであろう疾患、障害、又は状態(例えば、疼痛)を更に特徴とする。
【0029】
用語「治療する(treating)」(あるいは「治療する(treat)」又は「治療」(treatment)は、症状、障害、状態又は疾患の進行又は重症度を緩徐化、中断、低減、又は逆転させるプロセスを指す。
【0030】
有効量は、既知技法の使用によって、かつ同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者により容易に決定され得る。患者の有効量を決定する際に、患者の人種、患者のサイズ、年齢、及び全般的な健康状態、関与する特定の疾患又は障害、疾患又は障害の関与度又は重症度、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与様式、投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性、選択される投薬レジメン、併用薬の使用、並びに他の関連状況を含むが、これらに限定されない、いくつかの要因が考慮される。
【0031】
「治療有効量」という用語は、患者への単回又は複数回投与により、所望の治療を提供する本発明の抗体の量又は用量を指す。いくつかの実施形態では、有効量は、臨床的に有意な疼痛の低減をもたらす。毎週、2週間ごと、毎月、又は四半期ごとの非経口(皮下、筋肉内、及び/又は静脈内を含むがこれらに限定されない)用量は、約0.5mg/kg~約50mg/kgであり得る。
【0032】
毎週、2週間ごと、毎月、又は四半期ごとの非経口(皮下、筋肉内、及び/又は静脈内を含むがこれらに限定されない)用量は、約0.5mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約2mg/kg~約10mg/kg、約3mg/kg~約10mg/kg、約4mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約6mg/kg~約10mg/kg、約7mg/kg~約10mg/kg 約8mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約8mg/kg、約2mg/kg~約8mg/kg、約3mg/kg~約8mg/kg、約4mg/kg~約8mg/kg、約5mg/kg~約8mg/kg、約6mg/kg~約8mg/kg、約1mg/kg~約6mg/kg、約2mg/kg~約6mg/kg、約3mg/kg~約6mg/kg、約4mg/kg~約6mg/kg、約5mg/kg~約6mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約5mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、約4mg/kg~約5mg/kg、約1mg/kg~約4mg/kg、約2mg/kg~約4mg/kg、約3mg/kg~約4mg/kg、約3.5mg/kg~約5mg/kg、又は約4mg/kg~約5mg/kgであり得る。
【0033】
毎週、2週間ごと、毎月、又は四半期ごとの非経口(皮下、筋肉内、及び/又は静脈内を含むがこれらに限定されない)用量は、例えば、約50mg~約500mg、約75mg~約500mg、約100mg~約500mg、約125mg~約500mg、約250mg~約500mg、約300mg~約500mg、約350mg~約500mg、約400mg~約500mg、約450mg~約500mg、約50mg~約400mg、約75mg~約400mg、約100mg~約400mg、約125mg~約400mg、約250mg~約400mg、約300mg~約400mg、約350mg~約400mg、約50mg~約300mg、約75mg~約300mg、約100mg~約300mg、約125mg~約300mg、約150mg~約300mg、約175mg~約300mg、約200mg~約300mg、約250mg~約300mg、約50mg~約250mg、約75mg~約250mg、約100mg~約250mg、約125mg~約250mg、約150mg~約250mg、約175mg~約250mg、約200mg~約250mg、約75mg~約250mg、約50mg~約200mg、約75mg~約200mg、約100mg~約200mg、約125mg~約200mg、約150mg~約200mg、約175mg~約200mg、約50mg~約175mg、約75mg~約175mg、約100mg~約175mg、約125mg~約175mg、又は約150mg~約175mgであり得る。
【0034】
しかしながら、特に当業者に知られている及び/又は本明細書に記載されている投与量の考慮事項を考慮して、本明細書に記述されている用量よりも少ない又は多い用量も想定される。治療中の患者の進行は定期的な評価によって監視され、必要に応じて用量がそれに応じて調整される。
【0035】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域を含み(HCVR)、ここで、LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である。
【0036】
更に、本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、ここでLCVRのアミノ酸配列は配列番号9又は配列番号10である。
【0037】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、HCVRのアミノ酸配列は配列番号7である。
【0038】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、ここで、LCVRのアミノ酸配列及びHCVRのアミノ酸配列は、以下からなる群から選択される。
(7) LCVRは配列番号9であり、HCVRは配列番号7である;及び
(ii)LCVRは配列番号10であり、HCVRは配列番号7である。
【0039】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRのアミノ酸配列は配列番号9であり、HCVRのアミノ酸配列は配列番号7である。
【0040】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRのアミノ酸配列は配列番号10であり、HCVRのアミノ酸配列は配列番号7である。
【0041】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖のアミノ酸配列は配列番号13又は配列番号14である。
【0042】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、重鎖のアミノ酸配列は配列番号12である。
【0043】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、軽鎖及び重鎖を含み、重鎖のアミノ酸配列及び軽鎖のアミノ酸配列は、以下からなる群から選択される。
(i) 重鎖は配列番号12であり、軽鎖は配列番号13である:及び
(ii) 重鎖は配列番号12であり、軽鎖は配列番号14である。
【0044】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む。
【0045】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号14である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む。
【0046】
本発明の方法で使用される抗体は、TGF-α及びエピレグリンに結合し、本明細書に記載の抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む薬学的組成物を含む。
【0047】
本発明の方法で使用される抗体は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤、及び任意に他の治療成分と共に、本明細書に記載の抗体を含む、薬学的組成物を含み得る。
【0048】
本発明はまた、患者の慢性疼痛を治療する方法を提供し、本明細書に記載の本発明の抗体を、標準治療と別々に、同時に、又は逐次的に組み合わせて患者に投与することを含む。
【0049】
更に、本発明は、治療に使用するための本明細書に記載の抗体を使用する方法を提供し、ここで抗体は、標準治療と同時又は連続的に組み合わせて投与される。好ましくは、本発明は、慢性疼痛の治療に使用するための本明細書に記載の抗体を使用する方法を提供し、ここで抗体は、標準治療と同時又は連続的に組み合わせて投与される。
【0050】
「抗体」の一般的な構造は、当該技術分野で周知である。IgGタイプの抗体には、鎖内及び鎖間ジスルフィド結合を介して架橋された4つのアミノ酸鎖(2つの「重」鎖及び2つの「軽」鎖)がある。ある特定の生物系で発現される場合、非修飾ヒトFc配列を有する抗体はFc領域においてグリコシル化される。抗体は、他の位置でもグリコシル化され得る。抗体のサブユニット構造及び三次元配置は、当技術分野で周知である。各重鎖は、N末端重鎖可変領域(「HCVR」)及び重鎖定常領域(「HCCR」)から構成される。重鎖定常領域は、IgG、IgD、及びIgAの3つのドメイン(CH1、CH2、及びCH3)、並びにIgM及びIgEの4つのドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)から構成される。軽鎖は各々、軽鎖可変領域(「LCVR」)及び軽鎖定常領域(「LCCR」)からなる。
【0051】
各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。HCVR領域及びLCVR領域は、フレームワーク領域(「FR」)と呼ばれるより保存された領域が散在している相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に更に細分され得る。HCVR及びLCVRはそれぞれ、以下の順番、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置している3つのCDR及び4つのFRから構成される。本明細書では、重鎖の3つのCDRは、「CDRH1、CDRH2、及びCDRH3」と称され、軽鎖の3つのCDRは、「CDRL1、CDRL2、及びCDRL3」と称される。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含む。各ドメインへのアミノ酸の割当ては、周知の慣習に従っている[例えば、Kabat,´´Sequences of Proteins of Immunological Interest,´´National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)]。
【0052】
本発明で使用される抗体は、免疫グロブリンクラス(IgA、IgD、IgG、IgM、及びIgE)のいずれかから選択される重鎖定常領域を有し得る。更に、本発明で使用される抗体は、他のIgGサブタイプと比較して補体因子に結合する能力が低いため、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc部分を含む。
【0053】
抗体は、例えば、任意の真核生物、原核生物、又はファージのクローンを含む、単一のコピー又はクローンに由来し得る。好ましくは、本発明で使用される抗体は、均一又は実質的に均一な抗体分子集団に存在する。全長抗体は、Fc領域を含む全長又は実質的に全長の定常領域を含む。そのような抗体の「抗原結合フラグメント」は、抗原結合部分を含み、抗原結合能力を保持する全長抗体の任意の短縮形である。このような短縮形には、例えば、開示された抗体のCDR又は可変領域を含むFabフラグメント、Fab´フラグメント又はF(ab´)2フラグメントが含まれる。更に、そのような短縮された抗体形態は、LCVR及びHCVRをコードするDNAをリンカー配列と結合させることによって産生され得る単鎖Fvフラグメントであり得る(Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp 269-315,1994を参照されたい)。「抗体」という用語は、別段の指示がない限り、そのようなフラグメントを含まない。本発明で使用される抗体は、当技術分野で周知の技術、例えば組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、又はそのような技術の組合わせ、あるいは当技術分野で容易に知られている他の技術を使用して産生することができる。
【0054】
本発明で使用される抗体は、ヒトゲノム配列に由来するフレームワーク及び定常領域と同一又は実質的に同一(実質的にヒト)であるヒト起源のフレームワーク、ヒンジ領域、及び定常領域を有するように設計された改変抗体である。完全ヒトフレームワーク、ヒンジ領域、及び定常領域は、それらのヒト生殖細胞系列配列並びに自然発生体細胞突然変異を有する配列及び改変突然変異を有する配列である。本発明で使用される抗体は、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、又は付加を含有する完全ヒトフレームワーク、ヒンジ、又は定常領域から誘導されたフレームワーク、ヒンジ、又は定常領域を含み得る。更に、本発明で使用される抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。
【0055】
本発明で使用される抗体の基礎として、様々な異なるヒトフレームワーク配列を単独で又は組み合わせて使用することができる。好ましくは、本発明の抗体のフレームワーク領域は、ヒト起源のものであるか、又は実質的にヒト(ヒト起源の少なくとも95%、97%又は99%)である。ヒト起源のフレームワーク領域の配列は、The Immunoglobulin Factsbook,by Marie-Paule Lafranc,Gerard Lefranc,Academic Press 2001,ISBN 012441351.から入手され得る。
【0056】
本発明で使用される抗体のフレームワーク配列は、「ドナー」可変フレームワーク領域として機能し、当技術分野で知られている方法論を使用して、本明細書で特定される同じCDRを有する追加の抗体を作成するために使用することができる。更に、本発明で使用される抗体のフレームワーク配列を他の既知のヒトフレームワーク配列と比較して、追加の抗体を生成することができる。したがって、この情報を使用して、別の選択された相同なヒトフレームワーク領域をこれらの位置でドナーアミノ酸残基に「逆突然変異」させることができる。更に、コンセンサス又はドナーアミノ酸残基を関連する位置で使用できるように、任意の「希少な」アミノ酸を追加のヒトフレームワークで検出することができる。
【0057】
「TGF-α」又は「ヒトTGF-α」は、ヒトTGF-αタンパク質(配列番号18)を指す。
【0058】
「エピレグリン」又は「ヒトエピレグリン」は、ヒトエピレグリンタンパク質(配列番号33)を指す。Met-ヒトエピレグリン(配列番号22)は、本明細書のインビトロ実験で使用される。本明細書に記載の抗体の、ヒトエピレグリンに結合又は中和する能力への言及は、インビトロ実験においてヒトmet-エピレグリンに結合し、中和するそれらの能力にも関係する。
【0059】
以下の実施例は、本質的に以下に記載するように実施することができる。
【0060】
実施例
実施例1:抗体の産生
抗体I及びIIは、以下のように作製及び精製することができる。HEK 293又はCHO等の適切な宿主細胞は、最適な所定のHC:LCベクター比を使用して抗体を分泌するための発現系、又は配列番号15等のHC、及び配列番号16若しくは17等のLCの両方をコードする単一のベクター系で、一過性に又は安定的のいずれかでトランスフェクトすることができる。抗体が分泌された清澄化培地を、多くの一般的に使用される技術のいずれかを使用して精製する。例えば、培地は、適合する緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(pH 7.4))で平衡化されたプロテインA又はプロテインGに都合よく適用され得る。カラムを洗浄して、非特異的結合構成成分を除去する。結合した抗体を、例えば、pH勾配(例えば、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.8)から0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH 2.5)へ)によって、溶出される。抗体断片をSDS-PAGE等により検出し、次いでプールする。意図する使用に応じて、更なる精製は任意選択的である。抗体を、一般的な技術を使用して濃縮及び/又は滅菌濾過し得る。可溶性凝集体及び多量体を、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、又はヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む一般的な技術によって効果的に除去し得る。これらのクロマトグラフィーステップ後の抗体の純度は、99%を上回る。生成物は、-70℃ですぐに凍結されてもよいか、又は凍結乾燥されてもよい。これらの抗体のアミノ酸配列を以下に提供する。
【表1】

【表2】
【0061】
製剤:
抗体Iの製剤は、ガラスバイアルに入った凍結乾燥粉末として臨床試験使用用に提供される。バイアルの内容物は、滅菌0.9%塩化ナトリウム(United States Pharmacopeia(USP))で再構成/希釈される。凍結乾燥製剤の抗体Iは、抗体I及び賦形剤のクエン酸ナトリウム、クエン酸、ポリソルベート80、及びスクロースで構成されている。バイアルは75mgの抗体Iを送達するように製造されている。バイアルの内容物を3.2mLの無菌0.9%塩化ナトリウム(USP)で再構成/希釈すると、pH 6.0で25mg/mLの抗体Iからなる透明な溶液が生成される。
【0062】
実施例2:抗体Iについての表面プラズモン共鳴(BIAcore)による親和性結合測定
Biacore T2000機器(BIAcore(登録商標)AB,Upsala,Sweden)、試薬及びBiacore T2000評価ソフトウェアVer 4.1を表面プラズモン共鳴分析に使用する。CM5チップは、製造業者のEDC/NHSアミンカップリング法を使用して調製する。4つのフローセルすべての表面は、EDC/NHSの1:1混合物を10μL/minで7分間注入することによって活性化される。ヤギ抗ヒトFcγ特異的抗体を10mMアセタート、pH 4.0緩衝液で50μg/mlに希釈し、流速10μL/分で7分間注入することにより、4つのフローセルすべてに約10000RU固定する。エタノールアミンを10μL/minで7分間注入して、未反応部位をブロックする。30μL/minのグリシンpH 1.5の3x20秒間注入を使用して、非共有結合タンパク質を除去する。ランニング緩衝液は、HBS-EP[10mMのHEPES、150mMの塩化ナトリウム、3mMのEDTA、0.005%ポリソルベート20]である。
【0063】
試験1では、抗体Iをランニング緩衝液に50μg/mLに希釈し、フローセル2で約400~600RUを捕捉する。ヒトTGF-α(配列番号18)、ラットTGF-α(配列番号20)、met-ヒトエピレグリン(配列番号22)、及びカニクイザルエピレグリン(配列番号24)をランニング緩衝液で100μg/mL~200nMに希釈し、次いで、ランニング緩衝液で6.25nMまで2倍連続希釈した。マウスエピレグリン(配列番号23)をランニング緩衝液で100μg/mL~4μMに希釈し、次いでランニング緩衝液で125nMまで2倍連続希釈する。各リガンド濃度の2回注入は、30μL/minで300秒間注入され、続いて解離相が続く。解離相は、ヒト及びラットのTGF-αで1800秒、ヒト及びカニクイザルのエピレグリンで1200秒、マウスのエピレグリンで120秒である。再生を、10mMのグリシンpH 1.5を30μL/分で、すべてのフローセルに3x20秒間注入することによって実施する。
【0064】
試験2では、抗体IIIをランニング緩衝液で100μg/mLに希釈し、フローセル2で約400~600RUを捕捉する。マウスTGF-α(配列番号19)をランニング緩衝液で100μg/mL~200nMまで希釈し、次いで、ランニング緩衝液で6.25nMまで2倍連続希釈する。マウスエピレグリン(配列番号23)をランニング緩衝液で100μg/mL~4μMに希釈し、次いでランニング緩衝液で125nMまで2倍連続希釈する。各リガンド濃度の2回注入は、30μL/minで300秒間注入され、続いて解離相が続く。解離相は、マウスTGF-αでは1800秒、マウスエピレグリンでは120秒である。再生を、10mMのグリシンpH 1.5を30μL/分で、すべてのフローセルに30秒間注入することによって実施する。
【0065】
参照減算データは、Fc2-Fc1として回収する。測定値は25℃で取得する。各リガンドについてオンレート(kon)及びオフレート(koff)を「1:1(ラングミュア)結合」結合モデルを使用して評価する。親和性(K)を、関係K=koff/konに従って結合キネティクスから算出する。
【表3】

【表4】
【0066】
したがって、抗体IはTGFα及びエピレグリンに特異的に結合し、エピゲンには非常に弱く結合する。様々な種由来のTGFα、エピレグリン、及びエピゲンに対する抗体Iの見かけの結合動態及び親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した。
【0067】
様々な種の成長因子α、エピレグリン、及びエピゲンを形質転換すると、ヒト及びラットのTGFαに強い親和性を有する抗体Iとの濃度依存的な結合応答が生じた(25℃でそれぞれ97.6±20.6pM及び70.5±19.4pMのK)。カニクイザル及びマウスTGFαの結合動態は、それぞれヒト及びラットTGFαと100%同一であるため、別々に測定しなかった。抗体Iエピトープはウサギ及びヒトTGFαにおいて同一であるため、ウサギTGFαの結合動態を個別に測定しなかった。抗体Iはヒト及びカニクイザルエピレグリンに強い親和性を示し、マウスエピレグリンに親和性を示した(25℃でそれぞれ1.29±0.03nM、1.05±0.09nM、及び342±136nMのK)。抗体Iエピトープはラット及びマウスのエピレグリンで同一であるため、ラットエピレグリンの結合動態は個別に測定しなかった。抗体Iは、ヒト及びマウスのエピゲンに対して非常に弱い親和性を示した(25℃でそれぞれK>2μM及び493±205nM)。
【0068】
抗体Iはヒト化モノクローナル抗体であるため、動物により化合物に対して免疫応答を起こす可能性があるため、薬理学の動物モデルでの評価への使用は制限されている。したがって、マウスモノクローナル抗体、抗体IIIは、OA疼痛の動物モデルにおけるTGFα及びエピレグリンの中和の効果を決定するために使用した。抗体IIIのマウスTGFα、エピレグリン、及びエピゲンへの結合動態もSPRによって測定した。抗体IIIは、TGFαに対して強い親和性を示し、エピレグリン及びエピゲンに対して弱い親和性を示し、関連するK値は、25℃でそれぞれ38.0±13.6pM、215±15nM、及び365±39nMであった。
【0069】
実施例3:ヒト結腸癌細胞株HT-29におけるEGF標的リガンドの内在化
Alexa Fluor(登録商標)488の抗体へのコンジュゲーション
Alexa Fluor(登録商標)488は、製造業者のプロトコルに従って、抗体I及び対照IgGに結合している。タンパク質をPBSで2mg/mLに希釈する。この2mg/mL溶液0.5mLに、50μLの1M炭酸水素ナトリウムpH 9を加える。次いで、タンパク質溶液を色素のバイアルに移し、室温で1時間撹拌する。標識タンパク質を、標識キットに含まれるBio-Rad BioGel P-30樹脂を使用して精製する。
【0070】
インビトロ内在化アッセイ
試験1では、TGF-α及びエピレグリンを発現することが知られている結腸腺癌細胞株である10,000個のHT-29細胞を96ウェルプレートのウェルに播種し、完全培地で一晩培養する[L-グルタミン、10%熱不活化ウシ胎児血清(「FBS」)、1x抗生物質、及び2.438g/Lの炭酸水素ナトリウムを含有する、ダルベッコ改変イーグル培地/F12(Ham)培地(1:1)(「DMEM/F12」)]。翌日、細胞を0.1%BSAを含むPBSで洗浄し、次いで、Alexa Fluor(登録商標)488コンジュゲート抗体I又は対照IgGと共に、37℃で2時間、0~88ug/mLの範囲の濃度で、0.1%BSAを含むPBS中、組織培養インキュベーターでインキュベートした。インキュベーション期間の後、細胞を0.1%BSAを含むPBSで数回洗浄し、分析のために4%ホルムアルデヒドで固定する。内在化の定量化は次のように行う。500細胞/ウェルをCellomics Arrayscan VTI(Thermo Scientific)で回収する。画像解析は、システムの「Compartment al analysis」Bioapplicationsで実行する。細胞核は、ヘキスト染色(青)で同定する。2つの対象領域(ROI)は、マスクされた画像から得られた細胞内スポット(赤)と総緑色蛍光(赤と青の両方)から蛍光シグナルを回収するように設定されている。各スポット及び細胞からの数、面積、及び蛍光強度を計算する。細胞内スポット(赤)の平均スポット総強度を、抗体I誘発内在化の測定のために選択する。
【0071】
試験2では、前述のように10,000個のHT-29細胞を調製し、Alexa Fluor(登録商標)488コンジュゲート抗体I又は0.1%BSAを含むPBS中の対照IgGを40ug/mLで細胞に添加する。細胞を37℃で組織培養インキュベーターで0~120分の範囲の様々な時間でインキュベーションし、次いで、0.1%BSAを含むPBSで数回洗浄し、分析のために4%ホルムアルデヒドで固定する。シグナルの定量化は、本質的に前述のように実行する。
【表5】

【表6】
【0072】
試験1の画像解析の結果、蛍光シグナルが細胞内に内在化し、抗体Iと用量依存的であるが、対照IgGではそうではないことが決定された(表3a及び表3b)。
【表7】
【0073】
試験2の結果は、抗体Iは急速に内在化され、内在化は細胞への添加後2時間までに完了した(表4)。抗体Iは、インビトロで時間依存的にHT-29細胞上の標的の内在化を誘導した(表4)。上記の結果は、抗体Iが膜結合リガンドに結合し、用量及び時間依存的にそれらの内在化を促進し、37℃のインキュベーションの2時間以内に抗体I(及びおそらくリガンド)の完全な内在化を伴うことを示している。
【0074】
実施例4:筋線維芽細胞株におけるEGFRリガンド刺激細胞増殖の中和の測定
クローンマウス筋線維芽細胞系(「MFc7」)を使用して、EGFRリガンドの増殖活性をブロックする本発明の抗体の能力を試験する。EGFRを活性化できる7つのリガンドは、TGF-α(TGFA)、エピレグリン(EREG)、EGF、ヘパリン結合EGF(HB-EGF)、エピゲン(EPGN)、アンフィレグリン(AREG)、及びベータセルリン(BTC)である。EGFRリガンドは構造モチーフであるEGF様ドメインを共有しており、これは6つの保存された同じ間隔のシステイン残基によって形成される3つの分子内ジスルフィド結合によって特性決定される。増殖活性を、ブロモデオキシウリジン(「BrDU」)の取込みによって決定し、製造者の指示に従って比色BrDU ELISAキットで測定する。
【0075】
最初に、2,000MFc7細胞/ウェルを、L-グルタミン、10%熱不活化FBS、1x抗生物質、及び2.438g/L炭酸水素ナトリウムを含有するダルベッコ改変イーグル培地/F12(Ham)培地(1:1)(「DMEM/F12」)0.1mL中の組織培養処理した96ウェルマイクロプレートにプレーティングする。細胞を6時間付着させた後、培地を除去し、0.1%BSAを含む0.1mLの無血清DMEM/F12と交換して、一晩血清飢餓状態にする。翌日、0.001~3000ng/mLの範囲の濃度から0.12mL/ウェルの容量で96ウェルポリプロピレンプレートに0.1%BSAを含む無血清培地でEGFRリガンドの段階希釈を行う。希釈後、血清欠乏細胞から培地を除去し、EGFRリガンドで24時間刺激する。刺激後、細胞をBrDUで4時間パルスし、次いで製造者の指示に従って比色BrDUELISAキットで分析する。
【0076】
EGFRリガンドに対する抗体Iの特異性を試験する際、抗体の2倍又は3倍の段階希釈を、96ウェルポリプロピレンプレートで、3000nM~0.059nMの範囲の濃度で0.06mL/ウェルの体積で行う。抗体の連続希釈に続いて、0.06mLのEGFRリガンドをウェルごとに追加する。次いで、プレートを加湿組織培養インキュベーター内で37℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、ウェル当たり0.1mLの溶液を細胞に移す。細胞を24時間刺激する。刺激後、細胞をBrDUで4時間パルスし、次いで比色BrDU ELISAキットで分析する。吸光度値(450nM~690nM)を、SpectraMax190プレートリーダ(Molecular Devices)で生成し、データが分析する。
【表8】
【0077】
マウスエピレグリン及びラットTGF-alpha、並びにエピゲン及びアンフィレグリンを除くすべてのヒトEGFRリガンドは、アッセイで細胞増殖の強力な刺激因子であることが見出された(表5)。抗体I及び抗体IIIは、ヒト及びラットのTGF-α及びヒトエピレグリン活性に対して高い親和性を有する(表5)。
【0078】
表5は、試験したEGFRリガンドの計算されたEC50値、及びそれらのリガンドに対する抗体の絶対IC50値を要約する。抗体Iについて計算された平均IC50は、ヒトTGF-αに対して0.46±0.03nMであり、ヒトエピレグリンに対して3.15±1.04nMであった。抗体IIIの計算されたIC50平均は、ヒトTGF-αに対して0.52±0.04nMであり、ヒトエピレグリンに対して1.12±0.36nMであった。抗体IIIの計算された平均IC50値は、ラットTGF-αに対して0.13±0.01nMであり、マウスエピレグリンに対して214±49nMであった。したがって、抗体I及び抗体IIIは高い親和性を有し、ヒトTGF-α及びヒトエピレグリンに対して完全な中和活性を伴って選択的である。
【0079】
要約すると、上皮成長因子受容体リガンドは、線維芽細胞を含む多くの系統の細胞にとって強力な細胞分裂促進因子である。抗体Iの中和効果及び特異性を決定するために、筋線維芽細胞の増殖に対するその効果をインビトロで評価した。個々の組換えリガンドを使用して、筋線維芽細胞の増殖を刺激し、その相対50%有効濃度(EC50)を決定した。続いて、個々のリガンドの最大下濃度及び様々な濃度の抗体Iをアッセイで評価して、特定のリガンドに対する阻害活性を定量化した。抗体Iは、ヒト、マウス、ラット、及びカニクイザルのTGFに対してα(50%阻害濃度[IC50]値<0.5nM)及びヒト及びカニクイザルのエピレグリン(IC50値<3.5nM)に対して強力な中和活性を有する。抗体Iは、マウス及びラットのエピレグリン(IC50値<350nM)及びヒト、カニクイザル、及びラットのエピゲン(IC50値<850nM)に対する中和活性がより弱く、試験した他のEGFRリガンドに対する測定可能な活性はない(IC50値>2000nM)。
【0080】
同様に、マウス抗体、抗体IIIの中和活性を筋線維芽細胞増殖アッセイで評価した。抗体IIIはまた、ヒト及びラットのTGFα及びヒトエピレグリン(それぞれIC50値0.521±0.037nM、0.131±0.012nM、及び1.12±0.36nM)及びマウスエピレグリンに対する活性(IC50値214±49nM)を強力に阻害した。試験した他のマウスEGFRリガンドに対する測定可能な活性は存在しなかった。
【0081】
したがって、抗体Iは高親和性ヒト化免疫グロブリンG4(IgG4)モノクローナル抗体であり、ヒトTGFα及びエピレグリンのC末端領域の重要な残基に結合し、EGFRへの結合及びEGFRの活性化を防止する。抗体Iの結合により、TGFα及びエピレグリンの両方の膜結合型プロフォームが内在化し、成熟(可溶性)リガンド活性が中和される。臨床データは、抗体Iが最大750mgの単回投与後に健康な対象に十分に許容され、3か月間にわたる3週間ごとの最大750mgの静脈内(IV)の複数回投与後、中等度から重度の糖尿病性腎症(DN)患者に許容可能な忍容性プロファイルを有していたことを示している。抗体Iの安全性プロファイルは、EGFR抗体又はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の安全性プロファイルとは異なり、皮膚及びGI有害事象(Aes)の発生率が低い。抗体I注入後の総エピレグリン濃度の用量/濃度依存的な増加は、それがインビボでエピレグリンに結合することを示唆している。抗体Iの分子的、薬理学的、及び臨床的特性は、この抗体が、TGFα及びエピレグリンの両方の阻害に応答する疾患及び障害を有利に治療するための活性、利用可能性、安全性、及び耐性を有するという概念を支持している。
【0082】
本開示は、侵害受容性、神経障害性、及び混合性疼痛を含む慢性疼痛の治療、特に変形性関節症(OA)、又は糖尿病性末梢神経障害(DPNP)、又は慢性腰痛症の治療に有用な抗体Iを提供する。更に、本開示は、変形性関節症(OA)、又は糖尿病性末梢神経障害(DPNP)、又は慢性腰痛症の治療に有用である抗体Iを提供する。抗体Iと同じCDRを共有する抗体IIIが、変形性関節症の疼痛の前臨床モデルで試験され、以下に記載するように、このモデルで疼痛の治療に有効であることが発見された。これは、抗体Iが本明細書に記載の慢性疼痛障害の治療に有用であるという概念を支持する。
【0083】
実施例5:ラットの変形性関節症性膝痛の半月板損傷モデルにおける抗TGFアルファ抗体抗体IIIのインビボ効果
OAは慢性の衰弱性関節疾患であり、影響を受けた関節に疼痛が生じる。この試験では、抗体IIIを、OAのラットMTモデルで、疾患の進行を防ぎ、変形性関節症様膝の疼痛を軽減する能力について試験した。MTは、内側側副靭帯及び内側半月板のトランザクションによる膝関節の外科的不安定化の後に関節破壊及び疼痛が発生するOAのよく説明されたモデルである。OA疾患の進行は、組織学によって評価した。疼痛は、OAを誘発した手術膝と同じ動物の手術していない反対側の膝の間の体重負荷の差として測定した。1及び10mg/kgでの抗体III治療はOA疾患の進行に影響を与えなかったが、対照IgG1抗体と比較して用量依存的に統計的に有意な疼痛の軽減を示した。
【0084】
この試験では、28~29週齢、体重345~430グラムの48匹のオスのLewisラット(Harlan,Indianapolis,IN)を使用した。ラットは、1ケージ当たり3匹ずつの群で収容し、12時間明/12時間暗サイクルの一定温度に維持した。データ収集中を除いて、動物はいつでも餌及び水を自由に摂取できた。ラットは、体重によって16匹ずつ3群に無作為に分けられ、右膝関節の内側側副靭帯及び半月板の外科的切片によってラットにOAを誘発した。左膝関節の外科的切除は行わなかった。ラットには、10mg/kgの対照マウスIgG1抗体又は1又は10mg/kgの抗体IIIのいずれかのSC用量を投与した。投与は手術当日、手術の直前に開始し、試験終了まで週に1回ラットに投与した。投与体積は2mL/kgであり、手術後4週間で試験が終了するまで、週1回皮下注射により投与を続けた。最後の投与は、剖検の1週間前に行い、剖検は手術の4週間後に行った。剖検では、左右の膝関節を採取し、10%亜鉛ホルマリンで固定し、委員会認定の獣医病理学者による包埋、切片化、組織染色、及び採点のためにBolderBioPATHに送った。このモデルの疼痛を評価するために、各治療群から6匹のラットを無作為に選択し、試験の24日目に、無力試験(静的差動体重負荷)を使用して疼痛を評価した。これにより、手術を受けた膝と手術を受けていない膝の間の後ろ足の体重負荷の差を測定した。この試験では、報告された値は3つの別々の測定値の平均であり、それぞれが各ラットについて1秒間にわたって測定した。オペレータは、選択されたラットの治療群を知らされていなかった。
【0085】
疼痛のデータは、平均値の標準誤差(±SEM)を含む平均値として表示される。データは、平均の一元配置分析によって評価した。Dunnett検定を使用して群を比較し、Tukey-KramerHSD検定をJMP統計分析プログラム(SAS Institute Inc.,NC)とのペアワイズ比較に使用した。p値が.05未満(p<.05)の場合、差は有意であると見なした。
【0086】
組織学データについては、BolderBioPATHが分析を行った。スチューデントのt検定又はマンホイットニーのU検定(ノンパラメトリック)を使用してデータを分析した。必要に応じて、適切な多重比較事後検定と共に、一元配置分散分析(ANOVA)又はKruskal-Wallis検定(ノンパラメトリック)によって、すべての群にわたってデータを更に分析した。p値が.05未満(p<.05)の場合、差は有意であると見なした。
【0087】
この試験からの膝関節の組織学的スコアリングは、抗体III(1又は10mg/kg)による処置には、対照IgG1と比較した場合、ラットの内側半月板損傷誘発OAの病変に有意な影響は存在しなかった。しかし、抗体IIIは、1及び10mg/kgの両方で、対照IgG1と比較して有意に疼痛を軽減した(ダネット検定によるp<.001;(エラー!参照元が見つからない)。抗体IIIの10mg/kg用量はまた、1mg/kgの用量とは有意に異なっていた(p<.05、Tukey Kramer Honest Significant Difference検定)。データは、抗体IIIがラットの半月板損傷モデルにおける体重負荷の違いによって測定されるように、疼痛を軽減するのに有効であるという驚くべき予想外の証拠を提供する。
【0088】
ヒトへの影響
このセクションに示されている臨床試験データは、Good Clinical Practice(GCP)の原則に従って生成した。2つの臨床試験が完了しており、現在までに93名の対象が抗体Iに曝露されている。I5V-MC-TGAA試験(TGAA)では、42名の健康な対象が単回投与(IV又はSC)を受けた。I5V-MC-TGAB試験(TGAB)では、51名の患者がIV注入による複数回投与を受けた。これらの試験の設計を、表6に要約する。
【表9】
【0089】
実施例6:臨床薬理学
薬物動態
単回及び複数回のIV投与後、抗体Iは非線形の薬物動態を示し、これは標的を介した薬物動態を示している(表6.1、6.2、及び6.3)。低用量では、抗体Iの見かけの血漿クリアランスは有意に大きく、T1/2は比較的短かった。抗体Iの用量が増加するにつれて、抗体IのT1/2は432時間(18日)に近づき、膜結合タンパク質を標的とするモノクローナル抗体で一般的に観察されるものと一致した。DN患者では、抗体Iの平均暴露(時間0から時間tまでのAUC、ここでtは測定可能な濃度の最後の時点[AUC0-tlast])は、単回投与後の2250μg*日/mLから(表)750mgIV注入の場合、5回目の投与後の4880μg*day/mLまで(表6.)増加し、3週間ごとに投与した場合、約2倍の蓄積となる。750mgの単回IV注入後、最大濃度(Cmax)及び曝露(AUC0-tlast)は健康な対象及びDN患者で同等であった(平均Cmaxは265μg/mL及び368μg/mL;平均AUC0-tlastは、健康な対象及びDN患者でそれぞれ3040μg・日/mL及び2250μg・日/mLである)。集団PKモデリングは、抗体Iの薬物動態が健康な対象及びDN患者で類似していることを示した。
【0090】
SC用量投与後の抗体Iの計算されたバイオアベイラビリティは38%であったが、評価された用量(50mg)は、薬物動態が非線形である用量の範囲にある。したがって、臨床的に関連する線形PK範囲でのバイオアベイラビリティは、より高くなる可能性がある。
【表10】

【表11】

【表12】
【0091】
薬物動力学:
総エピレグリン及び総TGFα濃度の測定による標的エンゲージメント:
薬剤耐性エピレグリン及びTGFαアッセイを臨床プログラムで使用して、総エピレグリン濃度を測定した(総エピレグリン又はTGFα=抗体I結合エピレグリン又はTGFα±遊離エピレグリン又はTGFα)。抗体Iを投与すると、エピレグリン/TGFαが抗体Iに結合し、EGFRとの相互作用に利用できる遊離のエピレグリン/TGFαの量が減少することを前提とする。抗体Iに結合したエピレグリンTGFαは、遊離のエピレグリン/TGFαよりもクリアランスが低いと予想され、抗体Iの投与により総エピレグリン/TGFα濃度が増加する。
【0092】
抗体Iを投与すると、健康な対象及びDN患者において、血清総エピレグリンレベルが用量依存的に増加した。総血清エピレグリンレベルは、典型的には、抗体Iの単回投与後1週間~4週間でピークに達し、その後の投与後も蓄積し続けた。これは、血清コンパートメント内の総エピレグリンの隔離、及びそのクリアランスの減少、したがってその血清濃度の漸進的な蓄積と一致している。これは、エピレグリンへの標的エンゲージメントと一致している。
【0093】
血清TGFαレベルは、健康な対象における抗体Iの単回投与IVで変化するようには見えず、DN患者の複数回投与後に、血清総TGFα濃度の用量依存的な増加を観察した。しかし、血清総TGFα増加の大きさは、エピレグリンのものよりも小さく、より可変的であった。
【0094】
総血清エピレグリン及びTGFαのデータは、抗体Iがエピレグリン及びTGFαの両方に結合することを示唆しており、抗体Iがインビボでヒトにおいてエピレグリン及びTGFαの両方にエンゲージできるという前臨床データを裏付ける。
【0095】
臨床試験全体の安全性データの要約
TGAA試験:この試験では、抗体I投与に関連する重大な有害事象(SAE)は発生しなかった。抗体Iに関連すると考えられるAEのために中止又は中断された対象はいなかった。抗体Iを投与された後に少なくとも2名の対象(又は≧5%)により報告されたすべての因果関係の治験関連Aes(TEAE)は、プラセボを投与された対象よりもより頻度が多く報告され、鼻炎、くしゃみ、背中の疼痛、咳、熱感、感覚異常、及び鼻漏が含まれていた。治験薬に関連すると考えられるTEAEはいずれも、抗体Iに無作為に割り付けられた2名を超える対象では観察されなかった。1mgの抗体を投与された後、中度の12日間のそう痒性斑状丘疹状皮疹を経験した。発疹は、10日間続き、自然に消散した。治験責任医師は、発疹は治験薬の投与に関連しており、pan-EGFR阻害剤の投与に通常関連する発疹と一致していると考えた。血圧、心拍数、QTc、臨床検査、又は肺拡散能に臨床的に重大な異常は存在しなかった。
【0096】
TGAB試験:パートAでは、治験薬の中止、SAE、又は治験中の死亡につながるTEAEを経験した患者はいなかった。プラセボを投与された3名の患者のうち1名、10mgの抗体Iを投与された4人の患者のうち3名、100mgを投与された4人の患者のうち4人、及び750mgを投与された4人の患者のうち2名が治験関連Aesを経験した。各治療群の1名の患者は、少なくとも1つの薬物関連のTEAEを有していた。
【0097】
パートBでは、プラセボを投与された1名の患者が試験中に死亡した。少なくとも1つのSAEを経験した患者の数には、プラセボを投与された患者6名中1名(16.7%)、50mg群の患者14人中3名(21.4%)、250mg群の患者13名中6名(46.2%)、及び750mg群の患者12名中1名(8.3%)が含まれていた。パートBで抗体Iを投与された患者の合計25.6%がSAEを報告した。試験で観察されたSAEのいずれも、治験薬の投与に関連すると判断されず、治療に関係なく、1名を超える患者が経験したSAEは存在しなかった。
【0098】
治験薬の中止に至ったTEAEを経験した患者の数には、プラセボを投与された患者6名中1名(16.7%)、50mg群の患者14人中2名(14.3%)、250mg群の患者13名中3名(23.1%)、及び750mg群の12名中1名(8.3%)の患者が含まれていた。1つの例外を除いて、治験薬の中止につながったすべてのTEAEは、治験薬とは無関係であると見なした。治験薬の中止につながった1つの関連TEAEは、750mgの抗体Iを投与された患者の全身のかゆみであった。
【0099】
パートBで抗体I治療患者が経験した5つの最も一般的なTEAEは、下痢、浮腫の悪化、頭痛、高血圧の悪化、及び吐き気であった(それぞれ10.3%)。プラセボを投与された患者が経験した2つの最も一般的なTEAEは、頭痛及び慢性腎臓病であった(それぞれ33.3%)。TEAE及び抗体Iの頻度に用量関係の証拠は存在しなかった。試験TGABパートBからの治験関連Aes(因果関係に関係なく)は、表6.4に要約されている。薬剤関連のTEAEは、パートBで1名以上の患者から報告されたものは存在しなかった。バイタルサイン値又は臨床検査値について、経時的なベースラインからの一貫した変化は存在しなかった。
【表13】
【0100】
実施例7:変形性関節症の治療のための抗体Iを評価するための無作為化プラセボ対照第2相臨床試験。
この試験の目的は、変形性関節症(OA)による膝の疼痛の緩和における抗体Iの有効性に関するヒトの臨床的証拠を提供することである。この試験集団における抗体Iの安全性及び忍容性を評価するためにデータを収集する。薬物動態(PK)特性、薬力学(PD)効果、及び免疫原性プロファイルも調査する。この概念実証試験からのデータの全体は、抗体Iに関連する利点及びリスクを評価し、抗体Iの臨床開発に情報を提供する。
【0101】
全体的な設計:
これは、膝にOAを有する参加者の抗体Iとプラセボとを比較する、26週間の第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。これは、ランダム化された、試験者及び参加者を盲検化した、プラセボ対照の第2相臨床試験である。約125名の参加者が無作為に試験介入に割り当てられる(84抗体I及び41プラセボ)。この26週間の試験には、8週間の二重盲検治療期間及び18週間のフォローアップ期間が含まれる。この試験設計を図2に示す。
【0102】
試験介入は、盲検化された施設職員によって約1時間にわたってゆっくりとした静脈内(IV)注入によって投与する。注入反応が観察された場合、必要に応じて注入速度を下げることができる。用量は750mgから開始し、続いて500mgを2週間ごとにIVで合計4回投与する。用量製剤は、滅菌水0.9%塩化ナトリウム溶液で再構成された凍結乾燥粉末である。参加者は、合計4回の注入のために2週間ごとにIV注入を受ける。参加者は、各注入の完了後、少なくとも4時間監視される。
【0103】
患者の来院時に、すべての治療後のサンプル収集及び安全性の監視が完了し、参加者は、来院退院前に試験制限及び数値評価スケール(NRS)日誌エントリを続行するように指示される。有効性データは、長いPK半減期及び抗体Iの潜在的な持続的標的エンゲージメントに基づいて、最終投与後6週間まで収集される。安全性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び免疫原性サンプルは介入の最後の投与の20週間後まで回収されて、安全性及び臨床免疫原性プロファイルを特性決定する。参加者は、最後に予定された手順を含む、試験の必要なすべてのフェーズを完了した場合、この試験を完了したと見なされる。
【0104】
目的及びエンドポイント
主要目的及び副次的目的及びエンドポイントを以下に説明する。
【表14】

【0105】
Visual Analog Scale(VAS):疼痛のVASは、スクリーニング時及び各診療所来院時に使用される。これは、参加者が過去1週間の調査対象領域の疼痛の強さを0から100のスケールで説明するように求められるグラフィックの単一項目スケールである。0=疼痛なし、100=想像できる最悪の疼痛。参加者は、疼痛の強さを表すポイントにVASラインに垂直なラインを配置して、VASを完成させる。
【0106】
数値評価スケール(NRS):NRSは、予備データ入力期間(PDEP)中及び試験全体を通して毎日使用されて、疼痛の重症度を説明する。これは、参加者が過去24時間の平均及び最悪の疼痛を0から10のスケールで説明するように求められる数値の単一項目スケールである。0=疼痛なし、10=想像できる最悪の疼痛.参加者は、持ち帰り用のデバイスを使用して毎日NRSを完了する。参加者のコンプライアンスは、診療所を訪れるたびに確認する。NRSの最悪の疼痛は毎日回収される。他の二次測定のスコアは、来院スケジュールで指定されているように、各来院で収集される。主要な結果の測定は、NRS項目で評価された平均疼痛強度のベースラインからエンドポイントまでの平均変化である。「過去24時間[試験下の領域]のあなたの疼痛の平均レベルを説明する1つの番号[0~10]を選択することによって自身の疼痛を点数付けしてください。]このスケールは、疼痛の変化を検出する実証された能力、及び疾患状態全体での一般的な使用に基づいて選択された。二次的なスケールは、NRS項目で測定された最悪の疼痛強度のベースラインからエンドポイントまでの平均変化である。「過去24時間[試験下の領域]のあなたの疼痛の最も悪いレベルを説明する1つの番号[0~10]を選択することによって自身の疼痛を点数付けしてください。]過去24時間の平均的な疼痛及び最悪の疼痛のNRS値は、参加者ごとに毎日収集される。統計分析では、過去24時間の平均及び最悪の疼痛の平均NRS値が、1週間間隔及び2週間間隔の両方で計算される。参加者が試験のプラセボ対照部分を完了した場合、NRSの週間隔の平均は8回のベースライン後の観察となり、隔週間隔の平均は各参加者のベースライン後の4回の観察となる。NRSの週間隔の平均は、分析計画で特に指定されていない限り、一次有効性分析及び以下に説明するその他の分析で使用される。参加者は、平均NRS値を計算するために、事前に指定された時間間隔中に50%以上の毎日のNRS値を有している必要があり、それ以外の場合、その来院の平均NRS値は欠落していると見なされる。
【0107】
全体的な改善に対する参加者の評価:患者の全体的な変化の印象(PGI)は、病状全体で使用される。それは、一般的な改善のサブ側面とは別に、参加者の治療の視点を捉えている。これは、1~7の数値スケールである。1=非常により良い、7=非常により悪い。参加者は、「この薬の服用を開始する前と比較して、現在の疼痛の症状を最もよく表しているボックスに印を付ける」よう求められる。
【0108】
情緒機能評価:EQ-5D-5L健康状態質問票は、病状全体で使用される。EQ-5D-5Lは、生活の質に対処するための最も人気のある患者完成手段の1つである(Buchholz I,Janssen MF,Kohlmann T,Feng YS.A systematic review of studies comparing the measurement properties of the three-level and five-level versions of the EQ-5D.PharmacoEconomics.2018;36(6):645-661.)。これは、可動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、及び不安/抑うつの5つの次元を含む記述システムである。参加者は、「今日のあなたの健康状態を最もよく表す1つのボックスにチェックを入れる」よう求められ、各項目の下にある5つの選択肢から選択する。5つの次元のスコアは、健康プロファイルとして表示することができるか、又は単一の要約インデックス番号に変換できる。EQ-5D-5LにはEQ VASも含まれており、参加者の自己評価による健康状態を0から100の垂直VASで記録する:0=想像できる最悪の健康状態、100=想像できる最高の健康状態。そのEQ-5D-5Lバージョンで使用される器具は、短く、信頼性が高く、検証済みで、完了しやすいスケールであり、再試験の信頼性に優れており、いくつかの疾患による疼痛に関連する生活の質に対処する。
【0109】
睡眠の質:睡眠障害は、疼痛の研究において重要な問題である。利用可能な様々な手段の中で、Medical Outcome Study(MOS)Sleep Scaleは、睡眠障害について心理測定的に検証された独自のスコアを提供する。このスケールは、過去1週間に対処する12の質問からなる。参加者は、それぞれの睡眠症状又は問題がどのくらいの頻度で存在するかを、「常に」から「まったくない」までの6段階のカテゴリスケールで報告する。入眠時間及び睡眠量に関する質問は、毎晩の平均睡眠時間として報告される。このスケールは投与負担が少なく、様々な疼痛試験で使用されており、神経障害性疼痛の患者で検証されている。
【0110】
安全性評価:安全性評価の計画された時点は、一般的な慣行に従って決定され、身体検査、バイタルサイン及び体重測定、12誘導心電図、臨床検査、肝臓の安全性モニタリング、C-SSRS、及び自発的に報告されたAesが含まれる。
【0111】
有効性評価:
【表15】

【0112】
慢性疼痛を特性決定する際には、評価及びドメインのコアセットが使用され、これらは、疼痛、身体機能、感情機能、全体的な改善の参加者評価、有害事象(Aes)、及び参加者の性質である。NRSは、疼痛の変化を検出する実証された能力、及び試験中の疾患状態全体での一般的な使用に基づいて、主要エンドポイントとして選択される。
【0113】
西オンタリオおよびマクマスター大学の変形性関節症指数(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index):The Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC(登録商標))(Bellamy N.The WOMAC Knee and Hip Osteoarthritis Indices:Development,validation,globalization and influence on the development of the AUSCAN Hand Osteoarthritis Indices.Clin Exp Rheumatol.2005;23(Suppl.39):148-153)は、変形性関節症の疼痛の治療薬に対する反応を評価するために広く使用されている検証済みの手段である。WOMACバージョンLK3.1は、試験のスケジュール(schedule of activities)に従って管理される。
【0114】
この表は、24問のWOMAC及びサブスケールについて説明している。
【表16】
【0115】
参加者は、質問ごとに0~4のリッカート尺度を使用して回答を記録する。
0=疼痛なし、4=極度の疼痛。各サブスケールのスコアは、各時点での各参加者のそれぞれのサブスケールの質問のスコアを合計することによって計算される。各サブスケールの採点可能範囲は、「疼痛=0~20」、「こわばり=0~8」、及び「身体機能=0~68」である。Bayesian縦断混合モデル反復測定分析(MMRM)を実行して、WOMAC疼痛サブスケール及び身体機能サブスケールのベースラインからベースライン後の各来院までの変化を評価する。事前に指定されたバイナリ有効性結果を満たす各治療群の参加者の割合は、ベースライン後の各時点で推定され、治療群の比較に使用される。推定値は、すべてのベースライン後の観察を含むBayesian縦断モデルのフィッティングから提供される。事前に指定されたバイナリ有効性結果には、WOMAC疼痛サブスケール、及びWOMAC身体機能サブスケールで測定したベースラインからの30%、50%、及び70%を超える減少によって測定されるように、ベースラインから30%、50%、及び70%を超える減少を伴う、ISA内の参加者の割合が含まれる。
【0116】
このモデルには、上記の連続有効性分析モデルで説明したカテゴリ共変量及び連続共変量が含まれるが、ベースラインと来院との相互作用は使用されない。追加のモデル項が考慮され、統計分析計画で指定される場合がある。WOMACの疼痛及び身体機能のサブスケールのベースラインからエンドポイントまでのパーセント変化の累積分布関数は、各治療群に提供される。
【0117】
試験スケジュール(schedule of activities:SoA):
試験スケジュールは、抗体Iの試験のための特定の来院及び手順を示している。「マスタープロトコル」とは、所与の疾患状態又は複数の疾患状態におけるいくつかの潜在的な試験を導くためのプロトコル設定を指し、介入固有の補遺とは、試験中の所与の介入に特に関連するプロトコルの部分を指す。
【表17】


【表18】
【0118】
試験集団:
男性及び女性の参加者は、患者の報告又は病歴に基づいて毎日の疼痛の病歴がある場合、試験に含める資格がある。
【0119】
組入れ基準:
以下の基準のすべてが当てはまる場合にのみ、患者は、試験への組入れに適格である。
彼らは、インフォームドコンセントに署名した時点で年齢が40歳以上である。
来院1で12週間を超える指標となる膝の疼痛がある。
Kellgren-Lawrenceグレード2~4の指標となる膝のレントゲン写真分類を伴う、American College of Rheumatologyによる、変形性関節症の診断を裏付けるX線を有している。
スクリーニング時に糖化ヘモグロビン(HbA1c)が10以下であることによって示されるように、安定した血糖対照を有している。
彼らは、提供された生殖及び避妊の要件を順守する男性又は女性である
彼らは、フォローアップ期間のV801まで許可されたレスキュー治療を除いて、試験中の状態に対するすべての鎮痛薬を中止する意思がある。
IV注入及びサンプル収集のために、両腕に静脈アクセスを有さなければならない。
【0120】
ベースライン特徴
来院1及び2で視覚的アナログスケール(VAS)の疼痛の値が40を超、及び95未満である。
患者の報告又は病歴に基づいて、少なくとも12週間の毎日の疼痛の病歴を有する。
壊滅的な疼痛のスケールで30以下の値を有している。
体重:ボディ・マス指数<40kg/m2(包括的)を有する
【0121】
インフォームドコンセント
彼らは、インフォームドコンセントフォーム(ICF)及びプロトコルに記載されている要件及び制限への準拠を含む、インフォームドコンセントを提供することができる。
【0122】
彼らは、試験期間中、必要なすべてのプロトコル手順に参加することに対して信頼でき、その意思があり、それが可能である。
彼らは、進行中の非薬理学的鎮痛療法(例えば、理学療法等)の一貫したレジメンを維持する意思があり、試験参加中に新しい非薬理学的鎮痛療法を開始しない。
彼らは、試験期間中、プロトコルごとに許可されたレスキュー治療を除いて、試験中の状態のためにすべての鎮痛剤を中止する意思がある。
無作為化の7日前、少なくとも5つの項目について、PDEPの期間中、必要な毎日の評価を入力する必要がある。
【0123】
除外基準:
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、参加者は、研究から除外される。
彼らは、すべてのプロトコル手順に完全に参加することが、大部分又は完全に不能、及びできない、例えば、寝たきり又は車椅子、セルフケアがほとんど又はまったく許可されない。
彼らは、指標となる膝に外科用ハードウェア又はその他の異物が存在する。
不安定な指標となる関節(前十字靭帯の断裂等)を有している。
ウォッシュアウト期間を開始する前の3か月以内に、影響を受けた膝に外科的処置又は治療注射を受けた。
線維筋痛症、慢性疼痛症候群、又は指標膝の評価を妨げる可能性のある他の併発する医学的又は関節炎の状態を有している。
ライター症候群、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患に伴う関節炎、サルコイドーシス、又はアミロイドーシスの病歴を有する。
指標となる膝の活動性膝感染症又は結晶性疾患の臨床徴候及び症状を有する。
指標となる関節に感染歴を有する。
結晶による関節炎の病歴を有する(例えば、痛風、偽痛風)。
同側性股関節変形性関節症を有する。あるいはその他の病状:来院2から24週間以内にヒアルロン酸の関節内注射を受けた。来院1又は来院2でのCKD-EPI式に基づくeGFRが70ml/分/1.73m2未満である。臨床的に重篤又は不安定な心血管、筋骨格障害、胃腸、内分泌、血液、肝臓、代謝、泌尿器、肺、皮膚、免疫、又は眼科の疾患を来院3の3か月以内に有している。
【0124】
以前/併用療法:神経成長因子(NGF)に対する抗体、又はEGFRに対する抗体、又はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を受けている。モノクローナル抗体に対するアレルギー反応の病歴があるか、又は臨床的に重大な多発性又は重度の薬物アレルギーの病歴があり、これには多形性紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚症、中毒性表皮壊死融解症、又は剥脱性皮膚炎が含まれるがこれらに限定されない。制御されていない喘息、湿疹、重大なアトピー、重大な遺伝性血管性浮腫又は一般的な変性の免疫不全の病歴又は存在を有する。及び
生殖性:彼らは、妊娠中又は授乳中の女性である。
【0125】
参加者は、二重盲検試験期間中、同様のレベルの活動を維持する必要がある。新しい運動プログラム又は新しい激しい活動を開始することは許可されていない。
【0126】
指標となる膝のOAの理学療法を受けている参加者は、同じ治療プログラム(強度及び頻度)を継続する必要がある。
【0127】
試験評価及び手順
薬物動態
抗体I濃度の測定のために、約4mLの静脈血サンプルを採取する。サンプルは、抗体IのPKを評価するために使用される。
【0128】
施設担当者は、抗体Iの投与(注入の開始及び終了)の日時(24時間)、及び各PKサンプルの日時(24時間)を記録する。
【0129】
薬物動力学:
エピレグリンの測定のために、それぞれ約4mLの静脈血サンプルを採取する。残りの血液サンプルいずれも、TGF-αを含むがこれに限定されない他の潜在的なPDエンドポイントを試験するために使用できる。
【0130】
免疫原性評価:
免疫原性は、スポンサーによって承認された試験所で、抗体Iの存在下でADAを検出するように設計された検証済みのアッセイによって評価される。抗体は、抗体Iの活性を中和する能力について更に特性決定され得る。指定された来院及び時間に、投与前の静脈血サンプルを採取して、抗体Iに対する抗体産生を決定する。各サンプル採取の実際の日付及び時刻(24時間)を記録する。前回の予定された評価又は中止の来院時の免疫原性サンプルが、治療下で発現した(TE)抗薬物抗体(ADA)陽性である場合、シグナルがベースラインに戻るまで(すなわち、TE-ADA陽性でなくなるまで)又は最後の投与から最大1年間、追加のサンプルを採取することができる。これらの結果の解釈を支援するために、PK分析用の投与前の血液サンプルを同じ時点で投与する。
【0131】
統計的過程
Bayesian重要成功要因(CSF)が定義され、抗体Iが主要エンドポイントを達成したかどうかを評価するために使用される。CSFは、本明細書に記載され、当業者に知られている方法論を使用して、一次有効性エンドポイントであるNRSによって測定される平均疼痛強度について評価され、各試験の二重盲検部分の終了時に計算される。CSFは、
確率(治療効果<目的の効果)>確率しきい値の一般的な形式を有する。治療効果は、エンドポイントにおいてベースラインから抗体I推定値-プラセボ推定値の変化として定義される。
【0132】
目的の効果は、通常、文献検索又は臨床判断を通して見出される。確率のしきい値は、一般に、治療効果の信頼性の望ましいレベルを有するように、又はヌル効果を含む、妥当性があり想定される真の薬物効果シナリオの範囲の下で望ましい動作特性を有するように、設定される。追加の仮説には、本明細書で定義された事前に指定された目的及びエンドポイントに対する積極的介入とプラセボとの比較が含まれる。試験は、複数の試験が企図され、プラセボデータが必要に応じて共有されるプロトコルで実施されてもよい。
【0133】
一次仮説の決定基準は、NRSで測定した平均疼痛強度において、抗体Iがプラセボよりも少なくとも0.55単位優れていることを少なくとも70%確信していることとして定義される。主要な二次帰無仮説は、主要二次エンドポイント、つまりWOMAC(登録商標)疼痛サブスケールスコアのベースラインからエンドポイントまでの平均変化について、抗体Iとプラセボとの間に差がないことである。主要二次仮説の決定基準は、抗体IがWOMAC(登録商標)疼痛サブスケールでプラセボよりも少なくとも0.35単位優れているという確信が少なくとも70%あることとして定義される。
【0134】
サンプルサイズの決定:
約125名の参加者が、それぞれ抗体I及びプラセボに対して2:1の比率で無作為化される。約107名の参加者が試験の二重盲検治療期間を完了すると予想される。このサンプルサイズは80%を超える検出力を提供して、実際の治療群がWOMAC(登録商標)疼痛サブスケール(WOMAC=西オンタリオおよびマクマスター大学の変形性関節症指数(Western Ontario and McMaster University Osteoarthritis Index))で少なくとも0.35単位、プラセボよりも優れている0.7以上の事後確率を有することを示す。
【0135】
検出力計算の仮定は、WOMAC疼痛サブスケールで測定したベースラインからの疼痛強度の平均減少が、エンドポイントにおいて、プラセボ及び抗体Iでそれぞれ約3単位と4単位であり、共通の標準偏差は2.25であると仮定している。プラセボと抗体Iとの間に治療上の違いがない場合、上記の有効性基準に合格する確率(すなわち、偽陽性)は約0.1である。検出力計算及びサンプルサイズ決定のシミュレーションは、FACTSバージョン6.0で実行した。
【0136】
分析の集団:
薬物動態学的集団には、例えば、来院3で抗体Iの全用量が投与され、来院4での投薬前又は投薬後に少なくとも1つの評価可能なPKサンプルが回収されたすべての無作為化された参加者が含まれる。
【0137】
実施例8:糖尿病性末梢性神経障害性疼痛の治療のための抗体Iを評価するための無作為化プラセボ対照第2相臨床試験
この試験の目的は、糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)の緩和における抗体Iの有効性に関するヒトの臨床的証拠を提供することである。この試験集団における抗体Iの安全性及び忍容性を評価するためにデータを収集する。薬物動態(PK)特性、薬力学(PD)効果、及び免疫原性プロファイルも調査する。この概念実証試験からのデータの全体は、抗体Iに関連する利点及びリスクを評価し、抗体Iの臨床開発に情報を提供する。
【0138】
全体的な設計:
これは26週間の第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験であり、DPNPの参加者の抗体I及びプラセボを比較する。これは、ランダム化された、試験者及び参加者を盲検化した、プラセボ対照の第2相臨床試験である。約125名の参加者が無作為に試験介入に割り当てられる(84抗体I及び41プラセボ)。この26週間の試験には、8週間の二重盲検治療期間及び18週間のフォローアップ期間が含まれる。この試験設計を図2に示す。
【0139】
試験介入は、盲検化された施設職員によって約1時間にわたってゆっくりとした静脈内(IV)注入によって投与する。注入反応が観察された場合、必要に応じて注入速度を下げることができる。用量は750mgから開始し、続いて500mgを2週間ごとにIVで合計4回投与する。用量製剤は、滅菌水0.9%塩化ナトリウム溶液で再構成された凍結乾燥粉末である。参加者は、合計4回の注入のために2週間ごとにIV注入を受ける。参加者は、各注入の完了後、少なくとも4時間監視される。
【0140】
患者の来院時に、すべての治療後のサンプル収集及び安全性の監視が完了し、参加者は、来院退院前に試験制限及び数値評価スケール(NRS)日誌エントリを続行するように指示される。有効性データは、長いPK半減期及び抗体Iの潜在的な持続的標的エンゲージメントに基づいて、最終投与後6週間まで収集される。安全性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び免疫原性サンプルは介入の最後の投与の20週間後まで回収されて、安全性及び臨床免疫原性プロファイルを特性決定する。参加者は、最後に予定された手順を含む、試験の必要なすべてのフェーズを完了した場合、この試験を完了したと見なされる。
【0141】
目的及びエンドポイント
主要目的及び副次的目的及びエンドポイントを以下に説明する。
【表19】

【0142】
Visual Analog Scale(VAS):疼痛のVASは、スクリーニング時及び各診療所来院時に使用される。これは、参加者が過去1週間の調査対象領域の疼痛の強さを0から100のスケールで説明するように求められるグラフィックの単一項目スケールである。0=疼痛なし、100=想像できる最悪の疼痛。参加者は、疼痛の強さを表すポイントにVASラインに垂直なラインを配置して、VASを完成させる。
【0143】
数値評価スケール(NRS):NRSは、予備データ入力期間(PDEP)中及び試験全体を通して毎日使用されて、疼痛の重症度を説明する。これは、参加者が過去24時間の平均及び最悪の疼痛を0から10のスケールで説明するように求められる数値の単一項目スケールである。0=疼痛なし、10=想像できる最悪の疼痛。参加者は、持ち帰り用のデバイスを使用して毎日NRSを完了する。参加者のコンプライアンスは、診療所を訪れるたびに確認する。NRSの最悪の疼痛は毎日回収される。他の二次測定のスコアは、来院スケジュールで指定されているように、各来院で収集される。主要な結果の測定は、NRS項目で評価された平均疼痛強度のベースラインからエンドポイントまでの平均変化である。「過去24時間[試験下の領域]のあなたの疼痛の平均レベルを説明する1つの番号[0~10]を選択することによって自身の疼痛を点数付けしてください。]このスケールは、疼痛の変化を検出する実証された能力、及び疾患状態全体での一般的な使用に基づいて選択された。二次的なスケールは、NRS項目で測定された最悪の疼痛強度のベースラインからエンドポイントまでの平均変化である。「過去24時間[試験下の領域]のあなたの疼痛の最も悪いレベルを説明する1つの番号[0~10]を選択することによって自身の疼痛を点数付けしてください。]過去24時間の平均的な疼痛及び最悪の疼痛のNRS値は、参加者ごとに毎日収集される。統計分析では、過去24時間の平均及び最悪の疼痛の平均NRS値が、1週間間隔及び2週間間隔の両方で計算される。参加者が試験のプラセボ対照部分を完了した場合、NRSの週間隔の平均は8回のベースライン後の観察となり、隔週間隔の平均は各参加者のベースライン後の4回の観察となる。NRSの週間隔の平均は、分析計画で特に指定されていない限り、一次有効性分析及び以下に説明するその他の分析で使用される。参加者は、平均NRS値を計算するために、事前に指定された時間間隔中に50%以上の毎日のNRS値を有している必要があり、それ以外の場合、その来院の平均NRS値は欠落していると見なされる。
【0144】
全体的な改善に対する参加者の評価:患者の全体的な変化の印象(PGI)は、病状全体で使用される。それは、一般的な改善のサブ側面とは別に、参加者の治療の視点を捉えている。これは、1~7の数値スケールである。1=非常により良い、7=非常により悪い。参加者は、「この薬の服用を開始する前と比較して、現在の疼痛の症状を最もよく表しているボックスに印を付ける」よう求められる。
【0145】
情緒機能評価:EQ-5D-5L健康状態質問票は、病状全体で使用される。EQ-5D-5Lは、生活の質に対処するための最も人気のある患者完成手段の1つである(Buchholz I,Janssen MF,Kohlmann T,Feng YS.A systematic review of studies comparing the measurement properties of the three-level and five-level versions of the EQ-5D.PharmacoEconomics.2018;36(6):645-661.)。これは、可動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、及び不安/抑うつの5つの次元を含む記述システムである。参加者は、「今日のあなたの健康状態を最もよく表す1つのボックスにチェックを入れる」よう求められ、各項目の下にある5つの選択肢から選択する。5つの次元のスコアは、健康プロファイルとして表示することができるか、又は単一の要約インデックス番号に変換できる。EQ-5D-5LにはEQ VASも含まれており、参加者の自己評価による健康状態を0から100の垂直VASで記録する:0=想像できる最悪の健康状態、100=想像できる最高の健康状態。そのEQ-5D-5Lバージョンで使用される器具は、短く、信頼性が高く、検証済みで、完了しやすいスケールであり、再試験の信頼性に優れており、いくつかの疾患による疼痛に関連する生活の質に対処する。
【0146】
睡眠の質:睡眠障害は、疼痛の研究において重要な問題である。利用可能な様々な手段の中で、Medical Outcome Study(MOS)Sleep Scaleは、睡眠障害について心理測定的に検証された独自のスコアを提供する。このスケールは、過去1週間に対処する12の質問からなる。参加者は、それぞれの睡眠症状又は問題がどのくらいの頻度で存在するかを、「常に」から「まったくない」までの6段階のカテゴリスケールで報告する。入眠時間及び睡眠量に関する質問は、毎晩の平均睡眠時間として報告される。このスケールは投与負担が少なく、様々な疼痛試験で使用されており、神経障害性疼痛の患者で検証されている。
【0147】
安全性評価:安全性評価の計画された時点は、一般的な慣行に従って決定され、身体検査、バイタルサイン及び体重測定、12誘導心電図、臨床検査、肝臓の安全性モニタリング、C-SSRS、及び自発的に報告されたAesが含まれる。
【0148】
有効性評価:
【表20】

【0149】
慢性疼痛を特性決定する際には、評価及びドメインのコアセットが使用され、これらは、疼痛、身体機能、感情機能、全体的な改善の参加者評価、有害事象(Aes)、及び参加者の性質である。NRSは、疼痛の変化を検出する実証された能力、及び試験中の疾患状態全体での一般的な使用に基づいて、主要エンドポイントとして選択される。
【0150】
簡易疼痛質問票-改変短縮版(BPI-SF)
BPI-SFは、様々な疾患状態における疼痛の重症度(重症度スケール)、日常機能への影響(干渉スケール)、及び疼痛のその他の側面(例えば、疼痛の場所、治療による緩和)を評価する数値評価スケールである(Cleeland CS,Ryan KM.Pain assessment:global use of the Brief Pain Inventory.Ann Acad Med
【0151】
Singapore.1994Mar;23(2):129-138)。この表は、糖尿病性多発ニューロパチーの疼痛について検証された、BPIの改変版で使用される疼痛のスケール及び対応する数値評価スケールを示している。参加者は、疼痛の重症度、及び過去24時間に、この表に記載されている活動が疼痛によってどのように妨げられたかを評価する。
【表21】
【0152】
試験スケジュール(schedule of activities:SoA):
試験スケジュールは、抗体Iの試験のための特定の来院及び手順を示している。「マスタープロトコル」とは、所与の疾患状態又は複数の疾患状態におけるいくつかの潜在的な試験を導くためのプロトコル設定を指し、疾患状態の補遺は特定の疾患状態のガイダンスを指し、介入固有の補遺とは、試験中の所与の介入に特に関連するプロトコルの部分を指す。
【表22】

【表23】
【0153】
試験集団:
男性及び女性の参加者は、患者の報告又は病歴に基づいて毎日の疼痛の病歴がある場合、試験に含める資格がある。推定GFRは、腎効果の分析のために参加者のバランスの取れた数を確保するために層別化に使用される。測定値は来院2で回収され、サブセットは90以上及び90未満である。
【0154】
ミシガン神経障害スクリーニング手段は、糖尿病患者の脚及び足の神経障害を評価するために使用される(The Michigan Neuropathy Screening Instrument.ミシガン大学のウェブサイト.http://www.med.umich.edu/borc/profs/documents/svi/MNSI_patient.pdf.2000年公開.
【0155】
2019年12月11日アクセス)。試験のスケジュールに合わせて実施する。この表は、手段に含まれる評価を示している。
【表24】
【0156】
パートA及びパートBの両方が実施される。試験への組入れを決定するためにパートBのみが使用される。
【0157】
組入れ基準:
以下の基準のすべてが当てはまる場合にのみ、患者は、試験への組入れに適格である。
彼らは、インフォームドコンセントに署名した時点で年齢が18歳以上である。
末梢神経障害に続発し、少なくとも6か月間存在し、ミシガン神経障害スクリーニング手段パートB≧3((著作権)ミシガン大学[WWW])を使用して診断された毎日の対称的な足の疼痛を有している
1型又は2型糖尿病の病歴及び現在の診断を有している。
スクリーニング時に、糖化ヘモグロビン≦11で示されるように、安定した血糖対照を有している
彼らは、提供された生殖及び避妊の要件を順守する男性又は女性である
彼らは、フォローアップ期間のV801まで許可されたレスキュー治療を除いて、試験中の状態に対するすべての鎮痛薬を中止する意思がある。
IV注入及びサンプル収集のために、両腕に静脈アクセスを有さなければならない。
【0158】
ベースライン特徴
来院1及び2で視覚的アナログスケール(VAS)の疼痛の値が40を超、及び95未満である。
患者の報告又は病歴に基づいて、少なくとも12週間の毎日の疼痛の病歴を有する。
壊滅的な疼痛のスケールで30以下の値を有している。
体重:ボディ・マス指数<40kg/m2(包括的)を有する。
【0159】
インフォームドコンセント
彼らは、インフォームドコンセントフォーム(ICF)及びプロトコルに記載されている要件及び制限への準拠を含む、インフォームドコンセントを提供することができる。
【0160】
彼らは、試験期間中、必要なすべてのプロトコル手順に参加することに対して信頼でき、その意思があり、それが可能である。
【0161】
彼らは、進行中の非薬理学的鎮痛療法(例えば、理学療法等)の一貫したレジメンを維持する意思があり、試験参加中に新しい非薬理学的鎮痛療法を開始しない。
彼らは、試験期間中、プロトコルごとに許可されたレスキュー治療を除いて、試験中の状態のためにすべての鎮痛剤を中止する意思がある。
無作為化の7日前、少なくとも5つの項目について、PDEPの期間中、必要な毎日の評価を入力する必要がある。
【0162】
除外基準:
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、参加者は、研究から除外される。
彼らは、例えば、いくつかのタイプの化学療法、又は他のタイプの末梢神経障害のために、現在の薬物誘発性神経障害を有している
既知の遺伝性の運動神経障害、感覚神経障害、又は自律神経障害を有する。
その他の病状:
来院1又は来院2におけるCKD-EPI式に基づくeGFRが70ml/分/1.73m2未満である。
【0163】
臨床的に重篤又は不安定な心血管、筋骨格障害、胃腸、内分泌、血液、肝臓、代謝、泌尿器、肺、皮膚、免疫、又は眼科の疾患を来院3の3か月以内に有している。
【0164】
以前/併用療法:神経成長因子(NGF)に対する抗体、又はEGFRに対する抗体、又はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を受けている。モノクローナル抗体に対するアレルギー反応の病歴があるか、又は臨床的に重大な多発性又は重度の薬物アレルギーの病歴があり、これには多形性紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚症、中毒性表皮壊死融解症、又は剥脱性皮膚炎が含まれるがこれらに限定されない。制御されていない喘息、湿疹、重大なアトピー、重大な遺伝性血管性浮腫又は一般的な変性の免疫不全の病歴又は存在を有する。及び
【0165】
生殖性:彼らは、妊娠中又は授乳中の女性である。
【0166】
参加者は、二重盲検試験期間中、同様のレベルの活動を維持する必要がある。新しい運動プログラム又は新しい激しい活動を開始することは許可されていない。
【0167】
薬物動態
抗体I濃度の測定のために、約4mLの静脈血サンプルを採取する。サンプルは、抗体IのPKを評価するために使用される。
【0168】
施設担当者は、抗体Iの投与(注入の開始及び終了)の日時(24時間)、及び各PKサンプルの日時(24時間)を記録する。
【0169】
薬物動力学:
エピレグリンの測定のために、それぞれ約4mLの静脈血サンプルを採取する。残りの血液サンプルいずれも、TGF-αを含むがこれに限定されない他の潜在的なPDエンドポイントを試験するために使用できる。
【0170】
免疫原性評価:
免疫原性は、スポンサーによって承認された試験所で、抗体Iの存在下でADAを検出するように設計された検証済みのアッセイによって評価される。抗体は、抗体Iの活性を中和する能力について更に特性決定され得る。指定された来院及び時間に、投与前の静脈血サンプルを採取して、抗体Iに対する抗体産生を決定する。各サンプル採取の実際の日付及び時刻(24時間)を記録する。前回の予定された評価又は中止の来院時の免疫原性サンプルが、治療下で発現した(TE)抗薬物抗体(ADA)陽性である場合、シグナルがベースラインに戻るまで(すなわち、TE-ADA陽性でなくなるまで)又は最後の投与から最大1年間、追加のサンプルを採取することができる。これらの結果の解釈を支援するために、PK分析用の投与前の血液サンプルを同じ時点で投与する。
【0171】
統計的過程
Bayesian重要成功要因(CSF)が定義され、抗体Iが主要エンドポイントを達成したかどうかを評価するために使用される。CSFは、本明細書に記載され、当業者に知られている方法論を使用して、一次有効性エンドポイントであるNRSによって測定される平均疼痛強度について評価され、各試験の二重盲検部分の終了時に計算される。CSFは、
確率(治療効果<目的の効果)>確率しきい値の一般的な形式を有する。治療効果は、エンドポイントにおいてベースラインから抗体I推定値-プラセボ推定値の変化として定義される。
【0172】
目的の効果は、通常、文献検索又は臨床判断を通して見出される。確率のしきい値は、一般に、治療効果の信頼性の望ましいレベルを有するように、又はヌル効果を含む、妥当性があり想定される真の薬物効果シナリオの範囲の下で望ましい動作特性を有するように、設定される。追加の仮説には、本明細書で定義された事前に指定された目的及びエンドポイントに対する積極的介入とプラセボとの比較が含まれる。試験は、複数の試験が企図され、プラセボデータが必要に応じて共有されるプロトコルで実施されてもよい。
【0173】
一次仮説の決定基準は、NRSで測定した平均疼痛強度において、抗体Iがプラセボよりも少なくとも0.4単位優れていることを少なくとも70%確信していることとして定義される。
【0174】
BPI-SF連続有効性分析:Bayesian縦断混合効果モデル反復測定(MMRM)分析を実行して、ベースラインからベースライン後の各来院までの変化を評価し、合計の疼痛の干渉スケールを評価する。分析は、個々の疼痛の干渉、合計の疼痛の干渉(7つの応答の合計)、及び個々の疼痛の重症度スケールについて、ベースラインからベースライン後の各来院までの変化を分析するために使用される。事前に指定されたバイナリ有効性結果を満たす各治療群の参加者の割合は、ベースライン後の各時点で推定され、治療群の比較に使用される。推定値は、すべてのベースライン後の観察を含むBayesian縦断モデルのフィッティングから提供される。事前に指定されたバイナリ効果の結果には、BPI-SFの個々の重症度スコアによって測定されるベースラインからの30%、50%、及び70%の減少、BPI-SF総干渉スコアによって測定されるベースラインからの30%、50%、及び70%の減少を伴う参加者の割合が含まれる。
【0175】
サンプルサイズの決定:
約125名の参加者が、それぞれ抗体I及びプラセボに対して2:1の比率で無作為化される。約107名の参加者が試験の二重盲検治療期間を完了すると予想される。このサンプルサイズは80%を超える検出力を提供し、NRSで測定した平均疼痛強度において、実薬治療群がプラセボよりも少なくとも0.4単位優れているという0.7以上の事後確率であることを示す。
【0176】
検出力計算の仮定は、NRSによって測定される平均疼痛強度の平均減少が、エンドポイントで、プラセボ及び抗体Iでそれぞれ約1.58単位及び2.58単位であり、共通の標準偏差は2であるというものである。プラセボと抗体Iの間に治療上の違いがない場合、上記の有効性基準に合格する確率(つまり、偽陽性)は約0.06である。検出力計算及びサンプルサイズ決定のシミュレーションは、FACTSバージョン6.0で実行した。
【0177】
分析の集団:
薬物動態学的集団には、例えば、来院3で抗体Iの全用量が投与され、来院4での投薬前又は投薬後に少なくとも1つの評価可能なPKサンプルが回収されたすべての無作為化された参加者が含まれる。
【0178】
実施例9:慢性腰痛症の治療のための抗体Iを評価するための無作為化プラセボ対照第2相臨床試験
この試験の目的は、慢性腰痛症(CLBP)による疼痛の緩和における抗体Iの有効性に関するヒトの臨床的証拠を提供することである。この試験集団における抗体Iの安全性及び忍容性を評価するためにデータを収集する。薬物動態(PK)特性、薬力学(PD)効果、及び免疫原性プロファイルも調査する。この概念実証試験からのデータの全体は、抗体Iに関連する利点及びリスクを評価し、抗体Iの臨床開発に情報を提供する。
【0179】
全体的な設計:
これは26週間の第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験であり、CLBPの参加者の抗体I及びプラセボを比較する。これは、ランダム化された、試験者及び参加者を盲検化した、プラセボ対照の第2相臨床試験である。約150名の参加者が無作為に試験介入に割り当てられる(100抗体I及び50プラセボ)。この26週間の試験には、8週間の二重盲検治療期間及び18週間のフォローアップ期間が含まれる。この試験設計を図2に示す。方法及び仕様及び手順は、実施例7、8及び9と共通であり得、当業者は、各実施例でそれらを繰り返す必要がないことを認識することに留意されたい。同様に、臨床試験に典型的であるように、健康及び有害事象に関する追加の日常的な試験は、実施例7、8、及び9の試験の設計及び実行の一部であると理解されている。
【0180】
試験介入は、盲検化された施設職員によって約1時間にわたってゆっくりとした静脈内(IV)注入によって投与する。注入反応が観察された場合、必要に応じて注入速度を下げることができる。用量は750mgから開始し、続いて500mgを2週間ごとにIVで合計4回投与する。用量製剤は、滅菌水0.9%塩化ナトリウム溶液で再構成された凍結乾燥粉末である。参加者は、合計4回の注入のために2週間ごとにIV注入を受ける。参加者は、各注入の完了後、少なくとも4時間監視される。
【0181】
患者の来院時に、すべての治療後のサンプル収集及び安全性の監視が完了し、参加者は、来院退院前に試験制限及び数値評価スケール(NRS)日誌エントリを続行するように指示される。有効性データは、長いPK半減期及び抗体Iの潜在的な持続的標的エンゲージメントに基づいて、最終投与後6週間まで収集される。安全性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び免疫原性サンプルは介入の最後の投与の20週間後まで回収されて、安全性及び臨床免疫原性プロファイルを特性決定する。参加者は、最後に予定された手順を含む、試験の必要なすべてのフェーズを完了した場合、この試験を完了したと見なされる。
【0182】
目的及びエンドポイント
有効性結果測定:主要な結果測定には、数値評価スケール(NRS)で測定した平均疼痛強度のベースラインからの変化、NRSで測定した平均疼痛強度のベースラインからの変化[時間枠:ベースライン、最大8週目]。副次結果測定には、ローランド・モリス障害質問票(Roland Morris Disability Questionnaire:RMDQ)のベースラインからの変化、RMDQのベースラインからの変化[時間枠:ベースライン、8週目まで]、患者の全体的な印象によって測定される全体的な改善のベースラインからの変化、患者の全体的な変化の印象によって測定される全体的な改善のベースラインからの変化[時間枠:ベースライン、8週まで]、NRSによって測定される最悪の疼痛強度のベースラインからの変化、NRSによって測定される最悪の疼痛強度のベースラインからの変化[時間枠:ベースライン、8週まで]、疼痛のビジュアルアナログスケール(VAS)のベースラインからの変化、疼痛のVASのベースラインからの変化[時間枠:ベースライン、8週まで]、Medical Outcomes Studyの睡眠スケール(MOS Sleep Scale)のベースラインからの変化、MOS Sleep Scaleの睡眠スケールのベースラインからの変化[時間枠:ベースライン、8週目まで]、レスキュー治療の総量、レスキュー治療の総量[時間枠:ベースライン、8週目まで]、EuroQol-5D 5レベル質問票(EQ-5D-5L)のベースラインからの化、EQ-5D-5Lのベースラインからの変化が含まれる。
【0183】
【表25】


【表26】
【0184】
慢性疼痛を特性決定する際には、評価及びドメインのコアセットが使用され、これらは、疼痛、身体機能、感情機能、全体的な改善の参加者評価、有害事象(Aes)、及び参加者の性質である。NRSは、疼痛の変化を検出する実証された能力、及び試験中の疾患状態全体での一般的な使用に基づいて、主要エンドポイントとして選択される。
【0185】
Visual Analog Scale(VAS):疼痛のVASは、スクリーニング時及び各診療所来院時に使用される。これは、参加者が過去1週間の調査対象領域の疼痛の強さを0から100のスケールで説明するように求められるグラフィックの単一項目スケールである。0=疼痛なし、100=想像できる最悪の疼痛。参加者は、疼痛の強さを表すポイントにVASラインに垂直なラインを配置して、VASを完成させる。数値評価スケール(NRS):NRSは、予備データ入力期間(PDEP)中及び試験全体を通して毎日使用されて、疼痛の重症度を説明する。これは、参加者が過去24時間の平均及び最悪の疼痛を0から10のスケールで説明するように求められる数値の単一項目スケールである。0=疼痛なし、10=想像できる最悪の疼痛.参加者は、持ち帰り用のデバイスを使用して毎日NRSを完了する。参加者のコンプライアンスは、診療所を訪れるたびに確認する。NRSの最悪の疼痛は毎日回収される。他の二次測定のスコアは、来院スケジュールで指定されているように、各来院で収集される。主要な結果の測定は、NRS項目で評価された平均疼痛強度のベースラインからエンドポイントまでの平均変化である。「過去24時間[試験下の領域]のあなたの疼痛の平均レベルを説明する1つの番号[0~10]を選択することによって自身の疼痛を点数付けしてください。]このスケールは、疼痛の変化を検出する実証された能力、及び疾患状態全体での一般的な使用に基づいて選択された。二次的なスケールは、NRS項目で測定された最悪の疼痛強度のベースラインからエンドポイントまでの平均変化である。「過去24時間[試験下の領域]のあなたの疼痛の最も悪いレベルを説明する1つの番号[0~10]を選択することによって自身の疼痛を点数付けしてください。]過去24時間の平均的な疼痛及び最悪の疼痛のNRS値は、参加者ごとに毎日収集される。統計分析では、過去24時間の平均及び最悪の疼痛の平均NRS値が、1週間間隔及び2週間間隔の両方で計算される。参加者が試験のプラセボ対照部分を完了した場合、NRSの週間隔の平均は8回のベースライン後の観察となり、隔週間隔の平均は各参加者のベースライン後の4回の観察となる。NRSの週間隔の平均は、分析計画で特に指定されていない限り、一次有効性分析及び以下に説明するその他の分析で使用される。参加者は、平均NRS値を計算するために、事前に指定された時間間隔中に50%以上の毎日のNRS値を有している必要があり、それ以外の場合、その来院の平均NRS値は欠落していると見なされる。
【0186】
全体的な改善に対する参加者の評価:患者の全体的な変化の印象(PGI)は、病状全体で使用される。それは、一般的な改善のサブ側面とは別に、参加者の治療の視点を捉えている。これは、1~7の数値スケールである。1=非常により良い、7=非常により悪い。参加者は、「この薬の服用を開始する前と比較して、現在の疼痛の症状を最もよく表しているボックスに印を付ける」よう求められる。
【0187】
情緒機能評価:EQ-5D-5L健康状態質問票は、病状全体で使用される。EQ-5D-5Lは、生活の質に対処するための最も人気のある患者完成手段の1つである(Buchholz I,Janssen MF,Kohlmann T,Feng YS.A systematic review of studies comparing the measurement properties of the three-level and five-level versions of the EQ-5D.PharmacoEconomics.2018;36(6):645-661.)。これは、可動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、及び不安/抑うつの5つの次元を含む記述システムである。参加者は、「今日のあなたの健康状態を最もよく表す1つのボックスにチェックを入れる」よう求められ、各項目の下にある5つの選択肢から選択する。5つの次元のスコアは、健康プロファイルとして表示することができるか、又は単一の要約インデックス番号に変換できる。EQ-5D-5LにはEQ VASも含まれており、参加者の自己評価による健康状態を0から100の垂直VASで記録する:0=想像できる最悪の健康状態、100=想像できる最高の健康状態。そのEQ-5D-5Lバージョンで使用される器具は、短く、信頼性が高く、検証済みで、完了しやすいスケールであり、再試験の信頼性に優れており、いくつかの疾患による疼痛に関連する生活の質に対処する。
【0188】
睡眠の質:睡眠障害は、疼痛の研究において重要な問題である。利用可能な様々な手段の中で、Medical Outcome Study(MOS)Sleep Scaleは、睡眠障害について心理測定的に検証された独自のスコアを提供する。このスケールは、過去1週間に対処する12の質問からなる。参加者は、それぞれの睡眠症状又は問題がどのくらいの頻度で存在するかを、「常に」から「まったくない」までの6段階のカテゴリスケールで報告する。入眠時間及び睡眠量に関する質問は、毎晩の平均睡眠時間として報告される。
【0189】
安全性評価:安全性評価の計画された時点は、一般的な慣行に従って決定され、身体検査、バイタルサイン及び体重測定、12誘導心電図、臨床検査、肝臓の安全性モニタリング、C-SSRS、及び自発的に報告されたAesが含まれる。
【0190】
ローランド・モリス障害質票:ローランド・モリス障害質問票(RMDQ)は、腰痛患者の障害を測定するためのシンプルで感度が高く、信頼できる方法である。RMDQは、身体能力/活動、睡眠/休息、心理社会的要因、家庭での管理、食事、及び疼痛の頻度に基づいて、背中の疼痛及び関連する障害に対する個人の認識に関連する24の提示からなる。参加者は、提示がその日の自分自身の状況を説明していると思うかどうか尋ねられる。合計スコアは、次の範囲の「はい」の回答数をカウントすることによって得られる。
0=障害なし~24=最大の障害。
【0191】
PainDETECT:painDETECT質問票は、神経障害性疼痛症状の質に関する7つの質問からなる。当初、腰痛症患者の神経障害性疼痛の表現型を捉えるために提案された(Freynhagen 2006)。参加者によって簡単に答えられ、身体検査は必要ない。19以上のスコアは、疼痛が表現型的に神経障害性である可能性が高いことを示す(>90%)。
【0192】
統計分析
この表は、慢性腰痛症の層別化係数を定義している。
【表27】
【0193】
追加の階層化要因は、ISAで定義できる。
【0194】
エンドポイント分析-RMDQ
連続有効性分析:ベイジアン縦断混合効果モデル反復測定(MMRM)分析を実行して、RMDQスコアのベースラインから各ベースライン来院までの変化を評価する。マスタープロトコルで説明されているように、同じプラセボ借入戦略が実装されるが、他のDSAから借用した処理効果は実行されない。追加のベイジアンMMRM分析も、プラセボ情報の借用を利用しない、それぞれのISAからのデータのみを使用して実施される。分析は、RMDQスコアのベースラインからベースライン後の各来院への変化を分析するために使用される(Freynhagen R,Baron R,Gockel U,Tolle TR.painDETECT:a new screening questionnaire to identify neuropathic components in patients with back pain.Curr Med Res Opin.2006;22(10):1911-1920.)。
【0195】
この表は、モデルに含まれる情報を示している。
【表28】
【0196】
カテゴリ有効性分析:
事前に指定されたバイナリ有効性結果を満たす各治療群の参加者の割合は、ベースライン後の各時点で推定され、治療群の比較に使用される。推定値は、すべてのベースライン後の観察を含むBayesian縦断モデルのフィッティングから提供される。
【0197】
事前に指定されたバイナリ有効性結果には、RMDQスコアで測定したベースラインからの30%、50%、及び70%を超える減少、及びRMDQスコアスコアにおけるベースラインからの少なくとも3.5ポイントの減少を伴う、ISA内の参加者の割合が含まれる。
【0198】
このモデルには、上記の連続有効性分析モデルで説明したカテゴリ共変量及び連続共変量が含まれるが、ベースラインと来院との相互作用は使用されない。RMDQスコアのベースラインからエンドポイントまでの変化率の累積分布関数が、各治療群に提供される。
【0199】
試験スケジュール(schedule of activities:SoA):
試験スケジュールは、抗体Iの試験のための特定の来院及び手順を示している。「マスタープロトコル」とは、所与の疾患状態又は複数の疾患状態におけるいくつかの潜在的な試験を導くためのプロトコル設定を指し、介入固有の補遺とは、試験中の所与の介入に特に関連するプロトコルの部分を指す。
【表29】

【表30】
【0200】
試験集団:男性及び女性の参加者は、患者の報告又は病歴に基づいて毎日の疼痛の病歴がある場合、試験に含める資格がある。
【0201】
インフォームドコンセント:インフォームドコンセントを提供することができ、これには、インフォームドコンセントフォーム(ICF)及びプロトコルに記載されている要件及び制限への準拠が含まれ、彼らは試験中に必要なすべてのプロトコル手順に参加することに信頼性があり、その意思があり、それができ、彼らは、進行中の非薬理学的鎮痛療法(理学療法等)の一貫したレジメンを維持する意思があり、試験参加中に新しい非薬理学的鎮痛療法を開始せず、彼らは、試験期間中、プロトコルごとに許可されたレスキュー薬を除いて、試験中の状態に対するすべての鎮痛薬を中止する意思があり、彼らは、無作為化前の7日間のうち少なくとも5日間、PDEP中に必要な毎日の評価を入力しなければならない。
【0202】
組入れ基準:
以下の基準のすべてが当てはまる場合にのみ、患者は、試験への組入れに適格である。
・インフォームドコンセントに署名した時点で年齢が18歳以上である。
・スクリーニング中の視覚的アナログスケール(VAS)の疼痛の値が40以上及び95未満。
・参加者の報告又は病歴に基づいて、少なくとも12週間、毎日の疼痛の病歴を有する。
・壊滅的な疼痛のスケールで値が30以下を有する。
・体重・ボディ・マス指数40キログラム/平方メートル(kg/m)未満(包括的)を有する。
・進行中の非薬理学的鎮痛療法(例えば、理学療法等)の一貫したレジメンを維持する意思があり、試験参加中に新しい非薬理学的鎮痛療法を開始しない。
・試験期間中、プロトコルごとに許可されているレスキュー薬を除いて、試験中の状態に対するすべての鎮痛薬を中止する意思がある。
・放射線療法の有無にかかわらず、第12胸椎と臀部下部との間で少なくとも3か月間の腰痛症病歴を有する。
・ケベック・タスクフォースのカテゴリ1~3に分類される腰痛症の病歴を有する。
・スクリーニング時の糖化ヘモグロビン(HbA1c)が10以下であることで示されるように、安定した血糖対照を有する。
・スクリーニング中の推定糸球体濾過率(eGFR)が70ml/分/1.73m未満を有する。
・男性、又は女性は、生殖及び避妊の要件を順守することができる。
【0203】
除外基準:
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、参加者は、研究から除外される。
・臨床的に重篤又は不安定な心血管、筋骨格障害、胃腸(GI)、内分泌、血液、肝臓、代謝、泌尿器、肺、皮膚、免疫、又は眼科の疾患をベースラインの3か月以内に有している。
・神経成長因子(NGF)に対する抗体、EGFRに対する抗体、又はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を受けている。
・モノクローナル抗体に対するアレルギー反応の病歴があるか、又は多形性紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚病、中毒性表皮壊死融解症、又は剥脱性皮膚炎を含むがこれらに限定されない、臨床的に重大な複数又は重度の薬物アレルギーを有する。
・制御されていない喘息、湿疹、重大なアトピー、重大な遺伝性血管性浮腫、又は一般的な変数の免疫不全の病歴又は存在を有する。
・ウォッシュアウト期間開始の3か月で治療注射(ボツリヌス毒素又はコルチコステロイド)を使用した
-骨粗鬆症性圧迫骨折の病歴又は現在有する;最近大きな外傷を負ったことがある(V3の6か月以内);
-過去6か月間に腰痛症の治療のために外科的介入を受けた。
-生殖性:彼らは、妊娠中又は授乳中の女性である。
・以前/併用療法:神経成長因子(NGF)に対する抗体、又はEGFRに対する抗体、又はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を受けている。モノクローナル抗体に対するアレルギー反応の病歴があるか、又は臨床的に重大な多発性又は重度の薬物アレルギーの病歴があり、これには多形性紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚症、中毒性表皮壊死融解症、又は剥脱性皮膚炎が含まれるがこれらに限定されない。制御されていない喘息、湿疹、重大なアトピー、重大な遺伝性血管性浮腫又は一般的な変性の免疫不全の病歴又は存在を有する。
【0204】
試験評価及び手順
薬物動態:抗体I濃度の測定のために、約4mLの静脈血サンプルを採取する。サンプルを使用して、抗体IのPKを評価する。施設担当者は、抗体Iの投与(注入の開始及び終了)の日時(24時間)、及び各PKサンプルの日時(24時間)を記録する。
【0205】
薬力学:エピレグリンの測定のために、それぞれ約4mLの静脈血サンプルを採取する。残りの血液サンプルいずれも、TGF-αを含むがこれに限定されない他の潜在的なPDエンドポイントを試験するために使用できる。
【0206】
免疫原性評価:免疫原性は、スポンサーによって承認された試験所で、抗体Iの存在下でADAを検出するように設計された検証済みのアッセイによって評価される。抗体は、抗体Iの活性を中和する能力について更に特性決定され得る。指定された来院及び時間に、投与前の静脈血サンプルを採取して、抗体Iに対する抗体産生を決定する。各サンプル採取の実際の日付及び時刻(24時間)を記録する。前回の予定された評価又は中止の来院時の免疫原性サンプルが、治療下で発現した(TE)抗薬物抗体(ADA)陽性である場合、シグナルがベースラインに戻るまで(すなわち、TE-ADA陽性でなくなるまで)又は最後の投与から最大1年間、追加のサンプルを採取することができる。これらの結果の解釈を支援するために、PK分析のための投与前の血液サンプルが同じ時点で回収される。
【0207】
統計的過程
Bayesian重要成功要因(CSF)が定義され、抗体Iが主要エンドポイントを達成したかどうかを評価するために使用される。CSFは、本明細書に記載され、当業者に知られている方法論を使用して、一次有効性エンドポイントであるNRSによって測定される平均疼痛強度について評価され、各試験の二重盲検部分の終了時に計算される。CSFの一般的な形式は次の通りである。
【0208】
確率(治療効果<目的の効果)>確率しきい値の一般的な形式を有する。治療効果は、エンドポイントにおいてベースラインから抗体I推定値-プラセボ推定値の変化として定義される。目的の効果は、通常、文献検索又は臨床判断を通して見出される。確率のしきい値は、一般に、治療効果の信頼性の望ましいレベルを有するように、又はヌル効果を含む、妥当性があり想定される真の薬物効果シナリオの範囲の下で望ましい動作特性を有するように、設定される。追加の仮説には、本明細書で定義された事前に指定された目的及びエンドポイントに対する積極的介入とプラセボとの比較が含まれる。試験は、複数の試験が企図され、プラセボデータが必要に応じて共有されるプロトコルで実施されてもよい。
【0209】
一次仮説の決定基準は、NRSで測定した平均疼痛強度において、抗体Iがプラセボよりも少なくとも0.55単位優れていることを少なくとも70%確信していることとして定義される。主要な二次帰無仮説は、主要二次エンドポイント、つまり関連する疼痛スコアのベースラインからエンドポイントまでの平均変化について、抗体Iとプラセボとの間に差がないことである。主要二次仮説の決定基準は、抗体Iが関連する疼痛スコアでプラセボよりも少なくとも0.35単位優れているという確信が少なくとも70%あることとして定義される。
【0210】
分析のための集団:薬物動態学的集団には、例えば、来院3で抗体Iの全用量が投与され、来院4での投薬前又は投薬後に少なくとも1つの評価可能なPKサンプルが回収されたすべての無作為化された参加者が含まれる。
【0211】
アミノ酸配列及び核酸配列のリスト
重鎖CDR
【表31】
【0212】
軽鎖CDR
【表32】
【0213】
重鎖可変領域
【表33】
【0214】
軽鎖可変領域
【表34】
【0215】
完全重鎖
【表35】
【0216】
完全な軽鎖
【表36】
【0217】
ヌクレオチド配列
重鎖可変領域
【表37】
【0218】
ヌクレオチド配列
軽鎖可変領域
【表38】
【0219】
成熟ヒトTGFアルファ
【表39】
【0220】
成熟マウス(Mus musculus)TGFα
【表40】
【0221】
成熟ラット(Rattus norvegicus)TGFα
【表41】
【0222】
成熟したカニクイザル(Macaca fascicularis)TGFアルファ
【表42】
【0223】
成熟ヒトエピレグリン-N末端メチオニンの付加
【表43】
【0224】
成熟マウス(Mus musculus)エピレグリン-N末端メチオニンの付加
【表44】
【0225】
成熟したカニクイザル(Macaca fascicularis)エピレグリン
【表45】
【0226】
成熟ヒトエピゲン
【表46】
【0227】
成熟マウス(Mus musculus)エピゲン
【表47】
【0228】
成熟ヒトEGF-N末端メチオニンの付加
【表48】
【0229】
成熟ヒトHBEGF
【表49】
【0230】
成熟ヒトベータセルリン
【表50】
【0231】
成熟ヒトアンフィレグリン
【表51】
【0232】
完全な重鎖抗体III-マウス抗体
【表52】
【0233】
完全軽鎖抗体III-マウス抗体
【表53】
【0234】
成熟ヒトエピレグリン
【表54】

本出願の発明の例として、以下のものが挙げられる。
[1] 慢性疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含み、前記軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である、慢性疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法。
[2] 慢性変形性関節症疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含み、前記軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である、慢性変形性関節症疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法。
[3] 慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含み、前記軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である、慢性糖尿病性末梢神経障害疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法。
[4] 慢性腰痛症疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、軽鎖及び重鎖を含む抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含み、前記軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である、慢性腰痛症疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法。
[5] 前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9又は配列番号10である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9であり、前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13又は配列番号14である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記抗体が、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[11] 前記抗体が、各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号14である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 抗体の用量が750mgの開始用量であり、患者が疼痛の治療を必要とする限り、その後2週間ごとに500mgの用量である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 前記慢性疼痛が2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法の治療レジメンに対して不応性である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[14] 慢性疼痛の治療における使用のための、軽鎖及び重鎖を含む抗体であって、前記軽鎖は軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前記重鎖は重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRはアミノ酸配列LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、前記HCVRはアミノ酸配列HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCDR1は配列番号4であり、LCDR2は配列番号5であり、LCDR3は配列番号6であり、HCDR1は配列番号1であり、HCDR2は配列番号2であり、HCDR3は配列番号3である、慢性疼痛の治療における使用のための、軽鎖及び重鎖を含む抗体。
[15] 前記慢性疼痛が、慢性変形性関節症疼痛、慢性糖尿病性神経障害性疼痛、及び慢性腰痛症からなる群から選択される、上記[14]に記載の使用のための抗体。
[16] 前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9又は配列番号10である、上記[14]又は[15]のいずれか一項に記載の使用。
[17] 前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、上記[14]又は[15]に記載の使用。
[18] 前記LCVRのアミノ酸配列が配列番号9であり、前記HCVRのアミノ酸配列が配列番号7である、上記[14]又は[15]に記載の使用。
[19] 前記軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13又は配列番号14である、上記[14]に記載の使用。
[20] 前記重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である、上記[14]に記載の使用。
[21] 各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号13である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む上記[14]に記載の使用。
[22] 各軽鎖のアミノ酸配列が配列番号14である2つの軽鎖と、各重鎖のアミノ酸配列が配列番号12である2つの重鎖と、を含む上記[14]に記載の使用。
[23] 前記慢性疼痛が慢性変形性関節症疼痛である、上記[14]~[22]の1つ又は複数に記載の使用。
[24] 前記慢性疼痛が慢性糖尿病性末梢神経障害性疼痛である、上記[14]~[22]の1つ又は複数に記載の使用。
[25] 前記慢性疼痛が慢性腰痛症疼痛である、上記[14]~[22]の1つ又は複数に記載の使用。
[26] 抗体の用量が750mgの開始用量であり、患者が疼痛の治療を必要とする限り、その後2週間ごとに500mgの用量である、上記[14]~[25]のいずれか一項に記載の使用。
[27] 前記慢性疼痛が2つ以上の以前の単剤療法及び/又は2剤療法の治療レジメンに対して不応性である、上記[14]~[25]のいずれか一項に記載の使用。
図1
図2
【配列表】
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