IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーエム−テック・カンパニー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-加熱式喫煙物品 図1
  • 特許-加熱式喫煙物品 図2
  • 特許-加熱式喫煙物品 図3
  • 特許-加熱式喫煙物品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加熱式喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20240920BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20240920BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20240920BHJP
   A24F 40/00 20200101ALN20240920BHJP
【FI】
A24D1/20
A24B15/16
A24D3/17
A24F40/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023023980
(22)【出願日】2023-02-20
(65)【公開番号】P2023169863
(43)【公開日】2023-11-30
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0060374
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0064823
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0099791
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0150686
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513195466
【氏名又は名称】イーエム-テック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EM-TECH.Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チョン,スンギュ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジュナク
(72)【発明者】
【氏名】イム,ドンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンアン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ファンオク
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジヘ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-518499(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03943186(EP,A1)
【文献】特表2022-524797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0094066(US,A1)
【文献】特開2005-139459(JP,A)
【文献】特表2021-534771(JP,A)
【文献】特開2021-175399(JP,A)
【文献】国際公開第2020/250111(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24D 1/20
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターロッドと、
フィルターロッドの下端に積層され、加熱によりエアロゾルを発生するエアロゾル媒質、及び、エアロゾル媒質を収容又は吸湿する吸湿体を含むエアロゾル媒質ロッドと、
フィルターロッド及びエアロゾル媒質ロッドを取り囲んで積層構造を維持させるラッピング部とを含み、
エアロゾル媒質は、グリセリン及び増粘剤を含むが、水及びゼラチンを含まないことで、常温を含む第1の温度範囲において半固状又は固状で維持され、第1の温度範囲よりも高い50℃~100℃の第2の温度範囲において液化状態であり、グリセリンは、第2の温度範囲よりも高い150℃~300℃の第3の温度範囲において気化してエアロゾルを発生させ、増粘剤は、第3の温度範囲において気化しなくて吸湿体に残留することを特徴とする、加熱式喫煙物品。
【請求項2】
増粘剤は、単糖類、二糖類、糖アルコール、少糖類を含む群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項3】
単糖類は、植物抽出物としてグルコース、果糖、ガラクトースを含む群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする、請求項2に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項4】
二糖類は、砂糖から抽出した成分を含むことを特徴とする、請求項2に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項5】
糖アルコールは、イソマルト、マルチトール、キシリトール、ソルビトールを含む群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする、請求項2に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項6】
少糖類は、二糖類以上の糖類としてマルトデキストリンを含むことを特徴とする、請求項2に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項7】
エアロゾル媒質は、エアロゾル原料物質として、プロピレングリコール、ニコチン、香味剤、カフェイン、滋養強壮剤エタノール、糖アルコール、カンナビノイドを含む群から選択される一つ以上の物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項8】
エアロゾル媒質は、加香成分をさらに含み、
加香成分は、メントール、フルーツフレーバー、ハーブフレーバー、丁香又は丁香抽出物を含む群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項9】
フィルターロッド及びエアロゾル媒質ロッド間に、上下方向に中空が形成された冷却チューブロッドをさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項10】
エアロゾル媒質ロッドの上端又は下端に、タバコ体ロッドをさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の加熱式喫煙物品。
【請求項11】
エアロゾル媒質ロッドの上端又は下端に、ニコチンロッドをさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の加熱式喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱式喫煙物品に関し、特に、燃焼方式ではない加熱方式によりエアロゾルを発生させることができるエアロゾル媒質を含む加熱式喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般の巻タバコの短所を克服する代替方法に関する需要が増加している。例えば、巻タバコを燃焼させてエアロゾルを生成させる方法ではなく、巻タバコ内のエアロゾル発生物質の加熱によりエアロゾルを生成させる方法に関する需要が増加している。
【0003】
一般に、タバコ媒質の主原料であるスラリー板状葉シートの場合、引張力が弱くて製造適性が困難であり、タバコ媒質に保湿剤も多量含まれているため、物理性が脆弱である。また、グリセリン等のようなリキッドを含有したタバコ媒質は、親水性により周囲環境の湿度にも敏感であるため、製造工程の環境を制御することに困難がある。タバコ媒質内に含有させることができるリキッドの量にも限界がある。
【0004】
タバコ媒質を含む巻タバコの以外に、別途のカトマイザー(cartomizer)にリキッドを保管して、エアロゾルをさらに発生させてユーザが巻タバコの吸入時にリキッドから由来するエアロゾルを、巻タバコを通じて吸入する場合も提案されているが、カトマイザーに含まれていたリキッドを管理することに困難(流通期限や変質など)があり、カトマイザーから生成されたエアロゾルが移動する気流パスに凝縮物が発生し、汚染が発生する恐れがある。
【0005】
これにより、使い捨ての電気加熱式喫煙物品内にエアロゾル媒質を提供し、これからエアロゾルを得るためのニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、燃焼方式でない加熱方式によりエアロゾルを発生させることができるエアロゾル媒質を含むとともに、使い捨ての電気加熱式喫煙物品を提供し、これからエアロゾルを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施例に係る加熱式喫煙物品は、フィルターロッドと、フィルターロッドの下端に積層され、加熱によりエアロゾルを発生するエアロゾル媒質、及び、エアロゾル媒質を収容又は吸湿する吸湿体を含むエアロゾル媒質ロッドと、フィルターロッド及びエアロゾル媒質ロッドを取り囲んで積層構造を維持させるラッピング部とを含み、エアロゾル媒質は、グリセリン及び増粘剤を含むことで、常温を含む第1の温度範囲において半固状又は固状で維持され、第1の温度範囲よりも高い第2の温度範囲において液化状態であり、グリセリンは、第2の温度範囲よりも高い第3の温度範囲において気化してエアロゾルを発生させ、増粘剤は、第3の温度範囲において気化しなくて吸湿体に残留する。
【0008】
好ましくは、増粘剤は、単糖類、二糖類、糖アルコール、少糖類を含む群から選択される一つ以上の物質を含むことができる。
【0009】
より好ましくは、単糖類は、植物抽出物としてグルコース、果糖、ガラクトースを含む群から選択される一つ以上の物質を含むことができる。
【0010】
より好ましくは、二糖類は、砂糖から抽出した成分を含むことができる。
【0011】
より好ましくは、糖アルコールは、イソマルト、マルチトール、キシリトール、ソルビトールを含む群から選択される一つ以上の物質を含むことができる。
【0012】
より好ましくは、少糖類は、二糖類以上の糖類としてマルトデキストリンを含むことができる。
【0013】
好ましくは、エアロゾル媒質は、エアロゾル原料物質として、プロピレングリコール、ニコチン、香味剤、カフェイン、滋養強壮剤、水、エタノール、糖アルコール、カンナビノイドを含む群から選択される一つ以上の物質をさらに含むことができる。
【0014】
好ましくは、エアロゾル媒質は、加香成分をさらに含み、加香成分は、メントール、フルーツフレーバー、ハーブフレーバー、丁香又は丁香抽出物を含む群から選択される一つ以上の物質を含むことができる。
【0015】
より好ましくは、フィルターロッド及びエアロゾル媒質ロッド間に、上下方向に中空が形成された冷却チューブロッドをさらに含むことができる。
【0016】
より好ましくは、エアロゾル媒質ロッドの上端又は下端に、タバコ体ロッドをさらに含むことができる。
【0017】
より好ましくは、エアロゾル媒質ロッドの上端又は下端に、ニコチンロッドをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、燃焼方式でない加熱方式によりエアロゾルを発生させることができるエアロゾル媒質と、増粘剤として、糖類(単糖類、二糖類、糖アルコール、少糖類など)成分とを含むことで、常温で半固状又は固状を維持させる効果があり、加香も可能である効果があり、増粘剤は、エアロゾル媒質の気化によりエアロゾル化するとき、気化しなくて吸湿体に残留することで、ユーザがエアロゾル媒質から由来するエアロゾルだけを吸入できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例に係る加熱式喫煙物品の概略垂直断面図である。
図2】実施例に係るエアロゾル媒質を300℃で熱分解分析した結果を示す図である。
図3】他の実施例に係る加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。
図4】また他の実施例に係る加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付図面に基づき、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。しかしながら、これは、本発明が特定の実施例に限定されず、本発明の実施例の多様な変更(modification)、均等物(equivalent)及び/又は代替物(alternative)を含むものと理解しなければならない。図面の説明と関連して、類似な構成要素に対しては類似な参照符号が用いられる。
【0021】
本文書において、「有する」、「有することができる」、「含む」又は「含むことができる」などの表現は、該当特徴(例:数値、機能、動作又は部品などの構成要素)の存在を称し、追加的な特徴の存在を排除しない。
【0022】
本文書において、「A又はB」、「A又は/及びBの少なくとも一つ」、或いは、「A又は/及びBの一つ又はそれ以上」などの表現は、共に羅列された項目等の全ての可能な組合を含むことができる。例えば、「A又はB」、「A及びBの少なくとも一つ」、或いは、「A又はBの少なくとも一つ」は、(1)少なくとも一つのAを含む、(2)少なくとも一つのBを含む、或いは、(3)少なくとも一つのA及び少なくとも一つのBの全部を含む、場合を全部称することができる。
【0023】
本文書で使用される「第1」、「第2」、「一番目」又は「二番目」などのような表現は、多様な構成要素を、順序及び/又は重要度と無関係に修飾でき、ある構成要素を他の構成要素と区分するために使用されるだけで、当該構成要素を限定するものではない。例えば、第1のユーザ機器及び第2のユーザ機器は、順序又は重要度と無関係に、互いに異なるユーザ機器を称することができる。例えば、本文書に記載された権利範囲を逸脱しない限り、第1の構成要素は第2の構成要素と称することができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素に変えて称することができる。
【0024】
ある構成要素(例:第1の構成要素)が他の構成要素(例:第2の構成要素)に「(機能的又は通信的に)連結されて(operatively or communicatively)coupled with/to」」、または、「接続されて(connected to)」いると言及された時には、ある構成要素が他の構成要素に直接的に連結されたり、他の構成要素(例:第3の構成要素)を介して連結されたりすると理解しなければならない。反面、ある構成要素(例:第1の構成要素)が他の構成要素(例:第2の構成要素)に「直接的に連結されて」、または、「直接的に接続されて」いると言及された時には、ある構成要素及び他の構成要素間にまた他の構成要素(例:第3の構成要素)が存在しないものと理解しなければならない。
【0025】
本文書で使用された表現の「~ように構成された(又は設定された)(configured to)」は、状況に応じて例えば、「~に適合した(suitable for)」、「~する能力を有する(having the capacity to)」、「~ように設計された(designed to)」、「~ように変更された(adapted to)」、「~ように作られた(made to)」、或いは、「~をすることができる(capable of)」に変えて使用できる。用語の「~ように構成(又は設定)された」は、ハードウェアー的に「特別に設計された(specifically designed to)」だけを必ずしも意味するものではない。代わりに、どのような状況では、「~ように構成された装置」という表現は、その装置が他の装置又は部品等と共に「~することができる」ことを意味できる。
【0026】
本文書で使用された用語等は、但し特定の実施例を説明するために使用されたもので、他の実施例の範囲を限定する意図はない。単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含むことができる。技術的或いは科学的な用語を含めてここで使用される用語等は、本文書に記載された技術分野における通常の知識を有した者により一般的に分かるものと同一の意味を有することができる。本書に使用された用語等のうち、一般の辞書に定義されている用語等は関連技術の文脈上有する意味と同一又は類似な意味として解析でき、本文書で明白に定義されていない限り、理想的或いは過度に形式的な意味であると解析しない。場合によっては、本文書で定義されている用語であっても、本文の実施例を排除するように解析してはいけない。
【0027】
図1は、実施例に係る加熱式喫煙物品の概略垂直断面図である。
【0028】
実施例に係る加熱式喫煙物品は、3つのロッドが積層され、ラッピングペーパーによりラッピングされながら一体化する。ロッドは、上側のマウスフィルターであるフィルターロッド10と、フィルターロッド10の下端に積層される冷却チューブロッド20と、冷却チューブロッド20の下端に積層され、加熱によりエアロゾルを発生するエアロゾル媒質(又はエアロゾル形成媒質)を含有又は収容するエアロゾル媒質ロッド(又はエアロゾル形成媒質ロッド)30と、フィルターロッド10と冷却チューブロッド20とエアロゾル媒質ロッド30との間の積層構造を維持するように、これらの外側面を取り囲むラッピング部51、53、55とを含んで構成される。
【0029】
このような形状及び構造を有する実施例に係る加熱式喫煙物品は、現在使用されている通常のタバコ又は電気加熱式喫煙物品(巻タバコ形態の電子タバコを称する)の規格に符合するサイズであるため、ユーザの立場から見れば、通常のタバコ又は電気加熱式喫煙物品と差異がない。
【0030】
フィルターロッド10は、マウスピースの役割を果たすフィルターであって、エアロゾルは通過し、液流入は防止する役割を果たす。フィルターロッド10は、パルプで製作でき、円筒形又はチューブ形態で製作できる。フィルターロッド10は、酢酸セルロース、紙、PP、PLAなどの材質で製造できる。一方、フィルターロッド10は、香味剤を含み、ユーザの満足感を向上させることができる。香味剤は、例えば、甘草、蔗糖、果糖シロップ、イソスイート、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、白檀、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、カモマイル、メントール、カッシア、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー又はコーヒーなどを含むことができる。
【0031】
冷却チューブロッド20は、上下方向に延長される中空22が内部に形成されることにより、エアロゾルの移動通路を提供するが、PLAが挿入されてエアロゾルの温度を低下させて、ユーザがエアロゾルの吸入時に火傷を負うことを防止できる。すなわち、中空22の開放された下端部はエアロゾル媒質ロッド30に向け、中空22の開放された上端部はフィルターロッド10に向ける。冷却チューブロッド20は酢酸セルロースで製作でき、冷却構造物として働く冷却チューブロッド20は、純粋なポリ乳酸で製作されたり、異なる分解性ポリマーとポリ乳酸とを組合せて製作されたりできる。
【0032】
エアロゾル媒質ロッド30は、吸湿体30aに液状のグリセリンを含むエアロゾル媒質が収容又は吸収され、収容又は吸収された後、グリセリンを含むエアロゾル媒質が、常温で半固状又は固状を維持するように製造されたものである。
【0033】
エアロゾル媒質は、グリセリンの以外に他のエアロゾル原料物質を含むことができるが、追加的なエアロゾル原料物質として、プロピレングリコール、ニコチン、香味剤、カフェイン、滋養強壮剤、水、エタノール、糖アルコール、カンナビノイドを含む群から選択される一つ以上の物質を含む。
【0034】
吸湿体30aに収容又は吸収されたエアロゾル媒質は、常温を含む第1の温度範囲において半固状又は固状で存在し、一例として70℃を含む50℃~100℃の温度範囲(第2の温度範囲)において液状化し、追加の加熱により、約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)においてエアロゾルに気化する。
【0035】
エアロゾル媒質ロッド30は、グリセリンを含むエアロゾル媒質を常温よりも高い第2の温度範囲において液状化させ、流動性を有する液体状態で吸湿体30aに吸収させた後、常温で冷却させて、固状又は半固状に相変化させる。したがって、相変化の後には、第1の温度範囲においてゲル状、固状又は半固状で維持されるので、後続製造工程や喫煙物品(巻タバコ形態の電子タバコを称する)の流通中に、エアロゾル媒質が流出することなく、エアロゾル媒質ロッド内に維持される。
【0036】
エアロゾル媒質ロッド30に含まれるグリセリンの量は、実施例の喫煙物品として従来の巻タバコ一本と類似な回数の吸入行為をするのに適当な量であり得る。したがって、既定の量だけグリセリンから由来するエアロゾルが発生した後には、それ以上エアロゾルを発生させなかったり、エアロゾルが満足な量だけ発生しなかったりし、ユーザによって使い捨てられる。喫煙物品を加熱させるのに利用される公知のエアロゾル発生装置は、ユーザのパフ動作を認識して、既定のパフ回数に到達した場合、ユーザに通知及び/又はヒータの電源印加を遮断して、それ以上のパフが不可能になるようにする。したがって、パフ強度が強いユーザには、既定の回数のパフ動作中に連続して十分な量のエアロゾルを提供する必要があるので、エアロゾル媒質ロッド30に含まれるグリセリンの量は、このようなユーザの要求まで符合し得る量であることが望ましい。
【0037】
前述したように、固状又は半固状で製造されたエアロゾル媒質ロッド30内のエアロゾル媒質は、第2の温度範囲よりも高い約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)において気化してエアロゾル化するが、加熱の後にエアロゾル化して吸入されない液化状態のエアロゾル媒質は、常温で冷却されると、吸湿体30aの内部で再度固状化する。
【0038】
前記のような第1の温度範囲においてエアロゾル媒質が半固状又は固状を維持するように、エアロゾル媒質は増粘剤を含む。増粘剤は、グリセリンを含むエアロゾル媒質が気化してエアロゾル化する約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)において気化しなくて吸湿体に残留する。すなわち、増粘剤は、主なエアロゾル媒質であるグリセリンがエアロゾルに気化するとき、気化しなくて吸湿体内にそのまま残留する。
【0039】
このような増粘剤としては、単糖類、二糖類、糖アルコール、少糖類を含む群から選択される一つ以上の物質を含んで構成される。グリセリンをゲル化させる増粘剤としては、魚類や肉類などから抽出されたゼラチン、或いは、植物性ゼラチンを利用したり、このようなゼラチン増粘剤と水をグリセリンに混合して撹拌しながら冷却させたりする方法などを考慮し得る。このように得られたゲル状エアロゾル媒質において、グリセリンの気化点は大気圧下で概略200℃~300℃であり、水の気化点も大気圧下で概略100℃であるため、このようなゼラチン又は水の増粘剤は、グリセリンを含むエアロゾルが気化してエアロゾル化する約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)においてグリセリンと共に気化してエアロゾル化できる。したがって、発明者らは他の増粘剤を考慮するようになり、実施例では、増粘剤として単糖類、二糖類、糖アルコール、少糖類を含む群から選択される一つ以上の物質を含む。
【0040】
好適な一実施例において、単糖類は、植物抽出物としてグルコース、果糖、ガラクトースを含む群から選択される一つ以上の物質を含む。グルコースの気化点は大気圧下で527.1℃±50.0℃であり、果糖の気化点は大気圧下で697.1℃±50.0℃であり、ガラクトースの気化点は大気圧下で527.1℃±50.0℃であるため、グリセリンを含むエアロゾル媒質が気化してエアロゾル化する約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)において気化しなくて吸湿体内にそのまま残留する。
【0041】
好適な他の実施例において、二糖類は砂糖などから抽出した成分を含む。砂糖の気化点は大気圧下で697.1℃±50.0℃であるため、グリセリンを含むエアロゾル媒質が気化してエアロゾル化する約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)において気化しなくて吸湿体内にそのまま残留する。
【0042】
好適な他の実施例において、糖アルコールは、イソマルト、マルチトール、キシリトール、ソルビトールを含む群から選択される一つ以上の物質を含む。イソマルトの気化点は788.5℃であり、マルチトールの気化点は大気圧下で788.5℃±60.0℃であるため、グリセリンを含むエアロゾル媒質が気化してエアロゾル化する約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)において気化しなくて吸湿体内にそのまま残留する。
【0043】
好適な他の実施例において、少糖類は、二糖類以上の糖類としてマルトデキストリンを含む。マルトデキストリンの気化点は527.1℃であるため、グリセリンを含むエアロゾル媒質が気化してエアロゾル化する約150℃~300℃の温度範囲(第3の温度範囲)において気化しなくて吸湿体内にそのまま残留する。
【0044】
発明者らは、エアロゾル媒質に対して300℃で熱分解分析を進行した。ここで、分析機器はPyrolyzer+Agilent Technologies 7890B、5977B MSD system(GC/MS)を使用し、熱分解条件はMulti-shot pyrolyzer(EGA/PY-3030D):300℃であり、コラムはFrontier Laboratories、UA5であり、運搬気体はHelium 1.0mL/minであり、分子量の範囲はScan mode(33~550m/z)であった。得られた分析結果を図2に示すが、エアロゾル媒質からグリセリンだけが気化したことを確認でき、増粘剤は気化しないことを確認できる。
【0045】
また、エアロゾル媒質は加香成分を含むことができる。本実施例において、加香成分は、メントール、フルーツフレーバー、ハーブフレーバー、丁香又は丁香抽出物を含む群から選択される一つ以上の物質を含む。
【0046】
前述したように、エアロゾル媒質は、少なくともグリセリンのようなエアロゾル原料物質と、増粘剤として単糖類、二糖類、糖アルコール、少糖類を含む群から選択される一つ以上の物質とを含んで構成され、付加的に加香成分を含むことができる。
【0047】
吸湿体30aは、パルプ又はパルプを含む生地を折り又は巻きによりシリンダ形状や柱状で作ったり、シリンダ形状や柱状で加工して作ったりしたものであり、 綿の織造生地又は不織布生地を折り又は巻きによりシリンダ形状で作ったり、シリンダ形状で加工して作ったりしたものであり、竹繊維の織造生地又は不織布生地を折り又は巻きによりシリンダ形状で作ったり、シリンダ形状で加工して作ったりしたものである。他の実施例として、吸湿体30aは、多孔性セラミックからなり、内部の気孔内にエアロゾル媒質が吸湿される。本実施例では、多孔性セラミックからなる吸湿体30aの気孔の大きさは1μm~100μmの範囲に属し、気孔率は30%~70%の範囲に属する。
【0048】
図3は、他の実施例に係る加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。本実施例の加熱式喫煙物品は、エアロゾル媒質ロッド30の下端に、また他のエアロゾル媒質としてタバコ刻葉を含むタバコ体ロッド41をさらに含む。すなわち、このように、エアロゾル媒質ロッド30の上端又は下端に、また他のエアロゾル媒質としてタバコ体ロッド41が提供されることもできる。このとき、ユーザは、エアロゾル媒質ロッド30から由来するエアロゾルと、タバコ体ロッド41から由来するエアロゾルとを混合してパフすることができる。タバコ体ロッド41及びエアロゾル媒質ロッド30の相対的な位置に応じて、図3に示すように、タバコ体ロッド41が下部に位置する場合(上流に位置する場合)には、タバコ体ロッド41から由来するエアロゾルがエアロゾル媒質ロッド30を通過しながら、エアロゾル媒質ロッド30から由来するエアロゾルと混合されてユーザがパフすることになり、エアロゾル媒質ロッド30が下部に位置する場合(上流に位置する場合)には、エアロゾル媒質ロッド30から由来するエアロゾルがタバコ体ロッド41を通過しながら、タバコ体ロッド41から由来するエアロゾルと混合されてユーザがパフすることになる。
【0049】
タバコ体ロッド41は、板状葉タバコ、刻葉及び再構成タバコなどのようなタバコ原料に基づいた固体物質を含むことができる。一実施例において、タバコ体ロッド41は、皺を有する板状葉シートで充填できる。板状葉シートは、シリンダ軸に実質的に横方向に巻き、折り、圧縮又は収縮によって皺が形成される。皺を有する板状葉シートの谷の間隔などの調節により、多孔度を決定することができる。
【0050】
他の実施例において、タバコ体ロッド41はタバコ刻葉等で充填できる。ここで、タバコ刻葉等は、タバコシート(或いは、スラリー板状葉シート)を小切ることにより生成できる。また、タバコ体ロッド41は、複数のタバコストランドが互いに同一の方向(平行)に、或いは、ランダムに合わせて形成できる。具体的に、タバコ体ロッド41は、複数のタバコストランドを合わせて形成し、エアロゾルが通過できる縦方向の複数のチャンネルを形成できる。このとき、タバコストランドの大きさ及び配列により、縦方向のチャンネルは均一又は不均一になり得る。
【0051】
タバコ体ロッド41は、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールの少なくとも一つをさらに含むことができる。また、タバコ体ロッド41は、グリセリン及びプロピレングリコールをさらに含むこともできる。
【0052】
また、タバコ体ロッド41は、香味剤及び/又は有機酸(organic acid)のような他の添加物質を含有できる。例えば、香味剤としては、甘草、蔗糖、果糖シロップ、イソスイート(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、白檀、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、カモマイル、メントール、カッシア、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー又はコーヒーなどを含むことができる。一方、タバコ体ロッド41は、グリセリン又はプロピレングリコールを一部含むこともできる。
【0053】
図4は、また他の実施例に係る加熱式喫煙物品の一部分解斜視図及びその断面図を概念的に示す。本実施例の加熱式喫煙物品は、エアロゾル媒質ロッド30の下端に、また他のエアロゾル媒質としてニコチンロッド42をさらに含む。すなわち、このように、エアロゾル媒質ロッド30の上端又は下端に、また他のエアロゾル媒質としてニコチンロッド42が提供されることもできる。
【0054】
ニコチンロッド42には、タバコ抽出物が含まれることもできる。タバコ抽出物は、自然的に発生する純粋ニコチン又は合成ニコチンであり得る。例えば、タバコ抽出物は、フリーベースニコチン(freebase nicotine)又はニコチンソルト(nicotine salt)を含むことのできるが、これに限定されるものではない。
【0055】
ニコチンロッド42は、2種以上のニコチンソルトを含むことができる。ニコチンソルトは、ニコチンに有機酸又は無機酸を含む適切な酸を添加することにより形成できる。ニコチンソルトを形成するための酸は、血中ニコチン吸収速度、加熱式喫煙物品の加熱温度、香味又は風味、溶解度などを考慮して適切に選択できる。
【0056】
例えば、ニコチンソルトを形成するための酸は、安息香酸、乳酸、サリチル酸、ラウリン酸、ソルビン酸、レブリン酸、ピルビン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、クエン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、フェニル酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、サッカリン酸、マロン酸又はリンゴ酸からなる群から選択される単独の酸、或いは、前記群から選択される2つ以上の酸の混合になり得るが、これに限定されるものではない。
【0057】
また、ニコチンロッド42は、追加のエアロゾル媒質を含むことができる。エアロゾル媒質は、加熱して豊富な霧化量を提供するエアロゾル形成剤の役割を遂行できる。例えば、エアロゾル媒質は、グリセリン及びプロピレングリコール又はこれらの成分の混合物であり得るが、これに限定されるものではない。
【0058】
また、ニコチンロッド42は、例えば、水、ソルベント、エタノール、植物抽出物、香料及び香味剤のいずれか一つの成分、或いは、これらの成分の混合物を含むことができる。香料は、メントール、ペパーミント、スペアミントオイル、各種フルーツフレーバー成分などを含むことのできるが、これに限定されるものではない。香味剤は、ユーザに多様な香味や風味を提供できる成分を含むことができる。
【0059】
ニコチンロッド42は、エアロゾル媒質ロッド30と同様に、吸湿体を含むことができる。エアロゾル媒質ロッド30の吸湿体と同様に、吸湿体は、パルプ又はパルプを含む生地を折り又は巻きによりシリンダ形状や柱状で作ったり、シリンダ形状や柱状で加工して作ったりしたものであり、 綿の織造生地又は不織布生地を折り又は巻きによりシリンダ形状で作ったり、シリンダ形状で加工して作ったりしたものであり、竹繊維の織造生地又は不織布生地を折り又は巻きによりシリンダ形状で作ったり、シリンダ形状で加工して作ったりしたものである。他の実施例において、吸湿体は、多孔性セラミックからなり、内部の気孔内にエアロゾル媒質が吸湿される。本実施例では、多孔性セラミックからなる吸湿体30aの気孔の大きさは1μm~100μmの範囲に属し、気孔率は30%~70%の範囲に属する。
【0060】
ラッピング部は、エアロゾル媒質ロッド30を取り囲みながら、加熱デバイスによる加熱時にエアロゾル媒質の流出を防止するための第1のラッピング部51と、冷却チューブロッド20及び第1のマッピング部51によりラッピングされたエアロゾル媒質ロッド30を取り囲みながら、冷却チューブロッド20及びエアロゾル媒質ロッド30の積層構造を維持させる第2のラッピング部53と、フィルターロッド10、第2のラッピング部53によりラッピングされた冷却チューブロッド20及びエアロゾル媒質ロッド30を取り囲みながら、フィルターロッド10、冷却チューブロッド20及びエアロゾル媒質ロッド30の積層構造を維持させる第3のラッピング部55とを含んで構成される。
【0061】
タバコ体ロッド41及びニコチンロッド42も、別個のラッピング部によりラッピングされることができ、フィルターロッド10、冷却チューブロッド20、エアロゾル媒質ロッド30及びタバコ体/ニコチンロッド41、42の積層構造を維持させるように、第3のラッピング部55によりラッピングされることが望ましい。
【0062】
第1のラッピング部51は、エアロゾル形成基材の流出を防止するために、防水コーティングしたペーパーやメンブレイン材質からなる。例えば、第1のラッピング部51は、アルミニウムフォイルが紙に付着されて形成された合紙として提供でき、アルミニウムフォイルが吸湿体30aに接触するようにシリンダ形状でラッピングされる。これにより、アルミニウムフォイルは、吸湿体30aに含有された液状のエアロゾル媒質がエアロゾル媒質ロッド30の側面を通じて流出される可能性がなかったり最小化したりできる。第2及び第3のラッピング部53、55は、一般紙や多孔紙等からなることができる。
【0063】
実施例に係る喫煙物品は、フィルムヒータのような抵抗加熱方式を適用した加熱デバイス内の加熱空間に挿入されて加熱することもでき、他の実施例において、誘導加熱方式を適用した加熱デバイス内の加熱空間に挿入されることもできる。
【0064】
加熱デバイスは、喫煙物品が挿入されて加熱できる加熱空間(空洞)を有し、加熱空間に挿入された喫煙物品のグリセリンのようなエアロゾル媒質、タバコ体及び/又はニコチンのようなエアロゾル形成基材をヒータにより加熱してエアロゾルを形成させる、把持及び携帯が可能なサイズのエアロゾル発生装置を称する。ヒータは、前述したように、抵抗加熱方式や誘導加熱方式により提供できるが、一例として100℃~400℃の温度まで加熱し、加熱デバイスの加熱空間(空洞)内に挿入される電気加熱式喫煙物品内に提供されるエアロゾル形成基材を加熱させてエアロゾルを発生させる。好適な一実施例によれば、そのターゲット温度は200℃~350℃の範囲になり得、より好適な一例によれば、そのターゲット温度は250℃~320℃の範囲になり得る(一例として280℃をターゲット温度とする)。場合によっては、そのターゲット温度が150℃~250℃の範囲であり得る(一例として180℃をターゲット温度とする)。これは、エアロゾルを発生させる対象が、グリセリンであるか、タバコ体であるか、グリセリンのような液状組成物が吸湿されたタバコ体であるか、ニコチン液であるかによって変化し得る。いずれも、電気加熱式喫煙物品内で発生したエアロゾルが、ユーザのパフ時に冷却チューブロッド20及びフィルターロッド10を通じてユーザの口内へ吸入されるので、パフ過程で冷却されるのを考慮しても、発生したエアロゾルの温度が高すぎる場合、ユーザに不快感を与え、火傷の危険があり、過度なエアロゾルの発生による数回のパフに困難があるので、このような点を勘案して発熱体のターゲット温度を予め決めなければならない。また、前記理由のため、発熱体のターゲット温度の上限が前記のように制限される。
【0065】
好適な一実施例によれば、発生したエアロゾルが冷却チューブロッド20及びフィルターロッド10を経て出る温度がマウスエンド温度(mouth end temperature)として測定できるが、ユーザに不快感を与えないために、エアロゾルの温度は50℃未満、望ましくは45℃以下の温度にならなければならない。エアロゾルのマウスエンド温度は、25℃~45℃の温度範囲が望ましく、30℃~40℃の温度範囲がより望ましい。
【0066】
好適な一実施例に係る喫煙物品において、エアロゾル媒質ロッド30と、タバコ体ロッド41又はニコチンロッド42とが喫煙物品の長手方向に沿って提供されるが(場合によってはエアロゾル媒質ロッド30が上流又は下流に位置し得る)、前述したように、エアロゾル媒質ロッド30のターゲット温度と、タバコ体ロッド41のターゲット温度又はニコチンロッド42のターゲット温度とが異なるので、加熱デバイスの加熱空間には、各々のターゲット温度に応じてエアロゾル媒質ロッド30と、タバコ体ロッド41又はニコチンロッド42とを加熱させることができる、独立的なヒータを提供することが望ましい。
【0067】
一実施例として、フィルターロッド-冷却チューブロッド-エアロゾル媒質ロッド-タバコ体ロッドの順に形成された喫煙物品の場合、エアロゾル媒質ロッドのターゲット温度(一例として300℃)がタバコ体ロッドのターゲット温度(一例として200℃)と異なるので、エアロゾル媒質ロッドを加熱するヒータ(一例として抵抗加熱ヒータ)と、タバコ体ロッドを加熱するヒータ(一例として抵抗加熱ヒータ)とが互いに離隔して他の温度範囲でエアロゾル媒質ロッド及びタバコ体ロッドを加熱させて、各々のロッドから由来するエアロゾルを有効に発生させることが好ましい。
【0068】
勿論、以上の例は一例であるだけで、加熱方式に応じて、エアロゾル形成基材の配列順によって前記のような説明を考慮して配列及び配置を変化させることが、この分野における通常の知識を有した者に当然の事項になるべきである。
【0069】
本発明は、前述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱しない範囲内において当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも多様な変形実施が可能であることは勿論であり、そのような変更は特許請求の範囲の記載の範囲内にあることになる。
【符号の説明】
【0070】
10 フィルターロッド
20 冷却チューブロッド
30 エアロゾル媒質ロッド
41 タバコ体ロッド
42 ニコチンロッド
図1
図2
図3
図4