(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】洗浄殺菌組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240920BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20240920BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240920BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240920BHJP
A61K 33/18 20060101ALI20240920BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240920BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240920BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240920BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20240920BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20240920BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240920BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240920BHJP
A01N 59/12 20060101ALI20240920BHJP
A01N 61/00 20060101ALI20240920BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20240920BHJP
C11D 3/24 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/42
A61K8/46
A61K8/86
A61K33/18
A61P17/00 101
A61K47/18
A61K47/20
C11D3/37
C11D1/52
C11D1/29
C11D3/48
A01P3/00
A01N59/12
A01N61/00 D
A01N25/00
C11D3/24
(21)【出願番号】P 2023026304
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2018210530の分割
【原出願日】2018-11-08
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】守屋 貴弘
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128558(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0305211(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0136079(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0159321(US,A1)
【文献】米国特許第05916882(US,A)
【文献】特開平01-153644(JP,A)
【文献】特開2009-073952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44,C11D 1/00-7/60
A61K 8/00-8/99, A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤と、
ポビドンヨードとを含み、
前記界面活性剤は、
アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び、ラウロイルサルコシン塩からなる群から選択される少なくとも2種であることを特徴とする洗浄殺菌組成物。
【請求項2】
前記洗浄殺菌組成物中の前記界面活性剤の濃度は、0.01~10.0重量%である請求項1に記載の洗浄殺菌組成物。
【請求項3】
前記洗浄殺菌組成物中の前記ポビドンヨードの濃度は、0.03~20重量%である請求項1又は2に記載の洗浄殺菌組成物。
【請求項4】
さらに、塩酸、硫酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、及び、これらの塩、並びに、アルカリ金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1~3のいずれかに記載の洗浄殺菌組成物。
【請求項5】
前記洗浄殺菌組成物のpHは、1.5~6.0である請求項1~4のいずれかに記載の洗浄殺菌組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄殺菌組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポビドンヨード製剤が優れた殺菌効果を有することは広く一般に知られている。また、優れた殺菌効果を有するポビドンヨード製剤を用いて手指を消毒することは従来から行われてきた。
【0003】
ポビドンヨード製剤は、含ヨード水溶液であり、これを使用する際に、薬液が飛散して衣服等に付着すると褐色の染みになり、その洗浄に手数を要するという問題があった。また手指の消毒の際、液だれが生じると薬液が無駄になるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1には、ポビドンヨード製剤に所定の界面活性剤を加え、ポビドンヨード製剤を泡状にして使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたポビドンヨード製剤を用いて手指を消毒する際、手指に汚れが付着していると、ポビドンヨード製剤の殺菌効果が充分に発揮されない。
そのため、特許文献1に記載されたポビドンヨード製剤を用いて手指を消毒する際には、まず、石鹸等の洗浄剤で手指を洗浄することにより汚れを落とし、手指を乾燥させてからポビドンヨード製剤を手指に塗り付け、その後、ポビドンヨード製剤をすすいで洗い流すことが行われている。
すなわち、手指を消毒するためには、手指の洗浄と、ポビドンヨード製剤による殺菌という2工程が必要であった。そのため、迅速に手指を消毒できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためにされたものであり、本発明の目的は、迅速に手指を殺菌することができる洗浄殺菌組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポビドンヨード製剤に所定の界面活性剤を加えると、手指の洗浄及び殺菌を同時に行えることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の洗浄殺菌組成物は、界面活性剤と、ポビドンヨードとを含み、上記界面活性剤は、アルカンスルホン酸塩、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、グリセリン脂肪酸エステル、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、脂肪酸ジエタノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、スルホベタイン、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル塩、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウロイルサルコシン塩からなる群から選択される少なくとも2種であることを特徴とする。
【0010】
本発明の洗浄殺菌組成物は、2種以上の所定の界面活性剤を含む。
これらの界面活性剤は、洗浄能力に優れている。そのため、手指が汚れていたとしても、その汚れを落とすことができる。
また、本発明の洗浄殺菌組成物はポビドンヨードも含むので、手指の洗浄と同時に、手指の殺菌も行うことができる。
すなわち、1工程で迅速に手指の洗浄及び殺菌を行うことができる。
【0011】
また、これらの界面活性剤は、起泡性にも優れるので、泡ポンプ等によりわざわざ泡状にしなくても、手でこすり合わせるだけで泡立てることができる。このような泡は、洗浄力にも寄与する。
【0012】
本発明の洗浄殺菌組成物では、上記洗浄殺菌組成物中の上記界面活性剤の濃度は、0.01~10.0重量%であることが望ましい。
界面活性剤の濃度が、0.01重量%未満であると、充分な洗浄力が得られない。
界面活性剤の濃度が、10.0重量%を超えると、界面活性剤が析出しやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。
【0013】
本発明の洗浄殺菌組成物では、上記洗浄殺菌組成物中の上記ポビドンヨードの濃度は、0.03~20重量%であることが望ましい。
ポビドンヨードの濃度が、0.03重量%未満であると、ポビドンヨードの濃度が低いので、充分な殺菌効果を示さなくなる。
ポビドンヨードの濃度が、20重量%を超えると、ポビドンヨードの溶解度が上限に近づき、溶解できない、又は、析出しやすくなる。また、ポビドンヨードによる殺菌効果が上限に近づく。
【0014】
本発明の洗浄殺菌組成物は、さらに、塩酸、硫酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、及び、これらの塩、並びに、アルカリ金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの化合物を用いて本発明の洗浄殺菌組成物のpHを調整することができる。
【0015】
本発明の洗浄殺菌組成物のpHは、1.5~6.0であることが望ましい。
洗浄殺菌組成物のpHが上記範囲であると、洗浄殺菌組成物を皮膚と接触させたとしても、皮膚に対する刺激が少なくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の洗浄殺菌組成物は、2種以上の所定の界面活性剤を含む。
これらの界面活性剤は、洗浄能力に優れている。そのため、手指が汚れていたとしても、その汚れを落とすことができる。
また、本発明の洗浄殺菌組成物はポビドンヨードも含むので、手指の洗浄と同時に、手指の殺菌も行うことができる。
すなわち、1工程で迅速に手指の洗浄及び殺菌を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の洗浄殺菌組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0018】
本発明の洗浄殺菌組成物は、界面活性剤と、ポビドンヨードとを含み、上記界面活性剤は、アルカンスルホン酸塩、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、グリセリン脂肪酸エステル、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、脂肪酸ジエタノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、スルホベタイン、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル塩、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウロイルサルコシン塩からなる群から選択される少なくとも2種であることを特徴とする。
【0019】
本発明の洗浄殺菌組成物は、2種以上の所定の界面活性剤を含む。
これらの界面活性剤は、洗浄能力に優れている。そのため、手指が汚れていたとしても、その汚れを落とすことができる。
また、本発明の洗浄殺菌組成物はポビドンヨードも含むので、手指の洗浄と同時に、手指の殺菌も行うことができる。
すなわち、1工程で迅速に手指の洗浄及び殺菌を行うことができる。
【0020】
本発明の洗浄殺菌組成物では、洗浄殺菌組成物中のポビドンヨードの濃度は、0.03~20重量%であることが望ましく、0.15~10重量%であることがより望ましい。
ポビドンヨードの濃度が0.03重量%未満であると、ポビドンヨードの濃度が低いので、充分な殺菌効果を示さなくなる。
ポビドンヨードの濃度が20重量%を超えると、ポビドンヨードの溶解度が上限に近づき、溶解できない、又は、析出しやすくなる。また、ポビドンヨードによる殺菌効果が上限に近づく。
【0021】
本発明の洗浄殺菌組成物中の有効ヨウ素の濃度は、30~20000ppmであることが望ましく、150~10000ppmであることがより望ましい。
【0022】
本発明の洗浄殺菌組成物に含まれる望ましい界面活性剤を以下に例示する。
アルカンスルホン酸塩としては、アルカンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
アルキルアミドプロピルベタインとしては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが挙げられる。
アルキルグルコシドとしては、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシドが挙げられる。
アルキルジメチルアミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
アルキルベタインとしては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ヤシ油アルキルベタインが挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンが挙げられる。
α-オレフィンスルホン酸塩としては、α-オレフィンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステルが挙げられる。
脂肪酸ジエタノールアミドとしては、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドが挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステルが挙げられる。
スルホベタインとしては、ラウリルヒドロキシスルホベタインが挙げられる。
ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル塩としては、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステルナトリウム、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステルアンモニウムが挙げられる。
ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩としては、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステルナトリウム、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステルアンモニウムが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムが挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)が挙げられる。
ラウロイルサルコシン塩としては、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミンが挙げられる。
【0023】
本発明の洗浄殺菌組成物では、上記界面活性剤を2種以上含んでいれば、その組み合わせは特に限定されず、3種以上の組み合わせであってもよい。
【0024】
また、本発明の洗浄殺菌組成物における界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びラウロイルサルコシンナトリウムからなる群から選択される少なくとも2種であることが望ましい。
【0025】
本発明の洗浄殺菌組成物における界面活性剤のより望ましい組み合わせは、以下の通りである。
すなわち、ラウリル硫酸ナトリウムとラウリン酸ジエタノールアミドとの組み合わせ、ラウリル硫酸ナトリウムとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、ラウリン酸ジエタノールアミドとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとラウロイルサルコシンナトリウムとの組み合わせ、ラウリル硫酸ナトリウムとラウロイルサルコシンナトリウムとの組み合わせ、ラウリル硫酸ナトリウムとラウリン酸ジエタノールアミドとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、ジオクチルソジウムスルホサクシネートとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、ラウリルベタインとラウリル硫酸ナトリウムとポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートとの組み合わせ、ラウリルグルコシドとラウリルジメチルアミンオキシドとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、ラウリル硫酸ナトリウムとショ糖ラウリン酸エステルとの組み合わせ、ラウリル硫酸ナトリウムとポリグリセリンラウリン酸エステルとの組み合わせ、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインとラウリン酸ジエタノールアミドとポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、ラウリル硫酸ナトリウムとノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステルアンモニウムとの組み合わせ、ラウリル硫酸ナトリウムとノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステルアンモニウムとの組み合わせが望ましい。
【0026】
また、これらの界面活性剤は、起泡性にも優れるので、泡ポンプ等によりわざわざ泡状にしなくても、手でこすり合わせるだけで泡立てることができる。このような泡は、洗浄力にも寄与する。
【0027】
本発明の洗浄殺菌組成物では、上記洗浄殺菌組成物中の上記界面活性剤の濃度は、0.01~10.0重量%であることが望ましく、0.5~5.0重量%であることがより望ましく、1.0~4.0重量%であることがさらに望ましい。
界面活性剤の濃度が、0.01重量%未満であると、充分な洗浄力が得られない。
界面活性剤の濃度が、10.0重量%を超えると、界面活性剤が析出しやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。
【0028】
本発明の洗浄殺菌組成物は、さらに、塩酸、硫酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、及び、これらの塩、並びに、アルカリ金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、リン酸及びリンゴ酸の塩としては、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩であることが望ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
これらの化合物を用いて本発明の洗浄殺菌組成物のpHを調整することができる。
【0029】
本発明の洗浄殺菌組成物のpHは、1.5~6.0であることが望ましく、3.0~5.0であることがより望ましい。
洗浄殺菌組成物のpHが上記範囲であると、洗浄殺菌組成物を皮膚と接触させたとしても、皮膚に対する刺激が少なくなる。
【0030】
本発明の洗浄殺菌組成物は、その他の組成物として、ヨウ化カリウム、セルロース、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、サッカリン、L-メントール及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
これらの化合物は、安定化剤、保湿剤、甘味剤、矯味剤、溶剤、着香剤等として機能する。
【0031】
本発明の洗浄殺菌組成物は、液体のまま用いてもよく、泡状にして用いてもよい。
なお、洗浄殺菌組成物は、界面活性剤を含むので、泡ポンプ等を用いることにより容易に泡状にすることができる。
【0032】
また、本発明の洗浄殺菌組成物は、手指を洗浄・殺菌する目的で使用する以外にも、創傷部等の生体部位を洗浄・殺菌する目的で使用してもよい。
また、鉗子等の医療器具、まな板等の調理器具、皿等の食器等の器具を洗浄・殺菌する目的で使用してもよい。
【実施例】
【0033】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1~14)及び(比較例1~6)
表1に示す配合量で実施例1~14に係る洗浄殺菌組成物、及び、比較例1~6に係る洗浄殺菌組成物を作製した。
なお、表1中の「%」は、「重量%」を意味する。
【0035】
【0036】
(洗浄力評価)
各実施例及び各比較例に係る洗浄殺菌組成物の洗浄力を以下の方法により評価した。
(1)モデル汚れの作製
牛脂、大豆レシチン、モノオレイン、白色ワセリン及びカーボンブラックを、重量比でそれぞれ、6:6:6:6:1となるように混合しモデル汚れとした。
(2)モデル汚れの付着
モデル汚れ0.1gをあらかじめ手洗いをして乾燥させた両手のひらに広げ、モデル汚れを付着させた。
(3)モデル汚れの洗浄
次に、モデル汚れを付着させた手のひらを水で少し濡らし、各洗浄殺菌組成物を1mL手のひらに落とし、15秒間手のひらを擦り合わせた後、15秒間流水で手のひらをすすいだ。
(4)モデル汚れの洗浄の観察
次に、手のひらを観察し、モデル汚れが完全に落ちているか否かを確認した。
モデル汚れが完全に落ちていない場合には、モデル汚れが完全に落ちるまで上記「(3)モデル汚れの洗浄」を繰り返した。
【0037】
洗浄力評価の結果を表1に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:「(3)モデル汚れの洗浄」を1回行うことにより、モデル汚れが完全に落ちた。
〇:「(3)モデル汚れの洗浄」を2回行うことにより、モデル汚れが完全に落ちた。
△:「(3)モデル汚れの洗浄」を3回行うことにより、モデル汚れが完全に落ちた。
×:「(3)モデル汚れの洗浄」を4回以上行うことにより、モデル汚れが完全に落ちた。
【0038】
(泡立ち評価)
各実施例及び各比較例に係る洗浄殺菌組成物1mLを手のひらに落とし、15秒間擦り合わせた後、泡の状態を目視で観察することにより、各実施例及び各比較例に係る洗浄殺菌組成物の泡立ち評価を行った。
【0039】
泡立ち評価の結果を表1に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:きめ細かい泡が形成され、泡量が多い。
〇:大きな泡が形成され、泡量が多い。
△:泡は形成されるが、泡量が少ない。
×:泡が形成されない。
【0040】
表1に示すように、各実施例に係る洗浄殺菌組成物は、洗浄力、泡立ちに優れていることが判明した。