(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電動機のための巻線を製造するための方法及びその方法のための材料溜め
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20060101AFI20240920BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240920BHJP
H02K 3/04 20060101ALI20240920BHJP
H02K 3/38 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02K15/04 E
B23K26/21 L
H02K3/04 J
H02K3/38 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023045914
(22)【出願日】2023-03-22
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10 2022 106 787.4
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ブラウンベック
(72)【発明者】
【氏名】マルクス オムラー
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-086598(JP,A)
【文献】特開平08-057959(JP,A)
【文献】特開2011-244627(JP,A)
【文献】特開2003-125563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/04
B23K 26/21
H02K 3/04
H02K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機(10)のための巻線(1)を製造するための方法であって、前記巻線(1)が、複数のコンダクタ素子(2)を含み、異なるコンダクタ素子(2)の少なくとも2つのコンダクタ端部(3)が、それぞれ、少なくとも1つの接合点(4)において互いに電気的に結合されており、
前記方法が、少なくとも、
前記接合点(4)の生成前に、前記コンダクタ端部(3)上に少なくとも1つの材料溜め(5)を配置するステップと、
前記コンダクタ端部(3)を接合することによって前記接合点(4)を生成するステップと、
前記材料溜め(5)を溶融するステップと、
溶融された前記材料溜め(5)を少なくとも前記接合点(4)の上に分散させるステップと、を含み、その結果、前記材料溜め(5)の分散された材料の冷却後に、前記コンダクタ端部(3)を少なくとも前記接合点(4)において周囲に対して絶縁する、絶縁構造(15)が利用可能となり、
前記コンダクタ端部(3)の接合が、溶接デバイス(6)による溶融を通して実行され、前記材料溜め(5)もまた、前記溶接デバイス(6)によって溶融される、方法。
【請求項2】
電動機(10)のための巻線(1)を製造するための方法であって、前記巻線(1)が、複数のコンダクタ素子(2)を含み、異なるコンダクタ素子(2)の少なくとも2つのコンダクタ端部(3)が、それぞれ、少なくとも1つの接合点(4)において互いに電気的に結合されており、
前記方法が、少なくとも、
前記接合点(4)の生成前に、前記コンダクタ端部(3)上に少なくとも1つの材料溜め(5)を配置するステップと、
前記コンダクタ端部(3)を接合することによって前記接合点(4)を生成するステップと、
前記材料溜め(5)を溶融するステップと、
溶融された前記材料溜め(5)を少なくとも前記接合点(4)の上に分散させるステップと、を含み、その結果、前記材料溜め(5)の分散された材料の冷却後に、前記コンダクタ端部(3)を少なくとも前記接合点(4)において周囲に対して絶縁する、絶縁構造(15)が利用可能となり、
前記コンダクタ端部(3)の接合が、レーザビーム源(16)によるレーザ溶接によって行われ、前記材料溜め(5)の溶融もまた、前記レーザビーム源(16)によって行われる、方法。
【請求項3】
電動機(10)のための巻線(1)を製造するための方法であって、前記巻線(1)が、複数のコンダクタ素子(2)を含み、異なるコンダクタ素子(2)の少なくとも2つのコンダクタ端部(3)が、それぞれ、少なくとも1つの接合点(4)において互いに電気的に結合されており、
前記方法が、少なくとも、
前記接合点(4)の生成前に、前記コンダクタ端部(3)上に少なくとも1つの材料溜め(5)を配置するステップと、
前記コンダクタ端部(3)を接合することによって前記接合点(4)を生成するステップと、
前記材料溜め(5)を溶融するステップと、
溶融された前記材料溜め(5)を少なくとも前記接合点(4)の上に分散させるステップと、を含み、その結果、前記材料溜め(5)の分散された材料の冷却後に、前記コンダクタ端部(3)を少なくとも前記接合点(4)において周囲に対して絶縁する、絶縁構造(15)が利用可能となり、
前記材料溜め(5)を溶融するために、レーザビーム(26)が
、レーザビーム源(16)で生成され、かつ前記材料溜め(5)に向けられ、前記レーザビーム(26)の焦点が、前記材料溜め(5)の外側にあり、かつ/又は、溶融のために、接合以外の少なくとも1つの性能パラメータが、前記レーザビーム(26)に対して設定され、電力密度の減少を達成するために、前記性能パラメータが変更される、方法。
【請求項4】
電動機(10)のための巻線(1)を製造するための方法であって、前記巻線(1)が、複数のコンダクタ素子(2)を含み、異なるコンダクタ素子(2)の少なくとも2つのコンダクタ端部(3)が、それぞれ、少なくとも1つの接合点(4)において互いに電気的に結合されており、
前記方法が、少なくとも、
前記接合点(4)の生成前に、前記コンダクタ端部(3)上に少なくとも1つの材料溜め(5)を配置するステップと、
前記コンダクタ端部(3)を接合することによって前記接合点(4)を生成するステップと、
前記材料溜め(5)を溶融するステップと、
溶融された前記材料溜め(5)を少なくとも前記接合点(4)の上に分散させるステップと、を含み、その結果、前記材料溜め(5)の分散された材料の冷却後に、前記コンダクタ端部(3)を少なくとも前記接合点(4)において周囲に対して絶縁する、絶縁構造(15)が利用可能となり、
接合される前記コンダクタ端部(3)の接合の後
、レーザビーム(26)が、前記コンダクタ端部(3)上に配置された前記材料溜め(5)に最初に向けられ、前記レーザビーム(26)が、その後に、接合される更なる前記コンダクタ端部(3)に向けられ、それらを接合する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機のための巻線を製造する方法に関する。巻線は、複数のコンダクタ素子を含み、異なるコンダクタ素子の少なくとも2つのコンダクタ端部は、それぞれ、少なくとも1つの接合点において互いに電気的に結合されている。
【背景技術】
【0002】
接合点(接合)を生成するために、関連するコンダクタ端部は通常、一緒に接合され、例えば、溶接される。しかし、これによって、コンダクタ端部を電気絶縁から解放される。時には、接合する前にコンダクタ端部も剥がされる。したがって、例えば、動作中の短絡を避けるために、通常、接合点において、かつ通常、隣接する領域においても、電気的にコンダクタ端部を絶縁する必要がある。
【0003】
例えば、独国特許出願公開第102019219683(A1)号明細書は、接合点の生成後に、耐腐食性絶縁を有するコンダクタ端部のコーティングを開示している。
【0004】
独国特許出願公開第19963492(A1)号明細書は、特にポリマー層による、粉末噴霧コーティングによるコンダクタ端部の絶縁を生成するための方法を記載する。
【0005】
欧州特許第3332408(B1)号明細書は、電気的に絶縁された導電体、及び、例えば、回転高電圧機械のための導電コイル又は導電レールを生成するための方法を記載する。この目的のために、コンダクタは、絶縁材料とオーバーラップするように巻かれる。次いで、オーバーラップする部分は、レーザを使用して一緒に溶接される。こうした絶縁されたコンダクタも、接合後に再び絶縁されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102019219683(A1)号明細書
【文献】独国特許出願公開第19963492(A1)号明細書
【文献】欧州特許第3332408(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
対照的に、本発明によって対処される課題は、関連するコンダクタ素子の接合及び絶縁に対する改善された可能性を提供することである。接合又は絶縁は、信頼性があり、かつ同時に単純かつ経済的であり、可能な限り少ない資源消費量で実施され得ることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって解決される。本発明による材料溜めが、請求項11に記載の主題である。本発明の好ましい更なる展開は、サブクレームの主題である。本発明の更なる利点及び特徴は、例示的な実施形態の全般的説明及び説明から生じる。
【0009】
本発明による方法は、電動機のための巻線を製造するのに役立つ。巻線は、複数のコンダクタ素子を備える。異なるコンダクタ素子のうちの少なくとも2つのコンダクタ端部は、少なくとも1つの接合点において互いに電気的に結合されている。方法は、この又は別の実行可能かつ有意義なシーケンスに少なくとも以下のステップを含む。接合点の生成前に、接合されるコンダクタ端部上に少なくとも1つの材料溜めを配置する。特に、材料溜めは、計画された接合点から空間的に距離をあけて配置される。コンダクタ端部を接合することによって接合点を生成する(いわゆる接合)。特に、コンダクタ端部同士が接合される。特に、接合点は、時間的に、材料溜めが配置された後に生成される。特に、接合点は、意図された目的に従って配置される材料溜めから空間的に離れた位置に生成される。材料溜めを溶融する。特に、材料溜めは、接合点の生成の後に、溶融される。少なくとも接合点上に溶融材料溜めを分配する。特に、この分配は、材料溜めの分配した材料の冷却(及び/又は固化)後に絶縁構造が提供されるように生じる。特に、絶縁構造は、接合点において、それらの周囲に対してコンダクタ端部を少なくとも絶縁する。
【0010】
本発明による方法は、多くの利点を提供する。接合前に材料溜めを配置することは、大きな利点を提供する。そうすることで、絶縁は、例えば、同じ装置で、追加のステップなしに、直接その後に実施することができる。絶縁は、接合が行われる場所で実施することができる。したがって、巻線を搬送する必要がなく、及び絶縁のための更なるプロセスシステムが省略され得る。信頼性の高い絶縁構造も有利である。更なる利点は、巻線全体が絶縁のために加熱される必要がないことである。先行技術では、絶縁ステーションのステータは、100℃を超える温度に加熱されることが多い。全体として、本発明は、コンダクタ端部を接合し、永久的に絶縁するための、特に単純で、かつ資源を貯蔵する機会を提供する。
【0011】
好ましくは、材料溜めは、接合されるコンダクタ端部の上方に押し込まれる。特に、材料溜めは、接合されるコンダクタ端部を環状に(合わせて)取り囲む。特に、材料溜めは、コンダクタ端部を対で取り囲む。特に、材料溜めは、構成要素として構成される。材料溜めは、スリーブ本体として構成されるか、又は少なくともスリーブ本体を備えることが好ましい。
【0012】
接合されるコンダクタ端部は、材料溜めによって(特に互いに)位置合わせされ、及び/又は予め固定される(特に互いに)ことが好ましい。特に、材料溜めは、接合されるコンダクタ端部を保持する。特に、コンダクタ端部は、接合のために提供される位置に材料溜めによって保持される。これにより、接合のプロセスが簡略化され、より確実に実装できる。これは、特にスリーブ本体によって実施される。
【0013】
コンダクタ端部の接合は、特に、溶接デバイスによる溶融を通して実施される。好ましくは、材料溜めはまた、(同じ)溶接デバイスを使用して溶融される。したがって、製造コストは、特に有利に低減され得る。特に、溶融には接合とは異なる溶融パラメータが使用される。他の適切な接合タイプも可能である。特に、材料溜めは、溶接デバイスによって溶融されるように好適であり、かつ構成される。
【0014】
その生成後、接合点は、(他のコンダクタ端部対の)更なる関連するコンダクタ端部の接合点が生成される前に、材料溜めの溶融によって最初に絶縁されることが好ましく、有利である。言い換えれば、接合後、次の接合が行われる前に、まずは材料溜めの溶融によって絶縁が行われる。これにより、相乗効果を特にうまく利用することができる。しかしながら、全ての接合点が最初に生成され、その後に、材料溜めの溶融によって絶縁されることも可能である。しかしながら、接合及び溶融は、少なくとも一度に並行して行われることも可能である。特に、少なくとも2つの溶接デバイス、及び、例えば、2つのレーザビーム源が提供される。
【0015】
特に好ましくかつ有利な更なる展開において、コンダクタ端部の接合は、レーザビーム源を使用したレーザ溶接によって行われる。特に、レーザビームは、レーザビーム源で生成され、計画された接合点に向けられ、そこでコンダクタ端部を接合する。特に、接合は、軸方向端面及び/又は長手方向側で実施される。好ましくは、材料溜めはまた、(同じ)レーザビーム源によって溶融される。したがって、接合点は、例えば、レーザセル内で直接絶縁され得る。これにより、製造ラインにおける輸送及び更なるシステムの節約が可能になる。
【0016】
特に、レーザビームは、レーザビーム源によって材料溜めを溶融するために生成される。特に、レーザビームは、材料溜めに向けられる。好ましくは、レーザビームの焦点は、材料溜めの外側にある。これにより、特に単純でタイムリーな、溶融条件に対するレーザビーム源の調整が提供される。特に(追加的に又は代替的に)、材料溜めを溶融するために、接合する以外の少なくとも1つの他の性能パラメータが、レーザビームに対して設定される。性能パラメータは、特に電力密度の低下を達成するために変更される。
【0017】
好ましくは、接合されるコンダクタ端部を接合した後、レーザビームは、これらのコンダクタ端部に配置された材料溜めに最初に向けられる。特に、これは材料溜めを溶融する。好ましくは、レーザビームは、その後に、接合される更なるコンダクタ端部にのみ、それらを接合するために向けられる。これはまた、接合中にコンダクタ端部に必然的に導入される熱が、材料溜めを溶融及び流れ広がって分散するプロセスにも使用され得るという利点を有する。
【0018】
全ての実施形態において、溶融材料溜めの分散は、重力によって行われることが特に好ましい。特に、この分散は、少なくとも部分的に、好ましくは、実質的に(すなわち、大部分の事例で)、又は重力によって完全に行われる。好ましくは、この目的のために、材料溜めは、少なくとも溶融中に接合点の上方に位置する。特に、コンダクタ端部は垂直となるように位置合わせされる。特に、材料溜めは、接合点の上方に垂直軸に沿って位置する。特に、この分散は受動的である。これにより、特に単純かつ同時に信頼できる溶融材料溜めの分散が可能となる。
【0019】
特に、材料溜めが接合中に既に接合点の上方に配置されることが好ましい。結果として、巻線及び例えば、接合後のステータの更なる位置決めを省略することができる。材料溜めが、接合及び/又は溶融中にも巻線が位置する位置にも配置されることは可能であり、有利である。
【0020】
接合及び/又は溶融中、(計画された)接合点は、材料溜めよりも低いことが好ましい。特に、接合及び/又は溶融は、上下逆さまの位置で起こる。材料溜めの配置も、こうした位置(上下逆さ位置)で実施されることは可能であり、有利である。特に、材料溜めは、計画された接合点の上方に配置される。
【0021】
本発明による材料溜めは、上述の方法に好適であり、構成される。特に、材料溜めは、本方法を参照して前述したように構成される。特に、材料溜めは、本発明による方法において、また好ましくは意図された目的によるその構成においても、使用することができるように構成される。本発明による材料溜めはまた、以前に提起された課題を特に有利に解決する。
【0022】
特に、材料溜めは、電動機の巻線の異なるコンダクタ素子のうちの少なくとも2つのコンダクタ端部の間の少なくとも1つの接合点を絶縁する役割を果たす。特に、材料溜めは、溶融可能な材料からなる、又は少なくとも溶融可能な材料を含む少なくとも1つのスリーブ本体を備える。特に、スリーブ本体は、接合されるコンダクタ端部の上方に押し込まれ、及び/又は固着され得る。特に、スリーブ本体は、コンダクタ端部を固定及び/又は位置合わせすなわち整列するように好適であり、かつ構成される。特に、スリーブ本体は、接合されたコンダクタ端部を環状に取り囲む。特に、溶融材料は、冷却後の接合点のための絶縁構造を提供する。
【0023】
特に、材料溜めは、少なくとも1つの絶縁材料を備える。特に、材料は、プラスチックであり、好ましくは熱可塑性である。特に、材料は、電気絶縁体である。特に、接合されるコンダクタ端部(例えば、一対のコンダクタ端部用の少なくとも1つの材料溜め)のために、少なくとも1つの材料溜め(好ましくは少なくとも1つのスリーブ本体)が提供される。
【0024】
特に、溶融材料溜めは、材料溜めが配置された位置から軸端部まで、好ましくはまた接合されたコンダクタ端部の軸方向端面にも流れ広がって分散される。特に、溶融材料溜めは、コンダクタ端部の以前の絶縁が接合のために損傷した場所、及び/又はコンダクタ端部の以前の絶縁が剥がされた場所、及び/又はコンダクタ端部が以前に電気的に絶縁されていない場所で、材料の冷却後に絶縁構造が形成されるように分散される。
【0025】
特に、絶縁構造は、少なくとも接合点において、それらの周囲に対してコンダクタ端部を絶縁するために好適であり、かつそのように構成されている。特に、絶縁構造は、動作中の短絡の可能性を回避するのに適切であり、構成される。特に、絶縁構造は、少なくとも軸方向端面に、及び/又は少なくともコンダクタ端部上で長手方向に一部分で延在する。特に、絶縁構造はまた、接合点の近傍で、また好ましくは絶縁が以前に存在しない場所でも絶縁する。
【0026】
接合点は、特に、コンダクタ端部の軸方向端面に配置される。追加的又は代替的に、接合点は、コンダクタ端部の長手方向側に配置され得る。
【0027】
巻線は、特にステータ巻線である。また、巻線がロータ巻線である可能性もある。巻線は、特にヘアピン設計(ヘアピン巻線)で生成される。この目的のために、コンダクタ素子は、特に、フラットコンダクタ又はフラットワイヤコンダクタ又はヘアピンコンダクタ(ヘアピン)として構成される。特に、各事例では、異なるヘアピンの少なくとも2つのコンダクタ端部が、互いに接合されている。特に、コンダクタ素子は、対で接合される。次いで、接合されるコンダクタ素子はそれぞれ、一対のコンダクタ端部(ヘアピン対)に対応する。接合され得る、又は接合されるコンダクタ端部はまた、以下の発明の文脈において、関連するコンダクタ端部とも呼称される。
【0028】
本発明の更なる利点及び特徴は、添付の図を参照して以下に説明される例示的な実施形態から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による方法による巻線を生成するステップにおける、本発明による材料溜めを有する電動機の高度に図式化された詳細図を示す。
【
図2】巻線を生成するための更なるステップにおける
図1の電動機を示す。
【
図3】巻線を生成するための更なるステップにおける
図1の電動機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、電動機10の抜粋を示しており、その中にあるステータ11の1つの巻線1のみが、より見やすくするためにここに示されている。巻線1は、ここに、ステータ11の積層されたコア21の外側の軸方向端面に突出する。例えば、電動機10は、ステータ11内に回転可能に支持されたロータ及びハウジング又はこれに類するものを更に備えてもよい。特に、電動機10は、自動車用の走行用モータである。
【0031】
巻線1は、ヘアピン設計でここで設計され、ヘアピン又はフラットワイヤコンダクタとして形成されるコンダクタ素子2を備える。個々のコンダクタ素子2は、ここでヘアピンの様式で曲げられ、それらのコンダクタ端部3が共通の軸方向端面でステータ11から突出するようにステータ11に配置される。
【0032】
完成された電動機10では、各々が異なるコンダクタ素子2に由来する2つのコンダクタ端部3は、次いで、接合点4において電気的に結合される。結果として、例えば、多相巻線がここに提供される。
【0033】
ここに示す図では、接合点4はまだ製造されていない。参照符号4は、コンダクタ端部3の端面上の計画された接合点4を示す。ここに示す例では、接合点4は2列に配置されている。例えば、コンダクタ端部13は、コンダクタ端部23と接合される。コンダクタ端部13、23は、半径方向外側の列に位置する。
【0034】
接合する前に、材料溜め5は、接合されるコンダクタ端部3に配置される。特に、材料溜め5は、計画された接合点4から空間的に距離をあけた位置に配置される。取り付け方向は、ブロック矢印で示されている。材料溜め5は、ここでスリーブ本体25として構成される。材料溜めは、プラスチックで作られ、かつ好ましくは熱可塑性である。
【0035】
スリーブ本体25は、関連するコンダクタ端部3上に押し付け又は押し込まれ、それらを環状に取り囲むことができる。結果として、コンダクタ端部3は、その接合の前に位置決め又は整列され、予め固定される。純粋に例として、1つの材料溜め5のみがここに示される。意図された目的によれば、他の関連するコンダクタ端部3はまた、接合される前に材料溜め5を備える。押すことは、例えば、個別に、又は対応する装置と並行して行うことができる。
【0036】
図2を参照すると、接合がここで説明される。意図された目的に従って配置された材料溜め5も、ここに示すことができる。接合のために、関連するコンダクタ端部3は、溶融デバイス6によって溶融を介して接合される。溶融デバイス6は、レーザビーム源16を備え、そのレーザビーム26は、レーザ溶融によってコンダクタ端部3を接合する。この目的のために、レーザビーム26は、例えば、接合点4もそこで生成されるように、コンダクタ端部3の軸方向端面に向けられる。
【0037】
図3は、接合点4の絶縁を示す。ここで、接合点4は、絶縁構造15によって完全に妨害され、もはや見ることができない。材料溜め5は、溶融される。接合点4も生成された溶融デバイス6が、この目的に使用される。しかしながら、レーザビーム26の焦点は、材料溜め5の外側に位置付けられ、変更された性能パラメータも、好ましくは、エネルギー入力を減少させ、例えば、材料の蒸発を防止するために使用される。
【0038】
レーザビーム26の作用により、材料溜め5が溶融し始める。重力により、材料は下向きに徐々に這うように流れ広がって伸びていく(分散する)。次いで、材料が冷却され、固体化される。これにより、コンダクタ端部3の以前に絶縁されていなかった領域を周囲から隔離する絶縁構造 15が形成され、絶縁構造15が接合点4だけでなく、コンダクタ端部3のかなりの部分、あるいはコンダクタ端部3全体を覆うように材料はわたっていき、コンダクタ端部3を絶縁するように配分される。
【0039】
絶縁構造15の生成のための材料溜め5の接合及び溶融は、ここで交互に実施される。この目的のために、各接合点4は、材料溜め5を溶融することによって、その生成後に直接絶縁される。レーザビーム26は、接合点4の所望の位置、及びその上方に位置する材料溜め5に交互に向けられる。
【0040】
重力を利用するため、コンダクタ端部3の接合も絶縁も上下逆にして行う。このため、ステータ11を巻線1とともに上下逆にして(つまり計画された接合点4を下に向けて)レーザ溶融の装置内に配置する。
【0041】
本明細書に提示される本発明は、コンダクタ端部3の接合及び絶縁を、同じシステム、例えば、同じレーザセルで実施することを可能にする。加えて、材料溜めによって、関連するコンダクタ端部3の単純かつ信頼性の高い整列又は事前固定が可能となる。全体として、本発明は、必要なプロセスステップの有利な減少を提供する。更に、相乗効果は、接合及び絶縁の組み合わせによって特によく利用され得る。ステータ11の別個の加熱の必要性を排除することによって、本発明はまた、大幅なエネルギー節約を提供する。