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特許7558357保護素子実装フレキシブルフラットケーブル、電池モジュールおよび保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】保護素子実装フレキシブルフラットケーブル、電池モジュールおよび保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/08 20060101AFI20240920BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20240920BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/581 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20240920BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01B7/08
H01B13/00 525B
H01M50/209
H01M50/284
H01M50/298
H01M50/569
H01M50/572
H01M50/581
H01M50/583
H02H7/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023136553
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2020530171の分割
【原出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2023156515
(43)【公開日】2023-10-24
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2018130399
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】喜田 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】三原 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】眞柄 千里
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-249932(JP,A)
【文献】特開2017-098038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/08
H01B 13/00
H01M 50/209
H01M 50/284
H01M 50/298
H01M 50/569
H01M 50/572
H01M 50/581
H01M 50/583
H02H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導線と、
前記複数の導線を被覆する絶縁シートと、
少なくとも1つの前記導線の途中に配置され、当該導線に過電流が流れることを制限する保護素子と、を備え、
前記保護素子は、電流制限素子と、前記電流制限素子が載置される基板と、を有し、
前記基板は、配線を有するプリント配線基板であり、前記配線に前記電流制限素子が接続され、
前記絶縁シートは、前記複数の導線を挟み込む一対の絶縁シートを含むとともに、前記一対の絶縁シートの両方を貫通する開口部を有し、
前記保護素子は、前記開口部に配置され、
前記開口部において露出する前記導線は、前記配線を介して前記電流制限素子に電気的に接続され
前記基板は、前記開口部より大きい寸法を有し、周縁部が前記絶縁シートに固定されることを特徴とする保護素子実装フレキシブルフラットケーブル。
【請求項2】
積層された複数の電池を有する電池積層体に接続されて各電池の電圧を検出する電圧検出線を構成する請求項1に記載の保護素子実装フレキシブルフラットケーブル。
【請求項3】
積層された複数の電池を有する電池積層体と、
各電池の電圧を検出する電圧検出線を構成する、請求項1または2に記載の保護素子実装フレキシブルフラットケーブルと、を備えることを特徴とする電池モジュール。
【請求項4】
保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記製造方法は、
複数の導線、および前記複数の導線を被覆する絶縁シートを備えるフレキシブルフラットケーブルの所定領域において、前記導線および前記絶縁シートを切除して開口部を形成する工程と、
前記導線に過電流が流れることを制限する保護素子を前記開口部に配置し、前記導線と前記保護素子とを接続する工程と、を含み、
前記保護素子は、電流制限素子と、前記電流制限素子が載置される基板と、を有し、
前記基板は、配線を有するプリント配線基板であり、前記配線に前記電流制限素子が接続され、
前記絶縁シートは、前記複数の導線を挟み込む一対の絶縁シートを含み、
前記開口部を形成する工程は、前記一対の絶縁シートの両方を切除して前記開口部を形成することを含み、
前記開口部において露出する前記導線は、前記配線を介して前記電流制限素子に電気的に接続され
前記製造方法は、前記基板の周縁部を前記絶縁シートに固定する工程をさらに含むことを特徴とする保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護素子実装フレキシブルフラットケーブル、電池モジュールおよび保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源に用いられる電池として、複数個の電池が直列接続されてなる電池モジュールが知られている。電池モジュールにおいて、隣り合う電池はバスバーを介して電気的に接続される。また、各バスバーには電圧検出線が取り付けられ、各電池間の電圧が検出される。これにより、各電池間の電圧異常を検知することができる。電圧検出線としては、フレキシブルプリント基板(FPC)や電線等の使用が一般的であった。
【0003】
上述の構造では、電圧検出線同士が短絡すると、短絡した電圧検出線に接続された電池同士が短絡するおそれがあった。これに対し、例えば特許文献1には、FPCに形成された電圧検出線の途中に、サーミスタやチップヒューズ等を設けた電池配線モジュールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-27831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池モジュールの高容量化が進むなか、電池モジュールにはより一層の低コスト化が求められるようになっている。本発明者らは、この要求に応えるために、電圧検出線について低コスト化を検討した。そして、本発明者らは、電圧検出線を介した電池間短絡の抑制と、電圧検出線の低コスト化との両立を図ることができる新たな技術に想到した。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電圧検出線を介した電池間短絡の抑制と、電圧検出線の低コスト化と、を図るための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、保護素子実装フレキシブルフラットケーブルである。このフレキシブルフラットケーブルは、複数の導線と、複数の導線を被覆する絶縁シートと、少なくとも1つの導線の途中に配置され、当該導線に過電流が流れることを制限する保護素子と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様は、電池モジュールである。この電池モジュールは、積層された複数の電池を有する電池積層体と、各電池の電圧を検出する電圧検出線を構成する、上述した態様の保護素子実装フレキシブルフラットケーブルと、を備える。
【0009】
本発明の他の態様は、保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法である。この製造方法は、複数の導線、および複数の導線を被覆する絶縁シートを備えるフレキシブルフラットケーブルの所定領域において、導線および絶縁シートを切除して開口部を形成する工程と、導線に過電流が流れることを制限する保護素子を開口部に配置し、導線と保護素子とを接続する工程と、を含む。
【0010】
本発明の他の態様は、保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法である。この製造方法は、複数の導線、および複数の導線を被覆する絶縁シートを備えるフレキシブルフラットケーブルの所定領域において、導線の一部および絶縁シートを切除し、導線における所定領域に残された部分を、導線に過電流が流れることを制限する保護素子とする工程を含む。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電圧検出線を介した電池間短絡の抑制と、電圧検出線の低コスト化と、を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る電池モジュールの概略構造を示す平面図である。
図2】電池モジュールにおけるバスバーを含む領域を拡大して示す平面図である。
図3】電池積層体の一部の概略構造を示す斜視図である。
図4図4(A)は、保護素子実装FFCの一部を模式的に示す平面図である。図4(B)は、保護素子実装FFCにおける上側の絶縁シートを剥離した状態を模式的に示す平面図である。
図5図5(A)~図5(D)は、実施の形態1に係る保護素子実装FFCの製造方法の工程を示す模式図である。
図6図6(A)は、実施の形態2に係る保護素子実装FFCの一部を模式的に示す平面図である。図6(B)は、保護素子実装FFCにおける上側の絶縁シートを剥離した状態を模式的に示す平面図である。
図7図7(A)~図7(C)は、実施の形態2に係る保護素子実装FFCの製造方法の工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電池モジュールの概略構造を示す平面図である。図2は、電池モジュールにおけるバスバーを含む領域を拡大して示す平面図である。図3は、電池積層体の一部の概略構造を示す斜視図である。なお、図1では、電池積層体について一部の電池のみを破線で図示している。また、保護素子の図示を省略している。図2は、図1における破線領域Rの拡大図であり、電池8の図示を省略している。
【0016】
電池モジュール1は、電池積層体2と、バスバープレート4と、保護素子実装フレキシブルフラットケーブル6と、を備える。以下では適宜、保護素子実装フレキシブルフラットケーブル6を保護素子実装FFC6と称する。
【0017】
電池積層体2は、積層された複数の電池8と、各電池8を電気的に接続するバスバー10と、を有する。各電池8は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池8は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶12を有する。外装缶12の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶12に電極体や電解液等が収容される。外装缶12の開口には、外装缶12を封止する封口板14が設けられる。
【0018】
封口板14には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子16が設けられ、他端寄りに負極の出力端子16が設けられる。以下では適宜、正極の出力端子16を正極端子16aと称し、負極の出力端子16を負極端子16bと称する。また、出力端子16の極性を区別する必要がない場合、正極端子16aと負極端子16bとをまとめて出力端子16と称する。外装缶12、封口板14および出力端子16は導電体であり、例えば金属製である。
【0019】
本実施の形態では、封口板14が設けられる側を電池8の上面、反対側を電池8の底面とする。また、電池8は、上面及び底面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池8が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。上面、底面および2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池8の側面とする。また、電池8の上面側を電池積層体2の上面とし、電池8の底面側を電池積層体2の底面とする。また便宜上、電池積層体2の上面側を鉛直方向上方とし、電池積層体2の底面側を鉛直方向下方とする。
【0020】
封口板14には、一対の出力端子16の間に安全弁18が設けられる。安全弁18は、外装缶12の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。各電池8の安全弁18は、バスバープレート4が有するガスダクト20に接続され、安全弁18から排出される排出ガスはガスダクト20に排出される。
【0021】
複数の電池8は、隣り合う電池8の主表面同士が対向するにして所定の間隔で積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池8の積層には、複数の電池8を水平に並べることも含まれる。また、各電池8は、出力端子16が同じ方向(ここでは便宜上、鉛直方向上方とする)を向くように配置される。隣接する2つの電池8は、一方の正極端子16aと他方の負極端子16bとが隣り合うように積層される。正極端子16aと負極端子16bとは、バスバー10を介して電気的に接続される。なお、隣接する複数個の電池8における同極性の出力端子16同士をバスバー10で並列接続して電池ブロックを形成し、電池ブロック同士を直列接続する場合もあり得る。
【0022】
バスバー10は、おおよそ帯状の金属部材である。バスバー10は、一端側が一方の電池8の正極端子16aに、他端側が他方の電池8の負極端子16bに、それぞれ電気的に接続される。なお、上述の電池ブロックを形成する場合には、電池ブロック内では正極端子16a同士、あるいは負極端子16b同士がバスバー10により電気的に接続される。また、最外側の電池8には、外部接続端子22が取り付けられる。外部接続端子22は、電池8の直列接続の終端となる出力端子16に電気的に接続される。外部接続端子22は、電池積層体2の外部に引き回される配線を介して外部負荷に接続される。
【0023】
電池積層体2は、図示しない複数のセパレータを有する。セパレータは、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。セパレータは、各電池8の間、および電池8と後述するエンドプレートとの間に配置される。これにより、隣り合う電池8の外装缶12同士が絶縁される。また、電池8の外装缶12とエンドプレートとが絶縁される。
【0024】
電池積層体2は、図示しない一対のエンドプレートで挟まれる。各エンドプレートは、最外側の電池8と隣り合うように配置される。エンドプレートは、例えば金属板からなる。電池積層体2と一対のエンドプレートとは、図示しない一対の拘束部材によって拘束される。一対の拘束部材は、バインドバーとも呼ばれる。一対の拘束部材は、複数の電池8の積層方向Xに対して直交する水平方向Yに配列される。拘束部材は、電池8の積層方向Xに延在する第1部分と、第1部分の両端部から電池積層体2側に突出する2つの第2部分と、を有する。2つの第2部分は、積層方向Xにおいて対向する。拘束部材は、例えば金属板の端部に折り曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0025】
2つの第2部分と一対のエンドプレートとがねじ止め等により固定されることで、複数の電池8と複数のセパレータとが一対のエンドプレートと一対の拘束部材によって締結される。セパレータ、エンドプレートおよび拘束部材は、公知の構造を有するため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0026】
電池積層体2には、電池積層体2の上面を覆うバスバープレート4が積層される。バスバープレート4は、板状の本体部24と、複数の開口部26と、ガスダクト20と、を有する。複数の開口部26およびガスダクト20は、本体部24に設けられる。複数の開口部26は、各出力端子16およびバスバー10と重なる位置に設けられる。これにより、出力端子16およびバスバー10が露出する。ガスダクト20は、各安全弁18と重なる位置に設けられる。バスバープレート4は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。
【0027】
保護素子実装FFC6は、バスバープレート4に載置される。本実施の形態の保護素子実装FFC6は、積層された複数の電池8を有する電池積層体2に接続されて各電池8の電圧を検出する電圧検出線を構成する。詳細は後述するが、保護素子実装FFC6は、複数の導線28が絶縁シート30で被覆された構造を有する(図4(A)、図4(B)等を参照)。各導線28は、一端が各バスバー10に接続されて、それぞれ電圧検出線を構成する。一部の導線28は、外部接続端子22に接続される。
【0028】
具体的には、各導線28は、各バスバー10の位置に合わせて一部がカットされて、長さが調整される。続いて、各導線28の先端の絶縁シート30が剥離される。そして、露出した導線28の先端が溶接等によってバスバー10に接続される。各導線28の他端は、コネクタ32に接続される。コネクタ32は、外部の電池ECU(図示せず)等に接続される。電池ECUは、各電池8の電圧等の検知、各電池8の充放電等を制御する。
【0029】
また、保護素子実装FFC6は、各導線28の途中に保護素子34を有する。図2に示すように、保護素子34は、好ましくは導線28の先端近傍、つまりバスバー10の近傍に配置される。以下、保護素子実装FFC6の構造について詳細に説明する。図4(A)は、保護素子実装FFCの一部を模式的に示す平面図である。図4(B)は、保護素子実装FFCにおける上側の絶縁シートを剥離した状態を模式的に示す平面図である。
【0030】
保護素子実装FFC6は、複数の導線28と、複数の導線28を被覆する絶縁シート30と、保護素子34と、を備える。複数の導線28は、互いに平行に延びるように配置されて、絶縁シート30で被覆されている。各導線28は扁平な金属線、例えば帯状の平板銅線からなる。
【0031】
絶縁シート30は、導線28の上側に配置される上側絶縁シート30aと、導線28の下側に配置される下側絶縁シート30bとを含む。複数の導線28は、上側絶縁シート30aと下側絶縁シート30bとで挟み込まれて、外部に対して絶縁される。また、各導線28同士も、絶縁シート30によって互いに絶縁される。絶縁シート30は、ポリ塩化ビニルやポリイミド、ポリエチレンナフタレート等の絶縁性の樹脂からなる。
【0032】
保護素子34は、導線28の途中に配置され、当該導線28に継続した過電流が流れることを制限する。本実施の形態の保護素子34は、電流制限素子38と、電流制限素子38が載置される基板40と、を有する。電流制限素子38は、ヒューズやサーミスタ等の従来公知の素子で構成される。基板40は、プリント配線基板であり、基板40上の配線に電流制限素子38の電極が接続される。なお、基板40は、プラスチックフィルム等のフレキシブル基板であってもよいし、リジッド基板であってもよい。
【0033】
上側絶縁シート30aおよび下側絶縁シート30bは、保護素子34が配置される領域に開口部36を有する。開口部36において、保護素子34の接続対象である導線28が切断され、切断した先端が露出している。保護素子34は、電流制限素子38が開口部36と重なるように配置される。そして、開口部36において露出する導線28に、電流制限素子38が直列接続される。導線28は、基板40上の配線を介して電流制限素子38の電極に接続される。導線28、基板40および電流制限素子38は、はんだ付け等の公知の接続方法で接続することができる。なお、導線28は、電流制限素子38の電極に直に接続されてもよい。
【0034】
電圧検出線を構成する導線28の途中に保護素子34を直列接続することで、2本の導線28が短絡して電池8間に過電流が流れた場合であっても、保護素子34によって過電流を直ちに遮断することができる。電流制限素子38がサーミスタの場合、導線28に過電流が流れると、導線28の温度上昇に伴ってサーミスタの抵抗が増大することで過電流を遮断することができる。電流制限素子38がヒューズの場合、導線28に過電流が流れると、ヒューズが溶断することで過電流を遮断することができる。
【0035】
本実施の形態では、基板40は、絶縁シート30に固定される。例えば、基板40は、開口部36よりも大きい寸法を有し、基板40の周縁部が下側絶縁シート30bと重なる。基板40は、例えば接着剤により、周縁部が下側絶縁シート30bに固定される。
【0036】
電流制限素子38、基板40および導線28の接続部は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の保護部材で被覆されてもよい。例えば、開口部36の全体が保護部材で覆われる。
【0037】
[保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法]
続いて、本実施の形態に係る保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法について説明する。図5(A)~図5(D)は、実施の形態1に係る保護素子実装FFCの製造方法の工程を示す模式図である。
【0038】
まず、図5(A)に示すように、複数の導線28、および複数の導線28を被覆する絶縁シート30を備えるフレキシブルフラットケーブル5を用意する。フレキシブルフラットケーブル5には、保護素子を未実装の市販品を用いることができる。
【0039】
次に、図5(B)に示すように、フレキシブルフラットケーブル5の所定領域(本実施の形態では第1領域R1)において、導線28および絶縁シート30を切除する。このとき、上側絶縁シート30aおよび下側絶縁シート30bの両方ともが切除される。これにより、第1領域R1には、開口部36が形成される。開口部36において、導線28は完全に切断される。開口部36は、例えば第1領域R1へのパンチ加工等により形成することができる。開口部36は、フレキシブルフラットケーブル5の一方の主表面から他方の主表面にかけて延在する貫通孔である。
【0040】
次に、図5(C)に示すように、第1領域R1に接する第2領域R2において、絶縁シート30を切除する。これにより、開口部36が広がり、第2領域R2において導線28の切断部の先端が露出する。例えば、第2領域R2へのレーザ加工等により、絶縁シート30のみを切除し導線28を残しながら、開口部36を拡張することができる。
【0041】
次に、図5(D)に示すように、導線28に過電流が流れることを制限する保護素子34を開口部36に配置する。そして、第2領域R2において露出する導線28と保護素子34とを接続する。具体的には、電流制限素子38の電極が接続された基板40の配線と導線28とをはんだ付け等により接合する。また、基板40の周縁部と絶縁シート30とを接着剤により固定する。以上の工程により、保護素子実装FFC6が得られる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態に係る保護素子実装フレキシブルフラットケーブル6は、複数の導線28と、複数の導線28を被覆する絶縁シート30と、導線28の途中に配置され、導線28に過電流が流れることを制限する保護素子34と、を備える。そして、保護素子実装FFC6は、電池積層体2に接続されて電圧検出線を構成する。
【0043】
FPCは、ポリイミドやポリエチレンナフタレート(PEN)の被膜上に金属箔を接着した後、金属箔をエッチングして配線パターンを形成する。このため、FPCであれば、製造過程で保護素子を搭載するためのパターンを形成することができる。よって、保護素子を実装したFPCを簡単に製造することができる。しかしながら、FPCではエッチングにより金属箔のロスが多く、電圧検出線のコスト増加の一因となっていた。
【0044】
これに対し、FFCに保護素子34を搭載した本実施の形態の保護素子実装FFC6によれば、FPCのような金属箔のロスがないため、電圧検出線の低コスト化を図ることができる。また、FFCは電線に比べて薄型であるため、電圧検出線の小型化、ひいては電池モジュール1の小型化を図ることができる。また、保護素子34の実装により、電圧検出線を介した電池間短絡の抑制を図ることができる。したがって、発煙や発火の可能性も低減することができる。
【0045】
また、本実施の形態の電池モジュール1は、電池積層体2と、電圧検出線としての保護素子実装FFC6と、を備える。これにより、電池モジュール1の低コスト化と安全性向上との両立を図ることができる。
【0046】
また、FFCは、一対の絶縁シートに複数の導線を挟み込んで形成される。このため、FFCの製造過程で保護素子の搭載領域を形成することが困難であった。これに対し、本実施の形態に係る保護素子実装FFC6の製造方法は、複数の導線28、およびこれらを被覆する絶縁シート30を備えるフレキシブルフラットケーブル5の所定領域において、導線28および絶縁シート30を切除して開口部36を形成する工程と、保護素子34を開口部36に配置し、導線28と保護素子34とを接続する工程とを含む。これにより、保護素子実装FFC6の製造工程の簡略化を図ることができる。
【0047】
また、保護素子34は、電流制限素子38と基板40とを有する。そして、電流制限素子38が導線28に接続される。保護素子34が基板40を有することで、保護素子34の搭載領域における保護素子実装FFC6の強度低下を抑制することができる。したがって、電流制限素子38と導線28との接続部にかかる負荷を軽減することができる。また、基板40は、絶縁シート30に固定される。これにより、保護素子34の搭載領域における保護素子実装FFC6の強度をより高めることができる。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る保護素子実装FFCは、保護素子の構造とフレキシブルフラットケーブルへの実装方法が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る保護素子実装FFCについて実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図6(A)は、実施の形態2に係る保護素子実装FFCの一部を模式的に示す平面図である。図6(B)は、保護素子実装FFCにおける上側の絶縁シートを剥離した状態を模式的に示す平面図である。
【0049】
保護素子実装FFC6は、複数の導線28と、複数の導線28を被覆する絶縁シート30と、保護素子34と、を備える。複数の導線28は、絶縁シート30で被覆される。絶縁シート30は、上側絶縁シート30aと、下側絶縁シート30bとを含む。保護素子34は、導線28の途中に配置され、当該導線28に継続した過電流が流れることを制限する。
【0050】
本実施の形態の保護素子34は、導線28の一部であって他部よりも断面積が小さい部分、つまり細幅部で構成される。保護素子34は、導線28の他の部分よりも断面積が小さい。つまり、導線28は、保護素子34において電流の流路断面積が小さく、したがって保護素子34において抵抗が大きくなっている。このため、導線28に過電流が流れると保護素子34が溶断する。これにより、過電流を遮断することができる。上側絶縁シート30aおよび下側絶縁シート30bは、保護素子34が配置される領域に開口部36を有する。開口部36において露出する導線28に、細幅部が形成されている。
【0051】
また、保護素子実装FFC6は、保護素子34を支持する基板42を備える。基板42は、保護素子34の搭載領域における保護素子実装FFC6の強度低下を補うための補強板である。このため、基板42には配線が設けられていない。例えば基板42は、配線を有しない点を除いて、実施の形態1の基板40と同様の構造を有する。
【0052】
本実施の形態では、基板42は絶縁シート30に固定される。例えば、基板42は、開口部36よりも大きい寸法を有し、基板42の周縁部が下側絶縁シート30bと重なる。基板42は、例えば接着剤により、周縁部が下側絶縁シート30bに固定される。保護素子34は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の保護部材で被覆されてもよい。例えば、開口部36の全体が保護部材で覆われる。
【0053】
[保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法]
続いて、本実施の形態に係る保護素子実装フレキシブルフラットケーブルの製造方法について説明する。図7(A)~図7(C)は、実施の形態2に係る保護素子実装FFCの製造方法の工程を示す模式図である。
【0054】
まず、図7(A)に示すように、複数の導線28、および複数の導線28を被覆する絶縁シート30を備えるフレキシブルフラットケーブル5を用意する。フレキシブルフラットケーブル5には、保護素子を未実装の市販品を用いることができる。
【0055】
次に、図7(B)に示すように、フレキシブルフラットケーブル5の所定領域(本実施の形態では第1領域R1)において、導線28の一部および絶縁シート30を切除する。このとき、導線28は、第1領域R1に残された部分によって一端側(コネクタ32側)から他端側(バスバー10側)に至るまで連続する状態が維持されるように、一部が切除される。
【0056】
本実施の形態では、導線28の延びる方向に沿って、導線28の両縁部が切り欠かれる。なお、導線28の延びる方向に沿って、導線28の一方の縁部のみ、または中央部が切り欠かれてもよい。導線28における第1領域R1に残された部分は、他の領域にある部分よりも断面積が小さく、したがって導線28に過電流が流れることを制限する保護素子34となる。
【0057】
また、上側絶縁シート30aおよび下側絶縁シート30bの両方ともが切除され、第1領域R1には開口部36が形成される。導線28の一部および絶縁シート30の切除は、例えば第1領域R1へのパンチ加工やレーザ加工等により形成することができる。開口部36は、フレキシブルフラットケーブル5の一方の主表面から他方の主表面にかけて延在する貫通孔である。
【0058】
次に、図7(C)に示すように、基板42を開口部36に配置して、保護素子34にあてがう。そして、基板42の周縁部と絶縁シート30とを接着剤により固定する。以上の工程により、保護素子実装FFC6が得られる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態に係る保護素子実装FFC6は、複数の導線28と、複数の導線28を被覆する絶縁シート30と、導線28の途中に配置され、導線28に過電流が流れることを制限する保護素子34と、を備える。本実施の形態の保護素子34は、導線28の一部であって、他部よりも断面積が小さい部分で構成される。このような構造によっても、電圧検出線を介した電池間短絡の抑制と、電圧検出線の低コスト化と、を図ることができる。また、電圧検出線および電池モジュール1の小型化を図ることができる。
【0060】
また、保護素子実装FFC6は、保護素子34を支持する基板42を備える。これにより、保護素子34の搭載領域における保護素子実装FFC6の強度低下を抑制することができる。また、基板42は、絶縁シート30に固定される。これにより、保護素子34の搭載領域における保護素子実装FFC6の強度をより高めることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る保護素子実装FFC6の製造方法は、複数の導線28、およびこれらを被覆する絶縁シート30を備えるフレキシブルフラットケーブル5の所定領域において、導線28の一部および絶縁シート30を切除し、導線28の所定領域に残された部分を、保護素子34とする工程を含む。これにより、保護素子実装FFC6の製造工程の簡略化を図ることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0063】
上述した実施の形態に係る保護素子実装FFC6は、電圧検出線以外の用途で用いてもよい。この場合、保護素子実装FFC6で電気的に接続される2つの部材が導線28を介して短絡することを抑制できるとともに、保護素子を実装したFPCや電線を用いる場合に比べて低コスト化および小型化を図ることができる。
【0064】
実施の形態1では、第1領域R1にパンチ加工を施した後に第2領域R2にレーザ加工を施して導線28の先端を露出させているが、特にこの態様に限定されない。例えば、第1領域R1および第2領域R2に同時にパンチ加工またはレーザ加工を施して、第1領域R1から導線28および絶縁シート30を切除し、第2領域R2から絶縁シート30のみ切除してもよい。つまり、図5(B)に示す工程と、図5(C)に示す工程とを一工程にまとめてもよい。
【0065】
また、保護素子34は、全ての導線28に対して設けられることが好ましいが、特にこの構成に限定されず、少なくとも1つの導線28の途中に配置されればよい。また、上述した実施の形態では、電池8は角形電池であるが、電池8の形状は特に限定されず、円筒状等であってもよい。また、電池積層体2が備える電池8の数も特に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
1 電池モジュール、 2 電池積層体、 6 保護素子実装FFC、 8 電池、 28 導線、 30 絶縁シート、 34 保護素子、 36 開口部、 38 電流制限素子、 40,42 基板。
図1
図2
図3
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図6
図7