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特許7558364装置のためのケーシング、装置、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】装置のためのケーシング、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240920BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240920BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023157448
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2021557432の分割
【原出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2023166610
(43)【公開日】2023-11-21
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ゼシン
(72)【発明者】
【氏名】フン, チ ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ, グァンヤン
(72)【発明者】
【氏名】マクグラス, コーナー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ターンク, ジャイ-ラム
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534730(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190603(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108835717(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化可能な材料を加熱して前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置のためのケーシングであって、
前記装置の内部構成要素を包囲するためのスリーブの第1の部分と、
前記装置が前記エアロゾル化可能な材料を加熱するとき、熱を分散させ、前記スリーブの第1の部分全体にわたる温度分布を制御するための、前記スリーブの第1の部分のためのライナと
を備える、ケーシング。
【請求項2】
前記ライナが、当該ケーシングの内表面の一部分を形成する、請求項1に記載のケーシング。
【請求項3】
前記ライナの熱伝導率の値が、前記スリーブの熱伝導率の値よりも高い、請求項1又は2に記載のケーシング。
【請求項4】
前記スリーブの第1の部分及び前記ライナが、1つの部品を形成するために互いに組み合わせ可能である個々の構成要素として分離可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項5】
前記スリーブの第1の部分及び前記ライナが、接着剤なしに1つの部品として結合される、請求項1~4のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項6】
前記スリーブの第1の部分が、前記ライナを受容するための収納部を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項7】
前記スリーブの第1の部分が、成形ポリマーである、請求項1~6のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項8】
前記スリーブの第1の部分が、前記ライナに対するオーバーモールド部分である、請求項7に記載のケーシング。
【請求項9】
前記ライナが、金属材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項10】
前記金属材料が、アルミニウムである、請求項9に記載のケーシング。
【請求項11】
前記金属材料が、銅である、請求項9に記載のケーシング。
【請求項12】
前記ライナが、薄膜材料、テープ及びホイルのうちの少なくとも1つである、請求項1~11のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項13】
前記ライナは、前記ライナが前記スリーブに接触する当該ケーシングのある横断面において約1mm未満の厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項14】
前記ライナの厚さ及び前記スリーブの厚さが、当該ケーシングのある横断面において実質的に同じである、請求項1~13のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項15】
前記ライナが、前記スリーブに形成される局部的なホットスポットを抑制するためのものである、請求項1~14のいずれか一項に記載のケーシング。
【請求項16】
エアロゾル化可能な材料を加熱して前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置であって、
エアロゾル化可能な材料を受容するための加熱構成体と、
請求項1~15のいずれか一項に記載のケーシングと
を備える、装置。
【請求項17】
前記スリーブが、前記スリーブの第1の部分と結合可能な前記スリーブの第2の部分を備え、前記スリーブの第1の部分及び前記スリーブの第2の部分のうちの少なくとも一方が、前記ライナを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記スリーブの第1の部分及び前記スリーブの第2の部分のうちの一方のみが前記ライナを備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
エアロゾル化可能な材料を加熱して前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置のためのケーシングを組み立てる方法であって、
前記装置の内部構成要素を包囲するための前記ケーシングのスリーブの第1の部分を用意するステップと、
前記装置が前記エアロゾル化可能な材料を加熱するとき、熱を分散させ、前記スリーブの第1の部分にわたる温度分布を制御するための、前記スリーブの第1の部分のためのライナを用意するステップと、
前記スリーブの第1の部分及び前記ライナを結合するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記ライナを用意する前記ステップが、押し出し加工によって前記ライナを形成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記スリーブの第1の部分を用意する前記ステップが、金型を使用して前記スリーブをオーバーモールドすることによって前記スリーブの第1の部分を形成することを含み、前記ライナが、前記金型の一部分を形成する、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記スリーブの第1の部分及び前記ライナを結合する前記ステップが、前記スリーブの第1の部分及び前記ライナを締りばめのもとで結合することを含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記スリーブの第1の部分及び前記ライナを結合する前記ステップは、前記スリーブの第1の部分及び前記ライナが互いと直接表面接触状態にあるように、接着剤なしで前記スリーブの第1の部分及び前記ライナを結合することを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ライナを用意する前記ステップは、前記装置が前記エアロゾル化可能な材料を加熱するときに前記スリーブの第1の部分に形成される局部的なホットスポットを抑制するためのライナを用意することを含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と共に使用するためのケーシング、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置、及びエアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置のためのケーシングを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって、これらの物品の代替物を提供しようとする試みがなされてきた。このような製品の例には、材料を燃焼させるのではなく、加熱することによって化合物を放出する、いわゆる「非燃焼加熱式」製品、又はタバコ加熱デバイス若しくはタバコ加熱製品がある。この材料は、例えば、タバコ、又は他の非タバコ製品としてもよく、これはニコチンを含むことも含まないこともある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置のためのケーシングを提供する。本ケーシングは、装置の内部構成要素を包囲するためのスリーブと、装置がエアロゾル化可能な材料を加熱するとき、熱を分散させ、スリーブにわたる温度分布を制御するための、スリーブのためのライナと、を備える。
【0004】
例示的な実施形態において、ライナは、ケーシングの内表面の一部分を形成する。例示的な実施形態において、ケーシングの内表面は、内方を向く表面であり、内方を向く表面は、装置の内部構成要素の方を向くようになっている。
【0005】
例示的な実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、スリーブの熱伝導率の値とは異なる。例示的な実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、スリーブの熱伝導率の値よりも高い。例示的な実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、スリーブの熱伝導率の値よりも少なくとも100倍大きい。例示的な実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、スリーブの熱伝導率の値よりも少なくとも500倍大きい。例示的な実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、スリーブの熱伝導率の値よりも少なくとも500~1000倍大きい。例示的な実施形態において、スリーブの熱伝導率の値は、約0.25W/mKである。例示的な実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、約205W/mKである。
【0006】
例示的な実施形態において、スリーブ及びライナは、1つの部品を形成するために互いに組み合わせ可能である個々の構成要素として分離可能である。
【0007】
例示的な実施形態において、スリーブ及びライナは、接着剤なしに1つの部品として結合される。例示的な実施形態において、スリーブ及びライナは、互いと直接表面接触状態にある。例示的な実施形態において、ライナ及びスリーブは、スリーブとライナとの間に介入される第3の構成要素なしに互いに直接隣接している。
【0008】
例示的な実施形態において、スリーブは、ライナを受容するための収納部を備える。例示的な実施形態において、スリーブの収納部は、ライナの対応する係合表面に対して形状が補完的である係合表面を備える。例示的な実施形態において、スリーブの収納部は、ライナが、ライナをスリーブに結合するために収納部内にあるとき、ライナと係合するように構成される。
【0009】
例示的な実施形態において、スリーブは、ポリマーなどの可撓性材料から作製される。例示的な実施形態において、スリーブは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製される。例示的な実施形態において、スリーブは、成形ポリマーである。
【0010】
例示的な実施形態において、スリーブは、ライナに対するオーバーモールド部分である。例示的な実施形態において、オーバーモールド部分としてのスリーブは、ライナの周りにスリーブをモールドすることによって形成され、ライナが金型の一部分を形成する。例示的な実施形態において、オーバーモールド部分は、スリーブ及びライナが摩擦力を受けて結合されるように、スリーブとライナとの間に締りばめを提供する。
【0011】
例示的な実施形態において、ライナの領域内のスリーブの厚さは、同じ領域内のライナの厚さの約2倍である。例示的な実施形態において、スリーブの厚さは、同じ領域内のライナの厚さと実質的に同じである。例示的な実施形態において、この領域は、接触領域であり、接触がスリーブとライナとの間に提供される。例示的な実施形態において、この領域は、ケーシングの横断面である。例示的な実施形態において、ライナがスリーブに接触するケーシングのある横断面におけるライナの厚さは、約1mm未満である。例示的な実施形態において、ライナがスリーブに接触するケーシングのある横断面におけるライナの厚さは、約0.5mm~約0.7mmである。例示的な実施形態において、ライナがスリーブに接触するケーシングのある横断面におけるライナの厚さは、約0.6mmである。例示的な実施形態において、ライナがスリーブに接触するケーシングのある横断面におけるスリーブの厚さは、約0.6mmである。
【0012】
例示的な実施形態において、ライナは、金属材料を含む。例示的な実施形態において、金属材料は、銅である。別の例示的な実施形態において、金属材料は、アルミニウムである。
【0013】
例示的な実施形態において、ライナは、薄膜材料である。例示的な実施形態において、ライナは、テープである。例示的な実施形態において、ライナは、ホイルである。
【0014】
例示的な実施形態において、スリーブは、結合領域を備え、この結合領域は、ケーシングの別のスリーブの第2の結合領域と結合するためのものである。
【0015】
例示的な実施形態において、スリーブは、装置の開口部を形成するための孔を備え、そこを通じて、エアロゾル化可能な材料が装置の加熱チャンバ内へ挿入可能である。
【0016】
例示的な実施形態において、ライナは、平面視において実質的に楕円形である。例示的な実施形態において、ライナは、平面視で見たとき、2つの対向する真っすぐの側面及び2つの対向する湾曲した側面を備える。例示的な実施形態において、2つ対向する真っすぐの側面は、一方の端部では互いから離れる方へ広がり、他方の端部では互いに向かって近づく。
【0017】
例示的な実施形態において、ライナは、15mm~25mmの全奥行きを有する。例示的な実施形態において、全奥行きは、18mm~21mmである。例示的な実施形態において、全奥行きは、19mm~20mmである。例示的な実施形態において、全奥行きは、約20mmである。例示的な実施形態において、全奥行きは、19.8mmである。
【0018】
例示的な実施形態において、ライナは、15mm~25mmの全高を有する。例示的な実施形態において、全高は、19mm~22mmである。例示的な実施形態において、全高は、20mm~21mmである。例示的な実施形態において、全高は、約20mmである。例示的な実施形態において、全高は、20.4mmである。
【0019】
例示的な実施形態において、ライナは、25mm~35mmの全幅を有する。例示的な実施形態において、全幅は、29mm~32mmである。例示的な実施形態において、全幅は、30mm~31mmである。例示的な実施形態において、全幅は、約30mmである。例示的な実施形態において、全幅は、30.8mmである。
【0020】
例示的な実施形態において、ライナは、熱分散体として作用する。
【0021】
例示的な実施形態において、ライナは、スリーブに形成される局部的なホットスポットを抑制するためである。
【0022】
例示的な実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含み、及び/又は再生され、及び/又はゲルの形態にあり、及び/又は非晶体を含む。
【0023】
本発明の第2の態様は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を提供する。本装置は、エアロゾル化可能な材料を受容するための加熱構成体と、第1の態様において以前に説明されるようなケーシングとを備える。
【0024】
例示的な実施形態において、スリーブは、互いと結合可能な第1のスリーブ及び第2のスリーブを備え、第1のスリーブ及び第2のスリーブのうちの少なくとも一方は、ライナを備える。例示的な実施形態において、第1のスリーブ及び第2のスリーブのうちの一方のみがライナを備える。例示的な実施形態において、ライナは、装置の第2の端部よりも装置の第1の端部の近くに配置され、第1の端部は、エアロゾル化可能な材料の挿入のための開口部を備える。
【0025】
例示的な実施形態において、本装置は、拡張チャンバを備え、ライナは、装置の長手方向において、拡張チャンバの少なくとも一部分と重なり合う。
【0026】
例示的な実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含み、及び/又は再生され、及び/又はゲルの形態にあり、及び/又は非晶体を含む。
【0027】
本発明の第3の態様は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置のためのケーシングを組み立てる方法を提供する。本方法は、装置の内部構成要素を包囲するためのケーシングのスリーブを用意するステップと、装置がエアロゾル化可能な材料を加熱するとき、熱を分散させ、スリーブにわたる温度分布を制御するための、スリーブのためのライナを用意するステップと、スリーブ及びライナを結合するステップとを含む。
【0028】
例示的な実施形態において、ライナを用意するステップは、ライナを形成することを含む。例示的な実施形態において、ライナを形成するステップは、押し出し加工によってライナを形成することを含む。
【0029】
例示的な実施形態において、スリーブを用意するステップは、スリーブを形成することを含む。例示的な実施形態において、スリーブを形成するステップは、成形プロセスによってスリーブを形成することを含む。例示的な実施形態において、スリーブを形成するステップは、射出成形によってスリーブを形成することを含む。例示的な実施形態において、スリーブを形成するステップは、金型を使用してスリーブをオーバーモールドすることによってスリーブを形成することを含み、ライナは、金型の一部分を形成する。
【0030】
例示的な実施形態において、本方法は、スリーブ及びライナを結合した後に、スリーブ及びライナ内に穴を形成することをさらに含む。例示的な実施形態において、スリーブ内に穴を形成するステップは、結合したスリーブ及びライナを機械加工することを含む。例示的な実施形態において、穴は、8mm~11mmの直径を有する。例示的な実施形態において、直径は、9mm~10mmである。例示的な実施形態において、直径は、9.8mmである。
【0031】
例示的な実施形態において、スリーブ及びライナを結合するステップは、スリーブ及びライナを結合して、ケーシングの平らな内表面をもたらすことを含む。
【0032】
例示的な実施形態において、スリーブ及びライナを結合するステップは、スリーブ及びライナを締りばめのもとで結合することを含む。
【0033】
例示的な実施形態において、スリーブ及びライナを結合するステップは、スリーブ及びライナが互いと直接表面接触状態にあるように、接着剤なしでスリーブ及びライナを結合することを含む。例示的な実施形態において、直接表面接触は、ライナとスリーブとの間のすべての物理的接触を含む。例示的な実施形態において、スリーブとライナとの間に介入される材料は存在しない。
【0034】
例示的な実施形態において、ライナを用意するステップは、装置がエアロゾル化可能な材料を加熱するときにスリーブに形成される局部的なホットスポットを抑制するためのライナを用意することを含む。
【0035】
例示的な実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含み、及び/又は再生され、及び/又はゲルの形態にあり、及び/又は非晶体を含む。
【0036】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる例として単に提供される、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0037】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置の例の概略斜視図であって、本装置が、エアロゾル化可能な材料を含む消耗品が挿入された状態で示される、図である。
図2】消耗品が挿入された状態の図1の例示的な装置の概略前面図である。
図3】消耗品が挿入された状態の図1の例示的な装置の概略右側面図である。
図4】消耗品が挿入された状態の図1の例示的な装置の概略左側面図である。
図5図4に示される線A-Aに沿っての、消耗品が挿入された状態の図1の例示的な装置の前からの概略断面図である。
図6】消耗品が挿入されていない図1の例示的な装置の前からの概略断面図である。
図7】エアロゾル化可能な材料を加熱するための装置のケーシングの例示的な第1のスリーブ及びライナを備える例示的なケーシング構成要素の概略斜視図である。
図8図7の例示的なケーシング構成要素の前面図である。
図9図7の例示的なケーシング構成要素の右側面図である。
図10図9に示される線T-Tを通る、図1の例示的なケーシング構成要素の後からの概略断面図である。
図11】例示的なライナの概略斜視図である。
図12】エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置との使用のためのケーシングを組み立てる方法の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「エアロゾル化可能な材料」は、加熱時に、揮発した成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で提供する材料を含む。「エアロゾル化可能な材料」は、非タバコ含有材料、又はタバコ含有材料とすることができる。「エアロゾル化可能な材料」は、例えば、タバコそのもの、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含むものとすることができる。「エアロゾル化可能な材料」は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生エアロゾル可能材料、液体、ゲル、非晶体、ゲル化シート、粉末、又は塊等の形態であってもよい。「エアロゾル化可能な材料」はまた、他の非タバコ製品を含むものであってもよく、製品に応じて、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。「エアロゾル化可能な材料」は、グリセロール又はプロピレングリコールなど、1つ又は複数の保湿剤を含んでもよい。用語「エアロゾル生成材料」もまた、用語「エアロゾル化可能な材料」と同じ意味で、本明細書内で使用され得る。
【0040】
上に記されるように、エアロゾル化可能な材料は、代替的に「モノリシック固体」(すなわち、非繊維質)、又は「乾燥ゲル」と称される場合がある「非晶体」を含むものとすることができる。非晶体は、その中に、液体などの何らかの流体を保持し得る固体材料である。いくつかの場合において、エアロゾル化可能な材料は、約50wt%、60wt%、又は70wt%の非晶体~約90wt%、95wt%、又は100wt%の非晶体を含む。いくつかの場合において、エアロゾル化可能な材料は、非晶体からなる。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「シート」は、その厚さよりも実質的に大きい幅及び長さを有する要素を意味する。シートは、例えば、ストリップであり得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「加熱材料」又は「ヒータ材料」は、いくつかの例において、例えばエアロゾル化可能な材料が誘導加熱構成体によって加熱されるとき、変動磁場による侵入により加熱可能である材料を指す。
【0043】
加熱材料を加熱する他の形態は、電気的抵抗加熱要素に関与する抵抗加熱を含み、電気的抵抗加熱要素は、電流が電気的抵抗加熱要素に印加されるとき熱が上がり、以て加熱材料への伝導により熱を伝達する。
【0044】
図1を参照すると、本発明の実施形態に従う装置1の概略斜視図が示される。装置1は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するためのものである。この実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含み、装置1は、タバコ加熱製品(当該技術分野においては、タバコ加熱デバイス又は非燃焼加熱式デバイスとしても知られる)である。装置1は、ハンドヘルドデバイスであり、これは、ハンドヘルドデバイスのユーザによるエアロゾル化可能な材料の吸引のためのものである。
【0045】
装置1は、第1の端部3、及び第1の端部3の反対の第2の端部5を備える。第1の端部3は、本明細書では、装置1の口側端部又は近位端部と称されることがある。第2の端部5は、本明細書では、装置1の遠位端部と称されることがある。装置1は、装置1が、装置1のユーザによって望まれるときに、全体として、オン及びオフを切り替えられることを可能にするために、オン/オフボタン7を有する。
【0046】
概して述べるならば、装置1は、エアロゾル生成材料を加熱することによってユーザにより吸引されることになるエアロゾルを生成するように構成される。使用時、ユーザは、装置1に物品21を挿入し、例えばボタン7を使用して装置1を活性化して(動作させて)、装置1がエアロゾル生成材料を加熱し始めるようにする。ユーザは、続いて、装置1の第1の端部3の近くの物品21のマウスピース21bを吸って、装置1によって生成されるエアロゾルを吸引する。ユーザが物品21を吸うと、生成されたエアロゾルが、装置1の近位端部3へ向かって流路に沿って装置1を流れる。
【0047】
例においては、蒸気が生成され、次いでこの蒸気は、少なくとも部分的に凝縮して、ユーザによって吸引されるように、装置1を出る前にエアロゾルを形成する。
【0048】
この点において、まず、一般に、蒸気は、その臨界温度よりも低い温度にある気相の物質であり、これは、例えば、蒸気が、温度を下げることなくその圧力を上昇させることによって液体へと凝縮され得ることを意味する、ということに留意されたい。その一方、一般に、エアロゾルは、空気又は別のガス中の、微細固体粒子又は液滴のコロイドである。「コロイド」は、微視的に分散した不溶性粒子が別の物質の至る所に浮遊している物質である。
【0049】
簡便性の理由から、本明細書で使用される場合、エアロゾルという用語は、エアロゾル、蒸気、又はエアロゾル及び蒸気の組み合わせを意味すると取られるべきである。
【0050】
装置1は、装置1の様々な内部構成要素を配置及び保護するためのケーシング9を備える。したがって、ケーシング9は、内部構成要素を収容するための外側ハウジングである。図示実施形態において、ケーシング9は、装置1の周囲を取り囲み、装置1の「上部」を全体的に画定する、第1の端部3における上パネル17と、装置1の「底部」を全体的に画定する、第2の端部5(図2~5を参照)における底パネル19とが被せられるスリーブ11を備える。
【0051】
スリーブ11は、第1のスリーブ11a及び第2のスリーブ11bを備える。第1のスリーブ11aは、装置1の上方部分として示される装置1の上部分に設けられ、第1の端部3から離れる方へ延びている。第2のスリーブ11bは、装置1の下方部分として示される装置1の下部分に設けられ、第2の端部5から離れる方へ延びている。第1のスリーブ11a及び第2のスリーブ11bは各々、装置1の周囲を取り囲む。すなわち、装置1は、Y軸線方向に長手方向軸線を含み、第1のスリーブ11a及び第2のスリーブ11bは各々、長手方向軸線に対して放射状の方向に内部構成要素を包囲する。
【0052】
この実施形態において、第1のスリーブ11a及び第2のスリーブ11bは、取り外し可能に互いに係合される。この実施形態において、第1のスリーブ11aは、溝及び凹部を備えるスナップフィット構成体で第2のスリーブ11bと係合される。
【0053】
いくつかの実施形態において、上パネル17及び/又は底パネル19は、装置1の内部への容易なアクセスを許すために、対応する第1及び第2のスリーブ11a、11bにそれぞれ、取り外し可能に固定され得る。いくつかの実施形態において、スリーブ11は、例えばユーザが装置1の内部にアクセスすることを阻止するために、上パネル17及び/又は底パネル19に「永続的に」固定され得る。一実施形態において、パネル17及び19は、例えば、射出成形によって形成されるガラス入りナイロンを含む、可撓性材料で作製され、スリーブ11は、アルミニウムで作製されるが、他の材料及び他の製造プロセスが使用されてもよい。
【0054】
装置1の上パネル17は、装置1の口側端部3に開口部20を有し、これを通じて、使用中、エアロゾル化可能な材料を含有する消耗品21が、ユーザによって、装置1へ挿入され、また装置1から取り除かれる。この実施形態において、消耗品21は、ユーザがユーザの唇の間に置くためのマウスピースとして機能する。他の実施形態において、外部マウスピースを設けることができ、エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの揮発成分は、このマウスピースを通じて吸われる。外部マウスピースが使用されるとき、エアロゾル化可能な材料は、外部マウスピース内に設置されない。
【0055】
この実施形態において、開口部20は、蓋4によって開閉される。示される実施形態において、蓋4は、閉位置と開位置との間で移動可能であり、開位置にあるときに装置1内への消耗品21の挿入を可能にする。蓋4は、X軸線方向に沿って双方向に移動するように構成される。
【0056】
接続ポート6は、装置1の第2の端部5に示される。接続ポート6は、装置1の電源27を充電するための、ケーブル及び電源27(図6に示される)への接続のためのものである。接続ポート6は、装置1の前側から装置1の後側へZ軸線方向に延びている。図3に示されるように、接続ポート6は、装置1の第2の端部5において装置1の右側でアクセス可能である。装置1は、充電しながら、又は接続ポート6を通じてデータ接続を可能とするために、第2の端部5で立つことができることが有利である。図示実施形態において、接続ポート6は、USBソケットである。
【0057】
図2を参照すると、第1のスリーブ11aは、テーパの付いている、装置1の第1の端部3における表面を備える。テーパが付けられた表面は、第2の端部5における第2のスリーブ11bの表面に対して第1の角度αを持つ。この実施形態において、第2の端部5における第2のスリーブ11bの表面は、X軸線方向と実質的に平行である。したがって、図示されるように、消耗品21は、第1の端部3の近位部分にて開口部20(図1に示される)を通じて挿入可能である。第1のスリーブ11a及び第2のスリーブ11bが接合部11cで合わさっている部分では、X軸線方向に対して第2の角度βが形成されている。第2の角度βは、第1の角度αよりも大きく示されている。
【0058】
図3及び図4はそれぞれ、装置1の右側及び左側を示す。ここでは、消耗品21は、横方向において中央の位置にあるように示されている。これは、消耗品21が挿入される開口部20が、Z軸線方向に沿って装置の中間地点に、及びX軸線方向において中心を外れて位置付けられるためである。
【0059】
図5及び図6は、図4に示されるような装置1の線A-Aをそれぞれ通る、消耗品が挿入された状態及び引き抜かれた状態にある装置1の前からの概略断面図を示す。
【0060】
図6に示されるように、ケーシング9の中には、ヒータ構成体(heater arrangement)23、制御回路25、及び電源27が配置され又は固定されている。この実施形態において、制御回路25は、電子機器コンパートメントの一部分であり、2つの印刷回路基板(PCB)25a、25bを備える。この実施形態において、制御回路25及び電源27は、ヒータ構成体23に横方向に隣接(すなわち、端部から見て隣接)しており、制御回路25は電源27の下に位置する。これは、装置1が、X軸線方向に対応する横方向においてコンパクトであることを可能にし、有効である。
【0061】
この実施形態において、制御回路25は、以下にさらに論じられるように、消耗品21内のエアロゾル化可能な材料の加熱を制御するように構成及び配置されるマイクロプロセッサ構成体などのコントローラを含む。
【0062】
この実施形態において、電源27は、充電式バッテリーである。他の実施形態において、非充電式バッテリー、コンデンサ又はバッテリー・コンデンサのハイブリッドが用いられてもよく、電気幹線供給源への接続が使用されてもよい。好適なバッテリーの例には、例えば、リチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、アルカリバッテリー、及び/又は同様のものがある。バッテリー27は、必要なときに電力を供給し、制御回路25の制御下で消耗品内のエアロゾル化可能な材料を加熱するために(論じられるように、エアロゾル化可能な材料を燃焼させることなくエアロゾル化可能な材料を揮発させるために)、ヒータ構成体23に電気的に接続される。
【0063】
電源27をヒータ構成体23に対して横に隣接して配置する利点は、物理的に大きい電源27が、装置1が全体として過度に長くなりすぎることなく、使用され得ることである。理解されるように、物理的に大きい電源27は、より高い容量(すなわち、多くの場合はアンペアアワー又は同様のもので測定される、供給され得る合計電気エネルギー)を有し、したがって、装置1のバッテリー寿命はより長くなり得る。
【0064】
一実施形態において、ヒータ構成体23は、一般に、使用時にエアロゾル化可能な材料を含む消耗品21が加熱のために挿入される中空内側加熱チャンバ29を有する中空円筒管の形態にある。概して述べるならば、加熱チャンバ29は、消耗品21を受容するための加熱ゾーンである。ヒータ構成体23のための異なる構成も可能である。いくつかの実施形態において、ヒータ構成体23は、単一の加熱要素を備えてもよいし、ヒータ構成体23の長手方向軸線に沿って整列される複数の加熱要素で形成されてもよい。加熱要素又は各加熱要素は、その外周において環状若しくは管状、又は少なくとも部分環状若しくは部分管状であってもよい。一実施形態において、加熱要素又は各加熱要素は、薄膜ヒータであってもよい。別の実施形態において、加熱要素又は各加熱要素は、セラミックス材料で作製されてもよい。好適なセラミックス材料の例は、積層及び焼結され得るアルミナ及び窒化アルミニウム及び窒化ケイ素セラミックスを含む。誘導加熱、赤外線を放射することによって加熱する赤外ヒータ要素、又は、例えば抵抗性電気巻線によって形成される抵抗加熱要素を含む、他のヒータ構成要素も可能である。
【0065】
この実施形態において、ヒータ構成体23は、ステンレス鋼支持管75によって支持され、ヒータ71を備える。1つの実施形態において、ヒータ71は、少なくとも1つの導電要素が形成される基板を備える。基板は、シートの形態にあり得、例えば、可撓性層を備え得る。好ましい実施形態において、この層は、ポリイミド層である。1つ又は複数の導電要素は、基板層に印刷されてもよいし、別途付着されてもよい。1つ又は複数の導電要素は、基板内に封じられてもよいし、基板で被覆されてもよい。
【0066】
支持管75は、消耗品21に熱を伝達する加熱要素である。したがって、支持管75は加熱材料からなる。この実施形態において、ヒータ材料はステンレス鋼である。他の実施形態において、他の金属材料が加熱材料として使用されてもよい。例えば、加熱材料は、金属又は金属合金を含んでもよい。加熱材料は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性カーボン、黒鉛、鋼、普通炭素鋼、軟鋼、フェライト系ステンレス鋼、モリブデン、銅、及び青銅からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含んでもよい。
【0067】
ヒータ構成体23は、消耗品21が装置1に挿入されるときエアロゾル化可能な材料の全体が使用時実質的に加熱されるように、寸法決めされている。
【0068】
いくつかの実施形態において、加熱要素又は各加熱要素は、エアロゾル化可能な材料の選択されたゾーンが、所望の通りに、独立して、例えば順番に(経時的に)加熱されるように又は一緒に(同時に)加熱されるように配置されてもよい。
【0069】
この実施形態において、ヒータ構成体23は、その長さの少なくとも一部分に沿って、真空領域31によって包囲される。真空領域31は、ヒータ構成体23から装置1の外側へ伝わる熱を低減するのを助ける。それが熱損失を全体的に低減するため、これによりヒータ構成体23の電力要件を低く抑えるのを助ける。真空領域31はまた、ヒータ構成体23の動作中、装置1の外側を冷えたままにするのを助ける。いくつかの実施形態において、真空領域31は、二重壁のスリーブによって包囲されてもよく、スリーブの2つの壁の間の領域は、伝導及び/又は対流による熱伝達を最小限にするように、低圧領域を提供するために真空にされている。他の実施形態において、真空領域に加えて、又はその代わりに、例えば好適な泡タイプの材料を含め、例えば断熱材料を使用した、別の絶縁構成体が使用されてもよい。
【0070】
ハウジングと称されることがあるケーシング9は、すべての内部構成要素及びヒータ構成体23を支持するための内部支持構造体37(図6に明示される)をさらに備えてもよい。
【0071】
装置1は、開口部20の周りに延在し開口部20からハウジング9の内側へ突出するカラー33と、カラー33と真空領域31の1つの端部との間に位置する拡張要素35とをさらに備える。拡張要素35は、装置1の口側端部3において拡張チャンバ40を形成するじょうご状のものである。カラー33は、消耗品21を保持するための保持具である(図5に明示される)。この実施形態において、保持具は、装置1から復元可能に取り外すことができる。
【0072】
拡張要素35の一方の端部は、第1のスリーブ11aに接続し、またこれによって支持され、拡張要素35の他方の端部は、カセット51の一方の端部に接続し、またこれによって支持される。Oリングとして示される第1の封止要素55は、拡張要素35と第1のスリーブ11aとの間に配置され、Oリングとして示される第2の封止要素57は、拡張要素35とカセット51との間に配置される。各Oリングは、シリコーン製であるが、他のエラストマー材料が、封止を可能とするために使用されてもよい。第1及び第2の封止要素55、57は、装置1の周囲構成要素内へのガスの移動を防ぐ。封止要素は、遠位端部における流体出入を防ぐために遠位端部にも提供される。
【0073】
図6に明示されるように、カラー33、拡張要素35及び真空領域31/ヒータ構成体23は、図5に明示されるように、消耗品21が装置1に挿入されるとき、消耗品21がカラー33及び拡張要素35を通って加熱チャンバ29内へ延びるように、同軸に配置される。
【0074】
上で述べたように、この実施形態において、ヒータ構成体23は概ね中空円筒管の形態にある。この管によって形成される加熱チャンバ29は、拡張チャンバ40を介して装置1の口側端部3において開口部20と流体連通状態にある。
【0075】
この実施形態において、拡張要素35は、開口部20に隣接する第1の開口端部と、加熱チャンバ29に隣接する第2の開口端部とを有する管状本体を備える。管状本体は、管状本体に沿って第1の開口端部からおよそ半分のところまで延びる第1のセクションと、およそ半分のところから管状本体に沿って第2の開口端部まで延びる第2のセクションとを備える。第1のセクションは、第2のセクションから離れる方に従って広がるフレア状部分を備える。したがって、第1のセクションは、開口している第1の開口端部へ向かって外向きに細くなる内径を有する。第2のセクションは、実質的に一定の内径を有する。
【0076】
図6に明示されるように、この実施形態において、拡張要素35は、ハウジング9内に、カラー33と真空領域31/ヒータ構成体23との間に配置されている。より詳細には、拡張要素35の第2の開口端部において、拡張要素35は、第2の開口端部が支持管75及び真空領域31の内側と係合するように、ヒータ構成体23の支持管75の端部分と真空領域31の内側との間に配置される。第1の開口端部において、拡張要素35は、カラー33の脚部59が拡張チャンバ40内へ突出するように、カラー33を受容する。したがって、拡張要素35の第1のセクションの内径は、消耗品21が装置1内に受容されるとき(図5を参照)、及び消耗品21が存在しないとき、脚部の外径よりも大きい。
【0077】
図5から最もよく理解されるように、拡張要素35の第1のセクションの内径は、消耗品21の外径よりも大きい。したがって、消耗品21が拡張要素35の長さの少なくとも一部分にわたって装置1に挿入されるとき、拡張要素35と消耗品21との間に空隙36が存在する。空隙36は、その領域における消耗品21の全周囲の周りにある。
【0078】
図6に明示されるように、カラー33は、複数の脚部59を備える。この実施形態では、4つの脚部59が存在し、3つのみが図6の視点では見ることができる。しかしながら、他の実施形態では、脚部59は、4つよりも多くても少なくてもよい。脚部59は、カラー33の内表面に円周方向に等しく離間して配置され、装置1が組み立てられるとき拡張チャンバ40内に配置される。この実施形態において、装置1に設置されるとき、脚部59は、開口部20の周縁に円周方向に等しく離間して配置される。一実施形態では、脚部59は4つあり、他の実施形態では、脚部59は4つよりも多くても少なくてもよい。脚部59の各々は、Y軸線方向に延び、拡張チャンバ40の長手方向軸線に平行に延びており、開口部20内へ突出する。脚部59はまた、脚部59の先端59aにおいて拡張要素35へ向かう方向に放射状に延び、その結果として、先端59aは互いから離れる方へ角度が付けされる。各脚部59の先端59aは、消耗品21を挿入するとき及び/又はこれを装置1から取り外すときに、消耗品21への損傷を回避するよう消耗品21の通過をより良いものとする。脚部59は、まとめて、消耗品21が装置1内にあるとき、拡張チャンバ40内にある消耗品21を正しく位置付け、また保持するために、消耗品21を把持する把持セクションを提供する。それらの間で、脚部59は、脚部59によって接触される消耗品の領域にある消耗品21を軽く圧迫する、又は締め付ける。
【0079】
脚部59は、弾性材料から構成されてもよい(又は何らかの他の方式で弾性的であってもよい)ため、結果として、それらは、消耗品21が装置1に挿入されるとき、消耗品21をより良好に把持するためにわずかに変形する(例えば、圧縮する)が、その後、消耗品21が装置1から取り外されるときには、脚部59は図6に示される静止位置へ付勢されるため、それらの元の形状を取り戻す。したがって、脚部59は、静止位置である第1の位置から、図5に示される変形位置である第2の位置へ可逆的に移動可能であり、これにより消耗品21は把持される。この実施形態において、脚部59は、カラー33の主要本体と一体に形成されている。しかしながら、いくつかの実施形態において、脚部59は、カラー33の本体に装着される別個の構成要素であってもよい。第1の位置である静止位置にある脚部59の間に形成される空間の内径は、例えば4.8mm~5mm、好ましくは4.9mmである。脚部59は、脚部59の位置での開口部20の開口範囲が、脚部59なしの位置での開口部20の開口範囲よりも小さくなるように、開口部20内の空間を占めている。
【0080】
例えば、拡張要素35は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む可撓性材料で形成され得る。PEEKは、大半の他の熱可塑物と比較して比較的高い融解点を有し、熱劣化に対して非常に抵抗力がある。
【0081】
図6を参照すると、この実施形態において、加熱チャンバ29は、遠位端部5に向かう減じられた内径の領域38と連通している。この領域38は、清掃管41によって形成される清掃チャンバ39を画定する。清掃管41は、口側端部3において開口部を通過した消耗品21(図5を参照)のための端止めを提供する中空管である。清掃管41は、ヒータ構成体23を支持及び配置するように構成される。
【0082】
装置1は、装置1の遠位端部5における蓋61をさらに備え、この蓋61は、加熱チャンバ29が清掃され得るように加熱チャンバ29へのアクセスを可能とするために底パネル19内の開口部を開閉する。蓋61は、ヒンジ63を中心にして枢動する。蓋61を通じたこのようなアクセスは、特に、ユーザが遠位端部5においてヒータ構成体23及び加熱チャンバ29内を清掃することを可能にする。蓋61が開いているとき、真っすぐの貫通孔が、口側端部3における開口部20と、装置1の遠位端部5における清掃チャンバの一方の端部における開口部との間に、装置1全体を通るよう設けられる。したがって、ユーザは、中空加熱チャンバ29の内部の実質的に全体を容易に清掃することができる。このため、ユーザは、好みで装置1のいずれかの端部を通して、加熱チャンバ29にアクセスすることができる。ユーザは、例えば、昔ながらのパイプクリーナ又はブラシ又は同様のものを含む、この目的のための1つ又は複数の様々な清掃デバイスを使用し得る。
【0083】
図6に示されるように、上パネル17は、装置1のハウジング9の第1の端部3を全体的に形成する。上パネル17は、開口部20の形態にある挿入点を画定するカラー33を支持し、開口部20を通して使用時に消耗品21は装置1へ取り外し可能に挿入される。
【0084】
カラー33は、開口部20の周りに延び、そこからハウジング9の内部へ突出する。この実施形態において、カラー33は、上パネル17とは別個の要素であり、バヨネット係止機構などの取り付け具を通じて上パネル17に装着される。他の実施形態において、接着剤又はねじが、カラー33を上パネル17に結合するために使用され得る。他の実施形態において、カラー33は、ハウジング9の上パネル17と一体であってもよいため、カラー33及び上パネル17は単一部片を形成する。
【0085】
図5及び図6から最もよく理解されるように、消耗品21及びカラー33の脚部59の隣合う対によって画定される開空間は、消耗品21の外側の周りに通気路20aを形成する。かかる通気路20aは、消耗品21から漏れ出た熱い蒸気が装置1から流出することを可能にし、また消耗品21の周りに装置1内へ冷却空気が流れることを可能にする。この実施形態では、4つの通気路が、消耗品21の周縁の周りに位置し、これが装置1の通気をもたらす。他の実施形態においては、より多く又はより少ないそのような通気路20aを設けてもよい。
【0086】
特に図5を再び参照すると、この実施形態において、消耗品21は円筒ロッドの形態にあり、これは、消耗品21が装置1に挿入されるときヒータ構成体23内にある消耗品21のセクション内の後端部にエアロゾル化可能な材料21aを有する又は包含する。消耗品21の前端部は、装置1から延び、エアロゾルを濾過するためのフィルター及び/又はエアロゾルを冷却するための冷却要素21cのうちの1つ又は複数を含む組立体であるマウスピース21bとして機能する。フィルター/冷却要素21cは、空間21dによってエアロゾル化可能な材料21aから離間され、さらなる空間21eによってマウスピース組立体21bの先端からも離間される。消耗品21は、円周方向に外層(図示せず)で被覆されている。この実施形態において、消耗品21の外層は、エアロゾル化可能な材料21aからの一部の加熱された揮発成分が消耗品21から漏れ出ることを可能にするために透過性を有する。
【0087】
動作中、ヒータ構成体23は、消耗品21を加熱してエアロゾル化可能な材料21aの少なくとも1つの成分を揮発させる。
【0088】
エアロゾル化可能な材料21aからの加熱された揮発成分の主たる流路は、軸線方向に消耗品21を通り、空間21d、フィルター/冷却要素21c、及びさらなる空間21eを通った後に、マウスピース組立体21bの開口端部を通ってユーザの口に入る。しかしながら、揮発成分の一部は、消耗品21から、その透過性の外側被覆材を通って、拡張チャンバ40内の消耗品21を包囲する空間36内へ漏出することもある。
【0089】
消耗品21から拡張チャンバ40内へ流れる揮発成分がユーザによって吸引されることは、これらの成分がフィルター/冷却要素21cを通過しておらず、したがって濾過も冷却もされていないことから望ましくない。
【0090】
拡張チャンバ40内の消耗品21を包囲する空気の容積部は、消耗品21からその外層を通って漏れ出す揮発成分の少なくとも一部を冷却し、拡張チャンバ40の内壁に凝縮させて、それらの揮発成分がユーザによっておそらくは吸引されることを防ぐことが有利である。
【0091】
この冷却効果は、流体が装置内へ及び装置から外へ流れることを可能にする通気路20aを経て装置1の外側から拡張チャンバ40内の消耗品21を包囲する空間36内へ入ることができる冷却空気によって、促され得る。第1の通気路は、挿入点において消耗品21の外側の周りに通気をもたらすように、カラー33の複数の隣り合う脚部59の対の間に画定される。第2の通気路は、少なくとも1つの加熱された揮発成分が第2の位置にて消耗品21から流れるように、隣り合う脚部59の第2の対の間に提供される。したがって、通気は、第1及び第2の通気路によって挿入点において消耗品21の外側の周りにもたらされる。さらには、消耗品21からその外側被覆材を通じて漏れ出す加熱された揮発成分は、拡張チャンバ40の内壁で凝縮せず、ユーザによって吸引されることなく、通気路20aを介して装置1の外へ安全に流れることができる。拡張チャンバ40及び通気の両方が、エアロゾル化可能な材料からの加熱された揮発成分に放出される水蒸気組成物の温度及び含有量を低減することを助ける。
【0092】
装置1には、装置1の第1の端部3へ向かうサーマルライナ(thermal liner)13が取り付けられる。図6に示されるように、サーマルライナ13は、第1のスリーブ11aに結合される。サーマルライナ13は、熱分配を管理するのを助ける熱分散体(heat diffuser)である。サーマルライナ13は、装置1の使用により生成される内部熱をサーマルライナ13に分配することによって第1のスリーブ11aを熱応力から保護するのを助ける。サーマルライナ13は、第1のスリーブ11aよりも効率的に熱を伝導して、第1のスリーブ11a内の温度勾配を低減する。サーマルライナ13は、軽量とするために、及び装置の近位端部3の周りに十分に熱を放散させるために、アルミニウムなどの金属材料から作製される。これは、第1のスリーブ11a上の局部的なホットスポットを回避するのを助け、第1のスリーブ11aの寿命を増大させる。ライナ13は、伝導によって熱を分配する。ライナ13は、断熱するように又は放射によって熱を反射するようには構成されていない。サーマルライナ13については、以下により詳細に述べる。
【0093】
図6に示されるように、支持管75は、ヒータ71によって外側が被覆される。この例では、ヒータ71は、ポリイミド及び導電性要素を備える薄膜ヒータである。ヒータ71は、独立して制御される複数の加熱領域、及び/又は同時に制御される複数の加熱領域を備えることができる。この例では、ヒータ71は、単一のヒータとして形成される。しかしながら、他の実施形態において、ヒータ71は、加熱チャンバ29の長手方向軸線に沿って整列される複数のヒータで形成されてもよい。いくつかの実施形態において、複数の温度センサが、ヒータ71及び/又は支持管の温度を検出するために使用されてもよい。この実施形態において、支持管75は、消耗品21が加熱ゾーンに挿入されるとき(加熱ゾーンは支持管75の熱伝導領域によって画定される)ヒータ71から消耗品21の方へ熱を伝導するためにステンレス鋼から作製される。他の実施形態において、支持管75は、支持管75が熱伝導性である限り、異なる材料から作製されてもよい。他の加熱要素75が、他の実施形態において使用されてもよい。例えば、加熱要素は、誘導によって加熱可能であるサセプタとしてもよい。この実施形態において、支持管75は、使用時、エアロゾル化可能な材料を含む物品21を支持するための細長の支持体として機能する。
【0094】
この実施形態において、ヒータ71は、支持管75の外側に配置される。しかしながら、他の実施形態において、ヒータ71は、支持管75の内側に配置してもよい。この実施形態において、ヒータ71は、支持管75の外を通り、本明細書ではヒータテイル73と称される部分を備える。ヒータテイル73は、加熱チャンバ29を越えて延び、制御回路25の電気接続のために構成される。図示実施形態において、ヒータテイル73は、1つのPCB25aに物理的に接続する。電流は、電源27によって、制御回路25及びヒータテイル73を介してヒータ71に提供され得る。
【0095】
加熱チャンバ29と制御回路25との間の接続が必要とされるため、加熱チャンバ29と電子機器コンパートメントとの間の空気流(又は任意の他の流体の流れ)を防ぐことは困難である場合がある。この実施形態において、ガスケット15は、図6に示されるように、そのような流体流を防ぐために使用される。ガスケット15は、第1のシール15a及び第2のシール15bを備える。ガスケット15は、ヒータテイル73を包囲し、基部53及びカセット51によって一緒にクランプされる。。図示実施形態では、4つの締結部材43が、基部53及びカセット51を一緒にクランプするために十分な力を提供し、この地点においてチャンバ29への、及びチャンバ29からのアクセスを封ずるために使用される。締結部材43は、既定のトルクまで締められるねじである。他の実施形態において、ボルトなどの異なる締結部材43が使用されてもよい。
【0096】
図7図11を参照すると、ケーシング構成要素10が示される。ケーシング構成要素は、上で示されるように、ケーシング9の第1のスリーブ11a及びライナ13を備える。ケーシング構成要素10は、図1に示されるように、ケーシング構成要素10が近位端部3において装置1の上部を形成することになるため、上部キャップと称され得る。
【0097】
ライナ13は、ライナ13が、第1のスリーブ11aにわたる熱分配を管理及び改善して、図1に示されるものなど、装置1上の局部的なホットスポットを抑制するためのものであるため、サーマルライナと称される。詳細には、ライナ13は、第1のスリーブ11a上の局部的なホットスポットを抑制するためのものである。ライナ13は、伝導によって熱を分配する。ライナ13は、第1のスリーブ11a自体の全体にわたって熱を放散させ、第1のスリーブ11a全体にわたる温度分布を制御することによって、第1のスリーブ11aに形成する局部的なホットスポットを抑制する。温度分布の制御は自動的である。したがって、ライナ13は、熱を自動的に放散させる熱分散体として機能する。この実施形態において、ライナ13は、第1のスリーブ11a全体にわたってより均一に熱を自動的に放散させることになる。したがって、ライナ13は、第1のスリーブ11aを熱劣化から保護し、またライナ13が装置1の一部分を形成し、ユーザが第1のスリーブ11aと物理的に接触するとき、過剰な熱がユーザに伝達されるリスクを低減する。
【0098】
この実施形態において、ライナ13の熱伝導率の値は、第1のスリーブ11aの熱伝導率の値とは異なる。この実施形態において、ライナ13の熱伝導率の値は、第1のスリーブ11aの熱伝導率の値よりも高い。他の実施形態において、ライナ13の熱伝導率の値は、ライナ13が第1のスリーブ11a上の局部的なホットスポットを抑制することが可能である限り、第1のスリーブ11aの熱伝導率の値よりも低くてもよい。
【0099】
この実施形態において、ライナ13が第1のスリーブ11aに結合されるとき、ライナ13は、全体としてのケーシング構成要素10の構造保全を改善するのを助ける。例えば、いくつかの実施形態において、ライナ13は、ケーシング構成要素10の変形に対する抵抗性を改善することによって、ケーシング構成要素10の剛性を増大させる。第1のスリーブ11aは、剛性を追加することによって、上パネル17(図1に示される)への支持ももたらす。ライナ13は、第1のスリーブ11aへの支持をもたらす。この実施形態において、ライナ13は、装置1の組み立ても支援する。例えば、ライナ13の形状及び/又は外形が、装置1の組み立てを支援する。ライナ13は、第1のスリーブ11aを表面損傷から保護するのを助ける。ライナ13は、ケーシング構成要素10の、他の構成要素が滑動することができる表面をさらに提供する。少なくともそのような特徴は、装置1の組み立てを支援する。
【0100】
図6において上で示されるように、ライナ13及び第1のスリーブ11aは、拡張チャンバ40に近接して、装置1の近位端部3に配置されることになる。図示実施形態において、ライナ13は、装置1の長手方向(Y軸線方向)にのみ設けられる。他の実施形態において、ライナ13の大部分の容積部は、装置1の長手方向(Y軸線方向)に沿って設けられてもよい。各例において、ライナ13は、第1のスリーブ11aから離れる方へ熱を伝導し、ライナ13内で熱流を分配する。第1のスリーブ11aに対する熱損傷のリスクが低減されることが有利である。加えて、装置1のユーザへの熱伝達は、装置1の不快な取り扱いを回避するために低減される。
【0101】
図7図11に戻って参照すると、ライナ13は、ライナ13が第1のスリーブ11aの内表面11a-1を形成するように、第1のスリーブ11aに結合される。この実施形態において、ライナ13には、接着剤の使用なしに、第1のスリーブ11aがしっかりと取り付けられる。これは、第1のスリーブ11aとライナ13との間の直接的な表面接触をもたらす。他の実施形態において、接着剤を使用してもよいが、接着剤の省略は、ケーシング構成要素10の製造及び/又は組み立てを簡略化し、ケーシング構成要素10の製造及び/又は組み立ての速度を増加させる。この例では、ライナ13の内表面は、第1のスリーブ11aの内表面11a-1と面一で形成され、その結果として、内表面11a-1は連続的となる(図10に示されるように)。これは、ケーシング構成要素の平らな内表面をもたらす第1のスリーブ11aとライナ13との間の移行を形成する。
【0102】
この実施形態において、ライナ13は、オーバーモールドプロセスによって第1のスリーブ11aに結合され、第1のスリーブ11aは、ライナ13へのぴったりと合った取り付けを形成するためにライナ13の周りにモールドされる。すなわち、第1のスリーブ11aは、オーバーモールド部分として提供され、ライナ13が金型の一部分を形成する。図10において具体的に示されるように、ライナ13は、スリーブ11aから過剰な熱を奪ってライナ13内に熱を放散させるために、第1のスリーブ11aと熱伝導接触状態で設けられる。熱伝導接触は、熱伝達の主な様式が伝導である、熱的接触と称されることもある。
【0103】
この実施形態において、ライナ13は、第1のスリーブ11aによって部分的に被覆される。すなわち、図10に示されるように、ライナ13の長手方向側部及び両方の長手方向端部は、第1のスリーブ11aと熱的接触状態にある。
【0104】
いくつかの実施形態において、ライナ13は、ホイル、又は熱テープなどのテープであってもよい。ホイル又はテープは、接着剤を使用して適用されてもよい。
【0105】
この実施形態において、ライナ13は、押し出しプロセスによって形成される。押し出しプロセスは、Y軸線方向に示されるライナ13の長さに沿って一定の断面をライナ13に与える。
【0106】
この実施形態において、ライナ13は、アルミニウムから作製され、アルミニウムは、図11に示されるように、ライナ13の最終形状を形成するように押し出し加工される(図1及び図2に示されるユーザ操作されるオン/オフボタン7と整列するための穴8を除く)。他の実施形態において、銅など、他の金属材料が、金属材料が第1のスリーブ11aから離れる方へ熱を伝導する限り、ライナ13のために使用され得る。この実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、205W/mKである一方、スリーブの熱伝導率の値は、0.25W/mKである。PEEKの熱伝導率の値は、0.25W/mKであり、アルミニウムの熱伝導率の値は、205W/mKである。他の実施形態において、ライナ及び/又はスリーブの異なる熱伝導率の値が使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、ライナの熱伝導率の値は、スリーブの熱伝導率の値よりも少なくとも100倍大きくてもよい。
【0107】
ライナ13が押し出されるとき、ライナ13の局部的な特徴は、ライナ13の長さに沿って連続して形成されることが有利である。局部的な特徴の例は、図11に示されるガイド部材13aである。そのような局部的な特徴はまた、図7に示されるように、第1のスリーブ11a上の対応する局部的な特徴と連続するように形成されてもよい。
【0108】
この実施形態において、第1のスリーブ11aは、結合領域12を備える。結合領域は、溝及び/又は凹部12aを備える。これは、第1のスリーブ11aが第2のスリーブ11bと取り外し可能に係合されることを可能にする。この実施形態において、第1のスリーブ11aと第2のスリーブ11bとの係合は、スナップフィット構成体によるものである。他の実施形態において、隆起部などの少なくとも1つの凸部が、他のスリーブ内の対応する溝及び/又は凹部と係合するためにスナップフィット構成体を提供するために使用されてもよい。スナップフィット構成体が可能であるのは、第1のスリーブ11aの係合部分が可撓性であり、圧力下で局部的に変形することができるためである。一旦スナップフィットされると、係合部分の変形が減り、2つの部分は結合される。
【0109】
図7に示されるように、結合領域12は、Y軸線方向に対する平坦表面12bを備える。平坦表面12bには、溝及び/又は凹部12aが設けられていない。平坦表面12bは、結合されると、第2のスリーブ11bと重なり合う。
【0110】
図10を具体的に参照すると、第1のスリーブ11aの厚さT1は、ライナ13のある領域におけるライナ13の厚さT2に等しい。すなわち、X軸線方向(及び/又はZ軸線方向)にケーシング構成要素10の断面を取るとき、第1のスリーブ11a及びライナ13の厚さT1、T2は同じである。ケーシング構成要素10の他の長手方向位置など、他の領域において、厚さは異なってもよい。示される実施形態において、ライナ13のいずれかの端部における第1のスリーブ11aの厚さは、ライナ13の厚さよりも大きい。この実施形態において、ライナ13の厚さは、約0.6mmである。厚さは、ライナ13の大部分の厚さ、すなわち、大部分の厚さよりも厚いガイド部材13aの厚さを除いたものである。ライナ13の比較的小さい厚さは、装置1がスリムであることを可能にすることになる。
【0111】
この実施形態において、ライナ13は、19.8mmの全奥行き、及び20.4mmの全高を有する。奥行きは、Z軸線方向(図11に示されるような)におけるライナ13の最大寸法であり、全高は、Y軸線方向(図11に示されるような)におけるライナの最大寸法である。さらには、この実施形態において、ライナ13は、30.8mmの全幅を有する。全幅は、X軸線方向(図11に示されるような)におけるライナ13の最大寸法である。
【0112】
図10に示されるように、第1のスリーブ11aは、図1に示されるような蓋4及び上パネル17を受容するための領域18を備える。したがって、領域18は、第1のスリーブ11aの収納部である。領域18は、図6に示されるような装置1の開口部20を形成するための孔22を備える。
【0113】
図11に示されるように、ライナ13は、バンドとして提供される。ライナ13は、ケーシング構成要素10の内周を形成することになる。これは、ライナ13自体及び第1のスリーブ11aの全体にわたって熱をより均一に分配するのを助ける。ライナ13は、非平行である長手方向端部を備える。ライナ13の長手方向端部の方向は、第1のスリーブ11aの近位端部の方向及び結合領域12の方向と同様である。
【0114】
図12を参照すると、例示的な方法100のフロー図が示される。方法100は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置と共に使用するための、上述したようなケーシング構成要素10などのケーシングを組み立てる方法である。例示的な装置は、図1に示される。
【0115】
方法100は、装置の内部構成要素を包囲するためのケーシング101のスリーブを用意するステップと、装置がエアロゾル化可能な材料を加熱するとき、スリーブに形成する局部的なホットスポットを抑制するためにスリーブ103のためのライナを用意するステップと、スリーブ及びライナ103を結合するステップとを含む。方法100は、図7図11に示されるケーシング構成要素10を形成するのに好適である。
【0116】
この実施形態において、ライナ102を用意するステップは、押し出し加工によってライナを形成することを含む。ライナは、押し出しプロセスによって押し出し加工され、端部は、ライナを分離するために切断される。複数のライナが順次に用意されるとき、各ライナの各端部は、機械加工及び/又は切断がされてもよい。
【0117】
この実施形態において、スリーブ101を用意するステップは、金型を使用してスリーブをオーバーモールドすることによってスリーブを形成することを含み、ライナは、金型の一部分を形成する。これは、ライナが接着剤の必要なしにスリーブによって保持されるように、スリーブとライナとの間に正確な取り付けが形成されることを可能にする。
【0118】
この実施形態において、スリーブ及びライナ103を結合するステップは、スリーブ及びライナを締りばめのもとで結合することを含む。さらには、この実施形態において、スリーブ及びライナ103を結合するステップは、スリーブ及びライナが互いと直接表面接触状態にあるように、接着剤なしでスリーブ及びライナを結合することを含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含む。しかしながら、他の実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコからなり得るか、実質的に全体的にタバコからなり得るか、タバコ及びタバコ以外のエアロゾル化可能な材料を含み得るか、タバコ以外のエアロゾル化可能な材料を含み得るか、又はタバコを含まない場合がある。いくつかの実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、蒸気、又はエアロゾル形成剤、又はグリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、若しくはジエチレングリコールなどの保湿剤を含んでもよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、非流動性のエアロゾル化可能な材料であり、装置は、非流動性のエアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものである。
【0121】
消耗品21内のエアロゾル化可能な材料の1つ又は複数の揮発性成分のすべて、又は実質的にすべてが消費されると、ユーザは、物品21を装置1から取り外し、物品21を廃棄してもよい。ユーザは、続いて、別の物品21と共に装置1を再使用することができる。しかしながら、他の実施形態において、物品は、非消耗としてもよく、エアロゾル化可能な材料の1つ又は複数の揮発性成分が消費されると、装置及び物品は一緒に廃棄されてもよい。
【0122】
本明細書に説明される実施形態において、消耗品21は、マウスピース組立体21bを備える。しかしながら、他の実施形態においては、本明細書に説明されるような例示的な装置が、マウスピースを備え得るということを理解されたい。例えば、装置1は、装置と一体であるマウスピースを備えてもよく、又は他の実施形態において、本装置は、装置1に着脱可能に装着されるマウスピースを備えてもよい。例において、装置1は、加熱されるべきエアロゾル化可能な材料を受容するように構成されてもよい。エアロゾル化可能な材料は、マウスピース部分を含まない消耗品に含まれてもよい。ユーザは、エアロゾル化可能な材料を加熱することによって装置により生成されるエアロゾルを吸引するために、装置1のマウスピースを吸うことができる。
【0123】
いくつかの実施形態において、物品21は、物品21を使用することができる装置1とは別個に販売、供給、又は別途提供される。しかしながら、いくつかの実施形態において、装置1及び物品21のうちの1つ又は複数は、清掃器具などの追加の構成要素とおそらくは共に、キット又は組立体などのシステムとして一緒に提供されてもよい。
【0124】
様々な問題に対処し、当該技術を発展させるため、本開示の全体は、特許請求された発明が実践され得る、また、エアロゾル化可能な材料を加熱するための装置との使用のための優れた加熱要素、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置との使用のための加熱要素を形成する方法、並びにエアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置、及びそのような装置によって加熱可能である加熱要素を備えるシステムを提供する様々な実施形態を、例証及び例を用いて示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的なサンプルのものにすぎず、徹底的及び/又は排他的ではない。それらは、理解を支援するのを支援し、特許請求された、及び別途開示された特徴を教示するためだけに提示され。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されるような開示に対する制限、又は特許請求の範囲の等価物に対する制限と見なされるべきではないということ、並びに、他の実施形態が利用され得、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく修正がなされ得るということを理解されたい。様々な実施形態は、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの様々な組み合わせを、好適に含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる場合がある。本開示は、今後特許請求され得る、現在特許請求されていない他の発明を含み得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12